JP2022155638A - 樹脂組成物、樹脂フィルム、接着剤シート、金属張積層板及び回路基板 - Google Patents

樹脂組成物、樹脂フィルム、接着剤シート、金属張積層板及び回路基板 Download PDF

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裕明 山田
Hiroaki Yamada
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Abstract

【課題】誘電特性を損なうことなく、金属層との接着性に優れた樹脂層を形成可能な樹脂組成物を提供する。【解決手段】(A)ポリイミド又はその前駆体であるポリアミド酸及び(B)平均粒子径が100nm~10μmの範囲内であり、粒子形状が六面体である無機フィラー、を含有するとともに、(A)成分と(B)成分の合計量に対する(B)成分の含有量が0.5~50重量%の範囲内である樹脂組成物。ポリイミドは、テトラカルボン酸無水物成分と、ジアミン成分の全100モル部に対し、芳香族ジアミンを40モル部以上含有するジアミン成分と、を反応させてなるポリイミドであることが好ましく、ガラス転移温度は340℃以下であることがよい。【選択図】なし

Description

本発明は、回路基板において接着剤として有用な樹脂組成物、樹脂フィルム、接着剤シート、金属張積層板及び回路基板に関する。
近年、電子機器の小型化、軽量化、省スペース化の進展に伴い、薄く軽量で、可撓性を有し、屈曲を繰り返しても優れた耐久性を持つフレキシブルプリント配線板(FPC;Flexible Printed Circuits)の需要が増大している。FPCは、限られたスペースでも立体的かつ高密度の実装が可能であるため、例えば、HDD、DVD、携帯情報端末、スマートフォン等の電子機器の配線や、ケーブル、コネクター等の部品にその用途が拡大しつつある。
上述した高密度化に加えて、機器の高性能化が進んだことから、伝送信号の高周波化への対応も必要とされている。情報処理や情報通信においては、大容量情報を伝送・処理するために伝送周波数を高くする取り組みが行われており、回路基板材料には、絶縁層の薄化と絶縁層の誘電特性の改善による伝送損失の低下が求められている。今後は、高周波化に対応可能なFPCが求められ、伝送損失の低減が重要となる。そこで、例えば特許文献1では、回路基板の絶縁樹脂層として、誘電特性が改善されたポリイミドを使用することが提案されている。
ところで、回路基板の絶縁樹脂層には、様々な機能性を付与する目的でフィラーを配合することが行われている。例えば特許文献2では、絶縁樹脂層側で互いに貼り合せられた2つの片面金属張積層板を含む両面金属張積層板において、貼り合わせ面を形成するポリイミド層に、所定の体積比率で球状シリカフィラーを含有させることによって、接着性と剥離性のバランスをとり、改質処理を行わずに容易に剥離可能にすることが提案されている。しかし、一般的には樹脂層へのフィラーの配合は、金属層や他の樹脂層との接着性を弱める方向に作用する。
国際公開WO2020/022129号 特開2018-51900号公報
FPCなどの回路基板において、絶縁樹脂層と配線層との密着性が低いと、配線のずれや剥離などが生じて回路基板の信頼性の低下を招くおそれがある。したがって、回路基板においては、絶縁樹脂層と配線層との密着性を保つことが非常に重要である。そのため、回路基板材料である金属張積層板において、金属層と接する面に接着性の樹脂層を設け、金属層とのピール強度の確保やハンダ耐熱性の向上を図っているが、より優れた接着性を担保することが求められている。
本発明の目的は、誘電特性を損なうことなく、金属層との接着性に優れた樹脂層を形成可能な樹脂組成物を提供することである。
上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、ポリイミド又はその前駆体であるポリアミド酸に粒子形状が六面体である無機フィラーを配合した樹脂組成物は、金属層もしくは他の樹脂層と積層した場合に優れた接着性を有する樹脂層を形成できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の樹脂組成物は、下記の(A)成分及び(B)成分;
(A)ポリイミド又はその前駆体であるポリアミド酸、
及び
(B)平均粒子径が100nm~10μmの範囲内であり、粒子形状が六面体である無機フィラー、
を含有するとともに、前記(A)成分に対する前記(B)成分の含有量が0.5~50重量%の範囲内である。
本発明の樹脂組成物は、前記ポリイミドのガラス転移温度が340℃以下であってもよい。
本発明の樹脂組成物は、前記ポリイミドが、テトラカルボン酸無水物成分と、ジアミン成分の全100モル部に対して、芳香族ジアミンを40モル部以上含有するジアミン成分と、を反応させてなるポリイミドであってもよい。
本発明の樹脂組成物は、前記無機フィラーの熱伝導率が20~80W/mKの範囲内であってもよい。
本発明の樹脂組成物は、前記無機フィラーの熱膨張係数が5~20ppm/Kの範囲内であってもよい。
本発明の樹脂組成物は、前記無機フィラーが、金属酸化物フィラーであってもよく、酸化マグネシウムフィラーであってもよい。
本発明の樹脂フィルムは、単層又は複数層からなり、少なくとも1層のポリイミド層を含む樹脂フィルムである。本発明の樹脂フィルムは、前記ポリイミド層が、下記の(A)成分及び(B)成分;
(A)ポリイミド、
及び
(B)平均粒子径が100nm~10μmの範囲内であり、粒子形状が六面体である無機フィラー、
を含有するとともに、前記(A)成分に対する前記(B)成分の含有量が0.5~50重量%の範囲内である。
本発明の樹脂フィルムは、前記ポリイミドのガラス転移温度が340℃以下であってもよい。
本発明の樹脂フィルムは、前記ポリイミドが、テトラカルボン酸無水物成分と、ジアミン成分の全100モル部に対し、芳香族ジアミンを40モル部以上含有するジアミン成分と、を反応させてなるポリイミドであってもよい。
本発明の樹脂フィルムは、前記無機フィラーの熱伝導率が20~80W/mKの範囲内であってもよい。
本発明の樹脂フィルムは、前記無機フィラーの熱膨張係数が5~20ppm/Kの範囲内であってもよい。
本発明の樹脂フィルムは、前記無機フィラーが、金属酸化物フィラーであってもよく、酸化マグネシウムフィラーであってもよい。
本発明の接着剤シートは、上記いずれかの樹脂フィルムからなる。
本発明の金属張積層板は、単層又は複数層からなる絶縁樹脂層と、前記絶縁樹脂層の少なくとも一方の面に積層された金属層と、を有する金属張積層板であって、前記絶縁樹脂層を構成する少なくとも1層が、上記単層の樹脂フィルムからなることを特徴とする。
本発明の金属張積層板は、前記絶縁樹脂層が、前記金属層に接している第1の接着剤層を含んでいてもよく、該第1の接着剤層が前記単層の樹脂フィルムからなるものでもよい。
本発明の金属張積層板は、前記絶縁樹脂層が、前記金属層に接していない第2の接着剤層を含んでいてもよく、該第2の接着剤層が前記単層の樹脂フィルムからなるものでもよい。
本発明の金属張積層板は、前記絶縁樹脂層が、前記金属層の側から、第1の接着剤層、非熱可塑性ポリイミド層、第2の接着剤層の順に積層された構造を有していてもよく、前記第1の接着剤層及び/又は前記第2の接着剤層が、前記単層の樹脂フィルムからなるものでもよい。
本発明の金属張積層板は、前記第2の接着剤層に接して、他の金属層又は樹脂層が積層されていてもよい。
本発明の回路基板は、上記いずれかの金属張積層板の前記金属層を配線加工してなるものである。
本発明の樹脂組成物は、ポリイミド又はポリアミド酸と、平均粒子径が100nm~10μmの範囲内で粒子形状が六面体である無機フィラーを含有しているので、低い誘電正接を維持しながら、実用上十分なハンダ耐熱性及びピール強度を有する接着性に優れた樹脂フィルムを形成することができる。従って、本発明の樹脂組成物及び樹脂フィルムは、例えば、高速信号伝送を必要とする電子機器において、FPC等の回路基板材料として特に好適に用いることができる。
本発明の実施の形態に係る金属張積層板の断面の構成を示す模式図である。 本発明の別の実施の形態に係る金属張積層板の断面の構成を示す模式図である。 本発明のさらに別の実施の形態に係る金属張積層板の断面の構成を示す模式図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
[樹脂組成物]
本発明の一実施の形態に係る樹脂組成物は、下記の(A)成分及び(B)成分;
(A)ポリイミド又はその前駆体であるポリアミド酸、
及び
(B)平均粒子径が100nm~10μmの範囲内であり、粒子形状が六面体である無機フィラー、
を含有するとともに、前記(A)成分に対する前記(B)成分の含有量が0.5~50重量%の範囲内である。
<(A)成分>
(A)成分のポリイミド又はポリアミド酸は、テトラカルボン酸残基及びジアミン残基を含むものである。なお、本発明において、テトラカルボン酸残基とは、テトラカルボン酸二無水物から誘導された4価の基のことを表し、ジアミン残基とは、ジアミン化合物から誘導された2価の基のことを表す。原料であるテトラカルボン酸無水物及びジアミン化合物をほぼ等モルで反応させた場合には、原料の種類とモル比に対して、ポリイミド中に含まれるテトラカルボン酸残基及びジアミン残基の種類とモル比をほぼ対応させることができる。
なお、本発明で「ポリイミド」という場合、ポリイミドの他、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリシロキサンイミド、ポリベンズイミダゾールイミドなど、分子構造中にイミド基を有するポリマーからなる樹脂を意味する。
(A)成分がポリイミドである場合、金属層との接着性を向上させるために、熱可塑性ポリイミドとすることが好ましい。熱可塑性ポリイミドは、一般にガラス転移温度(Tg)が明確に確認できるポリイミドのことであるが、本発明では、動的粘弾性測定装置(DMA)を用いて測定したtanδ極大値が340℃以下であるポリイミドをいう。
(テトラカルボン酸残基)
(A)成分のポリイミド又はポリアミド酸は、テトラカルボン酸残基として、3,3’、4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、ピロメリット酸二無水物(PMDA)及び3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)の少なくとも1種から誘導されるテトラカルボン酸残基を含有することが好ましい。
BPDAから誘導されるテトラカルボン酸残基(以下、「BPDA残基」ともいう。)、ピロメリット酸二無水物から誘導されるテトラカルボン酸残基(以下、「PMDA残基」ともいう。)及びBTDAから誘導されるテトラカルボン酸残基(以下、「BTDA残基」ともいう。)は、剛直性を有するため、面内配向性を高め、ポリマーの秩序構造を形成しやすく、分子の運動抑制により誘電正接や吸湿性を低下させることができる。また、CTEや、ガラス転移温度の制御の役割を担う残基である。BPDA残基及びPMDA残基及びBTDA残基を含まない場合は、ポリマーの秩序構造の形成が不十分となって、耐吸湿性が低下したり、誘電正接の低減が不十分となるほかに、CTEの極端な増加や、耐熱性が低下したりするおそれがある。
上記のような観点から、(A)成分のポリイミド又はポリアミド酸が、テトラカルボン酸残基の全100モル部に対して、BPDA残基を好ましくは30モル部以上60モル部以下の範囲内、より好ましくは40モル部以上50モル部以下の範囲内で含有するように制御することが好ましい。BPDA残基が30モル部未満では、ポリマーの秩序構造の形成が不十分となって、耐吸湿性が低下したり、誘電正接の低減が不十分となり、60モル部を超えると、CTEの増加のほか、耐熱性が低下したりするおそれがある。
また、(A)成分のポリイミド又はポリアミド酸は、テトラカルボン酸残基の全100モル部に対して、PMDA残基を好ましくは40モル部以上70モル部以下の範囲内、より好ましくは50モル部以上60モル部以下の範囲内、さらに好ましくは50~55モル部の範囲内で含有することがよい。PMDA残基が40モル部未満では、CTEが増加したり、耐熱性が低下したりするおそれがあり、70モル部を超えると、ポリマーのイミド基濃度が高くなり、極性基が増加して低吸湿性が損なわれ、誘電正接が増加するおそれやフィルムが脆くなりフィルムの自己支持性が低下するおそれがある。
また、BPDA残基及びPMDA残基の合計が、テトラカルボン酸残基の全100モル部に対して80モル部以上、好ましくは90モル部以上であることがよい。
また、(A)成分のポリイミド又はポリアミド酸として、BTDA残基を含有するポリイミドを用いることも好ましい。特に、テトラカルボン酸残基の全100モル部に対してBTDA残基を50モル部以上含有するものとすることで、ハンダ耐熱性を向上させることができる。BTDA残基のより好ましい含有量は、テトラカルボン酸残基の全100モル部に対して70~100モル部の範囲である。
(A)成分のポリイミド又はポリアミド酸に含まれる、上記以外のテトラカルボン酸残基としては、例えば、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’-オキシジフタル酸無水物、2,3',3,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'-又は2,3,3',4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3',3,4'-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、3,3'',4,4''-、2,3,3'',4''-又は2,2'',3,3''-p-テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(2,3-又は3,4-ジカルボキシフェニル)-プロパン二無水物、ビス(2,3-又は3.4-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3-又は3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1-ビス(2,3-又は3,4-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,2,7,8-、1,2,6,7-又は1,2,9,10-フェナンスレン-テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-アントラセンテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)テトラフルオロプロパン二無水物、2,3,5,6-シクロヘキサン二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、4,8-ジメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロナフタレン-1,2,5,6-テトラカルボン酸二無水物、2,6-又は2,7-ジクロロナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-(又は1,4,5,8-)テトラクロロナフタレン-1,4,5,8-(又は2,3,6,7-)テトラカルボン酸二無水物、2,3,8,9-、3,4,9,10-、4,5,10,11-又は5,6,11,12-ペリレン-テトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、ピラジン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ピロリジン-2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、チオフェン-2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、4,4’-ビス(2,3-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルメタン二無水物、エチレングリコール ビスアンヒドロトリメリテート等の芳香族テトラカルボン酸二無水物から誘導されるテトラカルボン酸残基が挙げられる。
(ジアミン残基)
(A)成分のポリイミド又はポリアミド酸は、ジアミン残基の全100モル部に対し、芳香族ジアミンから誘導されるジアミン残基を40モル部以上含有することが好ましく、40モル部以上100モル部の範囲内で含有することがより好ましい。(A)成分のポリイミド又はポリアミド酸が、ジアミン残基の全100モル部に対し、芳香族ジアミンから誘導されるジアミン残基を40モル部以上含有することによって、優れたハンダ耐熱性が得られる。つまり、(A)成分のポリイミド又はポリアミド酸は、テトラカルボン酸二無水物と、ジアミン成分の全100モル部に対し、芳香族ジアミンを40モル部以上含有するジアミン成分と、を反応させてなるポリイミド又はポリアミド酸であることが好ましい。
(A)成分のポリイミド又はポリアミド酸に含まれるジアミン残基としては、一般式(B1)~(B7)で表されるジアミン化合物から誘導されるジアミン残基が好ましい。
Figure 2022155638000001
式(B1)~(B7)において、Rは独立に炭素数1~6の1価の炭化水素基又はアルコキシ基を示し、連結基Aは独立に-O-、-S-、-CO-、-SO-、-SO-、-COO-、-CH-、-C(CH-、-NH-若しくは-CONH-から選ばれる2価の基を示し、nは独立に0~4の整数を示す。ただし、式(B3)中から式(B2)と重複するものは除き、式(B5)中から式(B4)と重複するものは除くものとする。ここで、「独立に」とは、上記式(B1)~(B7)の内の一つにおいて、または二つ以上において、複数の連結基A、複数のR若しくは複数のnが、同一でもよいし、異なっていてもよいことを意味する。なお、上記式(B1)~(B7)において、末端の二つのアミノ基における水素原子は置換されていてもよく、例えば-NR(ここで、R,Rは、独立してアルキル基などの任意の置換基を意味する)であってもよい。
式(B1)で表されるジアミン(以下、「ジアミン(B1)」と記すことがある)は、2つのベンゼン環を有する芳香族ジアミンである。このジアミン(B1)は、少なくとも1つのベンゼン環に直結したアミノ基と2価の連結基Aとがメタ位にあることで、ポリイミド分子鎖が有する自由度が増加して高い屈曲性を有しており、ポリイミド分子鎖の柔軟性の向上に寄与すると考えられる。従って、ジアミン(B1)を用いることで、ポリイミドの熱可塑性が高まる。ここで、連結基Aとしては、-O-、-CH-、-C(CH-、-CO-、-SO-、-S-が好ましい。
ジアミン(B1)としては、例えば、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジアミノジフェニルプロパン、3,3’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4'-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジフェニルプロパン、3,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’-ジアミノベンゾフェノン、(3,3’-ビスアミノ)ジフェニルアミン等を挙げることができる。
式(B2)で表されるジアミン(以下、「ジアミン(B2)」と記すことがある)は、3つのベンゼン環を有する芳香族ジアミンである。このジアミン(B2)は、少なくとも1つのベンゼン環に直結したアミノ基と2価の連結基Aとがメタ位にあることで、ポリイミド分子鎖が有する自由度が増加して高い屈曲性を有しており、ポリイミド分子鎖の柔軟性の向上に寄与すると考えられる。従って、ジアミン(B2)を用いることで、ポリイミドの熱可塑性が高まる。ここで、連結基Aとしては、-O-が好ましい。
ジアミン(B2)としては、例えば1,4-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、3-[4-(4-アミノフェノキシ)フェノキシ]ベンゼンアミン、3-[3-(4-アミノフェノキシ)フェノキシ]ベンゼンアミン等を挙げることができる。
式(B3)で表されるジアミン(以下、「ジアミン(B3)」と記すことがある)は、3つのベンゼン環を有する芳香族ジアミンである。このジアミン(B3)は、1つのベンゼン環に直結した、2つの2価の連結基Aが互いにメタ位にあることで、ポリイミド分子鎖が有する自由度が増加して高い屈曲性を有しており、ポリイミド分子鎖の柔軟性の向上に寄与すると考えられる。従って、ジアミン(B3)を用いることで、ポリイミドの熱可塑性が高まる。ここで、連結基Aとしては、-O-が好ましい。
ジアミン(B3)としては、例えば1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE-R)、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン(APB)、4,4'-[2-メチル-(1,3-フェニレン)ビスオキシ]ビスアニリン、4,4'-[4-メチル-(1,3-フェニレン)ビスオキシ]ビスアニリン、4,4'-[5-メチル-(1,3-フェニレン)ビスオキシ]ビスアニリン等を挙げることができる。
式(B4)で表されるジアミン(以下、「ジアミン(B4)」と記すことがある)は、4つのベンゼン環を有する芳香族ジアミンである。このジアミン(B4)は、少なくとも1つのベンゼン環に直結したアミノ基と2価の連結基Aとがメタ位にあることで高い屈曲性を有しており、ポリイミド分子鎖の柔軟性の向上に寄与すると考えられる。従って、ジアミン(B4)を用いることで、ポリイミドの熱可塑性が高まる。ここで、連結基Aとしては、-O-、-CH-、-C(CH-、-SO-、-CO-、-CONH-が好ましい。
ジアミン(B4)としては、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)]ベンゾフェノン、ビス[4,4'-(3-アミノフェノキシ)]ベンズアニリド等を挙げることができる。
式(B5)で表されるジアミン(以下、「ジアミン(B5)」と記すことがある)は、4つのベンゼン環を有する芳香族ジアミンである。このジアミン(B5)は、少なくとも1つのベンゼン環に直結した、2つの2価の連結基Aが互いにメタ位にあることで、ポリイミド分子鎖が有する自由度が増加して高い屈曲性を有しており、ポリイミド分子鎖の柔軟性の向上に寄与すると考えられる。従って、ジアミン(B5)を用いることで、ポリイミドの熱可塑性が高まる。ここで、連結基Aとしては、-O-が好ましい。
ジアミン(B5)としては、4-[3-[4-(4-アミノフェノキシ)フェノキシ]フェノキシ]アニリン、4,4’-[オキシビス(3,1-フェニレンオキシ)]ビスアニリン等を挙げることができる。
式(B6)で表されるジアミン(以下、「ジアミン(B6)」と記すことがある)は、4つのベンゼン環を有する芳香族ジアミンである。このジアミン(B6)は、少なくとも2つのエーテル結合を有することで高い屈曲性を有しており、ポリイミド分子鎖の柔軟性の向上に寄与すると考えられる。従って、ジアミン(B6)を用いることで、ポリイミドの熱可塑性が高まる。ここで、連結基Aとしては、-C(CH-、-O-、-SO-、-CO-が好ましい。
ジアミン(B6)としては、例えば、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル(BAPE)、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン(BAPS)、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ケトン(BAPK)等を挙げることができる。
式(B7)で表されるジアミン(以下、「ジアミン(B7)」と記すことがある)は、4つのベンゼン環を有する芳香族ジアミンである。このジアミン(B7)は、ジフェニル骨格の両側に、それぞれ屈曲性の高い2価の連結基Aを有するため、ポリイミド分子鎖の柔軟性の向上に寄与すると考えられる。従って、ジアミン(B7)を用いることで、ポリイミドの熱可塑性が高まる。ここで、連結基Aとしては、-O-が好ましい。
ジアミン(B7)としては、例えば、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)]ビフェニル、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)]ビフェニル等を挙げることができる。
(A)成分のポリイミド又はポリアミド酸は、ジアミン残基の全100モル部に対して、ジアミン(B1)~ジアミン(B7)から選ばれる少なくとも一種のジアミン化合物から誘導されるジアミン残基を60モル部以上、好ましくは60モル部以上99モル部以下の範囲内、より好ましくは70モル部以上95モル部以下の範囲内で含有することがよい。ジアミン(B1)~ジアミン(B7)は、屈曲性を有する分子構造を持つため、これらから選ばれる少なくとも一種のジアミン化合物を上記範囲内の量で使用することによって、ポリイミド分子鎖の柔軟性を向上させ、熱可塑性を付与することができるので、接着性を高めることができる。ジアミン(B1)~ジアミン(B7)の合計量がジアミン成分の全100モル部に対して60モル部未満であるとポリイミドの柔軟性が不足して十分な熱可塑性が得られない。
また、(A)成分のポリイミド又はポリアミド酸として、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(DAPE)から誘導されるジアミン残基(DAPE残基)を含有するものも好ましい。特に、ジアミン残基の全100モル部に対して、DAPE残基を50モル部以上含有することによって、ハンダ耐熱性を向上させることができる。DAPE残基のより好ましい含有量は、ジアミン残基の全100モル部に対して、70~100モル部の範囲である。
また、(A)成分のポリイミド又はポリアミド酸に含まれるジアミン残基としては、一般式(A1)で表されるジアミン化合物から誘導されるジアミン残基も好ましい。
Figure 2022155638000002
式(A1)において、連結基Xは単結合若しくは-COO-から選ばれる2価の基を示し、Yは独立に水素、炭素数1~3の1価の炭化水素基、若しくはアルコキシ基を示し、nは0~2の整数を示し、p及びqは独立して0~4の整数を示す。ここで、「独立に」とは、上記式(A1)において、複数の置換基Y、さらに整数p、qが、同一でもよいし、異なっていてもよいことを意味する。なお、上記式(A1)において、末端の二つのアミノ基における水素原子は置換されていてもよく、例えば-NR(ここで、R,Rは、独立してアルキル基などの任意の置換基を意味する)であってもよい。
一般式(A1)で表されるジアミン化合物(以下、「ジアミン(A1)」と記すことがある)は、少なくとも1つのベンゼン環を有する芳香族ジアミンである。ここで、連結基Xとしては、単結合が好ましい。ジアミン(A1)は、剛直構造を有し、ポリマー全体に秩序構造を付与する作用を有しているため、分子の運動抑制により誘電正接や吸湿性を低下させることができる。更に、(A)成分のポリイミド又はポリアミド酸の原料として使用することで、ガス透過性が低く、長期耐熱接着性に優れたポリイミドが得られる。
ジアミン(A1)としては、例えば、1,4-ジアミノベンゼン(p-PDA;パラフェニレンジアミン)、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル(m-TB)、2,2’-n-プロピル-4,4’-ジアミノビフェニル(m-NPB)、4-アミノフェニル-4’-アミノベンゾエート(APAB)等を挙げることができる。これらの中でも、剛直構造によってポリマー全体に秩序構造を付与する効果が大きな2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル(m-TB)が最も好ましい。
(A)成分のポリイミド又はポリアミド酸は、ジアミン残基の全100モル部に対して、ジアミン(A1)から誘導されるジアミン残基を、好ましくは1モル部以上40モル部以下の範囲内、より好ましくは5モル部以上30モル部以下の範囲内で含有してもよい。ジアミン(A1)を上記範囲内の量で使用することによって、モノマー由来の剛直構造により、ポリマー全体に秩序構造が形成されるので、熱可塑性でありながら、ガス透過性及び吸湿性が低く、長期耐熱接着性に優れたポリイミドが得られる。
(A)成分のポリイミド又はポリアミド酸は、ジアミン(A1)、(B1)~(B7)以外のジアミン化合物から誘導されるジアミン残基を含むことができる。そのようなジアミン残基としては、例えば脂肪族ジアミン化合物から誘導されるジアミン残基などを挙げることができる。ただし、(A)成分のポリイミド又はポリアミド酸は、ポリイミドのハンダ耐熱性を向上させる観点から、芳香族テトラカルボン酸二無水物から誘導される芳香族テトラカルボン酸残基及び芳香族ジアミン化合物から誘導される芳香族ジアミン残基からなることが好ましい。
(A)成分のポリイミド又はポリアミド酸は、上記のテトラカルボン酸無水物成分とジアミン成分を溶媒中で反応させ、ポリアミド酸を生成したのち加熱閉環させることにより製造できる。例えば、テトラカルボン酸無水物成分とジアミン成分をほぼ等モルで有機溶媒中に溶解させて、0~100℃の範囲内の温度で30分~24時間撹拌し重合反応させることでポリイミドの前駆体であるポリアミド酸が得られる。反応にあたっては、生成する前駆体が有機溶媒中に5~50重量%の範囲内、好ましくは10~40重量%の範囲内となるように反応成分を溶解する。重合反応に用いる有機溶媒としては、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N-ジエチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、2-ブタノン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ヘキサメチルホスホルアミド、N-メチルカプロラクタム、硫酸ジメチル、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジグライム、トリグライム、メタノール、エタノール、ベンジルアルコール、クレゾール等が挙げられる。これらの溶媒を2種以上併用して使用することもでき、更にはキシレン、トルエンのような芳香族炭化水素の併用も可能である。また、このような有機溶媒の使用量としては特に制限されるものではないが、重合反応によって得られるポリアミド酸溶液の濃度が5~50重量%程度になるような使用量に調整して用いることが好ましい。
合成されたポリアミド酸は、通常、反応溶媒溶液として使用することが有利であるが、必要により濃縮、希釈又は他の有機溶媒に置換することができる。また、ポリアミド酸は一般に溶媒可溶性に優れるので、有利に使用される。ポリアミド酸の溶液の粘度は、500cps~100,000cpsの範囲内であることが好ましい。この範囲を外れると、コーター等による塗工作業の際にフィルムに厚みムラ、スジ等の不良が発生し易くなる。
ポリアミド酸をイミド化させてポリイミドを形成させる方法は、特に制限されず、例えば前記溶媒中で、80~400℃の範囲内の温度条件で1~24時間かけて加熱するといった熱処理が好適に採用される。また、温度は一定の温度条件で加熱しても良いし、工程の途中で温度を変えることもできる。
(A)成分のポリイミド又はポリアミド酸において、上記テトラカルボン酸無水物成分及びジアミン成分の種類や、2種以上のテトラカルボン酸無水物成分又はジアミン成分を適用する場合のそれぞれのモル比を選定することにより、誘電特性、熱膨張係数、引張弾性率、ガラス転移温度等を制御することができる。また、(A)成分のポリイミド又はポリアミド酸において、ポリイミドの構造単位を複数有する場合は、ブロックとして存在しても、ランダムに存在していてもよいが、ランダムに存在することが好ましい。
(A)成分のポリイミド又はポリアミド酸は、ガラス転移温度(Tg)が340℃以下であり、250~340℃の範囲内であることが好ましい。Tgが340℃以下であることによって、低温での熱圧着が可能になるため、積層時に発生する内部応力を緩和し、回路加工後の寸法変化を抑制できる。ポリイミドのTgが340℃を超えると、接着温度が高くなり、回路加工後の寸法安定性を損なう恐れがある。ここで、ガラス転移温度は、動的粘弾性測定装置を用いて30℃から450℃まで昇温速度4℃/分、周波数11Hzで測定を行ったときの弾性率変化(tanδ)が最大となる温度を意味する。
(A)成分のポリイミド又はポリアミド酸の重量平均分子量は、例えば10,000~400,000の範囲内が好ましく、50,000~350,000の範囲内がより好ましい。重量平均分子量が10,000未満であると、フィルムの強度が低下して脆化しやすい傾向となる。一方、重量平均分子量が400,000を超えると、過度に粘度が増加して塗工作業の際にフィルム厚みムラ、スジ等の不良が発生しやすい傾向になる。
(A)成分のポリイミドのイミド基濃度は、33重量%以下であることが好ましい。ここで、「イミド基濃度」は、ポリイミド中のイミド基部(-(CO)-N-)の分子量を、ポリイミドの構造全体の分子量で除した値を意味する。イミド基濃度が33重量%を超えると、樹脂自体の分子量が小さくなるとともに、極性基の増加によって低吸湿性も悪化する。上記ジアミン化合物の組み合わせを選択することによって、ポリイミド中の分子の配向性を制御することで、イミド基濃度低下に伴うCTEの増加を抑制し、低吸湿性を担保している。
(A)成分のポリイミドは、例えば回路基板の絶縁樹脂層と配線層とを密着させる接着剤層となり得るものであり、銅の拡散を抑制するために完全にイミド化された構造が最も好ましい。但し、ポリイミドの一部がアミド酸となっていてもよい。そのイミド化率は、フーリエ変換赤外分光光度計(市販品:日本分光社製、商品名;FT/IR620)を用い、1回反射ATR法にてポリイミド薄膜の赤外線吸収スペクトルを測定することによって、1015cm-1付近のベンゼン環吸収体を基準とし、1780cm-1のイミド基に由来するC=O伸縮の吸光度から算出することができる。
<(B)成分:無機フィラー>
(B)成分の無機フィラーは、粒子形状が六面体である絶縁性の無機フィラーであればよく、好ましくは金属酸化物、金属窒化物、金属フッ化物などのフィラーが含まれる。無機フィラーは、単結晶でも多結晶でもよい。
金属酸化物としては、例えば、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化ベリリウム、酸化ニオブ、酸化チタン、酸化亜鉛などが好ましい。
金属窒化物としては、例えば、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素などが好ましい。
金属フッ化物としては、例えば、フッ化アルミニウム、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、ケイフッ化カリウムなどが好ましい。
これらは1種又は2種以上を併用することができる。
(B)成分の無機フィラーは、粒子形状が六面体であることにより、表面積が大きく、銅箔などの金属箔の表面に存在する微細な凹凸に噛み込みしやすいため、優れたピール強度が得られる。それに対して、フィラー粒子の形状が球状である場合は、表面積が小さく、局所的(ミクロ)な表面凹凸も小さくなるため、ピール強度が低くなる。ここで、「六面体」とは、六つの平面で囲まれた立体形状を意味する。六面体の中でも、各面の形状がほぼ四角形をなすものが好ましく、例えば、立方体(正六面体)、直方体、平行六面体、四角柱、四角錐台などが好ましい。これらの中でも、高いピール強度を発現しやすい立方体もしくは立方体に近似した直方体が特に好ましく、立方体が最も好ましい。
六面体は複数の辺を有するが、各辺の中で最も長い辺の長さaと最も短い辺の長さbとの比率(a/b)が1.5以下のものが好ましく、1.3以下のものがより好ましく、1.1以下のものがさらに好ましく、1(つまり、a=b)であることが最も好ましい。
また、六面体の辺と辺とのなす角度のうち、最も大きな角度θと最も小さな角度θが、いずれも、90度±20度の範囲内であることが好ましく、90度±10度の範囲内であることがより好ましく、90度±5度の範囲内であることがさらに好ましく、90度(つまり、θ=θ)であることが最も好ましい。
(B)成分の無機フィラーは、レーザ回折法によって測定される平均粒子径が100nm~10μmの範囲内であり、好ましくは100nm~5μmの範囲内、より好ましくは100nm~1μmの範囲内である。この範囲内であれば、樹脂フィルムを形成したときに誘電特性を悪化させずに、ハンダ耐熱性とピール強度を効果的に向上させることが可能となる。平均粒子径が100nm未満であると、分散性が低下し、樹脂フィルムの形成が困難となる場合や、樹脂フィルムを形成したときに均一に分散させることが困難になって、誘電特性の悪化や、ハンダ耐熱性及びピール強度の低下を引き起こすおそれがある。平均粒子径が10μmを超えるとフィルムの表面の凹凸として現れフィルム表面の平滑性を悪化させることがある。なお、無機フィラーの「粒子径」は、六面体をなすフィラー粒子の各辺の中で最も長い辺の長さaに基づいて算出することができる。
無機フィラーは、熱伝導率が20~80W/mKの範囲内であることが好ましく、30~70W/mKの範囲内であることがより好ましい。熱伝導率が20~80W/mKの範囲内であることによって、ハンダ耐熱性の評価時に加わる熱が無機フィラーに集中することによって、樹脂への影響を小さくすることができる。それに対して、シリカのように熱伝導率が2W/mK程度と小さいものは、ハンダ耐熱性の評価時に加わる熱が樹脂にも伝わり、樹脂の変形や膨れを引き起こす原因となる。
また、無機フィラーは、熱膨張係数(CTE)が5~20ppm/Kの範囲内であることが好ましく、10~20ppm/Kの範囲内であることがより好ましい。CTEが5~20ppm/Kの範囲内であることによって、樹脂層のCTEに近づくため、樹脂/フィラー界面でのマイクロクラックが発生しにくくなり、ピール強度を向上させることができる。
一方、シリカのように、熱膨張係数が0.15ppm/K程度と極端に小さいものは、樹脂との熱膨張係数差からマイクロクラックが発生しやすく、ピール強度の低下を引き起こす原因となる。
上記熱伝導率及びCTEを満たす特に好ましい無機フィラーとして、酸化マグネシウムフィラーを挙げることができる。酸化マグネシウムフィラーは、酸化マグネシウム(MgO;マグネシア)を主成分とするフィラーであり、酸化マグネシウムを好ましくは98重量%以上、より好ましくは99重量%以上含有するものがよい。フィラーを形成している酸化マグネシウムは、単結晶でも多結晶でもよいが、一次粒子が立方体形状をとる単結晶が好ましい。樹脂組成物に酸化マグネシウムフィラーを配合することによって、樹脂フィルムを形成したときの誘電正接を悪化させることなく、ハンダ耐熱性とピール強度を増強させることができる。
酸化マグネシウムフィラーは、市販品を適宜選定して用いることができる。市販の酸化マグネシウムフィラーとして、例えば、宇部マテリアルズ社製の高純度超微粉マグネシア2000A(商品名)、RF-10CS(商品名)の分級品、RF-10CS―SC(商品名)の分級品などを使用することができる。
無機フィラーは、表面処理を施してあっても良い。表面処理には公知の技術を用いることができ、例えばコロナ処理、プラズマ処理、UV処理などによる改質や、シランカップリング剤等を用いた官能基化処理などが好ましい。無機フィラーを表面処理することによって、溶剤もしくはポリアミド酸との親和性を向上させたり、フィラー粒子どうしの反発力を向上させたりすることが可能になり、無機フィラーの分散性、ワニスの長期安定性が向上する。
[配合量]
樹脂組成物における(A)成分に対する(B)成分の重量比率は、0.5~50重量%の範囲内であり、0.5~40重量%の範囲内が好ましく、0.5~30重量%の範囲内がより好ましい。(A)成分に対する(B)成分の重量比率が0.5重量%未満では、ハンダ耐熱性及びピール強度の改善が不十分となる場合がある。一方、(B)成分の重量比率が50重量%を超えると、樹脂フィルムを形成したときの接着性が低下したり、ハンダ耐熱性及びピール強度が低下したりする。また、(B)成分の重量比率が50重量%を超えると、樹脂フィルムが脆くなって折り曲げ性が低下したり、樹脂組成物の粘度が高くなり、作業性が低下したりする。
さらに、本実施の形態の樹脂組成物は、有機溶媒などの溶剤を含有することができる。(A)成分のポリアミド酸は溶剤可溶性を有するため、樹脂組成物を、溶剤を含有するポリアミド酸溶液(ワニス)の形態とすることができる。また、(A)成分のポリイミドが溶剤可溶性を有する場合も、樹脂組成物を溶剤を含有するポリイミド溶液(ワニス)の形態とすることができる。有機溶媒としては、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N-ジエチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、2-ブタノン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ヘキサメチルホスホルアミド、N-メチルカプロラクタム、硫酸ジメチル、シクロヘキサノン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジグライム、トリグライム、クレゾール等が挙げられる。これらの溶剤を2種以上併用することもでき、更にはキシレン、トルエンのような芳香族炭化水素の併用も可能である。溶剤の含有量としては特に制限されるものではないが、ポリアミド酸又はポリイミドの濃度が5~30重量%程度になるような使用量に調整して用いることが好ましい。
本実施の形態の樹脂組成物には、さらに必要に応じて任意成分として、発明の効果を損なわない範囲で、六面体形状以外の無機フィラー、有機フィラー、可塑剤、硬化促進剤、カップリング剤、顔料、難燃剤などを適宜配合することができる。また、任意成分として、例えばエポキシ樹脂、フッ素樹脂、オレフィン系樹脂などの他の樹脂成分を配合してもよい。
[粘度]
樹脂組成物の粘度は、樹脂組成粒を塗工する際のハンドリング性を高め、均一な厚みの塗膜を形成しやすい粘度範囲として、例えば3000cps~100000cpsの範囲内とすることが好ましく、5000cps~50000cpsの範囲内とすることがより好ましい。上記の粘度範囲を外れると、コーター等による塗工作業の際にフィルムに厚みムラ、スジ等の不良が発生し易くなる。
[樹脂組成物の調製]
樹脂組成物の調製に際しては、例えば、任意の溶剤を用いて作製したポリアミド酸又はポリイミドの樹脂溶液に(B)成分の無機フィラーを直接配合してもよい。あるいは、(B)成分の無機フィラーの分散性を考慮し、ポリアミド酸の原料である酸二無水物成分及びジアミン成分のいずれか片方を投入した反応溶媒に予め(B)成分の無機フィラーを配合した後、攪拌下にもう片方の原料を投入して重合を進行させてもよい。いずれの方法においても、一回で(B)成分の無機フィラーを全量投入してもよいし、数回分けて少しずつ添加してもよい。また、原料も一括で入れてもよいし、数回に分けて少しずつ混合してもよい。
本実施の形態の樹脂組成物は、これを用いて接着剤層を形成した場合に優れた柔軟性と接着性を有するものとなる。したがって、例えばFPC、リジッド・フレックス回路基板などにおいて、接着剤層の材料や、配線部を保護するカバーレイフィルム用接着剤などの用途に好ましい特性を有している。
[樹脂フィルム]
本実施の形態の樹脂フィルムは、単層又は複数層からなり、少なくとも1層のポリイミド層を含む樹脂フィルムであり、ポリイミド層が、下記の(A)成分及び(B)成分;
(A)ポリイミド、
及び
(B)平均粒子径が100nm~10μmの範囲内であり、粒子形状が六面体である無機フィラー、
を含有する。以下、このポリイミド層を「フィラー含有ポリイミド層」と記すことがある。
フィラー含有ポリイミド層は、上記樹脂組成物の固形分(溶剤を除いた残部)を主要成分としてフィルム化してなるものである。すなわち、フィラー含有ポリイミド層は、(A)成分に対する(B)成分の含有量が0.5~50重量%の範囲内であり、1~40重量%の範囲内が好ましく、1~30重量%の範囲内がより好ましい。(A)成分に対する(B)成分の重量比率が0.5重量%未満では、ハンダ耐熱性及びピール強度の改善が不十分となる場合がある。一方、(B)成分の重量比率が50重量%を超えると、樹脂フィルムの接着性が低下したり、ハンダ耐熱性及びピール強度が低下したりする。また、(B)成分の重量比率が50重量%を超えると、樹脂フィルムが脆くなって折り曲げ性が低下することもある。
本実施の形態の樹脂フィルムは、上記のフィラー含有ポリイミド層を含む絶縁樹脂のフィルムであればよく、絶縁樹脂からなるフィルム(シート)であってもよく、例えば銅箔、ガラス板、ポリイミド系フィルム、ポリアミド系フィルム、ポリエステル系フィルムなどの樹脂シートに代表される任意の基材に積層された状態であってもよい。樹脂フィルムが単層である場合は、樹脂フィルムは、フィラー含有ポリイミド層のみによって構成される。
本実施の形態の樹脂フィルムは、優れた高周波特性と、優れた接着性(特にハンダ耐熱性及びピール強度)を有するものであるため、そのまま回路基板材料の接着剤シートとして利用できる。
(比誘電率)
本実施の形態の樹脂フィルムは、例えばFPC等の回路基板に使用した際のインピーダンス整合性を確保するため、また電気信号のロス低減のために、23℃、50%RHの恒温恒湿条件のもと24時間調湿後の10GHzにおける比誘電率(Dk)が、好ましくは4.0以下がよく、より好ましくは3.7以下がよい。この比誘電率が4.0を超えると、例えばFPC等の回路基板に使用した際に、高周波信号の伝送経路上で電気信号のロスなどの不都合が生じやすくなる。
(誘電正接)
また、本実施の形態の樹脂フィルムは、例えばFPC等の回路基板に使用した際の電気信号のロス低減のために、23℃、50%RHの恒温恒湿条件のもと24時間調湿後の10GHzにおける誘電正接(Df)が、好ましくは0.015以下がよく、より好ましくは0.009以下がよい。この誘電正接が0.015を超えると、例えばFPC等の回路基板に使用した際に、高周波信号の伝送経路上で電気信号のロスなどの不都合が生じやすくなる。
(ガラス転移温度)
本実施の形態の樹脂フィルムは、ガラス転移温度(Tg)が340℃以下であり、250~340℃の範囲内であることが好ましい。樹脂フィルムのTgが340℃以下であることによって、低温での熱圧着が可能になるため、積層時に発生する内部応力を緩和し、回路加工後の寸法変化を抑制できる。樹脂フィルムのTgが340℃を超えると、接着温度が高くなり、回路加工後の寸法安定性を損なう恐れがある。ここで、ガラス転移温度は、動的粘弾性測定装置を用いて30℃から450℃まで昇温速度4℃/分、周波数11Hzで測定を行ったときの弾性率変化(tanδ)が最大となる温度を意味する。
(厚み)
本実施の形態の樹脂フィルムは、厚みが、例えば5μm以上125μm以下の範囲内が好ましく、8μm以上100μm以下の範囲内であることがより好ましい。樹脂フィルムの厚みが5μmに満たないと、樹脂フィルムの製造等における搬送時にシワが入るなどの不具合が生じるおそれがあり、一方、樹脂フィルムの厚みが125μmを超えると樹脂フィルムの生産性低下の虞がある。
本実施の形態の樹脂フィルムは、低い誘電正接と優れた接着性を有することから、カバーレイにおける接着剤層、回路基板、多層回路基板、樹脂付き銅箔などにおける接着剤層、ボンドプライ、ボンディングシートなどとして有用である。
[金属張積層板]
本発明の一実施の形態に係る金属張積層板は、絶縁樹脂層と、この絶縁樹脂層の少なくとも一方の面に積層された金属層と、を備え、絶縁樹脂層の少なくとも1層が、上記単層の樹脂フィルムからなるものである。本発明の金属張積層板の好ましい態様を図1~図3に示した。
図1に示す金属張積層板100Aは、金属層10と、この金属層10に積層されている絶縁樹脂層20Aとを備えている。絶縁樹脂層20Aは、第1の接着剤層21から構成されている。第1の接着剤層21は、上記単層の樹脂フィルムと同様に、(A)成分及び(B)成分を含有するフィラー含有ポリイミド層である。
第1の接着剤層21は、(B)成分の無機フィラーを含有するため、銅箔などの金属箔の表面に存在する微細な凹凸に噛み込みしやすく、金属層10との間で高いピール強度が得られる。また、図1に示すように、任意の層30と貼り合わせた場合にも、銅箔などの金属箔の表面に存在する微細な凹凸や樹脂層表面の凹凸に噛み込みしやすく、高いピール強度が得られる。なお、任意の層30は金属層でもよいし、樹脂層でもよい。
図2に示す金属張積層板100Bは、金属層10と、この金属層10に積層されている絶縁樹脂層20Bとを備えている。絶縁樹脂層20Bは、金属層10に接するベース樹脂層23と、ベース樹脂層23の金属層10とは反対側の面に積層されている第2の接着剤層25とから構成されている。第2の接着剤層25は、上記単層の樹脂フィルムと同様に、(A)成分及び(B)成分を含有するフィラー含有ポリイミド層である。
第2の接着剤層25は、(B)成分の無機フィラーを含有するため、図2に示すように任意の層30と貼り合わせた場合に、銅箔などの金属箔の表面に存在する微細な凹凸や樹脂層表面の凹凸に噛み込みしやすく、高いピール強度が得られる。また、第2の接着剤層25は、ベース樹脂層23との間でも高いピール強度が得られる。
なお、任意の層30は金属層でもよいし、樹脂層でもよい。つまり、金属張積層板100Bは、片面金属張積層板でもよいし、両面金属張積層板でもよい。
図3に示す金属張積層板100Cは、金属層10と、この金属層10に積層されている絶縁樹脂層20Cとを備えている。絶縁樹脂層20Cは、ベース樹脂層23と、金属層10とベース樹脂層23との間に介在して金属層10に接して積層されている第1の接着剤層21と、ベース樹脂層23の金属層10とは反対側の面に積層されている第2の接着剤層25とから構成されている。第1の接着剤層21及び第2の接着剤層25は、上記単層の樹脂フィルムと同様に、(A)成分及び(B)成分を含有するフィラー含有ポリイミド層である。
第1の接着剤層21は、(B)成分の無機フィラーを含有するため、銅箔などの金属箔の表面に存在する微細な凹凸に噛み込みしやすく、金属層10との間で高いピール強度が得られる。また、第2の接着剤層25も、(B)成分の無機フィラーを含有するため、図3に示すように、任意の層30と貼り合わせた場合に、銅箔などの金属箔の表面に存在する微細な凹凸や樹脂層表面の凹凸に噛み込みしやすく、高いピール強度が得られる。さらに、第1の接着剤層21及び第2の接着剤層25は、ベース樹脂層23との間でも高いピール強度が得られる。
なお、任意の層30は金属層でもよいし、樹脂層でもよい。つまり、金属張積層板100Cは、片面金属張積層板でもよいし、両面金属張積層板でもよい。
図1~図3に示す金属張積層板100A,100B,100Cおいて、ベース樹脂層23や、任意の層30が樹脂層である場合の材質としては、電気的絶縁性を有する樹脂であれば特に限定はなく、例えばポリイミド、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、シリコーン、ETFEなどを挙げることができるが、非熱可塑性ポリイミドによって構成されることが好ましい。また、ベース樹脂層23や任意の層30は、必要に応じて、有機フィラー又は無機フィラーを含有してもよい。
図1~図3に示す金属張積層板100A,100B,100Cおいて、金属層10や、任意の層30が金属層である場合の材質としては、接着性の観点から金属箔を用いることが好ましく、当該金属箔の金属として、銅、アルミニウム、ステンレス、鉄、銀、パラジウム、ニッケル、クロム、モリブデン、タングステン、ジルコニウム、金、コバルト、チタン、タンタル、亜鉛、鉛、錫、シリコン、ビスマス、インジウム又はこれらの合金などから選択される金属を挙げることができる。導電性の点で特に好ましいものは銅箔である。
また、金属層10や任意の層30が金属層である場合に、第1の接着剤層21又は第2の接着剤層25と接する面の表面粗さは、例えば、算術平均粗さ(Ra)が0.05~0.5μmの範囲内であることが好ましく、十点平均粗さRz(RzJis)が0.1~2.5μmの範囲内であることが好ましい。これらの範囲内であれば、第1の接着剤層21及び第2の接着剤層25に含まれる六面体形状をなす(B)成分の無機フィラーが金属表面の微細な凹凸に噛み込みしやすいため、優れたピール強度が発現する。
また、金属張積層板100A,100B,100Cは、金属層10又は任意の層30としての金属層をエッチングするなどして配線回路加工することによって、片面FPC又は両面FPCを製造することができる。
なお、本実施の形態の金属張積層板は、図1~図3に例示する構成に限らず、また、上記以外の任意の層を含んでいてもよい。
(ハンダ耐熱性)
本実施の形態の金属張積層板は、後記実施例に示す試験方法、条件で測定されるハンダ耐熱性が、330℃以上であることが好ましく、350℃以上であることがより好ましい。ハンダ耐熱性が、330℃以上であることによって、実装工程での歩留まりを高め、電子部品の信頼性を向上させることができる。
(ピール強度)
本実施の形態の金属張積層板は、後記実施例に示す試験方法、条件で測定されるピール強度が、1.0kN/m以上であることが好ましい。ピール強度が、1.0kN/m以上であることによって、回路加工した後に、配線層と樹脂層との間に実用上十分な密着性が得られる。
[回路基板]
本発明の一実施の形態に係る回路基板は、上記いずれかの実施の形態の金属張積層板の金属層を配線加工してなるものである。金属張積層板の一つ以上の金属層を、常法によってパターン状に加工して配線層(導体回路層)を形成することによって、FPCなどの回路基板を製造できる。なお、回路基板は、配線層を被覆するカバーレイフィルムを備えていてもよい。
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより具体的に説明する。ただし、本発明の範囲は、実施例に限定されない。なお、以下の実施例において、特にことわりのない限り各種測定、評価は下記によるものである。
[平均粒子径の測定]
レーザ回折式粒度分布測定装置(マルバーン社製、商品名;Master Sizer 3000)を用いて、レーザ回折・散乱式測定方式による平均粒子径の測定を行った。
[粘度の測定]
ポリアミド酸溶液の粘度(250℃)を、E型粘度計(ブルックフィールド社製、商品名;DV-II+Pro)を用いて測定した。トルクが10%~90%になるよう回転数を設定し、測定を開始してから2分経過後、粘度が安定した時の値を読み取った。
[ガラス転移温度の測定]
銅箔をエッチング除去して得られたポリイミドフィルム(10mm×22.6mm)を、動的粘弾性測定装置DMAにて30℃から450℃まで昇温速度4℃/分、周波数11Hzで動的粘弾性を測定し、ガラス転移温度Tg(tanδ極大値)を求めた。
[銅箔引剥し強度(ピール強度)]
銅張積層板の銅箔層を幅1.0mmに加工した後、幅;8cm×長さ;4cmに切断し、測定サンプルを調製した。テンシロンテスター(東洋精機製作所製、商品名;ストログラフVE-1D)を用いて、測定サンプルの片方の面を両面テープによりアルミ板に固定し、もう一方の面を180°方向に50mm/ 分の速度で、10mm剥離したときの中央強度を求めた。実用の観点から、ピール強度が1.0kN/m以上を良好「○」、1.0kN/m未満を不良「×」と評価した。
[ハンダ耐熱試験]
各実施例及び比較例で作製した銅張積層板の銅箔層が20mmΦ残るようにエッチングし、20mmΦの銅箔層が中央にくるように幅;4cm×長さ;4cmに切断し、測定サンプルを調製した。220℃から10℃きざみで370℃までの各評価温度に設定したハンダ浴に60秒浸漬し、膨れ、剥がれ、溶けの生じない温度を評価した。
[銅箔の表面粗度の測定]
サンプルを約10mm角の大きさにカットし、試料台に両面テープで固定させ、軟X線を照射し、銅箔表面の静電気を除去した後、表面粗さを測定した。走査型プローブ顕微鏡(AFM、ブルカー・エイエックスエス社製、商品名:Dimension Icon型SPM)を用い、以下の測定条件にて銅箔表面の算術平均粗さ(Ra)及び十点平均粗さRz(RzJis)を測定した。測定条件は、下記のとおりである。
測定モード;タッピングモード
測定エリア;1μm×1μm
スキャンスピード;1Hz
プローブ;Buruker製、RTESP-300
[比誘電率(Dk)及び誘電正接(Df)の測定]
各実施例及び比較例で作製した銅張積層板の銅箔をエッチング除去して得たポリイミドフィルムの比誘電率(Dk)および誘電正接(Df)を、ベクトルネットワークアナライザ(Agilent社製、商品名;E8363C)ならびにスプリットポスト誘電体共振器(SPDR共振器)を用いて、周波数10GHzで測定した。なお、測定に使用した樹脂フィルムは、温度;24~26℃、湿度;45~55%の条件下で、24時間放置したものである。
実施例等に用いた略号は、以下の化合物を示す。
BAPP:2,2ビス―[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン
PMDA:ピロメリット酸二無水物
BPDA:3,3‘,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
DAPE:4,4’-ジアミノジフェニルエーテル
BTDA:3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物
m-TB:2,2’-ジメチル―4,4’-ジアミノビフェニル
TPE-R:1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン
DMAc:N,N-ジメチルアセトアミド
フィラー1:宇部マテリアルズ社製、商品名;高純度超微粉マグネシア2000A(酸化マグネシウム、立方体形状、純度;酸化マグネシウム>99.98%、比重;3.58、平均粒子径;200nm、熱伝導率;40W/mK、熱膨張係数;13ppm/K)
フィラー2:アドマテックス社製、商品名;SE4050(シリカ、球状、平均粒子径;400nm、熱伝導率;2W/mK、熱膨張係数;0.2ppm/K)
フィラー3:宇部マテリアルズ社製、商品名;高純度超微粉マグネシア500A(酸化マグネシウム、立方体形状、純度;酸化マグネシウム>99.98%、比重;3.58、平均粒子径;50nm、熱伝導率;40W/mK、熱膨張係数;13ppm/K)
合成例1~4
ポリアミド酸溶液1~4を合成するため、窒素気流下で、200mlのセパラブルフラスコの中に、表1で示した固形分濃度となるように溶剤のDMAcを加え、表1に示したジアミン成分及び酸無水物成分を攪拌しながら45℃、2時間加熱し溶解させた。その後、溶液を室温で3時間攪拌を続けて重合反応を行い、ポリアミド酸の粘稠な溶液1~4を調製した。
Figure 2022155638000003
合成例5
合成例1で調製したポリアミド酸溶液1の80gに、0.432gのフィラー1を配合し、攪拌することでポリアミド酸溶液5(Tg:330℃)を調製した。
合成例6
合成例2で調製したポリアミド酸溶液2の80gに、0.432gのフィラー1を配合し、攪拌することでポリアミド酸溶液6(Tg:280℃)を調製した。
合成例7
合成例2で調製したポリアミド酸溶液2の80gに、0.432gのフィラー2を配合し、攪拌することでポリアミド酸溶液7(Tg:280℃)を調製した。
合成例8
合成例4で調製したポリアミド酸溶液4の80gに、0.06gのフィラー1を配合し、攪拌することでポリアミド酸溶液8(Tg:320℃)を調製した。
[実施例1]
長尺電解銅箔(Rz;0.8μm、Ra;0.2μm)の表面に、ポリアミド酸溶液5を硬化後の厚みが12μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し、溶媒を除去した。その後120℃から360℃まで段階的な熱処理を行い、イミド化を完結し、片面銅張積層板1を調製した。
[実施例2]
ポリアミド酸溶液5の代わりに、ポリアミド酸溶液6を使用したこと以外、実施例1と同様にして、片面銅張積層板2を調製した。
[実施例3]
長尺電解銅箔(Rz;0.8μm、Ra;0.2μm)の表面に、ポリアミド酸溶液5を硬化後の厚みが2μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し、溶媒を除去した。次に、その上にポリアミド酸溶液3を硬化後の厚みが21μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し、溶媒を除去した。更に、その上にポリアミド酸溶液5を硬化後の厚みが2μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し、溶媒を除去した。このようにして3層のポリアミド酸層を形成した後、120℃から360℃まで段階的な熱処理を行い、イミド化を完結し、片面銅張積層板3を調製した。
[実施例4]
ポリアミド酸溶液5の代わりに、ポリアミド酸溶液6を使用したこと以外、実施例3と同様にして、片面銅張積層板4を調製した。
[実施例5]
ポリアミド酸溶液5の代わりに、ポリアミド酸溶液8を使用したこと以外、実施例1と同様にして、片面銅張積層板5を調製した。
比較例1
ポリアミド酸溶液5の代わりに、ポリアミド酸溶液2を使用したこと以外、実施例1と同様にして、片面銅張積層板6を調製した。
比較例2
ポリアミド酸溶液5の代わりに、ポリアミド酸溶液7を使用したこと以外、実施例1と同様にして、片面銅張積層板7を調製した。
比較例3
ポリアミド酸溶液5の代わりに、ポリアミド酸溶液2を使用したこと以外、実施例3と同様にして、片面銅張積層板8を調製した。
比較例4
合成例1で調製したポリアミド酸溶液1の80gに、0.432gのフィラー3を配合し、攪拌・混合したが、フィラーが凝集し、膜厚が均一な樹脂フィルムの製膜ができなかった。
実施例1~5、比較例1~3の評価結果を以下の表2及び表3に示す。
Figure 2022155638000004
Figure 2022155638000005
表2及び表3より、銅箔に接するポリイミド層に六面体形状の無機フィラーを配合することによって、フィラーを配合しない比較例1,3や、球状フィラーを配合した比較例2に比べ、ハンダ耐熱性及びピール強度の両方を改善できることが示された。
以上、本発明の実施の形態を例示の目的で詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に制約されることはなく、種々の変形が可能である。
10…金属層、20A,20B,20C…絶縁樹脂層、21…第1の接着剤層、23…ベース樹脂層、25…第2の接着剤層、30…任意の層、100A,100B,100C…金属張積層板

Claims (21)

  1. 下記の(A)成分及び(B)成分;
    (A)ポリイミド又はその前駆体であるポリアミド酸、
    及び
    (B)平均粒子径が100nm~10μmの範囲内であり、粒子形状が六面体である無機フィラー、
    を含有するとともに、前記(A)成分に対する前記(B)成分の含有量が0.5~50重量%の範囲内である樹脂組成物。
  2. 前記ポリイミドのガラス転移温度が340℃以下である請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記ポリイミドが、テトラカルボン酸無水物成分と、ジアミン成分の全100モル部に対し、芳香族ジアミンを40モル部以上含有するジアミン成分と、を反応させてなるポリイミドである請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記無機フィラーの熱伝導率が20~80W/mKの範囲内である請求項1から3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  5. 前記無機フィラーの熱膨張係数が5~20ppm/Kの範囲内である請求項1から4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  6. 前記無機フィラーが、金属酸化物フィラーである請求項1から5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  7. 前記無機フィラーが、酸化マグネシウムフィラーである請求項6に記載の樹脂組成物。
  8. 単層又は複数層からなり、少なくとも1層のポリイミド層を含む樹脂フィルムであって、
    前記ポリイミド層が、下記の(A)成分及び(B)成分;
    (A)ポリイミド、
    及び
    (B)平均粒子径が100nm~10μmの範囲内であり、粒子形状が六面体である無機フィラー、
    を含有するとともに、前記(A)成分に対する前記(B)成分の含有量が0.5~50重量%の範囲内である樹脂フィルム。
  9. 前記ポリイミドのガラス転移温度が340℃以下である請求項8に記載の樹脂フィルム。
  10. 前記ポリイミドが、テトラカルボン酸無水物成分と、ジアミン成分の全100モル部に対し、芳香族ジアミンを40モル部以上含有するジアミン成分と、を反応させてなるポリイミドである請求項8又は9に記載の樹脂フィルム。
  11. 前記無機フィラーの熱伝導率が20~80W/mKの範囲内である請求項8から10のいずれか1項に記載の樹脂フィルム。
  12. 前記無機フィラーの熱膨張係数が5~20ppm/Kの範囲内である請求項8から11のいずれか1項に記載の樹脂フィルム。
  13. 前記無機フィラーが、金属酸化物フィラーである請求項8から12のいずれか1項に記載の樹脂フィルム。
  14. 前記無機フィラーが、酸化マグネシウムフィラーである請求項13に記載の樹脂フィルム。
  15. 請求項8から14のいずれか1項に記載の樹脂フィルムからなる接着剤シート。
  16. 単層又は複数層からなる絶縁樹脂層と、前記絶縁樹脂層の少なくとも一方の面に積層された金属層と、を有する金属張積層板であって、
    前記絶縁樹脂層を構成する少なくとも1層が、請求項8から14のいずれか1項に記載の単層の樹脂フィルムからなることを特徴とする金属張積層板。
  17. 前記絶縁樹脂層が、前記金属層に接している第1の接着剤層を含んでおり、該第1の接着剤層が前記単層の樹脂フィルムからなる請求項16に記載の金属張積層板。
  18. 前記絶縁樹脂層が、前記金属層に接していない第2の接着剤層を含んでおり、該第2の接着剤層が前記単層の樹脂フィルムからなる請求項16に記載の金属張積層板。
  19. 前記絶縁樹脂層が、前記金属層の側から、第1の接着剤層、非熱可塑性ポリイミド層、第2の接着剤層の順に積層された構造を有しており、前記第1の接着剤層及び/又は前記第2の接着剤層が、前記単層の樹脂フィルムからなる請求項16に記載の金属張積層板。
  20. 前記第2の接着剤層に接して、他の金属層又は樹脂層が積層されている請求項18又は19に記載の金属張積層板。
  21. 請求項16から20のいずれか1項に記載の金属張積層板の前記金属層を配線加工してなる回路基板。


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