JP2004095791A - 樹脂結合型磁石用組成物、その製造方法及びそれを用いた樹脂結合型磁石 - Google Patents
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Abstract
【課題】異方性磁性粉末に含まれる凝集粒子を解粒し、粒子表面に液状又は半固形状の熱硬化性樹脂被膜を形成することにより、磁性粉末の充填密度、滑り性および流動性の向上によって、高密度化と磁場中成形時の高配向化を実現した磁気特性に極めて優れ、機械強さにも優れた樹脂結合型磁石用組成物、その製造方法及びそれを用いた樹脂結合型磁石を提供する。
【解決手段】異方性磁性粉末(A)と、熱硬化性樹脂バインダー(C)を含む樹脂結合型磁石用組成物において、異方性磁性粉末(A)は、予め液状又は半固形状の被膜形成用熱硬化性樹脂(B)によって被覆され、表面が液状又は半固形状になった異方性磁性粉末(A)に熱硬化性樹脂バインダー(C)が配合されていることを特徴とする樹脂結合型磁石用組成物によって提供する。
【選択図】 なし
【解決手段】異方性磁性粉末(A)と、熱硬化性樹脂バインダー(C)を含む樹脂結合型磁石用組成物において、異方性磁性粉末(A)は、予め液状又は半固形状の被膜形成用熱硬化性樹脂(B)によって被覆され、表面が液状又は半固形状になった異方性磁性粉末(A)に熱硬化性樹脂バインダー(C)が配合されていることを特徴とする樹脂結合型磁石用組成物によって提供する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂結合型磁石用組成物、その製造方法及びそれを用いた樹脂結合型磁石に関し、さらに詳しくは、異方性磁性粉末に含まれる凝集粒子を解粒し、粒子表面に液状又は半固形状の熱硬化性樹脂被膜を形成することにより、磁性粉末の充填密度、滑り性および流動性の向上によって、高密度化と磁場中成形時の高配向化を実現した磁気特性に極めて優れ、機械強さにも優れた樹脂結合型磁石用組成物、その製造方法及びそれを用いた樹脂結合型磁石に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、フェライト磁石、アルニコ磁石、希土類磁石等は、モーターをはじめとする種々の用途に用いられている。しかし、これらの磁石は、主に焼結法により作られるために、一般に脆く、薄肉のものや複雑な形状のものが得難いという欠点を有している。それに加えて、焼結時の収縮が15〜20%と大きいため、寸法精度の高いものが得られず、精度を上げるには研磨等の後加工が必要であるという欠点をも有している。
【0003】
一方、樹脂結合型磁石は、これらの欠点を解決すると共に新しい用途をも開拓するために、近年になって開発されたものであるが、通常は、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂等の熱可塑性樹脂をバインダーとし、これに磁性粉末を充填して射出成形法や押出成形法にて製造されるか、またエポキシ樹脂やビス・マレイミドトリアジン樹脂などの熱硬化性樹脂をバインダーとし、これに磁性粉末を充填して圧縮成形法にて製造される。
【0004】
その中で、異方性磁性粉末を用いる樹脂結合型異方性磁石の製造では、磁性粉末を磁場中成形によって磁化方向を一定の向きに揃えることにより高磁気特性が得られる。磁性粉末の磁化方向を一定に揃えるために、磁場の強さを上げたり、磁性粉末が磁場方向へ回転しやすくするための潤滑剤などを添加する方法がとられている。また、成形時に金型の温度を上げることによって、熱硬化性樹脂のときは樹脂をゲル化したり、あるいは、熱可塑性樹脂のときは硬化を遅延させることによって配向を改善する手段が用いられている。
【0005】
また、熱硬化性樹脂をバインダーとして用いた圧縮成形による樹脂結合型磁石における改良として、特開平5−55019号公報、特開2001−68313号公報、特開平5−175024号公報に記載された方法がある。
【0006】
特開平5−55019号公報は、磁気異方性をもつ磁性粉末に固形エポキシ樹脂を有機溶剤に溶解したものを添加し、溶剤を揮発除去して得られた固体エポキシによる凝集粒子を−10℃以下の冷温下で平均粒径40μm以下に粉砕することを提案し、これによって、樹脂が表面に析出した一次粒子が得られ、流動性をもち外部磁場により配向するとしている。
【0007】
特開2001−68313号公報は、異方性磁石粉末に液状のエポキシ樹脂を混合し、これを50〜90℃で加熱し、エポキシ樹脂が不完全に硬化した組成物(コンパウンド)を得ることを提案し、このコンパウンドは、砂状で流動性がよくかつ磁性粒子の回転が容易で磁場の方向への配向度合が大きいとしている。
【0008】
特開平5−175024号公報は、希土類磁性粉末にバインダーを添加し圧縮成形してボンド磁石を製造する発明であり、希土類磁性粉末にトリアジン樹脂を主成分とする高耐熱付加重合型熱硬化性樹脂をバインダーの添加と同時に、ないしは相前後して添加し、希土類磁性粉末の表面に高耐熱付加重合型熱硬化性樹脂をコーティングしたあと圧縮成形することを提案し、希土類ボンド磁石の室温での磁気特性の経時変化が少なく、耐熱性が改善されるとしている。
【0009】
しかしながら、これらの方法では、磁性粉末を熱硬化性樹脂で予め被覆していないか、熱硬化性樹脂で被覆したとしても熱硬化性樹脂が磁性粉末の表面を固形状に被覆しているため、凝集した磁性粉末を解粒できず磁気特性を十分には改善することができない。
【0010】
ところで、異方性の磁性粉、とくに製造工程中に湿式乾式を問わず粉砕工程を経て得られた微粉を用いる場合は、その工程中で二次的に発生した凝集粒子が含まれている。特に、平均粒径が10μm以下の異方性磁性粉末では凝集粒子が多く含まれ、それより粗い磁性粉末の場合と異なり、凝集粒子の凝集度合が磁気特性に大きく影響する。
【0011】
特開2001−230110号公報は、焼結磁石およびボンド磁石(樹脂結合型磁石)の製造に関し、特に異方性磁石材料粉末を球状化し、さらに磁石粉末表面に添加剤、又は二次粒子を被覆、固着又は結合することを提案し、これにより、磁性粉末の流動性を向上させ成形安定性を実現し、かつ配向時における磁性粉末の回転が容易になり配向度を著しく向上できるとしている。また、粗粉砕で得られた不定形粒子を球状化し、かつ添加剤を均一に分散、被覆する方法としてメカノフュージョンシステムを塔載した粉砕装置を使用し、得られた磁性粉末に樹脂を混合して得たコンパウンドを成形し磁石を作製している。
【0012】
この先行技術によれば、磁性粉末の形状を球状化するので配向度の向上させることができるものの、凝集状態にある磁性粒子の解粒および分散は殆ど期待できない。また、磁性粉末を特定の熱硬化性樹脂で表面処理することには何ら言及していない。
【0013】
こうした状況下、近年、小型モーター、音響機器、OA機器等に用いられる樹脂結合型磁石は、機器の小型化の要請から磁気特性に優れたものが要求されているが、従来の方法によって得られる樹脂結合型磁石の磁気特性は、上記用途に使用するには不十分であり、これら樹脂結合型磁石の早期改良が望まれていた。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、このような状況に鑑み、凝集粒子を含む磁性粉末に特定の表面処理を施すことで、高密度化および高配向化を実現し、磁気特性に極めて優れ、成形性、機械強さにも優れた樹脂結合型磁石用組成物、その製造方法及びそれを用いた樹脂結合型磁石を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、異方性磁性粉末を解粒処理装置に入れ、常温で液状又は半固形状の被膜形成用熱硬化性樹脂を添加して解粒処理を施すことによって凝集粒子の凝集度を減少でき、同時に熱硬化性樹脂で被覆できるので、磁性粉末の再凝集が起きない液状又は半固形状の表面状態を有する高い充填密度の磁性粉末が得られ、これに液状又は半固形状の熱硬化性樹脂バインダーを添加し混合すると、混合操作のみで容易に良好な分散状態の組成物が得られ、被覆された磁性粒子の表面が液状又は半固形状であるため、この組成物を磁場中成形する際、滑り性が向上し、かつ回転が容易になり磁場方向への配向性が高まることから、高密度化、高配向化により磁気特性が向上し、成形性、機械強さなどに極めて優れた樹脂結合型磁石が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0016】
すなわち、本発明の第1の発明によれば、異方性磁性粉末(A)と、熱硬化性樹脂バインダー(C)を含む樹脂結合型磁石用組成物において、異方性磁性粉末(A)は、予め液状又は半固形状の被膜形成用熱硬化性樹脂(B)によって被覆され、表面が液状又は半固形状になった異方性磁性粉末(A)に熱硬化性樹脂バインダー(C)が配合されていることを特徴とする樹脂結合型磁石用組成物が提供される。
【0017】
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、異方性磁性粉末(A)がSmFeN系の磁性粉末であることを特徴とする樹脂結合型磁石用組成物が提供される。
【0018】
また、本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、異方性磁性粉末(A)の最大粒径が20μm以下、平均粒径が10μm以下であることを特徴とする樹脂結合型磁石用組成物が提供される。
【0019】
さらに、本発明の第4の発明によれば、第1の発明において、被膜形成用熱硬化性樹脂(B)が、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂の中から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする樹脂結合型磁石用組成物が提供される。
【0020】
一方、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明において、凝集粒子を含む異方性磁性粉末(A)を解粒処理装置に入れ、常温で液状又は半固形状である被膜形成用熱硬化性樹脂(B)を添加し、凝集粒子を解粒しながら粒子表面を被膜形成用熱硬化樹脂(B)で被覆する第一の工程、この被覆された異方性磁性粉末(A)に常温で液状又は半固形状である熱硬化性樹脂バインダー(C)を添加し混合して組成物を得る第二の工程からなることを特徴とする樹脂結合型磁石用組成物の製造方法が提供される。
【0021】
また、本発明の第6の発明によれば、第5の発明において、被膜形成用熱硬化性樹脂(B)が、磁性粉末100重量部に対して0.01〜1重量部添加されることを特徴とする樹脂結合型磁石用組成物の製造方法が提供される。
【0022】
また、本発明の第7の発明によれば、第5の発明において、解粒処理装置が、メカノフュージョンシステムであることを特徴とする樹脂結合型磁石用組成物の製造方法が提供される。
【0023】
また、本発明の第8の発明によれば、第5の発明において、熱硬化性樹脂バインダー(C)が、磁性粉末100重量部に対して1〜50重量部添加されることを特徴とする樹脂結合型磁石用組成物の製造方法が提供される。
【0024】
さらに、本発明の第9の発明によれば、第1〜4のいずれかに記載の樹脂結合型磁石用組成物を、射出成形、押出成形、トランスファー成形、または圧縮成形のいずれかによって成形してなる樹脂結合型磁石が提供される。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の樹脂結合型磁石用組成物、その製造方法及びそれを用いた樹脂結合型磁石について詳細に説明する。
【0026】
1.樹脂結合型磁石用組成物
本発明は、磁性粉末(A)と、それを被覆する特定の熱硬化性樹脂(B)と、樹脂バインダー(C)を含んだ樹脂結合型磁石用組成物に係わるものであり、被覆された磁性粉末(A)の表面が液状又は半固形状にある状態で、樹脂バインダー(C)が配合されていることを特徴とするものである。
【0027】
A 磁性粉末
磁性粉末は、通常、樹脂結合型磁石に用いられている磁性粉末のうち、その構成元素中に希土類および遷移金属元素を含む異方性磁性粉末であれば、特に制限されない。
【0028】
また、磁性粉末には、例えば、異方性磁場(HA)が4000kA/m以上の磁性粉末である希土類コバルト系、希土類−鉄―ホウ素系、希土類−鉄−窒素系の磁性粉の単独もしくは混合粉、またはフェライト系磁性粉との混合系などが挙げられる。すなわち、還元拡散法によって得られるSmFe系合金粗粉を窒化処理後、粉砕して得られるSmFeN系の合金微粉末、同じく還元拡散法によって得られたSmCo5系合金粗粉を粉砕して得られる合金微粉末、水素処理法やダイアップセット法等によって得られた異方性NdFeB系合金粉末が用いられるが、特に、平均粒径を小さくすることによって磁気特性の向上が得られるSmFeN系の磁性粉末において本発明の効果が大きい。
【0029】
水素処理法やダイアップセット法によって得られた異方性NdFeB系の磁性粉など、特異な形状を有した比較的大きな粒子を大量に含んでいる磁性粉末は、あらかじめジェットミル、ボールミル、スタンプミル等で粉砕し用いるのが好ましい。
【0030】
ここで、磁性粉末の粒径は、最大粒径が20μm以下、平均粒径が10μm以下のものが好ましい。最大粒径が20μmを超え、または平均粒径が10μmを超えると被膜の形成が不十分となるので好ましくない。
【0031】
B 被膜形成用熱硬化性樹脂
次に、磁性粉末に熱硬化性樹脂の被膜を形成させる熱硬化性樹脂としては、常温で液状、半固形状のいずれかの状態を示す物が使用され、その中でもエポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂の中から選ばれる少なくとも1種もしくは2種以上を用いることが好ましい。
ここで、半固形状である熱硬化性樹脂とは、液体のような流動性はないが、わずかな外力を加えても容易に変形する程度の柔軟性がある状態の樹脂を表し、液状及び固形状と区別される。
【0032】
これらの熱硬化性樹脂は、常温で液状、半固形状のいずれかの状態を示す物であれば、分子量、性状、分子構造に特に限定されることはなく、市販の物を任意に選択して使用することが出来る。しかしながら、フェノール樹脂、ユリア樹脂やメラミン樹脂等のアミノ樹脂、トリアジン樹脂などの熱硬化性樹脂は常温で固形状を示すので使用することができない。
【0033】
C 熱硬化性樹脂バインダー
本発明において、予め熱硬化性樹脂で被覆された磁性粉末に混合される樹脂バインダーは、磁性粉末の結合剤として働くものである。
【0034】
例えば、フェノール樹脂、ユリア樹脂やメラミン樹脂等のアミノ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド・トリアジン樹脂等が挙げられ、これらの1種もしくは2種以上での使用が可能である。
特にその種類に限定されることはないが、磁性粉末の良好な分散を得るため、常温で液状又は半固形状のものが好ましい。前記のとおり、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂は被膜形成用に好適であるが、これらは樹脂バインダーとしても優れた性能を示す。
【0035】
本発明の効果を得るためには、射出成形法、押出成形法、トランスファー成形法、圧縮成形法のいずれかにおいて樹脂結合磁石を得ることが好ましく、比較的低温で、かつ速やかな硬化反応性を示す不飽和ポリエステル樹脂等のラジカル反応型熱硬化性樹脂の使用が好ましい。
【0036】
この場合の不飽和ポリエステル樹脂は、成形時の金型内で硬化して磁性粉末のバインダーとして働くものであれば、特にその種類に限定されることはなく、一般的に市販されている不飽和ポリエステル樹脂を用いることができる。
この不飽和ポリエステル樹脂としては、例えば、不飽和多塩基酸及び/または飽和多塩基酸とグリコール類を分子量5000程度以下に予備的に重合させてオリゴマーやプレポリマー化させた主剤に、架橋剤をかねるモノマー類、反応を開始させる硬化剤、長期の保存性を確保するための重合防止剤、及びその他の添加剤等から構成される。
【0037】
不飽和多塩基酸としては、例えば無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等を、また、飽和酸としては、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ヘット酸、テトラブロム無水フタル酸等が挙げられる。また、グリコール類としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールAプロピレンオキシド付加物、ジブロムネオペンチルグリコール、ペンタエリスリットジアリルエーテル、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0038】
このような不飽和ポリエステル樹脂バインダーを用いる場合は、これらの各種成分以外にも種々の添加剤を加えることができ、例えば、エポキシ樹脂を原料としたノボラック型やビスフェノール型のビニルエステル樹脂類や、反応性樹脂類、架橋剤を兼ねるモノマー類や硬化剤を加えることもできる。
【0039】
架橋剤を兼ねるモノマー類としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、メタクリル酸メチル、酢酸ビニル等のビニルモノマー類;ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、トリアリルイソフタレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルテトラブロムフタレート、等のアリルモノマー類;フェノキシエチルアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート等のアクリル酸エステル類等が挙げられる。
【0040】
硬化剤としては、一般的に有機過酸化物が用いられ、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド、アセチルセトンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類;3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン等のパーオキシケタール類;t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジ−イソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、メタンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン、2,5−ジハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類;ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−クミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等のジアルキルパーオキサイド類;アセチルパーオキサイド、イソブチルパーオキサイド、オクタノニルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、サクシニック酸パーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、トルオイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルペロキシジカーボネート、ジ−n−プロピルペロキシジカーボネート、ビス−(4−t−ブチルシクロヘキシル)ペロキシジカーボネート、ジ−ミリスチルペロキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルペロキシジカーボネート、ジ−メトキシイソプロピルペロキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)ペロキシジカーボネート、ジアリルペロキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート類;t−ブチルペロキシアセテート、t−ブチルペロキシイソブチレート、t−ブチルペロキシピバレート、t−ブチルペロキシネオデカノエート、クミルペロキシネオデカノエート、t−ブチルペロキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペロキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルペロキシラウレート、t−ブチルペロキシベンゾエート、ジ−t−ブチルペロキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2、5−ジ(ベンゾイルペロキシ)ヘキサン、t−ブチルペロキシマレイックアシッド、t−ブチルペロキシイソプロピルカーボネート、クミルペロキシオクトエート、t−ヘキシルペロキシネオデカノエート、t−ヘキシルペロキシピバレート、t−ブチルペロキシネオヘキサノエート、t−ヘキシルペロキシネオヘキサノエート、クミルペロキシネオヘキサノエート等のパーオキシエステル類やアセチルシクロヘキシルスルフォニルペロキサイド、t−ブチルペロキシアリルカーボネート等が挙げられる。
【0041】
これらの有機過酸化物は、単独で用いるか、種類によっては炭化水素溶液類やフタル酸エステル類に希釈した状態、もしくは固形粉末に吸収させた状態で用いる。半減期10時間を得るための分解温度が150℃以下の性質を有する過酸化物を使用するのが望ましく、更には、同半減期を得るための温度が40℃以上140℃以下の過酸化物がより望ましい。
該半減期が150℃を超える物を選択すると、充分な硬化成形体を得るための硬化温度が高くなり、40℃よりも低くなると過酸化物自体の取り扱い性が困難になるばかりでなく、樹脂結合型磁石用組成物の保管特性が悪くなり生産性に欠ける結果を招く。
【0042】
これら過酸化物の添加量は、希釈率や活性酸素量によっても異なるが、一般的には不飽和ポリエステル樹脂に対して0.01〜5重量%が添加される。
これらの過酸化物は、単独もしくは2種以上の混合系で用いることができるが、例えば、ナフテン酸コバルトやオクチル酸コバルト等のコバルト有機酸塩、アセチルアセトン、アセト酢酸エチル、ジメドン等のβ−ジケトン類、ジメチルアニリン等の芳香族3級アミン類、メルカプタン類、トリフェニルホスフィン、2−エチルヘキシルホスファイト等の燐化合物類、第4級アンモニウム塩類等の促進剤やアゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、芳香族カルボニル化合物、ピナコン誘導体等と併用しても良い。
【0043】
本発明の組成物は、これらの他にも、熱硬化性樹脂に用いられる重合防止剤、反応性希釈剤、未反応性希釈剤、各種変性剤、増粘剤、滑剤、離型剤、紫外線吸収剤、難燃剤や種々の熱安定剤等を添加することができる。
【0044】
重合防止剤は、長期の保存性を確保するための添加剤であり、p−ベンゾキノン、ナフトキノン、フェナンスラキノン、トルキノン、2,5−ジフェニル−p−ベンゾキノン、2,5−ジアセトキシ−p−ベンゾキノン、2,5−ジカプロキシ−p−ベンゾキノン、2,5−ジアシロキシ−p−ベンゾキノン等のキノン類;ハイドロキノン、p−t−ブチルカテコール、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、モノ−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−t−アミルハイドロキノン等のハイドロキノン類;ジ−t−ブチル・パラクレゾールハイドロキノンモノメチルエーテル、α−ナフトール等のフェノール類;ナフテン酸銅等の有機ならびに無機の銅塩類、アセトアミジンアセテート、アセトアミジンサルフェート等のアミジン類、フェニルヒドラジン塩酸塩、ヒドラジン塩酸塩等のヒドラジン類、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、ラウリルピリジニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、フェニルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチルベンジルアンモニウムオキザレート、ジ(トリメチルベンジルアンモニウム)オキザレート、トリメチルベンジルアンモニウムマレエート、トリメチルベンジルアンモニウムタータレート、トリメチルベンジルアンモニウムグリコレート等の第4級アンモニウム塩類、フェニル−β−ナフチルアミン、パラベンジルアミノフェノール、ジ−β−ナフチルパラフェニレンジアミン等のアミン類、ニトロベンゼン、トリニトロトルエン、ピクリン酸等のニトロ化合物、キノンジオキシム、シクロヘキサノンオキシム等のオキシム類、ピロガロール、タンニン酸、レゾルシン等の多価フェノール類、トリエチルアミン塩酸塩、ジメチルアニリン塩酸塩、ジブチルアミン塩酸塩等のアミン塩酸塩類等が挙げられ、これらの1種もしくは2種以上を混合して使用することができる。
【0045】
滑剤としては、例えばパラフィンワックス、流動パラフィン、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、エステルワックス、カルナウバ、マイクロワックス等のワックス類;ステアリン酸、1,2−オキシステアリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、オレイン酸等の脂肪酸類;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ラウリン酸カルシウム、リノール酸亜鉛、リシノール酸カルシウム、2−エチルヘキソイン酸亜鉛等の脂肪酸塩(金属石鹸類);ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘン酸アミド、パルミチン酸アミド、ラウリン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ジステアリルアジピン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、ジオレイルアジピン酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミド等脂肪酸アミド類;ステアリン酸ブチル等の脂肪酸エステル、エチレングリコール、ステアリルアルコール等のアルコール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、及びこれら変性物からなるポリエーテル類、ジメチルポリシロキサン、シリコングリース等のポリシロキサン類、弗素系オイル、弗素系グリース、含弗素樹脂粉末といった弗素化合物、窒化珪素、炭化珪素、酸化マグネシウム、アルミナ、二酸化珪素、二硫化モリブデン等の無機化合物粉体が挙げられる。
【0046】
2.樹脂結合型磁石用組成物の製造方法
本発明の樹脂結合型磁石用組成物は、凝集した磁性粉末の粒子を解粒しながら、その粒子表面を常温で液状又は半固形状である熱硬化性樹脂で被覆する第一の工程、この磁性粉末に樹脂バインダー等を添加し混合する第二の工程を必須の工程として製造される。
【0047】
第一の工程は、事前の製造工程における粉砕処理などに起因する凝集粒子を含む磁性粉末に常温で液状又は半固形状である熱硬化性樹脂を添加し、凝集粒子を解粒しながら粒子表面を熱硬化性樹脂で被覆し、表面が液状又は半固形状である被膜を有する磁性粉末を得る工程である。
【0048】
ここで、磁性粉末は、最大粒径が20μm以下、平均粒径が10μm以下のものになるように、予め粉砕されている。最大粒径が20μmを超え、または平均粒径が10μmを超える粉末が混入していると被膜の形成が不十分となるので好ましくない。
【0049】
また、この熱硬化性樹脂の磁性粉末に対する添加量は、0.01重量部以上1重量部以下でよく、好ましくは0.05重量部以上0.8重量部以下であるが、本発明の効果をより顕著に得るためには、0.1重量部以上0.6重量部以下がより好ましい。
添加量が0.01重量部未満の場合は、凝集粒子の解粒が不十分なため高配向化が十分に達成できず、また1重量部を超えると樹脂による粘り、ベトつきのため被覆された粒子の分散が悪化するため、成形時に高配向が得られず、いずれも本発明の効果が得られない。
【0050】
本発明の製造方法においては、凝集粒子を解粒処理装置に入れ、解粒しながら粒子表面に被覆処理をすることが重要であり、それを可能にする装置システムとして、メカノフュージョンシステム等がある。このようなシステムを搭載した装置を使用するのが好ましい。
【0051】
このメカノフュージョンシステムは、内部の回転ローターが高速回転し、投入された磁性粉末と熱硬化性樹脂等の原料が回転ローター内壁において圧密され、更に、インナーピース先端部と回転ローターとの間隙部近傍において圧縮、剪断等の作用を受ける構造になっている。回転ローターとインナーピースとの間隙や回転数等の条件により、凝集粒子の解粒度合及び磁石粉末への熱硬化性樹脂被膜処理速度を自由に調整することが可能である。
【0052】
ここで、回転数は、装置の機種によるが、500rpm以上、好ましくは900rpm以上、さらに好ましくは2000rpm以上とする。また、運転時間は、5〜90分間、好ましくは10〜60分間とする。500rpm未満かつ5分間未満の運転条件では凝集粒子の解粒が進まない。
【0053】
第二の工程は、こうして熱硬化性樹脂で被覆された磁性粉末に、樹脂バインダー等を添加し混合して磁石用組成物を得る工程である。
【0054】
熱硬化樹脂バインダーは、第一の工程で被覆された磁性粒子を混合操作のみで容易かつ良好に分散させなければならないため、常温で液状又は半固形状の状態であるものが望ましい。
【0055】
樹脂バインダーの添加量は、得られる樹脂結合型磁石用組成物の成形方法にもよるが、磁性粉末100重量部に対して1重量部以上50重量部以下とされる。圧縮成形では、樹脂バインダーの添加量は、磁性粉末100重量部に対して1.0重量部以上2.5重量部以下であり、射出成形させる場合は、樹脂バインダーは、磁性粉末100重量部に対して5重量部以上50重量部未満の割合で添加される。
【0056】
また、本発明における組成物には、前記のとおり、熱硬化性樹脂の他にも熱硬化性樹脂特有に用いられる重合防止剤、反応性希釈剤、未反応性希釈剤、各種変性剤、増粘剤、滑剤、離型剤、紫外線吸収剤、難燃剤や種々の熱安定剤等を添加することができる。
【0057】
第一工程においては、反応促進剤や反応開始剤などの硬化剤(硬化触媒)を添加する必要はないが、第二の工程では、磁性粉末を含んだ組成物を成形する際に硬化させるに十分な量の硬化剤を添加する。第二の工程では、熱硬化性樹脂が硬化してしまわないように冷却して、硬化剤の作用による重合反応を抑制することができる。
【0058】
各成分の混合方法は、特に限定されず、例えばリボンブレンダー、タンブラー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等の混合機あるいは、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール、ニーダールーダー、単軸押出機、二軸押出機等の混練機を使用して実施される。熱硬化性樹脂を用いていることから、混合時の剪断発熱等によって硬化が進まないよう、剪断力が弱く、かつ冷却機能を有する混合機が好ましい。
【0059】
3.樹脂結合型磁石
本発明の樹脂結合型磁石は、上記の方法により得られた組成物を用い、必要により他の成分(添加剤など)を配合し成形して得ることができる。樹脂結合型磁石用組成物は、磁石製品の要求性能に応じて、射出成形、押出成形、トランスファー成形、圧縮成形のいずれかによって成形すればよい。
【0060】
なお、この組成物を射出成形させる場合は、樹脂バインダーが磁性粉末100重量部に対して5重量部以上50重量部未満の割合、好ましくは7以上15重量部以下、さらには、10重量部以上13重量部以下添加されていることがより好ましい。添加量が該磁性粉100重量部に対して5重量部未満の場合は、著しい混練トルクの上昇、流動性の低下を招いて成形困難になるため、本発明の効果を得ることができず、また50重量部を超える場合は所望の磁気特性が得られない。
【0061】
一方、この組成物を圧縮成形させる場合、樹脂バインダーが磁性粉末100重量部に対して1.0重量部以上2.5重量部以下、好ましくは1.5重量部以上2.0重量部以下添加されていれば、流動性の良い顆粒状の組成物が得られる。添加量が1.0重量部未満では磁石の機械強さが不足し、2.5重量部を超えるときは磁石の密度が低く磁気特性も低いので実用的ではない。
【0062】
この組成物を成形する際に、熱硬化性樹脂の種類にもよるが、通常は40〜250℃に加熱すれば、熱硬化性樹脂が金型内部で硬化して、所望の形状の樹脂結合型磁石ができあがる。
【0063】
本発明は、異方性磁性粉末を用いる場合に幅広く適用できるが、従来、熱硬化性樹脂バインダーを用いた圧縮成形では配向が悪いとされていた、平均粒径が小さいSmFeN系の磁性粉末を用いた樹脂結合型磁石用組成物を用いる場合でも容易に圧縮成形でき、その効果が大きい。
【0064】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明し、各成分の詳細及び試験方法、評価方法を例示するが、本発明の趣旨を逸脱しない限り、これらに限定されるものでは無い。
【0065】
樹脂結合型磁石試料の磁気特性は、チオフィー型磁束計にて測定し、磁性粉末の磁気特性は、試料振動型磁力計にて常温で測定した。また、樹脂結合型磁石試料の配向度は、SMM法、即ち{(成形後の樹脂結合型磁石の磁化)/(磁性粉100%での磁化×成形後の樹脂結合型磁石の磁性粉体積率)×100}で表した。
【0066】
A 磁性粉末
・磁粉1:SmFeN系磁性粉末
(商品名:SmFeN合金粉末、住友金属鉱山(株)製)
異方性磁場:16,700kA/m、粒径100μm以下の微粉含有率99%、最大粒径6μm、平均粒径3μm)
・磁粉2:ストロンチウムフェライト系磁性粉末
(商品名:MA−951、戸田工業(株)製)
異方性磁場:5,600kA/m、粒径100μm以下の微粉含有率99%、最大粒径5μm、平均粒径1μm)
【0067】
B 被膜形成用熱硬化性樹脂(熱硬化性樹脂と略す)
・熱硬化性樹脂1(ビスフェノール型エポキシ樹脂):(商品名:エピコート828、ジャパンエポキシレジン(株)製、25℃で液状)
・熱硬化性樹脂2(ノボラック型エポキシ樹脂):(商品名:アラルダイトEPN1138、旭チバ(株)製、25℃で半固形状)
・熱硬化性樹脂3(不飽和ポリエステル樹脂):(商品名:ポリセット9164、日立化成工業(株)製、25℃で液状)
・熱硬化性樹脂4(ビニルエステル樹脂):(商品名:ポリセット6120S、日立化成工業(株)製、25℃で液状)
・熱硬化性樹脂5(ビスフェノール型エポキシ樹脂):(商品名:エピコート1001B80、ジャパンエポキシレジン(株)製、25℃で固形状)
【0068】
C 樹脂バインダー
・不飽和ポリエステル樹脂(熱硬化性樹脂、UP樹脂と略す)
(商品名:エポラックN−14B、(株)日本触媒製、25℃で液状)
・ナイロン12(熱可塑性樹脂、PA12と略す)
(商品名:ダイアミドA−1709P、ダイセル・ヒュルス(株)製)
【0069】
(実施例1〜25)
次に示す要領で本発明の樹脂結合型磁石を製造し、密度、配向度、磁気特性及び機械強度を評価した。
▲1▼凝集粒子を解粒しながら表面に熱硬化性樹脂被膜を形成する処理
磁性粉100重量部に対して、所定の量の各種被膜形成用熱硬化性樹脂を用意し、磁性粉末と該熱硬化性樹脂を同時にメカノフュージョンシステム中に投入、窒素流入雰囲気にてジャケットを水冷しながら所定の回転数にて所定の時間回転させ、表面処理済磁性粉末を得た。
なお、実施例1〜15及び21〜25は、表面処理装置メカノフュージョンAMS−LABを使用し、実施例16〜20は、表面処理装置メカノフュージョンAMS−100Fを使用した。
▲2▼組成物の混合
上記の表面処理を施したそれぞれの磁性粉末の全量に、熱硬化性樹脂(UP樹脂)とパーオキシケタール系過酸化物(硬化剤、樹脂に対して1重量%)を所定の比率になるよう添加し(各重量部)、プラネタリーミキサー中で十分混合撹拌し組成物を得た。
▲3▼射出成形方法
これらの組成物を射出成形機にて、シリンダー温度30℃、ノズル温度30℃、金型温度150℃の条件にて成形し、横φ10mm×15mmの円柱試験用樹脂結合型磁石を得た。
▲4▼圧縮成形方法
これらの組成物を横磁場プレス成形機にて、4t/cm2の圧力で成形し、窒素置換中150℃で30分硬化せしめて、横φ10mm×7mmの円柱試験用樹脂結合型磁石を得た。
得られた磁石成形品の密度、配向度、磁気特性及び機械強度を評価した。その結果を表1〜5に示す。
【0070】
【表1】
【0071】
【表2】
【0072】
【表3】
【0073】
【表4】
【0074】
【表5】
【0075】
(比較例1)
表面処理方法として、被膜形成用熱硬化性樹脂を、メチルエチルケトンに溶解して手混ぜ混合し、減圧乾燥器中で溶媒を揮散させて処理粉末を得た。すなわち、本発明の凝集粒子の解粒操作(例えば、メカノフュージョンシステム)を実施していない場合である。
この処理粉末に、熱硬化性樹脂(UP樹脂)とパーオキシケタール系過酸化物(樹脂に対して1重量%)を、所定の比率になるよう添加し(各重量部)、プラネタリーミキサー中で混合し組成物を得た。圧縮成形は、これらの組成物を横磁場プレス成形機にて、4t/cm2の圧力で成形し、窒素置換中150℃30分硬化せしめて、横φ10mm×7mmの円柱試験用樹脂結合型磁石を得た。
得られた樹脂結合型磁石の密度、配向度、磁気特性及び機械強度を評価し、結果を表6に示した。
【0076】
【表6】
【0077】
(比較例2)
本発明の表面処理を実施せずに、従来の方法によってUP樹脂を使用して射出成形した。磁性粉末に、熱硬化性樹脂(UP樹脂)とパーオキシケタール系過酸化物(樹脂に対して1重量%)を、所定の比率になるよう添加し(各重量部)、プラネタリーミキサー中で十分混合撹拌し混合物を得た。
これの混合物(組成物)を射出成形機にて、シリンダー温度230℃、ノズル温度230℃、金型温度100℃の条件にて成形し、横φ10mm×15mmの円柱試験用樹脂結合型磁石を得た。
得られた樹脂結合型磁石の密度、配向度、磁気特性及び機械強度を評価し、結果を表6に示した。
【0078】
(比較例3)
本発明の表面処理を実施せずに、従来の方法によって圧縮成形した。組成物の調整、圧縮成形の方法は、(比較例1)と同様である。得られた樹脂結合型磁石の密度、配向度、磁気特性及び機械強度を評価し、結果を表6に示した。
【0079】
(比較例4)
本発明の表面処理を実施せずに、従来の方法によってPA12を使用して射出成形した。磁性粉末に、熱可塑性樹脂(PA12)を、所定の比率になるよう添加し(各重量部)、プラネタリーミキサー中で十分混合撹拌し混合物を得た。
この混合物を20mmφシングル押出機(L/D=25、CR=2.0、回転数=20rpm、5mmφストランドダイ、シリンダー温度200〜320℃、ダイス温度190℃〜300℃)にて押し出し、ホットカットペレタイザーにてφ5mm×5mmの樹脂結合型磁石成形用ペレットコンパウンドを作製した。
得られた樹脂結合型磁石の密度、配向度、磁気特性及び機械強度を評価し、結果を表6に示した。
【0080】
(比較例5)
表面処理方法として、常温で固形状の熱硬化性樹脂を用いて磁性粉末とメカノフュージョンシステムで処理した(処理要領は実施例の説明で記載)。組成物の調整、圧縮成形の方法は、(比較例1)と同様である。
得られた磁石成形品の密度、配向度、磁気特性及び機械強度を評価した。この結果を表6に示す。
【0081】
表1〜表6の結果を要約すると、
(1)本発明の方法による磁粉1を使用した圧縮成形体(実施例6を除く実施例1〜20)は、密度5.28〜5.34、配向度93.8〜98.8、機械強度63.0〜67.2MPaを示し、従来法(比較例1、3、5)に比べて何れも極めて高い数値であつた。比較例1との対比からメカノフュージョンシステムの効果が、比較例5との対比から被膜形成用熱硬化性樹脂が常温で液状又は半固形状である効果が示された。
【0082】
(2)本発明の方法による磁粉1を使用した射出成形体(実施例21〜25)は、密度4.82〜4.85、配向度85.0〜90.0、機械強度76.5〜80.8MPaと、熱硬化性樹脂を用いたにもかかわらず熱可塑性樹脂と同等以上の特性を示した。すなわち、UP樹脂を用いた従来法(比較例2)より、凝集粒子の解粒と分散の向上を表す配向度並びに磁化が向上した。
また、熱可塑性樹脂(PA12)を用いた従来法(比較例4)と比べて、樹脂バインダーとの混練度合に大きな制約があるにもかかわらず、配向度並びに磁化が同等で、処理温度が低いため熱減磁が少なくなり、保磁力、(BH)maxが向上し、さらに密度、機械強度に優れていた。
【0083】
(3)本発明の磁粉1と磁粉2の混合物を使用した圧縮成形体(実施例6)では、磁粉1の混合によって従来のフェライト系ボンド磁石とくらべて高磁気特性が得られた。
【0084】
以上の結果から明らかなように、本発明の樹脂結合型磁石用組成物を用いて製造した樹脂結合型磁石は、従来の方法によるものと比べて、高密度、高配向で磁気特性、機械強さにも優れていることが分かる。
【0085】
【発明の効果】
以上のごとく、本発明によれば、凝集粒子を解粒しながらその表面に熱硬化性樹脂被膜を形成した磁性粉末と、これに熱硬化性樹脂バインダーを混合して、組成物を作製し成形することで、従来得られなかった磁気特性、密度等に優れた樹脂結合型磁石を提供することができ、例えば、一般家電製品、通信・音響機器、医療機器、一般産業機器にいたる幅広い分野で特に有用である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂結合型磁石用組成物、その製造方法及びそれを用いた樹脂結合型磁石に関し、さらに詳しくは、異方性磁性粉末に含まれる凝集粒子を解粒し、粒子表面に液状又は半固形状の熱硬化性樹脂被膜を形成することにより、磁性粉末の充填密度、滑り性および流動性の向上によって、高密度化と磁場中成形時の高配向化を実現した磁気特性に極めて優れ、機械強さにも優れた樹脂結合型磁石用組成物、その製造方法及びそれを用いた樹脂結合型磁石に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、フェライト磁石、アルニコ磁石、希土類磁石等は、モーターをはじめとする種々の用途に用いられている。しかし、これらの磁石は、主に焼結法により作られるために、一般に脆く、薄肉のものや複雑な形状のものが得難いという欠点を有している。それに加えて、焼結時の収縮が15〜20%と大きいため、寸法精度の高いものが得られず、精度を上げるには研磨等の後加工が必要であるという欠点をも有している。
【0003】
一方、樹脂結合型磁石は、これらの欠点を解決すると共に新しい用途をも開拓するために、近年になって開発されたものであるが、通常は、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂等の熱可塑性樹脂をバインダーとし、これに磁性粉末を充填して射出成形法や押出成形法にて製造されるか、またエポキシ樹脂やビス・マレイミドトリアジン樹脂などの熱硬化性樹脂をバインダーとし、これに磁性粉末を充填して圧縮成形法にて製造される。
【0004】
その中で、異方性磁性粉末を用いる樹脂結合型異方性磁石の製造では、磁性粉末を磁場中成形によって磁化方向を一定の向きに揃えることにより高磁気特性が得られる。磁性粉末の磁化方向を一定に揃えるために、磁場の強さを上げたり、磁性粉末が磁場方向へ回転しやすくするための潤滑剤などを添加する方法がとられている。また、成形時に金型の温度を上げることによって、熱硬化性樹脂のときは樹脂をゲル化したり、あるいは、熱可塑性樹脂のときは硬化を遅延させることによって配向を改善する手段が用いられている。
【0005】
また、熱硬化性樹脂をバインダーとして用いた圧縮成形による樹脂結合型磁石における改良として、特開平5−55019号公報、特開2001−68313号公報、特開平5−175024号公報に記載された方法がある。
【0006】
特開平5−55019号公報は、磁気異方性をもつ磁性粉末に固形エポキシ樹脂を有機溶剤に溶解したものを添加し、溶剤を揮発除去して得られた固体エポキシによる凝集粒子を−10℃以下の冷温下で平均粒径40μm以下に粉砕することを提案し、これによって、樹脂が表面に析出した一次粒子が得られ、流動性をもち外部磁場により配向するとしている。
【0007】
特開2001−68313号公報は、異方性磁石粉末に液状のエポキシ樹脂を混合し、これを50〜90℃で加熱し、エポキシ樹脂が不完全に硬化した組成物(コンパウンド)を得ることを提案し、このコンパウンドは、砂状で流動性がよくかつ磁性粒子の回転が容易で磁場の方向への配向度合が大きいとしている。
【0008】
特開平5−175024号公報は、希土類磁性粉末にバインダーを添加し圧縮成形してボンド磁石を製造する発明であり、希土類磁性粉末にトリアジン樹脂を主成分とする高耐熱付加重合型熱硬化性樹脂をバインダーの添加と同時に、ないしは相前後して添加し、希土類磁性粉末の表面に高耐熱付加重合型熱硬化性樹脂をコーティングしたあと圧縮成形することを提案し、希土類ボンド磁石の室温での磁気特性の経時変化が少なく、耐熱性が改善されるとしている。
【0009】
しかしながら、これらの方法では、磁性粉末を熱硬化性樹脂で予め被覆していないか、熱硬化性樹脂で被覆したとしても熱硬化性樹脂が磁性粉末の表面を固形状に被覆しているため、凝集した磁性粉末を解粒できず磁気特性を十分には改善することができない。
【0010】
ところで、異方性の磁性粉、とくに製造工程中に湿式乾式を問わず粉砕工程を経て得られた微粉を用いる場合は、その工程中で二次的に発生した凝集粒子が含まれている。特に、平均粒径が10μm以下の異方性磁性粉末では凝集粒子が多く含まれ、それより粗い磁性粉末の場合と異なり、凝集粒子の凝集度合が磁気特性に大きく影響する。
【0011】
特開2001−230110号公報は、焼結磁石およびボンド磁石(樹脂結合型磁石)の製造に関し、特に異方性磁石材料粉末を球状化し、さらに磁石粉末表面に添加剤、又は二次粒子を被覆、固着又は結合することを提案し、これにより、磁性粉末の流動性を向上させ成形安定性を実現し、かつ配向時における磁性粉末の回転が容易になり配向度を著しく向上できるとしている。また、粗粉砕で得られた不定形粒子を球状化し、かつ添加剤を均一に分散、被覆する方法としてメカノフュージョンシステムを塔載した粉砕装置を使用し、得られた磁性粉末に樹脂を混合して得たコンパウンドを成形し磁石を作製している。
【0012】
この先行技術によれば、磁性粉末の形状を球状化するので配向度の向上させることができるものの、凝集状態にある磁性粒子の解粒および分散は殆ど期待できない。また、磁性粉末を特定の熱硬化性樹脂で表面処理することには何ら言及していない。
【0013】
こうした状況下、近年、小型モーター、音響機器、OA機器等に用いられる樹脂結合型磁石は、機器の小型化の要請から磁気特性に優れたものが要求されているが、従来の方法によって得られる樹脂結合型磁石の磁気特性は、上記用途に使用するには不十分であり、これら樹脂結合型磁石の早期改良が望まれていた。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、このような状況に鑑み、凝集粒子を含む磁性粉末に特定の表面処理を施すことで、高密度化および高配向化を実現し、磁気特性に極めて優れ、成形性、機械強さにも優れた樹脂結合型磁石用組成物、その製造方法及びそれを用いた樹脂結合型磁石を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、異方性磁性粉末を解粒処理装置に入れ、常温で液状又は半固形状の被膜形成用熱硬化性樹脂を添加して解粒処理を施すことによって凝集粒子の凝集度を減少でき、同時に熱硬化性樹脂で被覆できるので、磁性粉末の再凝集が起きない液状又は半固形状の表面状態を有する高い充填密度の磁性粉末が得られ、これに液状又は半固形状の熱硬化性樹脂バインダーを添加し混合すると、混合操作のみで容易に良好な分散状態の組成物が得られ、被覆された磁性粒子の表面が液状又は半固形状であるため、この組成物を磁場中成形する際、滑り性が向上し、かつ回転が容易になり磁場方向への配向性が高まることから、高密度化、高配向化により磁気特性が向上し、成形性、機械強さなどに極めて優れた樹脂結合型磁石が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0016】
すなわち、本発明の第1の発明によれば、異方性磁性粉末(A)と、熱硬化性樹脂バインダー(C)を含む樹脂結合型磁石用組成物において、異方性磁性粉末(A)は、予め液状又は半固形状の被膜形成用熱硬化性樹脂(B)によって被覆され、表面が液状又は半固形状になった異方性磁性粉末(A)に熱硬化性樹脂バインダー(C)が配合されていることを特徴とする樹脂結合型磁石用組成物が提供される。
【0017】
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、異方性磁性粉末(A)がSmFeN系の磁性粉末であることを特徴とする樹脂結合型磁石用組成物が提供される。
【0018】
また、本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、異方性磁性粉末(A)の最大粒径が20μm以下、平均粒径が10μm以下であることを特徴とする樹脂結合型磁石用組成物が提供される。
【0019】
さらに、本発明の第4の発明によれば、第1の発明において、被膜形成用熱硬化性樹脂(B)が、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂の中から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする樹脂結合型磁石用組成物が提供される。
【0020】
一方、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明において、凝集粒子を含む異方性磁性粉末(A)を解粒処理装置に入れ、常温で液状又は半固形状である被膜形成用熱硬化性樹脂(B)を添加し、凝集粒子を解粒しながら粒子表面を被膜形成用熱硬化樹脂(B)で被覆する第一の工程、この被覆された異方性磁性粉末(A)に常温で液状又は半固形状である熱硬化性樹脂バインダー(C)を添加し混合して組成物を得る第二の工程からなることを特徴とする樹脂結合型磁石用組成物の製造方法が提供される。
【0021】
また、本発明の第6の発明によれば、第5の発明において、被膜形成用熱硬化性樹脂(B)が、磁性粉末100重量部に対して0.01〜1重量部添加されることを特徴とする樹脂結合型磁石用組成物の製造方法が提供される。
【0022】
また、本発明の第7の発明によれば、第5の発明において、解粒処理装置が、メカノフュージョンシステムであることを特徴とする樹脂結合型磁石用組成物の製造方法が提供される。
【0023】
また、本発明の第8の発明によれば、第5の発明において、熱硬化性樹脂バインダー(C)が、磁性粉末100重量部に対して1〜50重量部添加されることを特徴とする樹脂結合型磁石用組成物の製造方法が提供される。
【0024】
さらに、本発明の第9の発明によれば、第1〜4のいずれかに記載の樹脂結合型磁石用組成物を、射出成形、押出成形、トランスファー成形、または圧縮成形のいずれかによって成形してなる樹脂結合型磁石が提供される。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の樹脂結合型磁石用組成物、その製造方法及びそれを用いた樹脂結合型磁石について詳細に説明する。
【0026】
1.樹脂結合型磁石用組成物
本発明は、磁性粉末(A)と、それを被覆する特定の熱硬化性樹脂(B)と、樹脂バインダー(C)を含んだ樹脂結合型磁石用組成物に係わるものであり、被覆された磁性粉末(A)の表面が液状又は半固形状にある状態で、樹脂バインダー(C)が配合されていることを特徴とするものである。
【0027】
A 磁性粉末
磁性粉末は、通常、樹脂結合型磁石に用いられている磁性粉末のうち、その構成元素中に希土類および遷移金属元素を含む異方性磁性粉末であれば、特に制限されない。
【0028】
また、磁性粉末には、例えば、異方性磁場(HA)が4000kA/m以上の磁性粉末である希土類コバルト系、希土類−鉄―ホウ素系、希土類−鉄−窒素系の磁性粉の単独もしくは混合粉、またはフェライト系磁性粉との混合系などが挙げられる。すなわち、還元拡散法によって得られるSmFe系合金粗粉を窒化処理後、粉砕して得られるSmFeN系の合金微粉末、同じく還元拡散法によって得られたSmCo5系合金粗粉を粉砕して得られる合金微粉末、水素処理法やダイアップセット法等によって得られた異方性NdFeB系合金粉末が用いられるが、特に、平均粒径を小さくすることによって磁気特性の向上が得られるSmFeN系の磁性粉末において本発明の効果が大きい。
【0029】
水素処理法やダイアップセット法によって得られた異方性NdFeB系の磁性粉など、特異な形状を有した比較的大きな粒子を大量に含んでいる磁性粉末は、あらかじめジェットミル、ボールミル、スタンプミル等で粉砕し用いるのが好ましい。
【0030】
ここで、磁性粉末の粒径は、最大粒径が20μm以下、平均粒径が10μm以下のものが好ましい。最大粒径が20μmを超え、または平均粒径が10μmを超えると被膜の形成が不十分となるので好ましくない。
【0031】
B 被膜形成用熱硬化性樹脂
次に、磁性粉末に熱硬化性樹脂の被膜を形成させる熱硬化性樹脂としては、常温で液状、半固形状のいずれかの状態を示す物が使用され、その中でもエポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂の中から選ばれる少なくとも1種もしくは2種以上を用いることが好ましい。
ここで、半固形状である熱硬化性樹脂とは、液体のような流動性はないが、わずかな外力を加えても容易に変形する程度の柔軟性がある状態の樹脂を表し、液状及び固形状と区別される。
【0032】
これらの熱硬化性樹脂は、常温で液状、半固形状のいずれかの状態を示す物であれば、分子量、性状、分子構造に特に限定されることはなく、市販の物を任意に選択して使用することが出来る。しかしながら、フェノール樹脂、ユリア樹脂やメラミン樹脂等のアミノ樹脂、トリアジン樹脂などの熱硬化性樹脂は常温で固形状を示すので使用することができない。
【0033】
C 熱硬化性樹脂バインダー
本発明において、予め熱硬化性樹脂で被覆された磁性粉末に混合される樹脂バインダーは、磁性粉末の結合剤として働くものである。
【0034】
例えば、フェノール樹脂、ユリア樹脂やメラミン樹脂等のアミノ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド・トリアジン樹脂等が挙げられ、これらの1種もしくは2種以上での使用が可能である。
特にその種類に限定されることはないが、磁性粉末の良好な分散を得るため、常温で液状又は半固形状のものが好ましい。前記のとおり、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂は被膜形成用に好適であるが、これらは樹脂バインダーとしても優れた性能を示す。
【0035】
本発明の効果を得るためには、射出成形法、押出成形法、トランスファー成形法、圧縮成形法のいずれかにおいて樹脂結合磁石を得ることが好ましく、比較的低温で、かつ速やかな硬化反応性を示す不飽和ポリエステル樹脂等のラジカル反応型熱硬化性樹脂の使用が好ましい。
【0036】
この場合の不飽和ポリエステル樹脂は、成形時の金型内で硬化して磁性粉末のバインダーとして働くものであれば、特にその種類に限定されることはなく、一般的に市販されている不飽和ポリエステル樹脂を用いることができる。
この不飽和ポリエステル樹脂としては、例えば、不飽和多塩基酸及び/または飽和多塩基酸とグリコール類を分子量5000程度以下に予備的に重合させてオリゴマーやプレポリマー化させた主剤に、架橋剤をかねるモノマー類、反応を開始させる硬化剤、長期の保存性を確保するための重合防止剤、及びその他の添加剤等から構成される。
【0037】
不飽和多塩基酸としては、例えば無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等を、また、飽和酸としては、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ヘット酸、テトラブロム無水フタル酸等が挙げられる。また、グリコール類としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールAプロピレンオキシド付加物、ジブロムネオペンチルグリコール、ペンタエリスリットジアリルエーテル、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0038】
このような不飽和ポリエステル樹脂バインダーを用いる場合は、これらの各種成分以外にも種々の添加剤を加えることができ、例えば、エポキシ樹脂を原料としたノボラック型やビスフェノール型のビニルエステル樹脂類や、反応性樹脂類、架橋剤を兼ねるモノマー類や硬化剤を加えることもできる。
【0039】
架橋剤を兼ねるモノマー類としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、メタクリル酸メチル、酢酸ビニル等のビニルモノマー類;ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、トリアリルイソフタレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルテトラブロムフタレート、等のアリルモノマー類;フェノキシエチルアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート等のアクリル酸エステル類等が挙げられる。
【0040】
硬化剤としては、一般的に有機過酸化物が用いられ、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド、アセチルセトンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類;3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン等のパーオキシケタール類;t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジ−イソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、メタンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン、2,5−ジハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類;ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−クミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等のジアルキルパーオキサイド類;アセチルパーオキサイド、イソブチルパーオキサイド、オクタノニルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、サクシニック酸パーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、トルオイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルペロキシジカーボネート、ジ−n−プロピルペロキシジカーボネート、ビス−(4−t−ブチルシクロヘキシル)ペロキシジカーボネート、ジ−ミリスチルペロキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルペロキシジカーボネート、ジ−メトキシイソプロピルペロキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)ペロキシジカーボネート、ジアリルペロキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート類;t−ブチルペロキシアセテート、t−ブチルペロキシイソブチレート、t−ブチルペロキシピバレート、t−ブチルペロキシネオデカノエート、クミルペロキシネオデカノエート、t−ブチルペロキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペロキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルペロキシラウレート、t−ブチルペロキシベンゾエート、ジ−t−ブチルペロキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2、5−ジ(ベンゾイルペロキシ)ヘキサン、t−ブチルペロキシマレイックアシッド、t−ブチルペロキシイソプロピルカーボネート、クミルペロキシオクトエート、t−ヘキシルペロキシネオデカノエート、t−ヘキシルペロキシピバレート、t−ブチルペロキシネオヘキサノエート、t−ヘキシルペロキシネオヘキサノエート、クミルペロキシネオヘキサノエート等のパーオキシエステル類やアセチルシクロヘキシルスルフォニルペロキサイド、t−ブチルペロキシアリルカーボネート等が挙げられる。
【0041】
これらの有機過酸化物は、単独で用いるか、種類によっては炭化水素溶液類やフタル酸エステル類に希釈した状態、もしくは固形粉末に吸収させた状態で用いる。半減期10時間を得るための分解温度が150℃以下の性質を有する過酸化物を使用するのが望ましく、更には、同半減期を得るための温度が40℃以上140℃以下の過酸化物がより望ましい。
該半減期が150℃を超える物を選択すると、充分な硬化成形体を得るための硬化温度が高くなり、40℃よりも低くなると過酸化物自体の取り扱い性が困難になるばかりでなく、樹脂結合型磁石用組成物の保管特性が悪くなり生産性に欠ける結果を招く。
【0042】
これら過酸化物の添加量は、希釈率や活性酸素量によっても異なるが、一般的には不飽和ポリエステル樹脂に対して0.01〜5重量%が添加される。
これらの過酸化物は、単独もしくは2種以上の混合系で用いることができるが、例えば、ナフテン酸コバルトやオクチル酸コバルト等のコバルト有機酸塩、アセチルアセトン、アセト酢酸エチル、ジメドン等のβ−ジケトン類、ジメチルアニリン等の芳香族3級アミン類、メルカプタン類、トリフェニルホスフィン、2−エチルヘキシルホスファイト等の燐化合物類、第4級アンモニウム塩類等の促進剤やアゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、芳香族カルボニル化合物、ピナコン誘導体等と併用しても良い。
【0043】
本発明の組成物は、これらの他にも、熱硬化性樹脂に用いられる重合防止剤、反応性希釈剤、未反応性希釈剤、各種変性剤、増粘剤、滑剤、離型剤、紫外線吸収剤、難燃剤や種々の熱安定剤等を添加することができる。
【0044】
重合防止剤は、長期の保存性を確保するための添加剤であり、p−ベンゾキノン、ナフトキノン、フェナンスラキノン、トルキノン、2,5−ジフェニル−p−ベンゾキノン、2,5−ジアセトキシ−p−ベンゾキノン、2,5−ジカプロキシ−p−ベンゾキノン、2,5−ジアシロキシ−p−ベンゾキノン等のキノン類;ハイドロキノン、p−t−ブチルカテコール、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、モノ−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−t−アミルハイドロキノン等のハイドロキノン類;ジ−t−ブチル・パラクレゾールハイドロキノンモノメチルエーテル、α−ナフトール等のフェノール類;ナフテン酸銅等の有機ならびに無機の銅塩類、アセトアミジンアセテート、アセトアミジンサルフェート等のアミジン類、フェニルヒドラジン塩酸塩、ヒドラジン塩酸塩等のヒドラジン類、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、ラウリルピリジニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、フェニルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチルベンジルアンモニウムオキザレート、ジ(トリメチルベンジルアンモニウム)オキザレート、トリメチルベンジルアンモニウムマレエート、トリメチルベンジルアンモニウムタータレート、トリメチルベンジルアンモニウムグリコレート等の第4級アンモニウム塩類、フェニル−β−ナフチルアミン、パラベンジルアミノフェノール、ジ−β−ナフチルパラフェニレンジアミン等のアミン類、ニトロベンゼン、トリニトロトルエン、ピクリン酸等のニトロ化合物、キノンジオキシム、シクロヘキサノンオキシム等のオキシム類、ピロガロール、タンニン酸、レゾルシン等の多価フェノール類、トリエチルアミン塩酸塩、ジメチルアニリン塩酸塩、ジブチルアミン塩酸塩等のアミン塩酸塩類等が挙げられ、これらの1種もしくは2種以上を混合して使用することができる。
【0045】
滑剤としては、例えばパラフィンワックス、流動パラフィン、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、エステルワックス、カルナウバ、マイクロワックス等のワックス類;ステアリン酸、1,2−オキシステアリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、オレイン酸等の脂肪酸類;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ラウリン酸カルシウム、リノール酸亜鉛、リシノール酸カルシウム、2−エチルヘキソイン酸亜鉛等の脂肪酸塩(金属石鹸類);ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘン酸アミド、パルミチン酸アミド、ラウリン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ジステアリルアジピン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、ジオレイルアジピン酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミド等脂肪酸アミド類;ステアリン酸ブチル等の脂肪酸エステル、エチレングリコール、ステアリルアルコール等のアルコール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、及びこれら変性物からなるポリエーテル類、ジメチルポリシロキサン、シリコングリース等のポリシロキサン類、弗素系オイル、弗素系グリース、含弗素樹脂粉末といった弗素化合物、窒化珪素、炭化珪素、酸化マグネシウム、アルミナ、二酸化珪素、二硫化モリブデン等の無機化合物粉体が挙げられる。
【0046】
2.樹脂結合型磁石用組成物の製造方法
本発明の樹脂結合型磁石用組成物は、凝集した磁性粉末の粒子を解粒しながら、その粒子表面を常温で液状又は半固形状である熱硬化性樹脂で被覆する第一の工程、この磁性粉末に樹脂バインダー等を添加し混合する第二の工程を必須の工程として製造される。
【0047】
第一の工程は、事前の製造工程における粉砕処理などに起因する凝集粒子を含む磁性粉末に常温で液状又は半固形状である熱硬化性樹脂を添加し、凝集粒子を解粒しながら粒子表面を熱硬化性樹脂で被覆し、表面が液状又は半固形状である被膜を有する磁性粉末を得る工程である。
【0048】
ここで、磁性粉末は、最大粒径が20μm以下、平均粒径が10μm以下のものになるように、予め粉砕されている。最大粒径が20μmを超え、または平均粒径が10μmを超える粉末が混入していると被膜の形成が不十分となるので好ましくない。
【0049】
また、この熱硬化性樹脂の磁性粉末に対する添加量は、0.01重量部以上1重量部以下でよく、好ましくは0.05重量部以上0.8重量部以下であるが、本発明の効果をより顕著に得るためには、0.1重量部以上0.6重量部以下がより好ましい。
添加量が0.01重量部未満の場合は、凝集粒子の解粒が不十分なため高配向化が十分に達成できず、また1重量部を超えると樹脂による粘り、ベトつきのため被覆された粒子の分散が悪化するため、成形時に高配向が得られず、いずれも本発明の効果が得られない。
【0050】
本発明の製造方法においては、凝集粒子を解粒処理装置に入れ、解粒しながら粒子表面に被覆処理をすることが重要であり、それを可能にする装置システムとして、メカノフュージョンシステム等がある。このようなシステムを搭載した装置を使用するのが好ましい。
【0051】
このメカノフュージョンシステムは、内部の回転ローターが高速回転し、投入された磁性粉末と熱硬化性樹脂等の原料が回転ローター内壁において圧密され、更に、インナーピース先端部と回転ローターとの間隙部近傍において圧縮、剪断等の作用を受ける構造になっている。回転ローターとインナーピースとの間隙や回転数等の条件により、凝集粒子の解粒度合及び磁石粉末への熱硬化性樹脂被膜処理速度を自由に調整することが可能である。
【0052】
ここで、回転数は、装置の機種によるが、500rpm以上、好ましくは900rpm以上、さらに好ましくは2000rpm以上とする。また、運転時間は、5〜90分間、好ましくは10〜60分間とする。500rpm未満かつ5分間未満の運転条件では凝集粒子の解粒が進まない。
【0053】
第二の工程は、こうして熱硬化性樹脂で被覆された磁性粉末に、樹脂バインダー等を添加し混合して磁石用組成物を得る工程である。
【0054】
熱硬化樹脂バインダーは、第一の工程で被覆された磁性粒子を混合操作のみで容易かつ良好に分散させなければならないため、常温で液状又は半固形状の状態であるものが望ましい。
【0055】
樹脂バインダーの添加量は、得られる樹脂結合型磁石用組成物の成形方法にもよるが、磁性粉末100重量部に対して1重量部以上50重量部以下とされる。圧縮成形では、樹脂バインダーの添加量は、磁性粉末100重量部に対して1.0重量部以上2.5重量部以下であり、射出成形させる場合は、樹脂バインダーは、磁性粉末100重量部に対して5重量部以上50重量部未満の割合で添加される。
【0056】
また、本発明における組成物には、前記のとおり、熱硬化性樹脂の他にも熱硬化性樹脂特有に用いられる重合防止剤、反応性希釈剤、未反応性希釈剤、各種変性剤、増粘剤、滑剤、離型剤、紫外線吸収剤、難燃剤や種々の熱安定剤等を添加することができる。
【0057】
第一工程においては、反応促進剤や反応開始剤などの硬化剤(硬化触媒)を添加する必要はないが、第二の工程では、磁性粉末を含んだ組成物を成形する際に硬化させるに十分な量の硬化剤を添加する。第二の工程では、熱硬化性樹脂が硬化してしまわないように冷却して、硬化剤の作用による重合反応を抑制することができる。
【0058】
各成分の混合方法は、特に限定されず、例えばリボンブレンダー、タンブラー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等の混合機あるいは、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール、ニーダールーダー、単軸押出機、二軸押出機等の混練機を使用して実施される。熱硬化性樹脂を用いていることから、混合時の剪断発熱等によって硬化が進まないよう、剪断力が弱く、かつ冷却機能を有する混合機が好ましい。
【0059】
3.樹脂結合型磁石
本発明の樹脂結合型磁石は、上記の方法により得られた組成物を用い、必要により他の成分(添加剤など)を配合し成形して得ることができる。樹脂結合型磁石用組成物は、磁石製品の要求性能に応じて、射出成形、押出成形、トランスファー成形、圧縮成形のいずれかによって成形すればよい。
【0060】
なお、この組成物を射出成形させる場合は、樹脂バインダーが磁性粉末100重量部に対して5重量部以上50重量部未満の割合、好ましくは7以上15重量部以下、さらには、10重量部以上13重量部以下添加されていることがより好ましい。添加量が該磁性粉100重量部に対して5重量部未満の場合は、著しい混練トルクの上昇、流動性の低下を招いて成形困難になるため、本発明の効果を得ることができず、また50重量部を超える場合は所望の磁気特性が得られない。
【0061】
一方、この組成物を圧縮成形させる場合、樹脂バインダーが磁性粉末100重量部に対して1.0重量部以上2.5重量部以下、好ましくは1.5重量部以上2.0重量部以下添加されていれば、流動性の良い顆粒状の組成物が得られる。添加量が1.0重量部未満では磁石の機械強さが不足し、2.5重量部を超えるときは磁石の密度が低く磁気特性も低いので実用的ではない。
【0062】
この組成物を成形する際に、熱硬化性樹脂の種類にもよるが、通常は40〜250℃に加熱すれば、熱硬化性樹脂が金型内部で硬化して、所望の形状の樹脂結合型磁石ができあがる。
【0063】
本発明は、異方性磁性粉末を用いる場合に幅広く適用できるが、従来、熱硬化性樹脂バインダーを用いた圧縮成形では配向が悪いとされていた、平均粒径が小さいSmFeN系の磁性粉末を用いた樹脂結合型磁石用組成物を用いる場合でも容易に圧縮成形でき、その効果が大きい。
【0064】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明し、各成分の詳細及び試験方法、評価方法を例示するが、本発明の趣旨を逸脱しない限り、これらに限定されるものでは無い。
【0065】
樹脂結合型磁石試料の磁気特性は、チオフィー型磁束計にて測定し、磁性粉末の磁気特性は、試料振動型磁力計にて常温で測定した。また、樹脂結合型磁石試料の配向度は、SMM法、即ち{(成形後の樹脂結合型磁石の磁化)/(磁性粉100%での磁化×成形後の樹脂結合型磁石の磁性粉体積率)×100}で表した。
【0066】
A 磁性粉末
・磁粉1:SmFeN系磁性粉末
(商品名:SmFeN合金粉末、住友金属鉱山(株)製)
異方性磁場:16,700kA/m、粒径100μm以下の微粉含有率99%、最大粒径6μm、平均粒径3μm)
・磁粉2:ストロンチウムフェライト系磁性粉末
(商品名:MA−951、戸田工業(株)製)
異方性磁場:5,600kA/m、粒径100μm以下の微粉含有率99%、最大粒径5μm、平均粒径1μm)
【0067】
B 被膜形成用熱硬化性樹脂(熱硬化性樹脂と略す)
・熱硬化性樹脂1(ビスフェノール型エポキシ樹脂):(商品名:エピコート828、ジャパンエポキシレジン(株)製、25℃で液状)
・熱硬化性樹脂2(ノボラック型エポキシ樹脂):(商品名:アラルダイトEPN1138、旭チバ(株)製、25℃で半固形状)
・熱硬化性樹脂3(不飽和ポリエステル樹脂):(商品名:ポリセット9164、日立化成工業(株)製、25℃で液状)
・熱硬化性樹脂4(ビニルエステル樹脂):(商品名:ポリセット6120S、日立化成工業(株)製、25℃で液状)
・熱硬化性樹脂5(ビスフェノール型エポキシ樹脂):(商品名:エピコート1001B80、ジャパンエポキシレジン(株)製、25℃で固形状)
【0068】
C 樹脂バインダー
・不飽和ポリエステル樹脂(熱硬化性樹脂、UP樹脂と略す)
(商品名:エポラックN−14B、(株)日本触媒製、25℃で液状)
・ナイロン12(熱可塑性樹脂、PA12と略す)
(商品名:ダイアミドA−1709P、ダイセル・ヒュルス(株)製)
【0069】
(実施例1〜25)
次に示す要領で本発明の樹脂結合型磁石を製造し、密度、配向度、磁気特性及び機械強度を評価した。
▲1▼凝集粒子を解粒しながら表面に熱硬化性樹脂被膜を形成する処理
磁性粉100重量部に対して、所定の量の各種被膜形成用熱硬化性樹脂を用意し、磁性粉末と該熱硬化性樹脂を同時にメカノフュージョンシステム中に投入、窒素流入雰囲気にてジャケットを水冷しながら所定の回転数にて所定の時間回転させ、表面処理済磁性粉末を得た。
なお、実施例1〜15及び21〜25は、表面処理装置メカノフュージョンAMS−LABを使用し、実施例16〜20は、表面処理装置メカノフュージョンAMS−100Fを使用した。
▲2▼組成物の混合
上記の表面処理を施したそれぞれの磁性粉末の全量に、熱硬化性樹脂(UP樹脂)とパーオキシケタール系過酸化物(硬化剤、樹脂に対して1重量%)を所定の比率になるよう添加し(各重量部)、プラネタリーミキサー中で十分混合撹拌し組成物を得た。
▲3▼射出成形方法
これらの組成物を射出成形機にて、シリンダー温度30℃、ノズル温度30℃、金型温度150℃の条件にて成形し、横φ10mm×15mmの円柱試験用樹脂結合型磁石を得た。
▲4▼圧縮成形方法
これらの組成物を横磁場プレス成形機にて、4t/cm2の圧力で成形し、窒素置換中150℃で30分硬化せしめて、横φ10mm×7mmの円柱試験用樹脂結合型磁石を得た。
得られた磁石成形品の密度、配向度、磁気特性及び機械強度を評価した。その結果を表1〜5に示す。
【0070】
【表1】
【0071】
【表2】
【0072】
【表3】
【0073】
【表4】
【0074】
【表5】
【0075】
(比較例1)
表面処理方法として、被膜形成用熱硬化性樹脂を、メチルエチルケトンに溶解して手混ぜ混合し、減圧乾燥器中で溶媒を揮散させて処理粉末を得た。すなわち、本発明の凝集粒子の解粒操作(例えば、メカノフュージョンシステム)を実施していない場合である。
この処理粉末に、熱硬化性樹脂(UP樹脂)とパーオキシケタール系過酸化物(樹脂に対して1重量%)を、所定の比率になるよう添加し(各重量部)、プラネタリーミキサー中で混合し組成物を得た。圧縮成形は、これらの組成物を横磁場プレス成形機にて、4t/cm2の圧力で成形し、窒素置換中150℃30分硬化せしめて、横φ10mm×7mmの円柱試験用樹脂結合型磁石を得た。
得られた樹脂結合型磁石の密度、配向度、磁気特性及び機械強度を評価し、結果を表6に示した。
【0076】
【表6】
【0077】
(比較例2)
本発明の表面処理を実施せずに、従来の方法によってUP樹脂を使用して射出成形した。磁性粉末に、熱硬化性樹脂(UP樹脂)とパーオキシケタール系過酸化物(樹脂に対して1重量%)を、所定の比率になるよう添加し(各重量部)、プラネタリーミキサー中で十分混合撹拌し混合物を得た。
これの混合物(組成物)を射出成形機にて、シリンダー温度230℃、ノズル温度230℃、金型温度100℃の条件にて成形し、横φ10mm×15mmの円柱試験用樹脂結合型磁石を得た。
得られた樹脂結合型磁石の密度、配向度、磁気特性及び機械強度を評価し、結果を表6に示した。
【0078】
(比較例3)
本発明の表面処理を実施せずに、従来の方法によって圧縮成形した。組成物の調整、圧縮成形の方法は、(比較例1)と同様である。得られた樹脂結合型磁石の密度、配向度、磁気特性及び機械強度を評価し、結果を表6に示した。
【0079】
(比較例4)
本発明の表面処理を実施せずに、従来の方法によってPA12を使用して射出成形した。磁性粉末に、熱可塑性樹脂(PA12)を、所定の比率になるよう添加し(各重量部)、プラネタリーミキサー中で十分混合撹拌し混合物を得た。
この混合物を20mmφシングル押出機(L/D=25、CR=2.0、回転数=20rpm、5mmφストランドダイ、シリンダー温度200〜320℃、ダイス温度190℃〜300℃)にて押し出し、ホットカットペレタイザーにてφ5mm×5mmの樹脂結合型磁石成形用ペレットコンパウンドを作製した。
得られた樹脂結合型磁石の密度、配向度、磁気特性及び機械強度を評価し、結果を表6に示した。
【0080】
(比較例5)
表面処理方法として、常温で固形状の熱硬化性樹脂を用いて磁性粉末とメカノフュージョンシステムで処理した(処理要領は実施例の説明で記載)。組成物の調整、圧縮成形の方法は、(比較例1)と同様である。
得られた磁石成形品の密度、配向度、磁気特性及び機械強度を評価した。この結果を表6に示す。
【0081】
表1〜表6の結果を要約すると、
(1)本発明の方法による磁粉1を使用した圧縮成形体(実施例6を除く実施例1〜20)は、密度5.28〜5.34、配向度93.8〜98.8、機械強度63.0〜67.2MPaを示し、従来法(比較例1、3、5)に比べて何れも極めて高い数値であつた。比較例1との対比からメカノフュージョンシステムの効果が、比較例5との対比から被膜形成用熱硬化性樹脂が常温で液状又は半固形状である効果が示された。
【0082】
(2)本発明の方法による磁粉1を使用した射出成形体(実施例21〜25)は、密度4.82〜4.85、配向度85.0〜90.0、機械強度76.5〜80.8MPaと、熱硬化性樹脂を用いたにもかかわらず熱可塑性樹脂と同等以上の特性を示した。すなわち、UP樹脂を用いた従来法(比較例2)より、凝集粒子の解粒と分散の向上を表す配向度並びに磁化が向上した。
また、熱可塑性樹脂(PA12)を用いた従来法(比較例4)と比べて、樹脂バインダーとの混練度合に大きな制約があるにもかかわらず、配向度並びに磁化が同等で、処理温度が低いため熱減磁が少なくなり、保磁力、(BH)maxが向上し、さらに密度、機械強度に優れていた。
【0083】
(3)本発明の磁粉1と磁粉2の混合物を使用した圧縮成形体(実施例6)では、磁粉1の混合によって従来のフェライト系ボンド磁石とくらべて高磁気特性が得られた。
【0084】
以上の結果から明らかなように、本発明の樹脂結合型磁石用組成物を用いて製造した樹脂結合型磁石は、従来の方法によるものと比べて、高密度、高配向で磁気特性、機械強さにも優れていることが分かる。
【0085】
【発明の効果】
以上のごとく、本発明によれば、凝集粒子を解粒しながらその表面に熱硬化性樹脂被膜を形成した磁性粉末と、これに熱硬化性樹脂バインダーを混合して、組成物を作製し成形することで、従来得られなかった磁気特性、密度等に優れた樹脂結合型磁石を提供することができ、例えば、一般家電製品、通信・音響機器、医療機器、一般産業機器にいたる幅広い分野で特に有用である。
Claims (9)
- 異方性磁性粉末(A)と、熱硬化性樹脂バインダー(C)を含む樹脂結合型磁石用組成物において、異方性磁性粉末(A)は、予め液状又は半固形状の被膜形成用熱硬化性樹脂(B)によって被覆され、表面が液状又は半固形状になった異方性磁性粉末(A)に熱硬化性樹脂バインダー(C)が配合されていることを特徴とする樹脂結合型磁石用組成物。
- 異方性磁性粉末(A)がSmFeN系の磁性粉末であることを特徴とする請求項1記載の樹脂結合型磁石用組成物。
- 異方性磁性粉末(A)の最大粒径が20μm以下、平均粒径が10μm以下であることを特徴とする請求項1記載の樹脂結合型磁石用組成物。
- 被膜形成用熱硬化性樹脂(B)が、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、又はビニルエステル樹脂の中から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の樹脂結合型磁石用組成物。
- 凝集粒子を含む異方性磁性粉末(A)を解粒処理装置に入れ、常温で液状又は半固形状である被膜形成用熱硬化性樹脂(B)を添加し、凝集粒子を解粒しながら粒子表面を被膜形成用熱硬化性樹脂(B)で被覆する第一の工程、この被覆された異方性磁性粉末(A)に常温で液状又は半固形状である熱硬化性樹脂バインダー(C)を添加し混合して樹脂結合型磁石用組成物とする第二の工程からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂結合型磁石用組成物の製造方法。
- 被膜形成用熱硬化性樹脂(B)が、異方性磁性粉末100重量部に対して0.01〜1重量部添加されることを特徴とする請求項5記載の樹脂結合型磁石用組成物の製造方法。
- 解粒処理装置が、メカノフュージョンシステムであることを特徴とする請求項5記載の樹脂結合型磁石用組成物の製造方法。
- 熱硬化性樹脂バインダー(C)が、異方性磁性粉末100重量部に対して1〜50重量部添加されることを特徴とする請求項5記載の樹脂結合型磁石用組成物の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂結合型磁石用組成物を、射出成形、押出成形、トランスファー成形、または圧縮成形のいずれかによって成形してなる樹脂結合型磁石。
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