JP2007197651A - ポリエステル樹脂およびこれを含むポリエステルフィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 脂環族ジカルボン酸成分および脂環族ジオール成分を含むポリエステル樹脂であり、下記式(1),(2)を満足するポリエステル樹脂。
65℃≦示差走査熱量測定によるガラス転移温度≦90℃・・・・(1)
1.500≦ナトリウムD線での屈折率≦1.570・・・・(2)
【選択図】 なし
Description
1.500≦ナトリウムD線での屈折率≦1.570・・・(2)
光弾性係数が大きい場合、フィルムに応力が作用した際に位相差が大きく変化するため、液晶ディスプレイ用途のフィルムには不適である。
そこで、本発明のポリエステル樹脂は、この芳香環成分を脂環族ジカルボン酸成分や脂環族ジオールで置換することにより、屈折率や光弾性係数を低減させている。 本発明における脂環族ジカルボン酸成分としては、シクロヘキサンジカルボン酸成分やデカリンジカルボン酸成分等を挙げることができる。特に入手の容易性や重合反応性の観点からはシクロヘキサンジカルボン酸成分が好ましい。シクロヘキサンジカルボン酸成分は、シクロヘキサンジカルボン酸やそのエステルを原料として用いることができる。
(1)ポリエステルの熱特性(ガラス転移点、結晶融解熱量)
測定するサンプルを約10mg秤量し、アルミニウム製パン、パンカバーを用いて封入し、示差走査熱量計(パーキンエルマー社製 DSC7型)によって測定した。測定においては窒素雰囲気中で20℃から285℃まで16℃/分の速度で昇温した後液体窒素を用いて急冷し、再び窒素雰囲気中で20℃から285℃まで16℃/分の速度で昇温する。この2度目の昇温過程でガラス転移点を測定した。
(2)ポリエステルの屈折率
ポリエステル樹脂を溶融押し出しすることで厚さ100μmの未延伸シートを得る。
ついで光源としてナトリウムD線を用い23℃の温度条件にて株式会社アタゴ製 「アッベ式屈折率計 NAR−4T」で屈折率を測定した。
(3)固有粘度
固有粘度はオルトクロロフェノールを溶媒とし、25℃で測定した。
(4)光弾性係数(×10−12Pa−1)
短辺1cm長辺7cmのサンプルを切り出した。このサンプルの厚みをd(μm)とする。このサンプルを(株)島津製作所社製TRANSDUCER U3C1−5Kを用いて、上下1cmずつをチェックに挟み長辺方向に1kg/mm2(9.81×106Pa)の張力(F)をかけた。この状態で、ニコン(株)社製偏光顕微鏡5892を用いて位相差R(nm)を測定した。光源としてはナトリウムD線(589nm)を用いた。これらの数値を光弾性係数=R/(d×F)にあてはめて光弾性係数を計算した。
(5)反射率
日立製作所製 分光光度計(U−3410 Spectrophotometer)にφ60積分球130−0632((株)日立製作所)および10°傾斜スペーサーを取り付け反射率のピーク値を測定した。なお、バンドパラメーターは2/servoとし、ゲインは3と設定し、187nm〜2600nmの範囲を120nm/min.の検出速度で測定した。また、反射率を基準化するため、標準反射板として付属のBaSO4板を用いた。なお、本評価法では相対反射率となるため、反射率は100%以上となる場合もある。
(6)剥離性
JIS K5600(2002年)に従って試験を行った。なお、フィルムを硬い素地とみなし、2mm間隔で25個の格子状パターンを切り込んだ。また、約75mmの長さに切ったテープを格子の部分に接着し、テープを60°に近い角度で0.5〜1.0秒の時間で引き剥がした。ここで、テープにはセキスイ製セロテープ(登録商標)No.252(幅18mm)を用いた。評価結果は、格子1つ分が完全に剥離した格子の数で表した。また、試験フィルムの厚みが100μmより薄い場合には、厚さ100μmの二軸延伸PETフィルム(東レ製“ルミラー”T60)に試験フィルムを接着剤で強固に貼りあわせしたサンプルを剥離試験に用いた。この際には、試験サンプルを貫通しないように試験サンプルの面に格子を切り込んでテストを実施した。剥離個数が4個以下を合格とした。
(ポリエステルの合成)
テレフタル酸ジメチルを67.6重量部、シス/トランス比率が72/28である1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチルを17.4重量部、エチレングリコールを54重量部、スピログリコールを20重量部、酢酸マンガン四水塩を0.04重量部、三酸化アンチモンを0.02重量部それぞれ計量し、エステル交換反応装置に仕込んだ。内容物を150℃で溶解させて撹拌した。
ポリエステルチップを真空乾燥したが、一部に塊状物が見られたため、これを崩してから、押出機に供給した。押出機に供給されたポリエステルは280℃で溶融されて金属不織布フィルターによって濾過されたのち、Tダイから溶融シートとして押し出した。溶融シートは静電印加法(電極は直径0.15ミリのタングステンワイヤーを使用)によって表面温度が25℃に制御された鏡面ドラム上で冷却固化され、未延伸シートとなった。該未延伸シートを用いて光弾性係数を測定した。
前記ポリエステルAおよびPET樹脂をそれぞれ真空乾燥した後、2台の押出機にそれぞれ供給した。
テレフタル酸ジメチル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル、エチレングリコール、スピログリコールの量比を変更する以外は実施例1と同様にしてポリエステルを重合した。得られたポリエステル樹脂からは結晶融解熱ピークは観察されなかった。さらに実施例1で重合したPET樹脂を用い、同様の条件で積層フィルムを得た。
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチルのシス/トランス比率が15/85である1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチルを用いる以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。結果を表1に示す。実施例1に比較して1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチルのトランス比率が高いため、光弾性係数は実施例1よりも高い値となった。なお、該ポリエステル樹脂の結晶融解熱ピークは観察されなかった。
テレフタル酸ジメチルを66.4重量部、デカリンジカルボン酸ジメチルを29重量部、エチレングリコールを57重量部、スピログリコールを7重量部、酢酸マンガン四水塩を0.04重量部、三酸化アンチモンを0.02重量部それぞれ計量し、エステル交換反応装置に仕込んだ。内容物を150℃で溶解させて撹拌した。
テレフタル酸ジメチルを77重量部、シス/トランス比率が72/28である1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチルを20重量部、エチレングリコールを62重量部、イソソルビドを7.3重量部、酢酸マンガン四水塩を0.04重量部、三酸化アンチモンを0.02重量部それぞれ計量し、エステル交換反応装置に仕込んだ。内容物を150℃で溶解させて撹拌した。
実施例1で用いたポリエステルAおよびPET樹脂を用い、積層総数を251層とする以外は同様にして積層ポリエステルフィルムを製膜した。得られた積層ポリエステルフィルムの厚みは50μmであった。結果を表1に示す。積層数を実施例1の101層から251層と増加させたため光反射層が増え、優れた光反射性を示した。
旭電化工業(株)製ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト)を用いない以外は実施例1と全く同様にして多層積層フィルムを得た。
旭電化工業(株)製ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト)の添加量を0.01重量部とする以外は実施例1と全く同様にして多層積層フィルムを得た。
テレフタル酸ジメチルを56.1重量部、シス/トランス比率が72/28である1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチルを24.8重量部、エチレングリコールを52重量部、スピログリコールを25.1重量部、酢酸マンガン四水塩を0.04重量部、三酸化アンチモンを0.02重量部それぞれ計量し、エステル交換反応装置に仕込んだ。内容物を150℃で溶解させて撹拌した。
実施例1のポリエステルAを95重量部、実施例1のポリエチレンテレフタレートチップを5重量部の割合で実施例14のベント式2軸混練機で混練し、このポリエステルをポリエステルAの代わりに用いて実施例1と同様にフィルムを得た。
テレフタル酸ジメチルを34.1重量部、シス/トランス比率が72/28である1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチルを35.2重量部、エチレングリコールを44重量部、スピログリコールを39.5重量部、酢酸マンガン四水塩を0.04重量部、三酸化アンチモンを0.02重量部それぞれ計量し、エステル交換反応装置に仕込んだ。内容物を150℃で溶解させて撹拌した。
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチルのシス/トランス比率が50/50である1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチルを用いる以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。結果を表1に示す。実施例1に比較して1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチルのトランス比率が高いため、光弾性係数は実施例1よりも高い値となった。なお、該ポリマーの結晶融解ピークは観察されなかった。
実施例1のPET樹脂の重合において、イソフタル酸ジメチルを15重量部、テレフタル酸ジメチルを85重量部とする以外は同様にしてイソフタル酸成分を15モル%含むポリエステルKを重合した。実施例1におけるポリエステルAの代わりにポリエステルKを用い、積層フィルムを得た。結果を表1に示すが、脂環族ジカルボン酸成分、脂環族ジオール成分のいずれも含有しないために光弾性係数が大きく、積層フィルムの反射率も小さいものであった。
ポリエステル原料の量比や種類を偏光することで各種ポリエステルを重合した。これらのポリエステルを用い、実施例1と同様にPETと積層したフィルムを得た。結果を表1に示す。脂環族ジカルボン酸成分または脂環族ジオール成分のいずれかのみを含有する比較例2,3では光弾性係数またはガラス転移点が本発明の範囲を満たすことができず、積層性や剥離性が劣るものであった。
Claims (13)
- 少なくとも脂環族ジカルボン酸成分および脂環族ジオール成分を含むポリエステル樹脂であり、下記式(1)、(2)を満足するポリエステル樹脂。
65℃≦示差走査熱量測定によるガラス転移点温度≦90℃・・・(1)
1.500≦ナトリウムD線での屈折率≦1.570・・・(2) - 脂環族ジカルボン酸成分がシクロヘキサンジカルボン酸成分である請求項1に記載のポリエステル樹脂。
- 脂環族ジオール成分がスピログリコール成分である請求項1又は2のいずれかに記載のポリエステル樹脂。
- 固有粘度が0.65〜1.0の範囲である請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂。
- ポリエステル繰り返し単位に含まれる芳香環モル数がポリエステル樹脂1kg当たりに換算して4.8モル以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂。
- 2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、テレフタル酸成分、イソフタル酸成分から選択される少なくとも一種のジカルボン酸成分を全ジカルボン酸成分に対して20〜95モル%含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂。
- エチレングリコール成分をグリコール成分として20〜95モル%含有する請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂。
- 3価のリンを含む耐熱安定剤を0.01〜2.0重量%含有する請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂(A)および示差走査熱量測定による結晶融解熱量が4J/g以上であるポリエステル樹脂(B)を含み、ポリエステル樹脂(B)を5〜50重量%含有するポリエステル樹脂。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂を含むポリエステルフィルム。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂を少なくとも1層含む積層ポリエステルフィルム。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂とポリエチレンテレフタレート樹脂とを交互に積層した積層ポリエステルフィルム。
- 光反射率が90%以上である請求項12に記載の積層ポリエステルフィルム。
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