JP6872864B2 - 有機el素子用金属基板 - Google Patents

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Description

本発明は、有機EL素子用金属基板に関するものである。
有機EL素子は、面で発光するという利点を活かして、薄型のディスプレイや照明用途として期待されている。金属箔は可撓性を有することから、電子ペーパー、有機ELディスプレイ、有機EL照明、太陽電池のデバイス用基板などへの応用が期待されている。有機EL素子用基板ではガスバリア性並びに平滑性・絶縁性が重要な特性になる。
有機EL素子用基板のガスバリア性については、特にフレキシブル化を狙って樹脂基板を用いた時に問題になっている。樹脂基板の場合はそれを透過する水蒸気などのガス成分が問題になるが金属箔をフレキシブル基板として用いる場合は、金属をガスが透過できないため、要求される重要な特性は平滑性と絶縁性に絞られる。
金属箔の場合、そのうえに形成される有機EL素子の各層が途切れることなく成膜できるようにするには、ガラス基板並みの平滑性が求められる。通常、AFM(原子間力顕微鏡、Atomic Force Microscope)を用いて15μm視野で測定した場合、表面粗度Raが5nm以下であることが求められる。さらに、ステンレス箔それ自体上存在する突起又は付着異物による凹凸は、有機EL素子のダークスポットなどの欠陥の原因となるため、これらの凹凸をなくすことが重要となっている。絶縁性については、金属箔上に複数の素子を形成したとき、それらを独立に制御できるように短絡箇所がないことが必要である。
特許文献1には、平滑性と絶縁性のバランスを兼ね備えた絶縁被膜としてフェニルトリアルコキシシランの部分加水分解・縮合反応物の被膜が記載されている。この絶縁被膜はAFMで測定してミクロレベルでの平滑性には優れている。しかし、金属箔上の被膜の平滑性は金属箔のマクロな表面状態の影響を受ける。ステンレス箔等の金属箔の表面には圧延スジや疵に起因する突起に由来する凹凸、圧延工程で巻きこんだ変質油に起因する付着異物などに由来する凹凸が存在している。これらの凸部の高さが絶縁被膜の膜厚に比べて十分に低い場合は、絶縁被膜表面に影響せず、健全な被膜が形成される。しかし、1.0μm〜3.0μmを超えるような突起や付着異物高さがある場合には、絶縁被膜にクラックが発生したり、成膜時にハジキやピンホールが発生したりして、短絡が生じることが多い。このような高い突起や異物の存在確率は、例えば、ステンレス箔の製造プロセスに依存するが、一般的に、10cm角内で1個以下にすることはステンレス箔の製造では、非常に困難であり、3cm角内に10個以上存在しても珍しいことではない。
本件出願人の先願である特許文献2には、ステンレス箔上の絶縁被膜を2層構造とし、ステンレス箔表面の圧延スジや疵に起因する大きな突起や、付着異物などの影響を緩和する目的で、第2層の成膜工程中に熱劣化しない耐熱性の高い第1層を設けることにより、その上に位置する第2層の平滑性を担保した有機EL素子用絶縁被膜付きステンレス箔が開示されている。
特許文献2では、ステンレス箔上の絶縁被膜を2層構造とすることにより、ステンレス箔表面の凹凸が一定の高さ以下であると、その影響が緩和され、第2層の表面平滑性は担保されている。しかし、絶縁被膜を2層構造とすることに起因して、第1絶縁被膜層と第2絶縁被膜層間の密着性の問題という、新たな課題が浮上している。
特開2012−140528号公報 特開2013−87310号公報
本発明は、本件出願人の先願である特許文献2に記載の有機EL用絶縁被膜付きステンレス箔をさらに改良したものである。本発明の目的は、基板内に複数の有機EL発光素子を形成した場合にそれぞれの素子を独立して制御することができる高い絶縁性を有し、金属箔表面の圧延スジや疵に起因する大きな突起や、付着異物などの影響が緩和された平滑な表面を有し、絶縁被膜層間の密着性がさらに高い複層絶縁被膜を有する、有機EL素子用金属基板を提供することにある。
上記目的を達成するため、発明者らは鋭意研究の結果、第1絶縁被膜層を(SiO2 (x) -(CH3SiO 2/3 (1-x)(式中、0≦<1.0)で表わされるメチル基含有シリカ系被膜とし、その被膜表面に特定の凹部を形成させることにより、その上に第2絶縁被膜層を塗布しても、高い密着性が得られることを見出した。
本発明はこれらの発見に基づいて完成されたものであって、その要旨は以下の通りである。
(1)金属箔上に順に、第1絶縁被膜層、第2絶縁被膜層を有する有機EL素子用金属基板であって、
前記第1絶縁被膜層が、SiO2(x)−CH3SiO2/3(1-x)(式中、0≦x<1)で表されるメチル基含有シリカ系被膜であり、
前記第1絶縁被膜層は、前記第1絶縁被膜層の厚さ方向に前記金属箔表面まで延在する複数の凹部を有し、
前記凹部の幅が0.5μm〜50μmであり、前記第1絶縁被膜層を平面視した場合の前記凹部の総面積が、前記第1絶縁被膜層の前記凹部の面積を含めた表面積の1〜15.0%の範囲であり、
前記第2絶縁被膜層は、SiO2(y)−C65SiO2/3(1-y)(式中、0≦y<1.0)で表わされるフェニル基含有シリカ系被膜であり、2.0〜5.0μmの膜厚を有しており、
前記第2絶縁被膜層の一部が、前記第1絶縁被膜層の前記凹部内に埋め込まれていることを特徴とする有機EL素子用金属基板。
(2)前記メチル基含有シリカ系被膜が非導電性無機粒子を含有していることを特徴とする(1)に記載の有機EL素子用金属基板。
(3)前記非導電性無機粒子の一次粒子の平均粒径が0.01〜0.5μmであることを特徴とする(2)に記載の有機EL素子用金属基板。
(4)前記第1絶縁被膜層中の前記非導電性無機粒子の含有量が、40〜60wt%であることを特徴とする(2)または(3)に記載の有機EL素子用金属基板。
)前記非導電性無機粒子が、シリカ、アルミナ、ジルコニア、およびチタニアから成る群より選ばれることを特徴とする(2)〜()のいずれか1つに記載の有機EL素子用金属基板。
(6)前記第1絶縁被膜層が、4.0〜10.0μmの膜厚を有していることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1つに記載の有機EL素子用金属基板。
本発明は、基板内に複数の有機EL発光素子を形成した場合にそれぞれの素子を独立して制御することができる非常に高い絶縁性を有し、ダークスポットなどの発生原因となる平滑な表面を有し、絶縁被膜層間の密着性が高い複層絶縁被膜を有する、有機EL素子用金属基板を提供する。
本発明の有機EL素子用金属基板の基本的な構成を示す図である。 (a)は、突起を有する金属箔を表わした図である。説明上、突起の大きさを、金属箔の厚みと比較して大きく表している。(b)は、有機EL素子用金属基板を表しており、(a)に示す金属箔の上に第1の絶縁被膜層を塗布し、その上に第2の絶縁被膜層を塗布した状態を表す。 (a)は、急速冷却処理によって、本発明の第1絶縁被膜層に形成された凹部を表す模式図である。(b)は、レーザー法によって、本発明の第1絶縁被膜層に形成された凹部を表す模式図である。 有機ダイオードがガスの影響を受けることを説明する図である。 リーク電流、印加電圧の計測方法を説明する図である。 有機ELの構造例を示す図である。
本発明は、図1に示すように、金属箔1に第1絶縁被膜層(以下、単に「第1層」ともいう)21、第2絶縁被膜層(以下、単に「第2層」ともいう)22の順に形成される2つの層からなる絶縁被膜2を有し、前記第1層は前記第2層よりも耐熱性が高いことを特徴とする金属基板であって、前記第1層」が、(SiO2 (x) -(CH3SiO 2/3 (1-x)(式中、0≦<1.0)で表わされるメチル基含有シリカ系被膜であり、前記第2層がSiO2(y)−C65SiO2/3(1-y)(式中、0≦y<1.0)で表わされるフェニル基含有シリカ系被膜である。
図2の(a)に示すように、金属箔表面には圧延に伴う疵・スパイクや工程中で生じると思われる付着異物があり、被膜欠陥の誘因となっている。大面積になると被膜欠陥を含む確率が高くなるので、単位面積当たりのリーク電流が増加し、短絡が起こりやすい。また、印加電圧が高くなると被膜の薄い部分に過度の電圧がかかり短絡しやすくなる。
金属箔表面の傷や、付着物を覆うために、第2層のフェニル基含有シリカ系被膜を形成する前に、第1層の(SiO2 (x) -(CH3SiO 2/3 (1-x)(式中、0≦<1.0)で表わされるメチル基含有シリカ系被膜を塗布して、熱処理時に急速冷却すると、図3に示すよう乾燥硬化時の塗膜収縮による応力のために第1層表面に大きな凹部が発生する。図3の(a)に、急速冷却により第1絶縁被膜層に形成された、凹部の模式図を示す。
凹部の形成により、第2層のフェニル基含有シリカ系被膜と接する面積が増加し、第2層の一部が凹部内に埋め込まれて、アンカー効果が得られる。
本発明の第1絶縁被膜層に形成する凹部は、レーザー加工、エッチンクペースト印刷、フォトレジスト等によっても形成することができる。図3の(b)に、レーザー加工によって第1絶縁被膜層に形成された、凹部の模式図を示す。
本発明の有機EL素子用金属基板では、第1の絶縁被膜層は、さらに大量の非導電性無機粒子を含むことが好ましく、この大量の非導電性無機粒子が第1層表面に発生する凹部の形成を促進する。凹部内では、第2層のフェニル基含有シリカ膜との結合には寄与しないメチル基が表面に出ているメチル基含有シリカ膜から、非導電性無機粒子の新成面が凹部の壁面に露出することで、フェニル基含有シリカ膜とSi−O−M(Mは非導電性無機粒子の金属元素)結合を形成することにより、第1層と第2層間で高い密着性を確保することができる。
次に、本発明の有機EL素子用金属基板を構成する各要素について説明する。
(金属箔)
金属箔としては、種々の金属箔、アルミニウム箔、銅箔、チタン箔、ステンレス箔、特に、オーステナイト系SUS304、SUS316、フェライト系SUS430、SUS444などを用いることができる。これらの入手可能な金属箔は圧延して製造されるので、通常、箔上に突起や付着異物が存在する。金属箔の厚みは特に限定されないが、有機EL素子用基板としては、一般的に、10μm〜100μmである。
(第1絶縁被膜層)
第1絶縁被膜層は、メチル基含有シリカ系被膜である。メチル基含有シリカ系被膜とは、メチル基で修飾されたシロキサン骨格で形成される被膜であり、組成を(SiO (x) -(CH3SiO 2/3 (1-x) (式中、0.3≦x<0.7)で表すことができる。xは小さいほど膜の中のメチル基の量が多くなるため、xは小さい方が、耐湿性がよい傾向があり、恒温恒湿槽に入れた後の絶縁抵抗の変化がより小さい。xの範囲は、0.2≦x≦0.8、さらには0.4≦x≦0.6が好ましい。メチル基含有シリカ系被膜は、フェニル基含有シリカ系被膜の熱処理工程中に、脱ガスや熱分解を起こすことがなく、有機基を含んでいるため膜に柔軟性が付加され、厚膜で形成できる。
メチル基含有シリカ系被膜はゾルゲル法により作製することができる。以下、作製方法について説明する。
テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシランから選ばれる少なくとも1種以上のシランと、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシチタン、メチルトリブトキシシランから選ばれる少なくとも1種以上のシランを有機溶媒中で混合し加水分解する。有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、MEK、MIBKなどを、単独、或いは複数種混合して用いることができる。加水分解に使う水は全アルコキシ基に対して0.3モル〜3モル倍であることが望ましい。加水分解時には、シリコン以外の金属アルコキシド触媒、有機酸、無機酸を用いてもよい。作製した塗布液を金属箔上に塗布するには、スピンコート、ディップコート、ロールコート、スリットダイコートなどの方法がある。塗布後、80〜150℃程度で0.5〜5分乾燥後、400〜600℃で窒素中0.5〜10時間熱処理をすることでメチル基含有シリカ系被膜を得ることができる。
第1絶縁被膜層は、第2層の成膜工程中に、脱ガスや熱分解を起こして熱劣化しない耐熱性が求められる。メチル基含有シリカ系被膜は十分な耐熱性を有している。
メチル基含有シリカ系被膜の膜厚は、本発明の有機ELに求められる特性を満たせばよいが、金属箔上の疵や異物による影響を十分に取り除くためには、2.0〜10.0μmであることが好ましい。特に4.0〜10μmの範囲が好ましい。メチル基含有シリカ系被膜の膜厚が小さすぎると、金属箔上の疵や異物による影響を十分に取り除くことができず、その上にフェニル基含有シリカ系被膜を形成したときの膜全体のリーク電流を小さく抑えることができない恐れがある。膜厚が10μmを超えない範囲であれば、金属箔表面の疵や異物による影響を小さくでき膜全体のリーク電流を抑えられるため、厚膜である方が好ましい。メチル基含有シリカ膜は、フェニル基含有シリカ膜に比べ、水蒸気雰囲気中において有機基が分解しやすく、膜厚が厚くなるとメチル基含有シリカ膜が水蒸気透過経路となりガスバリア性が確保できなくなる恐れがあるため、最大膜厚は10.0μmである。
通常、メチル基含有シリカ系被膜の膜厚が10.0μm以下の場合、被膜の製造過程では、小さなクラックは発生しても、大きなクラックは発生しない。しかし本発明では、熱処理時に急速冷却することで所定の形状の凹部を形成させることができた。また、上述したように、レーザー加工、エッチンクペースト印刷、フォトレジスト等によっても形成することができる。
第1絶縁被膜層に形成される複数の凹部は、第1絶縁被膜層の厚さ方向に金属箔表面まで延在している。即ち、凹部の深さは、膜厚全体に亘っている。1つ1つの凹部の幅は、0.5μm〜50μmである。幅が0.5μm未満であると、第2層が凹部内に入り込めず密着性が得られない。幅が、50μmを超えると、凹部の箇所で上層の第2層にクラックが発生し絶縁性が悪くなる。
第1絶縁被膜層上の凹部の総面積は、第1絶縁被膜層の表面積(前記凹部の面積を含む)の1〜15.0%の範囲である。面積が1%未満であると、密着性確保の役割に重要な凹部が不足しており、密着性が得られない。また、面積が15.0%を超えて形成させても、密着性に対して更なる効果は得られない。
(凹部の形成方法)
レーザー加工、フォトレジスト法、エッチング法、急速冷却法を採用せずに、第1層の乾燥膜を熱処理し第1層を作製すると、第1層には凹部であるクラックが発生しないもしくは、所低の幅・密度範囲外のクラックが発生してしまう。そこで、所低の幅、密度の凹部を形成するために、レーザー加工、フォトレジスト法、エッチング法、急速冷却法を用い所低の凹部を形成させた。
レーザー加工、フォトレジスト法、印刷エッチング法においては、第1層を熱処理する前の乾燥膜の段階で所低の幅、密度の凹部を形成させることが重要である。これは、第1層の熱処理過程における、膜収縮により第1層にクラックが発生することで意図しない凹部が形成してしまうことがあるためである。第1層の乾燥膜にあらかじめ凹部を形成させることにより、第1層の熱処理時における膜の収縮に伴う応力が緩和され、意図しない凹部が発生せず、所低の幅、密度の凹部が形成した第1層を得ることができる。
レーザー加工では、例えば、ArFエキシマレーザーを第1層乾燥膜の凹部を形成したい部分に照射し、照射部の第1層乾燥膜を蒸発させることで所低の幅、密度の凹部を形成後、窒素雰囲気中で熱処理することで、凹部を有する第1層を形成することができた。
フォトレジスト法では、第1層の乾燥膜にスピンコートを用いフォトレジストを塗布し、ベークした後、リソグラフィによりパターン露光して、現像を行い、凹部を形成したい部分のフォトレジストが除去されたフォトレジストパターンを得た。フォトレジストパターンが付いた第1層の乾燥膜に対し、CF4、SF6などのふっ酸系のガスによりドライエッチングを行い、第1層乾燥膜に所低の凹部を形成させた。フォトレジストを剥離後、窒素雰囲気中で熱処理することで第1層を形成した。
印刷エッチング法では、所低の凹部のパターンを印刷できるスクリーン版を用い。エッチングペーストをスクリーン印刷法で印刷し、加熱することでエッチングを進行させた後、洗浄し、エッチングペーストを除去することで第1層の乾燥膜に所低の凹部を形成した。その後、窒素雰囲気中で熱処理することで第1層を形成した。
急速冷却法では、第1層の乾燥膜を窒素雰囲気中で昇温した後に、膜表面にドライアイスガスを吹き付け、基材を急速に冷却することで、クラックの発生状況をコントロールし所低の凹部を形成した。
(非導電性無機粒子)
本発明の有機EL素子用金属基板では、第1の絶縁被膜層中に、非導電性無機粒子を含むことが好ましい。本発明に用いることができる非導電性無機粒子は、電気抵抗率が1.0×10Ωmより大きい粒子であればよく、特に限定されない。用いることができる無機粒子の例としては、Al23、SiO2、ZrO2、TiO2、Nb25、MgO、V25、Ta25、Cr23等の無機酸化物粒子を挙げることができる。これらの中では、Al23、SiO2、ZrO2、TiO2が安価で入手が容易であるため好ましく、特に、SiO2が好ましい。
本発明で用いることができる、非導電性無機粒子の粒径は、第2層形成後の表面平滑性を確保する為に、一次粒子の平均粒径が0.01〜0.5μmであることが好ましい。粒子径が0.01μm未満であると塗布液合成時に粒子が凝集して沈殿することがある。また、粒子径が0.5μmを超えると第1層と第2層との密着性がより向上するが、0.1μmを超えると第2層形成後の第2層の表面粗さが大きくなる傾向があるため、より好ましくは、0.05〜0.1μmである。
第1絶縁被膜層中の非導電性無機粒子の含有量が、40〜60wt%であることが好ましい。非導電性無機粒子が40Wt%以上含まれると、第1層の凹部壁面に露出する粒子面積が増大する為、第1層と第2層の密着性をさらに高めることができるため好ましい。また、第1層の凹部を急速冷却法で形成する場合、導電性無機粒子の添加量を40wt%以上であると凹部であるクラック発生起点が増加する為、所定範囲をこえる幅の凹部の形成を抑制でき、且つ、凹部の面積率を増加させることができるため、第1層と第2層の密着性をさらに高めることができるので、好ましい。非導電性無機粒子量が60wt%を超えると、粒子同士の凝集が発生し、均一な皮膜が形成できないため、60wt%以下である必要がある。
(第2絶縁被膜層)
第2絶縁被膜層のフェニル基含有シリカ膜の組成はSiO2(y)−C65SiO2/3(1-y)(式中、0≦y<1.0)であらわすことができる。
yは小さい方が、耐湿性がよい傾向があり、恒温恒湿槽にいれた後の絶縁抵抗の変化がより小さい。0.2≦y≦0.8が好ましく、0.4≦y≦0.6がさらに好ましい。
フェニル基含有シリカ膜はゾルゲル法により作製することができる。テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシランから選ばれる少なくとも1種以上のシランと、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシチタン、フェニルトリブトキシシランから選ばれる少なくとも1種以上のシランを有機溶媒中で混合し、加水分解する。有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、MEK、MIBKなどをそれぞれ単独、或いは混合して用いることができる。加水分解に使う水は全アルコキシ基に対して0.3モル〜3モル倍であることが望ましい。加水分解時には、シリコン以外の金属アルコキシド触媒、有機酸、無機酸を用いてもよい。作製した塗布液を第1絶縁被膜層上に塗布するには、スピンコート、ディップコート、ロールコートなどの方法がある。塗布後、80〜150℃程度で0.5〜5分乾燥後、350〜450℃で窒素中0.5〜60分熱処理をすることでフェニル基含有シリカ系被膜の第2絶縁被膜層を得ることができる。
第2層のフェニル基含有シリカ系被膜の膜厚は、有機EL素子に求められる特性を満たせばよいが、2.0〜5.0μmである。膜厚が2.0μm未満であると、第1層の形成された凹部を十分に埋め込めることができない。また、十分な低リーク電流と平滑性が得られない恐れがある。また膜厚が5.0μmを超えると、第2層自体にクラックが発生する可能性があり好ましくない。第2層の膜厚は、2.0〜5.0μmであり、5.0μmを超えない範囲であれば、表面平滑性、絶縁性が向上する厚膜である方が好ましいため、特に4.0〜5.0μmが好ましい。
(本発明の有機EL素子用絶縁被膜の特性)
本発明の有機EL素子用絶縁被膜は、特に、平滑性、絶縁性、ガスバリア性、耐熱性に優れている。
本発明の有機EL素子用絶縁被膜の平滑性は、AFMを用いて15μm視野で測定した表面粗度Raが5nm以下となることができ、好ましくは3nm以下、さらには2nm以下であり、特に1nm以下にもなることができた。
本発明の有機EL素子用絶縁被膜の絶縁性は、第1層および第2層を形成した金属箔に3×3cmの金製上部電極を10個形成しそれぞれに100Vを印加して測定したリーク電流が1.0×10−6A未満である測定点を少なくとも1点以上得ることができ、さらに好ましくは8〜9点、さらには全測定点10点において1.0×10−6A未満のリーク電流とすることができた。
本発明の有機EL素子用絶縁被膜のガスバリア性は、85℃85%RHの恒温恒湿槽に100時間金属基板を放置した後のリーク電流の放置前のリーク電流に比べた増加率が、5%以下であることができ、3%以下、さらには2%以下にもなることができた。
本発明の有機EL素子用絶縁被膜の第1絶縁被膜層の耐熱性は、350℃における被膜の重量減少率から100℃における重量減少率を引いた値が1%以下であり、少なくとも350℃の耐熱性があることができる。さらには、400℃以上の耐熱性も得ることができた。
(有機EL素子)
本発明の有機EL素子用金属基板の上に形成される有機EL素子の構造及び製造方法は公知である。図6に有機ELの構造の例を示す。図6において、41は金属箔、42は絶縁被膜、43はパッシベーション膜、44は有機LED、45はパッシベーション膜、46は接着剤、47はガラスである。
<評価方法>
先ず、実施例中の各種物性の測定方法、および各特性の評価方法について以下に示す。
「密着性評価」
被膜の密着性評価は、JIS K5600−5−6に準じた方法にて実施した。ガイドを用い、カッターにて1mm間隔の格子パターン(25マス)を複層膜に切りこんだ後に、スコッチテープ(3M製)を貼り付け、基板に平行から60°の角度で引き剥がし、引き剥がした面を光学顕微鏡(VH−5500キーエンス製)で観察することで評価した。
JISの評価分類に従って、以下の様に評価した。
0(クロスカット部分で影響を受けるのが、5%以下)を「◎」、
1〜2(クロスカット部分で影響を受けるのが、5%超、15%以下)を「○」、
4(クロスカット部分で影響を受けるのが、15%超、35%以下)を「△」、
5(クロスカット部分で影響を受けるのが、35%超)を「×」、
と評価した。
「被膜の耐クラック性」
被膜の耐クラック性は、曲げ試験後のクラック発生状況で評価した。50mm×100mmサイズの複層膜付き金属箔の非製膜面に先端の曲率が20mmの治具を押しあてながら180°まで曲げた後にもとに戻し、曲げ部を光学顕微鏡で観察し、以下の様に評価した。
曲げ試験1回でクラックが確認された場合は「△」、
曲げ試験2〜10回でクラックが確認された場合は「○」、
曲げ試験を10回行ってもクラックが確認されなかった場合は「◎」、
と評価した。
「絶縁信頼性評価」
絶縁性は、有機基含有シリカ膜を形成した金属箔上に、3×3cmの金製上部電極を10個形成し100Vを印加してリーク電流にて評価した。図5に測定装置の例を示すが、1は金属箔、2は絶縁被膜、3は上部電極、4は抵抗測定装置(KEITHLEY製236SOURCE MEASURE UNIT)である。
評価電極10点中において、1.0×10−6A未満のリーク電流が流れた測定点の個数で評価した。
0点である場合は結果を「×」、
1〜7点である場合は「△」、
8〜9点である場合は「○」、
10点である場合は「◎」、
と評価した。
「AFMでの表面粗さ」
有機基含有シリカ膜表面の表面粗さを、原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)、ブルカ―エイエックス社製D5000を用い、タッピングモード、測定視野サイズ15μmで測定し、以下の基準で評価した。
5nm超:「×」、
5.0nm以下、2.0nm超:「△」、
2.0nm以下、1.0超:「○」、
1.0nm以下:「◎」。
「ガスバリア性評価」
ガスバリア性は、高温高湿試験前後でのリーク電流値の増加率で評価した。リーク電流値は有機基含有シリカ膜上にマスクを用い、1mmφの電極を形成し、100Vを印加することで測定した。測定には抵抗測定装置(KEITHLEY製236SOURCE MEASURE UNIT)を用いた。
リーク電流値を85℃85%100時間の高温高湿試験前後における、増加率が、
5%より大きい場合は結果を「×」、
2〜5%である場合「△」、
2%未満である場合は「○」、
と評価した。
「膜厚の測定」
「第1層、第2層の膜厚」
複層膜の膜厚を、走査型電子顕微鏡(JEOL製JSM−6500F)を用いて測定した。複層膜付き金属箔を金属箔カッターで切断し、イオンコータを用い切断面に導電膜としてPtコート層を形成後観察し、第1層、第2層の厚みを測定した。
「凹部の測定」
凹部の幅は、第1層が厚さ方向に垂直な方向で分断されている部分の幅を測定することで得た。
「凹部面積率の測定」
凹部面積率は、[凹部面積率(%)]=[凹部の面積]/[金属箔の面積]×100として算出した。凹部の面積は、[凹部の面積]=[凹部の幅]×[厚さ方向に垂直な方向に延伸した凹部の長さの総和]とした。レーザー加工、フォトレジスト法、印刷エッチング法、急速冷却法どの手法で作製した凹部においても、[厚さ方向に垂直な方向に延伸した凹部の長さの総和]は光学顕微鏡を用い撮影した画像を用い、試料の5mm角視野内のすべての凹部の長さを足し合わせることで得た。第2層であるフェニル基含有シリカ膜は透明であるため、複層膜付き金属基板においても第2層を透過して第1層の凹部の形状を確認することができる。
[凹部の幅]には、走査型電子顕微鏡を用いた断面観察にて測定し用いた。エッチング、フォトリソグラフィー、印刷で形成した凹部の幅は均一であるため、走査型電子顕微鏡を用い1点観察することで[凹部の幅]とした。急速冷却法で作製した凹部の幅にはばらつきがあるため、20mm幅の視野サイズにおいて凹部を20点観察し得た平均値を[凹部の幅]とした。
<第1層、第2層形成用塗布液の合成>
「第1層形成用塗布液の合成」
実施例1〜35、比較例1〜8は、第1層を形成する塗布液として、第1層形成用塗布液A〜Mを用いた。
第1層形成用塗布液A〜J、Mは300mlサイズのなす型フラスコに2−エトキシエタノール40.6gと、表1に示すテトラメトキシシラン(TMOS)、メチルトリエトキシシラン(MTES)、非導電性無機粒子分散液の混合液に、酢酸0.1gと水10.8gの混合液を2時間かけて滴化後、ロータリーエバポレータを用い、オイルバスを70℃まで30分かけて昇温し、溶媒40gを留去することで得た。
第1層形成用塗布液Kは、300mlサイズのなすフラスコに、エトキシエタノール40.6gと表1に示す量のメチルトリエトキシシランの混合液に、酢酸0.1gと水10.8gの混合液を2時間かけて滴化することで得た。
第1層形成用塗布液の合成に用いた非導電性無機粒子分散液は次の通りである。
平均1次粒径10nmがシリカ粒子分散液には、IPA−ST、日産化学製を用いた。平均1次粒径が100nmのシリカ粒子分散液にはIPA−ST−ZL、日産化学製を用いた。平均1次粒径が500nmのシリカ粒子分散液にはシリカ粒子(ハイプレシリカFR―N2N、宇部エクシモ製)をイソプロピルアルコール中に分散させ用いた。平均1次粒径が5000nmのシリカ粒子分散液にはシリカ粒子(ハイプレシリカFQ―N2N、宇部エクシモ製)を表1の固形分になるようにイソプロピルアルコール中に分散させ用いた。平均1粒子径が30nmのジルコニア粒子分散液には、OZ−S30K、日産化学製を用いた。平均1粒子径が17nmのアルミナ粒子分散液には、アルミナ粒子(EROXIDE Alu65、日本アエロジル製)を表1の固形分になるようにイソプロピルアルコール中に分散させて用いた。
第1層形成用塗布液Lは、平均分子量が3000のポリジメチルシロキサン(KF6002 信越化学製)30gとテトラメトキシシラン20g、酢酸0.1g、水5.4gを混合することで得た。
Figure 0006872864
「第2層形成用塗布液の合成」
実施例1〜35、比較例1〜8では、第2層形成用塗布液a〜dを用いた。第2層形成用塗布液a、c、dは300mlサイズのなす型フラスコにエタノール溶媒100gと、表2に示す分量のテトラメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランを添加し攪拌したのちに、表2に示す分量の酸触媒と水の混合液を2時間かけて滴化することで得た。
第2層形成用塗布液bは、300mlサイズのなすフラスコに、エタノール溶媒100g、ジブチルジラウレート錫0.01g、表2に示す分量のフェニルトリエトキシシラン、テトラメトキシシランを添加し攪拌した後に、表2に示す分量の酸触媒と水の混合液を2時間かけて滴化し得た混合液からロータリーエバポレータを用い、オイルバスの温度を190℃℃まで3時間かけて昇温することで溶媒として添加したエタノール溶媒、および混合により生成物したメタノール、エタノールを留去し得た固形物をトルエン50gに溶解することで得た。
Figure 0006872864
<複層被膜の形成>
「金属箔」
実施例では、金属箔として、NSSC190SBを用いた。NSSC190SBは、新日鉄住金ステンレス株式会社製の独自鋼種で、フェライト系ステンレスSUS444とほぼ同じである。SBはスーパーブライト仕上げで、新日鉄マテリアルズ株式会社製の独自仕上げであることを表わす。
「第1絶縁被膜層の形成」
第1絶縁被膜層膜は、金属箔に第1層形成用塗布液を塗布・乾燥する事によって得た。実施例1〜35、比較例1〜8では120mm角に切り出した、金属箔にスピンコータ(ミカサ株式会社製MS−B200)を用い、表3記載の膜厚になるように、スピンコートの回転数を調整しつつ第1層形成用塗布液をスピンコート後、大気中で100℃、2分乾燥することにより、第1層乾燥膜を得た。
「凹部の形成」
実施例1〜4、16、22、比較例2、4、8では、第1層乾燥膜をレーザー加工にて格子状の凹部を表3記載の幅、間隔、凹部の長さの総和、密度で形成後、クリーンオーブン(光洋サーモシステム製CLH−21CD(III))を用い、窒素雰囲気中で400℃にて10分保持後、3時間かけて降温することで第1層を形成した。
実施例5〜12、15、17〜19、21、23〜27、29〜33、比較例3、6、7では、第1層の乾燥膜の凹部を形成したい部分に、エッチングペースト(Merk社製isishape HiperEtch04S)を用い、スクリーン印刷機(セリアコーポレーション製 SSA−TF150E)で凹部形成部にエッチング液のパターンを印刷した。凹部は格子状に表3記載の幅、間隔、凹部の長さの総和、密度で形成した。つづいて、150℃のオーブン中で、20分加熱下で保持した後に、水で洗浄し、100℃で5分乾燥後、クリーンオーブンを用い、窒素雰囲気中で400℃にて10分間保持後、3時間かけて降温することで第1層を形成した。
実施例13,14、34、35では、第1層の乾燥膜にレジスト液を塗布後、マスクを利用し感光・現像しレジストパターンを形成させた後、エッチングすることで凹部を第1層に形成した。凹部は、格子状に表3記載の幅、間隔、凹部の長さの総和、密度で形成した。次に、クリーンオーブンを用い、窒素雰囲気中で400℃にて10分保持後、3時間かけて降温することで第1層を形成した。
実施例20、28においては、(急冷式高真空雰囲気管状炉 MVGシリーズ (株)タナカテック製)を用い、第1層の乾燥膜を窒素雰囲気中で400℃まで昇温後、10分間保持した後に、膜表面にドライアイスガスを吹き付けることで、室温まで30秒で降下させる急速冷却することで表3に示す幅、凹部長さの総和、面積率の凹部を発生させた。
比較例8では、第1層の乾燥膜を、クリーンオーブンを用い窒素雰囲気中で400℃にて10分間保持後、3時間かけて降温することで第1層を形成した。
「第2層の形成」
実施例1〜31、比較例1〜8においては、第1層を形成した金属箔にスピンコートを用い、表2記載の第2層形成用塗布液を表3記載の膜厚になるように回転数を調整しつつ塗布した。その後、大気中で80℃、2分乾燥した後、クリーンオーブンを用い、窒素雰囲気中で400℃、10分熱処理する事で第2層を形成した。
<有機基含有シリカ膜積層体の評価>
表3に、密着性、被膜の耐クラック性、絶縁信頼性、表面粗さ評価(AFM)、ガスバリア性の結果を示す。実施例1〜35は、密着性、被膜の耐クラック性、絶縁信頼性、表面粗さ評価(AFM)、ガスバリア性が所定の範囲内と良好であり、有機EL素子用金属積層基板として好ましいことが分かった。
比較例1は、密着性評価結果が所定の範囲外であっため、不可と判断した。これは、第1層に凹部が形成されておらず、第2層被膜が凹部を埋め込むことによるアンカー効果が得られなくて、密着性が不十分となったためであると考えられる。
比較例2は、密着性評価結果が所低の範囲外であったため、不可と判断した。これは、第1層にある凹部の面積密度が所定の範囲より小さいため、第2層との密着性が不十分となったと考えられる。
比較例3は、第2層表面にクラックが発生したため不可と判断した。これは、第1層に発生した凹部の幅が大きいため、第2層形成における熱処理に伴う膜収縮により、第1層の凹部部分から第2層にクラックが発生してしまったためと考えられる。
比較例4は、第2層が第2層形成時に剥離し製膜できなかったため不可と判断した。これは、第1層の分解温度が第2層の熱処理温度より低かったため、第2層の熱処理時に第1層が熱分解したためだと考えられる。
比較例5は、ガスバリア性評価により、リーク電流の増加率が所定の範囲より大きかったため不可と判断した。これは、水分による絶縁性低下が大きいメチル基含有シリカ膜の膜厚の膜厚が厚いため、第2層としてフェニル基含有シリカ膜を形成した複層膜においても絶縁性低下がおきたと考えられる。
比較例6は、ガスバリア性評価により、リーク電流値の増加率が所定の範囲より大きかったため不可と判断した。これは、第2層の膜厚が薄かったためであると考えられる。
比較例7は、AFMによる表面粗さ評価により、所定の範囲より表面粗さが粗かったため不可と判断した。これは、第1層が含有している非導電性無機粒子の粒子径が大きいため第1層表面の凹凸が大きく、それに伴い、第2層表面も粗くなったためであると考えられる。
比較例8は、密着性評価結果が所低の範囲外であったため、不可と判断した。これは、急速冷却でなはなく降温がゆっくりであったため、急速冷却に伴い発生する熱衝撃がなくクラック発生が抑制され凹部の形成頻度が低くなる。そのため、第1層にある凹部の面積密度が所定の範囲より小さくなるため、第2層との密着性が不十分となったと考えられる。
Figure 0006872864
1 金属箔
2 絶縁被膜
3 上部電極
4 抵抗測定装置
11 有機ダイオード
12 封止
13 ガス
21 第1層絶縁被膜
22 第2層絶縁被膜
41 金属箔
42 絶縁被膜
43 パッシベーション膜
44 有機LED
45 パッシベーション膜
46 接着剤
47 ガラスである。

Claims (6)

  1. 金属箔上に順に、第1絶縁被膜層、第2絶縁被膜層を有する有機EL素子用金属基板であって、
    前記第1絶縁被膜層が、SiO2(x)−CH3SiO2/3(1-x)(式中、0≦x<1)で表されるメチル基含有シリカ系被膜であり、
    前記第1絶縁被膜層は、前記第1絶縁被膜層の厚さ方向に前記金属箔表面まで延在する複数の凹部を有し、
    前記凹部の幅が0.5μm〜50μmであり、前記第1絶縁被膜層を平面視した場合の前記凹部の総面積が、前記第1絶縁被膜層の前記凹部の面積を含めた表面積の1〜15.0%の範囲であり、
    前記第2絶縁被膜層は、SiO2(y)−C65SiO2/3(1-y)(式中、0≦y<1.0)で表わされるフェニル基含有シリカ系被膜であり、2.0〜5.0μmの膜厚を有しており、
    前記第2絶縁被膜層の一部が、前記第1絶縁被膜層の前記凹部内に埋め込まれていることを特徴とする有機EL素子用金属基板。
  2. 前記メチル基含有シリカ系被膜が非導電性無機粒子を含有していることを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子用金属基板。
  3. 前記非導電性無機粒子の一次粒子の平均粒径が0.01〜0.5μmであることを特徴とする請求項2に記載の有機EL素子用金属基板。
  4. 前記第1絶縁被膜層中の前記非導電性無機粒子の含有量が、40〜60wt%であることを特徴とする請求項2または3に記載の有機EL素子用金属基板。
  5. 前記非導電性無機粒子が、シリカ、アルミナ、ジルコニア、およびチタニアから成る群より選ばれることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の有機EL素子用金属基板。
  6. 前記第1絶縁被膜層が、4.0〜10.0μmの膜厚を有していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機EL素子用金属基板。
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