JP2007090192A - 複合半透膜の処理方法および製造方法 - Google Patents

複合半透膜の処理方法および製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2007090192A
JP2007090192A JP2005281320A JP2005281320A JP2007090192A JP 2007090192 A JP2007090192 A JP 2007090192A JP 2005281320 A JP2005281320 A JP 2005281320A JP 2005281320 A JP2005281320 A JP 2005281320A JP 2007090192 A JP2007090192 A JP 2007090192A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
membrane
water
diazonium salt
semipermeable membrane
composite semipermeable
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2005281320A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007090192A5 (ja
JP4618081B2 (ja
Inventor
Gakuji Inoue
岳治 井上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP2005281320A priority Critical patent/JP4618081B2/ja
Publication of JP2007090192A publication Critical patent/JP2007090192A/ja
Publication of JP2007090192A5 publication Critical patent/JP2007090192A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4618081B2 publication Critical patent/JP4618081B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)

Abstract

【課題】高い溶質除去性と高い水透過性を有し、かつ高い耐久性を有する半透膜を提供すると同時に、高い生産性を実現しうる半透膜およびその製造方法を提供することを目的とするものである。
【解決手段】微多孔性支持膜上に多官能アミン化合物と多官能酸ハロゲン化物からなるポリアミド分離機能層を形成してなる複合半透膜を、第一級アミノ基と反応してジアゾニウム塩またはその誘導体を生成する試薬に接触させたのち、40℃以上80℃以下の熱水に接触させる工程と、ジアゾニウム塩との反応性試薬と接触させる工程とを有する複合半透膜の処理方法および製造方法を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、液状混合物の成分を選択透過分離するために用いられる、高性能な改質半透膜(改質された複合半透膜)を得るための複合半透膜の処理方法および製造方法に関するものである。本発明によって得られる改質半透膜は、原水中に含まれる金属多価イオン、汚染物質や微量有害物質およびそれらの前駆物質などを選択的に分離除去する際に好適に用いることができる。
混合物の分離に関して、溶媒(例えば水)に溶解した物質(例えば塩類)を除くための技術には様々なものがあるが、近年、省エネルギーおよび省資源のためのプロセスとして膜分離法が利用されている。膜分離法に使用されている膜には、精密ろ過膜、限外ろ過膜、逆浸透膜などがある。さらに近年、逆浸透膜と限外ろ過膜の境界に位置する膜(ルースRO膜あるいはNF「nanofiltration」膜)も現れ、使用されるようになってきており、これら膜は、例えば海水、カン水、有害物を含んだ水から飲料水を得る場合や、工業用超純水の製造、排水処理、有価物の回収などに用いられてきている。
現在市販されている逆浸透膜、ルースRO膜、NF膜の大部分は複合半透膜であり、多孔性支持膜上にゲル層とポリマーを架橋した活性層とを有するものと、多孔性支持膜上でモノマーを重縮合した活性層を有するものの2種類がある。中でも、多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物との重縮合反応によって得られる架橋ポリアミドからなる分離機能層を多孔性支持膜上に被覆して得られる複合半透膜は、透過性や選択分離性の高い逆浸透膜として広く用いられている。しかしながら、溶質の酸化除去や殺菌のために付与される過酸化水素、次亜塩素酸、オゾンなどの酸化剤と逆浸透膜とを長時間接触させると膜性能が低下することが知られており、耐久性の向上が望まれている。また、現在では様々な用途で用いられており、それぞれの用途にあった膜を簡易に作り分ける方法が望まれている。
簡易に膜の性能を変える方法として、例えば、特許文献1には、第一級アミノ基またはその塩をジアゾニウム塩の前駆体とまたはジアゾニウム塩と反応性の基と反応させることによって、平均して少なくとも1つの第一級アミノ基もしくはその塩と少なくとも1つのジアゾニウム塩と反応性の基を持つポリマーから誘導される識別層を設けることで、ある程度の溶質排除性、透水性とともに、化学的安定性を持つ逆浸透膜が得られることが開示されている。しかしながら、この文献に具体的に記載される膜性能では十分に高いとはいえず、さらなる高性能、とりわけ高い脱塩能が求められている。
一方、特許文献2には、透水性を高めるために半透膜を塩素含有水溶液に接触させる技術が開示されている。これは高透水性能の半透膜を得る優れた手段であるが、耐久性、とりわけ耐塩素性に関してさらなる向上が望まれる。
特許文献3には、特許文献1と特許文献2を組み合わせることで、耐久性かつ膜性能に優れた膜の製造方法が開示されているが、透過水量がまだ十分ではない。
特開昭63−175604号公報(特許請求の範囲) 特開昭63−54905号公報(特許請求の範囲) 特開2005−186059号公報(特許請求の範囲)
本発明は、高い溶質除去性と高い水透過性を有し、かつ高い耐久性を有する半透膜を提供すると同時に、高い生産性を実現しうる半透膜およびその製造方法を提供することを目的とするものである。
かかる課題を解決するために、本発明は以下の構成からなる。すなわち、
(1)第一級アミノ基を含む分離機能層を有する複合半透膜を、第一級アミノ基と反応してジアゾニウム塩またはその誘導体を生成する試薬に接触させた後、40℃以上80℃以下の水に接触させ、しかる後にジアゾニウム塩との反応性試薬と接触させることを特徴とする複合半透膜の処理方法。
(2)前記第一級アミノ基と反応してジアゾニウム塩またはその誘導体を生成する試薬が、亜硝酸および/またはその塩を含む水溶液である、(1)に記載の複合半透膜の処理方法。
(3)前記ジアゾニウム塩との反応性試薬が、亜硫酸イオンまたは亜硫酸水素イオンであることを特徴とする(1)または(2)に記載の複合半透膜の処理方法。
(4)前記40℃以上80℃以下の水に接触させる時間が、1分以上10分以下であることを特徴とする(1)〜(3)に記載の複合半透膜の処理方法。
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載の処理方法を用いた処理工程を含む複合半透膜の製造方法。
本発明によれば、高い水透過性と高い溶質除去性を併せ持ち、さらに高い耐久性を有した半透膜を高い生産性で得ることができる。
本発明の複合半透膜の一態様としては、実質的に分離性能を有する分離機能層が、実質的に分離性能を有さない多孔性支持膜上に被覆されてなり、好ましくは、該分離機能層は多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物との反応によって得られる架橋ポリアミドからなる複合半透膜が用いられるのであって、本発明では、該分離機能層に第一級アミノ基を含んだ複合半透膜が用いられることを必須とするものである。ここで、多官能アミンは芳香族多官能アミンまたは脂肪族多官能アミンの少なくとも1つの成分からなる。
芳香族多官能アミンとは、一分子中に2個以上のアミノ基を有する芳香族アミンであり、特に限定されるものではないが、メタフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン、1,3,5−トリアミノベンゼンなどがあり、そのN−アルキル化物としてN,N−ジメチルメタフェニレンジアミン、N,N−ジエチルメタフェニレンジアミン、N,N−ジメチルパラフェニレンジアミン、N,N−ジエチルパラフェニレンジアミンなどが例示され、性能発現の安定性から、特にメタフェニレンジアミン、1,3,5−トリアミノベンゼンが好ましい。
また、脂肪族多官能アミンとは、一分子中に2個以上のアミノ基を有する脂肪族アミンである。例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、1,2ジアミノシクロヘキサン、1,4ジアミノシクロヘキサン、1,3ビスジピペリジルプロパン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、2−メチルピペラジン、2,6−ジメチルピペラジン、2,3,5−トリメチルピペラジン、2,5−ジエチルピペラジン、2,3,5−トリエチルピペラジン、2−n−プロピルピペラジン、2,5−ジ−n−ブチルピペラジンなどが例示され、性能発現の安定性から、特に、エチレンジアミン、ピペラジンが好ましい。
これらのアミンは単独で用いることもできるし、混合して用いても良いが、1級アミンを含有するアミンを少なくとも1つ用いる必要がある。
多官能酸ハロゲン化物とは、一分子中に2個以上のハロゲン化カルボニル基を有する酸ハロゲン化物であり、上記アミンとの反応によりポリアミドを与えるものであれば特に限定されない。多官能酸ハロゲン化物としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,3−ベンゼンジカルボン酸、1,4−ベンゼンジカルボン酸の酸ハロゲン化物を用いることができる。酸ハロゲン化物の中でも、酸塩化物が好ましく、特に経済性、入手の容易さ、取り扱い易さ、反応性の容易さ等の点から、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸の酸ハロゲン化物であるトリメシン酸クロライドが好ましい。上記多官能酸ハロゲン化物は単独で用いることもできるが、混合物として用いてもよい。
多官能酸ハロゲン化物を溶解する有機溶媒は、水と非混和性であり、かつ多孔性支持膜を破壊しないことが好ましく、架橋ポリアミドの生成反応を阻害しないものであればいずれであっても良い。代表例としては、液状の炭化水素、トリクロロトリフルオロエタンなどのハロゲン化炭化水素が挙げられるが、オゾン層を破壊しない物質であることや入手のしやすさ、取り扱いの容易さ、取り扱い上の安全性を考慮すると、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ヘプタデカン、ヘキサデカンなど、シクロオクタン、エチルシクロヘキサン、1−オクテン、1−デセンなどの単体あるいはこれらの混合物が好ましく用いられる。
次に、本発明に用いられる複合半透膜の好ましい製造方法について説明する。複合半透膜中の実質的に分離性能を有する分離機能層は、例えば、多官能アミンを含有する水溶液と、前述の多官能酸ハロゲン化物を含有する、水とは非混和性の有機溶媒溶液を用い、後述の多孔性支持膜上で反応させることにより形成される。このようにして形成されたポリアミド分離機能層はポリマー末端に1級アミノ基を有する。
ここで、多官能アミンを含有する水溶液の濃度は、0.1〜20重量%が好ましく、より好ましくは0.5〜15重量%である。
多官能アミンを含有する水溶液や多官能酸ハロゲン化物を含有する有機溶媒溶液には、両成分間の反応を妨害しないものであれば、必要に応じて、アシル化触媒や極性溶媒、酸捕捉剤、界面活性剤、酸化防止剤等の化合物が含まれていてもよい。
本発明において、多孔性支持膜は、架橋ポリアミドなどの分離機能層を支持するために使用される。多孔性支持膜の構成は特に限定されないが、好ましい多孔性支持膜としては布帛により強化されたポリスルホン支持膜などを例示することができる。多孔性支持膜の孔径や孔数は特に限定されないが、均一で微細な孔あるいは片面からもう一方の面まで徐々に大きな微細な孔を有していて、その微細孔の大きさは、その片面の表面が100nm以下であるような構造の支持膜が好ましい。
本発明に使用する多孔性支持膜は、ミリポア社製”ミリポアフィルターVSWP”(商品名)や、東洋濾紙社製”ウルトラフィルターUK10”(商品名)のような各種市販材料から選択することもできるが、”オフィス・オブ・セイリーン・ウォーター・リサーチ・アンド・ディベロップメント・プログレス・レポート”No.359(1968)に記載された方法に従って製造することができる。
多孔性支持膜に使用する素材は特に限定されず、例えば、ポリスルホン、酢酸セルロース、硝酸セルロース、ポリ塩化ビニル等のホモポリマーあるいはブレンドしたもの等が使用できるが、化学的、機械的、熱的に安定性の高い、ポリスルホンを使用するのが好ましい。具体的に例示すると、ポリスルホンのジメチルホルムアミド(以降、DMFと記載)溶液を密に織ったポリエステル布あるいは不織布の上に略一定の厚さに塗布し、DMF2重量%を含む水溶液中で湿式凝固させることによって、表面の大部分が直径数10nm以下の微細な孔を有した好適な多孔性支持膜を得ることができる。
多孔性支持膜表面への多官能アミンを含有する水溶液の被覆は、該水溶液が表面に均一にかつ連続的に被覆されればよく、公知の塗布手段、例えば、該水溶液を多孔性支持膜表面にコーティングする方法、多孔性支持膜を該水溶液に浸漬する方法等で行えばよい。次いで、過剰に塗布された該水溶液を液切り工程により除去する。液切りの方法としては、例えば膜面を垂直方向に保持して自然流下させる方法等がある。液切り後、膜面を乾燥させ、水溶液の水の全部あるいは一部を除去してもよい。その後、多官能アミンを含有する水溶液で被覆した多孔性支持膜に、前述の多官能酸ハロゲン化物を含有する有機溶媒溶液を塗布し、反応により架橋ポリアミドの分離機能層を形成させる。
多官能酸ハロゲン化物の濃度は特に限定されないが、少なすぎると活性層である分離機能層の形成が不十分となり欠点になる可能性があり、多いとコスト面から不利になるため、有機溶媒溶液中で0.01〜1.0重量%程度が好ましい。反応後の有機溶媒の除去は、例えば、特開平5−76740号公報記載の方法等で行うことができる。
このようにして得られた複合半透膜は、このままでも使用できるが、使用する前に水洗などによって未反応残存物を取り除くことが好ましい。すなわち、30〜100℃の範囲内にある水で膜を洗浄し、残存するアミノ化合物などを除去することが好ましい。また、洗浄は、上記温度範囲内にある水中に支持膜を浸漬したり、水を吹き付けたりして行うことができる。用いる水の温度が30℃を下回ると、複合半透膜中にアミノ化合物が残存し透過水量が低くなる傾向にある。また、オートクレーブやスチームなどで100℃を超える温度で洗浄を行うと、膜が熱収縮を起こすことがあり、やはり透過水量が低くなる傾向にある。さらに、この後、各種後処理を行うことが好ましい。
そして、上述の方法により製造した複合半透膜を、第一級アミノ基と反応してジアゾニウム塩またはその誘導体を生成する試薬に接触させ、ジアゾニウム塩またはその誘導体を生成する。そして、かかるジアゾニウム塩またはその誘導体を熱水(常温の水を加熱した水)に接触させ、当該ジアゾニウム塩の一部をフェノール化させた後に、ジアゾニウム塩との反応性試薬と接触させることで、様々な官能基を複合半透膜の分離機能層中に最適量導入することが可能となる。複合半透膜に熱水、および反応性試薬を接触させる方法は特に限定されず、たとえば、複合半透膜全体を熱水、および反応性試薬中に浸漬する方法でも良いし、熱水、および反応性試薬をスプレーする方法でも良く、分離機能層と熱水、および反応性試薬が接触するならば、その方法は限定されない。
本発明の、第一級アミノ基と反応してジアゾニウム塩またはその誘導体を生成する試薬としては、亜硝酸およびその塩、ニトロシル化合物などの水溶液が挙げられる。亜硝酸やニトロシル化合物の水溶液は気体を発生して分解しやすいので、例えば、亜硝酸塩と酸性溶液との反応によって亜硝酸を逐次生成するのが好ましい。一般に、亜硝酸塩は水素イオンと反応して亜硝酸(HNO)を生成するが、20℃で水溶液のpHが7以下、好ましくは5以下、さらに好ましくは4以下で効率よく生成する。中でも、取り扱いの簡便性から水溶液中で塩酸または硫酸と反応させた亜硝酸ナトリウムの水溶液が特に好ましい。
本発明において、前記第一級アミノ基と反応してジアゾニウム塩またはその誘導体を生成する試薬中の亜硝酸や亜硝酸塩の濃度は、好ましくは20℃において0.01〜1重量%の範囲である。0.01%よりも低い濃度では十分な効果が得られず、亜硝酸、亜硝酸塩濃度が1%よりも高いと溶液の取扱いが困難となる。
亜硝酸水溶液の温度は15℃〜45℃が好ましい。これ以下の温度だと反応に時間がかかり、45℃以上だと亜硝酸の分解が早く取り扱いが困難である。
亜硝酸水溶液との接触時間は、ジアゾニウム塩が生成する時間であればよく、高濃度では短時間で処理が可能であるが、低濃度であると長時間必要である。低濃度で長時間掛けてジアゾニウム塩を生成させるとジアゾニウム塩との反応性試薬と反応させる前にジアゾニウム塩がカップリング反応を起こすため、高濃度で短時間処理を行う方が望ましい。たとえば、2000mg/lの亜硝酸水溶液では30秒から10分が好ましい。
生成したジアゾニウム塩は水と接触させることでフェノールに変換される。水の他にも、ジアゾニウム塩との反応性試薬と反応させることで膜の特性を様々に変えることが可能である。ここで用いる反応性試薬とは、塩化物イオン、臭化物イオン、シアン化物イオン、ヨウ化物イオン、フッ化ホウ素酸、次亜リン酸、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸イオン、芳香族アミン、硫化水素、チオシアン酸等が挙げられる。塩化物イオン、臭化物イオン、シアン化物イオンはそのままでは反応性が低く塩化銅を共存させることが必要である。たとえば、次亜リン酸のような還元剤を用いるとアミノ基を水素に置換することが可能となる。芳香族アミンを用いることでジアゾカップリング反応が起こり膜面に芳香族アミンを導入することが可能となる。好ましくは亜硫酸水素ナトリウム、および亜硫酸イオンである。亜硫酸水素ナトリウムと反応させると瞬時に置換反応が起こり、アミノ基がスルホ基に置換される。
生成したジアゾニウム塩を、水との反応と、反応性試薬との反応を制御することで目的に応じた膜を作ることができる。水との反応は反応速度が遅いため、40℃以上80℃以下の水(以下、適宜「熱水」と称する。)と接触させ反応を加速し、ジアゾニウム塩の一部をフェノール化させた後、反応性試薬と接触させることで達成できる。
熱水温度が40℃未満の時は反応速度が遅く、反応時間が掛かり、フェノール化の量を制御することも難しい。40℃以上の熱水と接触させることで、短時間でフェノール化を進行させることが可能となる。また、80℃より高温ではポリマーの収縮がおこり透過水量が低下してしまう。さらに好ましい熱水温度は50℃〜70℃である。
熱水との接触時間は1分から10分が好ましい。1分以下では反応が不十分であるし、10分以上だとポリマー収縮による造水量低下が起こる。さらに好ましい接触時間は1.5分〜5分である。
たとえば、反応性試薬に亜硫酸水素ナトリウムを用いた場合、高温もしくは長時間の熱水処理でフェノール化が進行するに伴い、低除去率、高透過水量の膜が得られる。熱水温度、熱水との接触時間を選択することで最適な性能の膜を得ることが出来る。
そして、本発明によれば、操作圧力0.5MPa、温度25℃にて塩化ナトリウム500ppmを含有するpH6.5の水溶液で評価したときの性能が、塩化ナトリウムの排除率が99%以上、透過水量が1.0m/m・日以上であることを特徴とする複合半透膜を得ることが出来る。
本発明の製造方法で得られた複合半透膜を用いて、例えば、操作圧力0.1〜3.0MPaで原水中に含まれる無機物や有機物などの有害物質およびその前駆物質の除去を行うことができる。
ここで、操作圧力を低くすると使用するポンプの容量が少なくなり電力費が低下する反面、膜が目詰まりしやすくなり透過水量が少なくなる傾向がある。逆に、操作圧力を高くすると前記の理由で電力費が増加し、透過水量が多くなる傾向がある一方、透過水量が高すぎると膜面のファウリングによる目詰まりを起こす可能性があり、低いとコスト高となる。したがって、コストを抑えて安定運転を行うためには、操作圧力を0.1〜3.0MPaの範囲とすることが好ましく、より好ましくは0.1〜2.0MPa、さらに好ましくは0.1〜1.0MPaの範囲内である。また、同様の理由から、透過水量の範囲を、0.5〜5.0m/m・日の範囲とすることが好ましく、より好ましくは0.6〜3.0m/m・日、さらに好ましくは0.8〜2.0m/m・日の範囲内である。
また、効率的に供給水を処理して造水コストを下げるため、原水供給量に対する透過水量の割合、すなわち回収率は80%以上が好ましく、より好ましくは85%以上、さらには90%以上が良い。ただし、供給水中の溶解物によっては回収率を上げるとスケールが発生するため、スケ−ル防止剤を添加したり、pHを調整することが必要となり、最も経済的な回収率で運転することが望ましい。
なお、本発明において、複合半透膜の形態は限定されるものではなく、中空糸膜でも平膜でもよい。また、本発明により得られる改質複合半透膜は液体分離に用いる場合エレメント、モジュールを形成するが、その形態もモジュール型、スパイラル型など特に限定されるものではない。
以下に実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。実施例および比較例において膜評価は、温度25℃、pH6.5、濃度が500mg/lの塩化ナトリウム水溶液を用い操作圧力0.5MPaの条件で3時間ろ過したときの透過水量を評価した。
透過水量は、単位時間(日)に単位面積(m)当たりの膜を透過する水量で求めた。
なお、実施例において除去率は次式により求めた。
除去率(%)={1−(透過液中の溶質濃度)/(供給液中の溶質濃度)}×100。
また、透過する水量は単位時間(日)に単位面積(m)当たりの膜を透過する透過水量(m/m・日)として求めた。
<実施例1>
多孔性支持膜である布帛補強ポリスルホン支持膜(限外濾過膜)は、次の手法により製造した。すなわち、単糸繊度0.5および1.5デシテックスのポリエステル繊維の混繊で、通気度0.7cm/cm・秒、平均孔径7μm以下の、縦30cm、横20cmの大きさの湿式不織布をガラス板上に固定し、その上に、ジメチルホルムアミド(DMF)溶媒のポリスルホン濃度15重量%の溶液(2.5ポアズ:20℃)を、総厚み200μmになるようにキャストし、直ちに水に浸積してポリスルホンの多孔性支持膜を得た(これをPS支持膜と記す)。
次に、この多孔性支持膜をm−フェニレンジアミンの1.5重量%、εカプロラクタム1.5wt%水溶液に2分間浸漬した後、デカンにトリメシン酸クロライドを0.06重量%になるように溶解した溶液を160cm/mの割合になるように塗布した。次に、膜を垂直にして余分な溶液を液切りして除去した後、膜面に残った溶媒を蒸発させるために、膜表面での風速が8m/sとなるように、温度30℃の空気を1分間吹き付けた後、1%NaCO水溶液で残存している酸ハライド基を加水分解させた。その後90℃の熱水に2分間浸漬し複合半透膜を得た。
この膜を、硫酸によりpHを3に調整した2000mg/lの亜硝酸ナトリウム水溶液に30℃で60秒浸漬した。その後50℃の熱水に2分間浸漬した後、1000mg/lの亜硫酸水素ナトリウム水溶液に浸漬した。膜性能を表1に示す。
<実施例2〜5>
熱水温度を表1記載の温度に変えた以外は、実施例1と同様に膜を作成した。
<比較例1、2>
熱水温度を90℃、30℃に変えた以外は、実施例1と同様に膜を作成した。
<比較例3>
熱水に浸漬しない以外は、実施例1と同様に膜を作成した。
<比較例4>
熱水に浸漬後、水に浸漬した以外は、実施例1と同様に膜を作成した。
Figure 2007090192

Claims (5)

  1. 第一級アミノ基を含む分離機能層を有する複合半透膜を、第一級アミノ基と反応してジアゾニウム塩またはその誘導体を生成する試薬に接触させた後、40℃以上80℃以下の水に接触させ、しかる後にジアゾニウム塩との反応性試薬と接触させることを特徴とする複合半透膜の処理方法。
  2. 前記第一級アミノ基と反応してジアゾニウム塩またはその誘導体を生成する試薬が、亜硝酸および/またはその塩を含む水溶液である、請求項1に記載の複合半透膜の処理方法。
  3. 前記ジアゾニウム塩との反応性試薬が、亜硫酸イオンまたは亜硫酸水素イオンであることを特徴とする請求項1または2に記載の複合半透膜の処理方法。
  4. 前記40℃以上80℃以下の水に接触させる時間が、1分以上10分以下であることを特徴とする請求項1〜3に記載の複合半透膜の処理方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の処理方法を用いた処理工程を含む複合半透膜の製造方法。
JP2005281320A 2005-09-28 2005-09-28 複合半透膜の処理方法および製造方法 Expired - Fee Related JP4618081B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005281320A JP4618081B2 (ja) 2005-09-28 2005-09-28 複合半透膜の処理方法および製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005281320A JP4618081B2 (ja) 2005-09-28 2005-09-28 複合半透膜の処理方法および製造方法

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2007090192A true JP2007090192A (ja) 2007-04-12
JP2007090192A5 JP2007090192A5 (ja) 2008-07-31
JP4618081B2 JP4618081B2 (ja) 2011-01-26

Family

ID=37976490

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005281320A Expired - Fee Related JP4618081B2 (ja) 2005-09-28 2005-09-28 複合半透膜の処理方法および製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4618081B2 (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009255075A (ja) * 2008-03-28 2009-11-05 Toray Ind Inc 複合半透膜の製造方法
WO2011078047A1 (ja) * 2009-12-24 2011-06-30 東レ株式会社 複合半透膜およびその製造方法
WO2011078131A1 (ja) * 2009-12-22 2011-06-30 東レ株式会社 半透膜およびその製造方法
WO2011105278A1 (ja) 2010-02-23 2011-09-01 東レ株式会社 複合半透膜およびその製造方法
WO2012020680A1 (ja) 2010-08-11 2012-02-16 東レ株式会社 分離膜エレメントおよび複合半透膜の製造方法
WO2012090862A1 (ja) * 2010-12-28 2012-07-05 東レ株式会社 複合半透膜
WO2012137635A1 (ja) 2011-04-01 2012-10-11 東レ株式会社 複合半透膜、複合半透膜エレメントおよび複合半透膜の製造方法
WO2014050701A1 (ja) 2012-09-26 2014-04-03 東レ株式会社 複合半透膜
WO2017111140A1 (ja) 2015-12-25 2017-06-29 東レ株式会社 複合半透膜

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63175604A (ja) * 1987-01-15 1988-07-20 フイルムテク コーポレーシヨン 逆浸透膜
JPH06182166A (ja) * 1992-12-22 1994-07-05 Toray Ind Inc 複合逆浸透膜およびその製造方法
JP2005186059A (ja) * 2003-12-03 2005-07-14 Toray Ind Inc 半透膜の処理方法ならびに改質半透膜およびその製造方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63175604A (ja) * 1987-01-15 1988-07-20 フイルムテク コーポレーシヨン 逆浸透膜
JPH06182166A (ja) * 1992-12-22 1994-07-05 Toray Ind Inc 複合逆浸透膜およびその製造方法
JP2005186059A (ja) * 2003-12-03 2005-07-14 Toray Ind Inc 半透膜の処理方法ならびに改質半透膜およびその製造方法

Cited By (30)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009255075A (ja) * 2008-03-28 2009-11-05 Toray Ind Inc 複合半透膜の製造方法
WO2011078131A1 (ja) * 2009-12-22 2011-06-30 東レ株式会社 半透膜およびその製造方法
KR101876694B1 (ko) * 2009-12-22 2018-07-09 도레이 카부시키가이샤 반투막 및 그의 제조 방법
US9486745B2 (en) 2009-12-22 2016-11-08 Toray Industries, Inc. Semipermeable membrane and manufacturing method therefor
CN102665883A (zh) * 2009-12-22 2012-09-12 东丽株式会社 半透膜及其制造方法
JP5807547B2 (ja) * 2009-12-22 2015-11-10 東レ株式会社 半透膜およびその製造方法
US8631946B2 (en) 2009-12-24 2014-01-21 Toray Industries, Inc. Composite semipermeable membrane and method for producing same
WO2011078047A1 (ja) * 2009-12-24 2011-06-30 東レ株式会社 複合半透膜およびその製造方法
KR101742342B1 (ko) 2009-12-24 2017-05-31 도레이 카부시키가이샤 복합 반투막 및 그의 제조 방법
CN102665881A (zh) * 2009-12-24 2012-09-12 东丽株式会社 复合半透膜及其制造方法
CN102665881B (zh) * 2009-12-24 2013-08-14 东丽株式会社 复合半透膜及其制造方法
CN102781560B (zh) * 2010-02-23 2015-05-20 东丽株式会社 复合半透膜及其制造方法
WO2011105278A1 (ja) 2010-02-23 2011-09-01 東レ株式会社 複合半透膜およびその製造方法
CN102781560A (zh) * 2010-02-23 2012-11-14 东丽株式会社 复合半透膜及其制造方法
JP5741431B2 (ja) * 2010-02-23 2015-07-01 東レ株式会社 複合半透膜およびその製造方法
EP2604333A4 (en) * 2010-08-11 2017-04-12 Toray Industries, Inc. Separation membrane element and method for producing composite semipermeable membrane
WO2012020680A1 (ja) 2010-08-11 2012-02-16 東レ株式会社 分離膜エレメントおよび複合半透膜の製造方法
EP2659956A4 (en) * 2010-12-28 2017-04-12 Toray Industries, Inc. Composite semipermeable membrane
WO2012090862A1 (ja) * 2010-12-28 2012-07-05 東レ株式会社 複合半透膜
JP6136266B2 (ja) * 2010-12-28 2017-05-31 東レ株式会社 複合半透膜
KR20180004841A (ko) * 2010-12-28 2018-01-12 도레이 카부시키가이샤 복합 반투막
JPWO2012090862A1 (ja) * 2010-12-28 2014-06-05 東レ株式会社 複合半透膜
KR101962155B1 (ko) * 2010-12-28 2019-07-17 도레이 카부시키가이샤 복합 반투막
WO2012137635A1 (ja) 2011-04-01 2012-10-11 東レ株式会社 複合半透膜、複合半透膜エレメントおよび複合半透膜の製造方法
KR20180124151A (ko) 2011-04-01 2018-11-20 도레이 카부시키가이샤 복합 반투막, 복합 반투막 엘리먼트 및 복합 반투막의 제조 방법
WO2014050701A1 (ja) 2012-09-26 2014-04-03 東レ株式会社 複合半透膜
KR20150060732A (ko) 2012-09-26 2015-06-03 도레이 카부시키가이샤 복합 반투막
US9827536B2 (en) 2012-09-26 2017-11-28 Toray Industries, Inc. Composite semipermeable membrane
WO2017111140A1 (ja) 2015-12-25 2017-06-29 東レ株式会社 複合半透膜
KR20180096639A (ko) 2015-12-25 2018-08-29 도레이 카부시키가이샤 복합 반투막

Also Published As

Publication number Publication date
JP4618081B2 (ja) 2011-01-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4618081B2 (ja) 複合半透膜の処理方法および製造方法
JP5262668B2 (ja) 複合ナノろ過膜
JP5640972B2 (ja) 複合半透膜およびその製造方法
JP5895838B2 (ja) 分離膜エレメントおよび複合半透膜の製造方法
KR101432219B1 (ko) 역삼투 분리막
WO2013047398A1 (ja) 複合半透膜
KR102293090B1 (ko) 복합 반투막
JP5267273B2 (ja) 複合半透膜の製造方法
JP4525296B2 (ja) 複合半透膜の製造方法
JPWO2014133133A1 (ja) 複合半透膜
JP2009006315A (ja) 複合半透膜の製造方法
JP2011125856A (ja) 複合半透膜の製造方法およびポリアミド複合半透膜
JP2006021094A (ja) 複合半透膜及びその製造方法
JP7342528B2 (ja) 複合半透膜および複合半透膜の製造方法
JP5130967B2 (ja) 複合半透膜の製造方法
JP2009078218A (ja) 複合半透膜の製造方法
JP2005177741A (ja) 半透膜の処理方法ならびに改質半透膜およびその製造方法
JP2012143750A (ja) 複合半透膜の製造方法
JP3780734B2 (ja) 複合半透膜
JP5120006B2 (ja) 複合半透膜の製造方法
JP4470472B2 (ja) 複合半透膜及びそれを用いた水の製造方法
WO2017110898A1 (ja) 複合半透膜
KR102230992B1 (ko) 수처리 분리막 및 이의 제조방법
JP2005144211A (ja) 複合半透膜及びその製造方法ならびに流体分離素子の処理方法
JP4400123B2 (ja) 液体分離膜および液体処理方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080610

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080617

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100820

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100831

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100906

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100928

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20101011

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131105

Year of fee payment: 3

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 4618081

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131105

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees