JP2022187217A - 樹脂成形材料、成形体および当該成形体の製造方法 - Google Patents

樹脂成形材料、成形体および当該成形体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】金型内への充填性に優れ、成形性に優れた樹脂成形材料を提供する。【解決手段】(A)軟磁性粒子、(B)熱硬化性樹脂、および(C)フェノール系硬化剤を含み、以下の条件で測定された下記最大径と当該最大径の中心を通る下記最小径の平均値が45cm以上95cm以下である、樹脂成形材料とする。(条件)175℃の熱板(材質:SKD11)上に、断面半楕円形状の計量部(開口直径:18.4mm、深さ:9mm、容積:2.0ml)を備える計量スプーンで、計量部の摺り切り一杯分の樹脂成形材料を置く。樹脂成形材料を載置してから10秒以内に樹脂成形材料の上に、175℃に加熱した金型(材質:SKD11、寸法:180mm×150mm×厚み15mm、重量:3kg)を熱板の上面と平行となるように載せ、5分間放置する。金型を取り除き、略円形に押し広げられた樹脂成形材料の最大径と当該最大径の中心を通る最小径を測定する。【選択図】図1

Description

本発明は、樹脂成形材料、成形体および当該成形体の製造方法に関する。
近年の電子機器の小型・軽量化に伴い、成形性が高い、磁性粒子を含む樹脂成形材料が求められている。磁性粒子は軟磁性粒子と硬磁性粒子の2種類に分類される。各種の電気・電子製品の部品として、磁性コア/外装部材を備えるコイル(応用分野によっては「リアクトル」「インダクタ」などとも呼ばれる)が盛んに検討されている。また、そのようなコイルの磁性コアや外装部材を作製するための、成形性のある磁性材料も盛んに検討されている。
例えば、特許文献1には、金属元素含有粉と、エポキシ樹脂と、シロキサン結合を有する化合物とを含むコンパウンドが開示されている。シロキサン結合を有する化合物を用いることで成形収縮率を小さくすることができ、さらに流動性に優れると記載されている。
特許文献2には、金属元素含有粉と、樹脂組成物と、を備え、硬化物の所定のストレス指数SIを満たすコンパウンドが開示されている。当該文献には、コンパウンドから得られた成形体においてクラックを抑制することができると記載されている。
国際公開第2019/229960号 国際公開第2019/229961号
しかしながら、特許文献1~2に記載の従来の技術においては、溶融させた樹脂成形材料を金型内に充填する際に、当該金型内の細部に当該材料が充填されない場合があり成形性に改善の余地があった。
従来から、樹脂成形材料の充填性はスパイラルフローを測定することにより評価されている。しかしながら、本発明者らは、圧縮成形において、スパイラルフローの測定結果が、樹脂成形材料の金型内への充填性を十分に評価できない場合があることを見出した。本発明者らは、当該知見に基づきさらに検討したところ、特定の測定条件において所定の結果を示す樹脂成形材料であれば、金型内への充填性に優れることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下に示すことができる。
本発明によれば、
(A)軟磁性粒子と、
(B)熱硬化性樹脂と、
(C)フェノール系硬化剤と、
を含み、以下の条件で測定された下記最大径と当該最大径の中心を通る下記最小径との平均値が45cm以上95cm以下である、樹脂成形材料が提供される。
(条件)
175℃の熱板(材質:SKD11)上に、断面半楕円形状の計量部(開口直径:18.4mm、深さ:9mm、容積:2.0ml)を備える計量スプーンで、当該計量部の摺り切り一杯分の前記樹脂成形材料を置く。前記樹脂成形材料を載置してから10秒以内に当該樹脂成形材料の上に、175℃に加熱した金型(材質:SKD11、寸法:180mm×150mm×厚み15mm、重量:3kg)を前記熱板の上面と平行となるように載せ、5分間放置した。前記金型を取り除き、略円形に押し広げられた前記樹脂成形材料の最大径と当該最大径の中心を通る最小径を測定した。
本発明によれば、
前記樹脂成形材料を硬化してなる成形体が提供される。
前記樹脂成形材料を圧縮成形する工程を含む、成形体の製造方法が提供される。
本発明によれば、金型内への充填性に優れ、成形性に優れた樹脂成形材料を提供することができる。
本実施形態に係る樹脂成形材料の濡れ広がり性試験の測定方法を示す概略図である。 本実施形態に係る構造体の構成を示す断面図である。 実施例1~3、比較例1~2で得られた樹脂成形材料の濡れ広がり性試験後の拡展性を示す写真である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。また、「~」は特に断りがなければ「以上」から「以下」を表す。
本実施形態の樹脂成形材料は、
(A)軟磁性粒子と、
(B)熱硬化性樹脂と、
(C)フェノール系硬化剤と、
を含み、以下の条件で測定された下記最大径と当該最大径の中心を通る下記最小径との平均値が45cm以上90cm以下、好ましくは50cm以上80cm以下、より好ましくは55cm以上75cm以下である。
(条件)
図1(a)に示すように、まず、175℃の熱板2(材質:SKD11)上に、断面半楕円形状のお椀型の計量部4a(開口直径a:18.4mm、深さb:9mm、容積:2.0ml)を備える計量スプーン4で、計量部4aの摺り切り一杯分の樹脂成形材料6を置く。なお、断面半楕円形状とは、計量部4aにおいて、上方に開口した略円形の開口部の直径aを通る垂直断面が、半楕円形状であることを意味する。
次いで、図1(b)に示すように、樹脂成形材料6を載置してから10秒以内に樹脂成形材料6の上に、175℃に加熱した金型8(材質:SKD11、寸法:180mm×150mm×厚み15mm、重量:3kg)を熱板2の上面と平行となるように載せ、5分間放置する。金型8を取り除き、図1(c)に示すように、略円形に押し広げられた樹脂成形材料6の最大径cと最大径cの中心を通る最小径dを測定する。
本実施形態において、上述の条件で測定される「濡れ広がり性試験」を用いることにより、溶融した樹脂成形材料全体に応力を継続的に印可した場合に、この溶融材料が溶け広がる特性を評価することができ、実際の製造工程に近い条件で金型への充填性や成形性をより精度よく確認することができる。
すなわち、本実施形態においては、濡れ広がり性試験で測定された前記平均値を、金型内への充填性および成形性の指標とすることができ、当該平均値が所定の範囲にある樹脂成形材料を用いることにより、圧縮成形等において金型に入れて加温・プレスした際に充填性や成形性に優れる。
本実施形態の樹脂成形材料は、(A)軟磁性粒子と、(B)熱硬化性樹脂と、(C)フェノール系硬化剤と、を含み、好ましくはこれらの成分の種類および添加量、さらに製造方法等を適切に組み合わせることで当該平均値を所定の範囲とすることができる。
(軟磁性粒子(A))
軟磁性とは、保磁力が小さい強磁性のことを指し、一般的には、保磁力が800A/m以下である強磁性のことを軟磁性という。
軟磁性粒子(A1)の構成材料としては、構成元素としての鉄の含有率が85質量%以上である金属含有材料が挙げられる。このように構成元素としての鉄の含有率が高い金属材料は、透磁率や磁束密度等の磁気特性が比較的良好な軟磁性を示す。このため、例えば磁性コア等に成形されたとき、良好な磁気特性を示し得る樹脂成形材料が得られる。
上記の金属含有材料の形態としては、例えば、単体の他、固溶体、共晶、金属間化合物のような合金等が挙げられる。このような金属材料で構成された粒子を用いることにより、鉄に由来する優れた磁気特性、すなわち、高透磁率や高磁束密度等の磁気特性を有する樹脂成形材料を得ることができる。
また、上記の金属含有材料は、構成元素として鉄以外の元素を含んでいてもよい。鉄以外の元素としては、例えば、B、C、N、O、Al、Si、P、S、Ti、V、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Cd、In、Sn等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いられる。本実施形態においては、Fe、Ni、Si及びCoから選ばれる1種類以上の元素を主要元素として含むことができる。
上記の金属含有材料の具体例としては、例えば、純鉄、ケイ素鋼、鉄-コバルト合金、鉄-ニッケル合金、鉄-クロム合金、鉄-アルミニウム合金、カルボニル鉄、ステンレス鋼、またはこれらのうちの1種もしくは2種以上を含む複合材料等が挙げられる。入手性などの観点からケイ素鋼やカルボニル鉄を好ましく用いることができる。
軟磁性粒子(Fe基軟磁性粒子)はそれ以外の粒子であってもよい。例えば、Ni基軟磁性粒子、Co基軟磁性粒子等を含む磁性体粒子であってもよい。
軟磁性粒子(A1)の、体積基準におけるメジアン径D50は、好ましくは0.5~75μm、より好ましくは0.75~65μm、さらに好ましくは1~60μmである。粒径(メジアン径)を適切に調整することで、成形時の流動性を更に良好にしたり、磁性性能を向上させたりすることができる。
なお、D50は、例えば、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置により得ることができる。具体的には、HORIBA社製の粒子径分布測定装置「LA-950」により、軟磁性粒子(A1)を乾式で測定することで粒子径分布曲線を得、この分布曲線を解析することでD50を求めることができる。
本実施形態の樹脂成形材料は、軟磁性粒子(A1)とともに後述する微粉シリカ(F)を含んでいてもよく、その合計量(A1+F)を92質量%以上の量で含む。上限値は98質量%以下である。これにより高透磁率の磁性材料を得ることができる。
また、本実施形態の樹脂成形材料は、軟磁性粒子(A1)とともに後述する微粉シリカ(F)を含んでいてもよく、その合計量(A1+F)を72体積%以上、好ましくは74質量%以上の量で含む。上限値は90体積%以下である。
軟磁性粒子(A1)とともに後述する微粉シリカ(F)を含んでいてもよく、その場合、その合計(A1+F)100質量%に対して、軟磁性粒子(A1)を80質量%以上の量で含む。上限値は100質量%以下である。また、その合計(A1+F)100体積%に対して、軟磁性粒子(A1)を60体積%以上の量で含む。上限値は100体積%以下である。
[熱硬化性樹脂(B)]
熱硬化性樹脂(B)は、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂、ユリア(尿素)樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、シアネートエステル樹脂、シリコーン樹脂、オキセタン樹脂(オキセタン化合物)、(メタ)アクリレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ベンゾオキサジン樹脂等が挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。耐熱性の観点から、熱硬化性樹脂(B)は、例えば、エポキシ樹脂を含むことが好ましい。
前記エポキシ樹脂としては、本発明の効果を発揮し得るのであれば特に限定されず公知の化合物を用いることができる。
(エポキシ樹脂)
前記エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールM型エポキシ樹脂、ビスフェノールP型エポキシ樹脂、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、アリールアルキレン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、フェノキシ型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ノルボルネン型エポキシ樹脂、アダマンタン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、トリスフェニルメタン型エポキシ樹脂等を挙げることができる。
本実施形態の樹脂成形材料は、エポキシ樹脂を1種のみ含んでもよいし、2種類以上含んでもよい。また、同種のエポキシ樹脂であっても異なる分子量のものを併用してもよい。
本実施形態のエポキシ樹脂は、本発明の効果の観点から、トリフェニルメタン構造を含むエポキシ樹脂、ビフェニル構造を含むエポキシ樹脂、およびビスフェノールA型またはF型エポキシ樹脂から選択される少なくても1種であることが好ましく、
本実施形態においては、トリフェニルメタン構造を含むエポキシ樹脂と、ビスフェノールA型またはF型エポキシ樹脂との組み合わせ、またはビフェニル構造を含むエポキシ樹脂を用いることがより好ましい。
トリフェニルメタン構造を含むエポキシ樹脂とは、具体的には、メタン(CH)の4つの水素原子のうちの3つがベンゼン環で置換された部分構造を含むエポキシ樹脂である。ベンゼン環は、無置換であっても置換基で置換されていてもよい。置換基としては、ヒドロキシ基やグリシジルオキシ基などを挙げることができる。
具体的には、トリフェニルメタン構造を含むエポキシ樹脂は、以下一般式(a1)で表される構造単位を含む。この構造単位が2つ以上連なることで、トリフェニルメタン骨格が構成される。
Figure 2022187217000002
一般式(a1)において、
11は、複数ある場合はそれぞれ独立に、1価の有機基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基またはシアノ基であり、
12は、複数ある場合はそれぞれ独立に、1価の有機基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基またはシアノ基であり、
iは、0~3の整数であり、
jは、0~4の整数である。
11およびR12の1価の有機基の例としては、後述の一般式(BP)におけるRおよびRの1価の有機基として列挙されているものを挙げることができる。
iおよびjは、それぞれ独立に、好ましくは0~2であり、より好ましくは0~1である。
一態様として、iおよびjはともに0である。つまり、一態様として、一般式(a1)中のベンゼン環の全ては、1価の置換基としては、明示されたグリシジルオキシ基以外の置換基を有しない。
ビフェニル構造を含むエポキシ樹脂とは、具体的には、2つのベンゼン環が単結合で連結している構造を含むエポキシ樹脂のことである。ここでのベンゼン環は、置換基を有していてもいなくてもよい。
具体的には、ビフェニル構造を含むエポキシ樹脂は、以下一般式(BP)で表される部分構造を有する。
Figure 2022187217000003
一般式(BP)において、
およびRは、複数ある場合はそれぞれ独立に、1価の有機基、ヒドロキシル基またはハロゲン原子であり、
rおよびsは、それぞれ独立に、0~4であり、
*は、他の原子団と連結していることを表す。
およびRの1価の有機基の具体例としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキリデン基、アリール基、アラルキル基、アルカリル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、ヘテロ環基、カルボキシル基などを挙げることができる。
アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などが挙げられる。
アルケニル基としては、例えばアリル基、ペンテニル基、ビニル基などが挙げられる。
アルキニル基としては、例えばエチニル基などが挙げられる。
アルキリデン基としては、例えばメチリデン基、エチリデン基などが挙げられる。
アリール基としては、例えばトリル基、キシリル基、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基が挙げられる。
アラルキル基としては、例えばベンジル基、フェネチル基などが挙げられる。
アルカリル基としては、例えばトリル基、キシリル基などが挙げられる。
シクロアルキル基としては、例えばアダマンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などが挙げられる。
アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、s-ブトキシ基、イソブトキシ基、t-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基などが挙げられる。
ヘテロ環基としては、例えばエポキシ基、オキセタニル基などが挙げられる。
およびRの1価の有機基の総炭素数は、それぞれ、例えば1~30、好ましくは1~20、より好ましくは1~10、特に好ましくは1~6である。
rおよびsは、それぞれ独立に、好ましくは0~2であり、より好ましくは0~1である。一態様として、rおよびsはともに0である。
より具体的には、ビフェニル構造を含むエポキシ樹脂は、以下一般式(BP1)で表される構造単位を有するビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂であることが好ましい。
Figure 2022187217000004
一般式(BP1)において、
およびRの定義および具体的態様は、一般式(BP)と同様であり、
rおよびsの定義および好ましい範囲は、一般式(BP)と同様であり、
は、複数ある場合はそれぞれ独立に、1価の有機基、ヒドロキシル基またはハロゲン原子であり、
tは、0~3の整数である。
の1価の有機基の具体例としては、RおよびRの具体例として挙げたものと同様のものを挙げることができる。
tは、好ましくは0~2であり、より好ましくは0~1である。
ビスフェノールA型またはF型エポキシ樹脂(ビスフェノールAまたはビスフェノールFと、エピクロルヒドリンとの縮合反応により製造されるエポキシ樹脂)として具体的には、以下一般式(EP)で表されるエポキシ樹脂を挙げることができる。
Figure 2022187217000005
一般式(EP)中、
複数のRは、各々独立に、水素原子またはメチル基、好ましくはメチル基であり、
、R、RおよびRは、それぞれ、複数存在する場合は各々独立に、1価の有機基、ヒドロキシル基またはハロゲン原子であり、
p、q、rおよびsは、それぞれ独立に、0~4であり、好ましくは0~2であり、
nは0以上の整数であり、通常0~10、好ましくは0~5である。
、R、RおよびRの1価の有機基の具体例としては、一般式(BP)におけるRおよびRの1価の有機基の具体例として挙げたものと同様のものを挙げることができる。
本実施形態においては、Rがメチル基であるビスフェノールA型エポキシ樹脂を用いることが好ましい。
本実施形態の樹脂成形材料中のエポキシ樹脂の量は、例えば0.1~20質量%、好ましくは0.5~10質量%である。
本実施形態の樹脂成形材料中のエポキシ樹脂の量は、例えば0.5~60体積%、好ましくは3~40体積%である。
(フェノール樹脂)
フェノール樹脂としては、特に限定されないが、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂、およびレゾール型フェノール樹脂等が挙げられる。これらの中の1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
フェノール樹脂の中でも、フェノールノボラック樹脂であることが好ましい。
(ユリア樹脂)
ユリア樹脂としては、特に限定されないが、例えば、尿素とホルムアルデヒドとの縮合によって得られる樹脂が挙げられる。
(メラミン樹脂)
メラミン樹脂としては、特に限定されないが、例えば、メラミンとホルムアルデヒドを中性または弱アルカリ下において反応させて得られるものを用いることができる。
また、メラミン樹脂としては、住友化学(株)製のメラミン樹脂等、市販のものを用いることもできる。
(不飽和ポリエステル樹脂)
不飽和ポリエステル樹脂としては、特に限定されないが、例えば、原料に無水フタル酸を用いた最も一般的なオルソタイプ、イソフタル酸を用いたイソタイプ、また、テレフタル酸を用いたパラタイプのものがあり、また、これらのプレポリマーも含まれる。これらの1種を単独で使用または2種以上を併用することができる。
(ポリイミド樹脂)
ポリイミド樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ジアミン、二無水物および無水物を共重合して、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を合成し、次いで、ポリアミド酸をイミド化することにより合成される。
[フェノール系硬化剤(C)]
本実施形態の樹脂成形材料は、さらにフェノール系硬化剤(C)を含むことができる。
これにより、得られる成形体の耐久性の一層の向上などが期待できる。フェノール系硬化剤は、典型的には、1分子あたり2以上のヒドロキシ基を有する。
フェノール系硬化剤は、好ましくは、ノボラック骨格およびビフェニル骨格からなる群より選ばれるいずれかの骨格を含む。フェノール系硬化剤がこれらの骨格のいずれかを含むことで、特に成形体の耐久性を高めることができる。
「ビフェニル骨格」とは、具体的には、前述のエポキシ樹脂の説明における一般式(BP)のように、2つのベンゼン環が単結合で連結している構造である。
ビフェニル骨格を有するフェノール系硬化剤として具体的には、前述のエポキシ樹脂の説明における一般式(BP1)において、グリシジル基を水素原子に置き換えた構造のものなどを挙げることができる。
ノボラック骨格を有するフェノール系硬化剤として、具体的には以下一般式(N)で表される構造単位を有するものを挙げることができる。
Figure 2022187217000006
一般式(N)において、
は、1価の置換基を表し、
uは、0~3の整数である。
の1価の置換基の具体例としては、一般式(BP)におけるRおよびRの1価の置換基として説明したものと同様のものを挙げることができる。
uは、好ましくは0~2であり、より好ましくは0~1であり、更に好ましくは0である。
本実施形態においては、フェノール系硬化剤(C)は、ノボラック型フェノール樹脂、およびビフェニルアラルキル型フェノール樹脂から選択される少なくても1種であることが好ましい。
フェノール系硬化剤(C)が高分子またはオリゴマーである場合、フェノール系硬化剤(C)の数平均分子量(GPC測定による標準ポリスチレン換算値)は、例えば200~800程度である。
樹脂成形材料中のフェノール系硬化剤(C)の含有量は、例えば0.1~20質量%、好ましくは0.5~10質量%である。
また、樹脂成形材料中のフェノール系硬化剤(C)の含有量は、例えば0.5~60体積%、好ましくは3~40体積%である。
フェノール系硬化剤(C)の量を適切に調整することにより、流動性を一層向上させることができ、得られる硬化物の機械特性や磁気特性を向上させることができる。
[硬化促進剤(D)]
本実施形態の樹脂成形材料は、さらに硬化促進剤(D)を含むことができる。硬化促進剤(D)は、エポキシ樹脂の硬化反応を早めるものである限り特に限定されず、公知のエポキシ硬化促進剤を用いることができる。
具体的には、有機ホスフィン、テトラ置換ホスホニウム化合物、ホスホベタイン化合物、ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物、ホスホニウム化合物とシラン化合物との付加物等のリン原子含有化合物;2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール等のイミダゾール類(イミダゾール系硬化促進剤);1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7、ベンジルジメチルアミン等が例示されるアミジンや3級アミン、アミジンやアミンの4級塩等の窒素原子含有化合物などを挙げることができ、
テトラ置換ホスホニウム化合物、ホスホベタイン化合物、ホスフィン化合物、ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物、ホスホニウム化合物とシラン化合物との付加物が好ましい。
硬化促進剤(D)を用いる場合、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
硬化促進剤(D)を用いる場合、その含有量は、樹脂成形材料全体に対して、好ましくは0.01~1質量%、より好ましくは0.04~0.8質量%である。体積分率は、好ましくは0.05~5体積%、より好ましくは0.10~0.4体積%である。このような数値範囲とすることにより、他の性能を過度に悪くすることなく、十分に硬化促進効果が得られる。
[シリコーン化合物(E)]
本実施形態の樹脂成形材料は、さらに、常温(25℃)で液状であるシリコーン化合物(E)を含むことができる。シリコーン化合物(E)を含むことにより、樹脂成形材料の流動性が高まり金型内への充填性により優れるとともに、濡れ性も改善されボイド等の発生も抑制される。
シリコーン化合物(E)としては、好ましくは下記一般式(1)で表されるシリコーン化合物を用いることができる。
Figure 2022187217000007
一般式(1)中、それぞれ独立に炭素数1~10の置換または非置換の一価の有機基を示し、Rのうち少なくとも1つは、アミノ基置換有機基、エポキシ基置換有機基、水酸基置換有機基、ビニル基置換有機基、カルボキシル基置換有機基、イソシアネート基置換有機基、メルカプト基置換有機基、(メタ)アクリル基置換有機基および酸無水物基置換有機基から選択される基である。nは1~100の整数を示す。
Rのうち少なくとも1つが上記の基である場合、残りのRは、炭素数1~10のアルキル基またはアルコキシ基が好ましく、炭素数1~10のアルキル基がより好ましく、炭素数1~5のアルキル基がさらに好ましい。
本実施形態においては、本発明の効果の観点から、Rのうち少なくとも1つはエポキシ基置換有機基であることが好ましい。
シリコーン化合物(E)としては、例えば、SF8421EG、FZ-3730、BY16-869、BY16-870、X-22-4741、X-22-178SX,X-22-178DX(以上、東レ・ダウコーニング社製)、KF-1002、X-22-343(以上、信越化学工業社製)等を挙げることができる。
本実施形態の樹脂成形材料は、本発明の効果の観点から、シリコーン化合物(E)を0.5質量%以下、好ましくは0.4質量%以下、さらに好ましくは0.3質量%以下の量で含むことができる。下限値は、0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上である。
[微粉シリカ(F)]
本実施形態の樹脂成形材料は、さらに微粉シリカ(F)を含むことができる。
微粉シリカ(F)は、平均粒子径が0.1μm以上2.0μm以下、好ましくは0.1μm以上1.5μm以下、より好ましくは0.1μm以上1.0μm以下である。これにより、微粉シリカ(F)が樹脂成形材料中に均一に分散されて流動性がより改善され、充填性や成形性をさらに高めることができる。これにより、成形不良の少ない成形体が得られ、さらに成形体においてとりわけ良好な磁気特性が得られる。
微粉シリカ(F)は、熱硬化性樹脂との親和性が高く、絶縁性が高いため、樹脂成形材料に用いられる非磁性体粉末の構成材料として有用である。
微粉シリカ(F)の真比重は、1.0~6.0であるのが好ましく、1.2~5.0であるのがより好ましく、1.5~4.5であるのがさらに好ましい。このような微粉シリカ(F)は、比重が小さいため、熱硬化性樹脂の溶融物とともに流動し易い。このため、成形時において熱硬化性樹脂の溶融物が成形型の隙間等に向かって流動するとき、その溶融物とともに微粉シリカ(F)が流れ易くなる。
また、微粉シリカ(F)の球形度は、特に限定されないが、0.50~1.00であるのが好ましく、0.75~1.00であるのがより好ましい。微粉シリカ(F)の球形度が前記範囲内であることにより、微粉シリカ(F)自体の転がりを活かして樹脂成形材料の流動性を確保することができる。
本実施形態の樹脂成形材料は、微粉シリカ(F)を18質量%以下、好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは12質量%以下の量で含むことができる。下限値は、本発明の効果の観点から、0.05質量%以上、好ましくは0.1質量%以上である。
また、微粉シリカ(F)の体積分率は、35体積%以下、好ましくは30体積%以下、さらに好ましくは28体積%以下である。下限値は、0.2体積%以上、好ましくは0.5体積%以上である。
なお、微粉シリカ(F)の平均粒子径は、体積平均粒子径(例えば、D50)を意味し、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定することができる。
なお、微粉シリカ(F)等の粒子の球形度は、各粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)像において、その面積に等しい真円を等面積円とするとき、等面積円相当径/外接円径で求めることができる。そして、任意に選択された10個以上の粒子について等面積円相当径/外接円径を算出し、その平均値を「粒子の球形度」とする。
(その他の成分)
本実施形態の樹脂成形材料は、上述した成分以外の成分を含んでいてもよい。例えば、低応力剤、カップリング剤、密着助剤、離型剤、着色剤、酸化防止剤、耐食剤、染料、顔料、難燃剤等のうち1または2以上を含んでもよい。
低応力剤としては、ポリブタジエン化合物、アクリロニトリルブタジエン共重合化合物、シリコーンオイル、シリコーンゴム等のシリコーン化合物が挙げられる。低応力剤を用いる場合、1種のみを用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
カップリング剤としては、上述の、磁性体粒子の表面処理に用いられるカップリング剤を用いることができる。例えば、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、ジルコニア系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。カップリング剤を用いる場合、1種のみを用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
本実施形態の樹脂成形材料は、工業的には、例えば、まず(1)ミキサーを用いて各成分を混合し、(2)その後、ロールを用いて、120℃前後で5分以上、好ましくは10分程度混練することにより混練物を得、(3)そして得られた混練物を冷却し、(4)さらにその後、粉砕することにより製造することができる。以上により、粉末状の樹脂成形材料を得ることができる。本実施形態の粉末状の樹脂成形材料は凝集固結化が抑制されていることから流動性に優れており、ハンドリング性が改善される。
(樹脂成形材料の形態)
本実施形態の樹脂成形材料は、23℃で、好ましくはタブレット状または顆粒状であり、より好ましくはタブレット状である。粉末状の樹脂成形材料を打錠し、タブレット状に形成することができる。樹脂成形材料がタブレット状または顆粒状であることにより、樹脂成形材料の流通や保管がしやすく、また、圧縮成形に適用しやすい。
本実施形態の粉末状の樹脂成形材料は凝集固結化が抑制されており、均一な組成のタブレット状または顆粒状の組成物とすることができる。
(硬化物のガラス転移温度)
本実施形態の樹脂成形材料を175℃で溶融して成形したものを、大気下で175℃、4時間後硬化させて得られる硬化物のガラス転移温度は、好ましくは150~220℃、より好ましくは160~200℃である。ガラス転移温度が150℃以上となるように樹脂成形材料を設計することで、例えば車載用途で要求される耐熱性をクリアしやすい。ガラス転移温度が220℃以下となるように樹脂成形材料を設計することで、比較的低温で成形をすることができるようになる。このことは、低温加工による成形物の収縮の抑制の点で好ましい。
<成形体>
本実施形態の成形体は、上述の樹脂成形材料を硬化して得ることができる。本実施形態の粉末状の樹脂成形材料は軟磁性粒子(A)が高充填であるものの充填性や成形性に優れることから、得られる成形体(磁性材料)の組成が均一であり、透磁率または飽和磁束密度等の磁気特性や機械的強度などにおいて所望の特性を発揮することができる。
具体的には、本実施形態の成形体は、比透磁率が40以上、好ましくは42以上、さらに好ましくは45以上である。
また、本実施形態の成形体は上述のように組成が均一であり、さらに飽和磁束密度が高い複合材料から構成されているため、高飽和磁束密度を実現することができ、1.0T以上、好ましくは1.2T以上、より好ましくは1.3T以上とすることができる。
成形体の製造方法は、特に限定されないが、圧縮成形法等を挙げることができる。
(圧縮成形法)
圧縮成形法(コンプレッション成形法)による成形体の製造方法は、前記樹脂成形材料を圧縮成形する工程を含む。具体的には、本実施形態の樹脂成形材料を金型内で圧縮成形する工程と、前記金型から成形体を離型する工程と、を含む。
圧縮成形については、公知の圧縮成形装置を適宜用いて行うことができる。具体的には、上方に開口した凹形状の固定金型の凹部内に前記樹脂成形材料を載置する。樹脂成形材料は予め加熱しておくことができる。これにより、成形体を均一に硬化させることができ、成形圧力を低くすることができる。
次いで、上方から、凸形状の金型を凹形状の固定金型に移動して、凸部および凹部によって形成されたキャビティ内において樹脂成形材料を圧縮する。初めは低圧で樹脂成形材料を十分に軟化流動させ、次いで、金型を閉じて、再度加圧して所定時間硬化させる。
圧縮成形における各種条件は、任意に設定することができる。例えば、予熱の温度は60~100℃、溶融の際の加熱温度は100~250℃、金型温度は100~200℃、金型で樹脂成形材料を圧縮する際の圧力は1~20MPa、硬化時間60~300秒の間で適宜調整することができる。
金型温度を高くしすぎないことで、成形物の収縮を抑えることができる。
本実施形態の樹脂成形材料は、高透磁率を有する磁性材料が得られることから、当該樹脂成形材料を硬化して得られる成形体は、インダクタ中の磁性コアや、磁性コアおよびコイルを封止する外装部材に使用することができる。
本実施形態の樹脂成形材料の硬化物で構成された外装部材を備える構造体(一体型インダクタ)の概要について図2を用いて説明する。
図2(a)は、構造体100の上面からみた構造体の概要を示す。図2(b)は、図2(a)におけるA-A’断面視における断面図を示す。
本実施形態の構造体100は、図2に示すように、コイル10および磁性コア20を備えることができる。磁性コア20は、空芯コイルであるコイル10の内部に充填されている。コイル10および磁性コア20は、外装部材30(封止部材)で封止されている。磁性コア20および外装部材30は、本実施形態の樹脂成形材料の硬化物で構成することができる。磁性コア20および外装部材30は、シームレスの一体部材として形成されていてもよい。
本実施形態の構造体100の製造方法としては、例えば、コイル10を金型に配置し、本実施形態の樹脂成形材料を用いて、トランスファー成形等の金型成形することにより、当該樹脂成形材料を硬化させて、コイル10中に充填された磁性コア20およびこれらの周囲に外装部材30を一体化形成することができる。このときコイル10は、巻線の端部を外装部材30の外部に引き出した不図示の引き出し部を有してもよい。
コイル10は、通常、金属線の表面に絶縁被覆を施した巻線を巻回した構造により構成される。金属線は、導電性の高いものが好ましく、銅、銅合金が好適に利用できる。また、絶縁被覆は、エナメルなどの被覆が利用できる。巻線の断面形状は、円形や矩形、六角形などが挙げられる。
一方、磁性コア20の断面形状は、特に限定されないが、例えば、断面視において、円形形状や、四角形や六角形などの多角形状とすることができる。磁性コア20は、本実施形態の樹脂成形材料のトランスファー成形品で構成されるため、所望の形状を有することが可能である。
本実施形態の樹脂成形材料の硬化物によれば、成形性および高透磁率などの磁気特性に優れた磁性コア20および外装部材30を実現できるため、これらを有する構造体100(一体型インダクタ)においては、低磁気損失が期待される。また、機械的特性に優れた外装部材30を実現できるため、構造体100の耐久性や信頼性、製造安定性を高めることが可能である。このため、本実施形態の構造体100は、昇圧回路用や大電流用のインダクタに用いることができる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、本発明の効果を損なわない範囲で、上記以外の様々な構成を採用することができる。
以下に、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1~3、比較例1~2>
まず、表1に記載の各成分を、記載の比率で準備し、まず軟磁性粒子を混合しながら、そこにその他の成分を添加し均一に混合して混合物を得た。
次いで、得られた混合物を、120℃、10分の条件で混練した。混練終了後、得られた混練物を室温まで冷却して固形状とし、そして粉砕、打錠成形した。以上により、タブレット状の樹脂成形材料を得た。
表1に記載された原料成分を以下に示す。表1における樹脂成形材料および成形品の評価結果を示す。なお、表1に記載された軟磁性体粒子の含有率(体積%)は、軟磁性粒子を含む樹脂成形材料を100体積%としたときの含有率(すなわち充填率)である。
(軟磁性粒子)
鉄基粒子1:結晶磁性粉(大同特殊鋼株式会社製、DAPMS7-200、メジアン径D50:52μm、Fe93質量%)
鉄基粒子2:アモルファス磁性粉(エプソンアトミックス株式会社製、KUAMET6B2、メジアン径D50:50μm)
鉄基粒子3:アモルファス磁性粉(エプソンアトミックス株式会社製、AW2-08、メジアン径D50:4μm)
鉄基粒子4:カルボニル鉄粉(Jiangsu Tianyi Ultrafine Metal Powder Limited Company製、YX5/5、メジアン径D50:1μm)
(微粉シリカ)
微粉シリカ1:溶融球状シリカ、メジアン系D50=31μm
微粉シリカ2:微粉シリカ、メジアン系D50=0.5μm
(エポキシ樹脂)
エポキシ樹脂1:NC3000L:日本化薬株式会社製のビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、23℃で固形、前掲の一般式(BP1)で表される構造単位含有)
(硬化剤)
硬化剤:MEH-7851SS:明和化成株式会社製のビフェニレン骨格含有フェノールアラルキル樹脂、23℃で固形
(密着助剤)
密着助剤: CDA-1M(重金属不活性化剤、ADEKA社製)
(離型剤(ワックス))
離型剤1の合成
炭素数28~60の1-アルケンと無水マレイン酸との共重合物(ダイヤカルナR30、三菱ケミカル株式会社製)100.0g、およびステアリルアルコール47.0gを、300mlの4つ口セパラブルフラスコに仕込み、70℃で溶解させた後に、10wt%トリフルオロメタンスルホン酸水溶液0.5gを添加した。得られた反応混合物を150℃で5時間撹拌した。
その後、液温を120℃まで冷却して、30Torrの減圧下で、2時間減圧蒸留することにより、遊離のトリフルオロメタンスルホン酸と水を除去して、エステル化物である離型剤1を144g得た。
(金属分散剤)
・分散剤: Hypermer KD-9(質量平均分子量:760、酸価:74mgKOH/g、CRODA社製)
(シリコーン化合物)
シリコーンオイル:下記化学式で示されるシリコーンオイル(FZ-3730、東レ・ダウコーニング社製)
Figure 2022187217000008
(触媒)
触媒:下記化学式で表される、以下の製法で得られた化合物
Figure 2022187217000009
メタノール1800gを入れたフラスコに、フェニルトリメトキシシラン249.5g、2,3-ジヒドロキシナフタレン384.0gを加えて溶かし、次に室温攪拌下28%ナトリウムメトキシド-メタノール溶液231.5gを滴下した。さらにそこへ予め用意したテトラフェニルホスホニウムブロマイド503.0gをメタノール600gに溶かした溶液を室温攪拌下滴下すると結晶が析出した。析出した結晶を濾過、水洗、真空乾燥し、桃白色結晶の触媒2を得た。
(カップリング剤)
・カップリング剤: CF-4083(フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、東レ・ダウコーニング(株)製)
<評価>
(スパイラルフロー試験)
実施例および比較例の樹脂成形材料を用いてスパイラルフロー試験を行った。
試験は、低圧トランスファー成形機(コータキ精機(株)製「KTS-15」)を用いて、EMMI-1-66に準じたスパイラルフロー測定用の金型に、金型温度175℃、注入圧力6.9MPa、保圧時間180秒の条件で樹脂成形材料を注入し、流動長を測定することにより行った。数値が大きいほど、流動性が良好であることを示す。
(濡れ広がり性試験)
図1(a)に示すように、まず、175℃の熱板2(材質:SKD11)上に、断面半楕円形状の計量部4a(開口直径a:18.4mm、深さb:9mm、容積:2.0ml)を備える計量スプーン4で、当該計量部の摺り切り一杯分の樹脂成形材料6を置く。
次いで、図1(b)に示すように、樹脂成形材料6を載置してから10秒以内に樹脂成形材料6の上に、175℃に加熱した金型8(材質:SKD11、寸法:180mm×150mm×厚み15mm、重量:3kg)を熱板2の上面と平行となるように載せ、5分間放置した。金型8を取り除き、図1(c)に示すように、略円形に押し広げられた樹脂成形材料6の最大径cと最大径cの中心を通る最小径dを測定し、最大径cと最小径dとの平均値を得た。
図3(a)~(e)に略円形に押し広げられた樹脂成形材料の写真を示す。
(圧縮成形性)
175℃に熱した平板圧縮成形金型のキャビティを備えた下型に樹脂成形材料34ccを入れ、上型をはめ込み、クランプ圧8MPaで3分間圧縮成形後、平板成形物を取り出す。平板サイズは140mm×120mm×2mmであった。目視にて、成形物の外観から未充填等の確認を行い、以下の基準で評価した。
〇:未充填なく成形が出来ている。
×:未充填が目視で観察される。
Figure 2022187217000010
表1の結果から、濡れ広がり性試験の平均値が45cm以上95cm以下であることにより樹脂成形材料は濡れ広がり性に優れ、成形性に優れていた。
さらに、実施例3のようにスパイラルフロー長が短くても濡れ広がり性に優れており、成形性に優れていた。スパイラルフロー長と成形性に相関がないことが分かった。
2 熱板
4a 計量部
4 計量スプーン
6 樹脂成形材料
8 金型
c 最大径
d 最小径
100 構造体
10 コイル
20 磁性コア
30 外装部材

Claims (10)

  1. (A)軟磁性粒子と、
    (B)熱硬化性樹脂と、
    (C)フェノール系硬化剤と、
    を含み、以下の条件で測定された下記最大径と当該最大径の中心を通る下記最小径との平均値が45cm以上95cm以下である、樹脂成形材料。
    (条件)
    175℃の熱板(材質:SKD11)上に、断面半楕円形状の計量部(開口部開口直径:18.4mm、深さ:9mm、容積:2.0ml)を備える計量スプーンで、当該計量部の摺り切り一杯分の前記樹脂成形材料を置く。前記樹脂成形材料を載置してから10秒以内に当該樹脂成形材料の上に、175℃に加熱した金型(材質:SKD11、寸法:180mm×150mm×厚み15mm、重量:3kg)を前記熱板の上面と平行となるように載せ、5分間放置した。前記金型を取り除き、略円形に押し広げられた前記樹脂成形材料の最大径と当該最大径の中心を通る最小径を測定した。
  2. 熱硬化性樹脂(B)はエポキシ樹脂を含む、請求項1に記載の樹脂成形材料。
  3. 前記エポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、トリスフェニルメタン型エポキシ樹脂、およびビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂から選択される少なくても1種である、請求項1または2に記載の樹脂成形材料。
  4. フェノール系硬化剤(C)は、ノボラック型フェノール樹脂、およびビフェニルアラルキル型フェノール樹脂から選択される少なくても1種である、請求項1~3のいずれかに記載の樹脂成形材料。
  5. さらに硬化促進剤(D)を含み、
    当該硬化促進剤(D)は、テトラ置換ホスホニウム化合物、ホスホベタイン化合物、ホスフィン化合物、ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物、及び、ホスホニウム化合物とシラン化合物との付加物から選択される少なくても1種である、請求項1~4のいずれかに記載の樹脂成形材料。
  6. さらに常温(25℃)で液状のシリコーン化合物(E)を含む、請求項1~5のいずれかに記載の樹脂成形材料。
  7. さらに平均粒径が0.1μm以上2.0μm以下の微粉シリカ(F)を含む、請求項1~6のいずれかに記載の樹脂成形材料。
  8. 23℃でタブレット状または顆粒状である、請求項1~7のいずれかに記載の樹脂成形材料。
  9. 請求項1~8のいずれかに記載の樹脂成形材料を硬化してなる成形体。
  10. 請求項1~8のいずれかに記載の樹脂成形材料を圧縮成形する工程を含む、成形体の製造方法。
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