JP2006268964A - 2層光ディスク記録装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 第1及び第2の記録層が積層されて構成された2層光ディスクを用いて情報信号の記録を行う2層光ディスク記録装置において、光束の照射源側にある第1の記録層に未記録領域と記録済領域とが混在する場合においても、第2の記録層に対する記録、再生を、最適な盤面パワーによって迅速に行うことができるようにする。
【解決手段】 2層光ディスク101に照射する光束の出力を調整する出力調整手段6により、第2の記録層102bに対して情報信号の記録を行うときには、光束が第1の記録層102aを透過するときの光束断面内における記録済領域及び未記録領域の分布状態と、記憶手段7によって記憶されている第1の記録層102aの光束に対する透過率とに応じて光束の出力を調整し、第2の記録層102bに対して照射される光束を所定の出力とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、第1及び第2の記録層が積層されて構成された2層光ディスクを用いて、情報信号の記録を行う2層光ディスク記録装置に関する。
従来、情報記録媒体である光ディスクにおいては、記録容量の増大のために、第1及び第2の記録層を積層して構成した2層光ディスクが提案されている。そして、このような2層光ディスクを用いて情報信号の記録、再生を行う2層光ディスク記録装置は、光学ピックアップ装置を用いて、第1の記録層の側より、各記録層のいずれかにレーザ光束を集光させて照射し、このレーザ光束を集光させた記録面に対する情報信号の記録、再生を行うように構成されている。
この2層光ディスク記録装置において、第1の記録層に対する記録、再生を行う場合には、レーザ光束の盤面パワーに関して、記録層が単層である光ディスクに対して記録、再生を行う場合と大差はない。
しかし、第2の記録層に対して情報信号の記録、再生を行うときには、光学ピックアップ装置により照射されるレーザ光束は、第1の記録層を透過して、第2の記録層に対して集光して照射される。また、この第2の記録層により反射されたレーザ光束は、第1の記録層を透過して、光学ピックアップ装置に戻る。そして、第1の記録層は、未記録か記録済かによって、光透過率が異なる。そのため、第2の記録層に対して記録、再生を行う場合には、第1の記録層が未記録か記録済かによって、第2の記録層におけるレーザ光束の盤面パワーが変化することになる。
このような2層光ディスクにおいては、例えば、いわゆる「2層記録型DVD」においては、まず、第1の記録層の全領域について記録を行い、次に、第2の記録層に対する記録を行うようになっている。第1の記録層は、記録がなされることにより、光透過率が上昇するからである。
しかし、動画記録(ムービー)のために使用される2層光ディスク、例えば、いわゆる「2層記録型DVD−R」、「2層記録型DVD+R」、「2層記録型DVD−RAM」などにおいては、追記記録を行う。追記記録を行う場合には、第1の記録層に記録されるビデオレコーディング(VR)記録フォーマットのインフォメーションファイルを最初に記録することができず、このインフォメーションファイルが記録される領域は、第2の記録層に対する記録がなされるときにおいても、未記録の状態となる。
このように、2層光ディスクにおいては、第1の記録層の一部が未記録の状態で、第2の記録層に対する記録を開始する場合が想定されるので、第1の記録層が未記録の状態における第2の記録層への記録方法が必要となっている。
ここで、第1の記録層の未記録領域と記録済領域とで、光学ピックアップ装置からの出射光のパワーを変えずに、第2の記録層に対する記録、再生を行った場合、第1の記録層の未記録領域では光透過率が低いので、第2の記録層における記録パワーが小さくなり、記録時のパワーマージンが小さくなり、再生時におけるジッタが悪化する等の問題が生ずる。また、第2の記録層におけるレーザ光束の盤面パワーの変化は、特に、第2の記録層に対する記録を行う場合に問題となる。すなわち、第1の記録層が未記録か記録済かによって、記録パワーに対するジッタ値のボトムが異なり、また、アシンメトリも異なることとなる。
第1の記録層の記録状態に応じて、光学ピックアップ装置からの出射光パワーを調整し、第2の記録層におけるレーザ光束の盤面パワーを最適化するための記録方法として、特許文献1には、第2の記録層に対する記録を行うときに、この第2の記録層により反射されて戻る光束の光量を検出し、この検出結果に基づいて、光学ピックアップ装置からの出射光パワーを制御する記録方法が記載されている。
特開2002−279634公報
ところで、光学ピックアップ装置からの出射光パワー設定の応答性は、光源となる半導体レーザ(LD)の駆動回路の特性に依存する。そして、前記特許文献1に記載の記録方法においては、光学ピックアップ装置からの出射光パワーの設定は、レジスタにデータが書き込まれ、この値に基づく制御が行われることによってなされる。レジスタへデータの書き込みがパラレルデータ転送であるかシリアルデータ転送であるかの形式の違いに依らず、レジスタの書き換えには一定の時間が必要である。また、第2の記録層からの戻り光の光量検出によっても、時間遅れが生ずる。
したがって、前記特許文献1に記載の記録方法のように、第2の記録層に対する記録時に、第2の記録層からの戻り光の光量を検出して、光学ピックアップ装置からの出射光パワーの設定値を計算し、半導体レーザ駆動回路に設定値を送るという制御では、応答性が遅いので、記録開始の初期においては正しい設定での記録を行うことはできない。
すなわち、この記録方法によって第2の記録層に対する記録を行う場合には、記録動作の開始前に、予め、第1の記録層における未記録領域と記録済領域との分布状態を把握しておき、光学ピックアップ装置からの出射光パワーを設定しておいてから、記録を開始する必要があり、迅速な記録動作を実行することができない。
また、第1の記録層における未記録領域と記録済領域との分布状態が予め把握されている場合であっても、従来、第1の記録層に未記録領域と記録済領域とが混在する場合においては、第2の記録層に対して記録、再生を行うための最適な盤面パワーを設定する方法が提案されていなかった。
そこで、本発明は、第1及び第2の記録層が積層されて構成された2層光ディスクを用いて情報信号の記録を行う2層光ディスク記録装置において、光束の照射源側にある第1の記録層に未記録領域と記録済領域とが混在する場合においても、第2の記録層に対する記録、再生を、最適な盤面パワーによって迅速に行うことができる2層光ディスク記録装置を提供しようとするものである。
前述の課題を解決し、前記目的を達成するため、本発明に係る2層光ディスク記録装置は、以下の構成のいずれか一を有している。
〔構成1〕
第1及び第2の記録層が積層されて構成された2層光ディスクを用いて第1の記録層の側より各記録層のいずれかに光束を集光させて照射しこの光束を集光させた記録面に対する情報信号の記録を行う2層光ディスク記録装置において、第2の記録層に対して光束を集光させて情報信号の記録を行うときに、第1の記録層に記録済領域と未記録領域とが存在する場合において、これら記録済領域及び未記録領域における光透過率の違いと光束が第1の記録層を透過するときの光束断面内における記録済領域及び未記録領域の分布状態とによって決まる第1の記録層の光束に対する透過率を記憶しておく記憶手段と、光束の出力を調整する出力調整手段とを備え、この出力調整手段は、第2の記録層に対して情報信号の記録を行うときには、光束が第1の記録層を透過するときの光束断面内における第1の記録層の記録済領域及び未記録領域の分布状態と、記憶手段によって記憶されている第1の記録層の光束に対する透過率とに応じて光束の出力を調整し、第2の記録層に対して照射される光束を所定の出力とすることを特徴とするものである。
〔構成2〕
構成1を有する2層光ディスク記録装置において、出力調整手段は、第2の記録層に対して情報信号の記録を行うときに、第1の記録層上の記録トラックと第2の記録層上の記録トラックとに偏芯がある場合においては、光束が第1の記録層を透過するときの光束断面内における第1の記録層の記録済領域及び未記録領域の分布状態について、第2の記録層上の記録トラックに対する第1の記録層上の記録トラックの偏芯の量及び方向を加算して、分布状態を決定することを特徴とするものである。
本発明に係る2層光ディスク記録装置においては、2層光ディスクに照射する光束の出力を調整する出力調整手段は、第2の記録層に対して情報信号の記録を行うときには、光束が第1の記録層を透過するときの光束断面内における第1の記録層の記録済領域及び未記録領域の分布状態と、記憶手段によって記憶されている第1の記録層の光束に対する透過率とに応じて光束の出力を調整し、第2の記録層に対して照射される光束を所定の出力とする。
また、この2層光ディスク記録装置においては、第1の記録層上の記録トラックと第2の記録層上の記録トラックとに偏芯がある場合においては、光束が第1の記録層を透過するときの光束断面内における第1の記録層の記録済領域及び未記録領域の分布状態について、第2の記録層上の記録トラックに対する第1の記録層上の記録トラックの偏芯の量及び方向を加算して、分布状態を決定する。
すなわち、本発明は、第1及び第2の記録層が積層されて構成された2層光ディスクを用いて情報信号の記録を行う2層光ディスク記録装置において、光束の照射源側にある第1の記録層に未記録領域と記録済領域とが混在する場合においても、第2の記録層に対する記録、再生を、最適な盤面パワーによって迅速に行うことができる2層光ディスク記録装置を提供することができるものである。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る2層光ディスク記録装置の構成を示すブロック図である。
この2層光ディスク記録装置は、図1に示すように、光学ピックアップ装置1を備えて構成される。この光学ピックアップ装置1は、光源として半導体レーザ(LD)を内蔵し、この半導体レーザから発せられるレーザ光束を、対物レンズ2を含む光学系を介して、この2層光ディスク記録装置に装着される2層光ディスク101の記録層上に集光して照射する。また、この光学ピックアップ装置1は、2層光ディスク101の記録層により反射された戻り光を、対物レンズ2を含む光学系を介して検出するように構成されている。
2層光ディスク101は、この2層光ディスク記録装置において、図示しない回転駆動装置(ターンテーブル)に装着されて、回転操作される。そして、光学ピックアップ装置1は、装着された2層光ディスク101の径方向に移動操作可能となっている。
図2は、2層光ディスクの構成を示す断面図である。
2層光ディスク101は、図2に示すように、円盤状の基板101aを有し、この基板101a上に、第1及び第2の記録層102a,102bを有して構成されている。すなわち、円盤状の基板101aの表面部に反射膜からなる第2の記録層102aが形成され、この第2の記録層102aに対して透明な中間層101bを介して、半透明の反射膜からなる第1の記録層102aが積層されて形成されている。そして、第1の記録層102a上には、透明なカバー層101cが形成されている。
光学ピックアップ装置1の対物レンズ2から出射されたレーザ光束は、2層光ディスク101に対して、第1の記録層102aの側から照射される。そして、このレーザ光束は、第1の記録層102aに対する記録、再生を行う場合には、この第1の記録層102a上に集光して照射される。また、このレーザ光束は、第2の記録層102bに対する記録、再生を行う場合には、第1の記録層102aを透過して、第2の記録層102b上に集光して照射される。第2の記録層102bに対する記録、再生を行う場合においては、第1の記録層102aを透過するときのレーザ光束は、一定の光束断面積を有している。
そして、この2層光ディスク記録装置においては、光学ピックアップ装置1は、図1に示すように、LD駆動回路3によって、半導体レーザを駆動される。また、光学ピックアップ装置1によって2層光ディスクからの戻り光を検出して得られた光検出出力は、信号処理部4に送られるとともに、アドレス検出部5に送られる。
信号処理部4においては、光学ピックアップ装置1からの光検出出力に基づいて、2層光ディスク101からの読み取り信号や、種々のエラー信号等が形成される。また、この信号処理部4は、駆動部6を介して、光学ピックアップ装置1の2層光ディスク101の径方向への移動を制御する。
そして、アドレス検出部5においては、光学ピックアップ装置1からの光検出出力に基づいて、光学ピックアップ装置1の2層光ディスク101に対する位置を示すアドレス情報を生成する。このアドレス情報は、出力調整手段となる光量設定部6に送られる。
光量設定部6は、LD駆動回路3を介して、半導体レーザの発光出力を制御する。すなわち、この光量設定部6は、光学ピックアップ装置1の半導体レーザを駆動するLD駆動回路3に対して、半導体レーザの出射光パワーを設定する。
この光量設定部6は、第2の記録層102bに対して情報信号の記録、再生を行うときには、レーザ光束が第1の記録層102aを透過するときの光束断面内における第1の記録層102aの記録済領域及び未記録領域の分布状態と、記憶手段となるメモリ7によって記憶されている第1の記録層102aのレーザ光束に対する透過率とに応じて、半導体レーザの発光出力を調整し、第2の記録層102bに対して照射されるレーザ光束を所定の出力とする。
図3は、第1の記録層を透過するときのレーザ光束の状態を示す平面図(a)及び断面図(b)である。
対物レンズ2から出射されて収束するレーザ光束は、透明媒質に入射したときには、この透明媒質の屈折率nに応じて、収束角度が狭くなる。しかし、第2の記録層102bに集光されるレーザ光束は、図3に示すように、第1の記録層102aにおいては、一定の光束断面積を有する。したがって、第2の記録層102bにおける記録を行う位置に対応する第1の記録層102a上の位置が記録済領域であっても、レーザ光束の光束断面積内に未記録領域が進入してくると、この第1の記録層102aのレーザ光束に対する透過率は低下してくる。すなわち、この光束断面積に対して未記録領域がどの程度の割合を占めるかによって、第1の記録層102aのレーザ光束に対する透過率が決まる。
したがって、第1の記録層102aにおける未記録領域の分布に関する情報が予め与えられている場合において、第2の記録層102bに対する記録、再生を行うときには、第1の記録層102aにおける光束断面の径を考慮して、半導体レーザの発光出力を調整する必要がある。
この調整に関しては、第1の記録層102aと第2の記録層102bとの層間距離をtとし、レーザ光束の光軸から第1の記録層102aにおける未記録領域の開始位置(記録済領域と未記録領域との境界)までの距離をLとしたとき、以下の関係が成立する。
L=t×tan(sin−1(NA/n))
ここで、NAは対物レンズ2の開口数、nは2層光ディスク101のカバー層101c及び中間層101bの屈折率である。
図4は、レーザ光束の断面内の光強度分布がガウス分布である場合において、レーザ光束内を第1の記録層102aの記録済領域と未記録領域との境界が通過するときの透過率の変化を示すグラフである。
第1の記録層102aのレーザ光束に対する透過率は、図4に示すように、レーザ光束の第1の記録層102aにおける光束断面積に対して、未記録領域と記録済領域との光透過率を積分した値となる。
図4において、横軸は、第2の記録層102bに照射されるレーザ光束の光軸位置Xを示し、第1の記録層102aにおける未記録領域と記録済領域との境界を0としている。左側の縦軸は、第1の記録層102aのレーザ光束に対する透過率であり、実線のグラフに対応する。実線のグラフは、第1の記録層102aの未記録領域の光透過率が0%であり、記録済領域の光透過率が100%である場合を示している。この場合、第1の記録層102aのレーザ光束に対する透過率の変化特性は、ガウス分布特性を積分した関数となり、以下の式によって示される。
〔ガウス分布〕=exp(−2(X+Y)/r
F(2j/r)=∫2j/r0 −∞exp(−t/2)dt
図4において、右側の縦軸は、第1の記録層102aのレーザ光束に対する透過率であり、点線のグラフに対応する。点線のグラフは、第1の記録層102aの未記録領域の光透過率が20%で、記録済領域の光透過率が30%である場合を示している。実際の2層光ディスク101における第1の記録層102aの透過率は、点線のグラフに略対応している。
なお、対物レンズ2に入射するレーザ光束の強度分布は、半導体レーザからの出射光の発散角によって変わる。そのため、対物レンズ2の周囲部におけるレーザ光束の強度(リムインテン)を異ならせて計算する必要があるが、半導体レーザからの出射光の発散角による影響は少ないことがわかった。
ここで、第1の記録層102aから第2の記録層102bへと連続的に記録を行う場合であって、第1の記録層102aの未記録領域の位置が予めわかっている場合を考える。第1の記録層102aの未記録領域の位置は、第1の記録層102aに記録するときに、記録した領域のアドレスを記録しておくことによって知ることができる。
この場合において、前述したように、動画記録(ムービー)のために使用される2層光ディスクでは、追記記録を行うため、ビデオレコーディング(VR)記録フォーマットのインフォメーションファイルを最初に記録することができず、第1の記録層102aにおける所定の領域が未記録領域のまま残される。
第1の記録層102aにおける未記録領域の位置がわかっている場合には、この未記録領域の位置を示す情報を、予めメモリ7に記憶させておく。そして、第2の記録層102bに対する記録、再生を行うときには、メモリ7に記憶された未記録領域の位置に関する情報に基づいて、半導体レーザの発光出力を調整すればよい。また、メモリ7には、第1の記録層102aにおける記録済領域及び未記録領域の光透過率も記憶させておく。
すなわち、光量設定部6は、アドレス検出部5から送られるアドレス情報と、メモリ7に記憶された未記録領域の位置に関する情報とに基づいて、レーザ光束が第1の記録層102aを透過するときの光束断面内における記録済領域及び未記録領域の分布状態とを算出することができる。そして、光束断面内における記録済領域及び未記録領域の分布状態がわかれば、この分布状態と、記録済領域及び未記録領域の光透過率とに基づいて、第1の記録層102aのレーザ光束に対する透過率を算出することができる。
したがって、光量設定部6は、第2の記録層102bに対して光束を集光させて情報信号の記録を行うときに、第1の記録層102aに記録済領域と未記録領域とが存在する場合であっても、メモリ7に記憶された第1の記録層102aにおける未記録領域の位置を示す情報と、2層光ディスク101から読み取られるアドレス情報とに基づいて、半導体レーザの発光出力を適切に調整することができる。
なお、図4に示したような、レーザ光束内を第1の記録層102aの記録済領域と未記録領域との境界が通過するときの透過率の変化は、予め、第1の記録層102aの記録済領域において第2の記録層102bに記録するときに必要となるレーザ光束の出力と、第1の記録層102aの未記録領域において第2の記録層102bに記録するときに必要となるレーザ光束の出力とを求めておくことにより、決定することができる。第1の記録層102aの記録済領域において第2の記録層102bに記録するときのレーザ光束の出力は、オートパワーコントロール(APC)回路により設定された出力に、2層光ディスク101に応じた係数をかけることによって定まる。そして、第1の記録層102aの未記録領域において第2の記録層102bに記録するときに必要となるレーザ光束の出力を定め、これら2つの出力に対して、図4に示した変化カーブ特性を適用すれば、透過率の変化特性を求めることができる。
図5は、レーザ光束の断面内の光強度分布がガウス分布であって、レーザ光束内をこのレーザ光束の光束断面積よりも小さい記録済領域が通過するときの透過率の変化を示すグラフである。
図5中の(a)において、横軸は、第2の記録層102bに照射されるレーザ光束の光軸位置Xを示し、第1の記録層102aにおける未記録領域と記録済領域との境界を0としている。縦軸は、第1の記録層102aのレーザ光束に対する透過率であり、グラフは、第1の記録層102aの未記録領域の光透過率が0%であり、記録済領域の光透過率が100%である場合を示している。
図5中の(b)に示すように、レーザ光束内をこのレーザ光束の第1の記録層102aにおける光束断面積よりも小さい記録済領域が通過するときには、レーザ光束内を記録済領域のスリットが移動する形となり、第1の記録層102aのレーザ光束に対する透過率は、未記録領域から記録済領域に突入する場合の変化と、記録済領域から未記録領域に突入する場合の変化とを合成した変化となる。したがって、半導体レーザの発光出力の調整は、このような透過率の変化が相殺されるように、この透過率の変化の逆の極性で行うこととなる。
また、レーザ光束内をこのレーザ光束の光束断面積よりも小さい未記録領域が通過する場合であっても、同様に、第1の記録層102aのレーザ光束に対する透過率は、記録済領域から未記録領域に突入する場合の変化と、未記録領域から記録済領域に突入する場合の変化とを合成した変化となる。したがって、半導体レーザの発光出力の調整は、このような透過率の変化が相殺されるように、この透過率の変化の逆の極性で行うこととなる。
図6は、第1の記録層の記録トラックと第2の記録層の記録トラックとが互いに偏芯している状態を示す平面図である。
前述の説明では、第1の記録層102aと第2の記録層102bとで、それぞれの記録トラックには互いに偏芯がないものとして考えていた。しかし、第1の記録層102aが形成された基板と第2の記録層102bが形成された基板とを貼り合わせて構成する2層光ディスクにおいては、図6に示すように、各記録層102a,102bの記録トラック103a,103bが互いに偏芯していることが考えられる。
このような偏芯がある場合には、各記録層102a,102bの記録トラック103a,103b間の偏芯波形を、予め、トラッキング駆動波形に基づいて求めておき、この偏芯波形を、メモリ7に記憶させておく。そして、この偏芯波形に基づいて、レーザ光束が第1の記録層102aを透過するときの光束断面内における第1の記録層102aの記録済領域及び未記録領域の分布状態について、第2の記録層102bの記録トラック103bに対する第1の記録層102aの記録トラック103aの偏芯の量及び方向を加算して、分布状態を決定するようにすれば、半導体レーザの発光出力の調整を適切に行うことができる。
図7は、偏芯検出補正回路の構成を示すブロック図である。
第1の記録層102aの記録トラックと第2の記録層102bの記録トラックとが互いに偏芯している場合において半導体レーザの発光出力の調整を行うには、図7に示すように、まず、光学ピックアップ装置1のトラッキング駆動アクチュエータを制御するトラッキングサーボ回路8から、アクチュエータ駆動電流を、L0偏芯メモリ9及びL1偏芯メモリ10に送る。L0偏芯メモリ9には、第1の記録層102aの記録トラック103aの偏芯波形が記憶されることとなる。また、L1偏芯メモリ10には、第2の記録層102bの記録トラック103bの偏芯波形が記憶されることとなる。
そして、これら各偏芯メモリ9,10から、各記録層102a,102bの記録トラック103a,103bの偏芯波形を偏芯差演算部11に送る。偏芯差演算部11は、各記録トラック103a,103bの偏芯波形に基づいて、第2の記録層102bの記録トラック103bに対する第1の記録層102aの記録トラック103aの偏芯の量及び方向を演算する。この演算結果は、光量設定部6に送られる。
光量設定部6は、第1の記録層102aにおける記録済領域及び未記録領域の分布状態を示す情報に、偏芯差演算部11より送られた第2の記録層102bの記録トラック103bに対する第1の記録層102aの記録トラック103aの偏芯の量及び方向を示す情報を加算して、未記録領域の位置を決定し、この未記録領域の位置に基づいて、前述したようなレーザ光束に対する透過率の変化に応じて、半導体レーザの発光出力の調整を行う。
ここで、第2の記録層102bに対する記録を行うときに、第1の記録層102aにおける未記録領域の位置が分かっていない場合について説明する。
第1の記録層102aにおける未記録領域の位置が分かっていない場合には、第2の記録層102bに対する記録開始位置にアクセスし、このアクセス時間内の再生信号レベルから、第1の記録層102aが記録済領域であるか未記録領域であるかを検出することができる。
すなわち、アクセス時には、シーク動作やジャンプ制御を行なって、所定の開始アドレスにアクセスする。このとき、トラッキング信号やRF信号のレベルは、第1の記録層102aが記録済領域であるか未記録領域であるかによって影響を受けて変化する。これらトラッキング信号やRF信号のレベルの変化は、第1の記録層102aにおけるレーザ光束内における未記録領域の分布状態によって変わる。そして、これらトラッキング信号やRF信号のレベルの変化量の中間値となる箇所が、第1の記録層102aにおける記録済領域と未記録領域との境界として検出される。
このようにして記録済領域と未記録領域との境界を検出すれば、未記録領域の位置がアドレスによって管理されていない場合であっても、記録済領域及び未記録領域の分布状態を求めて、半導体レーザの発光出力の調整を適切に行うことができる。
本発明に係る2層光ディスク記録装置の構成を示すブロック図である。 前記2層光ディスク記録装置において、用いる2層光ディスクの構成を示す断面図である。 前記2層光ディスク記録装置において、第1の記録層を透過するときのレーザ光束の状態を示す平面図及び断面図である。 前記2層光ディスク記録装置において、レーザ光束の断面内の光強度分布がガウス分布である場合において、レーザ光束内を第1の記録層の記録済領域と未記録領域との境界が通過するときの透過率の変化を示すグラフである。 前記2層光ディスク記録装置において、レーザ光束の断面内の光強度分布がガウス分布であって、レーザ光束内をこのレーザ光束の光束断面積よりも小さい未記録領域が通過するときの透過率の変化を示すグラフである。 前記2層光ディスク記録装置において、第1の記録層の記録トラックと第2の記録層の記録トラックとが互いに偏芯している状態を示す平面図である。 前記2層光ディスク記録装置における偏芯検出補正回路の構成を示すブロック図である。
符号の説明
1 光学ピックアップ装置
2 対物レンズ
3 LD駆動回路
4 信号処理回路
5 アドレス検出部
6 光量設定部
7 メモリ
8 トラッキングサーボ回路
9 L0偏芯メモリ
10 L1偏芯メモリ
11 偏芯差演算部
101 2層光ディスク
102a 第1の記録層
102b 第2の記録層
103a 第1の記録層の記録トラック
103b 第2の記録層の記録トラック

Claims (2)

  1. 第1及び第2の記録層が積層されて構成された2層光ディスクを用いて、前記第1の記録層の側より前記各記録層のいずれかに光束を集光させて照射し、この光束を集光させた記録面に対する情報信号の記録を行う2層光ディスク記録装置において、
    前記第2の記録層に対して前記光束を集光させて情報信号の記録を行うときに、前記第1の記録層に記録済領域と未記録領域とが存在する場合において、これら記録済領域及び未記録領域における光透過率の違いと、前記光束が前記第1の記録層を透過するときの光束断面内における前記記録済領域及び前記未記録領域の分布状態とによって決まる前記第1の記録層の前記光束に対する透過率を記憶しておく記憶手段と、
    前記光束の出力を調整する出力調整手段とを備え、
    前記出力調整手段は、前記第2の記録層に対して情報信号の記録を行うときには、前記光束が前記第1の記録層を透過するときの光束断面内における該第1の記録層の記録済領域及び未記録領域の分布状態と、前記記憶手段によって記憶されている前記第1の記録層の前記光束に対する透過率とに応じて該光束の出力を調整し、前記第2の記録層に対して照射される光束を所定の出力とする
    ことを特徴とする2層光ディスク記録装置。
  2. 前記出力調整手段は、前記第2の記録層に対して情報信号の記録を行うときに、前記第1の記録層上の記録トラックと前記第2の記録層上の記録トラックとに偏芯がある場合においては、前記光束が前記第1の記録層を透過するときの光束断面内における該第1の記録層の記録済領域及び未記録領域の分布状態について、前記第2の記録層上の記録トラックに対する前記第1の記録層上の記録トラックの偏芯の量及び方向を加算して、該分布状態を決定する
    ことを特徴とする請求項1記載の2層光ディスク記録装置。
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