JP2007031684A - 樹脂組成物、及び樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

樹脂組成物、及び樹脂組成物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高アスペクト比の金属酸化物粒子が均一に分散した、機械物性及び透明性の双方に優れた樹脂組成物を提供する。
【解決手段】金属酸化物粒子に有機リン化合物が化学的に結合して成る金属酸化物粒子複合体を、樹脂中に含有させて樹脂組成物を得る。
【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物、及び樹脂組成物の製造方法に関する。
自動車の各種部材を樹脂から構成することにより、前記部材さらには前記自動車の軽量化に寄与することは広く知られている。最近では、これまで銅板が用いられていた自動車外板パネルにおいても、軽量化を主たる目的としてポリアミド系材料が適用されるなど、軽量化に果たす樹脂化の役割は大きい。外板パネル以外においても、燃料タンクがこれまでの鋼板製のものから、ポリエチレンを主たる材料にした樹脂製の中空容器に変わるなど、金属材料から樹脂材料への代替は増加の傾向にある。
しかしながら、その一方でウインドシールドをはじめとするガラス部材においては、樹脂化は殆ど進んでいないのが現状である。ガラスが有する透明性、耐衝撃性は、すでにポリカーボネート樹脂によって得られているものの、熱に対する樹脂の膨張量(例えば、線膨張係数)が、ガラスのそれに比べてきわめて大きいこと、曲げ剛性でガラスに劣ることから、ガラスに代わる樹脂は一般的には得られていない。
熱膨張量の低減には、ガラス繊維やタルク等の無機充填剤による補強が知られているが、透明性確保の為には、非強化樹脂を選択せざるを得ない。すなわち、透明性を有し、且つ熱膨張量が小さく、剛性が高い、という樹脂は得られていないというのが現状である。
一方、樹脂の諸物性を向上させる手法として、樹脂の特徴である柔軟性、低密度や成形性などを保持しつつ、無機化合物の特徴である高強度、高弾性率、耐熱性、電気特性などを併せ持つ材料の開発が盛んに行われており、このような物性改良手法として、従来のガラス繊維やタルクなどによる強化樹脂に代わり、ナノオーダレベルの無機微粒子を用いた複合材料、いわゆるポリマーナノコンポジット(樹脂組成物)が注目されてきている。このような複合材料の例としては、「複合材料及びその製造方法(特許第2519045号/豊田中研)」や「ポリアミド複合材料及びその製造方法(特公平7−47644号/宇部興産他)」、「ポリオレフイン系複合材料およびその製造方法(特開平10−30039号/昭和電工)」などが挙げられる。
上記のようなナノオーダレベルの無機微粒子を用いたポリマーナノコンポジットでは、いずれの場合も、微細な無機微粒子の分散性向上が物性向上の大きなポイントのひとつであり、無機微粒子の分散性を高効率、低コストで向上させるため、様々な分散方法が検討、提案されている。
このような分散方法の一手段として混練法が挙げられる。前述の特公平7−47644号や特開平10−30039号がこれにあたり、溶融状態のポリマーとナノオーダレベルの無機微粒子を混練機などを用いて溶融混練するものである。また混練法において分散性を更に向上させる方法として、層状クレーを極性溶媒に分散しておきこれをポリマーの溶融状態で接触させる「樹脂複合材料の製造方法(特開平11−310643号/豊田中研)」や、混練する際に無機微粒子とポリマーに超臨界流体を接触させる「樹脂組成物およびその製造方法(特開2000−53871号/東レ)」が提案されている。
これらの方法では、無機微粒子やポリマーの改質、混練時の溶媒や超臨界流体の添加などの工夫により、比較的低コストでありながら分散性はある程度向上するものの、未だ十分な分散性が得られているとは言い難く、物性の改良代も十分とは言い難い。
このような理由から、「樹脂ウィンドウおよびその製法(特開平11−343349号)」においては、ポリマーを溶剤に溶解し、このポリマー溶液と溶剤に分散した無機微粒子を十分混合した後、コンポジットを析出させる手法が述べられているが、この手法においても無機微粒子の一部が凝集することを避けられず、高い透明性を得るには至っていない。これは無機微粒子の表面改質が不十分であるためと推察される。また、得られた樹脂組成物の機械物性はある程度向上するものの、前記無機微粒子の低アスペクト比に起因して、十分なレベルにまでは達していない。
アスペクト比の高い無機微粒子としてはカーボンナノチューブが挙げられ、例えばハイペリオンの「熱可塑性エラストマー組成物および樹脂組成物」(特開平7−102112号)では、カーボンナノチューブを樹脂に添加した樹脂組成物を開示している。この場合、前記カーボンナノチューブの高いアスペクト比から高機械物性が期待される。しかしながら、カーボンナノチューブの可視光域の吸収係数は大きく、数%の添加量でコンポジットは黒く着色してしまい、十分な光線透過量は得られない。
また他の高アスペクト比無機粒子を用いた例として、岐阜県他の「針状ベーマイト及び針状アルミナ並びにそれらを含有する樹脂組成物」(特開2003−54941号)が挙げられる。かかる技術では、長軸長さ1〜10μm、アスペクト比が40〜70の針状ベーマイト及び針状アルミナを混練機で溶融混練することにより樹脂組成物を作製し、これまでのアスペクト比の低いフィラーを含有する樹脂組成物よりも高い機械物性を実現している。しかしながら、粒子サイズが可視光線波長に比べ相当に大きく、また分散性も十分でないため、十分な透明性を得るには至っていない。
また、同様に高アスペクト比のアルミナ粒子を用いた例として、帝人の「被覆繊維状酸化アルミニウムフィラー及びこれを含む熱可塑性樹脂組成物」(特開2004−149687号)が挙げられる。かかる技術ではナノオーダレベルの粒子を用い、これをシランカップリング剤で表面処理し分散性を向上し、フィルム等コンポジット材の表面性や弾性率、軟化温度の向上を図っている。しかしながら後述するように、シランカップリング剤処理ではその反応性の点から十分な分散性が期待できず、表面性の改善は期待できても透明性の点では未だ不十分である。
以上のように様々な検討がなされているが、これらの無機微粒子を用いたポリマーナノコンポジット(樹脂組成物)では、機械物性と透明性の双方を十分なレベルで両立することは未だできていない。
一方、可視光線波長以下でかつ高アスペクト比を有するナノオーダレベルの無機微粒子をポリマー中に良好に均一分散したポリマーナノコンポジットで達成可能と予見された。この場合、前記無機微粒子を良好に均一に分散させるために前記粒子の表面処理を行なうことが多く、一般的な表面処理剤としては、シランカップリング剤などのアルコキシ基を有するカップリング剤が用いられる。しかしながら、金属酸化物ナノ粒子は、粒子がまず水分散ゾルとして得られること、また低濃度の状態で得られることが多く、水分散ゾルの状態での処理は反応性の面で困難である。また、ゾルを有機溶媒へ溶媒置換後に処理する場合は、反応こそするものの、粒子は既に凝集状態にあり、一度凝集した二次粒子を一次粒子に再び分離する能力、つまりより強い解膠能力が要求される。
このように、高アスペクト比を有するナノオーダレベルの無機微粒子を用いた場合においては、着色や分子量低下の懸念が小さく、かつさらに優れた分散性、解膠能力を有するようにすることが要求されるが、この要求は未だ実現されていないのが現状である。
特許第2519045号 特公平7−47644号 特開平10−30039号 特開平11−310643号 特開2000−53871号 特開平11−343349号 特開平7−102112号 特開2003−54941号 特開2004−149687号
本発明は、上述した従来の問題に鑑み、高アスペクト比の金属酸化物粒子が均一に分散した、機械物性及び透明性の双方に優れた樹脂組成物を提供することを目的とする。
上記目的を達成すべく、本発明は、
金属酸化物粒子に有機リン化合物が化学的に結合して成る金属酸化物粒子複合体を含むことを特徴とする、樹脂組成物に関する。
上述したように、従来では、機械的な特性と透明性をはじめとする光学的特性とを向上させようとして、無機充填剤とともに処理剤を添加していたが、この場合において、機械的物性の向上はみられるものの、光学的特性を損ねてしまい、両者を同時に達成することは不可能であると考えられていた。
そこで本発明において、従来技術の有する課題解決には適切な粒子サイズの選択と特に処理剤の選択にあると考え、樹脂に影響を与えない粒子表面処理剤を選択することで、課題を解決した。すなわち、所定の金属酸化物粒子に対して粒子表面処理剤となる有機リン化合物を加えることにより、例えば有機リン化合物イオンが金属酸化物粒子と静電気的に結合するようになる。このようにして得た、前記金属酸化物粒子と前記有機リン化合物とを含む金属酸化物粒子複合体は、所定の有機溶媒中に分散させた場合に、その分散度合いを極めて均一にすることができる。
したがって、このようにして得た金属酸化物粒子複合体分散溶液を樹脂溶融混練中に配合することによって、若しくは樹脂組成物の樹脂モノマー中に配合し、重合処理を施すことによって、又は所定の樹脂を溶解させた有機溶媒と混合させ、高温減圧下にて溶媒のみを留去することによって、前記金属酸化物粒子(複合体)が極めて均一に分散してなる、目的とする樹脂組成物を得ることができる。この結果、前記樹脂組成物の、強度などの機械的特性及び透明性などの光学的特性を同時に達成することができる。
なお、前記有機リン化合物と前記金属酸化物粒子との配合状態は、上記作用効果を達成することが出来る限り、特には限定されない。上述したように、前記有機リン化合物は、有機酸イオンとして前記金属酸化物粒子と静電気的に結合することもできるし、その他共有結合や水素結合、配位結合することもできる。また、その総てがこのような結合に関与している必要はなく、少なくとも一部が上述したような結合を介し、上述したような作用効果を有すれば良い。
以上説明したように、本発明によれば、透明性を保持しながら機械的強度の優れる、樹脂組成物を提供することができるようになる。その結果、強度の面から不可能であった自動車の有機ガラスとして用いることができ、従来の無機ガラスに比べ、大幅な軽量化に貢献することができる。但し、前記樹脂組成物は、構造建築物の透明建築材料などのその他の用途に対しても用いることもできる。
(金属酸化物粒子複合体)
<金属酸化物粒子>
本発明の金属酸化物粒子複合体を構成する金属酸化物粒子としては、例えば珪素酸化物、アルミニウム酸化物、鉄酸化物、亜鉛酸化物、カルシウム酸化物、チタン酸化物、錫酸化物、ジルコニウム酸化物、マグネシウム酸化物、及び硫化亜鉛、またタルク、カオリナイトなどの粘土鉱物を例示することができる。しかしながら、機械的特性及び光学的特性を高い次元で両立させるには、シリカ、アルミナ、ヘマタイト、チタニア、カルシアが良く、中でも結晶性の良く、ナノサイズでありながら、アスペクト比の高い粒子を作ることができるアルミナが好ましい。
また、前記アルミナ粒子は、下記の一般式により表されることが好ましい。
A1203・nH20
式中のnが0のときは酸化アルミニウムを示し、α、γ、δ、θアルミナである。式中のnが1のときはベーマイトを表す。また式中のnが1を越えて3未満である場合はベーマイトと非結晶構造のアルミナ水和物との混合物を示す。これは一般に疑ベーマイトと呼ばれている。さらにnが3以上では非結晶構造のアルミナ水和物を示す。安定性、製造の容易さから、前記アルミナ粒子の中でも、αアルミナ、γアルミナ及びベーマイトが好ましい。
前記アルミナ粒子の形状は、繊維状、紡錘状、棒状、針状、筒状、柱状などの異方性を示すことが好ましく、特には、短軸長さが1〜10nmであり、長軸長さが20〜700nmであり、アスペクト比が5〜100であるような高異方性を示すことが好ましい。前記アルミナ粒子を含有させて高透明性の樹脂組成物を得ようとする場合は、特に粒子サイズは短軸長さが6nm以下であり、長軸長さが50〜500nmであることが好ましい。さらに長軸長さは20〜400nmが好ましく、特に20〜100nmであることが好ましい。
また、前記アルミナ粒子は、粒子短軸の径の大きさに応じて0.5nm〜9.5nmの径、長さは粒子長軸径以下の5〜700nmの中空円筒を粒子内に有した中空粒子であることが好ましい。これによって、前記アルミナ粒子の比重を低減することができ、前記アルミナ粒子を充填剤として樹脂中に含有させた場合に、得られた樹脂組成物の重量を比較的低く維持したまま、その機械的強度を向上させることができ、その高透明性を達成することができる。
<有機リン化合物>
本発明の金属酸化物粒子複合体は、上述した金属酸化物粒子に対して化学的に結合した有機リン化合物を含んでいる。有機リン化合物は特に限定されないが、粒子表面への反応性、化合物としての安定性、入手の容易さなどの理由から、リン酸エステル類、亜リン酸エステル類若しくは環状リン化合物が好ましく、特にリン酸エステル類が好ましい。さらに好ましくは、酸性リン酸エステル類、つまり酸性基(P−OH)を有するリン酸エステル類が好適である。特にアルミナ粒子表面への反応の場合、表面のAlOHは求核攻撃性を有する塩基性であり、有機リン酸は低温ではAlOHに水素結合で配位し、室温〜やや高温で脱水、脱エステル反応が進み、アニオンとなってアルミナ表面のルイス酸点(Al+部位)に吸着することになる。したがって、有機リン酸は酸性基(OH基)を有する方が粒子表面への反応性が高く、また解膠能力が高い。これは有機酸全般にも当てはまるが、特に有機リン化合物でその傾向が顕著である。
本発明において、有機リン化合物のうちモノフェニルアシッドホスフェートは極めて優れた分散性を発現するが、金属酸化物粒子との結合様式として、図1に示すような金属酸化物表面に対する2座配位、3座配位が非弾性電子トンネルスペクトロスコピーや多重反射吸収赤外スペクトロスコピー、Al-MAS-NMR等の測定を利用した研究により報告されている。このような化学的に安定した結合と表面のLewis酸点に対して疎水基が垂直になっていることから、少量で効果的な分散効果を実現する。
[論文1]M.Higo,S.Kamata, Analytical Sciences, vol.18, p.227-242, March (2002)
[論文2]Gray A. Nitowski, Virgina Polytech.Inst./State Univ. PhD論文 (1998)
[論文3]R.Coast,M.Pikus,P.N.Henriksen,G.A.Nitowski, J.Adhesion. Sci. Technol., vol.10, p.101-121 (1996)
[論文4]R.D.Ramsier, P.N.Henriksen, A.N.Gent, Surface Science, vol.203, p.72-88 (1988)
[論文5]MK.Templeton, W.H.Weinberg, J.Am.Chem.Soc., vol.107, p.774-779 (1985)
一方、p−トルエンスルホン酸などの強酸は解膠能力は高いが、得られた樹脂組成物を着色して、著しく光学特性を劣化させたり、分子鎖を切断し、樹脂組成物中の樹脂部における分子量の低下を引き起こし、機械的物性を大幅に下げたりしてしまう場合がある。また、酢酸などの弱酸では、強酸に付随した分子量低下などの問題を生じることはないが、解膠能力が不十分である。したがって、酸性基(P−OH)を有するリン酸エステル類が解膠能力の高さと各種懸念の小ささの両面で最も優れている。
本発明で特に好適に用いられる上記酸性リン酸エステル類は、一般式ROnP(O)(OH)3-n(ここでn=1または2)で表わされ、Rはアルキル基、アリール基等を示し、Rにはエーテル基などの酸素原子が含まれてもよい。
また、RO、つまりエステル基の炭素数は2以上であることが好ましい。ここでいう炭素数とはRに含まれる炭素原子の総数を指す。2未満では立体反発の効果が低く、後述する有機溶剤に、金属酸化物粒子複合体を均一に分散した金属酸化物粒子複合体分散溶液を得ることができず、また樹脂組成物中の金属酸化物粒子複合体の分散性も低下する場合がある。
また、本発明で用いられる上記環状リン化合物類は図2に示す一般式で表され、R、R’、R’’は水素原子、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1以上の直鎖でも分岐鎖アルキル基、若しくはアリール基からなる群から選択される1つ以上を示し、ハロゲン原子、エーテル結合などによる酸素原子、チオエーテル結合やスルホン結合などによる硫黄原子が含まれてもよい。
なお、上記有機リン化合物としては、エチルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ブチルピロホスフェート、ブトキシエチルアシッドホスフェート、n-オクチルアシッドホスフェート、2-エチルへキシルアシッドホスフェート、n-ラウリルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート、テトラコシルアシッドホスフェート、(2-メタクリロイロキシエチル)アシッドホスフェート、ジブチルホスフェート、ビス(2-エチルへキシル)ホスフェート、ラウリルアシッドホスフェート、ステアリルアシッドホスフェート、エチレングリコールモノエチルエーテルアシッドホスフェート、トリエチレングリコールモノエチルエーテルアシッドホスフェート、トリエチレングリコールモノブチルエーテルアシッドホスフェート、モノフェニルアシッドホスフェート、モノエチルアシッドホスフェート、モノブチルアシッドホスフェート、モノベンジルアシッドホスフェート、モノブトキシエチルアシッドホスフェート、ジフェニルアシッドホスフェート、などのリン酸エステル類、トリス(2-エチルへキシル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリオレイルホスファイト、トリフェニルホスファイト、テトラ(アルキル)-4,4’-イソプロピリデンジフェニルジホスファイトなどの亜リン酸エステル類、ジラウリルハイドロゲンホスファイト、ジオレイルハイドロゲンホスファイト、ジフェニルハイドロゲンホスファイトなどの亜リン酸エステル水素塩類、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド、9-ヒドロ-10-(2,5-ジヒドロキシフェニル)-9-オキサ-10-フォスファフェナントレン=10-オキシド、10-ベンジル-9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-フォスファフェナントレン-10-オキシド、6,8-ジブロモ-9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイドなどの環状有機リン化合物類が挙げられる。また、前述の一般式ROnP(O)(OX)3-nでRが炭素数2以上の置換・非置換のアルキル基のものも好適な例として挙げられる。
上記有機リン化合物のうち、特に上記一般式でn=1であるモノアルキルホスフェート及びモノアリールホスフェートを好ましく用いることができる。このようなモノホスフェート類は金属酸化物表面への吸着能が高く、溶媒中において極めて優れた分散性を発現する。中でもモノフェニルアシッドホスフェート、モノエチルアシッドホスフェート、モノブチルアシッドホスフェート、モノベンジルアシッドホスフェート、モノブトキシエチルアシッドホスフェートは分散効果が顕著である。
これらの有機リン化合物は単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。ここでいう「2種以上」とは、例えばブトキシエチルアシッドホスフェートとテトラコシルアシッドホスフェートのように化学種の異なるものを組み合わせてもよいし、また例えば(C4H9O)nP(O)(OH)3-nなる化学式で表されるブチルアシッドホスフェートにおいて、式中のnが1のものと2のものを混合して用いてもよいことを意味している。
なお、本発明の目的を達成することが出来る限りにおいて、前記有機リン化合物は、前記金属酸化物粒子に対して、共有結合、配位縮合、水素結合、静電気的な結合などのいずれの態様で結合していても良いし、前記有機リン化合物の総てがこのような態様で結合している必要はなく、少なくとも一部が結合していれば良い。
本発明の金属酸化物粒子複合体における有機リン化合物の含有量は、後述する樹脂組成物の合成過程で使用する金属酸化物粒子複合体分散溶液の平行光線透過率が30%以上となる量であれば特に制限されない。しかしながら、アルミナ粒子固形分に対して3wt%以上が好ましく、さらに好ましくは10wt%以上である。有機リン化合物の含有量が3wt%以下では、後述する有機溶剤にアルミナ粒子複合体が均一に分散したアルミナ粒子複合体分散溶液を得ることができない。尚、有機リン化合物の含有量は、TG-DTA、IR、NMRなどの装置を組み合わせて定性、定量することができる。
(金属酸化物粒子複合体の製造方法)
本発明の金属酸化物粒子複合体を製造するに際しては、最初に、上述の金属酸化物粒子複合体を所定の有機溶剤中に分散させるとともに上述の有機リン化合物を加え、金属酸化物粒子複合体分散溶液を作製する。この分散溶液中で、前記有機リン化合物は前記金属酸化物粒子の表面に対して化学的に反応し、結合する。
前記金属酸化物粒子を前記有機溶剤中へ分散させるに際しては、好ましくは超音波、マイクロビーズミル、攪拌、及び高圧乳化から選ばれる少なくとも一種の手法を用いる。これによって、前記分散を効率的かつ簡易に行うことができるようになる。
また、有機リン化合物の種類によっては有機溶剤に溶けず、金属酸化物粒子と反応しない場合がある。このような場合は、前記有機リン化合物及び前記有機リン化合物をいったん水へ分散させる必要がある。そして遠心分離、蒸留などを行うことで水から有機溶剤へ溶媒交換して金属酸化物粒子分散溶液を作製し、前記有機リン化合物の、前記金属酸化物粒子表面への化学的結合を行う。
なお、前記金属酸化物粒子を水中に分散させるに際しては、同じく超音波、マイクロビーズミル、攪拌、及び高圧乳化から選ばれる少なくとも一種の手法を用いることが好ましい。これによって、上述した水中分散を効率的かつ簡易に行うことができるようになる。
前記超音波による前記金属酸化物粒子の分散は、前記金属酸化物粒子及び前記有機溶剤又は前記水を所定の超音波分散装置内に入れ、この装置を通常の手順に従って駆動させることにより行う。前記マイクロビーズミルによる前記金属酸化物粒子の分散は、前記金属酸化物粒子及び前記有機溶剤又は前記水を所定のマイクロビーズミル分散装置内に入れ、この装置を通常の手順に従って駆動させることにより行う。また、前記高圧乳化による前記金属酸化物粒子の分散は、前記金属酸化物粒子及び前記有機溶剤又は前記水を所定の高圧乳化装置内に入れ、この装置を通常の手順に従って駆動させることにより行う。
なお、高圧乳化とは、具体的には、金属酸化物粒子などの入った水溶液をポンプで加圧し、バルブシートとバルブの狭い間隔を超音速域の流速で通過させることにより、バルブシートのエッジ部でキャビテーション(空洞化現象)を発生させ、その空洞の崩壊に伴って局部的に商い圧力差が引き起こされ、液中の凝集状態にある粒子を引き裂き(ひきはがす)、凝集を1次粒子の状態まで再分散する操作を言う。
また、前記有機溶剤としては特に限定されるものではなく、任意のものを用いることができる。好ましくは、後の樹脂組成物の製造過程において、製造されるべき樹脂と少なくとも部分的に混合可能で、溶解した樹脂組成物と前記金属酸化物粒子複合体とが均一に混合可能なものを用いることができる。具体的には、テトラヒドロフラン、1,3-ジオキソラン、1,4-ジオキサン等の環状エーテル類、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、クロロホルム、1,1,2,2-テトラクロロエタン等のハロゲン化アルキル類、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトン等のケトン類などを例示することができる。これらの有機溶剤は単独あるいは混合物で用いても良い。特に好ましいのはテトラヒドロフランとクロロホルムである。
さらに、前記金属酸化物粒子複合体分散溶液の平行光線透過率が30%以上であることが好ましい。30%未満では、前記金属酸化物粒子複合体の分散性が悪く、以下に説明する重合過程において、前記金属酸化物粒子分散溶液中に含まれる前記金属酸化物粒子複合体を目的とする樹脂組成物中に均一に分散させることができず、本発明の本来的な目的を達成できない場合がある。
(樹脂組成物)
上述した金属酸化物粒子複合体は、充填剤として樹脂中に含有させることができ、この結果、所定の樹脂組成物を得ることができる。
前記金属酸化物粒子複合体の樹脂に対する配合量は、要求特性(例えば、剛性、耐熱性及び耐熱膨張性など)が得られるような量であれば特に制限されないが、1〜50wt%であることが好ましく、さらには1〜30wt%であることが好ましい。前記金属酸化物粒子複合体の配合量が1wt%未満では、前記金属酸化物粒子複合体の配合の効果が少なく、得られる樹脂組成物の剛性、耐熱性及び耐熱膨張性などの物性の向上がほとんど認められない場合がある。また、前記金属酸化物粒子複合体の配合量が50wt%を超えると、比重の増加が無視できなくなるばかりでなく、コスト面でも不利となり、樹脂組成物のコスト及び比重が増大してしまうという問題が生じる場合がある。また、前記金属酸化物粒子複合体の含有量の増大に伴い、樹脂組成物の粘度が増大し、成形性が悪くなる場合がある。
前記金属酸化物粒子複合体を含有させる樹脂としては、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、スチレン系樹脂、非晶性オレフィン系樹脂などをあげることができる。透明性、耐熱性、剛性の観点から、ポリカーボネート系、アクリル系、メタクリル系樹脂などの熱可塑性樹脂が好ましい。
また、光学特性を目的とせず、樹脂補強材の目的として前記金属酸化物粒子複合体を用いることもでき、その場合、上述したような熱可塑性樹脂のみならず、熱硬化性樹脂にも含有させることができる。
このような樹脂補強材の目的に対して使用する熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブチレン樹脂などのポリオレフィン系樹脂や、無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂などのオレフィン系変性樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリスチレン、高衝撃ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、MBS樹脂などのスチレン系樹脂、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610などのポリアミド系樹脂、さらにはポリオキシメチレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリメチレンメタクリレート、熱可塑性ポリイミドを例示することができる。
また、樹脂補強材の目的に対して使用する熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、アルキッド樹脂、ポリイミド、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂などを例示することができる。
上述した樹脂は単独で用いることもできるが、2種以上を混合して用いることもできる。
前記樹脂補強材の目的に使用する樹脂としては、本来的に機械的強度が十分でなく安価な樹脂を好適に用いることができる。具体的には、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、及びポリスチレン系樹脂から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂を好適に用いることができる。
(樹脂組成物の製造方法)
本発明の樹脂組成物を製造するに際しては、最初に、前記金属酸化物粒子複合体を所定の有機溶剤中に分散させた金属酸化物粒子複合体分散溶液を調製する。このような金属酸化物粒子複合体分散溶液は、上述した金属酸化物粒子複合体を製造する際に得た、金属酸化物粒子複合体分散溶液をそのまま用いることができる。
第1の製造方法としては、前記金属酸化物粒子複合体分散溶液と、別途準備した樹脂とを混合し、溶融混練することにより、前記金属酸化物粒子複合体が均一に分散した、目的とする樹脂組成物を得る。混練機は、二軸押出成形機、真空微量混練押出機、ラボブラストミル等を用いることができ、前記金属酸化物粒子複合体の種類、分散させている溶媒の種類により選択決定する。
第2の製造方法としては、前記金属酸化物粒子複合体分散溶液と樹脂モノマーとを混合し、その後、前記樹脂モノマーを重合させることにより、前記樹脂組成物を得る。この方法において、特にポリカーボネート系樹脂組成物を製造する場合、ジヒドロキシ化合物及びホスゲン間の縮合反応である、いわゆるホスゲン法、又は炭酸ジエステル及びジヒドロキシ化合物間のエステル交換反応である、いわゆるエステル交換法などの方法で前記重合を行う。
ジヒドロキシ化合物としては、2,2-ビス(4-ヒドロキシジフェニル)プロパン(通称:ビスフェノールA)、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メタン、1-フェニル-1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノンが好ましく、より好ましくは2,2-ビス(4-ヒドロキシジフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサンである。これらのジヒドロキシ化合物はそれぞれ単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
炭酸ジエステル化合物としては、ジフェニルカーボネートなどのジアリールカーボネートや、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどのジアルキルカーボネートが挙げられる。
その他、メタクリル樹脂系モノマー、アクリル樹脂系モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n−へキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、べンジル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル類が挙げられる。これらモノマーは、1種単独または2種類以上を混合して用いてもよいが、透明性、剛性、硬度等のバランスからメチルメタクリレートが主成分であることが好ましい。より好ましくは、上記不飽和単量体と共重合しうるもう一方の単量体全量に対してメチルメタクリレートが70質量%以上である。
第3の製造方法としては、前記金属酸化物粒子複合体分散溶液と、樹脂を含む有機溶媒とを混合攪拌し、高温減圧下において溶媒のみをすばやく留去し、前記金属酸化物粒子複合体が均一に分散した、目的とする樹脂組成物を得る。溶剤減量とともに溶液の粘度が上昇するが、攪拌出来なくなるまで攪拌を継続する。これによって、前記樹脂組成物中における前記金属酸化物粒子複合体を、凝集させることなくより均一に分散させることができるようになる。
以下、実施例および比較例により本発明の実施の形態を詳細に説明する。本発明はこれらに限定されるものではない。なお、本発明において採用した分析方法および分析機器は下記の通りである。
(1)粒子形状、粒子径
透過型電子顕微鏡(TEM)にて、粒子形状を観察した。
<観察方法(粒子形状)>
試料を純水(2段蒸留水)にて希釈後、超音波洗浄器にて15分間かけた。その後銅メッシュ上の親水処理済カーボン被覆コロジオン膜に試料を塗布し、乾燥させ観察試料を準備した。透過型電子顕微鏡にてその試料の電子顕微鏡像を120KV、70mA、10万倍にて撮影して、観察した。
・TEM用銅メッシュ:マイクログリット150−Bメッシュ、カーボン補強済み 応研商事株式会社
・透過型電子顕徹鏡:JEOLJEM−1200EXII 日本電子株式会社
<観察方法(粒子径)>
透過型電子顕微鏡にて撮影した写真を市販のスキャナーで電子データとして取り込み、市販のパソコン上で長さを測るソフトを用いて粒子径を測定した。短軸径、長軸径、厚さ、一辺の長さ共にそれぞれ無作為に100個体選び、測定した。
ソフト名:Scion Image for Whindows(登録商標)Scion corp.
(2)アルミナの同定
粉末X線回折装置を用いた。
<観察方法>
試料を測定用無反射板に圧粉することにより、これを観察試料とし、X線解析装置にて測定し、アルミナのJCPDS(Joint Committee on Powder Diffraction Standards)と比較することにより同定した。
・X線解析装置:RINT−2000理学電機
(3)粒子表面改質量の定性、定量
TG-DTA、IR、NMRを用いて行なった。
・TG-DTA:TG-DTA20セイコーインスツルメンツ
<分析条件>
測定温度:室温〜900℃、昇温速度10℃/分
・NMR:JNMLA−400 日本電子、1H、13Cを測定した。測定溶媒CDC13
(4)機械的物性、光学的物性測定
得られた樹脂組成物を乾燥して粒状にし、加熱プレス成形して厚さ2mmの試験片フィルムを得る。得られたシートについて平行光線透過率、曲げ弾性率、線膨張係数を測定した。
・全光線透過率は、へイズメーター(村上色彩研究所製 HM−65)で計測した。
・曲げ弾性率は、オートグラフ(島津製作所(株)製 DSC−10T)で計測した。
・線膨張係数は、熱機械測定装置(セイコー電子工業(株)製 TMA120C)で計測した。
(5)アルミナ粒子の合成
A.ベーマイト粒子
機械攪拌機を備えたテフロン(登録商標)製ビーカーに塩化アルミニウム六水和物(2.0M,40ml,25℃)を入れ、恒温槽で10℃に保ちつつ、攪拌(700rpm)しながら水酸化ナトリウム(5.10M,40ml,25℃)を約6分かけて滴下した。滴下終了後さらに10分間攪拌を続け、攪拌終了後、溶液のpHを測定した(pH=7.08)。溶液をテフロンライナーを備えたオートクレーブに代え密栓し、オーブンで120℃、24時間経時させた(第1の熱処理)。第1の熱処理の終了後、前記オートクレーブをオイルバスヘ移し、180℃、30分間加熱した(第2の熱処理)。第2の熱処理終了後、前記オートクレーブを流水へ入れ、急速冷却(約10℃)をした(第3の熱処理)。第3の熱処理終了後、前記オートクレーブを再びオーブンヘ入れ150℃で、1日加熱を続けた(第4の熱処理)。その後、前記オートクレーブを流水で冷やし、遠心分離(30000rpm,30min)で上澄み除去後、遠心水洗3回、水メタノール混合溶液(体積比 水:メタノール、0.5:9.5)遠心洗浄を1回行った。その後、凍結乾燥機を用いて乾燥させることにより無色結晶(A)を得た。この無色結晶(A)はX線回折の結果、ベーマイトであることが判明した。また、TEMを用いて粒子のサイズを調べたところ、長軸長さ125±13nm、短軸長さ(径)5.2±0.6nm、アスペクト比が約20の針状であることが判明した。
B.γアルミナ粒子
上記(A)で得られたベーマイト粒子粉末10gをアルミナるつぼに入れ、600℃で5時間熱処理を行うことにより無色の粉末粒子(B)を得た。X線回折を用いて結晶相の同定により、粉末粒子(B)はγ−アルミナであることが判明した。
C.αアルミナ粒子
上記(A)で得られたベーマイト粒子粉末10gをアルミナるつぼに入れ、1100℃で3時間熱処理を行うことにより無色の粉末粒子(C)を得た。この粉末粒子は、X線回折を用いて結晶相の同定により、α−アルミナであることが判明した。
(6)アルミナ粒子複合体(分散溶液)の合成
D.ベーマイト粒子複合体(分散溶液)
上記(A)にて得たベーマイト粒子をテトラヒドロフランに添加し、粒子10wt%の分散溶液としたものをよく攪拌した後、超音波分散機に40分間かけた。そこヘブトキシエチルアッシドホスフェート(城北化学工業製、JP-506H)を粒子重量に対して15wt%の割合で添加し、よく攪拌した後、超音波分散機に90分間かけた。その後、得られた溶液をさらに高圧乳化装置で50MPaの圧力で処理することにより、テトラヒドロフランに分散したベーマイト粒子複合体分散溶液(D)を得ることができた。この分散溶液の平行光線透過率は60%であった。また、前記分散溶液を濃縮、乾燥し、TG−DTAを用いて粒子上に吸着している改質剤量を確認すると、粒子重量に対して13wt%であった。
E.ベーマイト粒子複合体(分散溶液)
上記(D)の分散溶液作製工程において、ブトキシエチルアッシドホスフェート(城北化学工業製、JP-506H)に代えて、2-エチルへキシルアッシドホスフェート(城北化学工業製、JP-508)を用いた以外は、同様の操作を行い、分散溶液(E)を得た。この分散溶液の平行光線透過率は65%であった。また、前記分散溶液を濃縮、乾燥し、TG−DTAを用いて粒子上に吸着している改質剤量を確認すると、粒子重量に対して14wt%であった。
F.ベーマイト粒子複合体(分散溶液)
上記(D)の分散溶液作製工程において、ブトキシエチルアッシドホスフェート(城北化学工業製、JP-506H)に代えて、オレイルアッシドホスフェート(城北化学工業製、JP-518-0)を用いた以外は、同様の操作を行い、分散溶液(F)を得た。この分散溶液の平行光線透過率は67%であった。また、前記分散溶液を濃縮、乾燥し、TG−DTAを用いて粒子上に吸着している改質剤量を確認すると、粒子重量に対して14wt%であった。
G.ベーマイト粒子複合体(分散溶液)
上記(D)の分散溶液作製工程において、ブトキシエチルアッシドホスフェート(城北化学工業製、JP-506H)に代えて、テトラコシルアッシドホスフェート(城北化学工業製、JP-524R)を用い、その添加量を粒子重量に対して11wt%とした以外は、同様の操作を行い、分散溶液(G)を得た。この分散溶液の平行光線透過率は70%であった。また、前記分散溶液を濃縮、乾燥し、TG−DTAを用いて粒子上に吸着している改質剤量を確認すると、粒子重量に対して10wt%であった。
H.ベーマイト粒子複合体(分散溶液)
上記(D)の分散溶液作製工程において、ブトキシエチルアッシドホスフェート(城北化学工業製、JP-506H)に代えて、トリデシルフォスファイト(城北化学工業製、JP-310)を用いた以外は、同様の操作を行い、分散溶液(H)を得た。この分散溶液の平行光線透過率は60%であった。また、前記分散溶液を濃縮、乾燥し、TG−DTAを用いて粒子上に吸着している改質剤量を確認すると、粒子重量に対して12wt%であった。
I.ベーマイト粒子複合体(分散溶液)
上記(D)の分散溶液作製工程において、ブトキシエチルアッシドホスフェート(城北化学工業製、JP-506H)に代えて、ジオレイルハイドロゲンフォスファイト(城北化学工業製、JP-218-OR)を用いた以外は、同様の操作を行い、分散溶液(I)を得た。この分散溶液の平行光線透過率は65%であった。また、前記分散溶液を濃縮、乾燥し、TG−DTAを用いて粒子上に吸着している改質剤量を確認すると、粒子重量に対して13wt%であった。
J.γアルミナ粒子複合体(分散溶液)
上記(B)にて得たγアルミナ粒子をテトラヒドロフランに添加し、粒子10wt%の分散溶液としたものをよく攪拌した後、超音波分散機に40分間かけた。そこヘテトラコシルアッシドホスフェート(城北化学工業製、JP-524R)を粒子重量に対して12wt%の割合で添加し、よく攪拌した後、超音波分散機に90分間かけた。その後、得られた溶液をさらに高圧乳化装置で50MPaの圧力で処理することにより、テトラヒドロフランに分散したγアルミナ粒子複合体分散溶液(J)を得ることができた。この分散溶液の平行光線透過率は55%であった。また、前記分散溶液を濃縮、乾燥し、TG−DTAを用いて粒子上に吸着している改質剤量を確認すると、粒子重量に対して10wt%であった。
K.αアルミナ粒子複合体(分散溶液)
上記(C)にて得たαアルミナ粒子をテトラヒドロフランに添加し、粒子10wt%の分散溶液としたものをよく攪拌した後、超音波分散機に40分間かけた。そこヘテトラコシルアッシドホスフェート(城北化学工業製、JP-524R)を粒子重量に対して12wt%の割合で添加し、よく攪拌した後、超音波分散機に90分間かけた。その後、得られた溶液をさらに高圧乳化装置で50MPaの圧力で処理することにより、テトラヒドロフランに分散したαアルミナ粒子複合体分散溶液(K)を得ることができた。この分散溶液の平行光線透過率は50%であった。また、前記分散溶液を濃縮、乾燥し、TG−DTAを用いて粒子上に吸着している改質剤量を確認すると、粒子重量に対して9wt%であった。
L.ベーマイト粒子分散溶液
上記(A)のベーマイト粒子をテトラヒドロフランに添加し、粒子10wt%の分散溶液としたものをよく攪拌した後、超音波分散機に130分間かけた。その後、得られた溶液をさらに高圧乳化装置で50MPaの圧力で処理し、ベーマイト粒子溶液(L)を得た。この分散溶液は懸濁状態であった。
M.ベーマイト粒子分散溶液
日産化学製アルミナゾル520の粉末をテトラヒドロフランに添加し、粒子10wt%の分散溶液としたものをよく攪拌した後、超音波分散機に130分間かけた。その後、得られた溶液をさらに高圧乳化装置で50MPaの圧力で処理し、ベーマイト粒子溶液(M)を得た。この分散溶液は懸濁状態であった。尚、アルミナゾル520は20wt%の水分散溶液として市販されているが、凍結乾燥して乾燥粉末としてから用いた。粒子はベーマイト構造であり、粒子径10-20nm、棒状、粒状の混合物である。
N.アルミナ粒子分散溶液
日本アエロジル社製酸化アルミニウムCの粉末をテトラヒドロフランに添加し、粒子10wt%の分散溶液としたものをよく攪拌した後、超音波分散機に130分間かけた。その後、得られた溶液をさらに高圧乳化装置で50MPaの圧力で処理し、アルミナ粒子溶液(N)を得た。この分散溶液は懸濁状態であった。尚、酸化アルミニウムCは、粒子径約13nmの球状をとっている。
O.アルミナ粒子分散溶液
サンゴバン・セラミック・マテリアル製CAM9010の粉末をテトラヒドロフランに添加し、粒子10wt%の分散溶液としたものをよく攪拌した後、超音波分散機に130分間かけた。その後、得られた溶液をさらに高圧乳化装置で50MPaの圧力で処理し、アルミナ粒子溶液(O)を得た。この分散溶液は懸濁状態であった。尚、CAM9010は、長軸径約90nm、短軸径10−15nmのサイズでちょうどラグビーボール形状を呈している。粒子は単独で存在するのではなく、4、5個の数珠繋ぎになっている。
P.ベーマイト粒子複合体(分散溶液)
上記(D)の分散溶液作製工程において、前記ブトキシエチルアシッドホスフェート(城北化学工業製JP-506H)に代えてモノフェニルアシッドホスフェートを用いた以外は、同様の操作を行い、分散溶液(P)を得た。この分散溶液の平行光線透過率は70%であった。また、前記分散溶液を濃縮、乾燥し、TG−DTAを用いて粒子上に吸着している改質剤量を確認すると、粒子重量に対して10wt%であった。
Q.ベーマイト粒子複合体(分散溶液)
上記(D)の分散溶液作製工程において、前記ブトキシエチルアシッドホスフェート(城北化学工業製JP-506H)に代えてモノエチルアシッドホスフェートを用いた以外は、同様の操作を行い、分散溶液(Q)を得た。この分散溶液の平行光線透過率は75%であった。また、前記分散溶液を濃縮、乾燥し、TG−DTAを用いて粒子上に吸着している改質剤量を確認すると、粒子重量に対して13wt%であった。
R.ベーマイト粒子複合体(分散溶液)
上記(D)の分散溶液作製工程において、前記ブトキシエチルアシッドホスフェート(城北化学工業製JP-506H)に代えてモノブチルアシッドホスフェートを用いた以外は、同様の操作を行い、分散溶液(R)を得た。この分散溶液の平行光線透過率は69%であった。また、前記分散溶液を濃縮、乾燥し、TG−DTAを用いて粒子上に吸着している改質剤量を確認すると、粒子重量に対して14wt%であった。
S.ベーマイト粒子複合体(分散溶液)
上記(D)の分散溶液作製工程において、前記ブトキシエチルアシッドホスフェート(城北化学工業製JP-506H)に代えてモノブトキシエチルアシッドホスフェートを用いた以外は、同様の操作を行い、分散溶液(S)を得た。この分散溶液の平行光線透過率は74%であった。また、前記分散溶液を濃縮、乾燥し、TG−DTAを用いて粒子上に吸着している改質剤量を確認すると、粒子重量に対して17wt%であった。
(7)樹脂組成物の製造
(実施例1)
上記ベーマイト粒子複合体分散溶液(D)とポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス製 ノバレックス7030A)とを、得られる樹脂組成物中の粒子複合体が10wt%となるよう、減圧装置、機械攪拌機、還流器を備えた反応容器投入し、ジクロロメタンを追加溶媒として加え、攪拌した。次いで、減圧ラインを用いて、系内を徐々に減圧し溶媒を留去し、この後さらに反応容器温度を上げ完全に溶媒を除いて、ポリカーボネート樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を乾燥して粒状にし、前記方法にて各種試験片を得た。
(実施例2)
ベーマイト粒子複合体分散溶液(D)に代えて、上記ベーマイト粒子複合体分散溶液(E)を用いた以外は、実施例1と同様にして試験片を作製した。
(実施例3)
ベーマイト粒子複合体分散溶液(D)に代えて、上記ベーマイト粒子複合体分散溶液(F)を用いた以外は、実施例1と同様にして試験片を作製した。
(実施例4)
ベーマイト粒子複合体分散溶液(D)に代えて、上記ベーマイト粒子複合体分散溶液(G)を用いた以外は、実施例1と同様にして試験片を作製した。
(実施例5)
ベーマイト粒子複合体分散溶液(D)に代えて、上記ベーマイト粒子複合体分散溶液(H)を用いた以外は、実施例1と同様にして試験片を作製した。
(実施例6)
ベーマイト粒子複合体分散溶液(D)に代えて、上記ベーマイト粒子複合体分散溶液(I)を用いた以外は、実施例1と同様にして試験片を作製した。
(実施例7)
ベーマイト粒子複合体分散溶液(D)に代えて、上記γアルミナ粒子複合体分散溶液(J)を用いた以外は、実施例1と同様にして試験片を作製した。
(実施例8)
ベーマイト粒子複合体分散溶液(D)に代えて、上記αアルミナ粒子複合体分散溶液(K)を用いた以外は、実施例1と同様にして試験片を作製した。
(実施例9)
上記ベーマイト粒子複合体分散溶液(G)、ビスフェノールA、ジフェニルカーボネートを、得られる樹脂組成物中の粒子複合体が10wt%となるよう、減圧装置、機械攪拌機、還流器を備えた反応容器に投入し、さらに炭酸セシウム適量及びテトラヒドロフラン適量を加え、温度を徐々に上げながら1時間攪拌した。次いで、減圧ラインを用いて、系内を徐々に減圧しテトラヒドロフランを留去し、この後さらに温度を上げ、160℃前後で20分予備加熱を行い、ジアリールカーボネート化合物とビスフェノール類との縮合反応を開始した。
次いで、反応系を200℃まで30分かけて昇温し、この温度にて、約150分間、15mmHg以下の減圧度で攪拌しながら縮合を進行させた。次いで、前記反応系を250℃まで30分かけて昇温し、この温度にて、約30分間、10mmHg以下の減圧度にて攪拌することにより、未反応のオリゴマー成分を低減させ、最後に、減圧度を保持したまま260℃〜290℃の範囲で20分間熟成を行ってポリカーボネート樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を乾燥して粒状にし、前記方法にて各種試験片を得た。
(実施例10)
上記ベーマイト粒子複合体分散溶液(G)を凍結乾燥した後、さらに室温、減圧下で12時間乾燥し、ベーマイト粒子複合体の無色粉末を得た。この粉体とポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス製 ノバレックス7030A)を、得られる樹脂組成物中の粒子複合体が10wt%となるよう予めドライブレンドし、これを真空微量混練押出機(井元製作所製、IMC−1170B型)を用いて溶融混練した。混練条件は真空チャンバー内10mmHg以下の減圧度、炉内及びローター温度260℃、ローター回転速度15rpmで10分間行った。混練後、得られた樹脂組成物を乾燥して粒状にし、前記方法にて各種試験片を得た。
(実施例11)
ベーマイト粒子複合体分散溶液(D)に代えて、上記ベーマイト粒子複合体分散溶液(P)を用いた以外は、実施例1と同様にして試験片を作製した。
(実施例12)
ベーマイト粒子複合体分散溶液(D)に代えて、上記ベーマイト粒子複合体分散溶液(Q)を用いた以外は、実施例1と同様にして試験片を作製した。
(実施例13)
ベーマイト粒子複合体分散溶液(D)に代えて、上記ベーマイト粒子複合体分散溶液(R)を用いた以外は、実施例1と同様にして試験片を作製した。
(実施例14)
ベーマイト粒子複合体分散溶液(D)に代えて、上記ベーマイト粒子複合体分散溶液(S)を用いた以外は、実施例1と同様にして試験片を作製した。
(比較例1)
ベーマイト粒子複合体分散溶液(D)に代えて、上記ベーマイト粒子分散溶液(L)を用いた以外は、実施例1と同様にして試験片を作製した。
(比較例2)
ベーマイト粒子複合体分散溶液(D)に代えて、上記ベーマイト粒子分散溶液(M)を用いた以外は、実施例1と同様にして試験片を作製した。
(比較例3)
ベーマイト粒子複合体分散溶液(D)に代えて、上記アルミナ粒子分散溶液(N)を用いた以外は、実施例1と同様にして試験片を作製した。
(比較例4)
ベーマイト粒子複合体分散溶液(D)に代えて、上記アルミナ粒子分散溶液(O)を用いた以外は、実施例1と同様にして試験片を作製した。
(評価結果)
各実施例、比較例の評価結果を表1に示す。
Figure 2007031684
表1から明らかなように、本発明の有機リン化合物を含む金属酸化物粒子(アルミナ粒子)複合体を有する実施例に係わる樹脂組成物は、従来のような有機リン化合物を含まない金属酸化物粒子のみを有する比較例に係わる樹脂組成物に対して、実施例10を除き何れもヘイズ値が低く、高い透明性を有しているとともに、弾性率、線膨張係数も優れていることが分かる。中でも、特に、モノアルキルホスフェート類、モノアリールホスフェート類の物性向上が顕著である。なお、実施例10については若干分散性不足であり、他の実施例に比べやや低い物性を示しているが、比較例よりは良好である。一方、比較例は高アスペクト比の粒子でも、表面未改質では特に透明性や着色が悪化する。またアスペクト比の低い粒子では、さらに機械物性までもが悪化する。
以上、具体例を挙げながら本発明を詳細に説明してきたが、本発明は上記内容に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいてあらゆる変形や変更が可能である。
例えば、本発明の樹脂組成物は、必要に応じて、酸化防止剤及び熱安定剤(例えば、ヒンダードフェノール、ヒドロキノン、チオエーテル、及びこれらの置換体及びその組み合わせを含む)、紫外線吸収剤(例えばレゾルシノール、サリシレート、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン等)、滑剤、離型剤(例えばシリコン樹脂、モンタン酸及びその塩、ステアリン酸及びその塩、ステアリルアルコール、ステアリルアミド等)、染料(例えばニトロシン等)、顔科(例えば硫化カドミウム、フタロシアニン等)を含む着色剤、添加剤添着液(例えばシリコンオイル等)、及び結晶核剤(例えばタルク、カオリン等)などを単独又は適宜組み合わせて添加することができる。
本発明の金属酸化物粒子複合体におけるモノアシッドホスフェートとアルミナ表面との結合様式を示した図である。 本発明の金属酸化物粒子複合体における環状リン化合物の構造式である。

Claims (18)

  1. 金属酸化物粒子に有機リン化合物が化学的に結合して成る金属酸化物粒子複合体を含むことを特徴とする、樹脂組成物。
  2. 前記有機リン化合物は、リン酸エステル類及び亜リン酸エステル類の少なくとも一方であることを特徴とする、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記有機リン化合物は、酸性リン酸エステル類であることを特徴とする、請求項2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記酸性リン酸エステル類は、一般式ROP(O)(OH)3-n(n=1又は2であり、Rはアルキル基、アリール基を示し、エーテル基などの酸素原子が含まれてもよい。)で表されることを特徴とする、請求項3に記載の樹脂組成物。
  5. 前記酸性リン酸エステル類は、そのエステル基における炭素数が2以上であることを特徴とする、請求項3又は4に記載の樹脂組成物。
  6. 前記酸性リン酸エステルは、前記一般式におけるn=1のモノアルキルホスフェート及びモノアリールホスフェートの少なくとも一方であることを特徴とする、請求項3〜5のいずれか一に記載の樹脂組成物。
  7. 前記酸性リン酸エステルは、モノフェニルアシッドホスフェート、モノエチルアシッドホスフェート、モノブチルアシッドホスフェート、モノベンジルアシッドホスフェート及びブトキシエチルアシッドホスフェートからなる群より選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする、請求項6に記載の樹脂組成物。
  8. 前記金属酸化物粒子複合体における前記有機リン化合物の含有量が、前記金属酸化物粒子複合体の固形分に対して3wt%以上であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一に記載の樹脂組成物。
  9. 前記金属酸化物粒子は、短軸長さ1〜10nm、長軸長さ20〜700nm、アスペクト比5〜100であって、
    Al2O3・nH2O
    なる一般式で表されるアルミナ粒子であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一に記載の樹脂組成物。
  10. 前記アルミナ粒子は、内部に中空部を有することを特徴とする、請求項9に記載の樹脂組成物。
  11. 前記一般式においてn=0であり、前記アルミナ粒子がαアルミナ粒子またはγアルミナ粒子であることを特徴とする、請求項9又は10に記載の樹脂組成物。
  12. 前記一般式においてn=1であり、前記アルミナ粒子がベーマイト粒子であることを特徴とする、請求項9又は10に記載の樹脂組成物。
  13. 前記金属酸化物粒子複合体の配合量が1〜50wt%であることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一に記載の樹脂組成物。
  14. 前記樹脂組成物は、ポリカーボネート系樹脂、メタクリル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、スチレン系樹脂、及び非晶性オレフィン系樹脂から選ばれる少なくとも一種の熱可塑性樹脂を含むことを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一に記載の樹脂組成物。
  15. 請求項1〜14のいずれか一に記載の樹脂組成物の製造方法であって、
    所定の有機溶媒中に前記金属酸化物粒子複合体が分散した金属酸化物粒子複合体分散溶液を調製する工程と、
    前記金属酸化物粒子複合体分散溶液と樹脂とを混合し、溶融混練することによって前記樹脂組成物を得る工程と、
    からなることを特徴とする、樹脂組成物の製造方法。
  16. 請求項1〜14のいずれか一に記載の樹脂組成物の製造方法であって、
    所定の有機溶媒中に前記金属酸化物粒子複合体が分散した金属酸化物粒子複合体分散溶液を調製する工程と、
    前記金属酸化物粒子複合体分散溶液と樹脂モノマーとを混合し、前記樹脂モノマーを重合させることにより、前記樹脂組成物を得る工程と、
    からなることを特徴とする、樹脂組成物の製造方法。
  17. 請求項1〜14のいずれか一に記載の樹脂組成物の製造方法であって、
    所定の有機溶媒中に前記金属酸化物粒子複合体が分散した金属酸化物粒子複合体分散溶液を調製する工程と、
    前記金属酸化物粒子複合体分散溶液と、樹脂を含む有機溶媒とを混合攪拌し、高温減圧下において溶媒のみを留去し、前記樹脂組成物を得る工程と、
    からなることを特徴とする、樹脂組成物の製造方法。
  18. 前記金属酸化物粒子複合体分散溶液の平行光線透過率が30%以上であることを特徴とする、請求項15〜17のいずれか一に記載の樹脂組成物の製造方法。
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