JP2008042098A - ボンド磁石及びその製造方法 - Google Patents

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晋吾 口田
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Abstract

【課題】磁性粉末の充填率が高く、酸化等に起因する磁気特性の低下が少ないボンド磁石及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】希土類元素を含む磁性合金からなる超急冷磁性粉と熱可塑性樹脂からなり、前記超急冷磁性粉は、平均粒径が20〜100μmであり、かつ、エッジ部のRが1.5μm以上であるボンド磁石。平均粒径が20〜100μmであり、かつ、エッジ部のRが1.5μm以上である希土類元素を含む磁性合金からなる超急冷磁性粉と熱可塑性樹脂とを、指数nが0.2〜0.8の範囲となり、かつ、定数Bが3000〜20000の範囲となるように配合・混練し、コンパウンドを得る配合・混練工程と、コンパウンド中の熱可塑性樹脂を溶融させて溶融コンパウンドとし、溶融コンパウンドを所定の形状に射出成形する成形工程とを備えたボンド磁石の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、ボンド磁石及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、射出成形法を用いて製造されるボンド磁石及びその製造方法に関する。
ボンド磁石とは、SmCo系合金、NdFeB系合金などの磁性粉末を樹脂で固化させたものをいう。使用する樹脂は、成形方法によって異なる。一般に、圧縮成形では熱硬化性樹脂が、また、射出成形や押出成形では熱可塑性樹脂が用いられる。また、焼結磁石とは、磁性粉末を成形し、焼結させたものをいう。
焼結磁石は、高価な設備を必要とし、最終製品に仕上げるために機械加工が必要となる場合が多いという欠点はあるが、エネルギ積は高いという特徴がある。一方、ボンド磁石は、磁性粉末の充填率が低くなるほど、エネルギ積が小さくなるという欠点はあるが、工程が比較的単純であり、機械加工を施すことなく最終製品形状が得られるという特徴がある。そのため、焼結磁石及びボンド磁石は、目的に応じて各種の用途に用いられている。
高密度、小型化が著しいHDDやレンズアクチュエータ用磁石には、小口径かつ薄肉のリング状磁石が用いられている。その原料には、近年、SmFeN系合金磁性粉、NdFeB系合金磁性粉などが使用されている。特に、SmFeN系合金磁性粉は、NdFeB系合金磁性粉を上回る磁気特性に加えて、優れた耐食性を有しているので、この種の用途に多用されている。
このような小口径、薄肉で、かつ長尺のモータ用磁石の場合、射出成形法が最も適した成形法である。射出成形法は、周知のように、
(1)磁性粉とバインダーである熱可塑性樹脂とを混練機で造粒してペレット状のコンパウンドとし、
(2)コンパウンドを溶融させ、流動可能な粘度を有する溶融コンパウンドとし、溶融コンパウンドを金型内に射出し、冷却して所望の形状を有するマグネットを得る
方法である。
射出成形法を用いて適正な成形体を得るためには、溶融コンパウンドの流動性を高める必要がある。特に、小口径、薄肉、長尺の円筒状磁石を射出成形法で製造するためには、溶融コンパウンドの流動性は、ショートショットを防止する上で極めて重要である。一方、希土類元素を含む磁性粉は、一般に、単ロール法を用いて溶湯を超急冷し、得られた箔帯(リボン)を適度な粒度に粉砕することにより作製される。このようにして得られた超急冷磁性粉は、一般に、扁平な形状を有しているので、流動性や充填性が悪い。そのため、このような粉末を用いて射出成形すると、ショートショットが起きやすいという問題がある。
そこでこの問題を解決するために、従来から種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1には、金型に薄肉材を密着させ、薄肉材と金型の密着面で形成されるゲートを介してランナーからの溶融コンパウンドをキャビティに注入する磁石の製造方法が開示されている。同文献には、このような方法を用いることによって、加工が難しい狭いゲートを作製する必要がなくなるだけでなく、ゲートの詰まりを抑制することができるので、薄肉円筒状の磁石であっても精度良く製造することができる点が記載されている。
また、特許文献2には、平均粒径が10〜70μm、アスペクト比(短軸方向サイズ/長軸方向サイズ)が0.4〜1.0以下である第1鉄基希土類合金粉末と、平均粒径が70〜300μm、アスペクト比が0.3未満の第2鉄基希土類合金粉末を含み、第1鉄基希土類合金粉末と第2鉄基希土類合金粉末の混合比が体積基準で1:49〜4:1である鉄基希土類合金粉末が開示されている。同文献には、第1鉄基希土類合金粉末と第2鉄基希土類合金粉末を所定の比率で配合すると、磁気特性と流動性のバランスに優れた鉄基希土類合金粉末が得られる点が記載されている。
また、特許文献3には、0.5μm以下の粒子が5個数%以下、4.6μm以上の粒子が5個数%以下の粒度分布を有する希土類鉄窒素系磁性粉末を用いたボンド磁石が開示されている。同文献には、共沈法を用いて希土類鉄窒素系磁性粉末を作製すると、粉砕法に比べて粒径を揃えることができる点、及び、粒径を揃えることによって、保持力の低下、耐熱性の低下、及び錆の発生を抑制することができる点が記載されている。
さらに、特許文献4には、平均粒径20〜50μm、10%質量粒径が5μm以上、90%質量粒径50μm以上、粒度分布の標準偏差が0.35以上であるR−Fe−B系ナノコンポジット磁石粉末と樹脂バインダからなる高流動性コンパウンドが開示されている。同文献には、磁石粉末を構成する粒子集合体の流度分布に適度な幅広がりを持たせると、大きな粒子の隙間に種々の大きさの粒子が充填されるので、流動性が改善する点が記載されている。
特開2001−170971号公報 特開2003−49204号公報 特開2002−353017号公報 特開2004−273569号公報
超急冷法は、液相合成法に比べて、磁気特性の高い磁性粉末が得られるという利点がある。しかしながら、箔帯を粉砕することにより得られる超急冷磁性粉は、扁平な形状を有しており、しかも、破断面コーナー部は、ガラスの破面のように鋭利となっている。そのため、超急冷磁性粉は、一般に、流動性や充填性が低いという問題がある。
この問題を解決するために、特許文献2、4に開示されているように、磁性粉の平均粒径や粒度分布を調整することも考えられる。しかしながら、特に希土類系の磁性粉末の場合、表面酸化のため、粉砕により過剰に微細化されると、磁気性能が低下する。一方、粗大な磁性粉があると流動性を阻害する。
また、一般に、磁性粉が細かくなるほど、粘度のせん断速度依存性が大きくなる。その結果、溶融コンパウンドが金型内に流入することによって急速に速度低下すると、せん断応力が上昇し、ショートショットが起きやすい。
さらに、溶融コンパウンドは、一般に粘度の温度依存性が大きい。その結果、成形体の肉厚が薄くなるほど、溶融コンパウンドが金型内に流入することによって急速に冷却され、せん断応力が上昇してショートショットが起きやすい。そのため、単に平均粒径や粒度分布を制御する従来の方法では、磁気特性を高く維持したまま、流動性や成形性を向上させるには限界がある。
本発明が解決しようとする課題は、磁性粉末の充填率が高く、酸化等に起因する磁気特性の低下が少ないボンド磁石を提供することにある。
また、本発明が解決しようとする他の課題は、超急冷法により得られた磁性粉の流動性及び充填性を高め、小径、薄肉、かつ長尺のボンド磁石であっても製造可能なボンド磁石の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係るボンド磁石は、希土類金属を含む磁性合金からなる超急冷磁性粉と熱可塑性樹脂からなり、前記超急冷磁性粉は、平均粒径が20〜100μmであり、かつ、エッジ部のRが1.5μm以上であることを要旨とする。
また、本発明に係るボンド磁石の製造方法は、
平均粒径が20〜100μmであり、かつ、エッジ部のRが1.5μm以上である希土類金属を含む磁性合金からなる超急冷磁性粉と熱可塑性樹脂とを、指数nが0.2〜0.8の範囲となり、かつ、定数Bが3000〜20000の範囲となるように配合・混練し、コンパウンドを得る配合・混練工程と、
前記コンパウンドに含まれる前記熱可塑性樹脂を溶融させて流動可能な溶融コンパウンドとし、前記溶融コンパウンドを所定の形状に射出成形する成形工程と
を備えていることを要旨とする。
但し、指数nは、前記溶融コンパウンドの流動性をキャピログラフ流動性試験機にて測定し、測定されたせん断速度γ(sec-1)とせん断応力τ(Pa)を用いて(1)式から求められる指数nを表す。但し、ηは見掛け粘度。
τ=η・γn ・・・(1)
定数Bは、前記溶融コンパウンドの流動性をキャピログラフ流動性試験機にて測定し、測定された見かけ粘度ηと温度T(K)を用いて(2)式から求められる定数Bを表す。但し、Aは定数。
ln(η)=A+B/T ・・・(2)
超急冷法により製造された箔帯を粉砕し、得られた粉砕粉をさらに共摺りすると、粉砕粉のエッジを適度に面取りすることができる。このようなエッジ部が面取りされた磁性粉と熱可塑性樹脂とを所定の比率で配合すると、粘度のせん断速度依存性が相対的に小さく、かつ、粘度の温度依存性が相対的に小さいコンパウンドが得られる。そのため、このようなコンパウンドを用いて射出成形を行うと、小径、薄肉、かつ長尺の成形体であっても、ショートショットを起こすことなく成形することができる。
得られたボンド磁石は、エッジ部が面取りされた磁性粉を用いているので、磁性粉末の充填率が相対的に高い。また、充填性や流動性を高めるために、過剰に粉砕したり、あるいは、故意に粗大な粉末を配合する必要がない。そのため、磁気特性の高いボンド磁石が得られる。
以下に、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
本発明に係るボンド磁石は、超急冷磁性粉と熱可塑性樹脂からなる。
本発明において、超急冷磁性粉は、平均粒径が20〜100μmであり、かつ、エッジ部のRが1.5μm以上であるものからなる。
「超急冷磁性粉」とは、所定の組成を有する磁性合金の溶湯をロール法(単ロール法、双ロール法など)を用いて急冷凝固させ、得られた箔帯(リボン)を粉砕することにより得られるものをいう。
超急冷磁性粉は、希土類元素を含む磁性合金からなる。本発明は、希土類元素を含む磁性合金以外にも当然に適用できるが、希土類元素を含む磁性合金は、超急冷することによって高い磁気特性が得られるので、超急冷磁性粉を構成する材料として特に好適である。希土類元素を含む磁性合金としては、具体的には、Sm−Fe−N系合金、Nd−Fe−B系合金、Sm−Co系合金などがある。
表面酸化により、超急冷磁性粉の平均粒径が小さくなるほど、磁気特性が低下する。この傾向は、特に希土類元素を含む磁性合金の場合に顕著となる。また、超急冷磁性粉の平均粒径が小さくなりすぎると、溶融コンパウンドの粘度のせん断速度依存性が大きくなり、ショートショットが起こりやすくなる。従って、超急冷磁性粉の平均粒径は、20μm以上が好ましい。
一方、超急冷磁性粉の平均粒径が大きくなりすぎると、溶融コンパウンドの流動性が低下する。また、磁性粉の充填性が低下し、磁気特性の高いボンド磁石が得られない。従って、超急冷磁性粉の平均粒径は、100μm以下が好ましい。
なお、「平均粒径」とは、レーザー回折法(JIS Z8825−1)により求めた粉末の粒径の50%累積値(メディアン径)をいう。
超急冷磁性粉は、上述したようにロール法により得られる箔帯を粉砕することにより得られる。そのため、超急冷磁性粉は、粉砕条件にもよるが、厚さがほぼ一定の扁平な形状となる。厚さは、急冷凝固時の条件でほぼ決まる。一般に、粉砕条件がソフトであるほど、磁性粉は平板状となり、射出成形時の流動性や粉末の充填性が低下する。一方、粉砕条件がハードになるほど、粉砕粉は等方的な形状となるので、流動性は良好となるが、過度の粉砕は、表面酸化により、磁気特性を低下させる原因となる。さらに、粒子形状は、溶融コンパウンドの粘度の温度依存性に影響があり、不適切な粒子形状は、粘度の温度依存性を増大させる。
ここで、磁性粉の厚さをhとし、平面方向(扁平状の粉末の厚さ方向)から見た磁性粉に外接する最小面積の長方形の2辺の長さをl、w(但し、l≧w)とし、w/hを扁平度、l/wを伸長度と定義する。
磁気特性の低下を抑制するためには、磁性粉の扁平度(w/h)は、1以上が好ましい。扁平度は、さらに好ましくは、5以上である。一方、相対的に高い流動性を得るためには、磁性粉の扁平度は、15以下が好ましい。扁平度は、さらに好ましくは、10以下である。
同様に、磁気特性の低下を抑制するためには、磁性粉の伸長度(l/w)は、1以上が好ましい。一方、相対的に高い流動性を得るためには、磁性粉の伸長度は、5以下が好ましい。伸長度は、さらに好ましくは、4以下である。
粉砕直後の磁性粉のコーナ部は、ガラスの破片のように鋭利となる。磁性粉のコーナ部が鋭利であると、射出成形時に磁性粉同士の接触抵抗が増大し、溶融コンパウンドの流動性が低下する。従って、エッジ部のRは、1.5μm以上が好ましい。エッジ部のRは、さらに好ましくは、2μm以上、さらに好ましくは、3μm以上である。
なお、「エッジ部のR」とは、以下の方法により測定された値をいう。
(1)磁性粉と液状エポキシ樹脂を重量比で8:2の比率で混合し、円筒状の型内で硬化させる。
(2)硬化させた試料を切断し、切断面を研磨して鏡面に仕上げる。
(3)鏡面研磨面をSEMにて倍率5000倍で観察し、断面が見える磁性粉を5〜10個選択して、それぞれ、R値を読み取り、その平均値を求める。
ボンド磁石を構成する熱可塑性樹脂は、特に限定されるものではないが、見掛け粘度ηが20〜300(Pa・s)であるものが好ましい。ここで、「見掛け粘度」とは、測定温度=使用する樹脂の融点、せん断速度γ=1000(sec-1)の条件下で、キャピログラフ流動性試験機を用いて測定された樹脂の粘度をいう。
樹脂の見掛け粘度ηが低くなりすぎると、射出成形の際にゲート孔付近で磁性粉と樹脂が分離するおそれがある。従って、樹脂の見掛け粘度は、20(Pa・sec)以上が好ましい。
一方、樹脂の見掛け粘度ηが高くなりすぎると、磁性粉と樹脂とのコンパウンドを製造する際に、混練トルクが過剰となり、コンパウンドの製造が困難となる。従って、樹脂の見掛け粘度ηは、300(Pa・s)以下が好ましい。
上述の条件を満たす熱可塑性樹脂としては、具体的には、ポリアミド(PA)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレンエチルアクリレートコポリマー(EEA)、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)などがある。
磁性粉と熱可塑性樹脂の配合比は、磁性粉の粒径・粒形、熱可塑性樹脂の種類、ボンド磁石に要求される特性、コンパウンドに要求される流動性等に応じて、最適な比率を選択する。一般に、熱可塑性樹脂の配合比が多くなるほど、流動性の高いコンパウンドが得られる。一方、熱可塑性樹脂の配合比が過剰になると、磁性粉末の充填率が低下し、磁気特性が低下する。磁性粉の配合比は、通常、50〜70vol%である。
流動性の高いコンパウンドが得られ、かつ、磁気特性の高いボンド磁石を得るためには、溶融コンパウンドの指数nが0.2〜0.8の範囲となるように、磁性粉と熱可塑性樹脂とを配合するのが好ましい。
ここで、「指数n」とは、溶融コンパウンドの流動性をキャピログラフ流動性試験機にて測定し、測定されたせん断速度γ(sec-1)とせん断応力τ(Pa)を用いて(1)式から求められる指数nを表す(図1(a)参照)。但し、ηは見掛け粘度である。
τ=η・γn ・・・(1)
金型のゲート内に高速で流入した溶融コンパウンドは、キャビティ内を減速しながら進む。溶融コンパウンドの粘度は、せん断速度依存性が大きいので、溶融コンパウンドの速度が低下すると、せん断応力が上昇する。そのため、指数nが小さすぎると、せん断速度の低下によって見掛け粘度が増加し、ショートショットの原因となる。従って、指数nは、0.2以上が好ましい。指数nは、さらに好ましくは、0.3以上である。
一方、指数nが大きくなりすぎると、ゲート部のような高速で流動する箇所では、樹脂の自己発熱による焼けや低粘度によるバリ発生の原因となる。従って、指数nは、0.8以下が好ましい。指数nは、さらに好ましくは、0.7以下である。
また、流動性の高いコンパウンドが得られ、かつ、磁気特性の高いボンド磁石を得るためには、上述した指数nに加えて、定数Bが3000〜20000の範囲となるように、磁性粉と熱可塑性樹脂とを配合するのが好ましい。
ここで、「定数B」とは、溶融コンパウンドの流動性をキャピログラフ流動性試験機にて測定し、得られた見掛け粘度ηと温度T(K)を用いて(2)式から求められる定数Bを表す(図1(b)参照)。但し、Aは定数である。
ln(η)=A+B/T(Aは、定数) ・・・(2)
定数Bが小さすぎると、見掛け粘度が低くなりすぎ、バリ発生が生じやすい。従って、定数Bは、3000以上が好ましい。定数Bは、さらに好ましくは、4000以上である。
一方、定数Bが大きくなりすぎると、金型内での冷却に伴う粘度の増加速度が増大し、ショートショットの原因となる。従って、定数Bは、20000以下が好ましい。定数Bは、さらに好ましくは、15000以下である。
次に、超急冷磁性粉の製造方法について説明する。
平均粒径が20〜100μmであり、かつ、エッジ部のRが1.5μm以上である超急冷磁性粉は、
(1)磁性合金の溶湯をロール法により急冷凝固させ、
(2)得られた箔帯を粉砕し、
(3)粉砕粉を共摺りする
ことにより得られる。
ロール法は、周知のように、水冷された銅ロールを回転させながら、ノズルを用いて磁性合金の溶湯をロール表面に噴射し、溶湯を急冷凝固させる方法である。一般に、ロールの回転速度が速くなるほど、及び/又は、溶湯の噴射量が少なくなるほど、凝固速度を大きくすることができる。
次に、得られた箔帯を粉砕する。粉砕方法は、特に限定されるものではなく、振動型ボールミル、ピンミル、ジェットミルなどの各種の方法を用いることができる。ボールミルの場合、粉砕粉の粒径、扁平度及び伸長度は、粉砕時間、原料粉と粉砕メディアの比率等により制御することができる。また、ピンミル、ジェットミルの場合、粉砕粉の粒径等は、原料粉フィード速度、ガス供給速度等により制御することができる。あるいは、粉砕粉を分級し、上述した平均粒径、扁平度、及び伸長度に調節することもできる。
次に、粉砕粉の共摺りを行う。粉砕粉の共摺り方法は、特に限定されるものではなく、所定の粒度に粉砕された磁性粉をさらに粉砕させることなく、エッジ部にRを付けることができる方法であればよい。例えば、回転ボールミルを用いる場合、ポット内に粉砕された磁性粉のみを入れ、密閉状態でポットを回転させればよい。ポット内に磁性粉のみを入れてポットを回転させると、磁性粉同士がこすれ合い、磁性粉の鋭利なエッジ部をR取りすることができる。
この場合、R取りの程度は、回転速度、回転時間、ポットへの磁性粉充填量等により調節することができる。一般に、回転速度が速くなるほど、回転時間が長くなるほど、及び/又は、ポットへの磁性粉充填量が多くなるほど、エッジ部のRを大きくすることができる。
次に、本発明に係るボンド磁石の製造方法について説明する。
本発明に係るボンド磁石の製造方法は、配合・混練工程と、成型工程とを備えている。
配合・混練工程は、平均粒径が20〜100μmであり、かつ、エッジ部のRが1.5μm以上である希土類元素を含む磁性合金からなる超急冷磁性粉と熱可塑性樹脂とを、指数nが0.2〜0.8の範囲となり、かつ、定数Bが3000〜20000の範囲となるように配合・混練し、コンパウンドを得る工程である。
エッジ部のR取りがされた超急冷磁性粉は、そのまま配合・混練しても良く、あるいは、磁性粉の酸化防止のために、周知の方法を用いて表面をカップリング処理しても良い。カップリング剤としては、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤などがある。
必要に応じてカップリング処理された磁性粉と熱可塑性樹脂とを所定の比率で配合し、これらを混練する。混練方法は、特に限定されるものではないが、通常、2軸混練機が用いられる。2軸混練機を用いて磁性粉及び熱可塑性樹脂を混練し、ペレット状のコンパウンドを得る。
なお、エッジ部のR取りが行われた磁性粉の製造方法、指数n、及び定数Bについては、上述した通りであるので、説明を省略する。
成形工程は、コンパウンドに含まれる熱可塑性樹脂を溶融させて流動可能な溶融コンパウンドとし、溶融コンパウンドを所定の形状に射出成形する工程である。
溶融コンパウンドは、金型に設けられたゲートを通って、金型内のキャビティに注入される。キャビティ内に注入された溶融コンパウンドは、金型により冷却され、所定の形状を有するボンド磁石となる。
次に、本発明に係るボンド磁石及びその製造方法の作用について説明する。
一般に、希土類元素を含む磁性合金の粉末は、高い磁気特性を得るために超急冷された箔帯を粉砕することにより製造されている。しかしながら、粉砕粉は、形状が球形でないので、熱可塑性樹脂との混練時及び射出成形時において、粉同士が干渉し、流動性が悪い。一方、粉砕粉の形状を球形に近づけるために過度に粉砕すると、表面酸化により、磁気特性が低下する。また、粉砕粉の粒度が細かくなりすぎると、溶融コンパウンドの粘度のせん断速度依存性が大きくなり、ショートショットが起きやすくなる。
さらに、溶融コンパウンドは、一般に粘度の温度依存性が大きいので、溶融コンパウンドがキャビティ内に流入すると急速に冷却され、せん断応力が上昇する。そのため、成形体の肉厚が薄くなるほど、ショートショットが起きやすい。この傾向は、粒子形状が不適切である場合に顕著となる。
これに対し、超急冷法により製造された箔帯を適度に粉砕すると、適正な扁平度及び伸長度を有する粉砕粉が得られる。次いで、得られた粉砕粉をさらに共摺りすると、粉砕粉のエッジを適度に面取りすることができる。エッジ部が面取りされた磁性粉は、粉末同士の干渉が少なくなるので、これと熱可塑性樹脂とを所定の比率で配合すると、粘度のせん断速度依存性が相対的に小さいコンパウンドが得られる。また、適度な扁平度及び伸長度を有する磁性粉と熱可塑性樹脂とを所定の比率で配合すると、粘度の温度依存性が相対的に小さいコンパウンドが得られる。そのため、このようなコンパウンドを用いて射出成形を行うと、小径、薄肉、かつ長尺の成形体であっても、ショートショットを起こすことなく成形することができる。
得られたボンド磁石は、エッジ部が面取りされた磁性粉を用いているので、磁性粉末の充填率が相対的に高い。また、充填性や流動性を高めるために、過剰に粉砕したり、あるいは、故意に粗大な粉末を配合する必要がないので、得られたボンド磁石の磁気特性も高い。
(実施例1〜2、比較例1〜3)
[1. 試料の作製]
SmFeN系超急冷磁性粉を所定の条件下で粉砕し、平均粒径Davが11〜150μmである粉砕粉を得た。得られた粉砕粉を回転ボールミル中で共摺りし、エッジ部のR取りを行った。
共摺り条件は、
粉砕粉充填量:5kg、
回転ポット容積:5リットル、
回転ポット回転数:30rpm、
R取り時間:30min(実施例1〜2)又は10min(比較例1〜3)
とした。
次に、共摺りした粉砕粉をシラン系カップリング剤で処理した。次いで、熱可塑性樹脂(ナイロン12(PA12)、又はPPS)と磁性粉とを磁性粉配合比率が55vol%又は68vol%となるように配合し、2軸混練機で混練・造粒した。
[2. 試験方法]
得られたコンパウンドについて、以下の試験を行った。
(1) 顕微鏡を用いた扁平度(w/h)、伸長度(1/w)及びRの測定。
(2) キャピログラフを用いた指数n及び定数Bの測定。
(3) 外形23mm、内径21mm、高さ10mmのリング磁石の射出成形。
[3. 結果]
表1に、その結果を示す。比較例1は、過剰な粉砕を行ったために、平均粒径Davが20μm未満となった。また、共摺りが不十分であるために、エッジ部のRは1μmであった。さらに、n値は0.8を超え、B値も20000を超えた。n値が0.8を超えたのは、粒径が細かすぎるためである。また、B値が20000を超えたのは、粒径が細かすぎるのに加え、Rが小さすぎるためである。そのため、射出成形時にノズル詰まりが発生し、健全なリング状磁石は得られなかった。
一方、比較例2、3は、粉砕時間が短いために、平均粒径Davは100μmを超えた。また、共摺りが不十分であるために、エッジ部のRは、いずれも1μmであった。さらに、n値は適正範囲であったが、B値は20000を超えた。B値が20000を超えたのは、粒径及び伸長度が大きすぎるためである。その結果、射出成形時にショートショット又はノズル詰まりが発生し、健全なリング状磁石は得られなかった。
これに対し、実施例1、2は、いずれも平均粒径Dav、エッジ部のR、扁平度及び伸長度が適正であるために、n値及びB値が適正範囲となった。また、射出成形により、健全なリング状磁石が得られた。
Figure 2008042098
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は、上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
本発明に係るボンド磁石及びその製造方法は、サーボモータ、PM型ステッピングモータなどの各種回転機器のロータ用磁石及びその製造方法として用いることができる。
図1(a)は、せん断速度γとせん断応力τとの関係を示す図であり、図1(b)は、温度Tと見掛け粘度ηとの関係を示す図である。

Claims (5)

  1. 希土類金属を含む磁性合金からなる超急冷磁性粉と熱可塑性樹脂からなり、
    前記超急冷磁性粉は、平均粒径が20〜100μmであり、かつ、エッジ部のRが1.5μm以上である
    ボンド磁石。
  2. 前記磁性合金は、Sm−Fe−N系合金である請求項1に記載のボンド磁石。
  3. 前記超急冷磁性粉は、扁平度が1〜15であり、伸長度が1〜5である請求項1又は2に記載のボンド磁石。
  4. 前記超急冷磁性粉は、溶湯をロール法により急冷凝固させ、得られた箔帯を粉砕し、粉砕粉を共摺りすることにより得られるものである請求項1から3までのいずれかに記載のボンド磁石。
  5. 平均粒径が20〜100μmであり、かつ、エッジ部のRが1.5μm以上である希土類金属を含む磁性合金からなる超急冷磁性粉と熱可塑性樹脂とを、指数nが0.2〜0.8の範囲となり、かつ、定数Bが3000〜20000の範囲となるように配合・混練し、コンパウンドを得る配合・混練工程と、
    前記コンパウンドに含まれる前記熱可塑性樹脂を溶融させて流動可能な溶融コンパウンドとし、前記溶融コンパウンドを所定の形状に射出成形する成形工程と
    を備えたボンド磁石の製造方法。
    但し、指数nは、前記溶融コンパウンドの流動性をキャピログラフ流動性試験機にて測定し、測定されたせん断速度γ(sec-1)とせん断応力τ(Pa)を用いて(1)式から求められる指数nを表す。但し、ηは見掛け粘度。
    τ=η・γn ・・・(1)
    定数Bは、前記溶融コンパウンドの流動性をキャピログラフ流動性試験機にて測定し、測定された見かけ粘度ηと温度T(K)を用いて(2)式から求められる定数Bを表す。但し、Aは定数。
    ln(η)=A+B/T ・・・(2)
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