JP2006286852A - 樹脂組成物、樹脂層、樹脂層付きキャリア材料および回路基板 - Google Patents

樹脂組成物、樹脂層、樹脂層付きキャリア材料および回路基板 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明の目的は、電気特性に優れ、かつ回路基板の樹脂層とした場合にレーザーにより微細なビアホールを形成することが可能な樹脂組成物を提供すること。また、電気特性に優れ、かつレーザーにより微細なビアホールを形成することが可能な樹脂層およびそれを用いた樹脂層付きキャリア材料ならびに回路基板を提供すること。
【解決手段】 本発明の樹脂組成物は、レーザー照射によりビアホールを形成する回路基板の絶縁層を構成する樹脂組成物であって、側鎖に重合可能な官能基を有する環状オレフィン樹脂と、レーザー加工性付与剤としてアジド誘導体と、重合開始剤とを含む。また、本発明の樹脂層は、上述の樹脂組成物で構成されている。また、本発明の樹脂層付きキャリア材料は、上述の樹脂層が、キャリア材料の少なくとも片面に形成されている。また、本発明の回路基板は、上述の樹脂層を有する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、樹脂組成物、樹脂層、樹脂層付きキャリア材料および回路基板に関する。
近年の多層配線板の高密度化・高速化に伴い、配線回路の高密度化、ビアの小径化はもちろんのこと、絶縁樹脂に対する要求特性も、益々厳しくなりつつある。特に、電気特性に関する要求は厳しく、従来の低コスト、高いハンドリング性を有すエポキシ樹脂系の処方では、限界が見え始めている。そこで、最先端の多層配線板では、電気特性、信頼性、耐熱性に優れるポリイミド樹脂が盛んに使用されている。高耐熱ポリイミド樹脂では、ポリアミック酸からポリイミドへ閉環時に高温プロセスを必要とし、また、耐熱性に非常に優れる樹脂であるが故に、加工性が非常に悪く、またコストも高いといった問題がある。一方、溶媒可溶なポリイミド樹脂では、加工性には優れるが、耐熱性、信頼性に劣るといった問題がある。そのため、溶媒可溶なポリイミド樹脂に、熱硬化性樹脂を配合するなどの手法が取られている。
また、半導体が直接搭載される半導体パッケージ基板においては、半導体と半導体パッケージ基板の熱膨張係数の違いに起因する反りや熱応力が問題となることから、半導体パッケージ基板に用いられる樹脂には、電気特性だけでなく絶縁樹脂の熱膨張係数が小さいことが重要となる。絶縁樹脂層の厚みが100μm以上である場合、絶縁樹脂をガラスクロスに含浸させることで低熱膨張化を達成してきたが、より高密度の半導体パッケージ基板では、絶縁樹脂層の厚みが50μm以下と薄く、ガラスクロスを使用することができない。そこで、低熱膨張化のために無機フィラーを配合する方法が取られている。無機フィラーは、3本ロール、ホモジナイザー、ボールミル、スリーワンモーター、自転・公転式ミキサー、真空・自転・公転式ミキサー等を用いて混合されるが、無機フィラーを任意の配合比で完全に樹脂に含浸させ、分散させることは、技術的困難をともなう。特に、無機フィラーの平均粒径が1μm以下になると、単位重量当たりの比表面積が大きく、無機フィラー間の相互作用が大きくなる。そのため、無機フィラーを凝集無く、完全に樹脂中に分散させることは技術的に困難である。
このように絶縁樹脂に無機フィラーを充填することで、ある程度、低熱膨張化が達成できるが、絶縁樹脂層がより薄くなるに従い、絶縁信頼性、加工性の観点から無機フィラーの充填率に制限がでてくる。そのため、より低熱膨張化を達成するためには絶縁樹脂そのものの熱膨張係数を低くする必要がある。
一方、半導体パッケージ基板のインピーダンス制御の観点から、絶縁樹脂層の膜厚制御も重要となる。パッケージ基板に直接絶縁樹脂を塗布する方法では、膜厚制御が困難であるため、銅箔上もしくはPET上に、予め、絶縁樹脂層を形成した、ドライフィルムタイプが膜厚制御に適している。ドライフィルムの絶縁樹脂に必要な特性は、十分なフィルム性を有しており、さらに、生産性の観点から、低温加工性、フィルム保存性が重要となる。そのため、ドライフィルムタイプの絶縁樹脂で、且つ電気特性、低膨張係数、加工性等のすべての特性を満たす絶縁樹脂が待ち望まれている。
これらの特性を満足する熱硬化性樹脂としてシアネート樹脂が挙げられる。しかしながら、シアネート樹脂を完全硬化させるには250℃/3hrsと高温処理が必要である。(例えば、非特許文献1参照。)250℃の高温で硬化処理を行うと、硬化後室温に戻したとき樹脂内に応力がたまり、銅などの基材との界面に剥離などが生じる可能性がある。また、低温で硬化処理を行うと、未反応のシアネート樹脂が残ってしまい、ボイドの原因となる可能性があり、信頼性に問題が生じる。また、シアネート樹脂が加熱硬化し形成するトリアジン環は、吸水により容易に加水分解するという問題点もある。
また、シアネート樹脂単体では樹脂が脆いため、それらを改善するためにエポキシ樹脂やポリイミド樹脂などと混合させる方法などが検討されており、(例えば、特許文献1,2参照。)これらの組成物においても硬化時に150℃〜300℃を必要とする記載がある。しかしながら、上記のように、高温での加熱硬化では樹脂内に応力がたまる可能性があり、低温での加熱硬化では未反応のシアネート樹脂が残る可能性がある。
I.Hamerton.CHEMISTRY AND TECHNOLOGY OF CYANATE ESTER RESINS:BLACKIE ACADEMIC&PROFESSIONAL 164(1994) 特開平5−140526号公報 特開平5−32950号公報
本発明は、このような現状の問題点に鑑みなされたものであって、樹脂層とした場合に、低熱膨張性を有し、電気特性、加工性、保存性および信頼性に優れる樹脂組成物を提供することにある。
また、本発明は、低熱膨張性を有し、信頼性に優れる樹脂層を提供することにある。
また、本発明は、低熱膨張性を有し、信頼性に優れる樹脂層付きキャリア材料を提供することにある。
また、本発明は、低熱膨張性を有し、信頼性に優れる回路基板を提供することにある。
即ち、本発明は、
(1) シアヌレート樹脂(A)、溶媒可溶性ポリイミド樹脂(B)および溶媒可溶性エポキシ樹脂(C)を含む樹脂組成物、
(2) 前記シアヌレート樹脂(A)は、ジアリルモノグリシジルイソシアヌル酸またはモノアリルジグリシジルイソシアヌル酸である第(1)項に記載の樹脂組成物、
(3) 前記溶媒可溶性ポリイミド樹脂(B)は、ポリイミドシロキサン樹脂である第(1)項または第(2)に記載の樹脂組成物、
(4) 前記ポリイミドシロキサン樹脂は、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物の中から選ばれた少なくとも1種の芳香族テトラカルボン酸成分と、一般式(1)で表されるジアミノポリシロキサン10〜80モル%及び芳香族ジアミン20〜90モル%からなるジアミン成分とを反応させて合成された可溶性ポリイミドシロキサン樹脂である第(3)項記載の樹脂組成物、
(5) 前記溶媒可溶性エポキシ樹脂(C)は、アラルキル変性エポキシ樹脂である第(1)項乃至第(4)項のいずれかに記載の樹脂組成物、
(6) 前記樹脂組成物は、シアネート樹脂(D)を含む第(1)項乃至第(5)項にいずれかに記載の樹脂組成物、
(7) 前記シアネート樹脂(D)は、一般式(2)で表されるシアネート化合物、一般式(3)で表されるシアネート化合物、及び、これらの化合物のシアネート基が40%以下で3量化した、少なくとも二つ以上のシアネート基を有するシアネート化合物の中から選ばれた少なくとも1種のシアネート化合物である第(6)項記載の樹脂組成物、
(8) 前記樹脂組成物は、無機フィラー(E)を含むものである第(1)項〜第(7)項のいずれかに記載の樹脂組成物、
(9) 前記無機フィラー(E)は、シリカである第(8)項に記載の樹脂組成物、
(10) 前記無機フィラー(E)は、1μm以下の平均粒径を有するものである第(8)項または第(9)項に記載の樹脂組成物、
(11) 前記無機フィラーは、前記溶媒可溶性ポリイミド樹脂(B)を可溶な溶媒(F)中で、予め分散させたものである第(8)項〜第(10)項のいずれかに記載の樹脂組成物、
(12) 前記ポリイミド樹脂(B)を可溶な溶媒(F)は、N−メチル−2−ピロリドンである第(11)項に記載の樹脂組成物、
(13) さらに、イミダゾール系触媒(G)を含んでなる第(1)項〜第(12)項のいずれかに記載の樹脂組成物、
(14) 第(1)項〜第(13)項のいずれかに記載の樹脂組成物で構成されていることを特徴とする樹脂層、
(15) 第(14)項に記載の樹脂層が、キャリア材料の少なくとも片面に形成されていることを特徴とする樹脂層付きキャリア材料、
(16) 第(14)項に記載の樹脂層を有することを特徴とする回路基板、
である。
本発明によれば、低熱膨張で、電気特性、加工性、保存性、信頼性に優れる樹脂組成物を提供することができる。
また、本発明は、低熱膨張性を有し、信頼性に優れる樹脂層を提供することにある。
また、本発明は、低熱膨張性を有し、信頼性に優れる樹脂層付きキャリア材料を提供することにある。
また、本発明は、低熱膨張性を有し、信頼性に優れる回路基板を提供することにある。
以下、本発明の樹脂組成物、樹脂層、樹脂層付きキャリア材料および回路基板について説明する。
本発明に用いるシアヌレート樹脂(A)は、イミダゾール存在下で150℃程度の温度で完全硬化させることができる。また、シアネート樹脂を用いた場合でも、低温で硬化しても未反応のシアネート樹脂を相対的に減らすことができ、また加水分解を起こすトリアジン環ではなく、シアヌレート環を相対的に増やすことができるので、耐湿信頼性が向上する。
シアヌレート樹脂としては、モノアリルジグリシジルイソシアヌル酸(1−アリルー3,5−ビス(2,3−エポキシプロパンー1−イル)−1,3,5−トリアジンー2,4,6(1H、3H、5H)−トリオン)、ジアリルモノグリシジルイソシアヌル酸(1,3−ジアリル−5−(2,3−エポキシプロパンー1−イル)−1,3,5−トリアジンー2,4,6(1H、3H、5H)−トリオン)などが挙げられる。これらの中でも、ジアリルモノグリシジルイソシアヌル酸およびモノアリルジグリシジルイソシアヌル酸が好ましい。本発明において、シアネート樹脂を用いることにより、低温での加工性、熱時の弾性率が高く200℃を越す高温での耐熱信頼性に優れ、低熱膨張率、低誘電率および誘電正接を有した樹脂組成物を得ることができる。
本発明に用いる溶媒可溶性ポリイミド樹脂(B)は、溶媒に可溶なポリイミド樹脂であれば限定されない。前記ポリイミド樹脂を可溶な溶媒としては、後述する。また、ポリイミド樹脂としては、更にポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステルイミド樹脂などイミド基を有する樹脂も含まれる。これらの中でも、芳香族テトラカルボン酸成分とジアミン成分とを反応させ重合およびイミド化することにより得られる樹脂が好ましい。
前記芳香族テトラカルボン酸成分としては、例えば、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物などが挙げられる。これらの中から選択された一種または2種以上の芳香族テトラカルボン酸を用いることができる。
前記ジアミン成分としては、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、2,4−ジアミノトルエン、2,5−ジアミノトルエン、2,5−ジアミノ−p−キシレン、2,5−ジアミノ−m−キシレン、2,5−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノピリジン、3,3'−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、3,3’−ジアミノジフェニルヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルヘキサフルオロプロパン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ベンジジン、3,3’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−メチレンジ−o−トルイジン、4,4’−メチレンジ−2,6−キシリジン、4,4’−メチレンジ−2,6−ジエチルアニリン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシベンジジン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,4−ジアミノブタン、1,3−ジアミノペンタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘプタメチレンジアミン、3−メチルヘプタメチレンジアミン、4,4−ジメチルヘプタメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミンが挙げられる。これらの中から選択された一種または2種以上のジアミンを用いることが好ましい。
溶媒可溶性ポリイミド樹脂を用いることにより、未硬化状態でのシート性に優れ、硬化物のフィルム強度、可撓性に優れた樹脂組成物を得ることができる。
本発明に用いる溶媒可溶性ポリイミド樹脂は、芳香族テトラカルボン酸およびジアミンとジアミノポリシロキサンを含んで構成されるポリイミドシロキサン樹脂であることが、より好ましい。ポリイミド中にシロキサンを含むことでフィルムの可とう性や埋め込み性が良好となる。前記ポリイミドシロキサン樹脂としては、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、及び4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物の中から選ばれた少なくとも一種の芳香族テトラカルボン酸成分と、一般式(1)で表されるジアミノポリシロキサン10〜80モル%、及び芳香族ジアミン20〜90モル%からなるジアミン成分とを反応させ、重合およびイミド化することにより得られた高分子量のポリイミドシロキサン樹脂であることが好ましい。このようなポリイミドシロキサン樹脂の重量平均分子量としては、好ましくは、30000〜100000、より好ましくは、40000〜80000である。ポリイミドシロキサン樹脂は、高分子量のものを用いることで、フィルムの可とう性が良好になる。
前記一般式(1)で表されるジアミノポリシロキサンは、式中のRとして炭化水素基を有し、R〜R11として低級アルキル基又はフェニル基を有するものであり、前記炭化水素基としては、C2n(nは、1〜5)で表される炭化水素基などが挙げられ、前記低級アルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が挙げられ、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基およびデシル基などが挙げられる。このようなジアミノポリシロキサンの具体例としては、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルシロキサンやα,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジフェニルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリメチルフェニルシロキサン等であり、得られたポリアミド酸およびポリイミド樹脂の有機溶剤への溶解性および熱可塑性に寄与する。また、これを用いることによって、ガラス転移温度を低くすることが可能で、特に低温加工が必要な用途に適している。
前記ジアミノポリシロキサンの全ジアミン成分中の量比は、溶解性、熱可塑性の点から全ジアミン成分の10〜80モル%の範囲内で用いることができるが、耐熱性の観点から考えると10〜50モル%の範囲内であることが、より好ましい。特に、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルシロキサンを用いた場合には、耐熱性を低下させずに溶解性、熱可塑性が向上し好ましい。
前記ポリイミドシロキサン樹脂の重合反応における芳香族テトラカルボン酸成分と全ジアミン成分の当量比は、得られるポリイミドシロキサンの分子量を決定する重要な因子である。ポリマーの分子量と物性、特に数平均分子量と機械的性質の間に相関があることは良く知られており、数平均分子量が大きいほど機械的性質が優れている。従って、実用的に優れた強度を得るためには、ある程度高分子量であることが必要である。
本発明では、酸成分とアミン成分の当量比rが0.95≦r≦1.05のモル比であることが好ましい。また、機械的強度および耐熱性の両面から、0.97≦r≦1.03の範囲が、より好ましい。また、分子量を制御するために、エンドキャップ剤を用いても何ら問題ない。エンドキャップ剤としては、例えば、無水フタル酸、無水トリメリット酸などが挙げられる。
溶媒可溶性ポリイミド樹脂の配合割合は、特に限定されないが、シアヌレート樹脂(A)(シアネート樹脂(D)を用いる場合は、シアヌレート樹脂とシアネート樹脂の合計)100重量部に対して、20〜150重量部が好ましく、特に30〜120重量部が好ましい。溶媒可溶性ポリイミド樹脂が前記下限値未満ではフィルムの可とう性が低下する場合があり、前記上限値を超えると熱膨張係数が増加する場合がある。
芳香族テトラカルボン酸成分とジアミン成分との反応は、非プロトン性極性溶媒中で公知の方法で行われ、最終的なイミド閉環は、程度が高いほど良く、イミド化率が低いと、使用時の熱でイミド化が起こり、水が発生して好ましくないため、95%以上、より好ましくは98%以上のイミド化率が達成されることが望ましい。
本発明に用いる溶媒可溶性エポキシ樹脂(C)は、溶媒可溶なエポキシ樹脂であれば特に限定されない。前記エポキシ樹脂を可溶な溶媒は後述する。前記エポキシ樹脂としては、特にアラルキル変性エポキシ樹脂が好ましい。これにより、吸水性を低下させることができる。ここで、アラルキル変性エポキシ樹脂とは、繰り返し単位中に少なくとも一つ以上のアラルキル基を有するエポキシ樹脂をいう。
また、従来シアネート樹脂単独では硬化速度が速すぎて、樹脂の硬化反応を制御できないといった問題点を有していたが、本発明では、アラルキル変性エポキシ樹脂とシアネート樹脂との組み合わせにより、樹脂組成物の硬化速度を調整することが容易となる。樹脂組成物の硬化速度が調節できると、成形時に樹脂の流れ量を調節することが可能となり回路基板の厚さを容易に調節することができる。
また、下記シアネート樹脂と共にエポキシ樹脂が存在すると、シアネート樹脂が加熱により、トリアジン環を形成した後、エポキシ樹脂と反応することでシアヌレート環を形成する。ここで、トリアジン環は吸水することで容易に加水分解を起こすため、耐湿信頼性に問題が生じるが、シアヌレート環は加水分解を起こさない。
溶媒可溶性エポキシ樹脂の配合割合は、特に限定されないが、シアヌレート樹脂(A)(シアネート樹脂(D)を用いる場合は、シアヌレート樹脂とシアネート樹脂の合計)100重量部に対して、20〜200重量部が好ましく、特に50〜150重量部が好ましい。溶媒可溶性エポキシ樹脂が前記下限値未満では低吸水化の向上効果が低下する場合があり、前記上限値を超えると260℃の半田耐熱性向上効果が低下する場合がある。
本発明の樹脂組成物には、シアネート樹脂(D)を用いることができる。そのようなシアネート樹脂は、一般式(2)で表される化合物、一般式(3)で表される化合物、及び、これらの化合物のシアネート基が40%以下で3量化した、少なくとも二つ以上のシアネート基を有するシアネート化合物が好ましい。具体的には、ビスフェノール−Aジシアネートエチリデンビス−4,1−フェニレンジシアネート、テトラオルトメチルビスフェノール−Fジシアネート、フェノールノボラックポリシアネート、クレゾールノボラックポリシアネート、ジシクロペンタジエニルビスフェノールジシアネート、ヘキサフルオロビスフェノールAジシアネート等及びこれらのシアネート基を前記の範囲で3量化した化合物である。これらの内、特に、フェノールノボラックポリシアネート、クレゾールノボラックポリシアネートは好適である。これらの中から、少なくとも1種、又は2種以上が用いられる。
また、シアネート樹脂(D)の配合量としては、シアヌレート樹脂とシアネート樹脂との合計が100重量部として、シアヌレート樹脂が60〜100重量部に対して、40〜0重量部であることが好ましい。
本発明の樹脂組成物において、無機フィラー(E)を含むことができる。これにより、熱膨張係数の低減、及び耐熱性、難燃性を向上するとことができる。このような無機フィラーとしては、例えば、結晶シリカ、粉砕シリカ、溶融シリカ、球状合成シリカ、アルミナ、マグネシア、クレー、タルク、セラミック粉末、ガラス繊維、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、雲母等を一種または、複数種混合して用いることができる。特に、シリカフィラーは、誘電率、誘電正接が低く、また、熱膨張率も低いため好ましい。無機フィラーの平均粒径は、好ましくは1.0μm以下である。より好ましくは、0.5μm以下である。1.0μmより大きい場合、多層配線板の配線密度の高密度化に対応できず、充分な絶縁信頼性を確保できなくなる恐れがある。また、無機フィラーの最大粒径は、5.0μm以下であることが好ましく、より好ましくは、2.0μm以下である。無機フィラーの最大粒径は、無機フィラー溶液を濾過することにより制御することができる。
本発明において、無機フィラー(E)は、予め溶媒(F)中で、分散されて用いられることがより好ましい。溶媒中に無機フィラーを分散させる方法としては、溶媒に、無機フィラーを加え、超音波、3本ロール、スリーワンモーター、ホモジナイザー、ボールミル、自転・公転式ミキサー、真空・自転・公転式ミキサー、超音波分散方式、高圧衝突式分散方式、高速回転分散方式、ビーズミル方式、高速せん断分散方式、および自転公転式分散方式などの各種混合機を用いて分散させる方法が挙げられる。
また、無機フィラーの溶媒中の割合としては、無機フィラー溶液の全重量の5〜75重量%が好ましい。5重量%を下回ると、無機フィラー溶液の粘度が低く、フィラーが沈降し易くなる恐れがあり、75重量%を上回ると、無機フィラー溶液の粘度が高く取り扱いが困難になる恐れがある。
無機フィラーを、予め溶媒中に分散させることにより、無機フィラーを樹脂中での分散性が向上し、より均一に分散させることが可能となり、また、樹脂組成物の熱膨張率を低減させることができる。更には、溶媒により無機フィラーの表面が十分に濡れることにより、溶媒中の樹脂と無機フィラー(E)溶液を混合することも容易である。
本発明に用いる溶媒(F)としては、少なくとも前記ポリイミド樹脂(B)を可溶とするものであれば良く、シアヌレート樹脂(A)、ポリイミド樹脂(B)、エポキシ樹脂(C)が可溶な溶媒であれば、さらに良く、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,4−ジオキサン、ガンマ−ブチルラクトン、ジグライム、アニソール、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン等が挙げられる。特に、N−メチル−2−ピロリドンは、ポリイミド樹脂の溶解性が優れており好ましい。また、極性溶媒であるため、無機フィラーをウェッティングさせ、分散させるのに適している。溶媒は、一種類のみ用いても良いし、2種類以上を混合して用いても良い。
本発明の樹脂組成物には、イミダゾール系触媒(G)を用いることができ、これにより、シアネート樹脂の硬化促進および自在に樹脂組成物の反応性を制御することができる。このようなイミダゾール系触媒としては、例えば、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾールなどが挙げられる。
本発明において、各成分の配合量としては、シアヌレート樹脂(A)(シアネート樹脂(D)を用いる場合は、シアヌレート樹脂とシアネート樹脂の合計)100重量部に対して、任意に添加される、無機フィラー(E)は5〜400重量部が好ましく、より好ましくは、10〜350重量部であり、さらに好ましくは、任意に、無機フィラー(E)50〜300重量部である。
また、イミダゾール系触媒(G)の配合量としては、シアヌレート樹脂(A)(シアネート樹脂(D)を用いる場合は、シアヌレート樹脂とシアネート樹脂の合計)100重量部に対して、0.0001〜1重量部が好ましく、より好ましくは、0.005〜0.5重量部である。
本発明の樹脂組成物には、上記成分の他に、目的に応じて、相溶化剤、レベリング剤、消泡剤、界面活性剤、有機フィラー、酸化防止剤等の他の添加剤を含有することができる。これら添加剤は、単独あるいは2種以上を混合して用いることができる。前記添加剤の含有量としては、特に限定されないが、シアヌレート樹脂100重量部に対し、0.01〜200重量部が好ましく、特に0.1〜100重量部が好ましく、最も0.5〜50重量部が好ましい。
本発明の樹脂組成物は、シアヌレート樹脂(A)、溶媒可溶性ポリイミド樹脂(B)および溶媒可溶性エポキシ樹脂(C)、任意にシアネート樹脂(D)および無機フィラー(E)、また、その他の成分を混合することにより得られるが、無機フィラー(E)は、予め溶媒(F)中に無機フィラー(E)を前記の方法により分散させた溶液として混合することが好ましい。これらの混合方法としては、スリーワンモーター、ボールミル、自転・公転式ミキサー、真空・自転・公転式ミキサー、超音波分散方式、高圧衝突式分散方式、高速回転分散方式、ビーズミル方式、高速せん断分散方式、および自転公転式分散方式などの各種混合機などを用いる方法が挙げられる。
次に、樹脂層および樹脂層付きキャリア材料について説明する。
図1は、上述の樹脂組成物で構成されている樹脂層3が、キャリア材料2の片面に形成されている樹脂層付きキャリア材料1を示す断面図である。
樹脂層3は、上述した樹脂組成物で構成されている。これにより、低誘電率等の電気特性に優れ、かつレーザー加工性にも優れた樹脂層を得ることができる。
樹脂層3の厚さは、特に限定されないが、0.1〜60μmが好ましく、特に1〜40μmが好ましい。樹脂層の厚さが前記下限値未満であると絶縁信頼性を向上する効果が低下する場合があり、前記上限値を超えると回路基板の目的の1つである薄膜化させることが困難になる場合がある。
本発明の樹脂層付きキャリア材料の製造方法としては、上記で得た樹脂組成物をワニスとしてキャリア材料上に膜を形成することにより得ることができる。樹脂ワニスを用いてキャリア材料に膜を形成する方法としては、例えば、ロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、グラビアコーター、ダイコーターおよびカーテンコーターなどを用いてキャリア材料上に塗布する方法、スプレーによりキャリア材料上に噴霧する方法、キャリア材料を浸漬する方法、印刷機、真空印刷機およびディスペンサーなどを用いてキャリア材料上に印刷する方法等が挙げられる。これらの中でもダイコーターを用いる方法が好ましい。これにより、所定の厚さを有する樹脂層を安定して生産できる。また、樹脂層3をダミー基材等に塗布した後、ドライフィルムの状態で得ることもできる。
キャリア材料2としては、例えば、銅または銅系合金、アルミまたはアルミ系合金等で構成される金属箔、ポリエチレン、フッ素系樹脂、(芳香族)ポリイミド樹脂、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂等で構成される樹脂フィルム等が挙げられる。これら中でもポリエステル樹脂で構成される樹脂フィルムが最も好ましい。これにより、樹脂層から適度な強度で剥離することが特に容易となる。さらに、反応性希釈剤に対する安定性にも優れている。さらに、反応性希釈剤および溶剤に溶解している樹脂組成物成分がキャリア材料にマイグレーションするのを防止することもできる。
キャリア材料2の厚さは、特に限定されないが、10〜200μmが好ましく、特に20〜100μmが好ましい。厚さが前記範囲内であると、特に回路上での樹脂層3の平坦性に優れる。
樹脂層付きキャリア材料1を製造する方法の具体例としては、上記で得た樹脂組成物を溶剤に溶解したものをキャリア材料2に1〜100μm程度の厚さで塗布し、その塗布層を例えば80〜140℃で20秒〜30分乾燥し、好ましくは残留溶媒量が全体の0.5重量%以下とする。これにより、樹脂層3がキャリア材料2上に積層された樹脂層付キャリア材料1を得ることができる。前記樹脂組成物の加熱硬化温度は、特に限定されないが、140〜300℃が好ましく、特に140〜250℃が好ましい。
次に、回路基板について説明する。
図2は、本発明の回路基板の一例を示す断面図である。
図2に示すように、回路基板10は、コア基板5と、コア基板5の両面に設けられた樹脂層3とで構成されている。
コア基板5には、ドリル機で開口された開口部51が形成されている。また、コア基板5の両表面には導体回路52が形成されている。
開口部51の内部はメッキ処理されており、コア基板5の両表面の導体回路52が導通されている。
導体回路52を覆うようにコア基板5の両面に、樹脂層3が設けられている。樹脂層3には、レーザー加工により形成された開口部31が形成されている。
また、樹脂層3の両表面には、導体回路32が形成されている。
導体回路52と、導体回路32とは、開口部31を介して導通されている。
このような回路基板を製造する方法としては、例えばコア基板(例えばFR−4の両面銅箔)5にドリル機で開孔して開口部51を設けた後、無電解めっきにより、開口部51にメッキ処理を行い、コア基板5の両面の導通を図る。そして、前記銅箔をエッチングすることにより導体回路52を形成する。
導体回路52の材質としては、この製造方法に適するものであれば、どのようなものでも良いが、導体回路の形成においてエッチングや剥離などの方法により除去可能であることが好ましく、前記エッチングにおいては、これに使用される薬液などに耐性を有するものが好ましい。そのような導体回路52の材質としては、例えば、銅、銅合金、42合金およびニッケル等が挙げられる。特に、銅箔、銅板および銅合金板は、電解めっき品や圧延品を選択できるだけでなく、様々な厚みのものを容易に入手できるため、導体回路52として使用するのに最も好ましい。
次に、導体回路52を覆うように、樹脂層3を形成する。樹脂層3を形成する方法としては、上述の樹脂層付キャリア材料をプレスする方法、樹脂層付キャリア材料を、真空プレス、常圧ラミネーター、真空ラミネータ−およびベクレル式積層装置等を用いて積層して樹脂層3を形成する方法が挙げられる。
また、キャリア材料として金属層を用いた場合、該金属層を導体回路として加工することができる。
キャリア材料を剥離した後、形成した樹脂層3を加熱・硬化する。加熱・硬化する温度は、140℃〜300℃の範囲が好ましい。特に、140℃〜250℃が好ましい。また、一層目の樹脂層3を加熱、半硬化させて形成した樹脂層3上に、一層ないし複数の樹脂層3をさらに形成し半硬化の樹脂層3を実用上問題ない程度に再度加熱硬化させることにより樹脂層3間および樹脂層3と導体回路52間の密着力を向上させることができる。この場合の半硬化の温度は、80℃〜200℃が好ましく、80℃〜140℃がより好ましい。
また、樹脂層3を形成後に、樹脂層3の表面にプラズマ処理を施すことで樹脂層3間および樹脂層3と導体回路52間の密着力を向上させることができる。プラズマ処理のガスとして、酸素、アルゴン、フッ素、フッ化炭素、窒素などを一種もしくは複数種混合して用いることができる。また、プラズマ処理は複数回実施しても良い。
次に、樹脂層3に、レーザーを照射して、開口部31を形成する。前記レーザーとしては、エキシマレーザー、UVレーザーおよび炭酸ガスレーザー等が使用できる。前記レーザーによる開口部31の形成は、樹脂層3の材質が感光性・非感光性に関係なく、微細な開口部31を容易に形成することができる。したがって、樹脂層3に微細加工が必要とされる場合に、特に好ましい。
次に、導体回路32を形成する。導体回路32の形成方法としては、公知の方法であるセミアディティブ法などで形成することができる。これらの方法により、回路基板を得ることができる。
ができる。
以下、実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれによって何ら限定されるものではない。
(実施例1)
1. ポリイミドシロキサン(PI)の合成
乾燥窒素ガス導入管、冷却器、温度計、撹拌機を備えた四口フラスコに、脱水精製したN−メチル−2−ピロリドン(NMP)791gを入れ、窒素ガスを流しながら10分間激しくかき混ぜる。次に、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン(BAPP)73.8926g(0.180モル)、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン17.5402g(0.060モル)、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン50.2200g(平均分子量837、0.060モル)を投入し、系を60℃に加熱し、均一になるまで、かき混ぜる。均一に溶解後、系を氷水浴で5℃に冷却し、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)44.1330g(0.150モル)、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)48.4110g(0.150モル)を、粉末状のまま15分間かけて添加し、その後3時間撹拌を続けた。この間、フラスコは5℃に保った。
その後、窒素ガス導入管と冷却器を外し、キシレンを満たしたディーン・スターク管をフラスコに装着し、系にキシレン198gを添加した。油浴に代えて、系を175℃に加熱し、発生する水を系外に除いた。4時間加熱したところ、系からの水の発生は認められなくなった。冷却後、この反応溶液を大量のメタノール中に投入し、ポリイミドシロキサンを析出させた。固形分を濾過後、80℃で12時間減圧乾燥し溶剤を除き、227.79g(収率92.1%)の固形樹脂を得た。KBr錠剤法で赤外吸収スペクトルを測定したところ、環状イミド結合に由来する5.6μmの吸収を認めたが、アミド結合に由来する6.06μmの吸収を認めることはできず、この樹脂は、ほぼ100%イミド化していることが確かめられた。
2. 樹脂ワニスの調製
まず、無機充填材として、予め球状シリカ(平均粒径0.5μm)67gを、NMP36gに添加して、真空脱泡混練攪拌装置により分散させて、シリカスラリーを準備した。次に、前記のポリイミドシロキサン(PI)を20g、ジアリルモノグリシジルイソシアヌル酸(四国化成工業(株)製、商品名:DA−MGIC)20g、エポキシ樹脂(日本化薬(株)製、商品名:NC−3000)40g、イミダゾール((四国化成工業(株)製、商品名:2PHZ−PW)0.7gと、フェノールノボラックポリシアネート樹脂(ロンザ(株)製、商品名:PrimasetPT−30)20g、NMP100gを混合し、自転・公転式ミキサーで撹拌、溶解し樹脂組成物ワニスを調製した。
3.樹脂層付きキャリア材料の作製
上記で得られた樹脂ワニスをダイコータ−で、キャリア材料であるポリエステルフィルム上に20μm厚みで形成し、樹脂層付きキャリア材料を得た。
4.回路基板の作製
4.1 内層回路および樹脂層の形成
総厚さが0.3mmで銅箔厚さが12μmの両面銅張り積層板(住友ベークライト(株)製ELC−4781)を用いて、ドリル機で開孔後、無電解めっきで上下銅箔間の導通を図り、前記両面の銅箔をエッチングすることにより内層導体回路を両面に形成した。
次に内層導体回路に過酸化水素水と硫酸を主成分とする薬液(旭電化工業(株)製テックSO−G)をスプレー吹きつけすることにより粗化処理による凹凸形成を行い、前記で得られた樹脂層付きキャリア材料を、真空ラミネーターを使用して配線を埋め込み、200℃で60分間窒素雰囲気下ベーキング処理を行い、樹脂層を形成した。
4.2 レーザー加工および外層回路の形成
次に、UV−YAGレーザー装置(三菱電機(株)製ML605LDX)を用いてφ40μmの開口部(ブラインド・ヴィアホール)を形成し、デスミア処理(日本マクダーミッド(株)製マキュダイザーシリーズ)を施した後、無電解銅めっき(上村工業(株)製スルカップPRX)を15分間行い、厚さ0.5μmの給電層を形成した。次に、この給電層表面に、厚さ25μmの紫外線感光性ドライフィルム(旭化成(株)製AQ−2558)をホットロールラミネーターにより貼り合わせ、最小線幅/線間が20/20μmのパターンが描画されたクロム蒸着マスク((株)トウワプロセス製)を使用して、位置合わせ、露光装置(ウシオ電機(株)製UX−1100SM−AJN01)により露光した。炭酸ソーダ水溶液にて現像し、めっきレジストを形成した。
次に、給電層を電極として電解銅めっき(奥野製薬(株)81−HL)を3A/dm2、30分間行って、厚さ約20μmの銅配線を形成した。ここで2段階剥離機を用いて、前記めっきレジストを剥離した。各薬液は、1段階目のアルカリ水溶液層にはモノエタノールアミン溶液(三菱瓦斯化学(株)製R−100)、2段階目の酸化性樹脂エッチング剤には過マンガン酸カリウムと水酸化ナトリウムを主成分とする水溶液(日本マクダーミッド(株)製マキュダイザー9275、9276)、中和には酸性アミン水溶液(日本マクダーミッド(株)製マキュダイザー9279)をそれぞれ用いた。
次に、給電層を過硫酸アンモニウム水溶液(メルテックス(株)製AD−485)に浸漬処理することで、エッチング除去し、配線間の絶縁を確保した。最後に、回路表面にドライフィルムタイプのソルダーレジスト(住友ベークライト(株)製CFP−1121)を真空ラミネーターにて回路埋め込みを行いながら形成し、最終的に回路基板を得た。
(実施例2)
ジアリルモノグリシジルイソシアヌル酸とフェノールノボラックポリシアネート樹脂の混合比を30g:10gにした以外は、実施例1と同様にした。
(実施例3)
ジアリルモノグリシジルイソシアヌル酸とフェノールノボラックポリシアネート樹脂の混合比を10g:30gにした以外は、実施例1と同様にした。
(実施例4)
ジアリルモノグリシジルイソシアヌル酸とフェノールノボラックポリシアネート樹脂の混合比を40g:0gにした以外は、実施例1と同様にした。
(比較例1)
ジアリルモノグリシジルイソシアヌル酸とフェノールノボラックポリシアネート樹脂の混合比を0g:40gにした以外は、実施例1と同様にした。
(比較例2)
ジアリルモノグリシジルイソシアヌル酸とフェノールノボラックポリシアネート樹脂の混合比を0g:40gにし、硬化を250℃/3hrsとした以外は、実施例1と同様にした。
上記で得られた樹脂層および回路基板について、以下の評価を行った。評価項目を内容と共に示す。得られた結果を表1に示す。
1.誘電率
誘電率は、摂動法で評価した。
2.誘電正接
誘電正接は、摂動法で評価した。
3.線膨張係数
線膨張係数は、熱歪測定装置で評価した。
4.密着性
密着性は、碁盤目試験(JIS K5400−1900)で評価した。
◎:切り傷一本毎が、細くて両側が滑らかで、交点と正方形一目一目にはがれがない。
○:切り傷の交点にわずかなはがれがあって、正方形の一目一目にはがれがなく、欠損部の面積は全正方形面積の5%以内。
△:切り傷の両側と交点にはがれがあり、欠損部の面積は5%以上
×:はがれの面積が65%以上
5.耐クラック性
耐クラック性は、−55℃〜125℃の温度サイクル試験を1,000回行い、回路基板の表面および断面観察を行い、樹脂層のクラックの有無を目視で評価した。各符号は、以下の通りである。
◎:温度サイクル試験で500回を超え、1,000回まで樹脂層にクラックが無い
○:温度サイクル試験で200回を超えて、500回まで樹脂層にクラックが無い
△:温度サイクル試験で50回を超えて、200回まで樹脂層にクラックが無い
×:温度サイクル試験で50回までに、樹脂層にクラックが生じる
6.耐絶縁劣化特性
耐絶縁劣化特性は、85℃/85%/5.0Vの高温高湿バイアス試験行い、絶縁抵抗値を測定し、評価した。各符号は、以下の通りである。
◎:高温高湿バイアス試験において1000hrsで100MΩを維持している
○:高温高湿バイアス試験において500hrsで100MΩを維持している
△:高温高湿バイアス試験において100hrsで100MΩを維持している
×:高温高湿バイアス試験において100hrs以内でも100MΩを維持できない
表1から明らかなように、実施例1〜3は、誘電率および誘電正接が低く、かつレーザー加工性、線膨張係数、密着性、耐クラック性、耐湿信頼性に優れていたが、比較例1は耐湿信頼性、比較例2は耐クラック性に問題があった。
本発明の樹脂組成物を用いて得られる樹脂層は、回路基板、プリント配線板、多層配線板、半導体装置、液晶表示装置などの用途に好適である。本発明の樹脂組成物は、GHz帯で優れた誘電特性を有し、また、耐熱性に優れるため、実装信頼性および層間の接続信頼性を有し、さらに、優れたレーザー加工性を有するからである。
本発明の樹脂層付きキャリア材料の一例を示す断面図である。 本発明の回路基板の一例を示す断面図である。
符号の説明
1 樹脂層付きキャリア材料
2 キャリア材料
3 樹脂層
31 開口部
32 導体回路
5 コア基板
51 開口部
52 導体回路
10 回路基板

Claims (16)

  1. シアヌレート樹脂(A)、溶媒可溶性ポリイミド樹脂(B)および溶媒可溶性エポキシ樹脂(C)を含む樹脂組成物。
  2. 前記シアヌレート樹脂(A)は、ジアリルモノグリシジルイソシアヌル酸またはモノアリルジグリシジルイソシアヌル酸である請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記溶媒可溶性ポリイミド樹脂(B)は、ポリイミドシロキサン樹脂である請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記ポリイミドシロキサン樹脂は、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物の中から選ばれた少なくとも1種の芳香族テトラカルボン酸成分と、一般式(1)で表されるジアミノポリシロキサン10〜80モル%及び芳香族ジアミン20〜90モル%からなるジアミン成分とを反応させて合成された可溶性ポリイミドシロキサン樹脂である請求項3記載の樹脂組成物。
  5. 前記溶媒可溶性エポキシ樹脂(C)は、アラルキル変性エポキシ樹脂である請求項1乃至4のいずれかに記載の樹脂組成物。
  6. 前記樹脂組成物は、シアネート樹脂(D)を含む請求項1乃至5にいずれかに記載の樹脂組成物。
  7. 前記シアネート樹脂(D)は、一般式(2)で表されるシアネート化合物、一般式(3)で表されるシアネート化合物、及び、これらの化合物のシアネート基が40%以下で3量化した、少なくとも二つ以上のシアネート基を有するシアネート化合物の中から選ばれた少なくとも1種のシアネート化合物である請求項6記載の樹脂組成物。
  8. 前記樹脂組成物は、無機フィラー(E)を含むものである請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂組成物。
  9. 前記無機フィラー(E)は、シリカである請求項8に記載の樹脂組成物。
  10. 前記無機フィラー(E)は、1μm以下の平均粒径を有するものである請求項8または9に記載の樹脂組成物。
  11. 前記無機フィラーは、前記溶媒可溶性ポリイミド樹脂(B)を可溶な溶媒(F)中で、予め分散させたものである請求項8〜10のいずれかに記載の樹脂組成物。
  12. 前記ポリイミド樹脂(B)を可溶な溶媒(F)は、N−メチル−2−ピロリドンである請求項11に記載の樹脂組成物。
  13. さらに、イミダゾール系触媒(G)を含んでなる請求項1〜12のいずれかに記載の樹脂組成物。
  14. 請求項1〜13のいずれかに記載の樹脂組成物で構成されていることを特徴とする樹脂層。
  15. 請求項14に記載の樹脂層が、キャリア材料の少なくとも片面に形成されていることを特徴とする樹脂層付きキャリア材料。
  16. 請求項14に記載の樹脂層を有することを特徴とする回路基板。
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