JP4676686B2 - シリカ系無機ポリマー膜で被覆されたステンレス箔及びその製造方法 - Google Patents

シリカ系無機ポリマー膜で被覆されたステンレス箔及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4676686B2
JP4676686B2 JP2003309283A JP2003309283A JP4676686B2 JP 4676686 B2 JP4676686 B2 JP 4676686B2 JP 2003309283 A JP2003309283 A JP 2003309283A JP 2003309283 A JP2003309283 A JP 2003309283A JP 4676686 B2 JP4676686 B2 JP 4676686B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
stainless steel
steel foil
film
silica
inorganic polymer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2003309283A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005079405A (ja
Inventor
紀子 山田
健 濱田
祐治 久保
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP2003309283A priority Critical patent/JP4676686B2/ja
Publication of JP2005079405A publication Critical patent/JP2005079405A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4676686B2 publication Critical patent/JP4676686B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy
    • Y02E10/548Amorphous silicon PV cells

Landscapes

  • Formation Of Insulating Films (AREA)
  • Photovoltaic Devices (AREA)

Description

本発明は、シリカ系無機ポリマー膜で被覆したステンレス箔及びその製造方法に関するものである。
太陽光発電は、新しいエネルギー源の1つとして注目されている。太陽電池としては、単結晶Si又は多結晶Siのバルク型太陽電池が主流であるが、軽量化・大面積化・量産による低価格化等、薄膜太陽電池の方が有利と考えられる点も多い。
薄膜太陽電池の基板としては、ガラスが用いられているが、軽量化・フレキシビリティの観点から、樹脂基板も検討されている。しかしながら、樹脂は耐熱性が低いため、薄膜太陽電池の製造プロセス温度が制限される。
このため、表面に絶縁膜をつけたステンレス箔基板が提案されている(特許文献1、参照)。太陽電池基板としては、複数のセルを配列して一定の性能が得られるように、少なくともMΩ・cmオーダーの絶縁性が求められるので、ステンレス箔上の膜にも、このレベルの絶縁が求められる。
金属箔の上に、絶縁性の高いポリイミド塗料等の有機樹脂塗料を塗布したものを使用する例がある(特許文献2、参照)が、有機樹脂は、太陽電池セル形成時の200〜350℃の熱処理で劣化するものが多い。
薄膜太陽電池の中でも、高い変換効率が期待される結晶系Si薄膜太陽電池が、最近、注目されている。従来、この材料は、可視域での吸収係数が小さいので、薄膜材料には適さないと考えられていたが、結晶系Siにおいても、長い光路長を得られるよう、結晶系Si層の裏面及び表面に光を反射させて、中に閉じ込めることにより、高い変換効率を実現することがわかってきた。
例えば、ガラス基板の上に、凹凸テクスチャ構造を有する裏面反射層としてSnOを設け、その上に、n型Si層、活性層となるi層、p型Si層、ITO膜を順次積層し、セルを作製している。裏面反射層は、電極も兼ねた構造になっている(非特許文献1、参照)。
また、アモルファスSiにおいても、変換効率を上げるために、アモルファスSi層の表面、裏面のそれぞれに、凹凸テクスチャ構造を持たせて、光路長を稼いだ場合についてシミュレーションした結果、凹凸テクスチャ構造の有効性が示されている(非特許文献2、参照)。
現在のところ、凹凸テクスチャ構造は、ガラス基板上に透明電極として、SnO又はZnOをCVD又はスパッタリングで作製後、酸によるウエットエッチングで得ているものが主流である。
しかしながら、軽量化・フレキシビリティ・耐熱性等の観点から金属箔基板の採用を考えた場合、SnOやZnOの酸によるウエットエッチングプロセスでは、金属自体の腐食が問題になるため、凹凸テクスチャ構造を作ることができなかった。
裏面電極として、Al等の金属を凹凸テクスチャ構造を有する形に成膜することも考えられるが、現実には、光閉じ込め効果が発現するようなサブミクロンレベルでAl等を成膜する技術は、確立していない。
特願2002−43362号 特開2001−127323号公報 K.Yamamoto,et al.,IEEE Trans.Elect.Devices,Vol.46,p.2041 (1999) 太陽光発電技術研究組合監修、薄膜太陽電池の基礎と応用、p.82〜91、オーム社 (2001)
本発明は、1MΩ・cmオーダー以上の絶縁性、熱安定性、及び、薄膜太陽電池として凹凸テクスチャ構造を有する裏面反射層が作製可能な、シリカ系無機ポリマー膜で被覆されたステンレス箔及びその製造方法を提供するものである。
本発明は、上記目的を達成するために以下のような手段を用いる。
太陽電池用の絶縁基板とするシリカ系無機ポリマー膜で被覆されたステンレス箔の製造方法であって、ポリジメチルシロキサンとSi、Al、Ti、Zr、Nb、Ta、Wから選ばれる1種類以上の金属アルコキシドを、ポリジメチルシロキサン中のSiに対する金属アルコキシドのモル比が1/40以上1/4以下であるように有機溶媒中に分散させてから加水分解させたゾルを、ステンレス箔に塗布し、70℃以上200℃以下で乾燥・ゲル化させることを特徴とするシリカ系無機ポリマー膜で被覆されたステンレス箔の製造方法。
本発明によれば、表面に凹凸構造を有するシリカ系無機ポリマー膜で被覆されたステンレス箔が得られ、太陽電池をはじめ各種電気・電子部品用に軽量で可とう性を備えた絶縁基板を提供することができる。
本発明のステンレス箔は、特に、薄膜太陽電池基板として用いた場合、凹凸構造を有する裏面反射層が得られるので光路長を稼ぐことができ、太陽電池の変換効率を向上させることができる。
無機ポリマーは、M(金属又は半金属)−O(酸素)−Mの無機結合で主骨格が構成されているポリマーである。特に、MがSiの場合は、シロキサン結合と呼ばれる。Siの4つの結合手の内のすべてがSi−O−Si結合でつながっている場合は、SiOガラスになる。SiOガラスは硬く、クラックが入りやすい。
一般に、ステンレス箔表面の表面粗さはRa=0.03〜0.6μm、Rmax=0.35〜5.0μmであるため、ある程度の膜厚がなければ絶縁性を維持することができない。スパッタ法、CVD法、ゾルゲル法等のいずれの成膜方法においても、クラックがなく、1μm近い厚さのSiO膜を成膜することは困難である。
SiOガラスの硬さを緩和するために、Si−R(Rは有機基又は水素)結合を導入したシロキサン結合を主体とする無機ポリマー膜にすると、膜に柔軟性が付与されるので、厚膜にしてもクラックが入りにくくなり、1MΩ・cm程度の絶縁抵抗値が得られる膜になる。
Siは、Cと同様に、Si−CH、Si−C、Si−Hのように、Siが直接、有機基やHと化学結合することができる。Siの4つの結合手の内、2個がSi−R(Rは有機基又はH)結合を形成し、残りの2個がSi−O−Si結合になっているSi、即ち、RSi(−O−Si)をD核、1個がSi−R(Rは有機基又はH)結合を形成し、残りの3個がSi−O−Si結合になっているSi、即ち、Rsi(−O−Si)をT核、4つの結合手の内のすべてがSi−O−Si結合でつながっているSi(−O−Si)の場合をQ核という。
これらの核種については、NMRで調べることができる。Rの種類が同じ場合、シロキサン骨格がD核からなるときが最も疎水性である。Rが結合していないQ核からなるときが、最も親水性であり、T核はこれらの中間に位置する。
発明者らは、ゾルゲル法においてはこれらの核種が混合しているゾルを塗布し、特定の条件で熱処理をすると相分離が生じ、その結果として、表面にサブミクロンの凹凸構造が現れることを見出した。
親水性のシロキサン骨格の前駆体と疎水性のシロキサン骨格の前駆体が共存しているとき、アルコール等の共通の良溶媒が一定量以上存在すると、両者とも溶け合って透明なゾルが得られるが、塗布後、溶媒が蒸発するにつれて不混和となり、エマルジョン状態の相分離が生じ、それが乾燥して表面が凹凸になると考えられる。
例えば、ポリジメチルシロキサンとTiのアルコキシドから合成したゾルの場合、Tiによってポリジメチルシロキサンが三次元的に架橋された網目構造の物質が得られるが、120℃の熱処理を12時間行うと、図1に示したように、架橋成分であるTiの多い親水性の凸部分と、ポリジメチルシロキサンが多い疎水性の凹部分に分離した状態が得られる。
Tiの量、ポリジメチルシロキサンの分子量によって、ラメラ状の凹凸構造が得られる場合もあれば、アイランド状に凸部が分布する構造になる場合もある。
共通の良溶媒を用いることにより、透明ゾルが作製できるので、ゾルの段階ではレイリー散乱が生じないレベル、即ち、数十nm以上の粒子や液滴は存在しないと推定できる。したがって、溶媒の蒸発を早くするような熱処理を行うと、ゾルと同一レベルの均質性が保たれるので、平滑表面となる。
表面の凹凸構造は、凹凸をより強調するためにエッチング処理を施してもよい。無機成分としてSi以外の金属元素を含む膜の場合、アルカリでエッチングすることにより、シロキサン骨格が選択的にエッチングされる。
ポリジメチルシロキサンとTiアルコキシドから得られる膜の場合、水酸化ナトリウム水溶液でエッチングすることにより、凹部のシロキサンポリマーがエッチングされ、Tiの多い凸部をより強調することができる。
相分離の利用以外の表面凹凸構造の付与方法としては、Si−R結合により膜に柔軟性が付与されるので、成膜後、鉛筆硬度がHB以下の柔らかさの時に、所望の凹凸レベルに対応したエンボスロールを用いて、20Pa以上500Pa以下の面圧でプレスを行ってもよい。
鉛筆硬度HB以下の膜は、ゾルゲル法の場合、組成にもよるが、一般に、成膜後、室温乾燥又は70℃以下で5分以内程度の乾燥で得られる。
シリカ系無機ポリマー膜の表面粗さは、中心線平均粗さRaが0.1μm以上0.8μm以下であり、かつ、最大高さRmaxが3μm以下であることが望ましい。Raが0.1μmより小さい場合は、無機ポリマー膜上につけた裏面反射層に十分な凹凸テクスチャ構造が得られ難いため、光路長を稼いで太陽電池の変換効率を上げることが難しくなる。
Raが0.8μmを超える場合、及び、Rmaxが3μmを超える場合は、無機ポリマー膜上に薄膜太陽電池を積層するときにデラミネーションが発生しやすくなる。より好ましくは、Raが0.3μm以上0.6μm以下、かつ、Rmaxが1.5μm以下である。
シリカ系無機ポリマー膜の膜厚は、0.6μm以上40μm以下であり、かつ、ステンレス箔の厚さが40μm以上200μm以下であることが望ましい。0.6μmより薄い膜をステンレス箔上に形成した場合は、十分な絶縁性が得られにくい。
40μmより厚い膜を形成した場合は、有機成分を含んでいても、無機ポリマー膜にクラックが入り易い。より好ましい膜厚の範囲は、1.5μm以上5μm以下である。
ステンレス箔の厚さが40μmより薄い場合は、強度がなく、基板としてのハンドリングが難しい。ステンレス箔の厚さが200μmを超える場合は、軽量で柔軟性があるというガラス基板に対する優位性が小さくなる。
全Siに対するD核であるSiのモル比は0.3以上であり、かつ、Al、Ti、Zr、Nb、Wから選ばれる1種類以上の金属元素又はQ核のSiの一方又は双方を、これらの総和が全Siに対するモル比として0.025以上0.25以下含むことが望ましい。
全Siに対するD核であるSiのモル比が0.3より小さい場合は、硬い膜組成になるため厚膜化が難しい。D核であるSiは疎水性が高いので、全Siに対するD核であるSiのモル比が0.8以上であるとき厚膜化が容易になるだけでなく、層分離も促進されるため特に好ましい。
Al、Ti、Zr、Nb、Ta、Wから選ばれる1種類以上の金属元素又はQ核のSiの一方又は双方を含むことにより、親水性の前駆体を形成することが容易になり、相分離を起こしやすくなる。
Al、Ti、Zr、Nb、Ta、Wから選ばれる1種類以上の金属元素又はQ核のSiの一方又は双方の全Siに対するモル比が0.025より小さい場合は、相分離を起こす効果が小さい。このモル比が0.25を超える場合は、膜が硬くなり過ぎて、クラックが入り易くなる。
Siと直接結合する有機基は、耐熱性が高く、脱ガスが少ないという観点から、メチル基であることが、特に望ましい。
本発明のシリカ系無機ポリマー膜で被覆されたステンレス箔は、ポリシロキサンとSi、Al、Ti、Zr、Nb、Ta、Wから選ばれる1種類以上の金属アルコキシドを出発原料として、加水分解して調製したゾルをステンレス箔に塗布し、乾燥・ゲル化させることにより作製することができる。
ポリシロキサンとしては、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン等が挙げられる。ポリシロキサンの両末端は、シラノール基の他、カルビノール変性、アミノ変性等でもよい。特に、ポリジメチルシロキサンを用いた場合は、耐熱性と耐クラック性に優れる。
ポリシロキサンの質量平均分子量は、500以上15000以下であることが望ましい。質量平均分子量が500より小さい場合は、表面凹凸構造が得られ難く、15000を超える場合は、膜硬化に時間がかかる上、得られる膜も柔らかく傷つき易い。
ポリジメチルシロキサン中のSiに対するSi、Al、Ti、Zr、Nb、Ta、Wから選ばれる1種類以上の金属アルコキシドのモル比が、1/40以上1/4以下であるように有機溶媒中に分散させてから、加水分解させることが特に望ましい。
ポリジメチルシロキサン中のSiに対する金属アルコキシドのモル比が1/40より小さい場合は、三次元網目構造が発達し難いため、膜の硬化が不十分になり易い。このモル比が1/4を超える場合は、膜が硬くなり過ぎるため、クラックが入り易い。
Siのアルコキシドとしては、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシランの他に、オルガノアルコキシシランを用いることができる。オルガノアルコキシシランとしては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、ジメトキシジメチルシラン、ジエトキシジメチルシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキヒシラン等が挙げられる。
Al、Ti、Zr、Nb、Ta、Wの金属アルコキシドは、いずれも、アルコキシシランに比べて反応性が高いため、アルコキシ基の一部をβ−ジケトン、β−ケトエステル、アルカノールアミン、アルキルアルカノールアミン、有機酸等で置換したアルコキシド誘導体を使用してもよい。
前述したアルコキシド、ポリシロキサン等の膜固形分を生成するための出発原料を均一に分散、溶解できる有機溶媒中で、加水分解を行い、ゾルを調製することができる。有機溶媒として、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の各種アルコール、アセトン、トルエン、キシレン等を用いることができる。
親水性・疎水性の程度の異なる原料を溶かす有機溶媒の質量は、加水分解時に副生成物として生じるアルコールの量も含めて、固形分質量の2割以上であることが望ましい。溶媒の量が少ないと、加水分解終了時点でエマルジョン状のゾルになり、成膜時にハジキ・ピンホール等の欠陥が入り易くなる。
加水分解は、出発原料中の全アルコキシ基のモル数に対して0.5〜2倍の水を添加して行う。必要に応じて、加水分解の触媒として酸を添加してもよい。酸としては、無機酸、有機酸とも使用可能である。調製したゾルには、サブミクロン以下の粒径のフュームドシリカ等の無機粒子を添加することにより、粒子形状を利用した凹凸を作ることもできる。
乾燥・ゲル化は、塗布した基板上でゾルが共通良溶媒の蒸発によりエマルジョン状態を生じさせるような条件、一般には、70℃以上200℃以下で行うことが特に望ましい。乾燥・ゲル化温度が70℃より低い場合は、膜硬化に時間がかかる。200℃を超える場合は、ゾルの段階での均質性が保たれたまま、瞬時に溶媒が蒸発するため、相分離が起こらず平滑面になり易い。
ステンレス箔へのコーティングは、バーコート法、ロールコート法、スプレーコート法、ディップコート法、スピンコート法等で行うことができる。特に、ステンレス箔がコイル形状の場合は、オフセット方式又はグラビア方式によるロールコータで塗布することが、連続処理が容易で、好ましい。
ステンレス箔に対して、特に前処理を行わなくても良好な密着性を示すが、必要に応じて、塗布前に前処理を行うこともできる。代表的な前処理としては、酸洗、アルカリ脱脂,クロメート等の化成処理、研削、研磨、ブラスト処理等があり、必要に応じて、これらを単独もしくは組み合わせて行うことができる。
ステンレス箔材としては、フェライト系ステンレス箔、マルテンサイト系ステンレス箔、オーステナイト系ステンレス箔等が挙げられる。ステンレス箔の表面は、ブライトアニール、バフ研磨等の表面処理を施してあってもよい。
本発明のシリカ系膜で被覆されたステンレス箔を、以下の実施例によって具体的に説明する。
(実施例1)
アセト酢酸エチル2モルとテトラエトキシチタン1モルを2モルのエタノールに分散させ、両末端カルビノール変性で平均分子量3000のポリジメチルシロキサン0.5モル加え、攪拌した。2モルのエタノールと2モルの水の混合溶液を滴下し、ゾルを調製した。
厚さ100μmのSUS430の基板の上に、番手16番のバーコータで塗布し、150℃で24時間乾燥・ゲル化させた後、200℃4時間の膜硬化のための熱処理を真空中で行った。膜表面は、サブミクロンレベルのラメラ状の凹凸構造を示した。Raは0.4μm、Rmaxは1.5μm、膜厚は2.5μmであった。
1cmの上部電極をつけて印加電圧100Vで絶縁抵抗を測定したところ、80MΩ・cmであり、サブミクロンレベルの凹凸構造を有する絶縁膜で被覆されたステンレス箔が得られた。
この上に、Al電極、n型シリコン層、活性層となるi層、p型シリコン層、ITO膜を順次積層し、最後に、くし型電極を形成した薄膜微結晶シリコンセルの変換効率は、プラズマCVD法で作製した凹凸のないSiO絶縁膜で被覆されたステンレス箔に、同様のプロセスで作製したシリコンセルの変換効率より高かった。
(実施例2)
アセト酢酸エチル2モルとテトラブトキシジルコニウム1モルを2モルの2−エトキシエタノールに分散させ、両末端カルビノール変性で平均分子量1500のポリメチルフェニルシロキサン2モルを加え、攪拌した。2モルの2−エトキシエタノールと2モルの水の混合溶液を滴下し、ゾルを調製した。
厚さ70μmのSUS304の基板を用い、基板引き上げ速度0.6mm/secのディップコータで塗布した。120℃で24時間乾燥・ゲル化させた後、200℃3時間の膜硬化のための熱処理を大気中で行った。膜表面は、サブミクロンレベルの凹凸構造を示した。Raは0.2μm、Rmaxは1μm、膜厚は1.7μmであった。
1cmの上部電極をつけて印加電圧100Vで絶縁抵抗を測定したところ、10MΩ・cmであり、サブミクロンレベルの凹凸構造を有する絶縁膜で被覆されたステンレス箔が得られた。
このステンレス箔を用いて実施例1と同様に作製した太陽電池セルの変換効率は、実施例1に示した凹凸構造がない絶縁膜で被覆されたステンレス箔上に作製したものより、高かった。
(実施例3)
テトラメトキシシラン1モルを3モルの2−エトキシエタノールに分散させ、両末端シラノールで平均分子量6000のポリジフェニルシロキサン1モルを加え攪拌した。3モルの2−エトキシエタノールと2モルの水の混合溶液を滴下し、ゾルを調製した。
厚さ70μmのSUS304の基板を用い、番手7番のバーコータで塗布し、100℃で24時間乾燥・ゲル化させた後、250℃1時間の膜硬化のための熱処理を真空中で行った。膜表面はサブミクロンレベルの凹凸構造を示した。Raは0.3μm、Rmaxは1μm、膜厚は1.5μmであった。
1cmの上部電極をつけて印加電圧100Vで絶縁抵抗を測定したところ、10MΩ・cmであり、サブミクロンレベルの凹凸構造を有する絶縁膜で被覆されたステンレス箔が得られた。
このステンレス箔を用いて実施例1と同様に作製した太陽電池セルの変換効率は、実施例1に示した凹凸構造がない絶縁膜で被覆されたステンレス箔上に作製したものより、高かった。
(比較例1)
アセト酢酸エチル2モルとテトラエトキシチタン1モルを4モルのエタノールに分散させ、テトラメトキシシラン10モルを加え、攪拌した。4モルのエタノールと2モルの水の混合用液を滴下し、透明溶液を得た。厚さ70μmのSUS304の基板を用い、基板引き上げ速度0.6mm/secのディップコータで塗布した。120℃で24時間乾燥・ゲル化させた後、200℃3時間の膜硬化のための熱処理を大気中で行った。膜厚は0.6μmであった。
1cmの上部電極をつけて印加電圧100Vで絶縁抵抗を測定したところ、1MΩ・cmの絶縁抵抗であった。SEM観察の結果、膜表面は平滑で、Raは0.02μm以下であった。
このステンレス箔を用いて実施例1と同様に作製した太陽電池セルの変換効率は、実施例1に示した凹凸構造がない絶縁膜で被覆されたステンレス箔上に作製したものと同等であった。
本発明の凹凸構造を有するシリカ系無機ポリマー膜で被覆されたステンレス箔の表面SEM写真(10000倍)を示す図である。

Claims (1)

  1. 太陽電池用の絶縁基板とするシリカ系無機ポリマー膜で被覆されたステンレス箔の製造方法であって、ポリジメチルシロキサンとSi、Al、Ti、Zr、Nb、Ta、Wから選ばれる1種類以上の金属アルコキシドを、ポリジメチルシロキサン中のSiに対する金属アルコキシドのモル比が1/40以上1/4以下であるように有機溶媒中に分散させてから加水分解させたゾルを、ステンレス箔に塗布し、70℃以上200℃以下で乾燥・ゲル化させることを特徴とするシリカ系無機ポリマー膜で被覆されたステンレス箔の製造方法。
JP2003309283A 2003-09-01 2003-09-01 シリカ系無機ポリマー膜で被覆されたステンレス箔及びその製造方法 Expired - Fee Related JP4676686B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003309283A JP4676686B2 (ja) 2003-09-01 2003-09-01 シリカ系無機ポリマー膜で被覆されたステンレス箔及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003309283A JP4676686B2 (ja) 2003-09-01 2003-09-01 シリカ系無機ポリマー膜で被覆されたステンレス箔及びその製造方法

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010050454A Division JP5251904B2 (ja) 2010-03-08 2010-03-08 シリカ系無機ポリマー膜で被覆したステンレス箔及びそれを用いたシリコン薄膜太陽電池

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005079405A JP2005079405A (ja) 2005-03-24
JP4676686B2 true JP4676686B2 (ja) 2011-04-27

Family

ID=34411494

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003309283A Expired - Fee Related JP4676686B2 (ja) 2003-09-01 2003-09-01 シリカ系無機ポリマー膜で被覆されたステンレス箔及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4676686B2 (ja)

Families Citing this family (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5219332B2 (ja) * 2005-09-20 2013-06-26 新日鉄住金マテリアルズ株式会社 被覆ステンレス箔及び薄膜太陽電池
JP4783117B2 (ja) 2005-10-21 2011-09-28 東レ・ダウコーニング株式会社 シリカ系ガラス薄層付き無機質基板、その製造方法、コーテイング剤および半導体装置
JP4860448B2 (ja) * 2006-12-07 2012-01-25 新日鉄マテリアルズ株式会社 電子デバイス作製用絶縁被覆金属箔
JP5004623B2 (ja) * 2007-03-19 2012-08-22 新日鉄マテリアルズ株式会社 アモルファスシリコン太陽電池用絶縁被覆ステンレス箔及びその製造方法
JP5127277B2 (ja) * 2007-04-05 2013-01-23 新日鉄住金マテリアルズ株式会社 表面平坦性絶縁膜形成用塗布溶液、表面平坦性絶縁膜被覆基材、及び表面平坦性絶縁膜被覆基材の製造方法
JP5313478B2 (ja) * 2007-10-05 2013-10-09 東レ・ダウコーニング株式会社 セラミック状酸化ケイ素系被膜の形成方法、セラミック状酸化ケイ素系被膜を有する無機質基材の製造方法、セラミック状酸化ケイ素系被膜形成剤および半導体装置
JP5103145B2 (ja) * 2007-11-15 2012-12-19 シャープ株式会社 光電変換装置用基板およびそれを用いた光電変換装置
JP5131128B2 (ja) * 2008-09-30 2013-01-30 大日本印刷株式会社 可撓性基板、可撓性基板の製造方法、及び製品
JP5548400B2 (ja) * 2009-07-02 2014-07-16 株式会社カネカ 薄膜光電変換装置、及びその製造方法
JP5825897B2 (ja) 2011-07-20 2015-12-02 新日鉄住金マテリアルズ株式会社 絶縁膜被覆金属箔
CA2854161A1 (en) * 2011-11-01 2013-05-10 The Regents Of The University Of Michigan Method of preparing the surface of metal substrates for organic photosensitive devices
KR101711923B1 (ko) * 2013-10-10 2017-03-03 제일모직 주식회사 절연막용 조성물, 절연막 및 전자 소자
JP6872864B2 (ja) * 2016-07-14 2021-05-19 日鉄ケミカル&マテリアル株式会社 有機el素子用金属基板
CN113968061A (zh) * 2021-10-27 2022-01-25 京东方科技集团股份有限公司 柔性盖板及其制备方法、显示装置

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02180081A (ja) * 1988-12-30 1990-07-12 Taiyo Yuden Co Ltd 非晶質半導体太陽電池
JPH10326903A (ja) * 1997-05-23 1998-12-08 Sharp Corp 微粒子塗布膜およびそれを用いた光電変換素子と光拡散体
JPH1140829A (ja) * 1997-07-16 1999-02-12 Nisshin Steel Co Ltd 太陽電池用絶縁基板及びその製造方法
JP2002097365A (ja) * 2000-09-25 2002-04-02 Nisshin Steel Co Ltd 薄膜多結晶シリコン太陽電池用絶縁基板及びその製造方法
JP2002100794A (ja) * 2000-07-18 2002-04-05 Nisshin Steel Co Ltd 薄膜多結晶シリコン太陽電池用絶縁基板及びその製造方法
JP2003229586A (ja) * 2002-02-05 2003-08-15 Nisshin Steel Co Ltd 薄膜太陽電池用絶縁基板

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6450472A (en) * 1987-08-20 1989-02-27 Taiyo Yuden Kk Amorphous semiconductor solar cell

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02180081A (ja) * 1988-12-30 1990-07-12 Taiyo Yuden Co Ltd 非晶質半導体太陽電池
JPH10326903A (ja) * 1997-05-23 1998-12-08 Sharp Corp 微粒子塗布膜およびそれを用いた光電変換素子と光拡散体
JPH1140829A (ja) * 1997-07-16 1999-02-12 Nisshin Steel Co Ltd 太陽電池用絶縁基板及びその製造方法
JP2002100794A (ja) * 2000-07-18 2002-04-05 Nisshin Steel Co Ltd 薄膜多結晶シリコン太陽電池用絶縁基板及びその製造方法
JP2002097365A (ja) * 2000-09-25 2002-04-02 Nisshin Steel Co Ltd 薄膜多結晶シリコン太陽電池用絶縁基板及びその製造方法
JP2003229586A (ja) * 2002-02-05 2003-08-15 Nisshin Steel Co Ltd 薄膜太陽電池用絶縁基板

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005079405A (ja) 2005-03-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4676686B2 (ja) シリカ系無機ポリマー膜で被覆されたステンレス箔及びその製造方法
Zhang et al. Sol− gel preparation of PDMS/Silica hybrid antireflective coatings with controlled thickness and durable antireflective performance
JP4860448B2 (ja) 電子デバイス作製用絶縁被覆金属箔
US8586190B2 (en) Inorganic—organic hybrid-film-coated stainless-steel foil
Wu et al. A review of self-cleaning technology to reduce dust and ice accumulation in photovoltaic power generation using superhydrophobic coating
CN103421423B (zh) 一种耐高温的超疏水涂层的原位制备方法
JP5728278B2 (ja) 複合組成物、当該複合組成物を用いた塗膜の製造方法、当該製造方法により得られる塗膜、及び当該塗膜を具備する部材
JP4889259B2 (ja) シリコン薄膜太陽電池用被覆ステンレス箔及びこれを用いたシリコン薄膜太陽電池
CN103770404A (zh) 一种耐候性太阳能玻璃表面减反膜及其制备方法
JP4247354B2 (ja) 表面微細凹凸組織の低温形成法および当該組織を有する基体
JP5004623B2 (ja) アモルファスシリコン太陽電池用絶縁被覆ステンレス箔及びその製造方法
KR20100080605A (ko) 세라믹 산화규소계 피막의 형성 방법, 무기 기재의 제조 방법, 세라믹 산화규소계 피막 형성제 및 반도체 장치
JP5219332B2 (ja) 被覆ステンレス箔及び薄膜太陽電池
CN104230178A (zh) 一种改性多孔性二氧化硅减反膜的制备方法
TW201934335A (zh) 積層體、積層體之製造方法、及電子裝置之製造方法
JP2012173428A (ja) 反射防止コーティング組成物
Kubo et al. Formation of silica coating films from spin-on polysilazane at room temperature and their stability in hot water
JP5251904B2 (ja) シリカ系無機ポリマー膜で被覆したステンレス箔及びそれを用いたシリコン薄膜太陽電池
CN103849917B (zh) 制备地热水防腐防垢二氧化钛纳米管阵列和疏水涂层方法
JP3882008B2 (ja) 無機有機ハイブリッド膜被覆ステンレス箔
JP2011003932A (ja) シリコン薄膜太陽電池用被覆ステンレス箔及びこれを用いたシリコン薄膜太陽電池
JP2012094830A (ja) 太陽電池向け透明導電膜用組成物および透明導電膜
JP2012209525A (ja) 太陽電池向け透明導電膜用組成物および透明導電膜
WO2024147293A1 (ja) 吸光遮熱膜、吸光遮熱部材、物品、吸光遮熱膜の製造方法、及び吸光遮熱部材の製造方法
JP2010036470A (ja) 超微粒子膜層を有する積層構造体及び製法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060530

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090519

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090519

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090707

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100105

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100308

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110118

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110128

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140204

Year of fee payment: 3

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 4676686

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140204

Year of fee payment: 3

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140204

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees