JP3882008B2 - 無機有機ハイブリッド膜被覆ステンレス箔 - Google Patents

無機有機ハイブリッド膜被覆ステンレス箔 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はゾルゲル法により作製された絶縁性等の機能を有する無機有機ハイブリッド膜で被覆されたステンレス箔に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電気絶縁性基材材料は、IC基板、センサー基板、太陽電池基板、電極基板等に使用され、電子・電気産業に欠かせない材料になっている。今後、電気絶縁性基材材料は用途の多様化とともに、耐熱性、硬度、強度が求められる。さらに製品の小型化、軽量化が必須である一方でその構造は複雑化するため、薄い材料、軽い材料、加工性の良い材料が求められている。ステンレス箔に絶縁膜をコーティングしたものはこのようなニーズに対応し得る可能性があると考える。
【0003】
従来、基材の上に樹脂層を形成した材料などがあったが、樹脂層の耐熱性、硬度、強度の面で問題があった。また、ステンレス鋼板の上にプラズマCVDによりSiO2、SiNなどのセラミックスを成膜した材料(特開平6−306611号公報)や、ステンレス箔の上にTiN、TiC、TiOなどのセラミックスをイオンプレーティングで成膜した材料(特開平6−322516号公報)が開示されている。しかし、被覆膜がセラミックス膜すなわち無機材料である場合、耐熱性、硬度、強度は優れているが可撓性が十分で無いため、可撓性を有する基材の上に成膜した場合に、該基材上のセラミックス膜にクラックが発生し易く、これが原因で絶縁性が保持されない等の問題が生じると共に、クラックの発生部位に生じる応力が原因で膜がステンレス箔から剥離することさえあった。
【0004】
さらに、樹脂、ステンレス鋼、ガラスの基材の上にポリシラザン含有塗布液を塗布し基材上にシリカ膜を形成する方法(特開2001−111076号公報)が開示されているがステンレス鋼やガラスを基材にした場合、基材自体の加工性が良くない。
【0005】
また、たとえば特開昭61−003474号公報には、太陽電池用金属基板においては大きさ1.0μm以上の介在物がある場合には金属基板と最外面の電極が短絡し、太陽電池の致命的欠陥になる等、基板の平坦性の重要性が示されているが、ドライプロセスを用いる成膜方法は表面の粗さに追随して膜が堆積するので材料表面に十分な平坦性が得られない可能性がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の従来技術における問題点を解決し、耐熱性、加工性、平坦性、可撓性、絶縁性に優れた無機有機ハイブリッド膜で被覆したステンレス箔を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ゾルゲル法を用いて作製された適量の有機基を含有する無機有機ハイブリッド膜をステンレス箔基材の片面または両面に被覆することで、耐熱性、加工性、平坦性、絶縁性等に優れたステンレス箔が得られる事を見出し、かかる知見に基づいて完成したものである。
【0008】
すなわち本発明は、上記目的を達成するために以下のような手段を用いる。
(1)シロキサン結合を主とする無機の三次元網目構造を骨格とし、該骨格の架橋酸素の少なくとも一個を有機基および/または水素原子で置換した無機有機ハイブリッド膜であって、該膜中の水素濃度[H](mol/l)とシリコン濃度[Si](mol/l)の比[H]/[Si]が0.1≦[H]/[Si]≦10を満足する無機有機ハイブリッド膜がステンレス箔基材の片面または両面に被覆されてなり、前記ステンレス箔基材の厚さを Ts( μ m) 、前記無機有機ハイブリッド膜の厚さを Tf( μ m) としたときに、 10 μ m Ts 100 μ m Tf Ts/20 を満たすことを特徴とする無機有機ハイブリッド膜被覆ステンレス箔。
(2)前記有機基がアルキル基、アリール基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基から選ばれる1種以上である(1)記載の無機有機ハイブリッド膜被覆ステンレス箔。
(3)前記無機有機ハイブリッド膜表面の平均粗度RafがRaf≦0.02μmを満足する(1)、または(2)記載の無機有機ハイブリッド膜被覆ステンレス箔。
(4)前記ステンレス箔基材の表面の平均粗度Rasが、Ras≦Tf/2を満たす(1)〜(5)のいずれか一項記載の無機有機ハイブリッド膜被覆ステンレス箔。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられるステンレス箔基材は、工業的に生産されるものであり、厚さTs 10〜100μmであるが、更に20〜100μmの範囲にあることが好ましい。箔の厚みTsが100μm超であると、箔としての可撓性が望めなくなるとともに、箔の大きな特徴である軽量化のメリットを失うこととなる。しかしながら、厚みTsが10μmより薄いステンレス箔基材は、ハンドリングに際していわゆる折れが非常に入り易くなり、工業的なプロセスになじみにくいと共に、基板としての強度が低下して使用に際しての信頼性に問題が生じる。更に、これほど薄いステンレス箔基材は工業的な観点からはそもそも高価なものとならざるを得ない。
【0010】
なお、本発明で用いられるステンレス箔基材の厚みTsは接触式のいわゆるマイクロメーターを用いて測定することが出来る。
【0011】
本発明で用いられるステンレス箔基材のマクロな平坦性、即ち、平面上にその箔を広げて設置したときにその平面と箔との間に隙間がどれくらい出来るかについては、特に制限は無く、ゾルを均一にコーティングする際の障害とならなければ良く、更に、本発明の無機有機ハイブリッド膜被覆ステンレス箔を基板等として用いる場合に不都合を生じなければ良い。
【0012】
本発明で用いられるステンレス箔基材の表面は、室温、空気中で生成する極薄のいわゆる自然酸化膜で被覆されているが、化学的処理を施す必要はない。ただし、該ステンレス箔基材の表面に、特別な目的で例えば、表面酸化、干渉色付与、特殊な凹凸の付与等の表面修飾を施してあっても良い。ただし、これらの表面修飾はゾルのコーティングにおいて、液体であるゾルとの十分な濡れ性が確保される事と、無機有機ハイブリッド被膜とステンレス箔表面との密着性に問題を生じない事が必要である。
【0013】
本発明の無機有機ハイブリッド被膜は、シリカ系の無機有機ハイブリッド材で出来ていることが必要である。シリカ系の膜は原料が安価であり、膜の高い絶縁性が得られやすい。無機有機ハイブリッド材とは、三次元網目構造状に発達したシロキサン結合を主骨格とした無機骨格を有し、該骨格の架橋酸素の少なくとも1個が有機基および/または水素原子で置換されたものである。
【0014】
本発明の無機有機ハイブリッド被膜の特性は、膜中に含有される水素原子の濃度[H](mol/l)とシリコン原子の濃度[Si](mol/l)の割合により、変化する。[H]とはSi原子に結合している有機基から由来する。[Si]とは無機成分であるシリカ骨格中のSi原子に由来する。したがって、この[H](mol/l)と[Si](mol/l)の比[H]/[Si]を制御することにより、被膜の特性を制御できる。この[H]/[Si]の値は化学分析、あるいはX線光電子分光法(XPS)等の機器分析によって測定できる。
【0015】
水素濃度[H](mol/l)とシリコン濃度[Si](mol/l)の比[H]/[Si]は、0.1≦[H]/[Si]≦10であることが必要である。0.1≦[H]/[Si]≦10であるとき、ステンレス箔のように高度な加工性が要求される基材に対しても、良好な可撓性による耐クラック性、高硬度、耐熱性、密着性、絶縁性が得られる。0.1>[H]/[Si]の場合は十分な耐クラック性、絶縁性が確保できない。絶縁性が確保出来ない理由は、膜の形成時に微小クラックが多数発生するためであると考えられる。逆に[H]/[Si]>10の場合は十分な耐熱性、硬度が確保できない。
【0016】
この様に、[H]/[Si]の値によって膜の特性が変わる理由は明確ではないが、有機基または水素原子には可撓性や耐クラック性の付与を行う働きがある一方、その割合が多すぎた場合にはハイブリッド膜に耐熱性や化学的安定性を付与するものと考えられる無機成分であるシリカ骨格の形成が不十分となるために、この様な限定された範囲でしか、ステンレス箔の被覆膜として十分な性能を発揮出来ないと推測される。
【0017】
本発明の無機有機ハイブリッド被膜は、シロキサン骨格を修飾する有機基がアルキル基、アリール基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基から選ばれる一つまたは複数であること好ましい。シロキサン骨格を修飾する有機基としてさらに好ましくは炭素数1から5までのアルキル基およびその置換体、または炭素数6から10までのアリール基およびその置換体などがあげられる。アリール基は、N、SまたはOを含む複素環であってもよいが特にフェニル基またはその置換体の場合、耐熱性および膜強度が共に高い無機有機ハイブリッド被膜が得られる。ただしシロキサン骨格を修飾する有機基が有機重合可能なビニル基、エポキシ基などの場合は、無機のシロキサン骨格に加えて有機の骨格も形成されるので、耐熱性が低下する。
【0018】
本発明の無機有機ハイブリッド被膜は、無機有機ハイブリッド膜被覆ステンレス箔の優れた性能を損なわない限りにおいては、不純物を含むものであってもまた、膜形成時の反応を制御する目的で化合物が添加されたものであってもよい。さらに、B、Al、Ge、Ti、Y、Zr、Nb、Ta等から選ばれる一種類以上の金属元素または半金属元素Mのアルコキシドおよび/またはオルガノ金属アルコキシドを含んでいてもよい。
【0019】
本発明における無機有機ハイブリッド被膜表面の平均粗度Rafは、Raf≦0.02μmを満足する事が好ましく、この範囲において、1μm以下のパターニング、すなわち本発明の無機有機ハイブリッド膜被覆ステンレス箔の上に1μm以下の厚さで金属や半導体の膜を精度良く積層することが可能となる。
【0020】
本発明の無機有機ハイブリッド被膜の厚さTfは、0.05μm≦Tf≦5μmを満たす。この条件において、無機有機ハイブリッド被膜がステンレス箔基材を均一に覆うことが容易となり、耐クラック性と絶縁性にも問題が出なく、さらに、ステンレス箔基材のマクロな平坦性が損なわれない。Tfが0.05μmより薄い場合には、無機有機ハイブリッド被膜がステンレス箔基材を均一に覆わなくなる可能性が出てくると同時に、被膜の絶縁性が低くなる。Tfが5μmより厚い場合、被膜にクラックが入りやすくなる。
【0021】
本発明の無機有機ハイブリッド被膜の厚みTfは、本発明の無機有機ハイブリッド膜被覆ステンレス箔をエポキシ樹脂に包埋した後に、機械研磨と収束イオンビームを用いて薄片化して、その断面を透過型電子顕微鏡(TEM)もしくは走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察することによって測定することが出来る。また球面研磨法等により求めることも出来る。
【0022】
本発明の無機有機ハイブリッド被膜の厚さTfとステンレス箔基材の厚さTsは、Tf≦Ts/20を満たす。Tf>Ts/20の場合には、ステンレス箔のマクロな平坦性が損なわれる。これは、ステンレス箔基材が被膜の厚みに対して十分に厚く無いために、膜を形成する際に膜が収縮しようとして生じる応力に抗しきれずに変形してしまうためと考えられる。
【0023】
本発明で用いられるステンレス箔基材の表面の平均粗度Rasは、無機有機ハイブリッド被膜の厚みTfに対して、Ras≦Tf/2を満足することが望ましく、Ras≦Tf/10を満足することが更に望ましい。本発明の無機有機ハイブリッド被膜は、ゾルゲル法により形成されるため、Ras≦Tf/2を満足することで、無機有機ハイブリッド被膜表面の平均粗度Rafが非常に小さくなる。更にRas≦Tf/10を満足すれば、さらに無機有機ハイブリッド被膜の厚みの均一性が高くなるために、本発明の無機有機ハイブリッド膜被覆ステンレス箔を基板として用いた場合の絶縁性の信頼性が高くなる。
【0024】
本発明のステンレス箔基材の表面の平均粗度Rasと、本発明の無機有機ハイブリッド被膜表面の平均粗度Rafは、それぞれ通常の機械的な接触式粗度計、原子間力顕微鏡(AFM)、あるいはレーザー顕微鏡を用いて測定できるが、その表面粗度に最も適した方法を用いるべきである。例えば、非常に滑らかな表面であれば、通常の機械的な接触式粗度計では精度が出ないので、レーザー顕微鏡もしくはAFMを用いるべきである。
【0025】
本発明の無機有機ハイブリッド膜被覆ステンレス箔は以下のように製造することができる。まず、最終的な焼き付け工程で得られる被膜中の水素濃度[H](mol/l)とシリコン濃度[Si](mol/l)の比が0.1≦[H]/[Si]≦10となるようなゾルを調製する。次いで、調製したゾルをステンレス箔基板上に塗布し、乾燥する。最後に乾燥した後に焼付けを行うことによって、無機有機ハイブリッド膜被覆ステンレス箔を製造することが出来る。
【0026】
上記ゾルの調製は以下の様になされる。すなわち、単独または2種以上のオルガノアルコキシシラン、もしくは単独または2種以上のオルガノアルコキシシランと単独または2種以上のアルコキシシシランの混合物を出発原料とし、これを有機溶媒で希釈し、希釈液を撹拌しながら酢酸水溶液を添加して加水分解を行うことで得られる。ここで、オルガノアルコキシシランは、一般式RnSi(OR’)4-n(RおよびR’は水素原子および/または有機基、nは1から3までの整数の中から選ばれる)で表され、−OR’基は加水分解されるため、R’は焼き付け後の無機有機ハイブリッド被膜中に殆ど残らないが、Siに直接結合しているRは加水分解を受けず、焼き付け後の無機有機ハイブリッド被膜中にそのまま残存する。また、アルコキシシシランは、一般式Si(OR’’)4(R’’は水素原子および/または有機基)で表され、−OR’’基は加水分解されるため、R’’は焼き付け後の無機有機ハイブリッド被膜中に殆ど残らない。従って、上記ゾルの出発原料は、オルガノアルコキシシラン(一般式RnSi(OR’)4-n)のR中のHの総モル数[H]と出発原料中のSiの総モル数[Si]の比[H]/[Si]が0.1以上10以下となるようにする。
【0027】
上記ゾル調製の出発原料であるオルガノアルコキシシラン(一般式RnSi(OR’)4-n)の有機基または水素原子であるRとしては、水素、または炭素数1から5までのアルキル基またはその置換体、または炭素数6から10までのアリール基およびその置換体、またはカルボキシル基などがあげられる。アリール基はN、OまたはSを含む複素環であってもよい。オルガノアルコキシシラン(一般式RnSi(OR’)4-n)は、nが2または3の場合、Rは同一であっても異なってもよく、R’としては炭素数1から6までのアルキル基があげられる。また、nが1以下の場合、R’は同一であっても異なってもよい。
【0028】
オルガノアルコキシシランの好適な例として、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、ジメトキシメチル−3,3,3−トリフルオロプロピルシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ジメトキシジメチルシラン、ジエトキシジメチルシラン、フェニルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。ゾルの調製における出発原料としては、これらの単独または2種以上の混合物が好適に用いられる。
【0029】
上記ゾル調製の出発原料として加え得るアルコキシシラン(一般式Si(OR’ ’)4)としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン等が例として挙げられる。
【0030】
本発明で用いられる無機有機ハイブリッド被膜の原料は、無機有機ハイブリッド膜被覆ステンレス箔の優れた性能を損なわない限りにおいては、不純物を含むものであってもまた、膜形成時の反応を制御する目的で化合物が添加されたものであってもよい。さらに上記ゾル調製の出発原料には、加水分解・脱水縮合反応を制御する目的で、B、Al、Ge、Ti、Y、Zr、Nb、Ta等から選ばれる一種類以上の金属元素または半金属元素Mのアルコキシドおよび/またはオルガノ金属アルコキシドを含んでいてもよい。これらのアルコキシドおよび/またはオルガノアルコキシドは、加水分解によって、一般に、シリコンのオルガノアルコキシドやアルコキシドに比べて反応性の高い加水分解物を生成するので、より低温、短時間での膜形成が可能となる。また、脱水縮合の未反応部分であるSiOH基の膜中での量を減らすこととなり、膜の絶縁性を向上させることができる。
【0031】
また、該無機有機ハイブリッド被膜中の無機骨格はSi以外の前記金属元素または半金属元素Mと酸素原子から成るM−O−M結合、M−O−Si結合を含んでいてもよい。この様なSi以外の金属元素または半金属元素Mの被膜中の総モル量は、被膜中のSiのモル量の25%以下であることが、本発明の無機有機ハイブリッド膜被覆ステンレス箔の優れた性能を損なわないために必須である。また、本発明とは別の目的で被膜の上に、さらに無機膜や有機膜を積層させたステンレス箔としても良い。
【0032】
上記ゾルの調製に用いる有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の各種アルコール、アセトン、トルエン、キシレン等から選ばれる単独または混合の有機溶媒が好適に用いられる。ここで、オルガノアルコキシシランの総モル数、またはオルガノアルコキシランとアルコキシシランの総モル数と有機溶媒の総モル数との比は1:1程度となるようにする。
【0033】
加水分解の触媒として酢酸水溶液を添加する必要がある。酢酸水溶液の添加量は、水のモル数が全アルコキシ基のモル数の1倍以上2倍以下になるように、かつ、酢酸のモル数が全アルコキシ基のモル数の0.001〜0.1倍となるようにする。ここで、酢酸水溶液の滴下時に発熱があるときは、特にゆっくり滴下するか、液を冷却しながら滴下する。なお、全アルコキシ基のモル数の2倍超の水を添加すると、成膜時に用いる塗布液の寿命が著しく短くなり、塗布液が保存中にゲル化するために好ましくない。また、酢酸の代わりに、塩酸やリン酸等も好適に用いられる。
【0034】
調製した無機有機ハイブリッド被膜形成用ゾルは、必要な膜厚などに応じてメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の各種アルコール、アセトン、トルエン、キシレン等から選ばれる単独または混合の有機溶媒または水で希釈して用いても良く、逆に、加水分解後に溶媒として用いた、あるいは加水分解で生成したアルコール等を常圧あるいは減圧下で留去しても良い。通常1回の塗布で得られる膜厚が、0.05〜5μm程度になるように調製する。水での希釈は、保存中の塗布液のゲル化を防止するために、塗布直前に行うことが好ましい。
【0035】
基材への塗布は、バーコート法、ロールコート法、スプレーコート法、ディップコート法、スピンコート法等の公知の方法で行う。ステンレス箔基材表面の平均粗度Rasと、無機有機ハイブリッド膜の厚さTfが、0.05μm≦Tf≦5μmとRas≦Tf/2を、好ましくはRas≦Tf/10を同時に満していれば、ゾルの表面張力によりその表面が非常に平滑になり、焼き付け後の無機有機ハイブリッド膜表面の平均粗度Rafが0.02μm以下となる。
【0036】
塗布後には、100℃〜150℃、5分間〜10分間乾燥し、その後焼き付けを行う。焼き付け温度は200℃から600℃の間、好ましくは300℃〜500℃の間で窒素中または空気中またはAr等不活性ガス中で5分〜2時間程度行えばよい。この熱処理により脱水縮合反応が促進され、無機有機ハイブリッド被膜が形成される。この焼き付け工程において、昇温速度は工程上可能な限り小さくする方が好ましい。昇温速度が200℃/分以上の場合、脱水縮合反応が急激に起こりすぎて被膜の健全性、特に被膜表面の平坦性に問題が出たり、クラックを生じる可能性がある。また、焼き付け温度はオルガノアルコキシドの有機基の種類に応じて設定する。焼き付け温度が600℃超の場合、焼き付け時間が短くても脱水縮合反応が十分進行するものの、有機基の種類によっては、熱分解や酸化が起こり、被膜の健全性が損なわれる可能性がある。逆に焼き付け温度が200℃未満の場合、十分な脱水縮合反応を進行させるために非常に長い処理時間を要することとなり、工業的観点から見て好ましくない。
【0037】
【実施例】
以下、実施例で本発明を具体的に説明する。これらの実施例は本発明をよりよく説明するためのものであって、本発明を何ら制限するものではない。
【0038】
耐クラック性は無機有機ハイブリッド膜被覆ステンレス箔を1%引っ張った後にSEM観察を行って膜表面のクラックの発生の有無で判断した。
【0039】
硬度は評価する無機有機ハイブリッド膜被覆ステンレス箔を石英板の上に固定した上で鉛筆硬度で評価し、4H以上の硬度を高硬度とした。
【0040】
耐熱性は、無機有機ハイブリッド膜被覆ステンレス箔を真空中で500℃で1時間熱処理した後に、SEM観察を行い、膜表面の平滑性が保持されているか否かおよび膜のクラック発生の有無によって確認した。
【0041】
密着性は、JISで規定された基盤目試験により行った。石英板上に固定した無機有機ハイブリッド膜被覆ステンレス箔にカッターで1mm×1mm×100個の碁盤目の傷を入れ(カッターの刃は膜を貫通してステンレス箔基材に達しているが、ステンレス箔基材を貫通していない)、傷を入れた部分に粘着テープを貼って剥がして100個の碁盤目の内で剥がれずに残っていた個数をN(100)としたとき、N(100)≧90を高密着性と判断した。
【0042】
絶縁性は、無機有機ハイブリッド膜被覆ステンレス箔の表面の、ある離れた5箇所に1cm×1cm×厚さ10nm以下でAuをコーティングして電圧端子とし、ステンレス基材をアースとして、各電圧端子に10V/μm×Tf(μm)の電圧を被膜の厚み方向に印可し、被膜にかかっている共通の電圧をV、電圧端子に流れる電流の総和をI(A)としたときの、1cm2あたりの抵抗値R(1cm2)=5×V/Iの値により評価し、R(1cm2)≧1×106Ω以上で高絶縁性であると評価した。なお、Tfは上述の方法で測定した無機有機ハイブリッド被膜の膜厚(μm)である。
(実施例1)
ゾル調製の出発原料として10モルのメチルトリエトキシシランと10モルのテトラエトキシシランの混合物を用いた。この混合物に20モルのエタノールを加えて良く撹拌した。その後、撹拌しながら、2モルの酢酸と100モルの水を混合した酢酸水溶液を滴下し加水分解を行った。この様にして得たゾルに100モルのエタノールを加えて最終的なゾルを得た。
【0043】
ディップコーティング法によって、大きさが10cm×10cm、厚さTsが70μmで表面の平均粗度Rasが0.1μmであるステンレス箔の両面に前記ゾルを塗布した。ただし、ステンレス箔の上部1cm程度は、引き上げのためのつかみ部分としてコーティングを行わなかった。引き上げ速度は0.6mm/秒であった。塗布後、空気中で100℃で1分間乾燥を行った。その後、窒素中で昇温速度10℃/分で室温から400℃まで昇温し400℃で30分間焼き付けて本発明の無機有機ハイブリッド膜被覆ステンレス箔を得た。
【0044】
この様にして得られた無機有機ハイブリッド被膜の厚さTfは0.6μmであった。この被膜の表面の平均粗度Rafは0.015μmと小さく、この無機有機ハイブリッド被膜の表面粗度が小さいことを示していた。この被膜中の水素濃度[H](mol/l)とシリコン濃度[Si](mol/l)の比[H]/[Si]の値は1.7であった。この被膜の1cm2の領域についての電気抵抗値R(1cm2)は4.1×107Ωであり絶縁性が高いことを示していた。この被膜の鉛筆硬度は7Hであり、高硬度であることを示していた。また、この無機有機ハイブリッド膜被覆ステンレス箔に1%の引っ張り歪みを与えて元に戻した後に、被膜表面をSEM観察したところクラックは認められず、この被膜の耐クラック性が高いことを示していた。また、この無機有機ハイブリッド膜被覆ステンレス箔を真空中で500℃で1時間熱処理して室温に戻した後に、SEM観察したところ、被膜の表面にはクラックが認められず、被膜の表面の平坦性についても特に変化が認められず、この被膜が耐熱性に優れていることを示していた。さらに、密着性に関しても、碁盤目試験でN(100)=100であり、この無機有機ハイブリッド被膜とステンレス箔基材との密着性が高いことを示していた。(実施例2)
ゾル調製の出発原料として、1モルのメチルトリエトキシシランと19モルのテトラエトキシシランの混合物を用いた。この混合物に20モルのエタノールを加えて良く撹拌した。その後、撹拌しながら、2モルの酢酸と130モルの水を混合した酢酸水溶液を滴下し加水分解を行った。この様にして得たゾルに400モルのエタノールを加えて最終的なゾルを得た。
【0045】
バーコーターを用いて、大きさが10cm×10cm、厚さTsが20μmで表面の平均粗度Rasが0.08μmであるステンレス箔の片面に前記ゾルを塗布した。ただし、ステンレス箔の上部1cm程度は、ステンレス箔の固定部分としてコーティングを行わなかった。塗布後、空気中で100℃で1分間乾燥を行った。その後、窒素中で昇温速度10℃/分で室温から450℃まで昇温し、450℃で10分間焼き付けて本発明の無機有機ハイブリッド膜被覆ステンレス箔を得た。
【0046】
この様にして得られた無機有機ハイブリッド被膜の厚さTfは0.3μmであった。この被膜の表面の平均粗度Rafは0.009μmと小さく、被膜の表面粗度が小さいことを示していた。この被膜中の水素濃度[H](mol/l)とシリコン濃度[Si](mol/l)の比[H]/[Si]の値は0.16であった。この被膜中の1cm2の領域についての電気抵抗値R(1cm2)は7.6×106Ωであり絶縁性が高いことを示していた。この被膜の鉛筆硬度は8Hであり、高硬度であることを示していた。また、この無機有機ハイブリッド膜被覆ステンレス箔に1%の引っ張り歪みを与えて元に戻した後に、被膜表面をSEM観察したところクラックは認められず、この被膜の耐クラック性が高いことを示していた。また、この無機有機ハイブリッド膜被覆ステンレス箔を真空中で500℃で1時間熱処理して室温に戻した後に、SEM観察したところ、被膜の表面にはクラックが認められず、被膜の表面の平坦性についても特に変化が認められず、この無機有機ハイブリッド被膜が耐熱性に優れていることを示していた。さらに、密着性に関しても、碁盤目試験でN(100)=100であり、この無機有機ハイブリッド被膜とステンレス箔基材との密着性が高いことを示していた。(実施例3)
ゾル調製の出発原料として19モルのメチルトリエトキシシランと1モルのテトラエトキシシランの混合物を用いた。この混合物に20モルのエタノールを加えて良く撹拌した。その後、撹拌しながら、2モルの酢酸と80モルの水を混合した酢酸水溶液を滴下し加水分解を行った。この様にして得たゾルに150モルのエタノールを加えて最終的なゾルを得た。
【0047】
実施例1と同様にして、大きさが10cm×10cm、厚さTsが70μmで表面の平均粗度Rasが0.1μmであるステンレス箔に、ディップコーティング法によるゾルの塗布を行い、さらに、乾燥、焼き付けを行い、本発明の無機有機ハイブリッド膜被覆ステンレス箔を得た。
【0048】
この様にして得られた無機有機ハイブリッド被膜の厚さTfは0.6μmであった。この被膜の表面の平均粗度Rafは0.010μmと小さく、被膜の表面粗度が小さいことを示していた。この被膜中の水素濃度[H](mol/l)とシリコン濃度[Si](mol/l)の比[H]/[Si]は3.0であった。この被膜の1cm2の領域についての電気抵抗値R(1cm2)は3.3×107Ωであり絶縁性が高いことを示していた。この被膜の鉛筆硬度は6Hであり高硬度であることを示していた。また、この無機有機ハイブリッド膜被覆ステンレス箔に1%の引っ張り歪みを与えて元に戻した後に、被膜表面をSEM観察したところクラックは認められず、この被膜の耐クラック性が高いことを示していた。また、この無機有機ハイブリッド膜被覆ステンレス箔を真空中で500℃で1時間熱処理して室温に戻した後に、SEM観察したところ、被膜の表面にはクラックが認められず、被膜の表面の平坦性についても特に変化が認められず、この被膜が耐熱性に優れていることを示していた。さらに、密着性に関しても、碁盤目試験でN(100)=100であり、この無機有機ハイブリッド被膜とステンレス箔基材との密着性が高いことを示していた。
(実施例4)
ゾル調製の出発原料として10モルのジメトキシジメチルシランと10モルのテトラエトキシシランの混合物を用いた。この混合物に20モルのエタノールを加えて良く撹拌した。その後、撹拌しながら、2モルの酢酸と100モルの水を混合した酢酸水溶液を滴下し加水分解を行った。この様にして得たゾルに200モルのエタノールを加えて最終的なゾルを得た。
【0049】
実施例1と同様にして、大きさが10cm×10cm、厚さTsが70μmで表面の平均粗度Rasが0.1μmであるステンレス箔に、ディップコーティング法によるゾルの塗布を行い、さらに、乾燥、焼き付けを行い、本発明の無機有機ハイブリッド膜被覆ステンレス箔を得た。
【0050】
この様にして得られた無機有機ハイブリッド被膜の厚さTfは0.5μmであった。この被膜の表面の平均粗度Rafは0.012μmと小さく、被膜の表面粗度が小さいことを示していた。この被膜中の水素濃度[H](mol/l)とシリコン濃度[Si](mol/l)の比[H]/[Si]は3.0であった。この被膜の1cm2の領域についての電気抵抗値R(1cm2)は5.3×107Ωであり絶縁性が高いことを示していた。この被膜の鉛筆硬度は5Hであり高硬度であることを示していた。また、この無機有機ハイブリッド膜被覆ステンレス箔に1%の引っ張り歪みを与えて元に戻した後に、被膜表面をSEM観察したところクラックは認められず、この被膜の耐クラック性が高いことを示していた。また、この無機有機ハイブリッド膜被覆ステンレス箔を真空中で500℃で1時間熱処理して室温に戻した後に、SEM観察したところ、被膜の表面にはクラックが認められず、被膜の表面の平坦性についても特に変化が認められず、この被膜が耐熱性に優れていることを示していた。さらに、密着性に関しても、碁盤目試験でN(100)=100であり、この無機有機ハイブリッド被膜とステンレス箔基材との密着性が高いことを示していた。
(比較例1)
ゾル調製の出発原料として20モルのテトラエトキシシランを用いた。これに20モルのエタノールを加えて良く撹拌した。その後、撹拌しながら、2モルの酢酸と100モルの水を混合した酢酸水溶液を滴下して加水分解を行った。この様にして得たゾルに100モルのエタノールを加えて最終的なゾルを得た。
【0051】
実施例1と同様にして、大きさが10cm×10cm、厚さTsが70μmで表面の平均粗度Rasが0.1μmであるステンレス箔にディップコーティング法によるゾルの塗布を行い、さらに、乾燥、焼き付けを行い、本発明の無機有機ハイブリッド膜被覆ステンレス箔を得た。
【0052】
この様にして得られた被膜の厚さTfは0.7μmであった。この被膜の表面の平均粗度Rafは0.012μmと小さく、この膜の表面粗度が小さいことを示していた。この被膜中の水素濃度[H](mol/l)とシリコン濃度[Si](mol/l)の比[H]/[Si]の値は0.01であった。この被膜の1cm2の領域についての電気抵抗値R(1cm2)は8.9×106Ωであり絶縁性が高いことを示していた。この被膜の鉛筆硬度は8Hであり高硬度であることを示していた。しかしながら、このステンレス箔に1%の引っ張り歪みを与えて元に戻した後に、被膜表面をSEM観察したところ多数のクラックが認められ、この被膜の耐クラック性が低いことを示していた。この無機有機ハイブリッド膜被覆ステンレス箔を真空中で500℃で1時間熱処理して室温に戻した後に、SEM観察したところ、この被膜の表面にクラックが認められず、この被膜の表面の平坦性についても特に変化が認められず、この被膜が耐熱性に優れていることを示していた。ただし、密着性に関しては、碁盤目試験でN(100)=76であり、この被膜とステンレス箔基材との密着性に問題があることを示していた。ただし、この試験では、密着性に問題があったと言うよりは、膜の可撓性が低くて碁盤目を入れた時点で被膜の健全性が大きく損なわれた結果である可能性がある。
(比較例2)
ゾル調製の出発原料として18モルのジヘキシルジエトキシシランと2モルのプロピルトリエトキシシランの混合物を用いた。この混合物に20モルのエタノールを加えて良く撹拌した。その後、撹拌しながら、2モルの酢酸と80モルの水を混合した酢酸水溶液を滴下して加水分解を行った。この様にして得たゾルに300モルのエタノールを加えて最終的なゾルを得た。
【0053】
実施例1と同様にして、大きさが10cm×10cm、厚さTsが70μmで表面の平均粗度Rasが0.1μmであるステンレス箔にディップコーティング法によるゾルの塗布を行い、さらに、乾燥、焼き付けを行い、本発明の無機有機ハイブリッド膜被覆ステンレス箔を得た。
【0054】
この様にして得られた被膜の厚さTfは0.55μmであった。この無機有機ハイブリッド被膜の表面の平均粗度Rafは0.018μmと小さく、この被膜の表面粗度が小さいことを示していた。この被膜中の水素濃度[H](mol/l)とシリコン濃度[Si](mol/l)の比[H]/[Si]は24.5であった。この被膜の1cm2の領域についての電気抵抗値R(1cm2)は2.5×107Ωであり、絶縁性が高いことを示していた。ところが、この被膜の鉛筆硬度は2Bであり、硬度が低いことを示していた。この無機有機ハイブリッド膜被覆ステンレス箔に1%の引っ張り歪みを与えて元に戻した後に、被膜表面をSEM観察したところクラックは認められず、この被膜の耐クラック性が高いことを示していた。ところが、この無機有機ハイブリッド膜被覆ステンレス箔を真空中で500℃で1時間熱処理して室温に戻して肉眼で見ると、既に表面平坦性が失われていることが認められ、SEM観察によってもこのことが確認され、この被膜の耐熱性が低いことを示していた。密着性に関しては、碁盤目試験でN(100)=100であり、この無機有機ハイブリッド被膜とステンレス箔基材との密着性が高いことを示していた。
【0055】
【発明の効果】
本発明は、ステンレス箔に無機有機ハイブリッド膜を被覆することで耐熱性、加工性、平坦性、絶縁性等に優れたステンレス箔を提供するものである。従って、本発明を電子材料の基板等へ応用した場合、高温や厳しい加工等の極限のプロセス条件に適合すると共に、可撓性を有する、または軽量化が図られた各種電子機器が実現され、その工業的効果は甚大である。

Claims (4)

  1. シロキサン結合を主とする無機の三次元網目構造を骨格とし、該骨格の架橋酸素の少なくとも一個を有機基および/または水素原子で置換した無機有機ハイブリッド膜であって、該膜中の水素濃度[H](mol/l)とシリコン濃度[Si](mol/l)の比[H]/[Si]が0.1≦[H]/[Si]≦10を満足する無機有機ハイブリッド膜がステンレス箔基材の片面または両面に被覆されてなり、前記ステンレス箔基材の厚さを Ts( μ m) 、前記無機有機ハイブリッド膜の厚さを Tf( μ m) としたときに、 10 μ m Ts 100 μ m Tf Ts/20 を満たすことを特徴とする無機有機ハイブリッド膜被覆ステンレス箔。
  2. 前記有機基がアルキル基、アリール基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基から選ばれる1種以上である請求項1記載の無機有機ハイブリッド膜被覆ステンレス箔。
  3. 前記無機有機ハイブリッド膜表面の平均粗度RafがRaf≦0.02μmを満足する請求項1、または請求項2記載の無機有機ハイブリッド膜被覆ステンレス箔。
  4. 前記ステンレス箔基材の表面の平均粗度Rasが、Ras≦Tf/2を満たす請求項1〜3のいずれか一項記載の無機有機ハイブリッド膜被覆ステンレス箔。
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