JP2004063517A - 樹脂結合型磁石用組成物及びそれを用いた樹脂結合型磁石 - Google Patents

樹脂結合型磁石用組成物及びそれを用いた樹脂結合型磁石 Download PDF

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Abstract

【課題】構成元素中に遷移金属元素を含む磁性磁石粉末と、熱硬化性樹脂を主成分とする樹脂バインダーを含有し、工業的に優れた可使時間を有し、磁気特性や機械強さなどにも優れた樹脂結合型磁石用組成物及びそれを用いた樹脂結合型磁石の提供。
【解決手段】構成元素中に遷移金属元素を含む磁性粉末(A)と、樹脂バインダー(B)とを主成分とした樹脂結合型磁石用組成物において、樹脂バインダー(B)がラジカル重合反応性の熱硬化性樹脂(B−1)であり、これにラジカル硬化剤(B−2)及びN−オキシル類化合物(C)が配合され、かつラジカル硬化剤(B−2)が、有機過酸化物及びアゾビス系重合開始剤からなることを特徴とする樹脂結合型磁石用組成物によって提供。
【選択図】   なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂結合型磁石用組成物及びそれを用いた樹脂結合型磁石に関し、更に詳しくは、構成元素中に遷移金属元素を含む磁性磁石粉末と、ラジカル重合性を有する熱硬化性樹脂を主成分とする樹脂バインダーを含有し、工業的に優れた可使時間を有し、磁気特性や機械強さなどにも優れた樹脂結合型磁石用組成物及びそれを用いた樹脂結合型磁石に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、フェライト磁石、アルニコ磁石、希土類磁石などが一般家電製品、通信・音響機器、医療機器、一般産業機器をはじめとする種々の製品にモーターなどとして組込まれている。これら磁石は、主に焼結法で製造されるが、脆く、薄肉化しにくいため複雑形状への成形は困難であり、また焼結時に15〜20%も収縮するため寸法精度を高められず、研磨などの後加工が必要で、用途面において大きな制約を受けている。
【0003】
これに対し、樹脂結合型磁石(ボンド磁石ともいう)は、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂などの熱可塑性樹脂のバインダーに磁性粉末を充填すれば容易に製造できるため、新しい用途開拓が繰り広げられている。しかし、こうした熱可塑性樹脂をバインダーとして用いる樹脂結合型磁石は、成形時に200℃以上の高温下に晒されるため、磁気特性、特に保磁力や角型性の低下が免れない特徴があり、成形後の保磁力などの低下を低く抑えた樹脂結合型磁石成形品を得るのが難しかった。
【0004】
また、エポキシ樹脂、ビス・マレイミドトリアジン樹脂などの熱硬化性樹脂をバインダーとして用いた樹脂結合型磁石も提案されているが、バインダー量が希少であるだけでなく、耐熱性が低く成形時に硬化時間が長くかかるために圧縮成形法による単純成形品しか得られていない。
【0005】
こうした状況から、ラジカル重合性を有する熱硬化性樹脂を樹脂バインダーとした樹脂結合型磁石用組成物の製造が検討されるようになった。
不飽和ポリエステル樹脂のようなラジカル重合性を有する熱硬化性樹脂では、有機過酸化物を始めとする硬化剤を選定すれば、所望の成形温度条件において短時間で硬化が可能なため、成形サイクル性に優れ、硬化後の三次元架橋の取り方を制御することで高温特性に優れた成形物を得ることができる。また、添加する低収縮化剤を適宜選定すれば、成形収縮率をほぼゼロにすることができ、他の部材との一体成形や大型成形品へ適用した場合に、成形収縮による剥離やクラックの発生を防ぐことが可能となる。
【0006】
しかし、構成元素中に遷移金属元素を含む磁性粉末では、ラジカル重合性を有する熱硬化性樹脂を樹脂バインダーとし、硬化剤として有機過酸化物を用いて樹脂結合型磁石用組成物を製造する場合、一般的に、遷移金属と有機過酸化物との間に、レドックス反応と称される有機過酸化物の分解反応が低温度で促進され、可使時間の著しい低下を招くことが知られている。
【0007】
本発明者らは、これらの反応機構を中心に、さらに詳しい実験や試験を進めた結果、当該磁性粉末を含む系においては、レドックス反応のみならず、これに相まってラジカル重合反応性を有する熱硬化性樹脂やスチレン(一般的に、架橋剤として用いられている)等に対し、遷移金属元素が触媒となって複雑な反応を促進する効果が極めて高いので、通常の遷移金属単体系の組成物よりも可使時間が極めて短くなる問題があることを究明した。
【0008】
その後、さらに検討を重ねた結果、このような樹脂結合型磁石組成物にN−オキシル類化合物を添加すれば、問題となる特殊な反応を極めて有効に抑制しうることを突きとめるに至った(特願2001−211603号)。
【0009】
しかしながら、このN−オキシル類化合物の添加によって、樹脂結合型磁石組成物の可使時間は改善しうるものの、加熱硬化させたときに所望の機械強さが得られないことがあり、実用的に充分な機械強さを維持しつつ可使時間を長時間に亘って維持するにはまだ不十分であった。
【0010】
特開平10−7918号公報には、合成樹脂にN−オキシル類を配合することで、樹脂の保存安定性や硬化性に優れ、経時劣化に伴う着色を抑えるようにした樹脂組成物が記載されている。また、特開2001−11328号公報には、ラジカル硬化性樹脂とレドックス作用を有する金属化合物とを含んだ硬化性樹脂組成物に、フェニルスルフォン酸類とN−オキシル類化合物を必須成分として含有させた硬化性樹脂組成物が開示され、優れた貯蔵安定性を有し、かつ硬化特性を損なわず常温で硬化しうる樹脂組成物が提案されている。
【0011】
しかし、これら公開特許において、N−オキシル類化合物は、ゲル化防止剤あるいは重合防止剤として極めて少量添加されており、遷移金属を多量に含有する樹脂結合型磁石の製造に適した樹脂組成物への応用可能性に関する記載は見当たらない。
【0012】
近年、小型モーター、音響機器、OA機器の小型化に伴なって、樹脂結合型磁石用組成物には、磁気特性に優れ、かつ可使時間が充分に長いことが強く要請されているが、従来の樹脂結合型磁石用組成物には、これら条件を共に満たすものはなく、これらの特性に優れた樹脂結合型磁石用組成物の出現が切望されていた。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、前述した従来技術の問題点に鑑み、構成元素中に遷移金属元素を含む磁性粉末と、熱硬化性樹脂を主成分とする樹脂バインダーを含有し、工業的に優れた可使時間を有し、磁気特性や機械強さなどにも優れた樹脂結合型磁石用組成物及びそれを用いた樹脂結合型磁石を提供することにある。
【0014】
【問題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、磁性粉末と樹脂バインダーを主成分とする樹脂結合型磁石用組成物において、ラジカル重合反応性の熱硬化性樹脂、N−オキシル類化合物、及び有機過酸化物を含有する樹脂バインダーに、さらにアゾビス系重合開始剤を配合すると、アゾビス系重合開始剤がN−オキシル類化合物の作用で一部損なわれたラジカル硬化剤の機能を適度に回復することにより、樹脂結合型磁石用組成物の可使時間を充分に大きく維持しながら、射出成形法やトランスファー成形法などによる成形性が改善できるだけでなく、特に保磁力や配向度などの磁気特性、機械強さにも優れた樹脂結合型磁石が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0015】
即ち、本発明の第1の発明によれば、構成元素中に遷移金属元素を含む磁性粉末(A)と、樹脂バインダー(B)とを主成分とした樹脂結合型磁石用組成物において、樹脂バインダー(B)がラジカル重合反応性の熱硬化性樹脂(B−1)であり、これにラジカル硬化剤(B−2)及びN−オキシル類化合物(C)が配合され、かつラジカル硬化剤(B−2)が、有機過酸化物及びアゾビス系重合開始剤からなることを特徴とする樹脂結合型磁石用組成物が提供される。
【0016】
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、磁性粉末(A)は、その異方性磁場が4000kA/m(50kOe)以上であることを特徴とする樹脂結合型磁石用組成物が提供される。
【0017】
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、磁性粉末(A)は、全磁性粉末中に粒径が100μm以下のものを50重量%以上含有することを特徴とする樹脂結合型磁石用組成物が提供される。
【0018】
また、本発明の第4の発明によれば、第1の発明において、熱硬化性樹脂(B−1)は、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、及びポリエステル(メタ)アクリレート樹脂からなる群より選ばれた少なくとも一種の樹脂であることを特徴とする樹脂結合型磁石用組成物が提供される。
【0019】
また、本発明の第5の発明によれば、第1又は4の発明において、熱硬化性樹脂(B−1)は、分子構造中の少なくとも一部にビスフェノール型骨格を有する熱硬化性樹脂であることを特徴とする樹脂結合型磁石用組成物が提供される。
【0020】
また、本発明の第6の発明によれば、第1の発明において、有機過酸化物及びアゾビス系重合開始剤は、その10時間半減期温度がいずれも150℃以下であることを特徴とする樹脂結合型磁石用組成物が提供される。
【0021】
また、本発明の第7の発明によれば、第1又は6の発明において、有機過酸化物及びアゾビス系重合開始剤は、熱硬化性樹脂(B−1)100重量部に対して、それぞれ0.1〜10重量部配合することを特徴とする樹脂結合型磁石用組成物が提供される。
【0022】
また、本発明の第8の発明によれば、第1、6又は7のいずれかの発明において、有機過酸化物は、ジアルキルパーオキサイド類又はパーオキシケタール類化合物であることを特徴とする樹脂結合型磁石用組成物が提供される。
【0023】
また、本発明の第9の発明によれば、第1の発明において、N−オキシル類化合物(C)は、分子鎖末端に、次の一般式(1)
【0024】
【化3】
Figure 2004063517
【0025】
式(1)中、X、およびXは、それぞれ独立して水素原子、−OR基、−OCOR基または−NR基を表し、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して炭素数1以上のアルキル基を表し、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して水素原子または炭素数1〜16のアルキル基で表される構造、または一般式(2)
【0026】
【化4】
Figure 2004063517
【0027】
式(2)中、式中、X、X、およびXは、それぞれ独立して水素原子、−OR13基、−OCOR14基または−NR1516基を表し、R、R10、R11、およびR12は、それぞれ独立して炭素数1以上のアルキル基を表し、R13、R14、R15、およびR16は、それぞれ独立して水素原子または炭素数1〜16のアルキル基であるで表される構造のうち少なくとも一種の構造を有する樹脂結合型磁石用組成物が提供される。
【0028】
また、本発明の第10の発明によれば、第1又は9の発明において、N−オキシル類化合物(C)は、熱硬化性樹脂(B−1)100重量部に対して、0.1〜10重量部配合されることを特徴とする樹脂結合型磁石用組成物が提供される。
【0029】
また、本発明の第11の発明によれば、第1の発明において、さらに、フェノール類が、樹脂バインダー(B)100重量部に対して、0.01〜5重量部配合されることを特徴とする樹脂結合型磁石用組成物が提供される。
【0030】
さらに、本発明の第12の発明によれば、第1〜11のいずれかの発明において、樹脂結合型磁石用組成物の可使時間が、30℃の密閉静置状態において600時間以上であることを特徴とする樹脂結合型磁石用組成物が提供される。
【0031】
一方、本発明の第13の発明によれば、第1〜12の発明のいずれかに記載の樹脂結合型磁石用組成物を、射出成形法、押出成形法、トランスファー成形法、または圧縮成形法から選ばれるいずれかの成形法により成形してなる樹脂結合型磁石が提供される。
【0032】
また、本発明の第14の発明によれば、第13の発明において、樹脂結合型磁石の機械強さが、100MPa以上であることを特徴とする樹脂結合型磁石が提供される。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の樹脂結合型磁石用組成物及びそれを用いてなる樹脂結合型磁石について詳細に説明する。
【0034】
本発明は、磁性粉末とラジカル重合反応性の熱硬化性樹脂の樹脂バインダーを主成分とし、ラジカル硬化剤、N−オキシル類化合物を配合した樹脂結合型磁石用組成物であって、このラジカル硬化剤として、有機過酸化物及びアゾビス系重合開始剤を併用することで、可使時間、機械強さ及び磁気的特性を改善したことを最大の特徴とする樹脂結合型磁石用組成物である。
【0035】
なお、樹脂結合型磁石用組成物の可使時間は、ポットライフともいわれ、液状樹脂に硬化剤などを加えた時点から粘度が上昇し、成形不可能となるまでの時間、すなわちゲル化・硬化などが起こらず、成形可能な流動性を保っている時間、或いは成形後の機械強さが、組成物の調製直後に成形した成形組成物の機械強さ(初期値)が80%まで低下する時間のいずれか早い方の時間を意味する。本発明のような樹脂結合型磁石用組成物の系では、一般的に機械強さが低下する時間の方が早いとされている。
【0036】
1.樹脂結合型磁石用組成物
A 磁性粉末
本発明の樹脂結合型磁石用組成物に用いられる磁性粉末は、通常樹脂結合型磁石に用いられている磁性粉末のうち、その構成元素中に遷移金属元素を含む磁性粉末であれば、特に制限はない。
【0037】
その遷移金属元素は、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)及びマンガン(Mn)からなる群から選択される1種または2種以上であって、これ以外にクロム(Cr)、バナジウム(V)または銅(Cu)のいずれかを含有していてもよい。特に好ましい遷移金属元素は、FeまたはCoのいずれかである。
【0038】
希土類元素としては、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)又はルテチウム(Lu)が挙げられる。特に好ましい希土類元素は、NdまたはSmのいずれかである。
【0039】
具体的な磁性粉末としては、例えば、異方性磁場(HA)が4000kA/m以上の希土類コバルト系、希土類−鉄−ホウ素系、希土類−鉄−窒素系の磁性粉末の単独もしくは混合系磁性粉末、またはフェライト系磁性粉末との混合系磁性粉末などが挙げられる。
【0040】
Sm−Fe−N系の磁性粉末は、磁性粉として還元拡散法によって得られるSmFe系合金粗粉を窒化処理、微粉砕して製造でき、SmCo系の磁性粉末は、同じく還元拡散法によって得られた粗粉を微粉砕して得られる合金微粉末から製造できる。また、Nd−Fe−B系の磁性粉末は、液体急冷法によって得られた合金粉末、又はHDDR(Hydrogenation−Disproportionation−Desorption−Recombination)法によって得られた異方性Nd−Fe−B系合金粉末を用いて製造できる。
【0041】
液体急冷法によって得られたNd−Fe−B系や、HDDR法によって得られた異方性Nd−Fe−B系の磁性粉末は、特異な形状を有した比較的大きな粒子を大量に含んでいるため、ジェットミルやボールミル等で粉砕して用いることが望ましい。
【0042】
フェライト系磁性粉末は、ストロンチウム、バリウムなどのアルカリ土類金属と酸化鉄を含有するもので、六方晶フェリ強磁性結晶を主相とするM型のフェライト磁石である。具体的には、バリウムフェライト系(BaO・6Fe)、ストロンチウムフェライト系(SrO・6Fe)などが挙げられ、この他に、SrZn2+ Fe1627などで示されるW型の六方晶フェライトも使用できる。これらの中で、特に好ましいのはストロンチウムフェライト系磁性粉末である。
【0043】
希土類−遷移金属系磁性粉末は、異方性磁場が高く、優れた磁気性能を有するが高価である。これに対して、フェライト系磁性粉末は、磁気性能では希土類−遷移金属系磁性粉末に及ばないが、安価で入手しやすい利点がある。このため、希土類−遷移金属系磁性粉末にフェライト系磁性粉末を混合したハイブリッド系磁性粉末として用いることができる。希土類−遷移金属系磁性粉末100重量部に対して、フェライト系磁性粉末10〜70重量部、好ましくは30〜60重量部混合したハイブリッド系磁性粉末が有効である。
【0044】
磁性粉末は、粒径が100μm以下のものを50重量%以上含むと、著しい磁気特性を発揮する。また、等方性よりも磁場中での成形が必至となる異方性の磁性粉末の方が、配向特性の面で効果が著しい。
【0045】
磁性粉末は、無機燐酸系化合物などで表面処理し、必要により、アビエチン酸系化合物、チタネート系、シラン系或いはアルミニウム系などのカップリング剤の1種以上によって被覆してもよい。これら被覆剤は、磁性粉末100重量部に対して0.01〜10重量部の割合で添加される。
【0046】
B−1 樹脂バインダー
本発明の樹脂バインダーは、磁性粉末の結合材として働く成分であり、ラジカル重合反応性を有する熱硬化性樹脂を主成分とするものであれば、その種類に限定されることはない。
【0047】
ラジカル重合反応性を有する熱硬化性樹脂は、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂などから選ばれる。
【0048】
不飽和ポリエステル樹脂は、多価アルコールと飽和多塩基酸及び/又は不飽和多塩基酸との重縮合反応により得られる不飽和ポリエステルと、当該エステルと共重合可能なモノマーよりなるラジカル重合性の熱硬化性樹脂の総称であり、市販品としては、リゴラックシリーズ(商品名、昭和高分子株式会社製)等がある。
【0049】
ここで、多価アルコールとしては、特に限定されるものではないが、例えば、水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノールF、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物、ビスフェノールFプロピレンオキサイド付加物、水素化ビスフェノールSなどが挙げられ、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジブロムネオペンチルグリコール、ペンタエリスリットジアリルエーテル、アリルグリシジルエーテルなどが挙げられる。
これら多価アルコール類は、一種類のみを用いても構わないし、二種類以上を混合して用いてもよい。本発明においては、分子構造の少なくとも一部にビスフェノール骨格を有する多価アルコール、水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノールFなどを含有するものがより好ましい。
【0050】
飽和多塩基酸としては、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ヘット酸、テトラブロム無水フタル酸などが挙げられる。
【0051】
不飽和多塩基酸としては、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などが挙げられるが、特に限定されるものではない。これら二塩基酸類は一種類のみを用いても構わないし、二種類以上を混合して用いてもよい。
【0052】
また、ビニルエステル樹脂は、別名エポキシ(メタ)アクリレート樹脂ともいわれるが、例えば、エポキシ樹脂と不飽和一塩基酸とを付加反応させて得ることができる。
このエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、水素化ビフェノールで代表されるビスフェノール類とエピクロルヒドリンとの縮合によって得られるジグリシジール化合物、フェノールまたはクレゾールとホルマリンで代表されるアルデヒドとの縮合物であるフェノールノボラック類とエピクロルヒドリンとの縮合によって得られる多価グリシジルエーテル、例えば大日本インキ(株)EXA7200やナフタレン変性したエポキシを挙げることができる。
【0053】
本発明においては、この中でもビスフェノール骨格を有する多価アルコール、水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノールFなどを少なくとも含有するものがより好ましい。
【0054】
不飽和一塩基酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、桂皮酸、クロトン酸など、また無水マレイン酸、無水フタル酸とヒドロキンアルキル(メタ)クリレートとの付加物も不飽和一塩基酸相当として利用できる。市販品としてはリポキシシリーズ(商品名、昭和高分子株式会社製)等がある。これら不飽和一塩基酸は、一種類のみでも、二種類以上を混合して用いてもよい。
【0055】
さらに、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂は、特に制限されるものではないが、例えば、不飽和あるいは飽和ポリエステルの末端に(メタ)アクリル化合物を反応させることによって得ることができる。ポリエステルの原料としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂の原料として例示した化合物と同様の化合物を用いることができる。ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂の原料として用いられる(メタ)アクリル化合物も、上記ビニルエステル樹脂の原料と同様の化合物を用いることができる。
【0056】
また、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂は、多官能のアクリル酸エステル、メタクリル酸エステルをベースとしたオリゴマー類も特に限定されることなく使用できる。
【0057】
具体的な例として、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどが使用され、使用される多官能のアクリル酸エステル、メタクリル酸エステルをベースとしたオリゴマー類については、高分子刊行会発行「UV・EB硬化ハンドブック−原料編−」(第11〜66頁)に詳しい記述がある。
【0058】
これらの不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂には、共重合可能なモノマーを配合することができる。
共重合可能なモノマーとしては、例えば、(I)スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、メタクリル酸メチル、酢酸ビニル等のビニルモノマー類、(II)ジアリルフタレート、ジアリルマレエート、ジアリルイソフタレート、ジアリルテレフタレート、トリアリルイソフタレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルテトラブロムフタレート等のアリルモノマー類、(III)フェノキシエチルアクリレート、1,6ヘキサンジオールアクリレート、トリメチルプロパントリアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート等のアクリル酸エステル類等が挙げられる。また、これらの共重合可能なモノマーは1種類でもよく、2種類以上を適宜混合して使用しても構わず、当該モノマーの添加量は、特に制限はない。
なお、樹脂の形状は、パウダー、ビーズ、ペレット等、特に限定されないが、磁性粉末と均一に混合できるパウダー状が望ましい。
【0059】
B−2 ラジカル硬化剤
ラジカル硬化剤は、ラジカル重合反応性を有する熱硬化性樹脂に配合され前記の熱硬化性樹脂原料の反応を開始させる硬化剤であり、本発明では有機過酸化物とアゾビス系重合開始剤が用いられる。
【0060】
(1)有機過酸化物
本発明において、有機過酸化物は、例えば、(I)メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド、アセチルケトンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類;(II)1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン等のパーオキシケタール類;(III)t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジ−イソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、メンタンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン2,5−ジハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類;(IV)ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−クミルパーオキサイド、α、α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等のジアルキルパーオキサイド類;(V)アセチルパーオキサイド、イソブチルパーオキサイド、オクタノニルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、サクシニック酸パーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、トルオイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;(VI)ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ビス−(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−ミリスチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ−メトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、ジアリルパーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート類;(VII)t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、クミルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2、5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシマレイックアシッド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、クミルパーオキシオクトエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシネオヘキサノエート、クミルパーオキシネオヘキサノエート等のパーオキシエステル類;アセチルシクロヘキシルスルフォニルパーオキサイドや、(VIII)t−ブチルパーオキシアリルカーボネート、t−ブチルペロキシアリルカーボネート等が挙げられる。
【0061】
有機過酸化物は、単独で使用できるものもあるが、炭化水素溶液類、フタル酸エステル類に希釈し、もしくは固形粉末に吸収させて用いてもよい。
このうち有機過酸化物としては、それが分解して半減するまでの時間が10時間となる温度(以下、これを10時間半減期温度という)が150℃以下の過酸化物を使用することが望ましく、さらには10時間半減期温度が40〜135℃である過酸化物がより望ましい。
【0062】
有機過酸化物の添加量は、希釈率や活性酸素量によって異なるため、厳密には規定できないが、ラジカル重合反応性を有する熱硬化性樹脂100重量部に対して、0.05〜10重量部が添加される。不飽和ポリエステル樹脂やビニルエステル樹脂であれば、0.01〜5重量%添加すればよい。
【0063】
これらの有機過酸化物は、単独又は2種以上の混合系で用いるが、最終的に得られる樹脂結合型磁石用組成物の可使時間をより長く確保するためには、パーオキシケタール系、又はジアルキルパーオキサイド系過酸化物のいずれかを単独で用いることが極めて好ましい。
【0064】
(2)アゾビス系重合開始剤
本発明において、アゾビス系重合開始剤は、ラジカル重合反応を開始させる硬化剤として、上記の有機過酸化物と共に熱硬化性樹脂に配合される。
【0065】
アゾビス系重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]−プロピオンアミド、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシメチル)−プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジサルフェートジハイドレート、2,2’−アゾビス[2−(3,4,5、6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス [N−(2−カルボキシエチル)−2−メチル−プロピオンアミジン]、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミドキシム)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピネート)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリックアシッド)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)等が挙げられる。
【0066】
これらのアゾビス系重合開始剤は、それ自体単独で用いられるが、炭化水素溶液類やフタル酸エステル類に希釈した状態、もしくは固形粉末に吸収させた状態でも用いられる。
10時間半減期温度が150℃以下の性質を有するアゾビス系重合開始剤を使用することが望ましく、さらには10時間半減期温度が40〜135℃であるアゾビス系重合開始剤がより望ましい。当該10時間半減期温度が150℃を超えるものでは、充分な硬化成形体を得るのに硬化温度が高くなり、一方、40℃より低いとアゾビス系重合開始剤の取り扱い性が困難になるばかりでなく、樹脂結合型磁石用組成物の保管特性が悪くなり、生産性に欠ける結果を招く。
【0067】
アゾビス系重合開始剤の添加量は、希釈率や活性酸素量によって異なるため厳密に規定することは出来ないが、一般的にはラジカル重合反応性を有する熱硬化性樹脂100重量部に対して、0.05〜10重量部が添加される。これらのアゾビス系重合開始剤は、単独又は2種以上の混合系で用いることができる。
【0068】
アゾビス系重合開始剤は、有機過酸化物と併用して熱硬化性樹脂に配合されるが、有機過酸化物とアゾビス系重合開始剤との比率は、それぞれ使用する硬化剤の希釈率や活性酸素量が異なるため一概に規定することは出来ないものの、一般的には有機過酸化物の添加量100重量部に対して、アゾビス系重合開始剤を1〜100部とすることが好ましい。
【0069】
すなわち、有機過酸化物とアゾビス系重合開始剤が1:0.01〜1の比率とする。アゾビス系重合開始剤が0.01未満では、本発明の実用的に充分な機械強さを維持しつつ可使時間を長時間に亘って維持することが不十分となり、一方、この比率が1を超えると、実用上の生産条件での成形物における強度発現が不十分となる場合がある。
【0070】
C N−オキシル類化合物
N−オキシル類化合物は、本発明の樹脂結合型磁石用組成物において、その保管中の可使時間をより長くさせるために添加される5員環のピロリジン系化合物、6員環のピペリジン系化合物などの含窒素環状化合物である。
【0071】
本発明のような磁性粉末などを含む系では、レドックス反応のみならず、これに相まってラジカル重合反応性を有する熱硬化性樹脂やスチレン等の複雑な反応も生起し、その促進効果も極めて高く、通常の遷移金属単体系の組成物よりも、可使時間が極めて短くなる。このような磁性粉末、ラジカル硬化剤、熱硬化性樹脂を含有する組成物に対して、N−オキシル類化合物を添加すると、かかる特殊な反応の抑制効果に極めて有効に機能し、可使時間を長くすることできる。
【0072】
5員環のピロリジン系化合物としては、その化合物の分子鎖末端に、次の一般式(1)
【0073】
【化5】
Figure 2004063517
【0074】
式(1)中、X、Xは、それぞれ独立して水素原子、−OR基、−OCOR基または−NR基を表し、R、R、R、Rは、それぞれ独立して炭素数1以上のアルキル基を表し、R、R、R、Rは、それぞれ独立して水素原子または炭素数1〜16のアルキル基で表される。
【0075】
6員環のピペリジン系化合物としては、その化合物の分子鎖末端に、次の一般式(2)
【0076】
【化6】
Figure 2004063517
【0077】
上記の式(2)中、X、X、Xは、それぞれ独立して水素原子、−OR13基、−OCOR14基または−NR1516基を表し、R、R10、R11、R12は、それぞれ独立して炭素数1以上のアルキル基(好ましくは炭素数1〜5のアルキル基)を表し、R13、R14、R15、R16は、それぞれ独立して水素原子または炭素数1〜16のアルキル基(好ましくは炭素数1〜12のアルキル基)で表される化合物である。
【0078】
さらに、N−オキシル類化合物としては、上記のほかに、分子鎖末端に、次の一般式(3)
【0079】
【化7】
Figure 2004063517
【0080】
但し、式(3)中、R17、R18は、それぞれ独立して炭素数4以上のアルキル基で表される構造を有する化合物を用いることもできる。
【0081】
上記のN−オキシル類としては、式(2)で示される6員環のピペリジン系化合物が好ましい。
例えば、ジ−t−ブチルニトロキシル、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オール、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル−アセテート、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル−2−エチルヘキサノエート、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル−ステアレート、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル−4−t−ブチルベンゾエート、ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)コハク酸エステル、ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アジピン酸エステル、ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケート、ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)n−ブチルマロン酸エステル、ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)フタレート、ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)イソフタレート、ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)テレフタレート、ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ヘキサヒドロテレフタレート、N,N’−ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アジパミド、N−(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)カプロラクタム、N−(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ドデシルサクシンイミド、2,4,6−トリス−N−ブチル−N−(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−s−トリアジン等が挙げられるが、特に限定されない。これらN−オキシル類は、一種類のみでも、二種類以上を混合してもよい。
【0082】
中でも好ましいのは、上記の式(2)中、X、X、Xが、それぞれ独立して水素原子、−OH基、−COOH基、−OCOR14基または−NH基を表し、R、R10、R11、R12が、それぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基、R14が炭素数1〜10のアルキル基で表される構造を有するN−オキシル類化合物である。
【0083】
このような化合物として、2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシル、或いはビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケートが挙げられる。2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシルは、次の一般式(4)で示すことができる。
【0084】
【化8】
Figure 2004063517
【0085】
これらのN−オキシル類化合物は、安定剤の中でも、アルキルラジカルと反応後、さらに、パーオキシラジカルとの反応性を有するもの、又はパーオキシラジカルとの反応後、さらに、アルキルラジカルとの反応性を有するものが好ましい。本発明では、このような反応によって、組成物の可使時間をより長く確保できるものと考えられる。アルキルラジカルと反応後、さらに、パーオキシラジカルとの反応性を有するものの代表例が、前記の一般式(4)で示された2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシルである。
【0086】
これらN−オキシル類化合物の添加量は、その種類によって効果が大きく異なるため画一的に規定はできないが、ラジカル重合反応性を有する熱硬化性樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部、好ましくは0.3〜5重量部とする。添加量が0.1重量部より少ないと、十分な可使時間を確保できない。一方、10重量部より多いと、成形体の密度の低下や表面の荒れを生じるため望ましくない。
【0087】
N−オキシル類化合物は、ナフテン酸コバルトやオクチル酸コバルト等のコバルト有機酸塩;アセチルアセトン、アセト酢酸エチル、ジメドン等のβ−ジケトン類;ジメチルアニリン等の芳香族3級アミン類;メルカプタン類;トリフェニルホスフィン、2−エチルヘキシルホスファイト等の燐化合物類;第4級アンモニウム塩類などの促進剤や、芳香族カルボニル化合物、ピナコン誘導体などと併用しても良い。
【0088】
これら併用されうる添加剤の配合量は、ラジカル重合反応性を有する熱硬化性樹100重量部に対して、通常0.01〜5重量部、好ましくは0.05〜3重量部である。
【0089】
D.フェノール類
本発明の樹脂結合型磁石用組成物においては、上記の組成・成分に加えて、さらにフェノール類を添加することで、その保管中の可使時間をより長くさせることが可能となる。
【0090】
フェノール類としては、フェノールの他、ジ−t−ブチル・パラクレゾールハイドロキノンモノメチルエーテル、アルファナフトール等の一価フェノール類、ピロガロール、タンニン酸、レゾルシン等の多価フェノール類が使用できるが、特に好ましいのは、フェノールである。
【0091】
その添加量は、一般的にはラジカル重合反応性を有する熱硬化性樹脂100重量部に対して、0.01〜5重量部、好ましくは0.1〜1重量部である。添加量が0.01重量部より少ない場合は、十分な可使時間を確保できない。一方、5重量部より多い場合は、成形体の密度の低下や強度低下が激しく、実用性の面で望ましくない。
【0092】
このフェノール類の添加による効果は、まだ明らかではないが、前に示した有機過酸化物、アゾビス系重合開始剤およびN−オキシル類化合物と同時にフェノール類を添加することで、この特殊な反応抑制効果を更に高め、可使時間を長期に亘って維持しうることを見出した。
【0093】
E.重合禁止剤
一般にラジカル重合性を有する熱硬化性樹脂の場合、樹脂自体の保管中の高粘度化、ゲル化を遅らせ保管期間を長く維持する目的で、重合禁止剤が添加されるが、本発明においても、長期の保存性を確保するために当該重合禁止剤を添加しても特に問題はない。
【0094】
重合禁止剤としては、p−ベンゾキノン、ナフトキノン、フェナンスラキノン、トルキノン、2,5−ジフェニル−p−ベンゾキノン、2,5−ジアセトキシ−p−ベンゾキノン、2,5−ジカプロキシ−p−ベンゾキノン、2,5−ジアシロキシ−p−ベンゾキノン等のキノン類;ハイドロキノン、p−t−ブチルカテコール、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、モノ−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−t−アミルハイドロキノン等のハイドロキノン類;ナフテン酸銅などの有機ならびに無機の銅塩類;アセトアミジンアセテート、アセトアミジンサルフェート等のアミジン類;フェニルヒドラジン塩酸塩、ヒドラジン塩酸塩などのヒドラジン類;トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、ラウリルピリジニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、フェニルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチルベンジルアンモニウムオキザレート、ジ(トリメチルベンジルアンモニウム)オキザレート、トリメチルベンジルアンモニウムマレエート、トリメチルベンジルアンモニウムタータレート、トリメチルベンジルアンモニウムグリコレート等の第4級アンモニウム塩類;フェニル−β−ナフチルアミン、パラベンジルアミノフェノール、ジ−β−ナフチルパラフェニレンジアミン等のアミン類;ニトロベンゼン、トリニトロトルエン、ピクリン酸などのニトロ化合物;キノンジオキシム、シクロヘキサノンオキシム等のオキシム類;トリエチルアミン塩酸塩、ジメチルアニリン塩酸塩、ジブチルアミン塩酸塩等のアミン塩酸塩類などが挙げられ、これらの1種または2種以上を混合して使用できる。
【0095】
F.低収縮化剤
本発明の樹脂結合型磁石用組成物には、ラジカル重合硬化時の硬化収縮を抑える目的で、低収縮化剤を添加することができる。
低収縮剤は、成形時の収縮防止または補強剤の成形品表面への浮き上り防止を目的とするものであり、例えば、アクリル系及びスチレン系樹脂の重合性単量体溶液、熱可塑性のナイロン、ポリエチレン等の樹脂粉末、ポリ塩化ビニル樹脂粉末、3次元化したアクリル系及びスチレン系樹脂粉末などがある。これらの1種もしくは2種以上を混合して使用することができる。低収縮化剤を過度に添加すると強度低下を生じる場合が多いので、熱硬化性樹脂100重量部に対して0.1〜75重量部、より好ましくは0.5〜50重量部の範囲とする。
【0096】
これらラジカル重合反応性を有する熱硬化性樹脂バインダーに配合される各成分は、その重合度や分子量に制約されることはないが、磁性粉末を加える前の混合調製状態で特定の粘度であることが望ましく、成形温度における回転粘度測定法での動的粘度が0.1〜20000mPa・sにあることが好ましい。粘度は、JIS K7117(液状樹脂の回転粘度計による粘度試験方法)に準じて、成形温度(成形時のシリンダー温度)にあわせた恒温漕内で測定される。
【0097】
G.その他添加剤
樹脂バインダーには、樹脂結合型磁石の用途に応じて、反応性樹脂、反応性希釈剤、未反応性希釈剤、変性剤、増粘剤、滑剤、カップリング剤、離型剤、紫外線吸収剤、難燃剤、安定剤、無機充填剤や顔料などを添加することができる。
【0098】
反応性樹脂としては、例えばフェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、ビス・マレイミドトリアジン樹脂、ポリアミドイミド樹脂等が挙げられる。
【0099】
反応性希釈剤としては、スチレン、脂肪酸ジグリシジルエーテル、エチレングリコールグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテルなどが挙げられる。
未反応性希釈剤としては、エタノール、イソプロパノールなどのアルコールが挙げられる。
変性剤としては、液状ポリサルファイドポリマー、フェノール変性芳香族重合体などが挙げられる。
【0100】
滑剤としては、例えば、パラフィンワックス、流動パラフィン、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、エステルワックス、カルナウバ、マイクロワックス等のワックス類、ステアリン酸、1,2−オキシステアリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、オレイン酸などの脂肪酸類;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ラウリン酸カルシウム、リノール酸亜鉛、リシノール酸カルシウム、2−エチルヘキソイン酸亜鉛などの脂肪酸塩(金属石鹸類);ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘン酸アミド、パルミチン酸アミド、ラウリン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ジステアリルアジピン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、ジオレイルアジピン酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;ステアリン酸ブチル等の脂肪酸エステル;エチレングリコール、ステアリルアルコール等のアルコール類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、及びこれら変性物からなるポリエーテル類;ジメチルポリシロキサン、シリコングリース等のポリシロキサン類;弗素系オイル、弗素系グリース、含弗素樹脂粉末といった弗素化合物;窒化珪素、炭化珪素、酸化マグネシウム、アルミナ、二酸化珪素、二硫化モリブデン等の無機化合物粉体が挙げられる。
【0101】
また、カップリング剤として、シランカップリング剤やチタネート系カップリング剤などを、樹脂と磁性粉末とのなじみを改善するために1種もしくは2種以上添加してもよい。
【0102】
紫外線吸収剤としては、フェニルサリシレート、p−第3ブチルフェニルサリシレート、2,4−ジヒドロキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、3−2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ第3ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系;蓚酸アニリド誘導体などが挙げられる。
難燃剤としては、三酸化アンチモン、アンチモン酸ソーダ、有機臭素化合物、塩素化パラフィン、塩素化ポリエチレンなどが挙げられる。
【0103】
安定剤としては、特に限定されないが、例えば、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート等のヒンダードアミン系、フェノール系、ホスファイト系、チオエーテル系などが挙げられる。
【0104】
無機充填剤としては、磁性粉末であるストロンチウムフェライト系、バリウムフェライト系等のフェライト類磁性粉や鉄等の軟磁性粉の他に、タングステン等の密度調整用高比重金属粉、三酸化アンチモン等、顔料には酸化チタン等を挙げることができる。
【0105】
本発明において磁性粉末は、上記のラジカル硬化剤、N−オキシル化合物を必須成分として含有した熱硬化性樹脂バインダーと混合されて、樹脂結合型磁石用組成物となる。
【0106】
熱硬化性樹脂バインダーを構成する前記B〜Dの各成分の形態は、常温において液状でも、パウダー、ビーズ、ペレット等であってもよいが、磁性粉末との均一混合性や成形性から考えると、液状であることが望ましい。
【0107】
これら熱硬化性樹脂バインダー(B)又はそれに混合される前記C〜Dの各成分は、重合度や分子量に制約されないが、磁性粉末を加える前の混合調製状態での粘度、すなわち成形温度における回転粘度測定法での動的粘度が、0.1〜20,000mPa・sの範囲にあることが望ましい。熱硬化性樹脂バインダーは、1〜5000mPa・s、さらには1〜300mPa・sの動的粘度のものがさらに好ましい。
【0108】
この動的粘度が、0.1mPa・s未満であると、射出成形時に磁性粉末とバインダーの分離現象が生じるため成形できない。また、20,000mPa・sを超えると、著しい混練トルクの上昇、流動性の低下を招き成形困難になるため、本発明の効果が得られない。
【0109】
この動的粘度に調整するために、粘度や性状の異なるラジカル重合反応性を有する数種類の熱硬化性樹脂同士を混合したり、酸化ベリリウム、酸化マグネシウム等の二価金属の酸化物類や水酸化物類、ジイソシアナート類、アリジリン化合物類、アルミニウムイソプロポキシド等を加えてもよい。
【0110】
熱硬化性樹脂バインダーは、各構成成分を含めた状態で、磁性粉末100重量部に対して、2〜50重量部の割合で添加されるが、好ましくは3〜20重量部、さらに、10〜15重量部がより好ましい。
【0111】
バインダーの添加量が磁性粉末100重量部に対して2重量部未満の場合は、著しい成形体強度の低下や成形時の流動性の低下を招いて、本発明の効果を得ることができない。また、50重量部を超えると、所望の磁気特性が得られない。
【0112】
上記の方法で、磁性粉末に樹脂バインダー、添加剤が配合された樹脂結合型磁石用組成物は、公知の方法で混合される。混合方法は、特に限定されず、例えばリボンブレンダー、タンブラー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、プラネタリーミキサー等の混合機或いは、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール、ニーダールーダー、単軸押出機、二軸押出機などの混練機が使用される。混合時の剪断発熱などによって熱硬化性樹脂の硬化が進まないよう、剪断力が弱く、かつ冷却機能を有する混合機を使用することが好ましい。混合により樹脂結合型磁石用組成物が塊状となる
【0113】
得られた樹脂結合型磁石用組成物の形状は、パウダー状、ビーズ状、ペレット状、あるいはこれらの混合物の形態であるが、取扱易さの点で、ペレット状(或いは塊状)が望ましい。
樹脂結合型磁石用組成物は、30℃の密閉静置状態において600時間以上の可使時間を有するが、特に、同一条件で800時間以上の可使時間を有する樹脂結合型磁石用組成物が好ましい。
【0114】
こうして、従来の高温成形時に受ける酸化劣化が原因の磁気特性低下を防止し、配向性に重要となる異方性磁石材料の高配向化をも可能にさせた樹脂結合型磁石用組成物が得られる。
【0115】
2.樹脂結合型磁石
本発明の樹脂結合型磁石用組成物は、ラジカル重合反応性を有する熱硬化性樹脂が硬化せずに流動性ある温度に加熱又は冷却されて、所望の形状を有する樹脂結合型磁石に成形される。
【0116】
成形法としては、従来からプラスチック成形加工などに利用されている射出成形法、押出成形法、射出圧縮成形法、射出プレス成形法、トランスファー成形法、圧縮成形法など各種の成形法が採用できるが、これらの中では、射出成形法、押出成形法、トランスファー成形法、圧縮成形法のいずれかが好ましい。
【0117】
こうして、従来の熱可塑性樹脂を用い射出成形法によって得られた低磁気特性で複雑形状可能な樹脂結合型磁石と、熱硬化性樹脂を用い圧縮成形法によって得られた高磁気特性で単純形状のみの樹脂結合型磁石のもつ夫々の欠点が解消された磁石が製造される。
【0118】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を挙げて具体的に説明するが、本発明は、これら実施例によって何ら限定されるものではない。
【0119】
(1)樹脂結合型磁石組成物の原料として下記の材料を用いた。
A 磁性粉末
・磁粉1:Sm−Fe−N系磁性粉末、「住友金属鉱山(株)製 SmFeN合金粉末」、異方性磁場:16800kA/m(210kOe)、100μm以下の粒径含有率99重量%
・磁粉2:Sm−Co 系磁性粉末、「商品名:RCo5合金、住友金属鉱山(株)製」、異方性磁場:19680kA/m(246kOe)、100μm以下の粒径含有率99重量%
・磁粉3:Nd−Fe−B系磁性粉末、「商品名:MQP−B、マグネクエンチインターナショナル(株)製」、異方性磁場:5600kA/m(70kOe)、100μm以下の粒径含有率62重量%
・磁粉4:ストロンチウムフェライト系磁性粉末、「商品名:MA−951、戸田工業(株)製」、異方性磁場:2280kA/m(28.5kOe)、100μm以下の粒径含有率99重量%
・磁粉5:Nd−Fe−B系磁性粉末、「商品名:MQP−B、マグネクエンチインターナショナル(株)製」、異方性磁場:5600kA/m(70kOe)、100μm以下の粒径含有率31重量%
【0120】
B 樹脂バインダー
B−1 熱硬化性樹脂
・不飽和ポリエステル樹脂(UPと略す)
UP樹脂1「商品名:リゴラックLP−1(F)−3、昭和高分子(株)製」、25℃における粘度:40〜60mPa・s
UP樹脂2「商品名:リゴラックM−403、昭和高分子(株)製」、25℃における粘度:200〜260mPa・s
・ビニルエステル樹脂(VE樹脂と略す)
VE樹脂「商品名:リポキシR−806、昭和高分子(株)製」、25℃における粘度:0.9〜2.3mPa・s
熱可塑性樹脂(比較用、ナイロン12)
・ナイロン12、「商品名:ダイアミド A−1709P」、ダイセル・ヒュルス(株)製、平均分子量は15000以下
【0121】
B−2 ラジカル硬化剤(硬化剤と略す)
・硬化剤1:パーオキシケタール系過酸化物、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン「商品名:トリゴノックス29A、化薬アグゾ(株)製」、10時間半減期温度は90℃。
・硬化剤2:ジアルキルパーオキサイド系過酸化物、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、「商品名:カヤヘキサYD」、化薬アグゾ(株)製、10時間半減期温度は133℃。
・硬化剤3:アゾ系重合開始剤、(2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、「商品名:VF−096、和光純薬工業(株)製」、10時間半減期温度は96℃。
・硬化剤4:アゾ系重合開始剤、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、「商品名:V−40、加工純薬工業(株)製」、10時間半減期温度は88℃。
【0122】
C N−オキシル類化合物(オキシル類と略す)
・オキシル類1:2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシル、「商品名:アデカスタブ LA−7RD」、旭電化(株)製。
・オキシル類2:ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケート、「商品名:Prostab 5415」、チバ・スペシャルティルティ・ケミカルズ社製。
【0123】
D フェノール類
・フェノール:試薬:和光純薬工業(株)製
【0124】
(2)樹脂結合型磁石組成物は、次の方法で製造した。
▲1▼樹脂バインダーの混合、樹脂結合型磁石用組成物の作製
あらかじめ所定の比率になるよう計量混合しておいた熱硬化性樹脂、ラジカル硬化剤、N−オキシル類化合物等をそれぞれの磁性粉末全量に加え(各重量部)、水冷ジャケット付双椀型ニーダー中で十分混合撹拌(40rpm、30℃、10分)し、最終組成物(樹脂結合型磁石用ペレットコンパウンド)を得た。
このうち、ナイロン12を用いた場合のみ、20mmφシングル押出機(L/D=25、CR=2.0、回転数=20rpm、5mmφストランドダイ、シリンダー温度200〜220℃、ダイス温度100〜150℃)にて押し出し、ホットカットペレタイザーにてφ5mm×5mmのコンパウンドを作製した。
【0125】
▲2▼射出成形方法
これらのコンパウンドを、インラインスクリュー式またはプランジャー式磁場発生装置付の射出成形機にて、横φ10mm×15mmの円柱試験用樹脂結合型磁石を同一条件(成形温度30〜180℃、金型温度100〜220℃)にて成形した。尚、SmCo系とSmFeN系の磁性粉を使用した時のみ、1200〜1600kA/m(15〜20kOe)の磁場中金型内にて成形を行った。
【0126】
(3)磁性粉末、樹脂バインダーを混合して得た樹脂結合型磁石用組成物(コンパウンド)、及びこれを射出成形して得た樹脂結合型磁石試料は、その特性を下記の要領で測定し、評価した。
【0127】
▲1▼可使時間
得られた樹脂結合型磁石用組成物を、それぞれガラス瓶に充填し、アルミ製の蓋にて密閉した後、30±0.5℃にコントロールされた恒温槽内に入れ、成形後の成形体機械強さが初期値の80%まで低下したときの時間を求め、その結果を表2〜5に示した。尚、不飽和ポリエステル樹脂を用いた比較例1〜4、7、8については、成形体の機械強さの低下をまねく前に、成形不可能となる急激な粘度上昇、固化する現象を示したため、その固化に達するまでの時間を記した。
【0128】
▲2▼磁気特性評価
チオフィー型自記磁束計により、試料の磁気特性を常温で測定した。磁気特性のうち保磁力、磁化、角型性、最大磁気エネルギー積、配向度を評価した。
配向度は、SMM法、即ち、{(成形後の樹脂結合型磁石の磁化)/(磁性粉末100%でのVSMにて測定した磁化×成形後の樹脂結合型磁石の磁性粉末体積率)×100}で表した。従来の方法での限界値は、次の表1の通りであった。よって、これらの限界値以上を「効果あり」と判断した。
【0129】
【表1】
Figure 2004063517
【0130】
▲3▼機械強さ
上記成形条件にて、別途、幅5mm×高さ2mm×長さ10mmの試験片を成形し、JIS K7214(プラスチックの打ち抜きによる剪断試験方法)に準じて剪断打ち抜き強さを測定した。各組成物の調製直後に成形した成形体の機械強さを初期値とした。近年、市場から強く求められている100MPa以上の機械強さを有するものを「効果有り」と判断した。
【0131】
(実施例1〜14)
磁性粉末、樹脂バインダー、ラジカル硬化剤(有機過酸化物及びアゾビス系重合開始剤)、N−オキシル類化合物の各成分を所定の配合割合で用い、上述の手順・方法にて樹脂結合型磁石用組成物及び磁石を製造し、その特性を評価した。その評価結果を表2〜3に示す。
【0132】
【表2】
Figure 2004063517
【0133】
【表3】
Figure 2004063517
【0134】
(比較例1〜8)
磁性粉末に、樹脂バインダー、ラジカル硬化剤(有機過酸化物又はアゾビス系重合開始剤)、N−オキシル類化合物などの各成分を所定の割合で配合し、上述の手順・方法にて樹脂結合型磁石用組成物及び磁石を製造し、その特性を評価した。その評価結果を表4に示す。
【0135】
【表4】
Figure 2004063517
【0136】
これら実施例から、磁性粉末に熱硬化性樹脂、ラジカル硬化剤(有機過酸化物及びアゾビス系重合開始剤)、N−オキシル類化合物を配合した本発明の樹脂結合型磁石用組成物は、粘度の変化のみならず、成形後の機械強さの維持の面でも優れた可使時間を有し、かつ該樹脂結合型磁石用組成物を用いた樹脂結合型磁石は、磁気特性や機械強さ等に優れることが分かる。
【0137】
これに対し、比較例からは、磁性粉末に熱硬化性樹脂、有機過酸化物、アゾ系重合開始剤、又はN−オキシル類化合物のいずれかが配合されていないので、初期の効果が発揮されないことが分かる。
【0138】
【発明の効果】
本発明の樹脂結合型磁石用組成物は、磁性粉末とラジカル重合反応性を有する熱硬化性樹脂、2種のラジカル硬化剤及びN−オキシル類化合物を含有することにより、熱硬化性樹脂バインダー使用時に最も問題となる樹脂結合型磁石用組成物の可使時間が工業的に極めて優れたものになり、さらに、射出成形法等で製造することにより磁気特性、形状自由度、機械強さ等に優れた樹脂結合型磁石を提供することができ、例えば、一般家電製品、通信・音響機器、医療機器、一般産業機器にいたる幅広い分野で特に有用であり、その工業的価値は極めて大きい。

Claims (14)

  1. 構成元素中に遷移金属元素を含む磁性粉末(A)と、樹脂バインダー(B)とを主成分とした樹脂結合型磁石用組成物において、
    樹脂バインダー(B)がラジカル重合反応性の熱硬化性樹脂(B−1)であり、これにラジカル硬化剤(B−2)及びN−オキシル類化合物(C)が配合され、かつラジカル硬化剤(B−2)が、有機過酸化物及びアゾビス系重合開始剤からなることを特徴とする樹脂結合型磁石用組成物。
  2. 磁性粉末(A)は、その異方性磁場が4000kA/m(50kOe)以上であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂結合型磁石用組成物。
  3. 磁性粉末(A)は、全磁性粉末中に粒径が100μm以下のものを50重量%以上含有することを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂結合型磁石用組成物。
  4. 熱硬化性樹脂(B−1)は、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、及びポリエステル(メタ)アクリレート樹脂からなる群より選ばれた少なくとも一種の樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂結合型磁石用組成物。
  5. 熱硬化性樹脂(B−1)は、分子構造中の少なくとも一部にビスフェノール型骨格を有する熱硬化性樹脂であることを特徴とする請求項1又は4に記載の樹脂結合型磁石用組成物。
  6. 有機過酸化物及びアゾビス系重合開始剤は、その10時間半減期温度がいずれも150℃以下であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂結合型磁石用組成物。
  7. 有機過酸化物及びアゾビス系重合開始剤は、熱硬化性樹脂(B−1)100重量部に対して、それぞれ0.1〜10重量部配合することを特徴とする請求項1又は6に記載の樹脂結合型磁石用組成物。
  8. 有機過酸化物は、ジアルキルパーオキサイド類又はパーオキシケタール類化合物であることを特徴とする請求項1、6又は7のいずれかに記載の樹脂結合型磁石用組成物。
  9. N−オキシル類化合物(C)は、分子鎖末端に、次の一般式(1)
    Figure 2004063517
    (式中、X、およびXは、それぞれ独立して水素原子、−OR基、−OCOR基または−NR基を表し、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して炭素数1以上のアルキル基を表し、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して水素原子または炭素数1〜16のアルキル基である)、または一般式(2)
    Figure 2004063517
    (式中、X、X、およびXは、それぞれ独立して水素原子、−OR13基、−OCOR14基または−NR1516基を表し、R、R10、R11、およびR12は、それぞれ独立して炭素数1以上のアルキル基を表し、R13、R14、R15、およびR16は、それぞれ独立して水素原子または炭素数1〜16のアルキル基である)で表される構造のうち少なくとも一種の構造を有することを特徴とする請求項1に記載の樹脂結合型磁石用組成物。
  10. N−オキシル類化合物(C)は、熱硬化性樹脂(B−1)100重量部に対して、0.1〜10重量部配合されることを特徴とする請求項1又9に記載の樹脂結合型磁石用組成物。
  11. さらに、フェノール類が、樹脂バインダー(B)100重量部に対して、0.01〜5重量部配合されることを特徴とする請求項1に記載の樹脂結合型磁石用組成物。
  12. 樹脂結合型磁石用組成物の可使時間が、30℃の密閉静置状態において600時間以上であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の樹脂結合型磁石用組成物。
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載の樹脂結合型磁石用組成物を、射出成形法、押出成形法、トランスファー成形法、または圧縮成形法から選ばれるいずれかの成形法により成形してなる樹脂結合型磁石。
  14. 樹脂結合型磁石の機械強さが、100MPa以上であることを特徴とする請求項13に記載の樹脂結合型磁石。
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