JP2006079805A - 磁気記録媒体及びその製造方法と磁気記録再生装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明は、非磁性基板1上に少なくとも軟磁性裏打ち層2および基板面に対し垂直方向に磁気異方性を有する酸化物グラニュラー記録層4とを有する垂直磁気記録媒体において、前記酸化物グラニュラー記録層は同心円状の記録トラック部15と、互いに隣接するトラック部間のガードバンド部14からなり、前記ガードバンド部の材料が前記記録トラック部に含まれる酸化物と同一材料からなる。
【選択図】 図1
Description
特にMRヘッド(磁気抵抗効果型ヘッド)、およびPRML(Partial Response Maximum Likelihood)技術の導入以来面記録密度の上昇はさらに激しさを増し、近年ではさらにGMRヘッド(巨大磁気抵抗効果型ヘッド)、TMRヘッド(トンネル磁気抵抗型ヘッド)なども導入され1年に約100%ものペースで増加を続けている。
また、トラック間距離が近づくために、磁気記録装置は極めて高精度のトラックサーボ技術を要求されると同時に、記録を幅広く実行し、再生は隣接トラックからの影響をできるだけ排除するために記録時よりも狭く実行する方法が一般的に用いられている。この方法ではトラック間の影響を最小限に抑えることができる反面、再生出力を十分得ることが困難であり、そのために十分なSN比を確保することがむずかしいという問題がある。
以上のような媒体の熱的安定性を確保するために近年注目されているのが垂直磁気記録媒体である。
このフリンジを解決する方法の1例として、ディスクリートトラックを考えることができる。(例えば以下の特許文献1、2参照)
次に、先の特許文献2には、ガードバンド部を埋め込み材で埋め込みし、ディスク表面を平坦としたディスクリート媒体が提案されている。しかしながら、ガードバンド部材として酸化物、窒化物、炭化物、硼化物、重合化合物が例示されているが、これらの材料ではトラック部の材料との組み合わせで特性が徐々に悪化していくという問題が生じる。
例えば、CoCrとの組み合わせでは、ガードバンド部の酸素などがトラック部に拡散することで特性が悪化する。また、CoPtOとの組み合わせでは、トラック部の酸素がガードバンド部に拡散したり、逆にガードバンド部の酸素、窒素、カーボンがトラック部に拡散することで特性が徐々に悪化する問題があるため好ましくない。
(1)本発明の磁気記録媒体は、非磁性基板上に少なくとも軟磁性裏打ち層および基板面に対し垂直方向に磁気異方性を有する酸化物グラニュラー記録層とを有する垂直磁気記録媒体において、前記酸化物グラニュラー記録層は同心円状の記録トラック部と、互いに隣接するトラック部間のガードバンド部からなり、前記ガードバンド部の材料が前記記録トラック部に含まれる酸化物と同一材料からなることを特徴とする。
(2)本発明の磁気記録媒体は、先の1項記載のガードバンド部が、SiO2、SiO、Cr2O3、CoO、Ta2O3、TiO2のいずれか一種以上を含むことを特徴とする。
(3)本発明の磁気記録媒体は、先の1〜2項に記載の酸化物グラニュラー記録層が、少なくともCoとPtと酸化物とを含むことを特徴とする。
(4)本発明の磁気記録媒体は、先の1〜3項のいずれかに記載の酸化物グラニュラー記録層が、さらに、Cr、B、Cu、Ta、Zrからなる群から選ばれる何れか1種以上を含むことを特徴とする。
(5)本発明の磁気記録媒体は、先の1〜4項のいずれかに記載の記録トラック部に含まれる酸化物の体積率が、15〜40体積%の範囲内であることを特徴とする。
(6)本発明の磁気記録媒体は、先の1〜5項のいずれかに記載の酸化物グラニュラー記録層の厚さが、6nm〜18nmの範囲内であることを特徴とする。
(8)本発明の磁気記録媒体の製造方法は、先の7項に記載のレジストのパターニングに、スタンパーを用いたインプリント法を用いることを特徴とする。
(9)本発明の磁気記録媒体の製造方法は、先の7または8項に記載の酸化物の充填にスパッタ法を用いることを特徴とする。
(10)本発明の磁気記録媒体の製造方法は、先の7〜9項のいずれかに記載の表面の平滑化にイオンビームエッチング法を用いることを特徴とする。
本発明に係る磁気記録装置によれば、同心円状の記録トラック部と、互いに隣接する記録トラック部間のガードバンド部からなり、前記ガードバンド部の材料が、酸化物グラニュラー記録層からなる記録トラック部の酸化物と同一材料からなることを特徴とし、長期間にわたってSNRの低下を生じることがない磁気記録媒体を備えた磁気記録再生装置を提供することができる。
1) 円盤状の非磁性基板1上に、軟磁性裏打ち層2、配向制御層3、酸化物グラニュラー記録層4、保護膜5を順次形成して記録層6を形成する。(図1−A参照)なお、図1−Aにおいては円盤状の非磁性基板1の表面側磁気記録領域の一部分のみを拡大して示している。
2) 1)の工程で形成した記録層6の表面にレジスト7を塗布して媒体8を得る。必要に応じて焼成を行い余分な有機溶剤等を除去する。(図1−B参照)
3) 所望のトラック間距離にあわせて設計された凹凸部9aを表面に形成された金属製の型(スタンパー)9を先の2)に記載した工程で得た媒体8の表面に密着させ、高圧でプレスすることにより先の媒体8の表面にトラック形状の凹凸部10を形成する(以下インプリントプロセスと呼ぶ)。(図1−C参照)なお、先のスタンパー9は実際には円盤状の非磁性基板1に合致する形状の円盤状であるが、図1−Cではスタンパー9の凹凸部10の一部分のみを示した。
この処理の結果、先の3)に記載した工程で形成されたトラックの凹凸に沿った磁気記録層の一部からなる凹凸部11が残ることになる(以下エッチングプロセスと呼ぶ)。
ここで得られる凹凸部11は、磁気記録するべきトラック部となる円周型の凸部11aとこれらの凸部11aの間に位置する円周溝型の凹溝11bとが直径方向に同心円状に間欠的に形成された構造となる(図1−D参照)
5) これらの構造の上から、先に用いた酸化物グラニュラー記録層4と同じ材料の酸化物をスパッタリングなどの手法を用いて堆積させ、堆積層12を形成し、非磁性基板1の直径方向に間欠的に形成された先の凸部11a、11aの間に形成された極めて細長い凹溝11bに該非磁性物質を充填させる(以下埋め込みプロセスと呼ぶ)。
このとき磁気記録媒体上の凹溝11bの奥までこの非磁性物質を充填することが必要である。(図1−E参照)
7) 最後に再びプラズマCVDなどの成膜方法を用いて保護膜16となるべきDLC(Diamond Like Carbon)膜を成膜する。(図1−G参照)また、必要に応じて保護膜16の上に潤滑層17を形成する。
この形態において得られた垂直磁気記録媒体Aは、円盤状の非磁性基板1の表面に、軟磁性裏打ち層2と配向制御層3と酸化物グラニュラー記録層4と保護膜5を順次形成してなる記録層6が積層され、該記録層6は、同心円状の所定幅の記録トラック部15を構成するように同心円状の複数の凹溝11bにより分離され、各凹溝11bには非磁性物質が充填されてガードバンド部14が形成され、これらのガードバンド部14と記録トラック部15とを覆って保護膜16と潤滑層17が形成されている。
前記非磁性基板1の平均表面粗さRaを1nm以下、好ましくは0.5nm以下とすると、後工程で形成する酸化物グラニュラー記録層4の垂直配向性が良好となる、更に、インプリント工程での圧力分布が小さくなり、加工の均一性が向上する点から好ましい。
前記非磁性基板1の表面の微小うねりWaを0.3nm以下とすると、インプリント工程での圧力分布が小さくなり、加工の均一性が向上する点から好ましい。
前記配向制御膜3の厚さは30nm以下であることが好ましい。配向制御膜3の厚さが30nmを超えると記録再生時における磁気ヘッドと軟磁性裏打ち層2との距離が大きくなるため、OW特性(オーバーライト特性)や再生信号の分解能が低下するため好ましくない。
前記酸化物グラニュラー記録層4はその磁化容易軸を基板面に対し垂直方向に有しているものとする。この層の構成元素としては、少なくともCoとPtと酸化物を含んでおり、さらにSNR特性改善などの目的でCr、B、Cu、Ta、Zrなどの元素を添加することもできる。
前記酸化物グラニュラー記録層4のニュークリエーション磁界(−Hn)は1.5(kOe)以上であることが好ましい。−Hnが1.5(kOe)未満であると、熱揺らぎが発生するので好ましくない。
前記酸化物グラニュラー記録層4の厚さは6〜18nmであることが好ましい。酸化物グラニュラー層4の厚さがこの範囲であると、十分な出力を確保することができ、OW特性の悪化が生じないために好ましい。
前述の磁気記録媒体上に塗布されるレジスト7は広く工業的に使用されているフォトレジストなど、さまざまな種類のものを使用することができる。通常はスピンコートなどを用いて薄く均一に塗布した後、オーブンで一定温度、所望の処理時間で焼成をかけ、不要な有機溶剤などを除去することが多い。このプロセスに関しては使用するレジスト7の性質に合わせて適宜プロセスを調整することができる。
前述の埋め込みプロセスにおいて、ガードバンド部15にあたる埋め込み材料は酸化物グラニュラー記録層4に含まれている酸化物を用いることが好ましい。酸化物グラニュラー記録層4に用いた材料と同一の酸化物を用いることで、酸素との共有結合の大きさの違いによって引き起こる酸素原子の移動(記録トラック部15の酸化物からガードバンド部14への酸素原子の移動、またはガードバンド部14から記録トラック部15への酸素原子の移動)が起こりにくくなる。上記酸素原子の移動により、長期間高温での保持後にSNRや保磁力といった特性が変化するといった問題が発生するので、上述の構成を採用することで長期間高温での保持後にSNRや保磁力といった特性が変化するといった問題を回避できる。
前述の平坦化プロセスでは、埋め込みプロセス後に生じるであろう媒体表面の凹凸を、磁気記録媒体として十分なレベルまで平滑にする処理とする。この手段としては、CMP(Chemical mechanical polish)、IBE(Ion Bean Etching)などが用いられる。媒体の性能を損なわず、媒体表面を十分平滑に加工できる限りにおいてはいかなる手法を用いても本発明の効果には支障ない。
磁気ヘッドの浮上量ができるだけ小さいことが高密度磁気記録の実現には有効である。
従って本発明の磁気記録媒体においての表面粗さ(Ra)は、1nm以下、更には、0.5nm以下であることが好ましく、中でも0.3nm以下であることが好ましい。
保護層16の上には潤滑層17を形成する。潤滑層17に用いる潤滑剤としては、フッ素系潤滑剤、炭化水素系潤滑剤及びこれらの混合物等が挙げられ、通常1〜4nmの厚さで潤滑層を形成する。
さらに上述の磁気ヘッドの再生部をGMRヘッドあるいはTMRヘッドで構成することにより、高記録密度においても十分な信号強度を得ることができ、高記録密度を持った磁気記憶装置を実現することができる。またこの磁気ヘッドを、浮上量を0.005μm〜0.020μmと、従来より低い高さで浮上させると、出力が向上して高い装置S/Nが得られ、大容量で高信頼性の磁気記憶装置を提供することができる。また、最尤復号法による信号処理回路を組み合わせるとさらに記録密度を向上でき、例えば、トラック密度100kTPI以上、線記録密度1000kbpI以上、1平方インチ当たり100Gビット/インチ以上の記録密度で記録・再生する場合にも十分なS/Nが得られる。
筐体21内には、上述の構成を有する磁気記録媒体22、この磁気記録媒体22を支持および回転させる駆動手段としてのスピンドルモータ23、磁気記録媒体22に対して磁気信号の記録および再生を行う磁気ヘッド24(単磁極ヘッド)、磁気ヘッド24を先端に搭載したサスペンションを有しかつ磁気ヘッド24を磁気記録媒体22に対して移動自在に支持するヘッドアクチュエータ25、ヘッドアクチュエータ25を回転自在に支持する回転軸26、回転軸26を介してヘッドアクチュエータ25を回転および位置決めするボイスコイルモータ27、ヘッドアンプ回路28が収納されている。
洗浄済みのHD用ガラス基板(オハラ(株)製、外径0.85インチ)をセットした真空チャンバをあらかじめ1.0×10−5Pa以下に真空排気した。さらに該基板上に65Fe−25Co−10B(at%)を加熱なしで50nm、Ruを0.8nm、ついで65Fe−25Co−10B(at%)を50nm成膜し、軟磁性裏打ち層を形成した。
ついで、Ruからなる配向制御膜を20nm、65Co−10Cr−15Pt−10SiO2(mol%)からなる酸化物グラニュラー記録層を12nm、カーボンからなる保護膜を4nm形成した。
次に、保護膜まで形成した媒体を真空チャンバ内から取り出し、表面にレジストをスピンコートで塗布した。塗布した後に約100℃の恒温槽で20分焼成して余分な溶剤を除去した。
次にこれらのサンプルを高真空チャンバ内にセットし、イオンビームエッチングを用いて同心円状の各凹溝(ガードバンド部に対応する円環溝)の部分の酸化物グラニュラー記録層を含む記録膜を除去した。
その後、RFスパッタ法を用いてSiO2膜を堆積させた(即ち、各凹溝状のガードバンド部にSiO2を充填した)。SiO2の平均膜厚は80nmになるように調整した。
更に、イオンビームエッチングを用いて各トラック部において酸化物グラニュラー記録層が露出したところまで表面平滑化をおこなった。最後に、CVD法にてDLC膜を厚さ4nm形成し、潤滑材を2nm塗布して磁気記録媒体を作製した。このサンプルの磁気記録媒体を実施例1とする。
ガードバンド部の材料をSi、Cr、Cr2O3を用いたこと以外は、上述の実施例1に準じて磁気記録媒体を作製した。
SNRの評価は、GUZIK社製リードライトアナライザRWA1632、およびスピンスタンドS1701MPを用い、書き込み部にシールディッドタイプヘッド、再生部にGMR素子を用いた磁気ヘッドを使用し、Sp−pを160kFCIの、Nを960kFCIでのrms値(root mean square−inches)である。
酸化物グラニュラー記録層とガードバンド部の酸化物の材料を変えたこと以外は、前述の実施例1に準じて磁気記録媒体を作製した。その試験結果を表2に示す
酸化物グラニュラー記録層の組成を変えたこと以外は、実施例1に準じて磁気記録媒体を作製した。その試験結果を表3に示す。
Claims (11)
- 非磁性基板上に少なくとも軟磁性裏打ち層および基板面に対し垂直方向に磁気異方性を有する酸化物グラニュラー記録層とを有する垂直磁気記録媒体において、前記酸化物グラニュラー記録層は同心円状の記録トラック部と、互いに隣接するトラック部間のガードバンド部からなり、前記ガードバンド部の材料が前記記録トラック部に含まれる酸化物と同一材料からなることを特徴とする垂直磁気記録媒体。
- 前記ガードバンド部が、SiO2、SiO、Cr2O3、CoO、Ta2O3、TiO2のいずれか一種以上を含むことを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
- 前記酸化物グラニュラー記録層が、少なくともCoとPtと酸化物とを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の磁気記録媒体。
- 前記酸化物グラニュラー記録層が、さらに、Cr、B、Cu、Ta、Zrからなる群から選ばれる何れか1種以上を含むことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の磁気記録媒体。
- 前記記録トラック部に含まれる酸化物の体積率が、15〜40体積%の範囲内であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の磁気記録媒体。
- 前記酸化物グラニュラー記録層の厚さが、6nm〜18nmの範囲内であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の磁気記録媒体。
- 同心円状の記録トラック部と、互いに隣接するトラック部間のガードバンド部とを具備してなる記録層を基板上に備えた磁気記録媒体の製造方法において、
基板上に、軟磁性裏打ち層、酸化物グラニュラー記録層、保護膜を形成後、表面にレジストを塗布し、このレジストをパターニング後、ガードバンド部の酸化物グラニュラー記録層を除去し、前記ガードバンド部に酸化物グラニュラー記録層と同一の酸化物を充填させ、その後、表面を平滑化することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。 - 前記レジストのパターニングに、スタンパーを用いたインプリント法を用いることを特徴とする請求項7に記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 前記酸化物の充填にスパッタ法を用いることを特徴とする請求項7または8に記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 前記表面の平滑化にイオンビームエッチング法を用いることを特徴とする請求項7〜9の何れか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 磁気記録媒体と、該磁気記録媒体に情報を記録再生する磁気ヘッドとを備えた磁気記録再生装置であって、磁気記録媒体が請求項1〜6のいずれか1項に記載の磁気記録媒体であることを特徴とする磁気記録再生装置。
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