JP2005340059A - 電線端子用絶縁スリーブとその製造方法 - Google Patents

電線端子用絶縁スリーブとその製造方法 Download PDF

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勝久 森
Tsutomu Tsuji
力 辻
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Abstract

【課題】 ディッピング操作のみによって当初から両端に開口があるスリーブを得ることができるようにし、生産性の向上を図り、均質の商品を安価に市場に提供すること。
【解決手段】 合成樹脂素材の加熱溶融ゾル中に浸漬して金属棒の外周面に付着させた樹脂膜を金属棒から引き剥がして形成した柔軟質の絶縁スリーブ1であって、筒壁部3の一端側の開口部2に、開口端から内周面側に向かって折り返された短寸の環状部4を一体的に備えているもの。また、その製造方法に関するものである。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電線の先端に連結して使用する電線端子における電線と端子金具との接続部の外周部に取り付けて絶縁被覆する絶縁スリーブと該絶縁スリーブの製造方法とに関するものである。
この種の現在の電線端子用絶縁スリーブには、合成樹脂素材を射出成形手段によって形成する単純筒状の硬質スリーブと、合成樹脂素材を加熱溶融したゾルに金属棒を差し込んで引き上げ、付着した樹脂を金属棒から剥がして形成するディッピング手段による軟質スリーブとがある。本発明は、後者のディッピング手段によって形成する軟質スリーブに関するものである。
この後者のディッピング手段をより詳しく説明すると、図14〜19に示したように、図15に示した金属棒15を合成樹脂素材を加熱溶融したゾル中に差し込んで引き上げ、図16のように該金属棒15の周囲に溶融樹脂を付着させ、冷却後、金属棒15に付着した樹脂を金属棒15から引き剥がして図17の有底の樹脂筒12を得る。このようにして得た有底の樹脂筒12を同図に記載したように、底部分から所要の長さを残して切断カッター13によって環状に切断する。この切断操作によって、図18に示したように、一端側に開口部14を備えた円筒状の柔軟質の樹脂スリーブ11を得る。
このようにして得た柔軟質の樹脂スリーブ11は、図19に示したように、電線cの端部に取り付けた端子tの圧着接続筒sの外周面とこれに続く電線端部の外周面とに亘って外嵌させて絶縁被覆するようにして使用する。
特開平昭号公報 特開平昭号公報
しかしながら、このような従来のディッピング製法によって得た電線端子用絶縁スリーブ11は、ディッピング操作によって得た有底の樹脂筒12を底部から所要の長さを残した部分で切断して円筒状とする作業を必ず伴うものである。この切断作業に当たって柔軟質の樹脂筒12を切断端面が均一面になるように周方向均一に切断しなければならないことと、切断後の全ての樹脂スリーブ11が軸線方向において略同一長さになる箇所で切断しなければならないため、高能率な量産化に適したものとは必ずしもいうことができなかった。また、このようにして得られた樹脂スリーブ11は、切断面の外周部が角張っているため、電線端に端子tを圧着接続したのちに、前以て電線cの外周に嵌めておいた樹脂スリーブ11を、図19のように端子tの圧着接続筒sの外周面を覆うように押し上げて絶縁状態にするための操作で手荒れを生じ易いという解決すべき課題を有していた。
そこで、本発明は、従来のこの種のディッピング製法による樹脂スリーブ11が有していた有底樹脂筒12を形成した後に、底部を切断するという操作を一切不要なものとし、デッピング操作のみによって切断作業を終わらせた後の樹脂スリーブ11のように、当初から両端に開口があるスリーブを得ることができるようにし、生産性の向上を図り、均質の商品を安価に市場に提供することを目的とする。
該目的を達成するために開発した本発明の電線端子用絶縁スリーブの構成を、実施例を示す図面に使用した共通の符号を用いて説明すると、合成樹脂素材の加熱溶融ゾル中に浸漬して金属棒の外周面に付着させた樹脂膜を金属棒から引き剥がして形成した柔軟質の絶縁スリーブ1であって、筒壁部3の一端側の開口部2に、開口端から内周面側に向かって折り返された短寸の環状部4を一体的に備えている構造としたものである。
また、このような構造とした電線端子用絶縁スリーブを製造する方法の構成は、下端面6に上方内奥部7側に向かって凹入した凹入空間8を形成してある所定径の金属棒5を、合成樹脂素材を加熱溶融したゾル中に、所定の深さまで浸漬させて引き上げ、浸漬させた部分の外周面と、下端面6に形成してある前記凹入空間8の下端面近く部分とに樹脂膜1Aを一体的に付着させ、冷却後、この付着樹脂膜1Aを金属棒5から引き剥がして、下端側に開口部2を備え、この開口部2の周囲に筒壁部3から折り返された短寸の環状部4が一体的に形成されている絶縁スリーブを製造する方法としたものである。
本発明にいう電線端子用絶縁スリーブは、筒壁部の一端側の開口部に、開口端から内周面側に向かって折り返された短寸の環状部を一体的に備えている構造としたものであるから、この折り返し環状部のある開口端は、肉厚になっていて鋭角部分のない滑らかな弧状となっているので、電線端部への装着作業が手荒れを起こすことなく容易に能率良く行い得て、しかも、前記折り返し環状部が電線被覆の外周面に密着し易く移動阻止作用も期待することができるという効果が得られる。
また、このような構造を備えた絶縁スリーブを製造する方法にあっては、デッピング操作用の金属棒の先端形状を内奥部側に向かって凹入する凹入空間を備えた構造としてあることによって、溶融ゾル中へのディッピング操作時に凹入空間内の空気の空圧抵抗により、ゾルが凹入空間の全面にまで入り込むことはなく、凹入空間内の一部分だけに入り込んだ状態で引き上げられ、底壁のないスリーブ体を直ちに得ることができるので、デッピング深さを一定にするだけで均一形状の絶縁スリーブを、後加工を必要とすることなく、能率良く量産できるという効果を有する。
このような絶縁スリーブを製造するに当たっては、金属棒5の径、その下端部に形成した凹入空間の深さ、溶融ゾルの粘度等を調整することによって、スリーブの折り返し環状部の形状と折り返し量とを微妙に調整して実施することができる。
以下本発明の実施例を図面に基いて説明する。図1乃至図5は本発明の第1実施例について示した図であって、図1は本発明によって得た絶縁スリーブの斜視図、図2はデッピング操作に用いる金属棒の一部縦断正面図、図3はデッピング操作状態を示す一部縦断正面図、図4は図3におけるA−A線以下の部分の拡大正面図、図5は絶縁スリーブの中央縦断正面図である。図6はその使用状態を示した図である。
これら図1乃至図5に示した第1実施例の絶縁スリーブは、最大径約20mm、長さ約70mm、平均肉厚約1.0mmとした軟質塩ビ製のスリーブ1であって、図5にみられるように、筒壁部3の一端側(図において下側)の開口部2に、開口端から内周面側に向かって折り返された短寸の環状部4が周壁部と一体的に形成されている構造としたものである。
このような構造とした絶縁スリーブ1を形成するには、先ず、図2に示したように、下端面6に上方内奥部7側に向かって凹入した半球状の凹入空間8を形成してあり最大径を約18mm、下半部の径を約14mmとした銅製の棒材(金属棒)5を、軟質のポリ塩化ビニール樹脂素材を加熱溶融したゾル中に、約70mm弱の深さまで差し込んですぐに引き上げ、図3にみられるように、差し込んだ部分の外周面と、下端面6に形成してある前記凹入空間8の下端面近く部分とに樹脂膜1Aを一体的に付着させ、冷却後、この付着樹脂膜1Aを金属棒5から引き剥がして、図5に示したように、上下両側に開口部を備えた樹脂スリーブ1を得るのである。
このようにして得られたスリーブ1は、上下両端の開口部が何れも滑らかな端面を備えていて、図5において下端側の開口部2には、筒壁部3から内面側に向かって折り返された約2mm程度の短寸の環状部4が一体的に形成されている絶縁用の樹脂スリーブ1を得ることができる。
図7乃至図11は第2実施例の絶縁スリーブ1を示したものであって、この絶縁スリーブ1は、前記第1実施例に示した絶縁スリーブ1に比して、外観上、下端側の開口部2が外側に向かって少し広がっている形状となっている。このスリーブ1は、図7及び図9に示したように、金属棒5の凹入空間8を形作る下端面6に近い部分5aを外広がり状に形成して、金属棒5の外周面に付着した樹脂膜1Aの下端部分が少し外側に張り出し、凹入空間8側に向かって折り返された短寸の環状部4も少しだけ樹脂膜1Aの内面側に突出している構造としたものである。
更に、図12及び図13に示した第3実施例の絶縁スリーブは、金属棒5の凹入空間8を形作る下端面に近い部分5bを樹脂膜1Aの幅だけ、即ち約1mm程度外側に張り出した形に形成して、金属棒5の外周面に付着した樹脂膜1Aの下端部分が外側に張り出し、凹入空間8側に向かって折り返された短寸の環状部4の内周面が樹脂膜1Aの内周面と略同じ内周面を形作る構造としたものである。
以上本発明の代表的と思われる実施例について説明したが、本発明は必ずしもこれらの実施例に示した構造のみに限定されるものではなく、外観形状をはじめとし、本発明にいう構成要件を備え、本発明にいう目的を達成し、上記の効果を有する範囲内において適宜改変して実施することができるものである。
本発明にいうところの電線端子用絶縁スリーブは、両端の開口部が何れも滑らかな端面を備えていて、切断端面のような鋭角部分がなく滑らかな弧状となっているので、電線端部への装着作業が手荒れを起こすことなく容易に能率良く行い得るので、市場において歓迎され大いに使用されるものと期待される。
第1実施例の絶縁スリーブを示す斜視図。 金属棒の一部縦断正面図。 ディッピング状態を示す一部縦断正面図。 図3におけるA−A線断面拡大図。 スリーブの中央縦断面図。 使用状態を示す一部中央縦断正面図。 第2実施例の金属棒を示す一部縦断正面図。 第2実施例のディッピング状態を示す一部縦断正面図。 図8におけるB−B線断面拡大図。 第2実施例のスリーブの中央縦断面図。 第2実施例の使用状態を示す一部中央縦断正面図。 第3実施例のディッピング状態を示す一部縦断正面図。 図12におけるC−C線断面拡大図。 従来例の絶縁スリーブを示す斜視図。 従来例の金属棒を示す一部縦断正面図。 従来例のディッピング状態を示す一部縦断正面図。 ディッピングによって得られた有底筒の中央縦断面図。 従来例のスリーブの中央縦断面図。 従来例の使用状態を示す一部中央縦断正面図。
符号の説明
1 絶縁スリーブ
2 開口部
3 筒壁部
4 環状部
5 金属棒
6 下端面
7 内奥部
8 凹入空間
1A 樹脂膜

Claims (2)

  1. 合成樹脂素材の加熱溶融ゾル中に浸漬して金属棒の外周面に付着させた樹脂膜を金属棒から引き剥がして形成した柔軟質の絶縁スリーブ1であって、筒壁部3の一端側の開口部2に、開口端から内周面側に向かって折り返された短寸の環状部4を一体的に備えている電線端子用絶縁スリーブ。
  2. 下端面6に上方内奥部7側に向かって凹入した凹入空間8を形成してある所定径の金属棒5を、合成樹脂素材を加熱溶融したゾル中に、所定の深さまで浸漬させて引き上げ、浸漬させた部分の外周面と、下端面6に形成してある前記凹入空間8の下端面近く部分とに樹脂膜1Aを一体的に付着させ、冷却後、この付着樹脂膜1Aを金属棒5から引き剥がして、下端側に開口部2を備え、この開口部2の周囲に筒壁部3から折り返された短寸の環状部4が一体的に形成されている電線端子用絶縁スリーブの製造方法。
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