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本発明の製造方法で使用する(A)重量平均分子量が500〜1,000,000の範囲内であり、常温で液状であり、H2SiO2/2単位からなることを特徴とする環状ジハイドロジェンポリシロキサンは、有機溶媒に溶解しなくても薄層コーテイングが可能であり、コーテイング層表面が平滑であり、酸素ガス含有雰囲気下での加熱等により硬化させたときにクラックがはいらない高硬度のシリカ系ガラス層を形成するので、無機質基板上にシリカ系ガラス膜を形成するのに有用である。なお、本発明における無機質基板は、光学用でない無機質基板、すなわち、非光学用無機質基板を意味している。非光学用無機質基板に限定するのは、石英、蛍石等の透明な光学部材上に鉛筆硬度が2H〜9Hであるシリカ系ガラス薄層を有する光学基板の製造方法、および、かくして得られたシリカ系ガラス薄層付き光学基板については、既に特許出願済み(特願2005−228774)であるからである。
本発明の製造方法で使用する(B)シロキサン単位式[H2SiO2/2x[HSiO3/2y[SiO4/2]z(式中、x,y,zはモル分率を表わし、0.12≦x<1.0,0≦y≦0.88,0≦z≦0.30,yとzが同時に0であることがなく、x+y+z=1である)を有し、重量平均分子量が500〜1,000,000の範囲内であり、120℃以下で液状であることを特徴とするハイドロジェンポリシロキサンは、有機溶媒に溶解しなくても薄膜コーテイングが可能であり、コーテイング膜表面が平滑であり、酸素ガス含有雰囲気下での加熱等により硬化させたときにクラックがはいらない高硬度のシリカ系ガラス薄膜を形成するので、無機質基板上にシリカ系ガラス薄層を形成するのに有用である。このハイドロジェンポリシロキサンの重量平均分子量は、製造の容易性の点で上限値は100,000が好ましい。なお、重量平均分子量は試料を2重量%のクロロホルム溶液にしてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(略称GPC)により測定して標準ポリスチレン換算して求めるものである。
このハイドロジェンポリシロキサンは、120℃未満の温度で粘度が10,000mPa・s以下であることが望ましい。
上記ハイドロジェンポリシロキサン(B)は、120℃未満で液状であるが、薄膜コーテイングしやすくするためには、粘度が1〜10,000mPa・sの範囲内であることが好ましい。分子中に[H2SiO2/2]単位量が多いほど、常温で液状になりやすく粘度が小さくなり、分子中に[HSiO3/2]単位量および[SiO4/2]単位量が多いほど常温で粘度が大きくなり固体状になることあり得るが、常温より高く120℃未満で固体状にはならない。ハイドロジェンポリシロキサンは120℃未満ではそのケイ素原子結合水素原子が分解して脱離しないので、固体状であっても加熱して溶融させることができる
非極性有機溶媒と水の混合物中でジハイドロジェンジクロロシランを加水分解縮合させる反応は、上述したとおりである。生成したジハイドロジェンポリシロキサンを含有する非極性有機溶媒と無機酸とプロトン性極性溶媒の混合は、常温で3〜5時間位が好ましい。
反応終了後、生成したジハイドロジェンポリシロキサンを含有する非極性有機溶媒層を分取し、水洗し、乾燥し、非極性有機溶媒および揮発性ハイドロジェンポリシロキサンを留去する。分取、水洗、乾燥、非極性有機溶媒および揮発性ハイドロジェンポリシロキサンの留去については、前述したとおりである。プロトン性極性溶媒の留去は、非極性有機溶媒および揮発性ハイドロジェンポリシロキサンの留去と同時に行うとよい。
有機溶媒希釈液または有機溶媒溶液中の環状ジハイドロジェンポリシロキサン(A)、ハイドロジェンポリシロキサン(B)、または環状ジハイドロジェンポリシロキサン(A)とハイドロジェンポリシロキサン(B)の混合物の濃度は、これらを低粘度化または溶解して膜厚がμmオーダのシリカ系ガラス薄膜を形成するのに十分な濃度であればよく、例えば5〜90重量%、好ましくは10〜50重量%である。
環状ジハイドロジェンポリシロキサン(A)、ハイドロジェンポリシロキサン(B)、または環状ジハイドロジェンポリシロキサン(A)とハイドロジェンポリシロキサン(B)の混合物を有機溶媒により稀釈してから無機質基板にコーテイングした場合、また、固形状のハイドロジェンポリシロキサン(B)有機溶媒により溶液化してから無機質基板にコーテイングした場合は、120℃未満の硬化しない温度に保持して該有機溶剤を揮発させてから、環状ジハイドロジェンポリシロキサン(A)、ハイドロジェンポリシロキサン(B)、または環状ジハイドロジェンポリシロキサン(A)とハイドロジェンポリシロキサン(B)の混合物を硬化させることが好ましい。なお、有機溶媒により希釈または溶解させる環状ジハイドロジェンポリシロキサン(A)とハイドロジェンポリシロキサン(B)の混合物中の環状ジハイドロジェンポリシロキサン(A)とハイドロジェンポリシロキサン(B)の配合比率は特に限定されず、99:1〜1:99、90:10〜10:90が例示される。
(A)重量平均分子量が500〜1,000,000の範囲内であり、常温で液状であり、H2SiO2/2単位からなることを特徴とする環状ジハイドロジェンポリシロキサン、(B)シロキサン単位式[H2SiO2/2x[HSiO3/2y[SiO4/2]z(式中、x,y,zはモル分率を表わし、0.12≦x<1.0,0≦y≦0.88,0≦z≦0.30,x+y+z=1である)を有し、重量平均分子量が500〜1,000,000の範囲内であり、120℃未満で液状であることを特徴とするハイドロジェンポリシロキサン、または環状ジハイドロジェンポリシロキサン(A)とハイドロジェンポリシロキサン(B)の混合物を、必要に応じて120℃未満の硬化しない温度に保持して流動性を高めてから、無機質基板上に被覆し、ついで、硬化させることにより、具体的には、酸素ガス含有雰囲気下で10℃以上の温度での加熱、純不活性ガス中もしくは真空中で200℃以上の温度での加熱、高エネルギー線照射、オゾン暴露、亜酸化窒素ガス暴露または湿性アンモニアガス暴露により硬化させることにより、平坦でありクラックがなく、耐熱性、電気絶縁性、可撓性に優れ、鉛筆高度が2H〜9H、好ましくは4H〜9H、より好ましくは7H〜9Hであるシリカ系ガラス薄層を有する無機質基板を製造することができる。
環状ジハイドロジェンポリシロキサン(A)、ハイドロジェンポリシロキサン(B)、または環状ジハイドロジェンポリシロキサン(A)とハイドロジェンポリシロキサン(B)の混合物の無機質基板へのコーテイング方法は、特に限定されず、スピンコーテイング、ブレードコーテイング、スプレー、ローラコーテイング、浸漬コーテイングが例示される。環状ジハイドロジェンポリシロキサン(A)、ハイドロジェンポリシロキサン(B)、または環状ジハイドロジェンポリシロキサン(A)とハイドロジェンポリシロキサン(B)の混合物が硬化して形成されるシリカ系ガラス薄層の厚みは、通常0.1〜10μmであり、可撓性がさほど要求されない場合は10μmより厚くてもよく、極端な場合は1mm位まで種々の厚みをとり得る。
シリカ系ガラス薄層は、多くの場合無機質基板の片面に形成されるが、無機質基板の両面に形成してもよい。無機質基板の両面にシリカ系ガラス薄層が存在するように形成するには、その片面に環状ジハイドロジェンポリシロキサン(A)、ハイドロジェンポリシロキサン(B)、または環状ジハイドロジェンポリシロキサン(A)とハイドロジェンポリシロキサン(B)の混合物をスピンコーテイング、ブレードコーテイング、スプレーまたはローラコーテイングし、加熱して硬化させ、ついで、反対面に前記ハイドロジェンポリシロキサンをスピンコーテイング、ブレードコーテイング、スプレーまたはローラコーテイングし、加熱して硬化させればよい。あるいは、無機質基板を前記ハイドロジェンポリシロキサン中に浸漬して引き上げ、加熱して硬化させればよい。あるいは、無機質基板の両面に前記ハイドロジェンポリシロキサンを噴霧し、加熱して硬化させればよい。
[参考例1] ハイドロジェンポリシロキサンレジンA〜Dの調製
撹拌機と温度計と窒素ガス導入口と滴下ロート付き4口ガラスフラスコに、オクチルスルホン酸ナトリウムを1gとトルエン700mlと濃塩酸200mlを仕込み、窒素ガスを流しつつ零下5℃で攪拌しながら、ドライアイスとイソプロパノールで5℃以下に冷却したジハイドロジェンジクロロシランとハイドロジェントリクロロシランのトルエン混合溶液(ジハイドロジェンジクロロシランとハイドロジェントリクロロシランのモル比=12/8(A)、15/85(B)、25/75(C)、50/50(D)200mlを滴下ロートから60分間かけて滴下した。滴下終了後、じょじょに室温に戻し、更に室温で1時間攪拌した後、分液ロートで有機層を分取し、中性になるまで水洗後、無水硫酸マグネシウム粉末を投入して乾燥した。無水硫酸マグネシウム粉末を濾別し、ロータリエバポレータによりトルエンを除去し、残渣を真空中で乾燥した。乾燥した各残渣(ハイドロジェンポリシロキサンレジン)は無色透明の液体であり、収率は80〜90%であり、分子量分布は複数のピークを有していた。その重量平均分子量(Mw)、粘度(mPa・s)および29Si‐NMRのHSiO2/2単位に由来する−50.1ppmのシグナルとHSiO3/2単位に由来する−84.5ppmのシグナルの積分値、または1H‐NMRのH2SiO2/2単位に由来する4.71ppmのシグナルとHSiO3/2単位に由来する4.37ppmのシグナルの積分値から求めた平均シロキサン単位式を表1に示した。
シリカ系ガラス薄層
ステンレススチール薄板
非光学ガラス薄板
4:半導体薄層
5a:Mo裏面電極薄層
5b:ITO透明電極薄層
6:CdS高抵抗バッファ薄層
7:CuInGaSe2からなるCIGS系光吸収薄層
8:ZnO半絶縁薄層
A:片面にシリカ系ガラス薄層1を有するステンレススチール薄板
B:片面にシリカ系ガラス薄層1を有する非光学ガラス薄板
C:片面にシリカ系ガラス薄層1を有するステンレススチール薄板2のシリカ系ガラス薄層1上に半導体薄層4を有する半導体装置
D:薄膜化合物半導体太陽電池セル
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