JP2006048860A - 磁気記録媒体および磁気記録装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】基板の割れを発生させることなく製造でき、トラッキングエラーを防止できるディスクリートトラック型の磁気記録媒体を提供する。
【解決手段】中央穴を持つ直径1.8インチ以下のディスク基板上に軟磁性裏打ち層および磁気記録層が形成され、前記磁気記録層は記録トラックをなす磁性体パターンと磁性体パターンを分離する非磁性体とを含む磁気記録媒体であって、前記軟磁性裏打ち層の底部の平均粗さが5nm以下である磁気記録媒体。
【選択図】 図1
【解決手段】中央穴を持つ直径1.8インチ以下のディスク基板上に軟磁性裏打ち層および磁気記録層が形成され、前記磁気記録層は記録トラックをなす磁性体パターンと磁性体パターンを分離する非磁性体とを含む磁気記録媒体であって、前記軟磁性裏打ち層の底部の平均粗さが5nm以下である磁気記録媒体。
【選択図】 図1
Description
本発明は、ディスクリートトラック型の磁気記録媒体、およびこの磁気記録媒体を有する磁気記録装置に関する。
近年、磁気記録媒体のさらなる高密度化に対応するために、隣接する記録トラックを溝または非磁性材料からなるガードバンドで分離し、隣接トラック間の磁気的干渉を低減するようにしたディスクリートトラック媒体が注目を集めている。このようなディスクリートトラック媒体を製造する際には、スタンパを用いたインプリント法によって記録トラックをなす磁性体のパターンとともにサーボ領域の信号に相当する磁性体のパターンも形成すれば、サーボトラックライトの工程をなくせるのでコスト低減につながる。
また、記録密度を向上するために、磁気記録媒体は面内記録媒体から垂直記録媒体へと移行しつつある。垂直磁気記録媒体は、基板上に軟磁性裏打ち層(Soft UnderLayer:SUL)と垂直磁気記録層を形成した、いわゆる垂直二層媒体として製造される。
しかし、インプリント法によるディスクリートトラックを有する垂直磁気記録媒体の好適な製造条件はまだ確立されているわけではない。
従来、非磁性基板上に軟磁性裏打ち層のパターンを形成し、軟磁性裏打ち層のパターンを分離する凹部を非磁性層で充填し、その上に垂直磁気記録層を形成することが提案されている(特許文献1)。
一方、ディスクリートトラック媒体ではないが、軟磁性裏打ち層が膜厚100nm〜500nmの範囲において表面粗さ1.0nm以下の平坦性を有する垂直磁気記録媒体が提案されている(特許文献2)。
特開2003−16623号公報
特開2003−99912号公報
本発明者らが、インプリント法によってディスクリートトラックを有する垂直磁気記録媒体を製造したところ、インプリント工程においてディスク基板の割れが発生したり、製造後の媒体に異常突起が生じたりすることがあった。また、基板の割れや異常突起が生じなかった媒体でも、磁気記録装置に組み込んだときにトラッキングエラーを生じる場合があった。これらの問題点の原因は、軟磁性裏打ち層の平坦性が悪いと、インプリント工程において基板に大きな歪が生じるためであることがわかってきた。
本発明の目的は、基板の割れを発生させることなく製造でき、トラッキングエラーを防止できるディスクリートトラック型の磁気記録媒体、およびこの磁気記録媒体を有する磁気記録装置を提供することにある。
本発明の一態様に係る磁気記録媒体は、中央穴を持つ直径1.8インチ以下のディスク基板上に軟磁性裏打ち層および磁気記録層が形成され、前記磁気記録層は記録トラックをなす磁性体パターンと磁性体パターンを分離する非磁性体とを含む磁気記録媒体であって、前記軟磁性裏打ち層の底部の平均粗さが5nm以下であることを特徴とする。
本発明の他の態様に係る磁気記録装置は、上記の磁気記録媒体と、磁気ヘッドとを有することを特徴とする。
本発明の実施形態に係る磁気記録媒体は、ディスク基板の径が小さく、かつ軟磁性裏打ち層の底部の平均粗さが小さいため、インプリント工程において基板に大きな歪が発生しない。このため、基板の割れを発生させることなく製造でき、トラッキングエラーも防止できる。
本発明の実施形態に係る磁気記録媒体において、軟磁性裏打ち層の底部または上部の平均粗さRaは、断面TEM観察により求めることができる。Raは中心線を基準とした粗度曲線の平均値と定義され、下記の数式で表される。ここで、L:粗度曲線の長さ、f(x):中心線を基準にした粗度曲線である。
なお、作製した磁気記録媒体の断面TEM観察により求められるRaと、軟磁性裏打ち層の成膜前の下地表面または成膜直後の軟磁性裏打ち層の原子間力顕微鏡(AFM)測定により求められるRaとはほぼ一致する。このため、以下においてはAFM測定により求めたRaを用いることがある。
本発明の実施形態に係る磁気記録媒体は、ディスク基板の直径が1.8インチ以下であり、かつ軟磁性裏打ち層の底部の平均粗さが5nm以下である。ディスク基板の直径は1インチ以下であることがより好ましい。軟磁性裏打ち層の底部の平均粗さは1nm以下であることがより好ましい。
また、軟磁性裏打ち層の上部の平均粗さは5nm以下が好ましく、1nm以下がより好ましい。このような条件を満たしていれば、インプリント工程におけるインプリントむらを少なくすることができ、トラッキングエラーの防止に効果がある。
図1に、本発明の実施形態に係る磁気記録媒体の断面図を示す。図1において、ディスク基板11上には、軟磁性裏打ち層(Soft UnderLayer:SUL)12、中間層13、垂直磁気記録層14、保護層15および潤滑層16が形成されている。軟磁性裏打ち層12と垂直磁気記録層14とでいわゆる垂直二層媒体が構成される。垂直二層媒体において、軟磁性裏打ち層12は、垂直磁気記録層14を磁化するための記録ヘッドからの記録磁界を水平方向に通して磁気ヘッド側へ還流させる。すなわち、軟磁性裏打ち層12は磁気ヘッドの一部として機能し、垂直磁気記録層14に急峻で充分な垂直磁界を印加して記録効率を向上させる役目を果たす。
ディスク基板11としては直径が1.8インチ以下のものが用いられる。ディスク基板11と軟磁性裏打ち層12との間には、下地層を設けてもよい。軟磁性裏打ち層12は底面の平均粗さRaが5nm以下であることが好ましく、1nm以下であることがより好ましい。また、軟磁性裏打ち層12は上面の平均粗さRaが5nm以下であることが好ましく、1nm以下であることがより好ましい。垂直磁気記録層14には、磁性体パターン21と、磁性体パターン21を分離する非磁性体22が含まれる。この例では、非磁性体22として保護層15や潤滑層16の一部が用いられている。なお、非磁性体としては磁性体パターン21の間の溝に絶縁材料を埋め込んだ後に平坦化することにより形成した絶縁層を用いてもよい。
図2に、本発明の実施形態に係る磁気記録媒体の垂直磁気記録層の平面図を示す。図2に示すように、垂直磁気記録層にはサーボ領域31とデータ領域32が形成されている。サーボ領域31は、プリアンブル、アドレス領域33、ABCDバースト領域34、ミラー部などを含む。磁気ヘッドは磁性体の有無によって生じる磁束の変化からサーボ信号を読み出すことができる。データ領域32は、記録トラック35と、記録トラック35を分離するガードバンド36を含む。
図3(A)〜(G)を参照して本発明の実施形態に係る磁気記録媒体の製造方法を説明する。
図3(A)に示すように、基板11上に、軟磁性裏打ち層(SUL)12、中間層13および垂直磁気記録層14を成膜した。以下においては、基板上への薄膜の形成方法としてスパッタリングのみを用いたが、真空蒸着法や電解メッキ法などでも同様の効果を得ることができる。
基板11としては、たとえばガラス基板、Al系合金基板、セラミック基板、カーボン基板、酸化表面を有するSi単結晶基板、およびこれらの基板の表面にNiP層を形成したものなどを用いることができる。ガラス基板には、アモルファスガラスまたは結晶化ガラスを用いることができる。アモルファスガラスとしては、ソーダライムガラス、アルミノシリケートガラスなどがある。結晶化ガラスとしては、リチウム系結晶化ガラスなどがある。セラミック基板としては、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化珪素などを主成分とする焼結体や、これらの焼結体を繊維強化したものなどを用いることができる。基板の表面にNiP層を形成するには、メッキやスパッタリングが用いられる。
本実施形態においては、基板11として直径0.85インチの結晶化ガラス基板を用いた。結晶化ガラスとしては、リチウム系結晶化ガラスなどが挙げられる。基板11と軟磁性裏打ち層12との間に、軟磁性裏打ち層12の結晶性を向上させたり基板11との密着性の向上させたりするために下地層を設けてもよい。下地層の材料としては、Ti、Ta、W、Cr、Ptもしくはこれらを含む合金またはこれらの酸化物もしくは窒化物を用いることができる。
軟磁性裏打ち層12には、Fe、Ni、Coを含む材料を用いることができる。より具体的には、FeCo系合金たとえばFeCo、FeCoVなど、FeNi系合金たとえばFeNi、FeNiMo、FeNiCr、FeNiSiなど、FeAl系合金およびFeSi系合金たとえばFeAl、FeAlSi、FeAlSiCr、FeAlSiTiRu、FeAlOなど、FeTa系合金たとえばFeTa、FeTaC、FeTaNなど、FeZr系合金たとえばFeZrNなどを挙げることができる。
軟磁性裏打ち層12に、Feを60at%以上含有するFeAlO、FeMgO、FeTaN、FeZrNなどの微結晶構造を有する材料、または微細な結晶粒子がマトリクス中に分散したグラニュラー構造を有する材料を用いることもできる。
軟磁性裏打ち層12の他の材料として、Coと、Zr、Hf、Nb、Ta、TiおよびYのうち少なくとも1種とを含有するCo合金を用いることができる。Coは80at%以上含まれていることが好ましい。このようなCo合金をスパッタリングにより成膜した場合、アモルファス層が形成されやすい。アモルファス軟磁性材料は、結晶磁気異方性、結晶欠陥および粒界がないため、非常に優れた軟磁性を示し、媒体の低ノイズ化を図ることができる。好適なアモルファス軟磁性材料として、たとえばCoZr、CoZrNbおよびCoZrTa系合金などを挙げることができる。
本実施形態ではSUL12と記録層14との間に非磁性体からなる中間層13を設けているが、中間層13は必ずしも設ける必要はない。中間層13の役割は、SULと記録層との交換結合相互作用を遮断すること、および記録層の結晶性を制御することである。中間層材料としては、Ru、Pt、Pd、W、Ti、Ta、Cr、Siもしくはこれらを含む合金、またはこれらの酸化物もしくは窒化物を用いることができる。
垂直磁気記録層14には、たとえばCoを主成分とし、少なくともPtを含み、必要に応じてCrを含むCoPtCr系合金が用いられる。垂直磁気記録層14には、これらの合金に酸化物(たとえば酸化シリコン、酸化チタン)を含有させた材料を用いてもよい。垂直磁気記録層中14では、磁性結晶粒子が柱状構造をなしていることが好ましい。このような構造を有する垂直磁気記録層14では、磁性結晶粒子の配向性および結晶性が良好であり、結果として高密度記録に適した信号/ノイズ比(S/N比)を得ることができる。上記のような構造を得るためには、酸化物の量が重要になる。酸化物の含有量は、Co、Pt、Crの総量に対して、3mol%以上12mol%以下が好ましく、5mol%以上10mol%以下がより好ましい。垂直磁気記録層中の酸化物の含有量が上記の範囲であれば、磁性粒子の周りに酸化物が析出し、磁性粒子を孤立化および微細化させることができる。酸化物の含有量が上記範囲を超える場合、酸化物が磁性粒子中に残留し、磁性粒子の配向性、結晶性を損ね、さらには磁性粒子の上下に酸化物が析出し、結果として磁性粒子が垂直磁気記録層を上下に貫いた柱状構造が形成されなくなる。一方、酸化物の含有量が上記範囲未満である場合、磁性粒子の孤立化および微細化が不十分となり、結果として記録再生時におけるノイズが増大し、高密度記録に適した信号/ノイズ比(S/N比)が得られなくなる。
垂直磁気記録層14のPt含有量は、10at%以上25at%以下であることが好ましい。Pt含有量が上記範囲であると、垂直磁気記録層に必要な一軸磁気異方性定数Kuが得られ、さらに磁性粒子の結晶性、配向性が良好になり、結果として高密度記録に適した熱揺らぎ特性、記録再生特性が得られる。Pt含有量が上記範囲を超えた場合、磁性粒子中にfcc構造の層が形成され、結晶性、配向性が損なわれるおそれがある。一方、Pt含有量が上記範囲未満である場合、高密度記録に適したKuしたがって熱揺らぎ特性が得られなくなる。
垂直磁気記録層14のCr含有量は、0at%以上16at%以下が好ましく、10at%以上14at%以下がより好ましい。Cr含有量が上記範囲であると、磁性粒子の一軸磁気異方性定数Kuを下げることなく高い磁化を維持でき、結果として高密度記録に適した記録再生特性と十分な熱揺らぎ特性が得られる。Cr含有量が上記範囲を超えた場合、磁性粒子のKuが小さくなるため熱揺らぎ特性が悪化し、かつ磁性粒子の結晶性、配向性が悪化し、結果として記録再生特性が悪くなる。
垂直磁気記録層14は、Co、Pt、Cr、酸化物に加えて、B、Ta、Mo、Cu、Nd、W、Nb、Sm、Tb、Ru、Reから選ばれる1種類以上の添加元素を含んでいてもよい。これらの添加元素を含むことにより、磁性粒子の微細化を促進するか、または結晶性や配向性を向上させることができ、より高密度記録に適した記録再生特性、熱揺らぎ特性を得ることができる。これらの添加元素の合計含有量は、8at%以下であることが好ましい。8at%を超えた場合、磁性粒子中にhcp相以外の相が形成されるため、磁性粒子の結晶性、配向性が乱れ、結果として高密度記録に適した記録再生特性、熱揺らぎ特性が得られなくなる。
垂直磁気記録層14の他の材料としては、CoPt系合金、CoCr系合金、CoPtCr系合金、CoPtO、CoPtCrO、CoPtSi、CoPtCrSiが挙げられる。垂直磁気記録層に、Pt、Pd、RhおよびRuからなる群より選択される少なくとも一種を主成分とする合金と、Coとの多層膜を用いることもできる。また、これらの多層膜の各層に、Cr、BまたはOを添加した、CoCr/PtCr、CoB/PdB、CoO/RhOなどの多層膜を用いることもできる。
垂直磁気記録層14の厚さは、5〜60nmが好ましく、10〜40nmがより好ましい。この範囲の厚さを有する垂直磁気記録層14は高記録密度に適している。垂直磁気記録層14の厚さが5nm未満であると、再生出力が低過ぎてノイズ成分の方が高くなる傾向がある。一方、垂直磁気記録層14の厚さが40nmを超えると、再生出力が高過ぎて波形を歪ませる傾向がある。垂直磁気記録層14の保磁力は、237000A/m(3000Oe)以上であることが好ましい。保磁力が237000A/m(3000Oe)未満であると、熱揺らぎ耐性が劣る傾向がある。垂直磁気記録層14の垂直角型比は、0.8以上であることが好ましい。垂直角型比が0.8未満であると、熱揺らぎ耐性に劣る傾向がある。
図3(B)に示すように、垂直磁気記録層14上にレジスト41(ローム・アンド・ハース電子材料株式会社製S1801)を回転数4000rpmでスピンコートした。
一方、インプリントを行うためにスタンパ51を用意した。このスタンパ51はニッケル製であり、1トラックが120セクタ、1セクタの容量が10000ビット、トラック密度が100kTPIとなるようなパターンが形成されている。スタンパ51をフッ素系の剥離材であるパーフルオロアルキル誘導体にディップし、インプリント時の離型性を高めるようにする。まず、パーフルオロアルキル誘導体とスタンパ51との密着性を上げるために、40℃以上で5分間アッシャーによりスタンパ51を酸化した。同一のスタンパを用いてインプリントを何回も繰り返すときには、スタンパにレジストが付着している場合があり、アッシャーによるスタンパ51の処理はレジストを剥離できるのでスタンパ51の洗浄も兼ねている。パーフルオロアルキル誘導体としてパーフルオロポリエーテル(HOOC-CF2-O-(CF2-CF2-O)m-(CF2-O)n-CF2-COOH)をGALDEN-HT70(ソルベイソレクシス社)で希釈した溶液が入っているルーバーを用いて、スタンパ51の表面をパーフルオロアルキル誘導体で被覆した。その後、窒素雰囲気中において150℃で10分間アニールした。
スタンパ51をレジスト41に対向させて2000barで1分間プレスすることによって、図3(C)に示すように、レジスト41にスタンパ51のパターンを転写した。パターンが転写されたレジスト41に紫外線を5分間照射した後、160℃で30分間加熱した。
図3(D)に示すように、酸素ガスを用いた反応性イオンエッチング(RIE)により、溝の底部に残っているレジスト残渣を除去する。レジスト41に転写された凹凸形状をできるだけ変化させずにレジスト残渣を除去するには、低圧、高密度のプラズマソースRIEが好適である。このためには、ICP(誘導結合プラズマ)またはECR(電子サイクロトロン共鳴)エッチング装置を用いることが好ましい。たとえば、ICPエッチング装置を用いる場合、約2mTorrの圧力下で酸素RIEによってレジスト残渣を除去する。
図3(E)に示すように、レジスト41のパターンをマスクとして、Arイオンミリングにより垂直磁気記録層14をエッチングする。このエッチング時には、垂直磁気記録層14のダメージをなくし、エッチング物質の再付着(リデポジション)現象を抑えるように、イオン入射角を30°、70°と変化させる。この方法により、記録トラックに相当する垂直磁気記録層14のパターン側壁には約40°〜75°のテーパー角が形成される。
図3(F)に示すように、酸素RIEによりレジスト41のパターンを剥離する。この処理では、約1Torrの高圧、約400Wの高パワーで酸素プラズマを用いることにより効果的にレジストパターンを剥離できる。
図3(G)に示すように、全面に保護層15を成膜する。保護層15の材料としては、sp3結合炭素の割合が大きいダイヤモンドライクカーボン(DLC)が好適である。DLCはグラファイトターゲットを用いたスパッタリングまたはCVD(化学気相成膜法)によって成膜できるが、よりsp3結合炭素に富んだDLCを成膜するにはCVDが好適である。保護層15の膜厚はできるだけ薄いほうがよいが、薄すぎると垂直磁気記録層14のカバレッジが悪くなるので3〜4nmの厚さが好ましい。保護層14の材料としては、DLCのようなカーボンのほかにも、たとえばSiO2、ZrO2を含む材料が挙げられる。
その後、作製したディスクリートトラック媒体に潤滑剤をディップ法で塗布する。潤滑剤で満たされた容器に媒体を浸け、引き上げ速度をコントロールすることにより潤滑剤の膜厚を制御する。引き上げ速度が遅いほど、潤滑剤の膜厚が薄くなる。潤滑剤の膜厚は薄いほうが好ましいが、薄すぎると自由に流動できる潤滑剤が少なくなり、自己修復が利きにくくなるため好ましくない。したがって、潤滑剤の膜厚は1nm程度が好適である。潤滑剤としては、たとえばパーフルオロポリエーテル、フッ化アルコール、フッ素化カルボン酸などを用いることができる。
次に、磁気記録媒体を磁気記録装置に取り付ける。図4を参照して本発明の実施形態に係る磁気記録装置を説明する。この磁気記録装置は、筐体70の内部に、磁気ディスク71と、磁気ヘッドを含むヘッドスライダー76と、ヘッドスライダー76を支持するヘッドサスペンションアッセンブリ(サスペンション75とアクチュエータアーム74)と、ボイスコイルモータ(VCM)77と、回路基板とを備える。
磁気ディスク71はスピンドルモータ72に取り付けられて回転され、垂直磁気記録方式により各種のディジタルデータが記録される。ヘッドスライダー76に組み込まれている磁気ヘッドはいわゆる複合型ヘッドであり、GMR素子を用いた再生ヘッドと、単磁極構造の記録ヘッドとを含む。アクチュエータアーム74の一端にサスペンション75が保持され、サスペンション75によってヘッドスライダー76を磁気ディスク71の記録面に対向するように支持する。アクチュエータアーム74はピボット73に取り付けられる。アクチュエータアーム74の他端にはアクチュエータとしてボイスコイルモータ(VCM)77が設けられている。ボイスコイルモータ(VCM)77によってヘッドサスペンションアッセンブリを駆動して、磁気ヘッドを磁気ディスク71の任意の半径位置に位置決めする。回路基板はヘッドICを備え、ボイスコイルモータ(VCM)の駆動信号、および磁気ヘッドによる読み書きを制御するための制御信号などを生成する。
以上の製造方法を用い、種々の条件で磁気記録媒体を作製した。また、作製した磁気記録媒体を磁気記録装置に組み込んで記録再生特性を評価した。
本発明に係る磁気記録媒体は上述したようにインプリント法によって作製されるが、インプリント時にはディスク基板に2000barもの圧力が印加されるため、基板の割れが発生することがある。最初に、軟磁性裏打ち層(SUL)の底面の粗さを変えて、基板の割れの発生状況を調べた。
直径3.5インチ、2.5インチ、1.8インチ、1.0インチ、または0.85インチのディスク基板上に用意した。ディスク基板上にTaからなる下地層(密着層)を成膜した後、SULの成膜前にArイオンで逆スパッタを施すことにより、下地表面の粗さ(SUL底面の粗さに相当する)を変えた。RaはAFM測定で評価した。なお、AFM測定による下地表面の平均粗さRaは、断面TEM観察によるSUL底面の平均粗さRaとほぼ同じであることが確認されている。逆スパッタのパワーと時間を調整することにより、SUL直下のTa下地層表面の平均粗さRaを約0.5nm、1.0nm、5.0nmと変化させた。また、CF4ガスを用いたRIEによりガラス基板をエッチングし、ガラス基板上に150nm×150nmのドットパターンを同心円状に配列させて形成した。この上に上記と同様の方法でSULを成膜した。この結果、SUL底面のRaは10nmとなった。
それぞれの試料に対し、垂直磁気記録層を成膜し、上述したインプリント工程を施してディスクリートトラック媒体を作製した。このインプリント工程において、Raが大きく、ディスク径の大きい試料は基板の割れが発生しやすいという結果が得られた。ディスク径が大きいと、インプリント時の荷重が相対的に大きくなり、基板に大きな歪が生じるため割れやすいと考えられる。
基板の割れが生じなかった試料について、浮上型の磁気ヘッドを用いてサーボ動作を評価した。ディスク径の大きな試料ではRaが小さくてもトラッキングエラーが起こりやすい結果が得られた。
以上の結果を表1にまとめて示す。この表において、×はディスク基板が割れた試料、△はトラッキングエラーが発生した試料を意味する。この表から、ディスク径を1.8インチ以下、好ましくは1.0インチ以下とし、SUL底面の平均粗さを5nm以下にすれば、インプリント法によって実用的なディスクリートトラック媒体を作製することができ、大量生産によるコスト低減を実現できる。
ディスク径が0.85インチで、SUL底面のRaが0.5nmとなる条件を使用し、さらにSUL成膜時のスパッタ圧力を変えてSUL表面のRaを変えた試料を作製した。SUL表面のRaは0.4nm、0.6nm、1.0nm、1.8nm、2.5nm、4.6nm、7.2nm、または10.0nmとなった。それぞれの試料に対し、垂直磁気記録層を成膜し、上述したインプリント工程を施してディスクリートトラック媒体を作製した。どの試料でも基板の割れは起こらなかった。しかし、SUL表面のRaが大きいほど、インプリントむらが大きくなる可能性が高い。
次に、それぞれの媒体をスピンドルに取り付け、媒体の取り付け偏心量を光学的に測定した。このときの取り付け偏心量を、表2に示すように、5μm以下、5〜10μm、10〜20μm、20〜50μm、50〜100μmに分類した。それぞれの媒体に対して浮上型の磁気ヘッドを用いてサーボ動作を評価した。その結果を表2に示す。
表2から、SUL表面の平均粗さが5nmを超えてインプリントむらが大きくなり、かつ取り付け偏心量が大きくなった場合にサーボ信号を取り込む能力が低下し、トラッキングエラーが起こりやすいことがわかる。したがって、大きな偏心量に対してもロバストなトラッキング動作が可能なディスクリート媒体を作製するためには、SUL表面の平均粗さが5nm以下であることが好ましい。
なお、ディスクの取り付け方法を工夫して取り付け偏心量を20μm以下にすれば、SUL表面の粗さを小さくする必要はない。偏心量を小さくするためにコストをかけるか、SUL表面の粗さを小さくするためにコストをかけるかの選択は、磁気記録装置の仕様によって決定される。
11…ディスク基板、12…軟磁性裏打ち層(SUL)、13…中間層、14…垂直磁気記録層、15…保護層、16…潤滑層、21…磁性体パターン、22…非磁性体、31…サーボ領域、32…データ領域、33…アドレス領域、34…ABCDバースト領域、35…記録トラック、36…ガードバンド、41…レジスト、51…スタンパ、70…筐体、71…磁気ディスク、72…スピンドルモータ、73…ピボット、74…アクチュエータアーム、75…サスペンション、76…ヘッドスライダー、77…ボイスコイルモータ(VCM)。
Claims (6)
- 中央穴を持つ直径1.8インチ以下のディスク基板上に軟磁性裏打ち層および磁気記録層が形成され、前記磁気記録層は記録トラックをなす磁性体パターンと磁性体パターンを分離する非磁性体とを含む磁気記録媒体であって、前記軟磁性裏打ち層の底部の平均粗さが5nm以下であることを特徴とする磁気記録媒体。
- 前記ディスク基板の直径が1インチ以下であることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
- 前記軟磁性裏打ち層の底部の平均粗さが1nm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の磁気記録媒体。
- 前記軟磁性裏打ち層の上部の平均粗さが5nm以下であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
- 前記軟磁性裏打ち層の上部の平均粗さが1nm以下であることを特徴とする請求項4に記載の磁気記録媒体。
- 請求項1ないし5のいずれか1項に記載の磁気記録媒体と、磁気ヘッドとを有することを特徴とする磁気記録装置。
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