JP3313908B2 - Bi系超伝導材料、これを有するBi系超伝導線材及び該超伝導線材の製造方法 - Google Patents

Bi系超伝導材料、これを有するBi系超伝導線材及び該超伝導線材の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、超伝導を応用したマグ
ネット、送電線、エネルギー機器、医療機器等、磁気分
離等各種分野で利用可能な超伝導特性を有するビスマス
系超伝導材料、ビスマス系超伝導線材及びその線材製造
方法に関し、特に、臨界電流密度の磁場特性を向上させ
たビスマス系超伝導材料、ビスマス系超伝導線材及びそ
の超伝導線材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、相次いで発見された銅を含む酸化
物超伝導体は、従来知られていたニオブ(Nb)系等の
超伝導臨界温度(Tc)を大きく上回るTcを持つ為、
多くの分野で応用研究が進められている。この様な銅を
含む酸化物超伝導体の主な例として、最初に発見された
214構造を有するLa系や123構造を有するイット
リウム系、1212、2201、2212及び2223
構造を有するビスマス(Bi)系やタリウム(Tl)系
材料が知られ、近年では水銀(Hg)系の材料も発見さ
れている。又、鉛(Pb)を含む数種類の構造を有する
材料も発見されている。これらの材料の中で応用開発が
進められているのは主にイットリウム(Y)系とBi系
材料である。上記Bi系材料では、単一の構造、即ち、
単相な状態を実現し易くしたり、超伝導特性(例えば、
Tc等)を向上させる目的で、構成元素に鉛を加えると
有効であることが広く知られている。
【0003】
【発明が解決しようとしている課題】上記従来の技術に
示される、123構造を有するイットリウム系材料は、
その材料のポテンシャルとして、磁場に強いという超伝
導応用に魅力的な性質を有している。しかしその一方
で、個々の結晶同士の結合が弱結合となり易く、その為
結晶粒界部分で電流が流れにくい性質がある。この弱結
合は、酸化物超伝導体を電気伝導体として使用する場合
に極めて普通に行われる多結晶体の状態において、致命
的な問題となる。故に、イットリウム系材料は、超伝導
線材として大電流を通電する用途には適さない。
【0004】又、上記従来技術に示されるBi系材料の
うち、2212及び2223構造を有する酸化物超伝導
材料では、粒界部分の結合は比較的良好であり、大電流
を通電することが可能である。しかしながら、77K程
度での使用を考えた場合、磁場が印加される環境下で
は、通電可能な電流値が著しく低下する。この様な、磁
場の印加で通電可能な電流値、即ち、臨界電流密度(J
c)が極端に低下することが、例えば、2223構造を
有するBi系材料について、Japanese Journal of Appl
ied Physics Vol.28,No.1(1989),L82-L84 に記載されて
いる。更に、温度の上昇と共に、上記の磁場特性の劣化
が一層顕著になることが広く知られており、例えば、不
可逆曲線(irreversibility line)の測定例がPhysical R
eview B 43(1991)5516-5525 に記載されている。この不
可逆曲線の示す不可逆温度での磁場の大きさは、温度に
対する臨界電流密度(Jc)の大きさを反映している。
この文献によると、超伝導転移温度(Tc)から40K
程度の低温まで、不可逆曲線の示す磁場の大きさは小さ
く、40K程度以下の低温で急激に増大している。即
ち、このことは、2212及び2223構造を有するB
i系材料を単独に、或いは混合して使用する場合に、4
0K程度以上の高温では、超伝導線材として大電流を通
電する用途には適さないことを示している。
【0005】又、上記従来の技術に示されるBi系材料
のうちの1212構造の材料については、組成比及び構
成元素を変化させた様々な酸化物超伝導体が報告されて
いるものの、超伝導線材としての検討は殆どなされてい
ない。尚、1212構造の材料はBiの代わりにPbを
使用した組成においてもその構造は実現され、超伝導材
料となる。従って、ここでは1212構造の共通性よ
り、以下、広い意味でこれも含めてBi系材料と表現す
る。この1212構造の材料について、30Kでの印加
磁場に対する磁化の大きさが、Physica C 213(1993)161
-166に記載されている。この文献には、印加磁場の大き
さが0.5T程度以上の高磁場で、磁化の大きさが殆ど
変化しない様子が示されている。このことを先の不可逆
曲線と対応させると、少なくとも30Kにおいては、不
可逆温度(この場合30K)での磁場の大きさが大きい
ことを意味する。即ち、40K程度以上の高温で超伝導
線材として大電流を通電できる可能性がある。
【0006】しかしながら、先に述べた123構造を有
するY系材料で問題となっている結晶粒界の影響につい
てはこれまで不明であった。即ち、超伝導材料を超伝導
状態で使用する場合、簡便な冷却機等で冷却することが
可能な、例えば、40K程度以上で利用可能な、即ち、
磁場の印加される環境下で高い電流密度(Jc)を有す
る超伝導材料はこれまでなかった。従って本発明の目的
は、40K程度以上で簡便に利用することが可能な、磁
場の印加される環境下で高い電流密度(Jc)を有する
超伝導材料を提供することである。又、本発明の別の目
的は、この様な優れた超伝導線材を用いた線材を簡便に
提供し得る製造方法を提供することにある。
【0007】
【問題点を解決するための手段】上記目的は以下の本発
明によって達成される。即ち本発明は、Bi2212相
と(Bi,Pb)1212相を同時に含有するBi系超
伝導材料であって、Bi2212相の含有率をXmol
%、(Bi,Pb)1212相の含有率をYmol%と
した場合に0.25≦X/Y≦1.5であることを特徴
とするBi系超伝導材料である。又、本発明は、記の
Bi系超伝導材料を用いたことを特徴とするBi系超伝
導線材である。又、本発明は、上記のBi系超伝導線材
を製造するための製造方法であって、Bi2212相の
原料粉末と(Bi,Pb)1212相の原料粉末を金属
シースに充填した後、線材化加工をするプロセスと(B
i,Pb)1212相の融点より低い温度で熱処理す
ロセスとを有することを特徴とする超伝導線材の製造
方法である。
【0008】
【作用】本発明によれば、簡便な40K程度以上で利用
可能な、磁場の印加される環境下で高い電流密度(J
c)を有する超伝導材料を提供することが出来る。更
に、本発明によれば、この様な優れた特性の超伝導材料
を用いた線材の簡便な製造方法が提供される。
【0009】
【好ましい実施態様】以下、本発明の好ましい実施態様
を挙げて本発明を詳細に説明する。本発明のBi系超伝
導材料は、Bi2212相と(Bi,Pb)1212相
を同時に含有するBi系超伝導材料であって、Bi22
12相の含有率をXmol%、(Bi,Pb)1212
相の含有率をYmol%とした場合に、XとYとが0.
25≦X/Y≦1.5の関係にあることを特徴とする。
ここで、本発明の構成材料であるBi2212相材料に
ついて説明すると、これは、代表的組成式としてBi2
Sr2Ca1Cu28 で表わされる材料であるが、各元
素サイトへの他の元素の若干の置換が起こり得る。又、
もう一つの構成材料である(Bi,Pb)1212相材
料とは、代表的組成式として、(Bi0.75-xPbxCu
0.25)Sr2(Y0.5Ca0.5)Cu27(式中、0.35≦
x≦0.75である。)で表わされる材料であるが、
(Bi0.75-xPbxCu0.25)におけるCuサイトへの
Caの置換や、SrサイトへのBaの置換等、各元素サ
イトへの他の元素の若干の置換が起こり得る。
【0010】上記の両材料の割合としては、Bi221
2相の含有率をXmol%、(Bi,Pb)1212相
の含有率をYmol%とした場合に、0.25≦X/Y
≦1.5の関係にある様にさせる。この範囲を外れ
ると、両者の材料の利点が融合せずに、どちらかの欠点
が強く出てしまい、得られる超伝導材料の特性が劣った
ものとなる為、好ましくない。尚、本発明のBi系超伝
導材料は、上記したBi2212相及び(Bi,Pb)
1212相以外にも、結晶粒間の接合材やピン止め用の
非超伝導性の材料として若干の相を含んでいても構わな
い。しかし、その含有量は全体の20%以下であること
が望ましい。
【0011】先ず、本発明で用いられるBi2212相
材料について説明すると、Bi2212相は超伝導転移
温度が80K以上であり、超伝導の応用上重要な材料で
あるが、前述した様に、30K以上の温度において磁場
中では極端に臨界電流密度が低下してしまうという欠点
を有している。この磁場中での臨界電流密度の劣化はB
i2223相にも見られるものであり、Bi系酸化物高
温超伝導体の1つの特徴でもある。
【0012】この最大の原因としてBiO−BiOの2
重層が挙げられる。即ち、Bi2223相、Bi221
2相及びBi2201相の何れの構造においてもこのB
iO−BiOの2重層が存在するが、BiO−BiOの
層間距離はかなり大きく、且つ絶縁性が強い。この為、
超伝導性が極めて2次元的になり、BiO−BiOの2
重層の部分でジョセフソン的な接合ができあがる。この
為、磁場中においてはBiO−BiOの2重層の部分で
磁束がかなり自由に動き回る結果をもたらす。これは磁
束流体とも呼ばれているが、電流が流れている状態での
磁束のこの様な運動はエネルギーの散逸をもたらし、そ
の結果、電気抵抗が発生すると考えられている。
【0013】一方、このBiO−BiOの層間での機械
的結合が弱い為に、BiO−BiOの層間での劈開が起
こり易く、BiO−BiOの2重層間で滑りが起こった
り、結晶粒が平板となり易い。その結果、線材化加工の
際に、結晶における電気伝導面であるab面が線の長さ
方向に配向する様になり、結晶粒界が強く結合でき、臨
界電流密度が上げられる。この様に、Bi2212相等
が有するBiO−BiOの2重層は、磁場中での磁束の
流体化という欠点と配向のし易さという加工上の利点を
併せ持っている。
【0014】これに対し、(Bi,Pb)1212相に
は上記した様なBiO−BiOの2重層はなく、その代
り(Bi,Pb,Cu,O)面若しくは(Bi,Pb,
Ca,O)面が存在する。(Bi,Pb)1212相
は、構造的にはYBa2Cu37に類似であり、酸素の
位置まで考慮すれば、所謂、Tl−1212相に酷似し
ている。その為、これらYBa2Cu37やTl−12
12相に見られる様に、磁場中での臨界電流密度の低下
がBi2212相に比較し、改善されることが期待でき
る。このことは、(Bi,Pb,Cu,O)面や(B
i,Pb,Ca,O)面が、BiO−BiOの2重層と
比べて絶縁性が弱い、層間距離が短縮する、といったこ
との他に、超伝導性を担っているCuO2面が構造上
(Bi,Pb,Cu,O)面や(Bi,Pb,Ca,
O)面を挟んだ両側において対称になっているという事
実からも考察される。即ち、BiO−BiOの2重層を
挟んだ両側のCuO2面においては、a,b軸方向に
(1/2,1/2)ずれている為、波動関数の位相もず
れている為、BiO−BiOの2重層間で超伝導の結合
性が弱くなっているものと考えられる。この様に、(B
i,Pb)1212相は、磁場中での臨界電流密度の低
下がBi2212相に比較し改善されが、一方で(B
i,Pb)1212相にはBiO−BiOの2重層が存
在しない為、Bi2212相で見られた配向のし易さと
いう加工上の利点は望めない。
【0015】上記したこれらの材料系の利点をお互いに
融合させて、特性に優れた超伝導線を得ようとしたのが
本発明である。即ち、Bi2212相と(Bi,Pb)
1212相を上記した様な特定割合でさせることに
よって、比較的結晶粒が大きく平板なBi2212相の
結晶粒で配向性を作り、且つこのBi2212相の結晶
に結合した(Bi,Pb)1212相により磁場中でも
高い臨界電流密度が得られる。
【0016】又、上記した様な優れた特性を有する超伝
導線材を得るには、Bi2212相と(Bi,Pb)1
212相とが各相の組成元素の拡散により変質、劣化し
ないで、且つお互いの結晶粒が十分結合することの出来
る様な熱処理プロセスが必須となる。又、この様な熱処
理プロセスと組み合わせる線材化プロセスも必要であ
る。即ち、上記した様な優れた特性を有する超伝導材料
を用いた線材は、Bi系超伝導材料の粉末を金属シース
に充填した後、線材化加工をするプロセスと(Bi,P
b)1212の融点より低い温度で熱処理することによ
りBi2212相と(Bi,Pb)1212相を残した
まま結晶粒界を結合させるプロセスとを有することを特
徴とする本発明の製造方法によって簡易に得ることが出
来る。
【0017】先ず、熱処理プロセスとしては、(Bi,
Pb)1212相と比較してBi2212相の方が融点
が低いので、Bi2212相の融点付近での熱処理が有
効であるが、Bi2212相は溶融状態からも再結晶化
され得るので、(Bi,Pb)1212相の融点近傍の
温度まで処理することが可能である。何れにせよ、各相
が劣化、変質しない程度に各相の結晶粒を結合させる方
法を用いることが重要である。又、線材化プロセスとし
ては、例えば、圧延加工、ドローイング、熱間圧延等を
利用することが出来、又、これらを組み合わせることが
有効である。これらの熱処理プロセスと線材化プロセス
はBi2212相の配向性を(Bi,Pb)1212相
に十分反映させる為、数段階行うことが好ましい。
【0018】本発明で用いる金属シースとしては、中に
充填する材料とあまり反応しない金属を用いることが好
ましく、例えば、銀や銀にマグネシウムやパラジウムを
添加した合金も使用することが可能である。上記した本
発明の複合材料であるBi系超伝導材料、及びこれを用
いた超伝導線材の製造方法を用いることによって、40
K以上の温度においても高磁場中での使用に耐え得る優
れた特性の超伝導線材が提供される。
【0019】
【実施例】次に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説
明する。 実施例1 原料として、Bi2212相であるBi2Sr2CaCu
28と、(Bi,Pb)1212相であるY0.6Ca0.4
Sr2Cu2.25Bi0.4Pb0.357の粉末を用い、これ
らを適当な比に秤量した後、乾式混合を行った。ここ
で、Bi2Sr2CaCu28の融点は880℃、Y0.6
Ca0.4Sr2Cu2.25Bi0.4Pb0.357の融点は95
0℃であった。これらの混合物を各々直径10mm、厚
み1mmのペレット状に加圧形成し、その形成物をアル
ミナボート上で840〜880℃の温度で、空気中で短
時間焼成した後、再度粉末に粉砕し、やはり各々直径1
0mm、厚み1mmのペレット状に加圧形成し、850
〜940℃の温度で、空気中で短時間焼成して、本発明
の実施例及び比較の為のBi系酸化物材料のサンプルN
o.1〜No.8を作製した。
【0020】又、これらの得られたサンプルに関して5
0Kの温度において4端子法、及び磁化率測定により臨
界電流密度の測定を行った。表1に、50Kゼロ磁場中
での臨界電流密度Jc0(A/cm2)の値と、50Kで
1テスラの磁場中での臨界電流密度Jc(A/cm2
の値を、Bi2Sr2CaCu28の含有率Xmol%と
0.6Ca0.4Sr2Cu2.25Bi0.4Pb0.357の含有
率Ymol%とを変化させた場合について示した。表1
において、サンプルNo.1〜2はBi2212相の含
有量が多い試料であるが、ゼロ磁場中での臨界電流密度
は高いものの、磁場中ではBi2212相の欠点が現わ
れてしまい、極端に臨界電流密度が低下している。又、
サンプルNo.7〜8は(Bi,Pb)1212相の含
有量が多い試料であるが、ゼロ磁場中での臨界電流密度
に対する磁場中での臨界電流密度の低下は少ないもの
の、臨界電流密度自体が少ないという1212構造の欠
点が現われてしまい応用上好ましくなかった。
【0021】表1に示したサンプルNo.4の試料をX
線回折により分析した結果、Bi2212相と(Bi,
Pb)1212相の2種類からなる複合材料であること
が確認された。又、この試料をSEMにより観察した結
果の模式図を図1に示した。図中、1はBi2212相
の結晶粒であり、2は(Bi,Pb)1212相の結晶
粒、3はそれ以外の析出相の結晶粒である。プレスした
面と平行に板状のBi2212相の結晶が配向してお
り、それを反映して(Bi,Pb)1212相の結晶結
粒も配向していることが分かった。この結果から本発明
合比である0.25≦X/Y≦1.5の範囲に入る
サンプルNo.3〜6の試料においては臨界電流密度が
3,000(A/cm2)を越えており、磁場中での応
用に適していることが分かった。
【0022】表1
【0023】実施例2 Bi系2212相であるBi2.1Sr1.9Ca1Cu28
と、(Bi,Pb)1212相であるY0.6Ca0.4Sr
2Cu2.25Bi0.4Pb0.357 を夫々原料粉末として準
備した。次に、上記原料を2212相が40mol%、
1212相が60mol%になる様に秤量し、ボールミ
ルにより粉砕及び混合を行い、平均粒径が1μm程度の
粉末を得た。この粉末に、減圧雰囲気下において700
℃で30分間のガス抜き処理を行った。得られた粉末を
外径3mm、内径2mmの銀製パイプに充填して、外径
が0.8mmになるまで伸線加工を行った。次に、圧延
加工を施して、厚さが0.15mmのテープ状に成型し
た。次に、上記テープ状成型体を、(Bi,Pb)12
12相の融点以下の温度である950℃以下で1時間の
熱処理を施した。尚、Bi2.1Sr1.9Ca1Cu28
融点は880℃である。更に圧延加工を施した後に、8
80℃で5時間の熱処理を行い、この圧延加工及び熱処
理を3回繰り返してテープ状線材とした。この様な熱処
理と圧延加工により、最終的なテープ状線材の厚さは
0.11mmとなった。
【0024】得られたテープ状線材の臨界電流密度を、
測定温度50K、テープ状線材の厚さ方向に1テスラの
外部磁界を印加した状態と、外部磁界を印加しない状態
の両方について、直流4端子法にて測定した。表2に、
実施例2で得られたサンプルについての臨界電流密度を
示す。又、上述の線材について、X線回折、SEM、E
PMAにより調査を行った。この結果、X線回折の測定
から、Bi2212相と(Bi,Pb)1212相が主
成分であり、若干の2223相と、(Sr,Ca)2
uO3等の絶縁性の酸化物が認められた。更に、SEM
及びEPMAの測定から、Bi2212相と(Bi,P
b)1212相がテープ面と平行、即ち、テープの厚さ
方向に垂直な方向にほぼ平行に形成されていることが分
かった。そして、若干の(Sr,Ca)2CuO3等の絶
縁性の酸化物が、Bi2212相と(Bi,Pb)12
12相の結晶粒間に析出しており、この量は、定量的に
は5%未満であることがわかった。
【0025】比較例1 Bi系2212相であるBi2.1Sr1.9Ca1Cu28
材料と、(Bi,Pb)1212相であるY0.5Ca0.5
Sr2Cu2.25Bi0.3Pb0.457を夫々原料粉末とし
て準備した。次に、上記原料を2212相が40mol
%、1212相が60mol%になる様に秤量し、ボー
ルミルにより粉砕及び混合を行い、平均粒径が1μm程
度の粉末を得た。この粉末に、減圧雰囲気下において7
00℃で30分間のガス抜き処理を行った。得られた粉
末を、外径3mm、内径2mmの銀製パイプに充填し
て、外径が0.8mmになるまで伸線加工を行い、更に
圧延加工を施して、厚さが0.15mmのテープ状に成
型した。次に、上記テープ状成型体を、(Bi,Pb)
1212相の融点以上の温度である955℃で1時間の
熱処理を施した。更に、圧延加工を施した後に、(B
i,Pb)1212相の融点以上の温度である960℃
で5時間の熱処理を行い、この圧延加工及び熱処理を3
回繰り返してテープ状線材とした。この様な熱処理と圧
延加工により、最終的なテープ状線材の厚さは0.11
mmとなった。
【0026】得られたテープ状線材の臨界電流密度を、
測定温度50K、テープ状線材の厚さ方向に1Tの外部
磁界を印加した状態と、外部磁界を印加しない状態の両
方について、直流4端子法にて測定した。表2に比較例
1の臨界電流密度を示す。又、上述の線材について、X
線回折、SEM、EPMAにより調査を行った。X線回
折の測定から、(Sr,Ca)2CuO3等の絶縁性の酸
化物と、Bi2212相及び(Bi,Pb)1212
相の他、若干のBi2201,2223相が認められ
た。更に、SEM及びEPMAの測定から、(Sr,C
a)2CuO3等の絶縁性の酸化物が、Bi2212相や
(Bi,Pb)1212相の結晶粒間に析出しており、
定量的には25%程度存在していることが分かった。
【0027】上記の実施例2と比較例1より、本発明の
特徴であるBi2212相と(Bi,Pb)1212を
残したまま結晶粒界を結合させる製造方法により、磁場
を印加した場合においても、高い電流密度を有する超伝
導線材が得られることがわかった。又、その為には(B
i,Pb)1212相の融点以下の温度で熱処理を行う
必要があることがわかった。(Bi,Pb)1212相
の融点以上の温度での熱処理は、(Bi,Pb)121
2相の分解を促し、ひいては(Sr,Ca)2CuO3
の絶縁性酸化物の生成量を増やしてしまう。この(S
r,Ca)2CuO3等の絶縁性の酸化物は、超伝導電流
の流れる経路を著しく阻害する為に、多量に析出するこ
とは好ましくない。即ち、本発明の目的である40K以
上で利用可能な、磁場の印加される環境下で高い電流密
度(Jc)を有する超伝導線材を得る為には、(Bi,
Pb)1212相の融点以下の温度で熱処理を行うこと
が必須である。
【0028】尚、実施例2で示される熱処理温度は、実
施例2の組成における一例であるが、(Bi,Pb)1
212相の融点以下で、且つBi2212相の融点の近
傍である880℃以上で熱処理することが特に効果的で
あった。この様な温度領域での熱処理は、結晶粒界の結
合を強固にするのに有効である。本発明において、Bi
2212相と(Bi,Pb)1212相の各々の比率、
及び組成の違いにより若干異なるが、(Bi,Pb)1
212相の融点(955℃)より凡そ80℃低い温度近
傍の領域での熱処理が効果的であった。
【0029】表2
【0030】
【効果】
(1)本発明により、簡便な冷却機等で冷却可能な40
K程度以上で利用することが出来る、即ち、磁場の印加
される環境下で高い臨界電流密度(Jc)を有する超伝
導材料が提供される。 (2)本発明により、磁場の印加される環境下で高い臨
界電流密度(Jc)を有する超伝導線材の製造方法が提
供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は実施例1のサンプルNo.4における結晶
粒界を示す模式図である。
【符号の説明】
1:Bi2212相の結晶粒を示す。 2:(Bi,Pb)1212相の結晶粒を示す。 3:それ以外の析出相の結晶粒を示す。

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Bi2212相と(Bi,Pb)121
    2相を同時に含有するBi系超伝導材料であって、Bi
    2212相の含有率をXmol%、(Bi,Pb)12
    12相の含有率をYmol%とした場合に0.25≦X
    /Y≦1.5であることを特徴とするBi系超伝導材
    料。
  2. 【請求項2】 前記Bi2212相の含有率Xmol%
    が、0.2〜0.6である請求項1に記載のBi系超伝
    導材料。
  3. 【請求項3】 前記(Bi,Pb)1212相の含有率
    Ymol%が、0.4〜0.8である請求項1又は2に
    記載のBi系超伝導材料。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載のBi系超伝導材料を用
    いたことを特徴とするBi系超伝導線材。
  5. 【請求項5】 Bi2212相と(Bi,Pb)121
    2相の結晶粒間に存在する非超伝導性の材料相の量が2
    0%以下である請求項4に記載のBi系超伝導線材。
  6. 【請求項6】 金属シースに被覆されている請求項4又
    は5に記載のBi系超伝導線材。
  7. 【請求項7】 金属シースが、銀又は銀の合金である請
    求項6に記載のBi系超伝導線材。
  8. 【請求項8】 請求項4〜5のいずれか1項に記載のB
    i系超伝導線材を製造するための製造方法であって、B
    i2212相の原料粉末と(Bi,Pb)1212相の
    原料 粉末を金属シースに充填した後、線材化加工をする
    プロセスと(Bi,Pb)1212相の融点より低い温
    度で熱処理するプロセスとを有することを特徴とする超
    伝導線材の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記熱処理するプロセスが、Bi221
    2相と(Bi,Pb)1212相を残したまま結晶粒界
    を結合させるプロセスである請求項8に記載の超伝導線
    材の製造方法。
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