JP2011049404A - ボンド磁石の製造方法及びボンド磁石 - Google Patents

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浩史 弓矢
Takeo Umezawa
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Abstract

【課題】良好な流動性,成形性を確保しつつ、磁性粉末を従来に増して高充填化可能なボンド磁石の製造方法を提供する。
【解決手段】強磁性の磁性粉末に熱可塑性樹脂バインダを加えて混練し、得られた磁石材を射出成形により成形してボンド磁石を製造するに際し、PAI樹脂を溶媒に溶解して溶液状態とし、溶液状態のPAI樹脂で磁性粉末の粒子表面を被覆した後、溶媒を除去するとともに加熱によりPAI樹脂を重合反応させて被膜硬さを硬くし、樹脂バインダとの混練を行う。
【選択図】図1

Description

この発明はボンド磁石の製造方法及びボンド磁石に関する。
強磁性の磁性粉末に熱可塑性樹脂バインダを加え、混練にて得られた磁石材を所定形状に成形し固めて成るボンド磁石は様々な形状に容易に成形でき製造性が良いことから、各種分野に広く用いられている。
特に磁性粉末として希土類鉄系合金を用いた希土類ボンド磁石は、その高い磁気特性によりHDDスピンドルモータ,CD−ROM,DVD等のディスクの再生装置や、自動車電装モータ或いは携帯電話振動モータ等の磁石として広く用いられている。
近年、ボンド磁石により一層の高磁気特性が求められるようになってきており、その要請に答えるべく磁性粉末の粒径や熱可塑性樹脂バインダの重合度の最適化,滑剤添加等の研究がなされているが、ボンド磁石の磁気特性をより高める上で最も端的な方法は、ボンド磁石における磁性粉末の充填量をより高充填化することである。
但し単純に磁性粉末の添加量を増して磁性粉末を高充填化しようとしてもそこには自ずと限界があり、一定以上に磁性粉末を高充填化することが困難であるのが実情である。
特に磁性粉末として液体急冷法と粉砕とによって得られる鱗片状の希土類系磁性粉を用いたボンド磁石にあっては、磁性粉末を高充填することがより困難である。
ボンド磁石の製造は、混練機(通常はスクリューを2本内蔵した2軸混練機)を用いてスクリューの回転により磁性粉末と熱可塑性樹脂バインダとを混練し、樹脂バインダを溶融流動化させて磁性粉末を樹脂バインダに分散状態に混合し、ペレットとする。その後この混合した複合材、即ち磁石材のペレットを通常は射出成形機内で加熱溶融し、射出成形機により成形型のキャビティに射出して目的の形状のボンド磁石成形体とし、これを着磁してボンド磁石とする。
この場合、磁性粉末の充填量を一定以上に高くすると、磁性粉末と樹脂バインダとの複合材の流動性が悪化し、混練機において混練を良好に行えなくなったり(磁性粉末と樹脂バインダとが分離してしまう)、また射出成形に際してこれを金型のキャビティの隅々まで十分に充填できず、成形体即ちボンド磁石の強度を低下させたり成形不良を生じたり、或いは場合によって成形そのものができなくなってしまう。
その理由は次のようなものである。
図9に示しているように、磁性粉末10に対して樹脂バインダ(熱可塑性樹脂バインダ)12を添加してそれらを混練するだけの従来の製造方法の場合、樹脂バインダ12に対する磁性粉末10の親和性が低いために、混練後において磁性粉末10と樹脂バインダ12とが十分に馴染んでおらず、具体的には磁性粉末10の表面が熱可塑性樹脂バインダ12にて十分に濡れておらず(磁性粉末10の全表面に樹脂バインダ12が接触付着しておらず)、それら磁性粉末10と樹脂バインダ12との間に空隙Kが生じたり、或いは磁性粉末10と10とが直接接触してしまう。
そのため混練機における混練に際して、また射出成形に際して磁性粉末10が磁性粉末10と10との間に介在する媒介としての樹脂バインダ12内を円滑に流動できず、このことが混練不良や成形不良に繋がったり、成形そのものができなくなってしまう原因となる。
また空隙Kの部分では樹脂バインダ12が成形品の強度に対して寄与しておらず、却って強度的な弱点部分となってしまう。
そしてこのことが成形体の強度低下をもたらす。
例えば磁性粉末10の充填率が低く、図9(B)(イ)に示しているように磁性粉末10同士が互いに分離していて、各磁性粉末10を樹脂バインダ12が全周に亘って包んだ状態にあると、磁性粉末10は樹脂バインダ12を媒介として、恰も樹脂の海の中を移動するように磁性粉末10が円滑に流動し、磁性粉末10と樹脂バインダ12との混練を良好に行い得、また射出成形に際して成形型のキャビティに複合材即ち磁石材を隅々まで充填することができる。
またこのようにして得られた成形体は高い破壊強度を有する。
これに対して、図9(B)(ロ)に示すように磁性粉末10が高充填状態にあって、各磁性粉末10が十分に樹脂バインダ12にて取り囲まれておらず、磁性粉末10と10とが直接接触していたり、或いは磁性粉末10と樹脂バインダ12との間に空隙Kが存在していたりすると、磁性粉末10の流れが阻害され、磁性粉末10と樹脂バインダ12との複合材の流動性が低下して、混練機内部での混練を良好に行い得なかったり、また射出成形の際の成形性を悪化させたりし、また破壊強度の低下をもたらす。
従来、磁性粉末と樹脂バインダとの親和性を高めて、それら磁性粉末と樹脂バインダの複合材の流動性を高める手段として、磁性粉末をシランカップリング剤でカップリング処理することが行われている。
このカップリング処理は、同一分子中に有機材料と結合する有機感応性基と、無機材料と反応する加水分解性基を持つシランカップリング剤で磁性粉末を処理して表面改質するものであるが、このような処理では樹脂バインダに対する磁性粉末の親和性を十分に高めることはできず、従って磁性粉末の高充填化もせいぜい66体積%程度が限度であって、それ以上に磁性粉末を高充填化することができない。
尚、本発明に対する先行技術として下記特許文献1,特許文献2,特許文献3,特許文献4,特許文献5に開示されたものがある。
特許文献1には「希土類−鉄−窒素系磁粉の表面処理方法及びそれを用いたプラスチック磁石」についての発明が示され、そこにおいて磁粉と樹脂との混練時,成形時に高温にさらされるために磁粉が製造工程中に酸化されてしまい、そのことによって磁気特性が劣化してしまう点を解決課題として、「希土類−鉄−窒素系磁粉に、リン酸系化合物のリン酸に由来するPが該磁粉100重量部に対し0.05〜3重量部の範囲となるように混合し乾燥し粒子表面をリン酸系化合物で被覆した後に、大気中又は酸素を含む雰囲気下において130〜300℃の温度範囲で加熱する」処理方法が開示されている。
また特許文献2には「強磁性金属粉末を配合した樹脂複合材料とその製法」についての発明が示され、そこにおいて強磁性金属粉末と樹脂は均一配合及び両材料の強結合が難しく、成形に際して材料の流動性が悪い点を解決課題として、有機基を含まない無機燐酸金属化合物によって強磁性金属粉末の表面を覆うとともに、イソシアネート系化合物を混合して表面処理し、その後に樹脂を配合して加熱混練し成形する点が開示されている。
また特許文献3には「希土類系磁性粉末及びその表面処理方法並びにそれを用いた希土類ボンド磁石」についての発明が示され、そこにおいて希土類磁石は酸化され易いため、耐酸化性の付与の手段としてアルキルシリケートが塩基性触媒中で加水分解して得られるシリカゾルを不活性雰囲気中でSm-Fe-N系磁性粉末に均一に混合し、それを加熱することで縮合を進行して強固で緻密なコロイド状のシリカの薄膜を粒子表面に形成し、そのシリカ膜によって耐酸化性を付与するようになした点が開示されている。
これら特許文献1〜3に記載のものは、磁性粉末の粒子表面に被膜形成するものであるが、その被膜形成剤は本発明と異なっており、更にこれら特許文献1〜3に記載のものは何れも磁性粉末の粒子表面をカップリング処理することをより良好な解決手段とするもので、本発明と別異のものである。
他方、特許文献4には「高耐蝕性希土類−鉄系ボンド磁石用粉末」についての発明が示され、そこにおいて磁石用粉末が錆び易い問題を解決課題として、ポリオレフィン,ポリスチレン,ポリアクリル酸エステル,ポリメタクリル酸エステル等から成る高分子被膜を粉末表面に形成して耐食性を向上させる点が開示されている。
また特許文献5には「樹脂結合型磁石用組成物、その製造方法及びそれを用いた樹脂結合型磁石」についての発明が示され、そこにおいて微粉砕され、凝集してできた二次粒子を含む磁性粉末の二次粒子を解凝し、再凝集を抑制することで磁性粉末の高配向化、高密度化でき、成形性にも優れた樹脂結合型磁石用組成物を提供することを目的として、「磁性粉末(A)の表面に有機化合物(B)の被膜が形成され、さらに樹脂バインダー(C)が配合された樹脂結合型磁石用組成物であって、有機化合物(B)を磁性粉末(A)100重量部に対して0.01〜1重量部添加することで、磁性粉末(A)が凝集してできた二次粒子を解凝し、その再凝集を抑制することを特徴とする樹脂結合型磁石用組成物」が開示されている。
この特許文献5では、有機化合物として実質的に開示されているのはTi系カップリング剤,Si系反応性モノマー,飽和脂肪酸,不飽和脂肪酸等である。
これら特許文献4,特許文献5に開示のものも、磁性粉末の粒子表面に被膜形成するものであるが、これら特許文献4,特許文献5に開示のものも被膜材質が本発明と異なっており、本発明とは別異のものである。
更にこれら特許文献1〜5に記載のものは何れも本発明の技術的思想を開示していない。
特開2002−43109号公報 特公平6−17015号公報 特許第3719492号公報 特開平4−257202号公報 特開2005−163075号公報
本発明は以上のような事情を背景とし、良好な流動性,成形性を確保しつつ、磁性粉末を従来に増して高充填化可能なボンド磁石の製造方法及びボンド磁石を提供することを目的としてなされたものである。
而して請求項1はボンド磁石の製造方法に関するもので、強磁性の磁性粉末に熱可塑性樹脂バインダを加えて混練し、得られた磁石材を射出成形により所定形状に成形してボンド磁石を製造するボンド磁石の製造方法であって、後の加熱により重合反応して分子量増大する低重合度のポリアミドイミド樹脂を溶媒に溶解して溶液状態とし、該溶液状態のポリアミドイミド樹脂で前記磁性粉末の粒子表面を被覆した後、該溶媒を除去するとともに加熱により前記ポリアミドイミド樹脂を重合反応させて、該粒子表面のポリアミドイミド樹脂の被膜硬さを硬くし、前記樹脂バインダとの混練を行うことを特徴とする。
請求項2のものは、請求項1において、前記ポリアミドイミド樹脂を、前記磁性粉末を基準として0.3〜0.7質量%添加して混合し、前記ポリアミドイミド樹脂の被膜を該磁性粉末の粒子表面に形成することを特徴とする。
請求項3のものは、請求項1,2の何れかにおいて、前記加熱の温度を100℃以上とすることを特徴とする。
請求項4はボンド磁石に関するもので、強磁性の磁性粉末に熱可塑性樹脂バインダを加え、混練にて得られた磁石材を所定形状に成形してなるボンド磁石であって、前記磁性粉末の粒子表面には、該表面を被覆するポリアミドイミド樹脂の被膜が形成してあることを特徴とする。
発明の作用・効果
以上のような本発明のボンド磁石の製造方法では、ポリアミドイミド樹脂を溶媒に溶解して溶液状態とし、その溶液状態のポリアミドイミド樹脂で磁性粉末の粒子表面を被覆し、しかる後溶媒の除去及び加熱によってポリアミドイミド樹脂を重合反応させ、粒子表面のポリアミドイミド樹脂の被膜硬さを硬くし、樹脂バインダ(熱可塑性樹脂バインダ)との混練を行う。
ポリアミドイミド樹脂は高い耐熱性,力学的高強度を有しており、ボンド磁石の樹脂バインダとして広く用いられるPA樹脂(ポリアミド樹脂)に対して、或いはPPS樹脂(ポリフェニレンサルファイド樹脂)その他に対して高い親和性を有する。
本発明では、後の加熱により重合反応して分子量増大し、高分子量化する低重合度の、従って溶媒に可溶のポリアミドイミド樹脂を溶媒溶解して溶液状態とし、磁性粉末の粒子表面を被覆処理し、そしてその後の溶媒除去及び加熱による重合反応によって、粒子表面のポリアミドイミド樹脂の被膜を硬化せしめる点を特徴とする。
而して本発明では、ポリアミドイミド樹脂を溶液状態で磁性粉末の粒子表面に対し被覆処理するため、個々の粒子表面を全面に亘って万遍無くポリアミドイミド樹脂にて被覆することができ、しかもこれを薄く形成することができる。
そしてそのことによって、粒子表面に全面に亘って樹脂バインダに対する濡れ性を付与することができ、樹脂バインダとの馴染みを良くし、高い親和性を付与する。
従ってこのようなポリアミドイミド樹脂の被膜形成した磁性粉末の各粒子を、樹脂バインダとの混練時に樹脂バインダとの間に空隙を生成せしめることなく、良好に樹脂バインダ中に分散混合せしめることができ、磁性粉末と樹脂バインダとの複合材の流動性を高めることができる。
本発明では、溶液状態でポリアミドイミド樹脂を磁性粉末の粒子表面に対して被覆処理を行った後、加熱によって粒子表面のポリアミドイミド樹脂を重合反応させて高分子量化し、被膜硬化せしめる。
その時点でポリアミドイミド樹脂の被膜は本来の高耐熱性、力学的高強度を発現し、樹脂バインダと混練される。
このときポリアミドイミド樹脂の被膜は高耐熱性,高強度を有するため、高温度の下で樹脂バインダと強く混練されてもポリアミドイミド樹脂の被膜は磁性粉末の粒子表面から剥れず、粒子と樹脂バインダとの結合を良好に保持せしめる。
本発明ではまた、粒子表面のポリアミドイミド樹脂の被膜を薄く形成できることによって、磁性粉末と樹脂バインダとの複合材の流動性をより一層高めることができる利点を有する。
ポリアミドイミド樹脂の被膜の厚みが厚くなり、複合材に占めるポリアミドイミド樹脂の量が多くなると、同じ磁性粉末の充填量の下で樹脂バインダの量が相対的に少なくなる。
複合材の流動性は基本的には樹脂バインダの溶融による良好な流動性によって定まり、このときに樹脂バインダの量が相対的に少なくなると、そのことによって流動性が低下する。
しかるに本発明によれば、複合材全体の樹脂に占めるポリアミドイミド樹脂の量を少なくできるために、相対的に樹脂バインダの量を多く確保でき、そのことによって複合材全体の流動性を高めることができるのである。
本発明によれば、磁性粉末と樹脂バインダとの複合材の流動性,成形性を高く確保しつつ、磁性粉末を従来得られなかったような高い充填率で高充填することが可能となり、これによってボンド磁石の磁気特性を従来に増して高めることができる。
本発明では、磁性粉末として従来のボンド磁石に用いられている種々の磁性粉末を用いることができる。
特にかかる磁性粉末として希土類鉄系合金の磁性粉、代表的にはNd-Fe-B系やSm-Fe-N系磁性粉を用いることができる。
希土類鉄系合金の磁性粉末は粉末粒子が鱗片状をなしており、高充填の難しい材料である。
従ってこのような希土類鉄系合金の磁性粉末を用いたボンド磁石に適用して本発明の効果が高い。
またこれら希土類鉄系合金の磁性粉末は特に酸化され易い問題があり、このような磁性粉末に対して本発明に従いポリアミドイミド樹脂の被膜を各粒子のそれぞれの表面に形成した場合、各粒子の防錆を併せて行うことができる。
従ってこの場合には、従来必要とされていたボンド磁石全体に対する後工程での静電塗装等の防錆のための保護膜形成工程を省略し又は簡略化することが可能となる。
本発明では、熱可塑性樹脂バインダについては、結晶性樹脂としてPA12,PA6,PA66,PPS,PE等種々のものを用いることができ、また非結晶性樹脂としてPVC,EVA,PESその他のものを用いることができる。
本発明ではまた、ポリアミドイミド樹脂を溶解するための溶媒としてNMP(N−メチルピロリドン)を好適に用いることができる。
更に他の溶媒としてDMAC(N,N−ジメチルアセトアミド)その他のものを用いることができる。
またポリアミドイミド樹脂の溶液にて磁性粉末の粒子表面を被覆処理するに際し、先ず粉末状のポリアミドイミド樹脂を溶媒に溶解してポリアミドイミド樹脂の溶液を調製しておき、この溶液と磁性粉末とを混合することにより、磁性粉末の粒子表面を溶液状態のポリアミドイミド樹脂で被覆処理するようになしても良いし、或いは磁性粉末に対してポリアミドイミド樹脂の粉末を添加し、その後又はこれと同時に溶媒を加えて混合し、ポリアミドイミド樹脂を溶媒に溶解して溶液状態とし、磁性粉末の粒子表面を被覆処理するようになしても良い。
本発明の製造方法では、ポリアミドイミド樹脂にて磁性粉末の粒子表面に被膜形成するに際し、ポリアミドイミド樹脂を、磁性粉末を基準として0.3〜0.7質量%(1.6〜3.9体積%)添加して混合することにより行うのが望ましい(請求項2)。
また溶液状態で磁性粉末の粒子表面を被覆したポリアミドイミド樹脂を加熱して重合反応させるに際し、その加熱の温度を100℃以上とすることが望ましい(請求項3)。
次に請求項4は、磁性粉末の粒子表面にポリアミドイミド樹脂の被膜を形成し、そして被膜形成した磁性粉末に樹脂バインダを加え、混練にて得られた複合材料即ち磁石材を所定形状に成形しボンド磁石を構成したもので、ボンド磁石をこのように構成することで請求項1〜3の製造方法によってかかるボンド磁石を容易に製造することができる。
そしてボンド磁石をこのような構成とすることで、磁性粉の高充填化を可能としてボンド磁石に高い磁気特性を付与することができる。
本発明の一実施形態のボンド磁石の製造方法の各工程を、従来例と比較して示した工程説明図である。 磁性粉末とPAI樹脂との混合処理時の材料温度の変化とモータ負荷の変化とを経過時間とともに示した図である。 磁性粉末の充填量とMFRとの関係を示した図である。 磁性粉末の充填量と磁気特性との関係示した図である。 PAI樹脂の添加量とMFRとの関係を示した図である。 磁性粉末とPAI樹脂との混合処理の際の処理温度とMFRとの関係を示した図である。 PAI樹脂粉末の加熱温度の変化による液粘度の変化を示した図である。 射出成形後の成形体における破断面のSEM写真を示したものである。 従来のボンド磁石の製造方法の不具合の説明図である。
次に本発明の実施形態を以下に詳しく説明する。
図1に、本実施形態のボンド磁石の製造方法の各工程を、従来の製造方法の各工程と比較して示している。
ここでは先ず強磁性の磁性粉末に対し、ポリアミドイミド樹脂(PAI樹脂。以下ではPAI樹脂とする)を溶媒への溶解状態即ち溶液状態で作用させて、磁性粉末の粒子表面を被覆処理する。
具体的にはここでは、磁性粉末にPAI樹脂粉末を加えて混合し、更にそこにNMP(N−メチルピロリドン)を加えて混合しながらPAI樹脂をNMPに溶解し溶液状態とする。そしてこれを磁性粉末に作用させて磁性粉末の粒子表面を溶液状態のPAI樹脂にて被覆処理する。尚PAI樹脂とNMPを同時に添加及び混合するようにしても良い。また予めPAI樹脂を溶媒にて溶液化したものを用いても良い。
その後これを加熱して、溶媒としてのNMPを飛ばして除去するとともに、低重合度のPAI樹脂の被膜を重合反応せしめて被膜硬さを硬くし、被膜にPAI樹脂の本来の耐熱性能と力学的高強度とを発現させる。
尚この加熱は単独の工程として行っても良いし、或いは磁性粉末とPAI樹脂及びNMPを混合して、磁性粉末の粒子をPAI樹脂で被覆処理する際に行っても良い。
または後の混練機による混練の初期段階での加熱を、PAI樹脂の重合反応のための加熱の工程とすることもできる。
或いはまた磁性粉末とPAI樹脂溶液との混合の際の加熱と、後の混練機における混練初期の加熱の両方とでPAI樹脂を重合反応させ高分子量化するようになすこともできる。
その際の加熱の温度は100℃以上とすることが望ましい。より望ましくは150℃以上、更に望ましくは170℃以上である。
一方その上限温度は260℃以下とすること、特に240℃以下とすることが望ましい。
その後冷却を行って熱可塑性樹脂バインダとの混合を行う。
ここでは、かかる熱可塑性樹脂バインダとしてポリアミド12樹脂を用いる。但しPPS樹脂その他の樹脂を用いても良い。
尚、このとき必要に応じて酸化防止剤その他の添加剤を加えて混合を行っても良い。
その後これを混練機に投入して混練を行い、PAI樹脂にて被膜形成した磁性粉末と、樹脂バインダとを混合状態で押出機からペレットとして押し出す。即ち整粒する。
しかる後そのペレットを用いて射出成形を行いボンド磁石成形体を得、その後これを着磁してボンド磁石とする。
図1の左列は従来例の各工程を示している。
この従来例においては、先ず磁性粉末に対してシラン系カップリング剤をエタノール,純水とともに加えてそれらを混合し、磁性粉末をカップリング処理する。そしてその後に加熱を行う。但しこの場合においても混合と加熱を併せて行うようにしても良い。
その後、カップリング処理した磁性粉末を冷却した後に、樹脂バインダとしてPA12樹脂を必要に応じて酸化防止剤等他の添加剤とともに加えて混合する。
以後の工程は先に説明した本実施形態と同様である。
以下、図1の各工程の詳細を具体的に説明する。
A.実施形態
1.<磁性粉の粒径>
ここでは磁性粉としてSm-Fe-N磁性粉(SmとFeとNの組成の比率は原子比率でSm:1,Fe:7,N:1)を用いた。
ここでは磁性粉としてジェットミル粉砕した、平均粒径が12〜16μmの範囲内にある細粒(30μmアンダー)のものと、篩分けして得た150μmアンダーの粗粒のものを組み合せたものを用いた。尚それらの配合の比率は質量%で50%/50%とした。
2.<使用したPAI樹脂>
ポリアミドイミド樹脂は、射出成形用等として成形可能な溶融粘度となるように分子量を低く設計したものが市販されている。
このものは、成形後に加熱処理(ポストキュア)することによって必要な分子量まで引き上げた上で使用することを予定して重合度が低く抑えられている。
従来このような低重合度のポリアミドイミド樹脂が様々市販されている。以下にその例を示す。尚(a)は品番を、(b)は性状を、(c)は固形分濃度(質量%)を示す。
東洋紡績(株):商品名(バイロマックス)
((a)HR-11NN,(b)液状,(c)15%),((a)HR-12N2,(b)液状,(c)30%),((a)HR-13NX,(b)液状,(c)30%),((a)HR-14ET,(b)液状,(c)25%),((a)HR-16ET,(b)液状,(c)25%),((a)HR-16NN,(b)液状,(c)14%),((a)HR-83DD,(b)液状,(c)25%)
東レ(株):商品名(TI-Polymer)
((a)TI-5013P,(b)粉末,(c)100%),((a)TI-5013EP,(b)粉末,(c)100%)
ソルヘ゛イアト゛ハ゛ンストホ゜リマース゛(株):商品名(トーロン)
((a)4000T,(b)粉末,(c)99%),((a)4000TF,(b)粉末,(c)99%),((a)AI-10,(b)粉末,(c)90%),((a)AI-30,(b)湿粉末,(c)35%),((a)AI-50,(b)湿粉末,(c)35%)
日立化成工業(株)
((a)HPC-1000EDP,(b)液状,(c)7%),((a)HPC-1000,(b)液状,(c)28%),((a)HPC-5000,(b)液状,(c)30%),((a)HPC-5010S,(b)液状,(c)30%),((a)HPC-5020,(b)液状,(c)30%),((a)HPC-5030,(b)液状,(c)32%),((a)HPC-6000,(b)液状,(c)26%),((a)HPC-6100,(b)液状,(c)30%),((a)HPC-7200,(b)液状,(c)32%),((a)HPC-9000,(b)液状,(c)21%),((a)HPC-9100,(b)液状,(c)29%)
この実施形態ではソルベイアドバンストポリマーズ(株)社のトーロンAI−10を用いた。
3.<PAI樹脂及び溶媒NMPの混合比率>
この実施形態では、後に説明するPAI樹脂量とMFRとの関係を求める試験を除いて、磁性粉末に対しPAI樹脂を磁性粉末を基準として0.5質量%(2.7体積%),溶媒のNMPを1.0質量%の比率で添加し、それらを混合した。
4.<溶媒揮発温度>
溶媒のNMPの沸点は202℃である。このNMPは90℃辺りから揮発し始める。
5.<混合装置>
磁性粉末とPAI樹脂とを混合する混合装置として以下のものを用いた。
混合装置は日本コークス工業(株)社製のヘンシェルミキサFM10C/I(機種名)を用いた。
この混合装置はスチーム加熱式のジャケットと、通水冷却式のジャケットとを有しており、これらによって混合に際し外部加熱と外部冷却とを行った。
尚ここでは処理量を7kgとした。
6.<ヘンシェルミキサによる混合条件(PAI樹脂を用いた本実施形態の場合)>
ヘンシェルミキサによる混合は以下の表1に示す条件で行った。
即ち混合工程全体を1,2,3,4,5のステップに分け、そして第1ステップの12分まではモータの回転数を700(rpm)とした。この第1ステップでは外部加熱は行わずに混合を行った。このとき材料(磁性粉末にPAI樹脂,NMPを加えた材料)の温度は、20℃から40℃まで上昇した。
尚この混合装置による混合処理の際の材料温度の変化とモータ負荷の変化とを図2に示した。
次の第2ステップでは、第1ステップと同様に外部加熱を行わないで、モータの回転数を1400(rpm)に高めて混合を行った。
このとき材料温度はモータの回転数の増大によって、40℃から90℃まで上昇した。
続いて第3ステップではモータ回転数を1400(rpm)に保ったまま外部加熱を行った。
この第3ステップでは材料温度が90℃から173℃まで上昇した。
次に第4ステップでは、外部加熱を続けたままモータ回転数を700(rpm)に落とし混合を行った。
このとき材料温度は173℃から155℃まで低下した。
次に第5ステップでは、モータ回転数を700(rpm)に保ったまま外部冷却を行った。これにより材料温度は155℃から60℃まで低下した。
図2において、モータ負荷は第2ステップで急激に高くなっているが、これはモータ回転数を高めたことによる。
この第2ステップでは外部加熱を行っていないが、モータ回転数の増大による混合の発熱によって材料温度は90℃まで上昇している。
次の第3ステップにおいて、モータ負荷は時間の経過とともに低下しているが、これは外部加熱によって溶媒のNMPが揮発して失われ、材料の混合の抵抗が小さくなったことによる。
この溶媒のNMPはおよそ90℃辺りから揮発し始め、混合中の材料から失われて行く。
この第3ステップでは、モータ負荷が40分辺り(材料温度150℃辺り)で極小となり、その後モータ負荷が増大傾向に転じる。これはPAI樹脂の重合反応によってモータへの負荷が増大したものである。
この第3ステップを更に継続して行えば、磁性粉末の粒子表面を被覆したPAI樹脂が更に重合進行して、これに伴いモータ負荷が更に上昇すると考えられるが、ここでは第3ステップを46分経過時点で打ち切っているため、モータ負荷の上昇は途中で停止している。
尚、後に明らかにされるようにPAI樹脂の重合は100℃辺りから開始するため、図2において材料温度が100℃辺りから上昇して溶媒のNMPが揮発している間にもPAI樹脂の重合はある程度進行しているものと考えられる。
図2ではPAI樹脂の重合による抵抗の増大に対して、溶媒のNMPの揮発による抵抗の減少の方が打ち勝つことによって、モータ負荷が低下傾向を示していると考えられる。
続く第4ステップでは、モータ回転数を再び700rpmに落しており、これに伴って材料温度が低下するとともにモータ負荷が急激に低下している。
そしてその後の第5ステップでの冷却により、材料温度は急激に低下している。
即ちここでは、混合過程で磁性粉末の粒子表面を被覆したPAI樹脂被膜の短時間の加熱が一部行われている。
B.従来例
7.<カップリング剤等>
以下に示すシランカップリング剤をエタノール及び純水とともに磁性粉末に添加した。
尚カップリング剤,エタノール,純水はそれぞれ磁性粉末を基準としてそれぞれ下記に示す量で添加した。
・カップリング剤:東レ・ダウコーニング
Z−6011/0.5質量%
・エタノール:ソルミックス AP−7/2.5質量%
・純水:0.15質量%
8.<ヘンシェルミキサ混合条件>
磁性粉末とカップリング剤との混合は、上記と同様のヘンシェルミキサを用い、以下の表2に示す条件で混合を行った。
尚ここでは材料温度の最高値が120℃となっているが、これは溶媒としてのエタノールが120℃でほとんど飛んで除去されるため、最高温度を120℃に留めている。
C.実施形態及び従来例共通
9.<混練条件>
本実施形態に従ってPAI樹脂にて処理した磁性粉末及び従来例に従ってカップリング処理した磁性粉末のそれぞれについて、熱可塑性樹脂バインダ(ここではPA12樹脂を使用)との混練を以下の条件に従って行った。
尚混練機としては2軸混練機を使用した。混練機と混練条件は以下の通りである。
・2軸混練条件
・混練機:(株)池貝製 PCM-37-31-1V
・混練温度:210℃
・回転数:90rpm
・原料供給量:7.5kg/hr
またPA12樹脂の添加量は、後に示す磁性粉末とMFR,磁気特性との関係を求める試験を除いて磁性粉末の充填量が70体積%となるようにバランス配合した。
10.<MFR測定条件>
磁性粉末と母材樹脂となるPA12樹脂とを混練した複合材料(磁石材)の流動性をMFR(メルトフローレート)測定機にて測定し、流動性を調べた。
測定は以下の条件で行った。
・荷重:100kgf/cm
・ダイ穴形状:直径φ1mm×長さL2mm
・試験温度:260℃
・予熱時間:360sec
11.<射出成形条件>
混練後の複合材料(磁石材)を用いて射出成形試験を以下の条件で行った。
・成形体寸法:直径φ10mm×長さL7mm
・シリンダ温度:260℃
・金型温度:90℃
・射出圧:13MPa
・保圧:13MPa
以上の結果が図3,図4,図5,図6に示してある。
図3は、磁性粉末の充填量とMFRとの関係を、図4は磁性粉末の充填量と磁気特性(BHmax)との関係を、図5はPAI樹脂の添加量とMFRとの関係をそれぞれ示している。
尚図3の試験では、磁性粉末の添加量を種々変えてMFRとの関係を調べている。
同様に図4の試験においても、磁性粉末の添加量を種々変えて磁気特性との関係を調べている。
図3に示しているように本実施形態の場合、混練後の複合材のMFR値が従来例のものに比べて高い流動性を有していることが分る。
その結果実施形態のものは、図4に示しているように磁性粉末を少なくとも70体積%まで高充填することが可能であり、且つそのような高充填によって高い磁気特性が得られている。また磁性粉末の添加量の増大に比例して磁気特性が高まっている。
これに対し従来例のものは、実施形態のものに比べて磁気特性が低く、また磁性粉末の充填可能量が64体積%までであって、それよりも高充填すると成形不能となって、磁気特性そのものを測定することができなかった。
一方PAI樹脂の添加量とMFRとの関係を表した図5に示しているように、PAI樹脂の添加量を0.3質量%(1.6体積%)から0.5質量%(2.7体積%)に増量するとMFR値が増大し、更にPAI樹脂添加量を0.7質量%(3.9体積%)まで増量すると、却ってMFRの値が低下する傾向となる。
この図5においてPAI樹脂の添加量を多くすることでMFRの値が高くなるのは、PAI樹脂の添加量を多くすることで磁性粉末の粒子表面にPAI樹脂の被膜が良好に形成されたこと、またその添加量が適正量よりも多くなると、その分PA12樹脂の量が相対的に少なくなって、そのことにより混合材の流動性が低下することによると考えられる。
この意味においてPAI樹脂を添加するに際して好適な添加量範囲があり、図5からその好適な添加量の範囲が0.3〜0.7質量%(1.6〜3.9体積%)にあることが分る。
尚この図5の結果は、磁性粉末の添加量を70体積%としたものについての試験結果である。
図6はヘンシェルミキサによる混合に際して、上記の表1の第3ステップでの材料のピーク温度が145℃,170℃,195℃となるように条件を変えて混合を行ったときの処理温度(材料温度)とMFRとの関係を示している。
この図6では、処理温度を高めることによってMFRの値が高くなり且つ高い値で安定する傾向を示している。
これは、処理温度が高くなることで磁性粉末表面の被膜のPAI樹脂がより重合進行して被膜硬さが硬くなり、磁性粉末とポリアミド12樹脂とを2軸混練機に投入して高い剪断力の下で混練を行っても被膜が磁性粉末の粒子表面から剥れず、流動性が高く確保されることを表している。
因みに図7は、PAI樹脂(トーロンAI−10)の粉末を単独で加熱し、且つ加熱温度を変化させたときの重合度の変化を測定した結果を表している。
ここではPAI樹脂の粉末をバッチ炉を使用して表3及び図7に示す各温度に加熱及び保持した後、溶媒のNMPに溶解し、その溶液をビスコメイト粘度計「VM−10A」で測定して粘度変化を測定し、重合度の変化を追跡試験した結果を示したものである。
尚、加熱温度は100℃〜10℃おきに200℃まで変化させ、また加熱保持時間を15分とした。
またPAI樹脂の溶媒に対する溶解濃度は、PAI樹脂を1質量%添加した濃度とした。
その粘度の測定結果が表3及び図7に示してある。
これら表3及び図7から分るように、ここで用いたPAI樹脂は100℃から重合反応が進行し、特に150℃から重合反応が促進され、特に170℃以上では更に重合反応が促進されて、溶液粘度の上昇度合が高まっている。
尚加熱温度を230℃及び240℃としたものにおいてはPAI樹脂が溶媒に完全に溶解せずに、ゲル状の物質となって液中に漂う状態であった。
図8は、磁性粉末を70体積%充填したものにおいて、射出成形後の成形体に対し直径方向に力を加えてこれを破断したときの破断面を観察したSEM写真を示している。
但し図8中(A)は従来例のものを、(B)のものは実施形態のものをそれぞれ表している。
またこれら(A),(B)において、(イ)は倍率250倍のSEM写真を、(ロ)は倍率3000倍のSEM写真をそれぞれ示している。
図8(A)(ロ),(B)(ロ)には、それぞれ磁性粉末の粒子が拡大して示されているが、これら(A)(ロ),(B)(ロ)を比較して分るように、(A)(ロ)では粒子表面が比較的平坦な面を成しているのに対し、(B)(ロ)では粒子表面が凹凸の大きな粗面をなしている。
これは、従来例のものでは粒子表面と母材樹脂たるPA12樹脂との結合力が弱く、破壊によって粒子表面が母材樹脂から綺麗に剥離して分離した結果、粒子表面には母材樹脂が残らず、粒子表面が平坦な面となったのに対し、実施形態の場合には粒子表面と母材樹脂たるPA12樹脂との結合力が強く、その結果破壊の際に母材樹脂が粒子表面の側に結合したまま残って写真上に凹凸の粗面を成した形となったものである。
この写真の結果からも、実施形態の場合には磁性粉の粒子表面にPAI樹脂の被膜が形成されることによって、粒子表面と母材樹脂との親和性、結合力が高まっていることが見て取れる。
磁性粉末の充填率を質量%でほぼ94.3%,体積%でほぼ70体積%に揃えるようにして、PAI樹脂の品種,添加量,NMPによる希釈量を種々変化させ、ボンド磁石を成形試験してMFRの値と磁気特性を測定試験した。
結果が表4に示してある。
尚具体的な条件は基本的に上記した条件である。
実施例のものは、磁性粉を70体積%高充填しているにも拘らず、良好な流動性(MFR値)を示しており、またこれに伴って高い磁気特性が得られている。
ここでは実施例と併せて、磁性粉末をカップリング処理したものについても同様の試験を比較例として行っている。
結果を表5に示している。
具体的には、表5に示すようにカップリング剤の種類を変え、実施例と同様に磁性粉末の充填量を70体積%にほぼ揃えるようにして試験を行い、実施例と同様に射出成形試験を行った。
この比較例の場合、磁性粉末の充填量が高過ぎるために複合材の流動性が実質的に得られず、また射出成形ができないことによって磁気特性の測定は行えなかった。
以上本発明の実施形態,実施例を詳述したが本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた態様で実施可能である。

Claims (4)

  1. 強磁性の磁性粉末に熱可塑性樹脂バインダを加えて混練し、得られた磁石材を射出成形により所定形状に成形してボンド磁石を製造するボンド磁石の製造方法であって、
    後の加熱により重合反応して分子量増大する低重合度のポリアミドイミド樹脂を溶媒に溶解して溶液状態とし、該溶液状態のポリアミドイミド樹脂で前記磁性粉末の粒子表面を被覆した後、該溶媒を除去するとともに加熱により前記ポリアミドイミド樹脂を重合反応させて、該粒子表面のポリアミドイミド樹脂の被膜硬さを硬くし、前記樹脂バインダとの混練を行うことを特徴とするボンド磁石の製造方法。
  2. 請求項1において、前記ポリアミドイミド樹脂を、前記磁性粉末を基準として0.3〜0.7質量%添加して混合し、前記ポリアミドイミド樹脂の被膜を該磁性粉末の粒子表面に形成することを特徴とするボンド磁石の製造方法。
  3. 請求項1,2の何れかにおいて、前記加熱の温度を100℃以上とすることを特徴とするボンド磁石の製造方法。
  4. 強磁性の磁性粉末に熱可塑性樹脂バインダを加え、混練にて得られた磁石材を所定形状に成形してなるボンド磁石であって、
    前記磁性粉末の粒子表面には、該表面を被覆するポリアミドイミド樹脂の被膜が形成してあることを特徴とするボンド磁石。
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