JP4865078B1 - 磁気記録媒体、その製造方法、及び磁気記録再生装置 - Google Patents

磁気記録媒体、その製造方法、及び磁気記録再生装置 Download PDF

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Abstract


【課題】 磁気記録層が所定のパターンに加工された磁気記録媒体において、良好な記録再生特性を得る。
【解決手段】 磁気記録層が、面内方向に規則的に配列された、コバルト及びプラチナを含む記録部と、記録部間に設けられ、イットリウム、ランタン、及びセリウムからなる群から選択される少なくとも一種の軽希土類金属及びホウ素を含有する非記録部とを含む。
【選択図】図1

Description

本発明の実施形態は、磁気記録媒体、その製造方法、及び磁気記録再生装置に関する。
ハードディスクドライブ(HDD)に対する、高容量化のニーズは年々高まっている。現在、主流となっている磁気記録媒体は、記録媒体を構成する各層を、基板全面に一様に形成した構成となっているものである。しかしながら、500Gb/in2を超える記録容量を達成する場合、隣り合うデータ信号同士が近接しすぎるために、そのデータ信号を記録再生する際に、本来、記録再生すべきでない近接データまで読み込んだり書き込んだりする現象が発生していた。
そこで近年、この様な現象を回避し、さらなる記録密度の向上を実現する技術として、パターンド媒体が盛んに研究されてきた。パターンド媒体とは、磁性膜をあらかじめ決められたパターンに加工し、パターンに応じて記録再生ヘッドで情報を記録再生するという特徴を持っている。加工パターンの形態に関しては、サーボ情報と記録トラックのみを加工し、従来と同じ方法で周方向に記録を行うディスクリートトラック媒体(DTM)と、サーボ情報だけでなく周方向にビット単位のパターンも加工する、いわゆるビットパターンド媒体(BPM)とが検討されている。
このようなディスクリート媒体(DTM)やビットパターンド媒体(BPM)は、媒体上にサーボ情報をあらかじめ形成するため、従来必要であったサーボ情報を磁気記録するための時間を短縮でき、装置コストを下げることができる。また、トラック間または磁化反転単位間(ビット間)に磁性膜がなく、そこから発生するノイズがないため、信号品質(信号/ノイズ比:SNR)を向上させることができ、高密度の磁気記録媒体および磁気記録装置を作製できる。
しかしながら、DTMやBPMにおいては、磁性膜を微細なパターンに加工するため、加工中における磁性膜のダメージが懸念される。例として、Coなどの磁性元素の酸化により磁性膜の磁気特性が劣化し、媒体の記録再生特性が悪化する可能性がある。
このため、記録再生特性の維持しつつ、簡便なプロセスを、実現することが望まれている。
実施形態は、磁気記録層が所定のパターンに加工された磁気記録媒体において、良好な記録再生特性を得ることを目的とする。
実施形態によれば、
基板と、
該基板上に設けられ、面内方向に規則的に配列されたパターンを有し、コバルト及びプラチナを含む記録部、及び該記録部間に設けられ、イットリウム、ランタン、及びセリウムからなる群から選択される少なくとも一種の軽希土類金属及びホウ素を含有する非記録部を含む磁気記録層とを具備する磁気記録媒体が提供される。
また、実施形態によれば、
基板上に形成されたコバルト及びプラチナを含む磁気記録層上に、規則的に配列されたパターンを有するマスク層を形成する工程、
該マスク層を介してイットリウム、ランタン、及びセリウムからなる群から選択される少なくとも一種の軽希土類金属を含有する打ち込み層を形成する工程、
該打ち込み層に打ち込みガスを用いてガスイオン照射を行うことにより、該マスク層に覆われていない領域の磁気記録層を厚さ方向に非磁性化せしめ、磁気記録層中に、規則的に配列されたパターンを有する記録部と、該記録部間に設けられた非記録部とを形成する工程を具備する磁気記録媒体の製造方法であって、
前記打ち込み層及び打ち込みガスのうち少なくとも一方がホウ素を含有する磁気記録媒体の製造方法が提供される。
実施形態にかかる磁気記録媒体の一例を表す断面図である。 磁気記録媒体を製造するための方法の工程の一部を表すフローである。 実施形態にかかる磁気記録再生装置の一例を一部分解した斜視図である。 実施形態にかかる磁気記録媒体の製造方法の一例を表す図である。 記録トラック及び記録再生ヘッドの位置決めをするための情報を記録した凹凸パターンの一例を表す正面図である。 記録ビット、及び記録再生ヘッドの位置決めをするための情報凹凸パターンの一例を表す正面図である。
実施形態にかかる磁気記録媒体は、
基板と、基板上に設けられ磁気記録層とを有する。
磁気記録層は、記録トラックもしくは記録ビット、及び記録再生ヘッドの位置決め情報に応じて、面内方向に規則的に配列されたパターンを有する磁気記録層と、記録部間に設けられた非記録部を含む。
記録部は主成分としてコバルト及びプラチナを含む。
非記録部は、上記記録部に含まれるコバルト及びプラチナに加えて、さらにイットリウム、ランタン、及びセリウムからなる群から選択される少なくとも一種の軽希土類金属及びホウ素を含有する。
図1に、実施形態にかかる磁気記録媒体の一例を表す断面図を示す。
図示するように、この磁気記録媒体は、基板1と、基板1上に任意に設けられたた下地層2と、下地層2上に設けられ、記録トラックもしくは記録ビット、及び記録再生ヘッドの位置決め情報に応じて、面内方向に規則的に配列されたパターンを有する、コバルト及びプラチナを含む記録部4、及び記録部間に設けられ、コバルト及びプラチナに加えて、さらにイットリウム、ランタン、及びセリウムからなる群から選択される少なくとも一種の軽希土類金属及びホウ素を含有する非記録部3を含む磁気記録層5と、磁気記録層5上に形成された保護層6とを含む。
記録部が、磁性を損なわない程度に、コバルト及びプラチナに加えてさらにイットリウム、ランタン、及びセリウムからなる群から選択される少なくとも一種の軽希土類金属及びホウ素を含むことは可能であるけれども、この場合には、非記録部に含まれる軽希土類金属の含有量(原子%)を、記録部に含まれる軽希土類金属の含有量(原子%)よりも10(原子%)以上多くすることができる。
実施形態にかかる磁気記録媒体を用いると、良好な磁気記録再生特性が得られる。
また、図2に、上記磁気記録媒体を製造するための方法の工程の一部を表すフローを示す。
実施形態にかかる磁気記録媒体の製造方法では、まず、基板上に、磁気記録層が形成された磁気記録媒体を用意する。
次に、図示するように、基板上に形成されたコバルト及びプラチナを含む磁気記録層上に、規則的に配列されたパターンを有するマスク層を形成する(ブロック1)。
なお、用意した磁気記録媒体の磁気記録層上に保護層が形成されている場合には、マスク層を形成する際に、少なくともマスク層が形成されない領域の保護層を除去することが出来る。
続いて、マスク層を介してイットリウム、ランタン、及びセリウムからなる群から選択される少なくとも一種の軽希土類金属を含有する打ち込み層を形成する(ブロック2)。
続いて、打ち込み層に打ち込みガスを用いてガスイオン照射を行う(ブロック3)。
このとき、打ち込み層及び打ち込みガスのうち少なくとも一方はホウ素を含有する。
ガスイオン照射により、磁気記録層のうち、マスク層に覆われていない領域では、磁気記録層が厚さ方向に非磁性化されて、非記録部となる。
マスク層に覆われている領域では、磁気記録層が非磁性化されないので、規則的に配列されたパターンを有する記録部となる。
このようにして、磁気記録層中に、記録部と、記録部間に設けられた非記録部とを形成することができる。
尚、必要に応じて、記録部と非記録部が設けられた磁気記録層上に保護層を形成することが可能である。
打ち込み層としては、ホウ素を含む打ち込み層とホウ素を含まない打ち込みと層が使用できる。ホウ素を含まない打ち込み層を使用するときは、打ち込みガスとして、ホウ素を含むガスを使用する。
ホウ素を含む打ち込み層としては、例えば、イットリウム、ランタン、及びセリウムからなる群から選択される少なくとも一種の軽希土類金属のホウ化物を含む層、及びこの軽希土類金属を含有する層とホウ素層との積層があげられる。
ホウ素を含む打ち込み層を使用した場合には、打ち込みガスとしては、例えばアルゴン、窒素、ヘリウム−窒素等の不活性ガスを用いることが出来る。
ホウ素を含まない、軽希土類金属を含有する層を打ち込み層として使用した場合には、打ち込みガスとして例えばB等のホウ素含有ガスを使用する。
のようなホウ素含有ガスは腐食作用が強く、取り扱い難く、このために設備も高コストになることから、ホウ素を含む打ち込み層と不活性ガスの組合せを使用することが好ましい。
実施形態に係る方法を用いて、コバルト及びプラチナを含む磁性層に、打ち込み層の形成及び打ち込みガスによるガスイオン照射によって、イットリウム、ランタン、及びセリウムからなる群から選択される少なくとも一種の軽希土類金属とホウ素とを打ち込むことにより、マスク層に覆われた記録層となるべき領域に損傷を与えることなく、非記録層となるべき領域において、磁気記録層の厚さ方向に非磁性化を容易に行うことができる。
このことは以下の効果によるものと考えられる。
(固溶効果)
コバルト及びプラチナを含む磁性層に、打ち込み層の形成及び打ち込みガスによるガスイオン照射によって、イットリウム、ランタン、及びセリウムからなる群から選択される少なくとも一種の軽希土類金属とホウ素とを打ち込む際、軽希土類金属硼化物(軽希土類金属=Y,La,Ce)を用いることができる。軽希土類金属硼化物には、3つの効果が期待できる。一つは、軽希土類金属硼化物の形で、磁性層内に存在することで結晶格子を大きく歪め、磁性を失活する効果、二つ目は、軽希土類金属がホウ素と分離することにより、軽希土類金属がCoと合金を形成して磁性を失活する効果、三つ目は、ボロンが解離することで記録層の格子間に侵入し磁性を失活する効果である。
例えば、Y,La,Ceでは、六硼化物が知られているが、これらの希土類金属六硼化物が一個記録層内に入って解離することで、六個のボロンを記録層内に注入でき、ボロン注入効率が高い。また、軽希土類金属は化学的に活性であるために軽希土類金属単体に解離した場合、結合相手等を求めて結晶中を広く拡散しやすい。ボロンや硼化物はCo系磁気記録層の結晶を非晶質化する効果が強く、さらに、軽希土類硼化物の拡散効果を高める働きがある。
(ガスのアシスト効果)
ガスやHeNガスを用いるとガス自体やプロセス中に形成された窒化物によるの磁性失活効果も加わり、さらに失活が助長される。
これにより、実施形態によれば、良好な記録再生特性を得ることが出来る。
また、軽希土類金属を含有する層とホウ素層との積層よりも軽希土類金属のホウ化物を含む層の方が、軽希土類金属とホウ素とがより均一に打ち込まれるため、非記録層の安定した非磁性化が可能となり、良好な記録再生特性を得ることができる。
さらに、実施形態にかかる磁気記録再生装置は、上述の磁気記録媒体と、
垂直磁気記録媒体を支持および回転駆動する機構と、
垂直磁気記録媒体に対して情報の記録を行うための素子及び記録された情報の再生を行うための素子を有する磁気ヘッドと、
磁気ヘッドを前記垂直磁気記録媒体に対して移動自在に支持したキャリッジアッセンブリとを有する。
<基板>
基板としては、たとえばガラス基板、Al系合金基板、セラミック基板、カーボン基板、酸化表面を有するSi単結晶基板などを用いることができる。ガラス基板としては、アモルファスガラスおよび結晶化ガラスが挙げられる。アモルファスガラスとしては、汎用のソーダライムガラス、アルミノシリケートガラスが挙げられる。結晶化ガラスとしては、リチウム系結晶化ガラスが挙げられる。セラミック基板としては、汎用の酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化珪素などを主成分とする焼結体や、これらの繊維強化物などが挙げられる。基板としては、上述した金属基板や非金属基板の表面にメッキ法やスパッタ法を用いてNiP層が形成されたものを用いることもできる。
以下においては、基板上への薄膜の形成方法としてスパッタリングのみを記載しているが、真空蒸着や電解メッキなどでも同様の効果を得ることができる。
<軟磁性下地層>
軟磁性下地層(SUL)は、垂直磁磁気記録層を磁化するための単磁極ヘッドからの記録磁界を水平方向に通して、磁気ヘッド側へ還流させるという磁気ヘッドの機能の一部を担っており、磁界の記録層に急峻で充分な垂直磁界を印加させ、記録再生効率を向上させる作用を有する。軟磁性下地層には、Co,FeまたはNiを含む材料を用いることができる。このような材料として、Coと、Zr、Hf、Nb、Ta、TiおよびYのうち少なくとも1種とを含有するCo合金を用いることもできる。Co合金には80原子%以上のCoが含まれることが好ましい。このようなCo合金は、スパッタ法により製膜した場合にアモルファス層が形成されやすい。アモルファス軟磁性材料は、結晶磁気異方性、結晶欠陥および粒界がないため、非常に優れた軟磁性を示すとともに、媒体の低ノイズ化を図ることができる。好適なアモルファス軟磁性材料としては、たとえばCoZr、CoZrNbおよびCoZrTa系合金などを挙げることができる。
他の軟磁性下地層の材料として、FeCo系合金たとえばFeCo、FeCoVなど、FeNi系合金たとえばFeNi、FeNiMo、FeNiCr、FeNiSiなど、FeAl系合金、FeSi系合金たとえばFeAl、FeAlSi、FeAlSiCr、FeAlSiTiRu、FeAlOなど、FeTa系合金たとえばFeTa、FeTaC、FeTaNなど、FeZr系合金たとえばFeZrNなどを挙げることができる。また、Feを60原子%以上含有するFeAlO、FeMgO、FeTaN、FeZrNなどの微結晶構造または微細な結晶粒子がマトリクス中に分散されたグラニュラー構造を有する材料を用いることもできる。
さらに、スパイクノイズ防止のために軟磁性下地層を複数の層に分け、0.5〜1.5nmの非磁性分断層を挿入することで反強磁性結合させてもよい。その場合、Ru、Ru合金、Pd、Cu、Ptなどを用いることができる。
また、CoCrPt、SmCo、FePtなどの面内異方性を持つ硬磁性膜またはIrMn、PtMnなどの反強磁性体からなるピン層と軟磁性層とを交換結合させてもよい。交換結合力を制御するために、非磁性分断層の上下に磁性膜(たとえばCo)または非磁性膜(たとえばPt)を積層してもよい。
軟磁性下地層の下に、基板との密着性の向上のために、さらに密着層を設けてもよい。こうした密着層の材料としては、Ti、Ta、W、Cr、Pt、これらを含む合金、またはこれらの酸化物もしくは窒化物を用いることができる。
<配向制御層>
配向制御層は、中間層や垂直磁気記録層の結晶配向性や結晶粒径を制御するためのものである。配向制御層は、Ni合金、Pt合金、Pd合金、Ta合金、Cr合金、Si合金、Cu合金のいずれかを用いることが望ましい。これらを用いると、結晶配向性の改善、結晶粒径の低減が可能となる。また、下地層との結晶格子サイズの整合性を高めることを目的として、所定の元素を添加することができる。結晶サイズの低減を目的として添加する元素としては、特に、B、Mn、Al、Si酸化物、Ti酸化物などを挙げることができる。下地層との結晶格子サイズの整合性を高めることを目的として添加する元素としては、Ru,Pt,W,Mo,Ta,Nb,Tiなどを用いることができる。配向制御層の膜厚は、1nm以上10nm以下であることが望ましい。配向制御層の膜厚が1nm未満であると、配向制御層としての効果が不十分となり、粒径の微細化の効果を得ることができず、また結晶配向性も悪化するので好ましくない。また、配向制御層の膜厚が10nmを超えると、スペーシングもロスし、結晶粒径も大きくなるため好ましくない。また、配向制御層は、一層ではなく複数の層から形成されても良い。その場合、配向制御層全体の膜厚は、2nm以上15nmであることが望ましい。2nm以下では、配向制御層としての効果が不十分となる。下地層全体の膜厚が15nmを超えると、スペーシングロスが無視できなくなり、記録再生特性が悪化する。
<中間層>
軟磁性層と記録層との間に、非磁性体からなる中間層を設けてもよい。中間層は、軟磁性下地層と記録層との交換結合相互作用を遮断し、記録層の結晶性を制御する、という2つの作用を有する。中間層の材料としては、Ru、Pt、Pd、W、Ti、Ta、Cr、Si、これらを含む合金、またはこれらの酸化物もしくは窒化物を用いることができる。特に、RuまたはRu合金を用いることが望ましい。Ru合金としては例えば、Ru−Cr、Ru−Co、Ru−Mn、Ru−SiO2,Ru−TiO2、Ru−TiOx、Ru−B、Ru−Cなどが挙げられる。その中でも、良結晶性を実現できるRuまたはRu−Crが望ましい。また、第一下地層、第二下地層のように、2層構造にすることが望ましい。この際、第一下地層は、相対的に密度の高く、良結晶性であることが好ましい。例えば、1Pa以下の低Ar圧でスパッタリングすることで、密度の高い、良結晶性の第一下地層を作製することができる。第二下地層は、はっきりとした結晶粒子と結晶粒界を持つことが望ましい。例えば、5Pa以上の高Ar圧でスパッタリングすることで、はっきりとした結晶と結晶粒界を持つ第二下地層を作成することができる。下地層の膜厚は5nm以上24nm以下であることが望ましく、16nm以下であることがさらに望ましい。下地層の膜厚が薄いと、磁気ヘッドと軟磁性裏打ち層との距離が小さくなり、磁気ヘッドからの磁束を急峻にすることができ、信号の書き込み容易性を改善することができる。下地層の膜厚が5nm未満であると、結晶配向性が悪化して好ましくない。一方、24nm以上であると、スペーシングロスが発生し、記録再生特性が悪化するため、好ましくない。
<強磁性層>
垂直磁気記録層としては、Coを主成分とし、少なくともPtを含む材料を用いることが好ましい。垂直磁気記録層は、必要に応じて、Crや酸化物を含んでいてもよい。酸化物としては、特に酸化シリコン、酸化チタンが好適である。
垂直磁気記録層のPt含有量は、10原子%以上25原子%以下であることが好ましい。Pt含有量として上記範囲が好ましいのは、垂直磁性層に必要な一軸結晶磁気異方性定数(Ku)が得られ、さらに磁性粒子の結晶性、配向性が良好であり、結果として高密度記録に適した熱揺らぎ特性、記録再生特性が得られるためである。Pt含有量が上記範囲を超えた場合、磁性粒子中に面心立方構造(fcc)の層が形成され、結晶性、配向性が損なわれるおそれがあるため好ましくない。Pt含有量が上記範囲未満である場合、高密度記録に適した熱揺らぎ特性に十分なKuが得られないため好ましくない。 垂直磁気記録層のCr含有量は、0原子%以上20原子%以下であることが好ましく、10原子%以上16原子%以下であることがより好ましい。Cr含有量として上記範囲が好ましいのは、磁性粒子のKuを下げすぎず、また、高い磁化を維持し、結果として高密度記録に適した記録再生特性と十分な熱揺らぎ特性が得られるためである。Cr含有量が上記範囲を超えた場合、磁性粒子のKuが小さくなるため熱揺らぎ特性が悪化し、また、磁性粒子の結晶性、配向性が悪化することで、結果として記録再生特性が悪くなるため好ましくない。
垂直磁気記録層の酸化物含有量は、Co、Ptの総量に対して、3mol%以上15mol%以下であることが好ましく、5mol%以上12mol%以下であることがより好ましい。垂直磁気記録層の酸化物含有量として上記範囲が好ましいのは、垂直磁気記録層を形成した際、磁性粒子の周りに酸化物が析出し、磁性粒子を分離させ、微細化させることができるためである。酸化物の含有量が上記範囲を超えた場合、酸化物が磁性粒子中に残留し、磁性粒子の配向性、結晶性を損ね、さらには、磁性粒子の上下に酸化物が析出し、結果として磁性粒子が垂直磁気記録層を上下に貫いた柱状構造が形成されなくなるため好ましくない。酸化物の含有量が上記範囲未満である場合、磁性粒子の分離、微細化が不十分となり、結果として記録再生時におけるノイズが増大し、高密度記録に適したSNRが得られなくなるため好ましくない。
垂直磁気記録層は、Co、Cr、Pt、酸化物のほかに、B、Ta、Mo、Cu、Nd、W、Nb、Sm、Tb、Ru、Reから選ばれる1種類以上の元素を含むことができる。上記元素を含むことにより、磁性粒子の微細化を促進し、または結晶性や配向性を向上させることができ、より高密度記録に適した記録再生特性、熱揺らぎ特性を得ることができる。上記元素の合計の含有量は、8原子%以下であることが好ましい。8原子%を超えた場合、磁性粒子中に六方最密構造(hcp)相以外の相が形成されるため、磁性粒子の結晶性、配向性が乱れ、結果として高密度記録に適した記録再生特性、熱揺らぎ特性が得られないため好ましくない。
垂直磁気記録層としては、CoPt系合金、CoCr系合金、CoPtCr系合金、CoPtO、CoPtCrO、CoPtSi、CoPtCrSi、ならびにPt、Pd、Rh、およびRuからなる群より選択された少なくとも一種を主成分とする合金とCoとの多層構造、さらに、これらにCr、BおよびOを添加したCoCr/PtCr、CoB/PdB、CoO/RhOなどを使用することもできる。
垂直磁気記録層の厚さは、好ましくは3ないし30nm、より好ましくは5ないし15nmである。この範囲であると、より高記録密度に適した磁気記録再生装置を作製することができる。垂直磁気記録層の厚さが3nm未満であると、再生出力が低過ぎてノイズ成分の方が高くなる傾向がある。垂直磁気記録層の厚さが30nmを超えると、再生出力が高過ぎて波形を歪ませる傾向がある。垂直磁気記録層の保磁力は、237000A/m(3000Oe)以上とすることが好ましい。保磁力が237000A/m(3000Oe)未満であると、熱揺らぎ耐性が劣る傾向がある。垂直磁気記録層の垂直角型比は、0.8以上であることが好ましい。垂直角型比が0.8未満であると、熱揺らぎ耐性に劣る傾向がある。
<保護膜>
保護膜は、垂直磁気記録層の腐食を防ぐとともに、磁気ヘッドが媒体に接触したときに媒体表面の損傷を防ぐ目的で設けられる。保護膜の材料としては、たとえばC、SiO2、ZrO2を含むものが挙げられる。保護膜の厚さは1ないし10nmとすることが好ましい。これにより、ヘッドと媒体の距離を小さくできるので、高密度記録に好適である。カーボンは、sp2結合炭素(グラファイト)とsp3結合炭素(ダイヤモンド)に分類できる。耐久性、耐食性はsp3結合炭素のほうが優れるが、結晶質であることから表面平滑性はグラファイトに劣る。通常、カーボンの成膜はグラファイトターゲットを用いたスパッタリング法で形成される。この方法では、sp2結合炭素とsp3結合炭素が混在したアモルファスカーボンが形成される。sp3結合炭素の割合が大きいものはダイヤモンドライクカーボン(DLC)と呼ばれ、耐久性、耐食性に優れ、アモルファスであることから表面平滑性にも優れるため、磁気記録媒体の表面保護膜として利用されている。CVD(chemical vapor deposition)法によるDLCの成膜は、原料ガスをプラズマ中で励起、分解し、化学反応によってDLCを生成させるため、条件を合わせることで、よりsp3結合炭素に富んだDLCを形成することができる。
図3は、実施形態にかかる磁気記録再生装置の一例を一部分解した斜視図を示す。
図3に示されるように、実施形態にかかる垂直磁気記録装置30は、上面の開口した矩形箱状の筐体31と、複数のねじにより筐体31にねじ止めされる筐体の上端開口を閉塞する図示しないトップカバーを有している。
筐体31内には、実施形態にかかる垂直磁気記録媒体32、この垂直磁気記録媒体32を支持及び回転させる駆動手段としてのスピンドルモータ33、磁気記録媒体32に対して磁気信号の記録及び再生を行う磁気ヘッド34、磁気ヘッド34を先端に搭載したサスペンションを有し且つ磁気ヘッド34を垂直磁気記録媒体32に対して移動自在に支持するヘッドアクチュエータ35、ヘッドアクチュエータ35を回転自在に支持する回転軸36、回転軸36を介してヘッドアクチュエータ35を回転、位置決めするボイスコイルモータ37、及びヘッドアンプ回路38等が収納されている。
以下、実施例を示し、実施形態をより具体的に説明する。
実施例1〜6および比較例1〜9
各実施例に使用した打ち込み層+打ち込みガスは以下の通りである。、
実施例1:CeB層+Arガス
実施例2:YB層+Arガス
実施例3:LaB層+Arガス
実施例4:CeB層+Nガス
実施例5:CeB層+HeN2ガス
実施例6:Ce層+Bガス
また、各比較例では、以下のように、イオン注入のみ、打ち込み層+打ち込みガスにBが含まれていない場合、及びBガスのみのいずれかとした。
比較例1〜4:(B,Y,La,Ce)のイオン注入のみ
比較例5〜8:(B,Y,La,Ce)の層+Arガス Bなし
比較例9:Bガスのみ
実施例1〜6にかかるBPMの製造工程を図4(a)ないし図4(k)を参照して説明する。
図4(a)ないし図4(k)に、実施形態にかかる磁気記録媒体の製造方法の一例を表す図を示す。
ガラス基板21(コニカミノルタ社製アモルファス基板MEL6、直径2.5インチ)を、DCマグネトロンスパッタ装置(アネルバ社製C−3010)の製膜チャンバ内に収容して、到達真空度1×10−5Paとなるまで製膜チャンバ内を排気した。この基板上に、図示しない軟磁性層としてCo−7原子%Ta−5原子%Zrを40nm製膜して軟磁性裏打ち層を形成した。次いで、図示しない中間層としてRuを20nm、垂直磁気記録層22として、Co−20原子%Pt−10原子%Crを20nm形成した。次いで、CVD法により、4nmのDLC保護層23を形成した。
続いて、以下のように、BPMを作製した。
図4(a)に示すように、厚さ5nmのMoからなる第1のハードマスク24と、厚さ25nmのCからなる第2のハードマスク25、厚さ3nmのSiからなる第3のハードマスク26を製膜した。第3のハードマスク(Si)26上に、厚さ50nmになるようにレジスト27をスピンコートした。次いで、所定の凹凸パターンが形成されたスタンパを用意した。スタンパは、EB描画、Ni電鋳、射出成形を経て製造した。
図5に、上記凹凸パターンとして、記録トラック及び記録再生ヘッドの位置決めをするための情報を記録したDTM用凹凸パターンの一例を表す正面図、図6に、記録ビット、及び記録再生ヘッドの位置決めをするための情報を記録したBPM用凹凸パターンの一例を表す正面図を各々、示す。
上記EB描画の描画パターンとして、例えば、図5に示すように、データ領域に設けられたトラックパターン11と、サーボ領域に設けられたプリアンブルアドレスパターン12、及びバーストパターン13を含むサーボ領域パターン14に対応するパターン、あるいは、図6に示すように、データ領域に設けられたビットパターン11’と、サーボ領域に設けられた例えばプリアンブルアドレスパターン12、及びバーストパターン13を含むサーボ領域パターン14に対応するパターン等が挙げられる。
スタンパを、その凹凸面がレジストに対向するように配置した。レジストに対してスタンパをインプリントして、図4(b)に示すように、スタンパの凹凸パターンをレジスト27に転写した。その後、スタンパを取り外した。
レジスト27に転写された凹凸パターンの凹部の底にはレジスト残渣が残っているため、誘導結合プラズマ−リアクティブイオンエッチング(ICP−RIE)装置により、プロセスガスとしてCFを使用し、チャンバー圧を0.1Paとし、コイルRFパワーおよびプラテン(バイアス)RFパワーをそれぞれ100Wおよび50Wとし、エッチング時間を60秒としてドライエッチングを行い、凹部のレジスト残渣を除去し、図4(c)に示すように、第3のハードマスク(Si)26の表面を露出させた。
次いで、パターン化されたレジスト27をマスクとし、ICP−RIE装置により、プロセスガスとしてCFを使用し、チャンバー圧を0.1Paとし、コイルRFパワーおよびプラテンRFパワーをそれぞれ100Wおよび50Wとし、エッチング時間を20秒として、イオンビームエッチングを行った。これにより、図4(d)に示すように、第3のハードマスク(Si)26にパターンを転写し、凹部で第2のハードマスク(C)25を露出させた。
次いで、パターン化された第3のハードマスク(Si)26をマスクとして、ICP−RIE装置により、プロセスガスとしてOを使用し、チャンバー圧を0.1Paとし、コイルRFパワーおよびプラテンRFパワーをそれぞれ100Wおよび50Wとし、エッチング時間を20秒として、Cからなる第2のハードマスクのエッチングを行った。これにより、図4(e)に示すように、第3のハードマスク(Si)26のパターンを第2のハードマスク(C)25に転写し、凹部で第1のハードマスク(Mo)24の表面を露出させた。
次いで、図4(f)に示すように、パターン化された第2のハードマスク(C)25をマスクとして、イオンミリング装置により、Arガスを使用し、ガス圧を0.06Paとし、加速電圧400V、エッチング時間を10秒間として、Moから成る第1のハードマスク24をエッチングしてパターンを転写し、凹部でDLC層23の表面を露出させた。
次いで、図4(g)に示すように、パターン化された第1のハードマスク(Mo)24をマスクとして、ICP−RIE装置により、プロセスガスとしてOを使用し、チャンバー圧を0.1Paとし、コイルRFパワーおよびプラテンRFパワーをそれぞれ100Wおよび50Wとし、エッチング時間を5秒として、DLC層23をエッチングしてパターンを転写し、凹部で磁気記録層22の表面を露出させた。
続いて、以下のように、非記録部の非磁性化を行った。
磁気記録層22上に、図4(h)に示すように、打ち込み層28としての六硼化セリウムを、Arガスを用いたDCスパッタによって、チャンバー圧を0.7Paとし、パワー500Wとし、製膜時間を10秒間として、10nm製膜した。
次いで、図4(i)に示すように、打ち込みガスとして、Arガスを使用し、電子サイクロトロン共鳴(ECR)イオンガンによって、ガス圧0.1Pa、マイクロ波パワー1000W、加圧電圧5000V、処理時間100秒にて、磁気記録層への六硼化セリウムの打ち込みを行った。これにより、磁気記録層22中に非記録部29,記録部41を形成した。
次いで、図4(j)に示すように、DLC保護層23より上に残存している全ての層を、過酸化水素水へ媒体を浸漬し、1分間保持することで、第1のハードマスク(Mo)24からその上に体積された膜を全て除去した。
次いで、図4(k)に示すように、CVD法によりDLC保護層23上に、DLC保護層4nmを形成し、DLC保護層23’とし、ディッピング法により図示しない潤滑剤を塗布し、実施形態に係るパターンド型の垂直磁気記録媒体40を得た。
同様にして、打ち込み層および打ち込みガスとして表1に記載の組み合わせを用いて、実施例2〜6および比較例1〜9の垂直磁気記録媒体を得た。
実施例1〜6および比較例1〜9について、記録再生特性、静磁気特性および表面粗さを測定した。
記録再生特性の評価は、米国GUZIK社製リードライトアナライザRWA1632、およびスピンスタンドS1701MPを用いて、電磁変換特性を測定した。記録再生特性の評価には、書き込みにシールド付(シールドは、磁気ヘッドから出る磁束を収束させる働きを持つ)のシングルポール磁極であるシールディットポール磁極、再生部にTMR素子を用いたヘッドを用いて、記録周波数の条件を線記録密度1400kBPIとして、そのSNRを測定した。
表面粗さの測定はVeeco社製AFMを用いた。10μm視野において、解像度256×256のタッピングモードにて行った。
これらの媒体に対して、基板断面方向の透過型電子顕微鏡観察(TEM)およびエネルギー分散型X線分光(TEM−EDX)測定を行い、媒体の断面部の凹凸形状、および軽希土類金属含有量を測定した。
実施例1〜6の媒体において、記録部領域では軽希土類金属は観測されなかった。一方、非記録部ではおよそ20原子%程度の軽希土類金属が観測された。
また、非記録部に相当する磁化を調べるために、マスクを用いずに磁気記録層全面に打ち込み処理を行った媒体(全面が非記録部に相当する媒体)を別途作製して磁化を測定した。静磁気特性の評価には、理研電子社製振動試料型磁力計(VSM)装置を用いた。
実施例1〜6の媒体は比較例1〜9の媒体と比較して、良好なSNRを示している。比較例のように、Bや軽希土類金属単体をイオン注入しても、非記録部の磁化は十分非磁性化できていない。原因として、イオン注入方式では、金属層内に注入されるイオンの分布は水滴型になっており、最表層部や最下層部における拡散が十分ではなく、磁性が残ってしまうものと思われる。軽希土類金属単体をArで拡散させる場合は、表層部付近への拡散効果が大きい一方で最下層部への注入が難しく、結果、最下層部の磁性が残っているものと思われる。
一方実施形態にかかる媒体では、実施例に見られるように軽希土類金属元素とボロンのそれぞれ元素の磁性失活に加え、硼化物生成により結晶格子が破壊され、拡散効果の増大によって、最表層部から最下層部まで、十分に磁性失活ができているものと思われる。結果、実施例1〜6の媒体は、非記録部の磁化(Ms)が0になっており、記録ビット間の磁気的な干渉がなくなっている。一方、比較例1〜9の媒体は非記録部のMsが残っており、記録ビット間に磁気的な干渉が起こり、ノイズが増加していると考えられる。さらに、実施例1〜6の媒体は比較例1〜9の媒体に比べ表面粗さが改善しており、ヘッドの浮上特性も改善していると考えられる。
Figure 0004865078
なお、Msについて:非記録部に相当する磁化を調べるために、マスクを用いずに磁気記録層全面に打ち込み処理を行った媒体(全面が非記録部に相当する媒体)を作製して、磁化を測定した。
また、上記実施例1では、3層のマスク層を形成したが、実施形態はこれに限るものではなく、1層のマスク層を形成することもできる。
以下に1層のマスク層を形成した例を示す。
DLC保護層上に、厚さ50nmになるようにレジストをスピンコートする。次いで、所定の凹凸パターンが形成されたスタンパを用意する。スタンパは、EB描画、Ni電鋳、射出成形を経て製造する。スタンパを、その凹凸面がレジストに対向するように配置した。レジストに対してスタンパをインプリントして、スタンパの凹凸パターンをレジストに転写する。その後、スタンパを取り外す。レジストに転写された凹凸パターンの凹部の底にはレジスト残渣が残っているため、ICP−RIE装置により、プロセスガスとしてCF4を使用し、チャンバー圧を0.1Paとし、コイルRFパワーおよびプラテン(バイアス)RFパワーをそれぞれ100Wおよび50Wとし、エッチング時間を60秒としてドライエッチングを行い、凹部のレジスト残渣を除去し、DLC保護層の表面を露出させる。次いで、パターン化されたレジストをマスクとして、ICP−RIE装置により、プロセスガスとしてOを使用し、チャンバー圧を0.1Paとし、コイルRFパワーおよびプラテンRFパワーをそれぞれ100Wおよび50Wとし、エッチング時間を5秒として、DLC層をエッチングしてパターンを転写し、凹部で磁気記録層の表面を露出させる。
実施例7〜11
実施例7〜11で使用した軽希土類金属層/B層+Arガスの組合せは以下の通りです。
実施例7:Y層/B層+Arガス
実施例8:La層/B層+Arガス
実施例9:Ce層/B層+Arガス
実施例10:Ce層/B層+Nガス
実施例11:Ce層/B層+HeNガス
以下のように、実施例7〜11の垂直磁気記録媒体を作製した。
パターン化されたマスクをエッチングして、凹部で磁気記録層の表面を露出させた後、磁気記録層上に、第一の打ち込み層として、セリウム膜をArガスを用いたDCスパッタによって、チャンバー圧を0.7Paとし、パワー500Wとし、製膜時間を5秒間として、5nm製膜し、第二の打ち込み層として、B膜をArガスを用いたRFスパッタによって、チャンバー圧を0.7Paとし、パワー500Wとし、製膜時間を10秒間として5nm製膜し、打ち込み層を軽希土類金属層とB層の2層にし、かつ打ち込みガス種を表2のように変化させた以外は実施例1と同様にして、実施例7〜11の垂直磁気記録媒体を得た。
これらの媒体に対して、実施例1と同様にTEMおよびTEM−EDX測定を行い、媒体の軽希土類金属含有量を測定した。結果、実施例7〜11の媒体において、記録部領域では軽希土類金属は観測されなかった。一方、非記録部では20原子%程度の軽希土類金属が観測された。
これらの媒体に対して、実施例1と同様に、記録再生特性、静磁気特性および表面粗さを測定した。表2から分かるように、実施例7〜11の媒体は良好なSNRを示すことが分かった。即ち、軽希土類金属層とB層を積層しそれをArイオンで拡散させることで、非記録部内で軽希土類金属単体とB、軽希土類硼化物を形成し、これらの相乗的な効果によって非記録部が磁性失活化できているものと考えられる。これにより、記録ビット間の磁気的な干渉がなくなり、特性が改善しているものと考えられる。さらに、実施例7〜11の媒体は比較例の媒体に比べ表面粗さが改善しており、ヘッドの浮上特性も改善していると考えられる。
Figure 0004865078
なお、Msについて:非記録部に相当する磁化を調べるために、マスクを用いずに磁気記録層全面に打ち込み処理を行った媒体(全面が非記録部に相当する媒体)を作製して、磁化を測定した。
実施例12〜17、比較例10〜11
実施例12〜17、比較例10〜11で使用した軽希土類金属とB層+Arガスの組合せは以下の通りです。
実施例12:CeB層+Arガス
実施例13:CeB層+Arガス
実施例14:CeB層+Arガス
実施例15:CeB層+Arガス
比較例10:CeB層+Arガス
比較例11:CeB層+Arガス
実施例16:YB層+Arガス
実施例17:LaB層+Arガス
以下のように、実施例12〜17および比較例10、11の垂直磁気記録媒体を作製した。垂直磁気記録層として、Co−20原子%Pt−10原子%Crを20nm形成する代わりに、表3のように軽希土類金属を含む垂直磁気記録層を用い、かつ垂直磁気記録層に含まれる軽希土類と同種の元素を含む打ち込み層を用いた。さらに、打ち込みガスとしてArガスを使用し、ガス圧および打ち込み処理時間を変化させて、非記録部内の軽希土類濃度を5原子%から30原子%まで変化させた以外は実施例1と同様にして、実施例12〜17および比較例10、11の垂直磁気記録媒体を得た。
Figure 0004865078
なお、Msについて:非記録部に相当する磁化を調べるために、マスクを用いずに磁気記録層全面に打ち込み処理を行った媒体(全面が非記録部に相当する媒体)を作製して、磁化を測定した。
これらの媒体に対して、実施例1と同様にTEMおよびTEM−EDX測定を行い、媒体の軽希土類金属含有量を測定した。結果実施例12〜17および比較例10,11の媒体において、記録部領域では軽希土類金属が5原子%の濃度で観測された。一方、非記録部領域では5〜30原子%の軽希土類金属が観測された。
これらの媒体に対して、記録再生特性および静磁気特性を測定した。表3から分かるように、実施例12〜17の媒体は比較例10,11の媒体に比べ、良好なSNRを示すことが分かった。即ち、非記録部の軽希土類金属濃度を、記録部領域より10原子%以上多く含ませることで、非記録部が磁性失活化でき、記録ビット間の磁気的な干渉がなくなり、特性が改善しているものと考えられる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1,21…基板,3,41…非記録部,4,29…記録部,5,22…磁気記録層,10,40…磁気記録媒体,28…打ち込み層

Claims (7)

  1. 基板と、
    該基板上に設けられ、面内方向に規則的に配列されたパターンを有し、コバルト及びプラチナを含む記録部、及び該記録部間に設けられ、イットリウム、ランタン、及びセリウムからなる群から選択される少なくとも一種の軽希土類金属及びホウ素を含有する非記録部を含む磁気記録層とを具備する磁気記録媒体。
  2. 前記非記録部に含まれる軽希土類金属の含有量(原子%)は、前記記録部に含まれる軽希土類金属の含有量(原子%)よりも10(原子%)以上多い請求項1に記載の磁気記録媒体。
  3. 基板上に形成されたコバルト及びプラチナを含む磁気記録層上に、規則的に配列されたパターンを有するマスク層を形成する工程、
    該マスク層を介してイットリウム、ランタン、及びセリウムからなる群から選択される少なくとも一種の軽希土類金属を含有する打ち込み層を形成する工程、
    該打ち込み層に打ち込みガスを用いてガスイオン照射を行うことにより、該マスク層に覆われていない領域の磁気記録層を厚さ方向に非磁性化せしめ、磁気記録層中に、規則的に配列されたパターンを有する記録部と、該記録部間に設けられた非記録部とを形成する工程を具備する磁気記録媒体の製造方法であって、
    前記打ち込み層及び打ち込みガスのうち少なくとも一方がホウ素を含有する磁気記録媒体の製造方法。
  4. 前記打ち込み層は、イットリウム、ランタン、及びセリウムからなる群から選択される少なくとも一種の軽希土類金属のホウ化物を含む請求項3に記載の方法。
  5. 前記打ち込み層は、イットリウム、ランタン、及びセリウムからなる群から選択される少なくとも一種の軽希土類金属を含有する層とホウ素層との積層を含む請求項3に記載の方法。
  6. 前記打ち込み層は、イットリウム、ランタン、及びセリウムからなる群から選択される少なくとも一種の軽希土類金属を含有する層であり、前記打ち込みガスは、ホウ素を含有する請求項3に記載の方法。
  7. 請求項1または2に記載の磁気記録媒体と、
    前記垂直磁気記録媒体を支持および回転駆動する機構と、
    前記垂直磁気記録媒体に対して情報の記録を行うための素子及び記録された情報の再生を行うための素子を有する磁気ヘッドと、
    前記磁気ヘッドを前記垂直磁気記録媒体に対して移動自在に支持したキャリッジアッセンブリとを具備する磁気記録再生装置。
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