JP2007220203A - 磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】安価でかつ高密度な記録が可能な磁気記録媒体を製造することを可能にする。
【解決手段】基板に磁性膜を形成する工程と、インプリント法により磁気記録媒体の凹凸パターンが転写されるパターン転写膜の形成を、1×10−3Torr以下の真空中でパターン転写膜形成用材料を100℃以上400℃以下の温度で加熱して前記磁性膜上に蒸着することにより行う工程と、を備えている。
【選択図】図1

Description

本発明は、磁気記録媒体の製造方法に関する。
ハードディスクドライブ(HDD)などの磁気記録装置は、パソコンの普及により一般に広く使用されるようになってきた。近年では、インターネットおよび高精細画像情報を扱うDVDなどの出現により、扱う情報量が急激に増大してきており、大容量化への要望は大きくなってきている。さらに、携帯電話、カーナビゲーション、MP3プレーヤーなどのモバイル機器への小型HDD搭載も進んできており、高密度化への期待は一層強まってきている。このような状況は、HDDの記録密度の著しい向上によってもたらされたといえる。HDDでは、より小さい磁気記録マークを形成することによって記録密度を向上させる。より小さいマークを形成するには、より小さい書き込みヘッド、より小さな磁界の検出が可能な再生ヘッド、およびより小さいマークを安定に書き込むことが可能な磁気記録媒体が必要である。
従来、磁気記録媒体により小さいマークを形成するためには、スパッタ成膜される磁気記録層を構成する磁性粒子の微細化をすることが行われてきた。しかし、磁性粒子の微細化は、微小な磁性粒子の熱的な安定性の劣化、いわゆる熱揺らぎ問題によって困難さが大きくなってきている。熱揺らぎ問題を解決するには、保持力の大きな磁気材料を用いて磁気材料自体の熱的な安定性を向上させればよい。しかし、このことは記録書き込み時により大きな磁界を必要とするようになる。一方、書き込みヘッドによって得られる書き込み磁界は限界に近づいているのが現状である。
以上のような背景から、これまでの磁気記録媒体とは構造が大きく異なるパターンドメディアが提案されている(例えば、特許文献1参照)。パターンドメディアでは予め最小記録単位である記録セルをリソグラフィーにより記録トラック上に配列して形成する。従来のスパッタ成膜された磁気記録層では、最小記録マークであっても数十〜数百個の磁性粒子の集まりに対して記録を書き込んでいたが、パターンドメディアでは磁性粒子の大きさはリソグラフィーで形成される記録セルの大きさにまで拡大できるため、磁性粒子の微細化に起因する熱揺らぎの問題を根本的に解決することができる。
特開2004−295989号公報
しかしながら、パターンドメディアでは、磁性体膜をエッチングにより加工を行うために、エッチングマスクが必要である。エッチングマスクは通常、高分子材料を成分とする溶液を塗布する形成した塗布膜に、光や電子などのエネルギービームにより露光することによりパターン形成したものである。また、インプリント法と呼ばれる方法では、同様に形成される高分子材料の塗布膜に凹凸パターンを圧着することによりパターン形成を行う。
他方、HDD用の媒体の製造では、保護膜の形成までを真空環境下で一貫して行うことにより非常にスループットの高い安価な媒体製造を実現している。
これに対して、パターンドメディアにおいて塗布膜を用いることは製造工程の途中で真空環境からディスクを取り出すことになるため、スループットが低下し、安価なディスク製造は実現が困難となる。
また、塗布膜はディスク表面全体で均一な膜厚を得ることが非常に難しい。特に、ディスクエッジでは膜厚は大幅にずれてしまうために、エッジ部分で均質なエッチング加工を行うことは不可能である。
更に、塗布コートではエッジ部では塗布面の裏側にも材料が回りこんでしまうことも避けられない。そのため、ディスク両面にディスク全面に渡ってパターンを形成することが非常に困難であり、高密度の記録書き込みができなくなる。
また、エッチングマスクは記録媒体として完成される前に完全に取り除かれなくてはならない。エッチングマスクが残っているとヘッドが十分に媒体に近づくことができず、パターンドメディア本来の目的である微小な記録マークの書き込みや読み出しが困難になる。通常、電子デバイスの製造に用いられるレジスト材料は、適当な溶剤や剥離剤もしくは酸素プラズマ処理により取り除かれる。溶剤や剥離剤などのウェット処理が製造工程の途中に入ると製造工程の途中で真空環境からディスクを取り出すことになるため、スループットが低下し、安価なディスク製造工程を得ることが不可能となる。また酸素プラズマ処理を行うことは、磁性体膜に対してダメージを与えることになり、SNの劣化などを生じる可能性がある。
以上説明したように、パターンドメディアの作製方法において安価で高密度な記録が可能な媒体作製を困難にしている。
本発明は、安価でかつ高密度な記録が可能な磁気記録媒体を製造することのできる磁気記録媒体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様による磁気記録媒体の製造方法は、基板に磁性膜を形成する工程と、インプリント法により磁気記録媒体の凹凸パターンが転写されるパターン転写膜の形成を、1×10−3Torr以下の真空中でパターン転写膜形成用材料を100℃以上400℃以下の温度で加熱して前記磁性膜上に蒸着することにより行う工程と、を備えたことを特徴とする。
なお、前記パターン転写膜にインプリント用のスタンパを用いて前記凹凸パターンを転写し、エッチングマスク用パターンを形成する工程と、前記エッチングマスク用パターンをマスクとして前記磁性膜をエッチングする工程と、真空中かつ100℃以上400℃以下の温度の雰囲気で前記エッチングマスク用パターンを加熱して、蒸発させることによって前記エッチングマスク用パターンを除去する工程と、を更に備えてもよい。
なお、前記磁性膜を形成する工程、前記エッチングマスク用パターンを形成する工程、前記磁性膜をエッチングする工程、および前記エッチングマスク用パターンを除去する工程は、1×10−3Torr以下の真空下で行われてもよい。
なお、前記パターン転写膜は、一般式Z−(X−Y)で表される有機材料から形成され、ここで、Zは芳香族骨格または脂環式骨格を含む化合物、Yは芳香族骨格、脂環式骨格、H、CH、Si、Snを含む分子骨格のいずれかを含む化合物、Xは二価連結基、nは1以上の整数であってもよい。
本発明によれば、安価でかつ高密度な記録が可能な磁気記録媒体を製造することができる。
以下、本発明の一実施形態による磁気記録媒体の製造方法を説明する。
本実施形態の磁気記録媒体の製造方法の製造工程を図1(a)乃至図2(e)に示し、本実施形態の製造方法を実施するのに使用される製造装置20を図3に示す。本実施形態の製造方法によって製造される磁気記録媒体はパターンドメディアである。また、上記製造装置20は、複数の成膜装置が連結された成膜用チャンバ21と、成膜用チャンバ23と、インプリント用チャンバ25と、ドライエッチング用チャンバ27と、ドライエッチング用チャンバ29と、イオンビーム照射用チャンバ31と、ランプアニール用チャンバ33と、成膜用チャンバ35と、ドライエッチング用チャンバ37と、成膜用チャンバ39とを備えている。各チャンバはゲートバルブ41によって隔てられており、各チャンバでの処理が終了する毎に次に処理が行われるチャンバとの間のゲートバルブ41が開閉して専用のキャリアに固定されたディスクが上記次の処理工程を行うチャンバに移動することにより、磁気記録媒体の製造が進行する。また、各チャンバでは真空状態で処理が行われる。
まず、図1(a)に示すように、専用のキャリア(図示せず)に基板(ディスク)2を固定し、成膜チャンバ21に搬入する。そしてこの成膜チャンバ21において、基板2上に磁性体記録膜4を形成する。通常、磁気記録媒体においては、磁性体記録膜の結晶配向を整える目的などにより、磁性体記録膜の下地層として複数の金属もしくは誘電体の薄膜を形成することが一般的である。また、垂直磁気記録媒体においては、磁性体記録膜の下に、軟磁性下地膜を形成することが一般的である。なお、本実施形態では、基板2の形状は、ディスク形状であり、0.85インチ、1インチ、1.8インチ、2.5インチ、3インチのディスク形状の基板であっても良い。なお、基板2の形状はディスク形状に限定されるものではない。基板2の平坦性は高い方が好ましい。基板2上に形成される磁性体記録膜4は、強磁性材料からなる。具体的には、Co、Fe、Niの強磁性元素の少なくとも1種類を含んでいる。さらに、C、Si、Cr、Pt、Pd、Ta、Tb、Sm、Gdなどの金属を少なくとも1種類を含んでいるものであっても良い。強磁性材料はスパッタ法によって基板上に製膜される。また、磁性体記録膜4は上記のような材料の異なる層を多層構造にした構造であっても良い。またそれぞれの層の間にCo、Fe、Ni以外の非磁性金属もしくは金属酸化膜が挿入された構造のものであっても良い。
次に、磁性体記録膜4が形成された基板2を成膜用チャンバ23に搬入し、図1(b)に示すように、磁性体記録膜4の上にパターン転写膜6を形成する。パターン転写膜6は、次のナノインプリントの工程により、エッチングマスクパターンが転写される膜である。パターン転写膜6は真空蒸着法により形成される。パターン転写膜6に用いられる材料は、後の工程で加熱より剥離される。したがって、パターン転写膜材料は100℃以上400℃以下の温度で加熱すると蒸発する材料である。パターン転写膜6には、低分子量の芳香族を含む有機材料が好ましい。有機材料が芳香族を含むことによりエッチング耐性を高くすることができる。これらの低分子量の有機材料からなるパターン転写膜6は、真空中における蒸着によって製膜することができる。例えば、図4に示すように、ルツボ51内に低分子量の芳香族有機材料52を保持し、ルツボ51の周囲に配置された加熱フィラメント53を通電して加熱する。すると、輻射熱により芳香族有機材料52が容易に蒸発し、蒸発分子流となって基板2に当たり、基板上に堆積することが可能となる。なお、ルツボ51の開口部にはシャッタを設置してもよい。また、チャンバ21とチャンバ25に、蒸発している低分子量の芳香族有機材料の分子が拡散するのを防止するために、ゲートバルブで隔てられたロード室およびアンロード室を設けてもよい。
これらの低分子量の有機材料の分子は、1×10−3Torr以下の真空条件下で蒸着することによって高い蒸着レートでの蒸着が可能となり、蒸着中の材料の劣化を防ぐことができる。仮に真空状態でない雰囲気中で蒸発させると、蒸着時の加熱により雰囲気中の酸素と反応して劣化が起こり、磁性体エッチングマスクとしてのエッチング耐性が劣化する、剥離工程での必要な加熱温度が変化するなどの影響がでる。蒸着は1×10−5Torr以下の真空中で蒸着することがより好ましい。また、これらの低分子量の有機材料の分子は、1×10−3Torr以下の真空条件下で蒸着することによって、基板2の裏面(パターン転写膜を形成すべき面と反対側の面)に低分子量の有機材料が回り込むのを防止することが可能となる。これにより、基板(ディスク)の両面にパターンドメディアのパターンを形成することができる。なお、パターン転写膜6に用いられる好適な材料は後で詳細に述べる。なお、真空蒸着する際には、パターン転写膜材料は100℃以上400℃以下の温度で加熱される。
次に、上述のようにしてパターン転写膜6が形成された基板(ディスク)2を、インプリント用チャンバ25に搬入する。このインプリント用チャンバ25において、図1(c)に示すように、パターン転写膜6にエッチングマスク用パターン6aを形成する。パターンドメディアの凹凸パターンに対して凹凸の反転した凹凸パターンを有するスタンパ8を、パターン転写膜6が形成された基板2上に圧着してエッチングマスク用パターン6aを転写する。パターンドメディアの凹凸パターンは、記録セルが記録トラックに平行に配列したデータ領域と位置決め情報やアドレスなどの情報が形成されたサーボ情報領域からなる。記録トラック間を物理的に分離するディスクリートトラック型パターンド媒体(DTR媒体)のパターンであっても良い。
従来のHDDでは、隣接トラックとの干渉という問題が顕在化している。特に記録ヘッド磁界のフリンジ効果による書きにじみの低減は重要な技術課題である。ディスクリートトラック型パターンド媒体では、記録時におけるサイドイレーズ現象、再生時に隣接トラックの情報が重なって読み出されるサイドリード現象などが低減できるため、トラック密度を向上できる。スタンパ8の材質は、SiO、Si、SiNなど誘電体、Niなどの金属および金属合金、カーボン材などインプリント時の圧力によって変形が小さいものであれば特に限定されない。スタンパ8の表面は、圧着後のスタンパとパターン転写膜の分離を良くするために、離型処理される。離型処理には、トリクロロシラン、メトキシシラン、エトキシシランなどの反応基がアルキル鎖やフロロカーボン鎖の末端についたシランカップリング剤、例えばオクタデシルトリクロロシラン、オクタデシルトリメトキシシラン:ODT)や、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)などが用いられる。ODTやHMDSのエタノール溶液中にスタンパを浸して1時間程度放置した後、エタノールなどの溶媒で洗浄することで容易に表面を離型処理することができる。離型処理されたスタンパは、ディスクの中心とスタンパ8上のパターンの中心とを100μm以下の範囲で位置決めした後、ディスクに圧着されパターン転写膜にパターンが転写される。インプリント用チャンバ25に配置されているインプリント装置60の内部の概略構成を図5に示す。横置きの一対の油圧プレス61a、61bがディスク100に対して対向するように設けられている。油圧プレス61a、61bにはプレス台62a、62bがそれぞれ設けられている。片方の油圧プレス61aのプレス台62aのプレス面にはディスク100とスタンパ8a、8bの中心位置を一致させるための突起63が設けられ、他方の油圧プレス61bのプレス台62bには突起63が挿入される凹部64が設けられている。両方のプレス61a、61bは同時に加圧を開始しディスク100の表面のパターン転写膜にパターンを転写する。両方のプレス面は加熱および冷却できる機構が含まれていても良い。インプリント時にスタンパ8a、8bの表面を加熱してより低い圧力でパターン転写を可能にし、冷却した後にスタンパ8a、8bをディスク100から剥離する。
通常、インプリント法により形成されたエッチングマスク用パターン6aの凹部の底には、図1(c)に示すように、パターン転写膜6の残渣6bがある程度の厚さで残っている。磁性体加工の形状の精度を向上させるためには、この残渣6bの部分を除去する必要がある。残渣の除去するために、エッチングマスク用パターン6aが形成された基板2をドライエッチング用チャンバ27に搬入し、酸素によるドライエッチングを行う。パターン転写膜6として低分子量有機材料を用いる場合には、酸素によるドライエッチングを行うことにより残渣6bを除去することができる(図1(d)参照)。
次に、上述のようにエッチングマスクとなるパターン6aが形成された基板(ディスク)2をドライエッチング用チャンバ29に搬入する。このドライエッチング用チャンバ29において、図2(a)に示すように、パターン6aをマスクとして磁性体記録膜4のエッチング加工を行う。磁性体記録膜4のエッチング加工は、イオンビームエッチング、リアクティブイオンエッチングにより行う。エッチングガスはアルゴン、塩素、塩素とアルゴンとの混合ガス、BCl、BClとアルゴンやClとの混合ガス、COとNHとの混合ガスなどが用いられる。なお、エッチングは、イオンガンをディスクに対して両面に配置してディスク両面からエッチングガスのイオンビームを照射する。ディスクにRF(高周波)電圧を印加してRIE装置としたものを用いても良い。イオンガンを用いたエッチングを行う場合には、イオンの入射角度をディスク面に対して傾けても良い。この際、ディスクの全面に一様にエッチングを行うためにはディスクを回転させる機構を取り付けるのが好ましい。なお、このエッチングによって、エッチングマスク用パターン6aの側壁に磁性体からなる付着物が付着する。
次に、磁性体記録膜4のエッチング加工がされた基板(ディスク)2をイオンビーム照射用チャンバ31に搬入し、エッチングマスク6aの側壁に付着した上記付着物を除去する。この除去のために低角度のイオンビーム装置が用いられる。ディスクの両面のそれぞれの処理に対してそれぞれ1つのイオンビーム装置を配置し、ディスクを回転させながらイオンビームを照射する。これにより、図2(a)に示すように、エッチングマスク6aの側壁に付着した付着物を除去することができる。なお、付着物の除去は、エッチングマスク6aの剥離を行った後に、斜め低角からのイオンビーム照射を行って、上記エッチングマスク側壁の付着物を除去する工程をおこなっても良い。また、エッチングマスクの剥離工程とエッチングマスク側壁の付着物の除去工程とを交互に繰り返し行っても良い。
次に、付着物が除去されたエッチングマスク6aを有する基板(ディスク)2をランプアニール用チャンバ33に搬入し、エッチングマスク6aの剥離を行う。エッチングマスク6aの剥離には、図2(b)に示すように、ディスクを100℃〜400℃に加熱して行う。本実施形態においては、ディスクの加熱にランプアニールが用いられる。ランプアニールは真空中で試料を急速に昇温することが可能であり、ディスクの処理スピード向上を実現する上で有効である。なお加熱用のランプはディスクの両側にそれぞれ設けて、ディスクの両面にそれぞれ形成されたエッチングマスク6aを同時に剥離してもよい。十分な加熱によってエッチングマスク6aの剥離は、ほぼ完全に行われるが、表面に薄く吸着したエッチングマスクが完全に剥離できない場合がある。この場合には、エッチングマスク6aの剥離後にドライエッチングを弱く施すことにより、うすく吸着したエッチングマスク6aを剥離することができる。例えば、アルゴンガスプラズマエッチングを用いることができる。
次に、エッチングマスク6aが剥離された基板(ディスク)2を成膜用チャンバ35に搬入し、図2(c)に示すように、エッチング加工された磁性体記録膜4aを覆うように非磁性膜10を成膜する。このとき、エッチング加工により形成された磁性体記録膜4aの凹部が非磁性膜によって埋め込まれる。非磁性膜10は、金属、誘電体、カーボンなどをスパッタやプラズマ化学気相成長法(CVD)などによって形成することができる。
次に、非磁性膜10が形成されたディスクをドライエッチング用チャンバ37に搬入し、図2(d)に示すように、磁性体記録膜4aの上面が露出するまで、非磁性膜10をドライエッチングによりエッチバックする。
続いて、ディスクを成膜用チャンバ39に搬入し、図2(e)に示すように、ダイヤモンドライクカーボンからなる保護層12をCVDなどにより形成する。
なお、本実施形態においては、非磁性膜10形成し、この非磁性膜10をエッチバックした後、保護層12を形成したが、非磁性膜10を形成しないで、磁性体記録膜4aを覆うように保護層12を形成してもよい。
以上の工程はすべて真空環境、例えば1×10−3Torr以下の真空状態で行われる。また、それぞれの工程を行うチャンバの間のディスクの搬送の際も真空環境(例えば1×10−3Torr以下)を保ったまま行うことが可能となり、磁気記録媒体製造のスループットを向上させることができる。また、以上の工程は、ディスクの両面に対して行っても良い。
以上のようにして保護層12まで形成されたディスクは、潤滑剤が塗布される。潤滑剤としては、例えば、パーフルオロポリエーテル、フッ化アルコール、フッ素化カルボン酸などを用いることができる。
次に、本実施形態のパターン転写膜6として用いられる材料について説明する。
本実施形態のパターン転写膜6として用いられる材料は、一般式Z−(X−Y)で表される低分子量の有機材料である。ここで、Zは芳香族骨格または脂環式骨格、Yは芳香族骨格やSiなどの金属原子を含む分子骨格、Xは二価連結基、nは1以上の整数である。
Zの具体例を、図6(a)〜図6(q)、図7(a)〜図7(t)、図8(a)〜図8(f)、図9(a)〜図9(d)、図10(a)〜図10(k)に示す。なお、図9(a)〜図9(d)における記号Rは水素原子またはアルキル基を表している。
また、Xの具体例を、図11(a)〜図11(m)に示す。
また、Yの具体例を、図12(a)〜図12(g)、図13(a)〜図13(e)、図14(a)〜図14(d)、図15(a)〜図15(l)、図16(a)〜図16(i)、図17(a)〜図17(i)、図18(a)〜図18(f)、図19(a)〜図19(c)、図20(a)〜図20(h)、図21(a)〜図21(g)、図22(a)〜図22(d)、図23(a)〜図23(e)、図24(a)〜図24(b)に示す。なお、Yとして、図12(a)乃至図24(b)に示されている芳香族骨格、脂環式骨格、H、CH、Si、Snのいずれかを含むものとする。
また、低分子量の有機材料として、特に成膜した際に平坦性に優れた材料の具体例を図25(a)〜図25(c)、図26(a)〜図26(d)、図27(a)〜図27(b)、図28(a)〜図28(c)、図29(a)〜図29(f)に示す。
(実施例)
以下、本発明の実施例を説明する。
本実施例では、2.5インチガラスディスク上に磁性体記録膜4として、軟磁性下地層と垂直磁気記録層の2層構造からなる垂直磁気記録膜をスパッタにより形成した。軟磁性下地層としてCoZrNb系合金膜を200nm、Ru中間層を5nm、記録層としてCoCrPt系合金膜を15nm形成した。パターン転写層6としてはTPDを膜厚40nm成膜した。ベース真空度は2×10−6Torr、成膜時のルツボの温度は200℃で、成膜レート10nm/minであった。
ナノインプリントはプレス圧40tで行った。スタンパ8は電子線描画によりSi基板上のレジスト膜に描画したパターンドメディア用パターンをSi基板にCFガスを用いたドライエッチングにより転写したものを原盤として用い、その原盤のパターンをNi電鋳によりNiスタンパ化したものを用いた。スタンパ8の離型処理は、フルオロカーボン系のシランカップリング剤を4%の濃度でエタノールに溶かしたものにNiスタンパを1時間浸して行った。
パターン6aの凹部の底だしのためのエッチングは、ECRをイオン源として酸素イオンビームエッチングによって行った。エッチング深さはデータトラック部分で深さ16nmとなるようにエッチングを行った。
磁性体記録膜4のエッチング加工はアルゴンイオンビームエッチングにより行った。エッチング深さはデータトラック部分で深さ16nmとなるようにエッチングを行った。エッチングマスク6aの残渣6bの除去はランプアニール加熱により行った。ランプの出力500Wで30秒加熱を行った。
非磁性体の埋め込みはSiOを膜厚50nmとなるように製膜した。エッチバックはArイオンビームエッチングによりエッチバックしてCoCrPt記録膜が露出するまで行った。保護層12としてダイヤモンドライクカーボンを膜厚3nm形成した。なお、本実施例は、各製造処理工程を行うチャンバはゲートバルブによって隔てられ連結して配置された製造装置を用いて行った。1枚のディスクの保護層12の成膜までの製造にかかる時間は20分かかった。
保護層12の成膜後、潤滑剤としてパーフルオロポリエーテル系潤滑剤z−dolを膜厚2nmとなるよう成膜した。このようにして作製した磁気記録媒体の平滑性を音響効果素子を取り付けた浮上ヘッドによる浮上試験により調べた。4000rpmで回転するディスク上で浮上量12nmの浮上ヘッドを浮上動作させたところ、音響効果素子の出力はパターンドメディアでない現行の磁気記録媒体上での試験と同程度の出力を示した。
以上説明したように、本発明の実施形態によれば、すべての工程を真空環境下で行うことが可能となりかつ確実に磁性体記録膜のエッチング加工後にエッチングマスクの残渣を容易に除去することが可能となるので、安価でかつ高いSN比で高密度記録を書き込むことができるパターンドメディアを製造することができる。
本発明の一実施形態による磁気記録媒体の製造方法の製造工程を示す断面図。 本発明の一実施形態による磁気記録媒体の製造方法の製造工程を示す断面図。 本発明の一実施形態の製造方法を実施するのに使用される製造装置のブロック図。 パターン転写膜の成膜チャンバの概略の構成を示す図。 ナノインプリント用チャンバの概略の構成を示す図。 本発明の一実施形態の製造方法に用いられるパターン転写膜の材料に含まれる化合物の具体例を示す図。 本発明の一実施形態の製造方法に用いられるパターン転写膜の材料に含まれる化合物の具体例を示す図。 本発明の一実施形態の製造方法に用いられるパターン転写膜の材料に含まれる化合物の具体例を示す図。 本発明の一実施形態の製造方法に用いられるパターン転写膜の材料に含まれる化合物の具体例を示す図。 本発明の一実施形態の製造方法に用いられるパターン転写膜の材料に含まれる化合物の具体例を示す図。 本発明の一実施形態の製造方法に用いられるパターン転写膜の材料に含まれる化合物の具体例を示す図。 本発明の一実施形態の製造方法に用いられるパターン転写膜の材料に含まれる化合物の具体例を示す図。 本発明の一実施形態の製造方法に用いられるパターン転写膜の材料に含まれる化合物の具体例を示す図。 本発明の一実施形態の製造方法に用いられるパターン転写膜の材料に含まれる化合物の具体例を示す図。 本発明の一実施形態の製造方法に用いられるパターン転写膜の材料に含まれる化合物の具体例を示す図。 本発明の一実施形態の製造方法に用いられるパターン転写膜の材料に含まれる化合物の具体例を示す図。 本発明の一実施形態の製造方法に用いられるパターン転写膜の材料に含まれる化合物の具体例を示す図。 本発明の一実施形態の製造方法に用いられるパターン転写膜の材料に含まれる化合物の具体例を示す図。 本発明の一実施形態の製造方法に用いられるパターン転写膜の材料に含まれる化合物の具体例を示す図。 本発明の一実施形態の製造方法に用いられるパターン転写膜の材料に含まれる化合物の具体例を示す図。 本発明の一実施形態の製造方法に用いられるパターン転写膜の材料に含まれる化合物の具体例を示す図。 本発明の一実施形態の製造方法に用いられるパターン転写膜の材料に含まれる化合物の具体例を示す図。 本発明の一実施形態の製造方法に用いられるパターン転写膜の材料に含まれる化合物の具体例を示す図。 本発明の一実施形態の製造方法に用いられるパターン転写膜の材料に含まれる化合物の具体例を示す図。 本発明の一実施形態の製造方法に用いられるパターン転写膜の材料に含まれる化合物の具体例を示す図。 本発明の一実施形態の製造方法に用いられるパターン転写膜の材料に含まれる化合物の具体例を示す図。 本発明の一実施形態の製造方法に用いられるパターン転写膜の材料に含まれる化合物の具体例を示す図。 本発明の一実施形態の製造方法に用いられるパターン転写膜の材料に含まれる化合物の具体例を示す図。 本発明の一実施形態の製造方法に用いられるパターン転写膜の材料に含まれる化合物の具体例を示す図。
符号の説明
2 基板
4 磁性体記録膜
6 パターン転写膜
6a エッチングマスク用パターン
8 スタンパ
10 非磁性膜
12 保護層

Claims (4)

  1. 基板に磁性膜を形成する工程と、
    インプリント法により磁気記録媒体の凹凸パターンが転写されるパターン転写膜の形成を、1×10−3Torr以下の真空中でパターン転写膜形成用材料を100℃以上400℃以下の温度で加熱して前記磁性膜上に蒸着することにより行う工程と、
    を備えたことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  2. 前記パターン転写膜にインプリント用のスタンパを用いて前記凹凸パターンを転写し、エッチングマスク用パターンを形成する工程と、
    前記エッチングマスク用パターンをマスクとして前記磁性膜をエッチングする工程と、
    真空中かつ100℃以上400℃以下の温度の雰囲気で前記エッチングマスク用パターンを加熱して、蒸発させることによって前記エッチングマスク用パターンを除去する工程と、
    を更に備えたことを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体の製造方法。
  3. 前記磁性膜を形成する工程、前記エッチングマスク用パターンを形成する工程、前記磁性膜をエッチングする工程、および前記エッチングマスク用パターンを除去する工程は、1×10−3Torr以下の真空下で行われることを特徴とする請求項1または2記載の磁気記録媒体の製造方法。
  4. 前記パターン転写膜は、一般式Z−(X−Y)で表される有機材料から形成され、ここで、Zは芳香族骨格または脂環式骨格を含む化合物、Yは芳香族骨格、脂環式骨格、H、CH、Si、Snを含む分子骨格のいずれかを含む化合物、Xは二価連結基、nは1以上の整数であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法。
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