JP7318422B2 - 樹脂組成物および成形品 - Google Patents

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本発明は、樹脂組成物および成形品に関する。より具体的には、溶融成形用の樹脂組成物およびこの樹脂組成物を用いて形成された成形品に関する。
磁性粉と樹脂とを含む樹脂組成物を成形して、磁心や磁石などの磁性部材を製造する技術が知られている。
一例として、特許文献1の実施例5には、(i)特定の軟磁性粉末に対して、アモルファスシリカ1.5重量部、アクリル樹脂1.5重量部、ステアリン酸亜鉛0.3重量部を混合した混合物を調製した旨、(ii)その混合物を圧縮成形、熱処理するなどして圧粉磁心を製造した旨が記載されている。
特開2009-231481号公報
特許文献1においては、「圧縮成形」により磁心が製造されている。しかし、圧縮成形は、複雑な形状の成形品を形成することが難しいという欠点を有する。このことは、電気・電子機器の小型化・複雑化の点で不利である。
また、磁性粉と樹脂とを含む樹脂組成物を成形して成形品を製造する場合、機械的強度が良好な成形品が製造可能であることが好ましい。しかし、本発明者の知見として、通常、磁性粉と樹脂の相溶性の悪さなどに起因して、通常、成形品の機械的強度は弱くなりがちである。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものである。本発明は、圧縮成形とは異なる成形方法により、機械的強度が良好な成形品(具体的には磁性部材など)を製造可能な樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、以下に提供される発明を完成させ、上記課題を解決した。
本発明によれば、
溶融成形用の樹脂組成物であって、
熱硬化性樹脂と、シロキサンポリマーを含む表面被覆層を備える磁性体粒子と、を含む樹脂組成物
が提供される。
また、本発明によれば、
上記の樹脂組成物を用いて形成された成形品
が提供される。
本発明によれば、圧縮成形とは異なる成形方法により、機械的強度が良好な成形品(具体的には磁性部材など)を製造可能な樹脂組成物が提供される。
磁性コアを備えるコイルを模式的に示す図である。 磁性コアを備えるコイル(図1のものとは別の態様)を模式的に示す図である。 一体型インダクタを模式的に示す図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
煩雑さを避けるため、(i)同一図面内に同一の構成要素が複数ある場合には、その1つのみに符号を付し、全てには符号を付さない場合や、(ii)特に図2以降において、図1と同様の構成要素に改めては符号を付さない場合がある。
すべての図面はあくまで説明用のものである。図面中の各部材の形状や寸法比などは、必ずしも現実の物品と対応しない。
本明細書中、数値範囲の説明における「X~Y」との表記は、特に断らない限り、X以上Y以下のことを表す。例えば、「1~5質量%」とは「1質量%以上5質量%以下」を意味する。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換か無置換かを記していない表記は、置換基を有しないものと置換基を有するものの両方を包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有しないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本明細書における「有機基」の語は、特に断りが無い限り、有機化合物から1つ以上の水素原子を除いた原子団のことを意味する。例えば、「1価の有機基」とは、任意の有機化合物から1つの水素原子を除いた原子団のことを表す。
<樹脂組成物>
本実施形態の樹脂組成物は、溶融成形用である。換言すると、本実施形態の樹脂組成物は、溶融成形法によって成形品を製造する際の材料として用いられる。
本実施形態の樹脂組成物は、熱硬化性樹脂と、シロキサンポリマーを含む表面被覆層を備える磁性体粒子と、を含む。
本実施形態の樹脂組成物は、「溶融成形用」であることにより、従来の圧縮成形法による磁性部材の形成と比較して、小型/複雑な形状の磁性部材を形成可能である。
また、本実施形態の樹脂組成物は、磁性体粒子として、シロキサンポリマーを含む表面被覆層を含む。このことにより、熱硬化性樹脂と磁性体粒子との相溶性が高まると考えられる。そして、成形品中の各成分の分布の均一性が高まり、成形品の機械的強度が向上すると推定される。
本実施形態の樹脂組成物の含有成分、物性などについて以下具体的に説明する。
以下では、「シロキサンポリマーを含む表面被覆層を備える磁性体粒子」を、「特定磁性体粒子」と表現することがある。
(熱硬化性樹脂)
本実施形態の樹脂組成物は、熱硬化性樹脂を含む。
熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂、ユリア(尿素)樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、シアネートエステル樹脂、シリコーン樹脂、オキセタン樹脂(オキセタン化合物)、(メタ)アクリレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ベンゾオキサジン樹脂等が挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
特に、熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂を含むことが好ましい。これにより、一般的な条件下(温度、金型への注入圧力等)での溶融成形において、良好な成形性を得やすい。
エポキシ樹脂として、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールA型ノボラック樹脂、トリアジン骨格含有フェノールノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂;未変性のレゾールフェノール樹脂、桐油、アマニ油、クルミ油等で変性した油変性レゾールフェノール樹脂等のレゾール型フェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂等のフェノール樹脂;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールM型エポキシ樹脂、ビスフェノールP型エポキシ樹脂、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、アリールアルキレン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、フェノキシ型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ノルボルネン型エポキシ樹脂、アダマンタン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、トリスフェニルメタン型エポキシ樹脂等を挙げることができる。
エポキシ樹脂は、分子中に2個以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ樹脂を含むことができる。エポキシ樹脂としては、トリスフェニルメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂等を好ましく挙げることができる。これらのうち1または2以上を用いることで、耐熱性が高く、また、溶融成形に適した樹脂組成物を得やすい。
特に、エポキシ樹脂は、以下一般式(a1)で表される構造単位を有するエポキシ樹脂、および/または、以下一般式(a2)で表される構造単位を有するエポキシ樹脂を含むことが好ましい。とりわけ、これら2種のエポキシ樹脂を併用することで、成形時の適度な流動性を得つつ、成形品の耐熱性を高めることができる。これら2種のエポキシ樹脂を併用する場合、併用比率(質量比)は、例えば10/90~90/10、好ましくは20/80~80/20である。
Figure 0007318422000001
一般式(a1)中、
11は、複数ある場合はそれぞれ独立に、1価の置換基を表し、
12は、複数ある場合はそれぞれ独立に、1価の置換基を表し、
iは、0~3の整数であり、
jは、0~4の整数である。
11およびR12の1価の置換基としては、1価の有機基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基等を挙げることができる。
1価の有機基の例としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキリデン基、アリール基、アラルキル基、アルカリル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、ヘテロ環基、カルボキシル基などを挙げることができる。1価の有機基の炭素数は、例えば1~30、好ましくは1~20、より好ましくは1~10、更に好ましくは1~6である。
アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などが挙げられる。
アルケニル基の例としては、アリル基、ペンテニル基、ビニル基などが挙げられる。
アルキニル基の例としては、エチニル基などが挙げられる。
アルキリデン基の例としては、メチリデン基、エチリデン基などが挙げられる。
アリール基の例としては、トリル基、キシリル基、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基が挙げられる。
アラルキル基の例としては、ベンジル基、フェネチル基などが挙げられる。
アルカリル基の例としては、トリル基、キシリル基などが挙げられる。
シクロアルキル基の例としては、アダマンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などが挙げられる。
アルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、s-ブトキシ基、イソブトキシ基、t-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基などが挙げられる。
ヘテロ環基の例としては、エポキシ基、オキセタニル基などが挙げられる。
iおよびjは、それぞれ独立に、好ましくは0~2、より好ましくは0~1である。
一態様として、iおよびjはともに0である。つまり、一態様として、一般式(a1)中のベンゼン環の全ては、1価の置換基としては、明示されたグリシジルオキシ基以外の置換基を有しない。
Figure 0007318422000002
一般式(a2)中、
2つのRはそれぞれ独立に、水素原子またはメチル基であり、
22は、複数ある場合はそれぞれ独立に、1価の置換基を表し、
23は、複数ある場合はそれぞれ独立に、1価の置換基を表し、
pおよびqは、それぞれ独立に、0~4の整数である。
一般式(a2)におけるR22およびR23の1価の置換基の具体例としては、一般式(a1)におけるR11およびR12の1価の置換基として説明したものと同様のものを挙げることができる。ここで、R22およびR23の1価の置換基としては、アルキル基が好ましく、直鎖または分枝状の炭素数1~6のアルキル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
一般式(a2)におけるpおよびqは、それぞれ独立に、好ましくは0~3、より好ましくは0~2である。溶融時の適度な流動性の観点などから、2つのRがメチル基である場合には、pおよびqは好ましくは0であり、2つのRが水素原子である場合には、pおよびqは好ましくは1または2である。
本実施形態の樹脂組成物は、熱硬化性樹脂を1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。
本実施形態の樹脂組成物中の熱硬化性樹脂の含有量は、樹脂組成物全体を基準(100質量%)として、例えば0.5~20質量%、好ましくは1~15質量%である。このような数値範囲とすることにより、成形性および機械的特性を一層向上させることができる。
(特定磁性体粒子)
本実施形態の樹脂組成物は、シロキサンポリマーを含む表面被覆層を備える磁性体粒子(特定磁性体粒子)を含む。
・特定磁性体粒子の元素組成
特定磁性体粒子は、好ましくは、Fe、Cr、Co、Ni、AgおよびMnからなる群より選択される1種または2種以上の元素を含む。特定磁性体粒子がこれらの元素のいずれかを含むことで、磁気特性をより高めることができる。
一態様として、特定磁性体粒子は、軟磁性粒子を含む。換言すると、特定磁性体粒子は、好ましくは、シロキサンポリマーで被覆されていない軟磁性粒子が、シロキサンポリマーを含む表面被覆層で被覆されたものを含む(被覆方法については後述する)。軟磁性粒子を用いることで、コイルの磁性コアに好ましい磁気的特性を得ることができる。
特に、特定磁性体粒子は、好ましくは鉄基粒子を含む。換言すると、特定磁性体粒子は、好ましくは、シロキサンポリマーで被覆されていない鉄基粒子が、シロキサンポリマーを含む表面被覆層で被覆されたものである。鉄基粒子を用いることで、とりわけ、コイルの磁性コアに好ましい磁気的特性を得ることができる。また、鉄基粒子は、コストや入手性の点からも好ましい。
鉄基粒子とは、鉄原子を主成分とする(化学組成において鉄原子の含有質量が一番多い)粒子のことを言い、より具体的には、化学組成において鉄原子の含有質量が一番多い鉄合金のことをいう。
鉄基粒子としてより具体的には、軟磁性を示し、鉄原子の含有率が85質量%以上(より好ましくは90質量%以上)である粒子を用いることができる。
念のため述べておくと、軟磁性とは、保磁力が小さい強磁性のことを指す。一般的には、保磁力が800A/m以下である強磁性のことを軟磁性という。
このような粒子の構成材料としては、構成元素としての鉄の含有率が85質量%以上である金属含有材料が挙げられる。構成元素としての鉄の含有率が高い金属材料は、透磁率や磁束密度等の磁気特性が比較的良好な軟磁性を示す。このため、成形されたとき、良好な磁気特性を示しうる樹脂組成物が得られる。
上記の金属含有材料の形態としては、例えば、単体の他、固溶体、共晶、金属間化合物のような合金等が挙げられる。このような金属材料で構成された粒子を用いることにより、鉄に由来する優れた磁気特性、すなわち、高透磁率や高磁束密度等の磁気特性を有する樹脂組成物を得ることができる。
また、上記の金属含有材料は、構成元素として鉄以外の元素を含んでいてもよい。鉄以外の元素としては、例えば、B、C、N、O、Al、Si、P、S、Ti、V、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Cd、In、Sn等が挙げられる。これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記の金属含有材料の具体例としては、例えば、純鉄、ケイ素鋼、鉄-コバルト合金、鉄-ニッケル合金、鉄-クロム合金、鉄-アルミニウム合金、カルボニル鉄、ステンレス鋼、またはこれらのうちの1種もしくは2種以上を含む複合材料等が挙げられる。入手性などの観点からカルボニル鉄を好ましく用いることができる。
上記では鉄基粒子を中心に説明したが、もちろん、特定磁性体粒子はそれ以外の粒子を含んでもよい。例えば、特定磁性体粒子は、Ni基軟磁性粒子、Co基軟磁性粒子等を含んでもよい。
・表面被覆層について
表面被覆層は、シロキサンポリマーを含む限り、特に限定されない。また、表面被覆層が含むシロキサンポリマーは、シロキサン結合(Si-O-Si)を含むものである限り、特に限定されない。シロキサンポリマーは任意の置換基を備えることができる。
特定磁性体粒子において、シロキサンポリマーを含む表面被覆層は、特定磁性体粒子の表面の少なくとも一部に存在していればよい。ただし、機械的特性の向上などの効果を十二分に得る点では、表面被覆層は、実質上、特定磁性体粒子の表面全体に存在していることが好ましい。
別の言い方として、特定磁性体粒子の断面を観察したときに、表面被覆層は、断面の外周全体に(切れ目なく)存在していることが好ましい。微細な特定磁性体粒子の「表面全体」を、3次元的に全て確認して表面被覆層の有無を確認することは非現実的である。よって、このように「断面」を確認することで、表面被覆層が特定磁性体粒子の表面全体を十分に覆っているか否かの確認に替えることができる。
特定磁性体粒子の断面の観察は、例えば、(1)まず、集束イオンビーム装置を用いて特定磁性体粒子の断面を露出させ、(2)その断面を電子顕微鏡で観察すること、により行うことができる。なお、電子顕微鏡による観察をしやすくするために、Pt蒸着を行ってもよい。
表面被覆層の厚みは特に限定されない。表面被覆層の厚さは、好ましくは5~100nm、より好ましくは10~100nm、さらに好ましくは20~100nmである。十分な厚みの表面被覆層が設けられていることにより、成形品の機械的強度の向上効果を確実に得ることができると考えられる。一方、表面被覆層の厚みが大きすぎないことにより、成形品の磁気的特性をより高めることができる。
表面被覆層の厚みは、例えば、上述の断面観察により知ることができる。
・表面被覆層以外の層の存在について
特定磁性体粒子は、表面被覆層以外の層を備えていてもよい。
例えば、特定磁性体粒子は、表面被覆層の内側に、リン系化合物を含む絶縁性向上層を更に備えることが好ましい。絶縁性向上層が存在することにより、成形品の絶縁性をより高めうる。
絶縁性向上層の設け方や、絶縁性向上層を設けるための材料などは特に限定されない。
一例として、リン酸塩系ガラス、より具体的には、酸化スズを含有するリン酸塩系ガラス(SnO・P)を、絶縁性向上層を備えない磁性体粒子に機械的に固着させる(高い圧力で押圧することで固着させる)ことで、絶縁性向上層を設けることができる(方法1)。
具体的には、ハンマーミル、ディスクミル、ローラーミル、ボールミル、遊星ミル、ジェットミル等の各種粉砕機や、オングミル(登録商標)、高速楕円型混合機、ミックスマラー(登録商標)、ヤコブソンミル、メカノフュージョン(登録商標)、ハイブリダイゼーション(登録商標)等の摩擦混合機のいずれかを用いて、撹拌と圧縮摩擦作用とを繰り返すことで、絶縁性向上層を備えない磁性体粒子に、絶縁性向上層を機械的に固着させることができる
また、別の例として、絶縁性向上層は、絶縁性材料を溶媒に溶解または分散した液により、磁性体粒子を処理することで設けてもよい(方法2)。
例えば、(1)リン含有化合物、具体的には、オルトリン酸(HPO)、ピロリン酸(H)のようなリン酸系化合物を、適当な溶媒または分散媒と混合して溶液または分散液とし、(2)この溶液または分散液を、絶縁性向上層を備えない磁性体粒子に浸漬、噴霧等し、その後溶媒または分散媒を乾燥させることで、絶縁性向上層を設けることができる。
溶媒または分散媒は特に限定されない。水、エタノール、α-テルピネオール、フェノキシエタノール、エチルセロソルブ、ジブチルセロソルブ、ブチルカルビトールアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテル等を挙げることができる。また、溶媒または分散媒には、エチルセルロース、ニトロセルロース、ブチラール樹脂等の樹脂成分が添加されていてもよい。
特定磁性体粒子は、上記の方法1により得られた絶縁性向上層と、上記の方法2により得られた絶縁性向上層の両方を備えていてもよい。
絶縁性向上層の組成や、絶縁性向上層の設け方については、特許第5293326号公報、特許第5381219号公報、特許第5381220号公報の記載なども参照されたい。また、絶縁性向上層を備える
・粒径、粒径分布、粒子形状について
特定磁性体粒子の粒径や粒径分布は特に限定されない。ただし、粒径や粒径分布を適切に調整することで、溶融成形の際の流動性を適切に調整したり、成形品の絶縁性を高めたりすることができる。
具体的には、特定磁性体粒子の、体積基準の粒子径分布曲線における累積50%値D50は、好ましくは1~65μm、より好ましくは3~60μm、さらに好ましくは5~55μmである。
50が1μm以上であることで、溶融成形の際の流動性を十分良好としやすい。
50が65μm以下であることで、成形体の単位体積中に存在する、特定磁性体粒子間の「境界」が多くなる。このことより、成形品の絶縁性をより高めることができる。
50とは別観点として、特定磁性体粒子の、体積基準の粒子径分布曲線における累積10%値をD10、累積90%値をD90としたとき、D90/D10の値は、好ましくは2~50、より好ましくは2~40、さらに好ましくは2~30、特に好ましくは2~20である。
90/D10の値は、粒子径分布曲線の「広がり具合」を示す数値と言える。D90/D10の値が適当な数値範囲内であることは、集団としての粒子中に、比較的大きな粒子と比較的小さな粒子とが混在することを意味すると言える。そうすると、比較的大きな粒子の間に、比較的小さな粒子が入り込んで、成形品中での特定磁性体粒子の「密度」を高めやすい。これにより、磁気的特性を一層向上させることができる。
粒径や粒径分布の情報は、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置を用い、粒子を乾式で測定することで、体積基準の値として求めることができる。
磁性体粒子は、真円(真球)に近い形状であることが好ましい。これにより、粒子同士の摩擦が少なくなり、流動性を一層高めることができると考えられる。
具体的には、以下で定義される「真円度」を、特定磁性体粒子の任意の10個以上(好ましくは50個以上)について求め、その値を平均することで求められる平均真円度が0.60以上であることが好ましく、0.75以上であることがより好ましい。
真円度の定義:特定磁性体粒子の輪郭を走査型電子顕微鏡で観察したときの、当該輪郭から求められる等面積円相当径をReq、当該輪郭に外接する円の半径をRcとしたときの、Req/Rcの値。
・樹脂組成物中の含有量
本実施形態の樹脂組成物中の、特定磁性体粒子の含有比率は、好ましくは90質量%以上、より好ましくは90~99質量%、さらに好ましくは93~99質量%である。含有比率が90質量%以上であることで、磁気的特性が優れた成形品(磁性部材)を得やすい。一方、含有比率が99質量%以下であることで、熱可塑性樹脂などを十分な量用いることができ、成形性、機械的強度などを一層高めうる。
・特定磁性体粒子の製造方法
特定磁性体粒子は、例えば、テトラアルコキシシランの加水分解反応を利用して製造することができる。具体的には、原料の磁性粉に対し、テトラアルコキシシラン、水、有機溶剤およびアルカリ化合物を含む溶液を作用させることで、原料の磁性粉の表面に、シロキサンポリマーを含む表面被覆層を設けることができる。より具体的には、例えば、以下工程1~3のようにして特定磁性体粒子を製造することができる。
工程1:原料の磁性粉の分散
まず、内容物を撹拌可能な容器中に、原料の磁性粉と、分散媒とを投入し、攪拌することで、分散媒中に磁性粉を分散させて分散液とする。分散は、適当な攪拌装置を用い、50~300rpm程度の攪拌条件下で行うことができる。
原料の磁性粉は、例えば、エプソンアトミックス株式会社、大同特殊鋼株式会社、BASF社などから入手することができる。原料の磁性粉の元素組成については前述のとおりである。
分散媒は、水、有機溶媒、水と有機溶媒の混合溶媒などであることができる。後述の加水分解工程を考慮すると、水と有機溶剤の混合溶媒であることが好ましい。また、有機溶剤としてはアルコールが好ましい。具体的には、メタノール、エタノール、n-プロパノール、2-プロパノール、n-ブタノール、2-ブタノールなどを挙げることができる。これらの中でもエタノールが好ましい。
後述の加水分解工程を促進するため、分散液を加熱しておいてもよい。加熱温度は特に限定されないが、例えば40~60℃である。
工程2:表面被覆層形成用溶液の添加
上記工程1で得られた分散液を収容する容器中に、攪拌および場合によっては加熱(40~60℃)を継続しつつ、テトラアルコキシシラン、水、有機溶剤およびアルカリ化合物を添加する。これにより、原料の磁性粉の表面に、シロキサンポリマー(テトラアルコキシシランの縮合物である)を含む表面被覆層が形成される。
テトラアルコキシシランとしては、入手コストや適度な加水分解性などの点で、テトラエトキシシラン(TEOS、Si(OC)が好ましい。その他、テトラアルコキシシランとして、テトラメトキシシラン、テトラプロポキシシラン等も用いることができる。
有機溶剤としては、上記工程1で挙げたものと同様のものが挙げられる。
アルカリ化合物としては、アンモニアや有機塩基を挙げることができる。
テトラアルコキシシランは、例えば、反応系中での初期濃度が、例えば0.01~1.0mol/L、好ましくは0.05~0.5mol/Lとなるような量で適宜調整される。テトラアルコキシシランの濃度を適切に調整することで、表面被覆層の厚みを適切に制御しやすい。また、特定磁性体粒子の凝集を抑えやすい。
アルカリ化合物の量は、反応系のpHが、好ましくは7~12、より好ましくは8~11となる量で調整される。pHを適切に制御することで、反応速度を制御したり、表面被覆層の厚みを適切に制御したりすることができる。
反応系中における溶媒は、加水分解による反応の進行しやすさの点で、水と有機溶媒の混合溶媒であることが好ましい。
工程2を行う時間は、所望の表面被覆層の厚み等により適宜調整すればよいが、例えば30分~12時間、好ましくは1~10時間、より好ましくは2~10時間である。
工程3:後処理
工程2で得られた特定磁性体粒子に超音波を当てて洗浄し、そして乾燥させることで、不純物が低減された特定磁性体粒子を得ることができる。また、超音波により、粒子の凝集が低減されるとも考えられる。粒子の凝集が低減されることで、成形品中で粒子が均一に分散することとなり、成形品の機械的強度が一層向上すると考えられる。
乾燥条件は、例えば50~100℃で30分~3時間程度とすることができる。
・特定磁性体粒子の表面修飾
特定磁性体粒子は、シロキサンポリマーによる表面被覆に加えて、何らかの表面修飾がされていてもよい。例えば、シランカップリングなどのカップリング剤による修飾がされていてもよい。
カップリング剤により、特定磁性体粒子は、例えば下記一般式(1)で表される官能基で修飾される。
*-O-X-R ・・・(1)
[式中、Rは有機基を表し、XはSi、Ti、Al、またはZrであり、*は磁性体粒子を構成する原子の1つである。]
上記官能基は、例えば、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤等の公知のカップリング剤による表面処理によって形成された残基であるが、シラン系カップリング剤およびチタン系カップリング剤からなる群より選択されるカップリング剤の残基であることが好ましい。
カップリング剤で表面処理する場合、その方法としては、特定磁性体粒子をカップリング剤の希釈溶液に浸漬したり、特定磁性体粒子にカップリング剤を直接噴霧したりする方法が挙げられる。
カップリング剤の使用量は、特定磁性体粒子100質量部に対して、例えば、0.05~1質量部が好ましく、0.1~0.5質量部であるのがより好ましい。
カップリング剤と特定磁性体粒子を反応させるときの溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等が挙げられる。また、このときのカップリング剤の使用量は、溶媒100質量部に対して、0.1~2質量部が好ましく、0.5~1.5質量部がより好ましい。
カップリング剤と磁性体粒子との反応時間(例えば希釈溶液への浸漬時間等)は、1~24時間であることが好ましい。
また、上述したような官能基を結合させる際には、特定磁性体粒子に対する表面処理の一環として、事前にプラズマ処理を施してもよい。例えば、酸素プラズマ処理を施すことにより、磁性体粒子の表面にOH基が生じて、酸素原子を介した磁性体粒子とカップリング剤の残基との結合が容易になる。これにより、より強固に官能基を結合させることができる。
なお、シランカップリング剤による修飾のみが行われ、シロキサンポリマーによる表面被覆がされていない磁性体粒子は、本実施形態から除外される。
本実施形態の樹脂組成物は、特定磁性体粒子を1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。
本実施形態の樹脂組成物中の特定磁性体粒子の含有量は、樹脂組成物全体を基準(100質量%)として、好ましくは90質量%以上、より好ましくは93質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。樹脂組成物中の磁性体粒子の含有量の上限については、十分な流動性を確保する点などから、例えば99質量%以下である。磁性体粒子の含有量を十分多くすることで、磁気的特性を一層向上させることができる。
(硬化剤)
本実施形態の樹脂組成物は、好ましくは硬化剤を含む。硬化剤は、熱硬化性樹脂と反応して熱硬化性樹脂を硬化させることが可能である限り、特に限定されない。硬化剤を用いることで、適度な加熱時間で硬化する樹脂組成物を得ることができる。また、硬化剤を用いることで、成形品の機械的強度をより高めることができる。
熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂を含む場合には、硬化剤として、例えば脂肪族ポリアミン、芳香族ポリアミン、芳香族ジアミン、ジシアミンジアミドのようなアミン化合物、脂環族酸無水物、芳香族酸無水物のような酸無水物、ノボラック型フェノール樹脂のようなポリフェノール化合物(フェノール系硬化剤)、イミダゾール化合物等を用いることが好ましい。
熱硬化性樹脂がノボラック型フェノール樹脂等のフェノール樹脂を含む場合、硬化剤としては例えばヘキサメチレンテトラミン等を用いることが好ましい。
熱硬化性樹脂がマレイミド樹脂を含む場合、硬化剤としては例えばイミダゾール化合物を用いることが好ましい。
本実施形態においては、硬化剤はフェノール系硬化剤を含むことが好ましい。
フェノール系硬化剤は、フェノール性ヒドロキシ基を含み、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂と反応しうるものである限り、特に限定されない。フェノール系硬化剤は、低分子であっても高分子であってもよい。
フェノール系硬化剤は、好ましくはノボラック樹脂を含む。フェノール系硬化剤がノボラック樹脂を含むことで、特に成形品(磁性部材)の耐熱性を高めることができる。
硬化剤が高分子またはオリゴマーである場合、硬化剤の数平均分子量(GPC測定による標準ポリスチレン換算値)は、特に限定されないが、例えば200~800程度である。
本実施形態の樹脂組成物が硬化剤を含む場合、硬化剤を1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。
本実施形態の樹脂組成物が硬化剤を含む場合、硬化剤の含有量は、樹脂組成物全体を基準(100質量%)として、例えば0.5~20質量%、好ましくは1~15質量%である。
硬化剤を用いる場合、その量を適切に調整することにより、成形性を一層向上させることができ、得られる硬化物(磁性部材)の機械特性や磁気特性を向上させることができる。
(離型剤)
本実施形態の樹脂組成物は、好ましくは離型剤を含む。これにより、成形時の樹脂組成物の離型性を高めることができる。
離型剤としては、例えば、カルナバワックス等の天然ワックス、モンタン酸エステルワックスや酸化ポリエチレンワックス等の合成ワックス、ステアリン酸亜鉛等の高級脂肪酸およびその金属塩類、パラフィン等が挙げられる。
離型剤を用いる場合、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
離型剤を用いる場合、その量は、例えば、樹脂組成物全体を基準(100質量%)として、例えば0.01~3質量%、好ましくは0.05~2質量%である。適度な量の離型剤を用いることで、他の性能を維持しつつ、成形時における離型性を向上させることができる。
(硬化促進剤)
本実施形態の樹脂組成物は、硬化促進剤を含むことが好ましい。これにより、樹脂組成物の硬化性を向上させることができる。
硬化促進剤としては、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂の硬化反応を促進させるものであれば任意のものを用いることができる。例えば、公知のエポキシ硬化触媒を用いることができる。
具体的には、有機ホスフィン、テトラ置換ホスホニウム化合物、ホスホベタイン化合物、ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物、ホスホニウム化合物とシラン化合物との付加物等のリン原子含有化合物;2-メチルイミダゾール等のイミダゾール類(イミダゾール系硬化促進剤);1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7、ベンジルジメチルアミン等が例示されるアミジンや3級アミン、アミジンやアミンの4級塩等の窒素原子含有化合物などを挙げることができる。
硬化促進剤を用いる場合、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
硬化促進剤を用いる場合、その含有量は、樹脂組成物全体に対して、好ましくは0.01~1質量%、より好ましくは0.05~0.8質量%である。このような数値範囲とすることにより、他の性能を維持しつつ、十分に硬化性向上の効果が得られる。
(その他の成分)
本実施形態の樹脂組成物は、上述した成分以外の成分を含んでいてもよい。例えば、低応力剤、カップリング剤、密着助剤、着色剤、酸化防止剤、耐食剤、染料、顔料、難燃剤、離型剤(ワックス)、非磁性体粒子(例えばシリカ)等のうち、1または2以上を含んでもよい。
また、本実施形態の樹脂組成物は、機械的強度の改善効果が得られる限り、特定磁性体粒子とは異なる磁性体粒子を含んでいてもよい。すなわち、本実施形態の樹脂組成物は、特定磁性体粒子と、特定磁性体粒子とは異なる磁性体粒子の2種の磁性体粒子を含んでもよい。
もちろん、本実施形態の樹脂組成物は、磁性体粒子として特定磁性体粒子のみを含んでもよい。機械的強度の改善効果を十二分に確実に得る観点では、全磁性体粒子中の特定磁性体粒子の割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。
低応力剤としては、ポリブタジエン化合物、アクリロニトリルブタジエン共重合化合物、シリコーンオイル、シリコーンゴム等のシリコーン化合物が挙げられる。低応力剤を用いる場合、1種のみを用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
カップリング剤としては、上述の、特定磁性体粒子の表面修飾に関する説明で挙げたカップリング剤を用いることができる。例えば、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、ジルコニア系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。カップリング剤を用いる場合、1種のみを用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
本実施形態の樹脂組成物がその他の成分を含む場合、その量は、樹脂組成物全体を基準(100質量%)として、例えば0.001~10質量%の範囲で適宜調整される。
(樹脂組成物の性状や製造方法など)
本実施形態の樹脂組成物は、室温(25℃)において固形であってよい。
本実施形態の樹脂組成物の性状は、粉末状、顆粒状またはタブレット状などとすることができる。
本実施形態の樹脂組成物は、例えば、まず(1)ミキサーを用いて各成分を混合し、(2)その後、ロールを用いて、120℃前後で5分程度混練することにより混練物を得、(3)そして得られた混練物を冷却後粉砕することにより製造することができる。以上により、粉末状の樹脂組成物を得ることができる。
必要に応じて、粉末状の樹脂組成物を打錠し、顆粒状やタブレット状にしてもよい。これにより、トランスファー成形等の溶融成形に適する樹脂組成物が得られる。また、樹脂組成物を室温(25℃)で固形とすることにより、搬送性や保管性をより高めることが可能である。
<成形品、成形品の製造方法>
本実施形態の樹脂組成物は、トランスファー成形法、射出成形法、押出成形法等の溶融成形法により、所望の形状に成形される。
これらの方法の中でも、本実施形態の樹脂組成物は、トランスファー成形法による成形に適している。つまり、トランスファー成形装置を用いて、上述の樹脂組成物の溶融物を金型に注入し、その溶融物が硬化した成形品(磁性部材)を得ることができる。成形品は、電気・電子デバイス中の磁性部材などとして好適に用いることができる。より具体的には、成形物は、コイル(用途や目的により、リアクトルやインダクタなどとも呼ばれる)の磁性コアなどとして好適に用いられる。
トランスファー成形については、公知のトランスファー成形装置を適宜用いて行うことができる。具体的には、まず、予熱した樹脂組成物を、トランスファー室とも言われる加熱室に入れて溶融し、溶融物を得る。その後、その溶融物をプランジャーで金型に注入し、そのまま保持して溶融物を硬化させる。これにより、所望の成形物を得ることができる。
トランスファー成形は、成形品の寸法の制御性や、形状自由度の向上などの点で、他の成形法に比べて好ましい。
トランスファー成形における各種条件は、任意に設定することができる。例えば、予熱の温度は60~100℃、溶融の際の加熱温度は150~250℃、金型温度は150~200℃、金型に樹脂組成物の溶融物を注入する際の圧力は1~20MPaの間で適宜調整することができる。
<磁性部材およびコイル>
上述のように、本実施形態の樹脂組成物を用いて得られた成形品(樹脂組成物の硬化物)は、磁性部材として好適に用いることができる。ここでは、得られた成形品(磁性部材)を磁性コアおよび/または外装部材として備えるコイルの態様について説明する。
(第1の態様)
図1(a)および図1(b)は、本実施形態の樹脂組成物の成形品で構成された磁性コアを備えるコイル100(リアクトル)を模式的に示した図である。
図1(a)は、上面から見たコイル100の概要を示す。図1(b)は、図1(a)におけるA-A'断面視における断面図を示す。
コイル100は、図1に示されるように、巻線10および磁性コア20を備えることができる。磁性コア20は、空芯コイルである巻線10の内部に充填されている。図1(a)に示す一対の巻線10は、並列した状態で連結されている。この場合、環状の磁性コア20は、図1(b)に示す1対の巻線10の内部を貫通する構造を有する。これらの磁性コア20と巻線10とは一体化した構造を有することができる。
コイル100は、巻線10と磁性コア20との間に、これらの絶縁を確保する観点から、不図示のインシュレータを介在させた構造であってもよい。
コイル100において、巻線10および磁性コア20は、外装部材30(封止部材)で封止されていてもよい。例えば、筐体(ケース)中に巻線10および磁性コア20を収容し、そこに液状樹脂を導入し、必要に応じて液状樹脂を硬化することにより、巻線10および磁性コア20の周囲に外装部材30を形成してもよい。このとき巻線10は、巻線の端部を外装部材30の外部に引き出した不図示の引き出し部を有していてもよい。
巻線10は、通常、金属線の表面に絶縁被覆を施した巻線を巻回した構造により構成される。金属線は、導電性の高いものが好ましく、銅、銅合金が好適に利用できる。また、絶縁被覆は、エナメルなどの被覆が利用できる。巻線の断面形状は、円形や矩形、六角形などが挙げられる。
一方、磁性コア20の断面形状は、特に限定されないが、例えば、断面視において、円形形状や、四角形や六角形などの多角形状とすることができる。磁性コア20は、例えば本実施形態の樹脂組成物の溶融成形品で構成されるため、所望の形状を有することが可能である。
本実施形態の樹脂組成物の硬化物によれば、成形性および磁気特性に優れた磁性コア20を実現できる。すなわち、この磁性コア20を備えるコイル100は、量産適性が良好であり、また、鉄損が小さいことなどが期待される。また、機械的特性に優れた磁性コア20を実現できるため、コイル100の耐久性や信頼性、製造安定性を高めることが可能である。このため、コイル100は、昇圧回路用や大電流用のリアクトルとして用いることができる。
(第2の態様)
上記のコイルとは別の態様として、本実施形態の樹脂組成物の成形品で構成された外装部材を備えるコイル(インダクタ)の概要を、図2を参照しつつ説明する。
図2(a)は、コイル100Bの上面からみたコイルの概要を示す。図2(b)は、図2(a)におけるB-B'断面視における断面図を示す。
コイル100Bは、図2に示されるように、巻線10Bおよび磁性コア20Bを備えることができる。磁性コア20Bは、空芯コイルである巻線10Bの内部に充填されている。図2(a)に示される一対の巻線10Bは、並列した状態で連結されている。この場合、環状の磁性コア20Bは、図2(b)に示される1対の巻線10Bの内部を貫通する構造を有する。これらの磁性コア20Bと巻線10Bとは、それぞれ個別に作成し、組み合わせた組合せ構造を有することができる。
コイル100Bは、巻線10Bと磁性コア20Bとの間に、これらの絶縁を確保する観点から、不図示のインシュレータを介在させた構造であってもよい。
コイル100Bにおいて、巻線10Bおよび磁性コア20Bは、外装部材30B(封止部材)で封止されている。例えば、巻線10Bに充填された磁性コア20Bを金型に配置し、本実施形態の樹脂組成物を用いて、トランスファー成形等の溶融成形することにより、樹脂組成物を硬化させて、巻線10Bおよび磁性コア20Bの周囲に外装部材30Bを形成することができる。このとき巻線10Bは、巻線の端部を外装部材30Bの外部に引き出した不図示の引き出し部を有してもよい。
巻線10Bは、通常、金属線の表面に絶縁被覆を施した導線を巻回した構造により構成される。金属線は、導電性の高いものが好ましく、銅、銅合金が好適に利用できる。また、絶縁被覆は、エナメルなどの被覆が利用できる。巻線10Bの断面形状は、円形や矩形、六角形などが挙げられる。
一方、磁性コア20Bの断面形状は、特に限定されないが、例えば、断面視において、円形形状や、四角形や六角形などの多角形状とすることができる。磁性コア20Bは、例えば、磁性粉とバインダーとで構成された圧粉鉄芯を用いることができる。
本実施形態の樹脂組成物の硬化物によれば、成形性および磁気特性に優れた外装部材30Bを実現できるため、磁性コア20Bを備えるコイル100Bにおいては、低磁気損失が期待される。また、機械的特性に優れた外装部材30Bを実現できるため、コイル100Bの耐久性や信頼性、製造安定性を高めることが可能である。
(第3の態様)
更に別の態様として、本実施形態の樹脂組成物の硬化物で構成された磁性コアと外装部材を備える一体型インダクタの概要を、図3を参照しつつ説明する。
図3(a)は、一体型インダクタ100Cの上面からみた構造体の概要を示す。図3(b)は、図3(a)におけるC-C'断面視における断面図を示す。
一体型インダクタ100Cは、図3に示されるように、巻線10Cおよび磁性コア20Cを備えることができる。磁性コア20Cは、空芯コイルである巻線10のC内部に充填されている。巻線10Cおよび磁性コア20Cは、外装部材30C(封止部材)で封止されている。磁性コア20Cおよび外装部材30Cは、本実施形態の樹脂組成物の成形品で構成することができる。磁性コア20Cおよび外装部材30Cは、シームレスの一体部材として形成されていてもよい。
一体型インダクタ100Cの製造方法としては、例えば、巻線10Cを金型に配置し、本実施形態の樹脂組成物を用いて、トランスファー成形等の溶融成形をする。これにより、樹脂組成物を硬化させて、巻線10C中に充填された磁性コア20Cおよびこれらの周囲に外装部材30Cを一体的に形成することができる。このとき、巻線10Cは、巻線の端部を外装部材30Cの外部に引き出した不図示の引き出し部を有してもよい。
巻線10Cは、通常、金属線の表面に絶縁被覆を施した導線を巻回した構造により構成される。金属線は、導電性の高いものが好ましく、銅、銅合金が好適に利用できる。また、絶縁被覆は、エナメルなどの被覆が利用できる。巻線10Cの断面形状は、円形や矩形、六角形などが挙げられる。
一方、磁性コア20Cの断面形状は、特に限定されないが、例えば、断面視において、円形形状や、四角形や六角形などの多角形状とすることができる。磁性コア20Cは、本実施形態の樹脂組成物の溶融成形品で構成されるため、所望の形状を有することが可能である。
本実施形態の樹脂組成物の硬化物によれば、成形性および磁気特性に優れた磁性コア20Cおよび外装部材30Cを実現できる。よって、これらを有する一体型インダクタ100Cにおいては、低磁気損失が期待される。また、機械的特性に優れた外装部材30Cを実現できるため、一体型インダクタ100Cの耐久性や信頼性、製造安定性を高めることが可能である。このため、一体型インダクタ100Cは、昇圧回路用や大電流用のインダクタとして用いることができる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することができる。また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
以下、参考形態の例を付記する。
1.
溶融成形用の樹脂組成物であって、
熱硬化性樹脂と、シロキサンポリマーを含む表面被覆層を備える磁性体粒子と、を含む樹脂組成物。
2.
1.に記載の樹脂組成物であって、
前記熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂を含む樹脂組成物。
3.
1.または2.に記載の樹脂組成物であって、
前記磁性体粒子の断面を観察したときに、前記表面被覆層は前記断面の外周全体に存在している樹脂組成物。
4.
3.に記載の樹脂組成物であって、
前記表面被覆層の厚みは、5~100nmである樹脂組成物。
5.
1.~4.のいずれか1つに記載の樹脂組成物であって、
前記磁性体粒子は、前記表面被覆層の内側に、リン系化合物を含む絶縁性向上層を更に備える樹脂組成物。
6.
1.~5.のいずれか1つに記載の樹脂組成物であって、
前記磁性体粒子の、体積基準の粒子径分布曲線における累積50%値D 50 は1~65μmである樹脂組成物。
7.
1.~6.のいずれか1つに記載の樹脂組成物であって、
前記磁性体粒子の、体積基準の粒子径分布曲線における累積10%値をD 10 、累積90%値をD 90 としたとき、D 90 /D 10 の値は2~50である樹脂組成物。
8.
1.~7.のいずれか1つに記載の樹脂組成物であって、
前記磁性体粒子は、軟磁性粒子を含む樹脂組成物。
9.
1.~8.のいずれか1つに記載の樹脂組成物であって、
前記磁性体粒子は、鉄基粒子を含む樹脂組成物。
10.
1.~9.のいずれか1つに記載の樹脂組成物であって、
前記熱硬化性樹脂の硬化剤を含む樹脂組成物。
11.
1.~10.のいずれか1つに記載の樹脂組成物であって、
樹脂組成物全体中の前記磁性体粒子の含有比率が、90質量%以上である樹脂組成物。
12.
1.~11.のいずれか1つに記載の樹脂組成物を用いて形成された成形品。
本発明の実施態様を、実施例および比較例に基づき詳細に説明する。念のため述べておくと、本発明は実施例のみに限定されない。
<原料の磁性粉の準備>
後掲の表1の「原料磁性粉」の欄に示されている磁性粉を準備した。
(補足)
・DAPMSC5は、大同特殊鋼株式会社より入手した。
・KUAMET6B2 053C03、KUAMET6B2 053C03、KUAMET6B2 150C01、および、AW2-08は、エプソンアトミックス株式会社より入手した。
・後掲の表1には、KUAMET6B2 053C03が2つ記載されている。これらは絶縁性向上層の有無において異なる。
・絶縁性向上層「あり」とは、リン系化合物を含む絶縁性向上層を備えていることを表す。
<特定磁性体粒子の製造>
以下手順により、「粒子1」を製造した。
(1)まず、2リットルの丸底フラスコに、300mLのエタノールと、300mLの純水と、35mLのアンモニア水と、750gのDAPMSC5を添加した。
(2)次に、丸底フラスコをオイルバスの中で50℃まで昇温し、19mLのテトラエトキシシランと75mlのエタノールとの混合溶液を添加し、6時間攪拌した。
(3)その後、磁性粉末と反応溶液を分離し、磁性粉末を500mLのエタノールで3回超音波洗浄した。
(4)最後に、磁性粉末を単離し、乾燥させた。以上により粒子1を得た。
上記の粒子1の製造において、(1)のDAPMSC5をKUAMET6B2 053C03(絶縁性向上層が無いもの、またはあるもの)に替え、(3)のテトラエトキシシランの量を9mLに変更した以外は、同様の手順により、粒子2および粒子3を得た。
上記の粒子1の製造において、(1)のDAPMSC5をKUAMET6B2 150C01に替え、(3)のテトラエトキシシランの量を4mLに変更した以外は、同様の手順により、粒子4を得た。
<原料磁性粉および特定磁性体粒子の粒径分布測定>
HORIBA社製の粒子径分布測定装置「LA-950」により、原料磁性粉および特定磁性体粒子を乾式で測定することで、体積基準の粒子径分布曲線を得た。この粒子径分布曲線に基づき、D50およびD90/D10を算出した。
原料磁性粉や、粒子1~4に関する情報をまとめて以下に示す。
Figure 0007318422000003
<特定磁性体粒子の断面観察>
以下手順で行った。
(1)上記で製造された特定磁性体粒子を試料台に固定し、日立ハイテクノロジーズ社製の集束イオンビーム加工観察装置FB-2200を用いてPtを蒸着して導電膜を形成した。その後、さらにその上にC、W保護膜を形成した。
(2)上記装置を用いて、上記の試料を削った。そして、厚さ約100nmの薄膜状の観察用試料(特定磁性体粒子の断面を観察できるもの)を得た。
(3)日立ハイテクノロジーズ社製の電界放出型透過電子顕微鏡HF-2200を用いて、上記観察用試料を観察した。
観察の結果、粒子1~4の断面において表面被覆層は断面の外周全体に存在していた。また、表面被覆層の厚みは5~100nmの範囲内に収まっていた。
<樹脂組成物の調製>
まず、以下の表2に示される原料成分およびその配合比率に従い、各原料成分をミキサーにより混合した。次いで、得られた混合物をロール混練して混練物を得た。その後、その混練物を冷却、粉砕して粉体状の樹脂組成物を得た。
Figure 0007318422000004
表2中の各成分は以下のとおりである。
(磁性体粒子については、表1で示された特性磁性体粒子(粒子1~4)または原料磁性粉であるため、改めては説明しない。なお、比較例2で用いられているKUAMET6B2 053C03は、絶縁性向上層を有しないものであり、比較例3で用いられているKUAMET6B2 053C03は、絶縁性向上層を有するものである。)
[エポキシ樹脂]
エポキシ樹脂1:トリスフェニルメタン型エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製、E1032H60、室温25℃で固形)
エポキシ樹脂2:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製、YL6810、室温25℃で固形)
[硬化剤]
フェノール樹脂:ノボラック型フェノール樹脂(住友ベークライト株式会社製、PR-HF-3、室温(25℃)で固形)
[離型剤]
離型剤:合成ワックス(クラリアントケミカルズ株式会社製、エステルワックスWE-4)
[硬化促進剤]
硬化促進剤:イミダゾール系硬化促進剤(四国化成工業株式会社製、キュアゾール2PZ-PW)
<性能評価>
(機械的強度の評価(曲げ強度))
樹脂組成物を、低圧トランスファー成形機(コータキ精機株式会社製「KTS-30」)を用いて、金型温度175℃、注入圧力9.8MPa、硬化時間120秒の条件で金型に注入成形した。これにより、幅10mm、厚み4mm、長さ80mmの成形品を得た。
次いで、得られた成形品を175℃、4時間の条件で後硬化させた。これにより、機械的強度の評価用の試験片を作製した。
そして、試験片の25℃における曲げ強度(MPa)を、JIS K 6911に準拠して測定した。
(スパイラルフローの測定)
低圧トランスファー成形機(コータキ精機株式会社製「KTS-15」)を用いて、EMMI-1-66に準じたスパイラルフロー測定用の金型に、金型温度175℃、注入圧力6.9MPa、硬化時間120秒の条件で樹脂組成物を注入し、流動長を測定した。流動長が大きいほど、流動性が良好であることを表す。
(ゲル化時間の測定)
175℃に設定したホットプレート上に、得られた樹脂組成物3gを置いて、ゲル化するまでの時間を測定した。得られた時間をゲル化時間(秒)とした。
(絶縁破壊電圧、絶縁破壊の強さの測定)
樹脂組成物を、低圧トランスファー成形機(コータキ精機株式会社製「KTS-30」)を用いて、金型温度175℃、注入圧力9.8MPa、硬化時間120秒の条件で金型に注入成形した。これにより、外径50mmΦ、厚み3mmの円板状成形品を得た。次いで、得られた成形品を、175℃、4時間の条件で後硬化させた。これにより、絶縁破壊電圧の評価用の試験片を作製した。
絶縁破壊電圧の測定は、絶縁耐圧試験器「TOS5101」(菊水電子工業社製)を用いて実施した。すなわち、シリコーンオイル(JIS C 2320絶縁油適合品)を入れた油槽中に試験片を置き電極間に挟み、電極にリード線を接続した。次に0.1kV/secの昇圧速度で電圧を上昇させ、絶縁破壊電圧を測定した。また、得られた絶縁破壊電圧を試験片の厚さで割ることにより、絶縁破壊の強さを求めた。
性能評価の結果をまとめて表3に示す。
Figure 0007318422000005
比較例1と実施例1の対比等より、熱硬化性樹脂と、特定磁性体粒子と、を含む樹脂組成物を用いて、溶融成形(トランスファー成形)により製造された成形体の曲げ強度は、特定磁性体粒子を含まない樹脂組成物を用いて製造された成形体の曲げ強度よりも良好だった。
また、各実施例において、スパイラルフローの流動長は適度に大きく、また、ゲル化時間も適当であった。すなわち、各実施例の樹脂組成物は、溶融成形による成形品の製造に好ましく適用可能なことが確認された。
実施例をより細かく見ると、D50が50μmの特定磁性体粒子を含む例よりも、D50が10~25μmの特定磁性体粒子を含む例のほうが、絶縁破壊電圧が大きい傾向が見られた(つまり、粒径が小さめのほうが、より絶縁性が向上する傾向が見られた)。これは、成形体の単位体積中に存在する、特定磁性体粒子間の「境界」が多くなったためと推定される。
(磁気的特性の確認)
念のため、各実施例の樹脂組成物を用いて得られた成形品の、比透磁率等の磁気的特性を測定した。この測定により、各実施例の樹脂組成物を用いて得られた成形品は、磁性コア等の磁性部材に適用しうる磁気的特性を有することが確認された。
10 巻線
20 磁性コア
30 外装部材
100 コイル
10B 巻線
20B 磁性コア
30B 外装部材
100B コイル
10C 巻線
20C 磁性コア
30C 外装部材
100C 一体型インダクタ

Claims (14)

  1. 溶融成形用の樹脂組成物であって、
    熱硬化性樹脂と、シロキサンポリマーを含む表面被覆層を備える磁性体粒子と、を含み、
    前記磁性体粒子は、軟磁性粒子を含む樹脂組成物。
  2. 溶融成形用の樹脂組成物であって、
    熱硬化性樹脂と、シロキサンポリマーを含む表面被覆層を備える磁性体粒子と、を含み、
    前記磁性体粒子は、鉄基粒子を含む樹脂組成物。
  3. 溶融成形用の樹脂組成物であって、
    熱硬化性樹脂と、シロキサンポリマーを含む表面被覆層を備える磁性体粒子と、を含み、
    前記熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂を含み、
    前記磁性体粒子は、前記表面被覆層の内側に、リン系化合物を含む絶縁性向上層を更に備える樹脂組成物。
  4. 請求項1または2に記載の樹脂組成物であって、
    前記熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂を含む樹脂組成物。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載の樹脂組成物であって、
    前記磁性体粒子の断面を観察したときに、前記表面被覆層は前記断面の外周全体に存在している樹脂組成物。
  6. 請求項に記載の樹脂組成物であって、
    前記表面被覆層の厚みは、5~100nmである樹脂組成物。
  7. 請求項1または2に記載の樹脂組成物であって、
    前記磁性体粒子は、前記表面被覆層の内側に、リン系化合物を含む絶縁性向上層を更に備える樹脂組成物。
  8. 請求項1~のいずれか1項に記載の樹脂組成物であって、
    前記磁性体粒子の、体積基準の粒子径分布曲線における累積50%値D50は1~65μmである樹脂組成物。
  9. 請求項1~のいずれか1項に記載の樹脂組成物であって、
    前記磁性体粒子の、体積基準の粒子径分布曲線における累積10%値をD10、累積90%値をD90としたとき、D90/D10の値は2~50である樹脂組成物。
  10. 請求項2または3に記載の樹脂組成物であって、
    前記磁性体粒子は、軟磁性粒子を含む樹脂組成物。
  11. 請求項1または3に記載の樹脂組成物であって、
    前記磁性体粒子は、鉄基粒子を含む樹脂組成物。
  12. 請求項1~11のいずれか1項に記載の樹脂組成物であって、
    前記熱硬化性樹脂の硬化剤を含む樹脂組成物。
  13. 請求項1~12のいずれか1項に記載の樹脂組成物であって、
    樹脂組成物全体中の前記磁性体粒子の含有比率が、90質量%以上である樹脂組成物。
  14. 請求項1~13のいずれか1項に記載の樹脂組成物を用いて形成された成形品。
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