JP2007044055A - 害虫防除装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】使用者が身につけて屋外等で使用した際にも、有効な害虫防除効果が得られる害虫防除装置を提供する。
【解決手段】害虫防除装置は、害虫防除成分を保持した薬剤保持体と、前記薬剤保持体に気流を当てるファンFとがチャンバ内に収納されたものである。チャンバ11には、チャンバ内に外気を取り入れる吸気口21と、害虫防除成分を含んだ気流をチャンバ外に放出する排気口13a,13bとが設けられている。排気口13a,13bは、当該害虫防除装置が設置される設置面に沿って害虫防除成分を含んだ気流が放出されるように、配置されている。
【選択図】図2

Description

本発明は害虫防除装置に関し、詳しくは、屋外での使用にも適する害虫防除装置に関する。
従来、害虫防除装置として、害虫防除成分を保持した薬剤保持体をチャンバ内に支持し、チャンバ内に装備されたファンより生起する気流を前記薬剤保持体に当てて、害虫防除成分をチャンバ外に揮散させるものがある。ファンは、チャンバ内における吸気口と排気口との間に配置され、モータ等によって駆動される。
害虫防除装置は、通常、室内に設置されて、チャンバに備えられたスイッチをオンされることで作動する。そして、室内の雰囲気中に害虫防除成分を揮散する。害虫防除装置の供給電源には、商用電源や電池等が用いられる。
従来の害虫防除装置は、主に屋内での使用を想定したものであったが、ベルト等を介して使用者の身につけて使用でき、屋外や広い室内での使用にも適する害虫防除装置の開発が望まれている。しかし、害虫防除装置を屋外等で使用した場合、狭い室内の雰囲気中に害虫防除成分を揮散する場合に比べて、害虫防除効果が低くなってしまうことがある。
本発明は前記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、携帯して用いるのに好適であって、使用者が身につけて屋外等で使用した際にも有効な害虫防除効果が得られる害虫防除装置を提供することにある。
本発明は、害虫防除成分を保持した薬剤保持体と、前記薬剤保持体に気流を当てるファンとがチャンバ内に収納され、前記チャンバには、チャンバ内に外気を取り入れる吸気口と、前記害虫防除成分を含んだ気流をチャンバ外に放出する排気口とが設けられた害虫防除装置において、当該害虫防除装置が設置される設置面に沿って前記害虫防除成分を含んだ気流が放出されるように、前記排気口が配置されていることを特徴としている。
以上のような構成の害虫防除装置は、使用者が身につけた場合、例えば設置面が使用者の胴体表面である場合、害虫防除成分を含んだ気流を使用者の胴体表面に沿って放出する。これにより、使用者の身の回りに有効量の害虫防除成分が漂うことになる。したがって、使用者によってくる害虫に対して有効な害虫防除効果が得られ、屋外等で使用した際にもこの害虫防除効果は維持される。なお、害虫防除効果とは、殺虫、忌避等の作用効果を意味し、使用者を害虫の被害から守る効果をいう。
また、本発明者は鋭意検討の結果、前記害虫防除装置において、設置面が地面に対して略垂直である際に、その設置面に沿った上方向及び下方向のみに前記気流が放出されるように排気口を配置することで、害虫防除効果を効率的にすることができて、薬剤保持体の使用期間を延ばせることを見出した。その結果、この構成によれば、薬剤保持体の取替え頻度を減らすことができる。
なお、本明細書においていう「設置面に沿って気流を放出する」には、設置面の害虫防除装置設置箇所における接線に対して、−60°〜+60°の範囲内に気流を放出するという意味を含むものとする。例えば、気流放出方向を−60°として設置面に気流が当たるようにすれば、設置面の気流が当たる箇所に集中的に害虫防除成分を含んだ気流を漂わせることができる。また、気流放出方向を+60°として設置面から気流が若干離れるようにすれば、使用者の顔等に害虫防除成分を含んだ気流が当たることを防止したりできる。害虫防除装置は、設置面に対して−60°〜+60°の範囲の様々な方向に害虫防除成分を含んだ気流を放出できるものでもよい。
また本発明は、当該害虫防除装置を設置面に保持するための保持手段を備えていることが好ましい。保持手段の形態は限定されないが、例えばクリップ状のものや、ひも状のものを採用できる。
本発明の害虫防除装置によれば、使用者が身につけて屋外や広い室内で使用した際にも、有効な害虫防除効果が得られる。
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。図1に、実施形態である害虫防除装置10を、起立した使用者の身につけた様子を示す。ここでは、害虫防除装置10が、ベルトBを介して使用者の身につけられている。害虫防除装置10は、チャンバ11と薬剤保持体20とを備えている。
チャンバ11は、平板及び当該平板に立設された周壁を有する、表側器体12a、中間器体12b及び裏側器体12cを組み合せてなる。各平板は、長方形板の一端を半円板状にした形状であって、周壁は、平板の周りに円弧状に延びる円弧部分と、平板の周りに直線状に延びる直線部分とを有している。
表側器体12aの周壁には、薬剤保持体を挿入するための挿入開口15が設けられている。また、表側器体12aの平板には、チャンバ11内に外気を取り入れるための吸気口21が設けられている。吸気口21は所定のパターンで配列された複数のスリット21aからなっている。図中、上下方向及び左右方向に配列された複数のスリット21aによって、吸気口21は円形開口に複数の桟を架け渡したような形態になっている。
起立した使用者の身につけられた状態におけるチャンバ11の上部に(ここでは中間器体12bの上部に)、上部排気口13aが設けられている。また、起立した使用者の身につけられた状態におけるチャンバ11の下部に(ここでは中間器体12bの下部に)、下部排気口13bが設けられている。
裏側器体12cの平板には、害虫防除装置10を設置面(ここでは使用者の胴体表面)に係止する保持手段であるクリップ19が設けられている。また、裏側器体12cには、電池を出し入れする電池収納室の開口を塞ぐ蓋部材18が取り付けられている。
薬剤保持体20は、円環状の枠体25と、枠体25の中央に配置された略円板状の中央部27と、中央部27から枠体25に放射状に延びる桟27aと、枠体25、中央部27及び桟27aによって区画される複数の開口に架け渡されたネット状部材26とを備えている。ネット状部材26は、外形がほぼ円形であり、その外周縁部を枠体25に支持されている。枠体25の内周径は、吸気口21である桟を設けた円形開口の外径より大きくされている。ネット状部材26には、害虫防除成分を含む薬剤が保持されている。
薬剤保持体に薬剤を保持させる方法としては、点滴法が適当である。しかし、ネット状部材26に薬剤を保持させる場合、薬剤をネット状部材26に直接滴下すると薬剤がネット状部材26を通過して垂れてしまい、ネット状部材26に効率よく薬剤を含浸させることができない。そこで、本実施形態では、枠体25中央の中央部27の一方の平面(図では裏面)に薬剤を滴下し、中央部27及び桟27aを経てネット状部材26に薬剤を供給することで、ネット状部材26に効率よく薬剤を含浸させている。中央部27の面積は、枠体25の内周径と同じ外周径を有する円の面積の、4〜70%であることが好ましく、4〜40%であることが更に好ましい。本実施形態では、中央部27の面積が314mm2、枠体25の内周径と同じ外周径を有する円の面積が1886mm2とされている。
薬剤保持体20は、図中矢印Xで示すように、チャンバ11の挿入開口15を介してチャンバ11内に挿着される。そして、吸気口21である円形開口の中心を通る平板に垂直な軸と同軸状にチャンバ11内に備えられたファンと、吸気口21との間に薬剤保持体20は配置される。
図2に、害虫防除装置10の上面図(A)、正面図(B)、下面図(C)を示す。図2(B)に示すように、チャンバ11の周壁には、チャンバ11の上面をなす円弧部分11aと、チャンバ11の一対の側面をなす直線部分11bと、チャンバ11の下面をなす直線部分11cとが含まれる。そして図2(A)に示すように、上部排気口13aは、チャンバ11の周壁の円弧部分11aに設けられている。また図2(C)に示すように、下部排気口13bは、チャンバ11の周壁の直線部分11cに設けられている。
図2(A)に示すように、上部排気口13aは、チャンバ11の左右方向の中心近傍から開口され、図中右方の側面に至る手前で終端している。上部排気口13aのファンFの回転軸に対する中心角θ(図2(B)参照)は、ここでは約50°に設定されている。図2(C)に示すように、下部排気口13bは、チャンバ11の左右方向の中心より右側から開口され、図中左方の側面にまで至っている。排気口の開口面積(本実施形態では上部排気口13aの開口面積と下部排気口13bの開口面積との和)は、例えばファンFの直径が4〜10cmである場合、0.1〜100cm2であることが好ましく、0.5〜20cm2であることが更に好ましい。例えば、直径6cm、厚さ1cmのファンFの全周に排気口を設ける場合、その排気口の開口面積を3cm2とすることができる。
図2(B)に示す吸気口21の開口面積は、例えばファンFの直径が4〜10cmである場合、5〜80cm2であることが好ましく、10〜40cm2であることが更に好ましい。例えば、吸気口21の直径を6cmとし、桟によって減らされる値である開口率を60%とし、開口面積を17cm2とすることができる。
次に本実施形態の作用を説明する。図1に示したように、クリップ19によりベルトBを挟持することで、害虫防除装置10を起立した使用者の身につけて、スイッチ16をオンすると、チャンバ11内のファンが回転され、吸気口21から外気が気流となってチャンバ内に取り入れられる。その気流は薬剤保持体20のネット状部材26を通過する。そのとき、気流に害虫防除成分が含まれる。そして、害虫防除成分を含んだ気流Aが、設置面である使用者の胴体表面に沿った方向に放出される。詳しくは、害虫防除成分を含んだ気流Aが上部排気口13a及び下部排気口13bを通って、使用者の胴体表面に沿った上方向及び下方向のみに放出される。
以上のような構成の害虫防除装置10によれば、害虫防除成分を含んだ気流が使用者の胴体表面に沿って放出される。これにより、使用者の身の回りに有効量の害虫防除成分を漂わせることができ、使用者の身によってくる害虫に対して有効な害虫防除効果が得られる。これによって、屋外等で使用した際にも有効な害虫防除効果が得られるようになった。また、使用者の胴体表面に沿った上方向及び下方向のみに前記気流が放出されるように上部排気口13a及び下部排気口13bが配置されており、これにより害虫防除効果を効率的にすることができて、薬剤保持体の使用期間を延ばせるようになった。
また、上部排気口13aが、チャンバ11の左右方向の中心から使用者の胴体表面の側端部側にずれた位置に配置されているので、害虫防除成分を含んだ気流が使用者の顔に向かわない。したがって、快適に使用することができる。
以下、実施例に基づいて本発明の効果を説明する。人体への蚊の飛来を想定して、図3(A)(B)及び図4(A)に示すように、害虫防除装置10a〜10cの周りにケージを複数個(14個)配置した。各ケージには10〜15匹のヒトスジシマカ雌成虫を入れた。地面から害虫防除装置10までの高さH2は、人体の腰の高さを想定して80cmとされ、H1は160cmとされている。左右端のケージの間隔W1は、人体の肩幅を想定して40cmとされ、W2は20cmとされている。図3(A)の害虫防除装置10aは、害虫防除成分を含んだ気流を上下方向のみに揮散するものである。図3(B)の害虫防除装置10bは、害虫防除成分を含んだ気流を放射方向に揮散するものである。図4(A)の害虫防除装置10cは、害虫防除成分を含んだ気流を上方向のみに揮散するものである。図4(c)は比較例であって、害虫防除装置の代わりに蚊取り線香100を配置したものである。そして、ドアを開放するとともに換気した30畳以上の室内(屋外とほぼ同様の条件)において揮散開始から2.5分毎に30分間ノックダウン数を数え、KT50値を求めた。得られたKT50値を各ケージ内に示す。また、この値から5分後にKT50値に達する範囲(KT50線)を実線で示し、10分後にKT50に達する範囲を破線で示した。なお、薬剤として、トランスフルスリン:120mg、ラウリン酸ヘキシル:30mg、BHT:0.6mgからなる殺虫液を薬剤保持体に保持させて用いた。薬剤保持体には、外周径60mmのネット状部材を2枚重ねてなるもの(28メッシュ)を用いた。
図3(A)(B)及び図4(A)(B)から明らかなように、害虫防除成分を含んだ気流を上下方向のみに揮散する害虫防除装置10aによって、人体の全域にわたる最も効率のよい害虫防除効果が得られた。
本発明の害虫防除装置の斜視図である。 害虫防除装置の上面図、正面図及び下面図である。 実施例の効果を示す図である。 実施例及び比較例の効果を示す図である。
符号の説明
10 害虫防除装置
11 チャンバ
13a 上部排気口(排気口)
13b 下部排気口(排気口)
20 薬剤保持体
21 吸気口
A 害虫防除成分を含んだ気流
F ファン

Claims (3)

  1. 害虫防除成分を保持した薬剤保持体と、前記薬剤保持体に気流を当てるファンとがチャンバ内に収納され、前記チャンバには、チャンバ内に外気を取り入れる吸気口と、前記害虫防除成分を含んだ気流をチャンバ外に放出する排気口とが設けられた害虫防除装置において、
    当該害虫防除装置が設置される設置面に沿って前記害虫防除成分を含んだ気流が放出されるように、前記排気口が配置されていることを特徴とする害虫防除装置。
  2. 前記設置面が地面に対して略垂直である際に、前記設置面に沿った上方向及び下方向のみに前記害虫防除成分を含んだ気流が放出されるように、前記排気口が配置されていることを特徴とする害虫防除装置。
  3. 当該害虫防除装置を前記設置面に保持するための保持手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の害虫防除装置。
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