JP2023023679A - 樹脂フィルム、金属張積層板、回路基板及び積層構造体 - Google Patents

樹脂フィルム、金属張積層板、回路基板及び積層構造体 Download PDF

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直樹 橘高
Naoki Kittaka
伸悦 藤元
Nobuetsu Fujimoto
宏遠 王
Hongyuan Wang
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Abstract

【課題】薄膜でありながら、放熱特性と機械的強度が実用上十分な範囲で担保されている樹脂フィルムを提供する。【解決手段】樹脂フィルム10は、フィルム状の絶縁樹脂11と、この絶縁樹脂11中に分散状態で含まれている熱伝導性フィラー12と、を備えている。樹脂フィルム10全体の厚みは、8μm以上23μm未満の範囲内、厚み方向における熱伝導度(λz)は、0.3W/m・K以上2.0W/m・K未満の範囲内、20mm幅で測定した端裂抵抗は、0.3[N]以上30.0[N]以下の範囲内である。熱伝導性フィラー12の体積平均粒子径は1.0μm超5μm未満の範囲内であることが好ましく、体積平均粒子径(D)と、膜厚(L)との比率(D/L比)が0.15以上0.50以下の範囲内であることが好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、熱伝導性に優れ、例えば、半導体モジュール等の材料として好適に使用可能な樹脂フィルム、金属張積層板、回路基板及び積層構造体に関するものである。
近年、携帯電話やスマートフォンに代表される電子機器の小型化、軽量化に対する要求が高まってきている。電子機器の小型化により、半導体モジュールにおける集積度が上がってきており、情報処理の高速化とも相まって、電子機器内で発生する熱を放熱する手段の重要性が高まっている。そこで、回路基板などの絶縁樹脂層などの用途に用いられるポリイミドに熱伝導性フィラーを配合することによって、厚み方向の熱伝導率(λz)を向上させる検討がなされている(例えば、特許文献1~3)。
しかし、厚み方向の熱伝導率(λz)を高めるために絶縁樹脂層に多量の熱伝導性フィラーを配合すると、絶縁樹脂層の表面から一部の熱伝導性フィラーが突出して外観や表面平滑性の不良を引き起こしたり、金属層との接着不良を引き起こしたりする。また、多量の熱伝導性フィラーの配合によって、絶縁樹脂層の機械的強度の低下を招くおそれがある。そのため、多量の熱伝導性フィラーを配合して厚み方向の熱伝導率(λz)の向上を図る、というこれまでのアプローチには限界が予想される。
なお、上記特許文献1~3では、実施例に記載されている絶縁樹脂層の厚みがいずれも20μm以上であることから、多量の熱伝導性フィラーを配合しても機械的強度の低下が顕在化しにくい側面があった。
国際公開WO2009/110387 特開2012-213899号公報 特開2019-140094号公報
本発明者らは、厚み方向の熱伝導率(λz)が0.6W/m・Kあたりからは、厚み方向の熱伝導率(λz)を大きくしても放熱特性の向上効果が頭打ちとなる傾向があり、むしろ、熱伝導性フィラーの配合量を抑えつつ、絶縁樹脂層の膜厚を薄膜化する方が放熱特性の改善に有効であるとの知見を得た。また、半導体モジュール等の用途に適用する場合、その高集積化に伴って、熱伝導性フィラーを配合する絶縁樹脂層の厚みをこれまでよりも薄膜化する要求が強まると考えられる。その一方で、絶縁樹脂層の厚みをより薄膜化していくと機械的強度の低下と脆化が顕著になり、裂けや破れなどの重大な問題が発生しやすくなることが懸念される。
従って、本発明は、薄膜でありながら、放熱特性と機械的強度が実用上十分な範囲で担保されている樹脂フィルムを提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決するために検討を重ねた結果、薄膜化した場合でも放熱特性と十分な機械的強度の両立が可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の樹脂フィルムは、フィルム状の絶縁樹脂と、該絶縁樹脂中に分散状態で含まれている熱伝導性フィラーと、を備えた樹脂フィルムである。本発明の樹脂フィルムは、前記樹脂フィルム全体の膜厚(L)が8μm以上23μm未満の範囲内であり、厚み方向における熱伝導度(λz)が、0.3W/m・K以上2.0W/m・K未満の範囲内であり、20mm幅で測定した端裂抵抗が0.3[N]以上30.0[N]以下の範囲内であることを特徴とする。
本発明の樹脂フィルムは、前記熱伝導性フィラーの体積平均粒子径が1.0μm超5μm未満の範囲内であるとともに、前記熱伝導性フィラーの体積平均粒子径(D)と、前記膜厚(L)との比率が0.15以上0.50以下の範囲内であってもよい。
本発明の樹脂フィルムは、引裂き伝播抵抗が7.0mN以上30.0mN以下の範囲内であってもよい。
本発明の樹脂フィルムは、前記樹脂フィルム全体に対する前記熱伝導性フィラーの含有量が10vol%以上50vol%以下の範囲内であってもよい。
本発明の樹脂フィルムは、前記熱伝導性フィラーがアルミナ粒子であってもよい。
本発明の樹脂フィルムは、前記絶縁樹脂が酸二無水物成分とジアミン成分とを反応させてなるポリイミドであってもよい。この場合、前記酸二無水物成分が、全酸二無水物成分に対してピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物及び3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物から選ばれる1種以上を50モル%以上含んでいてもよく、前記ジアミン成分が、全ジアミン成分に対して4,4’-ジアミノジフェニルエーテル及び2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパンから選ばれる1種以上を50モル%以上含んでいてもよい。
本発明の金属張積層板は、単層もしくは複数層からなる絶縁樹脂層と、前記絶縁樹脂層の片側もしくは両側に積層されている金属層と、を備えた金属張積層板であって、前記絶縁樹脂層の少なくとも1層が、上記樹脂フィルムによって構成されている。
本発明の回路基板は、単層もしくは複数層からなる絶縁樹脂層と、前記絶縁樹脂層の片側もしくは両側に積層されている導体回路層と、を備えた回路基板であって、前記絶縁樹脂層の少なくとも1層が、上記樹脂フィルムによって構成されている。
本発明の積層構造体は、半導体モジュールに用いる積層構造体であって、
外部の半導体素子と電気的に接続される導体回路層と、
単層もしくは複数層からなる絶縁樹脂層と、
接着剤層と、
外部の放熱部材への熱伝導を媒介する伝熱金属層と、
がこの順序で積層された構造を有しており、
前記絶縁樹脂層の少なくとも1層が、上記樹脂フィルムによって構成されている。
本発明の樹脂フィルムは、薄膜でありながら、放熱特性と機械的強度とが実用上十分な範囲で担保されている。従って、本発明の樹脂フィルムは、高い放熱性が求められる半導体モジュールや回路基板、これらを用いる電子機器、照明機器などの基板材料として工業的に広く用いることができる。
本発明の一実施の形態に係る樹脂フィルムの厚み方向における断面構造を示す図面である。 本発明の一実施の形態に係る金属張積層板の厚み方向における断面構造を示す図面である。 本発明の一実施の形態に係る回路基板の厚み方向における断面構造を示す図面である。 本発明の一実施の形態に係る積層構造体の構成を示す図面である。 実施例、比較例で放熱特性の評価に使用した半導体モジュールの構成を示す図面である。
以下、本発明の実施の形態について適宜図面を参照しながら説明する。
[樹脂フィルム]
図1は、本発明の一実施の形態に係る樹脂フィルムの厚み方向における断面構造を示している。本実施の形態の樹脂フィルム10は、フィルム状の絶縁樹脂11と、この絶縁樹脂11中に分散状態で含まれている熱伝導性フィラー12と、を備えている。本実施の形態の樹脂フィルム10は、単層でもよいし、複数層から構成されていてもよいが、単層であることが好ましい。
<絶縁樹脂>
樹脂フィルム10を構成する絶縁樹脂(マトリックス樹脂)11としては、特に制限はなく、例えばポリイミド、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエチレンテレフタレートなどを用いることができるが、これらの中でもポリイミドが好ましい。以下、マトリックス樹脂がポリイミドである場合について詳細に説明する。
ポリイミドは、酸二無水物成分とジアミン成分とを反応させてなるポリマーである。ポリイミドは、下記の一般式(1)で表される構成単位を含有するものであってよい。
Figure 2023023679000002
上記一般式(1)において、基Arは酸二無水物から誘導される酸二無水物残基を表し、基R1はジアミン化合物から誘導されるジアミン残基を表す。
本実施の形態では、基Arを誘導する酸二無水物として、一般的にポリイミドの原料モノマーとして知られているものを特に制限なく使用できるが、好ましい酸二無水物として、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)等を例示できる。ピロメリット酸二無水物(PMDA)は剛直な構造をもつことから、樹脂フィルム10の耐熱性を高めることができる。3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)は、適度な屈曲性を含む構造であることから樹脂フィルム10の機械的強度を高めることができる。3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)は、平面性が適度に抑制された構造により、樹脂フィルム10の厚み方向の熱伝導率を高めることができる。
また、基R1を誘導するジアミン化合物として、一般的にポリイミドの原料モノマーとして知られているものを特に制限なく使用できるが、好ましいジアミン化合物として、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(DAPE)及び2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)等を例示できる。4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(DAPE)及び2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)は、その分子構造に基づいて適度な柔軟性を持つことから、樹脂フィルム10の靭性を高める作用を有し、樹脂フィルム10の機械的強度を高めるとともに、接着性を向上させることができる。
以上の観点から、酸二無水物成分が、全酸二無水物成分に対してピロメリット酸二無水物(PMDA)、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)及び3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)から選ばれる1種以上を50モル%以上、好ましくは80モル%以上含み、ジアミン成分が、全ジアミン成分に対して4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(DAPE)及び2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)から選ばれる1種以上を50モル%以上、好ましくは80モル%以上含む組み合わせが好ましい。これらの中でも、酸二無水物成分が3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)であり、ジアミン成分が4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(DAPE)である組み合わせ、又は、酸二無水物成分がピロメリット酸二無水物(PMDA)及び3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)であり、ジアミン成分が2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)である組み合わせが特に好ましい。
一般式(1)中の基Arを与える他の酸二無水物の具体例としては、例えば、ナフタレン-2,3,6,7-テトラカルボン酸二無水物(NTCDA)、ナフタレン-1,2,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン-1,2,4,5-テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン-1,2,6,7-テトラカルボン酸二無水物、4,8-ジメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロナフタレン-1,2,5,6-テトラカルボン酸二無水物、4,8-ジメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロナフタレン-2,3,6,7-テトラカルボン酸二無水物、2,6-ジクロロナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、2,7-ジクロロナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-テトラクロロナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-テトラクロロナフタレン-2,3,6,7-テトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3'',4,4''-p-テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2'',3,3''-p-テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3'',4''-p-テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)-プロパン二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)-プロパン二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3.4-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ペリレン-2,3,8,9-テトラカルボン酸二無水物、ペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸二無水物、ペリレン-4,5,10,11-テトラカルボン酸二無水物、ペリレン-5,6,11,12-テトラカルボン酸二無水物、フェナンスレン-1,2,7,8-テトラカルボン酸二無水物、フェナンスレン-1, 2,6,7-テトラカルボン酸二無水物、フェナンスレン-1,2,9,10-テトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、ピラジン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ピロリジン-2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、チオフェン-2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、4,4'-オキシジフタル酸二無水物などが挙げられる。
一般式(1)中の基Rを与える他のジアミン化合物としては、例えば、4,6-ジメチル-m-フェニレンジアミン、2,5-ジメチル-p-フェニレジアミン、2,4-ジアミノメシチレン、4,4'-メチレンジ-o-トルイジン、4,4'-メチレンジ-2,6-キシリジン、4,4'-メチレン-2,6-ジエチルアニリン、2,4-トルエンジアミン、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、4,4'-ジアミノジフェニルプロパン、3,3'-ジアミノジフェニルプロパン、4,4'-ジアミノジフェニルエタン、3,3'-ジアミノジフェニルエタン、4,4'-ジアミノジフェニルメタン、3,3'-ジアミノジフェニルメタン、4,4'-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3'-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4'-ジアミノジフェニルスルホン、3,3'-ジアミノジフェニルスルホン、3,3-ジアミノジフェニルエーテル、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、ベンジジン、3,3'-ジアミノビフェニル、3,3'-ジメチル-4,4'-ジアミノビフェニル、3,3'-ジメトキシベンジジン、4,4'-ジアミノ-p-テルフェニル、3,3'-ジアミノ-p-テルフェニル、ビス(p-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(p-β-アミノ-t-ブチルフェニル)エーテル、ビス(p-β-メチル-δ-アミノペンチル)ベンゼン、p-ビス(2-メチル-4-アミノペンチル)ベンゼン、p-ビス(1,1-ジメチル-5-アミノペンチル)ベンゼン、1,5-ジアミノナフタレン、2,6-ジアミノナフタレン、2,4-ビス(β-アミノ-t-ブチル)トルエン、2,4-ジアミノトルエン、m-キシレン-2,5-ジアミン、p-キシレン-2,5-ジアミン、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミン、2,6-ジアミノピリジン、2,5-ジアミノピリジン、2,5-ジアミノ-1,3,4-オキサジアゾール、ピペラジン、2,2'-ジメチル-4,4'-ジアミノビフェニル、3,7-ジアミノジベンゾフラン、1,5-ジアミノフルオレン、ジベンゾ-p-ジオキシン-2,7-ジアミン、4,4'-ジアミノベンジルなどが挙げられる。
樹脂フィルム10を構成するポリイミドを合成する場合、ジアミン、酸無水物はそれぞれ1種のみを使用してもよく、2種以上を併用することもできる。
<熱伝導性フィラー>
熱伝導性フィラー12としては、従来公知のものを特に制限なく使用できる。好ましい熱伝導性フィラー12として、例えば、アルミナ、シリカ、ダイヤモンド、マグネシア、ベリリア、窒化ホウ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素等を挙げることができる。これらの中でも、樹脂フィルム10の熱伝導率を高める効果が大きなアルミナ、シリカ、窒化ホウ素、窒化ケイ素が好ましく、アルミナが最も好ましい。
樹脂フィルム10中の熱伝導性フィラー12の含有割合は、10vol%以上50vol%以下の範囲内であることが好ましく、20vol%以上40vol%以下の範囲内がより好ましい。熱伝導性フィラー12の含有割合が10vol%に満たないと、半導体モジュール等の電子部品に使用した際の放熱特性が十分に得られない。その一方で、熱伝導性フィラー12の含有割合が50vol%を超えると、放熱特性を向上させる効果が頭打ちとなるばかりでなく、大量の熱伝導性フィラー12の配合によって、樹脂フィルム10の外観や接着性の不良、機械的特性の低下が生じたり、ポリアミド酸溶液の粘度が上昇しすぎて樹脂フィルム10の作製が困難になったりする弊害の方が大きくなる。つまり、50vol%を超えて熱伝導性フィラー12を配合しても、50vol%以下の場合に比べて放熱特性を改善させる効果はあまり向上せず、機械的強度やハンドリング性の低下などのマイナスの影響の方が大きくなる。
熱伝導性フィラー12の粒子径は、樹脂フィルム10の厚みとのバランスを考慮して決めることが好ましい。具体的には、樹脂フィルム10の厚み方向にフィラーを均一に分散させて熱伝導性を向上させる観点から、熱伝導性フィラー12の体積平均粒子径(D)が1.0μm超5μm未満の範囲内であることが好ましく、1.5μm以上4.0μm以下の範囲内がより好ましい。ここで、「体積平均粒子径」は、レーザ回折散乱法による体積基準の粒度分布測定によって得られる頻度分布曲線における累積値が50%となる値である。熱伝導性フィラー12の体積平均粒子径(D)が1.0μm以下であると、厚み方向に熱伝導パスが形成されにくく、熱伝導効率の改善が不十分となりやすい。一方、体積平均粒子径(D)が5μm以上であると、機械的強度が低下しやすくなるとともに、樹脂フィルム10の表面に熱伝導性フィラー12が突出し、外観や表面平滑性に問題が生じたり、樹脂フィルム10に積層される任意の層(金属層など)との接着性に問題が生じる場合がある。
本実施の形態は、発明の効果を損なわない範囲で、体積平均粒子径(D)が異なる2種以上の熱伝導性フィラーを配合することが可能である。その場合、粒径が小さい方のフィラーは、大きい方のフィラーと比較してフィラー熱伝導パスが形成されにくいため、体積平均粒子径(D)が最も大きいフィラーの含有量が最も大きくなるように添加することが好ましい。換言すると、例えば体積平均粒子径(D)が異なる2種のD1とD2のフィラーを併用し、D1の体積平均粒子径がD2の体積平均粒子径よりも大きい場合、D1の含有量がD2の含有量よりも大きくなる組み合わせで含有させることが好ましい。
また、熱伝導性フィラー12は、レーザ回折散乱法による体積基準の粒度分布測定によって得られる頻度分布曲線における累積値が95%となる値(D95)が15μm以下であることが好ましく、10μm以下がより好ましい。熱伝導性フィラー12のD95が15μm以下である場合は、粗大粒子の存在割合が少なく制御されているため、樹脂フィルム10の機械的強度の低下を抑制できる。
熱伝導性フィラー12の形状は、球状フィラーであることが好ましい。ここで、「球状」とは、形状が球形又は球形に近いもので、平均長径と平均短径との比が1又は1に近いもの(好ましくは0.8以上)を意味する。球状フィラーを用いることによって、樹脂フィルム10への高密度充填と均一な分散が可能になり、熱伝導率を向上させることができる。
樹脂フィルム10中の熱伝導性フィラー12の存在形態としては、熱伝導性フィラー12が均一に分散し、凝集粒子が抑制されている均一分散状態であることが好ましい。均一分散状態であることによって、熱伝導性フィラー12による熱伝導効率が効果的に発現するとともに、樹脂フィルム10を薄膜化した場合でも実用上十分な機械的強度を維持できる。
本実施の形態の樹脂フィルム10中には、発明の効果を損なわない限りにおいて、例えば加工助剤、抗酸化剤、光安定剤、難燃剤、帯電防止剤、界面活性剤、分散剤、沈降防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、熱伝導性フィラー12以外の有機もしくは無機フィラーなどの任意成分を含むことができる。
<厚み>
本実施の形態の樹脂フィルム10全体の膜厚(L)は、例えば8μm以上23μm未満の範囲内であることが好ましく、10μm以上20μm未満の範囲内がより好ましく、さらに好ましくは10μm以上18μm以下が好ましい。樹脂フィルム10の膜厚(L)が8μmに満たないと、フィルムの表面平滑性が悪化する可能性があり、また、樹脂フィルム10の機械的強度が低下して破れなどの不具合が生じやすくなる。反対に、膜厚(L)が23μm以上であると、十分な放熱効果が得られない。
また、本実施の形態の樹脂フィルム10は、熱伝導性フィラー12の体積平均粒子径(D)と、膜厚(L)との比率(D/L比)が0.15以上0.50以下の範囲内であることが好ましく、0.20以上0.40以下の範囲内であることがより好ましい。なお、体積平均粒子径(D)が異なる複数の熱伝導フィラーを含有する場合、体積平均粒子径(D)が最も大きいフィラーを基準としてD/L比を考える。D/L比が0.15を下回ると厚み方向に熱伝導パスが形成されにくく、熱伝導効率の改善が不十分となりやすい。一方、D/L比が0.50を超えると機械的強度が低下しやすくなるとともに、樹脂フィルム10の表面にフィラーが突出し、外観や表面平滑性に問題が生じたり、樹脂フィルム10に積層される任意の層(金属層など)との接着性に問題が生じる場合がある。
<厚み方向における熱伝導度(λz)>
本実施の形態の樹脂フィルム10の厚み方向における熱伝導度(λz)は、例えば0.3W/m・K以上2.0W/m・K未満の範囲内が好ましく、0.5W/m・K以上1.8W/m・K以下の範囲内がより好ましい。厚み方向における熱伝導度(λz)が0.3W/m・K未満では、例えば半導体モジュール等の電子部品に適用した場合の放熱効果が十分に得られない。一方、厚み方向における熱伝導度(λz)の上限には特に制限がないが、例えば半導体モジュール等の電子部品に適用する場合の実用性を考慮して2.0W/m・K未満とすることがよい。
<機械的特性>
本実施の形態の樹脂フィルム10は、引裂き伝播抵抗が7.0mN以上30.0mN以下の範囲内であることが好ましく、9.0mN以上30.0mN以下の範囲内であることがより好ましい。引裂き伝播抵抗が7.0mN未満であると、破れなどの原因となり、加工性や屈曲性が損なわれる。引裂き伝播抵抗の上限には特に制限がないが、30.0mNを超えるような構成では厚みが大きくなるか、フィラー含有量を少量とする必要があるため、十分な放熱性を担保することが困難となる。
また、本実施の形態の樹脂フィルム10は、20mm幅で測定した端裂抵抗が0.30N以上30.0N以下の範囲内であることが好ましく、0.35N以上30.0N以下の範囲内であることがより好ましい。抵抗が0.30N未満であると、破れなどの原因となり、加工性や屈曲性が損なわれる。端裂抵抗の上限には特に制限がないが、30.0Nを超えるような構成では厚みが大きくなるか、フィラー含有量を少量とする必要があるため、十分な放熱性を担保することが困難となる。
本実施の形態では、熱伝導性フィラー12の配合量、その平均粒子径と樹脂フィルム10の膜厚との関係を適切に制御しているので、引裂き伝播抵抗と端裂抵抗を上記の範囲に維持できるため、実用上十分な機械的強度が得られる。
<樹脂フィルムの製造方法>
本実施の形態の樹脂フィルム10の製造方法は、特段限定されるものではない。絶縁樹脂11がポリイミドである場合、その前駆体であるポリアミド酸の溶液に熱伝導性フィラー12を分散させたフィラー含有ポリアミド酸溶液を、任意の基材上に塗布して乾燥、イミド化を行ってフィルム状に成型する方法が好ましい。
熱伝導性フィラー12を含有するポリアミド酸溶液の調製は、例えば、予め重合して得られた溶媒を含むポリアミド酸溶液に熱伝導性フィラー12を所定量添加し、攪拌装置などで分散させることで調製する方法や、溶媒中に熱伝導性フィラー12を分散させながら酸二無水物成分とジアミン成分とを添加して重合を行い調製する方法などを挙げることができる。ここで、ポリアミド酸は、酸二無水物成分とジアミン成分とをほぼ等モルで使用し、溶媒中で重合する公知の方法によって製造することができる。
ポリアミド酸溶液に用いる好ましい溶剤としては、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N-ジエチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、2-ブタノン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ヘキサメチルホスホルアミド、N-メチルカプロラクタム、硫酸ジメチル、シクロヘキサノン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジグライム、トリグライム、クレゾール、水等が挙げられる。これらの溶剤を2種以上併用することもでき、更にはキシレン、トルエンのような芳香族炭化水素の併用も可能である。溶剤の含有量としては特に制限されるものではないが、例えばポリアミド酸濃度が5~70重量%程度になるような量に調整して用いることが好ましい。
本実施の形態では、樹脂フィルム10中に熱伝導性フィラー12を均一に分散させるために、分散媒となるポリアミド酸溶液の粘度は、例えば500cP以上50000cP以下(500mPa・s以上50000mPa・s以下)の範囲内に調節することが好ましい。このような粘度範囲であれば、熱伝導性フィラー12を均一な分散状態に保つことができる。
基材としては、特に制限はないが、例えば、放熱基板や回路基板の導体層となる銅箔等の金属箔を好ましく用いることができる。基材上へのフィラー含有ポリアミド酸溶液の塗布は、公知の方法で行うことが可能であり、例えば、バーコート方式、グラビアコート方式、ロールコート方式、ダイコート方式等から適宜選択して採用することができる。
基材に熱伝導性フィラー12を含むポリアミド酸溶液を塗布した後、例えば140℃以下の温度で乾燥し一定量の溶媒を除去する。その後、更に高温で熱処理してポリアミド酸をイミド化し、フィラー含有ポリイミド層の片面に基材を有する積層体を得ることができる。ここで、基材として金属箔を用いる場合は、後述する金属張積層板を製造できる。その後、必要に応じて、フィラー含有ポリイミド層を基材から剥離することによって、本実施の形態の樹脂フィルム10を製造できる。
イミド化の熱処理は、例えば130~360℃の範囲内の加熱温度で、段階的に15~60分間程度の時間をかけて行うことが好ましい。このような段階的な熱処理によって、樹脂フィルム10の寸法変化を小さく、反りを抑制できる。なお、熱処理の温度が130℃より低いとポリイミドの脱水閉環反応が十分に進行せず、反対に360℃を超えると、樹脂フィルム10や金属箔が酸化等により劣化するおそれがある。
[金属張積層板]
図2は、本発明の一実施の形態に係る金属張積層板の厚み方向における断面構造を示している。本実施の形態の金属張積層板30は、絶縁樹脂層10Aと、この絶縁樹脂層10Aに積層されている金属層20と、を備えている。なお、金属層20は、絶縁樹脂層10Aの両面に積層されていてもよい。
<絶縁樹脂層>
本実施の形態の金属張積層板30における絶縁樹脂層10Aは、単層又は複数層からなり、絶縁樹脂層10Aの少なくとも1層が、熱伝導性フィラー12を含有する上記樹脂フィルム10によって構成されていればよい。絶縁樹脂層10Aは、熱伝導性フィラー12を含有しない任意の層を含んでいてもよいが、絶縁樹脂層10Aの全体が樹脂フィルム10のみから構成されることが好ましい。
<金属層>
本発明の金属張積層板30における金属層20は、放熱基板や回路基板の導体層となるものであり、例えば銅、アルミニウム、鉄、銀、パラジウム、ニッケル、クロム、モリブデン、タングステン、亜鉛及びそれらの合金等の導電性金属箔を挙げることができ、これらの中でも銅箔又は銅を90%以上含む合金銅箔が好ましく用いられる。
金属層20の好ましい厚み範囲は、金属張積層板30の用途に応じて設定できるが、半導体モジュールの積層基板として使用する場合は、例えば5μm以上50μm以下の範囲内とすることが好ましく、12μm以上40μm以下の範囲内とすることがさらに好ましい。これらの中でも特に30μm以上40μm以下の範囲内とすることが好ましい。金属層20の厚みが5μmに満たないと、製造工程における搬送時にシワが入るなどの不具合が生じるおそれがあり、反対に50μmを超えると加工性が低下する場合がある。ここで、絶縁樹脂層10Aの厚み(LR)と金属層20の厚み(LM)との比(LR/LM)は、金属張積層板30の反りを抑制する観点から、例えば、0.2~2.0の範囲内が好ましく、0.2~1.0の範囲内がより好ましく、0.5~0.6の範囲内が最も好ましい。比(LR/LM)が0.2未満では、金属層20の厚みに対して絶縁樹脂層10Aが薄いため、加工性が悪化し、2.0を超えると、金属層20の厚みに対して絶縁樹脂層10Aが厚いため反りが発生する。
また、金属層20として用いる導電性金属箔は、絶縁樹脂層10Aとの接着性を高めるために、絶縁樹脂層10Aと接着する面の表面粗さ(Rz)が0.05~3.5μmの範囲内であることが好ましい。絶縁樹脂層10Aと接着する面の表面粗さ(Rz)が0.05μm未満では、金属張積層板30の用途によって金属層20と絶縁樹脂層10Aが剥がれやすくなることがあり、例えば、金属張積層板30をフレキシブル基板材料として利用する場合に不向きとなる。一方、絶縁樹脂層10Aと接着する面の表面粗さ(Rz)が3.5μmを超えると、粗化によるアンカー効果により金属層20と絶縁樹脂層10Aとの接着性は良好となるが、金属層20を配線加工した際における配線形状の悪化が懸念される。
<金属張積層板の製造方法>
本実施の形態の金属張積層板30の製造方法は、上記樹脂フィルム10の製造方法に関連して説明したとおりであり、樹脂フィルム10の製造のための基材として金属箔を用いることによって、絶縁樹脂層10Aの片側に金属層20が積層された片面金属張積層板を製造することができる。さらに、絶縁樹脂層10Aの金属層20とは反対側に金属箔を熱圧着等の方法でラミネートすることによって、金属箔/絶縁樹脂層10A/金属層20の積層構造を有する両面金属張積層板を形成することも可能である。
本実施の形態の金属張積層板30の絶縁樹脂層10Aは、熱伝導性フィラー12の配合に起因する機械的強度の低下を回避しながら、実用上十分な放熱特性を有するものである。したがって、本実施の形態の金属張積層板30を半導体モジュール等に用いる基板材料として使用することによって、電子機器の信頼性を向上させることができる。
[回路基板]
図3は、本発明の一実施の形態に係る回路基板の厚み方向における断面構造を示している。本実施の形態の回路基板40は、単層もしくは複数層からなる絶縁樹脂層10Aと、絶縁樹脂層10Aに積層されている導体回路層21と、を備えている。回路基板40は、上記金属張積層板30の金属層20を常法によってパターン状に加工して導体回路層21を形成することによって製造できる。金属層20のパターニングは、例えばフォトリソグラフィー技術とエッチングなどを利用する任意の方法で行うことができる。回路基板40は、図3に示す以外に任意の層を有していてもよい。また、回路基板40は、フレキシブル回路基板でもよいし、リジット回路基板でもよい。
本実施の形態の回路基板40の絶縁樹脂層10Aは、熱伝導性フィラー12の配合に起因する機械的強度の低下を回避しながら、実用上十分な放熱特性を有するものである。したがって、本実施の形態の回路基板40を半導体モジュール等に適用することによって、電子機器の信頼性を向上させることができる。
[積層構造体]
図4は、本発明の一実施の形態に係る積層構造体の構成を示している。本実施の形態の積層構造体100は、例えば半導体モジュールに用いる積層構造体100である。この積層構造体100は、外部の半導体素子70と電気的に接続される導体回路層21と、単層もしくは複数層からなる絶縁樹脂層10Aと、接着剤層50と、外部の放熱部材(図示省略)への熱伝導を媒介する伝熱金属層60と、がこの順序で積層された構造を有している。本実施の形態の積層構造体100において、導体回路層21及び絶縁樹脂層10Aの部分は、上記回路基板40と同様の構成である。
積層構造体100は、絶縁樹脂層10Aの少なくとも1層、好ましくは絶縁樹脂層10Aの全体が、上記樹脂フィルム10によって構成されている。そのため、絶縁樹脂層10Aは、熱伝導性フィラー12の配合に起因する機械的強度の低下を回避しながら、実用上十分な放熱特性を有するものである。したがって、本実施の形態の積層構造体100を半導体モジュール等に使用することによって、電子機器の信頼性を向上させることができる。なお、積層構造体100は、図4に示す以外に任意の層を有していてもよい。
半導体モジュールにおいては高密度化に加えて、自動車のデイライト等、より高い放熱性をもち、かつ耐熱性も求められる用途が出始めてきており、本実施の形態の積層構造体100を用いることで、従来材料よりも放熱性・耐熱性に優れていることから半導体モジュールの耐久性を向上させることができる。
以下、実施例に基づいて本発明の内容を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例の範囲に限定されるものではない。
本実施例に用いた略号は以下の化合物を示す。
BTDA:3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸ニ無水物
BPDA:3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
PMDA:ピロメリット酸二無水物
DAPE:4,4’-ジアミノジフェニルエーテル
BAPP:2,2-ビス(4-アミノフェノキシフェニル)プロパン
m-TB:2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル
DMAc:N,N-ジメチルアセトアミド
また、実施例において評価した各特性については、下記評価方法に従った。
[粘度の測定]
ポリアミド酸溶液の粘度は、恒温水槽付のコーンプレート式粘度計(トキメック社製)
にて、25℃で測定した。
[体積平均粒子径D50の測定]
レーザ粒度分布測定装置(マイクロトラック・ベル社製「マイクロトラックMT3300EXII」)を用いてレーザ回折法により、体積基準の粒度分布測定によって得られる頻度分布曲線における累積値が50%となる値を体積平均粒子径とした。測定に際しては、0.2質量%のヘキサメタ燐酸ソーダ水溶液にアルミナを入れ、装置内蔵の超音波装置を用いて40Wで5分間分散し、アルミナの屈折率は1.76とした。
[厚み方向熱伝導率(λz)]
ポリイミド樹脂フィルムを20mm×20mmのサイズに切り出し、レーザーフラッシュ法による厚み方向の熱拡散率(NETZSCH社製、商品名;キセノンフラッシュアナライザーLFA447 Nanoflash装置)、示差走査熱量測定(DSC)による比熱、水中置換法による密度をそれぞれ測定し、これらの結果をもとに熱伝導率(W/m・K)を算出した。
[引裂き伝播抵抗(TPR)]
63.5mm×50mmのポリイミド樹脂フィルムを試験片とし、試験片に長さ12.7mmの切り込みを入れ、(株)東洋精機製の軽荷重引裂き試験機を用いて引裂き伝播抵抗を測定した。
[端裂抵抗]
JIS C2151(2019)のB法に従い、20mm×200mmのポリイミドフィルムを試験片として、東洋精機社製、商品名;ストログラフR1を用いて端裂抵抗を測定した。
[加工性]
20cm×30cmの銅張積層板の銅箔を全エッチングした際に、ポリイミドフィルムに割れ・破れ等によってフィルム欠損が生じるものを×、欠損無く良好なフィルムが得られたものを○と評価した。
[チップ温度(放熱特性の評価)]
図5に示すように、上部から、半導体素子70としてのLEDチップ(LED)、導体回路層21としての銅回路層(Cu)、絶縁樹脂層10Aとしてのポリイミド層(PI)、接着剤層50としての接着剤層(AD)、伝熱金属層60としてのアルミニウム層(Al)がこの順序に積層された構造を有する半導体モジュールSについて、LEDチップ(LED)を1時間動作(発光)させたときのチップ温度を測定することによって放熱特性を評価した。なお、放熱はアルミニウム層(Al)側のみから行うこととした。
LEDチップ(LED)は、サイズが3mm×3mm×1mm厚み、発熱量;約2Wであり、銅回路層(Cu)のサイズは、3mm×3mm×35μm厚みとした。ポリイミド層(PI)、接着剤層(AD)、アルミニウム層(Al)は、いずれも、平面サイズが50mm×100mmで、ポリイミド層(PI)の厚みは、各実施例・比較例に示した。なお、接着剤層(AD)の厚み方向の熱伝導率は1[W/m・K]、厚みは100μm、アルミニウム層(Al)の厚みは1mmである。
(合成例1)
窒素気流下で、DAPE(17.26g、0.086mol)を500mlのセパラブルフラスコの中で攪拌しながら溶剤DMAc255g中に溶解させた。次いで、BTDA(27.73g、0.086mol)を加えた。その後、溶液を室温で3時間攪拌を続けて重合反応を行い、粘度12000cPの淡黄色の粘稠なポリアミド酸溶液Aを得た。
(合成例2)
合成例1と同様に、窒素気流下で、BAPP(29.23g、0.071mol)を500mlのセパラブルフラスコの中で攪拌しながら溶剤DMAc255g中に溶解させた。次いで、PMDA(14.73g、0.068mol)とBPDA(1.05g、0.004mol)を加えた。その後、溶液を室温で3時間攪拌を続けて重合反応を行い、粘度10000cPの淡黄色の粘稠なポリアミド酸溶液Bを得た。
(合成例3)
合成例1と同様に、窒素気流下で、m-TB(22.21g、0.104mol)を500mlのセパラブルフラスコの中で攪拌しながら溶剤DMAc255g中に溶解させた。次いで、PMDA(22.79g、0.104mol)を加えた。その後、溶液を室温で3時間攪拌を続けて重合反応を行い、粘度10000cPの淡黄色の粘稠なポリアミド酸溶液Cを得た。
(合成例4)
合成例1と同様に、窒素気流下で、DAPE(21.56g、0.107mol)を500mlのセパラブルフラスコの中で攪拌しながら溶剤DMAc255g中に溶解させた。次いで、PMDA(23.44g、0.107mol)を加えた。その後、溶液を室温で3時間攪拌を続けて重合反応を行い、粘度13000cPの淡黄色の粘稠なポリアミド酸溶液Dを得た。
(配合例1)
固形分濃度15wt%のポリアミド酸溶液A63.1重量部と、熱伝導性フィラーとして酸化アルミニウム粒子[住友化学(株)社製、商品名:AA-3、球状、体積平均粒子径D50 3.4μm]6.9重量部を均一になるまで遠心攪拌機で混合し、熱伝導性フィラーを含有するフィラー含有ポリアミド酸溶液Eを得た。このフィラー含有ポリアミド酸溶液Eを硬化させた絶縁樹脂層における酸化アルミニウム粒子の含有量は20vol%である。
(配合例2~9)
配合例1と同様に、表1に示したポリアミド酸溶液と酸化アルミニウム粒子を均一になるまで遠心攪拌機で混合し、熱伝導性フィラーを含有するフィラー含有ポリアミド酸溶液F~Mを得た。
なお、配合例4では、熱伝導性フィラーとして酸化アルミニウム粒子(住友化学社製、商品名;AA-1.5、球状、体積平均粒子径D50;1.6μm)も併用し、AA-3とAA-1.5の重量比(AA-3:AA-1.5)が24:16となるようにフィラーを含有させた。
Figure 2023023679000003
(実施例1)
銅箔1(電解銅箔、福田金属箔粉工業社製、商品名;CF-T4MDS-HD-35、厚み;35μm、Rz=1.4μm)上に、配合例1で得たポリアミド酸溶液Eを硬化後の厚みが14.8μmとなるように塗布し、90~140℃で加熱乾燥し溶剤を除去した。その後、130~360℃の温度範囲で、段階的に30分かけて昇温加熱して、銅箔1上にポリイミド層からなるフレキシブル基板用積層体を作製した。フレキシブル基板用積層体におけるポリイミド層の特性を評価するために銅箔1をエッチング除去してフィルムM1を作製し、厚み方向熱伝導率(λz)、引裂き伝播抵抗(TPR)、端裂抵抗、加工性をそれぞれ評価した。また、図5に示す構成の半導体モジュールSに適用した場合のチップ温度を測定し、放熱特性を評価した。
(実施例2~8、比較例1、2)
使用するポリアミド酸溶液の種類と厚みを変更し、実施例1と同様にしてフィルムM2~M10を得て同様に評価した。また、図5に示す構成の半導体モジュールSに適用した場合のチップ温度を測定し、放熱特性を評価した。
(比較例3)
銅箔1上に、合成例2で得たポリアミド酸溶液Bを硬化後の厚みが1.5μmとなるように塗布し、90~140℃で加熱乾燥し溶剤を除去した。次に、その上に合成例3で得たポリアミド酸溶液Cを硬化後の厚みが5.0μmとなるように塗布し、120℃で加熱乾燥し溶剤を除去した。次に、その上に合成例2で得たポリアミド酸溶液Bを硬化後の厚みが1.5μmとなるように塗布し、90~140℃で加熱乾燥し溶剤を除去した。その後、130~360℃の温度範囲で、段階的に30分かけて昇温加熱して、銅箔1上に3層のポリイミド層からなるフレキシブル基板用積層体を作製した。銅箔1上のポリイミド層の厚みは、銅箔1側からB/C/Bの順に1.5μm/5.0μm/1.5μmである。フレキシブル基板用積層体におけるポリイミド層の特性を評価するために銅箔1をエッチング除去してフィルムM11を作製し、厚み方向熱伝導率λz、引裂き伝播抵抗(TPR)、端裂抵抗、加工性をそれぞれ評価した。また、図5に示す構成の半導体モジュールSに適用した場合のチップ温度を測定し、放熱特性を評価した。
以上の結果をまとめて表2に示す。
Figure 2023023679000004
比較例1は従来のλzを高める設計思想の例であるが、λzを高めるためにフィラー含有量を増やすとフィルムが脆くなり、加工時に不具合が発生する。また比較例3はフィラーを含有しない場合において、薄化により加工性に不具合が生じる例を模擬したものである。加工性の不具合について、比較例1はフィルムが割れるような形でフィルムに欠損が生じるのに対し、比較例3ではフィルムに破れが見られ、不具合のモードが異なることが分かった。この点から破れのモードは引裂き伝播抵抗、割れのモードは端裂抵抗で評価でき、双方の物性が一定以上となることが加工性の不具合防止に必要であると考えられる。なお、端裂抵抗はフィルム厚みによって変化し、しかも厚みに単純比例しないことがわかる。
実施例1~8においては樹脂構造、厚み、フィラー含有量、フィラーの体積平均粒径等が適切に制御されていることにより、加工性の不具合を抑制しつつ、フィラーを含有しない薄いフィルムを用いた比較例2と比較として良好な放熱性を発現している。
以上、本発明の実施の形態を例示の目的で詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に制約されることはなく、種々の変形が可能である。
10…樹脂フィルム、10A…絶縁樹脂層、11…絶縁樹脂、12…熱伝導性フィラー、20…金属層、21…導体回路層、30…金属張積層板、40…回路基板、50…接着剤層、60…伝熱金属層、70…半導体素子、100…積層構造体

Claims (9)

  1. フィルム状の絶縁樹脂と、該絶縁樹脂中に分散状態で含まれている熱伝導性フィラーと、を備えた樹脂フィルムであって、
    前記樹脂フィルム全体の膜厚(L)が8μm以上23μm未満の範囲内であり、
    厚み方向における熱伝導度(λz)が、0.3W/m・K以上2.0W/m・K未満の範囲内であり、20mm幅で測定した端裂抵抗が0.3[N]以上30.0[N]以下の範囲内であることを特徴とする樹脂フィルム。
  2. 前記熱伝導性フィラーの体積平均粒子径が1.0μm超5μm未満の範囲内であるとともに、前記熱伝導性フィラーの体積平均粒子径(D)と、前記膜厚(L)との比率が0.15以上0.50以下の範囲内である請求項1に記載の樹脂フィルム。
  3. 引裂き伝播抵抗が7.0mN以上30.0mN以下の範囲内である請求項1又は2に記載の樹脂フィルム。
  4. 前記樹脂フィルム全体に対する前記熱伝導性フィラーの含有量が10vol%以上50vol%以下の範囲内である請求項1から3のいずれか1項に記載の樹脂フィルム。
  5. 前記熱伝導性フィラーがアルミナ粒子である請求項1から4のいずれか1項に記載の樹脂フィルム。
  6. 前記絶縁樹脂が酸二無水物成分とジアミン成分とを反応させてなるポリイミドであり、前記酸二無水物成分が、全酸二無水物成分に対してピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物及び3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物から選ばれる1種以上を50モル%以上含み、前記ジアミン成分が、全ジアミン成分に対して4,4’-ジアミノジフェニルエーテル及び2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパンから選ばれる1種以上を50モル%以上含む請求項1から5のいずれか1項に記載の樹脂フィルム。
  7. 単層もしくは複数層からなる絶縁樹脂層と、前記絶縁樹脂層の片側もしくは両側に積層されている金属層と、を備えた金属張積層板であって、
    前記絶縁樹脂層の少なくとも1層が、請求項1から6のいずれか1項に記載の樹脂フィルムによって構成されている金属張積層板。
  8. 単層もしくは複数層からなる絶縁樹脂層と、前記絶縁樹脂層の片側もしくは両側に積層されている導体回路層と、を備えた回路基板であって、
    前記絶縁樹脂層の少なくとも1層が、請求項1から6のいずれか1項に記載の樹脂フィルムによって構成されている回路基板。
  9. 半導体モジュールに用いる積層構造体であって、
    外部の半導体素子と電気的に接続される導体回路層と、
    単層もしくは複数層からなる絶縁樹脂層と、
    接着剤層と、
    外部の放熱部材への熱伝導を媒介する伝熱金属層と、
    がこの順序で積層された構造を有しており、
    前記絶縁樹脂層の少なくとも1層が、請求項1から6のいずれか1項に記載の樹脂フィルムによって構成されている積層構造体。

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