JPH05816A - 酸化物超電導体、その製造方法及び超電導線 - Google Patents

酸化物超電導体、その製造方法及び超電導線

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JPH05816A
JPH05816A JP3151337A JP15133791A JPH05816A JP H05816 A JPH05816 A JP H05816A JP 3151337 A JP3151337 A JP 3151337A JP 15133791 A JP15133791 A JP 15133791A JP H05816 A JPH05816 A JP H05816A
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superconductor
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Toshiya Doi
俊哉 土井
Takeshi Ozawa
武 小沢
Kazuhide Tanaka
和英 田中
Toyotaka Yuasa
豊隆 湯浅
Yuichi Kamo
友一 加茂
Shinpei Matsuda
臣平 松田
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明の目的は、酸化物超電導物質を用いた超
電導体の臨界磁界を高め、磁場中においても高い臨界電
流密度を有する超電導体を提供することにある。 【構成】上記目的は、少なくともTl,Sr,Ca,C
u,Oをその構成元素として含む超電導物質を含んだ超
電導体を一度液相が生成するような温度領域に到らし
め、超電導物質からなっている結晶粒子同士の接合性を
高めると同時に、超電動物質からなっている結晶粒子の
内部或いは外部に非超電導物質もしくは超電導性の弱い
部分を分散させることによって達成される。 【効果】本発明によれば、液体ヘリウムによる冷却は勿
論、液体窒素による冷却によって運転される、高磁界中
においても高い超電導臨界電流密度をゆうする酸化物超
電導物質を用いた超電導体,超電導線材,超電導マグネ
ットが得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液体ヘリウムまた液体
窒素で冷却することによって超電導性を発現する酸化物
系超電導物質を用いることによって、液体ヘリウムまた
液体窒素で冷却することにより超電導電流を流すことを
可能にする超電導体の構成及びそれを用いた超電導線
材,超電導コイル,磁気シールド材、及びそれらの製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の酸化物系高温超電導物質は、第3
回国際超電導シンポジウム・プログラム & アブスト
ラクト 1990年11月6日−9日、第93頁に記載
されているように臨界磁界の値が非常に低く、超電導物
質に印加される磁場がない場合には確かに大きな超電導
電流密度を確保することができたが、少しでも磁場が超
電導物質の結晶のC軸に平行にかかった場合にはわずか
の超電導電流しか流れない。従って実際の超電導電流を
流す応用製品を作製していくうえでは適用が難かしかっ
た。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術は、磁場
中における超電導臨界電流密度を充分大きな値として確
保することについて配慮がなされておらず、僅かな磁場
が超電導物質に印加されただけで臨界電流密度が大きく
低下するという問題があった。
【0004】本発明の目的は、酸化物系高温超電導物質
を用いた超電導体の臨界磁界を高め、磁場中においても
高い臨界電流密度を有する超電導体を提供することを目
的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的は、少なくとも
Tl,Sr,Ca,Cu,Oをその構成元素として含む
超電導物質を含んだ超電導体を一度液相が生成するよう
な温度領域を到らしめ、超電導物質からなっている結晶
粒子同士の接合性を高めると同時に、超電導物質からな
っている結晶粒子の内部或いは外部に非超電導物質もし
くは超電導性の弱い部分を分散させることによって達成
される。
【0006】第二種超電導体である酸化物系高温超電導
物質を適当な温度に冷却し、超電導状態にしたものを磁
場中に保持すると、量子化された磁束線が超電導物質中
に侵入する。この状態で超電導物質に電流を流すと磁束
線にローレンツ力が働いて、磁束線が超電導物質の中を
動くことになる。磁束線が動くことによってエネルギー
が少しロスし、そのぶん超電導物質に電気抵抗が発生す
る。従って、磁場中においてより高い超電導臨界電流密
度を確保するためには、超電導部物質内部に侵入した磁
束線が、電流を流した状態においても動かないようにす
るなんらかの措置を講じれば良い。金属系及び金属間化
合物系の超電導物質を用いた従来の超電導線材において
は、超電導物質のマトリックスの内部に超電導性の弱い
結晶粒界あるいは超電導ではない析出物を導入し、この
部分(ピニングセンター)に量子化された磁束線をトラ
ップして侵入した磁束線を動かないようにして、磁場中
においても実質上抵抗の発生のない状態で電流を流せる
ようにした超電導体を作製している。我々は酸化物系高
温超電導物質を用いた磁場中においても多くの超電導電
流を流すことが可能である超電導体の研究開発を行って
きて、上記の組成をもつ超電導体を、上記のように少な
くとも1度は液層が生成するような温度領域で熱処理す
ることによって、磁場中においても多くの超電導電流を
流すことが可能であることを見い出し本発明に至った。
【0007】超電導物質中に侵入した量子化された磁束
線をトラップして、電流を流した場合でも、磁束線が動
いて電気抵抗が発生しないように磁束線を固定化する働
きのある部分をピンニングセンターと呼ぶ。超電導物質
で構成されたマトリックス中に非超電導部分を導入する
と、該超電導物質が超電導状態に相転移する温度(以下
Tcと略記する)以下の温度において、侵入した量子化
された磁束線にとっては非超電導部分はエネルギー的に
低い部分となり、磁束線はこの非超電導部分に優先的に
存在することになる。即ち超電導物質のマトリックス中
に非超電導部分を導入するとそれはすべてピニングセン
ターとなる可能性を持つている。しかしながら、ピンニ
ングセンターを形成している物質の種類,非超電導部分
の大きさ,形状,分布状態,非超電導部分同士の距離,
超電導物質と非超電導物質の界面の接合状態によって、
量子化された磁束線を固定する力(ピンニングホース)
は大きく違ってくる。
【0008】本発明においては、如何なる非超電導物質
がピンニングセンターとなっているかを明確に特定する
ことはできなかったが、Tl,Sr,Ca,Cu,Oか
らなる超電導体を一度液相が生成するような温度領域に
少なくとも一度、5分以上保持した後、800〜900
℃の温度で熱処理することによってピンニングホースの
かなり強い、即ち磁場中においても超電導臨界電流密度
(以下“磁場中Jc”と略記する)の高い超電導体を作
製することができることを発見するに至った。そして特
に超電導物質の他にCa,Cu,Oからなる非超電導物
質、Ca,Sr,Oからなる非超電導物質、CaO,C
uOなど超電導物質を構成する元素からなる非超電導物
の物質が体積率にして10〜60%程度含まれている範
囲で、磁場中Jcの値が1000A/cm2 (at77K,
1テスラー)を越えることが分かった。
【0009】我々は、出発の原料組成比を様々に検討し
たが、超電導体の中の超電導物質の組成はおおよそ以下
に示す3種類であることが分かった。
【0010】超電導体の組成は分析した各結晶によって
数十%程度のバラッキはあるが、 おおよそ Tl:Sr:Ca:Cu:O=1:2:1:
2 Tl:Sr:Ca:Cu:O=1:2:2:3 Tl:Sr:Ca:Cu:O=1:2:3:4 ところで、上記の超電導物質の合成を容易にする目的
で、我々は様々な元素の置換を試みた。Tlの一部をB
iやPbで置換し、同時にSrの一部をBaで置換する
ことによって、上記のような合成プロセスに適合した組
成に近づき、一度液相を生成させる工程を経て作成した
超電導体の磁場中のJcの値は更に向上した。従来よ
り、Tlの一部をBiやPbで置換した
【0011】
【数16】
【0012】が超電導物質であることは知られていた。
しかしながら、Srの一部をBaで置換しない場合、上
記のような一部液相を共存させる熱処理を行う際の液相
が生成する温度が950℃程度と高い為、その処理中に
Tlが大量に蒸発して超電導体の作製が非常に難しい。
Tlの一部をBiやPbで置換し、同時にSrの一部を
Baで置換することによって、液相成分が生成する温度
を下げ、Tlの蒸発を低く押えながら上記のプロセスで
超電導体を作製することによって、特に磁場中Jcの高
い超電導体を作製することができる。
【0013】また、Tlの一部をBiやPbで置換し、
同時にSrの一部をBaで置換することによって、結晶
粒界の接合性が少し改善される効果があることも分かっ
た。
【0014】
【数17】
【0015】が主である超電導体を、液相は特に生成さ
せない通常の熱処理方法で作製した場合、超電導体の結
晶粒子内部の超電導臨界電流密度は数千A/cm2 (印加
磁場1テスラー、測定温度77K)程度と満足できない
値であった。さらに従来のこの組成でかつ従来の熱処理
方法では超電導臨界電流密度が不十分であるだけではな
く、超電導物質の結晶粒子同士の界面の接合性が非常に
悪く、この結晶粒子の界面を流れうる超電導電流の値は
結晶粒子内部の超電導臨界電流密度の10分の1以下で
あり、即ち、輸送電流として流せる超電導電流は、例え
ば、温度77K、印加磁場1テスラーにおいて数百A/
cm2程度と非常に低い値となっていた。今回我々は、T
lの一部をBiやPbで置換し、同時にSrの一部をB
aで置換した組成の超電導物質を主な結晶相とした超電
導体を、液相成分が共存するような温度領域で少なくと
も一度は熱処理することによって作製することによっ
て、超電導体の結晶粒子内部の超電導臨界電流密度は数
万A/cm2 (印加磁場1テスラー、測定温度77K)と
十分に高く、超電導物質の結晶粒子同士の接合性は高
く、界面を流れうる超電導電流の値は結晶粒子内部の超
電導臨界電流導度の10分の1以上、即ち輸送電流とし
て流せる超電導電流の値が、温度77K、印加磁場1テ
スラーにおいても数千から数万A/cm2 程度と非常に高
い値である超電導体を発明するにいたった。
【0016】この時、超電導物質のほかにBaPb
3 ,BaBiO3 ,Ca2CuO3,Ca2PbO4など
の非超電導性の物質が存在していた場合の方が、それら
が存在していない超電導体よりも1〜2割程度超電導臨
界電流密度の値は高かった。これらの非超電導性の物質
がピンニングセンターとして働いている確証は得られな
いが、可能性は十分に考えられる。またこの時、超電導
物質の結晶粒径を調節して、粒界3重点の分布状態をコ
ントロールして、3重点を均一に分散させたところ(平
均の距離が10μm)、更に1割程度磁場中Jcが向上
した。この粒界3重点がピンニングセンターとして働い
ているとして計算機シュミレーションによってその分散
状況を調べたところ、平均距離が10nmから50000
nm程度であることが望ましいことがわかった。
【0017】該超電導物質と該非超電導物質の他に、こ
れらの物質と超電導体を作製する温度において実質的に
反応を起こさない金属を同時に含むような構成で超電導
体を作製すると、磁場中Jcの高い超電導体の作製が、
プロセス的に容易になる。金属部分は全体的に均一に分
散していることが望ましく、その体積分率は50%以
下、好ましくは20%以下が望ましい。
【0018】超電導体を構成する超電導物質と非超電導
物質の比率は、非超電導物質の割合が小さすぎるとトー
タルとしてのピンニングホースが小さくなりすぎて磁場
中のJcは高くならない。また非超電導物質の割合が多
くなりすぎると相対的に超電導部分の割合が少なくなり
すぎることになり、Jcは高くならない。従って非超電
導物質と超電導物質の構成比率には適正な範囲が存在
し、我々が検討した結果は、酸化物超電導物質に対する
非超電導物質の体積比率は0.01 以上10以下である
ことが望ましい。好ましくは0.01 以上1以下である
ことが望ましい。多結晶体から成る酸化物超電導物質を
用いた超電導体に超電導電流を流す場合、一般的には結
晶粒界での超電導接合部分が、結晶粒子内の超電導状態
よりも超電導臨界電流密度(Jc)が低いので、非超電
導物質は超電導物質の結晶粒界部分にあるよりも超電導
物質の結晶粒子の内部に存在している方が、超電導体の
Jcを高くするためには有利である。超電導物質の結晶
粒子の内部に析出させる非超電導物質と超電導物質の比
率は、非超電導物質の割合が小さすぎるとトータルとし
てのピンニングホースが小さくなりすぎて磁場中のJc
は高くならない。また非超電導物質の割合が多くなりす
ぎると相対的に超電導部分の割合が少なくなりすぎるこ
とになり、Jcは高くならない。従って非超電導物質と
超電導物質の構成比率には適正な範囲が存在し、我々が
検討した結果は、酸化物超電導物質に対する非超電導物
質の体積比率は0.01以上10以下であることが望ま
しく、好ましくは0.01 以上1以下であることが望ま
しい。超電導物質の結晶粒子の内部に析出させる非超電
導物質粒子の大きさは、小さすぎると量子化された磁束
線がエネルギーの谷間として感じることができず、ピン
ニングセンターとして働かない。また非超電導物質粒子
が大きくなりすぎるとエネルギーの谷間がなだらかにな
りすぎて、ピンニングセンターとして働きは悪くなりJ
cは高くならない。従って非超電導物質粒子の大きさに
は適正な範囲が存在し、我々が検討した結果は、非超電
導物質の平均の粒子径として10オングストローム以上
1マイクロメートル以下であることが望ましく、好まし
くは10オングストローム以上0.5 マイクロメートル
以下であることが望ましい。また、超電導体中に侵入し
た量子化された磁束線はお互いに相互作用を及ぼしあっ
ているので、超電導体の中に存在するピンニングセンタ
ーの分布密度も磁場中のJcの値に大きな影響を与え
る。我々が検討した結果は、非超電導物質の結晶粒子の
間の平均距離は10オングストローム以上1マイクロメ
ートル以下であることが望ましく、好ましくは10オン
グストローム以上3000オングストローム以下である
ことが望ましい。
【0019】これらのケースにおいて、TlとPbの含
有比率は、X1の値が0.3 以上0.6 以下である場合
が超電導物質と非超電導物質のマッチングが最もよいら
しく、Jc高い値が得られる。上記の6つのケースに置
いて作製した超電導体の超電導臨界電流密度を77Kの
温度、1テスラーの磁場をかけた状態で測定したとこ
ろ、いずれのケースにおいても5000A/cm2 以上の
値が得られた。
【0020】以上のべてきた超電導体を作製する工程に
おいては、ピンニングセンターを均一に分散させるため
にも少なくとも一度は液相成分が生成するような温度領
域に超電導体を至らしめる工程を含めることが望まし
い。また超電導物質及び非超電導物質の結晶粒子の界面
から有害な物質が取り除く為にも、少なくとも一度は液
相が生成し始める温度よりも50度低い温度以上でかつ
成分がすべて液相になる温度以下の温度範囲で熱処理す
る工程を含むことが望ましい。
【0021】以上述べてきた超電導体の内部にさらに別
の非超電導物質をピンニングセンターとして析出させる
ことによって更に磁場中におけるJcの値を向上させる
ことができる。
【0022】我々は多くの非超電導物質(非超電導物質
(G))を、酸化物超電導物質のマトリックスの中にそ
の超電導物質を構成する元素のうちの一種またはそれ以
上の元素を別の元素で置換することによって得られるそ
の超電導物質と同じ結晶構造を持つ非超電導物質(非超
電導物質(A))を導入した様な構成である超電導体の
内部に導入して、どのような非超電導物質が更なるピン
ニングセンターの形成用物質として適しているかを検討
した。その結果、非超電導物質(G)としては、該酸化
物超電導物質或いは該非超電導物質(A)を構成してい
る元素のみからなる物質がよいことがわかった。特に、
CaO,SrO,Ca2CuO3,Ca2PbO4,BaP
bO3 ,BiBaO3 が好ましかった。また本発明に記
載の超電導体を作製する工程において、前記の酸化物超
電導物質や非超電導物質(A)を一度アモルファス状態
にした後、熱処理してそれらの物質を結晶化させて超電
導体を作製するような方法をとると、超電導物質からな
る結晶粒子同士の接合状態がよくなり、特性のよい超電
導体を得ることができる。アモルファス状態を実現する
方法としては、液相状態から急激に冷却する方法(急冷
法),スパッタリング法,レーザ蒸着法,電子ビーム蒸
着法,蒸着法,溶射法,化学気相蒸着法などの方法によ
って検討を行ったが、いずれの方法においても充分な結
果が得られた。
【0023】本発明の超電導体は、現状で超電導体を利
用している或いは利用できると考えられているすべての
超電導利用機器に適用が可能である。また、本発明の超
電導体の作製方法は、酸化物超電導体を利用した超電導
線材の作製にもそのまま適用が可能である。
【0024】
【作用】酸化物超電導物質を用いた超電導体の磁場中に
おける超電導臨界電流密度Jcの値を向上させる為に
は、超電導体に侵入する量子化された磁束線が動ないよ
うに固定する働きに優れたピンニングセンターを導入す
ることが必要であることは既に述べた。
【0025】ピンニングセンターの部分は超電導性を有
さないので、ピンニングセンターとして超電導体に含ま
れる非超電導物質の割合が多すぎては実質的な超電導電
流パスが減少し、ピン止め力は強いがトータルとしては
Jcの低い超電導体となってしまう。従って超電導体に
導入するピンニングセンターの量には適当な範囲があ
り、酸化物超電導に対するピンニングセンターの割合
は、体積比率で0.01 以上10以下でなければならな
い。
【0026】超電導体の内部に侵入した磁束線は量子化
され非常に細いものになっている。その径は超電導体の
コヒーレンス長さと同じオーダーである。従ってピンニ
ングセンターの大きさは超電導体のコヒーレンス長さ程
度の大きさが最も効果的である。一般に、酸化物超電導
物質のコヒーレンス長さは数オングストロームから数十
オングストロームである。従ってピンニングセンターと
して超電導体の内部に存在させる非超電導物質粒子の大
きさはこの程度である時、ピンニングセンターとしては
最もむだがなく効果的に働く。粒界3重点はピンニング
センターとして大きさは非常につごうのよい程度となっ
ている。実際的には量子化された磁束線は何本か纏まっ
てピンニングセンターに入ることもできるので、ピンニ
ングセンターとして超電導体の内部に存在させる非超電
導物質粒子の大きさは数オングストロームから数千オン
グストロームの範囲にあることが実用的に有効であると
考えられる。実験をして検討したところ3オングストロ
ームから1マイクロメートルの範囲にあることが望まし
いことがわかった。また超電導体の内部に侵入した量子
化された磁束線はお互いに反発しあうように相互作用を
およぼしあっているので、超電導体の中に存在するピン
ニングセンターの分布密度も磁場中のJcの値に大きな
影響を与える。我々が検討した結果は、非酸化物超電導
物質の結晶粒子の間の平均距離は10オングストローム
以上1マイクロメートル以下であることが望ましく、好
ましくは10オングストローム以上3000オングスト
ローム以下であることが望ましい。
【0027】本発明に記載の超電導体を作成する際に、
液相成分が共存するような状態で熱処理を行っている
が、液相が共存する状態であると原子の拡散が速くなる
ので、超電導体を構成する各物質の結晶性、結晶粒界の
接合性が良くなる。それと同時に本発明で使用している
超電導物質を液相が生成するような温度領域に保持する
と、超電導物質は分解しはじめ、この分解して生成する
非超電導性の物質がピンニングセンターとして非常に有
効に働いているのではないかと考えている。また本発明
による超電導体が磁場中においても非常に高い超電導臨
界電流密度を有している理由の別の可能性として、液相
を共存させる状態からの冷却過程によって、超電導物質
から成る結晶粒子内部に転位や積層欠陥などの欠陥が導
入されて、これらがピンニングセンターとして働くこと
によって、磁場中においても非常に高い超電導臨界電流
密度を有しているのかもしれない。現在の段階では、一
体何が最も有効なピンニングセンターであるかを決定す
るのには至っていないが、とにかくTl,Pb,Biか
ら選ばれた少なくとも1種以上と、Ba,Srから選ば
れた少なくとも1種以上と、CaとCuとOを含む超電
導体を少なくとも一度は液相が生成する温度領域に加熱
して作成することによって、磁場中においても非常に高
い超電導臨界電流密度を有している超電導体を作成する
ことができる。図4に本発明で作成した超電導体、組成
【0028】
【数18】
【0029】で、一度880℃で5時間焼成し、980
℃で30分間液相を生成させた状態で保持した後、30
℃/分の冷却速度で880℃まで冷却し、その後880
℃で10時間焼成して作成した超電導体の磁化−ヒステ
リシス曲線を示す。比較のために、図5に本発明に使用
している超電導物質と同じ組成で、一度も液相を共存さ
せない方法で合成した超電導体の焼結体の磁化−ヒステ
リシス曲線を示す。これらの測定は、英国オックスフォ
ード社製のVSM装置を用いた。図5において、曲線の
ヒステリシスΔMの大きさは、その磁場の値における超
電導臨界電流密度に比例する。これらの結果より、本発
明で選択した超電導体の組成で、少なくとも1度は液相
を共存させた状態で熱処理することが、磁場中において
高い超電導臨界電流密度を有する超電導体を作成するの
に必要であることがわかる。この試料の組織を走査型電
子顕微鏡で観察したところ、体積率にして約30%のTl
0.5Pb0.5Sr1.6Ba0.4CaCu2O7,約40%のTl0.5Pb0.5Sr1.
6Ba0.4Ca2Cu3O9,約10%のBaPbO3 ,約10%の
Ca,Sr,Cu,Oから成る酸化物,約10%のCaと
CuとOから成る酸化物の結晶から構成されていた。超
電導結晶相の結晶粒子の大きさはおおよそ30μmであ
り、粒界3重点の平均距離は30μm程度である。この
ことより、超電導体を構成する元素よりなる非超電導性
の物質、粒界3重点がピンニングセンターとして働いて
いる可能性が強く考えられる。しかしながらこれらにつ
いてはあくまでも現段階では推測にすぎず、本発明で用
いた組成のものを、本発明によるような少なくとも1度
は液相が共存するような温度範囲で熱処理することによ
って、もっと別の形でピンニングセンターが導入され
(例えば、ベーカンシー,転位,積層欠陥など)、それ
らの働きによって磁場中の超電導臨界電流密度が大幅に
向上した可能性も充分に残されている。しかしながら、
現在のところはどのようなものがピンニングセンターと
して働いているかは明らかではないが、とにかくTl,
Pb,Biから選ばれた少なくとも1種以上と、Ba,
Srから選ばれた少なくとも1種以上と、CaとCuと
Oを含む超電導体を、少なくとも一度は液相が生成する
温度領域に加熱して作成することによって、磁場中にお
いても非常に高い超電導臨界電流密度を有する超電導体
を作製することができる。
【0030】本発明に記載の超電導物質,非超電導物質
及びその他の物質の組成は、厳密にこの値だけに限られ
るものではない。実際には、これらの酸化物には若干の
組成不定性があり各構成元素の含有比率が、十数パーセ
ンサから50パーセンサ程度までずれることもある。従
って、本発明において記載している物質の組成が若干異
なっていても、その結晶構造が基本的に同じであれば、
本発明に記載の物質と同じものであると考えられる。図
1,図2,図3に本発明の超電導物質(Tl,Pb,Bi)(Sr,Ba)2
CaCu2O7,(Tl,Pb,Bi)(Ba,Sr)2CaCu2O9,(Tl,Pb,Bi)(Ba,S
r)2Ca3Cu4O11)の結晶構造の模式図を示しておく。
【0031】以上具体的な例を上げて、本発明の説明を
行ってきたが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。Tl,Pb,Biから選ばれた少なくとも1種以上
と、Ba,Srから選ばれた少なくとも1種以上と、C
aとCuとOを含む超電導体を、少なくとも一度は液相
が生成する温度領域に加熱して作成した、磁場中におい
ても非常に高い超電導臨界電流密度を有する超電導体は
いずれも本発明の範疇に入る。
【0032】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。
【0033】(実施例1)出発原料としては、純度99
%以上のTl23,PbO,BaO,SrO,CaO,
CuOを用いた。まず最初にBaO,SrO,CaO,
CuOをそれぞれBa,Sr,Ca,Cuの原子比率が
1.6:0.4:1:2になるように混合し、870℃で
20時間大気中で焼成する。この粉末をめのう乳鉢で粉
砕し、得られた粉末にTl:Pb:Ba:Sr:Ca:
Cuの原子比率が0.5:0.5:1.6:0.4:1:2
となるようにTl23とPbOを混合する。乳鉢でよく
混合した後の粉末を直径20mm,厚さ2mmのディスク状
に圧粉成型し、蓋の付いたアルミナるつぼにいれて88
0℃の温度で大気中5時間の焼成を行った。出来上がっ
た焼結体の粉末X線回折測定を実行し、結果をリートベ
ルト法で解析したところ、図1に示すような結晶構造を
有する超電導物質が90%以上含まれていることが確認
された。この焼結体を大気中で昇温速度30℃/分で9
70℃に加熱し、1時間保持した後、冷却速度30℃/
分で880℃まで冷却し、その温度で50時間保持し
た。超電導臨界温度を直流4端子法で測定したところ9
2Kで電気抵抗がゼロになることが確認できた。またV
SM装置でこの試料の77KにおけるB−Hカーブの測
定をおこない、そのヒステリシスの大きさから結晶粒子
内部を流れる超電導臨界電流密度Jcを求めたところ、
印加磁場が1テスラーのときJc=25000A/cm2
であった。
【0034】次にこの試料を粉砕して、この粉末を外径
6mm、内径4mmの金パイプに充填し、外径0.5mm まで
線引きした後、厚さ0.1mm まで圧延した。これを30
mmの試験片として切り出し、酸素気流中で昇温速度30
℃/分で970℃で加熱し、1時間保持した後、冷却速
度30℃/分で880℃まで冷却し、その温度で10時
間保持した。77Kの温度で1テスラーの磁場中でのこ
の試料の臨界電流密度を直流4端子法で測定したとこ
ろ、Jc=19000A/cm2 であった。
【0035】(実施例2)出発原料としては、純度99
%以上のTl23,PbO,BaO,SrO,CaO,
CuOを用いた。まず最初にBaO,SrO,CaO,
CuOをそれぞれBa:Sr:Ca:Cuの原子比率が
1.6:0.4:2:3になるように混合し、870℃で
20時間大気中で焼成する。この粉末をめのう乳鉢で粉
砕し、得られた粉末にTl:Pb:Ba:Sr:Ca:
Cuの原子比率が0.5:0.5:1.6:0.4:2:3
となるようにTl23とPbOを混合する。乳鉢でよく
混合した後の粉末を直径20mm,厚さ2mmのディスク状
に圧粉成型し、蓋の付いたアルミナるつぼにいれて88
0℃の温度で大気中5時間の焼成を行った。出来上がっ
た焼結体の粉末X線回折測定を実行し、結果をリートベ
ルト法で解析したところ、図2に示すような結晶構造を
有する超電導物質が90%以上含まれていることが確認
された。この焼結体を大気中で昇温速度30℃/分で9
70℃に加熱し、1時間保持した後、冷却速度30℃/
分で880℃まで冷却し、その温度で50時間保持し
た。超電導臨界温度を直流4端子法で測定したところ1
15Kで電気抵抗がゼロになることが確認できた。また
VS装置でこの試料の77KにおけるB−Hカーブの測
定をおこない、そのヒステリシスの大きさから結晶粒子
内部を流れる超電導臨界電流密度Jcを求めたところ、
印加磁場が1テスラーのときJc=55000A/cm2
であった。
【0036】次にこの試料を粉砕して、この粉末を外径
6mm,内径4mmの金パイプに充填し、外径0.5mmまで
線引きした後、厚さ0.1mmまで圧延した。これを30m
mの試験片として切り出し、酸素気流中で昇温速度30
℃/分で970℃に加熱し、1時間保持した後、冷却速
度30℃/分で880℃まで冷却し、その温度で10時
間保持した。77Kの温度で1テスラーの磁場中でのこ
の試料の臨界電流密度を直流4端子法で測定したとこ
ろ、Jc=28000A/cm2 であった。この超電導線
材の試料片の断面を研磨し、走査型電子顕微鏡によって
試料内部の組織を観察した。該組織の灰色の部分をED
Xで分析したところ、この部分の組成はTl:Pb:B
a:Sr:Ca:Cu=0.46:0.53:1.6:0.
4:1.5:2.6 であった。この部分はTl0.5Pb0.
5Ba1.6Sr0.4CaCu27とTl0.5Pb0.5Ba1.6
Sr0.4Ca2Cu39 が混合して存在した部分である
ことがわかる。また白い部分はBaとPbしか含んでい
ない部分であり、BaPbO3であると考えられる。色の一番
黒い部分をEDXで分析したところ、この部分の組成は
Tl:Pb:Ba:Sr:Ca:Cu=0.04:0.0
3:0.1:0.6:1.8:1.0であった。このように
本実施例による超電導体の内部には、図1及び図2に示
す結晶構造を有する超電導物質とそれらの超電導体を構
成する元素から成る別の非超電導物質の結晶粒子が析出
していることがわかる。
【0037】次にこの試料をプレスして厚さが0.06m
m になるまで加工した。これをさらに酸素気流中で昇温
速度30℃/分で970℃に加熱し、1時間保持した
後、冷却速度30℃/分で880℃まで冷却し、その温
度で10時間保持した。得られた試料の超電導体部分を
微小X線回折装置で結晶粒子の向きを調べたところ、全
体の50%以上の結晶粒子はその結晶のa−b面がテー
プ状の線材のテープ面に平行になるように並んでいた。
また走査型電子顕微鏡によって、テープの断面を観察し
たところ、厚さ方向には結晶粒子は5個未満しか並んで
いなかった。
【0038】(実施例3)出発原料としては、純度99
%以上のTl23,PbO,BaO,SrO,CaO,
CuOを用いた。まず最初にBaO,SrO,CaO,
CuOをそれぞれBa:Sr:Ca:Cuの原子比率が
1.6:0.4:3:4になるように混合し、870℃で
20時間大気中で焼成する。この粉末をめのう乳鉢で粉
砕し、得られた粉末にTl:Pb:Ba:Sr:Ca:
Cuの原子比率が0.5:0.5:1.6:0.4:3:4
となるようにTl23とPbOを混合する。乳鉢でよく
混合した後の粉末を直径20mm,厚さ2mmのディスク状
に圧粉成型し、蓋の付いたアルミるつぼにいれて880
℃の温度で大気中5時間の焼成を行った。出来上がった
焼結体の粉末X線回折測定を実行し、結果をリートベル
ト法で解析したところ、図3に示すような結晶構造を有
する超電導物質が90%以上含まれていることが確認さ
れた。この焼結体を大気圧で昇温速度30℃/分で97
0℃に加熱し、1時間保持した後、冷却速度30℃/分
で880℃まで冷却し、その温度で50時間保持した。
超電導臨界温度を直流4端子法で測定したところ110
Kで電気抵抗がゼロになることが確認できた。またVS
M装置でこの試料の77KにおけるB−Hカーブの測定
をおこない、そのヒステリシスの大きさから結晶粒子内
部を流れる超電導臨界電流密度Jcを求めたところ、印
加磁場が1テスラーのときJc=45000A/cm2
あった。
【0039】次にこの試料を粉砕して、この粉末を外径
6mm,内径4mmの金パイプに充填し、外径0.5mmまで
線引きした後、厚さ0.1mmまで圧延した。これを30m
mの試験片として切り出し、酸素気流中で昇温速度30
℃/分で970℃に加熱し、1時間保持した後、冷却速
度30℃/分で880℃まで冷却し、その温度で10時
間保持した。77Kの温度で1テスラーの磁場中でのこ
の試料の臨界電流密度を直流4端子法で測定したとこ
ろ、Jc=21000A/cm2 であった。この超電導線
材の試料片の断面を研磨し、走査型電子顕微鏡によって
試料内部の組織を観察したところ、全体の約80%はT
0.5Pb0.5Ba1.6Sr0.4CaCu27とTl0.5
0.5Ba1.6Sr0.4Ca2Cu39とTl0.5Pb0.5Ba1.6S
r0.4Ca3Cu4O11が混合して存在した部分であり、BaP
bO3 とSr−Ca−Cu−Oからなる部分がそれぞれ
10%程度存在していた。
【0040】(実施例4)出発原料としては、純度99
%以上のTl23,PbO,BaO,SrO,CaO,
CuOを用いた。まず最初にBaO,SrO,CaO,
CuOをそれぞれBa:Sr:Ca:Cuの原子比率が
1.6:0.4:2:3になるように混合し、870℃で
20時間大気中で焼成する。この粉末をめのう乳鉢で粉
砕し、得られた粉末にTl:Pb:Ba:Sr:Ca:
Cuの原子比率が0.5:0.5:1.6:0.4:2:3
となるようにTl23とPbOを混合する。乳鉢でよく
混合した後の粉末を直径20mm,厚さ2mmのディスク状
に圧粉成型し、蓋の付いたアルミるつぼにいれて880
℃の温度で大気中5時間の焼成を行った。出来上がった
焼結体の粉末X線回折測定を実行し、図2に示すような
結晶構造を有する超電導物質が90%以上含まれている
ことが確認された。この焼結体を大気中で昇温速度30
℃/分で980℃に加熱し、1時間保持した後、冷却速
度10℃/分で880℃まで冷却し、その温度で50時
間保持した。超電導臨界温度を直流4端子法で測定した
ところ115Kで電気抵抗がゼロになることが確認でき
た。またVSM装置でこの試料の77KにおけるB−H
カーブの測定をおこない、そのヒステリシスの大きさか
ら結晶粒子内部を流れる超電導臨界電流密度Jcを求め
たところ、印加磁場が1テスラーのときJc=5200
0A/cm2 であった。
【0041】次にこの試料を粉砕して、それに平均粒径
が2マイクロメートル程度であるCaOの粉末を、体積
比にして10分の1にあたる分量を混合し、直径20m
m,厚さ2mmのディスク状に圧粉成型し、蓋の付いたア
ルミナるつぼにいれて大気中で昇温速度30℃/分で9
80℃に加熱し、1時間保持した後、冷却速度10℃/
分で880℃まで冷却し、その温度で50時間保持し
た。この試料の超電導臨界温度を直流4端子法で測定し
たところ115Kで電気抵抗がゼロになるところが確認
できた。またVSM装置でこの焼結体試料の77Kにお
けるB−Hカーブの測定をおこない、そのヒステリシス
の大きさから焼結体を構成している結晶粒子内部を流れ
る超電導臨界電流密度Jcを求めたところ、印加磁場が
1テスラーのときJc=67000A/cm2 であった。
このことより、CaO粒子は更なるピンニングセンター
として有効に働いていることがわかる。
【0042】次にこの焼結体を再び粉砕して、この粉末
を外径6mm,内径4mmの金パイプに充填し、外径0.5m
m まで線引きした後、厚さ0.1mm まで圧延した。これ
を30mmの試験片として切り出し、1050℃の温度で
大気中10分間の焼成を行ない、引き続いて温度を88
0℃に下げてその温度で5時間焼成した。77Kの温度
で1テスラーの磁場中でのこの試料の臨界電流密度を直
流4端子法で測定したところ、Jc=45000A/cm
2 であった。
【0043】(実施例5)実施例4におけるCaOの変
わりにSrOを用いて、それ以外は実施例4と同じ手続
きで線材試料作成した。77Kの温度で1テスラーの磁
場中でのこの試料の臨界電流密度を直流4端子法で測定
したところ、Jc=35000A/cm2 であった。
【0044】(実施例6)実施例4におけるCaOの変
わりにCa2CuO3を用いて、それ以外は実施例4と同
じ手続きで線材試料作成した。77Kの温度で1テスラ
ーの磁場中でのこの試料の臨界電流密度を直流4端子法
で測定したところ、Jc=46000A/cm2 であっ
た。
【0045】(実施例7)実施例4におけるCaOの変
わりにCa2PbO4を用いて、それ以外は実施例4と同
じ手続きで線材試料作成した。77Kの温度で1テスラ
ーの磁場中でのこの試料の臨界電流密度を直流4端子法
で測定したところ、Jc=39000A/cm2 であっ
た。
【0046】(実施例8)実施例4におけるCaOの変
わりにBaPbO3を用いて、それ以外は実施例4と同
じ手続きで線材試料作成した。77Kの温度で1テスラ
ーの磁場中でのこの試料の臨界電流密度を直流4端子法
で測定したところ、Jc=49000A/cm2 であっ
た。
【0047】(実施例9)実施例4におけるCaOの変
わりにBaBiO3を用いて、それ以外は実施例4と同
じ手続きで線材試料作成した。77Kの温度で1テスラ
ーの磁場中でのこの試料の臨界電流密度を直流4端子法
で測定したところ、Jc=31000A/cm2 であっ
た。
【0048】(実施例10)実施例4におけるCaOの
変わりにZrO2 を用いて、それ以外は実施例4と同じ
手続きで線材試料作成した。77Kの温度で1テスラー
の磁場中でのこの試料の臨界電流密度を直流4端子法で
測定したところ、Jc=35000A/cm2 であった。
【0049】(実施例11)実施例4におけるCaOの
変わりにY23を用いて、それ以外は実施例4と同じ手
続きで線材試料作成した。77Kの温度で1テスラーの
磁場中でのこの試料の臨界電流密度を直流4端子法で測
定したところ、Jc=35000A/cm2 であった。
【0050】(実施例12)実施例4におけるCaOの
変わりにTl0.5Pb0.5Sr2SmCu27 を用いて、
それ以外は実施例4と同じ手続きで線材試料作成した。
77Kの温度で1テスラーの磁場中でのこの試料の臨界
電流密度を直流4端子法で測定したところ、Jc=55
000A/cm2 であった。
【0051】(実施例13)出発原料としては、純度9
9%以上のTl23,PbO,BaO,CaO,CuO
を用いた。さまざまなTlとPbの含有比率の酸化物超
電導物質を作製した。BaO,SrO,CaO,CuO
をそれぞれBa:Sr:Ca:Cuの原子比率が1.
7:0.3:2:3になるように混合し、880℃で2
0時間大気中で焼成する。この粉末をめのう乳鉢で粉砕
し、得られた粉末にTl:Pb:Ba:Sr:Ca:C
uの原子比率が(1−X):X:1.6:0.4:2:3
となるようにTl23とPbOを混合する(ここでXの
値をさまざまに変えることによって、TlとPbの含有
比率の異なった超電導物質を作製する)。乳鉢でよく混
合した後の粉末を直径20mm,厚さ2mmのディスク状に
圧粉成型し、蓋の付いたアルミナるつぼにいれて880
℃の温度で大気中5時間の焼成を行った。この焼結体を
大気中で昇温速度30℃/分で970℃に加熱し、1時
間保持した後、冷却速度30℃/分で880℃まで冷却
し、その温度で50時間保持した。
【0052】出来上がった焼結体の超電導臨界温度を直
流4端子法で測定して電気抵抗がゼロになった温度をT
cとして、またVSM装置でこれらの焼結体試料の77
KにおけるB−Hカーブの測定をおこない、そのヒステ
リシスの大きさから焼結体を構成している結晶粒子内部
を流れる超電導臨界電流密度の値を求めた。印加磁場が
1テスラーのとき超電導臨界電流密度の値を求めJcと
して、表1にまとめた。この表1より、TlとPbの含
有比率によって超電導体としての性能に違いが生じ、X
の値には適正な範囲があることがわかる。
【0053】
【表1】
【0054】(実施例14)出発原料としては、純度9
9%以上のTl23,PbO,Bi23,BaO,Ca
O,CuOを用いた。さまざまなTlとPbとBiの含
有比率の酸化物超電導物質を作製した。BaO,Sr
O,CaO,CuOをそれぞれBa:Sr:Ca:Cu
の原子比率が1.5:0.5:2:3になるように混合
し、880℃で20時間大気中で焼成する。この粉末を
めのう乳鉢で粉砕し、得られた粉末にTl:Pb:B
i:Ba:Sr:Ca:Cuの原子比率が(0.6−
X):0.4:X:1.6:0.4:2:3となるように
Tl23とPbOとBi23を混合する(ここでXの値
をさまざまに変えることによって、TlとBiの含有比
率の異なった超電導物質を作製する)。乳鉢でよく混合
した後の粉末を直径20mm,厚さ2mmのディスク状に圧
粉成型し、蓋の付いたアルミナるつぼにいれて880℃
の温度で大気中5時間の焼成を行った。この焼結体を大
気中で昇温速度30℃/分で960℃に加熱し、1時間
保持した後、冷却速度5℃/分で880℃まで冷却し、
その温度で20時間保持した。
【0055】出来上がった焼結体の超電導臨界温度を直
流4端子法で測定して電気抵抗がゼロになった温度をT
cとして、またVSM装置でこれらの焼結体試料の77
KにおけるB−Hカーブの測定をおこない、そのヒステ
リシスの大きさから焼結体を構成している結晶粒子内部
を流れる超電導臨界電流密度の値を求めた。印加磁場が
1テスラーのとき超電導臨界電流密度の値を求めJcと
して、表2にまとめた。この表2より、TlとBiの含
有比率によって超電導体としての性能の違いが生じ、X
の値には適正な範囲があることがわかる。
【0056】
【表2】
【0057】(実施例15)出発原料としては、純度9
9%以上のTl23,PbO,BaO,CaO,CuO
を用いた。さまざまなTlとPbの含有比率の酸化物超
電導物質を作製した。BaO,SrO,CaO,CuO
をそれぞれBa:Sr:Ca:Cuの原子比率がX:
(2−X):2:3になるように混合し、890℃で2
0時間大気中で焼成する。この粉末をめのう乳鉢で粉砕
し、得られた粉末にTl:Pb:Ba:Sr:Ca:C
uの原子比率が0.4:0.6:X:(2−X):2:3
となるようにTl23とPbOを混合する(ここでXの
値をさまざまに変えることによって、BaとSrの含有
比率の異なった超電導物質を作製する)。乳鉢でよく混
合した後の粉末を直径20mm,厚さ2mmのディスク状に
圧粉成型し、蓋の付いたアルミナるつぼにいれて890
℃の温度で大気中5時間の焼成を行った。この焼結体を
大気中で昇温速度30℃/分で975℃に加熱し、1時
間保持した後、冷却速度30℃/分で890℃まで冷却
し、その温度で50時間保持した。
【0058】次にこの試料を粉砕して、この粉末を外径
6mm,内径4mmの金パイプに充填し、外径0.5mm まで
線引きした後、厚さ0.1mm まで圧延した。これを30
mmの試験片として切り出し、酸素気流中で昇温速度30
℃/分で975℃に加熱し、1時間保持した後、冷却速
度30℃/分で890℃まで冷却し、その温度で10時
間保持した。出来上がった焼結体の超電導臨界温度を直
流4端子法で測定して電気抵抗がゼロになった温度をT
cとして、77Kの温度で1テスラーの磁場中でのこの
試料の臨界電流密度Jcを直流4端子法で測定した。結
果を表3にまとめた。この表3より、BaとSrの含有
比率の広い範囲で比較的よい特性が保たれることがわか
る。しかしXの値によって超電導体としての性能の違い
が生じ、Xの値には好ましい範囲があることがわかる。
【0059】
【表3】
【0060】(実施例16)本発明による超電導線材の
構成を図6に示す。本発明は超電導体18に金−5重量
%パラジウム合金被覆材17を施した扁平形状を有す
る。該被覆材17は、実質的に超電導体と反応しない金
属であれば、いずれの物質でもよく、金,銀,パラジウ
ム,銅−アルミニウム合金,ニッケルなどが好ましい。
【0061】実施例15で作製した超電導体の焼結体試
料を粉砕し、外径6mm,内径5mm,長さ100mmの金−
5重量%パラジウム合金パイプに充填封入後、ドローベ
ンチで外径1mmまで線引き加工した。この線材を更に冷
間圧延機によって圧延加圧を施し、幅3mm,厚さ0.2m
m の扁平断面構造の線材を得た。この線材を長さ250mm
で切りだし、空気中950℃の温度で30分保持し、一
部分融解させた後、液体窒素中にクエンチ急冷した後、
880℃で20時間空気中で熱処理した。この試料1テ
スラー中、77Kでの臨界電流密度を直流4端子法で測
定したところ、11000A/cm2 であった。電子顕微
鏡観察により超電導体部分の結晶の向きを調べたとこ
ろ、約50%程度の結晶のC軸が、厚さ方向を向いてい
た。
【0062】
【発明の効果】本発明によれば、液体ヘリウムによる冷
却は勿論、液体窒素による冷却によって運転される、高
磁界中においても高い超電導臨界電流密度を有する酸化
物超電導物質を用いた超電導体,超電導線材,超電導マ
グネットが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施例による超電導物質の結晶構造を表
す模式図。
【図2】第2の実施例による超電導物質の結晶構造を表
す模式図。
【図3】第3の実施例による超電導物質の結晶構造を表
す模式図。
【図4】第2の実施例による磁化ヒステリシス曲線。
【図5】従来法によって製造した超電導体の磁化ヒステ
リシス曲線。
【図6】本発明による超電導線材の模式図。
【符号の説明】
1…Tl原子もしくはPb原子もしくはBi原子、2…
Sr原子もしくはBa原子、3…Ca原子、4…Cu原
子、5…酸素原子、6…Tl原子もしくはPb原子もし
くはBi原子、7…Sr原子もしくはBa原子、8…S
m原子、9…Cu原子、10…酸素原子、11…Tl原
子もしくはPb原子もしくはBi原子、12…Sr原子
もしくはBa原子、13…Ca原子、14…Cu原子、
15…酸素原子、16…超電導体、17…Au−5%P
d被覆材、18…結晶粒界。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01B 13/00 565 D 8936−5G H01L 39/24 ZAA Z 8728−4M (72)発明者 湯浅 豊隆 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社日 立製作所日立研究所内 (72)発明者 加茂 友一 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社日 立製作所日立研究所内 (72)発明者 松田 臣平 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社日 立製作所日立研究所内

Claims (28)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】超電導体を構成する超電導物質の組成が 【数1】 ここで、0≦X1<0.8 0≦X2<0.5 0≦X3≦1.0 0.7≦ α ≦1.5 0.7≦ β ≦1.5 0.7≦ γ ≦1.5 0.7≦ δ ≦1.5 6.0≦ ξ ≦14.0 であることを特徴とする超電導体。
  2. 【請求項2】超電導体を構成する超電導物質の組成が 【数2】 ここで、0≦X1<0.8 0≦X2<0.5 0≦X3≦1.0 0.7≦ α ≦1.5 0.7≦ β ≦1.5 0.7≦ γ ≦1.5 0.7≦ δ ≦1.5 4.5≦ ξ ≦11.0 であることを特徴とする超電導体。
  3. 【請求項3】超電導体を構成する超電導物質の組成が 【数3】 ここで、0≦X1<0.8 0≦X2<0.5 0≦X3≦1.0 0.7≦ α ≦1.5 0.7≦ β ≦1.5 0.7≦ γ ≦1.5 0.7≦ δ ≦1.5 7.4≦ ξ ≦17.0 であることを特徴とする超電導体。
  4. 【請求項4】請求項1ないし3に記載の超電導体におい
    て、0.3≦X1≦0.6,0≦X2≦0.2及び0.1≦
    X3≦0.5であることを特徴とする超電導体。
  5. 【請求項5】Tl,Pb,Biから選ばれた少なくとも
    1種以上と、Ba,Srから選ばれた少なくとも1種以
    上と、CaとCuとOを含み、その内部に超電導物質と
    非超電導性の物質を同時に含んでいる超電導体におい
    て、該超電導物質の結晶粒の内部或いは外部に該超電導
    物質を構成している元素の組み合わせによってできてい
    る非超電導性の物質が存在していることを特徴とする超
    電導体。
  6. 【請求項6】超電導体を構成する超電導物質の組成が 【数4】 ここで、0≦X1<0.8 0≦X2<0.5 0≦X3≦1.0 0.7≦ α ≦1.5 0.7≦ β ≦1.5 0.7≦ γ ≦1.5 0.7≦ δ ≦1.5 6.0≦ ξ ≦14.0 であり、該超電導物質の結晶粒の内部或いは外部に該超
    電導物質を構成している元素の組み合わせによってでき
    ている非超電導性の物質が存在していることを特徴とす
    る超電導体。
  7. 【請求項7】超電導体を構成する超電導物質の組成が 【数5】 ここで、0≦X1<0.8 0≦X2<0.5 0≦X3≦1.0 0.7≦ α ≦1.5 0.7≦ β ≦1.5 0.7≦ γ ≦1.5 0.7≦ δ ≦1.5 4.5≦ ξ ≦11.0 であり、該超電導物質の結晶粒の内部或いは外部に該超
    電導物質を構成している元素の組み合わせによってでき
    ている非超電導性の物質が存在していることを特徴とす
    る超電導体。
  8. 【請求項8】超電導体を構成する超電導物質の組成が 【数6】 ここで、0≦X1<0.8 0≦X2<0.5 0≦X3≦1.0 0.7≦ α ≦1.5 0.7≦ β ≦1.5 0.7≦ γ ≦1.5 0.7≦ δ ≦1.5 7.4≦ ξ ≦17.0 であり、該超電導物質の結晶粒の内部或いは外部に該超
    電導物質を構成している元素の組み合わせによってでき
    ている非超電導性の物質が存在していることを特徴とす
    る超電導体。
  9. 【請求項9】請求項5ないし8に記載の超電導体におい
    て、該超電導物質の組成が0.3≦X1≦0.6,0≦X
    2≦0.2及び0.1≦X3≦0.5であり、該超電導物
    質の結晶粒の内部或いは外部に該超電導物質を構成して
    いる元素の組み合わせによってできている非超電導性の
    物質が存在していることを特徴とする超電導体。
  10. 【請求項10】請求項5ないし8に記載の3種類の該超
    電導物質のうちの2種または3種を同時に含んでいて、
    それらの超電導物質の結晶粒の内部或いは外部に該超電
    導物質を構成している元素の組み合わせによってできて
    いる非超電導性の物質が存在していることを特徴とする
    超電導体。
  11. 【請求項11】請求項5ないし10に記載の超電導体に
    おいて、該超電導物質の結晶粒の内部或いは外部にBa
    PbO3,BaBiO3,Ca2CuO3,Ca2PbO4
    CaO,CuO,SrOの1種或いは複数種の粒子が存
    在していることを特徴とする超電導体。
  12. 【請求項12】請求項5ないし10に記載の超電導体に
    おいて、該超電導物質の結晶粒の内部或いは外部に該超
    電導物質を構成している元素の1種以上を含む非超電導
    物質を含んでいることを特徴とする超電導体。
  13. 【請求項13】Tl,Pb,Biから選ばれた少なくと
    も1種以上と、Ba,Srから選ばれた少なくとも1種
    以上と、CaとCuとOを含む超電導物質を少なくとも
    一度は超電導物質の液相が生成する温度領域に加熱し、
    ついでこの冷却する工程を有することを特徴とする超電
    導体の製造方法。
  14. 【請求項14】超電導体を構成する超電導物質の組成が 【数7】 ここで、0≦X1<0.8 0≦X2<0.5 0≦X3≦1.0 0.7≦ α ≦1.5 0.7≦ β ≦1.5 0.7≦ γ ≦1.5 0.7≦ δ ≦1.5 6.0≦ ξ ≦14.0 である超電導体を少なくとも一度は超電導物質の液相が
    生成する温度領域に加熱し、ついで冷却する工程を有す
    ることを特徴とする超電導体の製造方法。
  15. 【請求項15】超電導体を構成する超電導物質の組成が 【数8】 ここで、0≦X1<0.8 0≦X2<0.5 0≦X3≦1.0 0.7≦ α ≦1.5 0.7≦ β ≦1.5 0.7≦ γ ≦1.5 0.7≦ δ ≦1.5 4.5≦ ξ ≦11.0 である超電導体を少なくとも一度は超電導物質の液相が
    生成する温度領域に加熱し、ついで冷却する工程を有す
    ることを特徴とする超電導体の製造方法。
  16. 【請求項16】超電導体を構成する超電導物質の組成が 【数9】 ここで、0≦X1<0.8 0≦X2<0.5 0≦X3≦1.0 0.7≦ α ≦1.5 0.7≦ β ≦1.5 0.7≦ γ ≦1.5 0.7≦ δ ≦1.5 7.4≦ ξ ≦17.0 である超電導体を少なくとも一度は超電導物質の液相が
    生成する温度領域に加熱し、ついで冷却する工程を有す
    ることを特徴とする超電導体の製造方法。
  17. 【請求項17】請求項5ないし8に記載の超電導体の組
    成が0.3≦X1≦0.6,0≦X2≦0.2及び0.1≦
    X3≦0.5 である超電導体を少なくとも一度は超電導
    物質の液相が生成する温度領域に加熱し、ついで冷却す
    る工程を有することを特徴とする超電導体の製造方法。
  18. 【請求項18】請求項5ないし8に記載の3種類の該超
    電導物質のうちの2種または3種を同時に含んでいる超
    電導体を少なくとも一度は超電導物質の液相が生成する
    温度領域に加熱し、ついで冷却する工程を有することを
    特徴とする超電導体の製造方法。
  19. 【請求項19】請求項5ないし12に記載の超電導体を
    作製する工程において、少なくとも一度は液相成分が存
    在している状態に保持させることによって、該超電導物
    質の結晶粒子相互の接合性を向上せしめ、該超電導物質
    の2つの結晶粒子によって形成される結晶粒界面を流れ
    る超電導電流の限界値が、該超電導物質の結晶粒内の超
    電導臨界電流密度の値の10分の1以上であるようにし
    たことを特徴とする超電導体の製造方法。
  20. 【請求項20】請求項5ないし12に記載の超電導体を
    作製する工程において、少なくとも一度は液相成分が存
    在している状態に保持させることによって、該超電導物
    質の結晶粒子相互の接合性を向上せしめ、該超電導物質
    の2つの結晶粒子によって形成される結晶粒界面を流れ
    る超電導電流の限界値が、該超電導物質の結晶粒内の超
    電導臨界電流密度の値の10分の1以上であるように処
    理し、更に該超電導物質の結晶粒子が3つ以上接する部
    分どうしの平均の距離が10nm以上50000nm以下で
    あるように結晶粒の大きさを調節したことを特徴とする
    超電導体の製造方法。
  21. 【請求項21】超電導体を構成する超電導物質の組成が 【数10】 ここで、0≦X1<0.8 0≦X2<0.5 0≦X3≦1.0 0.7≦ α ≦1.5 0.7≦ β ≦1.5 0.7≦ γ ≦1.5 0.7≦ δ ≦1.5 6.0≦ ξ ≦14.0 である超電導体が、長尺の常電導性皮膜内部に密に充填
    された構成であり、該超電導体もしくは該超電導物質を
    構成する物質の結晶粒子の結晶軸が、ある特定の方向に
    50%以上の確率で向いていることを特徴とする超電導
    線材。
  22. 【請求項22】超電導体を構成する超電導物質の組成が 【数11】 ここで、0≦X1<0.8 0≦X2<0.5 0≦X3≦1.0 0.7≦ α ≦1.5 0.7≦ β ≦1.5 0.7≦ γ ≦1.5 0.7≦ δ ≦1.5 4.5≦ ξ ≦11.0 である超電導体が、長尺の常電導性皮膜内部に密に充填
    された構成であり、該超電導体もしくは該超電導物質を
    構成する物質の結晶粒子の結晶軸が、ある特定の方向に
    50%以上の確率で向いていることを特徴とする超電導
    線材。
  23. 【請求項23】超電導体を構成する超電導物質の組成が 【数12】 ここで、0≦X1<0.8 0≦X2<0.5 0≦X3≦1.0 0.7≦ α ≦1.5 0.7≦ β ≦1.5 0.7≦ γ ≦1.5 0.7≦ δ ≦1.5 7.4≦ ξ ≦17.0 である超電導体が、長尺の常電導性皮膜内部に密に充填
    された構成であり、該超電導体もしくは該超電導物質を
    構成する物質の結晶粒子の結晶軸が、ある特定の方向に
    50%以上の確率で向いていることを特徴とする超電導
    線材。
  24. 【請求項24】請求項1ないし3に記載の3種類の該超
    電導物質のうちの2種または3種を同時に含んでいる超
    電導体が、長尺の常電導性皮膜内部に密に充填された構
    成であり、該超電導体もしくは該超電導物質を構成する
    物質の結晶粒子の結晶軸が、ある特定の方向に50%以
    上の確率で向いていることを特徴とする超電導線材。
  25. 【請求項25】超電導体を構成する超電導物質の組成が 【数13】 ここで、0≦X1<0.8 0≦X2<0.5 0≦X3≦1.0 0.7≦ α ≦1.5 0.7≦ β ≦1.5 0.7≦ γ ≦1.5 0.7≦ δ ≦1.5 6.0≦ ξ ≦14.0 である超電導体が、長尺の常電導性皮膜内部に密に充填
    された構成であり、該超電導線材の長手方向に直角な方
    向に存在している該超電導体もしくは該超電導物質を構
    成する物質の結晶粒子の数が5個以下であることを特徴
    とする超電導線材。
  26. 【請求項26】超電導体を構成する超電導物質の組成が 【数14】 ここで、0≦X1<0.8 0≦X2<0.5 0≦X3≦1.0 0.7≦ α ≦1.5 0.7≦ β ≦1.5 0.7≦ γ ≦1.5 0.7≦ δ ≦1.5 4.5≦ ξ ≦11.0 である超電導体が、長尺の常電導性皮膜内部に密に充填
    された構成であり、該超電導線材の長手方向に直角な方
    向に存在している該超電導体もしくは該超電導物質を構
    成する物質の結晶粒子の数が5個以下であることを特徴
    とする超電導線材。
  27. 【請求項27】超電導体を構成する超電導物質の組成が 【数15】 ここで、0≦X1<0.8 0≦X2<0.5 0≦X3≦1.0 0.7≦ α ≦1.5 0.7≦ β ≦1.5 0.7≦ γ ≦1.5 0.7≦ δ ≦1.5 7.4≦ ξ ≦17.0 である超電導体が、長尺の常電導性皮膜内部に密に充填
    された構成であり、該超電導線材の長手方向に直角な方
    向に存在している該超電導体もしくは該超電導物質を構
    成する物質の結晶粒子の数が5個以下であることを特徴
    とする超電導線材。
  28. 【請求項28】請求項1ないし3に記載の3種類の該超
    電導物質のうちの2種または3種を同時に含んでいる超
    電導体が、長尺の常電導性皮膜内部に密に充填された構
    成であり、該超電導線材の長手方向に直角の方向に存在
    している該超電導体もしくは該超電導物質を構成する物
    質の結晶粒子の数が5個以下であることを特徴とする超
    電導線材。
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