JP2005310356A - ノイズ発生を抑えた軟磁性層を用いた垂直磁気記録媒体、およびそれを用いた垂直磁気記録装置 - Google Patents

ノイズ発生を抑えた軟磁性層を用いた垂直磁気記録媒体、およびそれを用いた垂直磁気記録装置 Download PDF

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太 中村
Tsutomu Tanaka
田中  勉
Yuka Aoyanagi
由果 青柳
Kenji Shimizu
謙治 清水
Hiroshi Sakai
浩志 酒井
Akira Sakawaki
彰 坂脇
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Abstract

【課題】 軟磁性層から発せられるノイズを抑えることにより、高密度記録可能な磁気記録媒体、その製造方法、および磁気記録再生装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 基板1と、垂直磁気記録層6と、これらの間に設けられた軟磁性層3とを有し、軟磁性層3は、厚さが100nm未満であり、面内方向の磁気異方性を有し、飽和磁束密度Bsと保磁力Hcの積Bs・Hcが79T・A/m(10kG・Oe)以上である。軟磁性層3の厚さを上記範囲とすることによって、面内方向の磁気異方性を安定させることができる。Bs・Hcを上記範囲とすることによって静磁エネルギーを十分に大きくすることができる。従って、軟磁性層3での磁壁の発生を抑え、軟磁性層3から発せられるノイズを抑えることができ、高密度記録が可能となる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ハードディスク装置等に用いられる磁気記録媒体、その製造方法、および磁気記録再生装置に関するものである。
垂直磁気記録方式は、磁気記録層の磁化容易軸を基板に対し垂直な方向に向けることにより、記録ビットの境界である磁化遷移領域を小さくすることができるため、記録密度の向上に適した方式である。
垂直磁気記録方式を採用した磁気記録媒体としては、基板と垂直磁気記録層との間に軟磁性層を形成した、いわゆる垂直二層媒体が多く用いられている。垂直二層媒体は、磁気ヘッドとして単磁極ヘッドを用いることによって、高い記録能力を得ることができる。
垂直二層媒体では、軟磁性層が磁気ヘッドからの記録磁界を環流させる役割を果たすため、記録再生効率を向上させることができる。
しかしながら、垂直二層媒体では、軟磁性層に起因するノイズ、特に磁壁を原因とするノイズが大きいという問題がある。
軟磁性層の磁壁形成を抑え、媒体ノイズを抑制するため、従来より種々の提案がなされている。
特開2003−151128号公報(特許文献1)には、スパッタ法により軟磁性層を形成する際に直流バイアス電圧を基板に加える方法によって得られた垂直二層媒体である磁気記録媒体が開示されている。
この磁気記録媒体は、軟磁性層でのノイズの原因となる微視的な磁気異方性の発生を防ぐため、軟磁性層を形成する際に直流バイアス電圧が基板に加えられる。
この磁気記録媒体では、軟磁性層の保磁力は10(Oe)以下が好ましいとされる。軟磁性層の厚さについては、50nm以上、好ましくは80nm以上、さらに好ましくは100nm以上が好適な範囲として挙げられている。飽和磁束密度Bsは0.7T以上、好ましくは1T以上、さらに好ましくは1.2T以上が好適な範囲として挙げられている。
しかしながら、この磁気記録媒体では、軟磁性層全体を複数領域に分断する磁壁が発生しやすくなるため、軟磁性層から発生するノイズを抑えることが難しかった。
特開2002−150544号公報(特許文献2)には、軟磁性層の厚さ分布または飽和磁化の大きさが、基板の中心からの距離の関数として変化するようにされた磁気記録媒体が開示されている。
この磁気記録媒体では、軟磁性層の静磁エネルギーを小さくすることにより、軟磁性層を単磁区構造とし、磁壁によるノイズの発生、エラーレートの低下等を防ぐことができる。
しかしながら、この磁気記録媒体では、軟磁性層から発せられる磁束が半径方向に異なるため、その特性が不均一になるという問題がある。
また、単磁区構造の安定性が劣り、ノイズの発生を十分に抑えることができなかった。
特開平6−76202号公報(特許文献3)には、軟磁性裏打ち層と垂直磁化記録層とを有する磁気記録媒体と、磁気ヘッドとを備えた磁気記録再生装置が開示されている。磁気ヘッドは、軟磁性裏打ち層に対して磁界を印加可能な磁界発生素子を備えている。
この磁気記録再生装置では、RFスパッタ法によって形成された軟磁性裏打ち層を有する磁気記録媒体が用いられている。軟磁性裏打ち層としては、厚さが100nmであり、面内方向の保磁力が10(Oe)であり、CoZrNbからなるものが例示されている。
軟磁性裏打ち層の飽和磁束密度は、1.3T程度であると考えられる。
軟磁性裏打ち層の厚さは100nmであることから、磁気異方性が面内方向に向いていると仮定すると、面内方向の保磁力は非常に低くなるはずである(1(Oe)程度またはそれ以下になると考えられる)。
軟磁性裏打ち層の面内方向の保磁力は10(Oe)とされていることから、軟磁性裏打ち層の磁気異方性は面内方向に向いていないと考えられる。
このような磁気記録媒体では、軟磁性層から発するノイズを十分に抑えるのは難しいのが現状である。
特開2003−151128号公報 特開2002−150544号公報 特開平6−76202号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、軟磁性層から発せられるノイズを抑えることにより、高密度記録を可能とする磁気記録媒体、その製造方法、および磁気記録再生装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
(1)上記課題を解決するための第1の発明は、基板と、垂直磁気記録層と、これらの間に設けられた軟磁性層とを有する磁気記録媒体において、前記軟磁性層が、厚さが100nm未満であり、面内方向の磁気異方性を有し、飽和磁束密度Bsと保磁力Hcの積Bs・Hcが79T・A/m(10kG・Oe)以上であることを特徴とする磁気記録媒体である。
(2)上記課題を解決するための第2の発明は、基板と、垂直磁気記録層と、これらの間に設けられた複数の軟磁性層とを有する磁気記録媒体において、前記複数の軟磁性層が、厚さの合計が100nm未満であり、面内方向の磁気異方性を有し、かつ飽和磁束密度Bsと保磁力Hcの積Bs・Hcが79T・A/m(10kG・Oe)以上であることを特徴とする磁気記録媒体である。
(3)上記課題を解決するための第3の発明は、前記軟磁性層の磁気異方性の方向が、前記基板の半径方向であることを特徴とする(1)または(2)に記載の磁気記録媒体である。
(4)上記課題を解決するための第4の発明は、前記基板と軟磁性層との間に、軟磁性層での磁壁形成を抑える硬磁性層が設けられていることを特徴とする(1)〜(3)のうちいずれか1つに記載の磁気記録媒体。
(5)上記課題を解決するための第5の発明は、前記硬磁性層が、前記軟磁性層の磁気異方性の方向にほぼ平行な方向に磁化されるようになっていることを特徴とする(4)に記載の磁気記録媒体である。
(6)上記課題を解決するための第6の発明は、基板と、垂直磁気記録層と、これらの間に設けられた軟磁性層とを有する磁気記録媒体を製造する方法であって、前記軟磁性層を形成するにあたって、その厚さを100nm未満とするとともに、磁気異方性を面内方向に向け、かつ飽和磁束密度Bsと保磁力Hcの積Bs・Hcを79T・A/m(10kG・Oe)以上とすることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法である。
(7)上記課題を解決するための第7の発明は、(1)〜(5)のうちいずれか1つに記載の磁気記録媒体と、該磁気記録媒体に情報を記録再生する磁気ヘッドとを備え、この磁気ヘッドが単磁極ヘッドであることを特徴とする磁気記録再生装置である。
なお、1(Oe)=約79A/mであり、1G=10−4Tである。
また、各層の厚さは、例えばTEM(透過型電子顕微鏡)で媒体断面を観察することにより求めることができる。
本発明の磁気記録媒体は、軟磁性層が、厚さが100nm未満であり、面内方向の磁気異方性を有し、飽和磁束密度Bsと保磁力Hcの積Bs・Hcが79T・A/m(10kG・Oe)以上である。
軟磁性層の厚さを上記範囲とすることによって、面内方向の磁気異方性を安定させることができる。また、Bs・Hcを上記範囲とすることによって静磁エネルギーを十分に大きくすることができる。
本発明の磁気記録媒体では、軟磁性層に面内方向の磁気異方性を与え、静磁エネルギーを大きくするため、軟磁性層における磁壁形成を抑制することができる。
従って、軟磁性層に起因するノイズを抑えることができ、高密度記録が可能となる。
本発明の磁気記録媒体は、基板と、垂直磁気記録層と、これらの間に設けられた軟磁性層とを有する垂直磁気記録媒体である。
基板としては、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属材料からなる金属基板を用いてもよいし、ガラス、セラミック、シリコン、シリコンカーバイド、カーボンなどの非金属材料からなる非金属基板を用いてもよい。
ガラスとしては、アモルファスガラス、結晶化ガラスが使用できる。アモルファスガラスとしては、汎用のソーダライムガラス、アルミノシリケートガラスが使用できる。結晶化ガラスとしては、リチウム系結晶化ガラスが使用できる。セラミック基板としては、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化珪素などを主成分とする焼結体や、その繊維強化物が使用可能である。
軟磁性層は、軟磁性材料からなるものであり、この軟磁性材料としては、Fe、Coより選ばれる少なくとも1つを主成分とするものが好適である。
軟磁性層の材料としては、FeCo合金(FeCo、FeCoB、FeCoBCなど)、FeNi合金(FeNi、FeNiMo、FeNiCr、FeNiSiなど)、FeAl合金(FeAl、FeAlSi、FeAlSiCr、FeAlSiTiRu、FeAlOなど)、FeCr合金(FeCr、FeCrTi、FeCrCuなど)、FeTa合金(FeTa、FeTaC、FeTaNなど)、FeMg合金(FeMgOなど)、FeZr合金(FeZrNなど)、FeC合金、FeN合金、FeSi合金、FeP合金、FeNb合金、FeHf合金、FeB合金、CoB合金、CoP合金、CoNi合金(CoNi、CoNiB、CoNiPなど)、CoZr合金(CoZrNb、CoZrTa、CoZrCr、CoZrMoなど)、CoNb合金、CoTa合金、CoCr合金、CoMo合金、FeCoNi合金(FeCoNi、FeCoNiP、FeCoNiBなど)などを挙げることができる。
特に、軟磁性層3には、炭化ホウ素(BC)を含む材料であるFeCoBCを用いるのが好ましい。
軟磁性層は、O、C、Nより選ばれる少なくとも1つを含むことができる。これにより、酸化物、炭化物、窒化物のうち少なくとも1つが粒界に生成し、磁性粒を微細にする。
これにより、磁壁が形成されにくくなる。
軟磁性層は、面内方向の磁気異方性を有する。
軟磁性層の磁気異方性の方向は、前記基板の半径方向であることが望ましい。
磁気異方性の方向を半径方向とすることによって、磁壁形成を抑制するのが容易となる。
「面内方向の磁気異方性を有する」とは、面内方向の飽和磁界が垂直方向の飽和磁界より小さいことを意味する。飽和磁界とは、軟磁性層の磁束密度が飽和に達するのに必要となる外部磁界の最小値である。
軟磁性層の厚さは、100nm未満(好ましくは80nm以下)とされる。
軟磁性層の厚さをこの範囲とすることによって、面内方向の磁気異方性を安定させることができる。また、生産性を高めることができる。
十分な軟磁気特性を得るには、軟磁性層の厚さは10nm以上とするのが好ましい。
軟磁性層の飽和磁束密度Bsは、7000G以上(0.7T)であることが望ましい。
軟磁性層の保磁力Hcは、1(Oe)以上、100(Oe)以下であることが望ましい。Bsを高い値に設定するのは難しいため、保磁力Hcが1(Oe)未満であると、Bs・Hcを79T・A/m(10kG・Oe)以上とするのが難しくなる。
保磁力Hcが100(Oe)より大きいと、軟磁性層の軟磁気特性が不十分となる。
軟磁性層は、飽和磁束密度Bsと保磁力Hcの積Bs・Hcが79T・A/m(10kG・Oe)以上(好ましくは395T・A/m(50kG・Oe)以上)とされる。
Bs・Hcをこの範囲とすることによって、ノイズを抑えることができる。
軟磁性層の静磁エネルギーUは以下の式によって表されるため、Bs・Hcが大きいと、静磁エネルギーが大きくなることになる。
U=(1/2)∫∫∫B・Hdv
B:磁束密度 H:磁界
軟磁性層は、複数形成されていてもよい。
軟磁性層が複数形成される場合には、これら複数の軟磁性層は連続して積層されていてもよいし、他の層を介して積層されていてもよい。
この場合には、各軟磁性層の特性(厚さ、Bs・Hcなど)は、これら複数の軟磁性層をひとつの軟磁性層と考えた場合に、上記範囲となるように設定される。
すなわち、これら複数の軟磁性層の厚さは、合計で100nm未満(好ましくは80nm以下)とされる。これによって、面内方向の磁気異方性を安定させることができる。また、軟磁性層の厚さは合計で10nm以上とするのが好ましい。
また、上記複数の軟磁性層は、これらをひとつの軟磁性層と考えた場合に、面内方向の磁気異方性を有する。
さらに、上記複数の軟磁性層は、これらをひとつの軟磁性層と考えた場合の飽和磁束密度Bsと保磁力Hcの積Bs・Hcが79T・A/m(10kG・Oe)以上(好ましくは395T・A/m(50kG・Oe)以上)とされる。Bs・Hcをこの範囲とすることによって、ノイズを抑えることができる。
基板と軟磁性層との間には、軟磁性層での磁壁形成を抑える硬磁性層を設けることもできる。
硬磁性層は、硬磁性材料からなり、面内方向の磁気異方性をもつことが好ましい。
硬磁性層は、磁化方向を、軟磁性層の磁気異方性の方向にほぼ平行とすると、軟磁性層での磁壁形成を抑える効果を高めることができる。
硬磁性層の材料としては、CoCrPt合金、CoCrPtB合金、CoCrPtTa合金、CoSm合金、CoPt合金、CoPtO合金、CoPtCrO合金、CoPt−SiO合金、CoCrPt−SiO合金、CoCrPtO−SiO合金を挙げることができる。
硬磁性層は2層構造とすることもできる。例えば、Vからなる第1層上に、Co合金(例えばCoPtCr)からなる磁性層である第2層を形成した構成とすることができる。
硬磁性層は、保磁力Hcが2000(Oe)以上(好ましくは3000(Oe)以上)であることが好ましい。
硬磁性層によって、軟磁性層における磁壁形成を抑え、スパイクノイズの発生を防ぐことができる。
軟磁性層上には、シード層を設けることができる。
シード層には、Fe、Co、Ni、Cr、V、Mo、Nb、Zr、W、Ta、B、Cより選ばれる少なくとも一つを含む合金を用いることができる。
この材料としては、NiTa合金、NiNb合金、NiTaC合金、NiTaB合金、CoNiTa合金、NiFe合金、NiFeMo合金、NiFeCr合金、NiFeV合金、NiCo合金が好ましい。
シード層は、微細な結晶粒子を有する微結晶構造、または面心立方構造とするのが好ましい。
シード層には、軟磁性材料を用いることもできる。例えば飽和磁束密度Bsを0.2T以上とし、保磁力Hcを100(Oe)以下とすることができる。
シード層に軟磁気材料を用いる場合には、このシード層は軟磁性層として機能する。
この場合には、上述の軟磁性層とシード層とを、2層構造をもつひとつの軟磁性層であると見なすことができる。この場合には、この2層構造の軟磁性層の特性(厚さ、磁気異方性、Bs・Hc)が上述の範囲を満たすことが好ましい。
シード層と垂直磁気記録層との間には、Ruを含む下地層を設けることができる。この材料としては、RuまたはRu合金を挙げることができる。Ru合金としては、RuCr合金、RuCo合金、RuPt合金を挙げることができる。
下地層を設けることによって、垂直磁気記録層において配向性が高くなり、分解能、SNRを向上させることができる。
垂直磁気記録層は、磁化容易軸が基板に対して主に垂直方向に向いたものであり、Co合金を用いることができる。特に、金属酸化物または半導体酸化物を含むCo合金が好ましい。垂直磁気記録層は、粒子分散型構造(グラニュラ構造)とすることができる。
Co合金としては、CoCr合金、CoPt合金、CoCrPt合金、CoCrPtTa合金、CoCrPtO合金、CoCrPtTaB合金を挙げることができる。
上記金属酸化物を構成する金属としては、Cr、Al、Ta、Zr、Mg、Ti、Yを挙げることができ、半導体酸化物を構成する半導体としては、Si、Bを挙げることができる。
金属酸化物としては、Y、Cr、Al、Ta、TiO、Ti、TiOより選ばれる少なくとも一つを挙げることができる。半導体酸化物としては、SiO、Bを挙げることができる。
垂直磁気記録層がグラニュラ構造をとる場合には、垂直磁気記録層は、上記Co合金からなる磁性粒子が、上記金属酸化物、半導体酸化物などからなる母材に分散した構成とすることができる。
上記下地層を設ける場合には、下地層が、粒子の均一性、明瞭性、粒径の小ささ、配向性の点で良好となるので、この下地層の影響下でエピタキシャル成長する垂直磁気記録層は、粒子(磁性粒子)の均一性、明瞭性、粒径の小ささ、配向性が良好となる。
特に、金属酸化物または半導体酸化物を含むCo合金からなる垂直磁気記録層は、粒子の均一性、明瞭性、粒径の小ささ、配向性が良好となる。このため、優れた分解能およびノイズ特性が得られる。
垂直磁気記録層に、金属酸化物または半導体酸化物を含むCo合金を用いる場合には、垂直磁気記録層は、非加熱条件(例えば基板温度100℃未満)で形成するのが好ましい。この温度が高すぎると、粒径が大きくなり、粒子と母材の分離が不十分となりやすい。
垂直磁気記録層に、金属酸化物または半導体酸化物を含まないCo合金を用いる場合には、垂直磁気記録層は、加熱条件(例えば基板温度100℃以上)で形成するのが好ましい。この温度が低すぎると、垂直磁気記録層において偏析が不十分となりやすい。
垂直磁気記録層に、金属酸化物または半導体酸化物を含まないCo合金を用いる場合には、垂直磁気記録層の直下に、このCo合金よりもCo濃度が低いCo合金(CoCr合金、CoPt合金、CoCrPt合金、CoCrPtTa合金、CoCrPtO合金、CoCrPtTaB合金など)からなる弱磁性下地層を設けることができる。なお、弱磁性下地層は非磁性であってもよい。
垂直磁気記録層上には、C、SiO、ZrOなどからなる保護層を設けることができる。
保護層上には、パーフルオロポリエーテル、フッ素化アルコール、フッ素化カルボン酸などからなる潤滑層を設けることができる。
上記各層は、基板の片面に形成してもよいし、両面に形成してもよい。上記各層は、スパッタ法によって形成することができる。
以下、具体例を示して本発明をより詳細に説明する。
図1に示す磁気記録媒体は、基板1上に、硬磁性層2と、軟磁性層3と、シード層4と、下地層5と、垂直磁気記録層6と、保護層7とが順に積層された構成を有する。
図2に示す磁気記録媒体は、軟磁性層3に代えて、2つの軟磁性層3a、3bを有する点で図1に示す磁気記録媒体と異なる。
図3に示す磁気記録媒体は、硬磁性層2を備えていない点で図1に示す磁気記録媒体と異なる。
以下、本発明で得られる効果について説明する。
一般に、垂直磁気記録媒体の軟磁性層は、書き込みの際は、磁気ヘッドから発生する磁束の磁路の一部を形成し、読み込みの際は、磁気記録層からの磁束漏洩を助長する役割を果たす。
従来、磁束の効果を十分に発揮させるためには、軟磁性層は厚く、保磁力は小さい方が好ましいとされてきた。
また、軟磁性層においてノイズの原因となる微細な磁区が形成するのを防ぐには、磁気異方性を抑える方が好ましいとされてきた。
また、軟磁性層の静磁エネルギーが大きい場合には還流磁区の形成により磁壁形成が進行するため、従来、ノイズを低減するには静磁エネルギーを抑えることが好ましいという考え方が一般的であった。
しかしながら、本発明者の検討によって、従来、好ましいとされてきた特性をもつ磁気記録媒体では、軟磁性層全体を複数領域に大きく分断する磁壁が発生しやすくなることがわかった。
本発明の磁気記録媒体において、軟磁性層は、厚さが100nm未満であり、面内方向の磁気異方性を有し、飽和磁束密度Bsと保磁力Hcの積Bs・Hcが79T・A/m(10kG・Oe)以上である。
軟磁性層の厚さを上記範囲とすることによって、面内方向の磁気異方性を安定させることができる。また、Bs・Hcを上記範囲とすることによって静磁エネルギーを十分に大きくすることができる。
本発明の磁気記録媒体では、軟磁性層に面内方向の磁気異方性を与え、かつ静磁エネルギーを大きくするため、軟磁性層における磁壁形成を抑制することができる。
従って、軟磁性層に起因するノイズを抑えることができ、高密度記録が可能となる。
軟磁性層が面内方向の磁気異方性を有し、かつ静磁エネルギーが大きい場合に、磁壁形成が抑制される理由については、次に示す推測が可能である。
図4に示すように、半径方向に延びる磁壁21と、磁壁21の一端から外周縁に向けて延びる2つの磁壁22、22と、磁壁21の他端から内周縁に向けて延びる2つの磁壁23、23とによって、還流磁区である磁区24〜27が形成された軟磁性層を想定する。
軟磁性層に面内方向(図示例では半径方向)の磁気異方性を与えることによって、矢印で示す磁化方向が磁気異方性の方向に一致する磁区24、26は、半径方向に拡大しやすくなる。
よって、破線で示すように、磁壁22、23はそれぞれ外周縁および内周縁により近い位置に形成されやすくなり、磁区25、27は小さくなる。このため、静磁エネルギーは大きくなる。
軟磁性層に与えられた磁気異方性が十分に大きければ、外周側および内周側の磁区25、27は形成されない。すなわち、磁壁22、23は形成されないことになる。
このように、磁壁22、23の形成を抑制できることから、磁壁22、23を原因とするノイズ発生を低減できる。
この例では、軟磁性層の磁気異方性が半径方向に向いているため、磁気異方性が比較的小さい場合でも磁壁22、23は形成されにくい。
図5は、本発明の磁気記録再生装置(垂直磁気記録装置)の一例を示す一部分解斜視図である。
ここに示す磁気記録再生装置は、上面側が開口した矩形箱状の筐体11と、筐体11の開口を塞ぐトップカバーを有する。
筐体11内には、上述の構成を有する磁気記録媒体12、この磁気記録媒体12を支持および回転させる駆動手段としてのスピンドルモータ13、磁気記録媒体12に対して磁気信号の記録および再生を行う磁気ヘッド14(単磁極ヘッド)、磁気ヘッド14を先端に搭載したサスペンションを有しかつ磁気ヘッド14を磁気記録媒体12に対して移動自在に支持するヘッドアクチュエータ15、ヘッドアクチュエータ15を回転自在に支持する回転軸16、回転軸16を介してヘッドアクチュエータ15を回転および位置決めするボイスコイルモータ17、ヘッドアンプ回路18が収納されている。
(実施例1)
図1に示す磁気記録媒体を次に示すように作製した。
以下に示す製造方法において、スパッタ法では、真空度を3×10−5Pa以下としたチャンバーを用い、スパッタガスとしてArガスを使用した。
ガラスからなる基板1上に、面内方向の磁気異方性をもつ硬磁性層2をスパッタ法により形成した。硬磁性層2は、Vからなる第1層(厚さ40nm)上に、Co−18at%Pt−8at%Crからなる第2層(厚さ20nm)を有する構成とした。
第1層を形成する際には、Vからなるターゲットを用い、チャンバー内圧を0.6Paとした。第2層を形成する際には上記CoPtCrからなるターゲットを用い、チャンバー内圧を0.5Paとした。
次いで、硬磁性層2上に、Fe−27at%Co−8at%B−2at%Cからなる軟磁性層3(厚さ80nm)を形成した。
軟磁性層3を形成する際には、上記FeCoBC(Fe−27at%Co−8at%B−2at%C)からなるターゲットの背面に、磁束がターゲットの中心から外周に向けて放射状に漏洩するように希土類永久磁石を設けて放電を行った(チャンバー内圧:0.6Pa)。
次いで、軟磁性層3上に、Ni−30at%Taターゲットを用いて、このNiTaからなるシード層4(厚さ7nm)を形成した(チャンバー内圧:0.7Pa)。
上記各層を形成する際には、ターゲットに供給する電力をDC500Wとした。
次いで、シード層4上に、Ruからなるターゲットを用いて、Ruからなる下地層5(厚さ5nm)を形成した。下地層5を形成する際には、チャンバー内圧を3.0Paとし、ターゲットへの供給電力はDC250Wとした。
次いで、下地層5上に、CoPtCr−SiOからなる垂直磁気記録層6(厚さ10nm)を形成した。
垂直磁気記録層6を形成する際には、Co−16at%Pt−12at%Cr粒子とSiO粒子をモル比CoPtCr:SiO=11:1になるように一様に混合して焼結して得られたCoPtCr−SiOターゲットを用いた。チャンバー内圧は6.0Paとし、ターゲットへの供給電力はRF200Wとした。
次いで、垂直磁気記録層6上に、Cからなるターゲットを用いて、Cからなる保護層7(厚さ7nm)を形成した。保護層7を形成する際には、チャンバー内圧は0.5Paとし、ターゲットへの供給電力はDC1000Wとした。
次いで、保護層7上に、ディップ法により、PFPE(Perfluoro Polyether)からなる潤滑剤を、厚さが1.5nmとなるように塗布し、図1に示す構成の磁気記録媒体Aを得た。
媒体Aは、基板1上に、硬磁性層2、FeCoBCからなる軟磁性層3、NiTaからなるシード層4、Ruからなる下地層5、CoPtCr−SiOからなる磁気記録層6、Cからなる保護層7、および図示しない潤滑層を順に積層した構成を有する。
図6に示す着磁装置31を用いて、媒体Aに両面から半径方向のパルス磁界(10000(Oe))を加え、媒体Aを着磁させた。
媒体Aの特性を評価するため、次に示すサンプル1〜3を作製した。サンプル1〜3に用いられる基板1および各層の構成は媒体Aと同様にした。
基板1上に、硬磁性層2、軟磁性層3、シード層4、下地層5、垂直磁気記録層6を順次形成し、サンプル1とした。
基板1上に、軟磁性層3のみを形成し、サンプル2とした。
基板1上に、硬磁性層2、軟磁性層3、シード層4、下地層5、垂直磁気記録層6を順次形成して得たサンプルを、着磁装置31を用いて着磁させ、サンプル3とした。
サンプル1〜3から、1辺が1cmとなる正方形の試験片を切り取った。この試験片は、向かい合う2つの辺がほぼサンプル1〜3の半径方向に沿うようにされる。
サンプル1〜3の試験片を、次に示すように、VSM(Vibrating Smple Magnetometer)による静磁気特性評価に供した。結果を表1に示す。
サンプル1について、最大15kOeの外部磁界を加えて角型比RS、保磁力Hcを測定したところ、半径方向、円周方向のいずれについても、残留磁化を飽和磁化で除した値である角型比RSが0.96であり、保磁力Hcが2800(Oe)であった。
サンプル2について、最大100(Oe)の外部磁界を加えて飽和磁束密度Bs、Hc、RSを測定したところ、Bsが16000G、半径方向のHcが0.7(Oe)、円周方向のHcが50(Oe)、RSが1.0であった。
また、円周方向についてヒステリシスループ(BH曲線)を作成したところ、外部磁界を大きくしても飽和磁束密度を確定できなかったことから、磁化容易軸が半径方向を向いている(すなわち磁気異方性が半径方向に向いている)と判断された。
サンプル2のBs・Hcは11.2kG・Oe(88.5T・A/m)であった。
また、サンプル3の半径方向についてヒステリシスループを作成したところ、このループの中心点が、サンプル2の半径方向について作成されたループの中心点よりHの正方向に約50(Oe)ずれた位置にあった。
サンプル2、3のループ中心点のずれ幅は、半径方向について測定した場合に最も大きいことが確認された。
このことから、硬磁性層2の磁化方向と、軟磁性層3の磁気異方性の方向とがいずれも半径方向であると判断された。
磁気記録媒体Aについて、Kerr効果磁気測定装置を用いて、最大20kOeの外部磁界を加えて静磁気特性を評価した。保磁力Hc、角型比Rs、核生成磁界(−Hn)を表1に示す。
また、単磁極ヘッドを用いて、媒体Aに信号を書き込み、MRヘッドを用いて信号を読み取る方法によりR/W特性の評価を行った(以下、R/W測定という)。
R/W測定では、SNRm、オーバーライト特性(OW)、半値幅(dPW50)を測定した。結果を表1に示す。
測定点は、半径20mmに相当する位置とし、媒体の回転速度は4200rpmとした。
SNRmについて、Sは716kFCIの孤立波形の1磁化反転におけるピーク値、すなわち最大値と最小値の差を1/2にした値である。Nmは、60kFCIでのrms値(root mean square−inches)である。
オーバーライト特性は、358kFCIでの記録信号を書き込んだ後、48kFCIの信号を上書きした際の、上書き前の信号出力と上書き後の消え残り信号出力との比を示す。
dPW50は、分解能特性を示すもので、再生波形を微分して得られた孤立波のピーク値の50%における幅(nm)である。
(比較例1〜3)
媒体A(実施例1)のFeCoBCからなる軟磁性層3に代えて、Co−6at%Zr−10at%Nbからなる軟磁性層3を有する磁気記録媒体B、C、Dを作製した。媒体B、C、Dの軟磁性層3の厚さはそれぞれ80nm、160nm、240nmとした。
軟磁性層3を形成する際には、上記CoZrNb(Co−6at%Zr−10at%Nb)からなるターゲットの背面に、磁束がターゲットの中心から外周に向けて放射状に漏洩するように希土類永久磁石を設けて放電を行った。その他の条件は実施例1と同様とした。
媒体B、C、Dの軟磁性層3の特性を評価するため、基板1上に、上記CoZrNbからなる軟磁性層3のみを形成したサンプル4〜6を作製した。サンプル4〜6に用いられる基板1および軟磁性層3の構成は、それぞれ媒体B、C、Dと同様にした。
サンプル4〜6の試験片を静磁気特性評価に供した結果、サンプル4〜6は、いずれも磁気異方性が半径方向を向いていたことが確認された。
サンプル4〜6のBsはいずれも12000Gであった。サンプル4〜6の半径方向のHcはそれぞれ0.7(Oe)、0.5(Oe)、0.1(Oe)であった。
サンプル4〜6のBs・Hcは、それぞれ8.4kG・Oe、6.0kG・Oe、1.2kG・Oeであった。
(比較例4、5)
上記FeCoBCからなる軟磁性層3を形成するにあたって、ターゲット背面の永久磁石を使用しないこと以外は実施例1と同様にして磁気記録媒体Eを作製した。
上記FeCoBCからなる軟磁性層3の厚さを120nmとすること以外は実施例1と同様にして磁気記録媒体Fを作製した。
基板1上に、上記CoZrNbからなる軟磁性層3のみを形成したサンプル7、8を作製した。サンプル7、8に用いられる基板1および軟磁性層3の構成は、それぞれ媒体E、Fと同様にした。
サンプル7は、静磁気的に等方であり異方性はなかった。保磁力Hcは1.0(Oe)であった。サンプル8は、磁気異方性が半径方向を向いており、半径方向の保磁力Hcは0.8(Oe)であった。サンプル7、8のBsはいずれも16000Gであった。
サンプル7、8のBs・Hcは、それぞれ16.0kG・Oe、12.8kG・Oeであった。
磁気記録媒体E、Fについて、実施例1と同様にして静磁気特性を評価した。結果を表1に示す。
Figure 2005310356
表1より、実施例1の媒体Aは、電磁変換特性(SNRm、OW、dPW50)について比較例の媒体よりも優れた値を示したことがわかる。
また、比較例5の媒体Fは、SNRm、OWについて、他の比較例の媒体に比べ優れていた。これは、Bs・Hcが比較的大きいことが原因であると考えられる。
また、比較例4の媒体Eは、軟磁性層3のBs・Hcが大きいものの、異方性をもたないためにSNRmが低くなったと考えられる。
dPW50については、実施例1の媒体Aは、いずれの比較例よりも優れていた。
図4は、実施例1の媒体AのDCイレーズ後のディスク1周分の波形を示すものである。この図に示すように、信号はほとんど観察されなかった。
図5は、比較例1の媒体Bの波形を示すものである。この図に示すように、スパイクノイズが観察された。比較例2〜5の媒体C〜Fについても、同様にスパイクノイズが観察された。
比較例1、4の媒体B、Eについて、着磁装置31を用いて軟磁性層3を着磁させた後、R/W測定を行わずに波形を観察すると、スパイクノイズはほとんど観察されなくなったが、続いてR/W測定を行うと、スパイクノイズが観察されるようになった。
これに対し、実施例1の媒体Aでは、R/W測定後にもスパイクノイズは観察されなかった。
これらの結果より、実施例1の媒体Aでは、R/W測定を行った場合でも磁区が形成されることはなかったが、比較例の媒体では、R/W測定によって磁区が形成され、それがスパイクノイズの発生を招き、R/W測定値に悪影響を及ぼしたと考えられる。
比較例1(媒体B)の結果より、たとえ軟磁性層3の磁気異方性が半径方向に向き、軟磁性層3の厚さが100nm未満であったとしても、Bs・Hcが79T・A/m(10kG・Oe)を下回った場合には、スパイクノイズが発生することがわかる。
また、比較例2、3(媒体C、D)の結果より、軟磁性層3の厚さが100nm以上で、かつBs・Hcが79T・A/m(10kG・Oe)を下回った場合にも、スパイクノイズが発生することがわかる。
また、比較例4(媒体E)の結果より、Bs・Hcが79T・A/m(10kG・Oe)以上であったとしても、磁気異方性が低い場合には、スパイクノイズが発生することがわかる。
また、比較例5(媒体F)の結果より、軟磁性層3の厚さが100nm以上であった場合には、やはりスパイクノイズが発生することがわかる。
スパイクノイズは、いずれの場合にも、R/W測定値を劣化させた。
以上より、厚さが100nm未満であり、Bs・Hcが79T・A/m(10kG・Oe)以上であり、磁気異方性が面内方向を向いた軟磁性層3を裏打ち層として用いることにより、軟磁性層3における磁壁の形成を抑え、R/W特性の優れた磁気記録媒体を得ることができた。
(実施例2、3)
図3に示す磁気記録媒体を次に示すように作製した。
硬磁性層2を形成しないこと、軟磁性層3にFe−24at%Co−16at%B−4at%Cを用いること、軟磁性層3の厚さを50nmとすること以外は実施例1と同様にして磁気記録媒体Gを作製した。
実施例1と同様にして静磁気特性を評価したところ、軟磁性層3は、半径方向に磁気異方性をもち、Bsが19000Gであり、Hcが10(Oe)であり、Bs・Hcが190kG・Oe(1500T・A/m)であることがわかった。測定結果を表2に示す。
Figure 2005310356
実施例2の媒体Gでは、実施例1の媒体Aに比べ、ほぼ同等な値が得られた。
また、実施例1と同様に、R/W測定後にDCイレーズを行ったが、スパイクノイズは観察されなかった。
以上より、厚さが100nm未満であり、Bs・Hcが79T・A/m(10kG・Oe)以上であり、磁気異方性が面内方向を向いた軟磁性層3を裏打ち層として用いることにより、硬磁性層2を用いない場合でも、軟磁性層3における磁壁の形成を抑え、R/W特性の優れた磁気記録媒体を提供することができた。
(実施例3)
軟磁性層3にFe−27at%Co−10at%Bを用いること以外は実施例1と同様にして磁気記録媒体Hを作製した。
媒体Hを2つの電磁石の間に配置し、2000rpmで回転させながら電磁石から10000(Oe)の磁界を発生させ、電磁石を内周から外周方向に直線的に移動させた後に媒体Hの回転を静止させることによって、硬磁性層2を着磁させた。
実施例1と同様にして、軟磁性層3の静磁気特性、磁気異方性の方向、硬磁性層2の磁化の方向を調べた。
軟磁性層3のBsは16000Gであり、Hcは1.0(Oe)であり、Bs・Hcは16kG・Oeであった。軟磁性層3の磁気異方性は半径方向に向いていたが、硬磁性層2の磁化の方向は、半径方向に対し円周方向に10°ずれた方向であることがわかった。
測定結果を表2に示す。
実施例3の媒体Hでは、実施例1の媒体Aに比べいずれの測定値もわずかに劣ったが、比較例の媒体B〜Fに比べて優れたR/W特性を示した。
また、R/W測定後にDCイレーズを行ったが、スパイクノイズは観察されなかった。
以上より、厚さが100nm未満であり、Bs・Hcが79T・A/m(10kG・Oe)以上であり、磁気異方性が面内方向を向いた軟磁性層3を裏打ち層として用いることにより、硬磁性層2の磁化の方向が軟磁性層3の磁気異方性の方向に対しずれている場合でも、軟磁性層3における磁区の発生を抑え、R/W特性の優れた磁気記録媒体を提供することができた。
(実施例4)
以下、図面を参照して実施例4を説明する。
図9に示す磁気記録媒体を次のようにして作製した。
硬磁性層2を形成しないことと、軟磁性層111(厚さ25nm)とRu層112(厚さ5nm)(中間層)とを交互に積層した構造を軟磁性層3に代えて設けることを除いて、実施例1と同様にして磁気記録媒体Iを作製した。
軟磁性層111はFe−24at%Co−16at%B−4at%Cからなり、この材料からなるターゲットを用いてスパッタ法により形成した。Ru層112は、Ruからなるターゲットを用いてDCスパッタ法により形成した。
媒体Iは、3つの軟磁性層111が非磁性のRu層112を介して積層された構造を有する。1つの軟磁性層111は媒体Gの軟磁性層3に比べ薄いが、軟磁性層111とRu層112の厚さの合計は軟磁性層3の厚さより大きい。
実施例1と同様にして静磁気特性およびR/W特性を評価したところ、媒体Iの軟磁性層は、半径方向に磁気異方性をもち、Bsが18000Gであり、Hcが8(Oe)であり、Bs・Hcが144kG・Oeであることがわかった。測定結果を表3に示す。
Figure 2005310356
表3より、媒体Iでは、媒体A、Gに比べ、SNRm、OW特性が良好であったことがわかる。これは、軟磁性層111の厚さの合計を75nmとし、かつBs・Hcの値を10kG・Oe以上としたことによって磁気異方性が安定したためであると考えられる。
また、実施例1と同様にして、R/W測定した後、DCイレーズ後のディスク1周分の波形を調べたところ、スパイクノイズは一切現れなかった。
また、媒体Iでは軟磁性層の数を3としたが、軟磁性層の数を2にした場合、および4にした場合にも、SNRm、OW特性が良好であり、かつスパイクノイズは観察されなかった。なお、これらの場合にも軟磁性層の厚さの合計は100nm未満とした。
以上のように、複数の軟磁性層を備え、その厚さの合計が100nm未満であり、面内方向の磁気異方性を有し、Bs・Hcが10kG・Oe以上である構成によって、軟磁性層における磁区の発生を抑え、磁気異方性を安定に保ち、R/W特性に優れた磁気記録媒体が得られた。
本発明の磁気記録媒体の第1の例を示す断面図である。 本発明の磁気記録媒体の第2の例を示す断面図である。 本発明の磁気記録媒体の第3の例を示す断面図である。 本発明により得られる効果を説明する説明図である。 本発明の磁気記録再生装置の一例を示す概略構成図である。 実施例で用いた着磁装置を示す概略構成図である。 試験結果を示すグラフである。 試験結果を示すグラフである。 本発明の磁気記録媒体の第4の例を示す断面図である。
符号の説明
1…基板、2…硬磁性層、3、3a、3b、111…軟磁性層、4…シード層、5…下地層、6…垂直磁気記録層、7…保護層

Claims (7)

  1. 基板と、垂直磁気記録層と、これらの間に設けられた軟磁性層とを有する磁気記録媒体において、
    前記軟磁性層は、厚さが100nm未満であり、面内方向の磁気異方性を有し、飽和磁束密度Bsと保磁力Hcの積Bs・Hcが79T・A/m(10kG・Oe)以上であることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 基板と、垂直磁気記録層と、これらの間に設けられた複数の軟磁性層とを有する磁気記録媒体において、
    前記複数の軟磁性層は、厚さの合計が100nm未満であり、面内方向の磁気異方性を有し、かつ飽和磁束密度Bsと保磁力Hcの積Bs・Hcが79T・A/m(10kG・Oe)以上であることを特徴とする磁気記録媒体。
  3. 前記軟磁性層の磁気異方性の方向が、前記基板の半径方向であることを特徴とする請求項1または2に記載の磁気記録媒体。
  4. 前記基板と軟磁性層との間に、軟磁性層での磁壁形成を抑える硬磁性層が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  5. 前記硬磁性層は、前記軟磁性層の磁気異方性の方向にほぼ平行な方向に磁化されるようになっていることを特徴とする請求項4に記載の磁気記録媒体。
  6. 基板と、垂直磁気記録層と、これらの間に設けられた軟磁性層とを有する磁気記録媒体を製造する方法であって、
    前記軟磁性層を形成するにあたって、その厚さを100nm未満とするとともに、磁気異方性を面内方向に向け、かつ飽和磁束密度Bsと保磁力Hcの積Bs・Hcを79T・A/m(10kG・Oe)以上とすることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  7. 請求項1〜5のうちいずれか1項に記載の磁気記録媒体と、該磁気記録媒体に情報を記録再生する磁気ヘッドとを備え、この磁気ヘッドが単磁極ヘッドであることを特徴とする磁気記録再生装置。
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