JP2007098966A - 電熱ヒータ付きハンドル用グリップ部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】合成樹脂製のコアを使用することなく、またモールドを行うことなく、簡素な工程で歩留良く製造を可能とする。
【解決手段】ゴムから成るインナパーツ１の外表面に凹溝４が螺旋状に形成され、内表面には長手方向に沿って複数条のリブ５が形成されている。凹溝４内には金属導体をテープ状に形成した電熱ヒータ７が埋め込まれ固定され、電熱ヒータ７の両端にはそれぞれ電線８ａ、８ｂが接続され、引き出されている。
このインナパーツ１上に、ゴム筒製のアウタパーツ９を被着し、インナパーツ１との間は接着剤などを用いて固着されている。
【選択図】図３

Description

本発明は、オートバイ、スノーモービル等のグリップに用いる電熱ヒータ付きハンドル用グリップ部材に関するものである。
オートバイ、スノーモービル等のハンドルの合成ゴム製グリップには、例えば特許文献１に示すように、握り手を暖める電熱ヒータが内蔵されていることがある。この電熱ヒータには、給電線を半田付けや溶接等により電気的に接続し、シート状の電気発熱体を、円筒状の合成樹脂製コアの表面に付設して、周囲をコア共々、電気絶縁、滑り止めのために合成ゴムによりモールドして覆っているものが知られている。
特開平１０−６７３６６号公報
しかし、合成ゴムによるモールドは工程が複雑でサイクルタイムが大きくなる上に、モールドに際して、熱や圧力によって合成樹脂コアが変形したり、外観が歪んでしまうことがある。また、電熱ヒータと給電線の接続部が破断するなどのトラブルが多く、歩留りが悪いという問題がある。
本発明の目的は、上述の課題を解消し、モールド工程を経ることなく簡素に製造し得る電熱ヒータ付きハンドル用グリップ部材を提供することにある。
上述の目的を達成するための本発明に係る電熱ヒータ付きハンドル用グリップ部材の技術的特徴は、円筒体から成るゴム製のインナパーツの表面に電気発熱体を取り付け、これらの上にゴム製の筒状のアウタパーツを挿着したことにある。
本発明に係る電熱ヒータ付きハンドル用グリップ部材によれば、合成樹脂製のコアを使用することなく、またモールドを行うことなく、簡素な工程で歩留良く製造が可能となる。
本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
図１はインナパーツに電熱ヒータを巻回した状態の斜視図であり、グリップの骨格となるインナパーツ１は、硬質の合成ゴムにより円筒状に成形され、インナパーツ１の基端に外径を六角状とした角筒部２、末端に環状部３が設けられている。なお、このインナパーツ１に使用される合成ゴムとしては、ＮＢＲ又はＥＰＤＭが、強度等の点で好ましい。
インナパーツ１の外表面には凹溝４が螺旋状に形成され、内表面には長手方向に沿って例えば３〜８本程度の複数条のリブ５が形成されている。これらのリブ５の断面形状は方形状、半円状が好適である。また、インナパーツ１の表面には、凹溝４を横切るように長手方向に、凹溝４の底部よりも深い位置に電線溝６が形成されている。螺旋状の凹溝４内には、金属導体をテープ状に形成した電熱ヒータ７が、埋め込まれて固定されている。
電熱ヒータ７の材質としては、ＳＵＳ、銅などが好適であり、幅２〜７ｍｍ、厚さは０．０２〜０．１ｍｍ程度が好ましい。凹溝４の深さは電熱ヒータ７の厚み程度とすればよいが、電熱ヒータ７の厚みよりも大きい方が、後の組立工程が容易となる。
また凹溝４のピッチは、均熱性、昇温、降温の点、及び電熱ヒータ７の幅との関係から、７〜１５ｍｍ、より好ましくは８〜１２ｍｍである。ヒータ部の長手方向の大きさはグリップの長さにもよるが、手の掌を暖めるために８０〜１５０ｍｍ必要であり、９０〜１２０ｍｍが好適である。
電熱ヒータ７の両端にはそれぞれ被覆付の電線８ａ、８ｂが接続され、一方の電線８ａは電線溝６に沿って電熱ヒータ７の下を通ってインナパーツ１の環状部３の脇に引き出され電熱ヒータ７に接続され、他方の電線８ｂは角筒部２の近傍で電熱ヒータ７に接続されている。なお、電線８ａは電熱ヒータ７の巻回に先立ち、電線溝６内に配線しておく。
図２はアウタパーツ９の斜視図を示し、合成ゴムにより成型された筒状のアウタパーツ９は、電熱ヒータ７を巻回した図１に示すインナパーツ１上に被着される。図３はインナパーツ１にアウタパーツ９を挿着している過程を示している。例えば、耐熱性の接着剤を塗布した両面テープを電熱ヒータ７上に貼り付け、その上から石油系の揮発性溶剤を塗布し、滑りを良くしてからアウタパーツ９を挿着し、溶剤が乾燥すると両面テープの接着力が戻ることにより、アウタパーツ９がインナパーツ１に対してずれないように接着されている。
図４に示すように、インナパーツ１とアウタパーツ９から成るグリップ部材が完成すると、インナパーツ１の角筒部２を図５に示すように合成樹脂製のグリップ鍔部１０に嵌め込んで固定する。ハンドルの操作に伴い、グリップ部材にはスロットル動作の力が加わるため、角筒部２をグリップ鍔部１０の角受部に嵌合して、グリップ鍔部１０に対する空回りが生じないようにしている。このグリップ鍔部１０への取り付けに際しては、電線８ａ、８ｂの端末をグリップ鍔部１０内の図示しない端子に接続する。
電線８ａ、８ｂは端子を介して、グリップ鍔部１０に接続された図示しないケーブルを経由して電源バッテリ等に接続されている。なお、グリップ鍔部１０に設けられたスイッチ１１、１２は例えば電熱ヒータ７の温度制御用や方向指示器用として使用される。また、グリップ部材のグリップエンドには、別体のエンドパーツ１３が取り付けられている。
このようにして完成したグリップ部材を、オードバイなどの棒状のハンドルバーに挿着することにより、電熱ヒータ付きグリップ部材として使用することができる。なお、インナパーツ１の内表面にはリブ５が設けられているので、ハンドルバーに挿着しても、ハンドルバーとの間にずれが発生することはない。
図６は実施例２のアウタパーツ上にメタルパーツを被着した状態の斜視図を示し、図７に示すゴム製のアウタパーツ２１の上に、図８に示す筒状のメタルパーツ２２が被着されている。
アウタパーツ２１には複数個所に、例えば外形が略菱形で表面が平面の凸部２３が形成されている。メタルパーツ２２はＳＵＳ或いは鋼板に鍍金を施した材料が用いられ、メタルパーツ２２にはアウタパーツ２１の凸部２３が嵌入する同形の孔部２４が形成されている。また、メタルパーツ２２の前後両側には突出片部２５が設けられている。
これらの組立に際しては、ゴム製のアウタパーツ２１をメタルパーツ２２内に入れて、凸部２３を孔部２４に嵌め込むことにより、メタルパーツ２２とアウタパーツ２１は一体化され、アウタパーツ２１は強化される。
なお、この場合に凸部２３の高さをメタルパーツ２２の厚みよりも大きくすることにより、凸部２３がメタルパーツ２２の孔部２４上にはみ出す高さにしておくことが、安全性や滑り防止のために好ましい。なお、メタルパーツ２２から前方に突出した２つの突出片部２５は、電線８ａ、８ｂを覆うと共に、グリップ鍔部１０と組み合わせた場合の回り止めとしても機能する。
図９はこのメタルパーツ２２を被着したアウタパーツ２１を、図１に示すインナパーツ１に挿着してグリップ部材を製作し、グリップ鍔部１０に嵌合する直前の斜視図であり、図１０はグリップ鍔部１０と組み合わせた状態の斜視図である。
この実施例２においては、グリップ部材がメタルパーツ２２により強化されると共に、メタルパーツ２２による装飾性が向上している。
実施例１のインナパーツの斜視図である。 アウタパーツの斜視図である インナパーツにアウタパーツを挿着する過程の斜視図である。 グリップ部材をグリップ鍔部に嵌合する直前の状態の斜視図である。 グリップ部材をグリップ鍔部と組合わせた状態の斜視図である。 実施例２のアウタパーツ上にメタルパーツを被着した状態の斜視図である。 アウタパーツの斜視図である。 メタルパーツの斜視図である。 グリップ部材をグリップ鍔部と組合わせる直前の状態の斜視図である。 グリップ部材をグリップ鍔部と組合わせた状態の斜視図である。
符号の説明
１ インナパーツ
２ 角筒部
３ 環状部
４ 凹溝
５ リブ
６ 電線溝
７ 電熱ヒータ
８ａ、８ｂ 電線
９、２１ アウタパーツ
１０ グリップ鍔部
２２ メタルパーツ
２３ 凸部
２４ 孔部
２５ 突出片部

Claims (6)

  1. 円筒体から成るゴム製のインナパーツの表面に電気発熱体を取り付け、これらの上にゴム製の筒状のアウタパーツを挿着したことを特徴とする電熱ヒータ付きハンドル用グリップ部材。
  2. 前記電気発熱体はテープ状の金属導体であり、前記インナパーツ上に螺旋状に巻回したことを特徴とする請求項１に記載の電熱ヒータ付きハンドル用グリップ部材。
  3. 前記インナパーツの表面に、複数の凹溝を螺旋状に形成し、前記電気発熱体は前記凹溝に沿って巻回したことを特徴とする請求項２に記載の電熱ヒータ付きハンドル用グリップ部材。
  4. 前記インナパーツの内面に滑り止め用のリブを設けたことを特徴とする請求項１に記載の電熱ヒータ付きハンドル用グリップ部材。
  5. 前記アウタパーツは前記インナパーツに接着剤を用いて固定したことを特徴とする請求項１に記載の電熱ヒータ付きハンドル用グリップ部材。
  6. 前記アウタパーツの表面に孔部を穿けた筒状のメタルパーツを被着し、前記孔部に前記アウタパーツの表面の一部を嵌め込んだことを特徴とする請求項１に記載の電熱ヒータ付きハンドル用グリップ部材。
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