JP3754422B2 - 光ピックアップ装置および光ディスクドライブ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ピックアップ装置および光ディスクドライブ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図10は光ディスクドライブ装置の光ピックアップ装置に係る光学系を示す概略図であり、1は半導体レーザ、2はガラス板、3はガラス板2における半導体レーザ1側の面に形成された3ビーム生成用のグレーティング、4はガラス板2におけるグレーティング3の形成面に対して反対面に形成されたホログラム、5はホロピックアップ、6はコリメートレンズ、7は対物レンズ、8は光ディスク、9は受光素子を示す。
【0003】
図11はホロピックアップの内部構成を示す側面図であり、基板上に半導体レーザ1および受光素子9を搭載し、さらに、半導体レーザ1に対向してガラス板2,グレーティング3およびホログラム4を配置して、ユニット化したものである。
【0004】
光源としての半導体レーザ1から出射された出射光は3ビーム用の回折格子であるグレーティング3により、メインビーム(0次光)と2つのサブビーム(±1次光)に分離された後、ホログラム4に達する。そしてこのホログラム4を透過する光(0次回折光)だけがコリメートレンズ6により平行光になり、対物レンズ7を通過した後に光ディスク8上に集光される。光ディスク8で反射された戻り光は、メインビーム・サブビーム共に再び対物レンズ7,コリメートレンズ6を通過した後、ホログラム4に導かれる。そして今度はこのホログラム4で回折された光(1次回折光)だけが受光素子9に入射して各種信号を生成するように構成されている。
【0005】
光ディスク8は数十μm(40〜70μm程度)の間隔で2つの記録層8a,8bを備えており、図10は、対物レンズ7に近い側の記録層8aに合焦している場合を示すものである。図10において実線で示す反射光10は、光ディスク8において対物レンズ7に近い側の記録層8aによって反射された光束であり、破線で示す反射光11は、光ディスク8における対物レンズ7から遠い側の記録層8bによって反射された光束である。
【0006】
図12はホログラムおよびホログラム上での、記録層8aからの反射光10、記録層8bからの反射光11の様子を示す説明図である。ホログラム4は2つの分割線によってAB,C,Dの3つの領域に分割されている。
【0007】
図13は、受光素子9および記録層8aからの反射光10、記録層8bからの反射光11の様子を示す説明図である。グレーティング3によってメインビームと2つのサブビームの計3ビームとなった光束を、3つの領域を持つホログラム4によって分割しているので記録層8aからの反射光10は9個のスポットとなっている。記録層8bからの反射光11は受光素子9上では集光せず9個のフレアとなっている。
【0008】
図13において、a〜hは受光素子9が有する8つの受光面を示し、図12のAB,C,Dの3つの領域で回折された光束が到達する受光面の関係は以下の通りである。
ABからのメインビームの回折光は受光面aと受光面bの間に、
ABからのサブビームの回折光は各々受光面aと受光面bの外側に(つまり受光されない)、
Cからのメインビームの回折光は受光面cに、
Cからのサブビームの回折光は各々受光面eと受光面gに、
Dからのメインビームの回折光は受光面dに、
Dからのサブビームの回折光は各々受光面fと受光面hに、受光される。
【0009】
ここで、受光面a〜hから出力される信号を同じa〜hの記号を用いて各信号を表現すると、
フォーカスエラー信号(FES)は、
FES=a−b
トラックエラー信号(TES)は、
TES=(c−d)−α((e+g)−(f+h))
トラッククロス信号(TCS)は、
TCS=(c+d)−α((e+g)+(f+h))
レンズポジション信号(LPS)は、
LPS=(c−d)+α((e+g)−(f+h))
情報再生信号(RFS)は、
RFS=a+b+c+d
と表すことができる。これはいわゆる差動プッシュプル法と呼ばれる方式の応用である。
【0010】
【特許文献1】
特許第2594445号公報
【特許文献2】
特開平11−353698号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、図13において、受光素子9の各受光面には記録層8aからの反射光10のみならず、記録層8bからの反射光11が不均一に入射する。そのため、上記FES,TES,TCS,LPS,RFSが正常に検出できなくなっている。
【0012】
本発明は、特に、対物レンズに近い側の記録層に合焦している時に、遠い側の記録層からの反射光11、すなわちフレアによって各種信号に及ぼす影響を軽減させ、各種信号を適正に検出することを可能にした光ピックアップ装置および光ディスクドライブ装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、2つの記録層を有する光ディスクに対して半導体レーザからの光束を対物レンズを介して照射し、光ディスクからの反射光を、対物レンズおよび光束分離手段を介して受光素子に導き、光ディスクの情報を再生する光ピックアップ装置であって、前記光束分離手段の受光領域として、プッシュプル信号を検出するための2つの領域とフォーカスエラー信号を検出するための1つの領域との計3つの領域を備え、前記3つの領域を3つの直線と1つの曲線との分割線により分割し、前記光束分離手段の受光領域における反射光の光軸中心を前記フォーカスエラー信号を検出するための1つの領域内に含めたことを特徴とする。このように構成したことにより、対物レンズに近い側の記録層に合焦している時の光ディスクの対物レンズから遠い側の記録層からの反射光、つまりフレアがフォーカスエラー信号(FES),トラックエラー信号(TES),トラッククロス信号(TCS),レンズポジション信号(LPS),情報再生信号(RFS)に与える影響を軽減することが可能になる。また、トラックエラー信号(TES),トラッククロス信号(TCS)の成分を大きくすることが容易であり、トラックエラー信号(TES),トラッククロス信号(TCS),レンズポジション信号(LPS)の品質を向上することが可能になる。
【0014】
請求項2に係る発明は、2つの記録層を有する光ディスクに対して半導体レーザからの光束を対物レンズを介して照射し、光ディスクからの反射光を、対物レンズおよび光束分離手段を介して受光素子に導き、光ディスクの情報を再生する光ピックアップ装置であって、前記光束分離手段の受光領域として、プッシュプル信号を検出するための2つの領域とフォーカスエラー信号を検出するための1つの領域との計3つの領域を備え、前記3つの領域を3つの直線により該3つの直線のなす角の少なくとも2つが90°より大きくなるように分割し、前記光束分離手段の受光領域における反射光の光軸中心を前記フォーカスエラー信号を検出するための1つの領域内に含めたことを特徴とする。このように構成したことにより、トラックエラー信号(TES),トラッククロス信号(TCS)の成分を大きくすることが容易であり、トラックエラー信号(TES),トラッククロス信号(TCS),レンズポジション信号(LPS)の品質を向上することが可能になる。
【0015】
請求項3に係る発明は、2つの記録層を有する光ディスクに対して半導体レーザからの光束を対物レンズを介して照射し、光ディスクからの反射光を、対物レンズおよび光束分離手段を介して受光素子に導き、光ディスクの情報を再生する光ピックアップ装置であって、前記光束分離手段の受光領域として、プッシュプル信号を検出するための2つの領域とフォーカスエラー信号を検出するための1つの領域との計3つの領域を備え、前記3つの領域を1つの直線と1つの曲線との分割線により分割し、前記光束分離手段の受光領域における反射光の光軸中心を前記フォーカスエラー信号を検出するための1つの領域内に含めたことを特徴とする。このように構成したことにより、トラックエラー信号(TES),トラッククロス信号(TCS)の成分を大きくすることが可能であり、トラックエラー信号(TES),トラッククロス信号(TCS),レンズポジション信号(LPS)の品質を向上することが可能になる。
【0016】
請求項4に係る発明は、請求項1,2または3に係る発明において、前記対物レンズからの光束を前記2つの記録層のうちの対物レンズに近い記録層に合焦させた時、前記2つの記録層のうちの対物レンズから遠い記録層からの反射光が前記フォーカスエラー信号を検出するための1つの領域に照射されることを特徴とする。このように構成したことにより、対物レンズに近い側の記録層に合焦している時の光ディスクの対物レンズから遠い側の記録層からの反射光、つまりフレアがフォーカスエラー信号(FES),トラックエラー信号(TES),トラッククロス信号(TCS),レンズポジション信号(LPS),情報再生信号(RFS)に与える影響を皆無にすることが可能になる。
【0017】
請求項5に係る発明は、2つの記録層を有する光ディスクに対して半導体レーザからの光束を対物レンズを介して照射し、光ディスクからの反射光を、対物レンズおよび光束分離手段を介して受光素子に導き、光ディスクの情報を再生する光ピックアップ装置であって、前記光束分離手段の受光領域として、プッシュプル信号を検出するための2つの領域とフォーカスエラー信号を検出するための1つの領域と、前記光束分離手段における反射光の光軸中心を含む1つの領域の計4つの領域を形成したことを特徴とする。このように構成したことにより、対物レンズに近い側の記録層に合焦している時の光ディスクの対物レンズから遠い側の記録層からの反射光、つまりフレアがフォーカスエラー信号(FES),トラックエラー信号(TES),トラッククロス信号(TCS),レンズポジション信号(LPS),情報再生信号(RFS)に与える影響を皆無にすることが可能になる。
【0018】
請求項6に係る発明は、請求項1〜5のいずれか1項に係る発明において、前記光束分離手段はホログラム素子であることを特徴とする。このように構成したことにより、安価な光ピックアップ装置を提供することが可能になる。
【0019】
請求項7に係る発明は、光ディスクドライブ装置において、請求項1〜6のいずれか1項記載の光ピックアップ装置を搭載したことを特徴とする。このように構成したことにより、信頼性の高い光ディスクドライブ装置を提供することが可能になる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
図1は本発明の第1の実施形態における光ピックアップ装置に設けたホログラムの構成を示す説明図であり、20は光束分離手段であるホログラムを示す。
【0022】
第1の実施形態の装置は、図10に示す光ピックアップ装置におけるホログラム4の代わりに、図1に示すホログラム20をガラス板2に形成したものである。
【0023】
ホログラム20は、プッシュプル信号を検出するための2つの領域(CとD)とフォーカスエラー信号を検出するための1つの領域(AB)の計3つの領域を有しており、3つの領域を分割するための分割線を3つの直線と1つの曲線により構成している。すなわち、記録層8aからの反射光10の中心に対して略半円状の曲線およびこの曲線の両端を起点とする2つの直線によって2つの領域に分割し、この中で、反射光10の中心を含む領域を領域ABとする。さらに残った領域を1つの直線によって2分割した領域を領域Cおよび領域Dとする。
【0024】
ここで、上記曲線の半径は記録層8bからの反射光11がホログラム20に入光する際のスポットの半径以上に設定する。その結果、対物レンズ7から近い側からの反射光、つまり記録層8aからの反射光10がホログラム20に入光する際のスポット径は、記録層8bからの反射光11がホログラム20に入光する際のスポット径よりも大きいことから、記録層8aからの反射光10は、領域AB,領域Cおよび領域Dに照射され、記録層8bからの反射光11は領域ABに照射されるようになる。
【0025】
図2は、受光素子およびホログラムによって回折された対物レンズに近い側の記録層からの反射光、対物レンズから遠い側の記録層からの反射光の様子を示す説明図である。記録層8bからの反射光11はホログラム20における領域ABに照射されるようになることから、記録層8bからの反射光11のフレアは受光面a,bにのみ均一に入射するため、
フォーカスエラー信号
FES=a−b
トラックエラー信号
TES=(c−d)−α((e+g)−(f+h))
トラッククロス信号
TCS=(c+d)−α((e+g)+(f+h))
レンズポジション信号
LPS=(c−d)+α((e+g)−(f+h))
情報再生信号
RFS=a+b+c+d
はそれぞれ正常に検出することが可能である。
【0026】
図3は本発明の第2の実施形態における光ピックアップ装置に設けたホログラムの構成を示す説明図であり、21は光束分離手段であるホログラムを示す。
【0027】
第2の実施形態の装置は、図10に示す光ピックアップ装置におけるホログラム4の代わりに、図3に示すホログラム21をガラス板2に形成したものであり、ホログラム21は、図1に示すホログラム20における領域ABと領域C,Dとの分割線における直線部分の位置を、図3中の矢印に示す方向、すなわち記録層8aからの反射光10の中心に対して領域Cと領域Dとの分割線の反対側に設定し、プッシュプル信号を検出する領域を増やしたものである。
【0028】
このように構成したことにより、第1の実施形態と同様に、記録層8bからの反射光11のフレアによる影響を軽減することができるとともに、
トラックエラー信号
TES=(c−d)−α((e+g)−(f+h))
トラッククロス信号
TCS=(c+d)−α((e+g)+(f+h))
レンズポジション信号
LPS=(c−d)+α((e+g)−(f+h))
の品質が向上する。
【0029】
図4は本発明の第3の実施形態における光ピックアップ装置に設けたホログラムの構成を示す説明図であり、22は光束分離手段であるホログラムを示す。
【0030】
第3の実施形態の装置は、図10に示す光ピックアップ装置におけるホログラム4の代わりに、図4に示すホログラム22をガラス板2に形成したものであり、ホログラム22は、図1に示すホログラム20における領域ABと領域C,Dとの分割線における直線部分の位置を、曲線部分との接続点を中心として図4中の矢印に示す回転方向側に設定し、図1に示すホログラム20よりもプッシュプル信号を検出する領域を増やしたものである。
【0031】
このように構成したことにより、第1の実施形態と同様に、記録層8bからの反射光11のフレアによる影響を軽減することができるとともに、
トラックエラー信号
TES=(c−d)−α((e+g)−(f+h))
トラッククロス信号
TCS=(c+d)−α((e+g)+(f+h))
レンズポジション信号
LPS=(c−d)+α((e+g)−(f+h))
の品質が向上する。
【0032】
図5は本発明の第4の実施形態における光ピックアップ装置に設けたホログラムの構成を示す説明図であり、23は光束分離手段であるホログラムを示す。
【0033】
第4の実施形態の装置は、図10に示す光ピックアップ装置におけるホログラム4の代わりに、図5に示すホログラム23をガラス板2に形成したものである。
【0034】
ホログラム23は3つの領域を分割するための分割線を3つの直線より構成し、かつ、それぞれの直線のなす角の少なくとも2つθ1,θ2が90°より大きい。
【0035】
3直線の交点位置は、反射光11による光スポットの領域から外れており、また、領域Cと領域Dとの分割線と他の2本とのそれぞれの角度θ1,θ2は、他の2本の直線が光スポットの円形の接線となるように設定することが望ましい。
【0036】
このように構成することにより、反射光11による光スポットが領域ABに全て含まれるようになり、フレアによる影響を軽減することができる。また、
トラックエラー信号
TES=(c−d)−α((e+g)−(f+h))
トラッククロス信号
TCS=(c+d)−α((e+g)+(f+h))
レンズポジション信号
LPS=(c−d)+α((e+g)−(f+h))
の品質が向上する。
【0037】
図6は本発明の第5の実施形態における光ピックアップ装置に設けたホログラムの構成を示す説明図であり、24は光束分離手段であるホログラムを示す。
【0038】
第1の実施形態の装置は、図10に示す光ピックアップ装置におけるホログラム4の代わりに、図6に示すホログラム24をガラス板2に形成したものである。
【0039】
ホログラム24は、プッシュプル信号を検出するための2つの領域(CとD)とフォーカスエラー信号を検出するための1つの領域(AB)と光軸中心部を含む1つの領域(I)の計4つの領域を有しており、4本の分割線によって各領域ごとに分けられている。すなわち、光軸を中心とし、反射光11の光スポットの径よりも大きく設定された円形の分割線によって領域Iと他の領域が分けられ、他の領域が3本の直線の分割線によって領域AB,領域Cおよび領域Dに分けられる。
【0040】
図7は図6に示すホログラムによって回折された反射光の様子を示す説明図である。グレーティング3によってメインビームと2つのサブビームの計3ビームとなった光束を、4つの領域を持つホログラム24で分割しているので、記録層8aからの反射光10は12個のスポットとなっている。また、記録層8bからの反射光11は受光素子9上では集光せず3個のフレアとなっている。
【0041】
受光素子9はa〜iの9つの受光面を有しており、図6に示す、AB,C,D,Iの4つの領域で回折された光束と、この光束が到達する受光面との関係は以下の通りである。
ABからのメインビームの回折光は受光面aと受光面bの間に、
Cからのメインビームの回折光は受光面cに、
Cからのサブビームの回折光は各々受光面eと受光面gに、
Dからのメインビームの回折光は受光面dに、
Dからのサブビームの回折光は各々受光面fと受光面hに、
Iからのメインビームの回折光は受光面iに、
受光される。また、
ABからのサブビームの回折光は各々受光面aと受光面bの外側に、
Iからのサブビームの回折光は各々受光面iの外側に、
照射される。つまり受光素子9によって受光されない。
【0042】
ここで、受光面a〜iから出力される信号を同じa〜iの記号を用いて各信号を表現すると、
フォーカスエラー信号(FES)は、
FES=a−b
トラックエラー信号(TES)は、
TES=(c−d)−α((e+g)−(f+h))
トラッククロス信号(TCS)は、
TCS=(c+d)−α((e+g)+(f+h))
レンズポジション信号
LPS=(c−d)+α((e+g)−(f+h))
情報再生信号(RFS)は、
RFS=a+b+c+d+i
となる。
【0043】
このように、記録層8bからの反射光11のフレアは受光面iにのみ入射するため、上記各信号は正常に検出することが可能である。
【0044】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明に係る実施形態は上述したものに限るものではない。例えば、上述した実施形態においては光束分離手段としてホログラム素子を用いて説明をしたが、ホログラム素子の代わりに屈折を利用したプリズム、レンズ等の光学素子を適用しても構わない。
【0045】
ところで、近年、大容量の情報を記憶する光ディスクとしてDVD(Digital Versatile Disc)が普及している。DVD−RAM・WO,DVD−R,DVD+RとDVD−RAM,DVD−RW,DVD+RWディスクは、書き込みが可能な(記録可能な)DVDである。前者のDVD−RAM・WO,DVD−R,DVD+Rは、1回だけ書き込みが可能なDVDである(なお、DVD Write Onceともいわれている)。また、後者のDVD−RAM,DVD−RW,DVD+RWは、複数回の書き込みが可能なDVDである。これらのDVD+RやDVD+RWディスク等、すなわち、光ディスクは、次の図8のような光ディスクドライブ装置によって情報の記録再生が行われる。
【0046】
図8は、光ディスクドライブについて、その要部構成の一例を示す機能ブロック図である。図において、51は光ディスク、52はスピンドルモータ、53は光ピックアップ装置、54はモータドライバ、55はリードアンプ、56はサーボ手段、57はDVDデコーダ、58はADIPデコーダ、59はレーザコントローラ、60はDVDエンコーダ、61はDVD−ROMエンコーダ、62はバッファRAM、63はバッファマネージャ、64はDVD−ROMデコーダ、65はATAPI/SCSIインターフェース、66はD/Aコンバータ、67はROM、68はCPU、69はRAMを示し、LBはレーザ光、Audioはオーディオ出力信号を示す。
【0047】
図8において、矢印はデータが主に流れる方向を示しており、また、図を簡略化するために、図8の各ブロックを制御するCPU68には、太線のみを付けて各ブロックとの接続を省略している。ROM67には、CPU68にて解読可能なコードで記述された制御プログラムが格納されている。なお、光ディスクドライブの電源がオン状態になると、前記制御プログラムは図示しないメインメモリにロードされ、CPU68はそのプログラムにしたがって上述した各部の動作を制御するとともに、制御に必要なデータ等を一時的にRAM69に保存する。
【0048】
光ディスクドライブ装置の構成と動作は次の通りである。
【0049】
光ディスク51はスピンドルモータ52によって回転駆動される。このスピンドルモータ52は、モータドライバ54とサーボ手段56により、線速度または角速度が一定になるように制御される。この線速度または角速度は、階段的に変更することが可能である。
【0050】
光ピックアップ装置53は、図1〜図7に示す構成およびフォーカスアクチュエータ,トラックアクチュエータ,受光素子9(図10参照)およびポジションセンサを内蔵しており、レーザ光LBを光ディスク51に照射する。また、光ピックアップ装置53は、シークモータによってスレッジ方向への移動が可能である。これらのフォーカスアクチュエータ,トラックアクチュエータ,シークモータは、受光素子とポジションセンサから得られる信号に基いて、モータドライバ54とサーボ手段56により、レーザ光LBのスポットが光ディスク51上における目的の場所に位置するように制御される。
【0051】
そして、リード時には、光ピックアップ装置53によって得られた再生信号が、リードアンプ55で増幅されて2値化された後、DVDデコーダ57に入力される。入力された2値化データは、このDVDデコーダ57において、8/16復調される。なお、記録データは、8ビットずつまとめられて変調(8/16変調)されており、この変調では、8ビットを16ビットに変換している。この場合に、結合ビットは、それまでの「1」と「0」の数が平均的に等しくなるように付けられる。これを「DC成分の抑制」といい、DCカットされた再生信号のスライスレベル変動が抑圧される。
【0052】
復調されたデータは、デインターリーブとエラー訂正の処理が行われる。その後、このデータは、DVD−ROMデコーダ64へ入力され、データの信頼性を高めるために、さらに、エラー訂正の処理が行われる。このように2回のエラー訂正の処理が行われたデータは、バッファマネージャ63によって一旦バッファRAM62に蓄えられ、セクタデータとして揃った状態で、ATAPI/SCSIインターフェース65を介して、図示しないホストコンピュータへ一気に転送される。なお、音楽データの場合には、DVDデコーダ57から出力されたデータが、D/Aコンバータ66へ入力され、アナログのオーディオ出力信号Audioとして取り出される。
【0053】
また、ライト時には、ATAPI/SCSIインターフェース65を通して、ホストコンピュータから送られてきたデータが、バッファマネージャ63によって一旦バッファRAM62に蓄えられる。その後ライト動作が開始されるが、この場合には、その前にレーザスポットを書き込み開始地点に位置させる必要がある。この地点は、DVD+RW/+Rでは、予め光ディスク51上にトラックの蛇行により刻まれているウォブル信号によって求められる。
【0054】
なお、上記地点はDVD−RW/−Rではウォブル信号の代わりにランドプリピット、DVD−RAM/RAM・WOではプリピットによって求められる。
【0055】
DVD+RW/+Rディスクにおけるウォブル信号には、ADIP(ADress In Pre-groove)と呼ばれるアドレス情報が含まれており、この情報が、ADIPデコーダ58によって取り出される。また、このADIPデコーダ58によって生成される同期信号は、DVDエンコーダ60へ入力され、光ディスク51上の正確な位置へのデータの書き込みを可能にしている。バッファRAM62のデータは、DVD−ROMエンコーダ61やDVDエンコーダ60において、エラー訂正コードの付加や、インターリーブが行われ、レーザコントローラ59、光ピックアップ53を介して、光ディスク51に記録される。
【0056】
また、ランドプリピットやプリピットからアドレス情報を得る構成であっても良い。
【0057】
図9は光ディスクドライブを使用した情報処理装置の概略図である。情報処理装置は、主制御装置70、インターフェース71、記録装置72、入力装置73、表示装置74、図8に示す構成の光ディスクドライブ装置75などを備えている。主制御装置70は、CPU、マイクロコンピュータ、メインメモリなどを含んで構成され、情報処理装置の全体を制御する。
【0058】
インターフェース71は、光ディスクドライブ装置75との双方向の通信インターフェースであり、ATAPIおよびSCSI等の標準インターフェースに準拠している。インターフェース71は、図8に示す光ディスクドライブ装置のインターフェース65と接続されている。なお、各インターフェース間の接続形態は、通信ケーブル(例えばSCSIケーブル)などの通信線を用いたケーブル接続だけでなく、赤外線などを利用したワイヤレス接続であっても良い。
【0059】
ハードディスクドライブ(HDD)等の記録装置72には、主制御装置70のマイクロコンピュータで解読可能なコードで記述されたプログラムが格納されている。なお、情報処理装置の駆動電源がオン状態になると、前記プログラムは主制御装置70のメインメモリにロードされる。
【0060】
表示装置74は、例えばCRT,液晶ディスプレイ(LCD)またはプラズマディスプレイパネル(PDP)などの表示部(図示省略)を備え、主制御装置70からの各種情報を表示する。
【0061】
入力装置73は、例えばキーボード,マウスおよびポインティングデバイスなどのうち少なくとも1つの入力媒体(図示省略)を備え、ユーザから入力された各種情報を主制御装置70に通知する。なお、入力媒体からの情報はワイヤレス方式で入力されても良い。また、表示装置70と入力装置73とが一体化したものとして、例えばタッチパネル付きCRTなどがある。
【0062】
また、情報処理装置はオペレーティングシステム(OS)を搭載している。そして、情報処理装置を構成する全てのデバイスはOSによって管理されているものとする。
【0063】
【発明の効果】
以上、説明したように構成された本発明によれば、対物レンズに近い側の記録層に合焦している時の光ディスクの対物レンズから遠い側の記録層からの反射光、つまりフレアがフォーカスエラー信号(FES),トラックエラー信号(TES),トラッククロス信号(TCS),レンズポジション信号(LPS),情報再生信号(RFS)に与える影響を軽減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態における光ピックアップ装置に設けたホログラムの構成を示す説明図
【図2】受光素子およびホログラムによって回折された対物レンズに近い側の記録層からの反射光、対物レンズから遠い側の記録層からの反射光の様子を示す説明図
【図3】本発明の第2の実施形態における光ピックアップ装置に設けたホログラムの構成を示す説明図
【図4】本発明の第3の実施形態における光ピックアップ装置に設けたホログラムの構成を示す説明図
【図5】本発明の第4の実施形態における光ピックアップ装置に設けたホログラムの構成を示す説明図
【図6】本発明の第5の実施形態における光ピックアップ装置に設けたホログラムの構成を示す説明図
【図7】図6に示すホログラムによって回折された反射光の様子を示す説明図
【図8】光ディスクドライブ装置について、その要部構成の一例を示す機能ブロック図
【図9】図8に示す光ディスクドライブ装置を使用した情報処理装置の概略図
【図10】光ディスクドライブ装置の光ピックアップ装置に係る光学系を示す概略図
【図11】ホロピックアップの内部構成を示す側面図
【図12】ホログラムおよびホログラム回折された対物レンズに近い側の記録層からの反射光、対物レンズから遠い側の記録層からの反射光の様子を示す説明図
【図13】図12に示すホログラムによって回折された反射光の様子を示す説明図
【符号の説明】
1 半導体レーザ
2 ガラス板
3 グレーティング
20,21,22,23,24 ホログラム
5 ホロピックアップ
6 コリメートレンズ
7 対物レンズ
8 光ディスク
8a,8b 記録層
9 受光素子
10,11 反射光
Claims (7)
- 2つの記録層を有する光ディスクに対して半導体レーザからの光束を対物レンズを介して照射し、光ディスクからの反射光を、対物レンズおよび光束分離手段を介して受光素子に導き、光ディスクの情報を再生する光ピックアップ装置であって、
前記光束分離手段の受光領域として、プッシュプル信号を検出するための2つの領域とフォーカスエラー信号を検出するための1つの領域との計3つの領域を備え、前記3つの領域を3つの直線と1つの曲線との分割線により分割し、前記光束分離手段の受光領域における反射光の光軸中心を前記フォーカスエラー信号を検出するための1つの領域内に含めたことを特徴とする光ピックアップ装置。 - 2つの記録層を有する光ディスクに対して半導体レーザからの光束を対物レンズを介して照射し、光ディスクからの反射光を、対物レンズおよび光束分離手段を介して受光素子に導き、光ディスクの情報を再生する光ピックアップ装置であって、
前記光束分離手段の受光領域として、プッシュプル信号を検出するための2つの領域とフォーカスエラー信号を検出するための1つの領域との計3つの領域を備え、前記3つの領域を3つの直線により該3つの直線のなす角の少なくとも2つが90°より大きくなるように分割し、前記光束分離手段の受光領域における反射光の光軸中心を前記フォーカスエラー信号を検出するための1つの領域内に含めたことを特徴とする光ピックアップ装置。 - 2つの記録層を有する光ディスクに対して半導体レーザからの光束を対物レンズを介して照射し、光ディスクからの反射光を、対物レンズおよび光束分離手段を介して受光素子に導き、光ディスクの情報を再生する光ピックアップ装置であって、
前記光束分離手段の受光領域として、プッシュプル信号を検出するための2つの領域とフォーカスエラー信号を検出するための1つの領域との計3つの領域を備え、前記3つの領域を1つの直線と1つの曲線との分割線により分割し、前記光束分離手段の受光領域における反射光の光軸中心を前記フォーカスエラー信号を検出するための1つの領域内に含めたことを特徴とする光ピックアップ装置。 - 前記対物レンズからの光束を前記2つの記録層のうちの対物レンズに近い記録層に合焦させた時、前記2つの記録層のうちの対物レンズから遠い記録層からの反射光が前記フォーカスエラー信号を検出するための1つの領域に照射されることを特徴とする請求項1,2または3記載の光ピックアップ装置。
- 2つの記録層を有する光ディスクに対して半導体レーザからの光束を対物レンズを介して照射し、光ディスクからの反射光を、対物レンズおよび光束分離手段を介して受光素子に導き、光ディスクの情報を再生する光ピックアップ装置であって、
前記光束分離手段の受光領域として、プッシュプル信号を検出するための2つの領域とフォーカスエラー信号を検出するための1つの領域と、前記光束分離手段における反射光の光軸中心を含む1つの領域の計4つの領域を形成したことを特徴とする光ピックアップ装置。 - 前記光束分離手段はホログラム素子であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の光ピックアップ装置。
- 請求項1〜6のいずれか1項記載の光ピックアップ装置を搭載したことを特徴とする光ディスクドライブ装置。
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