JP2012213900A - 熱伝導性ポリイミド−金属基板 - Google Patents

熱伝導性ポリイミド−金属基板 Download PDF

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智典 安藤
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宏遠 王
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Abstract

【課題】絶縁層の厚みが比較的厚い場合でも、熱伝導特性や耐熱性に優れ、金属積層体の反りが小さく、加工性、ハンドリング性にも優れた熱伝導性ポリイミド−金属基板を提供する。
【解決手段】熱伝導性ポリイミド−金属基板は、金属層と金属層に積層された絶縁層とを備える。絶縁層は、ポリイミド樹脂中に球状及び板状の熱伝導性フィラーを含有するとともに、全熱伝導性フィラーの含有量が45〜70vol%の範囲内であるフィラー高密度含有ポリイミド樹脂層を有する。ポリイミド樹脂は、ジアミン成分として4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを全ジアミン成分に対して50mol%以上用いて合成され、かつ、そのガラス転移温度が250℃以上である熱可塑性樹脂であり、フィラー高密度含有ポリイミド樹脂層における全熱伝導性フィラーに対する板状フィラーの体積比率が25〜75vol%の範囲内である。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱伝導特性に優れる絶縁層を有し、放熱基板や回路基板に好適に使用される熱伝導性ポリイミド−金属基板に関するものである。
近年、携帯電話に代表される電子機器の小型化、軽量化に対する要求が高まってきており、それに伴い機器の小型化、軽量化に有利なフレキシブル回路基板が電子技術分野において広く使用されるようになってきている。その中でもポリイミド樹脂を絶縁層とするフレキシブル回路基板は、その耐熱性、耐薬品性などが良好なことから従来から広く用いられている(特許文献1)。
ところで、最近の電子機器の小型化により、回路の集積度は上がってきており、情報処理の高速化とも相まって、機器内に生じる熱の放熱手段が注目されている。また、地球温暖化を始めとする環境問題への意識の高まりにより、環境負荷が低くかつ省エネルギーな製品が強く求められるようになっている。その代表例として、車載用途等に使用されるパワー半導体材料であるSiCが挙げられるが、高温作動させるため使用時に発生する熱を効率的に逃がすことが重要となっている。
そこで、高耐熱である放熱用回路基板を提供するために、絶縁層を構成するポリイミドフィルムに関し、厚み方向の熱伝導率を向上させる検討がなされている(特許文献1)。また、熱伝導性フィラーを含有する熱伝導性ポリイミドフィルムに関して、シロキサンジアミンから誘導されるポリイミドに熱伝導性フィラーを分散させたポリイミドフィルム複合材料も提案されている(特許文献2)。
しかし、上記従来技術のポリイミドフィルムの厚み方向の熱伝導率では、パワー半導体実装用放熱基板としての性能が不足しており、改善の必要があった。そのため熱伝導性の向上を目的としてポリイミドに窒化アルミニウムを分散させたポリイミドフィルム複合材料も提案されている(特許文献3)。しかしながら、ここに開示された技術は金属層との接着性を考慮してか、絶縁層を構成するポリイミド樹脂にガラス転移点温度が低いものを用いており、電子材料基板として用いる場合、耐熱性が不十分であった。
また、厚み方向の熱伝導率の向上を目的として、ポリイミド樹脂に熱伝導性フィラーを高含有率で分散させた場合、基板が反るといった問題が生じる。この反りを抑制するためには、金属箔の熱膨張係数に対して絶縁層であるポリイミド樹脂層の熱膨張係数を最適化する必要がある。その手法として、球状フィラーの他に板状の熱伝導性フィラーを併用することが有用であるが、絶縁層の厚みが厚くなるに従い前記フィラー形状による制御だけでは反りの制御が困難であった。
放熱特性と金属と絶縁層との接着性に優れた熱伝導性のフレキシブル基板を得る手法として、熱伝導性フィラーを配合した特定の構造単位を有するポリイミド樹脂層と、このポリイミド樹脂層よりもガラス転移温度が低いポリイミド樹脂層を積層した熱伝導性のフレキシブル積層基板が提案されている(特許文献4)。また、フレキシブル基板に適用可能な熱伝導性基板を得るために、熱伝導性フィラーとして、平均長径が0.1〜15μmの板状フィラーと、平均粒径が0.05〜10μmの球状フィラーを所定比率で組み合わせて配合した高熱伝導性金属張積層体の提案もなされている(特許文献5)。
しかし、上記特許文献4で提案された積層基板は、金属層との接着性を担保するため、接着層を介して熱伝導性フィラーを含有する樹脂層と金属層とが積層一体化されている。そのため、接着層が熱伝導性を阻害し、基板としての熱伝導性が低下するという問題を有している。また、特許文献4で提案された積層基板は、耐屈曲性に優れたフレキシブル基板への適用を目的としているため、絶縁層の厚みが50μmを超えると反りの制御が困難であると推測される。
また、上記特許文献5で提案された金属張積層体は、熱伝導性フィラーを多量に含有させると絶縁層の物性低下を招くおそれがあり、さらに、絶縁層と金属層間に接着層を有しないと接着性が不足する可能性があることから、熱伝導性の向上には限界があると考えられる。そこで、絶縁層の厚みが200μm程度までの金属張積層体において、効果的に反りを抑制し、かつ絶縁層の熱伝導性を向上させる技術の提供が望まれていた。
特開2006−274040号公報 特開2006−169533号公報 特開2008−007590号公報 国際公開WO 2009/110387 国際公開WO 2010/027070
本発明は、絶縁層の厚みが比較的厚い場合でも、熱伝導特性や耐熱性に優れ、金属積層体の反りが小さく、加工性、ハンドリング性にも優れた熱伝導性ポリイミド−金属基板を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決するために検討を重ねた結果、金属張積層体における熱伝導性フィラーを高い割合で含有する絶縁層の樹脂に、特定の構造を有するポリイミド樹脂を用い、熱伝導性フィラーとして球状フィラーと板状フィラーを併用するとともに、板状フィラーを一定量以上の体積比率で含有させることで、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の熱伝導性ポリイミド−金属基板は、金属層と、該金属層に積層された絶縁層と、を備えた熱伝導性ポリイミド−金属基板であって、
前記絶縁層は、ポリイミド樹脂中に熱伝導性フィラーとして球状フィラー及び板状フィラーを含有するとともに全熱伝導性フィラーの含有量が45〜70vol%の範囲内であるフィラー高密度含有ポリイミド樹脂層を有し、
前記フィラー高密度含有ポリイミド樹脂層のポリイミド樹脂が、ジアミン成分として4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを全ジアミン成分に対して50mol%以上用いて合成され、かつ、そのガラス転移温度が250℃以上である熱可塑性ポリイミド樹脂であり、
前記フィラー高密度含有ポリイミド樹脂層における全熱伝導性フィラーに対する板状フィラーの体積比率が25〜75vol%の範囲内であることを特徴とする。
また、本発明の熱伝導性ポリイミド−金属基板は、絶縁層の少なくとも一方の面が金属層と直接接し、その金属層と直接接する絶縁層がフィラー高含有ポリイミド樹脂層であることが好ましい。
また、本発明の熱伝導性ポリイミド−金属基板は、前記絶縁層の厚みが20〜200μmの範囲内にあり、前記金属層の厚みが5〜2000μmの範囲内にあることが好ましい。
また、本発明の熱伝導性ポリイミド−金属基板は、前記絶縁層の厚み方向における熱伝導率が1.5W/mK以上であることが好ましい。
また、本発明の熱伝導性ポリイミド−金属基板は、金属層が銅箔又はアルミ箔であり、前記絶縁層との接着面の表面粗度(Ra)が、0.05〜1.0μmの範囲内であることが好ましい。
本発明の熱伝導性ポリイミド−金属基板は耐熱性、熱伝導性に優れ、基板の反りも小さいことから量産時や加工時のハンドリング特性にも優れている。従って、高い放熱性が求められる電子機器、照明機器などの基板材料として工業的に広く用いることができる。
本発明の熱伝導性ポリイミド−金属基板は、金属層と絶縁層とを備えている。以下、本明細書において単に「金属張積層体」というときは、特に断わりのない限り、本発明の熱伝導性ポリイミド−金属基板を指すものとする。
[絶縁層]
本発明の金属張積層体の絶縁層は、ポリイミド樹脂層をマトリックス樹脂として、この樹脂中に熱伝導性フィラーを45〜70vol%の範囲で含有するフィラー高密度含有ポリイミド樹脂層を有している。
<ポリイミド樹脂>
絶縁層のマトリックスを形成するポリイミド樹脂は、ポリイミド原料であるジアミン成分として、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(4,4’−DAPE)を全ジアミン成分に対して50mol%以上用いて合成されたものであり、かつガラス転移点(Tg)が250℃以上である熱可塑性ポリイミドである。一般的に、ポリイミド樹脂は下記の一般式(1)で表される。
Figure 2012213900
(式中、基Ar1は、少なくとも2価の芳香族ジアミン残基を示し、基Arは、4価の酸二無水物残基を示す。)
上記一般式(1)において、基Ar1は、ジアミン残基を表すので、本発明の場合は、基Ar1が4,4’−ジアミノジフェニルエーテルの残基である構造単位をポリイミド樹脂中に50mol%以上含有することが必要であり、80mol%以上含有することが好ましい。ポリイミド樹脂は、基Ar1が4,4’−ジアミノジフェニルエーテルの残基である構造単位を100mol%含むものであることがより好ましい。ポリイミド樹脂中、一般式(1)で表される構造単位の含有量が50mol%未満であると、ポリイミド樹脂層の形成時(前駆体であるポリアミド酸層の乾燥時から硬化の初期段階)において樹脂層の寸法変化量が大きくなり、目的とする基板の反り量が大きくなる。
一般式(1)中、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル以外の芳香族ジアミンの具体例としては、次に示すような芳香族ジアミンの残基を挙げることができる。すなわち、4,6-ジメチル-m-フェニレンジアミン、2,5-ジメチル-p-フェニレジアミン、2,4-ジアミノメシチレン、4,4'-メチレンジ-o-トルイジン、4,4'-メチレンジ-2,6-キシリジン、4,4'-メチレン-2,6-ジエチルアニリン、2,4-トルエンジアミン、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、4,4'-ジアミノジフェニルプロパン、3,3'-ジアミノジフェニルプロパン、4,4'-ジアミノジフェニルエタン、3,3'-ジアミノジフェニルエタン、4,4'-ジアミノジフェニルメタン、3,3'-ジアミノジフェニルメタン、4,4'-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3'-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4'-ジアミノジフェニルスルホン、3,3'-ジアミノジフェニルスルホン、3,3-ジアミノジフェニルエーテル、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、ベンジジン、3,3'-ジアミノビフェニル、3,3'-ジメチル-4,4'-ジアミノビフェニル、3,3'-ジメトキシベンジジン、4,4'-ジアミノ-p-テルフェニル、3,3'-ジアミノ-p-テルフェニル、ビス(p-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(p-β-アミノ-t-ブチルフェニル)エーテル、ビス(p-β-メチル-δ-アミノペンチル)ベンゼン、p-ビス(2-メチル-4-アミノペンチル)ベンゼン、p-ビス(1,1-ジメチル-5-アミノペンチル)ベンゼン、1,5-ジアミノナフタレン、2,6-ジアミノナフタレン、2,4-ビス(β-アミノ-t-ブチル)トルエン、2,4-ジアミノトルエン、m-キシレン-2,5-ジアミン、p-キシレン-2,5-ジアミン、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミン、2,6-ジアミノピリジン、2,5-ジアミノピリジン、2,5-ジアミノ-1,3,4-オキサジアゾール、ピペラジン、2,2'-ジメチル-4,4'-ジアミノビフェニル、3,7-ジアミノジベンゾフラン、1,5-ジアミノフルオレン、ジベンゾ-p-ジオキシン-2,7-ジアミン、4,4'-ジアミノベンジルなどが挙げられる。
また、Arは4価の酸二無水物残基であり、好ましくは芳香族酸二無水物の残基である。このような酸二無水物残基を与える芳香族酸二無水物の具体例としては、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、2,2',3,3'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ナフタレン-2,3,6,7-テトラカルボン酸二無水物(NTCDA)、ナフタレン-1,2,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン-1,2,4,5-テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン-1,2,6,7-テトラカルボン酸二無水物、4,8-ジメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロナフタレン-1,2,5,6-テトラカルボン酸二無水物、4,8-ジメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロナフタレン-2,3,6,7-テトラカルボン酸二無水物、2,6-ジクロロナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、2,7-ジクロロナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-テトラクロロナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-テトラクロロナフタレン-2,3,6,7-テトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、2,2',3,3'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3'',4,4''-p-テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2'',3,3''-p-テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3'',4''-p-テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)-プロパン二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)-プロパン二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3.4-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ペリレン-2,3,8,9-テトラカルボン酸二無水物、ペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸二無水物、ペリレン-4,5,10,11-テトラカルボン酸二無水物、ペリレン-5,6,11,12-テトラカルボン酸二無水物、フェナンスレン-1,2,7,8-テトラカルボン酸二無水物、フェナンスレン-1,
2,6,7-テトラカルボン酸二無水物、フェナンスレン-1,2,9,10-テトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、ピラジン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ピロリジン-2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、チオフェン-2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、4,4'-オキシジフタル酸二無水物などが挙げられる。
本発明では、ジアミン成分として4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを必須成分とするものであるが、これと組み合わせて使用できる芳香族酸二無水物としては、3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物が好ましい。4,4’−ジアミノジフェニルエーテルと3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物とをポリイミド樹脂の原料として組み合わせて用いることによって、金属張積層体の反りを抑制する効果が顕著に発揮される。
ポリイミド樹脂層を構成するポリイミド樹脂を合成する場合、ジアミン、酸無水物はそれぞれ1種のみを使用してもよく、2種以上を併用することもできる。
上記のとおり、フィラー高密度含有ポリイミド樹脂層を構成するポリイミド樹脂のガラス転移点(Tg)は、250℃以上で、かつ熱可塑性の特性を示す熱可塑性ポリイミドである。この熱可塑性ポリイミドのガラス転移点(Tg)は250〜320℃の範囲内にあることが好ましい。ガラス転移点(Tg)が250℃に満たないと放熱基板としての耐熱性に劣り、320℃を超えると金属層との密着性が十分に確保できなくなるおそれがある。ジアミン成分として4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを全ジアミン成分に対して50mol%以上用いることにより、ポリイミド樹脂のガラス転移点を250℃以上にすることが容易になり、高い耐熱性を付与できる。
<熱伝導性フィラー>
フィラー高密度含有ポリイミド樹脂層中の熱伝導性フィラーの含有割合は、45〜70vol%の範囲内であることが必要であり、50〜70vol%の範囲内が好ましい。熱伝導性フィラーの含有割合が45vol%に満たないと、回路基板等の電子部品とした際の放熱特性が十分でなく、70vol%を超えるとポリイミド樹脂(ポリアミド酸)中に熱伝導性フィラーを含有させた場合、ワニスが高粘度化し金属張積層体の作製が困難となる。また、熱伝導性フィラー中に占める板状フィラーの比率は、25〜75vol%である必要がある。熱伝導性フィラー中に占める板状フィラーの比率が25vol%未満もしくは75vol%超であると金属張積層体の反り量が大きくなる。反りを効果的に抑制する観点から、熱伝導性フィラー中に占める板状フィラーの比率は、50〜75vol%の範囲内が好ましい。
さらに、本発明で使用する球状の熱伝導性フィラーの平均粒子径は5μm以下であることが好ましい。ここで、球状とは、形状が球形又は球形に近いもので、平均長径と平均短径との比が1又は1に近いもの(好ましくは0.8以上)を意味する。球状フィラーとしては、例えば酸化アルミニウム、窒化アルミニウムのいずれかを含むことが好ましく、特に、高い熱伝導性を担保し、反りを効果的に抑制できることから、球状の熱伝導性フィラーのすべてを窒化アルミニウムとすることがより好ましい。
球状フィラーの平均粒子径が5μm以下であることが好ましい理由は、平均粒子径が5μmを超えると、外観不良を起こしやすくなったり、フィラーと樹脂との界面にボイドが発生しやすくなって耐電圧が低下したりしやすくなるためである。
本発明で使用する板状の熱伝導性フィラーとは、フィラー形状が板状、燐片状のフィラーで、平均厚みが、平面部分の平均長径又は平均短径より十分に小さいもの(好ましくは1/2以下)をいう。また、板状フィラーの平均長径Dは0.1〜15μmの範囲にあることが好ましい。平均長径Dが0.1μmに満たないと、熱伝導率が低く、熱膨張係数が大きくなり、板状フィラーとしての効果が小さくなってしまう。一方、平均長径Dが15μmを超えると製膜時に配向させることが困難となる。ここで、平均長径Dとは、板状フィラーの長手直径の平均値を意味する。板状フィラーの好ましい具体例を挙げると、窒化ホウ素、酸化アルミニウムが挙げられ、これらを単独で又は2種以上併用して使用することもできる。また、平均長径Dは、0.5〜10μmの範囲にあることが高熱伝導性を得る観点から好ましい。本発明に用いる板状フィラーの最適なものは、平均長径Dが2〜9μmの窒化ホウ素である。なお、平均径はメディアン径を意味し、モード径は上記範囲で1つであることがよく、これは球状フィラーについても同様である。
<絶縁層の構造>
絶縁層は、上記フィラー高密度含有ポリイミド樹脂層を有していれば、単層に限らず複数層とすることもできる。例えば、金属層とフィラー高密度含有ポリイミド樹脂層との間に、フィラーを含有しない絶縁層を設けることもできる。ただし、フィラーを含有しない絶縁層の厚みによっては、金属張積層体の熱伝導率が低下するので、放熱の効率を維持するために、金属層と接する絶縁層にはフィラーが含有されていることが好ましく、またその厚みは薄く(3μm以下)することが好ましい。この場合には、金属層との接着性を担保するためフィラー高密度含有ポリイミド樹脂層よりもフィラー含有率を低くすることが好ましい。
なお、本発明による熱伝導性ポリイミド−金属基板の積層構成の代表例を示すと下記のA)〜D)の積層構造が例示できる。
A)金属層1/フィラー高密度含有ポリイミド樹脂層
B)金属層1/フィラー高密度含有ポリイミド樹脂層/金属層2
C)金属層1/フィラー高密度含有ポリイミド樹脂層/ポリイミド樹脂層/金属層2
D)金属層1/フィラー低含有ポリイミド樹脂層/フィラー高密度含有ポリイミド樹脂層/ポリイミド樹脂/金属層2
上記A)〜D)の積層構造の中でも、優れた厚み方向の熱伝導率を得る観点から、フィラー高密度含有ポリイミド樹脂層と金属層とが直接接触しているA)〜C)が好ましく、絶縁層がフィラー高密度含有ポリイミド樹脂層のみ(単層)で形成されているA)及びB)がより好ましい。
絶縁層の厚みは、例えば20〜200μmの範囲内が好ましく、50〜150μmの範囲内がより好ましい。絶縁層の厚みが20μmに満たないと、絶縁層が脆く破れ易くなり、一方で200μmを超えると熱抵抗が高くなるため高熱伝導ポリイミド−金属基板としての性能が発現しにくい。
絶縁層は、その厚み方向の熱伝導率が1.5W/m・K以上であることが好ましく、2.0W/m・K以上であることがより好ましい。絶縁層の全体の厚み方向の熱伝導率が1.5W/m・K以上であることにより、金属張積層体の放熱特性が優れたものとなり、高温環境で使用される回路基板等への適用が可能になる。このように優れた熱伝導率は、絶縁層を構成するポリイミド樹脂層への熱伝導性フィラーの添加量を45vol%以上にすることによって実現できる。ポリイミド樹脂層への熱伝導性フィラーの添加量が45vol%未満である場合、絶縁層の全体の厚み方向の熱伝導率が1.5W/mK未満となり放熱特性が低下する。本発明の金属張積層体では、特に、絶縁層の全体の厚みに占めるフィラー高密度含有ポリイミド樹脂層の厚みの割合を100%とし、接着層を介在させないことによって、高い熱伝導率を得ることができる。なお、本明細書において、特に断りがない限り、熱伝導率は、層の厚み方向の熱伝導率(λzTC)を意味する。
なお、絶縁層のポリイミド樹脂層中には、上記物性を損なわない限りにおいて、例えば加工助剤、抗酸化剤、光安定剤、難燃剤、帯電防止剤、界面活性剤、分散剤、沈降防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、熱伝導性以外の有機もしくは無機フィラーなどの任意成分を含むことができる。
[金属層]
本発明の金属張積層体における金属層としては、例えば銅、アルミニウム、鉄、銀、パラジウム、ニッケル、クロム、モリブデン、タングステン、亜鉛及びそれらの合金等の導電性金属箔を挙げることができ、これらの中でも銅箔又は銅を90%以上含む合金銅箔やアルミ箔が好ましく用いられる。金属層の好ましい厚み範囲は、金属張積層体の用途に応じて設定できるが、電子機器、照明機器などの基板材料として使用する場合は、例えば5〜2000μmの範囲内とすることが好ましい。金属層の厚みが5μmに満たないと、製造工程における搬送時にシワが入るなどの不具合が生じるおそれがあり、反対に2000μmを超えると加工性が低下する場合がある。
また、金属層として用いる導電性金属箔は、絶縁層との接着性と微細回路加工性との両立を図るために、絶縁層と接着する面の表面粗度(Ra)が、例えば0.05〜1.0μmの範囲内であることが好ましい。絶縁層と接着する面の表面粗度(Ra)が0.05μm未満では、金属張積層体の用途によって金属層と絶縁層が剥がれやすくなることがあり、例えば、金属張積層体をフレキシブル基板材料として利用する場合に不向きとなる。一方、絶縁層と接着する面の表面粗度(Ra)が1.0μmを超えると、粗化によるアンカー効果により金属層と絶縁層との接着性は良好となるが、金属層を配線加工した際における配線形状の悪化が懸念される。
[製造方法]
次に、熱伝導性ポリイミド−金属基板(金属張積層体)の製造方法の一例について説明する。金属張積層体は、金属基板の金属層となる金属基材上にポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミド酸に熱伝導性フィラーを分散させたフィラー含有ポリアミド酸を、金属基材上に直接塗布し、乾燥及び硬化させることによって形成することができる。この場合、フィラー高密度含有ポリイミド樹脂層上に、さらに同様の方法で、任意にフィラーを含有する他のポリイミド樹脂層を積層形成してもよい。ここで、金属基材としては、放熱基板や回路基板の導体層となる上記した銅箔等の金属箔を用いることができる。
金属基材上へのフィラー含有ポリアミド酸溶液の塗布は、公知の方法で行うことができ、例えば、バーコード方式、グラビアコート方式、ロールコート方式、ダイコート方式等から適宜選択して採用することができる。
本発明をよりわかりやすく説明するために、絶縁層の片面に金属層を有する金属張積層体の製造例を示す。ここでは、ポリイミド樹脂層が、1層のフィラー高密度含有ポリイミド樹脂層のみにより構成される場合を例に挙げて説明する。まず、金属張積層体の金属層を構成する銅箔などの金属箔を準備する。この金属箔上にフィラー高密度含有ポリイミド樹脂層を形成するための熱伝導性フィラー入りのポリアミド酸溶液を塗布し、例えば140℃以下の温度で乾燥し一定量の溶媒を除去する。その後、更に高温で熱処理してポリアミド酸をイミド化し、フィラー高密度含有ポリイミド樹脂層の片面に金属層を有する金属張積層体とする。ここで、イミド化のための熱処理は、例えば130〜360℃の範囲内の加熱温度で、段階的に15〜60分程度の時間をかけて行うことが好ましい。このような段階的な熱処理によって、熱硬化段階における絶縁層の寸法変化を小さく、反りを抑制できる。なお、熱処理の温度が130℃より低いとポリイミドの脱水閉環反応が十分に進行せず、反対に360℃を超えると、ポリイミド樹脂層及び金属層が酸化等により劣化するおそれがある。
また、上記熱伝導性フィラーを含有するポリアミド酸溶液の調製は、例えば、予め重合して得られた溶媒を含むポリアミド酸溶液に熱伝導性フィラーを所定量添加し、攪拌装置などで分散させることで調製する方法や、溶媒中に熱伝導性フィラーを分散させながらジアミンと酸無水物を添加して重合を行い調製する方法が挙げられる。ここで、ポリアミド酸は、芳香族ジアミン成分と芳香族テトラカルボン酸二無水物成分とを実質的に等モル使用し、溶媒中で重合する公知の方法によって製造することができる。すなわち、例えば窒素気流下でN,N−ジメチルアセトアミドなどの溶媒に上記芳香族ジアミン成分を溶解させた後、芳香族テトラカルボン酸二無水物を加えて、室温で3時間程度反応させることによりポリアミド酸が得られる。
フィラー高密度含有ポリイミド樹脂層を形成する目的に適したポリアミド酸の好ましい重合度は、その粘度範囲で表したとき、例えば溶液粘度が5〜2,000Pの範囲内であることが好ましく、50〜200Pの範囲内がより好ましい。上記粘度範囲であれば、熱伝導性フィラーを配合しても均一な分散状態に保つことができる。溶液粘度の測定は、恒温水槽付のコーンプレート式粘度計によって行うことができる。なお、上記溶媒には、N,N−ジメチルアセトアミドの他、n−メチルピロリジノン、2−ブタノン、ジグライム、キシレン等が挙げられ、これらを1種若しくは2種以上併用して使用することもできる。
以上のように、本実施の形態の金属張積層体は、熱伝導性フィラーの種類や含有量を適正範囲にし、また、使用するポリイミド原料を選択している。これによって、接着層を介在させなくても金属層とフィラー高密度含有ポリイミド樹脂層との実用的接着強度を有しており、絶縁層は十分な耐熱性を有し、かつ熱伝導性に優れたものとなる。また、本実施の形態の金属張積層体は、反りも小さいことから量産時や加工時のハンドリング特性にも優れている。したがって、本実施の形態の金属張積層体は、高い放熱性が求められる電子機器、照明機器などの基板材料として、工業的に広く用いることが可能であり、例えばパワー半導体実装用放熱基板などの放熱基板や、フレキシブル基板に代表される回路基板等の用途で使用するために特に適したものである。
実施例で用いた略号は以下の化合物を示す。
4,4’‐DAPE:4,4’−ジアミノジフェニルエーテル
APB:1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン
BTDA:3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物
BPDA:3,3’4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
DMAc:N,N−ジメチルアセトアミド
また、実施例において評価した各特性については、下記評価方法に従った。
[CCLカール(最大反り量)]
積層体を50mm×50mmのサイズに切り出し、恒温恒湿環境下(23℃、50%RH)で24時間放置後に、ノギスを用いて4隅の反り量の測定を実施した。この際、樹脂面側へ反っている場合は+、金属面側へ反っている場合は−とし、最も反り量の大きいところをCCL最大反り量とした。この場合、最大反り量の絶対値が10mm以下である場合を「良」、同5mm以下である場合を「優良」と判断した。
[厚み方向熱伝導率(λzTC)]
各実施例・比較例と同じ樹脂組成及び熱伝導性フィラーの配合量で、厚さ100μmのポリイミドフィルムのサンプルを別に作製した。このポリイミドフィルムを20mm×20mmのサイズに切り出し、白金による蒸着、黒化処理を行った後、レーザーフラッシュ法による厚み方向の熱拡散率(NETZSCH社製キセノンフラッシュ
アナライザー LFA 447 Nanoflash)、DSCによる比熱、気体置換法による密度をそれぞれ測定し、これらの結果をもとに熱伝導率(W/m・K)を算出した。
[熱膨張係数(CTE)]
3mm×15mmのサイズのポリイミドフィルムを、熱機械分析(TMA)装置(セイコーインスツル社製)にて5gの荷重を加えながら一定の昇温速度(20℃/min)で30℃から260℃の温度範囲で引張り試験を行い、温度に対するポリイミドフィルムの伸び量から熱膨張係数(ppm/K)を測定した。
[ガラス転移温度(Tg)]
ポリイミドフィルム(10mm×22.6mm)を動的熱器械分析装置(ティー・エイ・インスツルメント社製)にて20℃から500℃まで5℃/分で昇温させたときの動的粘弾性を測定し、ガラス転移温度(tanδ極大値:℃)を求めた。
合成例1
窒素気流下で、4,4’-DAPE(17.29g、0.0863mol)を500mlのセパラブルフラスコの中で攪拌しながら溶剤DMAc255g中に溶解させた。次いで、BTDA(27.65g、0.0858mol)を加えた。その後、溶液を室温で3時間攪拌を続けて重合反応を行い、淡黄色の粘稠なポリアミド酸溶液(P1)を得た。
合成例2
窒素気流下で、APB(37.45g、0.1281mol)を500mlのセパラブルフラスコの中で攪拌しながら溶剤DMAc225g中に溶解させた。次いで、BPDA(37.45g、0.1273mol)を加えた。その後、溶液を室温で3時間攪拌を続けて重合反応を行い、無色の粘稠なポリアミド酸溶液(P2)を得た。
実施例1
固形分濃度15wt%のポリアミド酸溶液(P1)200重量部と、球状フィラーとして窒化アルミニウム[(株)トクヤマ製、商品名:AlN(Hグレード)、球状、平均粒径1.1μm]を18.2重量部と、窒化ホウ素[電気化学工業(株)製、商品名:SP−3’、板状、平均長径2.2μm]を37.9重量部とを均一になるまで遠心攪拌機で混合し、続いてDMAcを40重量部添加し、再度均一になるまで遠心攪拌機で混合し、熱伝導性フィラーを含有するポリアミド酸溶液を得た。このポリアミド酸の溶液を硬化後の厚みが約40〜50μmとなるように塗布し、130℃で加熱乾燥し溶剤を除去した。その後、130〜300℃の温度範囲で、段階的に20分かけて昇温加熱して、厚さ12μmの電解銅箔(Ra=0.11μm)上にポリイミド樹脂中に熱伝導性フィラーが分散した絶縁層を形成し、金属張積層体を作製した。この絶縁層における窒化アルミニウムの含有量は12.5vol%、窒化ホウ素の含有量は37.5vol%であり、全熱伝導性フィラーに対する板状フィラーの体積比率が75vol%であった。得られた金属張積層体のCCL反り量を測定した。
また、得られた金属張積層体における絶縁層の特性を評価するために銅箔をエッチング除去して絶縁フィルム(F1)を作製し、ガラス転移温度を評価した。また、熱伝導率の測定は、別に調製しておいた厚さ100nmのサンプルによって実施した。
実施例2
固形分濃度15wt%のポリアミド酸溶液(P1)200重量部と、球状フィラーとして窒化アルミニウム[(株)トクヤマ製、商品名:AlN(Hグレード)、球状、平均粒径1.1μm]を36.5重量部と、窒化ホウ素(電気化学工業(株)製、商品名:SP−3’、板状、平均長径2.2μm)を25.3重量部使用したこと、並びに、得られたポリアミド酸溶液の硬化後の厚みが約20μmとなるように塗布したこと以外は実施例1と同様に行って絶縁層及び金属張積層体を形成した。この絶縁層における窒化アルミニウムの含有量は25.0vol%、窒化ホウ素の含有量は25.0vol%であり、全熱伝導性フィラーに対する板状フィラーの体積比率が50vol%であった。さらに、実施例1と同様にして、金属張積層体のCCL反り量、絶縁フィルムのガラス転移温度及び熱伝導率を測定した。
実施例3
固形分濃度15wt%のポリアミド酸溶液(P1)200重量部と、球状フィラーとして窒化アルミニウム[(株)トクヤマ製、商品名:AlN(Hグレード)、球状、平均粒径1.1μm]を36.5重量部と、窒化ホウ素[電気化学工業(株)製、商品名:SP−3’、板状、平均長径2.2μm]を25.3重量部使用したこと以外は実施例1と同様に行って絶縁層及び金属張積層体を形成した。この絶縁層における窒化アルミニウムの含有量は25.0vol%、窒化ホウ素の含有量は25.0vol%であり、全熱伝導性フィラーに対する板状フィラーの体積比率が50vol%であった。さらに、実施例1と同様にして、金属張積層体のCCL反り量、絶縁フィルムのガラス転移温度及び熱伝導率を測定した。
実施例4
固形分濃度15wt%のポリアミド酸溶液(P1)200重量部と、球状フィラーとして酸化アルミニウム[住友化学(株)製、商品名:AA−1.5、球状、平均粒径1.5μm]を44.5重量部と、窒化ホウ素[電気化学工業(株)製、商品名:SP−3’、板状、平均長径2.2μm]を25.3重量部使用したこと以外は実施例1と同様に行って絶縁層及び金属張積層体を形成した。この絶縁層における窒化アルミニウムの含有量は25.0vol%、窒化ホウ素の含有量は25.0vol%であり、全熱伝導性フィラーに対する板状フィラーの体積比率が50vol%であった。さらに、実施例1と同様にして、金属張積層体のCCL反り量、絶縁フィルムのガラス転移温度及び熱伝導率を測定した。
実施例5
固形分濃度15wt%のポリアミド酸溶液(P1)200重量部と、球状フィラーとして窒化アルミニウム[(株)トクヤマ製、商品名:AlN(Hグレード)、球状、平均粒径1.1μm]を54.7重量部と、窒化ホウ素[電気化学工業(株)製、商品名:SP−3’、板状、平均長径2.2μm]を12.6重量部使用したこと以外は実施例1と同様に行って絶縁層及び金属張積層体を形成した。この絶縁層における窒化アルミニウムの含有量は37.5vol%、窒化ホウ素の含有量は12.5vol%であり、全熱伝導性フィラーに対する板状フィラーの体積比率が25vol%であった。さらに、実施例1と同様にして、金属張積層体のCCL反り量、絶縁フィルムのガラス転移温度及び熱伝導率を測定した。
比較例1
固形分濃度15wt%のポリアミド酸溶液(P1)200重量部と、球状フィラーとして窒化アルミニウム[(株)トクヤマ製、商品名:AlN(Hグレード)、球状、平均粒径1.1μm]を73.0重量部使用したこと以外は実施例1と同様に行って絶縁層及び金属張積層体を形成した。この絶縁層における窒化アルミニウムの含有量は50.0vol%である。さらに、実施例1と同様にして、金属張積層体のCCL反り量、絶縁フィルムのガラス転移温度及び熱伝導率を測定した。
比較例2
固形分濃度15wt%のポリアミド酸溶液(P1)200重量部と、球状フィラーとして酸化アルミニウム[住友化学(株)製、商品名:AA−1.5、球状、平均粒径1.5μm]を89.1重量部使用したこと以外は実施例1と同様に行って絶縁層及び金属張積層体を形成した。この絶縁層における酸化アルミニウムの含有量は50.0vol%である。さらに、実施例1と同様にして、金属張積層体のCCL反り量、絶縁フィルムのガラス転移温度及び熱伝導率を測定した。
比較例3
固形分濃度15wt%のポリアミド酸溶液(P1)200重量部と、板状フィラーとして窒化ホウ素(電気化学工業(株)製、商品名:SP−3’、板状、平均長径2.2μm)を50.6重量部使用したこと以外は実施例1と同様に行って絶縁層及び金属張積層体を形成した。この絶縁層における窒化ホウ素の含有量は50.0vol%である。さらに、実施例1と同様にして、金属張積層体のCCL反り量、絶縁フィルムのガラス転移温度及び熱伝導率を測定した。
比較例4
固形分濃度25wt%のポリアミド酸溶液(P2)を使用したことと、追加でDMAcを50重量部添加したこと以外は実施例1と同様に行って絶縁層及び金属張積層体を形成した。この絶縁層における窒化アルミニウムの含有量は12.5vol%、窒化ホウ素の含有量は37.5vol%であり、全熱伝導性フィラーに対する板状フィラーの体積比率が75vol%であった。さらに、実施例1と同様にして、金属張積層体のCCL反り量、絶縁フィルムのガラス転移温度及び熱伝導率を測定した。
上記実施例及び比較例の結果は、表1〜4に示すとおりである。
Figure 2012213900
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Figure 2012213900
Figure 2012213900
表1〜表4に示した結果から、熱伝導性フィラーとして球状フィラー及び板状フィラーを所定の体積比率で組み合わせて含有するとともに、ジアミン成分として4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを全ジアミン成分に対して50mol%以上用いて合成されたポリイミド樹脂を用いた実施例1〜5の金属張積層体では、反り量が小さく抑制され、耐熱性及び熱伝導性も良好であった。それに対して、熱伝導性フィラーとして球状フィラー又は板状フィラーのいずれか片方のみを使用した比較例1〜3では反り量が大きく、量産時や加工時のハンドリング特性の低下が懸念された。また、ジアミン成分として4,4’−ジアミノジフェニルエーテル以外のものを使用した比較例4では、ガラス転移温度が低く、耐熱性が劣っていた。

Claims (5)

  1. 金属層と、該金属層に積層された絶縁層と、を備えた熱伝導性ポリイミド−金属基板であって、
    前記絶縁層は、ポリイミド樹脂中に熱伝導性フィラーとして球状フィラー及び板状フィラーを含有するとともに全熱伝導性フィラーの含有量が45〜70vol%の範囲内であるフィラー高密度含有ポリイミド樹脂層を有し、
    前記フィラー高密度含有ポリイミド樹脂層のポリイミド樹脂が、ジアミン成分として4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを全ジアミン成分に対して50mol%以上用いて合成され、かつ、そのガラス転移温度が250℃以上である熱可塑性ポリイミド樹脂であり、
    前記フィラー高密度含有ポリイミド樹脂層における全熱伝導性フィラーに対する板状フィラーの体積比率が25〜75vol%の範囲内であることを特徴とする熱伝導性ポリイミド−金属基板。
  2. 絶縁層の少なくとも一方の面が金属層と直接接し、その金属層と直接接する絶縁層がフィラー高密度含有ポリイミド樹脂層である請求項1に記載の熱伝導性ポリイミド−金属基板。
  3. 前記絶縁層の厚みが20〜200μmの範囲内にあり、前記金属層の厚みが5〜2000μmの範囲内にある請求項1又は2に記載の熱伝導性ポリイミド−金属基板。
  4. 前記絶縁層の厚み方向における熱伝導率が1.5W/m・K以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱伝導性ポリイミド−金属基板。
  5. 前記金属層が、銅箔又はアルミ箔であり、前記絶縁層との接着面の表面粗度(Ra)が0.05〜1.0μmの範囲内である請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱伝導性ポリイミド−金属基板。
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