JPH11135314A - 樹脂結合型磁石用組成物及び樹脂結合型磁石の製造方法 - Google Patents

樹脂結合型磁石用組成物及び樹脂結合型磁石の製造方法

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JPH11135314A
JPH11135314A JP9310048A JP31004897A JPH11135314A JP H11135314 A JPH11135314 A JP H11135314A JP 9310048 A JP9310048 A JP 9310048A JP 31004897 A JP31004897 A JP 31004897A JP H11135314 A JPH11135314 A JP H11135314A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁気特性、形状自由度、成形性、耐熱性のい
ずれも優れた樹脂結合型磁石用の組成物及びこの樹脂結
合型磁石の製造方法を提供する。 【解決手段】 樹脂結合型磁石は、燐酸又は燐酸塩化合
物を被覆した磁性粉末と、熱硬化性樹脂を含むバインダ
ー系成分とからなり、前記バインダー系成分が−20℃
〜150℃のいずれかの温度において500mPa・s〜3
000mPa・sの動粘度を有する組成物を150℃以下で
型内に射出し、引き続き前記型内で150℃以下で熱硬
化させることにより得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、樹脂結合型磁石用
組成物及びこの組成物を用いた樹脂結合型磁石の製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、フェライト磁石、アルニコ磁石、
希土類磁石等がモーター、音響機器、OA機器等の種々
の用途に用いられている。しかし、これらの磁石は主に
焼結法により製造されるために、一般に脆く、薄肉又は
複雑な形状の磁石を製造するのは困難である。また焼結
法では焼結時の収縮が15〜20%と大きいため、寸法
精度の高い磁石が得られず、精度を上げるには研磨等の
後加工が必要であるという欠点を有している。
【0003】一方、これらの欠点を解消すると共に、新
しい用途も期待できる磁石として、ポリアミド樹脂、ポ
リフェニレンサルファイド樹脂等の熱可塑性樹脂をバイ
ンダーとして、磁性粉末を結合した樹脂結合型磁石も知
られている。この樹脂結合型磁石は、射出成型法により
製造されるので、成形性に優れ、複雑な形状の磁石も製
造できるが、原料、即ち磁性粉末を含む樹脂組成物は2
00℃以上の高温下にさらされるため、得られる磁石の
磁気特性、特に保磁力や角型性の低下は免れず、従って
磁気特性の低下率を低く抑えた樹脂結合型磁石の製造は
困難である上、熱可塑性樹脂を用いるため、成形後、磁
石の耐熱変形性(以下、耐熱性という)も不十分であ
る。
【0004】また、エポキシ樹脂やビス・マレイミドト
リアジン樹脂等の熱硬化性樹脂をバインダーとして、磁
性粉末を結合した樹脂結合型磁石も提案されている。こ
の樹脂結合型磁石は、熱硬化性樹脂を用いて圧縮成型法
で製造されるため、得られる磁石の耐熱性は良好である
ものの、バインダー量を微量(組成物に対し5重量%以
下)に抑えなければならない上、単純な形状の磁石しか
得られていない。しかも樹脂結合型磁石には、機器の小
型化に伴って、特に磁気特性に優れ、且つ複雑な形状の
ものが要求されているが、従来の製造方法で得られる樹
脂結合型磁石の磁気特性と形状との関係は、小型機器用
として使用するには不十分であり、樹脂結合型磁石の早
期改良が望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、従来の樹脂結合型磁石における上記欠点を解消し、
磁気特性、形状自由度、成形性、耐熱性のいずれも優れ
た樹脂結合型磁石用の組成物及びこの樹脂結合型磁石の
製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するために、種々検討を行った結果、燐酸又は燐
酸塩化合物で表面被覆された磁性粉末及び特定の動粘度
を有する熱硬化性樹脂を含む組成物を150℃以下で射
出成形法やトランスファー成形法に適用すると、磁気特
性及び形状自由度のみならず、成形性及び耐熱性も優れ
た樹脂結合型磁石成型品が得られることを見い出し、本
発明を完成した。即ち、本発明は、燐酸又は燐酸塩化合
物で表面被覆された磁性粉末と、熱硬化性樹脂を含むバ
インダー系成分とからなり、前記バインダー系成分が−
20℃〜150℃のいずれかの温度において500mPa・
s〜3000mPa・sの動粘度を有することを特徴とする樹
脂結合型磁石用組成物を提供する。また本発明は、上記
樹脂結合型磁石用組成物を150℃以下で型内に射出
し、引き続き前記型内で150℃以下で加熱硬化させる
ことを特徴とする樹脂結合型磁石の製造方法を提供す
る。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。樹脂結合型磁石用組成物 本発明の樹脂結合型磁石用組成物は、燐酸又は燐酸塩化
合物で表面被覆された磁性粉末(以下、燐酸又は燐酸塩
化合物被覆磁性粉末という)と、熱硬化性樹脂を含むバ
インダー系成分とで構成される。
【0008】<燐酸又は燐酸塩化合物被覆磁性粉末>燐
酸又は燐酸塩化合物被覆磁性粉末としては、一般の樹脂
結合型磁石に用いられているものでよく、例えば希土類
−コバルト合金系(例えばSm−Co合金系)、希土類
−鉄−ほう素合金系(例えばNd−Fe−B合金系)、
希土類−鉄−窒素合金系(例えばSm−Fe−N合金
系)等の、異方性磁場(HA)が50kOe以上である
磁性粉末を芯材とし、その表面を燐酸又は燐酸塩化合物
で被覆したものが挙げられる。上記磁性合金に使用され
る稀土類としては、 Nd及びSmの他に、Sc,Y,
La,Ce,Pr,Pm,Eu,Gd,Tb,Dy,H
o,Er,Tm,Yb,Lu等が例示できる。なお、こ
れら磁性合金中の各成分の割合は、異方性磁場(HA)
が50kOe以上となるような割合である。
【0009】本発明の組成物においては、上記例示した
Nd−Fe−B合金系、Sm−Co合金系、Sm−Fe
−N合金系等の異方性磁場(HA)が50kOe以上で
ある磁性合金の表面に燐酸又は燐酸塩化合物を被覆した
磁性粉末を用いることにより、組成物に対し、90重量
%以上の高充填化が可能であり、その結果、特に優れた
磁気特性を有する樹脂結合型磁石が得られる。なお、前
記磁性合金のうち、希土類−鉄−ほう素合金は、液体急
冷法によって調製されるので、鱗片状の特異な形状を有
している。このため、希土類−鉄−ほう素合金の場合は
ジェットミルやボールミル等で粉砕して使用した方が良
い。燐酸又は燐酸塩化合物被覆磁性粉末の粒径は、磁性
粉末自体の平均粒径で、通常200μm以下、好ましく
は100μm以下、更に好ましくは50μm以下であ
る。
【0010】一方、本発明の燐酸又は燐酸塩化合物被覆
磁性粉末において、芯材の表面被覆に使用される燐酸又
は燐酸塩化合物は、磁性粉末の防錆性及び耐熱性を高
め、これにより、バインダー系成分と共に樹脂結合型磁
石の耐熱性及び磁気特性の向上に寄与する成分で、表面
被覆処理の前に既に燐酸又は燐酸塩化合物として形成さ
れているものでも、或いは表面被覆処理の際、形成され
るものであってもよい。このような燐酸又は燐酸塩化合
物としては、燐酸、燐酸塩、及びそれらの混合物等、一
般に市販されている燐酸または燐酸塩系表面被覆処理剤
が使用できる。これら表面被覆処理剤の有効成分の具体
例としては、燐酸、燐酸マンガン、燐酸亜鉛、燐酸水素
ナトリウム、燐酸カルシウム、有機燐酸エステル等の有
機燐酸化合物等が挙げられる。なお、これらの燐酸又は
燐酸塩化合物は、表面被覆処理の際は溶液状で使用され
る。
【0011】燐酸又は燐酸塩化合物被覆磁性粉末は、バ
インダー系成分と混合して組成物を調製する前に、予め
燐酸又は燐酸塩化合物を芯材(磁性粉末)に表面被覆す
ることにより調製しておくのが一般的であるが、組成物
の調製時にバインダー系成分に磁性粉末及び燐酸又は燐
酸塩化合物を添加混合し、これにより燐酸又は燐酸塩化
合物及びバインダー系成分を表面被覆した磁性粉末(こ
れは樹脂結合型磁石用組成物でもある)として調製する
ことも可能である。しかし、純正な燐酸又は燐酸塩化合
物被覆磁性粉末(確実に燐酸又は燐酸塩化合物を表面被
覆した磁性粉末)を得るには、前者の一般的な方法が望
ましい。なお、表面被覆処理剤(燐酸又は燐酸塩化合
物)の磁性粉末への添加量は、処理剤の種類により異な
るが、磁性粉末100重量部に対して通常0.1〜10
重量部、好ましくは0.1〜5重量部である。この添加
量が少なすぎると、磁気特性低下抑止効果や成形性向上
効果が得られず、また多すぎると、得られる磁石成形品
の比重が低下して所望の磁気特性が得られない。
【0012】<バインダー系成分>バインダー系成分
は、熱硬化性樹脂を必須成分として含有し、その他に任
意成分として、前記樹脂用の硬化剤(又は硬化反応促進
剤、硬化反応開始剤等の硬化触媒)、反応性希釈剤、樹
脂変性剤、増粘剤、滑剤、離型剤、紫外線吸収剤、難燃
剤、熱安定剤等の添加剤を含有することができる。熱硬
化性樹脂を含むバインダー系成分は、上記任意成分を含
有していても、−20℃〜150℃のいずれかの温度に
おいて500mPa・s〜3000mPa・s(又は−20℃にお
いて3000mPa・s以下、150℃において500mPa・s
以上)の範囲の動粘度を有していなければならない。こ
の動粘度は800mPa・s〜2000mPa・s(又は−20℃
において2000mPa・s以下、150℃において800m
Pa・s以上)の範囲が好ましく、更に好ましくは10℃に
おいて2500mPa・s以下、80℃において600mPa・s
以上の範囲である。上記動粘度は、JIS K7117
(液状樹脂の回転粘度計による粘度試験方法)に準じ
て、−20℃〜150℃の範囲のいずれかの温度に維持
された恒温槽内で測定される。なお、この温度は、熱硬
化性樹脂の成形温度(成形時のシリンダー温度)に由来
するものである。
【0013】バインダー系成分の動粘度が、150℃に
おいて500mPa・s未満では、磁石の製造時、即ち組成
物の射出成形時に磁性粉末とバインダー間に分離現象が
生じるため成形できない。また、−20℃において30
00mPa・sを越えると、著しい混練トルクの上昇、流動
性の低下を招き、成形困難になる。バインダー系成分に
含まれる熱硬化性樹脂は、燐酸又は燐酸塩化合物被覆磁
性粉末のバインダーとして働く成分であり、150℃以
下で硬化できるものであれば、特に限定されず、一般に
市販されている熱硬化性樹脂でよい。このような熱硬化
性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、ユリア樹
脂、メラミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ
樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、ウレ
タン樹脂、ポリイミド樹脂、ビス・マレイミドトリアジ
ン樹脂、ポリアミドイミド樹脂等が挙げられる。これら
は単独で又は2種以上混合して使用することができる。
これら熱硬化性樹脂の状態は、例えば常温で液状、パウ
ダー、ビーズ、ペレット等特に限定されないが、燐酸又
は燐酸塩化合物被覆磁性粉末との均一混合性や成形性の
点から液状が望ましい。
【0014】以上の熱硬化性樹脂は、バインダー系成分
が任意成分を含有していても、バインダー系成分の動粘
度が上記範囲にある限り、分子量(又は重合度)や粘度
に制約されることなく使用することができる。勿論、1
種類の熱硬化性樹脂で所望の動粘度が得られない場合
は、種類、分子量(又は重合度もしくは粘度)等の異な
る2種以上の熱硬化性樹脂を混合するか、或いはスチレ
ンのような反応性希釈剤を添加して、バインダー系成分
としての動粘度の調整を行ってもよい。
【0015】熱硬化性樹脂を含むバインダー系成分の含
有量は、磁性粉末100重量部に対して通常5重量部以
上50重量部未満、好ましくは7〜15重量部、更に好
ましくは10〜13重量部である。なお、バインダー系
成分中に占める熱硬化性樹脂の割合は、バインダー系成
分が上記動粘度の範囲になるような割合であればよい。
具体的には熱硬化性樹脂の種類及び分子量、任意成分の
種類及び含有量によっても異なるが、バインダー系成分
に対し、通常50〜100重量%、好ましくは60〜1
00重量%である。なお、組成物中のバインダー系成分
の含有量が少なすぎると、著しい混練トルクの上昇、流
動性の低下を招いて成形困難になることがあり、また多
すぎると、所望の磁気特性が得られないことがある。
【0016】熱硬化性樹脂用の硬化剤(硬化触媒を含
む)としては、熱硬化性樹脂の種類に従って適宜選択さ
れる。例えば、不飽和ポリエステル樹脂やシリコーン樹
脂に対しては有機過酸化物等が、エポキシ樹脂に対して
はジアミン、酸無水物又はポリアミド等が使用される。
熱硬化性樹脂用の硬化剤としては、有機過酸化物、ジア
ミン、酸無水物、ポリアミドの他に、塩基性活性水素化
合物、イミダゾール系化合物、ポリメルカプタン系硬化
剤、イソシアネート系(ブロックイソシアネート系を含
む)硬化剤、紫外線硬化剤、有機金属塩化合物等があ
る。
【0017】ここで有機過酸化物としては、例えばメチ
ルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパー
オキサイド、3,3,5トリメチルシクロヘキサノンパーオ
キサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メ
チルアセトアセテートパーオキサイド、アセチルアセト
ンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド系過酸化
物、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)3,3,5-トリメチル
シクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シク
ロヘキサン、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)オクタ
ン、n-ブチル4,4-ビス(t-ブチルパーオキシ)バレレー
ト、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)ブタン等のパーオ
キシケタール系過酸化物、t-ブチルハイドロパーオキサ
イド、クメンハイドロパーオキサイド、ジーイソプロピ
ルベンゼンハイドロパーオキサイド、P-メンタンハイド
ロパーオキサイド、2,5-ジメチルヘキサン2,5-ジハイド
ロパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイド
ロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド系過酸化
物、ジ-t-ブチルパーオキサイド、t-ブチルクミルパー
オキサイド、ジ-クミルパーオキサイド、α,α'-ビス
(t-ブチルパーオキシ-m-イソプロピル)ベンゼン、2,5
-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,
5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン等
のジアルキルパーオキサイド系過酸化物、アセチルパー
オキサイド、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイ
ルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロ
イルパーオキサイド、3,5,5-トリメチルヘキサノイルパ
ーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,4-クロロ
ベンゾイルパーオキサイド、m-トルオイルパーオキサイ
ド等のジアシルパーオキサイド系過酸化物、ジ-イソプ
ロピルパーオキシジカーボネート、ジ-2-エチルヘキシ
ルパーオキシジカーボネート、ジ-n-プロピルパーオキ
シジカーボネート、ビス-(4-t-ブチルシクロヘキシ
ル)、ジ-ミリスチルパーオキシジカーボネート、ジ-2-
エトキシエチルペロキシジカーボネート、ジ-メトキシ
イソプロピルペロキシジカーボネート、ジ(3-メチル-3
-メトキシブチル)、ジ-アリルペロキシジカーボネート
等のパーオキシジカーボネート系過酸化物、t-ブチルパ
ーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシイソブチレー
ト、t-ブチルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキ
シネオデカノエート、クミルパーオキシネオデカノエー
ト、t-ブチルパーオキシ2-エチルヘキサノエート、t-ブ
チルパーオキシ3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-ブ
チルパーオキシラウレート、t-ブチルパーオキシベンゾ
エート、ジ-t-ブチルパーオキシイソフタレート、2,5-
ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t
-ブチルパーオキシマレイックアサイド、t-ブチルパー
オキシイソプロピルカーボネート、クミルパーオキシオ
クトエート、t-ヘキシルパーオキシネオデカノエート、
t-ヘキシルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシ
ネオヘキサノエート、t-ヘキシルパーオキシネオヘキサ
ノエート、クミルパーオキシネオヘキサノエート等のパ
ーオキシエステル系過酸化物等が挙げられる。
【0018】アミン類としては、例えばエチレンジアミ
ン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、
テトラエチレンペンタミン、ジプルロピレンジアミン、
ジエチルアミノプロピルアミン、ヘキサメチレンジアミ
ン等の鎖状脂肪族アミン系化合物、メンセンジアミン、
イソフォロンジアミン、ビス(4-アミノ-3-メチルジシ
クロヘキシル)メタン、ジアミノジシクロヘキシルメタ
ン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、N-アミノエ
チルピペラジン、3,9-ビス(3-アミノプロピル)2,4,8,
10-テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、m-キシレン
ジアミン等の環状アミン系化合物、メタフェニレンジア
ミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニル
スルフォン、ジアミノジエチルジフェニルメタン等の芳
香族アミン系化合物、ベンジルジメチルアミン、2-(ジ
メチルアミノメチル)フェノール、2,4,6-トリス(ジメ
チルアミノメチル)フェノール、テトラメチルグアニジ
ン、トリエタノールアミン、N,N'-ジメチルピペラジ
ン、1,4-ジアザジシクロ(2,2,2)オクタン、ピリジ
ン、ピコリン、ピペリジン、ピロリジン等の第二、第三
アミン系化合物、ポリアミノアミド系化合物が挙げられ
る。
【0019】酸無水物としては、例えばドデセニル無水
コハク酸、ポリアジピン酸無水物、ポリアゼライン酸無
水物、ポリセバシン酸無水物、ポリ(エチルオクタデカ
ン二酸)無水物、ポリ(フェニルヘキサデカン二酸)無
水物等の脂肪族酸無水物系化合物、メチルテトラヒドロ
無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水
メチルハイミック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、トリ
アルキルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキ
センジカルボン酸無水物等の脂環式酸無水物系化合物、
無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット
酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物等の芳香族
酸無水物系化合物、無水ヘット酸、テトラブロモ無水フ
タル酸等のハロゲン系酸無水物系化合物が挙げられる。
【0020】その他、塩基性活性水素化合物としては、
例えばジシアンジアミド、有機酸ジヒドラジド等が、イ
ミダゾール系化合物としては、例えば2-メチルイミダゾ
ール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイ
ミダゾール等が、ポリメルカプタン系硬化剤としては、
例えばメルカプトプロピオン酸エステル等が、イソシア
ネート系硬化剤としては、例えば2,4-トリレンジイソシ
アネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等が、紫外
線硬化剤としては、例えば芳香族ジアゾニウム塩等が、
有機金属塩化合物としては、例えばオクチル酸亜鉛、オ
クチル酸錫、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ア
セチルアセトン鉄、アセチルアセトン銅、ステアリン酸
金属塩、ブチルチタネート、プロピルアルミニウム等が
挙げられる。以上のような硬化剤の使用量は熱硬化性樹
脂の種類により異なるが、未処理の磁性粉末100重量
部に対し、0〜40重量部、好ましくは1〜30重量部
である。
【0021】反応性希釈剤としては、スチレン等の反応
性モノマー系有機化合物;ブチルグリシジルエーテル、
フェニルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエー
テル、メタ・パラクレジールグリシジルエーテル、アリ
ルグリジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジ
ルエーテル、ポリエチレングリコールグリシジルエーテ
ル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル等
のモノエポキシ又はポリグリシジルエーテル系化合物
等;好ましくは反応性モノマー系有機化合物、特にスチ
レンが挙げられる。その使用量は未処理の磁性粉末10
0重量部に対し、0〜40重量部、好ましくは1〜30
重量部である。
【0022】滑剤又は離型剤としては、例えばパラフィ
ンワックス、流動パラフィン、ポリエチレンワックス、
ポリプロピレンワックス、エステルワックス、カルナウ
バ、マイクロワックス等のワックス類、ステアリン酸、
1,2−オキシステアリン酸、ラウリン酸、パルミチン
酸、オレイン酸等の脂肪酸類、ステアリン酸カルシウ
ム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウ
ム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸亜鉛、ステア
リン酸アルミニウム、ラウリン酸カルシウム、リノール
酸亜鉛、リシノール酸カルシウム、2−エチルヘキソイ
ン酸亜鉛等の脂肪酸塩(金属石鹸類)ステアリン酸アミ
ド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘン酸アミ
ド、パルミチン酸アミド、ラウリン酸アミド、ヒドロキ
システアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミ
ド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスラ
ウリン酸アミド、ジステアリルアジピン酸アミド、エチ
レンビスオレイン酸アミド、ジオレイルアジピン酸アミ
ド、N−ステアリルステアリン酸アミド等脂肪酸アミド
類、ステアリン酸ブチル等の脂肪酸エステル、エチレン
グリコール、ステアリルアルコール等のアルコール類、
ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、
ポリテトラメチレングリコール、及びこれら変性物から
なるポリエーテル類、ジメチルポリシロキサン、シリコ
ーングリース等のポリシロキサン類、弗素系オイル、弗
素系グリース、含弗素樹脂粉末等の弗素化合物、窒化珪
素、炭化珪素、酸化マグネシウム、アルミナ、二酸化珪
素、二硫化モリブデン等の無機化合物粉体が挙げられ
る。その使用量は未処理の磁性粉末100重量部に対
し、0〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部であ
る。
【0023】紫外線吸収剤としては、例えばフェニルサ
リシレート、p−t−ブチルフェニルサリシレート等の
サリチル酸誘導体;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノ
ン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等の
ベンゾフェノン系化合物;2−(2'−ヒドロキシ−
3',5'−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾー
ル等のベンゾトリアゾール系化合物等が挙げられる。難
燃剤としては、例えば三酸化アンチモン等のアンチモン
系化合物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等
の水酸化物;トリアリルホスフェート、トリス(クロロ
エチル)ホスフェート等のリン酸エステル又はリン化合
物;赤リン系難燃剤;塩素化パラフィン等の塩素系難燃
剤;ヘキサブロモベンゼン等の臭素系難燃剤等が挙げら
れる。
【0024】本発明の組成物は、通常の混合機又は混練
機、例えばリボンブレンダー、タンブラー、ナウターミ
キサー、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等の混
合機、或いはバンバリーミキサー、ニーダー、ロール、
ニーダールーダー、単軸押出機、二軸押出機等の混練機
を使用して上記各成分を混合することにより、塊状で得
られる。
【0025】樹脂結合型磁石の製造方法 本発明の樹脂結合型磁石は、以上のようにして得られる
組成物を150℃以下、好ましくは10〜130℃で型
内に射出し、引き続き前記型内で150℃以下、好まし
くは10〜130℃で加熱硬化させることにより製造さ
れる。組成物の射出及び硬化、即ち射出成形はトランス
ファー成形機等の各種熱硬化性樹脂用成形機、好ましく
は射出成形機を使用して行う。この場合、射出時の温度
も硬化時の温度も150℃以下に維持する必要がある。
150℃を越えると、得られる磁石の磁気特性が急激に
低下する。
【0026】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を更
に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定
されるものではない。実施例1〜9、比較例1〜5 下記に示す材料を使用し、下記に示す製造方法に従っ
て、燐酸又は燐酸塩化合物被覆磁性粉末、樹脂結合型磁
石用組成物及び樹脂結合型磁石成型品を製造し、またこ
れら組成物及び成型品の性能を評価した。
【0027】材料: A 磁性粉末 ・磁性粉末1:Nd-Fe-B合金系磁性粉末 (商品名:MQP−B、米国ゼネラルモーターズ社製) 異方性磁場:70.4kOe ・磁性粉末2:Sm−Co合金系磁性粉末 (商品名:RCo5合金、住友金属鉱山(株)製) 異方性磁場:246kOe B 表面被覆処理剤(被覆剤) ・被覆剤1;燐酸亜鉛系被覆剤 (商品名:ホスニン153、理工協産(株)製) ・被覆剤2;有機燐酸系被覆剤 (商品名:MR−100、大八化学工業(株)製) C 熱硬化性樹脂 ・不飽和ポリエステル樹脂(UP樹脂1) (商品名:リゴラックM−500D、昭和高分子(株)
製) ・不飽和ポリエステル樹脂(UP樹脂2) (商品名:リゴラック4214、昭和高分子(株)製) ・エポキシ樹脂(EP樹脂1);ノボラック型液状エポ
キシ樹脂 (商品名:タ゛ウ・エホ゜キシ樹脂D.E.N.431、タ゛ウ・ケミカル日本
(株)製) ・エポキシ樹脂(EP樹脂2);ヒ゛スフェノールA型固形エポキ
シ樹脂 (商品名:エポトートYD−013、東都化成(株)
製) D 硬化剤 ・硬化剤1;パーオキシエステル系過酸化物(t-フ゛チルハ゜
ーオキシヘ゛ンソ゛エート) (商品名:パーブチルZ、日本油脂(株)製) ・硬化剤2;エポキシ樹脂加熱速硬化用硬化剤(アミン
系硬化剤) (商品名:エヒ゜キュアー170、油化シェルエホ゜キシ(株)製) ・硬化剤3;エポキシ樹脂用潜在性硬化剤(ジシアンジ
アミド) (商品名:DICY7、油化シェルエホ゜キシ(株)製)
【0028】燐酸又は燐酸塩化合物被覆磁性粉末の調
製 表1〜2(但し、各表中の部は重量部を表す)に示す実
施例1〜9の各組成に従って、磁性粉末に被覆剤を添加
混合し、プラネタリーミキサー中で十分混合撹拌(40
rpm,30℃)して、均一混合物にした後、70℃ま
で徐々に温度を上げ、攪拌しながら十分反応させた後、
残留被覆剤をよく洗浄し、さらに同一条件で乾燥させる
ことにより、燐酸又は燐酸塩化合物被覆磁性粉末を調製
した。 樹脂結合型磁石用組成物の作製 表1〜3(但し、各表中の部は重量部を表す)に示す実
施例1〜9及び比較例1〜5の各組成に従って、各実施
例の場合は磁性粉末と被覆剤とからなる燐酸又は燐酸塩
化合物被覆磁性粉末と、又は各比較例の場合は磁性粉末
と、熱硬化性樹脂と、硬化剤等の添加剤とをプラネタリ
ーミキサー中で十分混合、撹拌(40rpm,30℃)
し、樹脂結合型磁石用組成物を作製した。比較例4及び
5の各組成物の場合は、20mmφのシングル押出機
(L/D=25、CR=2.0、回転数=20rpm、
5mmφのストランドダイ使用、シリンダー温度は比較
例4の場合は200℃、比較例5の場合は220℃、ダ
イス温度は比較例4の場合は200℃、比較例5の場合
は220℃)で押し出した後、同様にホットカットペレ
タイザーを用いて樹脂結合型磁石用ペレットコンパウン
ドを作製した。 射出成形による樹脂結合型磁石の製造 各コンパウンドを射出成形機により表1〜3に示す成形
温度で金型内に射出成形し、引き続き表1〜3に示す温
度に維持された金型内で熱硬化させ、直径10mm×長
さ15mmの円柱試験用樹脂結合型磁石を製造した。但
し、磁性粉末2を使用した組成物又はコンパウンド(実
施例5、比較例5)については、15〜20kOeの磁
場中で同様に成形を行った。 各種特性の評価方法 以上のようにして得られた樹脂結合型磁石試料又は組成
物について、磁気特性〔(BH)maxとして〕、成形
性、耐熱性(熱変形温度として)を下記評価方法に従っ
て評価した。
【0029】・磁気特性 各磁石試料の磁気特性として(BH)maxをチオフィー
型自記磁束計により常温で測定した。(BH)maxの測
定結果を表1〜3に示す。従来の製造方法で得られた樹
脂結合型磁石の場合、(BH)maxは6.5MGOeである
ことから、7.0MGOe以上を”効果あり”と評価した。 ・成形性 各樹脂結合型磁石の製造時に、得られた磁石成型品を1
0個抽出し、重量を測定した。その重量バラツキの範囲
(最大値−最小値)が、 0.05g未満の場合を極めて良好 ◎ 0.05g以上0.10g未満の場合を良好 ○ 0.10g以上0.15g未満の場合を普通 △ 0.15g以上の場合を悪い × として評価した。 ・耐熱性 各樹脂結合型磁石の製造時に、別途幅4.0mm×高さ1
1.0mm×長さ120mmの試験片を成形し、これを
JIS K7207(硬質プラスチックの荷重たわみ温
度試験方法)に準じて熱変形温度を測定し、耐熱性を評
価した。以上の結果を表1〜3に示した。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
【表3】
【0033】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、燐酸又
は燐酸塩化合物被覆磁性粉末、及び熱硬化性樹脂を含む
ハ゛インタ゛ー系成分からなる組成物を150℃以下で射出成
形し、引き続き150℃以下の型内で熱硬化させること
により、磁気特性、形状自由度、耐熱性等に優れた樹脂
結合型磁石を製造することができる。こうして得られた
樹脂結合型磁石は、例えば、一般家電製品から通信・音
響機器、医療機器を経て一般産業機器に至る幅広い分野
で特に有用である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 異方性磁場(HA)が50kOe以上
    で、燐酸又は燐酸塩化合物で表面被覆された磁性粉末
    と、熱硬化性樹脂を含むバインダー系成分とからなり、
    前記バインダー系成分が−20℃〜150℃のいずれか
    の温度において500mPa・s〜3000mPa・sの動粘度を
    有することを特徴とする樹脂結合型磁石用組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の組成物を150℃以下
    で型内に射出し、引き続き前記型内で150℃以下で加
    熱硬化させることを特徴とする樹脂結合型磁石の製造方
    法。
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