JP7127366B2 - 磁性部材成形用の樹脂組成物、磁性部材、コイル、磁性部材の製造方法および磁性部材成形用キット - Google Patents
磁性部材成形用の樹脂組成物、磁性部材、コイル、磁性部材の製造方法および磁性部材成形用キット Download PDFInfo
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また、樹脂成形技術を応用して磁性部材を製造しようとする場合、当然ながら、成形性が良好な樹脂組成物が求められる。また、樹脂組成物の保存性やハンドリング性の観点から、耐ブロッキング性が良好であること(粒子状の樹脂組成物が、保存中に塊状になりにくいこと)も求められる。
例えば、溶融しやすい(溶融時に比較的低粘度となる)樹脂を用いて樹脂組成物を構成すれば、成形性を良好としやすい。しかし、樹脂の溶融性のしやすさは、裏を返すと樹脂の耐熱性が低いということである。また、溶融しやすい樹脂は、常温で完全に固体とは言えない(わずかだが流動性がある)場合があり、ブロッキングを起こしやすい傾向にある。
磁性部材成形用の樹脂組成物であって、
トリアリールメタン骨格を有するエポキシ樹脂(A1)と、
以下一般式(a2-1)で表される構造単位を有するエポキシ樹脂および以下一般式(a2-2)で表される構造のエポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも一種のエポキシ樹脂(A2)と、
フェノール系硬化剤(B)と
磁性体粒子(C)と
を含む樹脂組成物
が提供される。
Cyは脂環構造を含む2価の有機基を表し、
R21は、複数ある場合はそれぞれ独立に、1価の置換基を表し、
lは、0~3の整数である。
2つのRはそれぞれ独立に、水素原子またはメチル基であり、
R22は、複数ある場合はそれぞれ独立に、1価の置換基を表し、
R23は、複数ある場合はそれぞれ独立に、1価の置換基を表し、
pおよびqは、それぞれ独立に、0~4の整数である。
上記の樹脂組成物により成形された磁性部材
が提供される。
上記の磁性部材を、磁性コアまたは外装部材として備えるコイル
が提供される。
トランスファー成形装置を用いて、上記の樹脂組成物の溶融物を金型に注入し、前記溶融物が硬化した磁性部材を得る、磁性部材の製造方法
が提供される。
トリアリールメタン骨格を有するエポキシ樹脂(A1)と、
以下一般式(a2-1)で表される構造単位を有するエポキシ樹脂および以下一般式(a2-2)で表される構造のエポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも一種のエポキシ樹脂(A2)と、
フェノール系硬化剤(B)とを含み、
磁性体粒子(C)と混合して磁性部材を成形するために用いられる樹脂組成物
が提供される。
2つのRはそれぞれ独立に、水素原子またはメチル基であり、
R22は、複数ある場合はそれぞれ独立に、1価の置換基を表し、
R23は、複数ある場合はそれぞれ独立に、1価の置換基を表し、
pおよびqは、それぞれ独立に、0~4の整数である。
上記の樹脂組成物と、磁性体粒子(C)とを混合して混合物を得る混合工程と、
前記混合物を溶融して金型に注入し、成形する成形工程と
を含む、磁性部材の製造方法
が提供される。
トリアリールメタン骨格を有するエポキシ樹脂(A1)と、以下一般式(a2-1)で表される構造単位を有するエポキシ樹脂および以下一般式(a2-2)で表される構造のエポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも一種のエポキシ樹脂(A2)と、フェノール系硬化剤(B)とを含む第一成分と、
磁性体粒子(C)を含む第二成分と
からなる、磁性部材成形用のキット
が提供される。
Cyは脂環構造を含む2価の有機基を表し、
R21は、複数ある場合はそれぞれ独立に、1価の置換基を表し、
lは、0~3の整数である。
2つのRはそれぞれ独立に、水素原子またはメチル基であり、
R22は、複数ある場合はそれぞれ独立に、1価の置換基を表し、
R23は、複数ある場合はそれぞれ独立に、1価の置換基を表し、
pおよびqは、それぞれ独立に、0~4の整数である。
すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
煩雑さを避けるため、(i)同一図面内に同一の構成要素が複数ある場合には、その1つのみに符号を付し、全てには符号を付さない場合や、(ii)特に図2以降において、図1と同様の構成要素に改めては符号を付さない場合がある。
すべての図面はあくまで説明用のものである。図面中の各部材の形状や寸法比などは、必ずしも現実の物品と対応するものではない。
本明細書中、数値範囲の説明における「a~b」との表記は、特に断らない限り、a以上b以下のことを表す。例えば、「1~5質量%」とは「1質量%以上5質量%以下」の意である。
本明細書における「(メタ)アクリル」との表記は、アクリルとメタクリルの両方を包含する概念を表す。「(メタ)アクリレート」等の類似の表記についても同様である。
本実施形態の樹脂組成物は、磁性部材成形用の樹脂組成物であって、
トリアリールメタン骨格を有するエポキシ樹脂(A1)と、
以下一般式(a2-1)で表される構造単位を有するエポキシ樹脂および以下一般式(a2-2)で表される構造のエポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも一種のエポキシ樹脂(A2)と、
フェノール系硬化剤(B)と
磁性体粒子(C)と
を含む。
2つのRはそれぞれ独立に、水素原子またはメチル基であり、
R22は、複数ある場合はそれぞれ独立に、1価の置換基を表し、
R23は、複数ある場合はそれぞれ独立に、1価の置換基を表し、
pおよびqは、それぞれ独立に、0~4の整数である。
一方、エポキシ樹脂(A2)は、エポキシ樹脂(A1)と比較して、耐熱性は幾分低いが、溶融しやすい(溶融時には比較的低粘度である)と考えられる。
これら、性質の異なる2種のエポキシ樹脂を併用することで、磁性部材を形成した時の良好な耐熱性、良好な成形性および良好な耐ブロッキング性の三性能が鼎立されると考えられる。
なお、上記説明は推測を含む。また、上記説明により本発明が限定的に解釈されるものでもない。
本実施形態の樹脂組成物は、トリアリールメタン骨格を有するエポキシ樹脂(A1)(単に「エポキシ樹脂(A1)」とも表記する)を含む。
「トリアリールメタン骨格を有する」とは、具体的には、メタン(CH4)の4つの水素原子のうちの3つが芳香環で置換された部分構造を含む。ここでの「芳香環」は、ベンゼン環やナフタレン環などのベンゼン系芳香環であってもよいし、フラン、チオフェン、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン等の複素芳香環であってもよい。また、3つの芳香環は、同一のものであっても異なっていてもよい。
ただし、コストの観点や、成形物(磁性部材)の機械特性などの観点からは、芳香環は、ベンゼン環やナフタレン環などのベンゼン系芳香環であることが好ましい。また、3つの芳香環は同一であることが好ましい。
エポキシ樹脂(A1)として、一般式(a1)で表される構造単位を有するものを用いることで、特に、磁性部材を形成したときの良好な耐熱性の効果をより確実に得ることができる。
R11は、複数ある場合はそれぞれ独立に、1価の置換基を表し、
R12は、複数ある場合はそれぞれ独立に、1価の置換基を表し、
iは、0~3の整数であり、
jは、0~4の整数である。
アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などが挙げられる。
アルケニル基の例としては、アリル基、ペンテニル基、ビニル基などが挙げられる。
アルキニル基の例としては、エチニル基などが挙げられる。
アルキリデン基の例としては、メチリデン基、エチリデン基などが挙げられる。
アリール基の例としては、トリル基、キシリル基、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基が挙げられる。
アラルキル基の例としては、ベンジル基、フェネチル基などが挙げられる。
アルカリル基の例としては、トリル基、キシリル基などが挙げられる。
シクロアルキル基の例としては、アダマンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などが挙げられる。
アルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、s-ブトキシ基、イソブトキシ基、t-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基などが挙げられる。
ヘテロ環基の例としては、エポキシ基、オキセタニル基などが挙げられる。
一態様として、iおよびjはともに0である。つまり、一態様として、一般式(a1)中のベンゼン環の全ては、1価の置換基としては、明示されたグリシジルオキシ基以外の置換基を有しない。
本実施形態の樹脂組成物は、以下一般式(a2-1)で表される構造単位を有するエポキシ樹脂および以下一般式(a2-2)で表される構造のエポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも一種のエポキシ樹脂(A2)(単に「エポキシ樹脂(A2)」とも表記する)を含む。
Cyは脂環構造を含む2価の有機基を表し、
R21は、複数ある場合はそれぞれ独立に、1価の置換基を表し、
lは、0~3の整数である。
2つのRはそれぞれ独立に、水素原子またはメチル基であり、
R22は、複数ある場合はそれぞれ独立に、1価の置換基を表し、
R23は、複数ある場合はそれぞれ独立に、1価の置換基を表し、
pおよびqは、それぞれ独立に、0~4の整数である。
Cyの炭素数は、典型的には5~20、好ましくは6~18、より好ましくは6~15である。
また、デカリン環(パーヒドロナフタレン環)、パーヒドロインデン環(ビシクロ[4.3.0]ノナン環)、パーヒドロアントラセン環、パーヒドロフルオレン環、パーヒドロフェナントレン環、パーヒドロアセナフテン環、パーヒドロフェナレン環、ノルボルナン環(ビシクロ[2.2.1]ヘプタン環)、イソボルナン環、アダマンタン環、ビシクロ[3.3.0]オクタン環、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環、トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカン環などの、多環の脂環(橋架け炭素環)も挙げることができる。なお、「多環」とは、好ましくは2~4環程度のことをいう。
Cyは、例えばこれらの単環または多環の脂環から2つの水素原子を除いた2価の基であることができる。
また、Cyは、カルボニル構造(=O)などを含んでいてもよい。
後者の場合をより具体的に説明すると、一般式(a2-1)の-Cy-の部分は、-Cy’-L-と表すことができる。ここで、Cy’は脂環(具体例としては前掲の単環または多環の脂環)、Lは2価の連結基である。Lの2価の連結基としては、アルキレン基(例えば炭素数1~6)、シクロアルキレン基、エーテル基、カルボニル基、エステル基、これらの2つ以上が連結した基などを挙げることができる。
一態様として、lは0である。つまり、一態様として、一般式(a2-1)中のベンゼン環は、1価の置換基としては、明示されたグリシジルオキシ基以外の置換基を有しない。
なお、溶融時の適度な流動性の観点などから、2つのRがメチル基である場合には、pおよびqは好ましくは0であり、2つのRが水素原子である場合には、pおよびqは好ましくは1または2である。
エポキシ樹脂(A1)とエポキシ樹脂(A2)の量比を適切に調整することで、耐熱性、成形性および耐ブロッキング性の鼎立をより高度なレベルで実現することができる。
具体的には、エポキシ樹脂(A1)が有するエポキシ基のモル数をM1とし、エポキシ樹脂(A2)が有するエポキシ基のモル数をM2としたとき、M1/M2の値は、好ましくは0.5~1.5、より好ましくは0.6~1.4、さらに好ましくは0.8~1.2である。
なお、M1/M2の値は、エポキシ樹脂(A1)およびエポキシ樹脂(A2)の分子量やエポキシ当量などから、モル計算により求めることができる。
樹脂組成物中の、エポキシ樹脂(A1)およびエポキシ樹脂(A2)の合計量は、樹脂組成物全体を基準として、例えば1~30体積%であり、好ましくは5~25体積%である。
このような数値範囲とすることにより、成形性を一層向上させることができ、得られる硬化物(磁性部材)の機械特性や磁気特性を一層向上させることができる。
本実施形態の樹脂組成物は、フェノール系硬化剤(B)を含む。
フェノール系硬化剤(B)は、フェノール性ヒドロキシ基を含み、エポキシ樹脂(A1)および/またはエポキシ樹脂(A2)と反応しうるものである限り、特に限定されない。フェノール系硬化剤(B)は、低分子であっても高分子であってもよい。
R1およびR2は、複数ある場合はそれぞれ独立に、1価の置換基を表し、
rおよびsは、それぞれ独立に、0~4であり、
*は、他の原子団と連結していることを表す。
rおよびsは、それぞれ独立に、好ましくは0~2であり、より好ましくは0~1である。一態様として、rおよびsはともに0である。
R1およびR2の定義および具体例は、一般式(BP)と同様であり、
rおよびsの定義および好ましい範囲は、一般式(BP)と同様であり、
R3は、複数ある場合はそれぞれ独立に、1価の置換基を表し、
tは、0~3の整数である。
tは、好ましくは0~2であり、より好ましくは0~1である。
R4は、1価の置換基を表し、
uは、0~3の整数である。
uは、好ましくは0~2であり、より好ましくは0~1であり、更に好ましくは0である。
また、樹脂組成物中のフェノール系硬化剤(B)の含有量は、樹脂組成物全体を基準として、例えば、1~30体積%、好ましくは5~25体積%である。
フェノール系硬化剤(B)の量を適切に調整することにより、成形性を一層向上させることができ、得られる硬化物(磁性部材)の機械特性や磁気特性を向上させることができる。
本実施形態の樹脂組成物は、磁性体粒子(C)を含む。
磁性体粒子(C)としては、本実施形態の樹脂組成物を用いて作製した成形物(磁性部材)が磁性を示す限りにおいて、任意のものを用いることができる。
特に、磁性体粒子(C)としてFeを85質量%以上含むものを用いることで、磁気特性を一層高めることができる。
鉄基粒子としてより具体的には、軟磁性を示し、鉄原子の含有率が85質量%以上である粒子(軟磁性鉄高含有粒子)を用いることができる。なお、軟磁性とは、保磁力が小さい強磁性のことを指し、一般的には、保磁力が800A/m以下である強磁性のことを軟磁性という。
このような官能基としては、下記一般式(1)で表される官能基を挙げることができる。
*-O-X-R ・・・(1)
[式中、Rは、有機基を表し、Xは、Si、Ti、Al、またはZrであり、*は、磁性体粒子を構成する原子の1つである。]
カップリング剤の使用量は、磁性体粒子(C)100質量部に対して、例えば、0.05~1質量部であるのが好ましく、0.1~0.5質量部であるのがより好ましい。
カップリング剤と磁性体粒子(C)を反応させるときの溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等が挙げられる。また、このときのカップリング剤の使用量は、溶媒100質量部に対して、0.1~2質量部が好ましく、0.5~1.5質量部がより好ましい。
カップリング剤と磁性体粒子(C)との反応時間(例えば希釈溶液への浸漬時間等)は、1~24時間であることが好ましい。
酸素プラズマ処理の圧力は、特に限定されないが、100~200Paであることが好ましく、120~180Paであることがより好ましい。
酸素プラズマ処理における処理ガスの流量は、特に限定されないが、1000~5000mL/分であることが好ましく、2000~4000mL/分であることがより好ましい。
酸素プラズマ処理の出力は、特に限定されないが、100~500Wであることが好ましく、200~400Wであることがより好ましい。
酸素プラズマ処理の処理時間は、上述の各種条件に応じて適宜設定されるが、5~60分であることが好ましく、10~40分であることがより好ましい。
アルゴンプラズマ処理における処理ガスの流量は、特に限定されないが、10~100mL/分であることが好ましく、20~80mL/分であることがより好ましい。
アルゴンプラズマ処理の出力は、100~500Wであることが好ましく、200~400Wであることがより好ましい。
アルゴンプラズマ処理の処理時間は、5~60分であることが好ましく、10~40分であることがより好ましい。
また、上述したような表面処理は、樹脂組成物中に含まれるすべての粒子に施されてもよく、一部の粒子のみに施されてもよい。
具体的には、以下で定義される「真円度」を、磁性体粒子(C)の任意の10個以上(好ましくは50個以上)について求め、その値を平均することで求められる平均真円度が0.60以上であることが好ましく、0.75以上であることがより好ましい。
真円度の定義:磁性体粒子(C)の輪郭を走査型電子顕微鏡で観察したときの、当該輪郭から求められる等面積円相当径をReq、当該輪郭に外接する円の半径をRcとしたときの、Req/Rcの値。
例えば、磁性体粒子の、体積基準におけるメジアン径D50は、好ましくは0.5~75μm、より好ましくは0.75~65μm、さらに好ましくは1~60μmである。粒径(メジアン径)を適切に調整することで、成形時の流動性を更に良好にしたり、磁性性能を更に向上させたりすることができる。
また、体積基準において、樹脂組成物中の磁性体粒子の含有量は、樹脂組成物全体を基準として、好ましくは60体積%以上、より好ましくは70体積%以上、さらに好ましくは80体積%以上である。これの上限については、現実的に樹脂組成物の流動性を確保する点などから、例えば95体積%以下である。
本実施形態の樹脂組成物は、硬化促進剤(D)を含んでもよい。これにより、樹脂組成物の硬化性を向上させることができる。
具体的には、有機ホスフィン、テトラ置換ホスホニウム化合物、ホスホベタイン化合物、ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物、ホスホニウム化合物とシラン化合物との付加物等のリン原子含有化合物;2-メチルイミダゾール等のイミダゾール類(イミダゾール系硬化促進剤);1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7、ベンジルジメチルアミン等が例示されるアミジンや3級アミン、アミジンやアミンの4級塩等の窒素原子含有化合物などを挙げることができる。
硬化促進剤(D)を用いる場合、その含有量は、樹脂組成物全体に対して、好ましくは0.01~1質量%、より好ましくは0.05~0.8質量%である。このような数値範囲とすることにより、十分に硬化性向上の効果が得られる。
本実施形態の樹脂組成物は、離型剤(E)を含んでもよい。これにより、成形時の樹脂組成物の離型性を高めることができる。
本実施形態の樹脂組成物は、流動性の調整などの観点で、非磁性を示す非磁性体粒子(F)を含んでもよい。非磁性体粒子(F)は、例えば、粒子径分布曲線における累積50%値が3μm以下の粒子を用いることができる。なお、本明細書において、非磁性とは、強磁性を有さないことを指す。
また、セラミックス材料は、特にシリカを含むのが好ましい。シリカは、エポキシ樹脂との親和性が高く、絶縁性が高いため、非磁性体粒子(F)の構成粒子として有用である。
本実施形態の樹脂組成物は、エポキシ樹脂(A1)およびエポキシ樹脂(A2)以外の任意の樹脂(その他の樹脂)を含んでもよい。具体的には、エポキシ樹脂(A1)およびエポキシ樹脂(A2)に該当しない熱硬化性樹脂や、熱可塑性樹脂を含んでもよい。
その他の樹脂を用いる場合、その量は、樹脂組成物全体を基準として、好ましくは1~10質量%、より好ましくは2~5質量%である。これにより、流動性や成形性の調整効果を十分に得られると考えられる。
本実施形態の樹脂組成物は、上述した成分以外の成分を含んでいてもよい。例えば、低応力剤、カップリング剤、密着助剤、着色剤、酸化防止剤、耐食剤、染料、顔料、難燃剤等を含んでもよい。
本実施形態の樹脂組成物は、室温25℃において固形であってよい。
本実施形態の樹脂組成物の性状は、粉末状、顆粒状またはタブレット状等とすることができる。
本実施形態の樹脂組成物は、例えば、まず(1)各成分をミキサーを用いて混合し、(2)その後、ロールを用いて、120℃前後で5分程度混練することにより混練物を得、(3)そして得られた混練物を冷却後粉砕することにより製造することができる。(以上により、粉末状の樹脂組成物を得ることができる。)
なお、必要に応じて粉末状の樹脂組成物を打錠し、顆粒状やタブレット状にしてもよい。これにより、トランスファー成形等の樹脂成形に適する樹脂組成物が得られる。また、樹脂組成物を室温(25℃)で固形とすることにより、搬送性や保管性をより高めることが可能である。
本実施形態の樹脂組成物は、例えばトランスファー成形法、射出成形法、押出成形法、プレス成形法等の各種成形法により、所望の形状に成形される。
これらの方法の中でも、本実施形態の樹脂組成物は、トランスファー成形法による成形に適している。つまり、トランスファー成形装置を用いて、上述の樹脂組成物の溶融物を金型に注入し、その溶融物が硬化した磁性部材を得ることができる。成形物は、電気・電子デバイス中の磁性部品などとして好適に用いることができる。より具体的には、成形物は、コイル(用途や目的により、リアクトルやインダクタなどとも呼ばれる)の磁性コアなどとして好適に用いられる。
トランスファー成形は、成形品の寸法の制御性や、形状自由度の向上などの点で、他の成形法に比べて好ましい。
本実施形態の樹脂組成物により形成された磁性部材(本実施形態の樹脂組成物を硬化させて形成した磁性部材)、および、その磁性部材を磁性コアまたは外装部材として備えるコイルの態様について説明する。
図1(a)および図1(b)は、本実施形態の樹脂組成物の硬化物で構成された磁性コアを備えるコイル100(リアクトル)を模式的に示した図である。
図1(a)は、上面から見たコイル100の概要を示す。図1(b)は、図1(a)におけるA-A’断面視における断面図を示す。
なお、コイル100は、巻線10と磁性コア20との間に、これらの絶縁を確保する観点から、不図示のインシュレータを介在させた構造としてもよい。
上記のコイルとは別の態様として、本実施形態の樹脂組成物の硬化物で構成された外装部材を備えるコイル(インダクタ)の概要を、図2を参照しつつ説明する。
図2(a)は、コイル100Bの上面からみたコイルの概要を示す。図2(b)は、図2(a)におけるB-B’断面視における断面図を示す。
なお、コイル100Bは、巻線10Bと磁性コア20Bとの間に、これらの絶縁を確保する観点から、不図示のインシュレータを介在させた構造としてもよい。
更に別の態様として、本実施形態の樹脂組成物の硬化物で構成された磁性コアと外装部材を備える一体型インダクタの概要を、図3を参照しつつ説明する。
図3(a)は、一体型インダクタ100Cの上面からみた構造体の概要を示す。図3(b)は、図3(a)におけるC-C’断面視における断面図を示す。
本実施形態の磁性部材(本実施形態の樹脂組成物の硬化物)は、前述のとおり、耐熱性が良好である。具体的には、熱機械分析装置を用いて、測定温度範囲0℃~400℃、昇温速度5℃/分の条件下で測定されるガラス転移温度が、好ましくは160℃以上、より好ましくは165℃以上である。
上記では、「エポキシ樹脂(A1)と、エポキシ樹脂(A2)と、フェノール系硬化剤(B)と、磁性体粒子(C)」の4成分を含む樹脂組成物や、その樹脂組成物を用いて得られる磁性部材(硬化物)の実施形態について説明した。
(1)まず、「エポキシ樹脂(A1)と、エポキシ樹脂(A2)と、フェノール系硬化剤(B)」の3成分を含む(磁性体粒子(C)を含まない)樹脂組成物を調製しておき、
(2)その後、その樹脂組成物を磁性体粒子(C)と混合して混合物を得、
(3)そして、その混合物を溶融して金型に注入し、成形する
という工程により、磁性部材(硬化物)を得ることもできる。
なお、(2)の混合物を得るタイミングは、例えば、(3)の成形工程の直前とすることができる。
なお、上記(1)の樹脂組成物は、その他の任意成分を含んでもよい。任意成分としては、前述したように、離型剤、非磁性体粒子、その他の樹脂、低応力剤、カップリング剤、密着助剤、着色剤、酸化防止剤、耐食剤、染料、顔料、難燃剤等を挙げることができる。または、これらの任意成分については、上記(2)の混合物を得るときに添加されてもよい。
なお、磁性体粒子(C)の具体的態様や、混合物中の磁性体粒子の量などについては、上述の<樹脂組成物>の項で説明された磁性体粒子(C)の具体的態様と同様とすることができる。
更に別の実施形態として、エポキシ樹脂(A1)と、エポキシ樹脂(A2)と、フェノール系硬化剤(B)とを含む第一成分と、磁性体粒子(C)を含む第二成分とからなる磁性部材成形用キットにより、磁性部材(硬化物)を得ることができる。
このキットにおいて、第一成分と第二成分は、通常、使用直前までは互いに接触しない状態となっている。例えば、第一成分と第二成分はそれぞれ別々の容器に入れられている。
第一成分は、通常、磁性体粒子を含まない。また、第二成分は、通常、エポキシ樹脂(A1)、エポキシ樹脂(A2)およびフェノール系硬化剤(B)を含まない。
第二成分における磁性体粒子(C)の具体的態様については、前述のものと同様である。
第一成分および/または第二成分は、その他の任意成分を含んでもよい。任意成分としては、前述したように、離型剤、非磁性体粒子、エポキシ樹脂とは異なる樹脂、低応力剤、カップリング剤、密着助剤、着色剤、酸化防止剤、耐食剤、染料、顔料、難燃剤等を挙げることができる。
混合、溶融、金型注入等の具体的方法および態様については、上記<樹脂組成物>、<磁性体粒子と混合して磁性部材を成形するために用いられる樹脂組成物>、<磁性部材の製造方法>などの記載を参照されたい。
上記では、エポキシ樹脂として、特定の構造を有するエポキシ樹脂(A1)とエポキシ樹脂(A2)を併用することを中心に、本発明の実施形態を説明した。
一方、さきに説明したように、エポキシ樹脂(A1)とエポキシ樹脂(A2)の併用は、溶融しにくい(溶融時には比較的高粘度である)エポキシ樹脂と、それよりは溶融しやすい(溶融時には比較的低粘度である)エポキシ樹脂の併用、と捉えることもできる。
つまり、本実施形態の樹脂組成物は、例えば以下[参考形態]のように表現することもできる。
150℃での溶融粘度が50mPa・s以上であるエポキシ樹脂(A1´)と、
150℃での溶融粘度が40mPa・s以下であるエポキシ樹脂(A2´)と、
フェノール系硬化剤(B)と
磁性体粒子(C)と
を含む、磁性部材成形用の樹脂組成物。
エポキシ樹脂(A2´)の具体例としては、前述のエポキシ樹脂(A2)を挙げることができる。
エポキシ樹脂(A1´)の150℃での溶融粘度は、より好ましくは50~200mPa・s、さらに好ましくは70~180mPa・s、特に好ましくは90~160mPa・s、とりわけ好ましくは100~150mPa・sである。
エポキシ樹脂(A2´)の150℃での溶融粘度は、より好ましくは0.1~40mPa・s、さらに好ましくは0.5~35mPa・s、特に好ましくは1~30mPa・sである。
[参考形態]におけるフェノール系硬化剤(B)および磁性体粒子(C)の具体的態様は、上記<樹脂組成物>の欄で説明したものと同様である。その他、[参考形態]の樹脂組成物が更に含んでもよい任意成分、[参考形態]の樹脂組成物を用いた磁性部材の製造方法なども前述の記載と同様である。
以下、上記の参考形態とはさらに別の参考形態の例を付記する。
1.
磁性部材成形用の樹脂組成物であって、
トリアリールメタン骨格を有するエポキシ樹脂(A1)と、
前掲の一般式(a2-1)で表される構造単位を有するエポキシ樹脂および前掲の一般式(a2-2)で表される構造のエポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも一種のエポキシ樹脂(A2)と、
フェノール系硬化剤(B)と
磁性体粒子(C)と
を含む樹脂組成物。
一般式(a2-1)中、
Cyは脂環構造を含む2価の有機基を表し、
R 21 は、複数ある場合はそれぞれ独立に、1価の置換基を表し、
lは、0~3の整数である。
一般式(a2-2)中、
2つのRはそれぞれ独立に、水素原子またはメチル基であり、
R 22 は、複数ある場合はそれぞれ独立に、1価の置換基を表し、
R 23 は、複数ある場合はそれぞれ独立に、1価の置換基を表し、
pおよびqは、それぞれ独立に、0~4の整数である。
2.
1.に記載の樹脂組成物であって、
前記エポキシ樹脂(A1)が、前掲の一般式(a1)で表される構造単位を有する樹脂組成物。
一般式(a1)中、
R 11 は、複数ある場合はそれぞれ独立に、1価の置換基を表し、
R 12 は、複数ある場合はそれぞれ独立に、1価の置換基を表し、
iは、0~3の整数であり、
jは、0~4の整数である。
3.
1.または2.に記載の樹脂組成物であって、
前記フェノール系硬化剤(B)が、ビフェニル骨格およびノボラック骨格からなる群より選ばれるいずれかの骨格を含む樹脂組成物。
4.
1.~3.のいずれか1つに記載の樹脂組成物であって、
前記エポキシ樹脂(A1)が有するエポキシ基のモル数をM 1 とし、
前記エポキシ樹脂(A2)が有するエポキシ基のモル数をM 2 としたとき、
M 1 /M 2 の値が0.5~1.5である樹脂組成物。
5.
1.~4.のいずれか1つに記載の樹脂組成物であって、
樹脂組成物全体に対する前記磁性体粒子(C)の含有量が90質量%以上である樹脂組成物。
6.
1.~5.のいずれか1つに記載の樹脂組成物であって、
前記磁性体粒子(C)が、Fe、Cr、Co、Ni、AgおよびMnからなる群より選択される1種以上の元素を含む樹脂組成物。
7.
1.~6.のいずれか1つに記載の樹脂組成物であって、
前記磁性体粒子(C)が、Feを85質量%以上含む樹脂組成物。
8.
1.~7.のいずれか1つに記載の樹脂組成物であって、
前記磁性体粒子(C)の、体積基準におけるメジアン径D 50 が0.5~75μmである樹脂組成物。
9.
1.~8.のいずれか1つに記載の樹脂組成物により成形された磁性部材。
10.
9.に記載の磁性部材を、磁性コアまたは外装部材として備えるコイル。
11.
トランスファー成形装置を用いて、1.~8.のいずれか1つに記載の樹脂組成物の溶融物を金型に注入し、前記溶融物が硬化した磁性部材を得る、磁性部材の製造方法。
12.
トリアリールメタン骨格を有するエポキシ樹脂(A1)と、
前掲の一般式(a2-1)で表される構造単位を有するエポキシ樹脂および前掲の一般式(a2-2)で表される構造のエポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも一種のエポキシ樹脂(A2)と、
フェノール系硬化剤(B)とを含み、
磁性体粒子(C)と混合して磁性部材を成形するために用いられる樹脂組成物。
一般式(a2-1)中、
Cyは脂環構造を含む2価の有機基を表し、
R 21 は、複数ある場合はそれぞれ独立に、1価の置換基を表し、
lは、0~3の整数である。
一般式(a2-2)中、
2つのRはそれぞれ独立に、水素原子またはメチル基であり、
R 22 は、複数ある場合はそれぞれ独立に、1価の置換基を表し、
R 23 は、複数ある場合はそれぞれ独立に、1価の置換基を表し、
pおよびqは、それぞれ独立に、0~4の整数である。
13.
12.に記載の樹脂組成物と、磁性体粒子(C)とを混合して混合物を得る混合工程と、
前記混合物を溶融して金型に注入し、成形する成形工程と
を含む、磁性部材の製造方法。
14.
トリアリールメタン骨格を有するエポキシ樹脂(A1)と、前掲の一般式(a2-1)で表される構造単位を有するエポキシ樹脂および前掲の一般式(a2-2)で表される構造のエポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも一種のエポキシ樹脂(A2)と、フェノール系硬化剤(B)とを含む第一成分と、
磁性体粒子(C)を含む第二成分と
からなる、磁性部材成形用キット。
一般式(a2-1)中、
Cyは脂環構造を含む2価の有機基を表し、
R 21 は、複数ある場合はそれぞれ独立に、1価の置換基を表し、
lは、0~3の整数である。
一般式(a2-2)中、
2つのRはそれぞれ独立に、水素原子またはメチル基であり、
R 22 は、複数ある場合はそれぞれ独立に、1価の置換基を表し、
R 23 は、複数ある場合はそれぞれ独立に、1価の置換基を表し、
pおよびqは、それぞれ独立に、0~4の整数である。
各実施例のそれぞれについて、次のようにして樹脂組成物を調製した。まず、表1に記載の各成分を、記載の量準備し、ミキサーを用いて混合した。次いで、得られた混合物をロール混練した。その後、冷却、粉砕してパウダー状の樹脂組成物を得た。
表1に記載の各成分の量は、質量部である。
表1に記載の原料成分は、具体的には以下である。なお、エポキシ樹脂の150℃での溶融粘度は、ICIコーンプレート粘度計による測定値である。
エポキシ樹脂A1-1:以下化学式で表されるエポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製、品番E1032H60、25℃で固形、150℃での溶融粘度:130mPa・s)
フェノール樹脂A:以下化学式で表されるノボラック型フェノール樹脂(住友ベークライト株式会社製、品番PR-HF-3、25℃で固形)
硬化触媒A:イミダゾール系硬化促進剤(四国化成工業株式会社製、キュアゾール2PZ-PW)
離型剤A:合成ワックス(クラリアントケミカルズ株式会社製、WE-4)
磁性体粒子A:アモルファス磁性粉(エプソンアトミックス株式会社製、KUAMET6B2、メジアン径D50:50μm、Fe88質量%)
磁性体粒子B:合金鋼粉末(大同特殊鋼株式会社製、DAPMSC5、メジアン径D50:10μm、Fe91質量%)
磁性体粒子C:カルボニル鉄粉(BASF社製、CIP-HQ、メジアン径D50:2μm、Fe99質量%)
各樹脂組成物について、以下の評価を行った。
樹脂組成物を、低圧トランスファー成形機(コータキ精機株式会社製「KTS-30」)を用いて、金型温度175℃、注入圧力9.8MPa、硬化時間120秒間で注入成形し、15mm×4mm×4mmの成形品を得た。次いで、得られた成形品を175℃、4時間で後硬化して試験片(磁性部材)を作製した。
得られた試験片に対して、熱機械分析装置(セイコーインスツル社製、TMA100)を用いて、測定温度範囲0℃~400℃、昇温速度5℃/分の条件下で、ガラス転移温度(℃)を測定した。
ガラス転移温度が大きいことは、試験片(磁性部材)中の樹脂の分子運動が抑制されていることを意味する。つまり、ガラス転移温度が大きいほど、耐熱性は良好である。
低圧トランスファー成形機(コータキ精機株式会社製「KTS-30」)を用いて、金型温度175℃、注入圧力9.8MPa、硬化時間120秒間で注入成形し、50Φの円盤成形品を2個、10mm×80mm×4mmtの成形品を4個作製した。
これらの成形品すべてを問題なく得られたものを○(良好)、1つでも未充填となったものを×(不良)とした。
一定時間冷蔵保管したパウダー状の樹脂組成物を、常温に戻した。これを目視で確認し、ブロッキングが観察されなかったものを○(良好)、観察されたものを×(不良)とした。
樹脂組成物を、低圧トランスファー成形機(コータキ精機株式会社製「KTS-30」)を用いて、金型温度175℃、注入圧力9.8MPa、硬化時間120秒間で注入成形し、直径16mmΦ、高さ32mmの円柱状成形品を得た。次いで、得られた成形品を175℃、4時間で後硬化して、比透磁率評価用試験片を作製した。得られた円柱状成形品に対して直流交流磁化特性試験装置(メトロン技研株式会社製「MTR-1488」)を用いて、B-H初磁化曲線をH=0~100kA/mの範囲で測定し、B-H初磁化曲線のB/Hの最大値を比透磁率とした。
上記の熱機械分析装置によるガラス転移温度の測定結果を利用して、50~70℃における平均線膨張係数α1(ppm/℃)と、270~290℃における平均線膨張係数α2(ppm/℃)を求めた。
樹脂組成物を、低圧トランスファー成形機(コータキ精機株式会社製「KTS-30」)を用いて、金型温度175℃、注入圧力9.8MPa、硬化時間120秒間で注入成形し、幅10mm、厚み4mm、長さ80mmの成形品を得た。次いで、得られた成形品を175℃、4時間で後硬化して試験片を作製した。そして、試験片の25℃における曲げ強度(MPa)および25℃における曲げ弾性率(GPa)を、JIS K 6911に準拠して測定した。
なお、「エポキシ樹脂」の欄には、エポキシ樹脂(A1)が有するエポキシ基のモル数をM1とし、エポキシ樹脂(A2)が有するエポキシ基のモル数をM2としたときの、M1/M2の値についても記載している。
一方、比較例1~6の樹脂組成物(エポキシ樹脂を1種のみ含む)の評価では、3つの性能のうち少なくとも1つについて望ましくない結果が得られた。
20 磁性コア
30 外装部材
100 コイル
10B 巻線
20B 磁性コア
30B 外装部材
100B コイル
10C 巻線
20C 磁性コア
30C 外装部材
100C 一体型インダクタ
Claims (13)
- トランスファー成形法による磁性部材成形用の樹脂組成物であって、
トリアリールメタン骨格を有するエポキシ樹脂(A1)と、
以下一般式(a2-1)で表される構造単位を有するエポキシ樹脂および以下一般式(a2-2)で表される構造のエポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも一種のエポキシ樹脂(A2)と、
フェノール系硬化剤(B)と
磁性体粒子(C)と
を含み、
樹脂組成物全体に対する前記磁性体粒子(C)の含有量が90質量%以上である樹脂組成物。
Cyは脂環構造を含む2価の有機基を表し、
R21は、複数ある場合はそれぞれ独立に、1価の置換基を表し、
lは、0~3の整数である。
2つのRはそれぞれ独立に、水素原子またはメチル基であり、
R22は、複数ある場合はそれぞれ独立に、1価の置換基を表し、
R23は、複数ある場合はそれぞれ独立に、1価の置換基を表し、
pおよびqは、それぞれ独立に、0~4の整数である。 - 請求項1または2に記載の樹脂組成物であって、
前記フェノール系硬化剤(B)が、ビフェニル骨格およびノボラック骨格からなる群より選ばれるいずれかの骨格を含む樹脂組成物。 - 請求項1~3のいずれか1項に記載の樹脂組成物であって、
前記エポキシ樹脂(A1)が有するエポキシ基のモル数をM1とし、
前記エポキシ樹脂(A2)が有するエポキシ基のモル数をM2としたとき、
M1/M2の値が0.5~1.5である樹脂組成物。 - 請求項1~4のいずれか1項に記載の樹脂組成物であって、
前記磁性体粒子(C)が、Fe、Cr、Co、Ni、AgおよびMnからなる群より選択される1種以上の元素を含む樹脂組成物。 - 請求項1~5のいずれか1項に記載の樹脂組成物であって、
前記磁性体粒子(C)が、Feを85質量%以上含む樹脂組成物。 - 請求項1~6のいずれか1項に記載の樹脂組成物であって、
前記磁性体粒子(C)の、体積基準におけるメジアン径D50が0.5~75μmである樹脂組成物。 - 請求項1~7のいずれか1項に記載の樹脂組成物により成形された磁性部材。
- 請求項8に記載の磁性部材を、磁性コアまたは外装部材として備えるコイル。
- トランスファー成形装置を用いて、請求項1~7のいずれか1項に記載の樹脂組成物の溶融物を金型に注入し、前記溶融物が硬化した磁性部材を得る、磁性部材の製造方法。
- トリアリールメタン骨格を有するエポキシ樹脂(A1)と、
以下一般式(a2-1)で表される構造単位を有するエポキシ樹脂および以下一般式(a2-2)で表される構造のエポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも一種のエポキシ樹脂(A2)と、
フェノール系硬化剤(B)とを含む樹脂組成物であって、
当該樹脂組成物は、磁性体粒子(C)と混合して前記磁性体粒子(C)の含有量が90質量%以上である混合物を得、前記混合物をトランスファー成形することで磁性部材を成形するために用いられる樹脂組成物。
Cyは脂環構造を含む2価の有機基を表し、
R21は、複数ある場合はそれぞれ独立に、1価の置換基を表し、
lは、0~3の整数である。
2つのRはそれぞれ独立に、水素原子またはメチル基であり、
R22は、複数ある場合はそれぞれ独立に、1価の置換基を表し、
R23は、複数ある場合はそれぞれ独立に、1価の置換基を表し、
pおよびqは、それぞれ独立に、0~4の整数である。 - 請求項11に記載の樹脂組成物と、磁性体粒子(C)とを混合して、前記磁性体粒子(C)の含有量が90質量%以上である混合物を得る混合工程と、
トランスファー成形装置を用いて、前記混合物を溶融して金型に注入し、成形する成形工程と
を含む、磁性部材の製造方法。 - トリアリールメタン骨格を有するエポキシ樹脂(A1)と、以下一般式(a2-1)で表される構造単位を有するエポキシ樹脂および以下一般式(a2-2)で表される構造のエポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも一種のエポキシ樹脂(A2)と、フェノール系硬化剤(B)とを含む第一成分と、
磁性体粒子(C)を含む第二成分と
からなり、前記第一成分と前記第二成分の合計質量を基準としたときの前記磁性体粒子(C)の比率が90質量%以上である、トランスファー成形法による磁性部材成形用キット。
Cyは脂環構造を含む2価の有機基を表し、
R21は、複数ある場合はそれぞれ独立に、1価の置換基を表し、
lは、0~3の整数である。
2つのRはそれぞれ独立に、水素原子またはメチル基であり、
R22は、複数ある場合はそれぞれ独立に、1価の置換基を表し、
R23は、複数ある場合はそれぞれ独立に、1価の置換基を表し、
pおよびqは、それぞれ独立に、0~4の整数である。
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