以下、図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
(1)本発明の基本原理
(1−1)光ディスク装置の構成
図1において、光ディスク装置10は、BD−RE(Blu-ray Disc(登録商標)-Rewritable)ディスクやBD−ROM(Blu-ray Disc(登録商標)-Read Only Memory)ディスク等でなる記録媒体としての光ディスク100に対して、音楽コンテンツや映像コンテンツ、或いは各種データ等の情報を記録し、また当該光ディスク100から当該情報を再生するようになされている。
光ディスク装置10は、光ディスク100の信号記録層(図示せず)に同心円状又は螺旋状に形成されたトラック(図示せず)に対して書込用の光ビームを照射することにより、当該トラック上に所定形状のピットを形成して情報の記録を行い、また当該トラックに対して読出用の光ビームを照射してその反射光を読み出すことにより、記録された情報の再生を行うようになされている。
実際上、光ディスク装置10の光ピックアップ11は、レーザダイオード12から紙面平行方向に偏光面を持つ出射光ビームL1を出射させ、偏光ビームスプリッタ14の偏光膜14Aを透過させる。
続いて光ピックアップ11は、偏光ビームスプリッタ14を透過させた出射光ビームL1をコリメータレンズ15により発散光から平行光に変換し、立ち上げミラー16により光ディスク100へ向けて立ち上げ、1/4波長板17により直線偏光から円偏光に変換した後、対物レンズ18により収束光に変換して当該光ディスク100における信号記録面上の所望トラックに合焦させる。
また光ピックアップ11は、光ディスク100の信号記録面において出射光ビームL1が反射された反射光ビームL2を対物レンズ18へ入射させて発散光から平行光に変換し、1/4波長板17により円偏光から紙面垂直方向に偏光面を持つ直線偏光に変換した後、これを立ち上げミラー16によりレーザダイオード12が設けられた方向へ寝かせ、コリメータレンズ15により収束光に変換して偏光ビームスプリッタ14へ入射させる。
この場合光ピックアップ11は、偏光ビームスプリッタ14の偏光膜14Aと反射光ビームL2の偏光面との関係から当該反射光ビームL2を当該偏光膜14Aにおいて反射させた後、ハーフミラー19により一部反射させ、フォーカスエラー信号検出系23へ入射させる。
ここでフォーカスエラー信号検出系23は、SSD(Spot Size Detection)法、非点収差法、フーコー法などの方式を取り得る。なおフォーカスエラー信号検出系23は、偏光ビームスプリッタ14からフォトディテクタ22へ向かう光路に含まれていても良い。
また光ピックアップ11は、反射光ビームL2のうちハーフミラー19を透過した光ビームを分割導光板20又は21により複数の光ビームに分割させ、これらをフォトディテクタ22に入射させる(詳しくは後述する)。
さらにピックアップ11は、分割導光パターン切換部24により、分割導光板20又は21をメカニカルに切り換え、これにより反射光ビームL2に対する分割パターンを切り換えるようになされている(詳しくは後述する)。
(1−2)分割導光板の構成
光ディスク装置10は、光ディスク100がBD−ROMディスクである場合、当該BD−ROMディスクにはトラックとしてピット列が形成されグルーブ構造を持たないことに応じて、DPD(Differential Phase Detection)法に従ったトラッキング制御を行うようになされている。
光ピックアップ11は、DPD法に従ったトラッキング制御を行う場合、図2(A)に示すように、仮に分割導光板20又は21が存在せず反射光ビームL2によりフォトディテクタ22上に形成される円形のビームスポットP1をビームスポットP1A〜P1Dに4分割し、それぞれの光量を検出する。
この場合、光ディスク装置10は、フォトディテクタ22によりビームスポットP1A〜P1Dの各光量に応じて生成される検出信号G1A〜G1Dの位相差を用いてトラッキングエラー信号STE1を算出し、当該トラッキングエラー信号STE1を基にトラッキング制御を行うようになされている。
実際上、光ピックアップ11の分割導光板20は、図2(A)と対応する図3(A)に示すように、4つの導光領域20A〜20Dに分割されており、反射光ビームL2(図1)が当該分割導光板20を透過する際の透過断面R1を4つの透過断面R1A〜R1Dに分割するようになされている。以下、反射光ビームL2(図1)が4つの導光領域20A〜20Dにより分割され断面形状がそれぞれ透過断面R1A〜R1Dでなる光ビームを、それぞれ分割光ビームL3A〜L3Dと呼ぶ。
分割導光板20の一面には、図4(A)に示すように、4つの導光領域20A〜20DにそれぞれブレーズドHOE(Holographic Optical Element)でなるホログラムが形成されており、反射光ビームL2(図1)を分割した分割光ビームL3A〜L3Dをそれぞれ図中左上方向、右上方向、左下方向及び右下方向へ回折させるようになされている。因みに図4(A)は、分割導光板20を上面側から見た様子を表している。
ここで、分割導光板20の点Q1−Q2における断面を図4(B)に示す。分割導光板20は、導光領域20B及び20Cにおいてそれぞれ一様な略鋸歯状の断面形状を有しており、かかる断面形状によりブレーズドHOEとして作用するようになされている。
実際上、分割導光板20は、導光領域20B及び20Cにより、図4(B)の上側から入射された反射光ビームL2のうち透過断面R1B及びR1Cに相当する部分を図の左下方向及び右下方向へそれぞれ回折させることにより、分割光ビームL3B及びL3Cを生成する。
一方、光ディスク装置10は、光ディスク100がBD−REディスクである場合、当該BD−REディスクのトラックがグルーブ構造を持つことに応じて1ビームPP(Push Pull)法に従ったトラッキング制御を行うようになされている。
光ピックアップ11は、1ビームPP法に従ったトラッキング制御を行う場合、図2(B)に示すように、仮に分割導光板20又は21が存在せず反射光ビームL2によりフォトディテクタ22上に形成される円形のビームスポットP2をビームスポットP2A〜P2Fに6分割し、それぞれの光量を検出する。
この場合、光ディスク装置10は、ビームスポットP2A〜P2Fの各光量に応じた検出信号G2A〜G2F及び所定の係数Kを用いて、次に示す(1)式に従ってトラッキングエラー信号STE2を算出し、当該トラッキングエラー信号STE2を基にトラッキング制御を行うようになされている。
実際上、光ピックアップ11の分割導光板21は、分割導光板20とは異なる分割パターンを有しており、図2(B)と対応する図3(B)に示すように、6つの導光領域21A〜21Fに分割されている。これにより分割導光板21は、反射光ビームL2(図1)が当該分割導光板21を透過する際の透過断面R2を6つの透過断面R2A〜R2Fに分割する。以下、反射光ビームL2(図1)が6つの導光領域21A〜21Fにより分割され断面形状がそれぞれ透過断面R2A〜R2Fでなる光ビームを、それぞれ分割光ビームL4A〜L4Fと呼ぶ。
分割導光板21は、分割導光板20と同様、図3(C)に示すように、6つの導光領域21A〜21FにそれぞれブレーズドHOEでなるホログラムを形成しており、反射光ビームL2(図1)が分割された反射光ビームL4A〜L4Fをそれぞれ図中左上方向、右上方向、左下方向、右下方向、左上方向及び右上方向へ回折させるようになされている。
この場合、分割導光板21は、導光領域21A及び21Eにより反射光ビームL4A及びL4Eを同一の方向(図中左上方向)へ回折させ、反射光ビームL4B及びL4Fを同一の方向(図中右上方向)へ回折させるようになされている。
このように分割導光板20及び分割導光板21は、4分割された導光領域20A〜20D、或いは6分割された導光領域21A〜21Fにそれぞれホログラムが形成され、当該導光領域20A〜20Dの回折方向あるいは当該導光領域21A〜21Fの回折方向がそれぞれ所定の方向に設定されていることにより、反射光ビームL2を4本の分割光ビームL3A〜L3D或いは6本の分割光ビームL4A〜L4Fに分割するようになされている。
(1−3)フォトディテクタの構成
フォトディテクタ22は、図5に示すように、反射光ビームL3A〜L3D又はL4A〜L4Dが照射される上面に、それぞれ矩形状でなる検出領域22A〜22Dが設けられている。
検出領域22A〜22Dは、フォトディテクタ22の上面において、仮に分割導光板20又は21が存在しなかった場合に当該フォトディテクタ22に到達する反射光ビームL2の光軸の位置と重なる中心点U1を中心として左上側、右上側、左下側及び右下側にそれぞれ配置されている。
またフォトディテクタ22の各検出領域22A〜22Dは、仮に分割導光板20又は21が存在しなかった場合に反射光ビームL2により形成されるビームスポットP0よりも十分に大きくなされており、当該ビームスポットP0と同等の大きさでなるビームスポットの光量を確実に検出し得るようになされている。
フォトディテクタ22は、各検出領域22A〜22Dにそれぞれ形成されたビームスポットの光量に応じて光電変換処理を行うことによりそれぞれ電気信号を生成し、それぞれをアンプ(図示せず)によって増幅することにより4種類の検出信号を生成する。
(1−4)反射光ビームの検出
実際上、光ディスク装置10の光ピックアップ11は、光ディスク100(図1)がBD−ROMディスクであった場合、図6(A)に示すように、分割導光パターン切換部24により分割導光板20に切り換える。
このとき光ピックアップ11は、分割導光板20により反射光ビームL2を分割光ビームL3A〜L3Dに分割し、これらをフォトディテクタ22の検出領域22A〜22Dへそれぞれ照射させる。
この結果、フォトディテクタ22の検出領域22A〜22Dには、図7(A)に示すように、透過断面R1A〜R1D(図3(A))とそれぞれほぼ相似形でなるビームスポットP1A〜P1Dが形成される。これによりフォトディテクタ22は、ビームスポットP1A〜P1Dの各光量に応じた4種類の検出信号S1A〜S1Dを生成する。
これに応じて光ディスク装置10(図1)は、検出信号S1A〜S1Dの位相差を用いてトラッキングエラー信号STE1を算出し、当該トラッキングエラー信号STE1を基に、BD−ROMディスクである光ディスク100に対応したDPD法によるトラッキング制御を行うようになされている。
一方、光ディスク装置10の光ピックアップ11は、光ディスク100(図1)がBD−REディスクであった場合、図6(B)に示すように、分割導光パターン切換部24により分割導光板21に切り換える。
このとき光ピックアップ11は、分割導光板21により反射光ビームL2を分割光ビームL4A〜L4Fに分割し、これらをフォトディテクタ22の検出領域22A〜22Dへそれぞれ照射させる。
この結果、フォトディテクタ22の検出領域22A〜22Dには、図7(B)に示すように、透過断面R2A〜R2F(図3(B))とそれぞれほぼ相似形でなるビームスポットP2A〜P2Fが形成される。
この場合、分割導光板21の導光領域21A及び21Eにより反射光ビームL4A及びL4Eが同一の方向へ回折されることにより、フォトディテクタ22の検出領域22Aには、反射光ビームL4AによるビームスポットP2A及び反射光ビームL4EによるビームスポットP2Eが形成される。同様に、導光領域21B及び21Fにより反射光ビームL4B及びL4Fが同一の方向へ回折されることにより、フォトディテクタ22の検出領域22Bには、反射光ビームL4BによるビームスポットP2B及び反射光ビームL4FによるビームスポットP2Fが形成される。
また、フォトディテクタ22の検出領域22C及び22Dには、反射光ビームL4C及びL4DによるビームスポットP2C及びP2Dがそれぞれ形成される。
これによりフォトディテクタ22は、ビームスポットP2A+P2E、P2B+P2F、P2C及びP2Dの各光量に応じた4種類の検出信号S2A〜S2Dを生成する。これに応じて光ディスク装置10は、当該検出信号S2A〜S2Dを基に(1)式と対応する(2)式に従いトラッキングエラー信号TE2を生成し、BD−REディスクである光ディスク100(図1)に対応した1ビームPP法によるトラッキング制御を行う。
すなわち光ディスク装置10の光ピックアップ11は、分割導光パターン切換部24によって分割導光板20又は分割導光板21に切り換えることにより、反射光ビームL2を分割光ビームL3A〜L3Dに分割するか、或いは分割光ビームL4A〜L4Fに分割するかといった分割パターンを切り換えることができる。
このとき光ピックアップ11は、分割導光板20又は21に形成されたホログラムによって各分割光ビームL3A〜L3D又はL4A〜L4Fをそれぞれ所定方向へ回折させることにより、フォトディテクタ22の検出領域22A、22B、22C及び22Dに対して、ビームスポットP1A、P1B、P1C及びP1Dをそれぞれ照射させ、或いはビームスポットP2A+P2E、P2B+P2F、P2C及びP2Dをそれぞれ照射させる。
この結果、フォトディテクタ22は、4つの検出領域22A〜22Dにおいて光電変換処理及びアンプによる増幅処理を行うだけで、DPD法によるトラッキングエラー信号STE1の生成に必要な4種類の検出信号S1A〜S1D、或いは1ビームPP法によるトラッキングエラー信号STE2の生成に必要な4種類の検出信号S2A〜S2Dを、それぞれ直接生成することができる。
その後光ディスク装置10は、トラッキングエラー信号STE1又はSTE2に応じて光ピックアップ11又は対物レンズ17(図1)を矢印TRK方向又はその反対方向へ移動させることにより、トラッキング制御を行うようになされている。
(2)第1の実施の形態
(2−1)光ディスク装置の全体構成
図8において、光ディスク装置10(図1)と対応する光ディスク装置30は、全体としてBD−REディスクやBD−ROMディスク等でなる光ディスク100に対して音楽コンテンツ、映像コンテンツ又は各種データ等の情報を記録し、また当該光ディスク100から当該情報を再生するようになされている。
システムコントローラ31は、光ディスク装置30全体を統括制御するようになされており、光ディスク100が装填された状態で、外部機器(図示せず)より当該光ディスク100からの情報の再生命令を取得すると、当該光ディスク100の信号記録層に記録されている情報を特定するためのアドレス情報IAと共に、情報読出命令MRを駆動制御部33へ送出する。
駆動制御部33は、システムコントローラ31からの情報読出命令に応じて、スピンドルモータ34を制御することにより光ディスク100を所定の回転速度で回転させると共に、当該データ読出命令MR及びアドレス情報IAを基に送りモータ35を制御することにより、光ピックアップ11(図1)と対応する光ピックアップ36を当該光ディスク100の径方向に移動させ、当該光ディスク100の信号記録層におけるアドレス情報IAに応じたトラック(以下、これを所望トラックと呼ぶ)に光ビームを集光した状態で照射させる。
このとき光ピックアップ36は、光ディスク100に照射した光ビームが反射された反射光ビームを受光し、その光量を検出して生成した検出信号を信号処理部37へ送出する。信号処理部37は、当該検出信号を基に、所望トラックに対する光ビームの照射位置のずれ量に応じたトラッキングエラー信号STEと光ディスク100の信号記録層に対する光ビームの焦点のずれ量に応じたフォーカスエラー信号SFEとを生成してこれらを駆動制御部33へ送出すると共に、当該検出信号を基に再生RF信号SRFを生成して信号変復調部38へ送出する。
駆動制御部4は、トラッキングエラー信号STE及びフォーカスエラー信号SFEに基づいたトラッキング制御信号CT及びフォーカス制御信号CFを生成し、これらを光ピックアップ36へ送出する。これに応じて光ピックアップ36は、トラッキング制御及びフォーカス制御を行い、光ビームの焦点を光ディスク100の所望トラックに合わせるようになされている。
信号変復調部38は、再生RF信号SRFに対して所定の復調処理や復号化処理等を施すことにより情報を再生し、これを外部機器(図示せず)へ送出する。
また光ディスク装置30は、信号変復調部38に入力された記録信号に対して所定の変調処理を施し、これを信号処理部37により記録用の信号に変換した後、光ピックアップ36から当該記録用の信号に応じた記録用ビームを出射させることにより、記録信号に応じた情報を光ディスク100に記録する。
このように光ディスク装置30は、光ピックアップ36から光ディスク100の信号記録層における所望トラックに対して焦点を合わせた光ビームを照射することにより、所望の情報を再生または記録し得るようになされている。
(2−2)光ピックアップの構成
図1との対応部分に同一符号を付した図9において、光ピックアップ36は、光集積素子40の内部から出射された出射光ビームL11を、コリメータレンズ15により平行光に変換し、1/4波長板17により直線偏光から円偏光に変換して立ち上げミラー16により光ディスク100(図示せず)が存在する前方向へ立ち上げ、対物レンズ18により当該出射光ビームL11を収束光に変換し、当該光ディスク100における信号記録面上の所望トラックに合焦させる。
また光ピックアップ36は、光ディスク100の信号記録面において出射光ビームL11が反射された反射光ビームL12を対物レンズ18へ入射させて発散光から平行光に変換し、立ち上げミラー16により光集積素子40が設けられた下方向へ寝かせ、1/4波長板17により円偏光から直線偏光に変換しコリメータレンズ15により収束光に変換した後、当該光集積素子40へ入射させる。
光集積素子40は、光ピックアップ11(図1)におけるレーザダイオード12、偏光ビームスプリッタ14、レンズ19、分割導光板20及び21、フォトディテクタ22及び分割導光パターン切換部24の各機能が一体に構成されている。
(2−2−1)光集積素子における出射光ビームの光路
実際上、光集積素子40は、図10(A)に示すように、ベース部50を中心に構成されており、当該ベース部50の下面側に、レーザダイオード12(図1)と対応するレーザダイオード51が取り付けられるようになされている。
ベース部50の上側には、フォトディテクタ22(図1)と対応するフォトディテクタ52が取り付けられると共に、スペーサ53が取り付けられ、その上側にそれぞれ薄板状に構成された板状部材54A〜54Dが積層されてなる偏光フィルタ部54が取り付けられ、さらにその上側に偏光ビームスプリッタ14(図1)に対応する偏光プリズム55が取り付けられている。
図10(B)に示すように、偏光フィルタ部54の板状部材54A〜54Dには、各種ホログラムや波長板等が形成されている。偏光フィルタ部54には、各種ホログラムや波長板等が組み合わされることにより、1/2波長板59、特許文献3に記載された手法により出射光ビームL11の強度を減衰させる機能および強度分布を補正する機能を備えるアッテネータ部60、及び反射光ビームL12をする際の分割導光パターンを切り換える分割導光パターン切換部61が構成されている。
特開2002−260272公報
光集積素子40は、システムコントローラ31(図8)の制御に基づき、レーザダイオード51から出射光ビームL11を上方へ出射させ、ベース部50を上下に貫通するように設けられた貫通穴及びスペーサ53の内部に設けられた空洞部を通過させて、当該出射光ビームL11を偏光フィルタ部54へ入射させる。
このとき偏光フィルタ部54の板状部材54Aは、出射光ビームL11をそのまま通過させ、板状部材54Bに設けられた1/2波長板59により出射光ビームL11の偏光面を所定の角度だけ回転させて偏光方向を紙面左右方向とし、板状部材54Bと板状部材54Cとの間に設けられたアクティブ波長板62へ入射させる。
アクティブ波長板62は、液晶素子でなり、システムコントローラ31(図8)の制御に基づいて出射光ビームL11の中心から所定半径部分の領域における偏光面を所望の角度だけ回転させ、板状部材54Dの偏光ホログラム63へ入射させる。偏光ホログラム63は、出射光ビームL11における特定の方位の偏光成分でなる光ビームを回折させて偏光プリズム55へ入射させるようになされている。
ここで光集積素子40は、光ディスク100への信号の記録時に、アクティブ波長板62を通過する出射光ビームL11の中心から所定半径部分の領域の偏光面の相対的な回転を略0度(紙面左右方向に平行な方向)に調整する。このため光集積素子40は、偏光ホログラム63による回折を発生させず、偏光プリズム55の偏光膜55Aにおいて出射光ビームL11の光量のほぼ全てを透過させ、当該光集積素子40の上方に配置されたコリメータレンズ15(図8)の方向へ出射することになる。これにより光集積素子40は、光ディスク100への信号の記録時に、レーザパワーを効率良く使用することができる。
また光集積素子40は、光ディスク100に記録された信号の読取時に、アクティブ波長板62を通過する出射光ビームL11の中心から所定半径部分の領域の偏光面に相対的な角度を与えるように調整する。このため光集積素子40は、出射光ビームL11のうち強度が強い中心部分のみを選択的に偏光ホログラム63により回折させ、回折された光ビームを偏光プリズム55の偏光膜55Aにおいて反射させ、図の左方向に配置されたアッテネータ部動作確認用フォトディテクタ56に入射させる。さらに光集積素子40は、出射光ビームL11の中心部における強度を減衰させた状態で偏光プリズム55の偏光膜55Aを透過させ、当該光集積素子40の上方に配置されたコリメータレンズ15(図8)の方向に出射させる。
これにより光集積素子40は、光ディスク100に記録された信号の読取時に、当該光ディスク100の記録面上で同一の読取パワーを発生させた場合におけるレーザダイオード51の出射パワーを上昇させ、レーザノイズを相対的に低減させることができると共に、出射光ビームの強度分布をより均一化して光ディスク100の記録面上における光スポットの集光性能を改善させることができる。
さらに、システムコントローラ31(図8)は、アッテネータ部動作確認用フォトディテクタ56に入射する光量を検出することにより、アクティブ波長板62の動作状態を監視している。これによりシステムコントローラ31は、アッテネータ部60により出射光量が減衰されている状態で光ディスク100に対して記録パワーの出射光ビームL1を照射させるといった、レーザダイオード51の出射光量の定格を超える動作が起きることを抑制し得るようになされている。
(2−2−2)光集積素子における反射光ビームの光路
一方、光集積素子40(図10(A))は、偏光プリズム55の上方から入射される反射光ビームL12を偏光面55A及び反射面55Bにおいてそれぞれ反射させることにより、当該反射光ビームL12を板状部材54Dに設けられたフォーカスサーボ用ホログラム64へ入射させる。
板状部材54D(図10(B))の下面側には、偏光ホログラム63に加えてフォーカスサーボ用ホログラム64が形成されている。このフォーカスサーボ用ホログラム64は、反射光ビームL12を0次光でなる反射光ビームL13、負のパワーが付与された+1次光でなる反射光ビームL14及び正のパワーが付与された−1次光でなる反射光ビームL15に分光させ、板状部材54Cへ入射させるようになされている。
板状部材54Bと板状部材54Cとの間には、アクティブ波長板62に加えて液晶素子でなるアクティブ波長板65が形成されている。アクティブ波長板65は、システムコントローラ31(図8)の制御に基づいて液晶セルへの印加電圧を変化させることにより、反射光ビームL13〜L15の偏光面を任意に回転させ、これを板状部材54Bへ入射させるようになされている。
すなわちアクティブ波長板65は、液晶セルへの印加電圧に応じて、例えば図の左右方向に偏光された反射光ビームL13〜L15を透過させるか、或いは図の前後方向(すなわち図の手前側又は奥側の方向)に偏光された反射光ビームL13〜L15を透過させるかを切り換えるようになされている。
板状部材54Bの下面側及び板状部材54Aの上面側には、それぞれ分割導光板20及び21(図1)と対応する、偏光ホログラムでなる分割導光部66及び67が形成されている。
分割導光部66は、図3(A)と対応する図11(A)に示すように、分割導光板20と同様に4つの導光領域66A〜66Dに分割されており、反射光ビームL13(図10(B))が当該分割導光部66を透過する際の透過断面R11を4つの透過断面R11A〜R11Dに分割するようになされている。
実際上、分割導光部66には、図4(A)と対応する図12(A)に示すように、4つの導光領域66A〜66DにそれぞれブレーズドHOEでなる偏光ホログラムが形成されており、反射光ビームL13(図10(B))を分割した分割光ビームL16A〜L16Dをそれぞれ左方向又は右方向へ回折させるようになされている。因みに分割導光部66は板状部材54Bの下面に形成されているが、説明の都合上、図12(A)では当該分割導光部66を上側から見た様子を表している。
ここで図4(B)と対応する図12(B)及び(C)に断面を示すように、導光領域66A及び66Dは、それぞれ反射光ビームL13のうち透過断面R11A及びR11D(図12(A))に相当する部分をそれぞれ左方向又は右方向へ比較的小さく回折させることにより、それぞれ左方向又は右方向へ比較的中央寄りに進行する分割光ビームL16A及びL16Dを生成する。
また導光領域66B及び66Cは、それぞれ反射光ビームL13のうち透過断面R11B及びR11C(図12(A))に相当する部分をそれぞれ左方向及び右方向へ比較的大きく回折させることにより、左方向及び右方向の比較的外側へ進行する分割光ビームL16B及びL16Cを生成する。
一方、分割導光部67は、図3(B)と対応する図11(B)に示すように、分割導光板20と一部異なる7つの導光領域67A〜67Gに分割されており、反射光ビームL13(図10(B))が当該分割導光板67を透過する際の透過断面R12を7つの透過断面R12A〜R12Gに分割するようになされている。
実際上、分割導光部67の上面には、図4(C)と対応する図13(A)に示すように、導光領域67Gを除く6つの導光領域67A〜67FにそれぞれブレーズドHOEでなる偏光ホログラムが形成されており、反射光ビームL13(図10(B))を分割した分割光ビームL17A〜L17Fをそれぞれ図中左方向又は右方向へ回折させ、また導光領域67Gを透過した分割光ビームL17Gを中央方向へ進行させるようになされている。
ここで図4(B)と対応する図13(B)及び(C)に断面を示すように、導光領域67A、67E、67B及び67Fは、それぞれ反射光ビームL13のうち透過断面R12A、R12E、R12B及びR12F(図11(B))に相当する部分をそれぞれ左方向又は右方向へ比較的小さく回折させることにより、それぞれ左方向又は右方向へ比較的中央寄りに進行する分割光ビームL17A、L17E、L17B及びL17Fを生成する。
また導光領域67C及び67Dは、それぞれ反射光ビームL13のうち透過断面R12C及びR12D(図11(B))に相当する部分をそれぞれ左方向又は右方向へ比較的大きく回折させることにより、左方向又は右方向の比較的外側へ進行する分割光ビームL17C及びL17Dを生成する。
ところで分割導光部66及び分割導光部67は、それぞれ複屈折性を有する材料で構成されると共に、複屈折における反射光ビームL13〜L15の各偏光方向に対する屈折率が互いに異なるように、換言すれば複屈折における進相軸及び遅相軸の方向が互いに異なるように構成されている。
このため、例えば図10(B)の左右方向に偏光された反射光ビームL13が入射された場合、板状部材54Bに形成された分割導光部66は当該反射光ビームL13に対して回折作用するものの、板状部材54Aに形成された分割導光部67は当該反射光ビームL13に対して回折作用せず、分割光ビームL16A〜L16Dをそのまま透過させる。
一方、例えば図10(B)の前後方向(すなわち手前側又は奥側の方向)に偏光された反射光ビームL13が入射された場合、これと反対に、板状部材54Bに形成された分割導光部66は当該反射光ビームL13に対して回折作用せずにそのまま透過させ、板状部材54Aに形成された分割導光部67は当該反射光ビームL13に対して回折作用することにより分割光ビームL17A〜L17Gに分割する。
このため光ピックアップ36の分割導光パターン切換部61(図10(B))は、アクティブ波長板65の液晶セルに印加する電圧を変更して反射光ビームL13の偏光方向を切り換えることにより、当該反射光ビームL13に対して分割導光部66により回折させるか、或いは分割導光部67により回折させるかを切り換えることができる。
すなわち光ピックアップ36の分割導光パターン切換部61は、システムコントローラ31の制御に基づいてアクティブ波長板65の液晶セルへの印加電圧を変更することにより、光ディスク装置10(図1)において分割導光板20又は21をメカニカルに切り換えた場合と同様、反射光ビームL13を分割光ビームL16A〜L16Dに分割するか、或いは分割光ビームL17A〜L17Gに分割するかといった、反射光ビームL13の分割パターンを切り換えることができる。
また、光ピックアップ36の分割導光パターン切換部61は、光ディスク装置10(図1)において分割導光板20又は21をメカニカルに切り換える場合と比較して、切換動作用の空間を設ける必要がないため、極めて小型に構成することができる。
(2−2−3)フォトディテクタの構成
フォトディテクタ52は、図14に示すように、分割光ビームL16A〜L16D又はL17A〜L17Gが照射される上面に、それぞれ矩形状でなる検出領域52A〜52Mが設けられている。
検出領域52Eは、仮に分割導光部66又は67が存在しなかった場合に当該フォトディテクタ52に到達する反射光ビームL13の光軸の位置と重なる中心点U2にその中心が重なるように配置されている。検出領域52A及び検出領域52Bは、検出領域52Eの左側近傍位置及び右側近傍位置にそれぞれ配置され、検出領域52C及び検出領域52Dは、それぞれ当該検出領域52Aの左隣及び検出領域52Bの右隣に配置されている。
検出領域52F及び検出領域52Gは、層間迷光(詳しくは後述する)を検出するために設けられており、検出領域52Cの左外方及び検出領域52Dの右外方にそれぞれ配置されている。
検出領域52H〜52Mは、SSD(Spot Size Detection)法に従ってフォーカスエラー信号SFEを生成するために設けられている。検出領域52H、52I及び52Jは、矩形状の領域が前後方向に3分割されてなると共に検出領域52Fの左外方に配置され、また検出領域52K、52L及び52Mは、矩形状の領域が前後方向に3分割されてなると共に検出領域52Gの右外方に配置されている。
因みにSSD法では、+1次光と−1次光とにおける倍率の違いにより、フォトディテクタ52の検出領域52H、52I及び52Jの前後方向における幅と、フォトディテクタ52の検出領域52K、52L及び52Mの前後方向における幅とが同等である場合、生成されるフォーカスエラー信号SFEが非対称となってしまう(特許文献4参照)。そこでフォトディテクタ52は、検出領域52H、52I及び52Jの前後方向における幅が、検出領域52K、52L及び52Mの前後方向における幅よりも広くなるようになされることにより、フォーカスエラー信号SFEが生成された際の対称性を向上させることができる。
特開2003−187469公報(第9頁、第3図)
フォトディテクタ52は、各検出領域52A〜52Mにそれぞれ形成されたビームスポットの光量に応じて光電変換処理を行うことによりそれぞれ電気信号を生成し、それぞれをアンプ(図示せず)によって増幅することにより13種類の検出信号を生成するようになされている。
(2−3)反射光ビームの検出
(2−3−1)DPD法によるトラッキングエラー信号の生成
実際上、光ディスク装置30の光ピックアップ36(図8)は、光ディスク100がBD−ROMディスクであった場合、図6(A)と対応する図15(A)に示すように、アクティブ波長板65の液晶セルへの印加電圧を変更することにより、偏光方向が左右方向となった反射光ビームL13〜L15を透過させる。
このとき光ピックアップ36は、分割導光部66により反射光ビームL13を分割光ビームL16A〜L6Dに分割し、それぞれフォトディテクタ52の検出領域52A〜52Dへそれぞれ照射させる。
この結果、フォトディテクタ52の検出領域52A〜52Dには、図7(A)と対応する図16(A)に示すように、透過断面R11A〜R11D(図11(A))とそれぞれほぼ相似形でなるビームスポットP11A〜P11Dが形成され、当該ビームスポットP11A〜P11Dの各光量に応じた検出信号S11A〜S11Dを生成する。
これに応じて光ディスク装置30(図8)は、検出信号S11A〜S11Dの位相差を用いてトラッキングエラー信号STE11を算出し、当該トラッキングエラー信号STE11を基に、BD−ROMディスクである光ディスク100(図8)に対応したDPD法によるトラッキング制御を行うようになされている。
またフォトディテクタ52の検出領域52H〜52J及び52K〜52Mには、反射光ビームL14及びL15に基づくビームスポットP11H及びP11Kが形成されており、当該検出領域52H〜52J及び52K〜52Mにおける検出信号S11H〜S11J及びS11K〜S11Mを生成する。
これに応じて光ディスク装置30(図8)は、検出信号S11H〜S11J及びS11K〜S11Mと所定の定数αとを用いた(3)式に従いフォーカスエラー信号SFEを生成し、当該フォーカスエラー信号SFEを基にフォーカス制御を行うようになされている。
さらに光ディスク装置30(図8)は、検出信号S11A〜S11Dを用いた(4)式に従い再生RF信号SRFを生成するようになされている。
(2−3−2)1ビームPP法によるトラッキングエラー信号の生成
一方、光ディスク装置30の光ピックアップ36(図8)は、光ディスク100がBD−REディスクであった場合、図6(B)と対応する図15(B)に示すように、アクティブ波長板65の液晶セルへの印加電圧を変更することにより、偏光方向が前後方向となった反射光ビームL13〜L15を透過させる。
このとき光ピックアップ36は、分割導光部67により反射光ビームL13を分割光ビームL17A〜L17Gに分割し、これらをフォトディテクタ22の検出領域52A〜52Eへ照射させる。
この結果、フォトディテクタ52の検出領域52A〜52Eには、図7(B)と対応する図16(B)に示すように、透過断面R12A〜R12G(図11(B))とそれぞれほぼ相似形でなるビームスポットP12A〜P12Gが形成される。
この場合、分割導光部67の導光領域67A及び67E(図13(A))により分割光ビームL17A及びL17Eが同一の方向へ回折されるため、フォトディテクタ52の検出領域52Aには、分割光ビームL17AによるビームスポットP12A及び分割光ビームL17EによるビームスポットP12Eが形成される。同様に、導光領域67B及び67F(図13(A))により分割光ビームL17B及びL17Fが同一の方向へ回折されるため、フォトディテクタ52の検出領域52Bには、分割光ビームL17BによるビームスポットP12B及び分割光ビームL17FによるビームスポットP12Fが形成される。
また、フォトディテクタ52の検出領域52C、52D及び52Eには、分割光ビームL17C、L17D及びL17GによるビームスポットP12C、P12D及びP12Gがそれぞれ形成される。
これによりフォトディテクタ52の検出領域52A〜52Dは、それぞれビームスポットP12A+P12E、P12B+P12F、P12C及びP12Dの各光量に応じた4種類の検出信号S12A〜S12Dを生成する。
これに応じて光ディスク装置30(図8)は、検出信号S12A〜S12Dを基に(1)式と対応する(5)式に従いトラッキングエラー信号STE12を生成し、BD−REディスクである光ディスク100(図8)に対応した1ビームPP法によるトラッキング制御を行う。
さらに光ディスク装置30は、検出信号S12C及びS12Dを基に(6)式に従いトラックのグルーブ構造におけるウォブルの検出状態を表すウォブル信号SWBを生成し、BD−REディスクである光ディスク100(図8)に対応したアドレス情報読み出しを行う。
またフォトディテクタ52の検出領域52H〜52J及び52K〜52Mには、光ディスク100がBD−REディスクであった場合と同様、反射光ビームL14及びL15に基づくビームスポットP12H及びP12Kが形成されており、当該検出領域52H〜52J及び52K〜52Mにおける検出信号S12H〜S12J及びS12K〜S12Mを生成する。
これに応じて光ディスク装置30(図8)は、検出信号S12H〜S12J及びS12K〜S12Mと定数αとを用いて、(3)式と同様の(7)式に従いフォーカスエラー信号SFEを生成し、当該フォーカスエラー信号SFEを基にフォーカス制御を行うようになされている。
さらに光ディスク装置30(図8)は、検出信号S12A〜S12Eを用いた(8)式に従い再生RF信号SRFを生成するようになされている。
(2−4)層間迷光による影響の低減
ところで、光ディスク100の中には、2層の信号記録層を有するものがある(以下、これを2層ディスクと呼ぶ)。光ディスク装置30は、この2層ディスクでなる光ディスク100を再生する場合、目的とするデータが記録されている信号記録層(以下、これを対象記録層と呼ぶ)に対して出射光ビームL11を合焦させることにより、当該対象記録層からデータを読み出すようになされている。
このとき光ディスク装置30は、光ピックアップ36の内部において、図17に模式的に示すように、反射光ビームL13を分割した分割光ビームL16A〜L16D又はL17A〜L17Gをフォトディテクタ52の上面に合焦させることになる。
しかしながら光ディスク装置30では、出射光ビームL11の一部が対象記録層と異なる信号記録層(以下、これを非対象記録層と呼ぶ)において反射された光ビーム、いわゆる層間迷光もフォトディテクタ52に到達することになる。
例えば光ディスク装置30では、対象記録層が光ディスク100の奥側の信号記録層、すなわちL0層である場合、図17と対応する図18に示すように、非対象記録層であるL1層による迷光ビームL21が分割導光部66及び67に対して収束光として入射する。
これに対して光ディスク装置30では、対象記録層が光ディスク100のL1層である場合、図17と対応する図19に示すように、非対象記録層であるL0層による迷光ビームL22が分割導光部66及び67に対して発散光として入射する。
ここで光ピックアップ36の分割導光部67は、図13(A)と対応する図20に示すように、導光領域67C及び67Dの中心側における一部分がそれぞれ中心側へ突出し領域67CX及び67DX(図中に斜線で示す)を形成するように分割されている。
因みに図20には、反射光ビームL13が分割導光部67を透過する際の透過断面R12に加えて、迷光ビームL21(図18)が分割導光部67を透過する際の透過断面R21及び迷光ビームL22(図19)が分割導光部67を透過する際の透過断面R22を示している。
さらに分割導光部67は、図16(B)に示したように、透過断面R12(図11(B))のうち上下の部分である透過断面R12A、R12B、R12E及びR12Fに対応するビームスポットP12A、P12B、P12E及びP12Fを比較的中心点U2(図14)寄りの検出領域52A及び52Bに照射させ、透過断面R12のうち中段の透過断面R12C及びR12D対応するビームスポットP12C及びP12Dを比較的外側の検出領域52C及び52Dに照射させている。
これにより光ピックアップ36では、例えば対象記録層が光ディスク100のL0層である場合、図21(A)及び(B)に示すように、L1層による層間迷光のうちフォトディテクタ52の検出領域52A〜52Dにかかって照射される部分は皆無となり、当該層間迷光がトラッキングエラー信号STE22に対して影響を及ぼさなくなる。
また光ピックアップ36では、例えば対象記録層が光ディスク100のL1層である場合、図22(A)及び(B)に示すように、対象記録層が光ディスク100のL0層である場合と同様、L0層による層間迷光のうちフォトディテクタ52の検出領域52A〜52Dにかかって照射される部分は皆無となり、当該層間迷光がトラッキングエラー信号STE22に対して影響を及ぼさなくなる。
さらに光ピックアップ36では、図21(B)及び図22(B)に示したように、フォトディテクタ52において、L1層による層間迷光及びL0層による層間迷光のいずれもが検出領域52H〜52J及び52K〜52Mに照射されないように配置されている。
このように光ピックアップ36では、分割導光部67の導光領域67C及び67Dの分割形状及びフォトディテクタ52における検出領域52A〜52Mの配置が工夫されていることにより、L0層による層間迷光又はL1層による層間迷光がトラッキングエラー信号STE22に影響を及ぼさないようになされている。
ところで光ディスク100の中には、3層以上の信号記録層を有するものがある(以下、これを多層ディスクと呼ぶ)。これに対して光ピックアップ36では、分割導光部67の導光領域67C及び67Dの分割形状及びフォトディテクタ52における検出領域52A〜52Mの配置が工夫されていることにより、多層ディスクでの対象記録層以外の記録層からの層間迷光を極力低減し得るようになされている。
また光ピックアップ36は、多層ディスクでの層間迷光がフォトディテクタ52の検出領域52A〜52Mに入射してしまう場合であっても、各分割光ビームL17A〜L17Gの強度が層間迷光の強度に対して充分に強いため、DPP法のように強度の弱い信号ビームを検出する領域にメインビームの層間迷光が入射する場合と比較して、層間迷光の影響を極めて小さく抑えることができる。
さらに光ピックアップ36では、分割導光部67の導光領域67Gを通過した分割光ビームL17Gをトラッキングエラー信号検出の演算に用いないことにより、光ディスク100における信号記録層の記録・未記録状態の違いによるトラッキングエラー信号のオフセットを抑制することができる。
そのうえ光ピックアップ36では、トラックのグルーブ構造に含まれるウォブル信号SWBについて、分割導光部67の導光領域67C及び67Dにより分割された分割光ビームL17C及びL17Dのみを使用することにより、特許文献5に記載されているような隣接トラックの影響による当該ウォブル信号SWBのビート成分を抑制することができ、当該ウォブル信号SWBの精度を向上させてアドレス情報の読み出し性能を向上させることができる。
特開2004−273024公報
(2−5)動作及び効果
以上の構成において、第1の実施の形態による光ディスク装置30の光ピックアップ36は、光ディスク100の種類がBD−ROMディスク又はBD−REディスクのいずれであるかに応じて、システムコントローラ31の制御に基づき分割導光パターン切換部61(図10(B))のアクティブ波長板65における液晶セルへの印加電圧を切り換えることにより反射光ビームL13の偏光方向を切り換え、当該反射光ビームL13の偏光方向に応じて分割導光部66又は分割導光部67を作用させることにより当該反射光ビームL13を分割光ビームL16A〜L16D又は分割光ビームL17A〜L17Gに分割して、フォトディテクタ52に照射させる。
ここで分割導光部66が作用する場合、フォトディテクタ52の検出領域52A〜52DにはビームスポットP11A〜P11D(図16(A))が形成され、一方、分割導光部67が作用する場合、フォトディテクタ52の検出領域52A〜52DにはそれぞれビームスポットP12A及びP12E、P12B及びP12F、P12C、P12Dが形成される。
従って光ディスク装置30の光ピックアップ36は、反射光ビームL13を分割光ビームL16A〜L16Dに分割するか、或いは分割光ビームL17A〜L17Gに分割するかといった分割パターンを切り換えることにより、フォトディテクタ52の検出領域52A〜52Dにおいて、DPD法によるトラッキングエラー信号STE11を生成するための検出信号S11A〜S11Dをそれぞれ直接生成することができ、或いは1ビームPP法によるトラッキングエラー信号STE12を生成するための検出信号S12A〜S12Dをそれぞれ直接生成することができる。
このためフォトディテクタ52は、検出領域52A〜52Dのような4つの領域によりトラッキングエラー信号STE11及びSTE12の両方に対応することができ、信号増幅用のアンプも4つで済むため、従来の8分割の場合(図41(C))等と比較してアンプの数を削減しアンプノイズによるRF信号の劣化を小さく抑えることができ、またフォトディテクタ52におけるアンプ用部品の実装面積を削減して当該フォトディテクタ52の小型化に寄与することができる。
また分割導光部66及び分割導光部67には、ブレーズドHOEでなる偏光ホログラムが形成されていることにより、回折方向を一方向とすることができるため、ビームスポットP11A〜P11D及びP12A〜P12Fの数を必要最小限に抑えることができる。
さらにフォトディテクタ52は、検出領域52A〜52DがビームスポットP11A〜P11D及びP12A〜P12Fの周囲にある程度の余裕を持つ大きさとなるよう構成されていることにより、ビームスポットP11A〜P11D及びP12A〜P12Fの照射位置が多少ずれたとしても当該ビームスポットP11A〜P11D及びP12A〜P12Fをはみ出させることなく検出することができ、従来の8分割の場合(図41(C))等においてフォトディテクタに対する光ビームの照射位置のずれにより検出信号が変化し精度が低下してしまうといった問題を原理的に排除することができる。
さらに、光集積素子40は、偏光フィルタ部54において、板状部材54Dに出射光ビームL11用の偏光ホログラム63及び反射光ビームL12用のフォーカスサーボ用ホログラム64の両方が形成され、板状部材54Cに出射光ビームL11用のアクティブ波長板62及び反射光ビームL13用のアクティブ波長板65の両方が形成されているため、それぞれを別体として構成した場合と比較して、当該光集積素子40の構成を簡略化すると共に小型化することができ、これにより光ピックアップ36の小型化を図ることもできる。
またフォトディテクタ52は、ビームスポットP11A〜P11D又はP12A〜P12Fがいずれも各検出領域52A〜52Dの内部に照射されるため、当該ビームスポットP11A〜P11D又はP12A〜P12Fが各検出領域の境界部分を跨ぐことによる検出信号の劣化を未然に防止することができる。
さらにフォトディテクタ52は、検出領域52A〜52Mが中心点U2(図14)を中心に略一直線上に配置されていることにより、検出領域52H〜52J並びに検出領域52K〜52Mにおいて検出する検出信号S11H〜S11M又はS12H〜S12Mを基に、SSD法によるフォーカスエラー信号SFEを生成することができる。
さらに光ピックアップ36では、分割導光パターン切換部61(図10(B))において、偏光フィルタ部54を固定したまま、アクティブ波長板65の液晶セルへの印加電圧を切り換えることにより反射光ビームL13の偏光方向を切り換え、当該反射光ビームL13の偏光方向に応じて分割導光部66又は分割導光部67のいずれを作用させるかを切り換えることができるので、例えば図1に示したようにメカニカルに分割導光板20又は21を切り換える場合と比較して、可動部が存在しないことにより切換動作の信頼性を格段に向上させることができると共に、極めて小型に構成することができる。
ところで、フォトディテクタの検出領域が多数に分割された従来の光ディスク装置では、検出領域の数に応じてアンプの個数も増えてしまい、消費電力も増加してしまっていた。
DVDの場合は、DPD法と1ビームPP法を両立させる為にフォトディテクタの検出領域が多数に分割されていても致命的な問題とはならなかった。しかし、BD−REディスクを再生する場合は、フォトディテクタのBD光源波長領域での受光感度がDVD光源波長領域の約2/3倍に低下してしまううえ、等倍速で比較した場合のBD読取信号の転送レートがDVDの転送レートの約3倍となるので、より低ノイズ化が求められる。
従って、従来のフォトディテクタの検出領域が多数に分割されている光ディスク装置では、ノイズや消費電力の観点から、BD−REディスクの再生時に1ビームPP法を使用できなかった。
また、別のトラッキングエラー信号検出方式として、DPD法とDPP法を両立させる為には、フォトディテクタの検出領域は、特許文献2のような構成を取る。
DPP法の場合、RF信号は中央の4分割フォトディテクタの加算により生成するので、ノイズや消費電力の観点からは、1ビームPP法と比較して有利となる。しかしながら、光源からの出射光を1本のメインビームと2本以上サイドビームに分けてしまうため、光源の光利用効率が悪いという欠点があり、使用できるレーザダイオードの定格が低いBDにおいては、高倍速を達成する際の障壁となっていた。
これに対して光ディスク装置30では、フォトディテクタ52の検出領域52A〜52Dにおいて生成される4種類の検出信号S11A〜S11Dのみを用いることによりトラッキングエラー信号を生成することができるので、1ビームPP法を問題なく利用できると共に、ノイズを低減でき消費電力を削減することができる。
また、従来の光ディスク装置では、BD−REディスクの場合、2層ディスクや多層ディスクを再生又は記録する際、フォトディテクタ上で、強度の弱いサイドビームと重なるように強度の強い他層からのメインビームの迷光(層間迷光)が入射することにより、サイドビームの品質が悪化し、トラッキングエラー信号が著しく劣化することが知られていた。このため、BD−REディスクの再生にDPP法を用いるのは、光利用効率と層間迷光によるサイドビーム品質悪化の観点から、問題があった。
これに対して光ピックアップ36では、分割導光部67(図20)において、分割導光67C及び67Dの中心側における一部分をそれぞれ中心側へ突出させ領域67CX及び67DXが形成されたことにより、2層ディスクでなる光ディスク100を再生する際、L1層による層間迷光及びL0層による層間迷光がフォトディテクタ52の検出領域52A〜52Dにかかる部分をいずれも皆無とすることができる(図21、図22)。
さらに光ピックアップ36では、分割導光部67の導光領域67Gを通過した分割光ビームL17Gをトラッキングエラー信号検出の演算に用いないことにより、光ディスク100における信号記録層の記録・未記録状態の違いによるトラッキングエラー信号のオフセットを抑制することができる。
そのうえ光ピックアップ36では、トラックのグルーブ構造に含まれるウォブル信号SWBについて、分割導光部67の導光領域67C及び67Dにより分割された分割光ビームL17C及びL17Dのみを使用することにより、隣接トラックの影響による当該ウォブル信号SWBのビート成分を抑制することができ、当該ウォブル信号SWBの精度を向上させてアドレス情報の読み出し性能を向上させることができる。
以上の構成によれば、光ディスク装置30の光ピックアップ36は、光ディスク100の種類に応じて、分割導光パターン切換部61のアクティブ波長板65により反射光ビームL13の偏光方向を切り換え、当該反射光ビームL13の偏光方向に応じて分割導光部66又は分割導光部67を作用させることにより、当該反射光ビームL13を分割光ビームL16A〜L16D又は分割光ビームL17A〜L17Gのいずれに分割するかを切り換えることができ、フォトディテクタ52の検出領域52A〜52Dにおいて、DPD法によるトラッキングエラー信号STE11を生成するための検出信号S11A〜S11Dをそれぞれ直接生成することができ、或いは1ビームPP法によるトラッキングエラー信号STE12を生成するための検出信号S12A〜S12Dをそれぞれ直接生成することができる。
(3)第2の実施の形態
(3−1)光ピックアップの構成
第2の実施の形態では、図9及び図10との対応部分に同一符号を付した図23に示すように、光ピックアップ120が第1の実施の形態における光ピックアップ36と一部異なる構成を有している。この光ピックアップ120は、光ピックアップ36と比較して、主に光集積素子40を構成する各光学素子がそれぞれ独立した部品として構成されている。
光ピックアップ120は、システムコントローラ31(図8)の制御に基づき、レーザダイオード51から出射光ビームL11を出射させ、1/2波長板59により出射光ビームL11の偏光面を所定の角度だけ回転させて偏光プリズム55へ入射させる。
偏光プリズム55の偏光膜55Aは、出射光ビームL11における光量のほぼ全てを透過させ、コリメータレンズ15の方向へ出射すると共に、当該出射光ビームL11における光量の一部を反射させてレーザ光量モニタ用フォトディテクタ121に入射させる。
続いて光ピックアップ120は、カップリングレンズ122、コリメータレンズ15、立ち上げミラー16、1/4波長板17を順次介して、出射光ビームL11を対物レンズ18により光ディスク100(図8)における信号記録面上の所望トラックに合焦させる。
因みにカップリングレンズ122は、コリメータレンズ15における焦点距離を引き延ばすことにより、光ビームにおける瞳端強度の低下を防止するようになされている。
これと並行してシステムコントローラ31(図8)は、レーザ光量モニタ用フォトディテクタ121に入射する光量を検出してフィードバック制御することにより、レーザダイオード51から出射させる出射光ビームL11の出射強度を所望の強度に調整するようになされている。
また光ピックアップ120は、光ディスク100(図8)の信号記録面において出射光ビームL11が反射された反射光ビームL12を、対物レンズ18、1/4波長板17、立ち上げミラー16、コリメータレンズ15及びカップリングレンズ122を順次介して偏光プリズム55へ入射させる。
偏光プリズム55は、反射光ビームL22を偏光面55Aにおいて反射させ、フォーカスサーボ用ホログラム板123へ入射させる。フォーカスサーボ用ホログラム板123は、フォーカスサーボ用ホログラム64(図10(B))と同様のホログラムが形成されており、反射光ビームL12を0次光ビームL13、+1次光ビームL14及び−1次光ビームL15に分光させ、それぞれ分割導光パターン切換部124へ入射させる。
分割導光パターン切換部124は、図10(B)における分割導光パターン切換部61と同様の機能を有しているものの、その構造は分割導光パターン切換部61とは異なっている。すなわち分割導光パターン切換部124は、図24に示すように、分割導光部126が形成されたスライド板125をアクチュエータ(図示せず)により前方向又は後方向へ移動させるようになされている。
これにより分割導光パターン切換部124は、分割導光部126に対する反射光ビームL13の照射箇所を切り換えることができ、この結果、反射光ビームL13の分割パターンを切り換え(詳しくは後述する)、分割後の反射光ビームをフォトディテクタ52へ照射させるようになされている。
このように光ピックアップ120は、分割導光パターン切換部124においてスライド板125を機械的に移動させることにより、分割導光部126に対する反射光ビームL13の照射箇所を切り換え、当該反射光ビームL13の分割パターンを切り換えるようになされている。
(3−2)反射光ビームの分光
次に、分割導光パターン切換部124において分割導光部126により反射光ビームL13を分割する様子について説明する。
(3−2−1)分割導光部の構成
図25に示すように、分割導光部126は、分割導光部66(図12)及び分割導光部67(図13)と比較して、全体が長方形状に形成されると共に6分割されている点が大きく異なっている。
分割導光部126の導光領域126A及び126E、126B及び126Fは、分割導光部66の導光領域66A及び66Dと同様のブレーズドHOEでなるホログラムが形成されており、反射光ビームL13の一部を左方向又は右方向へ比較的小さく回折させるようになされている。また分割導光部126の導光領域126C及び126Dは、分割導光部66の導光領域66B及び66Cと同様のブレーズドHOEでなるホログラムが形成されており、反射光ビームL13の一部を左方向又は右方向へ比較的大きく回折させるようになされている。
(3−2−2)DPD法によるトラッキングエラー信号の生成
実際上、光ピックアップ120(図23)は、光ディスク100がBD−ROMディスクであった場合、分割導光パターン切換部124(図24)によりスライド板125を前方向へ移動させることにより、図26(A)に示すように、導光領域126C、126D、126E及び126Fのほぼ中心となる位置に、反射光ビームL13が分割導光板126を透過する際の透過断面R21の中心を重ねさせる。
これにより分割導光板126は、4つの導光領域126C〜126Fによって、反射光ビームL12を断面形状がそれぞれ透過断面R21A〜R21Dでなる4本の光ビームに分割し、フォトディテクタ52(図23)へそれぞれ照射させる。
この結果、図26(B)に示すように、フォトディテクタ52の検出領域52A〜52Dには、図16(A)における検出領域52A〜52Dと同様に、透過断面R21E、R21F、R21C及びR21Dとほぼ相似形でなるビームスポットP21A、P21B、P21C及び〜P21Dが形成され、当該ビームスポットP21A〜P21Dの各光量に応じた検出信号S21A〜S21Dを生成する。
これに応じて光ディスク装置30(図8)は、検出信号S21A〜S21Dの位相差を用いてトラッキングエラー信号STE21を算出し、当該トラッキングエラー信号STE21を基に、BD−ROMディスクである光ディスク100(図8)に対応したDPD法によるトラッキング制御を行うようになされている。
また光ディスク装置30は、第1の実施の形態と同様にフォーカスエラー信号SFE及び再生RF信号SRFを生成するようになされている。
因みに図26(B)では、図16(B)と比較して、ビームスポットP21A及びP21Cの形成される位置がビームスポットP11A及びP11Cと逆になっているものの、光ディスク装置30では、このことが考慮された上でトラッキングエラー信号STE21、フォーカスエラー信号SFE及び再生RF信号SRF等が算出されるようになされている。
(3−2−3)1ビームPP法によるトラッキングエラー信号の生成
一方、光ピックアップ120(図23)は、光ディスク100がBD−REディスクであった場合、分割導光パターン切換部124(図24)によりスライド板125を後方向に移動させ、図27(A)に示すように、導光領域126C及び126Dの境界線におけるほぼ中心となる位置に、反射光ビームL13が分割導光板126を透過する際の透過断面R22の中心を重ねさせる。
これにより分割導光板126は、6つの導光領域126A〜126Fによって、反射光ビームL12を断面形状がそれぞれ透過断面R22A〜R22Fでなる6本の光ビームに分割し、フォトディテクタ52(図23)へそれぞれ照射させる。
この結果、図27(B)に示すように、フォトディテクタ52の検出領域52A〜52Dは、図16(B)における検出領域52A〜52Dと同様に、透過断面R22A〜R22Fとほぼ相似形でなるビームスポットP22A〜P22Fが形成され、ビームスポットP22A+P22E、P22B+P22F、P22C及びP22Dの各光量に応じた4種類の検出信号S22A、S22B、S22C及びS22Dを生成する。
これに応じて光ディスク装置30(図8)は、(5)式と対応する(9)式に従い、検出信号S22A〜S22Dを用いてトラッキングエラー信号STE22を生成し、BD−REディスクである光ディスク100(図8)に対応した1ビームPP法によるトラッキング制御を行うようになされている。
また光ディスク装置30は、第1の実施の形態と同様にフォーカスエラー信号SFE及び再生RF信号SRFを生成するようになされている。
このように光ピックアップ120は、分割パターン切換部124によってスライド板125を前方向又は後方向へ移動させることにより、分割導光部126に対する反射光ビームL13の照射位置を変更させ、このときの照射位置に応じて当該反射光ビームL13の分割パターンを切り換えるようになされている。
(3−3)動作及び効果
以上の構成において、第2の実施の形態による光ピックアップ120は、光ディスク100の種類がBD−ROMディスク又はBD−REディスクのいずれであるかに応じて、システムコントローラ31の制御に基づき分割導光パターン切換部124(図24)のスライド板125を移動させることにより、分割導光部126に対する反射光ビームL13の照射位置を切り換え、当該反射光ビームL13を4分割又は6分割してフォトディテクタ52に照射させる。
ここで分割導光パターン切換部124によりスライド板125を前方向へ移動させた場合(図26(A))、フォトディテクタ52の検出領域52A〜52DにはビームスポットP21A〜P21D(図26(B))が形成され、一方、当該スライド板125を後方向へ移動させた場合、フォトディテクタ52の検出領域52A、52B、52C及び52DにはそれぞれビームスポットP22A及びP22E、P22B及びP22F、P22C、並びにP22Dが形成される。
従って光ピックアップ120は、第1の実施の形態における光ピックアップ36と同様、反射光ビームL13を4分割するか又は6分割するかといった分割パターンを切り換えることにより、フォトディテクタ52の検出領域52A〜52Dにおいて、DPD法によるトラッキングエラー信号STE21を生成するための検出信号S21A〜S21Dをそれぞれ直接生成することができ、或いは1ビームPP法によるトラッキングエラー信号STE22を生成するための検出信号S22A〜S22Dをそれぞれ直接生成することができる。
このためフォトディテクタ52は、検出領域52A〜52Dのような4つの領域によりトラッキングエラー信号STE21及びSTE22の両方に対応することができ、信号増幅用のアンプも4つで済むため、従来の8分割の場合(図41(C))等と比較してアンプの数を削減しアンプノイズによるRF信号の劣化を小さく抑えることができ、またフォトディテクタ52におけるアンプ用部品の実装面積を削減して当該フォトディテクタ52の小型化に寄与することができる。
さらに分割導光パターン切換部124は、図1に示したように分割導光板20及び21を完全に入れ換える分割導光パターン切換部24と比較して、スライド板125を僅かに移動させるだけで反射光ビームL13の分割パターンを切り換えることができるので、部品点数を削減し得ると共に当該スライド板125の移動に必要な空間を小さく抑えて光ピックアップ120全体の小型化及び軽量化に寄与することができ、また分割パターンの切換に要する時間を短縮することもできる。
以上の構成によれば、第2の実施の形態による光ピックアップ120は、光ディスク100の種類に応じて、分割導光パターン切換部124のスライド板125を移動させて分割導光部126に対する反射光ビームL13の照射位置を切り換えることにより、第1の実施の形態における光ピックアップ36と同様に、当該反射光ビームL13の分割パターンを切り換えることができるので、フォトディテクタ52の検出領域52A〜52Dにおいて、DPD法によるトラッキングエラー信号STE21を生成するための検出信号S21A〜S21Dをそれぞれ直接生成することができ、或いは1ビームPP法によるトラッキングエラー信号STE22を生成するための検出信号S22A〜S22Dをそれぞれ直接生成することができる。
(4)第3の実施の形態
(4−1)光ピックアップの構成
第3の実施の形態では、光ピックアップ130(図23)の分割導光パターン切換部131が第2の実施の形態における分割導光パターン切換部124と異なっているものの、他は第2の実施の形態における光ピックアップ120と同様に構成されている。
(4−2)分割導光パターン切換部の構成
分割導光パターン切換部131は、第1の実施の形態における分割パターン切換部61と同様、反射光ビームL13の偏光方向に応じて反射光ビームL13の分割パターンを切り換えるようになされている。図28に示すように、分割導光パターン切換部131は、第1の実施の形態における偏光フィルタ部54(図10(B))の一部と類似した構成を有しており、薄板状でなる3枚の板状部材131A〜131Cが積層されている。
板状部材131C及び131Bの間には、第1の実施の形態と同様のアクティブ波長板65が形成されており、フォーカスサーボ用ホログラム板123に形成されたフォーカスサーボ用ホログラム64により分光された0次光ビームL13、+1次光ビームL14及び−1次光ビームL15が入射されると、システムコントローラ31(図8)の制御に基づいて反射光ビームL13〜L15の偏光面を任意に回転させ、これを板状部材131Bへ入射させる。
板状部材131Bの下面側及び板状部材131Aの上面側には、分割導光部66及び67とそれぞれ対応した分割導光部133及び134が形成されており、さらに板状部材131Aの上面側には分割導光部135が形成されている。
(4−3)分割導光部の構成
(4−3−1)分割導光部133の構成
分割導光部133は、分割導光部66(図12(A))と同様に複屈折性を有する材料で構成されているものの、図29(A)に示すように、ホログラムの形成パターンが当該分割導光部66とは異なっている。すなわち分割導光部133は、分割導光部66における導光領域66A〜66Dがそれぞれ前後方向に2分割されたような8つの導光領域133A〜133Hに分割されており、導光領域133A、133B、133E及び133FにのみブレーズドHOEでなる偏光ホログラムが形成されている。
導光領域133A及び133Bは、導光領域66B及び66C(図12(A))と同様に、反射光ビームL13の一部を左方向又は右方向へ比較的大きく回折させるようになされている。また導光領域133E及び133Fは、導光領域66A及び66D(図12(A))と同様に、反射光ビームL13の一部を左方向又は右方向へ比較的小さく回折させるようになされている。
これにより分割導光部133は、例えば図29(A)の左右方向に偏光され透過断面R31でなる反射光ビームL13が入射された場合、当該反射光ビームL13のうち4つの導光領域133A、133B、133E及び133Fを透過する部分によって、断面形状がそれぞれ透過断面R31A、R31B、R31E及びR31Fでなる4本の光ビームを形成し、それぞれフォトディテクタ52(図23)へ照射させる。
このとき導光領域133C、133D、133G及び133Hは、偏光ホログラムが形成されていないため、反射光ビームL13の一部をそのまま透過させる。
(4−3−2)分割導光部134の構成
分割導光部134は、分割導光部133と同様に複屈折性を有する材料で構成されているものの、分割導光部66に対する分割導光部67と同様、当該分割導光部133とは偏光方向に対する屈折率が互いに異なるようになされている。
分割導光部134は、図30(A)に示すように、8つの導光領域133A〜133Hと対応するように8つの導光領域134A〜134Hに分割されているものの、ホログラムの形成パターンが分割導光部133と異なっている。
すなわち導光領域134A及び134Bは、導光領域133E及び133F(図29(A))と同様のブレーズドHOEでなる偏光ホログラムが形成されており、反射光ビームL13の一部を左方向又は右方向へ比較的大きく回折させるようになされている。また導光領域134E及び134Fは、導光領域133A及び133B(図29(A))と同様のブレーズドHOEでなる偏光ホログラムが形成されており、反射光ビームL13の一部を左方向又は右方向へ比較的小さく回折させるようになされている。
これにより分割導光部134は、例えば図30(A)の前後方向に偏光され透過断面R32でなる反射光ビームL13が入射された場合、当該反射光ビームL13のうち4つの導光領域134A、134B、134E及び134Fを透過する部分によって、断面形状がそれぞれ透過断面R32A、R32B、R32E及びR32Fでなる4本の光ビームを形成し、分割導光部133と異なる照射パターンでそれぞれフォトディテクタ52(図23)へ照射させる。
このとき導光領域134C、134D、134G及び134Hは、偏光ホログラムが形成されていないため、反射光ビームL13の一部をそのまま透過させる。
(4−3−3)分割導光部135の構成
一方、分割導光部135は、図29(B)に示すように、分割導光部133と同様に8つの導光領域135A〜135Hに分割されている。この分割導光部135は、分割導光部133及び134においてホログラムが形成された導光領域と相補的な位置関係にある導光領域135C、135D、135G及び135Hに、無偏光のホログラムが形成されており、他の導光領域135A、135B、135E及び135Fにはホログラムが形成されていない。さらに分割導光部135は、複屈折性を有さない材料により構成されている。
ここで、分割導光部135においてホログラムが形成されている導光領域135C、135D、135G及び135Hは、反射光ビームL13の一部を回折させる際、DPD法によるトラッキングエラー信号STE31を生成する場合と1ビームPP法によるトラッキングエラー信号STE32を生成する場合とでフォトディテクタ52への照射領域が共通となる部分(以下、これを共通照射領域と呼ぶ)に相当する。
導光領域135C及び135Dは、反射光ビームL13の偏光方向に関わらず、導光領域133A及び133Bと同様に、当該反射光ビームL13の一部を左方向又は右方向へ比較的大きく回折させるようになされている。また導光領域135G及び135Hは、反射光ビームL13の偏光方向に関わらず、導光領域133E及び133Fと同様に、当該反射光ビームL13の一部を左方向又は右方向へ比較的小さく回折させるようになされている。
実際上、光ピックアップ120(図23)は、光ディスク100がBD−ROMディスクであった場合、アクティブ波長板65の液晶セルへの印加電圧を変更することにより、偏光方向が左右方向となった反射光ビームL13〜L15を透過させる。
これにより分割導光部135は、透過断面R33でなる反射光ビームL13が入射された場合、4つの導光領域135C、135D、135G及び135Hによって断面形状がそれぞれ透過断面R33C、R33D、R33G及びR33Hでなる4本の光ビームを形成し、それぞれフォトディテクタ52(図23)へ照射させる。
このとき導光領域135A、135B、135E及び135Fは、ホログラムが形成されていないため、反射光ビームL13の一部をそのまま透過させる。
このように分割導光パターン切換部131は、光ビームの偏光方向に応じて回折作用を呈し偏光方向に対する屈折率が互いに異なる分割導光部133及び134と、偏光方向に依存せず回折作用を呈する分割導光部135とが組み合わされて構成されている。
(4−4)トラッキングエラー信号の生成
(4−4−1)DPD法によるトラッキングエラー信号の生成
実際上、光ディスク100がBD−ROMディスクであった場合、光ピックアップ130は、アクティブ波長板65の液晶セルへの印加電圧を変更することにより、偏光方向が図29(A)の左右方向となった反射光ビームL13〜L15を透過させる。
これに応じて分割導光パターン切換部131は、反射光ビームL13に対して分割導光板133及び135を作用させることになり、当該反射光ビームL13を分割してフォトディテクタ52へ照射する。
この結果、フォトディテクタ52は、図29(C)に示すように、検出領域52Aに透過断面R31E及びR33Gとほぼ相似形でなるビームスポットP31E及びP33Gが形成され、検出領域52Bに透過断面R31F及びR33Hとほぼ相似形でなるビームスポットP31F及びP33Hが形成される。
同様にフォトディテクタ52は、検出領域52Cに透過断面R31A及びR33Cとほぼ相似形でなるビームスポットP31A及びP33Cが形成され、検出領域52Dに透過断面R31B及びR33Dとほぼ相似形でなるビームスポットP31B及びP33Dが形成される。
ここで、検出領域52Aに形成されたビームスポットP31E及びP33Gは、全体として第2の実施の形態におけるビームスポットP21Aとほぼ同等の形状となっている。このため検出領域52Aは、第2の実施の形態における検出信号S21Aと同等の検出信号S31Aを生成する。
また他の検出領域52B〜52Dにおいても、同様にそれぞれにおけるビームスポットの全体的な形状が第2の実施の形態におけるビームスポットP21B〜P21Dとほぼ同等の形状となっている。このため検出領域52B〜52Dは、第2の実施の形態における検出信号S21B〜S21Dと同等の検出信号S31B〜S31Dを生成する。
この結果、光ディスク装置30(図8)は、第2の実施の形態と同様に、検出信号S31A〜S31Dの位相差を用いてトラッキングエラー信号STE31を算出することができ、当該トラッキングエラー信号STE31を基に、BD−ROMディスクである光ディスク100(図8)に対応したDPD法によるトラッキング制御を行うことができる。
(4−4−2)1ビームPP法によるトラッキングエラー信号の生成
一方、光ディスク100がBD−REディスクであった場合、光ピックアップ130は、アクティブ波長板65の液晶セルへの印加電圧を変更することにより、偏光方向が図30(A)の前後方向となった反射光ビームL13〜L15を透過させる。
これに応じて分割導光パターン切換部131は、反射光ビームL13に対して分割導光板133及び135を作用させることになり、当該反射光ビームL13を分割してフォトディテクタ52へ照射する。
この結果、フォトディテクタ52は、図30(C)に示すように、検出領域52Aに透過断面R32A及びR33Gとほぼ相似形でなるビームスポットP32A及びP33Gが形成され、検出領域52Bに透過断面R32B及びR33Hとほぼ相似形でなるビームスポットP32B及びP33Hが形成される。
同様にフォトディテクタ52は、検出領域52Cに透過断面R33C及びR32Eとほぼ相似形でなるビームスポットP33C及びP32Eが形成され、検出領域52Dに透過断面R33D及びR32Fとほぼ相似形でなるビームスポットP33D及びP32Fが形成される。
ここで、検出領域52Aに形成されたビームスポットP32A及びP33Gは、第2の実施の形態におけるビームスポットP22A及びP22Eとほぼ同等の形状となっている。このため、検出領域52Aは、第2の実施の形態における検出信号S22Aと同等の検出信号S32Aを生成することができる。
また検出領域52Cに形成されたビームスポットP33C及びP32Eは、全体として第2の実施の形態におけるビームスポットP22Cとほぼ同等の形状となっている。このため、検出領域52Aは、第2の実施の形態における検出信号S22Cと同等の検出信号S32Cを生成する。
さらに残りの検出領域52B及び52Dにおいても、それぞれ検出領域52A及び52Dと同様に、第2の実施の形態における検出信号S22B及びS22Dと同等の検出信号S32B及びS32Dをそれぞれ生成する。
この結果、光ディスク装置30(図8)は、(5)式と対応する(10)式に従い、検出信号S32A〜S32Dを用いてトラッキングエラー信号STE32を生成し、BD−REディスクである光ディスク100(図8)に対応した1ビームPP法によるトラッキング制御を行うことができる。
このように第3の実施の形態における光ピックアップ130は、偏光ホログラムが形成された分割導光部133又は134と通常のホログラムが形成された分割導光部135とを組み合わせることにより、第1の実施の形態における分割導光部66又は67と同様に、反射光ビームL13を4つの検出領域52A〜52Dに振り分けて照射させることができる。
(4−5)動作及び効果
以上の構成において、第3の実施の形態による光ピックアップ130は、第1の実施の形態における光ピックアップ36と同様に、光ディスク100の種類がBD−ROMディスク又はBD−REディスクのいずれであるかに応じて、システムコントローラ31の制御に基づき分割導光パターン切換部131(図28)のアクティブ波長板65における液晶セルへの印加電圧を切り換えることにより反射光ビームL13の偏光方向を切り換える。
さらに光ピックアップ130は、反射光ビームL13の偏光方向に応じて、分割導光部133及び135を組み合わせるか、或いは分割導光部134及び135を組み合わせるかを切り換えた上で、当該反射光ビームL13を部分毎に回折作用させることにより、当該反射光ビームL13を4つの検出領域52A〜52Dに振り分けて照射させる。
ここで分割導光部133及び135を作用させる場合、フォトディテクタ52の検出領域52A、52B、52C及び52Dには、図29(C)に示したように、全体的な形状がそれぞれビームスポットP21A、P21B、P21C及びP21D(図26(B))とほぼ同様でなる、ビームスポットP31E及びP33G、P31F及びP33H、P31A及びP33C、並びにP31B及びP33Dがそれぞれ形成される。
また分割導光部134及び135を作用させる場合、フォトディテクタ52の検出領域52A、52B、52C及び52Dには、図30(C)に示したように、全体的な形状がそれぞれビームスポットP22A及びP22E、P22B及びP22F、P22C並びにP22D(図27(B))とほぼ同様でなる、ビームスポットP32A及びP33G、P32B及びP33H、P33C及びP32E、並びにP33D及びP32Fがそれぞれ形成される。
従って光ピックアップ130は、第1の実施の形態における光ピックアップ36と同様、反射光ビームL13の分割パターンを切り換えることにより、フォトディテクタ52の検出領域52A〜52Dにおいて、DPD法によるトラッキングエラー信号STE31を生成するための検出信号S31A〜S31Dをそれぞれ直接生成することができ、或いは1ビームPP法によるトラッキングエラー信号STE32を生成するための検出信号S32A〜S32Dをそれぞれ直接生成することができる。
このため光ピックアップ130は、第1の実施の形態における光ピックアップ36と同様の作用効果を得ることができる。
この場合、光ピックアップ130は、分割導光部66及び67においてホログラムが形成されておらず光ビームの透過率が高い領域(すなわち導光領域133C、133D、133G、133H、134C、134D、134G及び134H)により、反射光ビームL13のうち共通照射領域に相当する部分を素通しさせ、分割導光部135における導光領域135C、135D、135G及び135Hによりホログラムを1回のみ通過させることになる。
これにより光ピックアップ130は、第1の実施の形態における分割導光部66及び分割導光部67のように偏光ホログラムを2回通過させる場合よりも、光ビームの透過効率を向上させることができる。
以上の構成によれば、第3の実施の形態による光ピックアップ130は、光ディスク100の種類に応じて、分割導光パターン切換部131のアクティブ波長板65により反射光ビームL13の偏光方向を切り換え、当該反射光ビームL13の偏光方向に応じて分割導光部133及び135を組み合わせて、又は分割導光部134及び135を組み合わせて当該反射光ビームL13を部分毎に回折作用させることにより、第1の実施の形態における光ピックアップ36と同様に、当該反射光ビームL13をフォトディテクタ52の4つの検出領域52A〜52Dに振り分けて照射することができ、当該検出領域52A〜52Dにおいて、DPD法によるトラッキングエラー信号STE31を生成するための検出信号S31A〜S31Dをそれぞれ直接生成することができ、或いは1ビームPP法によるトラッキングエラー信号STE32を生成するための検出信号S32A〜S32Dをそれぞれ直接生成することができる。
(5)第4の実施の形態
(5−1)光ピックアップの構成
第4の実施の形態では、光ピックアップ140(図9)の光集積素子141が第1の実施の形態における光集積素子40と異なっているものの、他は第1の実施の形態における光ピックアップ36と同様に構成されている。
光集積素子141(図10(A))は、偏光フィルタ部142が第1の実施の形態における偏光フィルタ部54と一部異なる構成を有しており、他の部分は当該偏光フィルタ部54と同様に構成されている。
(5−2)偏光フィルタ部の構成
図10(B)との対応箇所に同一符号を付した図31に示すように、偏光フィルタ部142は、板状部材54A〜54D(図10(B))と同様に薄板状に構成された板状部材142A〜142Dが積層されている。この偏光フィルタ部142は、フォーカスサーボ用ホログラム64が板状部材142Dの下面ではなく板状部材142Aの下面に形成されている点が異なっているものの、他は偏光フィルタ部54(図10(B))と同様に構成されている。
このため光ピックアップ140は、例えば光ディスク100(図8)がBD−REディスクであった場合、図15(B)と対応する図32に示すように、偏光フィルタ部142のアクティブ波長板65及び分割導光部67によって反射光ビームL13を分割光ビームL16A〜L16D又は分割光ビームL17A〜L17Gに分割した後、フォーカスサーボ用ホログラム64によってフォーカスサーボ用の反射光ビームL44及びL45(いずれも実際には7本の光ビームでなる)を分光するようになされている。
因みに光ピックアップ140は、光ディスク100(図8)がBD−ROMディスクであった場合にも、BD−REディスクであった場合と同様に、フォーカスエラー信号SFEの精度を低下させてしまう可能性を低減することができる。
(5−3)動作及び効果
以上の構成において、第4の実施の形態による光ピックアップ140は、第1の実施の形態における光ピックアップ36と同様に、光ディスク100の種類がBD−ROMディスク又はBD−REディスクのいずれであるかに応じて、アクティブ波長板65により反射光ビームL13の偏光方向を切り換え、当該反射光ビームL13の偏光方向に応じて分割導光部66又は分割導光部67を作用させることにより当該反射光ビームL13を分割光ビームL16A〜L16D又は分割光ビームL17A〜L17Gに分割した後、フォーカスサーボ用ホログラム64によってフォーカスサーボ用の反射光ビームL44及びL45を分光して、フォトディテクタ52に照射させる。
ここで分割導光部66が作用する場合、フォトディテクタ52の検出領域52A〜52DにはビームスポットP11A〜P11D(図16(A))が形成され、一方、分割導光部67が作用する場合、フォトディテクタ52の検出領域52A〜52DにはそれぞれビームスポットP12A及びP12E、P12B及びP12F、P12C、P12Dが形成される。
従って光ピックアップ140は、第1の実施の形態における光ピックアップ36と同様、反射光ビームL13を4分割するか又は6分割するかといった分割パターンを切り換えることにより、フォトディテクタ52の検出領域52A〜52Dにおいて、DPD法によるトラッキングエラー信号STE21を生成するための検出信号S21A〜S21Dをそれぞれ直接生成することができ、或いは1ビームPP法によるトラッキングエラー信号STE22を生成するための検出信号S22A〜S22Dをそれぞれ直接生成することができる。
ところで、第1の実施の形態におけるフォーカスサーボ用の反射光ビームL14及びL15は、フォーカスサーボ用ホログラム64によって分光された後、アクティブ波長板65、分割導光部66及び67を通過することにより、図16(B)にビームスポットを示したように、実際には7本の分割光ビームに分割されている。
このとき反射光ビームL14及びL15は、製造上の都合等に起因して、分割導光部66及び67の各導光領域により光ビームの透過効率が異なる可能性がある。このため、フォトディテクタ52において、最終的に検出領域52H〜52J及び52K〜52Mに形成されるビームスポットの光量が一様ではなくなる可能性がある。この結果、光ピックアップ36は、フォーカスエラー信号SFEの精度を低下させてしまう可能性があった。
これに対して第4の実施の形態では、アクティブ波長板65、分割導光部66及び67により反射光ビームL13を7本の光ビームに分割した後で、ほぼ一様の回折パターンが全面に形成されたフォーカスサーボ用ホログラム64によりフォーカスサーボ用の反射光ビームL44及びL45(いずれも実際には7本の光ビームでなる)を分光する。
これにより光ピックアップ140は、フォトディテクタ52の検出領域52H〜52J及び52K〜52Mに形成されるビームスポットの光量が一様ではなくなる可能性を低減することができ、フォーカスエラー信号SFEの精度を低下させてしまう可能性を低減することができる。
以上の構成によれば、第4の実施の形態による光ピックアップ140は、光ディスク100の種類に応じて、偏光フィルタ部142における分割導光パターン切換部61のアクティブ波長板65により反射光ビームL13の偏光方向を切り換え、当該反射光ビームL13の偏光方向に応じて分割導光部66又は67により当該反射光ビームL13を4分割又は7分割させた後にフォーカスサーボ用の反射光ビームL44及びL45を分光することにより、第1の実施の形態における光ピックアップ36と同様に、当該反射光ビームL13をフォトディテクタ52の4つの検出領域52A〜52Dに振り分けて照射することができるので、当該検出領域52A〜52Dにおいて、DPD法によるトラッキングエラー信号STE31を生成するための検出信号S31A〜S31Dをそれぞれ直接生成することができ、或いは1ビームPP法によるトラッキングエラー信号STE32を生成するための検出信号S32A〜S32Dをそれぞれ直接生成することができる。
(6)第5の実施の形態
(6−1)光ピックアップの構成
第5の実施の形態では、図23との対応部分に同一符号を付した図33に示すように、光ピックアップ150が第2の実施の形態における光ピックアップ120と一部異なる構成を有している。この光ピックアップ150は、光ピックアップ120と比較して、分割導光パターン切換部124及びフォトディテクタ52に代えて分割導光パターン切換部151及びフォトディテクタ153が設けられ、さらにシリンドリカルレンズ152が設けられている点が異なっているものの、他は当該光ピックアップ120と同様に構成されている。
光ピックアップ150は、図34に一部を拡大して示すように、分割導光パターン切換部151が第1の実施の形態における偏光フィルタ部54(図10(B))の一部と類似した構成を有しており、薄板状でなる3枚の板状部材151A〜151Cが積層されている。
板状部材151C及び151Bの間には、第1の実施の形態と同様のアクティブ波長板65が形成されており、フォーカスサーボ用ホログラム板123に形成されたフォーカスサーボ用ホログラム64により分光された0次光ビームL13、+1次光ビームL14及び−1次光ビームL15が入射されると、システムコントローラ31(図8)の制御に基づいて反射光ビームL13〜L15の偏光面を任意に回転させ、これを板状部材151Bへ入射させる。
板状部材151Bの下面側及び板状部材151Aの上面側には、分割導光部66及び67とそれぞれ対応した分割導光部156及び157が形成されている。
またシリンドリカルレンズ152は、分割導光パターン切換部151から照射される光ビームを図の左右方向に広げてフォトディテクタ153へ照射するようになされている。
(6−2)分割導光部の構成
(6−2−1)分割導光部156の構成
分割導光部156は、分割導光部66(図12(A))と同様に複屈折性を有する材料で構成されているものの、図35(A)に示すように、ホログラムの形成パターンが当該分割導光部66とは異なっている。すなわち分割導光部156は、分割導光部66における導光領域66A及び66B、66C及び66Dがそれぞれ統合されたような2つの導光領域156A及び156Bに分割されており、導光領域156BにのみブレーズドHOEでなる偏光ホログラムが形成されている。
導光領域156Bは、導光領域66A(図12(A))と同様に、反射光ビームL13の一部を左方向へ回折させるようになされている。一方、導光領域156Aは、偏光ホログラムが形成されていないため、反射光ビームL13の一部をそのまま透過させる。
実際上、光ディスク100がBD−ROMディスクであった場合、光ピックアップ150は、アクティブ波長板65の液晶セルへの印加電圧を変更することにより、偏光方向が図35(A)の左右方向となった反射光ビームL13を透過させ、分割導光部156へ入射させる。
分割導光部156(図35(A))は、透過断面R51でなる反射光ビームL13の偏光方向に応じて回折作用を呈し、透過断面R51Aでなる光ビームを回折させない(すなわち直進させる)と共に透過断面R51Bでなる光ビームを図の左方向へ回折させる。さらにシリンドリカルレンズ152は、分割導光部156を通過した各光ビームを図35(A)における横方向に広げさせた上で、フォトディテクタ153へ照射させる。
これに応じてフォトディテクタ153は、図35(B)に示すように、透過断面R51Aが左右方向に広げられたような半楕円形状でなるビームスポットP51Aが検出領域153B及び153Dにまたがるように形成され、透過断面R51Bが左右方向に広げられたような半楕円形状でなるビームスポットP51Bが検出領域153A及び153Cにまたがるように形成される。
ここでフォトディテクタ153では、検出領域153B及び153Dの境界線がビームスポットP51Aのほぼ中心となり、且つ検出領域153A及び153Cの境界線がビームスポットP51Bのほぼ中心となるような位置に設けられている。
これによりフォトディテクタ153は、検出領域153B、153D、153C及び153Aにおいて、それぞれ透過断面R51Aの左半分、右半分、透過断面R51Bの左半分及び右半分に相当するビームスポットがそれぞれ形成されることになる。
この結果、検出領域153Aは、第2の実施の形態におけるビームスポットP21B(図26(B))に相当する光量を検出することになるため、検出信号S21Bと同等の検出信号S51Aを生成する。
また他の検出領域153B、153C及び153Dにおいても、同様に第2の実施の形態における検出信号S21C、S21A及びS21Dと同等の検出信号S51B、S51C及びS51Dを生成する。
これに応じて光ディスク装置30(図8)は、第2の実施の形態と同様の演算処理により、検出信号S51A〜S51Dの位相差を用いてトラッキングエラー信号STE51を算出することができ、当該トラッキングエラー信号STE51を基に、BD−ROMディスクである光ディスク100(図8)に対応したDPD法によるトラッキング制御を行うことができる。
(6−2−2)分割導光部157の構成
分割導光部157は、分割導光部67(図13(A))と同様に複屈折性を有する材料で構成されているものの、図36(A)に示すように、ブレーズドHOEでなる偏光ホログラムの形成パターンが当該分割導光部67とは異なっている。すなわち分割導光部157は、分割導光部67における導光領域67A及び67B、67C、67D及び67G、67E及び67Fがそれぞれ統合されたような3つの導光領域157A、157B及び157Cに分割されており、導光領域157A及び157CにブレーズドHOEでなる偏光ホログラムが形成されている。
導光領域157A及び157Cは、導光領域156B(図35(A))と同様に、反射光ビームL13の一部を左方向へ回折させるようになされている。一方、導光領域157Bは、偏光ホログラムが形成されていないため、反射光ビームL13の一部をそのまま透過させる。
実際上、光ディスク100がBD−REディスクであった場合、光ピックアップ150は、アクティブ波長板65の液晶セルへの印加電圧を変更することにより、偏光方向が図36(A)の前後方向となった反射光ビームL13を透過させ、分割導光部157へ入射させる。
分割導光部157(図36(A))は、透過断面がR52のように円形でなる反射光ビームL13の偏光方向に応じて回折作用を呈し、透過断面R52Bでなる光ビームを回折させない(すなわち直進させる)と共に透過断面R52A及びR52Cでなる光ビームを図の左方向へ回折させる。さらにシリンドリカルレンズ152は、分割導光部157を通過した光ビームを図36(A)における横方向に広げさせた上で、フォトディテクタ153へ照射させる。
これに応じてフォトディテクタ153は、図36(B)に示すように、透過断面R52A及びR52Cが左右方向に広げられたような形状でなるビームスポットP52A及びP52Cが検出領域153A及び153Cにまたがるように形成され、透過断面R52Bが左右方向に広げられたような形状でなるビームスポットP52Bが検出領域153B及び153Dにまたがるように形成される。
ここでフォトディテクタ153では、光ディスク100がBD−ROMディスクであった場合と同様、検出領域153A及び153Cの境界線がビームスポットP52A及びP52Cのほぼ中心となり、且つ検出領域153B及び153Dの境界線がビームスポットP52Bのほぼ中心となるような位置に設けられている。
これによりフォトディテクタ153は、検出領域153C、153A、153B及び153Dにおいて、それぞれ透過断面R52A及びR52Cの左半分、右半分、透過断面R52Bの左半分及び右半分に相当するビームスポットが形成されることになる。
この結果、検出領域153Aは、第2の実施の形態におけるビームスポットP22B及びP22F(図27(B))に相当する光量を検出することになるため、検出信号S22Bと同等の検出信号S52Aを生成する。
また検出領域153Bは、第2の実施の形態におけるビームスポットP22C(図27(B))に相当する光量を検出することになるため、検出信号S22Cと同等の検出信号S52Bを生成する。
さらに検出領域153C及び153Dにおいても、同様に第2の実施の形態における検出信号S22A及びS22Dと同等の検出信号S52C及びS52Dを生成する。
この結果、光ディスク装置30(図8)は、(5)式と対応する(11)式に従い、検出信号S52A〜S52Dを用いてトラッキングエラー信号STE52を算出することができ、当該トラッキングエラー信号STE52を基に、BD−REディスクである光ディスク100(図8)に対応した1ビームPP法によるトラッキング制御を行うことができる。
このように第5の実施の形態における光ピックアップ150は、光ディスク100の種類に応じて、分割導光部156又は157により反射光ビームL13を前後方向に分割し、フォトディテクタ52における各検出領域の境界によって各ビームスポットを分割することにより、第1の実施の形態における光ピックアップ36と同様に、反射光ビームL13を4つの検出領域153A〜153Dに振り分けられた状態で検出することができる。
(6−3)動作及び効果
以上の構成において、第5の実施の形態による光ピックアップ150は、第1の実施の形態と同様に、光ディスク100の種類がBD−ROMディスク又はBD−REディスクのいずれであるかに応じて、システムコントローラ31の制御に基づき分割導光パターン切換部151(図34)のアクティブ波長板65における液晶セルへの印加電圧を切り換えることにより反射光ビームL13の偏光方向を切り換える。
続いて光ピックアップ130は、反射光ビームL13の偏光方向に応じて、分割導光部156又は157により当該反射光ビームL13を部分毎に回折又は透過させ、さらにシリンドリカルレンズ152により図35(A)又は図36(A)における横方向に広げさせた上で、当該反射光ビームL13を検出領域153A及び153Cと、検出領域153B及び153Dとにそれぞれまたがるように照射させる。
ここで分割導光部156が作用する場合、フォトディテクタ153の検出領域153A、153B、153C及び153Dには、図35(B)に示したように、それぞれビームスポットP21B、P21C、P21A及びP21D(図26(B))に相当する、ビームスポットP51Bの右半分、P51Aの左半分、P51Bの左半分及びP51Aの右半分が形成される。
また分割導光部157が作用する場合、フォトディテクタ153の検出領域153A、153B、153C及び153Dには、図36(B)に示したように、それぞれビームスポットP22B及びP22F、P22C、P22A及びP22E、並びにP22D(図27(B))に相当する、ビームスポットP52A及びP52Cの右半分、P52Bの左半分、P52A及びP52Cの左半分、並びにP52Bの右半分がそれぞれ形成される。
従って光ピックアップ150は、第1の実施の形態における光ピックアップ36と同様、反射光ビームL13の分割パターンを切り換えることにより、フォトディテクタ153の検出領域153A〜153Dにおいて、DPD法によるトラッキングエラー信号STE51を生成するための検出信号S51A〜S51Dをそれぞれ直接生成することができ、或いは1ビームPP法によるトラッキングエラー信号STE52を生成するための検出信号S52A〜S52Dをそれぞれ直接生成することができる。
このため光ピックアップ130は、第1の実施の形態における光ピックアップ36と同様の作用効果を得ることができる。
このとき光ピックアップ150は、分割導光部156及び157では反射光ビームL13を前後方向に関してのみ分割するものの、フォトディテクタ153における各検出領域の境界部分を利用して各ビームスポットを左右方向に分割することにより、結果的に4つの検出領域153A〜153DにおいてDPD法又は1ビームPP法のいずれによるトラッキングエラー信号にも対応し得る4種類の検出信号S51A〜S51D又はS52A〜S52Dを直接的に生成することができる。
この場合、光ピックアップ150は、仮にフォトディテクタ153の取付位置が反射光ビームL13の光軸から左右方向にずれていた場合、検出領域153A及び153C、並びに検出領域153B及び153Dに形成されるビームスポットの割合が偏り、検出信号も変化することになる。
このとき光ピックアップ150は、このビームスポットから検出した光量の偏り度合いを利用することにより、反射光ビームL13の光軸に対するフォトディテクタ153のずれ量を逆算することもできる。このことを利用して、例えば光ピックアップ150の製造工程において、フォトディテクタ153の取付位置を微調整する場合などに、このビームスポットの偏り度合いに応じた調整作業を行うことにより、フォトディテクタ153を反射光ビームL13の光軸に合わせることも可能となる。
また光ピックアップ150は、分割導光部156又は157により、反射光ビームL13を部分的に左方向へ回折させると共に透過(すなわち直進)させており、右方向へ回折させていない。このため、フォトディテクタ153は、右方向及び左方向の両方へ回折させる光ピックアップ36(図9)におけるフォトディテクタ52(図14)と比較して、検出領域を左右方向に関して小さく構成することができ、光ピックアップ150全体の小型化や軽量化に寄与することができる。
さらに光ピックアップ150は、シリンドリカルレンズ152により反射光ビームL13を図34における左右方向に広げることにより、検出領域153A〜153Dに照射されるビームスポットを広げることができる。これにより光ピックアップ150は、当該シリンドリカルレンズ152を用いなかった場合と比較して、当該検出領域153A〜153Dをより広く利用して各光量を検出する際の信頼性を向上させることができる。
さらに光ピックアップ150は、分割導光部156の導光領域156A及び分割導光部157の導光領域157Aにホログラムが形成されていないため、第2の実施の形態における分割導光部126のように反射光ビームL13が照射される全面にホログラムが形成されている場合よりも、光ビームの透過効率を向上させることができる。
以上の構成によれば、第5の実施の形態による光ピックアップ150は、光ディスク100の種類に応じて、分割導光パターン切換部151のアクティブ波長板65により反射光ビームL13の偏光方向を切り換えることにより、当該反射光ビームL13の偏光方向に応じて分割導光部156又は157によって当該反射光ビームL13を部分毎に回折又は透過させて反射光ビームL13を前後方向に分割することができ、フォトディテクタ153における各検出領域の境界によって各ビームスポットを左右方向に分割することができるので、フォトディテクタ153の4つの検出領域153A〜153Dによって、第1の実施の形態における光ピックアップ36と同様に、DPD法によるトラッキングエラー信号STE51を生成するための検出信号S51A〜S51Dをそれぞれ直接生成することができ、或いは1ビームPP法によるトラッキングエラー信号STE52を生成するための検出信号S52A〜S52Dをそれぞれ直接生成することができる。
(7)第6の実施の形態
(7−1)光ピックアップの構成
第6の実施の形態では、光ピックアップ160(図33)において、光ピックアップ150の分割導光パターン切換部151に代えて分割導光パターン切換部161が設けられている点が異なっているものの、他は当該光ピックアップ150と同様に構成されている。
図34と対応する図37に示すように、分割導光パターン切換部161は、第2の実施の形態における分割導光パターン切換部124(図24)と同様に、分割導光部164が形成されたスライド板163をアクチュエータ(図示せず)により前方向又は後方向(すなわち図37の手前側又は奥側)へ動かすようになされている。
これにより分割導光パターン切換部161は、分割導光パターン切換部124と同様、分割導光部164に対する反射光ビームL13の照射箇所を切り換えることができ、この結果、反射光ビームL13の分割パターンを切り換えることができる。また光ピックアップ160は、光ピックアップ150と同様に、分割後の反射光ビームをシリンドリカルレンズ152により横方向へ広げた後、フォトディテクタ153へ照射させるようになされている。
(7−2)反射光ビームの分光
分割導光部164は、図38(A)及び図39(A)に示すように、第2の実施の形態における分割導光部126(図25)と比較して、横方向に分割されておらず前後方向に3分割されている点が異なっている。
分割導光部164の導光領域164A及び164Cは、分割導光部157の導光領域157A及び157Cと対応しており、ブレーズドHOEでなるホログラムが形成され、反射光ビームL13の一部を左方向へ回折させるようになされている。一方、導光領域164Bは、ホログラムが形成されていないため、反射光ビームL13の一部をそのまま透過させるようになされている。
(7−2−1)DPD法によるトラッキングエラー信号の生成
実際上、光ピックアップ160(図33)は、光ディスク100がBD−ROMディスクであった場合、分割導光パターン切換部161(図24)によりスライド板163を前方向に移動させることにより、図38(A)に示すように、導光領域164B及び164Cの中心に、反射光ビームL12が分割導光板164を透過する際における透過断面R61の中心を重ねさせる。
これにより分割導光板164は、2つの導光領域164B及び164Cによって、第5の実施の形態における分割導光板156の導光領域156A及び156Bと同様に、透過断面R61Aでなる光ビームを回折させない(すなわち直進させる)と共に透過断面R61Bでなる光ビームを図の左方向へ回折させる。さらにシリンドリカルレンズ152は、分割導光部164を通過した各光ビームを図38(A)における横方向に広げさせた上で、フォトディテクタ153へ照射させる。
これに応じてフォトディテクタ153は、図38(B)に示すように、透過断面R61Aが左右方向に広げられたような半楕円形状でなるビームスポットP61Aが検出領域153B及び153Dにまたがるように形成され、透過断面R51Bが左右方向に広げられたような半楕円形状でなるビームスポットP51Bが検出領域153A及び153Cにまたがるように形成される。
この結果、検出領域153Aは、第5の実施の形態と同様の光量を検出することになるため、第2の実施の形態における検出信号S21Bと同等の検出信号S61Aを生成することができる。
また他の検出領域153B、153C及び153Dにおいても、同様に第2の実施の形態における検出信号S21C、S21A及びS21Dと同等の検出信号S61B、S61C及びS61Dを生成することができる。
この結果、光ディスク装置30(図8)は、第5の実施の形態と同様の演算処理により、検出信号S61A〜S61Dの位相差を用いてトラッキングエラー信号STE61を算出することができ、当該トラッキングエラー信号STE61を基に、BD−ROMディスクである光ディスク100(図8)に対応したDPD法によるトラッキング制御を行うようになされている。
(7−2−2)1ビームPP法によるトラッキングエラー信号の生成
一方、光ピックアップ160(図33)は、光ディスク100がBD−REディスクであった場合、分割導光パターン切換部161(図37)によりスライド板125を後方向に移動させ、図39(A)に示すように、導光領域164Bのほぼ中心に、反射光ビームL12が分割導光板164を透過する際における透過断面R62の中心を重ねさせる。
これにより分割導光板164は、3つの導光領域164A〜164Cによって、第5の実施の形態における分割導光板157の導光領域157A〜157Cと同様に、透過断面R62Bでなる光ビームを回折させない(すなわち直進させる)と共に透過断面R62A及びR62Cでなる光ビームを図の左方向へ回折させる。さらにシリンドリカルレンズ152は、分割導光部164を通過した光ビームを図39(A)における横方向に広げさせた上で、フォトディテクタ153へ照射させる。
これに応じてフォトディテクタ153は、図39(B)に示すように、透過断面R62Aが左右方向に広げられたような形状でなるビームスポットP62A及びP62Cが検出領域153A及び153Cにまたがるように形成され、透過断面R62Bが左右方向に広げられたような形状でなるビームスポットP62Bが検出領域153B及び153Dにまたがるように形成される。
この結果、検出領域153Aは、第5の実施の形態と同様の光量を検出することになるため、第2の実施の形態における検出信号S22Bと同等の検出信号S62Aを生成することができる。
また他の検出領域153B、153C及び153Dにおいても、同様に第2の実施の形態における検出信号S22C、S22A及びS22Dと同等の検出信号S62B、S62C及びS62Dを生成することができる。
この結果、光ディスク装置30(図8)は、第5の実施の形態と同様、(5)式と対応する(12)式に従い、検出信号S62A〜S62Dを用いてトラッキングエラー信号STE62を算出することができ、当該トラッキングエラー信号STE62を基に、BD−ROMディスクである光ディスク100(図8)に対応した1ビームPP法によるトラッキング制御を行うようになされている。
このように第6の実施の形態では、分割導光パターン切換部161において分割導光部164が形成されたスライド板163を前方向又は後方向へ動かすといった機械的な切換手法により、反射光ビームL13を第5の実施の形態と同様に分割してフォトディテクタ153へ照射するようになされている。
(7−3)動作及び効果
以上の構成において、第6の実施の形態による光ピックアップ150は、第2の実施の形態における光ピックアップ120と同様に、光ディスク100の種類がBD−ROMディスク又はBD−REディスクのいずれであるかに応じて、システムコントローラ31の制御に基づき分割導光パターン切換部161(図37)のスライド板162を前方向又は後方向へ移動させることにより分割導光部164に対する反射光ビームL13の照射位置を切り換える。
さらに光ピックアップ160は、分割導光部164における反射光ビームL13の照射位置に応じて当該反射光ビームL13を部分毎に回折又は透過させ、さらにシリンドリカルレンズ152により図38(A)又は図39(A)における横方向に広げさせた上で、当該反射光ビームL13を検出領域153A及び153Cと、検出領域153B及び153Dとにそれぞれまたがるように照射させる。
これにより光ピックアップ160は、第5の実施の形態における光ピックアップ150と同様、フォトディテクタ153の検出領域153A〜153Dにおいて、DPD法によるトラッキングエラー信号STE51を生成するための検出信号S51A〜S51Dをそれぞれ直接生成することができ、或いは1ビームPP法によるトラッキングエラー信号STE52を生成するための検出信号S52A〜S52Dをそれぞれ直接生成することができる。
また光ピックアップ160は、第5の実施の形態における光ピックアップ150と同様の作用効果を得ることができる。
以上の構成によれば、第6の実施の形態による光ピックアップ160は、光ディスク100の種類に応じて、分割導光パターン切換部161のスライド板162を移動させて分割導光部164に対する反射光ビームL13の照射位置を切り換えることにより、反射光ビームL13を前後方向に分割することができ、さらにフォトディテクタ153における各検出領域の境界によって各ビームスポットを横方向へ分割することができるので、フォトディテクタ153の4つの検出領域153A〜153Dによって、第1の実施の形態における光ピックアップ36と同様に、DPD法によるトラッキングエラー信号STE61を生成するための検出信号S61A〜S61Dをそれぞれ直接生成することができ、或いは1ビームPP法によるトラッキングエラー信号STE62を生成するための検出信号S62A〜S62Dをそれぞれ直接生成することができる。
(8)他の実施の形態
なお上述した第1の実施の形態においては、分割導光パターン切換部61の液晶素子でなるアクティブ波長板65により反射光ビームL13の偏光方向を切り換え、板状部材54A及び54Bを複屈折材料で構成すると共に回折作用を呈する偏光方向が互いに異なるように構成することにより、ブレーズド偏光HOEが形成された分割導光部66及び67によって反射光ビームL13の分割パターンを切り換えるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、他の種々の切り換え手段により当該反射光ビームL13の分割パターンを切り換えるようにしても良い。
例えば、「領域分割アクティブ波長板」と「ウォラストンプリズム」との組み合わせにより反射光ビームL13を分割すると共にその屈折方向を変化させるようにする等、反射光ビームL13の光学的特性を変化させることにより当該反射光ビームL13の分割パターンを切り換える種々の手法を用いても良い。
或いは、例えば「領域分割アクティブ波長板」と「偏光HOE」との組み合わせにより反射光ビームL13を分割すると共に一部領域の偏光を回転させ、その回折方向を変化させることにより当該反射光ビームL13の分割パターンを切り替える種々の手法を用いても良い。
さらには、例えば「ブレーズHOE液晶」のように、液晶素子自体により光路上の位相差を形成することにより反射光ビームL13を分割すると共にそれぞれ進行方向を変化させるようにし、液晶のパターンを変化させることにより当該反射光ビームL13の分割パターンを切り換えるようにしても良く、或いは、図1に示したように複数の分割導光板をメカニカルに切り換えることにより当該反射光ビームL13の分割パターンを切り換えるようにしても良い。
また上述した第1の実施の形態においては、光ピックアップ36の光集積素子40において、アクティブ波長板65、分割導光部66及び67を一体に構成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば当該アクティブ波長板65、分割導光部66及び67を光集積素子40からそれぞれ独立させて構成するようにしても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、SSD法によるフォーカスエラー信号SFEを生成することとの兼ね合いから、分割導光部66及び67において分割光ビームL16A〜L16D及びL17A〜L17Fを左方向又は右方向へのみ回折させるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えばフォーカスエラー信号SFEを他の手法によって生成する場合に、図6(A)及び(B)に示したように、分割光ビームL16A〜L16D及びL17A〜L17Fを種々の方向へ回折させるようにしても良い。
すなわち、フォトディテクタ上の所定箇所に設けられた各検出領域に対して、トラッキングエラー信号の生成に用いる検出信号を直接生成し得るように分割光ビームをそれぞれ照射させ、分割導光パターン切換部61等によりその照射パターンを切り換えられるようにすれば良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、分割導光部66及び67の導光領域66A〜66D(図12(A))及び67A〜67F(図13(A))にブレーズドHOEを形成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、二方向に回折する一般的な回折格子やホログラム等を用いるようにしても良い。この場合、フォトディテクタ52の検出領域において各回折光を検出するように回折方向を設定すると共に検出領域を配置すれば良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、反射光ビームL13の偏光方向を左右方向としたときを光ディスク100がBD−ROMディスクであった場合に対応させ、当該反射光ビームL13の偏光方向を前後方向としたときを光ディスク100がBD−REディスクであった場合に対応させるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、これと反対に反射光ビームL13の偏光方向を前後方向としたときを光ディスク100がBD−ROMディスクであった場合に対応させ、当該反射光ビームL13の偏光方向を左右方向としたときを光ディスク100がBD−REディスクであった場合に対応させるようにしても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、図13(A)及び図20に示したように、分割導光部67において導光領域67C及び67Dの中心側における一部分がそれぞれ中心側へ突出され領域67CX及び67DXを形成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば層間迷光の影響が無視できるような場合に、図13(A)と対応する図40に示すように、分割導光部67に代えて、領域67CX及び67DXを持たない分割導光部170を用いるようにし、或いは分割導光板21(図4(C))と同様に導光領域67Gを持たない分割導光部を用いるようにしても良い。さらには、他のトラッキング制御手法を用いる場合に、当該トラッキング手法に応じた分割パターンに従い分割された分割導光部を用いるようにしても良い。また、反射光ビームL13を分割せずにフォトディテクタ52へ照射させるような分割導光部を用いるようにしても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、分割導光パターン切換部61において2通りの分割パターンのいずれかに切り換えるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えばDVD−R(Digital Versatile Disc-Recordable)に対してBD−ROMディスク用のトラッキング制御又はBD−REディスク用のトラッキング制御とは異なるトラッキング制御を行う場合等、3通り以上の分割パターンのいずれかに切り換えるようにしても良い。
このとき、分割パターンの数が多い場合に反射光ビームL13の偏光方向を切り換えるだけでは全ての分割パターンに対応し得ない可能性があるため、必要に応じて、例えば多数の分割導光板をメカニカルに切り換える等の手法を用いれば良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、光ディスク100がBD−ROMディスク又はBD−REディスクのいずれであるかに応じて、光ディスク装置30が分割導光パターン切換部61の分割パターンを切り換えるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば光ディスク100がBlu−ray Disc(登録商標)又はDVDのいずれであるかに応じて分割導光パターン切換部61の分割パターンを切り換えるようにし、或いは光ディスク100が1層ディスク又は2層ディスクのいずれであるかに応じて分割導光パターン切換部61の分割パターンを切り換えるようにする等、種々の切換条件に応じて分割パターンを切り換えるようにしても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、光ディスク100がBD−ROMディスク又はBD−REディスクのいずれであるかに応じて、光ディスク装置30が分割導光パターン切換部61における分割パターンを切り換えるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば光ディスク100が光ディスク装置30に装填された直後のスタートアップ動作時及び温度変化などに伴うキャリブレーション動作時と、通常の記録及び再生を行う定常動作時とで、分割導光パターン切換部61における分割パターンを切り換えるようにする等、種々の切換条件に応じて分割パターンを切り換えるようにしても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、トラッキングエラー信号STEの生成に用いる検出信号を生成するための分割光ビームの分割パターンを、分割導光パターン切換部61により切り換えるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば複数のフォーカス制御手法を切り換える場合に、フォーカスエラー信号SFEの生成に用いる検出信号を生成するための分割光ビームの分割パターンを分割導光パターン切換部61により切り換えるようにし、或いは複数の再生RF信号生成手法を切り換える場合に、再生RF信号の生成に用いる検出信号を生成するための分割光ビームの分割パターンを分割導光パターン切換部61により切り換えるようにする等、種々の信号を生成する複数の手法を切り換える場合に分割パターンを切り換えるようにしても良い。
さらに上述した実施の形態においては、光ディスク装置30において光ディスク100から情報を再生する際におけるトラッキングエラー信号の生成時に本発明を適用する場合について述べたが、これに限らず、例えば当該光ディスク100に情報を記録する際におけるトラッキングエラー信号の生成時に本発明を適用するようにしても良い。
さらに上述した実施の形態においては、略円盤状の光ディスク100を光記録媒体として用いる光ディスク装置30に本発明を適用するようにした場合について述べたが、これに限らず、例えば円筒状の光ドラムや矩形板状の光チップ、或いはテープ状の光テープを光記録媒体として用いる光記録装置等、種々の光記録媒体を用いて光ビームにより情報を読み出す光情報装置に本発明を適用するようにしても良い。
さらに上述した実施の形態においては、検出器としてのフォトディテクタ52と、導光手段としての分割導光部66及び67と、切換制御部としてのアクティブ波長板65とによって光ピックアップとしての光ピックアップ36を構成する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる検出器と、導光手段と、切換制御部とによって光ピックアップを構成するようにしても良い。
さらに上述した実施の形態においては、検出器としてのフォトディテクタ52と、導光手段としての分割導光部66及び67と、切換制御部としてのアクティブ波長板65と、統括制御部としてのシステムコントローラ31とによって光情報装置としての光ディスク装置30を構成する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる検出器と、導光手段と、切換制御部と、統括制御部とによって光情報装置を構成するようにしても良い。
1、1A〜1D、2、2A〜2F、3、3A〜3H、22A〜22D、52A〜52M……検出領域、10、30……光ディスク装置、11、36、120、130、140、150、160……光ピックアップ、20、21……分割導光板、22、52、153……フォトディテクタ、24、61、124、131、151、161……分割導光パターン切換部、31……システムコントローラ、40……光集積素子、54、142……偏光フィルタ部、54A〜54D……板状部材、64……フォーカスサーボ用ホログラム、65……アクティブ波長板、66、67、126、133、134、135、156、157、164、170……分割導光部、66A〜66D、67A〜67G、126A〜126F、133A〜133H、134A〜134H、135A〜135H、156A、156B、157A〜157C、164A〜164C、170A〜170G……導光領域、100……光ディスク、L12、L13、L14、L15……反射光ビーム、L16A〜L16D、L17A〜L17G……分割光ビーム、P1A〜P1D、P2A〜P2F、P11A〜P11D、P12A〜P12G……ビームスポット。