JP2004087072A - 光ピックアップとこれを用いる光情報処理装置 - Google Patents

光ピックアップとこれを用いる光情報処理装置 Download PDF

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Abstract

【課題】青色,DVDの2世代、またはCDを含む3世代の互換を簡素化した構成で、対物レンズと光記録媒体のワーキングディスタンスを確保し、変動に伴う収差劣化を小さくする。
【解決手段】青色波長帯域のNA0.59〜0.70の青色系光記録媒体と赤色波長帯域のNA0.59〜0.66のDVD系光記録媒体を、単一の開口で互換できる対物レンズを選択し、波長選択性を有する誘電体光学多層膜が施されていない中心部領域の入力光束径φ3では青色,赤色,赤外波長帯域の光に対して高透過率、周辺部領域の入射光束径φ3の外周からφ1(φ1=φ2)までの領域では、青色,赤色波長帯域の光に対してのみ高透過率で、赤外波長帯域の光には低透過率となる開口切換手段を備え、赤外波長帯域のNA0.44〜0.51のCD系光記録媒体との互換が可能とする。
【選択図】  図14

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光記録媒体に対して情報の記録,再生,消去の少なくともいずれか1以上を行う光ピックアップとこれを用いる光情報処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
映像情報、音声情報、またはコンピュータにおいて処理されるデータを保存する手段として、記録容量0.65GBのCD、記録容量4.7GBのDVDなどの光記録媒体が普及しつつある。そして、近年、さらなる記録密度の向上および大容量化の要求が強くなっている。具体的には、HD(High Definition)−TVを2時間(映画1本分)記録できる22GBの容量の必要性が挙げられている。
【0003】
このような光記録媒体の記録密度を上げる手段としては、光記録媒体に情報の書き込みまたは読み出しを行う光ピックアップにおいて、対物レンズの開口数(NA)を大きくすること、あるいは、光源の波長を短くすることにより、この対物レンズによって集光され、光記録媒体上に形成されるビームスポットの小径化が有効である。
【0004】
そこで、例えば、「CD系光記録媒体」では、対物レンズの開口数が0.50、光源の波長が780nmとされているのに対して、「CD系光記録媒体」よりも高記録密度化がなされた「DVD系光記録媒体」では、対物レンズの開口数が0.65(より詳細には0.59〜0.66の範囲を仕様とする)、光源の波長が660nmとされている。そして、光記録媒体は、前述したように、さらなる記録密度の向上および大容量化が望まれている。
【0005】
そのためには、対物レンズの開口数を0.65よりもさらに大きく、あるいは、光源の波長を660nmよりもさらに短くすることが望まれている。このような大容量の光記録媒体および光情報処理装置として、例えば、非特許文献1などに挙げられている、青色の波長領域の光源とNA0.85の対物レンズを用いて、22GB相当の容量確保を満足するシステム提案がある。
【0006】
【特許文献1】
特許第3240846号
【特許文献2】
特許第2713257号
【特許文献3】
特許第2725653号
【特許文献4】
実用新案登録第3036314号
【特許文献5】
特開2001−216676号
【特許文献6】
特開2000−187870号
【非特許文献1】
ISOM2001 予稿集「Next Generation Optical Disc」Hiroshi Ogawa、p6〜7
【非特許文献2】
宮川直康「多値記録を用いた相変化光メモリ」オプトロニクス、2001年11月号、vol.20 No239、p149〜154
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、対物レンズの開口数を大きくする(高NA化)ためには、焦点距離の短いレンズを用いる必要がある。そのために、対物レンズと光記録媒体との物理的距離を意味するワーキングディスタンスが短くなってしまう。そして、非特許文献1に挙げられているシステムでは、ワーキングディスタンスは0.15mmと、従来のCDやDVDの1/10程度である。ワーキングディスタンスが短くなると、光記録媒体と対物レンズの衝突による破損などが生じやすくなるという問題がある。
【0008】
さらに、対物レンズの開口数をより大きく、あるいは光源の波長をより短くすると、レンズの製造誤差、光記録媒体の透明基板の厚み誤差などによって生じる球面収差の影響が顕著となる。光記録媒体の透明基板の厚み誤差によって発生する球面収差は、一般的に以下の(数1)で与えられる。
【0009】
【数1】
40=((n−1)/(8n))×(d×NA/λ)
ここで、nは光記録媒体の透明基板の屈折率、dは透明基板の厚み、NAは対物レンズの開口数、λは光源の波長である。
【0010】
この(数1)から、短波長、高NAほど収差が大きくなることがわかる。同様に、光ピックアップ中の光学部品、とくに光記録媒体への集光に用いられる対物レンズの製造誤差も短波長、高NAほど収差の劣化が大きくなる。
【0011】
また、前記高NA化・短波長化による新規格が近年実現する一方、利用者の手元には、従来の光記録媒体であるCD,DVDが存在する。これら従来の光記録媒体と前述した青色波長帯域を用いた大容量の新規格光記録媒体をともに同一の光情報処理装置で取り扱えることが望ましい。最も簡単な方法としては、従来の光ピックアップと、新規格用光ピックアップをともに搭載する方法がある。しかし、この方法では、小型化、低コスト化を達成することは難しい。
【0012】
例えば、DVDとCDの2世代互換では、特許文献1,特許文献2,特許文献3,特許文献4に記載されている開口切換手段、また、特許文献5に記載されている大容量光記録媒体とDVDとの開口切換手段が必要とされている。
【0013】
このような世代互換を実現する場合、一般に複数の光学部品を設置すること、さらに個々の部品が煩雑となり、光ピックアップの大型化、高コスト化を招き、各機能の集約、小型化が課題として挙げられる。
【0014】
また、3世代互換を達成するためには、特許文献6に記載されているような3段階の開口切換手段がある。しかしながら、開口切換手段は多段階にするに伴い、波面特性,透過率特性などの性能保証が困難となり、この設計・製造手法が煩雑となるという課題があった。
【0015】
さらに、前記のようなNA0.85の光学系では、DVD,CDに対して、十分なワーキングディスタンスを確保することはできず、互換は不可能であるという問題があった。
【0016】
本発明は、前記従来技術の問題を解決することに指向するものであり、青色,DVDの2世代、あるいは青色,DVD,CDの3世代の互換を部品点数の増加や煩雑化させることなく実現して、対物レンズと光記録媒体とのワーキングディスタンスを十分に確保し、変動に伴う収差劣化の小さい光ピックアップとこれを用いる光情報処理装置を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、本発明に係る請求項1記載の光ピックアップは、光記録媒体に対して情報の記録,再生,消去の少なくともいずれか1以上を行う光ピックアップであって、波長λ1の光源と、波長λ2の光源と、光源光を光記録媒体に集光照射する単一の対物レンズとを備え、対物レンズに一定の開口を設け、波長λ1,λ2(λ1<λ2)に対して、各波長の実効的開口数NA(λ1),NA(λ2)が、次の条件「NA(λ1)>NA(λ2)」を満足する対物レンズを用いた構成によって、開口切換手段を備えることなく2世代互換を実現できる。
【0018】
また、請求項2に記載の光ピックアップは、光記録媒体に対して情報の記録,再生,消去の少なくともいずれか1以上を行う光ピックアップであって、波長λ1の光源と、波長λ2の光源と、波長λ3の光源と、光源光を光記録媒体に集光照射する単一の対物レンズとを備え、波長λ1,λ2,λ3(λ1<λ2<λ3)に対して、各波長の実効的開口数NA(λ1),NA(λ2),NA(λ3)が、次の条件「NA(λ1)≧NA(λ2)>NA(λ3)」を満足する対物レンズを用い、かつ対物レンズへ入射する各波長の入射光束径φ1,φ2,φ3が、次の条件「φ2>φ1>φ3」を満足する光源光とした構成によって、3世代互換を実現できる。
【0019】
また、請求項3に記載の光ピックアップは、光記録媒体に対して情報の記録,再生,消去の少なくともいずれか1以上を行う光ピックアップであって、波長λ1の光源と、波長λ2の光源と、波長λ3の光源と、光源光を光記録媒体に集光照射する単一の対物レンズとを備え、波長λ1,λ2,λ3(λ1<λ2<λ3)に対して、各波長の実効的開口数NA(λ1),NA(λ2),NA(λ3)が、次の条件「NA(λ1)≧NA(λ2)>NA(λ3)」を満足する対物レンズを用い、かつ対物レンズへ入射する各波長の入射光束径φ1,φ2,φ3が、次の条件「φ1=φ2>φ3」を満足する光源光とした構成によって、2段階の開口切換手段によって3世代互換を実現できる。
【0020】
また、請求項4〜6に記載された請求項1〜3の光ピックアップにおいて、前記対物レンズを、波長λ1の光源において収差最小の波面となるように形成したこと、前記対物レンズにおいて、波長λ1の光源点灯時には無限系の入射光束で使用し、波長λ2の光源または波長λ3の光源点灯時には有限系の入射光束で使用すること、前記波長λ1,λ2,λ3の光源が、青色波長帯域,赤色波長帯域,赤外波長帯域の光源である構成によって、青色波長帯域で最小となる単一の対物レンズに赤色波長帯域,赤外波長帯域において対物レンズで発生する球面収差を逆極性の球面収差により補正することができる。
【0021】
また、請求項7〜9に記載された請求項2〜6の光ピックアップにおいて、前記対物レンズに入射する光源からの入射光束径φ1,φ2,φ3を切り換える開口切換手段を備え、この開口切換手段において、光源光からの波長帯域に応じて、反射,回折,吸収のいずれかにより開口の切り換えを行うこと、さらに前記対物レンズに入射する光源からの入射光束径φ1,φ2,φ3の少なくともいずれか1つは楕円形状であること、また前記楕円形状の光束径が、タンジェンシャル方向に短軸を有する楕円形状である構成によって、開口の切り換えを行うと共に、光束径をタンジェンシャル方向に短軸の楕円形状として、多値記録を行う場合のスポット系を絞りS/Nを向上できる。
【0022】
また、請求項10〜13に記載された請求項1〜9の光ピックアップにおいて、前記対物レンズに入射する光源に応じて、入射光束に所定の位相を付加する位相補正手段を備えたこと、さらに、前記入射光束に所定の位相を付加する位相補正手段が、光記録媒体の種類を判別する記録媒体判別手段からの出力信号に基づいて、入射光束に付加する位相量を決定すること、また光記録媒体上に発生する球面収差を検出する球面収差検出手段からの出力信号に基づいて、入射光束に付加する位相量を決定すること、また光記録媒体の基板厚を検出する基板厚検知手段からの出力信号に基づいて、入射光束に付加する位相量を決定する構成によって、光学系全体で発生する球面収差に応じた逆極性の球面収差を与えることができる。
【0023】
また、請求項14〜16に記載された請求項1〜13の光ピックアップにおいて、前記光源の青色波長帯域および赤色波長帯域の光を略円偏光とする単一の波長板を備え、開口切換手段,位相補正手段,波長板の少なくともいずれか2つを一体形成したこと、さらに、前記波長板が、電気光学素子を用いた位相補正手段と一体に形成され、位相補正手段の表面または波長板の表面に開口切換手段を形成したこと、また前記対物レンズを、開口切換手段および/または位相補正手段および/または波長板と一体で可動する構成によって、3つの機能を一体共用した構成で、重量の低減,組み付け工数の簡略化ができ、対物レンズの移動に伴う光量の低減を抑制できる。
【0024】
また、本発明に係る請求項17に記載された光情報処理装置は、請求項1〜16のいずれか1項記載の光ピックアップを用いて、光記録媒体に対して情報の記録,再生,消去の少なくともいずれか1以上を行う光情報処理装置であって、青色波長帯域の光源により、NA0.59〜0.70で光照射側基板厚0.1〜0.6mmの光記録媒体、および赤色波長帯域の光源により、NA0.59〜0.66で光照射側基板厚0.6mmの光記録媒体、および赤外波長帯域の光源により、NA0.45〜0.55で光照射側基板厚1.2mmの光記録媒体に対して、前記光ピックアップにより情報の記録・再生・消去の1以上を行う構成によって、高NAの対物レンズを用いることなく3世代互換の光情報処理装置を実現できる。
【0025】
また、請求項18に記載された請求項17の光情報処理装置において、前記青色波長帯域,赤色波長帯域,赤外波長帯域の光源により各光記録媒体に情報の記録・再生・消去の1以上を行う光情報処理装置において、少なくともいずれか1つの光記録媒体上に、2値記録に対する情報記録密度増倍度P1の多値記録を行う光情報処理装置が、次の条件「P1>1.8」を満足する構成によって、大容量の光情報処理装置を実現できる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明における実施の形態を詳細に説明する。
【0027】
図1は本発明の実施の形態1における光ピックアップの概略構成を示すブロック図である。本実施の形態1は、青色波長帯域の使用波長407nmの光源、NA0.67、光照射側基板厚0.6mmの青色系(大容量)光記録媒体と、赤色波長帯域の使用波長660nmの光源、NA0.65、光照射側基板厚0.6mmのDVD系光記録媒体のそれぞれに対して、記録、再生、または消去を行う光ピックアップである。
【0028】
図1に示すように光ピックアップの要部は、青色波長帯域の光源である半導体レーザー101、コリメートレンズ102、偏光ビームスプリッタ103、ダイクロイックプリズム203、偏向プリズム104、位相補正手段105、1/4波長板106、対物レンズ108、検出レンズ110、光束分割手段111、受光素子112より構成される青色波長帯域の光が通過する青色光学系と、ホログラムユニット201、コリメートレンズ202、ダイクロイックプリズム203、偏向プリズム104、位相補正手段105、1/4波長板106、対物レンズ108から構成される赤色波長帯域の光が通過するDVD系の赤色光学系から構成されている。すなわち、ダイクロイックプリズム203、偏向プリズム104、位相補正手段105、1/4波長板106、対物レンズ108は2つの光学系の共通部品である。
【0029】
ここで、対物レンズ108は、青色波長帯域の使用波長407nmの光源、NA0.67、光照射側基板厚0.6mmの青色系光記録媒体において、収差が最小となる最良の波面を形成するように設計されている。
【0030】
まず、青色波長帯域の使用波長407nmの光源、NA0.67、光照射側基板厚0.6mmの青色系光記録媒体に記録、再生、または消去する場合について説明する。波長407nmの半導体レーザー101から出射した直線偏光の発散光は、コリメートレンズ102で略平行光とされ、偏光ビームスプリッタ103、ダイクロイックプリズム203を透過し、偏向プリズム104で光路を90度偏向され、位相補正手段105を透過し、1/4波長板106を通過して円偏光とされ、対物レンズ108に入射し、光記録媒体109上に微小スポットとして集光される。このスポットにより、情報の再生、記録あるいは消去が行われる。
【0031】
光記録媒体109から反射した光は、往路とは反対回りの円偏光となり、再び略平行光とされ、1/4波長板106を通過して往路と直交した直線偏光になり、偏光ビームスプリッタ103で反射され、検出レンズ110で収束光とされ、光束分割手段111により複数の光路に偏向分割され受光素子112に至る。受光素子112からは、収差信号、情報信号、サーボ信号が検出される。
【0032】
次に、赤色波長帯域の使用波長660nmの光源、NA0.65、光照射側基板厚0.6mmのDVD系光記録媒体に記録、再生、または消去する場合について説明する。近年、DVDの光ピックアップには受発光素子を1つのキャン(容器)の中に設置し、ホログラムを用いて光束の分離を行うホログラムユニットが一般的に用いられるようになってきた。
【0033】
図1において、201は、半導体レーザーのチップ201a、ホログラム201bおよび受光素子201cを一体化して構成されたホログラムユニットを示す。このホログラムユニット201の半導体レーザー201aから出射された660nmの光は、ホログラム201bを透過し、コリメートレンズ202で平行光とされ、青色波長帯域の光は透過し赤色波長帯域の光は反射させるダイクロイックプリズム203によって偏向プリズム104の方向に反射され、偏向プリズム104によって光路が90度偏向され、位相補正手段105において所定の位相が付加され、1/4波長板106を通過し円偏光とされ、対物レンズ108に入射し、光記録媒体109上に微小スポットとして集光される。後述する通り、このときの光記録媒体109への実効的開口数は、0.65程度となる。こうして形成されたスポットにより、情報の再生、記録あるいは消去が行われる。
【0034】
また、光記録媒体109から反射した光は、偏向プリズム104で偏向され、ダイクロイックプリズム203で反射され、コリメートレンズ202で収束光とされ、図2に示すように、ホログラム201bにより半導体レーザー201aと同一キャン内にある受光素子201c方向に回折されて受光素子201cに受光される。受光素子201cからは、収差信号、情報信号、サーボ信号が検出される。
【0035】
本実施の形態1における光ピックアップの構成は、青色波長帯域の光,DVD用の赤色波長帯域の光の2つの光源を備えたいわゆる2世代互換型の光ピックアップであり、この2世代互換をするにあたり開口切換手段を使用しない。
【0036】
一般に、青色波長帯域で最良の波面を有する対物レンズに、同一光束径の赤色帯域の光を無限系入射させた場合、屈折力が低下し、開口数が低くなる。逆に言うと、赤色波長帯域の光を通過させた場合に比べ、青色波長帯域の光を通過させたときの方が、NAが高くなり、短波長化と加えて大容量の光ピックアップが実現できる。一方、DVD世代はその仕様で、NAが0.59〜0.66の範囲に定められている。図3は、以下の特性を有する対物レンズを例として、
入射光束径φ  : 3.9mm
硝種      : BaCD5(HOYA社製)
光記録媒体基板厚: 0.6mm
青色波長407nmと赤色波長660nmの光を透過させたときのNAの関係を示すものである。図3から、例えば、DVD系の赤色波長の光でNA0.59〜0.66のとき、同一入射光束径の青色波長の光に対しては、NA0.61〜0.68程度になることを意味する。
【0037】
波長660nm、NA0.65のDVD系の光記録媒体に対して、同一開口の青色光学系は、波長407nm、NA0.67となり、容量は(数2)に比例するため、
【0038】
【数2】
(NA/λ)
ここで、λ:波長である。
DVD系光記録媒体に対して2.8倍の容量拡大が可能となる。
【0039】
なお、硝種はBaCD5に限らず、BaCD12,LaC130,BaF41,NbF1等が挙げられ、非球面モールド形成可能な硝材を選択することが望ましい。そして青色波長の光に対するNAは、この硝材選定によってもコントロールすることが可能である。
【0040】
次に、図4は本発明の実施の形態2の実施例1における光ピックアップの概略構成を示すブロック図である。本実施例1は、青色波長帯域の使用波長407nmの光源、NA0.65、光照射側基板厚0.6mmの青色系光記録媒体と、赤色波長帯域の使用波長660nmの光源、NA0.65、光照射側基板厚0.6mmのDVD系光記録媒体と、赤外波長帯域の使用波長780nmの光源、NA0.50、光照射側基板厚1.2mmのCD系光記録媒体のそれぞれに対して、記録、再生、または消去を行う光ピックアップである。
【0041】
図4に示すように光ピックアップの要部は、青色波長帯域の半導体レーザー101、コリメートレンズ102、偏光ビームスプリッタ103、ダイクロイックプリズム203,303、偏向プリズム104、位相補正手段105、1/4波長板106、開口切換手段107、対物レンズ108、検出レンズ110、光束分割手段111、受光素子112より構成される青色波長帯域の光が通過する青色光学系と、ホログラムユニット201、コリメートレンズ202、ダイクロイックプリズム203,303、偏向プリズム104、位相補正手段105、1/4波長板106、開口切換手段107、対物レンズ108から構成される赤色波長帯域の光が通過するDVD系の赤色光学系と、ホログラムユニット301、コリメートレンズ302、ダイクロイックプリズム303、偏向プリズム104、位相補正手段105、1/4波長板106、開口切換手段107、対物レンズ108から構成される赤外波長帯域の光が通過するCD系の赤外光学系から構成されている。
【0042】
すなわち、ダイクロイックプリズム203,303、偏向プリズム104、位相補正手段105、1/4波長板106、開口切換手段107、対物レンズ108は2乃至3つの光学系の共通部品である。
【0043】
まず、青色波長帯域の使用波長407nmの光源、NA0.65、光照射側基板厚0.6mmの青色系光記録媒体に記録、再生、または消去する場合について説明する。波長407nmの半導体レーザー101から出射した直線偏光の発散光は、コリメートレンズ102で略平行光とされ、偏光ビームスプリッタ103、ダイクロイックプリズム203,303を透過し、偏向プリズム104で光路を90度偏向され、位相補正手段105を透過し、1/4波長板106を通過し円偏光とされ、開口切換手段107においてNA0.65に制限され、対物レンズ108に入射し、光記録媒体109上に微小スポットとして集光される。このスポットにより、情報の再生、記録あるいは消去が行われる。
【0044】
光記録媒体109から反射した光は、往路とは反対回りの円偏光となり、再び略平行光とされ、1/4波長板106を通過して往路と直交した直線偏光になり、偏光ビームスプリッタ103で反射されて、検出レンズ110で収束光とされ、光束分割手段111により複数の光路に偏向分割され受光素子112に至る。受光素子112からは、収差信号、情報信号、サーボ信号が検出される。
【0045】
次に、赤色波長帯域の使用波長660nmの光源、NA0.65、光照射側基板厚0.6mmのDVD系光記録媒体に記録、再生、または消去する場合について説明する。また、DVDの光ピックアップにおける受発光素子は前述の実施の形態1で説明したホログラムユニットが用いられている。図4において、201は、半導体レーザーのチップ201a、ホログラム201bおよび受光素子201cを一体化して構成されたホログラムユニットを示す。このホログラムユニット201のレーザーチップ201aから出射された660nmの光は、ホログラム201bを透過し、コリメートレンズ202で平行光とされ、青色波長帯域の光は透過し赤色波長帯域の光は反射させるダイクロイックプリズム203によって偏向プリズム104の方向に反射され、偏向プリズム104によって光路が90度偏向され、位相補正手段105において所定の位相が付加され、1/4波長板106を通過し円偏光とされ、開口切換手段107において0.65に制限され、対物レンズ108に入射し、光記録媒体109上に微小スポットとして集光される。前述したように、このときの光記録媒体109への実効的開口数は、0.65程度となる。このスポットにより、情報の再生、記録あるいは消去が行われる。
【0046】
光記録媒体109から反射した光は、偏向プリズム104で偏向され、ダイクロイックプリズム203で反射され、コリメータレンズ202で収束光とされ、図4に示すようにホログラム201bにより半導体レーザー201aと同一キャン内にある受光素子201c方向に回折されて受光素子201cに受光される。受光素子201cからは、収差信号、情報信号、サーボ信号が検出される。
【0047】
さらに、赤外波長帯域の使用波長780nmの光源、NA0.50、光照射側基板厚1.2mmのCD系光記録媒体に記録、再生、または消去する場合について説明する。前述のDVD系と同様にCD系の光ピックアップも受発光素子を1つのキャンの中に設置し、ホログラムを用いて光束の分離を行うホログラムユニットが一般的に用いられる。図4において、301は、半導体レーザー301a、ホログラム301bおよび受光素子301cを一体化して構成されたホログラムユニットを示す。このホログラムユニット301の半導体レーザー301aから出射された780nmの光は、ホログラム301bを透過し、コリメートレンズ302で平行光とされ、青色と赤色波長帯域の光は透過し赤外波長帯域の光は反射させるダイクロイックプリズム303によって偏向プリズム104の方向に反射され、偏向プリズム104によって光路が90度偏向され、位相補正手段105において所定の位相が付加され、1/4波長板106を通過し楕円偏光あるいは円偏光とされ、開口切換手段107においてNA0.50に制限され、対物レンズ108に入射し、光記録媒体109上に微小スポットとして集光される。このスポットにより、情報の再生、記録あるいは消去が行われる。
【0048】
光記録媒体109から反射した光は、偏向プリズム104で偏向され、ダイクロイックプリズム303で反射され、コリメータレンズ302で収束光とされ、受光素子301c方向に回折されて受光素子301cに受光される。受光素子301cからは、収差信号、情報信号、サーボ信号が検出される。
【0049】
図5は本発明の実施の形態2の実施例2における光ピックアップの概略構成を示すブロック図である。本実施例2は実施例1と同じく、青色波長帯域の使用波長407nmの光源、NA0.65、光照射側基板厚0.6mmの青色系光記録媒体と、赤色波長帯域の使用波長660nmの光源、NA0.65、光照射側基板厚0.6mmのDVD系光記録媒体と、赤外波長帯域の使用波長780nmの光源、NA0.50、光照射側基板厚1.2mmのCD系光記録媒体のそれぞれに対して記録、再生、または消去できる光ピックアップである。
【0050】
図4に示す光ピックアップの構成と異なる点は、青色光学系も光源(半導体レーザー401a)と受光素子401cと光路分離手段(ホログラム401b)を単一パッケージに収めたホログラムユニット401を使用している点である。これにより、光学系の小型化、組付の簡素化が図れる。
【0051】
また、図6は本発明の実施の形態2の実施例3における光ピックアップの概略構成を示すブロック図である。本実施例3は実施例2と同じく、青色波長帯域の使用波長407nmの光源、NA0.65、光照射側基板厚0.6mmの青色系光記録媒体と、赤色波長帯域の使用波長660nmの光源、NA0.65、光照射側基板厚0.6mmのDVD系光記録媒体と、赤外波長帯域の使用波長780nmの光源、NA0.50、光照射側基板厚1.2mmのCD系光記録媒体のそれぞれに対して記録、再生、または消去できる光ピックアップである。
【0052】
図5に示す光ピックアップの構成と異なる点は、赤色/赤外波長帯域(DVD/CD系)の光源(半導体レーザー201a,301a)、受光素子201c,301c、光路分離手段(ホログラム501b)を単一パッケージに集約しホログラムユニット501とした点である。これにより、3波長帯域の光学系をより小型な光ピックアップとして実現することが可能である。なお、ホログラム501bとしては、図7に示すようにDVD用のホログラム面をもつ層とCD用のホログラム面をもつ層を備えた構成を用いる。
【0053】
前述の実施の形態1で説明したように、青色波長帯域で最良の波面を有する対物レンズに、同一光束径の赤色帯域の光を無限系入射させた場合、屈折力が低下し、開口数が低くなる。そのため、本実施の形態2では赤色波長帯域については、青色波長帯域での入射光束径φ1に比べ、大きな光束径φ2で入射させる。
【0054】
図8(a)は、以下の特性を有する対物レンズにおいて、
青色波長帯域使用時の入射光束径φ: 3.9mm
開口数(NA)         : 0.65
焦点距離(f)         : 1.7mm
硝種              : BaCD5
NA0.65となる有効径と波長の関係を示すものである。この図8(a)から、波長660nmを使用するDVD系光記録媒体の記録、再生時には光束径φ2を4.02mm程度にする必要があることがわかる。また、光束径φ1とφ2の関係は、対物レンズの硝種によっても異なる。図8(b)は図8(a)の対物レンズと同じφ1、焦点距離、開口数の対物レンズで、硝種を変化させたときの、φ2/φ1と、使用硝種のd線での屈折率ndの関係を示したものであり、対物レンズの硝種に応じて適当なφ2を選択してやればよい。
【0055】
一方、CD系光記録媒体を記録、再生するときの最適なNAは0.5程度であるが、図8(a)と同様の方法により、最適な有効径φ3を見積もると、φ3=3mm程度とすればよいことがわかる。
【0056】
また図9は、図8(a)と同じ対物レンズで、使用波長660nm、青色と同一の光束径φ1=φ2=3.9mmで使用する系において、波長660nm入射光の物体距離を変化させたときのNA値を示したものである。この図9から、波長660nmの光で、NA0.65とするためには物体距離−40mm程度となる収束光で使用すればよいことがわかる。
【0057】
前述のような点灯光源に応じて、光束径を切り換える手段としては、例えば、開口切換手段を用いればよい。開口切換手段は、波長帯域あるいは偏光方向に応じて、反射,回折,吸収のいずれかの光学特性を利用して光束径の切り換えを行うものであればよい。
【0058】
図10(a)の青色波長帯域の光束,図10(b)の赤色波長帯域の光束,図10(c)の赤外波長帯域の光束の開口切換手段に示すように、光源から出射される各光束の波長に応じて、これを反射によって光束径を切り換える波長選択性反射膜120を用いればよく、具体的には、波長選択性を有する誘電体光学多層膜を用いる。この光の透過特性は、図10(a),(b),(c)に示す誘電体光学多層膜が施されていない中心部領域の入射光束径φ3では青色波長帯域,赤色波長帯域,赤外波長帯域の光に対して高透過率で、周辺部領域の入射光束径φ3の外周から入射光束径φ1までの領域では、青色波長帯域と赤色波長帯域の光に対してのみ高透過率で、赤外波長帯域の光には低透過率となり、さらに周辺部領域の入射光束径φ1の外周から入射光束径φ2までの領域では、赤色波長帯域の光に対してのみ高透過率で、青色波長帯域と赤外波長帯域の光には低透過率となる。
【0059】
また、開口切換手段としては、光源から出射される光束の波長に応じて、図11(a),(b),(c)に示すように回折によって光束径を切り換える波長選択性を有する回折格子を形成した波長選択性回折格子121を用いればよい。図11(a)の青色波長帯域の光束,図11(b)の赤色波長帯域の光束,図11(c)の赤外波長帯域の光束における各光束の透過特性は、回折格子が施されていない中心部領域の入射光束径φ3では青色波長帯域,赤色波長帯域,赤外波長帯域の光に対して透過し、周辺部領域の入射光束径φ3の外周から入射光束径φ1までの領域では、青色波長帯域と赤色波長帯域の光に対しては作用せず、赤外波長帯域の光についてのみ回析させ、周辺部領域の入射光束径φ1の外周から入射光束径φ2までの領域では、赤色波長帯域の光に対しては作用せず、青色波長帯域と赤外波長帯域の光は回析させる。
【0060】
さらに、開口切換手段としては、光源から出射される光束の波長に応じて、図12(a),(b),(c)に示すように吸収によって光束径を切り換える波長選択性吸収膜122でもよい。
【0061】
なお、本実施の形態2における青色波長帯域のNA(λ1)は、DVD世代(赤色波長帯域)と略同一のものであり、例えば、DVD+RWにおいて仕様とされるNA(λ2)0.59〜0.66範囲を満たし、かつ各種の製造誤差によるわずかなばらつきを有してもよく、実際に(NA(λ1)−NA(λ2))<0.04程度の範囲にあればよい。
【0062】
以上のように、本実施の形態2によれば、これまでのDVD世代と略同等のNAにより、光源として青色波長領域のものを用いて、DVD用光ピックアップから大きな設計変更を伴わずに、十分なワーキングディスタンスを確保し、変動に伴う収差劣化も小さい状態で大容量化を実現できる。
【0063】
次に、本発明の実施の形態3について説明する。本実施の形態3において前述の実施の形態2と同様に、図4,図5,図6に概略構成のブロック図を示す光ピックアップにおいて、青色波長帯域の使用波長407nmの光源、NA0.67、光照射側基板厚0.6mmの青色系光記録媒体と、赤色波長帯域の使用波長660nmの光源、NA0.65、光照射側基板厚0.6mmのDVD系光記録媒体と、赤外波長帯域の使用波長780nmの光源、NA0.50、光照射側基板厚1.2mmのCD系光記録媒体のそれぞれに対して、記録、再生、または消去を行う。
【0064】
ここで、対物レンズ108は、青色波長帯域の使用波長407nmの光源、NA0.67、光照射側基板厚0.6mmの青色系光記録媒体において、収差が最小となる最良の波面を形成するように設計されている。
【0065】
まず、図4に示す光ピックアップにおける青色波長帯域の使用波長407nmの光源、NA0.67、光照射側基板厚0.6mmの青色系光記録媒体に記録、再生、または消去する場合を説明する。波長407nmの半導体レーザー101から出射した直線偏光の発散光は、コリメートレンズ102で略平行光とされ、偏光ビームスプリッタ103、ダイクロイックプリズム203,303を透過し、偏向プリズム104で光路を90度偏向され、位相補正手段105を透過し、1/4波長板106を通過し円偏光とされ、開口切換手段107では何ら作用を受けずに通過し、対物レンズ108に入射し、光記録媒体109上に微小スポットとして集光される。このスポットにより、情報の再生、記録あるいは消去が行われる。光記録媒体109から反射した光は、前述した実施の形態2の実施例1と同様に、受光素子112に至り、各信号が検出される。
【0066】
また、赤色波長帯域の使用波長660nmの光源、NA0.65、光照射側基板厚0.6mmのDVD系光記録媒体に記録、再生、または消去する場合を説明する。ホログラムユニット201のレーザーチップ201aから出射された660nmの光は、ホログラム201bを透過し、コリメートレンズ202で平行光とされ、青色波長帯域の光は透過し赤色波長帯域の光は反射させるダイクロイックプリズム203によって偏向プリズム104の方向に反射され、偏向プリズム104によって光路が90度偏向され、位相補正手段105において所定の位相が付加され、1/4波長板106を通過し円偏光とされ、開口切換手段107では何ら作用を受けずに通過し、対物レンズ108に入射し、光記録媒体109上に微小スポットとして集光される。前述したように、このときの光記録媒体109への実効的開口数は、0.65程度となる。このスポットにより、情報の再生、記録あるいは消去が行われる。そして、光記録媒体109から反射した光は、受光素子112に至り、各信号が検出される。
【0067】
さらに、赤外波長帯域の使用波長780nmの光源、NA0.50、光照射側基板厚1.2mmのCD系光記録媒体に記録、再生、または消去する場合においては、前述の実施の形態2と同様に開口切換手段107においてNA0.50に制限され、情報の再生、記録あるいは消去が行われ、光記録媒体109から反射した光は、受光素子112に至り、各信号が検出される。また、図5,図6に示す実施の形態2の光ピックアップにおいても同様である。
【0068】
本実施の形態3における光ピックアップの構成は、青色,赤色,赤外波長帯域の光の3つの光源を備えたいわゆる3世代互換型の光ピックアップであり、この3世代互換をするにあたり開口切換手段として、3段階の切り換えでなく従来から用いられている2段階の開口切換手段を使用する。
【0069】
青色波長帯域のNA0.59〜0.70の青色系光記録媒体と赤色波長帯域のNA0.59〜0.66のDVD系光記録媒体を、単一の開口で互換できることは実施の形態1で述べた通りである。さらに、本実施の形態3は、開口切換手段を備えることにより、赤外波長帯域のNA0.44〜0.51のCD系光記録媒体との互換も可能である。
【0070】
図13は、図3と同じ対物レンズで、赤外波長780nm、光記録媒体基板厚1.2mmで通過させたときNA0.44〜0.51となる有効径(入射光束径)φ3の範囲を示すものである。この図13から、例えば、青色波長帯域のNA0.65の対物レンズでは、φ3として2.78〜3.18mmの範囲のいずれかを選定すればよい。
【0071】
前述の実施の形態2と同様に、各光源に応じて、光束径を切り換える開口変換手段として、波長帯域あるいは偏光方向に応じて、反射,回折,吸収のいずれかの光学特性を利用して光束径の切り換えを行うものであればよい。
【0072】
図14(a)の青色波長帯域の光束,図14(b)の赤色波長帯域の光束,図14(c)の赤外波長帯域の光束の開口切換手段に示すように、光源から出射される各光束の波長に応じて、これを反射によって光束径を切り換える波長選択性反射膜120’を用いればよく、具体的には、波長選択性を有する誘電体光学多層膜を用いる。この光の透過特性は、図14(a),(b),(c)に示す誘電体光学多層膜が施されていない中心部領域の入射光束径φ3では青色波長帯域,赤色波長帯域,赤外波長帯域の光に対して高透過率で、周辺部領域の入射光束径φ3の外周から入射光束径φ1(φ1=φ2)までの領域では、青色波長帯域と赤色波長帯域の光に対してのみ高透過率で、赤外波長帯域の光には低透過率となる。
【0073】
また、開口切換手段としては、光源から出射される光束の波長に応じて、図15(a),(b),(c)に示すように回折によって光束径を切り換える波長選択性を有する回折格子を形成した波長選択性回折格子121’を用いればよい。図15(a)の青色波長帯域の光束,図15(b)の赤色波長帯域の光束,図15(c)の赤外波長帯域の光束における各光束の透過特性は、回折格子が施されていない中心部領域の入射光束径φ3では青色波長帯域,赤色波長帯域,赤外波長帯域の光に対して透過し、周辺部領域の入射光束径φ3の外周から入射光束径φ1(φ1=φ2)までの領域では、青色波長帯域と赤色波長帯域の光に対しては作用せず、赤外波長帯域の光についてのみ回折させる。
【0074】
さらに、開口切換手段としては、光源から出射される光束の波長に応じて、図16(a),(b),(c)に示すように吸収によって光束径を切り換える波長選択性吸収膜122’でもよい。
【0075】
ここまで、各波長に応じて光束径を切り換える開口切換手段について説明したが、光束径の切り換えはこれに限られるものではなく、偏光特性を利用してもよい。すなわち、赤色波長帯域と赤外波長帯域の光の偏光方向が直交するように光源を配置し、この直交する偏光方向に応じて開口を切り換えてもよい。
【0076】
また、開口切換手段から対物レンズに入射される入射光束径φ1,φ2,φ3において、この光束径の、少なくともいずれか1つは楕円形状であってもよく、また、この楕円形状としては、短軸をタンジェンシャル方向とする楕円形状であってもよい。一般に、対物レンズで集光される光ビームの光束においてエッジ強度が大きいほど、光スポット径は小さく絞られる。とくに、後述する多値記録を行うような場合、ラジアル方向に比べタンジェンシャル方向のスポット径を絞ることによりS/Nの向上が可能となる。
【0077】
また、前述の実施の形態1,2,3における青色波長帯域で球面収差が最小となる単一の対物レンズに、図17に示すような赤色波長帯域の光を無限系で入射させてDVD系光記録媒体にスポット形成させた場合、あるいは図18に示すように、赤外波長帯域の光を無限系で入射させてCD系光記録媒体にスポット形成させた場合、波長の違いあるいは基板厚みの違いに伴う球面収差が発生する。これを補正するため、この球面収差とは逆極性の球面収差を発生させる位相補正手段を備える。
【0078】
例えば、赤色(DVD)光学系あるいは赤外(CD)光学系として、対物レンズへの入射ビームを発散状態となる有限系を採用してもよい。DVD光学系やCD光学系を有限系とすることは、対物レンズへの入射光束を発散状態あるいは収束状態とすることを意味する。一般に対物レンズへの入射光束の発散状態を変化させることは、球面収差を変化させることと等価であるため、逆極性の球面収差を発生させることが可能となる。
【0079】
例えば、赤外波長域の光を無限系入射させてCD光記録媒体に集光させたときに発生する球面収差が、図19(a)のごときものであったとする。この球面収差を2次元曲線として示したのが図19(b)である。このような球面収差に対し、対物レンズへの入射光の発散状態を変化させると、図19(c)のような球面収差が補正後の球面収差として得られる。もとの球面収差よりも格段に小さくなる。このことから、球面収差を低減可能な発散状態を選べばよい。また、対物レンズと光源の間に、図1,4,5に示すようなコリメートレンズの代わりに光路長を短くするためのカップリングレンズを配置してもよい(図示せず)。
【0080】
この有限系を構成する光学系に対しては、位相補正手段は作用しない構成であってもよく。例えば、青色波長帯域と赤色波長帯域については無限系で、赤外波長帯域については有限系で入射させ、赤色波長帯域の光に対してのみ所定の位相補正を行う位相補正手段を備える構成であってもよい。
【0081】
さらに、この位相補正手段として、記録、再生する各光記録媒体に応じて所定の位相量を付加する手段であればよく、静的な手段、動的な手段のいずれでもよい。動的な手段を使用する場合、後述するような光記録媒体の媒体判別手段、または球面収差検知手段、または基板厚検知手段などを設けてこの出力信号に応じた所定の位相を与えればよい。
【0082】
まず、静的は位相補正手段について説明する。静的な位相補正手段として、例えば、図20(a)に示すようにガラス基板上に同心円状の位相シフタを形成すればよい。同心円状の位相シフタは、光源の波長帯域と、前記開口切換手段の光束径φ1,φ2,φ3に応じて、所定の位相が与えられるものであればよい。すなわち、青色波長帯域の光に対しては何ら作用せず、赤色波長帯域の光に対しては光束径φ2の範囲で図17に示す球面収差と逆極性の位相を与え、赤外波長帯域の光に対しては光束径φ3の範囲で図18に示す球面収差と逆極性の位相を与える位相シフタであればよい。
【0083】
位相シフタは、図20(b)のように階段状の断面形状を有するもので、このガラス基板の屈折率をni、隣接する各段の高さの差をhi、点灯する光源の波長をλiとしたとき、隣接する各段の位相差は(数3)で与えられる。
【0084】
【数3】
δi=2π(ni―1)hi/λi
青色波長帯域に対しては常にδ1=2π、赤色,赤外波長帯域では所定のδ2、δ3を満足するhiを選択すればよい。
【0085】
次に、動的な位相補正手段について説明する。動的な位相補正手段としては、例えば、液晶などの電気光学素子を用いればよい。液晶素子は、図21(a)に示すように、少なくとも一方の透明電極が同心円状に分割され、各同心円帯の電極部分(と共通電極との間)に独立して電圧を印加できるようになっており、前記電圧を制御することにより、各電極部分の液晶の屈折率nをn1からn2まで自在に変えることができる。屈折率nを変化させると、各領域を通過する光線に光路差Δn・d(Δnは屈折率変化分、dは液晶のセル厚)、すなわち、波長をλとして、位相差Δn・d(2π/λ)を与えることができる。
【0086】
後述する媒体判別手段,球面収差検知手段,基板厚検知手段などにより検出される波長や基板厚に起因して発生する球面収差が、例えば、図19(a)のごときものであったとする。この球面収差を2次元曲線として示したのが図21(b)の上側の実線部分である。このような球面収差に対し、対物レンズに光源側から入射する光束に、図21(b)の下側の破線部分に示すような位相差が与えられるように、液晶素子の各同心円帯電極に印加する電圧を調整すると、液晶素子を透過する光束の各部での波面の遅れにより、球面収差を打ち消すことができる。
【0087】
図21(c)は、図21(b)における実線(球面収差)と破線(液晶素子による波面の遅れ)の和、すなわち補正後の球面収差を示す。もとの球面収差(図21(b)の上側の実線部分)よりも格段に小さくなる。また、この位相補正手段は、青色系光記録媒体の基板厚誤差、2層光記録媒体のレイヤギャップなどに起因する球面収差も併せて補正することが可能である。
【0088】
この動的な位相補正手段の制御信号としては、媒体判別手段の出力信号を用いればよく、前述の通り、DVDやCDの記録再生時に、この光源からの光束を対物レンズに入射させると、波長や基板厚みの違いに伴う球面収差が発生し、記録面上に形成される光スポットの形状が劣化する。発生する球面収差を打ち消す逆極性の球面収差量を、光記録媒体ごとに予め記憶させておき、媒体判別手段から検知された光記録媒体の種類に応じて、逆極性の球面収差を与えるようにすればよい。録媒体判別手段としては、例えば、光記録媒体挿入時に、青色,赤色,赤外のいずれかの光源を点灯させてフォーカスサーチさせたときの戻り光量レベルなどにより判別する構成などを用いればよい。
【0089】
また、他の動的な位相補正手段の制御信号としては、球面収差検知手段の出力信号を用いてもよく、前述の通り、DVDやCDの記録再生時に、この光源からの光束を対物レンズに無限系の光束により入射させると、波長や基板厚みの違いに伴う球面収差が発生し、記録面上に形成される光スポットの形状が劣化する。このように発生した収差は戻り光束の波面を歪ませることになり、例えば、図4に示すコリメートレンズ202を介して受光素子201cに向う光束にも収差が発生する。
【0090】
図22(a)はこの状態を示している。戻り光束に球面収差が発生しているときには、戻り光束の基準波面に対して、光軸中心に同心円状に波面の遅れがあり、基準波面を集光したときの集光点に対し遅れた波面が集光する位置はデフォーカスとなる。そこで、遅れた波面と進んだ波面の差を取り出してフォーカス状態を検出することで球面収差の発生状況を知ることができる。
【0091】
例えば、図22(b)に示すように、ホログラム201bの分割パターンを形成して、分割された各々の光束を検知できるように受光領域が分割された受光素子201cを準備すればよい。図22(c)に示すように、ホログラムは光軸直交面内でジッタ方向に対称分割された半分の領域を同心円に内側、外側の2領域に分割されたホログラムとする。受光素子130は、ホログラムで回折された各々の光束を検知する2分割の受光素子とする。そして、ホログラム回折光の光点像の移動量を検知して、各受光素子で生成される差分(Sa−Sb),(Sc−Sd)の差分W1は(数4)
【0092】
【数4】
W1=(Sa−Sb−Sc+Sd)
が球面収差信号に相当し、W1=0で収差がないことを意味する。
【0093】
また、この方法によれば、光記録媒体や各種光学部品の製造誤差に伴い発生する球面収差も検知できるため、この製造誤差に伴い発生する球面収差も合わせて補正することが可能となる。
【0094】
また、もう一つ他の動的な位相補正手段の制御信号としては、青色光記録媒体とそれ以外の光記録媒体の違いを判別する手段と、さらに基板厚検知手段を備えてもよい。これにより、青色光記録媒体とCD系光記録媒体、あるいはDVD系光記録媒体とCD系光記録媒体の違いを確認することが可能となる。基板厚検知手段として、例えば、光記録媒体の光透過層の厚み(光照射側基板厚)を検出する方法としては、光源から出射した光を、対物レンズによって光記録媒体上に集光照射し、反射された戻り光を、光検出器によって受光してフォーカスエラー信号を検出する光学系を用いて、このフォーカスエラー信号のうち、記録層で反射された戻り光による信号と、光透過層の表面で反射された戻り光による信号の時間差を検知することによって、前記光透過層の厚さを検出する方法が挙げられる。この方法によれば、光記録媒体の製造誤差分も検知できるため、製造誤差に伴い発生する球面収差を合わせて補正することが可能となる。
【0095】
なお、動的な位相補正手段は、さらに球面収差以外の位相補正を行ってもよく、例えば、光記録媒体と対物レンズの相対的な傾きに応じて発生するコマ収差を補正する機能を併せることにより光記録媒体のチルトによるスポット劣化を補正することもできる。
【0096】
さらに、前述の実施の形態1,2,3における光ピックアップでは、波長407nmの光(青色系)と波長660nmの光(DVD系)をともに直線偏光から円偏光、あるいは円偏光から直線偏光に変換できると共に、波長780nmの光(CD系)については直線偏光から円偏光もしくは楕円偏光、あるいはその逆の変換が行える1/4波長板を備えている。
【0097】
波長407nmの光と波長660nmの光と波長780nmの光をともに直線偏光から円偏光、あるいは円偏光から直線偏光に変換できる1/4波長板の構成としては、ある厚さtにおいて常光線(屈折率no)と異常光線(屈折率ne)の位相差が波長407nmと波長660nmと波長780nmの1/4となるような結晶からなる1/4波長板を採用すればよい。すなわち以下の(数5),(数6),(数7)を満たす結晶であればよい。
【0098】
【数5】
Δn1×t={(2p+1)/4}×407 (p=0,1…)
Δn1;波長407nmの光源からの光に対する(no−ne)
【0099】
【数6】
Δn2×t={(2q+1)/4}×660 (q=0,1…)
Δn2;波長660nmの光源からの光に対する(no−ne)
【0100】
【数7】
Δn3×t={(2r+1)/4}×780 (r=0,1…)
Δn3;波長780nmの光源からの光に対する(no−ne)
同様に、波長407nmの光と波長660nmの光をともに直線偏光から円偏光、あるいは円偏光から直線偏光に変換し、波長780nmの光については楕円偏光に変換する1/4波長板の構成としては、前記(数5),(数6)の条件を満足すればよい。
【0101】
このような特性をもつ1/4波長板を配置することにより、例えば、図4のCD系光記録媒体のホログラムユニット301の出射光と光記録媒体109からホログラムユニット301へ向かう光の偏光方向を直交させられる。このように往路の光と復路の光の偏光方向を直交させることにより半導体レーザー301aへの戻り光によるノイズ発生を防止することが可能となる。
【0102】
また、このような特性をもつ1/4波長板を配置することにより、例えば、図1の青色系光記録媒体に対しては偏光ビームスプリッタ103と1/4波長板106が、組み合わされた偏光分離光学系が実現されており、十分な光量を得られるとともに、半導体レーザー101への戻り光によるノイズ発生も低減可能となる。
【0103】
また、図1のDVD系光記録媒体に対しても、ホログラム201bとして偏光選択性のホログラムを使用することにより偏光分離光学系が実現可能である。
【0104】
なお、1/4波長板は前記(数5),(数6),(数7)、あるいは(数5),(数6)を満足する結晶のものに限られない。例えば、有機材料の位相差素子を積層配置させたものをガラス板で挟み込んだ構成であってもよく、あるいは、液晶素子などの電気光学素子を用いてもよい。
【0105】
3世代互換を実現する本実施の形態2,3において、図23(a)に示すように、位相補正手段105,1/4波長板106,開口切換手段107、を一体形成してもよい。これにより、組付工程の簡素化が図れる。また、図23(b)に示すような構成、すなわち、位相補正手段105を形成する液晶層を挟むガラス基板の一方を1/4波長板106とし、他方のガラス基板に液晶層とは反対側の面に誘電体多層膜を形成した開口切換手段107を形成する。あるいは、一方の1/4波長板106の液晶層とは反対側の面に誘電体多層膜を形成してもよく、これにより、従来の液晶素子単体のガラス基板,液晶層,ガラス基板を順に接合した構成と同等の素子の厚み,重量により、位相補正手段105,1/4波長板106,開口切換手段107の一体形成を実現できる。
【0106】
さらに、前述の位相補正手段105,1/4波長板106,開口切換手段107はアクチュエータ上に設置してもよく、これらの部品をアクチュエータ上に設置し、対物レンズと一体可動させることにより、別体配置させた場合に比べて相対的なシフトやチルトに伴う波面劣化を抑制できる。なお、本実施の形態におけるアクチュエータは2〜4軸のいずれの可動変位であってもよい。すなわち、フォーカス・トラッキングの2方向制御に加えて、ラジアル方向もしくはジッタ方向の1軸周りのチルト制御可能な3軸アクチュエータや、2軸周りのチルト制御可能な4軸アクチュエータを用いてもよい。3軸あるいは4軸アクチュエータで対物レンズの傾きを変化させると、対物レンズへ透過する光束にコマ収差が発生するので、光記録媒体の傾きで発生するコマ収差と相殺するようにすることが可能である。
【0107】
図24は本発明の実施の形態4における光情報処理装置である情報記録再生装置の概略構成を示す透過斜視図である。
【0108】
情報記録再生装置10は、光記録媒体20に対して光ピックアップ11を用いて情報の記録、再生、または消去の少なくともいずれか1以上を行う装置である。本実施の形態3において、光記録媒体20はディスク状であって、保護ケースのカートリッジ21内に格納されている。光記録媒体20はカートリッジ21ごと、挿入口12から情報記録再生装置10に矢印「ディスク挿入」方向へ挿入セットされ、スピンドルモータ13により回転駆動され、光ピックアップ11により情報の記録、再生、または消去が行われる。
【0109】
この光ピックアップ11として、前述の実施の形態1,2,3に記載の光ピックアップを適宜用いることができる。
【0110】
情報記録再生装置10の大容量化を実現するため、高NA化、短波長化を行う方法は、信頼性の確保が困難となることは前述した通りであり、前記した(数1)からもわかるように、球面収差はNAの4乗で作用するため、その影響は大きくなるが、本実施の形態における光ピックアップは、DVD系と比較して波長を短波長化して、NAは従来のDVD系に近いものを選択してもよいため、信頼性の確保が容易である。
【0111】
さらに、本発明の光情報処理装置として、情報の高密度化を図る手段である多値記録技術を用いることで、例えば、青色波長域の使用波長407nm±10nm、NA0.59〜0.70によって、光記録媒体上に情報記録密度増倍度P1の多値記録を行う光情報処理装置であって、条件P1>1.8を満足する光情報処理装置である。
【0112】
これにより、例えば、22GB以上の光情報処理装置をNA0.85の高NAの対物レンズを用いることなく実現できる。すなわち、光記録媒体への記録容量はスポット径で定まる。DVD系光記録媒体(4.7GB)に比べ、青色波長域の青色系光記録媒体を利用すれば、スポット径比(λ/NA)で容量が上げられ、12GB相当となる。これに前記条件の多値記録を適用することにより、22GB相当が得られる。この結果、変動などに伴うマージンを拡大することができる。対物レンズの焦点深度は、NAの2乗に比例して厳しくなるため、NA0.85の対物レンズに比べてNA0.65のレンズは1.7倍マージンを広げられる。
【0113】
前述の多値記録の方法として、例えば、非特許文献2の記載にあるような書き込みレーザー光の強度変化によって、記録マークの大きさを制御する方法などがある。なお、一般に多値記録ではスポット径の大きさを微小変化させるため、チルトやデフォーカスなどの変動に伴うマージンが狭くなるが、前述した対物レンズに入射する光束径を楕円形状として、さらに、短軸をタンジェンシャル方向とする楕円形状とすることで、対物レンズで集光される光ビームの光束のエッジ強度が大きく、光スポット径は小さく絞られる。このラジアル方向に比べタンジェンシャル方向のスポット径を絞ることによって、S/Nの向上が可能となり、十分なマージンを確保した状態で、記録、再生、または消去が行える。
【0114】
さらに、本実施の形態の光ピックアップにおいて、光記録媒体の層間距離に起因して生じる球面収差も併せて補正することができることから、光記録媒体として、記録情報面を複数層から構成されるものを用いてもよく、層数に応じて、容量が増すことは言うまでもない。また、光記録媒体として、情報記録面を表裏両面に備えた光記録媒体であってもよく、容量を2倍にすることが可能である。
【0115】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、開口切換手段を具備することなく青色/DVDなどの2世代互換、あるいは青色/DVD/CDなどの3世代互換をDVD仕様から大きく設計変更することなく、また3段階でなく2段階の開口切換手段によって可能であり、複数世代の互換を簡素な構成で実現でき、静的または動的な位相補正手段を備えて、青色用対物レンズによりDVDやCDの記録、再生を行う場合でも、十分なスポット性能を確保し、高いS/Nの複数世代互換可能な光ピックアップを、その重量の低下、低コスト化、設計・製造の簡易化が実現でき、また青色波長帯域の光源を使用し、多値記録技術を併用することにより、22GB以上の大容量化が可能な光情報処理装置を実現できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における光ピックアップの概略構成を示すブロック図
【図2】ホログラムユニットの拡大図
【図3】同一入射光束径で対物レンズに青色波長と赤色波長の光を通過させたときのNA相関を示す図
【図4】本発明の実施の形態2の実施例1における光ピックアップの概略構成を示すブロック図
【図5】本発明の実施の形態2の実施例2における光ピックアップの概略構成を示すブロック図
【図6】本発明の実施の形態2の実施例3における光ピックアップの概略構成を示すブロック図
【図7】DVD用のホログラム面をもつ層とCD用のホログラム面をもつ層を備えたホログラムユニットの拡大図
【図8】(a)はNA0.65となる光束径と波長、(b)は硝種を変化させた使用硝種のd線でのφ2/φ1との屈折率ndの関係を示す図
【図9】図8(a)と同じ対物レンズにおいて、使用波長660nm、青色と同一光束径φ1=φ2で使用する系の入射光の物体距離を変化させたときのNA値を示す図
【図10】(a)は青色波長帯域の光束、(b)は赤色波長帯域の光束、(c)は赤外波長帯域の光束の反射型の開口切換手段を説明する図
【図11】(a)は青色波長帯域の光束、(b)は赤色波長帯域の光束、(c)は赤外波長帯域の光束の回折型の開口切換手段を説明する図
【図12】(a)は青色波長帯域の光束、(b)は赤色波長帯域の光束、(c)は赤外波長帯域の光束の吸収型の開口切換手段を説明する図
【図13】図3と同じ特性の対物レンズにおいてNA0.44〜0.51となる入射光束φ3の有効径を示す図
【図14】(a)は青色波長帯域の光束、(b)は赤色波長帯域の光束、(c)は赤外波長帯域の光束の反射型の開口切換手段を説明する図
【図15】(a)は青色波長帯域の光束、(b)は赤色波長帯域の光束、(c)は赤外波長帯域の光束の回折型の開口切換手段を説明する図
【図16】(a)は青色波長帯域の光束、(b)は赤色波長帯域の光束、(c)は赤外波長帯域の光束の吸収型の開口切換手段を説明する図
【図17】青色波長帯域で球面収差が最小となる単一の対物レンズに赤色波長帯域の光を無限系で入射させてDVD系光記録媒体にスポット形成させた場合の球面収差を示す図
【図18】青色波長帯域で球面収差が最小となる単一の対物レンズに赤外波長帯域の光を無限系で入射させてCD系光記録媒体にスポット形成させた場合の球面収差を示す図
【図19】(a)は赤外波長域の光を無限系入射させてCD光記録媒体に発生する球面収差、(b)は2次元曲線として表した球面収差、(c)は入射光の発散状態を変化させた補正後の球面収差を示す図
【図20】(a)はガラス基板上に形成した同心円状の位相シフタ、(b)は階段状の断面形状を示す図
【図21】(a)は位相補正手段における液晶素子の同心円状に分割された透明電極、(b)は2次元曲線として表した球面収差、(c)は位相補正手段により補正後の球面収差を示す図
【図22】(a)は戻り光束に球面収差が発生し集光するデフォーカス状態、(b)はホログラムに形成の分割パターン、(c)はホログラムで回折された光束を検知する2分割の受光素子を示す図
【図23】(a)は位相補正手段,1/4波長板,開口切換手段を一体形成した構成、(b)は他の一体形成した構成を示す図
【図24】本発明の実施の形態4における光情報処理装置である情報記録再生装置の概略構成を示す透過斜視図
【符号の説明】
10 情報記録再生装置
11 光ピックアップ
12 挿入口
13 スピンドルモータ
14 キャリッジ
20 光記録媒体
21 カートリッジ
22 シャッタ
101,201a,301a,401a 半導体レーザー
102,202,302,502 コリメートレンズ
103 偏光ビームスプリッタ
104 偏向プリズム
105 位相補正手段
106 1/4波長板
107 開口切換手段
108 対物レンズ
109 光記録媒体
110 検出レンズ
111 光束分割手段
112,130,201c,301c 受光素子
120,120’ 波長選択性反射膜
121,121’ 波長選択性回折格子
122,122’ 波長選択性吸収膜
201,301,401,501 ホログラムユニット
201b,301b,401b,501b ホログラム
203,303,503 ダイクロイックプリズム

Claims (18)

  1. 光記録媒体に対して情報の記録,再生,消去の少なくともいずれか1以上を行う光ピックアップであって、波長λ1の光源と、波長λ2の光源と、光源光を前記光記録媒体に集光照射する単一の対物レンズとを備え、
    前記対物レンズに一定の開口を設け、前記波長λ1,λ2(λ1<λ2)に対して、各波長の実効的開口数NA(λ1),NA(λ2)が、次の条件
    NA(λ1)>NA(λ2)
    を満足する対物レンズを用いたことを特徴とする光ピックアップ。
  2. 光記録媒体に対して情報の記録,再生,消去の少なくともいずれか1以上を行う光ピックアップであって、波長λ1の光源と、波長λ2の光源と、波長λ3の光源と、光源光を前記光記録媒体に集光照射する単一の対物レンズとを備え、
    前記波長λ1,λ2,λ3(λ1<λ2<λ3)に対して、各波長の実効的開口数NA(λ1),NA(λ2),NA(λ3)が、次の条件
    NA(λ1)≧NA(λ2)>NA(λ3)
    を満足する対物レンズを用い、
    かつ前記対物レンズへ入射する各波長の入射光束径φ1,φ2,φ3が、次の条件
    φ2>φ1>φ3
    を満足する光源光としたことを特徴とする光ピックアップ。
  3. 光記録媒体に対して情報の記録,再生,消去の少なくともいずれか1以上を行う光ピックアップであって、波長λ1の光源と、波長λ2の光源と、波長λ3の光源と、光源光を前記光記録媒体に集光照射する単一の対物レンズとを備え、
    前記波長λ1,λ2,λ3(λ1<λ2<λ3)に対して、各波長の実効的開口数NA(λ1),NA(λ2),NA(λ3)が、次の条件
    NA(λ1)≧NA(λ2)>NA(λ3)
    を満足する対物レンズを用い、
    かつ前記対物レンズへ入射する各波長の入射光束径φ1,φ2,φ3が、次の条件
    φ1=φ2>φ3
    を満足する光源光としたことを特徴とする光ピックアップ。
  4. 前記対物レンズを、波長λ1の光源において収差最小の波面となるように形成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の光ピックアップ。
  5. 前記対物レンズにおいて、波長λ1の光源点灯時には無限系の入射光束で使用し、波長λ2の光源または波長λ3の光源点灯時には有限系の入射光束で使用することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の光ピックアップ。
  6. 前記波長λ1,λ2,λ3の光源が、青色波長帯域,赤色波長帯域,赤外波長帯域の光源であることを特徴とする請求項5記載の光ピックアップ。
  7. 前記対物レンズに入射する光源からの入射光束径φ1,φ2,φ3を切り換える開口切換手段を備え、前記開口切換手段において、光源光からの波長帯域に応じて、反射,回折,吸収のいずれかにより開口の切り換えを行うことを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項記載の光ピックアップ。
  8. 前記対物レンズに入射する光源からの入射光束径φ1,φ2,φ3の少なくともいずれか1つは楕円形状であることを特徴とする請求項7記載の光ピックアップ。
  9. 前記楕円形状の光束径が、タンジェンシャル方向に短軸を有する楕円形状であることを特徴とする請求項8記載の光ピックアップ。
  10. 前記対物レンズに入射する光源に応じて、入射光束に所定の位相を付加する位相補正手段を備えたことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項記載の光ピックアップ。
  11. 前記入射光束に所定の位相を付加する位相補正手段が、光記録媒体の種類を判別する記録媒体判別手段からの出力信号に基づいて、前記入射光束に付加する位相量を決定することを特徴とする請求項10記載の光ピックアップ。
  12. 前記入射光束に所定の位相を付加する位相補正手段が、光記録媒体上に発生する球面収差を検出する球面収差検出手段からの出力信号に基づいて、前記入射光束に付加する位相量を決定することを特徴とする請求項10記載の光ピックアップ。
  13. 前記入射光束に所定の位相を付加する位相補正手段が、光記録媒体の基板厚を検出する基板厚検知手段からの出力信号に基づいて、前記入射光束に付加する位相量を決定することを特徴とする請求項10記載の光ピックアップ。
  14. 前記光源の青色波長帯域および赤色波長帯域の光を略円偏光とする単一の波長板を備え、開口切換手段,位相補正手段,波長板の少なくともいずれか2つを一体形成したことを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項記載の光ピックアップ。
  15. 前記波長板が、電気光学素子を用いた位相補正手段と一体に形成され、前記位相補正手段の表面または前記波長板の表面に開口切換手段を形成したことを特徴とする請求項14記載の光ピックアップ。
  16. 前記対物レンズを、開口切換手段および/または位相補正手段および/または波長板と一体で可動することを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項記載の光ピックアップ。
  17. 請求項1〜16のいずれか1項記載の光ピックアップを用いて、光記録媒体に対して情報の記録,再生,消去の少なくともいずれか1以上を行う光情報処理装置であって、
    青色波長帯域の光源により、NA0.59〜0.70で光照射側基板厚0.1〜0.6mmの光記録媒体、および赤色波長帯域の光源により、NA0.59〜0.66で光照射側基板厚0.6mmの光記録媒体、および赤外波長帯域の光源により、NA0.45〜0.55で光照射側基板厚1.2mmの光記録媒体に対して、前記光ピックアップにより情報の記録・再生・消去の1以上を行うことを特徴とする光情報処理装置。
  18. 前記青色波長帯域,赤色波長帯域,赤外波長帯域の光源により各光記録媒体に情報の記録・再生・消去の1以上を行う光情報処理装置において、少なくともいずれか1つの光記録媒体上に、2値記録に対する情報記録密度増倍度P1の多値記録を行う光情報処理装置が、次の条件
    P1>1.8
    を満足することを特徴とする請求項17記載の光情報処理装置。
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