JPH04300202A - 酸化物を用いた超電導体及びその作製方法 - Google Patents

酸化物を用いた超電導体及びその作製方法

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JPH04300202A
JPH04300202A JP3066001A JP6600191A JPH04300202A JP H04300202 A JPH04300202 A JP H04300202A JP 3066001 A JP3066001 A JP 3066001A JP 6600191 A JP6600191 A JP 6600191A JP H04300202 A JPH04300202 A JP H04300202A
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superconducting
superconductor
yttrium
rare earth
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JP3066001A
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Toshiya Doi
俊哉 土井
Takeshi Ozawa
武 小沢
Kazuhide Tanaka
和英 田中
Toyotaka Yuasa
豊隆 湯浅
Yuichi Kamo
友一 加茂
Shinpei Matsuda
松田 臣平
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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    • Y02E40/60Superconducting electric elements or equipment; Power systems integrating superconducting elements or equipment

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  • Oxygen, Ozone, And Oxides In General (AREA)
  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
  • Superconductor Devices And Manufacturing Methods Thereof (AREA)
  • Superconductors And Manufacturing Methods Therefor (AREA)

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液体ヘリウムまた液体
窒素で冷却することによって超電導性を発現する酸化物
系超電導物質を用いることによって、液体ヘリウムまた
液体窒素で冷却することにより超電導電流を流すことを
可能にする超電導体及びそれらの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の酸化物系高温超電導物質は、第3
回国際超電導シンポジウム・プログラム&アブストラク
ト  1990年11月6日−9日,第93頁に記載の
如く、超電導物質に印加される磁場を大きくした場合に
は、ほとんど超電導電流が流れないという報告がなされ
ている。従って実際に超電導応用製品の作製が困難であ
った。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術は、磁場
中における超電導臨界電流密度を充分大きな値として確
保することについて配慮がなされておらず、僅かな磁場
が超電導物質に印加されただけで臨界電流密度が大きく
低下するという問題があった。
【0004】本発明の目的は、酸化物系高温超電導物質
を用いた超電導体の臨界磁界を高め、磁場中においても
高い臨界電流密度を有する超電導体を提供することであ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的は、超電導体の
構成を、酸化物超電導物質のマトリックスの中に、その
超電導物質を構成する元素のうちの一種またはそれ以上
の元素を別の元素で置換することによって得られるその
超電導物質と類似結晶構造を持つ非超電導物質を導入す
ることにより達成される。
【0006】第二種超電導体である酸化物系高温超電導
物質を適当な温度に冷却し、超電導状態にしたものを磁
場中に保持すると、量子化された磁束線が超電導物質中
に侵入する。この状態で超電導物質に電流を流すと磁束
線にローレンツ力が働いて、磁束線が超電導物質の中を
動くことになる。磁束線が動くことによるエネルギーの
損失に伴い超電導物質に電気抵抗が発生する。従って、
磁場中においてより高い超電導臨界電流密度を確保する
ためには、超電導部物質内部に侵入した磁束線が、電流
を流した状態においても動かないようにすることが必要
である。金属系及び金属間化合物系の超電導物質を用い
た従来の超電導線材においては、超電導物質のマトリッ
クスの内部に超電導性の弱い結晶粒界あるいは超電導で
はない析出物を導入し、この部分(ピニングセンター)
に量子化された磁束線をトラップして侵入した磁束線を
動かないようにして、磁場中においても実質上抵抗の発
生のない状態で電流を流せるようにした超電導体を作製
している。我々は酸化物系高温超電導物質を用いた磁場
中においても多くの超電導電流を流すことが可能である
超電導体の研究開発を行ってきて、酸化物超電導物質の
マトリックスの中に、その超電導物質を構成する元素の
うちの一種またはそれ以上の元素を別の元素で置換する
ことによって得られるその超電導物質と類似結晶構造を
持つ非超電導物質を導入した超電導体において、磁場中
においても多くの超電導電流を流すことが可能であるこ
とを見い出し本発明に至った。
【0007】超電導物質中に侵入した量子化された磁束
線をトラップして、電流を流した場合でも、磁束線が動
いて電気抵抗が発生しないように磁束線を固定化する働
きのある部分をピンニングセンターと呼ぶ。超電導物質
で構成されたマトリックス中に非超電導部分を導入する
と、該超電導物質が超電導状態に相転移する温度(以下
Tcと略記する)以下の温度において、侵入した量子化
された磁束線にとっては非超電導部分はエネルギー的に
低い部分となり、磁束線はこの非超電導部分に優先的に
存在することになる。即ち超電導物質のマトリックス中
に非超電導部分を導入するとそれはすべてピニングセン
ターとなる可能性を持っている。しかしながら、ピンニ
ングセンターを形成している物質の種類、非超電導部分
の大きさ,形状,分布状態,非超電導部分同士の距離,
超電導物質と非超電導物質の界面の接合状態によって、
量子化された磁束線を固定する力(ピンニングホース)
は大きく違ってくる。
【0008】我々は、種々の酸化物超電導物質に対して
、その超電導物質と組み合わせるのに最も適した(最も
ピンニングホースの大きい)物質の開発,ピンニングセ
ンターの大きさ,分散状態などに関して研究を行ってき
た。そしてその結果、超電導物質として使用する酸化物
超電導物質と格子定数ができるだけ近くかつ結晶構造が
同様である非超電導物質を、ピンニングセンターを形成
する物質として採用するときにピンニングホースのかな
り強い、即ち磁場中においても超電導臨界電流密度(以
下”磁場中Jc”と略記する)の高い超電導体を作製す
ることができることを発見するに至った。そしてこの時
、該超電導物質と該非超電導物質の他に、これらの物質
と超電導体を作製する温度において実質的に反応を起こ
さない金属を同時に含むような構成で超電導体を作製す
ると、磁場中Jcの高い超電導体の作製が、プロセス的
に容易になる。金属部分は全体的に均一に分散している
ことが望ましく、その体積分率は50%以下、好ましく
は20%以下が望ましい。超電導体を構成する酸化物超
電導物質と非超電導物質の比率は、非超電導物質の割合
が小さすぎるとトータルとしてのピンニングホースが小
さくなりすぎて磁場中のJcは高くならない。また非超
電導物質の割合が多くなりすぎると相対的に超電導部分
の割合が少なくなりすぎることになり、Jcは高くなら
ない。従って非超電導物質と超電導物質の構成比率には
適正な範囲が存在し、我々が検討した結果は、酸化物超
電導物質に対する非超電導物質の体積比率は0.01 
から10であることが望ましく、好ましくは0.01 
から1であることが望ましい。多結晶体から成る酸化物
超電導物質を用いた超電導体に超電導電流を流す場合、
一般的には結晶粒界での超電導接合部分が、結晶粒子内
の超電導状態よりも超電導臨界電流密度(Jc)が低い
ので、非超電導物質は超電導物質の結晶粒界部分にある
よりも超電導物質の結晶粒子の内部に存在している方が
、超電導体のJcを高くするためには有利である。 超電導物質の結晶粒子の内部に析出させる非超電導物質
と超電導物質の比率は、非超電導物質の割合が小さすぎ
るとトータルとしてのピンニングホースが小さくなりす
ぎて磁場中のJcは高くならない。また非超電導物質の
割合が多くなりすぎると相対的に超電導部分の割合が少
なくなりすぎることになり、Jcは高くならない。従っ
て非超電導物質と超電導物質の構成比率には適正な範囲
が存在し、我々が検討した結果は、酸化物超電導物質に
対する非超電導物質の体積比率は0.01 から10で
あることが望ましく、好ましくは0.01 から1であ
ることが望ましい。超電導物質の結晶粒子の内部に析出
させる非超電導物質粒子の大きさは、小さすぎると量子
化された磁束線がエネルギーの谷間として感じることが
できず、ピンニングセンターとして働かない。また非超
電導物質粒子が大きくなりすぎるとエネルギーの谷間が
なだらかになりすぎて、ピンニングセンターとして働き
は悪くなりJcは高くならない。従って非超電導物質粒
子の大きさには適正な範囲が存在し、我々が検討した結
果は、非超電導物質の平均の粒子径として4オングスオ
ロームから1マイクロメートルであることが望ましく、
好ましくは4オングスオロームから0.5 マイクロメ
ートルであることが望ましい。また、超電導体中に侵入
した量子化された磁束線はお互いに相互作用を及ぼしあ
っているので、超電導体の中に存在するピンニングセン
ターの分布密度も磁場中のJcの値に大きな影響を与え
る。 我々が検討した結果は、非酸化物超電導物質の結晶粒子
の間の平均距離は3オングスオロームから1マイクロメ
ートルであることが望ましく、好ましくは3オングスオ
ロームから3000オングストロームであることが望ま
しい。
【0009】我々は、酸化物超電導物質を用いた超電導
体の磁場中のJcを高くする方法として、一般的に上記
のような技術を発明するに至った。検討した酸化物超電
導物質系はY−Ba−Cu−O系,Bi−Sr−Ca−
Cu−O系,Tl−Ba−Ca−Cu−O系,Tl−S
r−Ca−Cu−O系,Pb−Sr−Ca−Cu−O系
およびそれらの系より派生したと考えられるほとんどす
べての酸化物超電導物質についての検討を行った。その
結果、磁場中においてより高いJcの期待できる超電導
体を得るためには、(1)酸化物超電導物質としては(
Tl1−X1−X2PbX1BiX2)Sr2CaCu
2O7+X3(ここで、0≦X1<0.8, 0≦X2
<0.5, 0≦X1+X2<1, −0.5<X3<
0.5 )を選択し、ピンニングセンターとして用いる
非超電導物質としては該超電導物質を構成する元素のう
ちの一種またはそれ以上の元素を別の元素で置換するこ
とによって得られる該超電導物質と類似結晶構造を持つ
非超電導物質(Tl1−X1−X2PbX1BiX2)
Sr2LnCu2O7+X4(ここでLnはイットリウ
ムもしくは希土類元素の中から選ばれる一種以上の元素
、−0.5<X4<0.5)または(Tl1−X1−X
2PbX1BiX2)Ln2CaCu2O7+X4(こ
こでLnはイットリウムもしくは希土類元素の中から選
ばれる一種以上の元素、−0.5<X4<0.5)を選
択する組合わせ、(2)酸化物超電導物質としては(T
l1−X1−X2PbX1BiX2)Sr2Ca2Cu
3O9+X3(ここで、0≦X1<0.8, 0≦X2
<0.5, 0≦X1+X2<1, −0.5<X3<
0.5)を選択し、ピンニングセンターとして用いる非
超電導物質としては該超電導物質を構成する元素のうち
の一種またはそれ以上の元素を別の元素で置換すること
によって得られる該超電導物質と類似結晶構造を持つ非
超電導物質(Tl1−X1−X2PbX1BiX2)S
r2LnCaCu3O9+X4(ここでLnはイットリ
ウムもしくは希土類元素の中から選ばれる一種以上の元
素、−0.5<X4<0.5)または(Tl1−X1−
X2PbX1 BiX2)LnSrCa2Cu3O9+
X4(ここでLnはイットリウムもしくは希土類元素の
中から選ばれる一種以上の元素、−0.5<X4<0.
5)を選択する組合わせ、(3)酸化物超電導物質とし
ては(Tl1−X1−X2PbX1BiX2)Sr2C
a3Cu4O11+X3(ここで、0≦X1<0.8,
 0≦X2<0.5, 0≦X1+X2<1, −0.
5<X3<0.5 )を選択し、ピンニングセンターと
して用いる非超電導物質としては該超電導物質を構成す
る元素のうちの一種またはそれ以上の元素を別の元素で
置換することによって得られる該超電導物質と類似結晶
構造を持つ非超電導物質(Tl1−X1−X2PbX1
BiX2)Sr2LnCa2Cu4O11+X4(ここ
でLnはイットリウムもしくは希土類元素の中から選ば
れる一種以上の元素、−0.5<X4<0.5)または
(Tl1−X1−X2PbX1BiX2)LnSrCa
3Cu4O11+X4(ここでLnはイットリウムもし
くは希土類元素の中から選ばれる一種以上の元素、−0
.5<X4<0.5)を選択する組合わせ、(4)(1
)の場合において該超電導物質及び該非超電導物質に含
まれているSr元素の一部あるいはすべてをBaで置換
した物質を用いる組合わせ、(5)(2)の場合におい
て該超電導物質及び該非超電導物質に含まれているSr
元素の一部あるいはすべてをBaで置換した物質を用い
る組合わせ、(6)(3)の場合において該超電導物質
及び該非超電導物質に含まれているSr元素の一部ある
いはすべてをBaで置換した物質を用いる組合わせの6
つのケースが非常によいことを発見した。そしてこれら
のケースにおいても、実際に超電導体を作製する際のプ
ロセス上の容易さを考えると、Bi元素が入っていない
超電導体の方が好ましい。 またTlとPbの含有比率は、X1の値が0.3から0
.8である場合が超電導物質と非超電導物質のマッチン
グが最もよいらしく、Jc高い値が得られた。上記の6
つのケースに置いて作製した超電導体の超電導臨界電流
密度を77Kの温度,1テスラーの磁場をかけた状態で
測定したところ、いずれのケースにおいても5000A
/cm2 以上の値が得られた。
【0010】その次には、(7)酸化物超電導物質とし
ては(Cu1−X1PbX1)Sr2CaCu2O7+
X2(ここで、0≦X1≦0.9, −0.5<X2<
0.5 )を選択し、ピンニングセンターとして用いる
非超電導物質としては該超電導物質を構成する元素のう
ちの一種またはそれ以上の元素を別の元素で置換するこ
とによって得られる該超電導物質と類似結晶構造を持つ
非超電導物質(Cu1−X1PbX1)Sr2LnCu
2O7+X2(ここで、0≦X1≦0.9, −0.5
<X2<0.5,Lnはイットリウムもしくは希土類元
素の中から選ばれる一種以上の元素)または(Cu1−
X1PbX1)SrLnCaCu2O7+X2(ここで
、0≦X1≦0.9, −0.5<X2<0.5, L
nはイットリウムもしくは希土類元素の中から選ばれる
一種以上の元素)を選択する組合わせ、を選択したとき
がよいJc値を与え、作製した超電導体の超電導臨界電
流密度を77Kの温度,1テスラーの磁場をかけた状態
で測定したところ、3000〜4000A/cm2程度
の値が得られた。
【0011】酸化物超電導物質としてその他の超電導物
質を用いた場合、例えば(8)酸化物超電導物質として
はTl2Ba2Ca2Cu3O10+X(ここで、 −
0.5<X<0.5 )を選択し、ピンニングセンター
として用いる非超電導物質としては該超電導物質を構成
する元素のうちの一種またはそれ以上の元素を別の元素
で置換することによって得られる該超電導物質と同じ結
晶構造を持つ非超電導物質Tl2Ba2CaLnCu3
O10+X(ここで、−0.5<X<0.5, Lnは
イットリウムもしくは希土類元素の中から選ばれる一種
以上の元素)を選択する組合わせ、(9)酸化物超電導
物質としてはBi2Sr2Ca2Cu3O10+X(こ
こで、 −0.5<X<0.5 )を選択し、ピンニン
グセンターとして用いる非超電導物質としては該超電導
物質を構成する元素のうちの一種またはそれ以上の元素
を別の元素で置換することによって得られる該超電導物
質と類似結晶構造を持つ非超電導物質Bi2Sr2Ca
LnCu3O10+X(ここで、−0.5<X<0.5
, Lnはイットリウムもしくは希土類元素の中から選
ばれる一種以上の元素)を選択する組合わせ、(10)
酸化物超電導物質としてはTl2Ba2CaCu2O8
+X(ここで、 −0.5<X<0.5 )を選択し、
ピンニングセンターとして用いる非超電導物質としては
該超電導物質を構成する元素のうちの一種またはそれ以
上の元素を別の元素で置換することによって得られる該
超電導物質と類似結晶構造を持つ非超電導物質Tl2B
a2LnCu2O8+X(ここで、−0.5<X<0.
5, Lnはイットリウムもしくは希土類元素の中から
選ばれる一種以上の元素)を選択する組合わせ、(11
)酸化物超電導物質としてはBi2Sr2CaCu2O
8+X(ここで、−0.5<X<0.5 )を選択し、
ピンニングセンターとして用いる非超電導物質としては
該超電導物質を構成する元素のうちの一種またはそれ以
上の元素を別の元素で置換することによって得られる該
超電導物質と類似結晶構造を持つ非超電導物質Bi2S
r2aLnCu2O8+X(ここで、 −0.5<X<
0.5, Lnはイットリウムもしくは希土類元素の中
から選ばれる一種以上の元素)を選択する組合わせ、を
選択したときがよいJc値を与え、作製した超電導体の
超電導臨界電流密度を77Kの温度,1テスラーの磁場
をかけた状態で測定したところ、1000〜2000A
/cm2 程度の値が得られた。
【0012】超電導体の臨界温度が最も高いのはケ−ス
(8)であるが、磁場中Jcの値としては、ケース(1
)からケース(7)の超電導体の方が臨界温度が低いに
もかかわらず高い値を示す。これはケース(1)からケ
ース(7)の超電導物質とケース(8)からケース(1
1)の超電導物質の結晶構造の違いによるのではないか
と考えられる。(8)からケース(11)の超電導物質
は結晶構造中にTl−O、或いはBi−Oの平面が2つ
かさなったような部分があるが、ケース(1)からケー
ス(7)の超電導物質の結晶構造中にはTl−O,(T
l,Bi)−O,(Tl,Pb)−O,(Tl,Pb,
Bi)−Oの平面は一つしか含まれていない。このよう
な結晶構造の違いから、該超電導体を構成する該超電導
物質と該非超電導物質の間のマッチングに違いが生じ、
それがピンニング力の違いを生んで、磁場中でJcの違
いとなっているのだと考えられる。従って、ケース(1
)からケース(7)の超電導物質と同じような結晶構造
を持つ超電導物質を用いて、本発明と同様の超電導体の
構成を実現してやることによっても高い磁場中Jcを持
つ超電導体が得られるものと考えられる。
【0013】以上のべてきた超電導体を作製する工程に
おいては、ピンニングセンターを均一に分散させるため
にも少なくとも一度は液相成分が生成するような温度領
域に超電導体を至らしめる工程を含めることが望ましい
。また超電導物質及び非超電導物質の結晶粒子の界面か
ら有害な物質が取り除く為にも、少なくとも一度は液相
が生成し始める温度よりも50度低い温度以上でかつ成
分がすべて液相になる温度以下の温度範囲で熱処理する
工程を含むことが望ましい。
【0014】以上述べてきた超電導体の内部にさらに別
の非超電導物質をピンニングセンターとして析出させる
ことによって更に磁場中におけるJcの値を向上させる
ことができる。この時に用いる物質の備えているべき条
件としては、超電導体の構成を構成する酸化物超電導物
質及びその超電導物質を構成する元素のうちの一種また
はそれ以上の元素を別の元素で置換することによって得
られるその超電導物質と類似結晶構造を持つ非超電導物
質と、超電導体を作製する工程において、実質的に反応
を起こさない非超電導物質であることが要求され、基本
的にはこの条件さえ満たせばどのような物質でもピンニ
ングセンターとして機能する。ただし用いる酸化物超電
導物質とこの非超電導物質との間の相性によってピンニ
ングホースは異なってくる。我々は多くの非超電導物質
(非超電導物質(G))を、酸化物超電導物質のマトリ
ックスの中にその超電導物質を構成する元素のうちの一
種またはそれ以上の元素を別の元素で置換することによ
って得られるその超電導物質と類似結晶構造を持つ非超
電導物質(非超電導物質(A))を導入した様な構成で
ある超電導体の内部に導入して、どのような非超電導物
質が更なるピンニングセンターの形成用物質として適し
ているかを検討した。その結果、非超電導物質(G)と
しては、該酸化物超電導物質或いは該非超電導物質(A
)を構成している元素のみからなる物質がよいことがわ
かった。特に、CaO,SrO,Ca2CuO3,Ca
2PbO4,BaPbO3,BiBaO3が好ましかっ
た。これらの非超電導物質(G)を超電導体の内部に導
入するプロセスとしては、酸化物超電導物質の粒子或い
は、酸化物超電導物質とその超電導物質を構成する元素
のうちの一種またはそれ以上の元素を別の元素で置換す
ることによって得られるその超電導物質と類似結晶構造
を持つ非超電導物質とから構成されている超電導体(超
電導体(B)の粒子と、非超電導物質(G)の粒子を共
存させた後、該酸化物超電導物質あるいは該超電導体(
B)の結晶粒子を大きく成長させて、結果的に非超電導
物質(G)が酸化物超電導物質の結晶粒子の内部に存在
するような状態を実現する製造プロセス(図1を参照の
こと)が有効である。また、例えば Tl0.5Pb0
.5Sr2Ca2Cu3O9を含んだ超電導体を900
度程度の温度で加熱するして、Tl0.5Pb0.5S
r2Ca2Cu3O9 → Tl0.5Pb0.5Sr
2CaCu2O7 + CaO + CuOの様な分解
反応を起こさせて、超電導物質の結晶粒子の内部に非超
電導性の物質を析出させてピンニングセンターを形成し
、磁場中Jcを向上させる方法も有効である。
【0015】また本発明に記載の超電導体を作製する工
程において、前記の酸化物超電導物質や非超電導物質(
A)を一度アモルファス状態にした後、熱処理してそれ
らの物質を結晶化させて超電導体を作製するような方法
をとると、超電導物質からなる結晶粒子同士の接合状態
がよくなり、特性のよい超電導体を得ることができる。 アモルファス状態を実現する方法としては、液相状態か
ら急激に冷却する方法(急冷法),スパッタリング法,
レーザー蒸着法,電子ビーム蒸着法,蒸着法,溶射法,
化学気相蒸着法などの方法によって検討を行ったが、い
ずれの方法においても充分な結果が得られた。
【0016】本発明の超電導体は、現状で超電導体を利
用している或いは利用できると考えられているすべての
超電導利用機器に適用が可能である。また、本発明の超
電導体の作製方法は、酸化物超電導体を利用した超電導
線材の作製にもそのまま適用が可能である。
【0017】本発明の超電導体を用いた応用製品の一つ
として、超電導線材がある。その構成として最も一般的
には、常電導性被覆内部に、超電導体が存在したものが
ある。この時、超電導体を形成している結晶粒子の結晶
軸の方向はできる限り揃っていることが望ましい。その
理由は、本発明において用いる酸化物超電導物質の性質
として、結晶のab面内方向には超電導電流が流れやす
く、それ以外の方向には流れにくいという異方性があり
、そのため、より多くの超電導電流を流すためには、結
晶の方位を揃えることが望ましい。また、これらの線材
を作製する際には、超電導体粒子が十分に接合している
必要がある。そのためには、600℃以上の加熱温度が
必要である。しかし、1300℃以上の高温では、超電
導物質が分解するので、それ以外の温度でなければなら
ない。
【0018】
【作用】酸化物超電導物質を用いた超電導体の磁場中に
おける超電導臨界電流密度Jcの値を向上させる為には
、超電導体に侵入する量子化された磁束線が動ないよう
に固定する働きに優れたピンニングセンターを導入する
ことが必要であることは既に述べた。
【0019】本発明の超電導体は、超電導物質として採
用した酸化物超電導物質を構成する元素のうちの一種ま
たはそれ以上の元素を別の元素で置換することによって
得られる該超電導物質と類似結晶構造を持つ非超電導物
質を、ピンニングセンターとして超電導物質のマトリッ
クスの内部に存在させるため、超電導物質とピンニング
センターの界面に歪などがなく、また整合性が非常によ
く、従ってピンニング力の強い超電導体がえられる。
【0020】ピンニングセンターの部分は超電導性を有
さないので、ピンニングセンターとして超電導体に含ま
れる非超電導物質の割合が多すぎては実質的な超電導電
流パスが減少し、ピン止め力は強いがト−タルとしては
Jcの低い超電導体となってしまう。従って超電導体に
導入するピンニングセンターの量には適当な範囲があり
、酸化物超電導に対するピンニングセンターの割合は、
体積比率で0.01 から10でなければならない。
【0021】超電導体の内部に侵入した磁束線は量子化
され非常に細いものになっている。その径は超電導体の
コヒーレンス長さと同じオーダーである。従ってピンニ
ングセンターの大きさは超電導体のコヒーレンス長さ程
度の大きさが最も効果的である。一般に、酸化物超電導
物質のコヒーレンス長さは数オングストロームから数十
オングストロームである。従ってピンニングセンターと
して超電導体の内部に存在させる非超電導物質粒子の大
きさはこの程度である時、ピンニングセンターとしては
最もむだがなく効果的に働く。実際的には量子化された
磁束線は何本か纏まってピンニングセンターに入ること
もできるので、ピンニングセンターとして超電導体の内
部に存在させる非超電導物質粒子の大きさは数オングス
トロームから数千オングストロームの範囲にあることが
良いと考えられ、実験をして検討したところ4オングス
トロームから1マイクロメートルの範囲にあることが望
ましいことがわかった。また超電導体の内部に侵入した
量子化された磁束線はお互いに反発しあうように相互作
用をおよぼしあているので、超電導体の中に存在するピ
ンニングセンターの分布密度も磁場中のJcの値に大き
な影響を与える。我々が検討した結果は、非酸化物超電
導物質の結晶粒子の間の平均距離は3オングスオローム
から1マイクロメートルであることが望ましく、好まし
くは3オングスオロームから3000オングストローム
であることが望ましい。
【0022】本発明に記載の超電導体の製造方法におい
て、液相成分が共存するような状態で熱処理を行ってい
るが、液相が共存する状態であると原子の拡散が速くな
るので超電導体を構成する各物質の結晶性,結晶粒界の
接合性が良くなる。
【0023】本発明に記載の超電導物質,非超電導物質
及びその他の物質の組成は、厳密にこの値だけに限られ
るものではない。実際には、これらの酸化物には若干の
組成不定性があり各構成元素の含有比率が、十数パ−セ
ントから50パ−セント程度までずれることもある。従
って、本発明において記載している物質の組成が若干異
なっていても、その結晶構造が基本的に同じであれば、
本発明に記載の物質と同じものであると考えられる。
【0024】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。
【0025】[実施例1]出発原料としては、純度99
%以上のTl2O3,PbO,SrO,CaO,CuO
,Sm2O3 を用いた。まず最初に酸化物超電導物質
を作製した。SrO,CaO,CuOをそれぞれSr:
Ca:Cu の原子比率が2:1:2になるように混合
し、900℃で20時間大気中で焼成する。この粉末を
めのう乳鉢で粉砕し、得られた粉末にTl:Pb:Sr
:Ca:Cuの原子比率が0.5:0.5:2:1:2
となるようにTl2O3とPbO を混合する。乳鉢で
よく混合した後の粉末を直径20mm,厚さ2mmのデ
ィスク状に圧粉成型し、蓋の付いたアルミナるつぼにい
れて900℃の温度で大気中5時間の焼成を行った。出
来上がった焼結体の粉末X線回折測定を実行し、結果を
リートベルト法で解析したところ、図1に示すような結
晶構造を有する超電導物質が90%以上含まれているこ
とが確認された。この焼結体の超電導臨界温度を直流4
端子法で測定したところ95Kで電気抵抗がゼロになる
ことが確認できた。またVSM装置でこの焼結体試料の
77KにおけるB−Hカーブの測定をおこない、そのヒ
ステリシスの大きさから焼結体を構成している(Tl0
.5Pb0.5)Sr2CaCu2O7の結晶粒子内部
を流れる超電導臨界電流密度Jcを求めたところ、印加
磁場が1テスラーのときJc=900A/cm2であっ
た。
【0026】次に酸化物超電導物質(Tl0.5Pb0
.5)Sr2CaCu2O7のCa原子をSmで置換し
た非超電導物質(Tl0.5Pb0.5)Sr2SmC
u2O7を合成する。SrO,Sm2O3,CuOをそ
れぞれSr:Sm:Cu の原子比率が2:1:2にな
るように混合し、900℃で20時間大気中で焼成する
。この粉末をめのう乳鉢で粉砕し、得られた粉末にTl
:Pb:Sr:Sm:Cuの原子比率が0.5:0.5
:2:1:2となるようにTl2O3とPbOを混合す
る。乳鉢でよく混合した後の粉末を直径20mm,厚さ
2mmのディスク状に圧粉成型し、蓋の付いたアルミナ
るつぼにいれて900℃の温度で大気中5時間の焼成を
行った。出来上がった焼結体の粉末X線回折測定を実行
し、結果をリートベルト法で解析したところ、図2に示
すような結晶構造を有する超電導物質が90%以上含ま
れていることが確認された。この焼結体の電気抵抗を温
度を変えながらを直流4端子法で測定したところ300
K付近での電気抵抗の値は102ohm・cm 程度で
あり、その温度依存性は半導体的なものであって、4.
2Kまで測定したがその範囲で超電導になることはなか
った。
【0027】次に、めのう乳鉢で十分に粉砕した(Tl
0.5Pb0.5)Sr2CaCu2O7の粉末と(T
l0.5Pb0.5)Sr2SmCu2O7の粉末を、
(Tl0.5Pb0.5)Sr2CaCu2O7:(T
l0.5Pb0.5)Sr2SmCu2O7のモル比が
9:1となるように混ぜ、乳鉢で十分に混合し、直径2
0mm,厚さ2mmのディスク状に圧粉成型し、蓋の付
いたアルミナるつぼにいれて900℃の温度で大気中5
時間の焼成を行った。出来上がった焼結体を粉末X線回
折分析したところ(Tl0.5Pb0.5)Sr2Ca
Cu2O7と(Tl0.5Pb0.5)Sr2SmCu
2O7が含まれており、それ以外の物質は少ししか含ま
れていないことが確認された。この焼結体の超電導臨界
温度を直流4端子法で測定したところ95Kで電気抵抗
がゼロになることが確認できた。 またVSM装置でこの焼結体試料の77KにおけるB−
Hカーブの測定をおこなった。結果を図3に示す。その
ヒステリシスの大きさから焼結体を構成している(Tl
0.5Pb0.5)Sr2CaCu2O7の結晶粒子内
部を流れる超電導臨界電流密度Jcを求めたところ、印
加磁場が1テスラーのときJc=12000A/cm2
 であった。このことより、酸化物超電導物質(Tl0
.5Pb0.5)Sr2CaCu2O7に対して(Tl
0.5Pb0.5)Sr2SmCu2O7は非常に有効
なピンニングセンターとなることがわかる。
【0028】次にこの焼結体を再び粉砕して、この粉末
を外径6mm,内径4mmの金パイプに充填し、外径0
.5mmまで線引きした後、厚さ0.1mmまで圧延し
た。これを30mmの試験片として切り出し、950℃
の温度で大気中で10時間熱処理した。
【0029】77Kの温度で1テスラーの磁場中でのこ
の試料の臨界電流密度を直流4端子法で測定したところ
、Jc=10000A/cm2 であった。この超電導
線材の試料片の断面を研磨し、走査型電子顕微鏡によっ
て試料内部の組織を観察したところ、白い部分と黒い部
分の2つの領域が存在することが分かった。白い部分を
EDXで分析したところ、この部分の組成はTl:Pb
:Sr:Ca:Sm:Cu=0.46:0.53:1.
9:0.3:0.8:2.0 であった。走査型電子顕
微鏡の電子ビームのエネルギーが数ミクロン程度広がる
ことを考えれば、この白い部分はCaを含んでいない図
2に示した結晶構造を有する非超電導性の物質であると
考えられる。一方、黒い部分をEDX で分析したとこ
ろ、この部分の組成はTl:Pb:Sr:Ca:Sm:
Cu=0.43:0.49:1.9:1.0: 0.0
:2.0であった。この色の暗い部分はSmを含んでい
ない図1に示した結晶構造を有する超電導物質であると
考えられる。このように図1に示した結晶構造を有する
超電導物質に、図2に示したような超電導物質と同じ結
晶構造を持つ非超電導物質を組み合わせることによって
、磁場中においても高いJcを持つ超電導体の作製が可
能になることがわかる。
【0030】[実施例2]出発原料としては、純度99
%以上のTl2O3,PbO,SrO,CaO,CuO
,Sm2O3 を用いた。まず最初に酸化物超電導物質
を作製した。SrO,CaO,CuOをそれぞれSr:
Ca:Cu の原子比率が2:1:2になるように混合
し、900℃で20時間大気中で焼成する。この粉末を
めのう乳鉢で粉砕し、得られた粉末にTl:Pb:Sr
:Ca:Cuの原子比率が0.5:0.5:2:1:2
となるようにTl2O3とPbO を混合する。乳鉢で
よく混合した後の粉末を直径20mm,厚さ2mmのデ
ィスク状に圧粉成型し、蓋の付いたアルミナるつぼにい
れて900℃の温度で大気中5時間の焼成を行った。出
来上がった焼結体を粉末X線回折分析したところ(Tl
0.5Pb0.5)Sr2CaCu2O7ができており
、それ以外の物質はできていないことが確認された。 この焼結体の超電導臨界温度を直流4端子法で測定した
ところ95Kで電気抵抗がゼロになることが確認できた
。またVSM 装置でこの焼結体試料の77Kにおける
B−Hカーブの測定をおこない、そのヒステリシスの大
きさから焼結体を構成している(Tl0.5Pb0.5
)Sr2CaCu2O7の結晶粒子内部を流れる超電導
臨界電流密度Jcを求めたところ、印加磁場が1テスラ
ーのときJc=900A/cm2であった。
【0031】次に酸化物超電導物質(Tl0.5Pb0
.5)Sr2CaCu2O7のCa原子をSmで置換し
た非超電導物質(Tl0.5Pb0.5)Sr2SmC
u2O7を合成する。SrO,Sm2O3,CuOをそ
れぞれSr:Sm:Cuの原子比率が2:1:2になる
ように混合し、900℃で20時間大気中で焼成する。 この粉末をめのう乳鉢で粉砕し、得られた粉末にTl:
Pb:Sr:Sm:Cuの原子比率が0.5:0.5:
2:1:2となるようにTl2O3とPbO を混合す
る。乳鉢でよく混合した後の粉末を直径20mm,厚さ
2mmのディスク状に圧粉成型し、蓋の付いたアルミナ
るつぼにいれて900℃の温度で大気中5時間の焼成を
行った。出来上がった焼結体を粉末X線回折分析したと
ころ(Tl0.5Pb0.5)Sr2SmCu2O7が
できており、それ以外の物質はできていないことが確認
された。この焼結体の電気抵抗を温度を変えながらを直
流4端子法で測定したところ300K付近での電気抵抗
の値は102ohm・cm 程度であり、その温度依存
性は半導体的なものであって、4.2Kまで測定したが
その範囲で超電導になることはなかった。
【0032】次に、めのう乳鉢で十分に粉砕した(Tl
0.5Pb0.5)Sr2CaCu2O7の粉末と(T
l0.5Pb0.5)Sr2SmCu2O7の粉末を、
(Tl0.5Pb0.5)Sr2CaCu2O7:(T
l0.5Pb0.5)Sr2SmCu2O7のモル比が
9:1となるように混ぜ、乳鉢で十分に混合し、直径2
0mm,厚さ2mmのディスク状に圧粉成型し、蓋の付
いたアルミナるつぼにいれて1050℃の温度で大気中
1時間の焼成を行ない、ひきつずいて温度を900℃に
下げてその温度で5時間焼成した。出来上がった焼結体
を粉末X線回折分析したところ(Tl0.5Pb0.5
)Sr2CaCu2O7と(Tl0.5Pb0.5)S
r2SmCu2O7が含まれており、それ以外の物質は
できていないことが確認された。 またこの焼結体の断面を走査型電子顕微鏡で観察したと
ころ一度液相が生成した後が見られた。この焼結体の超
電導臨界温度を直流4端子法で測定したところ95Kで
電気抵抗がゼロになることが確認できた。またVSM 
装置でこの焼結体試料の77KにおけるB−Hカーブの
測定をおこない、そのヒステリの大きさから焼結体を構
成している(Tl0.5Pb0.5)Sr2CaCu2
O7の結晶粒子内部を流れる超電導臨界電流密度Jcを
求めたところ、印加磁場が1テスラーのときJc=14
000A/cm2であった。このことより、酸化物超電
導物質(Tl0.5Pb0.5)Sr2CaCu2O7
に対して(Tl0.5Pb0.5)Sr2SmCu2O
7は非常に有効なピンニングセンターとなることがわか
る。また超電導体を作成する工程において液相成分が生
成する温度で熱処理することは磁場中高Jc超電導体を
得るために有効であることが分かる。
【0033】次にこの焼結体を再び粉砕して、この粉末
を外径6mm,内径4mmの金パイプに充填し、外径0
.5mmまで線引きした後、厚さ0.1mmまで圧延し
た。これを30mmの試験片として切り出し、950℃
の温度で大気中で10時間熱処理した。
【0034】77Kの温度で1テスラーの磁場中でのこ
の試料の臨界電流密度を直流4端子法で測定したところ
、Jc=12000A/cm2であった。
【0035】[実施例3]出発原料としては、純度99
%以上のTl2O3,PbO,SrO,CaO,CuO
,Sm2O3 を用いた。まず最初に酸化物超電導物質
を作製した。SrO,CaO,CuOをそれぞれSr:
Ca:Cu の原子比率が2:1:2になるように混合
し、900℃で20時間大気中で焼成する。この粉末を
めのう乳鉢で粉砕し、得られた粉末にTl:Pb:Sr
:Ca:Cuの原子比率が0.5:0.5:2:1:2
となるようにTl2O3とPbO を混合する。乳鉢で
よく混合した後の粉末蓋の付いたアルミナるつぼにいれ
て1100℃の温度で大気中で30分保持して粉末を溶
融状態に至らしめた後、液体窒素の中に投入して急冷し
た。得られた塊を粉砕して、直径20mm,厚さ2mm
のディスク状に圧粉成型し、蓋の付いたアルミナるつぼ
にいれて900℃の温度で大気中5時間の焼成を行った
。出来上がった焼結体を粉末X線回折分析したところ(
Tl0.5Pb0.5)Sr2CaCu2O7ができて
おり、それ以外の物質はできていないことが確認された
。この焼結体の超電導臨界温度を直流4端子法で測定し
たところ96Kで電気抵抗がゼロになることが確認でき
た。またVSM 装置でこの焼結体試料の77Kにおけ
るB−Hカーブの測定をおこない、そのヒステリシスの
大きさから焼結体を構成している(Tl0.5Pb0.
5)Sr2CaCu2O7の結晶粒子内部を流れる超電
導臨界電流密度Jcを求めたところ、印加磁場が1テス
ラーのときJc=1000A/cm2であった。
【0036】次に酸化物超電導物質(Tl0.5Pb0
.5)Sr2CaCu2O7のCa原子をSmで置換し
た非超電導物質(Tl0.5Pb0.5)Sr2SmC
u2O7を合成する。
【0037】SrO,Sm2O3,CuOをそれぞれS
r:Sm:Cu の原子比率が2:1:2になるように
混合し、900℃で20時間大気中で焼成する。この粉
末をめのう乳鉢で粉砕し、得られた粉末にTl:Pb:
Sr:Sm:Cuの原子比率が0.5:0.5:2:1
:2 となるようにTl2O3とPbOを混合する。乳
鉢でよく混合した後の粉末を直径20mm,厚さ2mm
のディスク状に圧粉成型し、蓋の付いたアルミナるつぼ
にいれて900℃の温度で大気中5時間の焼成を行った
。出来上がった焼結体を粉末X線回折分析したところ(
Tl0.5Pb0.5)Sr2SmCu2O7ができて
おり、それ以外の物質はできていないことが確認された
。この焼結体の電気抵抗を温度を変えながらを直流4端
子法で測定したところ300K付近での電気抵抗の値は
102ohm・cm程度であり、その温度依存性は半導
体的なものであって、4.2Kまで測定したがその範囲
で超電導になることはなかった。
【0038】次に、めのう乳鉢で十分に粉砕した(Tl
0.5Pb0.5)Sr2CaCu2O7の粉末と(T
l0.5Pb0.5)Sr2SmCu2O7の粉末を、
(Tl0.5Pb0.5)Sr2CaCu2O7:(T
l0.5Pb0.5)Sr2SmCu2O7のモル比が
9:1となるように混ぜ、乳鉢で十分に混合し、直径2
0mm,厚さ2mmのディスク状に圧粉成型し、蓋の付
いたアルミナるつぼにいれて900℃の温度で大気中5
時間の焼成を行った。出来上がった焼結体を粉末X線回
折分析したところ(Tl0.5Pb0.5)Sr2Ca
Cu2O7と(Tl0.5Pb0.5)Sr2SmCu
2O7が含まれており、それ以外の物質はできていない
ことが確認された。この焼結体の超電導臨界温度を直流
4端子法で測定したところ95Kで電気抵抗がゼロにな
ることが確認できた。またVSM装置でこの焼結体試料
の77KにおけるB−Hカーブの測定をおこない、その
ヒステリシスの大きさから焼結体を構成している(Tl
0.5Pb0.5)Sr2CaCu2O7の結晶粒子内
部を流れる超電導臨界電流密度Jcを求めたところ、印
加磁場が1テスラーのときJc=13000A/cm2
 であった。このことより、酸化物超電導物質(Tl0
.5Pb0.5)Sr2CaCu2O7に対して(Tl
0.5Pb0.5)Sr2SmCu2O7は非常に有効
なピンニングセンターとなることがわかる。また一度ア
モルファス状態を経た物をしようすることが、高Jc超
電導体を作成するのに有利であることがわかる。
【0039】次にこの焼結体を再び粉砕して、この粉末
を外径6mm,内径4mmの金パイプに充填し、外径0
.5mmまで線引きした後、厚さ0.1mmまで圧延し
た。これを30mmの試験片として切り出し、950℃
の温度で大気中で10時間熱処理した。
【0040】77Kの温度で1テスラーの磁場中でのこ
の試料の臨界電流密度を直流4端子法で測定したところ
、Jc=12000A/cm2 であった。また長いま
まの圧延後の線材をコイルに巻いて、その後950℃の
温度で大気中で10時間熱処理した。このコイルを液体
窒素の中に入れて電流を流したところ、線材が超電導状
態を保ったままで1.0 テスラーの磁場を発生するこ
とができた。
【0041】[実施例4]出発原料としては、純度99
%以上のTl2O3,PbO,SrO,CaO,CuO
,Sm2O3 を用いた。まず最初に酸化物超電導物質
を作製した。SrO,CaO,CuOをそれぞれSr:
Ca:Cu の原子比率が2:2:3になるように混合
し、900℃で20時間大気中で焼成する。この粉末を
めのう乳鉢で粉砕し、得られた粉末にTl:Pb:Sr
:Ca:Cuの原子比率が0.5:0.5:2:2:3
となるようにTl2O3とPbO を混合する。乳鉢で
よく混合した後の粉末を直径20mm,厚さ2mmのデ
ィスク状に圧粉成型し、蓋の付いたアルミナるつぼにい
れて850℃の温度で大気中5時間の焼成を行った。出
来上がった焼結体の粉末X線回折測定を実行し、結果を
リートベルト法で解析したところ、図4に示すような結
晶構造を有する超電導物質が90%以上含まれているこ
とが確認された。この焼結体の超電導臨界温度を直流4
端子法で測定したところ113Kで電気抵抗がゼロにな
ることが確認できた。またVSM装置でこの焼結体試料
の77KにおけるB−Hカーブの測定をおこない、その
ヒステリシスの大きさから焼結体を構成している(Tl
0.5Pb0.5)Sr2CaCu2O7の結晶粒子内
部を流れる超電導臨界電流密度Jcを求めたところ、印
加磁場が1テスラーのときJc=1000A/cm2で
あった。
【0042】次に酸化物超電導物質(Tl0.5Pb0
.5)Sr2Ca2Cu3O9 のCa原子をSmで置
換した非超電導物質(Tl0.5Pb0.5)Sr2C
aSmCu3O9を合成する。
【0043】SrO,CaO,Sm2O3,CuO を
それぞれSr:Ca:Sm:Cu の原子比率が2:1
:1:3になるように混合し、900℃で20時間大気
中で焼成する。この粉末をめのう乳鉢で粉砕し、得られ
た粉末にTl:Pb:Sr:Ca:Sm:Cuの原子比
率が0.5:0.5:2:1:1:3となるようにTl
2O3とPbOを混合する。乳鉢でよく混合した後の粉
末を直径20mm,厚さ2mmのディスク状に圧粉成型
し、蓋の付いたアルミナるつぼにいれて900℃の温度
で大気中5時間の焼成を行った。出来上がった焼結体の
粉末X線回折測定を実行し、結果をリートベルト法で解
析したところ、図5に示すような結晶構造を有する超電
導物質が90%以上含まれていることが確認された。こ
の焼結体の電気抵抗を温度を変えながらを直流4端子法
で測定したところ300K付近での電気抵抗の値は10
2ohm・cm程度であり、その温度依存性は半導体的
なものであって、4.2K まで測定したがその範囲で
超電導になることはなった。
【0044】次に、めのう乳鉢で十分に粉砕した(Tl
0.5Pb0.5)Sr2Ca2Cu3O9の粉末と(
Tl0.5Pb0.5)Sr2CaSmCu3O9の粉
末を、(Tl0.5Pb0.5)Sr2Ca2Cu3O
9:(Tl0.5Pb0.5)Sr2CaSmCu3O
9 のモル比が9:1となるように混ぜ、乳鉢で十分に
混合し、直径20mm,厚さ2mmのディスク状に圧粉
成型し、蓋の付いたアルミナるつぼにいれて900℃の
温度で大気中5時間の焼成を行った。出来上がった焼結
体を粉末X線回折分析したところ(Tl0.5Pb0.
5)Sr2Ca2Cu3O9と(Tl0.5Pb0.5
)Sr2CaSmCu3O9が含まれており、それ以外
の物質はできていないことが確認された。この焼結体の
超電導臨界温度を直流4端子法で測定したところ110
Kで電気抵抗がゼロになることが確認できた。またVS
M装置でこの焼結体試料の77KにおけるB−Hカーブ
の測定をおこない、そのヒステリシスの大きさから焼結
体を構成している結晶粒子内部を流れる超電導臨界電流
密度Jcを求めたところ、印加磁場が1テスラーのとき
Jc=15000A/cm2であった。このことより、
酸化物超電導物質(Tl0.5Pb0.5)Sr2Ca
2Cu3O9に対して(Tl0.5Pb0.5)Sr2
CaSmCu3O9は非常に有効なピンニングセンター
となることがわかる。
【0045】次にこの焼結体を再び粉砕して、この粉末
を外径6mm,内径4mmの金パイプに充填し、外径0
.5mmまで線引きした後、厚さ0.1mmまで圧延し
た。これを30mmの試験片として切り出し、950℃
の温度で大気中で10時間熱処理した。
【0046】77Kの温度で1テスラーの磁場中でのこ
の試料の臨界電流密度を直流4端子法で測定したところ
、Jc=14000A/cm2であった。
【0047】[実施例5]出発原料としては、純度99
%以上のTl2O3,PbO,SrO,CaO,CuO
,Sm2O3 を用いた。まず最初に酸化物超電導物質
を作製した。SrO,CaO,CuOをそれぞれSr:
Ca:Cuの原子比率が2:3:4になるように混合し
、900℃で20時間大気中で焼成する。この粉末をめ
のう乳鉢で粉砕し、得られた粉末にTl:Pb:Sr:
Ca:Cuの原子比率が 0.5:0.5:2:3:4
となるようにTl2O3とPbOを混合する。乳鉢でよ
く混合した後の粉末を直径20mm,厚さ2mmのディ
スク状に圧粉成型し、蓋の付いたアルミナるつぼにいれ
て850℃の温度で大気中5時間の焼成を行った。出来
上がった焼結体を粉末X線回折分析したところ(Tl0
.5Pb0.5)Sr2Ca3Cu4O11ができてお
り、それ以外の物質はできていないことが確認された。 この焼結体の超電導臨界温度を直流4端子法で測定した
ところ110Kで電気抵抗がゼロになることが確認でき
た。またVSM装置でこの焼結体試料の77Kにおける
B−Hカーブの測定をおこない、そのヒステリシスの大
きさから焼結体を構成している(Tl0.5Pb0.5
)Sr2Ca3Cu4O11の結晶粒子内部を流れる超
電導臨界電流密度Jcを求めたところ、印加磁場が1テ
スラーのときJc=900A/cm2であった。
【0048】次に酸化物超電導物質(Tl0.5Pb0
.5)Sr2Ca3Cu4O11のCa原子をSmで置
換した非超電導物質(Tl0.5Pb0.5)Sr2C
a2SmCu4O11を合成する。
【0049】SrO,CaO,Sm2O3,CuO を
それぞれSr:Ca:Sm:Cu の原子比率が2:2
:1:4になるように混合し、900℃で20時間大気
中で焼成する。この粉末をめのう乳鉢で粉砕し、得られ
た粉末にTl:Pb:Sr:Ca:Sm:Cuの原子比
率が0.5:0.5:2:2:1:4となるようにTl
2O3とPbOを混合する。乳鉢でよく混合した後の粉
末を直径20mm,厚さ2mmのディスク状に圧粉成型
し、蓋の付いたアルミナるつぼにいれて900℃の温度
で大気中5時間の焼成を行った。出来上がった焼結体を
粉末X線回折分析したところ(Tl0.5Pb0.5)
Sr2Ca2SmCu4O11ができており、それ以外
の物質はできていないことが確認された。この焼結体の
電気抵抗を温度を変えながらを直流4端子法で測定した
ところ300K付近での電気抵抗の値は102ohm・
cm 程度であり、その温度依存性は半導体的なもので
あって、4.2K まで測定したがその範囲で超電導に
なることはなった。
【0050】次に、めのう乳鉢で十分に粉砕した(Tl
0.5Pb0.5)Sr2Ca3Cu4O11の粉末と
(Tl0.5Pb0.5)Sr2Ca2SmCu4O1
1の粉末を、(Tl0.5Pb0.5)Sr2Ca3C
u4O11:(Tl0.5Pb0.5)Sr2Ca2S
mCu4O11 のモル比が9:1となるように混ぜ、
乳鉢で十分に混合し、直径20mm,厚さ2mmのディ
スク状に圧粉成型し、蓋の付いたアルミナるつぼにいれ
て850℃の温度で大気中5時間の焼成を行った。出来
上がった焼結体を粉末X線回折分析したところ(Tl0
.5Pb0.5)Sr2Ca3Cu4O11の粉末と(
Tl0.5Pb0.5)Sr2Ca2SmCu4O11
が含まれており、それ以外の物質はできていないことが
確認された。この焼結体の超電導臨界温度を直流4端子
法で測定したところ105Kで電気抵抗がゼロになるこ
とが確認できた。またVSM装置でこの焼結体試料の7
7KにおけるB−Hカーブの測定をおこない、そのヒス
テリシスの大きさから焼結体を構成している結晶粒子内
部を流れる超電導臨界電流密度Jcを求めたところ、印
加磁場が1テスラーのときJc=11000A/cm2
 であった。このことより、酸化物超電導物質(Tl0
.5Pb0.5)Sr2Ca3Cu4O11に対して(
Tl0.5Pb0.5)Sr2Ca2SmCu4O11
は非常に有効なピンニングセンターとなること9がわか
る。
【0051】次にこの焼結体を再び粉砕して、この粉末
を外径6mm,内径4mmの金パイプに充填し、外径0
.5mmまで線引きした後、厚さ0.1mmまで圧延し
た。これを30mmの試験片として切り出し、900℃
の温度で大気中で10時間熱処理した。
【0052】77Kの温度で1テスラーの磁場中でのこ
の試料の臨界電流密度を直流4端子法で測定したところ
、Jc=11000A/cm2であった。
【0053】[実施例6]出発原料としては、純度99
%以上のTl2O3,PbO,SrO,CaO,CuO
,Sm2O3 を用いた。まず最初に酸化物超電導物質
を作製した。SrO,CaO,CuOをそれぞれSr:
Ca:Cu の原子比率が2:2:3になるように混合
し、900℃で20時間大気中で焼成する。この粉末を
めのう乳鉢で粉砕し、得られた粉末にTl:Pb:Sr
:Ca:Cuの原子比率が 0.5:0.5:2:2:
3となるようにTl2O3とPbOを混合する。乳鉢で
よく混合した後の粉末を直径20mm,厚さ2mmのデ
ィスク状に圧粉成型し、蓋の付いたアルミナるつぼにい
れて850℃の温度で大気中5時間の焼成を行った。出
来上がった焼結体を粉末X線回折分析したところ(Tl
0.5Pb0.5)Sr2Ca2Cu3O9ができてお
り、それ以外の物質はできていないことが確認された。 この焼結体の超電導臨界温度を直流4端子法で測定した
ところ113Kで電気抵抗がゼロになることが確認でき
た。またVSM装置でこの焼結体試料の77Kにおける
B−Hカーブの測定をおこない、そのヒステリシスの大
きさから焼結体を構成している(Tl0.5Pb0.5
)Sr2CaCu2O7 の結晶粒子内部を流れる超電
導臨界電流密度Jcを求めたところ、印加磁場が1テス
ラーのときJc=1000A/cm2であった。次に、
この焼結体を950℃の温度で大気中1時間の焼成を行
った後、室温まで冷却した。この焼結体を粉末X線回折
分析したところ(Tl0.5Pb0.5)Sr2CaC
u2O7とCaOとCuOが含まれており、それ以外に
も少しの異相成分が確認された。この焼結体の断面を走
査型電子顕微鏡で観察したところ、平均粒径30マイク
ロメートル程度の(Tl0.5Pb0.5)Sr2Ca
Cu2O7の結晶粒子の内部と外部に平均粒径が数マイ
クロメートルのCaOやCuOの結晶粒子が析出してい
る状態が観察された。この焼結体の超電導臨界温度を直
流4端子法で測定したところ94Kで電気抵抗がゼロに
なることが確認できた。またVSM装置でこの焼結体試
料の77KにおけるB−Hカーブの測定をおこない、そ
のヒステリシスの大きさから焼結体を構成している結晶
粒子内部を流れる超電導臨界電流密度Jcを求めたとこ
ろ、印加磁場が1テスラーのときJc=8000A/c
m2 であった。このことより、ある酸化物超電導物質
を別の酸化物超電導体と非超電導性の物質に分解させる
ことによって有効なピンニングセンターの形成が可能で
あることがわかる。
【0054】次にこの焼結体を再び粉砕して、この粉末
を外径6mm,内径4mmの金パイプに充填し、外径0
.5mmまで線引きした後、厚さ0.1mmまで圧延し
た。これを30mmの試験片として切り出し、900℃
の温度で大気中で10時間熱処理した。
【0055】77Kの温度で1テスラーの磁場中でのこ
の試料の臨界電流密度を直流4端子法で測定したところ
、Jc=7000A/cm2 であった。また長いまま
の圧延後の線材をコイルに巻いて、その後900℃の温
度で大気中で10時間熱処理した。このコイルを液体窒
素の中に入れて電流を流したところ、線材が超電導状態
を保ったままで0.5 テスラーの磁場を発生すること
ができた。
【0056】[実施例7]出発原料としては、純度以上
のTl2O3,PbO,SrO,CaO,CuO,Sm
2O3 を用いた。まず最初に酸化物超電導物質を作製
した。SrO,CaO,CuOをそれぞれSr:Ca:
Cu の原子比率が2:1:2になるように混合し、9
00℃で20時間大気中で焼成する。この粉末をめのう
乳鉢で粉砕し、得られた粉末にTl:Pb:Sr:Ca
:Cuの原子比率が0.4:0.6:2:1:2となる
ようにTl2O3とPbO を混合する。乳鉢でよく混
合した後の粉末を直径20mm,厚さ2mmのディスク
状に圧粉成型し、蓋の付いたアルミナるつぼにいれて9
00℃の温度で大気中5時間の焼成を行った。出来上が
った焼結体を粉末X線回折分析したところ(Tl0.4
Pb0.6)Sr2CaCu2O7ができており、それ
以外の物質はできていないことが確認された。この焼結
体の超電導臨界温度を直流4端子法で測定したところ9
3Kで電気抵抗がゼロになることが確認できた。またV
SM 装置でこの焼結体試料の77KにおけるB−Hカ
ーブの測定をおこない、そのヒステリシスの大きさから
焼結体を構成している(Tl0.4Pb0.6)Sr2
CaCu2O7の結晶粒子内部を流れる超電導臨界電流
密度Jcを求めたところ、印加磁場が1テスラーのとき
Jc=900A/cm2であった。
【0057】次に酸化物超電導物質(Tl0.4Pb0
.6)Sr2CaCu2O7のCa原子をSmで置換し
た非超電導物質(Tl0.4Pb0.6)Sr2SmC
u2O7を合成する。SrO,Sm2O3,CuOをそ
れぞれSr:Sm:Cuの原子比率が2:1:2になる
ように混合し、900℃で20時間大気中で焼成する。 この粉末をめのう乳鉢で粉砕し、得られた粉末にTl:
Pb:Sr:Sm:Cuの原子比率が 0.4:0.6
:2:1:2となるようにTl2O3とPbOを混合す
る。乳鉢でよく混合した後の粉末を直径20mm,厚さ
2mmのディスク状に圧粉成型し、蓋の付いたアルミナ
るつぼにいれて900℃の温度で大気中5時間の焼成を
行った。出来上がった焼結体を粉末X線回折分析したと
ころ(Tl0.4Pb0.6)Sr2SmCu2O7が
できており、それ以外の物質はできていないことが確認
された。この焼結体の電気抵抗を温度を変えながらを直
流4端子法で測定したところ300K付近での電気抵抗
の値は102ohm・cm程度であり、その温度依存性
は半導体的なものであって、4.2Kまで測定したがそ
の範囲で超電導になることはなった。
【0058】次に、めのう乳鉢で十分に粉砕した(Tl
0.4Pb0.6)Sr2CaCu2O7の粉末と(T
l0.4Pb0.6)Sr2SmCu2O7の粉末を、
(Tl0.4Pb0.6)Sr2CaCu2O7:(T
l0.4Pb0.6)Sr2SmCu2O7のモル比が
9:1となるように混ぜ、乳鉢で十分に混合し、直径2
0mm,厚さ2mmのディスク状に圧粉成型し、蓋の付
いたアルミナるつぼにいれて900℃の温度で大気中5
時間の焼成を行った。出来上がった焼結体を粉末X線回
折分析したところ(Tl0.4Pb0.6)Sr2Ca
Cu2O7と(Tl0.4Pb0.6)Sr2SmCu
2O7が含まれており、それ以外の物質はできていない
ことが確認された。この焼結体の超電導臨界温度を直流
4端子法で測定したところ95Kで電気抵抗がゼロにな
ることが確認できた。またVSM装置でこの焼結体試料
の77KにおけるB−Hカーブの測定をおこない、その
ヒステリシスの大きさから焼結体を構成している(Tl
0.4Pb0.6)Sr2CaCu2O7の結晶粒子内
部を流れる超電導臨界電流密度Jcを求めたところ、印
加磁場が1テスラーのときJc=11000A/cm2
 であった。このことより、酸化物超電導物質(Tl0
.4Pb0.6)Sr2CaCu2O7に対して(Tl
0.4Pb0.6)Sr2SmCu2O7は非常に有効
なピンニングセンターとなることがわかる。  次にこ
の焼結体を粉砕して、それに平均粒径が2マイクロメー
トル程度であるCaOの粉末を、体積比にして10分の
1にあたる分量を混合し、直径20mm,厚さ2mmの
ディスク状に圧粉成型し、蓋の付いたアルミナるつぼに
いれて1050℃の温度で大気中10分間の焼成を行な
い、ひきつずいて温度を900℃に下げてその温度で5
時間焼成した。出来上がった焼結体を粉末X線回折分析
したところ(Tl0.4Pb0.6)Sr2CaCu2
O7と(Tl0.4Pb0.6)Sr2SmCu2O7
とCaOが含まれており、それ以外の物質はわずかしか
できていないことが確認された。またこの焼結体の断面
を走査型電子顕微鏡で観察したところ一度液相が生成し
た後が見られた。この焼結体の超電導臨界温度を直流4
端子法で測定したところ90Kで電気抵抗がゼロになる
ことが確認できた。またVSM装置でこの焼結体試料の
77KにおけるB−Hカーブの測定をおこない、そのヒ
ステリシスの大きさから焼結体を構成しているの結晶粒
子内部を流れる超電導臨界電流密度Jcを求めたところ
、印加磁場が1テスラーのときJc=13000A/c
m2であった。このことより、CaO粒子は更なるピン
ニングセンターとして有効に働いていることがわかる。
【0059】次にこの焼結体を再び粉砕して、この粉末
を外径6mm,内径4mmの金パイプに充填し、外径0
.5mmまで線引きした後、厚さ0.1mmまで圧延し
た。これを30mmの試験片として切り出し、1050
℃の温度で大気中10分間の焼成を行ない、ひきつずい
て温度を900℃に下げてその温度で5時間焼成した。 77Kの温度で1テスラーの磁場中でのこの試料の臨界
電流密度を直流4端子法で測定したところ、Jc=13
000A/cm2であった。
【0060】[実施例8]実施例7におけるCaOの代
わりにSrOを用いて、それ以外は実施例7と同様に線
材試料作成した。77Kの温度で1テスラーの磁場中で
のこの試料の臨界電流密度を直流4端子法で測定したと
ころ、Jc=12000A/cm2 であった。
【0061】[実施例9]実施例7におけるCaOの代
わりにCa2CuO3を用いて、それ以外は実施例7と
同様に線材試料作成した。77Kの温度で1テスラーの
磁場中でのこの試料の臨界電流密度を直流4端子法で測
定したところ、Jc=14000A/cm2 であった
【0062】[実施例10]実施例7におけるCaOの
代わりにCa2PbO4 を用いて、それ以外は実施例
7と同様に線材試料作成した。77Kの温度で1テスラ
ーの磁場中でのこの試料の臨界電流密度を直流4端子法
で測定したところ、Jc=12000A/cm2 であ
った。 [実施例11]実施例7におけるCaOの代わりにBa
PbO3 を用いて、それ以外は実施例7と同様に線材
試料作成した。77Kの温度で1テスラーの磁場中での
この試料の臨界電流密度を直流4端子法で測定したとこ
ろ、Jc=13000A/cm2 であった。
【0063】[実施例12]実施例7におけるCaOの
代わりにBaBiO3を用いて、それ以外は実施例7と
同様に線材試料作成した。77Kの温度で1テスラーの
磁場中でのこの試料の臨界電流密度を直流4端子法で測
定したところ、Jc=12000A/cm2 であった
【0064】[実施例13]実施例7におけるCaOの
代わりにZrO2 を用いて、それ以外は実施例7と同
様に線材試料作成した。77Kの温度で1テスラーの磁
場中でのこの試料の臨界電流密度を直流4端子法で測定
したところ、Jc=13000A/cm2 であった。
【0065】[実施例14]出発原料としては、純度9
9%以上のTl2O3,PbO,SrO,CaO,Cu
O,Sm2O3 を用いた。まず最初に酸化物超電導物
質を作製した。SrO,CaO,CuOをそれぞれSr
:Ca:Cu の原子比率が2:1:2になるように混
合し、900℃で20時間大気中で焼成する。この粉末
をめのう乳鉢で粉砕し、得られた粉末にTl:Pb:S
r:Ca:Cuの原子比率が 0.5:0.5:2:1
:2となるようにTl2O3とPbOを混合する。乳鉢
でよく混合した後の粉末を直径20mm,厚さ2mmの
ディスク状に圧粉成型し、蓋の付いたアルミナるつぼに
いれて900℃の温度で大気中5時間の焼成を行った。 出来上がった焼結体を粉末X線回折分析したところ(T
l0.5Pb0.5)Sr2CaCu2O7ができてお
り、それ以外の物質はできていないことが確認された。 この焼結体の超電導臨界温度を直流4端子法で測定した
ところ95Kで電気抵抗がゼロになることが確認できた
。またVSM装置でこの焼結体試料の77KにおけるB
−Hカーブの測定をおこない、そのヒステリシスの大き
さから焼結体を構成している(Tl0.5Pb0.5)
Sr2CaCu2O7の結晶粒子内部を流れる超電導臨
界電流密度Jcを求めたところ、印加磁場が1テスラー
のときJc=900A/cm2であった。
【0066】次に酸化物超電導物質(Tl0.5Pb0
.5)Sr2CaCu2O7のCa原子をSmで置換し
た非超電導物質(Tl0.5Pb0.5)Sr2SmC
u2O7を合成する。SrO,Sm2O3,CuOをそ
れぞれSr:Sm:Cuの原子比率が2:1:2になる
ように混合し、900℃で20時間大気中で焼成する。 この粉末をめのう乳鉢で粉砕し、得られた粉末にTl:
Pb:Sr:Sm:Cuの原子比率が 0.5:0.5
:2:1:2となるようにTl2O3とPbOを混合す
る。乳鉢でよく混合した後の粉末を直径20mm,厚さ
2mmのディスク状に圧粉成型し、蓋の付いたアルミナ
るつぼにいれて900℃の温度で大気中5時間の焼成を
行った。出来上がった焼結体を粉末X線回折分析したと
ころ(Tl0.5Pb0.5)Sr2SmCu2O7が
できており、それ以外の物質はできていないことが確認
された。この焼結体の電気抵抗を温度を変えながらを直
流4端子法で測定したところ300K付近での電気抵抗
の値は102ohm・cm程度であり、その温度依存性
は半導体的なものであって、4.2Kまで測定したがそ
の範囲で超電導になることはなった。
【0067】次に、めのう乳鉢で十分に粉砕した(Tl
0.5Pb0.5)Sr2CaCu2O7の粉末と(T
l0.5Pb0.5)Sr2SmCu2O7の粉末を、
(Tl0.5Pb0.5)Sr2CaCu2O7:(T
l0.5Pb0.5)Sr2SmCu2O7のモル比を
いろいろな値(ここでは1:Xとした時のXの値を変化
させた)として混ぜ、乳鉢で十分に混合し、直径20m
m,厚さ2mmのディスク状に圧粉成型し、蓋の付いた
アルミナるつぼにいれて900℃の温度で大気中5時間
の焼成を行った。出来上がった焼結体の超電導臨界温度
を直流4端子法で測定して電気抵抗がゼロになった温度
をTcとして、またVSM装置でこれらの焼結体試料の
77KにおけるB−Hカーブの測定をおこない、そのヒ
ステリシスの大きさから焼結体を構成している結晶粒子
内部を流れる超電導臨界電流密度の値を求めた。印加磁
場が1テスラーのとき超電導臨界電流密度の値を求めJ
cとして、表1にまとめた。この表1より、酸化物超電
導物質(Tl0.5Pb0.5)Sr2CaCu2O7
に対して(Tl0.5Pb0.5)Sr2SmCu2O
7は非常に有効なピンニングセンターとなることがわか
る。また(Tl0.5Pb0.5)Sr2CaCu2O
7に対する(Tl0.5Pb0.5)Sr2SmCu2
O7の割合には適正な範囲があることがわかる。
【0068】
【表1】
【0069】[実施例15]出発原料としては、純度9
9%以上のTl2O3,PbO,SrO,CaO,Cu
Oそして希土類元素の酸化物を用いた。まず最初に酸化
物超電導物質を実施例1と同様の方法で作製した。
【0070】次に酸化物超電導物質(Tl0.5Pb0
.5)Sr2CaCu2O7のCa原子を希土類元素で
置換した非超電導物質(Tl0.5Pb0.5)Sr2
LnCu2O7(Lnは希土類元素)を合成する。Sr
O,希土類酸化物,CuOをそれぞれSr:Ln:Cu
の原子比率が2:1:2になるように混合し、900℃
で20時間大気中で焼成する。この粉末をめのう乳鉢で
粉砕し、得られた粉末にTl:Pb:Sr:Ln:Cu
の原子比率が 0.5:0.5:2:1:2となるよう
にTl2O3とPbOを混合する。乳鉢でよく混合した
後の粉末を直径20mm,厚さ2mmのディスク状に圧
粉成型し、蓋の付いたアルミナるつぼにいれて900℃
の温度で大気中5時間の焼成を行った。出来上がった焼
結体を粉末X線回折分析したところいずれの試料におい
ても90%以上は(Tl0.5Pb0.5)Sr2Ln
Cu2O7ができていることが確認された。これらの焼
結体の電気抵抗を温度を変えながらを直流4端子法で測
定したところいずれも300K付近での電気抵抗の値は
102ohm・cm 程度であり、その温度依存性は半
導体的なものであって、4.2K まで測定したがその
範囲で超電導になるものはなった。
【0071】次に、めのう乳鉢で十分に粉砕した(Tl
0.5Pb0.5)Sr2CaCu2O7の粉末と(T
l0.5Pb0.5)Sr2LnCu2O7の粉末を、
(Tl0.5Pb0.5)Sr2CaCu2O7:(T
l0.5Pb0.5)Sr2LnCu2O7のモル比が
9:1になるように混ぜ、乳鉢で十分に混合し、直径2
0mm,厚さ2mmのディスク状に圧粉成型し、蓋の付
いたアルミナるつぼにいれて900℃の温度で大気中5
時間の焼成を行った。出来上がった焼結体の超電導臨界
温度を直流4端子法で測定して電気抵抗がゼロになった
温度をTcとして、またVSM装置でこれらの焼結体試
料の77KにおけるB−Hカーブの測定をおこない、そ
のヒステリシスの大きさから焼結体を構成している結晶
粒子内部を流れる超電導臨界電流密度の値を求めた。印
加磁場が1テスラーのとき超電導臨界電流密度の値を求
めJcとして、表2にまとめた。この表2より、酸化物
超電導物質(Tl0.5Pb0.5)Sr2CaCu2
O7に対して(Tl0.5Pb0.5)Sr2LnCu
2O7は非常に有効なピンニングセンターとなることが
わかる。また希土類元素によってそれほど顕著な差がな
いことがわかる。
【0072】
【表2】
【0073】[実施例16]出発原料としては、純度9
9%以上のTl2O3,PbO,SrO,CaO,Cu
O,Sm2O3 を用いた。まず最初にさまざまなTl
とPbの含有比率の酸化物超電導物質を作製した。
【0074】SrO,CaO,CuOをそれぞれSr:
Ca:Cu の原子比率が2:1:2になるように混合
し、900℃で20時間大気中で焼成する。この粉末を
めのう乳鉢で粉砕し、得られた粉末にTl:Pb:Sr
:Ca:Cuの原子比率が(1−X):X:2:1:2
となるようにTl2O3とPbOを混合する(ここでX
の値をさまざまに変えることによって、TlとPbの含
有比率の異なった超電導物質を作製する)。乳鉢でよく
混合した後の粉末を直径20mm,厚さ2mmのディス
ク状に圧粉成型し、蓋の付いたアルミナるつぼにいれて
900℃の温度で大気中5時間の焼成を行った。
【0075】次に酸化物超電導物質(Tl1−XPbX
)Sr2CaCu2O7のCa原子をLaで置換した非
超電導物質(Tl1−XPbX)Sr2LaCu2O7
を合成する。SrO,La2O3,CuOをそれぞれS
r:La:Cuの原子比率が2:1:2になるように混
合し、900℃で20時間大気中で焼成する。この粉末
をめのう乳鉢で粉砕し、得られた粉末にTl:Pb:S
r:La:Cuの原子比率が1−X:X:2:1:2と
なるようにTl2O3とPbO を混合する。乳鉢でよ
く混合した後の粉末を直径20mm,厚さ2mmのディ
スク状に圧粉成型し、蓋の付いたアルミナるつぼにいれ
て900℃の温度で大気中5時間の焼成を行った。出来
上がった焼結体の電気抵抗を温度を変えながらを直流4
端子法で測定したところいずれも300 K付近での電
気抵抗の値は102ohm・cm 程度であり、その温
度依存性は半導体的なものであって、4.2K まで測
定したがその範囲で超電導になるものはなった。
【0076】次に、めのう乳鉢で十分に粉砕した(Tl
1−XPbX)Sr2CaCu2O7の粉末と(Tl1
−XPbX)Sr2LaCu2O7の粉末を、(Tl1
−XPbX)Sr2CaCu2O7:(Tl1−XPb
X)Sr2LaCu2O7のモル比が9:1になるよう
に混ぜ、乳鉢で十分に混合し、直径20mm,厚さ2m
mのディスク状に圧粉成型し、蓋の付いたアルミナるつ
ぼにいれて900℃の温度で大気中5時間の焼成を行っ
た。出来上がった焼結体の超電導臨界温度を直流4端子
法で測定して電気抵抗がゼロになった温度をTcとして
、またVSM装置でこれらの焼結体試料の77Kにおけ
るB−Hカーブの測定をおこない、そのヒステリシスの
大きさから焼結体を構成している結晶粒子内部を流れる
超電導臨界電流密度の値を求めた。 印加磁場が1テスラーのとき超電導臨界電流密度の値を
求めJcとして、表3にまとめた。この表3より、酸化
物超電導物質(Tl1−XPbX)Sr2CaCu2O
7に対して(Tl1−XPbX)Sr2LaCu2O7
は非常に有効なピンニングセンターとなることがわかる
。またTlとPbの含有比率によって超電導体としての
性能に違いが生じ、Xの値には適正な範囲があることが
わかる。
【0077】
【表3】
【0078】[実施例17]出発原料としては、純度9
9%以上のTl2O3,PbO,Bi2O3,SrO,
CaO,CuO,La2O3 を用いた。まず最初にさ
まざまなTlとPbとBiの含有比率の酸化物超電導物
質を作製した。SrO,CaO,CuOをそれぞれSr
:Ca:Cu の原子比率が2:1:2になるように混
合し、900℃で20時間大気中で焼成する。この粉末
をめのう乳鉢で粉砕し、得られた粉末にTl:Pb:B
i:Sr:Ca:Cuの原子比率が0.4:(0.6−
X):X:2:1:2となるようにTl2O3とPbO
とBi2O3を混合する(ここでXの値をさまざまに変
えることによって、TlとPbとBiの含有比率の異な
った超電導物質を作製する)。乳鉢でよく混合した後の
粉末を直径20mm,厚さ2mmのディスク状に圧粉成
型し、蓋の付いたアルミナるつぼにいれて900℃の温
度で大気中5時間の焼成を行った。
【0079】次に酸化物超電導物質(Tl0.4Pb0
.6−XBiX)Sr2CaCu2O7のCa原子をL
aで置換した非超電導物質(Tl0.4Pb0.6−X
BiX)Sr2LaCu2O7を合成する。SrO,L
a2O3,CuOをそれぞれSr:La:Cuの原子比
率が2:1:2になるように混合し、900℃で20時
間大気中で焼成する。この粉末をめのう乳鉢で粉砕し、
得られた粉末にTl:Pb:Bi:Sr:La:Cuの
原子比率が0.4:(0.6−X):X:2:1:2と
なるようにTl2O3とPbOとBi2O3 を混合す
る。乳鉢でよく混合した後の粉末を直径20mm,厚さ
2mmのディスク状に圧粉成型し、蓋の付いたアルミナ
るつぼにいれて900℃の温度で大気中5時間の焼成を
行った。出来上がった焼結体の電気抵抗を温度を変えな
がらを直流4端子法で測定したところいずれも300K
付近での電気抵抗の値は102ohm・cm 程度であ
り、その温度依存性は半導体的なものであって、4.2
K まで測定したがその範囲で超電導になるものはなっ
た。
【0080】次に、めのう乳鉢で十分に粉砕した(Tl
0.4Pb0.6−XBiX)Sr2CaCu2O7の
粉末と(Tl0.4Pb0.6−XBiX)Sr2La
Cu2O7の粉末を、(Tl0.4Pb0.6−XBi
X)Sr2CaCu2O7:(Tl0.4Pb0.6−
XBiX)Sr2LaCu2O7のモル比が9:1にな
るように混ぜ、乳鉢で十分に混合し、直径20mm,厚
さ2mmのディスク状に圧粉成型し、蓋の付いたアルミ
ナるつぼにいれて900℃の温度で大気中5時間の焼成
を行った。出来上がった焼結体の超電導臨界温度を直流
4端子法で測定して電気抵抗がゼロになった温度をTc
として、またVSM装置でこれらの焼結体試料の77K
におけるB−Hカーブの測定をおこない、そのヒステリ
シスの大きさから焼結体を構成している結晶粒子内部を
流れる超電導臨界電流密度の値を求めた。印加磁場が1
テスラーのとき超電導臨界電流密度の値を求めJcとし
て、表4にまとめた。この表4より、酸化物超電導物質
(Tl0.4Pb0.6−XBiX)Sr2CaCu2
O7に対して(Tl0.4Pb0.6−XBiX)Sr
2LaCu2O7は非常に有効なピンニングセンターと
なることがわかる。またTlとPbとBi の含有比率
によって超電導体としての性能に違いが生じ、Xの値に
は適正な範囲があることがわかる。
【0081】
【表4】
【0082】[実施例18]出発原料としては、純度9
9%以上のTl2O3,PbO,SrO,BaO,Ca
O,CuO,Sm2O3 を用いた。まず最初に酸化物
超電導物質を作製した。SrO,BaO,CaO,Cu
O をそれぞれSr:Ba:Ca:Cuの原子比率が 
2(1−X):2X:1:2になるように混合し、90
0℃で20時間大気中で焼成する。この粉末をめのう乳
鉢で粉砕し、得られた粉末にTl:Pb:Sr:Ba:
Ca:Cuの原子比率が0.5:0.5:2(1−X)
:2X:1:2となるようにTl2O3とPbOを混合
する。乳鉢でよく混合した後の粉末を直径20mm,厚
さ2mmのディスク状に圧粉成型し、蓋の付いたアルミ
ナるつぼにいれて900℃の温度で大気中5時間の焼成
を行った。出来上がった焼結体を粉末X線回折分析した
ところ(Tl0.5Pb0.5)(Sr1−XBaX)
2CaCu2O7が大部分であり(90%以上)、それ
以外の物質はあまりできていないことが確認された。
【0083】次に酸化物超電導物質(Tl0.5Pb0
.5)(Sr1−XBaX)2CaCu2O7のCa原
子をSmで置換した非超電導物質(Tl0.5Pb0.
5)(Sr1−XBaX)2SmCu2O7 を合成す
る。
【0084】SrO,BaO,Sm2O3,CuOをそ
れぞれSr:BaO:Sm:Cuの原子比率が 2(1
−X):2X:1:2になるように混合し、900℃で
20時間大気中で焼成する。この粉末をめのう乳鉢で粉
砕し、得られた粉末にTl:Pb:Sr:Sm:Cuの
原子比率が 0.5:0.5:2(1−X):2X:1
:2となるようにTl2O3とPbOを混合する。乳鉢
でよく混合した後の粉末を直径20mm,厚さ2mmの
ディスク状に圧粉成型し、蓋の付いたアルミナるつぼに
いれて900℃の温度で大気中5時間の焼成を行った。 出来上がった焼結体を粉末X線回折分析したところ(T
l0.5Pb0.5)(Sr1−XBaX)2SmCu
2O7ができており、それ以外の物質はできていないこ
とが確認された。この焼結体の電気抵抗を温度を変えな
がらを直流4端子法で測定したところ300K付近での
電気抵抗の値は102ohm・cm 程度であり、その
温度依存性は半導体的なものであって、4.2K まで
測定したがその範囲で超電導になることはなった。
【0085】次に、めのう乳鉢で十分に粉砕した(Tl
0.5Pb0.5)(Sr1−XBaX)2CaCu2
O7の粉末と(Tl0.5Pb0.5)(Sr1−XB
aX)Sr2SmCu2O7の粉末を、(Tl0.5P
b0.5)(Sr1−XBaX)Sr2CaCu2O7
:(Tl0.5Pb0.5)(Sr1−XBaX)2S
mCu2O7のモル比が9:1になるように混ぜ、乳鉢
で十分に混合し、直径20mm,厚さ2mmのディスク
状に圧粉成型し、蓋の付いたアルミナるつぼにいれて9
00℃の温度で大気中5時間の焼成を行った。出来上が
った焼結体の超電導臨界温度を直流4端子法で測定して
電気抵抗がゼロになった温度をTcとして、またVSM
装置でこれらの焼結体試料の77KにおけるB−Hカー
ブの測定をおこない、そのヒステリシスの大きさから焼
結体を構成している結晶粒子内部を流れる超電導臨界電
流密度の値を求めた。印加磁場が1テスラーのとき超電
導臨界電流密度の値を求めJcとして、表5にまとめた
。この表5より、酸化物超電導物質(Tl0.5Pb0
.5)(Sr1−XBaX)2CaCu2O7に対して
(Tl0.5Pb0.5)(Sr1−XBaX)2Sm
Cu2O7は非常に有効なピンニングセンターとなるこ
とがわかる。また超電導体の磁場中Jcの値はSrとB
aの含有比率に鈍感であることがわかる。
【0086】
【表5】
【0087】[実施例19]実施例2作製した超電導体
の焼結体を液体窒素で冷却して超電導状態にし、市販の
サマリウム・コバルト磁石の上に浮上させて30gのお
もりを乗せたところ、浮上高さは約5mmであり、今後
搬送システムやベアリングへの応用が充分可能であるこ
とをうかがわせた。
【0088】[実施例20]本発明による超電導線材の
構成を図7に示す。本発明は超電導体1に金−5重量%
パラジウム合金被覆材2を施した扁平形状を有する。該
被覆材2は、実質的に超電導体と反応しない金属であれ
ば、いずれの物質でもよく、金,銀,パラジウム,銅−
アルミニウム合金,ニッケルなどが好ましい。
【0089】実施例18で作製した超電導体の焼結体試
料を粉砕し、外径6mm,内径5mm,長さ100mm
の金−5重量%パラジウム合金パイプに充填封入後、ド
ロ−ベンチで外径1mmまで線引き加工した。この線材
を更に冷間圧延機によって圧延加工を施し、幅3mm,
厚さ0.2mm の扁平断面構造の線材を得た。この線
材を長さ250mmで切りだし、空気中950℃の温度
で30分保持し、一部分融解させた後、液体窒素中にク
エンチ急冷した後、880℃で20時間空気中で熱処理
した。この試料1テスラー中、77Kでの臨界電流密度
を直流4端子法で測定したところ、11000A/cm
2 であった。電子顕微鏡観察により超電導体部分の結
晶の向きを調べたところ、約50%程度の結晶のC軸が
、厚さ方向を向いていた。
【0090】
【発明の効果】本発明によれば、液体ヘリウムによる冷
却は勿論、液体窒素による冷却によって運転される、高
磁界中においても高い超電導臨界電流密度を有する酸化
物超電導物質を用いた超電導体,超電導線材,超電導マ
グネットが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を説明するための実施例1で作製した超
電導物質の結晶構造を表す模式図。
【図2】本発明を説明するための実施例1で作製した非
超電導物質の結晶構造を表す模式図。
【図3】本発明を説明するための実施例1で作製した超
電導体の磁場中における超電導臨界電流密度Jcを評価
するために測定した磁化ヒステリシス曲線。
【図4】本発明を説明するための実施例4で作製した超
電導物質の結晶構造を表す模式図。
【図5】本発明を説明するための実施例4で作製した非
超電導物質の結晶構造を表す模式図。
【図6】本発明による超電導線材の構成図。
【符号の説明】
1…Tl原子もしくはPb原子、2…Sr原子、3…C
a原子、4…Cu原子、5…酸素原子、6…Sm原子、
7…超電導体結晶、8…Au−5%Pd被覆材、9…結
晶粒界。

Claims (46)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸化物超電導物質と、該超電導物質を構成
    する元素のうちの一種またはそれ以上の元素を別の元素
    で置換することによって得られる該超電導物質と類似の
    結晶構造を持つ非超電導物質を含むことを特徴とする超
    電導体。
  2. 【請求項2】酸化物超電導物質と、該超電導物質を構成
    する元素のうちの一種またはそれ以上の元素を別の元素
    で置換することによって得られる該超電導物質と類似の
    結晶構造を持つ非超電導物質と、金属部分とを含むこと
    を特徴とする超電導体。
  3. 【請求項3】酸化物超電導物質と、該超電導物質を構成
    する元素のうちの一種またはそれ以上の元素を別の元素
    で置換することによって得られる該超電導物質と類似結
    晶構造を持つ非超電導物質を含み、該酸化物超電導物質
    に対する該非超電導物質物質の体積比率が0.01 か
    ら10であることを特徴とする超電導体。
  4. 【請求項4】酸化物超電導物質と、該超電導物質を構成
    する元素のうちの一種またはそれ以上の元素を別の元素
    で置換することによって得られる該超電導物質と類似結
    晶構造を持つ非超電導物質と、金属部分とを含み、かつ
    該酸化物超電導物質に対する該非超電導物質の体積比率
    が0.01 から10であることを特徴とする超電導体
  5. 【請求項5】酸化物超電導物質の結晶粒の内部に、該超
    電導物質を構成する元素のうちの一種またはそれ以上の
    元素を別の元素で置換することによって得られる該超電
    導物質と類似結晶構造を持つ非超電導物質を析出させる
    ことによって磁場中においても高い超電導臨界電流密度
    が得られるようにしたことを特徴とする超電導体。
  6. 【請求項6】酸化物超電導物質の結晶粒の内部に、該超
    電導物質を構成する元素のうちの一種またはそれ以上の
    元素を別の元素で置換することによって得られる該超電
    導物質と類似結晶構造を持つ非超電導物質を、該酸化物
    超電導物質に対する該非超電導物質の体積比率が0.0
    1 から10であるように析出させることによって磁場
    中においても高い超電導臨界電流密度が得られるように
    したことを特徴とする超電導体。
  7. 【請求項7】酸化物超電導物質の結晶粒の内部に、該超
    電導物質を構成する元素のうちの一種またはそれ以上の
    元素を別の元素で置換することによって得られる該超電
    導物質と類似結晶構造を持つ非超電導物質を、該非超電
    導物質物質の結晶粒子の平均粒子径が3オングストロ−
    ムから1ミクロンであるように析出させることによって
    、磁場中においても高い超電導臨界電流密度が得られる
    ようにしたことを特徴とする超電導体。
  8. 【請求項8】酸化物超電導物質の結晶粒の内部に、該超
    電導物質を構成する元素のうちの一種またはそれ以上の
    元素を別の元素で置換することによって得られる該超電
    導物質と類似結晶構造を持つ非超電導物質を、該非超電
    導物質の結晶粒子間の平均距離が3オングストロ−ムか
    ら3000オングストロ−ムであるように析出させるこ
    とによって、磁場中においても高い超電導臨界電流密度
    が得られるようにしたことを特徴とする超電導体。
  9. 【請求項9】酸化物超電導物質(Tl1−X1−X2P
    bX1BiX2)Sr2CaCu2O7+X3(ここで
    、0≦X1<0.8, 0≦X2<0.5, 0≦X1
    +X2<1, −0.5<X3<0.5 )と、該超電
    導物質を構成する元素のうちの一種またはそれ以上の元
    素を別の元素で置換することによって得られる該超電導
    物質と類似結晶構造を持つ非超電物質(Tl1−X1−
    X2PbX1BiX2)Sr2LnCu2O7+X4(
    ここでLnはイットリウムもしくは希土類元素の中から
    選ばれる一種以上の元素、−0.5<X4<0.5)ま
    たは(Tl1−X1−X2PbX1BiX2)LnSr
    CaCu2O7+X4(ここでLnはイットリウムもし
    くは希土類元素の中から選ばれる一種以上の元素、−0
    .5<X4<0.5)のどちらか一方あるいは両方を含
    むことを特徴とする超電導体。
  10. 【請求項10】酸化物超電導物質(Tl1−X1−X2
    PbX1BiX2)Sr2CaCu2O7+X3(ここ
    で、0≦X1<0.8, 0≦X2<0.5, 0≦X
    1+X2<1, −0.5<X3<0.5 )と、該超
    電導物質を構成する元素のうちの一種またはそれ以上の
    元素を別の元素で置換することによって得られる該超電
    導物質と類似結晶構造を持つ非超電物質(Tl1−X1
    −X2PbX1BiX2)Sr2LnCu2O7+X4
    (ここでLnはイットリウムもしくは希土類元素の中か
    ら選ばれる一種以上の元素、−0.5<X4<0.5)
    または(Tl1−X1−X2PbX1BiX2)LnS
    rCaCu2O7+X4(ここでLnはイットリウムも
    しくは希土類元素の中から選ばれる一種以上の元素、−
    0.5<X4<0.5)のどちらか一方あるいは両方と
    、金属部分とを含むことを特徴とする超電導体。
  11. 【請求項11】酸化物超電導物質(Tl1−X1−X2
    PbX1BiX2)Sr2CaCu2O7+X3(ここ
    で、0≦X1<0.8, 0≦X2<0.5, 0≦X
    1+X2<1, −0.5<X3<0.5 )と、該超
    電導物質を構成する元素のうちの一種またはそれ以上の
    元素を別の元素で置換することによって得られる該超電
    導物質と類似結晶構造を持つ非超電物質(Tl1−X1
    −X2PbX1BiX2)Sr2LnCu2O7+X4
    (ここでLnはイットリウムもしくは希土類元素の中か
    ら選ばれる一種以上の元素、−0.5<X4<0.5)
    または(Tl1−X1−X2PbX1BiX2)LnS
    rCaCu2O7+X4(ここでLnはイットリウムも
    しくは希土類元素の中から選ばれる一種以上の元素、−
    0.5<X4<0.5)のどちらか一方あるいは両方を
    含み、該酸化物超電導物質に対する該物質の体積比率が
    0.01 から10であることを特徴とする超電導体。
  12. 【請求項12】酸化物超電導物質(Tl1−X1−X2
    PbX1BiX2)Sr2CaCu2O7+X3(ここ
    で、0≦X1<0.8, 0≦X2<0.5, 0≦X
    1+X2<1, −0.5<X3<0.5 )と、該超
    電導物質を構成する元素のうちの一種またはそれ以上の
    元素を別の元素で置換することによって得られる該超電
    導物質と類似結晶構造を持つ非超電物質(Tl1−X1
    −X2PbX1BiX2)Sr2LnCu2O7+X4
    (ここでLnはイットリウムもしくは希土類元素の中か
    ら選ばれる一種以上の元素、−0.5<X4<0.5)
    または(Tl1−X1−X2PbX1BiX2)LnS
    rCaCu2O7+X4(ここでLnはイットリウムも
    しくは希土類元素の中から選ばれる一種以上の元素、−
    0.5<X4<0.5)のどちらか一方あるいは両方と
    、金属部分とを含み、かつ該酸化物超電導物質に対する
    該物質の体積比率が0.01 から10であることを特
    徴とする超電導体。
  13. 【請求項13】酸化物超電導物質(Tl1−X1−X2
    PbX1BiX2)Sr2CaCu2O7+X3(ここ
    で、0≦X1<0.8, 0≦X2<0.5, 0≦X
    1+X2<1, −0.5<X3<0.5 )の結晶粒
    の内部に、該超電導物質を構成する元素のうちの一種ま
    たはそれ以上の元素を別の元素で置換することによって
    得られる該超電導物質と類似結晶構造を持つ非超電物質
    (Tl1−X1−X2PbX1BiX2)Sr2LnC
    u2O7+X4(ここでLnはイットリウムもしくは希
    土類元素の中から選ばれる一種以上の元素、−0.5<
    X4<0.5)または(Tl1−X1−X2PbX1B
    iX2)LnSrCaCu2O7+X4(ここでLnは
    イットリウムもしくは希土類元素の中から選ばれる一種
    以上の元素、−0.5<X4<0.5)のどちらか一方
    あるいは両方を析出させることによって磁場中において
    も高い超電導臨界電流密度が得られるようにしたことを
    特徴とする超電導体。
  14. 【請求項14】酸化物超電導物質(Tl1−X1−X2
    PbX1BiX2)Sr2CaCu2O7+X3(ここ
    で、0<X1<0.8, 0<X2<0.5, 0≦X
    1+X2<1, −0.5<X3<0.5 )の結晶粒
    の内部に、該超電導物質を構成する元素のうちの一種ま
    たはそれ以上の元素を別の元素で置換することによって
    得られる該超電導物質と類似結晶構造を持つ非超電導物
    質(Tl1−X1−X2PbX1BiX2)Sr2Ln
    Cu2O7+X4(ここでLnはイットリウムもしくは
    希土類元素の中から選ばれる一種以上の元素、−0.5
    <X4<0.5)または(Tl1−X1−X2PbX1
    BiX2)LnSrCaCu2O7+X4(ここでLn
    はイットリウムもしくは希土類元素の中から選ばれる一
    種以上の元素、−0.5<X4<0.5)のどちらか一
    方あるいは両方を、該酸化物超電導物質に対する該物質
    の体積比率が0.01 から10であるように析出させ
    ることによって磁場中においても高い超電導臨界電流密
    度が得られるようにしたことを特徴とする超電導体。
  15. 【請求項15】酸化物超電導物質(Tl1−X1−X2
    PbX1BiX2)Sr2CaCu2O7+X3(ここ
    で、0≦X1<0.8, 0≦X2<0.5, 0≦X
    1+X2<1, −0.5<X3<0.5 )の結晶粒
    の内部に、該超電導物質を構成する元素のうちの一種ま
    たはそれ以上の元素を別の元素で置換することによって
    得られる該超電導物質と類似結晶構造を持つ非超電導物
    質(Tl1−X1−X2PbX1BiX2)Sr2Ln
    Cu2O7+X4(ここでLnはイットリウムもしくは
    希土類元素の中から選ばれる一種以上の元素、−0.5
    <X4<0.5)または(Tl1−X1−X2PbX1
    BiX2)LnSrCaCu2O7+X4(ここでLn
    はイットリウムもしくは希土類元素の中から選ばれる一
    種以上の元素、−0.5<X4<0.5)のどちらか一
    方あるいは両方を、該物質の結晶粒子の平均粒子径が4
    オングストロームから1ミクロンであるように析出させ
    ることによって、磁場中においても高い超電導臨界電流
    密度が得られるようにしたことを特徴とする超電導体。
  16. 【請求項16】酸化物超電導物質(Tl1−X1−X2
    PbX1BiX2)Sr2CaCu2O7+X3(ここ
    で、0<X1<0.8, 0<X2<0.5, 0≦X
    1+X2<1, −0.5<X3<0.5 )の結晶粒
    の内部に、該超電導物質を構成する元素のうちの一種ま
    たはそれ以上の元素を別の元素で置換することによって
    得られる該超電導物質と類似結晶構造を持つ非超電導物
    質(Tl1−X1−X2PbX1BiX2)Sr2Ln
    Cu2O7+X4(ここでLnはイットリウムもしくは
    希土類元素の中から選ばれる一種以上の元素、−0.5
    <X4<0.5)または(Tl1−X1−X2PbX1
    BiX2)LnSrCaCu2O7+X4(ここでLn
    はイットリウムもしくは希土類元素の中から選ばれる一
    種以上の元素、−0.5<X4<0.5)のどちらか一
    方あるいは両方を、該物質の結晶粒子間の平均距離が3
    オングストロ−ムから3000オングストロ−ムである
    ように析出させることによって、磁場中においても高い
    超電導臨界電流密度が得られるようにしたことを特徴と
    する超電導体。
  17. 【請求項17】酸化物超電導物質(Tl1−X1−X2
    PbX1BiX2)(Sr1−X3BaX3)2CaC
    u2O7+X4(ここで、0≦X1<0.8, 0≦X
    2<0.5, 0≦X1+X2<1, 0<X3≦1,
     −0.5<X4<0.5 )と、該超電導物質を構成
    する元素のうちの一種またはそれ以上の元素を別の元素
    で置換することによって得られる該超電導物質と類似結
    晶構造を持つ非超電導物質(Tl1−X1−X2PbX
    1BiX2)(Sr1−X3BaX3)2LnCu2O
    7+X5(ここでLnはイットリウムもしくは希土類元
    素の中から選ばれる一種以上の元素、−0.5<X5<
    0.5)または(Tl1−X1−X2PbX1BiX2
    )LnSrCaCu2O7+X5(ここでLnはイット
    リウムもしくは希土類元素の中から選ばれる一種以上の
    元素、−0.5<X5<0.5)のどちらか一方あるい
    は両方を、同時に含むことを特徴とする超電導体。
  18. 【請求項18】酸化物超電導物質(Tl1−X1−X2
    PbX1BiX2)(Sr1−X3BaX3)2CaC
    u2O7+X4(ここで、0≦X1<0.8, 0≦X
    2<0.5, 0≦X1+X2<1, 0<X3≦1,
     −0.5<X4<0.5 )と、該超電導物質を構成
    する元素のうちの一種またはそれ以上の元素を別の元素
    で置換することによって得られる該超電導物質と類似結
    晶構造を持つ非超電導物質(Tl1−X1−X2PbX
    1BiX2)(Sr1−X3BaX3)2LnCu2O
    7+X5(ここでLnはイットリウムもしくは希土類元
    素の中から選ばれる一種以上の元素、−0.5<X5<
    0.5)または(Tl1−X1−X2PbX1BiX2
    )LnSrCaCu2O7+X5(ここでLnはイット
    リウムもしくは希土類元素の中から選ばれる一種以上の
    元素、−0.5<X4<0.5)のどちらか一方あるい
    は両方と、金属部分とを含むことを特徴とする超電導体
  19. 【請求項19】酸化物超電導物質(Tl1−X1−X2
    PbX1BiX2)(Sr1−X3BaX3)2CaC
    u2O7+X4(ここで、0≦X1<0.8, 0≦X
    2<0.5, 0≦X1+X2<1, 0<X3≦1,
     −0.5<X4<0.5 )と、該超電導物質を構成
    する元素のうちの一種またはそれ以上の元素を別の元素
    で置換することによって得られる該超電導物質と類似結
    晶構造を持つ非超電導物質(Tl1−X1−X2PbX
    1BiX2)(Sr1−X3BaX3)2LnCu2O
    7+X5(ここでLnはイットリウムもしくは希土類元
    素の中から選ばれる一種以上の元素、−0.5<X5<
    0.5)または(Tl1−X1−X2PbX1BiX2
    )LnSrCaCu2O7+X5(ここでLnはイット
    リウムもしくは希土類元素の中から選ばれる一種以上の
    元素、−0.5<X4<0.5)のどちらか一方あるい
    は両方を含み、該酸化物超電導物質に対する該物質の体
    積比率が0.01 から10であることを特徴とする超
    電導体。
  20. 【請求項20】酸化物超電導物質(Tl1−X1−X2
    PbX1BiX2)(Sr1−X3BaX3)2CaC
    u2O7+X4(ここで、0≦X1<0.8, 0≦X
    2<0.5, 0≦X1+X2<1, 0<X3≦1,
     −0.5<X4<0.5 )と、該超電導物質を構成
    する元素のうちの一種またはそれ以上の元素を別の元素
    で置換することによって得られる該超電導物質と類似結
    晶構造を持つ非超電導物質(Tl1−X1−X2PbX
    1BiX2)(Sr1−X3BaX3)2LnCu2O
    7+X5(ここでLnはイットリウムもしくは希土類元
    素の中から選ばれる一種以上の元素、−0.5<X5<
    0.5)または(Tl1−X1−X2PbX1BiX2
    )LnSrCaCu2O7+X5(ここでLnはイット
    リウムもしくは希土類元素の中から選ばれる一種以上の
    元素、−0.5<X4<0.5)のどちらか一方あるい
    は両方と、金属部分とを含み、かつ該酸化物超電導物質
    に対する該物質の体積比率が0.01 から10である
    ことを特徴とする超電導体。
  21. 【請求項21】酸化物超電導物質(Tl1−X1−X2
    PbX1BiX2)(Sr1−X3BaX3)2CaC
    u2O7+X4(ここで、0≦X1<0.8, 0≦X
    2<0.5, 0≦X1+X2<1, 0<X3≦1,
     −0.5<X4<0.5 )の結晶粒の内部に、該超
    電導物質を構成する元素のうちの一種またはそれ以上の
    元素を別の元素で置換することによって得られる該超電
    導物質と類似結晶構造を持つ非超電導物質(Tl1−X
    1−X2PbX1BiX2)(Sr1−X3BaX3)
    2LnCu2O7+X5(ここでLnはイットリウムも
    しくは希土類元素の中から選ばれる一種以上の元素、−
    0.5<X5<0.5)または(Tl1−X1−X2P
    bX1BiX2)LnSrCaCu2O7+X5(ここ
    でLnはイットリウムもしくは希土類元素の中から選ば
    れる一種以上の元素、−0.5<X4<0.5)のどち
    らか一方あるいは両方を析出させることによって磁場中
    においても高い超電導臨界電流密度が得られるようにし
    たことを特徴とする超電導体。
  22. 【請求項22】酸化物超電導物質(Tl1−X1−X2
    PbX1BiX2)(Sr1−X3BaX3)2CaC
    u2O7+X4(ここで、0≦X1<0.8, 0≦X
    2<0.5, 0≦X1+X2<1, 0<X3≦1,
     −0.5<X4<0.5 )の結晶粒の内部に、該超
    電導物質を構成する元素のうちの一種またはそれ以上の
    元素を別の元素で置換することによって得られる該超電
    導物質と類似結晶構造を持つ非超電導物質(Tl1−X
    1−X2PbX1BiX2)(Sr1−X3BaX3)
    2LnCu2O7+X5(ここでLnはイットリウムも
    しくは希土類元素の中から選ばれる一種以上の元素、−
    0.5<X5<0.5)または(Tl1−X1−X2P
    bX1BiX2)LnSrCaCu2O7+X5(ここ
    でLnはイットリウムもしくは希土類元素の中から選ば
    れる一種以上の元素、−0.5<X4<0.5)のどち
    らか一方あるいは両方を、該酸化物超電導物質に対する
    該物質の体積比率が0.01 から10であるように析
    出させることによって磁場中においても高い超電導臨界
    電流密度が得られるようにしたことを特徴とする超電導
    体。
  23. 【請求項23】酸化物超電導物質(Tl1−X1−X2
    PbX1BiX2)(Sr1−X3BaX3)2CaC
    u2O7+X4(ここで、0≦X1<0.8, 0≦X
    2<0.5, 0≦X1+X2<1, 0<X3≦1,
     −0.5<X4<0.5 )の結晶粒の内部に、該超
    電導物質を構成する元素のうちの一種またはそれ以上の
    元素を別の元素で置換することによって得られる該超電
    導物質と類似結晶構造を持つ非超電導物質(Tl1−X
    1−X2PbX1BiX2)(Sr1−X3BaX3)
    2LnCu2O7+X5(ここでLnはイットリウムも
    しくは希土類元素の中から選ばれる一種以上の元素、−
    0.5<X5<0.5)または(Tl1−X1−X2P
    bX1BiX2)LnSrCaCu2O7+X5(ここ
    でLnはイットリウムもしくは希土類元素の中から選ば
    れる一種以上の元素、−0.5<X4<0.5)のどち
    らか一方あるいは両方を、該物質の結晶粒子の平均粒子
    径が4オングストロームから1ミクロンであるように析
    出させることによって、磁場中においても高い超電導臨
    界電流密度が得られるようにしたことを特徴とする超電
    導体。
  24. 【請求項24】酸化物超電導物質(Tl1−X1−X2
    PbX1BiX2)(Sr1−X3BaX3)2CaC
    u2O7+X4(ここで、0≦X1<0.8, 0≦X
    2<0.5, 0≦X1+X2<1, 0<X3≦1,
     −0.5<X4<0.5 )の結晶粒の内部に、該超
    電導物質を構成する元素のうちの一種またはそれ以上の
    元素を別の元素で置換することによって得られる該超電
    導物質と類似結晶構造を持つ非超電導物質(Tl1−X
    1−X2PbX1BiX2)(Sr1−X3BaX3)
    2LnCu2O7+X5(ここでLnはイットリウムも
    しくは希土類元素の中から選ばれる一種以上の元素、−
    0.5<X5<0.5)または(Tl1−X1−X2P
    bX1BiX2)LnSrCaCu2O7+X5(ここ
    でLnはイットリウムもしくは希土類元素の中から選ば
    れる一種以上の元素、−0.5<X4<0.5)のどち
    らか一方あるいは両方を、該物質の結晶粒子間の平均距
    離が3オングストロームから3000オングストローム
    であるように析出させることによって、磁場中において
    も高い超電導臨界電流密度が得られるようにしたことを
    特徴とする超電導体。
  25. 【請求項25】酸化物超電導物質(Tl1−X1−X2
    PbX1BiX2)(Sr1−X3BaX3)2CaC
    u2O7+X4(ここで、0.3<X1<0.8, 0
    ≦X2<0.05,, 0<X3≦0.5, −0.5
    <X4<0.5 )と、該超電導物質を構成する元素の
    うちの一種またはそれ以上の元素を別の元素で置換する
    ことによって得られる該超電導物質と類似結晶構造を持
    つ非超電導物質(Tl1−X1−X2PbX1BiX2
    )(Sr1−X3BaX3)2LnCu2O7+X5(
    ここでLnはイットリウムもしくは希土類元素の中から
    選ばれる一種以上の元素、−0.5<X5<0.5)ま
    たは(Tl1−X1−X2PbX1BiX2)LnSr
    CaCu2O7+X5(ここでLnはイットリウムもし
    くは希土類元素の中から選ばれる一種以上の元素、−0
    .5<X5<0.5)のどちらか一方あるいは両方を、
    該酸化物超電導物質に対する該物質の体積比率が0.0
    1 から10であるように析出させることによって磁場
    中においても高い超電導臨界電流密度が得られるように
    したことを特徴とする超電導体。
  26. 【請求項26】少なくとも、酸化物超電導物質(Tl1
    −X1−X2PbX1BiX2)Sr2CaCu2O7
    +X3(ここで、0≦X1<0.8, 0≦X2<0.
    5, 0≦X1+X2<1, −0.5<X3<0.5
     )と、該超電導物質を構成する元素のうちの一種また
    はそれ以上の元素を別の元素で置換することによって得
    られる該超電導物質と類似結晶構造を持つ非超電導物質
    (Tl1−X1−X2PbX1BiX2)Sr2LnC
    u2O7+X4(ここでLnはイットリウムもしくは希
    土類元素の中から選ばれる一種以上の元素、−0.5<
    X4<0.5)または(Tl1−X1−X2PbX1B
    iX2)Ln2CaCu2O7+X4(ここでLnはイ
    ットリウムもしくは希土類元素の中から選ばれる一種以
    上の元素、−0.5<X4<0.5)のどちらか一方あ
    るいは両方を、同時に含む超電導体において、70K以
    上のある温度で超電導転移を示し、70K,1テスラー
    以上の磁場中において超電導臨界電流密度が5000A
    /cm2 以上であることを特徴とする超電導体。
  27. 【請求項27】酸化物超電導物質(Tl1−X1−X2
    PbX1BiX2)(Sr1−X3BaX3)2CaC
    u2O7+X4(ここで、0≦X1<0.8, 0≦X
    2<0.5, 0≦X1+X2<1, 0<X3≦1,
     −0.5<X4<0.5 )の結晶粒の内部に、該超
    電導物質を構成する元素のうちの一種またはそれ以上の
    元素を別の元素で置換することによって得られる該超電
    導物質と同じ結晶構造を持つ物質(Tl1−X1−X2
    PbX1BiX2)(Sr1−X3BaX3)2LnC
    u2O7+X5(ここでLnはイットリウムもしくは希
    土類元素の中から選ばれる一種以上の元素、−0.5<
    X5<0.5)または(Tl1−X1−X2PbX1B
    iX2)Ln2CaCu2O7+X5(ここでLnは組
    成式が(Tl1−X1−X2PbX1BiX2)Sr2
    CaCu2O7+X3(ここで、0≦X1<0.8, 
    0≦X2<0.5, 0≦X1+X2<1, −0.5
    <X3<0.5 )のどちらか一方あるいは両方を、同
    時に含む超電導体において、70K以上のある温度で超
    電導転移を示し、70K,1テスラー以上の磁場中にお
    いて超電導臨界電流密度が5000A/cm2 以上で
    あることを特徴とする超電導体。
  28. 【請求項28】請求項1ないし請求項25記載の該超電
    導物質及び物質が、とくにX2がゼロであることを特徴
    とする超電導体。
  29. 【請求項29】請求項1ないし請求項25記載の該超電
    導物質及び物質が、とくにX1が0.3から0.8であ
    りかつX2がゼロであることを特徴とする超電導体。
  30. 【請求項30】酸化物超電導物質(Tl1−X1−X2
    PbX1BiX2)Sr2CaCu2O7+X3(ここ
    で、0≦X1<0.8, 0≦X2<0.5, 0≦X
    1+X2<1, −0.5<X3<0.5 )で構成さ
    れる結晶粒子の内部に平均粒径が10マイクロメートル
    以下のCaO粒子,SrO粒子,Ca2CuO3粒子,
    Ca2PbO3粒子,BaPbO3粒子,BaBiO3
    粒子のうちの一種またはそれ以上の粒子を分散させるこ
    とによって、磁場中においてより高い超電導臨界電流密
    度が得られるようにしたことを特徴とする超電導体。
  31. 【請求項31】請求項1ないし請求項29において、該
    超電導体の内部に平均粒径が10マイクロメートル以下
    のCaO粒子,SrO粒子,Ca2CuO3粒子,Ca
    2PbO4粒子,BaPbO3粒子,BaBiO3粒子
    のうちの一種またはそれ以上の粒子を析出させることに
    よって、磁場中においてより高い超電導臨界電流密度が
    得られるようにしたことを特徴とする超電導体。
  32. 【請求項32】請求項1ないし請求項29において、該
    超電導体の内部に該超電導物質と実質的に反応しない物
    質の粒子を析出させることによって、磁場中においてよ
    り高い超電導臨界電流密度が得られるようにしたことを
    特徴とする超電導体。
  33. 【請求項33】請求項9ないし請求項16、及び請求項
    26ないし請求項29において、該酸化物超電導物質の
    組成が(Tl1−X1−X2PbX1BiX2)Sr2
    Ca2Cu3O9+X3(ここで、0≦X1<0.8,
     0≦X2<0.5, 0≦X1+X2<1, −0.
    5<X3<0.5 )であり、該非超電導物質の組成が
    (Tl1−X1−X2PbX1BiX2)Sr2LnC
    aCu3O9+X4(ここでLnはイットリウムもしく
    は希土類元素の中から選ばれる一種以上の元素、−0.
    5<X4<0.5)または(Tl1−X1−X2PbX
    1BiX2)LnSrCa2Cu3O9+X4(ここで
    Lnはイットリウムもしくは希土類元素の中から選ばれ
    る一種以上の元素、−0.5<X4<0.5)であるこ
    とを特徴とする超電導体。
  34. 【請求項34】請求項17ないし請求項25及び請求項
    29において、該酸化物超電導物質の組成が(Tl1−
    X1−X2PbX1BiX2)(Sr1−X3BaX3
    )2Ca2Cu3O9+X4(ここで、0≦X1<0.
    8, 0≦X2<0.5, 0≦X1+X2<1, 0
    <X3≦1, −0.5<X4<0.5 )であり、該
    非超電導物質の組成が(Tl1−X1−X2PbX1B
    iX2)(Sr1−X3BaX3)2LnCaCu3O
    9+X5(ここでLnはイットリウムもしくは希土類元
    素の中から選ばれる一種以上の元素、−0.5<X5<
    0.5)または(Tl1−X1−X2PbX1BiX2
    )LnSrCa2Cu3O9+X5(ここでLnはイッ
    トリウムもしくは希土類元素の中から選ばれる一種以上
    の元素、−0.5<X5<0.5)であることを特徴と
    する超電導体。
  35. 【請求項35】請求項9ないし請求項16において、該
    酸化物超電導物質の組成が(Tl1−X1−X2PbX
    1BiX2)Sr2Ca3Cu4O11+X3(ここで
    、0≦X1<0.8, 0≦X2<0.5, 0≦X1
    +X2<1, −0.5<X3<0.5 )であり、該
    非超電導物質の組成が(Tl1−X1−X2PbX1B
    iX2)Sr2LnCa2Cu4O11+X4(ここで
    Lnはイットリウムもしくは希土類元素の中から選ばれ
    る一種以上の元素、−0.5<X4<0.5)または(
    Tl1−X1−X2PbX1BiX2)LnSrCa3
    Cu4O11+X4(ここでLnはイットリウムもしく
    は希土類元素の中から選ばれる一種以上の元素、−0.
    5<X4<0.5)であることを特徴とする超電導体。
  36. 【請求項36】請求項17ないし請求項25において、
    該酸化物超電導物質の組成が(Tl1−X1−X2Pb
    X1BiX2)(Sr1−X3BaX3)2Ca3Cu
    4O11+X4(ここで、0≦X1<0.8, 0≦X
    2<0.5, 0≦X1+X2<1, 0<X3≦1,
     −0.5<X4<0.5 )であり、該非超電導物質
    の組成が(Tl1−X1−X2PbX1BiX2)(S
    r1−X3BaX3)2LnCa2Cu4O11+X5
    (ここでLnはイットリウムもしくは希土類元素の中か
    ら選ばれる一種以上の元素、−0.5<X5<0.5)
    または(Tl1−X1−X2PbX1BiX2)LnS
    rCa3Cu4O11+X5(ここでLnはイットリウ
    ムもしくは希土類元素の中から選ばれる一種以上の元素
    、−0.5<X5<0.5)であることを特徴とする超
    電導体。
  37. 【請求項37】酸化物超電導物質を用いた超電導体を作
    製する工程において、超電導物質を50%以上の体積率
    で含んだ粒子の外部に非超電導物質のみからなる結晶粒
    子を配置する第一の工程と、その後に該超電導物質を含
    んだ粒子を成長させることによって超電導物質を含んだ
    該粒子同士が接する粒界の数を減少せしめ結果的に超電
    導物質の結晶粒子の内部に非超電導物質が取り込まれた
    状態を実現する第二の工程を含むことを特徴とした超電
    導体の製造方法。
  38. 【請求項38】請求項35記載の超電導体の製造方法に
    おいて、第2の工程のなかに超電導体を構成する物質の
    一部分が液相に変化し始める温度以上の温度領域に少な
    くとも一度保持する熱処理操作を含んでいることを特徴
    とする超電導体の製造方法。
  39. 【請求項39】少なくとも、酸化物超電導物質(Tl1
    −X1−X2PbX1BiX2)Sr2CaCu2O7
    +X3(ここで、0≦X1<0.8, 0≦X2<0.
    5, 0≦X1+X2<1, −0.5<X3<0.5
     )と、該超電導物質を構成する元素のうちの一種また
    はそれ以上の元素を別の元素で置換することによって得
    られる該超電導物質と類似結晶構造を持つ非超電導物質
    (Tl1−X1−X2PbX1BiX2)Sr2LnC
    u2O7+X4(ここでLnはイットリウムもしくは希
    土類元素の中から選ばれる一種以上の元素、−0.5<
    X4<0.5)または(Tl1−X1−X2PbX1B
    iX2)Ln2CaCu2O7+X4(ここでLnはイ
    ットリウムもしくは希土類元素の中から選ばれる一種以
    上の元素、−0.5<X4<0.5)のどちらか一方あ
    るいは両方を同時に含み、70K以上のある温度領域で
    超電導状態になり、70Kにおける超電導臨界電流密度
    が1テスラー以上の磁場中において5000A/cm2
     以上であることを特徴とする超電導体を製造する工程
    において、該超電導物質及び該非超電導物質と反応を起
    こさない金属成分を液相成分として共存させることによ
    って、該超電導物質の結晶粒子同士の接合性を向上させ
    ることを特徴とする超電導物質及び超電導体の製造方法
  40. 【請求項40】請求項9ないし請求項36に記載の超電
    導物質或いは超電導体を作製する工程において、少なく
    とも1度は液相が生成する温度以上の温度に至らしめる
    工程を含むことを特徴とする超電導物質及び超電導体の
    製造方法。
  41. 【請求項41】請求項9ないし請求項36に記載の超電
    導物質或いは超電導体を作製する工程において、少なく
    とも1度は、液相が生成する温度以上の温度に至らしめ
    る工程を含むと、少なくとも1度は、液相が生成する温
    度より50度低い温度以上、液相が生成する温度以下の
    温度範囲で熱処理することを特徴とする超電導物質及び
    超電導体の製造方法。
  42. 【請求項42】請求項9ないし請求項36に記載の超電
    導物質或いは超電導体を作製する工程において、該超電
    導物質及び該非超電導物質を構成する元素がランダムに
    並んだ状態即ちアモルファス状態を一度作製し、その後
    超電導体を構成するべき物質を結晶化させる熱処理を実
    行する工程を含むことを特徴とする超電導体の製造方法
  43. 【請求項43】組成が(Tl1−X1−X2PbX1B
    iX2)Sr2Ca2Cu3O9+X3(ここで、0≦
    X1<0.8, 0≦X2<0.5, 0≦X1+X2
    <1, −0.5<X3<0.5 )である酸化物超電
    導物質を含んだ超電導体を、該超電導物質が(Tl1−
    X1−X2PbX1BiX2)Sr2CaCu2O7+
    X3と非超電導性の酸化物に分解する温度に保持するこ
    とによって、該超電導物質の結晶粒子内部に非超電導性
    の部分を分散させることによって、70Kの温度、1テ
    スラー以上の磁場中においても5000A/cm2 以
    上の超電導臨界電流密度を確保することを可能にした超
    電導体の製造方法。
  44. 【請求項44】組成が(Tl1−X1−X2PbX1B
    iX2)Sr2Ca3Cu4O11+X3(ここで、0
    ≦X1<0.8, 0≦X2<0.5, 0≦X1+X
    2<1, −0.5<X3<0.5 )である酸化物超
    電導物質を含んだ超電導体を、該超電導物質が別の酸化
    物超電導物質と非超電導性の酸化物に分解する温度に保
    持することによって、該超電導物質の結晶粒子内部に非
    超電導性の部分を分散させることによって、70Kの温
    度、1テスラー以上の磁場中においても5000A/c
    m2 以上の超電導臨界電流密度を確保することを可能
    にした超電導体の製造方法。
  45. 【請求項45】請求項1ないし請求項36に記載の該超
    電導体もしくは該超電導物質が、長尺の常電導性被膜内
    部に密に充填された構成であることを特徴とする超電導
    線材。
  46. 【請求項46】請求項1ないし請求項36に記載の該超
    電導体もしくは該超電導物質が、長尺の常電導性被膜内
    部に密に充填された構成であり、該超電導体もしくは該
    超電導物質を構成する物質の結晶粒子の結晶軸が、ある
    特定方向に50%以上の確率で向いていることを特徴と
    する超電導線材。
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JP (1) JPH04300202A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0597441A (ja) * 1991-10-09 1993-04-20 Agency Of Ind Science & Technol 高温酸化物超伝導体
JPH07122128A (ja) * 1993-10-21 1995-05-12 Chodendo Hatsuden Kanren Kiki Zairyo Gijutsu Kenkyu Kumiai Tl系酸化物超電導線材およびその製法
EP0612113A3 (en) * 1993-01-27 1996-03-06 Hitachi Ltd Composite superconductor.

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