JPH11288807A - ボンド磁石用偏平木の葉状希土類―鉄―ボロン系磁石合金粒子粉末及びその製造法並びにボンド磁石 - Google Patents

ボンド磁石用偏平木の葉状希土類―鉄―ボロン系磁石合金粒子粉末及びその製造法並びにボンド磁石

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JPH11288807A
JPH11288807A JP11028997A JP2899799A JPH11288807A JP H11288807 A JPH11288807 A JP H11288807A JP 11028997 A JP11028997 A JP 11028997A JP 2899799 A JP2899799 A JP 2899799A JP H11288807 A JPH11288807 A JP H11288807A
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boron
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Masaaki Hamano
正昭 浜野
Minoru Yamazaki
実 山崎
Hirotaka Mizuguchi
博崇 水口
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Toda Kogyo Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 大きな残留磁束密度Brと高い保磁力iHc
を有し、最大磁気エネルギー積(BH)maxが大きく、
防錆性に優れ、リーフィング効果に優れたボンド磁石用
偏平木の葉状希土類−鉄−ボロン系磁石合金粒子粉末及
びその製造法並びに該希土類−鉄−ボロン系磁石合金粒
子粉末を用いたボンド磁石を提供する。 【解決手段】 平均長軸径が60〜500μm、平均短
軸径が50〜460μm、平均厚さが3〜100μm、
平均軸比が1.1〜10、平均アスペクト比が3〜10
0である偏平木の葉状希土類−鉄−ボロン系磁石合金粒
子粉末は、希土類−鉄−ボロン系の粗合金を、加熱溶解
して合金溶湯とした後、ノズルから流出させ、当該流出
合金溶湯にガスを噴霧することにより合金溶湯の液滴を
生成させ、当該液滴を円錐型又は円盤型の回転冷却体の
表面に衝突させることによって冷却凝固させて急冷凝固
物粒子粉末とし、次いで、600〜850℃の温度範囲
で加熱処理することにより得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、大きな残留磁束密
度Br、殊に、9.5kG以上と、高い保磁力iHc、
殊に、3.5kOe以上とを有し、その結果、最大磁気
エネルギー積(BH)maxが大きく、防錆性に優れ、且
つ、リーフィング効果に優れたボンド磁石用偏平木の葉
状希土類−鉄−ボロン系磁石合金粒子粉末及びその製造
法並びに該希土類−鉄−ボロン系磁石合金粒子粉末を用
いたボンド磁石に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ボンド磁石は、その形状自在性や高寸法
精度などの利点があるため、従来から電気製品や自動車
部品等の各種用途に広く使用されているが、近年、電気
製品や自動車部品の小型・軽量化に伴って、これに使用
されるボンド磁石自体の小型化が強く要求されている。
【0003】ボンド磁石の小型化のためには、磁石の高
性能化、即ち、大きな残留磁束密度Brと高い保磁力i
Hcとを有し、その結果、最大磁気エネルギー積(B
H)ma xが大きいことが強く要求されている。
【0004】周知の通り、バリウムフェライトやストロ
ンチウムフェライト等のマグネトプランバイト型フェラ
イトを用いたボンド磁石(以下、「フェライトボンド磁
石」という。)は、フェライト粉末が酸化物であるた
め、耐食性に優れており、また、バリウム、ストロンチ
ウム等の酸化物や鉄酸化物等の安価な原料を用いて製造
されるので、経済的であり、広く使用されている。
【0005】しかし、このフェライトボンド磁石の磁気
特性は、通常、残留磁束密度Brが2〜3kG程度、保
磁力iHcが2〜3kOe程度、最大磁気エネルギー積
(BH)maxが1.6〜2.3MGOe程度であって、
使用される機器の小型・軽量化には十分なものではな
い。
【0006】磁石の高性能化と低価格化への要求はとど
まるところがなく、1982年に希土類元素の内でも比
較的低価格であるNdを用いたNd−鉄−ボロン系磁石
合金が、住友特殊金属(株)と米国ゼネラルモーターズ
によってほぼ同時に開発されて以来、広く各種用途に応
用されており、ボンド磁石への展開も行われている。さ
らにその磁気特性の向上を求めて希土類−鉄−ボロン系
交換スプリング磁石合金の開発がさかんであり、一部は
既に実用化されている。
【0007】前記交換スプリング磁石は、鉄(αFe)
若しくは鉄化合物とNd2Fe141型正方晶化合物との
交換相互作用により、磁気的なスプリング現象を示すも
ので、その特徴は、低い希土類含有量と大きな残留磁束
密度Brを有することであり、コストパフォーマンスに
優れた磁石となる可能性が高いものとして期待されてい
る。
【0008】即ち、Nd等の希土類量が10原子%未満
の希土類−鉄−ボロン系交換スプリング磁石合金は、例
えば、ゼネラルモーターズが開発した市販の“MQP”
(商品名)のようにNd等の希土類量が化学量論組成に
近い10〜15原子%の希土類−鉄−ボロン系磁石合金
に比べ、磁気特性上のポテンシャルが高く、また、高価
な希土類の含有量を低減できるため経済的であるという
特徴を有する。
【0009】前記Nd等の希土類量が10原子%未満の
希土類−鉄−ボロン系交換スプリング磁石合金には、軟
磁性相としてαFeを含む系とFe3BやFe2Bを含む
系とがある。前者は、一般に残留磁束密度Brが10〜
13kGと大きいが保磁力iHcは高々3.5kOe未
満と低いものであり、後者は、一般に保磁力iHcが
3.5〜7.7kOeと比較的高いが、残留磁束密度B
rが10kG程度以下であるため、“MQP”と比べる
と残留磁束密度Brは大きいがαFe主体系に比べて低
いものである。
【0010】ところで、希土類−鉄−ボロン系磁石合金
を用いたボンド磁石の主な用途である小型モーター等の
分野においては、モーターの小型化と使用磁石の磁気的
安定性の観点から、残留磁束密度Brと保磁力iHcの
バランスがとれた磁気特性であること、即ち、残留磁束
密度Brが9.5kG以上、保磁力iHcが3.5kO
e以上であることが強く要求されている。
【0011】また、Nd等の希土類を含む磁石合金は、
空気中で酸化されて次第に安定な酸化物を生成しやす
く、防錆性に劣るという欠点がある。そのため、Nd等
の希土類を含む磁石合金を用いて製造されたボンド磁石
は、耐食性が劣るので、一般には樹脂系のディッピン
グ、スプレーコーティング、電着塗装あるいは金属メッ
キなどの防錆コーティングが施されるのが普通である。
【0012】従って、Nd等の希土類を含む磁石合金の
防錆性が向上すれば、上記のような用途においてもボン
ド磁石表面の防錆コーティングを簡略化又は省力化でき
ることが期待でき、用途によっては、防錆コーティング
を省略できる可能性もあるため、希土類−鉄−ボロン系
磁石合金の防錆性の向上が強く要求されている。
【0013】また、ボンド磁石は、通常、磁石粉末を結
合剤樹脂中に練り込んで成形することにより製造される
が、磁石粉末の形状が薄片状であれば容易に機械配向し
て結合剤樹脂中への充填密度を向上させることができる
ことが知られている。しかし、薄片状粒子であっても湾
曲した面を有する場合には十分に充填密度を向上させる
ことは困難となる。即ち、用途は異なるものの、特開平
2−34706号公報の「・・・塗料用の粉末として
は、一般に薄片状のものが好ましいとされている。すな
わち、粉末を塗料用の樹脂に混合して刷毛塗り、スプレ
ー等で塗布したとき、樹脂の硬化時に生じる表面張力に
よって粉末が塗面と平行に積層し(これをリーフィング
現象という)、粉末による連続した被膜が形成され、素
材を外気から遮断してより良好な耐食性耐候性を付与す
るからである。・・・」なる記載の通り、ボンド磁石の
製造においても、粒子形状が曲面でない偏平木の葉状の
粒子からなる磁石合金粒子粉末を用いることによりリー
フィング効果によって、ボンド磁石中における粉末の充
填密度を容易に上げることができるためボンド磁石の飽
和磁束密度Brが向上し、ひいては最大磁気エネルギー
積(BH)maxを高めることが可能となる。そこで、リ
ーフィング効果に優れた粒子形状が曲面でない偏平木の
葉状の粒子からなる希土類磁石合金粒子粉末が望まれて
いる。
【0014】即ち、大きな残留磁束密度Brと高い保磁
力iHcとを有し、その結果、最大磁気エネルギー積
(BH)maxが大きく、防錆性に優れ、且つ、リーフィ
ング効果に優れた偏平木の葉状希土類−鉄−ボロン系磁
石合金粒子粉末が強く要求されているのである。
【0015】なお、Feを主成分(ただし、91原子%
未満である。)とし、1種又は2種以上の希土類元素
(R)とホウ素(B)を含有する急冷永久磁石材料にお
いて、10面積%以下の軟磁性非晶質相を含み、残部が
R−Fe−B系硬質磁性化合物を含む結晶質相からなる
永久磁石材料は公知である(特開平8−162312号
公報)。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】大きな残留磁束密度B
rと高い保磁力iHcとを有し、その結果、最大磁気エ
ネルギー積(BH)maxが大きく、防錆性に優れ、且
つ、リーフィング効果に優れた希土類−鉄−ボロン系磁
石合金粒子粉末は、現在、最も要求されているところで
あるが、このような特性を有する希土類−鉄−ボロン系
磁石合金粒子粉末は未だ得られていない。
【0017】即ち、前出特開平8−162312号公報
記載の希土類−鉄−ボロン系磁石合金は、同公報の「表
5」に残留磁束密度Brが0.62〜0.97T(6.
2〜9.7kGに相当する。)程度、保磁力iHcが
0.16〜0.21MA/m(1.25〜2.6kOe
に相当する。)程度、最大磁気エネルギー積(BH)ma
xが19.7〜72.0kJ/m3(2.5〜9.0MG
Oeに相当する。)程度と記載されている通り、保磁力
iHcが高々3kOe程度、残留磁束密度Brが高々1
0kG程度と低いものであった。
【0018】前出特開平8−162312号公報の実施
例2〜4に記載の希土類−鉄−ボロン系磁石合金は、急
冷薄帯を粉砕した後、真空中で押出加工して得られたバ
ルク体であり、本発明に係る偏平木の葉状希土類−鉄−
ボロン系磁石合金粒子粉末とは形態が相違する。
【0019】そこで、本発明は、大きな残留磁束密度B
rと高い保磁力iHcとを有し、その結果、最大磁気エ
ネルギー積(BH)maxが大きく、防錆性に優れ、且
つ、リーフィング効果に優れたボンド磁石用偏平木の葉
状希土類−鉄−ボロン系磁石合金粒子粉末を得ることを
技術的課題とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】前記技術的課題は、次の
通りの本発明によって達成できる。
【0021】即ち、本発明は、粒子形状が偏平木の葉状
の粒子からなる希土類−鉄−ボロン系磁石合金粒子粉末
であって、平均長軸径が60〜500μm、平均短軸径
が50〜460μm、平均厚さが3〜100μm、平均
軸比(長軸径/短軸径)が1.1〜10、平均アスペク
ト比(長軸径/厚さ)が3〜100であるボンド磁石用
偏平木の葉状希土類−鉄−ボロン系磁石合金粒子粉末で
ある。
【0022】また、本発明は、希土類−鉄−ボロン系磁
石合金粒子の合金組成が式RxFe1 00-x-y-z-wCoyz
w(ただし、Rは、Nd、Pr、Dy、Tb及びCe
から選ばれる希土類元素の一種又は二種以上、Mは、T
i、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、W、M
n、Cu、Ga、Ag及びSiから選ばれる元素の一種
又は二種以上、x、y、z及びwは、それぞれ、5≦x
≦10、1.0≦y≦9.0、0.1≦z≦5、2≦w
≦7、9≦(x+w)、5<(y+z))で表わされる
組成を有し、且つ、αFe、固溶体(αFeとMとから
なる固溶体)又はαFeと固溶体の混合相のいずれかの
結晶相からなる軟磁性結晶相とNd2Fe141型正方晶
系結晶相からなる硬磁性結晶相とのそれぞれが、軟磁性
非晶質相中に析出している合金組織を有しており、しか
も、前記軟磁性非晶質相が全合金組織に対し10面積%
以下であって、前記軟磁性結晶相が前記軟磁性結晶相と
前記硬磁性結晶相とを合わせた全結晶組織に対し10面
積%以上であって、残部が前記硬磁性結晶相である前記
ボンド磁石用偏平木の葉状希土類−鉄−ボロン系磁石合
金粒子粉末である。
【0023】また、本発明は、保磁力iHcが3.5k
Oe以上、残留磁束密度Brが9.5kG以上及び最大
磁気エネルギー積(BH)maxが13MGOe以上であ
る前記いずれかのボンド磁石用偏平木の葉状希土類−鉄
−ボロン系磁石合金粒子粉末である。
【0024】また、本発明は、式RxFe100-x-y-z-w
yzw(ただし、Rは、Nd、Pr、Dy、Tb及
びCeから選ばれる希土類元素の一種又は二種以上、M
は、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、
W、Mn、Cu、Ga、Ag及びSiから選ばれる元素
の一種又は二種以上、x、y、z及びwは、それぞれ、
5≦x≦10、1.0≦y≦9.0、0.1≦z≦5、
2≦w≦7、9≦(x+w)、5<(y+z))で表わ
される組成割合となる様に製造した粗合金を、加熱溶解
して合金溶湯とした後、当該合金溶湯をノズルから流出
させ、当該流出合金溶湯にガスを噴霧することにより合
金溶湯の液滴を生成させ、当該液滴が凝固する前に、当
該液滴の流動方向に配置された円錐型又は円盤型の回転
冷却体の表面に該液滴を衝突させることによって冷却凝
固させて偏平木の葉状の粒子からなる急冷凝固物粒子粉
末とし、次いで、当該急冷凝固物粒子粉末を600〜8
50℃の温度範囲で加熱処理することを特徴とする前記
いずれかのボンド磁石用偏平木の葉状希土類−鉄−ボロ
ン系磁石合金粒子粉末の製造法である。
【0025】また、本発明は、前記いずれかのボンド磁
石用偏平木の葉状希土類−鉄−ボロン系磁石合金粒子粉
末を結合剤樹脂中に分散してなるボンド磁石であって、
当該偏平木の葉状希土類−鉄−ボロン系磁石合金粒子粉
末が85〜99重量%の割合で混合配合されていること
を特徴とするボンド磁石である。
【0026】本発明の構成をより詳しく説明すれば、次
の通りである。
【0027】まず、本発明に係るボンド磁石用偏平木の
葉状希土類−鉄−ボロン系磁石合金粒子粉末について述
べる。
【0028】本発明に係るボンド磁石用希土類−鉄−ボ
ロン系磁石合金粒子粉末を構成する粒子の粒子形状は偏
平木の葉状であり、当該粉末の平均長軸径は60〜50
0μm、好ましくは80〜500μm、より好ましくは
100〜500μmであって、平均短軸径は50〜46
0μm、好ましくは70〜460μm、より好ましくは
85〜460μmであって、平均厚さは3〜100μ
m、好ましくは5〜95μmであって、平均軸比(長軸
径/短軸径)は1.1〜10、好ましくは1.1〜5、
より好ましくは1.1〜3であって、平均アスペクト比
(長軸径/厚さ)は3〜100、好ましくは3〜50、
より好ましくは3〜30である。
【0029】本発明に係るボンド磁石用偏平木の葉状希
土類−鉄−ボロン系磁石合金粒子粉末を構成する粒子の
合金組成について述べる。
【0030】前記合金組成は、式RxFe100-x-y-z-w
yzwで表される。式中、Rは、Nd、Pr、D
y、Tb及びCeから選ばれる希土類元素の一種又は二
種以上である。残留磁束密度Brや保磁力iHcを考慮
すれば、Nd、Pr、Nd−Pr合金及びこれらに他の
希土類元素が混合されたものが好ましく、Nd、Prが
最も好ましい。ただし、上記以外の希土類元素が全希土
類量に対して10原子%以下含まれていても差支えな
い。
【0031】R量は、5≦x≦10であり、好ましくは
5.5≦x≦9、より好ましくは6≦x≦8である。x
が5未満の場合には、Nd2Fe141型正方晶系結晶相
からなる硬磁性結晶相の析出量が不十分で、保磁力が
3.5kOe以上にならず、10を越える場合には、α
Fe、固溶体(αFeとMとからなる固溶体)又はαF
eと固溶体の混合相のいずれかの結晶相からなる軟磁性
結晶相の析出量が不十分で、Br≧10kG以上の高残
留磁束密度が得られない。
【0032】Fe量は、100−x−y−z−wで表さ
れ、全原子に対して69〜86%の範囲である。69%
未満の場合には、残留磁束密度Brが減少し、本発明の
目的とする9.5kG以上が得られない。86%を越え
る場合には、相対的にR量やCo量が減少することにな
り、本発明の目的とする保磁力iHcが3.5kOe以
上が得られない。
【0033】Coは、M元素とともに保磁力の向上、磁
化の増大、防錆性の向上及びキュリー点の上昇による熱
安定性の向上をもたらす必須の元素である。
【0034】Co量は、1.0≦y≦9.0であり、好
ましくは1.5≦y≦9.0、より好ましくは2.0≦
y≦9.0である。1.0未満の場合には、保磁力やキ
ュリー点の上昇が十分でなく熱安定性に劣る。9.0を
越える場合には、鉄成分の減少による残留磁束密度Br
の低下が顕著となり、10kG以上が得られない。
【0035】Mは、Ti、V、Cr、Zr、Nb、M
o、Hf、Ta、W、Mn、Cu、Ga、Ag及びSi
から選ばれる一種以上の元素であり、Nd2Fe141
正方晶系結晶相からなる硬磁性結晶相の結晶磁気異方性
を高め、また、析出相の微細化効果により高い保磁力を
得ることができる。また、αFe、固溶体(αFeとM
とからなる固溶体)又はαFeと固溶体の混合相のいず
れかの結晶相からなる軟磁性結晶相を安定化してボンド
磁石の耐食性や熱安定性を改善をすることができる。
【0036】前記M元素の内、Mn、Cu、Ga、Ag
及びSiは、他のM元素とともに添加すると、その相乗
効果によってより高い保磁力を得ることができる。
【0037】M元素の量は0.1≦z≦5であり、好ま
しくは0.2≦z≦4、より好ましくは0.3≦z≦
3.5である。1未満の場合には、保磁力の向上効果に
乏しく、ひいては熱安定性に劣る。5を越える場合に
は、鉄系成分(Fe、Co)の減少によるBrの減少を
招く。
【0038】前記M元素のうち、Ti、Zr、Nb、H
f、Ta、Si及びGaは、保磁力の向上に寄与すると
ともに、非晶質相を形成しやすく、合金組織中に非晶質
相が安定に残存し、防錆性が発揮された磁石合金粒子粉
末を得ることができ、これを用いることにより耐食性に
優れたボンド磁石が得られる。
【0039】Bは、Nd2Fe141型正方晶系結晶相か
らなる硬磁性結晶相を構成するために必須の元素であ
り、その量は、2≦w≦7であり、好ましくは2.5≦
w≦6.5、より好ましくは3≦w≦6.5である。2
未満の場合には、Nd2Fe141型正方晶系結晶相から
なる硬磁性結晶相の析出量が不充分となり、iHc≧
3.5kOeとならない。7を越える場合には、Bが過
剰となり残留磁束密度Brの減少を招く。
【0040】R量及びB量の和は、9≦(x+w)であ
り、好ましくは10以上である。9未満の場合には、急
冷による十分な軟磁性非晶質相が形成されず、熱処理に
よってもiHc≧3.5kOeを実現できない。大きな
残留磁束密度Brを保持することを考慮すれば、その上
限値は18が好ましく、より好ましくは17である。
【0041】Co量及びM量の和は、5<(y+z)で
あり、好ましくは5.1以上、より好ましくは5.5以
上である。5以下の場合は、保磁力や熱安定性を向上さ
せる効果が得られにくくなる。大きな残留磁束密度Br
を保持することを考慮すれば、その上限値は11が好ま
しく、より好ましくは10である。
【0042】本発明に係るボンド磁石用偏平木の葉状希
土類−鉄−ボロン系磁石合金粒子粉末を構成する粒子の
合金組織について述べる。
【0043】本発明に係るボンド磁石用偏平木の葉状希
土類−鉄−ボロン系磁石合金粒子粉末を構成する粒子
は、全合金組織に対し10面積%以下、好ましくは9面
積%以下の軟磁性非晶質相を有している。軟磁性非晶質
相の下限値は1面積%である。
【0044】軟磁性非晶質相が全合金組織の二次元的観
察視野において10面積%を越える場合には、軟磁性結
晶相や硬磁性結晶相との距離が大きくなるので、両相の
間に働く磁気的交換相互作用による磁気的結合が弱めら
れる結果、むしろ磁石特性を向上させる効果が得られな
い。軟磁性非晶質相の前記防錆効果を考慮すれば、その
下限値は好ましくは1面積%である。
【0045】軟磁性非晶質相は、8〜20原子%、好ま
しくは9〜15原子%の希土類と70〜90原子%、好
ましくは70〜85原子%の鉄又は鉄と上記元素Mとの
合金と22原子%以下、好ましくは5〜18原子%のボ
ロンとからなる。この軟磁性非晶質相は、軟磁性を有し
ているとともに、結晶化のための加熱処理工程におい
て、結晶粒の粗大成長を抑制し、微細な結晶相を形成さ
せることができるので、合金全体の硬磁性を向上させる
ことができる。
【0046】また、軟磁性結晶相と硬磁性結晶相とのそ
れぞれが軟磁性非晶質相中に島状に分散析出しているた
め、この軟磁性非晶質相は、主として磁気的な役割を担
う軟磁性結晶相や硬磁性結晶相の周囲を取り囲んでいる
ので酸化の進行を抑制するから、錆の進行を防げるバリ
ヤーとしての効果を奏し、磁石合金粒子の防錆性を向上
させることができる。
【0047】軟磁性非晶質相は、非晶質相が通常有する
機械的強度、化学的耐性及び防錆性等の効果も十分期待
できる。
【0048】本発明に係るボンド磁石用偏平木の葉状希
土類−鉄−ボロン系磁石合金粒子粉末における軟磁性結
晶相は、αFe、固溶体(αFeとMとからなる固溶
体)又はαFeと固溶体の混合相のいずれかの結晶相か
らなり、軟磁性結晶相と硬磁性結晶相とを合わせた全結
晶組織に対し10面積%以上含んでいる。軟磁性結晶相
は、残留磁束密度Brの向上に寄与している。10面積
%未満の場合には、本発明の目的とする大きな残留磁束
密度Brを有する磁石合金粒子粉末を得ることができな
い。保磁力iHcを向上させる役割を担う硬磁性結晶相
の比率を考慮すれば、その上限値は90面積%が好まし
い。
【0049】軟磁性結晶相の平均結晶粒径は、5〜10
0nmが好ましく、より好ましくは10〜50nmの範
囲である。
【0050】軟磁性結晶相には、αFe、固溶体(αF
eとMとからなる固溶体)又はαFeと固溶体の混合相
のいずれかの結晶相以外にFe3B、Fe2B、これらと
Mとの固溶体、更に、Fe2ZrなどのFeとMとの金
属間化合物が状態図的にあるいは製造工程上不可避的に
含まれることがあるが、本発明の目的とする諸特性を有
する磁石合金粒子粉末を得る上では特に問題とはならな
い。
【0051】本発明に係るボンド磁石用偏平木の葉状希
土類−鉄−ボロン系磁石合金粒子粉末を構成する粒子に
おける硬磁性結晶相は、Nd2Fe141型正方晶系結晶
相からなり、全結晶組織に対し90面積%未満である。
【0052】90面積%を越える場合は、軟磁性結晶相
が少なくなり、大きな残留磁束密度Brが得られない。
本発明の目的とする保磁力iHc値を考慮すれば、その
下限値は10面積%が好ましい。より好ましくは20〜
85面積%である。
【0053】前記硬磁性結晶相は、保磁力iHcを発現
させる効果を奏する。また、M元素が一部この硬磁性結
晶相中に入り、異方性定数を向上させ、結果として保磁
力を向上させることがある。
【0054】硬磁性結晶相には、Nd2Fe141型化合
物の他に状態図的に不可避に析出する微小の化合物相を
含んでいてもよい。
【0055】硬磁性結晶相の平均結晶粒径は、5〜10
0nm以下が好ましく、より好ましくは10〜50nm
の範囲である。
【0056】本発明に係るボンド磁石用偏平木の葉状希
土類−鉄−ボロン系磁石合金粒子粉末は、残留磁束密度
Brが9.5kG以上、好ましくは10.0kG以上で
あり、保磁力iHcが3.5kOe以上、好ましくは
4.0kOe以上を有し、最大磁気エネルギー積(B
H)maxが13MGOe以上、好ましくは15MGOe
以上を有する。その上限値は、残留磁束密度Brが13
kG、保磁力iHcが8kOe、最大磁気エネルギー積
(BH)maxが25MGOeである。なお、上記の粉末
の磁気特性の内、Brは圧粉体のBrから密度補正して
算出したものであり、(BH)maxの計算もこのBrを
用いて行った。
【0057】また、本発明に係るボンド磁石用偏平木の
葉状希土類−鉄−ボロン系磁石合金粒子粉末の防錆性
は、JIS Z 2371に基づく塩水噴霧試験法によ
り、発錆が10面積%を占めるまでの経過時間が少なく
とも50時間以上、好ましくは55時間以上、より好ま
しくは60時間以上であって、従来のNd−Fe−B系
合金粒子粉末に比べて後出実施例に示すように明確に優
れている。
【0058】次に、本発明に係るボンド磁石用偏平木の
葉状希土類−鉄−ボロン系磁石合金粒子粉末の製造法に
ついて述べる。
【0059】まず、式RxFe100-x-y-z-wCoyzw
(ただし、Rは、Nd、Pr、Dy、Tb及びCeから
選ばれる希土類元素の一種又は二種以上、Mは、Ti、
V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、W、Mn、
Cu、Ga及びSiから選ばれる元素の一種又は二種以
上、x、y、z及びwは、それぞれ、5≦x≦10、1
≦y≦9、0.1≦z≦5、2≦w≦7、9≦(x+
w)、5<(y+z)で表される組成割合となる様に、
金属状元素原料及び/又は合金状原料を配合し、これを
加熱溶解し、次いで、冷却固化することによって上記組
成の粗合金が得られる。
【0060】前記金属状元素原料としては、市販のもの
を使用すればよく、その形態は、粉末、塊状、片状、板
状等の各種形態のものがあり、そのいずれも使用するこ
とができる。
【0061】前記合金状原料としては、市販のものを使
用すればよく、例えば、ボロン元素では、フェロボロ
ン、希土類元素では、フェロネオジやミッシュメタルや
ジジムなどがある。その形態は、粉末、塊状、片状、板
状等の各種形態のものがあり、そのいずれも使用するこ
とができる。
【0062】前記加熱溶解は、周知のアーク溶解法、高
周波溶解法などにより行うことができ、真空中やアルゴ
ンガス等の不活性雰囲気中で行うのが好ましい。
【0063】次に、得られた前記粗合金を加熱溶解して
合金溶湯とし、次いで、当該合金溶湯をノズルから流出
させ、当該流出合金溶湯にガスを噴霧することにより合
金溶湯の液滴を生成させ、当該液滴が凝固する前に、当
該液滴流動方向に配置された円錐型又は円盤型の回転冷
却体の表面に該液滴を衝突させることによって冷却凝固
させて偏平木の葉状の粒子からなる急冷凝固物粒子粉末
とし、次いで、当該急冷凝固物粒子粉末を加熱処理によ
り結晶化を行えば、本発明に係るボンド磁石用偏平木の
葉状希土類−鉄−ボロン系磁石合金粒子粉末を得ること
ができる。
【0064】前記溶解温度は、合金組成に応じて決めれ
ばよく、通常は、前記粗合金の融点より50℃以上高い
温度で加熱することが好ましい。
【0065】前記噴霧するガスとしては不活性ガスが好
ましく、例えば、ヘリウムガス、アルゴンガス等であ
る。好ましくはアルゴンガスである。噴霧するガスの圧
力は、5〜200kgf/cm2、好ましくは10〜1
00kgf/cm2である。200kgf/cm2を越え
る場合には、冷却速度が速くなりすぎて液滴が回転冷却
体に到達するまでに冷却凝固が生じる場合がある。
【0066】前記回転冷却体の形状は、円錐型又は円盤
型である。好ましくは偏平木の葉状の粒子が得やすい円
錐型である。また、前記回転冷却体の回転数は、100
0〜20000rpm、好ましくは3000〜1200
0rpmである。回転数が1000rpm未満の場合に
は、得られる急冷凝固物粒子どうしが重なりやすくな
り、塊状粒子となる場合があり、急冷による冷却凝固が
十分に行われず軟磁性非晶質相の生成が不十分となる。
また、ボンド磁石の磁石粉末の密度が十分に得られなく
なる。なお、円盤型の回転冷却体に合金溶湯の液滴を衝
突させる場合には、その衝突箇所は、円盤型の回転冷却
体の回転軸から円周方向にややずらした部分とすること
が望ましい。
【0067】また、必要により、前記粗合金の加熱溶
解、冷却固化と再度の加熱溶解及び回転冷却体による冷
却凝固を同一装置内で連続して行ってもよい。
【0068】なお、事前に冷却固化させることなく同一
装置内で、前記金属状元素原料及び/又は前記合金状原
料の各原料の加熱溶解から、直接、回転冷却体による冷
却凝固を行ってもよい。
【0069】なお、回転冷却体による冷却凝固において
は、初期に形成される液滴が比較的大きくなりやすいた
め、初期に得られる急冷凝固物粒子粉末を採取しないか
又は事後に分級等により粗大粒子を除いておくことが望
ましい。また、残存する合金溶湯が少なくなってきた場
合には形成される液滴が微小化し、得られる急冷凝固物
粒子粉末も微粒子化するので終了直前に得られる急冷凝
固物粒子粉末は採取しないか又は分級等により微粒子成
分を除去しておくことが望ましい。
【0070】前記回転冷却体による冷却凝固によって得
られた急冷凝固物粒子粉末を構成する粒子は、主として
非晶質合金組織を含むものである。
【0071】この非晶質合金組織は、X線回折によりブ
ロードなピークを示し、透過型電子顕微鏡(TEM)に
よる電子線回折のハローパターンにより確認できる。な
お、合金組成によっては、非晶質の合金組織が100%
得られないで部分的に結晶相を含む場合もあり得るが、
本発明の目的が達成できるために十分な量であればよ
い。
【0072】この非晶質合金組織は軟磁性を有してお
り、その磁気的役割と共に、結晶化のための熱処理過程
において、結晶粒の粗大成長を抑制し微細な結晶相の形
成を可能とするため合金全体の硬磁性を向上させる重要
な役割を担っている。
【0073】前記加熱処理は、600〜850℃の温度
範囲で行う。600℃未満の場合は、Nd2Fe141
正方晶系結晶相からなる硬磁性結晶相が十分析出せず、
3.5kOe以上の保磁力が得られない。850℃を越
える場合は、αFe、固溶体(αFeとMとからなる固
溶体)又はαFeと固溶体との混合相のいずれかの結晶
相からなる軟磁性結晶相の粗大成長が顕著になり保磁力
が発現しにくくなり、また、残存する軟磁性非晶質相の
比率が著しく低下し、防錆性が発揮されにくくなる。な
お、急冷凝固物粒子粉末の合金組成に応じて、良好な磁
気特性を発現するための最適な加熱温度を適宜選択すれ
ばよい。
【0074】前記加熱処理における雰囲気は、得られる
磁石合金粒子粉末の磁気特性を損なわない範囲であれば
特に問題はないが、アルゴンガスなどの不活性雰囲気も
しくは10-1Torr以下の真空中が望ましい。
【0075】前記加熱処理における加熱時間は、少なく
とも10秒以上が望ましい。10秒未満では十分な軟磁
性結晶相と硬磁性結晶相の析出がなされない傾向があ
り、また、長くとも1時間以内が望ましく、1時間をこ
えると軟磁性結晶相が粗大成長するため、いずれも3.
5kOe以上の保磁力は得られない傾向がある。
【0076】前記加熱処理により、非晶質相から結晶相
が生成される。この時、非晶質相を完全に結晶相にする
ことなく、全合金組織に対し10面積%以下の非晶質相
を残留させるように加熱することが必要である。
【0077】非晶質相を残すための条件としては、結晶
相の析出と成長が全面的に至らないように、前記加熱処
理の条件を設定する必要がある。また、添加元素Mの効
果により、非晶質相の安定化および析出相の成長抑制を
図ることもできるので、適切な合金組成の設定も重要で
ある。加熱処理法の例としては、フラッシュアニーリン
グ法や急速加熱−急速冷却法が挙げられ、合金組成によ
っては、通常の熱処理法でも十分である。
【0078】残留する非晶質相の存在割合は好ましくは
1〜10面積%、より好ましくは9面積%以下である。
1面積%未満では前記の目的とする効果が得られず、防
錆性能の向上も期待できず、10面積%を越える場合に
は、非晶質相と結晶相の間あるいは結晶相同士の間に働
く交換相互作用に起因する磁気的結合が弱められるから
である。
【0079】次に、本発明に係るボンド磁石について述
べる。
【0080】本発明に係るボンド磁石は、本発明に係る
ボンド磁石用偏平木の葉状希土類−鉄−ボロン系磁石合
金粒子粉末を結合剤樹脂中に分散してなるものであっ
て、該偏平木の葉状希土類−鉄−ボロン系磁石合金粒子
粉末が85〜99重量%と残部が結合剤樹脂とその他添
加剤とからなる。本発明に係るボンド磁石用偏平木の葉
状希土類−鉄−ボロン系磁石合金粒子粉末の好ましい割
合は、成形法により若干異なるが、射出成形ボンド磁石
の場合には、88〜93重量%が好ましく、押出成形ボ
ンド磁石の場合には、85〜92重量%が好ましく、圧
縮成形ボンド磁石の場合には、95〜98.5重量%が
好ましく、96〜98.5重量%がより好ましく、カレ
ンダー成形ボンド磁石の場合には、85〜90重量%が
好ましい。
【0081】本発明に係るボンド磁石は、残留磁束密度
Brが7.0kG以上、好ましくは7.2kG以上であ
り、保磁力iHcが3.5kOe以上、好ましくは3.
7kOe以上を有し、最大エネルギー積(BH)max
9.5MGOe以上、好ましくは9.7MGOe以上、
密度が6.1g/cm3以上を有する。
【0082】なお、本発明に係るボンド磁石の耐食性
は、80℃、90%相対湿度の環境下で、発錆が10面
積%を占めるまでの経過時間が少なくとも120時間以
上が望ましく、130時間以上がより望ましい。
【0083】次に、本発明に係るボンド磁石の製造法に
ついて述べる。
【0084】本発明に係るボンド磁石は、本発明に係る
ボンド磁石用偏平木の葉状希土類−鉄−ボロン系磁石合
金粒子粉末を結合剤樹脂と混合、混練し、該混練物を射
出成形、押出成形、圧縮成形又はカレンダー成形等の周
知の成形法で成形加工することにより得ることができ
る。
【0085】前記結合剤樹脂としては、成形法によって
種々選択することができ、射出成形、押し出し成形及び
カレンダー成形の場合には熱可塑性樹脂が使用でき、圧
縮成形の場合には、熱硬化性樹脂が使用できる。前記熱
可塑性樹脂としては、ナイロン(PA)系、ポリプロピ
レン(PP)系、エチレンビニルアセテート(EVA)
系、ポリフェニレンサルファイド(PPS)系、液晶樹
脂(LCP)系、エラストマー系、ゴム系等の樹脂が使
用でき、前記熱硬化性樹脂としては、エポキシ系、フェ
ノール系等の樹脂を使用することができる。
【0086】前記本発明に係るボンド磁石用偏平木の葉
状希土類−鉄−ボロン系磁石合金粒子粉末の混合割合
は、85〜99重量%であり、最適な混合割合は、成形
法により若干異なるが、射出成形においては、88〜9
3重量%が好ましく、押出成形では85〜92重量%が
好ましく、圧縮成形では96〜98.5重量%が好まし
く、カレンダー成形では85〜90重量%が好ましい。
85重量%未満の場合には、磁石合金粒子粉末の割合が
少なすぎて十分な磁気特性を有するボンド磁石が得られ
ない。前記各成形法における磁石合金粒子粉末の混合割
合の上限は、それぞれの成形が可能な結合剤樹脂との混
練物もしくは混合物の流動性や成形物の機械的強度の要
求に基づいて決定することができる。
【0087】なお、ボンド磁石を製造するに際して、成
形を容易にしたり、磁気特性を十分に引き出すために、
必要により、結合剤樹脂の他に可塑剤、滑剤、カップリ
ング剤など周知の添加物を使用してもよい。
【0088】これらの添加物は、目的に応じて適切なも
のを選択すればよく、可塑剤としては、それぞれの使用
樹脂に応じた市販品を使用することができ、その合計量
は使用する結合剤樹脂に対して0.01〜5.0重量%
程度が使用できる。
【0089】前記滑剤としては、ステアリン酸とその誘
導体、無機滑剤、オイル系等が使用でき、ボンド磁石全
体に対して0.01〜1.0重量%程度が使用できる。
【0090】前記カップリング剤としては、使用樹脂と
フィラーに応じた市販品が使用でき、使用する結合剤樹
脂に対して0.01〜3.0重量%程度が使用できる。
【0091】前記混合は、ヘンシェルミキサー、V字ミ
キサー、ナウター等の混合機などで行うことができ、混
練は一軸混練機、二軸混練機、臼型混練機、押し出し混
練機などで行うことができる。
【0092】前記成形法により成形加工して得られた成
形物は、常法に従って電磁石着磁やパルス着磁すること
により、本発明に係るボンド磁石とすることができる。
【0093】
【発明の実施の形態】本発明の代表的な実施の形態は次
の通りである。
【0094】希土類−鉄−ボロン系磁石合金粒子粉末を
構成する粒子の粒子形状は、電子顕微鏡による外観観察
を行って判断した。また、粒子粉末の平均長軸径、平均
短軸径、平均厚さの算出は100倍に拡大した電子顕微
鏡写真に示されている粒子30個について測定を行った
結果により示した。
【0095】希土類−鉄−ボロン系磁石合金粒子粉末を
構成する粒子の合金組織の相構造は、高分解能透過型電
子顕微鏡HR−TEM(日本電子株式会社製)、ナノビ
ーム電子線回折装置(日本電子株式会社製)、エネルギ
ー分散型X線分析装置EDX(日本電子株式会社製)及
びX線回折装置(理学電機工業株式会社)(ターゲッ
ト:鉄)を用いて観察及び測定した。
【0096】前記合金組織の磁気構造は、上記ナノビー
ム電子線回折装置を用いた電子線回折によって結晶相の
同定により磁気構造の確認とした。即ち、αFe型結晶
やFe3B型結晶を同定することにより軟磁性であるこ
とを確認した。同様にして、Nd2Fe141型正方晶系
結晶相を同定することにより硬磁性であることを確認し
た。
【0097】前記合金組織の面積%とは、透過型電子顕
微鏡(TEM)などによる観察において、2次元的視野
内における面積割合を言う。
【0098】希土類−鉄−ボロン系磁石合金粒子粉末を
構成する粒子の化学組成は、化学分析により測定した値
で示した。
【0099】希土類−鉄−ボロン系磁石合金粒子粉末の
磁気特性は、試料振動型磁力計VSM(理研電子株式会
社製)で測定した値で示した。
【0100】また、ボンド磁石の磁気特性は、予め、約
50kOeのパルス着磁を施した後、B−Hカーブトレ
ーサー(東英工業株式会社製)で測定した値で示した。
【0101】希土類−鉄−ボロン系磁石合金粒子粉末の
キュリー点は、熱電対が付いた石英による試料支持棒と
被測定試料を真空雰囲気にできるケース及び加熱ヒータ
ーを試料振動型磁力計VSM(東英工業株式会社製)に
セットした装置を用いて磁化の温度変化を測定すること
により行った。即ち、被測定試料を10kOe以上の磁
場で着磁した後、1kOeの磁場をかけながら温度を上
昇させ、温度上昇に伴う磁化の値を記録し、明らかにハ
ード相の磁化曲線がソフト相の磁化曲線に交差した点の
温度をキュリー温度とした。
【0102】磁石合金粒子粉末の防錆性は、JIS Z
2371に基づいた塩水噴霧試験方法で行った。即
ち、一定時間毎に取り出して、走査型電子顕微鏡(SE
M)により発錆の有無、発錆点の増加・拡大の様子を観
察し、発錆が10面積%を占めるまでの経過時間で示し
た。
【0103】ボンド磁石の耐食性は、80℃、90%相
対湿度の環境下で、何時間で発錆するか、あるいは観察
面において発錆点がどのように増加・拡大するかにより
評価した。定量的には50倍の光学顕微鏡視野で、発錆
が10面積%を占めるまでの経過時間で示した。
【0104】ボンド磁石の密度は、硬化後の円柱状圧縮
成形ボンド磁石を室温約25℃に十分冷却した後、その
円柱の高さと断面直径をそれぞれ3箇所以上マイクロメ
ーターにて測定しその平均値から円柱の体積を求めた。
次に当該圧縮成形ボンド磁石の重量を電子天秤にて測定
し、重量値(g)を体積値で除した値で示した。
【0105】以下、図1を用いて、希土類−鉄−ボロン
系磁石合金粒子粉末の製造について説明する。まず、原
子比でNd7Fe83.5Co4Nb1Ga0.54の組成とな
るように、金属ネオジウム片(純度99.9%)(株式
会社日本イットリウム製)169.2g、金属鉄片(電
解鉄、純度99.9%)(株式会社昭和電工製)76
6.6g、金属コバルト片(純度99.9%、住友金属
鉱山株式会社製)38.76g、金属ニオビウム片1
5.24g、金属ガリウム片5.73g及びクリスタル
ボロン片7.13gをそれぞれ秤量して、総重量を約1
kgとした。これらをアルゴンガス減圧雰囲気中で高周
波溶解で鋳造して1kgの粗合金を得た。
【0106】次に、得られた粗合金1kgをアルミナ製
ルツボ1に入れ、高周波加熱により1350℃で溶融さ
せ、合金溶湯2とした。この合金溶湯2をアルミナ製ノ
ズル3から流出滴下させ、滴下する合金溶湯2に対して
噴霧化ノズル5よりアルゴンガス4を20kg/cm2
の圧力で吹きつけ、合金溶湯の液滴6を形成させた。こ
の合金溶湯の液滴6を該液滴の流動方向に配置されてい
るロール径200mmφ、円錐角120度、回転数72
00rpmの銅製の円錐形回転冷却体7に衝突させ、急
冷凝固物粒子粉末8を得た。
【0107】得られた急冷凝固物粒子粉末は平均長軸径
250μm、平均短軸径150μm、平均厚さ15μ
m、短軸径と長軸径の比の平均値1.7、平均アスペク
ト比17の形状特性を有するものであった。この粉末を
走査型電子顕微鏡による観察をしたところ、図2の走査
型電子顕微鏡写真(×85)に示す通り、偏平木の葉状
の粒子からなる急冷凝固物粒子粉末であることが確認で
きた。
【0108】得られた急冷凝固物粒子粉末は、X線回折
の結果、全体的にブロードなピークを示していた。この
X線回折結果と高分解能透過型電子顕微鏡観察結果とを
併せて検討した結果、少なくとも大部分が非晶質相から
なっていることが確認できた。また、この合金粒子粉末
の構成元素比を化学分析により測定した結果、Nd7
83.5CoNb1Ga04 であり、ほぼ仕込み組成比に
等しいことが確認された。
【0109】上記急冷凝固物粒子粉末を5×10-2To
rrの真空下で石英管に封入し、750℃の温度で3分
間加熱処理を行った。この熱処理後の希土類−鉄−ボロ
ン系合金粒子粉末は、X線回折測定の結果得られた図3
に示すX線回折パターンの解析の結果、αFe型(Aで
表したピーク)及びNd2Fe141型(Bで表したピー
ク)の2種類の結晶構造に基づく明瞭なピークが検出さ
れた。また、図4に示す電子線回折パターンから、結晶
性を示すスポットとともに非晶質相の存在を示すハロー
があり非晶質相も幾分か残存していることが推認され
た。
【0110】上記熱処理後の希土類−鉄−ボロン系合金
粒子粉末について、高分解能透過型電子顕微鏡とナノビ
ーム電子線回折装置及びエネルギー分散型X線分析装置
を用いて、その微細構造を観察した。その結果、合金組
織は、αFeを含む軟磁性結晶相が全結晶相に対し72
面積%程度であって、Nd2Fe141を含む硬磁性結晶
相が全結晶相に対し28面積%程度であり、これら結晶
相の総和は、二次元的視野全体を100面積%とすると
全合金組織に対し91面積%であった。従って、残りの
9面積%は、軟磁性非晶質相であった。
【0111】また、αFeや固溶体を含む軟磁性結晶相
の結晶粒径は、20〜45nmの範囲であって、Nd2
Fe141型を含む硬磁性結晶相の結晶粒径は、15〜
40nmの範囲であり、加熱処理前の結晶相と非晶質相
の混合相から熱処理により各相の析出が促進され、結晶
成長も起こっていることが観察された。さらに、残存非
晶質相には、NdとBの各元素が濃縮され、それぞれ1
1.3原子%、7.8原子%であることが分析結果から
確認できた。
【0112】上記熱処理後の希土類−鉄−ボロン系合金
粒子粉末の室温磁気特性を試料振動型磁力計で測定した
結果、保磁力iHcが4.7kOe、残留磁束密度Br
が11.2kG、最大磁気エネルギー積(BH)max
17.4MGOeであった。
【0113】また、上記得られた希土類−鉄−ボロン系
磁石合金粒子粉末の防錆性能を調べるため、塩水噴霧試
験を行い、12時間毎に取り出して偏平木の葉状の粒子
表面に占める赤錆の面積比率を走査型電子顕微鏡で観察
した。その結果、発錆が10面積%を占めるまでの経過
時間は72時間後であり、上記希土類磁石合金粒子粉末
が防錆性にも優れていることを確認できた。
【0114】上記希土類−鉄−ボロン系磁石合金粒子粉
末98gとエポキシ樹脂XW−2214(商品名、日本
ペルノックス株式会社製)2gとを適量のメチルエチル
ケトンで溶かして希土類合金粒子粉末をよく混合した
後、メチルエチルケトンを乾燥気化させ圧縮成形用の混
合物(希土類合金粒子粉末98重量%、エポキシ樹脂2
重量%に相当する。)とした。
【0115】上記混合物3.3gを直径10mmの円柱
状試料用プレス治具に入れ、約7ton/cm2の圧力
でプレスして直径10mm、長さ約7mmの円柱状圧粉
体を得た。
【0116】上記圧粉体を150℃で1時間加熱処理し
てエポキシ樹脂を硬化させ、密度6.3g/cm3の圧
縮成形ボンド磁石を得た。
【0117】上記得られた圧縮成形ボンド磁石にパルス
着磁機で約50kOeの着磁を施した後、B−Hトレー
サーで室温の磁石特性を測定した結果、残留磁束密度B
rが9.1kG、保磁力iHcが4.6kOe、最大磁
気エネルギー積(BH)maxが10.5MGOeであっ
た。
【0118】
【作用】本発明において、最も重要な点は、流出合金溶
湯にガスを噴霧することにより合金溶湯の液滴を生成さ
せ、当該液滴が凝固する前に、当該液滴の流動方向に配
置された円錐型又は円盤型の回転冷却体を用いて冷却凝
固させることにより偏平木の葉状の粒子からなる希土類
−鉄−ボロン系磁石合金粒子粉末を粉砕の工程を必要と
せず、極めて高効率に得ることができるという事実であ
る。
【0119】本発明に係るボンド磁石用偏平木の葉状希
土類−鉄−ボロン系磁石合金粒子粉末は、粒子形状が曲
面でない偏平木の葉状であることから粉末の敷きつめ効
果であるリーフィング効果に優れ、ボンド磁石製造時に
おいて高充填にすることができ、その結果、大きな飽和
磁束密度を得ることができる。
【0120】また、防錆性に優れた希土類−鉄−ボロン
系磁石合金粒子粉末が得られる理由について、本発明者
は、非晶質相が主として磁気的な役割を担う軟磁性結晶
相や硬磁性結晶相の周囲を取り囲んで存在し、しかも、
適度の量が安定して存在していることによるものと考え
ている。
【0121】なお、ボンド磁石用希土類磁石合金粒子粉
末を作製する方法として、従来の単ロール方式で行われ
る場合には、厚さが不揃いで曲面をもった薄帯ができ、
ボンド磁石製造時にはこれを粉砕して用いる必要があ
る。また、アトマイズ方式で行われる場合には、球状の
粒子粉末が得られ、高密度に充填するには不適であり、
これを粉砕した場合も不定形の粒子となり、高密度に充
填するには適さないものである。
【0122】ところで、塗料用の顔料又はプラスチック
用のフィラーとして硝子粉末、ステンレス粉末等の薄片
状粉末を得る製造法(特開平2−34706号公報、特
開平2−93007号公報)が知られている。かかる製
造法においては、溶融物の液滴を傘型、ホーン型又は円
盤状の回転冷却体によって冷却凝固させることにより薄
片状粉末を得るものであって、塗膜面に平行に配列する
リーフィング現象が良好に起こり塗膜面を隙間なく覆っ
て良好な耐食性、耐候性を付与するものである。
【0123】
【実施例】次に、実施例並びに比較例を挙げる。 実施例1〜27、比較例1〜3;
【0124】<希土類−鉄−ボロン系磁石合金粒子粉末
の製造> 実施例1〜27 製造合金組成及び合金粒子粉末の製造工程における回転
冷却体の回転数と噴霧アルゴンガス圧力及びその後の熱
処理温度を種々変化させた以外は、前記発明の実施の形
態と同様にして、希土類磁石合金粒子粉末を得た。
【0125】実施例1〜27で得られた希土類磁石合金
粒子粉末は、前記発明の実施の形態と同様にして合金組
織の相構造を観察した。
【0126】その結果、αFeを含む軟磁性結晶相が全
結晶相に対し18〜75面積%の範囲であって、Nd2
Fe141を含む硬磁性結晶相が全結晶相に対し25〜
82面積%の範囲であり、これら結晶相の総和は、二次
元的視野全体を100面積%とすると全合金組織に対し
90〜99面積%の範囲であった。従って、軟磁性非晶
質相は、1〜10面積%の範囲であった。
【0127】また、αFe、固溶体(αFeとMとから
なる固溶体)又はαFeと固溶体の混合相のいずれかの
結晶相からなる軟磁性結晶相の結晶粒径は、5〜100
nmの範囲であって、Nd2Fe141型正方晶系結晶相
からなる硬磁性結晶相の結晶粒径は、5〜100nmの
範囲であり、加熱処理前の非晶質相から熱処理により各
相が析出し、結晶化していることが観察された。さら
に、残存非晶質相には、希土類とBの各元素が濃縮さ
れ、それぞれ10〜15原子%の範囲、7〜9原子%の
範囲であることが分析結果から確認できた。
【0128】この時の主要製造条件を表1及び表2に、
得られた希土類−鉄−ボロン系磁石合金粒子粉末の諸特
性を表3及び表4に示す。
【0129】比較例1(単ロール式液体急冷法:日本規
格協会発行「アモルファス金属のおはなし」(1988
年)第36〜37頁) 実施例20の合金組成とした以外は、前記発明の実施の
形態と同様にして合金溶湯を得、該合金溶湯をノズルか
らガス圧により流出させ、当該合金溶湯の流出方向に配
置され縦方向に回転するロール型の回転冷却体の円周表
面に該溶湯を薄く引き伸ばして薄帯状に冷却凝固させ
た。得られた冷却凝固物は厚み30〜50μmの薄帯で
あった。当該薄体を機械粉砕とふるいを用いて500μ
m以下の粉末とした。この粉末は、電子顕微鏡観察の結
果、粒子形状がガレキ状であった。得られたガレキ状粉
末の製造条件及び諸特性を表2及び4に示す。
【0130】比較例2 実施例20の合金組成とし、且つ、急冷凝固物粒子粉末
の生成にあたって流出合金溶湯にガスを噴霧しなかった
以外は、前記発明の実施の形態と同様にして冷却凝固物
を得た。この冷却凝固物は、100μm程度乃至1mm
程度の不均一な厚みを有しており、波打つようにそれ曲
がった板状形態を呈していた。当該凝固体を機械粉砕と
ふるいを用いて500μm以下の粉末とした。得られた
粉末の製造条件及び諸特性を表2及び4に示す。
【0131】比較例3(ガスアトマイズ法:丸善発行
「金属便覧」(1990年発行第932〜933頁) 実施例20の合金組成とした以外は、前記発明の実施の
形態と同様にして合金溶湯を得、該合金溶湯をノズルか
ら流出させ、当該流出合金溶湯にガスを噴霧することに
より合金溶湯の液滴を生成させ、当該液滴が凝固するま
で衝突することのない程十分大きいチャンバー内を飛行
させた。上記液滴は飛行中に急冷凝固して落下した。得
られた物体は直径数μm乃至数百μmの範囲の広い粒度
分布を有する球状の粉末であった。得られた粉末の製造
条件及び諸特性を表2及び4に示す。
【0132】
【表1】
【0133】
【表2】
【0134】
【表3】
【0135】
【表4】
【0136】〈希土類−鉄−ボロン系磁石合金粒子粉末
が混合されているボンド磁石〉 実施例28〜54、比較例4〜6 用いる磁石合金粒子粉末の種類を種々変化させた以外
は、前記発明の実施の形態と同様にして、ボンド磁石を
得た。
【0137】この時の主要製造条件及び諸特性を表5に
示す。
【0138】
【表5】
【0139】本発明の実施例で得られたボンド磁石は、
保磁力iHcが3.7〜6.4kOe、残留磁束密度B
rが7.2〜9.3kGauss、最大エネルギー積
(BH)maxが9.5〜12.5MGOe、密度が6.2
〜6.5g/cm3、耐食性が132〜212時間であ
った。
【0140】
【発明の効果】本発明に係るボンド磁石用偏平木の葉状
希土類−鉄−ボロン系磁石合金粒子粉末は、大きな残留
磁束密度Brと高い保磁力iHcを有し、その結果、最
大磁気エネルギー積(BH)maxが大きく、防錆性に優
れ、且つ、リーフィング効果に優れているから、高性能
ボンド磁石用材料として好適なものである。
【0141】そして、本発明に係るボンド磁石用偏平木
の葉状希土類−鉄−ボロン系磁石合金粒子粉末は、希土
類の量が10原子%未満と少ないものであるから、経済
的、工業的に有利に得ることができる。
【0142】更に、本発明に係る偏平木の葉状希土類−
鉄−ボロン系磁石合金粒子粉末を用いて得られるボンド
磁石は、用いる偏平木の葉状希土類−鉄−ボロン系磁石
合金粒子粉末が上記諸特性を有することに起因して、大
きな残留磁束密度Brと高い保磁力iHcを有し、その
結果、最大磁気エネルギー積(BH)maxが大きく、且
つ、耐食性に優れており、密度が大きいものであるか
ら、小型化が可能であると共に各種用途に使用可能なも
のである。従って、本発明の産業利用性は非常に大きい
といえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 発明の実施の形態における偏平木の葉状希土
類−鉄−ボロン系磁石合金粒子粉末を製造する装置の概
略図である。
【図2】 発明の実施の形態で得られた偏平木の葉状希
土類−鉄−ボロン系磁石合金粒子粉末を構成する粒子の
粒子形状を示した走査型電子顕微鏡写真(×85)であ
る。
【図3】 発明の実施の形態で得られた偏平木の葉状希
土類−鉄−ボロン系磁石合金粒子粉末を構成する粒子の
結晶構造を示したX線回折パターンである。
【図4】 発明の実施の形態で得られた偏平木の葉状希
土類−鉄−ボロン系磁石合金粒子粉末を構成する粒子の
結晶構造を示した電子線回折パターンである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H01F 1/08 H01F 1/08 A

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粒子形状が偏平木の葉状の粒子からなる
    希土類−鉄−ボロン系磁石合金粒子粉末であって、平均
    長軸径が60〜500μm、平均短軸径が50〜460
    μm、平均厚さが3〜100μm、平均軸比(長軸径/
    短軸径)が1.1〜10、平均アスペクト比(長軸径/
    厚さ)が3〜100であるボンド磁石用偏平木の葉状希
    土類−鉄−ボロン系磁石合金粒子粉末。
  2. 【請求項2】 希土類−鉄−ボロン系磁石合金粒子の合
    金組成が式RxFe1 00-x-y-z-wCoyzw(ただし、
    Rは、Nd、Pr、Dy、Tb及びCeから選ばれる希
    土類元素の一種又は二種以上、Mは、Ti、V、Cr、
    Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、W、Mn、Cu、G
    a、Ag及びSiから選ばれる元素の一種又は二種以
    上、x、y、z及びwは、それぞれ、5≦x≦10、
    1.0≦y≦9.0、0.1≦z≦5、2≦w≦7、9
    ≦(x+w)、5<(y+z))で表わされる組成を有
    し、且つ、αFe、固溶体(αFeとMとからなる固溶
    体)又はαFeと固溶体との混合相のいずれかの結晶相
    からなる軟磁性結晶相とNd2Fe141型正方晶系結晶
    相からなる硬磁性結晶相とのそれぞれが、軟磁性非晶質
    相中に析出している合金組織を有しており、しかも、前
    記軟磁性非晶質相が全合金組織に対し10面積%以下で
    あって、前記軟磁性結晶相が前記軟磁性結晶相と前記硬
    磁性結晶相とを合わせた全結晶組織に対して10面積%
    以上であり、残部が前記硬磁性結晶相である請求項1記
    載のボンド磁石用偏平木の葉状希土類−鉄−ボロン系磁
    石合金粒子粉末。
  3. 【請求項3】 保磁力iHcが3.5kOe以上、残留
    磁束密度Brが9.5kG以上及び最大磁気エネルギー
    積(BH)maxが13MGOe以上である請求項1又は
    2記載のボンド磁石用偏平木の葉状希土類−鉄−ボロン
    系磁石合金粒子粉末。
  4. 【請求項4】 式RxFe100-x-y-z-wCoyzw(た
    だし、Rは、Nd、Pr、Dy、Tb及びCeから選ば
    れる希土類元素の一種又は二種以上、Mは、Ti、V、
    Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、W、Mn、C
    u、Ga、Ag及びSiから選ばれる元素の一種又は二
    種以上、x、y、z及びwは、それぞれ5≦x≦10、
    1.0≦y≦9.0、0.1≦z≦5、2≦w≦7、9
    ≦(x+w)、5<(y+z))で表わされる組成割合
    となる様に製造した粗合金を、加熱溶解して合金溶湯と
    した後、当該合金溶湯をノズルから流出させ、当該流出
    合金溶湯にガスを噴霧することにより合金溶湯の液滴を
    生成させ、当該液滴が凝固する前に、当該液滴の流動方
    向に配置された円錐型又は円盤型の回転冷却体の表面に
    該液滴を衝突させることによって冷却凝固させて偏平木
    の葉状の粒子からなる急冷凝固物粒子粉末とし、次い
    で、当該急冷凝固物粒子粉末を600〜850℃の温度
    範囲で加熱処理することを特徴とする請求項1乃至3の
    いずれかに記載のボンド磁石用偏平木の葉状希土類−鉄
    −ボロン系磁石合金粒子粉末の製造法。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至3のいずれかに記載のボン
    ド磁石用偏平木の葉状希土類−鉄−ボロン系磁石合金粒
    子粉末を結合剤樹脂中に分散してなるボンド磁石であっ
    て、当該偏平木の葉状希土類−鉄−ボロン系磁石合金粒
    子粉末が85〜99重量%の割合で混合されていること
    を特徴とするボンド磁石。
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