JP2006031850A - 磁気記録媒体および磁気ディスク装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ロード時およびシーク時のヘッドスライダの浮上動作を安定にすることができるディスクリートトラック媒体を提供する。
【解決手段】非磁性基板と、前記非磁性基板上に形成された下地層と、前記下地層上に形成された磁気記録層からなる磁気記録媒体において、前記磁気記録層は、溝によって分離され記録トラックとして用いられるパターンが形成されたデータゾーンと、最外周に位置し前記パターンが形成されていないランディングゾーンからなることを特徴とする磁気記録媒体。
【選択図】 図2
【解決手段】非磁性基板と、前記非磁性基板上に形成された下地層と、前記下地層上に形成された磁気記録層からなる磁気記録媒体において、前記磁気記録層は、溝によって分離され記録トラックとして用いられるパターンが形成されたデータゾーンと、最外周に位置し前記パターンが形成されていないランディングゾーンからなることを特徴とする磁気記録媒体。
【選択図】 図2
Description
本発明は、ディスクリートトラックを有する磁気記録媒体、およびこのような磁気記録媒体を有する磁気ディスク装置に関する。
近年、磁気記録媒体のさらなる高密度化に対応するために、隣接する記録トラックを溝や非磁性材料からなるガードバンドで分離し、隣接トラック間の磁気的干渉を低減するようにしたディスクリートトラック媒体が注目を集めている(たとえば特許文献1参照)。
このようなディスクリートトラック媒体のうち、隣接する記録トラックを溝で分離した構造を有するものは、簡単に製造できるという利点がある。
特開平7−129953号公報
しかし、上記のように隣接する記録トラックを溝で分離した構造を有するディスクリートトラック媒体では、ロード時およびシーク時のヘッドスライダの浮上動作が不安定になりやすいことがわかってきている。これは、磁気記録層のある記録トラックと磁気記録層のない溝とでヘッドスライダの下方の空気膜圧力が変動することによる。
本発明の目的は、ロード時およびシーク時のヘッドスライダの浮上動作を安定にすることができるディスクリートトラック媒体、およびこのようなディスクリートトラック媒体を有する磁気ディスク装置を提供することにある。
本発明の一態様に係る磁気記録媒体は、非磁性基板と、前記非磁性基板上に形成された下地層と、前記下地層上に形成された磁気記録層からなる磁気記録媒体において、前記磁気記録層は、溝によって分離され記録トラックとして用いられるパターンが形成されたデータゾーンと、最外周に位置し前記パターンが形成されていないランディングゾーンからなることを特徴とする。
本発明の他の態様に係る磁気ディスク装置は、非磁性基板と、前記非磁性基板上に形成された下地層と、前記下地層上に形成され、溝によって分離され記録トラックとして用いられるパターンが形成されたデータゾーン及び最外周に位置し、前記パターンが形成されていないランディングゾーンとからなる磁気記録媒体と、前記記録媒体からの磁気情報の読み出し及び前記記録媒体への磁気情報の書き込みを行う磁気ヘッドとを具備することを特徴とする。
本発明によれば、ヘッドスライダのランディングゾーンはパターンの凹凸がない領域になっているので、ロード時のヘッドスライダの浮上安定性を改善できる。
図1に本発明の一実施例に係る磁気ディスク(ディスクリートトラック媒体)の平面図を示す。図2に図1のII−II線で切断した拡大断面図を示す。
図1に示す本実施例の磁気ディスク1は2.5インチ径である。図2に示すように、この磁気ディスク1は、非磁性基板11上に下地層12、磁気記録層13およびカーボン保護層14を成膜した構造を有する。
この磁気ディスク1の最外周、すなわち中心から半径方向に約30〜32mmの範囲にヘッドスライダのランディングゾーン2を形成しており、ヘッドスライダをロード/アンロード方式で動作させる。ランディングゾーン2の内側の領域をデータゾーン3として利用し、最外シーク位置(OS)にヘッドスライダが位置しているとき、スライダ直下の媒体表面にはパターンが存在する。同様に、最内シーク位置(IS)にヘッドスライダが位置しているとき、スライダ直下の媒体表面にはパターンが存在する。データゾーン3においては、記録トラック(TR)に相当する磁気記録層13のパターンを溝によって分離して形成している。最外周に位置するランディングゾーン2は記録トラック(TR)の幅よりも広い幅をもつ磁気記録層13で形成している。
また、データゾーン3の最外シーク位置(OS)にある記録トラックとランディングゾーン2との間の所定の幅の領域に、記録トラックとして用いない磁気記録層のダミーパターン(D)を形成している。同様に、データゾーン3の最内シーク位置(IS)にある記録トラックより内側の所定の幅の領域に、記録トラックとして用いない磁気記録層のダミーパターン(D)を形成している。
上記のように、最外周に位置するランディングゾーン2を記録トラック(TR)の幅よりも広い幅をもつ磁気記録層で形成しており、ランディングゾーン2には溝がないので、パターンの凹凸によるロード時のヘッドスライダの浮上安定性を改善することができる。また、ヘッドスライダの最内シーク位置よりも内側および最外シーク位置よりも外側までパターン加工を施し、溝によって分離されたダミーパターン(D)を形成したことにより、最内シーク位置および最外シーク位置の記録トラックを含めてデータゾーン3内の全ての記録トラックは等価な構造になっている。このため、最内シーク位置および最外シーク位置でのヘッドスライダの浮上安定性を改善することができる。
なお、CSS方式でヘッドスライダを動作させる場合には、ランディングゾーン2を設けることなく、最内シーク位置よりも内側および最外シーク位置よりも外側にダミーパターンを形成すればよい。
次に、図3(A)〜(G)を参照して、図1および図2に示したディスクリートトラック媒体の製造方法を説明する。
図3(A)に示すように、スパッタリングにより、非磁性基板11上に下地層12および垂直磁気記録層13を成膜する。基板サイズは3〜0.85インチの範囲で幅広く選択できる。垂直磁気記録層13上に酸化防止のために4nm程度のダイヤモンドライクカーボンDLC(図示せず)を成膜する。
図3(B)に示すように、垂直磁気記録層13上にノボラック系レジスト41を約120nmの厚さにスピンコートする。ノボラック系レジストとしてはシプレー社のS1801、S1818等を用いることができる。スタンパ51をレジスト41にインプリントし、レジスト41に凹凸パターンを転写する。スタンパ51の凹凸パターンは、図1および図2に示した垂直磁気記録層13の凹凸パターンと逆のパターンになっている。
図3(C)に示すように、凹凸パターンの転写されたレジスト41にUV照射を行い、約160℃でベークする。この処理によりノボラック樹脂が架橋し、イオンミリングに十分耐えうる硬度が得られる。なお、インプリントによる凹凸形成プロセスでは、パターン凹部底辺にレジスト残渣が残る。レジスト残渣が少ないほど磁性体加工には好ましいが、レジスト残渣が少なすぎるとインプリントによる形状転写性が悪くなる。
図3(D)に示すように、酸素ガスを用いたRIEにより、レジスト残渣を除去する。レジスト41に転写された凹凸形状をできるだけ変化させずにレジスト残渣を除去するには、低圧、高密度のプラズマソースRIEが好適である。このためには、ICP(誘導結合プラズマ)やECR(電子サイクロトロン共鳴)エッチング装置を用いることが好ましい。たとえば、ICPエッチング装置を用いる場合、約2mTorrの圧力下で酸素RIEによってレジスト残渣を除去する。溝部分では、垂直磁気記録層13上に形成されたDLCも同時に剥離される。
図3(E)に示すように、レジスト41のパターンをマスクとして、Arイオンミリングにより垂直磁気記録層13をエッチングする。このエッチング時には、垂直磁気記録層13のダメージをなくし、エッチング物質の再付着(リデポジション)現象を抑えるように、イオン入射角を30°、70°と変化させる。この方法により、記録トラックに相当する垂直磁気記録層13のパターン側壁には約40°〜75°のテーパー角が形成される。
図3(F)に示すように、酸素RIEによりレジスト41のパターンを剥離する。この処理では、約1Torrの高圧、約400Wの高パワーで酸素プラズマを用いることにより効果的にレジストパターンを剥離できる。この際、垂直磁気記録層13上のDLCもエッチングされる。垂直磁気記録層13の酸化を防止する観点から、垂直磁気記録層13上のDLCが完全にエッチングされる手前で酸素RIEを止めるのが好ましい。
図3(G)に示すように、全面にカーボン保護層14を成膜する。カーボン保護層14は、sp3結合炭素の割合が大きいDLCが好適である。DLCはグラファイトターゲットを用いたスパッタリングまたはCVD(化学気相成膜法)によって成膜できるが、よりsp3結合炭素に富んだDLCを成膜するにはCVDが好適である。カーボン保護層14の膜厚はできるだけ薄いほうがよいが、薄すぎると垂直磁気記録層13のカバレッジが悪くなるので3〜4nmの厚さが好ましい。
その後、作製したディスクリートトラック媒体に潤滑剤をディップ法で塗布する。潤滑剤で満たされた容器に媒体を浸け、引き上げ速度をコントロールすることにより潤滑剤の膜厚を制御する。引き上げ速度が遅いほど、潤滑剤の膜厚が薄くなる。潤滑剤の膜厚は薄いほうが好ましいが、薄すぎると自由に流動できる潤滑剤が少なくなり、自己修復が利きにくくなるため好ましくない。したがって、潤滑剤の膜厚は1nm程度が好適である。
以上説明したように、イオンミリングを用いたディスクリートトラック媒体の製造プロセスは工程が少ないことが特徴である。イオンミリングではどのような材料でもエッチングできるため、垂直磁気記録層の組成が変化しても、プロセスを変える必要がない。
以下、本発明に実施形態に係る磁気記録媒体の各層に用いられる材料や、各層の積層構造について説明する。
<基板>
基板11としては、たとえばガラス基板、Al系合金基板、セラミック基板、カーボン基板、酸化表面を有するSi単結晶基板、およびこれらの基板の表面にNiP層を形成したものなどを用いることができる。ガラス基板には、アモルファスガラスまたは結晶化ガラスを用いることができる。アモルファスガラスとしては、ソーダライムガラス、アルミノシリケートガラスなどがある。結晶化ガラスとしては、リチウム系結晶化ガラスなどがある。セラミック基板としては、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化珪素などを主成分とする焼結体や、これらの焼結体を繊維強化したものなどを用いることができる。基板の表面にNiP層を形成するには、メッキやスパッタリングが用いられる。
基板11としては、たとえばガラス基板、Al系合金基板、セラミック基板、カーボン基板、酸化表面を有するSi単結晶基板、およびこれらの基板の表面にNiP層を形成したものなどを用いることができる。ガラス基板には、アモルファスガラスまたは結晶化ガラスを用いることができる。アモルファスガラスとしては、ソーダライムガラス、アルミノシリケートガラスなどがある。結晶化ガラスとしては、リチウム系結晶化ガラスなどがある。セラミック基板としては、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化珪素などを主成分とする焼結体や、これらの焼結体を繊維強化したものなどを用いることができる。基板の表面にNiP層を形成するには、メッキやスパッタリングが用いられる。
<軟磁性下地層>
本発明の実施形態に係る磁気記録媒体は、軟磁性下地層(SUL)上に垂直磁気記録層を有するいわゆる垂直二層媒体である。垂直二層媒体の軟磁性下地層は、記録磁極からの記録磁界を通過させ、記録磁極の近傍に配置されたリターンヨークへ記録磁界を還流させるために設けられている。すなわち、軟磁性下地層は記録ヘッドの機能の一部を担っており、記録層に急峻な垂直磁界を印加して、記録効率を向上させる役目を果たす。
本発明の実施形態に係る磁気記録媒体は、軟磁性下地層(SUL)上に垂直磁気記録層を有するいわゆる垂直二層媒体である。垂直二層媒体の軟磁性下地層は、記録磁極からの記録磁界を通過させ、記録磁極の近傍に配置されたリターンヨークへ記録磁界を還流させるために設けられている。すなわち、軟磁性下地層は記録ヘッドの機能の一部を担っており、記録層に急峻な垂直磁界を印加して、記録効率を向上させる役目を果たす。
軟磁性下地層には、Fe、NiおよびCoのうち少なくとも1種を含む高透磁率材料が用いられる。このような材料として、FeCo系合金たとえばFeCo、FeCoVなど、FeNi系合金たとえばFeNi、FeNiMo、FeNiCr、FeNiSiなど、FeAl系およびFeSi系合金たとえばFeAl、FeAlSi、FeAlSiCr、FeAlSiTiRu、FeAlOなど、FeTa系合金たとえばFeTa、FeTaC、FeTaNなど、FeZr系合金たとえばFeZrNなどが挙げられる。
軟磁性下地層に、Feを60at%以上含有するFeAlO、FeMgO、FeTaN、FeZrNなどの微結晶構造、または微細な結晶粒子がマトリクス中に分散されたグラニュラー構造を有する材料を用いることもできる。
軟磁性下地層の他の材料として、Coと、Zr、Hf、Nb、Ta、TiおよびYのうち少なくとも1種とを含有するCo合金を用いることもできる。Coは、好ましくは80at%以上含まれる。このようなCo合金をスパッタリングにより成膜した場合にはアモルファス層が形成されやすい。アモルファス軟磁性材料は、結晶磁気異方性、結晶欠陥および粒界がないため、非常に優れた軟磁性を示す。また、アモルファス軟磁性材料を用いることにより、媒体の低ノイズ化を図ることができる。好適なアモルファス軟磁性材料としては、たとえばCoZr、CoZrNb、及びCoZrTa系合金などを挙げることができる。
軟磁性下地層の下に、軟磁性下地層の結晶性の向上あるいは基板との密着性の向上のためにさらに下地層を設けてもよい。下地層材料としては、Ti、Ta、W、Cr、Pt、もしくはこれらを含む合金、またはこれらの酸化物、窒化物を用いることができる。
軟磁性下地層と垂直磁気記録層との間に、非磁性体からなる中間層を設けてもよい。中間層の役割は、軟磁性下地層と記録層との交換結合相互作用を遮断すること、および記録層の結晶性を制御することである。中間層材料としては、Ru、Pt、Pd、W、Ti、Ta、Cr、Si、もしくはこれらを含む合金、またはこれらの酸化物、窒化物を用いることができる。
スパイクノイズ防止のために軟磁性下地層を複数の層に分け、厚さ0.5〜1.5nmのRuを挟んで反強磁性結合させてもよい。また、軟磁性層と、CoCrPt、SmCo、FePtなどの面内異方性を持った硬磁性膜またはIrMn、PtMnなどの反強磁性体からなるピニング層とを交換結合させてもよい。この場合、交換結合力を制御するために、Ru層の上下に、磁性層たとえばCo、または非磁性層たとえばPtを積層してもよい。
<垂直磁気記録層>
垂直磁気記録層には、たとえば、Coを主成分とし、少なくともPtを含み、必要に応じてCrを含み、さらに酸化物(たとえば酸化シリコン、酸化チタン)を含む材料が用いられる。垂直磁気記録層中では、磁性結晶粒子が柱状構造をなしていることが好ましい。このような構造を有する垂直磁気記録層では、磁性結晶粒子の配向性および結晶性が良好であり、結果として高密度記録に適した信号/ノイズ比(S/N比)を得ることができる。上記のような構造を得るためには、酸化物の量が重要になる。酸化物の含有量は、Co、Pt、Crの総量に対して、3mol%以上12mol%以下が好ましく、5mol%以上10mol%以下がより好ましい。垂直磁気記録層中の酸化物の含有量が上記の範囲であれば、磁性粒子の周りに酸化物が析出し、磁性粒子を孤立化および微細化させることができる。酸化物の含有量が上記範囲を超える場合、酸化物が磁性粒子中に残留し、磁性粒子の配向性、結晶性を損ね、さらには磁性粒子の上下に酸化物が析出し、結果として磁性粒子が垂直磁気記録層を上下に貫いた柱状構造が形成されなくなる。一方、酸化物の含有量が上記範囲未満である場合、磁性粒子の孤立化および微細化が不十分となり、結果として記録再生時におけるノイズが増大し、高密度記録に適した信号/ノイズ比(S/N比)が得られなくなる。
垂直磁気記録層には、たとえば、Coを主成分とし、少なくともPtを含み、必要に応じてCrを含み、さらに酸化物(たとえば酸化シリコン、酸化チタン)を含む材料が用いられる。垂直磁気記録層中では、磁性結晶粒子が柱状構造をなしていることが好ましい。このような構造を有する垂直磁気記録層では、磁性結晶粒子の配向性および結晶性が良好であり、結果として高密度記録に適した信号/ノイズ比(S/N比)を得ることができる。上記のような構造を得るためには、酸化物の量が重要になる。酸化物の含有量は、Co、Pt、Crの総量に対して、3mol%以上12mol%以下が好ましく、5mol%以上10mol%以下がより好ましい。垂直磁気記録層中の酸化物の含有量が上記の範囲であれば、磁性粒子の周りに酸化物が析出し、磁性粒子を孤立化および微細化させることができる。酸化物の含有量が上記範囲を超える場合、酸化物が磁性粒子中に残留し、磁性粒子の配向性、結晶性を損ね、さらには磁性粒子の上下に酸化物が析出し、結果として磁性粒子が垂直磁気記録層を上下に貫いた柱状構造が形成されなくなる。一方、酸化物の含有量が上記範囲未満である場合、磁性粒子の孤立化および微細化が不十分となり、結果として記録再生時におけるノイズが増大し、高密度記録に適した信号/ノイズ比(S/N比)が得られなくなる。
垂直磁気記録層のPtの含有量は、10at%以上25at%以下であることが好ましい。Pt含有量が上記範囲であると、垂直磁気記録層に必要な一軸磁気異方性定数Kuが得られ、さらに磁性粒子の結晶性、配向性が良好になり、結果として高密度記録に適した熱揺らぎ特性、記録再生特性が得られる。Pt含有量が上記範囲を超えた場合、磁性粒子中にfcc構造の層が形成され、結晶性、配向性が損なわれるおそれがある。一方、Pt含有量が上記範囲未満である場合、高密度記録に適したKuしたがって熱揺らぎ特性が得られなくなる。
垂直磁気記録層のCrの含有量は、0at%以上16at%以下が好ましく、10at%以上14at%以下がより好ましい。Cr含有量が上記範囲であると、磁性粒子の一軸磁気異方性定数Kuを下げることなく高い磁化を維持でき、結果として高密度記録に適した記録再生特性と十分な熱揺らぎ特性が得られる。Cr含有量が上記範囲を超えた場合、磁性粒子のKuが小さくなるため熱揺らぎ特性が悪化し、かつ磁性粒子の結晶性、配向性が悪化し、結果として記録再生特性が悪くなる。
垂直磁気記録層は、Co、Pt、Cr、酸化物に加えて、B、Ta、Mo、Cu、Nd、W、Nb、Sm、Tb、Ru、Reから選ばれる1種類以上の添加元素を含んでいてもよい。これらの添加元素を含むことにより、磁性粒子の微細化を促進するか、または結晶性や配向性を向上させることができ、より高密度記録に適した記録再生特性、熱揺らぎ特性を得ることができる。これらの添加元素の合計含有量は、8at%以下であることが好ましい。8at%を超えた場合、磁性粒子中にhcp相以外の相が形成されるため、磁性粒子の結晶性、配向性が乱れ、結果として高密度記録に適した記録再生特性、熱揺らぎ特性が得られなくなる。
垂直磁気記録層の他の材料としては、CoPt系合金、CoCr系合金、CoPtCr系合金、CoPtO、CoPtCrO、CoPtSi、CoPtCrSiが挙げられる。垂直磁気記録層に、Pt、Pd、RhおよびRuからなる群より選択される少なくとも一種を主成分とする合金と、Coとの多層膜を用いることもできる。また、これらの多層膜の各層に、Cr、BまたはOを添加した、CoCr/PtCr、CoB/PdB、CoO/RhOなどの多層膜を用いることもできる。
垂直磁気記録層の厚さは、5〜60nmが好ましく、10〜40nmがより好ましい。この範囲の厚さを有する垂直磁気記録層は高記録密度に適している。垂直磁気記録層の厚さが5nm未満であると、再生出力が低過ぎてノイズ成分の方が高くなる傾向がある。一方、垂直磁気記録層の厚さが40nmを超えると、再生出力が高過ぎて波形を歪ませる傾向がある。垂直磁気記録層の保磁力は、237000A/m(3000Oe)以上であることが好ましい。保磁力が237000A/m(3000Oe)未満であると、熱揺らぎ耐性が劣る傾向がある。垂直磁気記録層の垂直角型比は、0.8以上であることが好ましい。垂直角型比が0.8未満であると、熱揺らぎ耐性に劣る傾向がある。
<保護層>
保護層は、垂直磁気記録層の腐食を防ぐとともに、磁気ヘッドが媒体に接触したときに媒体表面の損傷を防ぐ作用を有する。保護層の材料としては、上述したカーボンのほかに、たとえばSiO2、ZrO2を含む材料が挙げられる。
保護層は、垂直磁気記録層の腐食を防ぐとともに、磁気ヘッドが媒体に接触したときに媒体表面の損傷を防ぐ作用を有する。保護層の材料としては、上述したカーボンのほかに、たとえばSiO2、ZrO2を含む材料が挙げられる。
<潤滑層>
潤滑剤としては、たとえばパーフルオロポリエーテル、フッ化アルコール、フッ素化カルボン酸などを用いることができる。
潤滑剤としては、たとえばパーフルオロポリエーテル、フッ化アルコール、フッ素化カルボン酸などを用いることができる。
図4を参照して、本発明の実施形態に係るディスクリートトラック媒体を用いた磁気ディスク装置を説明する。この磁気ディスク装置は、筐体70の内部に、磁気ディスク71と、磁気ヘッドを含むヘッドスライダ76と、ヘッドスライダ76を支持するヘッドサスペンションアッセンブリ(サスペンション75とアクチュエータアーム74)と、ボイスコイルモータ(VCM)77と、回路基板とを備える。
磁気ディスク71はスピンドルモータ72に取り付けられて回転され、垂直磁気記録方式により各種のディジタルデータが記録される。ヘッドスライダ76に組み込まれている磁気ヘッドはいわゆる複合型ヘッドであり、単磁極構造のライトヘッドと、シールド型MR再生素子(GMR膜、TMR膜など)を用いたリードヘッドとを含む。アクチュエータアーム74の一端にサスペンション75が保持され、サスペンション75によってヘッドスライダ76を磁気ディスク71の記録面に対向するように支持する。アクチュエータアーム74はピボット73に取り付けられる。アクチュエータアーム74の他端にはボイスコイルモータ(VCM)77が設けられている。ボイスコイルモータ(VCM)77によってヘッドサスペンションアッセンブリを駆動して、磁気ヘッドを磁気ディスク71の任意の半径位置に位置決めする。回路基板はヘッドICを備え、ボイスコイルモータ(VCM)の駆動信号、および磁気ヘッドによる読み書きを制御するための制御信号などを生成する。
1…磁気ディスク、2…ランディングゾーン、3…データゾーン、11…ディスク基板、12…下地層、13…垂直磁気記録層、14…カーボン保護層、41…レジスト、51…スタンパ、70…筐体、71…磁気ディスク、72…スピンドルモータ、73…ピボット、74…アクチュエータアーム、75…サスペンション、76…ヘッドスライダ、77…ボイスコイルモータ(VCM)。
Claims (5)
- 非磁性基板と、前記非磁性基板上に形成された下地層と、前記下地層上に形成された磁気記録層からなる磁気記録媒体において、
前記磁気記録層は、溝によって分離され記録トラックとして用いられるパターンが形成されたデータゾーンと、最外周に位置し前記パターンが形成されていないランディングゾーン
からなることを特徴とする磁気記録媒体。 - 前記磁気記録層は、前記データゾーンの最外シーク位置にある前記記録トラックと、前記ランディングゾーンとの間に、記録トラックとして用いないパターンが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
- 前記磁気記録層は、前記データゾーンの最内シーク位置にある記録トラックより内周側に、記録トラックとして用いないパターンが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
- 前記磁気記録層は、前記データゾーンの最外シーク位置にある前記記録トラックと、前記ランディングゾーンとの間に、記録トラックとして用いないパターンが形成され、かつ前記データゾーンの最内シーク位置にある記録トラックより内周側に、記録トラックとして用いないパターンが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
- 非磁性基板と、前記非磁性基板上に形成された下地層と、前記下地層上に形成され、溝によって分離され記録トラックとして用いられるパターンが形成されたデータゾーン及び最外周に位置し、前記パターンが形成されていないランディングゾーンとからなる磁気記録媒体と、
前記記録媒体からの磁気情報の読み出し及び前記記録媒体への磁気情報の書き込みを行う磁気ヘッドと
を具備することを特徴とする磁気ディスク装置。
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2004
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