JP2007171757A - 静電荷像現像トナー用結着樹脂、静電荷像現像トナー用結着樹脂分散液及び、静電荷像現像トナー並びにそれらの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリカルボン酸とポリオールの重縮合反応により得られるトナー用結着樹脂であって、該ポリカルボン酸の50mol%以上100mol%以下が芳香族炭化水素基または脂環式炭化水素基を含む特定の化合物よりなり、該ポリオールの10mol%以上100mol%以下がビスフェノールS及び/又はビスフェノールZ骨格を含む特定の化合物よりなり、かつ樹脂中の触媒由来の金属元素が100ppm以下であることを特徴とする静電荷像現像トナー用結着樹脂。
Description
例えば、特許文献2及び特許文献3には多価カルボン酸成分としてシクロヘキセンジカルボン酸(シクロヘキシレンジカルボン酸)の無水物ないしシクロヘキサンジカルボン酸無水物と、ビスフェノール構造を有する多価アルコールから常圧重合法により得られるポリエステル樹脂を用いた電子写真用トナー組成物に関する提案がある。この発明は、ポリエステル樹脂のガラス転移温度を高め、トナーの保存安定性を改善することを目的としているが、この製法では脂環族多価カルボン酸を用いた場合、常圧重合法においては、分子量を上げることが困難で、低分子量の樹脂しか得ることができず、かえって保存安定性を損なう場合がある。
同様に、特許文献5には、透明性の改善を目的として、多価アルコールが少なくともシクロヘキサン骨格を有する水素化ビスフェノールからなることを特徴とするポリエステル樹脂が提案されている。
また、特許文献6には、耐加水分解性向上を目的として、ポリエステルの構成成分のうち、ジカルボン酸成分の主成分が脂環式ジカルボン酸成分であり、ジオール成分の80〜99.95モル%が脂環式ジオール成分、0.05〜20モル%が炭素数2〜10のアルキレンジオール成分であり、ある固有粘度と、ポリマー末端酸価を有するポリエステルが開示されている。
またこれらの樹脂はいずれも、通常の高エネルギーを必要とする製法により製造されている。一般の重縮合法は、200℃を越す高温下で大動力による撹拌下、かつ高減圧下で10時間以上の時間に及ぶ反応が必要であり、大量のエネルギー消費を招く。またそのために反応設備の耐久性を得るために膨大な設備投資を必要とする場合が多い。
一方、電子写真プリンター・コピー機は、更なる高機能化・特に印刷速度の高速化が望まれてきており、前記同様に過酷な条件下において印刷された印刷画像においても、例えば高温での長期間における過酷な条件での画像保管性は勿論、耐摩擦性・耐擦り性等の画像強度も必要となってきている。
ポリエステル樹脂のアルコール単量体としてビスフェノールA誘導体を用いて用いて作製されたトナーについては、通常の環境にて使用される場合には上記も満足し得るが、特に高温高湿下等の苛酷な環境においては、樹脂としての剛性がまだ十分ではない為、トナー粉体としての機械的強度が十分でなかったり、また該樹脂を用いて作製されたトナーの印刷物においても、強い摩擦による画像のかすれや裏移りが発生しやすくなるなど、印刷物としての画像強度もまだ十分とは言えない状況がある。
また、特許文献14では、ビスフェノールS、及びその誘導体を透明トナー用の樹脂用のアルコール原料として用い、画像部・非画像部にコートすることによって、画像光沢度を高める検討を行っている。しかし、金属触媒を用いている為に、樹脂の電気特性が悪化しやすく、特に高湿下においてプリントした時においてカブリが発生しやすい問題点は改善されていない。
このようにビスフェノールSについては、トナー領域への検討例が見られているものの、これらの樹脂を用いて作製されるトナーの機械的強度の改善、あるいは定着画像強度の改善はなされておらず、またこれらビスフェノールSを含む樹脂の作製も全て金属触媒を用いた高温重合により得られるものであって、樹脂中に金属が残留する事による高温高湿下での電荷漏洩による帯電量低下によって引き起こされる問題点も改善されていないのが現状である。
<1> ポリカルボン酸とポリオールの重縮合反応により得られるトナー用結着樹脂であって、該ポリカルボン酸の50mol%以上100mol%以下が式(1)及び/又は式(2)で表される化合物よりなり、該ポリオールの10mol%以上100mol%以下が式(3)で表される化合物よりなり、かつ樹脂中の触媒由来の金属元素が100ppm以下であることを特徴とする静電荷像現像トナー用結着樹脂、
R1OOCA1 mB1 nA1 lCOOR1' (1)
(A1:メチレン基、B1:芳香族炭化水素基、R1、R1':水素原子又は1価の炭化水素基、1≦m+l≦12、1≦n≦3)
R2OOCA2 pB2 qA2 rCOOR2' (2)
(A2:メチレン基、B2:脂環式炭化水素基、R2、R2':水素原子又は1価の炭化水素基、0≦p≦6、0≦r≦6、1≦q≦3)
HOXh−Ph−Y−Ph−XkOH (3)
(X:アルキレンオキサイド基、Y:SO2又はC6H10、1≦h≦3、1≦k≦3)
<2> 式(1)に記載の芳香族炭化水素基が、ベンゼン及び/又はナフタレン環状構造である<1>に記載の静電荷像現像トナー用結着樹脂、
<3> 式(2)に記載の脂環式炭化水素基が、シクロブタン、シクロヘキサン及びシクロヘキセン構造よりなる群から選択される少なくとも1つを含む<1>又は<2>に記載の静電荷像現像トナー用結着樹脂、
<4> 該結着樹脂のガラス転移温度が30℃〜90℃である<1>〜<3>いずれか1つに記載の静電荷像現像トナー用結着樹脂、
<5> ポリカルボン酸とポリオールを重縮合反応させる工程を含む静電荷像現像トナー用結着樹脂の製造方法であって、該ポリカルボン酸の50mol%以上100mol%以下が式(1)及び/又は式(2)で表される化合物よりなり、該ポリオールの10mol%以上100mol%以下が式(3)で表される化合物よりなり、かつ樹脂中の触媒由来の金属元素が100ppm以下であることを特徴とする<1>〜<4>何れか1つに記載の静電荷像現像トナー用結着樹脂の製造方法、
R1OOCA1 mB1 nA1 lCOOR1' (1)
(A1:メチレン基、B1:芳香族炭化水素基、R1、R1':水素原子又は1価の炭化水素基、1≦m+l≦12、1≦n≦3)
R2OOCA2 pB2 qA2 rCOOR2' (2)
(A2:メチレン基、B2:脂環式炭化水素基、R2、R2':水素原子又は1価の炭化水素基、0≦p≦6、0≦r≦6、1≦q≦3)
HOXh−Ph−Y−Ph−XkOH (3)
(X:アルキレンオキサイド基、Y:SO2又はC6H10、1≦h≦3、1≦k≦3)
<6> 重縮合反応の際に硫黄酸を使用する<5>に記載の静電荷像現像トナー用結着樹脂の製造方法、
<7> 重縮合反応が70℃以上、150℃以下の温度で行われる<5>又は<6>に記載の静電荷像現像トナー用結着樹脂の製造方法、
<8> 重縮合反応する工程の後に、該反応物を急速に冷却する工程を含む<5>〜<7>何れか1つに記載の静電荷像現像トナー用結着樹脂の製造方法、
<9> <1>〜<4>いずれか1つに記載の静電荷像現像トナー用結着樹脂を分散した静電荷像現像トナー用結着樹脂分散液、
<10> 少なくとも結着樹脂分散液を含む分散液中で該結着樹脂を凝集して凝集粒子を得る工程、及び、該凝集粒子を加熱して融合させる工程を含む静電荷像現像トナーの製造方法であって、前記結着樹脂分散液が<9>に記載の静電荷像現像トナー用結着樹脂分散液であることを特徴とする静電荷像現像トナーの製造方法、
<11> <10>に記載の製造方法により製造された静電荷像現像トナー、
<12> <1>〜<4>いずれか1つに記載の静電荷像現像トナー用結着樹脂を含む混合物を混練粉砕して作製した静電荷像現像トナー、
<13> <11>又は<12>に記載の静電荷像現像トナーとキャリアとを含む静電荷像現像剤、
<14> 潜像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、前記潜像保持体表面に形成された静電潜像をトナー又は静電荷像現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、前記潜像保持体表面に形成されたトナー像を被転写体表面に転写する転写工程と、前記被転写体表面に転写されたトナー像を熱定着する定着工程とを含む画像形成方法であって、前記トナーとして<11>又は<12>に記載の静電荷像現像トナー、又は、前記現像剤として<13>に記載の静電荷像現像剤を用いることを特徴とする画像形成方法。
R1OOCA1 mB1 nA1 lCOOR1' (1)
(A1:メチレン基、B1:芳香族炭化水素基、R1、R1':水素原子又は1価の炭化水素基、1≦m+l≦12、1≦n≦3)
R2OOCA2 pB2 qA2 rCOOR2' (2)
(A2:メチレン基、B2:脂環式炭化水素基、R2、R2':水素原子又は1価の炭化水素基、0≦p≦6、0≦r≦6、1≦q≦3)
HOXh−Ph−Y−Ph−XkOH (3)
(X:アルキレンオキサイド基、Y:SO2又はC6H10、1≦h≦3、1≦k≦3)
また、従来の汎用的に用いられていた単量体を重合して得たポリエステル樹脂では達成し得なかったトナー粉体としての機械的強度・画像強度を、重縮合性単量体出発材料を特定の組成とすることによって実現することができる。
また上記の本発明のトナー用結着樹脂を使用することによって、機械的強度・画像強度の向上、高温高湿度下での非画像部バックグラウンドのカブリの改善だけでなく、該樹脂のガラス転移温度の上昇によって、該結着樹脂を使用してトナーを製造した場合のホットオフセット性の改善をすることができる。
本発明らは、これを補う方法として、アルコール成分を、従来広く用いられてきていたビスフェノールA誘導体に代え、あるいはビスフェノールA誘導体と共に、分子の自由運動度が低く、剛直な構造を有するアルコール成分であるビスフェノールS誘導体及び/又はビスフェノールZ誘導体を特定の範囲量で樹脂中に含有させることで、トナー粉体の機械的強度や、画像強度が改善できる事を見出し、本発明を完成するに至った。
触媒由来の金属元素量は100ppm以下であり、75ppm以下であることが好ましく、50ppm以下であることがより好ましく、10ppm以下であることがさらに好ましい。触媒由来の金属元素量は、トナー用結着樹脂を成型したものを試料とし、蛍光X線分析装置で測定することができる。
本発明の静電荷像現像トナーに用いられるポリエステル樹脂において、『結晶性』とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有することを指し、具体的には、昇温速度10℃/minで測定した際の吸熱ピークの半値幅が15℃以内であることを意味する。
一方、半値幅が15℃を超える樹脂や、明確な吸熱ピークが認められない樹脂は、非晶質(非結晶性)樹脂を意味するが、本発明において用いられる非結晶性樹脂としては、明確な吸熱ピークが認められない樹脂を用いることが好ましい。
R1OOCA1 mB1 nA1 lCOOR1' (1)
(A1:メチレン基、B1:芳香族炭化水素基、R1、R1':水素原子又は1価の炭化水素基、1≦m+l≦12、1≦n≦3)
R2OOCA2 pB2 qA2 rCOOR2' (2)
(A2:メチレン基、B2:脂環式炭化水素基、R2、R2':水素原子又は1価の炭化水素基、0≦p≦6、0≦r≦6、1≦q≦3)
ここで、1価の炭化水素基とは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基又はアリール基を表し、これらの基は任意の置換基を有していても良い。R1、R1'、R2及びR2'としては、水素原子又は低級アルキル基が好ましく、水素原子、メチル基、エチル基がより好ましく、水素原子が最も好ましい。
また、式(1)中の芳香族炭化水素基及び式(2)中の脂環式炭化水素基は、置換されていても良い。
式(1)で表されるジカルボン酸は、少なくとも一つの芳香族炭化水素基B1を有するが、その構造は特に限定されない。芳香族炭化水素基B1としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アセナフチレン、フルオレン、アントラセン、フェナントレン、テトラセン、フルオランセン、ピレン、ベンゾフルオレン、ベンゾフェナントレン、クリセン、トリフェニレン、ベンゾピレン、ペリレン、アントラスレン、ベンゾナフタセン、ベンゾクリセン、ペンタセン、ペンタフェン、コロネン骨格等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、これらの構造にはさらに置換基が付加していてもよい。
主骨格の炭素数が6以上であると、モノマーの製造が容易であるので好ましい。また、主骨格の炭素数が18以下であると、モノマー分子の大きさが適当で、分子運動の制限による反応性の低下が生じないので好ましい。さらに、モノマー分子中における反応性官能基の割合が適切であり、反応性が低下することがないので好ましい。
メチレン基A1の数は、分子内の合計m+lとして、少なくとも1個以上12個以下である。好適にはm+lが2個以上、6個以下であり、mとlは同数であることが更に好ましい。m+lが0個である場合、つまり式(1)で表されるジカルボン酸中にメチレン基を有さない場合、芳香族炭化水素と両末端のカルボキシル基が直接結合する構造となる。この場合、触媒と式(1)で表されるジカルボン酸とが形成する反応中間体が共鳴安定化し、反応性が低下することとなる。また、m+lが12個より大きい場合、式(1)で表されるジカルボン酸に対し直鎖部分が大きくなりすぎるため、製造されるポリマーが結晶性の特性を有したり、ガラス転移温度Tgが低下することがある。
式(1)で表されるジカルボン酸としては、1,4−フェニレンジ酢酸、1,4−フェニレンジプロピオン酸、1,3−フェニレンジ酢酸、1,3−フェニレンジプロピオン酸,1,2−フェニレンジ酢酸、1,2−フェニレンジプロピオン酸等を挙げることができるがこれに限定されるものではない。好適には、1,4−フェニレンジプロピオン酸、1,3−フェニレンジプロピオン酸、1,4−フェニレンジ酢酸、1,3−フェニレンジ酢酸であり、よりトナーに適するものとしては、1,4−フェニレンジ酢酸、1,3−フェニレンジ酢酸を挙げることができる。
式(2)で表されるジカルボン酸は脂環式炭化水素基B2を含む。脂環式炭化水素構造には特に限定はなく、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカン、シクロウンデカン、シクロドデカン、シクロプロペン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、ノルボルネン、アダマンタン、ジアマンタン、トリアマンタン、テトラマンタン、アイセアン、ツイスタン、ノルボルネン骨格等を挙げることができるが、これに限定されない。またこれらの物質には置換基が付加していてもよい。その構造の安定性、分子の大きさや嵩高さなどを考慮すると、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、ノルボルネン、アダマンタンなどが好ましい。
このモノマー中に含まれる脂環式炭化水素基の数は、少なくとも1個以上、3個以下である。1個未満であると、製造されるポリエステルの非結晶性が失われ、3個を超えて脂環式炭化水素基を有する場合は、式(2)で表されるジカルボン酸の融点の上昇や分子の大きさや嵩高さにより、反応性が低下する。
複数の脂環式炭化水素基を含む場合は、芳香族炭化水素基同士が直接結合する構造、間に他の飽和脂肪族炭化水素等の骨格を有する構造のどちらもとることができる。前者の例としては、ジシクロヘキシル骨格等であり、後者の例としては、水素添加ビスフェノールA骨格などを挙げることができるがこれに限定されない。
メチレン基A2数は、p、rがそれぞれ6以下である。p,rのいずれか、又は両方が6より大きい場合、式(2)で表されるジカルボン酸に対し直鎖部分が大きくなりすぎるため、製造されるポリマーが結晶性の特性を有したり、ガラス転移温度Tgが低下することがある。
式(2)で表されるジカルボン酸としては、1,1−シクロプロパンジカルボン酸、1,1−シクロブタンジカルボン酸、1,2−シクロブタンジカルボン酸、1,1−シクロペンテンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキセンジカルボン酸、ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、アダマンタンジカルボン酸等を挙げることができるが、これに限定されるものではない。この中で好ましく用いられるのは、シクロブタン、シクロヘキサン、シクロヘキサン骨格を有する物質であり、特に好ましくは、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸である。
また、式(2)で表されるジカルボン酸は、その構造のいずれかに各種官能基が付加していてもよい。また、重縮合反応性官能基であるカルボン酸基は、酸無水物、酸エステル化物、酸塩化物であってもよい。しかし、酸エステル化物とプロトンとの中間体が安定化しやすく、反応性を抑制する傾向があるため、好適には、カルボン酸、又はカルボン酸無水物、カルボン酸塩化物が使用される。
式(1)及び/又は式(2)で表される化合物の割合が50mol%未満であると、低温重縮合での反応性が十分に発揮できないために、分子量が伸長せず、重合度が低いポリエステルとなったり、残留重縮合成分が多数混在することがある。これにより、結着樹脂が常温でべたつく等、粉体の流動性が悪化したり、トナー用結着樹脂に適する粘弾性やガラス転移温度を得られないことがある。上記式(1)及び/又は式(2)で表される化合物を60〜100mol%含むことが好ましく、上記式(1)及び/又は式(2)で表される化合物を80〜100mol%含むことがより好ましい。
本発明の静電荷像現像トナー用結着樹脂は、ポリカルボン酸とポリオールの重縮合反応により得られるトナー用結着樹脂であり、該ポリオールの10mol%以上100mol%以下が式(3)で表される化合物(ジオール)よりなる。
HOXh−Ph−Y−Ph−XkOH (3)
(X:アルキレンオキサイド基、Y:SO2又はC6H10、1≦h≦3、1≦k≦3)
上記式(3)で表されるジオールは、ビスフェノールS誘導体(Y=SO2)又はビスフェノールZ誘導体(Y=C6H10)である。
式(3)で表されるジオールを1種単独で含むこともできるが、式(3)で表されるジオールを2種以上含むこともできる。この場合、式(3)で表されるジオールの総量がポリオール全体の10mol%以上100mol%以下である。
以下に、Xがエチレンオキサイドであり、h=k=1である場合の式(3)で表されるジオールの構造を示す。
ビスフェノールA誘導体では、フェニル基に挟まれた部分の分子団、即ち、C(CH3)2基は分子の自由運動度が高く、剛直な構造を有さない。これに対し、ビスフェノールZ誘導体では、フェニル基に挟まれた部分の分子団、即ちシクロヘキサン環は、C(CH3)2基と比較すると、分子の回転運動が制限されているため、ビスフェノールA誘導体と比較すると、単量体自身が剛直な構造を有することにより、これを用いた樹脂は、結果として樹脂の剛直性に優れると考えられる。
また、ビスフェノールS誘導体はフェニル基に挟まれた部分の分子団、SO2基は二重結合で形成されたリジッドな構造を有している為、分子運動が制限されると考えられる。従って、ビスフェノールS誘導体を用いてポリエステル樹脂を作製した場合には、強固な樹脂が作製されると考えられる。
また、上記のように剛直な分子構造を有するビスフェノールS及び/又はビスフェノールZ誘導体をアルコール成分として特定の量を加える事によって、樹脂のガラス転移温度が上昇する為、該樹脂を原料に用いてトナーを作製した場合には、これを加えない樹脂から作製したトナーと比較してホットオフセット性を改善することができる。
アルキレンオキサイド基数h及びkは1分子中に1個以上3個以下である。アルキレンオキサイドが1個未満、即ちアルキレンオキサイド基が付加されていない場合、水酸基とフェニル基との共鳴安定化により電子が非局在化し、式(3)で表されるジオールによるポリカルボン酸への求核攻撃性が弱められ、分子量の伸長や重合度の進展が抑制される。一方、アルキレンオキサイド基が3個を超えて付加されていると、式(3)で表されるジオール中の直鎖部分が長くなりすぎ、製造されるポリエステルが結晶性の性質を有する他、式(3)で表されるジオール中の反応性官能基数が減り、反応確率が減少する。
また、アルキレンオキサイド基数hとkが同数であることが、均等な反応を促進する上で好ましい。また、アルキレンオキサイド基数h、kが各2、又は各1である場合が好ましい。また、2個以上のアルキレンオキサイド基を有する場合は、2種以上のアルキレンオキサイド基を1分子中に有することもできる。
上記式(3)で表されるジオールを20〜80mol%含むことがより好ましく、上記式(3)で表されるジオールを30〜60mol%含むことがさらに好ましい。
本発明では、重縮合反応の際に触媒を使用することが好ましい。
触媒としては、硫黄酸を使用することが好ましい。
(硫黄酸)
硫黄酸としては、無機硫黄酸又は有機硫黄酸等が挙げられる。無機硫黄酸としては、硫酸、亜硫酸、及び、これらの塩等が挙げられ、また、有機硫黄酸としては、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸、及び、これらの塩等のスルホン酸類や、アルキル硫酸、アリール硫酸及びその塩等の有機硫酸類が挙げられる。
硫黄酸としては、有機硫黄酸であることが好ましく、界面活性効果を有する有機硫黄酸であることがより好ましい。なお、界面活性効果を有する酸とは、疎水基と親水基とからなる化学構造を有し、少なくとも親水基の一部がプロトンからなる酸の構造を有し、乳化機能と触媒機能とを併せ持つ化合物である。
界面活性効果を有する有機硫黄酸としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルスルホン酸、アルキルジスルホン酸、アルキルフェノールスルホン酸、アルキルナフタリンスルホン酸、アルキルテトラリンスルホン酸、アルキルアリルスルホン酸、石油スルホン酸、アルキルベンゾイミダゾールスルホン酸、高級アルコールエーテルスルホン酸、アルキルジフェニルスルホン酸、長鎖アルキル硫酸エステル、高級アルコール硫酸エステル、高級アルコールエーテル硫酸エステル、高級脂肪酸アミドアルキロール硫酸エステル、高級脂肪酸アミドアルキル化硫酸エステル、硫酸化脂肪、スルホ琥珀酸エステル、樹脂酸アルコール硫酸、及びこれらすべての塩化合物などが挙げられ、必要に応じて複数を組み合わせてもよい。これらの中でも、アルキル基若しくはアラルキル基を有するスルホン酸、アルキル基若しくはアラルキル基を有する硫酸エステル、又は、これらの塩化合物であることが好ましく、前記アルキル基又はアラルキル基の炭素数が7〜20であることがより好ましい。具体的には、ドデシルベンゼンスルホン酸、イソプロピルベンゼンスルホン酸、しょうのうスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、モノブチルフェニルフェノール硫酸、ジブチルフェニルフェノール硫酸、ドデシル硫酸、ナフテニルアルコール硫酸等が挙げられる。
(界面活性効果を有する酸)
界面活性効果を有する酸としては、例えば、各種脂肪酸、高級アルキルリン酸エステル、樹脂酸、及びこれらすべての塩化合物などが挙げられ、必要に応じて複数を組み合わせてもよい。
金属触媒としては以下のものを挙げることができるが、これに限定されるものではない。例えば、有機スズ化合物、有機チタン化合物、有機ハロゲン化スズ化合物、希土類金属触媒を挙げられる。
希土類含有触媒としては具体的には、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタノイド元素として、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジウム(Pr)、ネオジウム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)などを含むものが有効である。これらは、特にアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、トリフラート構造を有するものが有効であり、前記トリフラートとしては、構造式では、X(OSO2CF3)3が例示できる。ここでXは、希土類元素であり、これらの中でも、Xは、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、イッテルビウム(Yb)、サマリウム(Sm)などであることが好ましい。
また、ランタノイドトリフラートについては、有機合成化学協会誌、第53巻第5号、p44−54)に詳しい。
加水分解酵素型触媒としてはエステル合成反応を触媒するものであれば特に制限はない。本発明における加水分解酵素としては、例えば、カルボキシエステラーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、アセチルエステラーゼ、ペクチンエステラーゼ、コレステロールエステラーゼ、タンナーゼ、モノアシルグリセロールリパーゼ、ラクトナーゼ、リポプロテインリパーゼ等のEC(酵素番号)3.1群(丸尾・田宮監修「酵素ハンドブック」朝倉書店、(1982)、等参照)に分類されるエステラーゼ、グルコシダーゼ、ガラクトシダーゼ、グルクロニダーゼ、キシロシダーゼ等のグリコシル化合物に作用するEC3.2群に分類される加水分解酵素、エポキシドヒドラーゼ等のEC3.3群に分類される加水分解酵素、アミノペプチダーゼ、キモトリプシン、トリプシン、プラスミン、ズブチリシン等のペプチド結合に作用するEC3.4群に分類される加水分解酵素、フロレチンヒドラーゼ等のEC3.7群に分類される加水分解酵素等を挙げることができる。
上記のエステラーゼのうち、グリセロールエステルを加水分解し脂肪酸を遊離する酵素を特にリパーゼと呼ぶが、リパーゼは有機溶媒中での安定性が高く、収率良くエステル合成反応を触媒し、さらに安価に入手できることなどの利点がある。したがって、本発明においても、収率やコストの面からリパーゼを用いることが好ましい。
リパーゼには種々の起源のものを使用できるが、好ましいものとして、シュードモナス(Pseudomonas)属、アルカリゲネス(Alcaligenes)属、アクロモバクター(Achromobacter)属、カンジダ(Candida)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、リゾプス(Rhizopus)属、ムコール(Mucor)属等の微生物から得られるリパーゼ、植物種子から得られるリパーゼ、動物組織から得られるリパーゼ、さらに、パンクレアチン、ステアプシン等を挙げることができる。このうち、シュードモナス属、カンジダ属、アスペルギルス属の微生物由来のリパーゼを用いることが好ましい。
塩基性触媒としては、一般の有機塩基化合物、含窒素塩基性化合物、テトラブチルホスホニウムヒドロキシドなどのテトラアルキル又はアリールホスホニウムヒドロキシドを挙げることができるがこれに限定されない。有機塩基化合物としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等のアンモニウムヒドロキシド類、含窒素塩基性化合物としては、トリエチルアミン、ジベンジルメチルアミン等のアミン類、ピリジン、メチルピリジン、メトキシピリジン、キノリン、イミダゾールなど、更にナトリウム、カリウム、リチウム、セシウム等のアルカリ金属類及びカルシウム、マグネシウム、バリウム等のアルカリ土類金属類の水酸化物、ハイドライド、アミドや、アルカリ、アルカリ土類金属と酸との塩、たとえば炭酸塩、燐酸塩、ほう酸塩、カルボン酸塩、フェノール性水酸基との塩を挙げることができる。
また、アルコール性水酸基との化合物やアセチルアセトンとのキレート化合物等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
反応温度が70℃以上であると、モノマーの溶解性、触媒活性度の低下に起因する反応性の低下が生じず、分子量の伸長が抑制されることがないので好ましい。また、反応温度が150℃以下であると、低エネルギーで製造することができるので好ましい。また、樹脂の着色や、生成したポリエステルの分解等を生じることがないので好ましい。
硫黄酸は160℃以上の高温では温度上昇に伴い触媒活性能力が減少していくが、触媒酸の求核付加をきっかけに反応が進む反応機構である為に、重合温度が約70℃〜約150℃と低温の範囲において触媒活性が高く、150℃以下での重縮合反応に好適に使用することができる。
しかし、硫黄酸触媒を用いた場合においては、このような金属元素の混入が抑制でき、高温高湿下においても電荷漏洩が生じ難く、バックグランドカブリも発生し難いので好ましい。
この点においても金属触媒を用いるよりも硫黄酸触媒を用いることが好ましい。
急冷する工程を含む場合には、重縮合反応は乳化重合法にて行うことができる。重縮合工程後、1〜50℃/minで急冷することが好ましく、5〜50℃/minで急冷することがさらに好ましい。
1〜50℃/minで急冷を行うことにより、粒子と水との界面における分子配列の変化や熱収縮が小さくなる為、粒子表面積の変化が徐冷時よりも小さくなり易く、分散安定性・保管安定性が向上する。また更には、生成樹脂粒子のガラス転移温度以下に速く達することができるため、生成した樹脂粒子同士の衝突による凝集物発生を防ぐ事ができ、より粒子が安定して存在することができる点で、好ましい。
また、重縮合工程の後、少なくとも樹脂のガラス転移温度以下で、かつ、40℃以下まで冷却することが好ましく、5〜30℃まで冷却することがより好ましい。40℃以下まで冷却することにより、生成した樹脂粒子がガラス転移温度以下で存在する為、樹脂粒子同士の衝突による凝集物発生を抑制でき、より粒子が安定して存在することができる為、好ましい。
上記の急冷手段としては、乳化重合を行った反応相を冷却相に浸して急冷を行う方法、例えば市販されている熱交換器を用いる方法、冷却水と熱交換させながら冷却する方法などが挙げられるが、特に方法は限定されない。冷却速度は、重合終了後の冷却開始時から、40℃までの冷却に要した時間を測定し、重合温度と40℃の差を割ることによって測定できるが、凝集物発生を防ぐ為には冷却速度は速い方が好ましい。
1〜50℃/minで急冷を行うことにより、生成した樹脂粒子がガラス転移温度以下に速く達するため、樹脂粒子同士の衝突による凝集物発生を抑制でき、より粒子が安定して存在することができるので好ましい。また、バルク重縮合により得られた樹脂の乳化後、40℃以下まで冷却することが好ましく、5〜30℃まで冷却することがより好ましい。40℃以下まで冷却することにより、生成樹脂粒子がガラス転移温度以下で存在する為、樹脂粒子同士の衝突による凝集物発生を抑制でき、より粒子が安定して存在することができるので、好ましい。更には生成樹脂粒子のガラス転移温度以下に速く達することができるため、生成樹脂粒子同士の衝突による凝集物発生を防ぐ事ができ、より粒子が安定して存在することができる点でも、好ましい。
ガラス転移温度は、より好ましくは40〜80℃であり、さらに好ましくは50〜70℃である。ガラス転移温度は、結着樹脂の分子量や、結着樹脂のモノマー構成、架橋剤の添加等により制御することができる。
また、ガラス転移温度は、ASTM D3418−82に規定された方法で測定することができ、示差走査熱量計(DSC)により測定される。
重量平均分子量は、例えばゲル・パーミュエーション・クロマトグラフィ(GPC)等により測定することができる。
ポリカルボン酸としては、1分子中にカルボキシル基を2個以上含有する多価カルボン酸を用いることができる。このうち、2価のカルボン酸は1分子中にカルボキシル基を2個含有する化合物であり、例えば、シュウ酸、コハク酸、イタコン酸、グルタコン酸、グルタル酸、マレイン酸、アジピン酸、β−メチルアジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、フマール酸、シトラコン酸、ジグリコール酸、リンゴ酸、クエン酸、ヘキサヒドロテレフタール酸、マロン酸、ピメリン酸、酒石酸、粘液酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラクロルフタル酸、クロルフタル酸、ニトロフタル酸、ビフェニル−p,p’−ジカルボン酸、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸、ナフタレン−1,5−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−オクテニルコハク酸等を挙げることができる。また、2価のカルボン酸以外の多価カルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ピレントリカルボン酸、ピレンテトラカルボン酸等を挙げることができる。併用するポリカルボン酸としては、2価のカルボン酸であるジカルボン酸であることが好ましい。
また、これらの酸無水物あるいは酸塩化物、酸エステル化物を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
これらの中でも、2価のポリオールであるジオールを併用することが好ましく、ビスフェノールAを併用することがさらに好ましい。
また、ポリオールモノマーの含有量は、重縮合成分であるポリオール総量の90mol%未満である。より好ましくは70mol%以下であり、さらに好ましくは50mol%以下である。
併用するポリカルボン酸及びポリオールモノマーの含有量が上記範囲内であると、反応性を高めるポリカルボン酸を含み、かつ、剛直な分子構造を有するポリオールモノマーが適量含まれることによって樹脂ガラス転移が上昇する為、低温反応性に優れると共に、該樹脂を原料に用いてトナーを作製した場合に、ホットオフセット性を改善することができる点において好ましい。
さらに本発明の結着樹脂は、上述した重縮合成分の単独重合体、上述した重合性成分を含む2種以上の単量体を組み合せた共重合体、又はそれらの混合物、グラフト重合体、一部枝分かれや架橋構造などを有していても良い。
溶融混練された混練物は十分に冷却した後、ボールミル、サンドミル、ハンマーミル等の機械的粉砕方法、気流式粉砕方法等の公知の方法で粉砕する。常法での冷却が充分できない場合は、冷却又は凍結粉砕法も選択できる。
自己乳化法、転相乳化法に関しては、「超微粒子ポリマーの応用技術」(シーエムシー出版)に記載されている。自己乳化法に用いる極性基としては、カルボキシル基、スルホン基等を用いることができるが、本発明において、トナー用非結晶性ポリエステル結着樹脂に適用する場合、カルボキシル基が好ましく用いられる。
これらのワックス類は、水中にイオン性界面活性剤や高分子酸や高分子塩基などの高分子電解質とともに分散し、融点以上に加熱するとともに強い剪断をかけられるホモジナイザーや圧力吐出型分散機により微粒子化し、1ミクロン以下の粒子の分散液を作製することができる。
GSDvは、粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャネル)に対する体積について、それぞれ小径側から累積分布を描き、累積16%となる粒径を体積D16v、累積84%となる粒径を体積D84vと定義する。これらを用いて、体積平均粒度分布指標(GSDv)は、下記式により算出される。
体積平均粒度分布指標GSDv=(D84v/D16v)0.5
GSDvが1.4以下であると、粒子径が均一となり、良好な定着性が得られ、また定着不良に起因する装置故障が生じないので好ましい。また、トナーの飛散による機内汚染や現像剤の劣化などを生じないので好ましい。
体積平均粒度分布指標GSDvはレーザー回折式粒度分布測定装置等を用いて測定することができる。
本発明の静電荷像現像トナーは、静電荷像現像剤として使用される。この現像剤は、この静電荷像現像トナーを含有することの外は特に制限はなく、目的に応じて適宜の成分組成をとることができる。静電荷像現像トナーを、単独で用いると一成分系の静電荷像現像剤として調製され、また、キャリアと組み合わせて用いると二成分系の静電荷像現像剤として調製される。
キャリアとしては、特に限定されないが、通常、鉄粉、フェライト、酸化鉄粉、ニッケル等の磁性体粒子;磁性体粒子を芯材としてその表面をスチレン系樹脂、ビニル系樹脂、エチレン系樹脂、ロジン系樹脂、ポリエステル系樹脂、メラミン系樹脂などの樹脂やステアリン酸等のワックスで被覆し、樹脂被覆層を形成させてなる樹脂被覆キャリア;結着樹脂中に磁性体粒子を分散させてなる磁性体分散型キャリア等が挙げられる。中でも、樹脂被覆キャリアは、トナーの帯電性やキャリア全体の抵抗を樹脂被覆層の構成により制御可能となるため特に好ましい。
二成分系の静電荷像現像剤における本発明のトナーとキャリアとの混合割合は、通常、キャリア100重量部に対して、トナー2〜10重量部である。また、現像剤の調製方法は、特に限定されないが、例えば、Vブレンダー等で混合する方法等が挙げられる。
また、本発明の静電荷像現像トナー及び静電荷像現像剤は、通常の静電荷像現像方式(電子写真方式)の画像形成方法に使用することができる。
本発明の画像形成方法は、潜像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、前記潜像保持体表面に形成された静電潜像をトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、前記潜像保持体表面に形成されたトナー像を被転写体表面に転写する転写工程と、前記被転写体表面に転写されたトナー像を熱定着する定着工程とを含む画像形成方法であって、前記トナーとして本発明の静電荷像現像トナー、又は、前記現像剤として本発明の静電荷像現像剤を用いることを特徴とする。
上記の各工程は、いずれも画像形成方法において公知の工程が利用でき、例えば、特開昭56−40868号公報、特開昭49−91231号公報等に記載されている。また、本発明の画像形成方法は、上記した工程以外の工程を含むものであってもよく、例えば、静電潜像担持体上に残留する静電荷像現像剤を除去するクリーニング工程等が好ましく挙げられる。本発明の画像形成方法においては、さらにリサイクル工程をも含む態様が好ましい。前記リサイクル工程は、前記クリーニング工程において回収した静電荷像現像トナーを現像剤槽に移す工程である。このリサイクル工程を含む態様の画像形成方法は、トナーリサイクルシステムタイプのコピー機、ファクシミリ機等の画像形成装置を用いて実施することができる。また、クリーニング工程を省略し、現像と同時にトナーを回収する態様のリサイクルシステムにも適用することができる。
電子写真感光体の場合、該電子写真感光体の表面を、コロトロン帯電器、接触帯電器等により一様に帯電した後、露光し、静電潜像を形成する(潜像形成工程)。次いで、表面に現像剤層を形成させた現像ロールと接触若しくは近接させて、静電潜像にトナーの粒子を付着させ、電子写真感光体上にトナー像を形成する(現像工程)。形成されたトナー像は、コロトロン帯電器等を利用して紙等の被転写体表面に転写される(転写工程)。さらに、被転写体表面に転写されたトナー像は、定着機により熱定着され(定着工程)、最終的なトナー像が形成される。
尚、前記定着機による熱定着の際には、オフセット等を防止するため、通常、前記定着機における定着部材に離型剤が供給される。
(ジカルボン酸)
CHDA=1,4−シクロヘキサンジカルボン酸
PDAA=1,4−フェニレンジ酢酸
(ジオール)
BPA−1EO=ビスフェノールA エチレンオキサイド1モル付加物
(両末端換算では2モル付加物)
BPA−2EO=ビスフェノールA エチレンオキサイド2モル付加物
(両末端換算では4モル付加物)
BPA−1PO=ビスフェノールA プロピレンオキサイド1モル付加物
(両末端換算では2モル付加物)
BPS−1EO=ビスフェノールS エチレンオキサイド1モル付加物
(両末端換算では2モル付加物)
BPS−2EO=ビスフェノールS エチレンオキサイド2モル付加物
(両末端換算では4モル付加物)
BPZ−1EO=ビスフェノールZ エチレンオキサイド1モル付加物
(両末端換算では2モル付加物)
(触媒)
DBSA=ドデシルベンゼンスルホン酸
SnBnO=ジブチルスズオキシド
(樹脂粒子分散液1の作製)
BPA−1EO 29.0重量部
BPS−1EO 3.45重量部
CHDA 17.5重量部
DBSA 0.073重量部
上記材料を混合し、撹拌機を備えたリアクターに投入し、開放系にて樹脂温度120℃になるように20時間の重縮合を実施したところ、均一透明な非結晶性ポリエステル樹脂1を得た。
ここで少量の樹脂サンプルを採取し、以下の物性を測定した。
GPCによる重量平均分子量 14,150
ガラス転移温度(オンセット) 69℃
なお、測定結果の信頼性は、上述の測定条件で行ったNBS706ポリスチレン標準試料が、
重量平均分子量Mw=28.8×104
数平均分子量Mn=13.7×104
となることにより確認することができる。
また、GPCのカラムとしては、前記条件を満足するTSK−GEL、GMH(東洋曹達社製)等を用いた。
具体的には、0℃〜150℃まで10℃/minにて昇温した後、150℃で10分間ホールドさせ、次に150〜−10℃まで10℃/minで冷却させた後、−10℃で10分間ホールドさせ、その次に−10℃〜150℃まで10℃/minにて昇温する方法にて実施した。本発明において、ガラス転移温度は、2度目の昇温時における示差走査熱量分布曲線におけるオンセットの値とした。
また他のメジアン径の算出方法としては、酸化オスミウム染色法などを用いた断面TEM(透過型電子顕微鏡)(JEOL社製1010)によっても確認できる。
TEM写真によるメジアン径の算出方法は、撮影したTEM写真における任意の10個の粒子についてのメジアン径を求めて平均値を算出した後、スケール換算して求めることもできる。
本発明の樹脂粒子分散液のメジアン径は、0.05〜2.0μmであることが好ましく、更に好ましくは0.05〜1.0μmである。
樹脂粒子のメジアン径が0.01μm以上であると、粒子化の際の凝集性が良好であり、遊離の樹脂粒子が生じにくいので好ましい。また、系の粘度も上昇しにくく、粒径の制御が容易であるため好ましい。さらに、樹脂粒子のメジアン径が2.0μm以下であると、粗粉が生じにくく、粒度分布が良好であり、ワックスなどの離型剤が遊離しにくく、定着時の剥離性に優れ、また、オフセットの発生温度が低下しないため好ましい。
上記の方法によって、粒子のメジアン径210nmの非晶系ポリエステル樹脂粒子分散液1を得た。
なお得られた樹脂粒子分散液の粒子径は、レーザー回析式粒度分布測定装置(堀場製作所製、LA−920)で測定し、メジアン径を得た。
BPZ−1EO 33.7重量部
CHDA 16.3重量部
DBSA 0.135重量部
上記材料を混合し、撹拌機を備えたリアクターに投入し、開放系にて樹脂温度120℃になるように20時間の重縮合を実施したところ、均一透明な非結晶性ポリエステル樹脂2を得た。
ここで少量の樹脂サンプルを採取し、以下の物性を測定した。
GPCによる重量平均分子量 11,080
ガラス転移温度(オンセット) 69℃
上記のようにして得られた樹脂15重量部を同じく撹拌機を備えたリアクターに投入し、界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを0.2重量部加え、更に、90℃に加温した0.2mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を30重量部加え、90℃に保ったまま2時間撹拌を続けた。その後、80℃に加温したイオン交換水100重量部を加え、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で十分に混合撹拌し、樹脂の水中への分散を行った。
上記の方法によって、粒子のメジアン径200nmの非晶系ポリエステル樹脂粒子分散液2を得た。
BPA−1EO 15.8重量部
BPS−1EO 16.9重量部
CHDA 17.3重量部
DBSA 0.356重量部
上記材料を混合し、撹拌機を備えたリアクターに投入し、開放系にて樹脂温度120℃になるように20時間の重縮合を実施したところ、均一透明な非結晶性ポリエステル樹脂3を得た。
ここで少量の樹脂サンプルを採取し、以下の物性を測定した。
GPCによる重量平均分子量 14,240
ガラス転移温度(オンセット) 70℃
上記のようにして得られた樹脂15重量部を同じく撹拌機を備えたリアクターに投入し、界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを0.2重量部加え、更に、90℃に加温した0.2mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を30重量部加え、90℃に保ったまま2時間撹拌を続けた。その後、80℃に加温したイオン交換水100重量部を加え、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で十分に混合撹拌し、樹脂の水中への分散を行った。
上記の方法によって、粒子のメジアン径が220nmの非晶系ポリエステル樹脂粒子分散液3を得た。
BPA−1PO 16.1重量部
BPS−1EO 16.9重量部
PDAA 18.4重量部
DBSA 0.132重量部
上記材料を混合し、撹拌機を備えたリアクターに投入し、開放系にて樹脂温度120℃になるように20時間の重縮合を実施したところ、均一透明な非結晶性ポリエステル樹脂4を得た。
ここで少量の樹脂サンプルを採取し、以下の物性を測定した。
GPCによる重量平均分子量 11,090
ガラス転移温度(オンセット) 71℃
上記のようにして得られた樹脂15重量部を同じく撹拌機を備えたアクターに投入し、界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを0.2重量部加え、更に、90℃に加温した0.2mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を30重量部加え、90℃に保ったまま2時間撹拌を続けた。その後、80℃に加温したイオン交換水100重量部を加え、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で十分に混合撹拌し、樹脂の水中への分散を行った。
上記の方法によって、粒子のメジアン径が190nmの非晶系ポリエステル樹脂粒子分散液4を得た。
BPA−1PO 15.8重量部
BPZ−1EO 16.3重量部
PDAA 17.8重量部
DBSA 0.131重量部
上記材料を混合し、撹拌機を備えたリアクターに投入し、開放系にて樹脂温度120℃になるように20時間の重縮合を実施したところ、均一透明な非結晶性ポリエステル樹脂5を得た。
ここで少量の樹脂サンプルを採取し、以下の物性を測定した。
GPCによる重量平均分子量 10,060
ガラス転移温度(オンセット) 69℃
上記のようにして得られた樹脂15重量部を同じく撹拌機を備えたアクターに投入し、界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを0.2重量部加え、更に、90℃に加温した0.2mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を30重量部加え、90℃に保ったまま2時間撹拌を続けた。その後、80℃に加温したイオン交換水100重量部を加え、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で十分に混合撹拌し、樹脂の水中への分散を行った。
上記の方法によって、粒子のメジアン径が190nmの非晶系ポリエステル樹脂粒子分散液5を得た。
BPS−2EO 34.3重量部
PDAA 15.7重量部
DBSA 0.118重量部
上記材料を混合し、撹拌機を備えたリアクターに投入し、開放系にて樹脂温度120℃になるように20時間の重縮合を実施したところ、均一透明な非結晶性ポリエステル樹脂6を得た。
ここで少量の樹脂サンプルを採取し、以下の物性を測定した。
GPCによる重量平均分子量 18,250
ガラス転移温度(オンセット) 60℃
上記のようにして得られた樹脂15重量部を同じく撹拌機を備えたアクターに投入し、界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを0.2重量部加え、更に、90℃に加温した0.2mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を30重量部加え、90℃に保ったまま2時間撹拌を続けた。その後、80℃に加温したイオン交換水100重量部を加え、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で十分に混合撹拌し、樹脂の水中への分散を行った。
上記の方法によって、粒子のメジアン径が190nmの非晶系ポリエステル樹脂粒子分散液6を得た。
BPS−1PO 32.7重量部
PDAA 17.3重量部
DBSA 0.127重量部
上記材料を混合し、撹拌機を備えたリアクターに投入し、開放系にて樹脂温度120℃になるように20時間の重縮合を実施したところ、均一透明な非結晶性ポリエステル樹脂7を得た。
ここで少量の樹脂サンプルを採取し、以下の物性を測定した。
GPCによる重量平均分子量 9,980
ガラス転移温度(オンセット) 71℃
上記のようにして得られた樹脂15重量部を同じく撹拌機を備えたアクターに投入し、界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを0.2重量部加え、更に、90℃に加温した0.2mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を30重量部加え、90℃に保ったまま2時間撹拌を続けた。その後、80℃に加温したイオン交換水100重量部を加え、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で十分に混合撹拌し、樹脂の水中への分散を行った。
上記の方法によって、粒子のメジアン径が190nmの非晶系ポリエステル樹脂粒子分散液7を得た。
BPA−1EO 31.0重量部
PDAA 19.03重量部
DBSA 0.131重量部
上記材料を混合し、撹拌機を備えたリアクターに投入し、開放系にて樹脂温度120℃になるように20時間の重縮合を実施したところ、均一透明な非結晶性ポリエステル樹脂8を得た。
ここで少量の樹脂サンプルを採取し、以下の物性を測定した。
GPCによる重量平均分子量 21,080
ガラス転移温度(オンセット) 42℃
上記のようにして得られた樹脂15重量部を同じく撹拌機を備えたリアクターに投入し、界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを0.2重量部加え、更に、90℃に加温した0.2mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を30重量部加え、90℃に保ったまま2時間撹拌を続けた。その後、80℃に加温したイオン交換水100重量部を加え、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で十分に混合撹拌し、樹脂の水中への分散を行った。
上記の方法によって、粒子のメジアン径200nmの非晶系ポリエステル樹脂分散液8を得た。
BPA−2EO 3.8重量部
BPZ−1EO 30.1重量部
CHDA 16.1重量部
SnBnO 0.15重量部
上記材料を混合し、撹拌機を備えたリアクターに投入し、開放系にて樹脂温度120℃になるように20時間の重縮合を実施したが、重合が殆ど進展せず、室温で粘性の高い液体が得られ、非結晶性ポリエステル樹脂を得ることができなかった。
ここで、粘性の高い液体から少量のサンプル(樹脂9)を採取し、以下の物性を測定した。
GPCによる重量平均分子量 980
ガラス転移温度(オンセット) 室温以下
ここでは樹脂が得られなかった為、樹脂粒子分散液の作製は行わなかった。
BPA−2EO 17.6重量部
BPZ−1EO 15.5重量部
PDAA 16.9重量部
SnBnO 0.15重量部
上記材料を混合し、撹拌機を備えたリアクターに投入し、開放系にて樹脂温度200℃になるように10時間の重縮合を実施したところ、均一透明な非結晶性ポリエステル樹脂10を得た。
ここで少量の樹脂サンプルを採取し、以下の物性を測定した。
GPCによる重量平均分子量 21,600
ガラス転移温度(オンセット) 63℃
上記のようにして得られた樹脂15重量部を同じく撹拌機を備えたリアクターに投入し、界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを0.2重量部加え、更に、90℃に加温した0.2mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を30重量部加え、90℃に保ったまま2時間撹拌を続けた。その後、80℃に加温したイオン交換水100重量部を加え、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で十分に混合撹拌し、樹脂の水中への分散を行った。
上記の方法によって、粒子のメジアン径210nmの非晶系ポリエステル樹脂分散液10を得た。
BPA−1EO 15.8重量部
BPS−1EO 16.9重量部
CHDA 17.3重量部
SnBnO 0.15重量部
上記材料を混合し、撹拌機を備えたリアクターに投入し、開放系にて樹脂温度120℃になるように20時間の重縮合を実施したところ、均一透明な非結晶性ポリエステル樹脂11を得た。
ここで少量の樹脂サンプルを採取し、以下の物性を測定した。
GPCによる重量平均分子量 1,060
ガラス転移温度(オンセット) 室温以下
なお樹脂11は、ガラス転移温度が室温以下で十分な樹脂が得られなかった為、樹脂粒子分散液の作製は行わなかった。
BPA−1EO 15.8重量部
BPS−1EO 16.9重量部
CHDA 17.3重量部
SnBnO 0.15重量部
上記材料を混合し、撹拌機を備えたリアクターに投入し、開放系にて樹脂温度200℃になるように24時間の重縮合を実施したところ、均一透明な非結晶性ポリエステル樹脂12を得た。
ここで少量の樹脂サンプルを採取し、以下の物性を測定した。
GPCによる重量平均分子量 21600
ガラス転移温度(オンセット) 70℃
上記のようにして得られた樹脂15重量部を同じく撹拌機を備えたリアクターに投入し、界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを0.2重量部加え、更に、90℃に加温した0.2mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を30重量部加え、90℃に保ったまま2時間撹拌を続けた。その後、80℃に加温したイオン交換水100重量部を加え、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で十分に混合撹拌し、樹脂の水中への分散を行った。
上記の方法によって、粒子のメジアン径が220nmの非晶系ポリエステル樹脂粒子分散液12を得た。
(樹脂粒子分散液13の調製)
得られた非結晶性ポリエステル樹脂3の15重量部を撹拌を備えたリアクターに投入し、界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを0.2重量部加え、更に、90℃に加温した0.2mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を30重量部加え、90℃に保ったまま2時間撹拌を続けた。その後、80℃に加温したイオン交換水100重量部を加え、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で十分に混合撹拌し、樹脂の水中への分散を行った。
乳化終了後は、乳化液を冷却相に浸して冷却を行い、樹脂粒子分散液を作製した。このとき乳化液中に温度計を入れて、冷却温度が5.0℃/minになるようにして冷却した。この結果、均一透明な非結晶性ポリエステル樹脂13を得た。
上記の方法によって、粒子のメジアン径200nmの非晶系ポリエステル樹脂分散液13を得た。
得られた静電荷像現像トナー用結着樹脂及び静電荷像現像トナー用樹脂粒子分散液の特性について以下の表に示す。
(離型剤粒子分散液W1の調製)
ポリエチレンワックス 30重量部
(東洋ペトロライト社製、Polywax725、融点103℃)
カチオン性界面活性剤(花王社製、サニゾールB50) 3重量部
イオン交換水 67重量部
上記成分をホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で95℃に加熱しながら十分に分散した後、圧力吐出型ホモジナイザー(ゴーリン社製、ゴーリンホモジナイザー)で分散処理し、離型剤粒子分散液W1を調製した。得られた分散液中の離型剤粒子の個数平均粒子径D50nは4,600nmであった。その後イオン交換水を加えて、分散液の固形分濃度を30%に調整した。
シアン顔料(大日精化工業社製、PB15:3) 20重量部
アニオン系界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンR) 2重量部
イオン交換水 78重量部
上記成分を、調製し、シアン顔料分散液を得た。分散液中の顔料の個数平均粒子径D50nは121nmであった。その後イオン交換水を加えて分散液の固形分濃度を15%に調整し、シアン顔料分散液C1を得た。
(トナー粒子1の調製)
樹脂粒子分散液1 160重量部
離型剤粒子分散液W1 33重量部
シアン顔料分散液C1 60重量部
ポリ塩化アルミニウム10重量%水溶液 15重量部
(浅田化学社製、PAC100W)
1%硝酸水溶液 3重量部
上記成分を、丸型ステンレス鋼製フラスコ中で、ホモジナイザー(LKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて5,000rpmで3分間分散した後、前記フラスコに磁力シールを有した撹拌装置、温度計とpH計を具備した蓋をしてから、加熱用マントルヒーターをセットし、フラスコ中の分散液全体が撹拌される最低の回転数に適宜調節して撹拌しながら62℃まで1℃/1minで加熱し、62℃で30分間保持し、凝集粒子の粒径をコールターカウンター(日科機社製、TA II)で確認した。昇温停止後ただちに樹脂粒子分散液1を50重量部追加し、30分間保持したのち、系内のpHが6.5になるまで水酸化ナトリウム水溶液を加えてから、1℃/1minで97℃まで加熱した。昇温後、硝酸水溶液を加えて系内のpHを5.0にして、10時間保持して凝集粒子を加熱融合した。
この後系内を50℃まで降温し、水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを12.0に調節して10分間保持した。その後フラスコから取り出し、イオン交換水を用いて充分にろ過、通水洗浄した後、さらに固形分量が10重量%となるようにイオン交換水中に分散し、硝酸を加えてpH3.0で10分間撹拌した後、再びイオン交換水を用いて充分にろ過、通水洗浄して得られたスラリーを凍結乾燥してシアントナー(トナーC1)を得た。
このようにして得られたトナー粒子の粒径をコールターカウンターで測定したところ、平均体積粒子径(D50)が4.56μm、体積平均粒度分布指標GSDvが1.20であった。また、ルーゼックスによる形状観察より求めたトナー粒子の形状係数SF1は135のポテト形状であった。
トナー実施例1において、それぞれ樹脂粒子分散液を2〜7、13に変えた以外は同様の方法でシアントナーを得、平均体積粒子径(D50)と体積平均粒度分布指標GSDv、形状係数を測定した。本トナーにトナー実施例1と同様に外添剤を外添しシアン外添トナーを得た。
トナー実施例1において、それぞれ樹脂粒子分散液を8、10、12に変えた以外は同様の方法でシアントナーを得、平均体積粒子径(D50)累積体積平均粒径D50と体積平均粒度分布指標GSDv、形状係数を測定した。本トナーにトナー実施例1と同様に外添剤を外添しシアン外添トナーを得た。
体積平均粒子径40μmのCu−Znフェライト微粒子100重量部にγ−アミノプロピルトリエトキシシラン0.1重量部を含有するメタノール溶液を添加し、ニーダーで被覆した後、メタノールを留去し、さらに120℃で2時間加熱して上記シラン化合物を完全に硬化させた。この粒子に、パーフルオロオクチルエチルメタクリレート−メチルメタクレート共重合体(共重合比40:60)をトルエンに溶解させたものを添加し、真空減圧型ニーダーを使用してパーフルオロオクチルエチルメタクリレート−メチルメタクレート共重合体のコーティング量が0.5重量%となるように樹脂被覆型キャリアを製造した。
(現像剤の作製)
上述のように作製した各トナー8重量部を、得られた樹脂被覆型キャリア100重量部に投入しVブレンダーにて混合して、静電荷像現像剤を作製した。
(1)摩擦帯電量の評価
得られたトナーを1.5重量部、キャリア(富士ゼロックス製DocuCenterColor500用キャリア)30重量部を、高温高湿(温度28℃、湿度85%)環境に1昼夜放置した。その後、両者を60分混合撹拌し、ブローオフトライボ測定装置にて摩擦帯電量(トライボTV値)を測定した。
評価は以下の基準で行った。
○ 帯電量31(μC/g)以上
△ 帯電量29〜31(μC/g)
× 帯電量29(μC/g単位)以下
富士ゼロックス社製フルカラー複写機DocuCenterColor500の現像機を単体で駆動できる装置を作成し、上記(1)と同じように作製した現像剤を現像機内に投入し、複写機内と同一条件にて、駆動させた。そこで、任意の時間において、現像機内の現像剤をサンプリングし、トナーの粒度分布をコールターカウンターTAII(日科機社製)にて測定した。X軸に駆動時間(時間(h))、Y軸に個数平均分布における3.0μm以下の累計値(%)をプロットし、その傾きを機械的強度指数と定義し、その数値により機械的強度を評価した。この数値が大きいほど現像機内での破砕が発生しやすく、機械的強度が弱いことを表すが、
○ 機械的強度指数が0.20以下
△ 機械的強度指数が0.21〜0.30
× 機械的強度指数が0.30以上
とした。
上記(1)と同じように作製した現像剤での定着、画質の評価は富士ゼロックス社製Docu Centre Color500CP改造機を用いて画像形成を行い、定着温度、初期画質の画質評価を行った。この場合評価項目として最低定着温度は、トナー粒子が連続フィルム層を形成する加熱ローラの最低温度とし、ホットオフセット発生温度は、ホットオフセット現象が生ずる最低温度とし、さらに画質特性は画質むらを目視にて判断した。
a.ホットオフセット発生温度:
オフセット発生温度の測定は、上記複写機にて未定着画像を作成した後、トナー像を転写して5cm×5cm、トナー載り量が1.2mg/cm2のソリッド画像になるように調整の後、上述の定着器により定着処理を行い、次いで白紙の転写紙を同様の条件下で定着器に送ってこれにトナー汚れが生ずるか否かを目視観察する操作を、前記定着器の熱ローラの設定温度を5℃ずつ順次上昇させた状態で繰り返し、トナーによる汚れの生じた最低の設定温度をもってオフセット発生温度とした。なおこのときに用いた用紙は富士ゼロックス社製、ブライトリサイクル紙(AT801)であり、またそのときのプロセススピードは100mm/秒であり、オフセットの発生は実機よりも発生しやすい条件で評価を行った。
◎ 220℃でオフセット発生なし
○ オフセット発生温度が215〜220℃
△ オフセット発生温度が200℃〜210℃
× オフセット発生温度195℃以下
とした。
b.画質特性(カブリの評価):
細線画像を定着した画質の細線間の非画像部分について、反射濃度計(X−Rite404、米国X−Rite社製)にて測定して、反射濃度が地カブリのところで0.01以上の濃度増加があれば×、0.01以下であれば○とした。
c.こすり画像強度評価:
Docu Centre Color500CP改造機の自動原稿送り装置(富士ゼロックス社製)を用いて測定した。5枚の原稿を自動原稿送り装置にセットして送り、2枚目以降の原稿の裏汚れを目視で確認し、グレード付けを行った。(○は実使用上問題のないレベルを示す。)
○ 裏汚れ未発生、又は目視での確認が困難な程度の汚れ
△ 目視での確認が可能な汚れが発生
× 目視での確認が十分可能な著しい汚れが発生
保管温度50℃の温度条件下、包装容器中に開放状態でトナーを24時間保管した後、トナー20gを採取し、採取トナーを孔径45μmの網上に載置し、90秒間振動を印加しつつ通過させた。網上に残存したトナー量の全トナー量(20g)に対する百分率を測定した。
結果は、以下の基準で判断した。
○ 残存率9%以下
△ 残存率9%〜11%
× 残存率11%以上
以下の表に、評価結果を示す。
Claims (8)
- ポリカルボン酸とポリオールの重縮合反応により得られるトナー用結着樹脂であって、
該ポリカルボン酸の50mol%以上100mol%以下が式(1)及び/又は式(2)で表される化合物よりなり、
該ポリオールの10mol%以上100mol%以下が式(3)で表される化合物よりなり、かつ
樹脂中の触媒由来の金属元素が100ppm以下であることを特徴とする
静電荷像現像トナー用結着樹脂。
R1OOCA1 mB1 nA1 lCOOR1' (1)
(A1:メチレン基、B1:芳香族炭化水素基、R1、R1':水素原子又は1価の炭化水素基、1≦m+l≦12、1≦n≦3)
R2OOCA2 pB2 qA2 rCOOR2' (2)
(A2:メチレン基、B2:脂環式炭化水素基、R2、R2':水素原子又は1価の炭化水素基、0≦p≦6、0≦r≦6、1≦q≦3)
HOXh−Ph−Y−Ph−XkOH (3)
(X:アルキレンオキサイド基、Y:SO2又はC6H10、1≦h≦3、1≦k≦3) - ポリカルボン酸とポリオールを重縮合反応させる工程を含む静電荷像現像トナー用結着樹脂の製造方法であって、
該ポリカルボン酸の50mol%以上100mol%以下が式(1)及び/又は式(2)で表される化合物よりなり、
該ポリオールの10mol%以上100mol%以下が式(3)で表される化合物よりなり、かつ
樹脂中の触媒由来の金属元素が100ppm以下であることを特徴とする
請求項1に記載の静電荷像現像トナー用結着樹脂の製造方法。
R1OOCA1 mB1 nA1 lCOOR1' (1)
(A1:メチレン基、B1:芳香族炭化水素基、R1、R1':水素原子又は1価の炭化水素基、1≦m+l≦12、1≦n≦3)
R2OOCA2 pB2 qA2 rCOOR2' (2)
(A2:メチレン基、B2:脂環式炭化水素基、R2、R2':水素原子又は1価の炭化水素基、0≦p≦6、0≦r≦6、1≦q≦3)
HOXh−Ph−Y−Ph−XkOH (3)
(X:アルキレンオキサイド基、Y:SO2又はC6H10、1≦h≦3、1≦k≦3) - 請求項1に記載の静電荷像現像トナー用結着樹脂を分散した静電荷像現像トナー用結着樹脂分散液。
- 少なくとも結着樹脂分散液を含む分散液中で該結着樹脂を凝集して凝集粒子を得る工程、及び、
該凝集粒子を加熱して融合させる工程
を含む静電荷像現像トナーの製造方法であって、
前記結着樹脂分散液が請求項3に記載の静電荷像現像トナー用結着樹脂分散液であることを特徴とする
静電荷像現像トナーの製造方法。 - 請求項4に記載の製造方法により製造された静電荷像現像トナー。
- 請求項1に記載の静電荷像現像トナー用結着樹脂を含む混合物を混練粉砕して作製した静電荷像現像トナー。
- 請求項5又は6に記載の静電荷像現像トナーとキャリアとを含む静電荷像現像剤。
- 潜像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、
前記潜像保持体表面に形成された静電潜像をトナー又は静電荷像現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、
前記潜像保持体表面に形成されたトナー像を被転写体表面に転写する転写工程と、
前記被転写体表面に転写されたトナー像を熱定着する定着工程と
を含む画像形成方法であって、
前記トナーとして請求項5又は6に記載の静電荷像現像トナー、又は、前記現像剤として請求項7に記載の静電荷像現像剤を用いることを特徴とする
画像形成方法。
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