JP2007048951A - 樹脂結合型磁石の製造方法 - Google Patents

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真一 林
Kenji Omori
賢次 大森
Takashi Sato
崇志 佐藤
Hideo Kawabata
秀生 河端
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Abstract

【課題】樹脂バインダーとして熱硬化性樹脂を含む樹脂結合型磁石用組成物を成形して樹脂結合型磁石を得る際に、金型からの離型性を向上させることができ、安定生産性に優れる樹脂結合型磁石の製造方法を提供する。
【解決手段】磁性粉末(A)と、バインダー成分として熱硬化性樹脂(B)とを含む樹脂結合型磁石用組成物を射出成形することによって樹脂結合型磁石を製造する方法であって、射出成形に用いる金型の内面に、あらかじめパーフルオロアルキルホスホン酸またはその塩から選ばれる含フッ素有機リン化合物を含有する離型剤(C)を塗布することを特徴とする樹脂結合型磁石の製造方法によって提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂結合型磁石の製造方法に関し、より詳しくは、樹脂バインダーとして熱硬化性樹脂を含む樹脂結合型磁石用組成物を成形して樹脂結合型磁石を得る際に、金型からの離型性を向上させることができ、安定生産性に優れる樹脂結合型磁石の製造方法に関するものである。
従来から、フェライト磁石、アルニコ磁石、希土類磁石等は、モーターをはじめとする種々の用途に用いられている。しかし、これらの磁石は、主に焼結法により作られるために、一般に脆く、薄肉のものや複雑な形状のものが得難いという欠点を有している。それに加えて、焼結時の収縮が15〜20%と大きいため、寸法精度の高いものが得られず、精度を上げるには研磨等の後加工が必要であるという欠点をも有している。
一方、樹脂結合型磁石は、これらの欠点を解決すると共に新しい用途をも開拓するために、近年になって開発されたものであるが、通常は、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂等の熱可塑性樹脂をバインダーとし、これに磁性粉末を充填することにより製造されている。しかし、こうした熱可塑性樹脂をバインダーとして用いる樹脂結合型磁石は、成形時に200℃以上の高温下に晒されるため、磁気特性、特に保磁力や角型性が低下する。
また、エポキシ樹脂やビス・マレイミドトリアジン樹脂などの熱硬化性樹脂をバインダーとし、これに磁性粉末を充填した樹脂結合型磁石もあるが、バインダー量が希少であるため圧縮成形法による単純成形品しか得られていない。
近年、小型モーター、音響機器、OA機器等に用いられる樹脂結合型磁石では、機器の小型化、高性能化に対応して、SmCo系、NdFeB系、SmFeN系磁性粉末等の、希土類元素および遷移金属元素を含む磁性粉末を用いた樹脂結合型磁石が普及してきている。
そのため、本出願人は、不飽和ポリエステル樹脂、あるいはビニルエステル樹脂を樹脂バインダーとし有機過酸化物を含んだ樹脂結合型磁石用組成物を提案した(特許文献1参照)。これにより、従来の熱可塑性樹脂を用いた射出成形法によって得られる、低磁気特性ではあるが複雑形状の成形が可能な樹脂結合型磁石と、従来の熱硬化性樹脂を用いた圧縮成形法によって得られる、高磁気特性ではあるが単純形状しか得られない樹脂結合型磁石の、それぞれの欠点を解消し、磁気特性だけでなく、形状自由度、成形性、機械強さにも優れた樹脂結合型磁石が効率的に製造できるようになった。
ところが、熱硬化性樹脂を用いた樹脂結合型磁石用組成物を射出成形する際には、硬化反応を金型にて進行させるため金型を100℃以上に加温しなければならず、この条件にて射出成形を行うと上記樹脂結合型磁石用組成物がその流路となるスプルー、ランナー、キャビティのみならずキャビティ周辺部にまで上記樹脂結合型磁石用組成物がはみ出して、バリを形成する。
一般的に、バリは、熱可塑性樹脂を用いた際に金型の磨耗等によって形成されることが多く、そのため量産設備においてはエアーブローが行われ比較的容易に除去されている。ところが、熱硬化性樹脂を用いて射出成形した場合に発生したバリは、エアーブローを用いても除去することができず、金型に付着したままとなり別の洗浄作業を要する場合が多く、生産効率を低下させていた。
そこで、離型性を向上させるため、磁性粉末と熱硬化性樹脂を含む樹脂結合型磁石用組成物に、特許文献2に記載されたような内部離型剤を添加することが考えられる。しかし、ここに記載されたフッ素系ホスホン酸類を添加した場合、熱硬化性樹脂の機械的強さを発現させる架橋反応が進行せず、使用に耐えうる強さの樹脂結合型磁石を得ることができなかった。
一方、前記焼結磁石の製造においては、成形体のひび割れなどの不良品を低減するために、成形時に外部離型剤が使用され、カプロン酸メチル、又はカプリル酸メチルと飽和脂肪酸と溶剤を含むR−Fe−B系磁石成形用離型剤が提案されている(特許文献3参照)。
しかし、樹脂結合型磁石の場合は、このような焼結磁石用の離型剤を用いても、樹脂結合型磁石用組成物を射出成形する際に形成されたバリは、上記のような状況と同様ほとんど除去することができなかった。また、汎用のパラフィン系、シリコーン系の離型剤や離型スプレーを使用しても、バリの除去に対して十分な効果を得ることができなかった。
さらに、これら以外の界面活性剤に外部離型剤として有効なものがありうるが、界面活性剤は、脂肪族アミン塩、オレイン酸アンモンなどのカチオン界面活性剤、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩などのアニオン界面活性剤、イミダゾリニウムベタインなどの両性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテルなどの非イオン界面活性剤、フルオロアルキルカルボン酸、フルオロアルキルホスホン酸などのフッ素系界面活性剤と分類され、このような多くの界面活性剤の中から、離型性能に優れるものを選択することは容易ではない。
パーフルオロアルキル基を含有するリン酸エステルなどのフッ素系界面活性剤が、ポリウレタンなどの熱硬化性樹脂の外部離型剤として提案されている(特許文献4参照)。この特許文献では、得られる成形体の表面平滑性を高めるためにパーフルオロアルキル基を含有する(メタ)アクリル酸エステル重合体を併用している。しかしながら、これを用いて不飽和ポリエステルやビニルエステルなどを含む樹脂結合型磁石用組成物を射出成形しようとしても、バリの除去効率が悪く、外部離型剤として実使用できなかった。
このような状況下、熱硬化性樹脂である不飽和ポリエステル樹脂、あるいはビニルエステル樹脂などを樹脂バインダーとする樹脂結合型磁石用組成物を成形して、樹脂結合型磁石を製造する際に、外部離型剤を用いることで、金型に形成されるバリをエアーブローで容易に除去でき、安定的に成形できる方法が望まれていた。
特開2002−118011号公報 特開平2−18430号公報 特開2000−109903号公報 特公平3−48846号公報
本発明の目的は、上記の課題に鑑み、樹脂バインダーとして熱硬化性樹脂を含む樹脂結合型磁石用組成物を成形して樹脂結合型磁石を得る際に、金型からの離型性を向上させることができ、安定生産性に優れる樹脂結合型磁石の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記の目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、樹脂バインダーとして不飽和ポリエステル樹脂、あるいはビニルエステル樹脂などの熱硬化性樹脂を含む樹脂結合型磁石用組成物を射出成形する際に、あらかじめ金型のパーティング面に特定の含フッ素有機リン化合物を含有する離型剤を塗布することで、金型に形成されたバリをエアーブローで容易に除去でき、優れた性能を有する樹脂結合型磁石を安定的に生産できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、磁性粉末(A)と、バインダー成分として熱硬化性樹脂(B)とを含む樹脂結合型磁石用組成物を射出成形することによって樹脂結合型磁石を製造する方法であって、射出成形に用いる金型の内面に、あらかじめパーフルオロアルキルホスホン酸またはその塩から選ばれる含フッ素有機リン化合物を含有する離型剤(C)を塗布することを特徴とする樹脂結合型磁石の製造方法が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、磁性粉末(A)が、構成元素中に希土類元素および遷移金属元素を含む磁性粉末を含むことを特徴とする樹脂結合型磁石の製造方法が提供される。
また、本発明の第3の発明は、第1の発明において、磁性粉末(A)の表面に、リン酸鉄と希土類金属リン酸塩を含む複合金属リン酸塩被膜(A−1)とシリケート被膜(A−2)が順次被覆形成されていることを特徴とする樹脂結合型磁石の製造方法が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第3の発明において、複合金属リン酸塩被膜(A−1)が、磁性粉末(A)の粉末重量当たり、0.1〜2mol/kgのリン酸を添加して形成されることを特徴とする樹脂結合型磁石の製造方法が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第3の発明において、複合金属リン酸塩被膜(A−1)が、Al、Zn、Mn、Cu、又はCaから選ばれる1種以上を金属成分とする金属リン酸塩をさらに含有することを特徴とする樹脂結合型磁石の製造方法が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第3の発明において、シリケート被膜(A−2)が、下記の一般式(1)で示されるポリアルコキシポリシロキサンを加水分解して得られることを特徴とする樹脂結合型磁石の製造方法が提供される。式(1)中、Rは同一あるいは異なる炭素数1〜6のアルキル基、nは2〜100である。
Figure 2007048951
また、本発明の第7の発明によれば、第3又は6の発明において、シリケート被膜(A−2)が、さらにアルミニウムキレート化合物を添加して形成されることを特徴とする樹脂結合型磁石の製造方法が提供される。
また、本発明の第8の発明によれば、第3の発明において、シリケート被膜(A−2)が、100〜150℃で焼き付け乾燥されることを特徴とする樹脂結合型磁石の製造方法が提供される。
また、本発明の第9の発明によれば、第3又は6〜8のいずれかの発明において、シリケート被膜(A−2)の表面に、さらに、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、またはアルミニウム系カップリング剤から選ばれるいずれかのカップリング剤を用いたカップリング剤処理被膜(A−3)を被覆形成することを特徴とする樹脂結合型磁石の製造方法が提供される。
また、本発明の第10の発明によれば、第9の発明において、カップリング剤が、シラン系カップリング剤であることを特徴とする樹脂結合型磁石の製造方法が提供される。
また、本発明の第11の発明によれば、第6又は9の発明において、ポリアルコキシポリシロキサン又はカップリング剤の量が、磁性粉末(A)に対して、0.01〜5重量%であることを特徴とする樹脂結合型磁石の製造方法が提供される。
さらに、本発明の第12の発明によれば、第3又は9の発明において、被膜の厚さの合計が1〜100nmであることを特徴とする樹脂結合型磁石の製造方法が提供される。
また、本発明の第13の発明によれば、第1の発明において、熱硬化性樹脂(B)が、不飽和ポリエステル樹脂、又はビニルエステル樹脂より選ばれる少なくとも一種の樹脂であることを特徴とする樹脂結合型磁石の製造方法が提供される。
一方、本発明の第14の発明によれば、第1の発明において、離型剤(C)が、次の一般式(2)で示される含フッ素有機リン化合物を含むことを特徴とする樹脂結合型磁石の製造方法が提供される。式(2)中、Rfは炭素数3〜12のパーフルオロ基、Rはフェニレン基、nは1〜3の整数、Mは水素、金属元素、またはアンモニウム基から選ばれる一種又は二種である。
Figure 2007048951
また、本発明の第15の発明によれば、第1の発明において、離型剤(C)が、有機溶媒及び/又はガスとの混合物であることを特徴とする樹脂結合型磁石の製造方法が提供される。
また、本発明の第16の発明によれば、第15の発明において、離型剤(C)の濃度が、1〜5重量%であることを特徴とする樹脂結合型磁石の製造方法が提供される。
また、本発明の第17の発明によれば、第1の発明において、離型剤(C)を金型の内面に塗布する際に、前記金型をあらかじめ100〜200℃に加熱することを特徴とする樹脂結合型磁石の製造方法が提供される。
さらに、本発明の第18の発明によれば、第1の発明において、前記射出成形は、射出成形法、射出圧縮成形法、射出プレス成形法、又はトランスファー成形法から選ばれるいずれかの手段によって行われることを特徴とする樹脂結合型磁石の製造方法が提供される。
本発明によれば、磁性粉末と、熱硬化性樹脂である不飽和ポリエステル樹脂、あるいはビニルエステル樹脂などを含んだ樹脂結合型磁石用組成物を成形する際に、あらかじめ特定の含フッ素有機リン化合物を含有する離型剤を成形用金型のパーティング面に塗布するため、金型に形成されるバリをエアーブローで容易に除去することができ、安定的に優れた性能を有する樹脂結合型磁石を製造することができる。
以下に、本発明の樹脂結合型磁石の製造方法を項目毎に詳細に説明する。
本発明の樹脂結合型磁石の製造方法は、磁性粉末(A)と、バインダー成分として熱硬化性樹脂(B)とを含む樹脂結合型磁石用組成物を射出成形することによって樹脂結合型磁石を製造する方法であって、射出成形に用いる金型の内面に、あらかじめパーフルオロアルキルホスホン酸またはその塩から選ばれる含フッ素有機リン化合物を含有する離型剤(C)を塗布することを特徴とする。
1.磁性粉末
本発明において、磁性粉末は、その構成元素中に希土類元素および遷移金属元素を含む磁性粉末であれば、特に制限はなく、通常、樹脂結合型磁石に用いられている磁性粉末を使用できる。
希土類元素としては、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)からなる群から選択される1種又は2種以上である。
遷移金属類元素としては、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)及びマンガン(Mn)からなる群から選択される1種又は2種以上であって、これ以外にCr、V又はCuのいずれかを含有してもよい。
特に好ましい希土類元素は、NdまたはSmのいずれか、遷移金属類元素は、Fe又はCoのいずれかである。また、具体的な磁性粉末には、例えば、異方性磁場(HA)が4MA/m(50kOe)以上の磁性粉末である希土類コバルト系、希土類−鉄−ほう素系、希土類−鉄−窒素系の磁性粉の単独もしくは混合粉、またはフェライト系磁性粉との混合系などが挙げられる。
磁性粉末は、鉄と希土類元素の金属リン酸塩を含む複合金属リン酸塩被膜(A−1)、シリケート被膜(A−2)、あるいはシラン系カップリング剤などによる処理被膜(A−3)から選ばれるいずれかの被膜で被覆されていることが望ましい。複合金属リン酸塩被膜(A−1)の表面にシリケート被膜(A−2)が形成され、このシリケート被膜(A−2)の表面上に、シラン系カップリング剤などによる処理被膜(A−3)が形成されていることがより好ましい。
(A−1)複合金属リン酸塩被膜
本発明において、磁性粉末は、その表面が鉄と希土類元素を金属成分として含む金属リン酸塩(a−1)で均一に被覆され、また、アルミニウム、亜鉛、マンガン、銅又はカルシウムのいずれか1種以上を金属成分として含む金属リン酸塩(a−2)が複合化した被膜で均一に被覆されていることが好ましい。ここで、均一に被覆されるとは、磁性粉末表面の80%以上、好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上が複合金属リン酸塩被膜で覆われていることをいう。
金属リン酸塩(a−1)は、リン酸サマリウム、リン酸鉄などであり、これは磁性粉末を構成する希土類や鉄にリン酸が反応して形成されたもので、これらが複合化した複合金属リン酸塩も含まれる。一方、金属リン酸塩(a−2)は、例えば、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、リン酸マンガン、リン酸銅、リン酸カルシウム、又はこれらが2種以上複合化した金属塩などである。金属成分としては、アルミニウム、亜鉛、マンガン、銅およびカルシウム以外にも、クロム、ニッケル、マグネシウムなどでもよく、これらの金属リン酸塩が複合金属リン酸塩被膜に含まれていてもかまわない。
金属リン酸塩(a−1)、又はこれと金属リン酸塩(a−2)とが複合化した金属リン酸塩は、樹脂バインダーとの結合力を高め、磁性粉末の耐食性を高める成分である。金属リン酸塩(a−1)だけでも充分な耐塩水性を得ることができるが、さらに耐塩水性を高めるためには、金属リン酸塩(a−2)の金属成分、すなわちアルミニウム、亜鉛、マンガン、銅又はカルシウムから選択された1種以上が、複合金属リン酸塩被膜(A−1)の金属成分全量に対して、30重量%以上、特に50重量%以上、より好ましくは80重量%以上含まれた複合金属リン酸塩とすることが好ましい。
(A−2)シリケート被膜
本発明において、磁性粉末は、上記複合金属リン酸被膜の表面上に、シリケート被膜が形成されているものが好ましい。
このシリケート被膜は、その材料によって限定されるものではなく、シリカ粉を機械的に付着する方法、アルコキシシリケートを加水分解して被覆する方法、エチルシリケートを原料とするゾルゲル反応、又はプラズマ化学蒸着法で被覆する方法などによって得ることができるが、アルコキシシリケートを加水分解して得る方法が好適である。
アルコキシシリケートとは、アルコキシ基を有するシリケート化合物であり、具体的には、下記一般式(1)で示されるポリアルコキシポリシロキサンである。式(1)中、Rは同一あるいは異なる炭素数1〜6のアルキル基、nは2〜100である。
Figure 2007048951
このうち、Rが炭素数1〜3のアルキル基であり、nが2〜50のポリアルコキシポリシロキサン、さらには、Rが炭素数1〜2のアルキル基であり、nが2〜20のポリアルコキシポリシロキサンが好ましい。
上記アルコキシシリケートとしては、商品名:MKシリケートMS51(シリカ換算濃度が52重量%であるメチルシリケートオリゴマー、三菱化学(株)製)、商品名:MKシリケートMS56S(シリカ換算濃度が59重量%であるメチルシリケートオリゴマー、三菱化学(株)製)、商品名:ES40(ヒュルスジャパン社製)のようなエチルシリケートの部分加水分解縮合物などを挙げることができる。
ここに例示したシリケートオリゴマーは、ケイ素にアルコキシ基の結合したアルコキシシランを部分加水分解し、更に縮合してなるアルコキシシランのオリゴマーである。原料のアルコキシシランとしては、テトラアルコキシシランなど、加水分解縮合可能な基を2以上有するケイ素化合物が挙げられる。テトラアルコキシシラン、中でもテトラメトキシシランを用いれば容易にシリカ換算濃度を高くすることができる。
部分加水分解・縮合反応によってオリゴマー(低縮合物)を得る際に、適宜触媒を加えることができる。例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸、カルボン酸、スルホン酸等の有機酸等を触媒として用いることができる。また、部分加水分解・縮合反応では、溶媒を存在させることができる。溶媒には、例えば、アルコール、エーテル、ケトン等の水溶性の有機溶媒を用いることができる。溶媒の使用量は、テトラアルコキシシランに対して0.1〜10重量倍、好ましくは0.1〜1.5重量倍とする。テトラアルコキシシランの部分加水分解縮合反応は、所定量の水を必要に応じて適宜攪拌しながら加えるとよい。加熱昇温して、還流状態で加水分解縮合反応を進行させる。還流温度は、溶媒の沸点に近い温度で行う。還流の反応時間は、触媒の種類にもよるが、通常0.5〜10時間、好ましくは2〜5時間である。
次に、部分加水分解縮合反応により生成したアルコールを留出させる。この方法には各種の蒸留、蒸発操作が適用できる。すなわち、常圧又は減圧下でアルコールの沸点以上に加熱して留出させる方法、又は窒素、炭酸ガス、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを導入して留出させる方法などがある。工業的には、常圧で80〜200℃、好ましくは120〜180℃まで溶液で加熱、留去させる方法が適している。テトラアルコキシシランとしてテトラメトキシシランを用い、ポリメトキシポリシロキサンを得る場合は、この際の温度は80〜130℃、好ましくは100〜120℃である。留出時間は、特に制限はないが通常1〜5時間とする。工業的には、この範囲まで昇温した後、その温度を維持して0.5〜10時間、好ましくは1〜5時間保ち、反応を完結させればよく、これにより多量の均一な生成物を効率的に得ることができる。
この反応生成物は、通常、縮合度で2〜30程度の縮合物の混合物として得られる。その一部を分離し、あるいは分離せずにそのまま用いてもよい。なお、本発明においてシリケートオリゴマーのシリカ換算濃度は、特に限定されるものではないが、52重量%以上が好ましく、特に、アルコール換算OH濃度が0.5重量%以下、特に0.1重量%以下とした場合、液の保存安定性が極めて優れたものとなる。OHを0.5重量%以下とする方法も特に限定されるものではなく、例えば、シリケートオリゴマーのOHを縮合させるか、又はエステル交換反応によりアルコキシ基とする方法で調整できる。
また、この方法で得られるシリケートオリゴマーには、通常0.5〜10%程度の、テトラアルコキシシランのモノマーが残存しているので、このモノマーを留去するのが望ましい。テトラメトキシシランのモノマーは角膜等への刺激性等の毒性を有し作業環境上好ましくないだけでなく、オリゴマーの保存安定性に影響を及ぼすことがあるからである。1重量%以下、好ましくは0.2重量%以下にまでモノマーを除去すればよい。
また、シリケートオリゴマーには、これと縮合反応し得る官能基、及び/又は加水分解により縮合反応しうる基を有する反応性有機化合物を配合して、珪素含有組成物とすることができる。反応性有機化合物とは、シリケートオリゴマーの有するアルコキシ基と互いに縮合可能な基を有する有機化合物、及び/又は加水分解によりシリケートオリゴマーの有するアルコキシ基と互いに縮合可能な基を生じうる有機化合物である。このような反応性有機化合物としては、たとえば、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基等を有するものが挙げられ、その分子量は2000以下のものが好ましい。
(A−3)カップリング剤処理被膜
本発明においては、上記磁石粉末のシリケート被膜(A−2)の表面に、更に、樹脂バインダーに対して親和性のあるカップリング剤処理被膜(A−3)を形成することができる。
ここで、カップリング剤としては、磁性粉表面のシリケート被膜、更に詳しくは表面活性シラノール基(Si−OH)と縮合反応を起こすとともに樹脂と十分な親和性を有するものであれば使用でき、特に特定されるものではない。例えば、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤のいずれかが挙げられ、このうちシラン系カップリング剤が好ましい。
本発明において、シラン系カップリング剤は、次の一般式(3)で示されるような、1〜3個の加水分解性基(アルコキシ基)と、1〜3個のアルキル基又は官能基を含有する有機シラン系化合物である。
R(4−n)−Si−X(n) …(3)
式(3)中、Rは直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基、或いは含酸素、含窒素又は含硫黄置換基をもつ官能基のいずれかで、Xは加水分解性基を表し、nは4未満の整数である。
ここで、アルキル基としては、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜15であり、直鎖状、分岐鎖状のいずれであってもよい。シクロヘキシル環、ビニル基、フェニル基を含むものでもよい。官能基とは、含酸素、含窒素又は含硫黄置換基をもつメタクリロキシアルキル、エポキシアルキル、グリシドキシアルキル、アミノアルキル、メルカプトアルキルなどである。アルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシなど炭素数1〜5のアルコキシが挙げられる。
シラン系カップリング剤の具体例としては、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、へプチルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、ノニルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ヘキシルエリメトキシシラン、へプチルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ノニルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アクリルブチルトリメトキシシラン、メタクリルプロピルトリメトキシシラン、p−[N−(2−アミノエチル)アミノメチル]フェネチルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)アミノメチル−3−アミノプロピルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)アミノメチル−3−アミノプロピルメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、N,N−ビス[(メチルジメトキシシリル)プロピル]アミン、N,N−ビス[3−(メチルジメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N−ビス[3−(メチルジメトキシシリル)プロピル]メタクリルアミド、N,N−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アミン、N,N−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]メタクリルアミド、N,N‘−ビス(トリメチルシリル)尿素、ジエチルトリメチルシリルアミン、3−(N,N−ジグリシジル)アミノプロピルトリメトキシシラン、ジメチルトリメチルシリルアミン、ジフェニルシランジオール、N−グリシジル−N,N−ビス[3−(メチルジメトキシシリル)プロピル]アミン、N−グリシジル−N,N−ビス[3−(メトキシシリル)プロピル]アミン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルシクロトリシラザン、ヘキサメチルジシラザン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、ノナメチルトリシラザン、テトラメチルシクロテトラシラザン、テトラメチルジシラザン、N−[(3−トリメトキシシリル)プロピル]ジエチレントリアミン、N−[(3−トリメトキシシリル)プロピル]トリエチレンテトラミン、N−[(3−トリメトキシシリル)プロピル]−m−フェニレンジアミン、N−トリメチルシリルアセトアミド、トリメチルシリルアジド、トリメチルシリルシアナイド、トリメチルシリルイミダゾール、N−トリメチルシリルフェニル尿素等のシラン系カップリング剤が挙げられる。
上記シラン系カップリング剤の中で、好ましいのは、デシルトリメトキシシランなど炭素数3〜10の直鎖状アルキル基、又は炭素数1〜10の官能基を有するトリアルコキシ系シランである。
また、チタン系カップリング剤としては、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリテシルホスファイト)チタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルホスフェート)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート等が挙げられ、アルミニウム系カップリング剤には、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等がある。
上記のように表面被覆された磁性粉末(A)の被膜の膜厚は、平均で1〜100nm、特に10〜80nmであることが好ましい。特に、複合金属リン酸塩被膜(A−1)及びシリケート被膜(A−2)の厚さの合計、複合金属リン酸塩被膜(A−1)及びシラン系カップリング剤処理被膜(A−3)の厚さの合計、あるいは、複合金属リン酸塩被膜(A−1)、シリケート被膜(A−2)及びシラン系カップリング剤処理被膜(A−3)の厚さの合計が平均で1〜100nmであることが好ましい。平均厚さが1nm未満であると十分な耐塩水性、機械強度が得られず、一方、100nmを越えると磁気特性が低下し、また樹脂結合型磁石を作製する際には混練性や成形性が低下する。複層処理被膜膜厚は、上記複層処理被膜で被覆された磁性粉末の断面の電子顕微鏡写真から確認することができる。
本発明においては、被膜の厚さの合計が上記の範囲内にあれば、複合金属リン酸塩被膜(A−1)、シリケート被膜(A−2)、又はシラン系カップリング剤処理被膜(A−3)の個々の厚さが制限されるものではないが、複合金属リン酸塩被膜(A−1)、及びシリケート被膜(A−2)がいずれも5〜40nmであることがさらに好ましい。
2.磁性粉末の表面被覆方法
本発明において、磁性粉末は、次の方法によりその表面を処理して、(1)複合金属リン酸塩被膜、(2)シリケート被膜、(3)カップリング剤処理被膜などで被覆することができる。
(1)複合金属リン酸塩被膜の形成
溶解法あるいは還元拡散法等を用いて得られた希土類元素を含む鉄系磁石合金粗粉は、通常平均粒径20μmを超える粉末を含んでいる。該平均粒径20μmを超える粉末を含む磁石合金粗粉は、磁気特性が低いので、有機溶媒中で平均粒径8μm以下に粉砕する必要がある。この粉砕の際、又は粉砕後に、リン酸を添加した後、該溶液を攪拌することで複合金属リン酸塩被膜を形成する。この際、リン酸とともに、金属化合物として、アルミニウム、亜鉛、マンガン、銅又はカルシウムから選ばれた1種以上の金属の酸化物、複合酸化物、リン酸塩又はリン酸水素化合物を添加することができる。
先ず、平均粒径20μmを超える磁性粉末の粗粉末に、有機溶媒を加え、磁性粉末の粉砕前、あるいは粉砕中に、リン酸を添加して、攪拌を続ける。また、粉砕後の場合、なるべく粉砕から時間をおかずに添加することが望ましい。攪拌は、通常1〜180分間続行することが好ましい。リン酸を添加するのは、磁性粉末の平均粒径が8μm以下であれば、粉砕後であってもよい。
有機溶媒の種類は、特に制限はなく、2−メトキシエタノール、イソプロピルアルコール、エタノール、トルエン、メタノール、ヘキサン等のいずれか1種または2種以上の混合物を用いると良い。但し、メタノールは、リン酸と速やかに反応してエステル化し、良好な被膜が形成されるのを妨げる恐れがあるので取り扱いには注意を要する。
前記の金属成分が容易に金属イオンを生成し、磁性粉末の溶解を適度に調整するためには、N,N−ジメチルホルムアミド、ホルムアミド等の極性溶媒を混合することが望ましい。また、磁性粉末の溶解を促進するために、有機溶媒に水や酸を混合しても良い。
リン酸としては、金属化合物と反応して金属リン酸塩を生成するオルトリン酸をはじめ、亜リン酸、次亜リン酸、ピロリン酸、直鎖状のポリリン酸、環状のメタリン酸が使用できる。また、リン酸アンモニウム、リン酸アンモニウムマグネシウムなども使用できる。これら化合物は、単独でも複数種を組み合わせてもよく、通常、キレート剤、中和剤などと混合して処理剤とされる。
これらのうち、オルトリン酸が好ましい性能を発揮するが、その理由は、これが上記の金属化合物と反応しやすく、希土類系金属を成分とする磁性粉末の表面に保護膜を形成しやすいためと考えられる。
リン酸は、磁性粉末の粒径、表面積等に合わせて最適量を添加するが、通常は、粉砕する磁性粉末に対して0.1〜2mol/kg(粉末重量当たり)であり、好ましくは0.15〜1.5mol/kg、さらに好ましくは0.2〜0.4mol/kgである。リン酸の添加量が0.1mol/kg未満であると、磁性粉末の表面が十分に被覆されないために耐塩水性が改善されず、また大気中で乾燥させると酸化・発熱して磁気特性が極端に低下する。2mol/kgを超えると、磁性粉末との反応が激しく起こって磁性粉末が溶解する。リン酸の濃度は、特に制限されず、無水リン酸、50〜99%リン酸水溶液などが用いられる。
金属成分は、アルミニウム、亜鉛、マンガン、銅又はカルシウムなどのイオンの供給源であり、有機溶媒に溶け金属イオンを生成する酸化物、複合酸化物、リン酸塩又はリン酸水素化合物などの金属化合物である。これらの金属化合物は、溶媒中でイオン化し、磁性粉末の成分である希土類金属や鉄が溶媒へ溶け出すにともない、磁性粉末の表面で反応して金属リン酸塩(a−2)が複合した被膜を形成する。そのため、鉄と希土類元素の金属燐酸塩(a−1)単独の場合に比べて、シリケート被膜などとの結合力をさらに向上することが可能となる。
アルミニウム化合物としては、アルミニウムイオンの供給源となり、有機溶媒に溶ける化合物であれば、特に制限されず、例えば、酢酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、塩化アルミニウムアンモニウム、安息香酸アルミニウム、炭酸アルミニウム、エチルアセト酢酸アルミニウム、ぎ酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、硝酸アルミニウム、ナフテン酸アルミニウム、オレイン酸アルミニウム、しゅう酸アルミニウム、酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、リン酸水素アルミニウム、塩化カリウムアルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、硫化アルミニウム、フタロシアニンアルミニウム、又は酒石酸アルミニウムが例示される。特に好ましいのは、リン酸アルミニウム、あるいはリン酸水素アルミニウムである。
亜鉛化合物としては、亜鉛イオンの供給源となり、有機溶媒に溶ける化合物であれば、特に制限されず、例えば、酢酸亜鉛、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、塩化亜鉛アンモニウム、安息香酸亜鉛、炭酸亜鉛、エチルアセト酢酸亜鉛、ぎ酸亜鉛、水酸化亜鉛、硝酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、しゅう酸亜鉛、酸化亜鉛、リン酸亜鉛、リン酸亜鉛四水和物、リン酸水素亜鉛、リン酸亜鉛カルシウム、塩化カリウム亜鉛、ステアリン酸亜鉛、硫化亜鉛、フタロシアニン亜鉛、又は酒石酸亜鉛が例示される。特に好ましいのは、酸化亜鉛、リン酸亜鉛四水和物、或いはリン酸水素亜鉛である。
マンガン化合物としては、マンガンイオンの供給源となり、有機溶媒に溶ける化合物であれば、特に制限されず、例えば、酢酸マンガン、硫酸マンガン、塩化マンガン、塩化マンガンアンモニウム、安息香酸マンガン、炭酸マンガン、エチルアセト酢酸マンガン、ぎ酸マンガン、水酸化マンガン、硝酸マンガン、ナフテン酸マンガン、オレイン酸マンガン、しゅう酸マンガン、酸化マンガン、リン酸マンガン、リン酸水素マンガン、塩化カリウムマンガン、ステアリン酸マンガン、硫化マンガン、フタロシアニンマンガン、又は酒石酸マンガンが例示される。特に好ましいのは、酸化マンガン、或いはリン酸水素マンガンである。
また、銅化合物としては、銅イオンの供給源となり、有機溶媒に溶ける化合物であれば、特に制限されず、例えば、酢酸銅、硫酸銅、塩化銅、塩化銅アンモニウム、安息香酸銅、炭酸銅、エチルアセト酢酸銅、ぎ酸銅、水酸化銅、硝酸銅、ナフテン酸銅、オレイン酸銅、しゅう酸銅、酸化銅、リン酸銅、リン酸水素銅、塩化カリウム銅、ステアリン酸銅、硫化銅、フタロシアニン銅、または酒石酸銅などが用いられる。特に好ましいのは、酸化銅(I)、或いはリン酸水素銅である。
さらに、カルシウム化合物としては、カルシウムイオンの供給源となり、有機溶媒に溶ける化合物であれば、特に制限されず、例えば、酢酸カルシウム、硫酸カルシウム、塩化カルシウム、塩化カルシウムアンモニウム、安息香酸カルシウム、炭酸カルシウム、エチルアセト酢酸カルシウム、ぎ酸カルシウム、水酸化カルシウム、硝酸カルシウム、ナフテン酸カルシウム、オレイン酸カルシウム、しゅう酸カルシウム、酸化カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、塩化カリウムカルシウム、ステアリン酸カルシウム、硫化カルシウム、フタロシアニンカルシウム、又は酒石酸カルシウムが例示される。特に好ましいのは、酸化カルシウム、或いはリン酸水素カルシウムである。
金属成分であるアルミニウム、亜鉛、マンガン、銅又はカルシウムから選ばれた1種以上の金属の酸化物、複合酸化物、リン酸塩又はリン酸水素化合物は、磁性粉末の粒径、表面積等に合わせて最適量を添加するが、該磁性粉末に対して、例えば、0.01〜1mol/kg(粉末重量当たり)とする。添加量が0.01mol/kg未満であると、磁性粉末の表面が十分に被覆されないために耐塩水性が改善されず、1mol/kgを超えると磁化の低下が著しくなり、磁石としての性能が低下する。
金属成分を添加する場合、その添加時期は、いつでも良く、粉砕前に溶媒に溶かしておき、粉砕途中に一度に添加する方法、粉砕中、徐々に添加する方法などが用いられる。あるいは粉砕直後であってもよい。
これによって、溶液中に溶けだした希土類元素、鉄など磁石を構成する元素がリン酸塩を形成し、金属化合物と反応しあって、複合金属リン酸塩が磁性粉末を被覆する。この反応が完結し、充分な膜厚の被膜を形成するには、金属化合物の種類などにもよるが、1〜180分、好ましくは3〜150分、さらに好ましくは5〜60分の攪拌(粉砕)、保持時間が必要である。
平均粒径が20μmを超える粉末を含む鉄系磁石合金粗粉は、平均粒径8μm以下、好ましくは1〜5μmまで粉砕されることが好ましい。磁性粉末が含まれたスラリーは、減圧濾過し乾燥後、複合金属リン酸塩被膜が被覆された磁粉となる。
(2)シリケート被膜の形成
シリケート被膜の被覆形成処理の方法は、特に限定されないが、予め脱水縮合反応により高分子化されたアルコキシシリケート溶液を混合、攪拌してシリケート層を定着させる方法が好ましい。
アルコキシシリケート溶液は、アルコキシ基を有するシリケート化合物を含む処理液であり、具体的には、前記一般式(1)で示されるポリアルコキシポリシロキサンである。アルコキシシリケート溶液は、濃度が磁性粉末に対して、0.01〜5重量%となるように添加・混合することが好ましい。0.01重量%未満では磁性粉末の表面を完全に被覆することができず、5重量%を超えると被膜が厚くなりすぎて脆くなってしまう。
また、アルコキシシリケートを加水分解してシリケート被膜を形成する際に、脱水縮合反応を促進する触媒として、アルミニウムキレート化合物を添加すると、被膜形成に要する時間が大幅に短縮できるだけでなく、樹脂結合型磁石を製造したとき磁気特性を高めるという効果がある。
アルコキシシリケートは、上記複合金属リン酸被膜で表面被覆された磁性粉末の表面上に、速やかに付着し、乾燥後はシリケート被膜として強固に結合する。磁性粉表面にシリケート被膜が直接結合したとしても、その結合酸化安定性は低いが、下地に酸化安定性の高い複合金属リン酸被膜があることによって、シリケート層の結合安定性は飛躍的に向上する。また、従来、複合金属リン酸被膜は完全に緻密とは言えず、そのため腐食性イオンの透過が避けられなかったが、シリケート被膜と組み合わせると複合金属リン酸被膜欠陥部分は完全に封穴され、バリアー効果が相乗的に向上する。そのため、従来は複合金属リン酸被膜が形成されても発生することがあった錆の問題をなくすことができる。
(3)カップリング剤処理被膜の形成
磁性粉末の表面に、アルコキシシリケートを加水分解してシリケート被膜を形成した後、カップリング剤処理被膜を形成することができる。これには、シリケート被膜を形成後、乾燥せずに、引き続き、カップリング剤を投入し、攪拌して、カップリング剤処理被膜を形成する方法;シリケート被膜を形成した後、特定の温度で焼き付け乾燥を行ってから、その後、カップリング剤を投入し、攪拌して、カップリング剤処理被膜を形成する方法の二通りの方法がある。
このうち、シリケート被膜を形成した後、焼付け乾燥してからシラン系カップリング剤を投入して、カップリング剤処理被膜を形成する後者の方法のほうが、強固なシリケート被膜にシラン系カップリング剤のシロキサン構造を形成させることができるので、より好ましい。
被膜形成を完全に行うためには、常に磁性粉末のスラリーを攪拌し、また、被膜形成を十分に行えるように、焼付け乾燥温度は100〜150℃にすることが好ましい。処理温度は高いほど緻密で強固な被膜が得られるが、高過ぎると磁性粉の磁気特性、特に保磁力が低下するので注意が必要である。
樹脂バインダーに対して親和性のあるカップリング剤処理被膜を形成するのに用いられるカップリング剤としては、前記のとおり、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤のいずれかが挙げられる。このうち特に好ましいのはシラン系カップリング剤である。
カップリング剤の添加量は、その成分の種類や濃度により異なるが、磁石粉末に対して0.01〜5重量%でよく、好ましくは0.1〜3重量%であり、0.5〜2重量%であることがより好ましい。添加量が0.01重量%未満の場合は、磁石粉末が十分に被覆されず、また5重量%を超えると密度の低下に伴う磁気特性の低下、機械強度の低下等のため、実用に耐えうる樹脂結合型磁石を得ることが困難になる。
また、有機溶媒として、N,N−ジメチルホルムアミド、ホルムアミド、2−メトキシエタノール、エタノール、メタノール又はイソプロピルアルコールから選ばれた1種以上を用いることができる。
カップリング剤により磁石粉末を被覆するには、湿式処理法や乾式処理法などが採用でき、予め単独で被覆処理してもよく、樹脂バインダー等と磁石粉末との混合時に併せて添加、処理しても良い。このときメカノフュージョン法により予め単独で被覆処理を行えば、より安定した被覆磁石粉末を得ることができる。
上記複層被膜を形成後、処理溶液と該磁性粉末は、100〜500℃の真空オーブン中で1〜30時間乾燥させることが好ましい。この時、加熱処理を不活性ガス中または真空中で行うことが好ましい。100℃未満で加熱処理を施すと、該磁性粉末の乾燥が十分進まずに、安定な表面被膜の形成が阻害される。また、500℃を超える温度で加熱処理を施すと、磁性粉末が熱的なダメージを受け、保磁力がかなり低くなるという問題がある。上記したように、この複層処理被膜の合計の膜厚は、平均で1〜100nmの厚さが好ましい。平均厚さが1nm未満であると十分な耐塩水性、機械強度が得られず、一方、100nmを越えると磁気特性が低下し、また樹脂結合型磁石を作製する際には混練性や成形性が低下してしまう。
3.樹脂バインダー
本発明において、樹脂結合型磁石用組成物の原料として用いられる樹脂バインダーは、有機過酸化物を含むラジカル重合反応性を有する熱硬化性樹脂を主成分とするものである。
(1)熱硬化性樹脂
本発明において、熱硬化性樹脂としては、特に限定されるわけではないが、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂から選ばれる少なくとも一種の樹脂、特に不飽和ポリエステル樹脂、又はビニルエステル樹脂のいずれかであることが好ましい。
不飽和ポリエステル樹脂、又はビニルエステル樹脂は、成形時の金型内で硬化して磁性粉末のバインダーとして働くものであれば、特にその種類に限定されることはなく、一般的に市販されている不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂を用いることができる。
不飽和ポリエステル樹脂は、多価アルコールと飽和多塩基酸及び/又は不飽和多塩基酸との重縮合反応により得られる不飽和ポリエステルと、当該エステルと共重合可能なモノマーよりなるラジカル重合性の熱硬化性樹脂の総称である。
ここで、多価アルコールとしては、特に限定されるものではないが、例えば、水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノールF、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物、ビスフェノールFプロピレンオキサイド付加物、水素化ビスフェノールSなどが挙げられ、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジブロムネオペンチルグリコール、ペンタエリスリットジアリルエーテル、アリルグリシジルエーテルなどが挙げられる。
これら多価アルコール類は、一種類のみを用いても構わないし、二種類以上を混合して用いてもよい。本発明においては、分子構造の少なくとも一部にビスフェノール骨格を有する多価アルコール、水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノールFなどを含有するものがより好ましい。
飽和多塩基酸としては、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ヘット酸、テトラブロム無水フタル酸などが挙げられる。不飽和多塩基酸としては、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などが挙げられるが、特に限定されるものではない。これら二塩基酸類は一種類のみを用いても構わないし、二種類以上を混合して用いてもよい。
また、ビニルエステル樹脂は、例えば、エポキシ化合物と不飽和一塩基酸とを付加反応させて得ることができる。
ビニルエステル樹脂の原料として用いられるエポキシ化合物は、分子中に、少なくとも1個のエポキシ基を有する化合物であれば、特に限定されるものではない。具体的には、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールS等のビスフェノール類と、エピハロヒドリンとの縮合反応により得られるエピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;フェノール、クレゾール、ビスフェノールとホルマリンとの縮合物であるノボラックとエピハロヒドリンとの縮合反応により得られるノボラックタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、安息香酸とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂;水添加ビスフェノールやグリコール類とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;ヒダントインやシアヌール酸とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られる含アミングリシジルエーテル型エポキシ樹脂等が挙げられる。
また、これらエポキシ樹脂と多塩基酸類および/またはビスフェノール類との付加反応により分子中にエポキシ基を有する化合物でもよい。これらエポキシ化合物は、一種類のみを用いてもよく、適宜二種類以上を混合してもよい。
本発明においては、この中でもビスフェノール骨格を有する多価アルコール、水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノールFなどを少なくとも含有するものがより好ましい。
不飽和一塩基酸としては、特に限定されないが、具体的には、アクリル酸、メタアクリル酸、桂皮酸、クロトン酸等が挙げられる。また、マレイン酸、イタコン酸等のハーフエステル等を用いてもよい。さらに、これらの化合物と、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等の多価カルボン酸や、酢酸、プロピオン酸、ラウリル酸、パルミチン酸等の飽和一価カルボン酸や、フタル酸等の飽和多価カルボン酸またはその無水物や、末端基がカルボキシル基である飽和あるいは不飽和アルキッド等の化合物とを併用してもよい。これら不飽和一塩基酸は、一種類のみを用いてもよく、適宜二種類以上を混合してもよい。
これらの不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂には、共重合可能なモノマーを配合することができる。
共重合可能なモノマーとしては、例えば、(I)スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、メタクリル酸メチル、酢酸ビニル等のビニルモノマー類、(II)ジアリルフタレート、ジアリルマレエート、ジアリルイソフタレート、ジアリルテレフタレート、トリアリルイソフタレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルテトラブロムフタレート等のアリルモノマー類、(III)フェノキシエチルアクリレート、1,6−ヘキサンジオールアクリレート、トリメチルプロパントリアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート等のアクリル酸エステル類等が挙げられる。また、これらの共重合可能なモノマーは1種類でもよく、2種類以上を適宜混合して使用しても構わず、当該モノマーの添加量は、特に制限はない。
(2)有機過酸化物
本発明において、有機過酸化物は、一般に、前記の反応を開始させる硬化剤として用いられ、ラジカル重合反応性を有する熱硬化性樹脂に配合される。
有機過酸化物は、単独で用いることができるものもあるが、炭化水素溶液類やフタル酸エステル類に希釈した状態、もしくは固形粉末に吸収させた状態で用いることがある。
いずれにせよ、半減期10時間を得るための分解温度が150℃以下の性質を有する過酸化物を使用するのが望ましく、さらには、同半減期を得るための分解温度が40〜135℃の範囲である過酸化物がより望ましい。該半減期を得るための分解温度が、40℃よりも低くなると過酸化物自体の取り扱い性が困難になるばかりでなく、スプルー部において組成物が硬化してしまい、生産性に欠ける結果を招くことがある。
これらの有機過酸化物の添加量は、希釈率や活性酸素量によって異なるため、規定することはできないが、一般的には熱硬化性樹脂100重量部に対して、0.05〜10重量部が添加される。
これらの有機過酸化物は、単独又は2種以上の混合系で用いることができるが、最終樹脂結合型磁石用組成物の可使時間をより長く確保するために、パーオキシケタール系、又はジアルキル系過酸化物の単独で用いることが、極めて好ましい。
熱硬化性樹脂バインダーを構成する各成分の性状は、例えば常温で液状、パウダー、ビーズ、ペレット等特に限定されないが、磁性粉との均一混合性や成形性から考えると、液状であることが望ましい。また、これらの異なる樹脂や異なる分子量、性状のものを1種または2種以上組み合わせて混合することも差し支えない。
これらの熱硬化性樹脂を主とする最終混合バインダーの粘度は、JIS K7117(液状樹脂の回転粘度計による粘度試験方法)に準じて測定されるが、測定温度は、成形温度(成形時のシリンダー温度)にあわせた恒温漕内で測定される。そのときの粘度測定値が100〜5000mPa・sであるものが望ましいが、中でも300〜3000mPa・sのものが好ましい。この動的粘度が、100mPa・s未満であると、射出成形時に磁性粉とバインダーの分離現象が生じるため成形できない。また、5000mPa・s超であると著しい混練トルクの上昇、流動性の低下を招き成形困難になる。
また、これらの熱硬化性樹脂バインダーの添加量は、各構成成分を含めた状態で、該磁性粉末100重量部に対して、5重量部以上50重量部未満の割合で添加されるが、好ましくは7〜15重量部、さらに、10〜13重量部がより好ましい。該バインダーの添加量が5重量部未満の場合は、成形時の流動性の低下を招いて、本発明の効果を得ることができない。また、50重量部を越える場合、所望の磁気特性が得られない。
4.樹脂結合型磁石用組成物
本発明において用いられる樹脂結合型磁石用組成物は、前述の必須成分に、さらに必要に応じて他の添加剤を配合することにより調製される。
添加剤としては、組成物の保管中の可使時間をより長くさせるN−オキシル類化合物のほか、フェノール、重合禁止剤、低収縮化剤、反応性樹脂、反応性希釈剤、未反応性希釈剤、変性剤、増粘剤、滑剤、内部離型剤、紫外線吸収剤、難燃剤、安定剤、無機充填剤や顔料などを挙げることができる。
その際、各成分の混合方法は、特に限定されず、例えばリボンブレンダー、タンブラー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等の混合機、あるいは、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール、ニーダールーダー、単軸押出機、二軸押出機等の混練機を用いることにより実施される。
このようにして得られた樹脂結合型磁石用組成物の形状は、パウダー状、ビーズ状、ペレット状、あるいはこれらの混合物の形であるが、取り扱い易さの点で、ペレット状(或いは塊状)が望ましい。
5.樹脂結合型磁石の成形方法
こうして得られた樹脂結合型磁石用組成物は、次いで、あらかじめ所定の温度に加温された金型に離型剤を塗布した後、熱硬化性樹脂の溶融温度で加熱溶融し、金型によって所望の形状を有する樹脂結合型磁石に成形される。その際、成形は、従来からプラスチック成形加工等に利用されている射出成形法、射出圧縮成形法、射出プレス成形法、トランスファー成形法のいずれかによって行われる。
本発明において、射出成形用金型は、特別なものが要求されるものではなく、パーティング面で分離された固定側金型と可動側金型とから構成された一般的な射出成形用金型でよい。
具体的には、固定側金型は、加熱手段を有する固定側プレートと、固定側プレートを貫通して、樹脂結合型磁石用組成物を射出ユニットから可動側金型のキャビティ部に供給移送するためのスプルー部とを具備し、一方、可動側金型は、加熱手段を有する可動側プレートと、可動側プレートと固定側金型パーティング面で形成されるランナー部と、固定側金型のスプルー部に対向しランナー部の手前に形成されるスラグだまりと、スプルー部及びランナー部を通じて移送されてきた樹脂結合型磁石用組成物を充填するキャビティ部と、先端がキャビティ部の底部に位置した成形品取り出しピンとを具備しているものを挙げることができる。
金型の材質は、成形品の大きさ、形状、寸法精度、金型寿命などを検討したうえで決定される。一般的には、アルミニウム合金、ベリリウム銅、亜鉛合金、ミーハナイト鋳鉄などが用いられる。樹脂結合型磁石用組成物は、硬い磁性粉末を多量に含んでいるので、ランナー部、スラグだまり部、キャビティ部においては、特に耐摩耗性が必要とされる。そのため、ダイス鋼、セラミックス、超鋼を用いたり、SiCなどで複合めっきしたり、TiNなどをPVD法やCVD法で表面処理してもよい。
6.離型剤
本発明における樹脂結合型磁石用組成物は、一般的な熱硬化性樹脂と比べると、離型性能が低下しているが、その要因としては、熱硬化性樹脂に加え、磁性粉末が含まれており、金型に対し優先的な密着を示すためと考えられる。
そのため、本発明においては、離型剤として、次の一般式(2)で示す構造を有したパーフルオロアルキルホスホン酸またはその塩から選ばれる含フッ素有機リン化合物を使用する。式(2)中、Rfは炭素数3〜12のパーフルオロ基、Rはフェニレン基、nは1〜3の整数、Mは水素、金属元素、またはアンモニウム基から選ばれる一種又は二種である。
Figure 2007048951
上記含フッ素有機リン化合物は、このような構造を有するために、ホスホン酸基が金型表面に結合し、パーフルオロ基Rfが成形品側に向くので優れた離型性能を示すことができる。
パーフルオロ基Rfは、炭素数3〜12がよい。炭素数が3未満では、パーフルオロ基中のフッ素の密度が低下し、また、炭素数が12を超えると、立体障害によりホスホン酸基と金型との結合を阻害するため、離型性能が低下してしまう。
は、フェニレン基であり、含フッ素有機リン化合物に十分な耐熱性能を与えるためにはフェニレン基以外のものは好ましくない。フェニレン基には、水素の代わりに塩素やフッ素などのハロゲンが付加していたり、炭素数1〜3のアルキル基の側鎖が結合していてもよい。
アルキレン基は、n=1〜3がよく、nが0では分子鎖長が短く離型性が不十分であり、nが3を超えると耐熱性能が低下する。水素原子はその一部が塩素やフッ素などのハロゲンで置換されていてもよい。
Mは、水素、金属元素、あるいはアンモニウム基が好ましく、金属元素としては、Na、K、Li、Ca、Mg、Sr、Baなどのアルカリ(土類)金属、Zn、Pb、Al、Zr、Sb、Cu、Ni、Fe、Cr、Wなどの遷移金属が挙げられる。この他にも、メチル、エチルなどのアルキル基を有するアミン、環状アミン、アルカノールアミン、多価アミンを用いることもできる。
このような離型剤の一例として、特公昭63−6330号公報に記載されたパーフルオロアルキル基を含有するホスホン酸およびホスホン酸塩を挙げることができる。これらは、熱硬化性樹脂の中でも、ポリウレタン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂の離型性を向上させるための離型剤として使用されている。本出願人は、このような離型剤が、不飽和ポリエステル樹脂、あるいはビニルエステル樹脂を含んだ樹脂結合型磁石用組成物を成形する場合にも有効に使用できることを確認した。市販品であれば、住鉱潤滑剤株式会社製のスミモールドFKなどを使用することができる。
上記式(2)のパーフルオロアルキルホスホン酸またはその塩から選ばれる含フッ素有機リン化合物は、単独でも混合しても使用でき、有機溶媒及び/又はガスと混合しても良い。イソプロピルアルコール(IPA)などのアルコール類、へキサン、へプタン、オクタン、ノナン等の炭化水素系有機溶媒との混合物とすれば、塗布しやすくなる。また、メタン、窒素等のガスとの混合物とすれば、スプレーとして噴霧することができる。その際、含フッ素有機リン化合物の濃度は、0.5〜10重量%、特に1〜5重量%が好ましい。含フッ素有機リン化合物の濃度が0.5重量%未満では、離型性能が十分でない場合があり、一方、10重量%を越えると経済性の面で問題がある。
本発明において、上記含フッ素有機リン化合物が優れた離型性能を示す理由は、ホスホン酸基が金型表面と優先的に結合し、パーフルオロ基Rfが成形品側に向かって整列することにより、金型と成形品の間に薄い離型剤の膜が形成されるためと考えられる。また、上記含フッ素有機リン化合物は、金型との結合力が強すぎないため、加熱された金型にバリが付着しても、エアーブローで飛散させやすくなるものと考えられる。
本発明で、上記のような射出成形用金型を用いて、熱硬化性樹脂を含む樹脂結合型磁石用組成物を射出成形するには、あらかじめ金型に離型剤を塗布し、次に、射出ユニットで溶融状態された組成物を加熱されたスプルー部に供給し、スラグだまりで受け入れた後、ランナー部を経てキャビティ部に充填し、充填された組成物を所定時間保持し、熱硬化性樹脂を硬化し、その後、硬化した成形品をキャビティ部から取り出せばよい。
本発明の成形作業を行う際は、まず固定側金型と可動側金型をパーティングラインで一体化した後、金型に内蔵されたヒーターで固定側プレート、可動側プレートを加熱する。各部の温度は、樹脂の種類、添加剤の種類や量などにもよるが、固定側加熱プレート、可動側加熱プレートを100〜200℃とする。これにより、スラグだまり、ランナー部が100〜200℃、キャビティ部が、100〜200℃となるようにすることが好ましい。
こうして各部が所定の温度になってから、離型剤を金型へ均一に塗布する。離型剤である上記一般式(2)で示されるホスホン酸またはその塩の溶液は、はけ等で直接塗布するかスプレー式に噴霧してもかまわない。いずれにしても、バリが形成する金型のパーティング面に離型剤が一時的にせよ定着することが必要である。
次に、射出ユニットを稼動させ、溶融した所定量の樹脂結合型磁石用組成物を射出する。最初の溶融物は、一旦、スプルーからスラグだまりに受け入れられる。これによって、ユニット先端部のスプルー部と接触し硬化した該組成物をキャビティ部まで流すことなく、硬化による架橋反応が部位によって異なることで成形品に悪影響を及ぼしたり、機械強度不足となったりすることを回避し、該組成物を効率よく硬化させ、硬化時間を長時間化することなく、キャビティ部にて円滑に硬化できる条件が整うことになる。その後、溶融物は、ランナー部を通過して、キャビティ部に充填される。キャビティ部で加熱して所定時間保持することで、ラジカル重合性の熱硬化性樹脂が組成物中の有機過酸化物により反応を開始して、硬化される。所用時間は、キャビティ温度、樹脂、有機過酸化物、その他添加剤の種類や量によって異なるが、通常は0.1〜3.0分である。
その後、可動側プレートが移動するとともに、キャビティ部の底部に位置した取り出しピンが成形品に向かって移動することにより、硬化した成形品がランナー部、スラグだまり部、スプルー部の位置で硬化した組成物もろとも取り出される。本発明では、樹脂結合型磁石用組成物と金型との離型性能に優れている離型剤を用いているので、樹脂結合型磁石用組成物が金型へ付着し難い。金型に付着してできたバリは、エアーを吹き付けて除去する。本発明では、離型性能に優れた含フッ素有機リン化合物を含有する離型剤を用いているので、金型へ付着したバリを容易に除去することができる。
上記のように離型剤を塗布してから、固定側金型に可動側金型をパーティング面にて結合し、射出ユニットから金型に樹脂結合型磁石組成物を射出する作業を1サイクルとして、一連の工程を繰り返せば、樹脂結合型磁石を連続成形することができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によって何ら限定されるものではない。
1.材料・成分
(1)磁性粉末
・磁性粉:Sm−Fe−N系磁性粉末(住友金属鉱山(株)製 SmFeN合金粉末)、異方性磁場:16.8MA/m(210kOe)、100μm以下の粒径含有率99重量%
(2)表面処理剤(対磁性粉末)
・有機シランモノマー :デシルトリメトキシシラン
(商品名:信越シリコーンKBM3103C)
・シリケート化合物 :アルコキシシリケート
(商品名:MKシリケートMS51)
(3)熱硬化性樹脂(対磁性粉末)
・不飽和ポリエステル樹脂(UP樹脂)(商品名:ポリセット2212、日立化成工業(株)製)、25℃における粘度:500mPa・s
・ビニルエステル樹脂(商品名:リポキシR802、昭和高分子(株)製)、25℃における粘度:600mPa・s
(4)硬化剤
・硬化剤:ジアルキルパーオキサイド系過酸化物[2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルペロキシヘキシン−3)](商品名:カヤヘキサYD、化薬アグゾ(株)製)、10時間の半減期を得るための分解温度133℃
(5)内部離型剤(デュポン社製)
パーフルオロリン酸エステル
A.パーフルオロアルキルホスホン酸(住鉱潤滑剤(株)製、式(2)中、Rfは炭素数3のパーフルオロ基、Rはフェニレン基、nは1、Mは水素である。)
2重量%
IPA 4重量%
n−ヘプタン 94重量%
A’.パーフルオロアルキルホスホン酸塩(住鉱潤滑剤(株)製、式(2)中、Rfは炭素数6のパーフルオロ基、Rはフェニレン基、nは1、Mはナトリウムである。) 3重量%
IPA 5重量%
n−ヘプタン 92重量%
B.フルオロアルキルアクリレートコポリマー(特公平3−48846号公報参照、一般式 RfROCOCR=CH で示されるパーフルオロアルキル化合物とアクリル酸のコポリマー;式中、Rfが炭素数8のパーフルオロ基、Rが炭素数2のアルキレン基、Rが水素原子である) 3重量%
イソオクタン 97重量%
C.フッ素系離型スプレー ダイフリーG6010(ダイキン工業(株)製)
D.シリコーン系離型スプレー SH200(東レ・ダウコーニング(株)製)
2.成形品の評価方法
(1)機械強さ
所定の材料を用いて調製した組成物から、長さ15mm×幅8mm×高さ2mmの試験片を成形し、得られた磁石成形品の曲げ強度を、島津製作所(株)製オートグラフを用いて、ヘッドスピード2mm/分として測定した。常温下で求めた該曲げ強度は、80MPa以上あれば成形品として機械的強度が十分であることが知られている。
(2)離型性
成形後、形成したバリを圧力7kgf/cmのエアーブローにて除去可能であるかを調べた。評価は、目視において形成されたバリの面積に対し99%以上除去できれば十分(○)であり、それ未満であれば不十分(×)とした。
(実施例1〜4)
(i)磁性粉の表面処理
磁性粉100重量部に対して、10重量部のIPA等のアルコール系有機溶媒に所定量の所定の表面処理用燐酸化合物を溶解した後、当該処理溶液と磁性粉とをプラネタリーミキサー中で十分混合撹拌(40rpm、20℃)し、−760mmHg、120℃の真空オーブン中で24時間乾燥させた。ここで得られた処理済み粉を更にメカノフュージョン(ホソカワミクロン(株)製)にて有機シランモノマーで表面処理を行い、処理済磁性粉を得た。
(ii)組成物の混合及び作製
あらかじめ所定の比率になるよう計量混合しておいた熱硬化性樹脂、硬化剤等をそれぞれの磁性粉全量に加え(各重量部)、水冷ジャケット付プラネタリーミキサー中で十分混合撹拌(40rpm、30℃、10分)し、最終組成物を得た。なお、粉砕し樹脂成分を分離した磁性粉末も上記方法にリサイクル使用して組成物を得た。
(iii)射出成形方法
これらの組成物を、インラインスクリュー式またはプランジャー式磁場発生装置付射出成形機にて、機械強度測定用として長さ15mm×幅8mm×高さ2mmの板状の樹脂結合型磁石をシリンダー温度20℃、金型温度150℃、110℃にて成形し、得られたこれらの磁石成形品を前述の方法にてそれぞれ評価した。離型スプレーは、成形毎にパーティング面に噴霧した。
(比較例1〜7)
比較例1は、離型スプレーを使用せずに磁石を作製し評価した。また、比較例2〜4は、内部離型剤を含む各成分を所定の割合で用い、比較例5〜7は、実施例1とは成分の異なる離型スプレーを用いた以外は同様にして、磁石を製造し評価した。結果を表2、4に示す。
(実施例5〜8)
実施例5は、燐酸で表面処理した磁性粉を、有機シランモノマーの代わりにシリケート化合物で被覆し、実施例1と同様にして、磁石を製造し評価した。ここで、シリケート化合物は、上記燐酸で表面処理した磁性粉100重量部に対して、5重量部のIPA等のアルコール系有機溶媒に所定のシリケート化合物を所定量添加し、プラネタリーミキサー中で、攪拌(40rpm)しながら、−760mmHg、130℃に保持し2時間乾燥させて加水分解させて磁性粉を被覆した。また、実施例6は、不飽和ポリエステル樹脂の代わりにビニルエステル樹脂をバインダーとして用いて磁石を製造した場合、実施例7は、燐酸で表面処理した磁性粉をシリケート化合物、有機シランモノマーで順次被覆した場合、実施例8は、離型スプレーAの代わりにA’を用いて金型に塗布した以外は実施例1と同様にして磁石を製造し評価した場合である。結果を表3に示す。
Figure 2007048951
Figure 2007048951
Figure 2007048951
Figure 2007048951
「評価と考察」
表1、表3(実施例)から、パーフルオロアルキルホスホン酸を離型スプレーとして用いると、得られた成形品の機械的強さは、離型剤を用いなかった場合(比較例1)と同等であり、かつ離型性が良好となることが分かる。これは、樹脂量や金型温度を変えても効果は変わることはなかった。また、燐酸化合物で表面処理された磁粉を、次にシリケート化合物で表面処理して用いると、得られる成形品の機械的強さ、バリの除去がさらに改善された。
表2、表4(比較例)から、パーフルオロ基を有していても、他端がホスホン酸基ではなくアクリル酸エステルであるようなフッ素系離型剤、シリコーン系離型剤などでは、バリの除去率は低下してしまう。一方、パーフルオロアルキルホスホン酸を内部離型剤として樹脂バインダー中に添加した場合、機械的強さが所望の値とならない。
したがって、熱硬化性樹脂として不飽和ポリエステル樹脂、あるいはビニルエステル樹脂を用いた樹脂結合型磁石用組成物の場合、外部離型剤として、パーフルオロアルキルホスホン酸類を用い、あらかじめ金型に塗布あるいは噴霧することでバリの除去が容易になることが分かる。

Claims (18)

  1. 磁性粉末(A)と、バインダー成分として熱硬化性樹脂(B)とを含む樹脂結合型磁石用組成物を射出成形することによって樹脂結合型磁石を製造する方法であって
    射出成形に用いる金型の内面に、あらかじめパーフルオロアルキルホスホン酸またはその塩から選ばれる含フッ素有機リン化合物を含有する離型剤(C)を塗布することを特徴とする樹脂結合型磁石の製造方法。
  2. 磁性粉末(A)が、構成元素中に希土類元素および遷移金属元素を含む磁性粉末を含むことを特徴とする請求項1に記載の樹脂結合型磁石の製造方法。
  3. 磁性粉末(A)の表面に、リン酸鉄と希土類金属リン酸塩を含む複合金属リン酸塩被膜(A−1)とシリケート被膜(A−2)が順次被覆形成されていることを特徴とする請求項2に記載の樹脂結合型磁石の製造方法。
  4. 複合金属リン酸塩被膜(A−1)が、磁性粉末(A)の粉末重量当たり、0.1〜2mol/kgのリン酸を添加して形成されることを特徴とする請求項3に記載の樹脂結合型磁石の製造方法。
  5. 複合金属リン酸塩被膜(A−1)が、Al、Zn、Mn、Cu、又はCaから選ばれる1種以上を金属成分とする金属リン酸塩をさらに含有することを特徴とする請求項3に記載の樹脂結合型磁石の製造方法。
  6. シリケート被膜(A−2)が、下記の一般式(1)で示されるポリアルコキシポリシロキサンを加水分解して得られることを特徴とする請求項3に記載の樹脂結合型磁石の製造方法。
    Figure 2007048951
    (式中、Rは同一あるいは異なる炭素数1〜6のアルキル基、nは2〜100である)
  7. シリケート被膜(A−2)が、さらにアルミニウムキレート化合物を添加して形成されることを特徴とする請求項3又は6に記載の樹脂結合型磁石の製造方法。
  8. シリケート被膜(A−2)が、100〜150℃で焼き付け乾燥されることを特徴とする請求項3に記載の樹脂結合型磁石の製造方法。
  9. シリケート被膜(A−2)の表面に、さらに、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、またはアルミニウム系カップリング剤から選ばれるいずれかのカップリング剤を用いたカップリング剤処理被膜(A−3)を被覆形成することを特徴とする請求項3又は6〜8のいずれかに記載の樹脂結合型磁石の製造方法。
  10. カップリング剤が、シラン系カップリング剤であることを特徴とする請求項9に記載の樹脂結合型磁石の製造方法。
  11. ポリアルコキシポリシロキサン又はカップリング剤の量が、磁性粉末(A)に対して、0.01〜5重量%であることを特徴とする請求項6又は9に記載の樹脂結合型磁石の製造方法。
  12. 被膜の厚さの合計が1〜100nmであることを特徴とする請求項3又は9に記載の樹脂結合型磁石の製造方法。
  13. 熱硬化性樹脂(B)が、不飽和ポリエステル樹脂、又はビニルエステル樹脂より選ばれる少なくとも一種の樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂結合型磁石の製造方法。
  14. 離型剤(C)が、次の一般式(2)で示される含フッ素有機リン化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の樹脂結合型磁石の製造方法。
    Figure 2007048951
    (式中、Rfは炭素数3〜12のパーフルオロ基、Rはフェニレン基、nは1〜3の整数、Mは水素、金属元素、またはアンモニウム基から選ばれる一種又は二種である。)
  15. 離型剤(C)が、有機溶媒及び/又はガスとの混合物であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂結合型磁石の製造方法。
  16. 離型剤(C)の濃度が、1〜5重量%であることを特徴とする請求項15に記載の樹脂結合型磁石の製造方法。
  17. 離型剤(C)を金型の内面に塗布する際に、前記金型をあらかじめ100〜200℃に加熱することを特徴とする請求項1に記載の樹脂結合型磁石の製造方法。
  18. 前記射出成形は、射出成形法、射出圧縮成形法、射出プレス成形法、又はトランスファー成形法から選ばれるいずれかの手段によって行われることを特徴とする請求項1に記載の樹脂結合型磁石の製造方法。
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