JP2006315905A - 金属酸化物粒子複合体、金属酸化物粒子複合体の製造方法、樹脂組成物、及び樹脂組成物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】機械的特性と光学的特性の双方が優れた樹脂組成物を提供する。
【解決手段】金属酸化物粒子と、この金属酸化物粒子に対する表面処理を経て含まれる有機酸塩とを具えることを特徴とする、金属酸化物粒子複合体を樹脂中に含有させて樹脂組成物を得る。
【選択図】なし
【解決手段】金属酸化物粒子と、この金属酸化物粒子に対する表面処理を経て含まれる有機酸塩とを具えることを特徴とする、金属酸化物粒子複合体を樹脂中に含有させて樹脂組成物を得る。
【選択図】なし
Description
本発明は、金属酸化物粒子複合体、金属酸化物粒子複合体の製造方法、樹脂組成物、及び樹脂組成物の製造方法に関する。
これまで高分子樹脂材料の機械特性向上には、無機材料の添加が検討されている。例えば、ナイロン、オレフィンなど熱可塑性樹脂、エポキシなどの熱硬化性樹脂、エラストマーのゴムなどに無機材料として粘土鉱物を分散させることが試みられてきた。このような具体的な方法としては、豊田中研の「複合材料及びその製造方法」(特許第2519045号公報)や宇部興産、トヨタ自動車他の「ポリアミド複合材料及びその製造方法」(特公平7−47644号公報)、昭和電工の「ポリオレフィン系複合材料およびその製造方法」(特開平10−30039号公報)を例示することができる。
これらの従来技術では、粘土鉱物を有機オニウムイオンで有機化し、粘土層間でモノマーの重合を開始させる方法、ポリマーの側鎖にオニウムイオンを導入し、粘土鉱物の層間と親和性を持たせながら混練する方法などが開示されている。このような処理の背景には、粘土鉱物をはじめとする無機材料は樹脂と親和性が乏しく、樹脂中で無機材料同士が凝集し、樹脂中に均一分散させるのは困難という事実がある。しかも、たとえ処理をしたとしても現状の処理方法では無機材料を樹脂中に完全に分散させることはできず、機械的物性(強度、弾性率、表面硬度および耐熱性)の向上はやや認められるものの、予想される理論上の数値までには至っていない。
次に透明性に目を向けてみると、樹脂中の無機材料の分散が不十分であると、透明性の不足、着色の発現につながり、著しく部材外観を損なうことが良く知られている。そのため上記粘度鉱物を樹脂中均一分散させるために、多量の有機オニウムイオンやその他処理剤で表面処理を試みるが、わずかな樹脂中粒子分散向上と引き換えに着色するばかりか樹脂透明性もほとんどない。粘度鉱物の持つサイズが大きすぎ、光線を透過しないのである。また、無機材料のひとつとして一般的なコロイダルシリカにおいても、樹脂透明性は粘度鉱物を用いるよりも良好だが、凝集は依然として強く、透明樹脂組成物としては用いることができない。
以上のように樹脂組成物とその製造方法については様々な検討がなされているが、未だ機械特性と光学特性などの諸物性との双方を両立することができる決定的な技術は確立できていない。
本発明は、機械的特性と光学的特性の双方が優れた樹脂組成物を提供することを目的とする。
上記目的を達成すべく、本発明は、
金属酸化物粒子と、この金属酸化物粒子に対する表面処理を経て含まれる有機酸塩とを具えることを特徴とする、金属酸化物粒子複合体に関する。
金属酸化物粒子と、この金属酸化物粒子に対する表面処理を経て含まれる有機酸塩とを具えることを特徴とする、金属酸化物粒子複合体に関する。
上述したように、従来では、機械的な特性と透明性をはじめとする光学的特性とを向上させようとして、無機充填剤とともに処理剤を添加していたが、この場合において、機械的物性の向上はみられるものの、光学的特性を損ねてしまい、両者を同時に達成することは不可能であると考えられていた。
そこで本発明において、従来技術の有する課題解決には適切な粒子サイズの選択と特に処理剤の選択にあると考え、樹脂に影響を与えない粒子表面処理剤を選択することで、課題を解決した。すなわち、所定の金属酸化物粒子に対して粒子表面処理剤となる有機酸塩を加えることにより、例えば有機酸イオンが金属酸化物粒子と静電気的に結合するようになる。このようにして得た、前記金属酸化物粒子と前記有機酸塩とを含む金属酸化物粒子複合体は、所定の有機溶媒中に分散させた場合に、その分散度合いを極めて均一にすることができる。
したがって、このようにして得た金属酸化物粒子複合体分散溶液を樹脂溶融混連中に配合することによって、若しくは樹脂組成物の樹脂モノマー中に配合し、重合処理を施すことによって、又は所定の樹脂を溶解させた有機溶媒と混合させ、高温減圧下にて溶媒のみを留去することによって、前記金属酸化物粒子(複合体)が極めて均一に分散してなる、目的とする樹脂組成物を得ることができる。この結果、前記樹脂組成物の、強度などの機械的特性及び透明性などの光学的特性を同時に達成することができる。
なお、前記有機酸塩と前記金属酸化物粒子との配合状態は、上記作用効果を達成することが出来る限り、特には限定されない。上述したように、前記有機酸塩は、有機酸イオンとして前記金属酸化物粒子と静電気的に結合することもできるし、その他共有結合や水素結合、配位結合することもできる。また、その総てがこのような結合に関与している必要はなく、少なくとも一部が上述したような結合を介し、上述したような作用効果を有すれば良い。
また、本発明では、金属酸化物粒子に対して有機酸塩で処理し、前記金属酸化物粒子と前記有機酸とを含む金属酸化物粒子複合体を得るようにしているが、前記有機酸塩に代えて有機酸自体を用いることもできる。しかしながら、有機酸を用いた場合、得られた樹脂組成物を着色して、著しく光学特性を劣化させたり、分子鎖を切断し、樹脂組成物中の樹脂部における分子量の低下を引き起こし、機械的物性を大幅に下げたりしてしまう場合がある。一方、本発明に従って有機酸塩を用いる場合は、このような問題を生ぜしめることなく、得られた樹脂組成物の光学的特性及び機械的特性を同時に向上させ、本発明の目的を達成することができる。
以上説明したように、本発明によれば、透明性を保持しながら機械的強度の優れる、樹脂組成物を提供することができるようになる。その結果、強度の面から不可能であった自動車の有機ガラスとして用いることができ、従来の無機ガラスに比べ、大幅な軽量化に貢献することができる。但し、前記樹脂組成物は、構造建築物の透明建築材料などのその他の用途に対しても用いることもできる。
(金属酸化物粒子複合体)
本発明の金属酸化物粒子複合体を構成する金属酸化物粒子としては、例えば珪素酸化物、アルミニウム酸化物、鉄酸化物、亜鉛酸化物、カルシウム酸化物、チタン酸化物、錫酸化物、ジルコニウム酸化物、マグネシウム酸化物、及び硫化亜鉛、またタルク、カオリナイトなどの粘土鉱物を例示することができる。しかしながら、機械的特性及び光学的特性を高い次元で両立させるには、シリカ、アルミナ、ヘマタイト、チタニア、カルシアが良く、中でも結晶性の良く、ナノサイズでありながら、アスペクト比の高い粒子を作ることができるアルミナが好ましい。
本発明の金属酸化物粒子複合体を構成する金属酸化物粒子としては、例えば珪素酸化物、アルミニウム酸化物、鉄酸化物、亜鉛酸化物、カルシウム酸化物、チタン酸化物、錫酸化物、ジルコニウム酸化物、マグネシウム酸化物、及び硫化亜鉛、またタルク、カオリナイトなどの粘土鉱物を例示することができる。しかしながら、機械的特性及び光学的特性を高い次元で両立させるには、シリカ、アルミナ、ヘマタイト、チタニア、カルシアが良く、中でも結晶性の良く、ナノサイズでありながら、アスペクト比の高い粒子を作ることができるアルミナが好ましい。
また、前記アルミナ粒子は、下記の一般式により表されることが好ましい。
A1203・nH20
式中のnが0のときは酸化アルミニウムを示し、α、γアルミナまたはβ、ρ、χ、ε、κ、κ’、θ、η、δ、λといったアルミナである。式中のnが1のときはベーマイトを表す。また式中のnが1を越えて3未満である場合はベーマイトと非結晶構造のアルミナ水和物との混合物を示す。これは一般に疑ベーマイトと呼ばれている。さらにnが3以上では非結晶構造のアルミナ水和物を示す。安定性、製造の容易さから、前記アルミナ粒子の中でも、αアルミナ、γアルミナ、ベーマイトが好ましい。
A1203・nH20
式中のnが0のときは酸化アルミニウムを示し、α、γアルミナまたはβ、ρ、χ、ε、κ、κ’、θ、η、δ、λといったアルミナである。式中のnが1のときはベーマイトを表す。また式中のnが1を越えて3未満である場合はベーマイトと非結晶構造のアルミナ水和物との混合物を示す。これは一般に疑ベーマイトと呼ばれている。さらにnが3以上では非結晶構造のアルミナ水和物を示す。安定性、製造の容易さから、前記アルミナ粒子の中でも、αアルミナ、γアルミナ、ベーマイトが好ましい。
前記アルミナ粒子の形状は、繊維状、紡錘状、棒状、針状、筒状、柱状などの異方性を示すことが好ましく、特には、短軸長さが1〜10nmであり、長軸長さが20〜400nmであり、アスペクト比が5〜100であるような高異方性を示すことが好ましい。前記アルミナ粒子を含有させて高透明性の樹脂組成物を得ようとする場合は、特に粒子サイズは短軸長さが6nm以下であり、長軸長さが50〜100nmであることが好ましい。
また、前記アルミナ粒子は、粒子短軸の径の大きさに応じて0.5nm〜9.5nmの径、長さは粒子長軸径以下の5〜400nmの中空円筒を粒子内に有した中空粒子であることが好ましい。これによって、前記アルミナ粒子の比重を低減することができ、前記アルミナ粒子を充填剤として樹脂中に含有させた場合に、得られた樹脂組成物の重量を比較的低く維持したまま、その機械的強度を向上させることができ、その高透明性を達成することができる。
なお、アルミナ粒子のモル数は一般式より求める。たとえばαアルミナ粒子は一般式Al2O3より分子量は101.96とする。ベーマイト粒子の場合は例外的にAlO(OH)を分子量に適用して75.98を分子量とする。
また、本発明の金属酸化物粒子複合体を構成する有機酸塩は、単独であっても良いし、2種以上を組み合わせてもよい。本研究に用いることができる有機酸塩としてはスルホン酸塩、カルボキシル塩、ヒドロキシル塩を有する化合物、もしくはホウ酸塩、リン酸塩、アミノ酸塩である。特にアルミナ粒子と強固な結合を結ぶことができる、スルホン基を有するスルホン酸塩、若しくは種類の豊富で市場入手性の良いリン酸塩、又は酸性が低く樹脂劣化の少ないホウ酸塩が好ましい。
前記スルホン酸塩としては、例えば、ベンゼンスルホン酸塩、o−トルエンスルホン酸塩、m−トルエンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸メチル塩、n−ドデシルベンゼンスルホン酸塩、1−プロパンスルホン酸塩、1−ブタンスルホン酸塩、1−ヘプタンスルホン酸塩などのアルキルベンゼンスルホン酸塩、ジメチルベンゼンスルホン酸塩、2,4ジメチルベンゼンスルホン酸塩、m−キシレンスルホン酸塩などのジアルキルベンゼンスルホン酸、o−ニトロベンゼンスルホン酸塩、m−ニトロベンゼンスルホン酸塩、p−フェノールスルホン酸塩、o−クレゾールスルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩、ナフトールスルホン酸塩、o−アミノベンゼンスルホン酸塩、m−アミノベンゼンスルホン酸塩、p−アミノベンゼンスルホン酸塩、2,4ジニトロベンゼンスルホン酸塩、ポリ(2−アクリルアミト2−メチル−2−プロパンスルホン酸)塩、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸スチレン共重合体)塩、PCオリゴマーの末端にスルホン酸塩のついた化合物などが挙げられる。
リン酸塩としてはn−ドデシルエステルリン酸ナトリウム、1−ナフチルエステルリン酸ナトリウム、テトラコシルエステルリン酸ナトリウム、ジ(パラトリル)リン酸ナトリウムなどが挙げられる。
ホウ酸塩としては、テトラフェニルホウ酸ナトリウム、フェニルホウ酸ナトリなどが挙げられる。
なお、本発明の目的を達成することが出来る限りにおいて、前記有機酸塩は、前記金属酸化物粒子に対して、共有結合、配位縮合、水素結合、静電気的な結合などのいずれの態様で結合していても良いし、前記有機酸塩の総てがこのような態様で結合している必要はなく、少なくとも一部が結合していれば良い。
また、前記金属酸化物粒子複合体における前記有機酸塩の含有量は、後に詳述する、樹脂組成物の重合過程で使用する金属酸化物粒子複合体分散溶液の全光線透過率が40%以上となるものであれば特に制限されない。しかしながら、金属酸化物粒子の1molに対し、前記有機酸塩の配合量が1mmol以上であることが好ましく、さらには10mmol以上であることが好ましい。前記有機酸の配合量が1mmol以下では、有機溶剤に金属酸化物粒子複合体が均一に分散した前記金属酸化物粒子複合体分散溶液を得ることができない。
なお、前記有機酸塩の配合量は、TG−DTA、IR、NMRなどの装置を組み合わせて定性、定量することができる。
(金属酸化物粒子複合体の製造方法)
次に、本発明の金属酸化物粒子複合体の製造方法について説明する。本例においては、前記金属酸化物粒子複合体を構成する金属酸化物粒子として、上述したような一般式において特に好ましく用いることができる、高異方性の、n=0であるαアルミナ粒子、及びn=1であるベーマイト粒子の場合について説明する。
次に、本発明の金属酸化物粒子複合体の製造方法について説明する。本例においては、前記金属酸化物粒子複合体を構成する金属酸化物粒子として、上述したような一般式において特に好ましく用いることができる、高異方性の、n=0であるαアルミナ粒子、及びn=1であるベーマイト粒子の場合について説明する。
<反応混合物の生成>
前記ベーマイト粒子を製造するに際しては、最初にアルミニウム金属塩水溶液中にアルカリ水溶液を添加し、得られた反応混合物中に水酸化アルミニウムのゲル状物質を生成する。
前記ベーマイト粒子を製造するに際しては、最初にアルミニウム金属塩水溶液中にアルカリ水溶液を添加し、得られた反応混合物中に水酸化アルミニウムのゲル状物質を生成する。
前記アルミニウム金属塩水溶液を構成するアルミニウム塩としては、塩化アルミニウム無水和物、塩化アルミニウム六水和物、臭化アルミニウム、臭化アルミニウム六水和物、ヨウ化アルミニウム、硝酸アルミニウム九水和物、乳酸アルミニウム、硫酸ナトリウムアルミニウム12水和物(ナトリウムミョウバン)、過塩素酸アルミニウム九水和物、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムs-ブトキシド、アルミニウムt-ブトキシドなどから選ばれる少なくとも1種類のアルミニウム金属塩が使用される。上記に挙げた中でも市場の入手のし易さ、取り扱いの容易さ、価格が安価な、塩化アルミニウム六水和物、硝酸アルミニウム九水和物、臭化アルミニウム六水和物、硫酸ナトリウムアルミニウム12水和物(ナトリウムミョウバン)、アルミニウムイソプロポキシドが好ましい。
また、前記アルカリ水溶液は前記アルミニウム金属塩の加水分解を促進するために反応系に添加するものである。前記アルカリ水溶液を構成するアルカリ化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、及び水酸化バリウムなどから選ばれる少なくとも1種を例示することができる。特には、水酸化ナトリウムが好ましい。
なお、反応混合物中に副産物として、水に不溶な塩が生成するアルカリは適宜取り除く。
アルカリ化合物の使用量は、アルミニウム金属塩に対し、モル比で2〜4倍であることが好ましい。2倍未満では反応原料が熱処理して反応生成物を生成するのに不十分であり、反応溶液のゲル化も起きず、収率良く粒子を得ることができない場合がある。4倍以上では逆にpHが高すぎ、アルカリがゲルを溶かしてしまい、癒着や凝集する粒子が増す場合がある。
また、アルミニウム金属塩水溶液の濃度が1.0M−3.0Mであり、アルカリ水溶液の濃度が4.0M−10.0Mであることが好ましい。これによって、アルミニウム金属塩水溶液とアルカリ水溶液との反応混合物中のゲル状物質の生成を簡易に実現できるようになる。なお、前記アルミニウム金属塩水溶液における金属塩の濃度としては、前述したように、1.0M〜3.0Mで行なうことが好ましいが、生産性からそれぞれのアルミニウム金属塩溶解度上限の濃度がより好ましい。
さらに、本発明においては、前記反応混合物の濃度を変化させることによって、目的とするベーマイト粒子の形態を制御することができる。例えば、pHが4に近くなるほど粒子長軸長さは長くなり、アスペクト比が増大する。逆にpH が9に近づくほど粒子長軸長さが短くなり、アスペクト比が低下する。pH が4未満もしくは9より大きくなる場合、板状や、不定形の粒子が多くなってしまう場合がある。
前記反応混合物のpH値は、添加するアルカリ水溶液の濃度、容量を変更することで制御することができる。
一方、前記アルミニウム金属塩水溶液と前記アルカリ水溶液との容量は等しいか、前記アルカリ水溶液が少ないことが好ましい。前記アルカリ水溶液の濃度が薄く、溶液の量が多すぎるとゲル化が難しくなる。前記アルミニウム金属塩の濃度と、前記アルミニウム金属塩及び前記アルカリ水溶液の容量を固定すれば、後の形態制御は前記アルカリ水溶液の濃度を変えれば良いだけとなるので、合成条件項目を少なくするために容量は等しいことがより好ましい。
以上のような工程を経ることにより、前記反応混合物中に前記ゲル状物質を生成することができる。この結果、以下に示す熱処理によるベーマイト粒子の成長過程において、成長過程にあるベーマイト粒子が前記ゲル状物質中で固定され、粒子同士の癒着や凝集が抑制されて、粒度分布幅が狭小化されたナノサイズレベルのベーマイト粒子を得ることができるようになる。
なお、このようなゲル状物質を利用した粒子の成長方法は、一般にゲルゾル法と呼ばれている(T. Sugimoto, Monodispersed Particles, ELSEVER, Amsterdam, 2001.)。従来の水熱法では粒子成長中の粒子同士の癒着、凝集を防ぐために希薄溶液中で反応をさせなければならず、収量の面で不利であった。一方、本発明では、濃度を高め溶液をゲル化させるゲルゾル法を採用し、凝集や癒着を防いでいる。この結果、前記高濃度溶液の使用に起因して従来法に比べ優れた収量を得ることができる。
<熱処理>
次いで、本発明においては、上述したゲル状物質を含む反応混合物を生成した後、第1の熱処理から第4の熱処理を順次に行う。なお、以下の熱処理は、成長過程にあるベーマイト粒子がゲル状物質内に固定された状態で行われるため、極めて狭小化された粒度分布幅(標準偏差)を実現することができる。但し、以下に述べるように、熱処理条件を適宜変化させることにより、粒度分布(標準偏差)をある程度大きくすることができる。
次いで、本発明においては、上述したゲル状物質を含む反応混合物を生成した後、第1の熱処理から第4の熱処理を順次に行う。なお、以下の熱処理は、成長過程にあるベーマイト粒子がゲル状物質内に固定された状態で行われるため、極めて狭小化された粒度分布幅(標準偏差)を実現することができる。但し、以下に述べるように、熱処理条件を適宜変化させることにより、粒度分布(標準偏差)をある程度大きくすることができる。
第1の熱処理は、前記反応混合物を室温以上の第1の温度に加熱することによって行う。第1の熱処理は、主として、前記反応混合物内に生じた前記アルカリ金属塩の加水分解を促進し、前記反応混合物内における前記ゲル状物質の生成を促進させるためのものである。
前記第1の温度としては、室温(25℃)〜140℃で行なうことが好ましいが、反応時間を考慮すると120℃から140℃であることが好ましい。140℃を越える温度で第1の熱処理を行なうと、長さが不揃いのベーマイト粒子が生成してしまい、以降の熱処理を施行しても前記ベーマイト粒子の粒度分布幅(標準偏差)を狭小化できない場合がある。なお、熱処理時間は24時間以上が好ましく、24時間未満では標準偏差の小さくなる効果が見られない。
第1の熱処理の後、第2の熱処理を行う。この第2の熱処理では、前記反応混合物を前記第1の熱処理における第1の温度よりも高い第2の温度に加熱することによって行う。この第2の熱処理は、主として高アスペクト比のベーマイト粒子を得るために行う。
前記第2の温度は前記第1の温度よりも高い温度で行う必要があり、具体的には140℃〜250℃の温度で行なうことができるが、特には170℃〜250℃であることが好ましい。140℃未満であると粒子生成に時間がかかるばかりでなく、標準偏差が大きくなる(粒度分布幅が広い)。また、250℃以上ではアスペクト比の小さな粒子を製造するには有利であるが、市販の通常グレードのオートクレーブの耐熱、耐圧容器が250℃で限界を迎えること、250℃のために大量のエネルギーを必要とすることから本製造方法では250℃以上を推奨しない。
第2の熱処理における熱処理時間は、昇温段階を含め10〜30分以内が好ましく、前記第2の温度の値に依存して変化する。また、上記規定時間を越える加熱は著しく平均粒子径の標準偏差を悪化させるばかりか、針状粒子は紡錘形状に、板状粒子は粒状となり、アスペクト比を損失する。
第2の熱処理の後、第3の熱処理を行う。この第3の熱処理では、前記第2の熱処理における第2の温度よりも低い第3の温度で熱処理を行う。この第3の熱処理は、主として前記ベーマイト粒子の粒度分布幅(標準偏差)を狭小化するために行う。
前記第3の温度は、例えば130℃以下、好ましくは室温以下に設定する。そして、好ましくは前記第2の熱処理における前記第2の温度から急速に冷却して、前記第3の温度に設定する。この場合、冷却装置の費用、容器の耐温度差を考慮すると、前記熱処理を実施している容器を流水中に入れて行うことができる。なお、前記冷却に要する時間は短いほど好ましく、具体的には10分以内であることが好ましい。また、第3の熱処理時間は、前記冷却に要した時間も含め10分以上であることが好ましい。これによって、目的とするベーマイト粒子の粒度分布幅(標準偏差)をより狭小化することができるようになる。
前記第3の熱処理の後、第4の熱処理を行う。この第4の熱処理は、主として前記高アスペクト比のベーマイト粒子の成長を行う。
前記第4の温度は100℃〜180℃の温度範囲に設定することが必要である。前記第4の温度が180℃よりも高いと、粒度分布幅を拡大させ、標準偏差を悪化させるばかりでなく、針状粒子は紡錘形状に、板状粒子は粒状となり、アスペクト比を損失する場合がある。詳しく述べると、第4の熱処理において、180℃以上の温度で熱処理を行なうと、生成していた粒子が再溶解、再結晶化(オストワルド熟成)し、粒子の形状、粒度分布幅が制御不能になる場合があり、これによって前記粒度分布幅を劣化させてしまう場合がある。また、前記第4の温度が100℃未満であると収率が悪化する場合がある。処理時間は4時間〜1週間であり、設定温度に応じて加熱時間が相違する。
上記の熱処理後、前記反応生成物が入った容器を放冷し、遠心分離機を用いて生成したベーマイト粒子と溶液とを分離する。その後、副生成物の塩を除くために硝酸ナトリウム水溶液(0.5M)で遠心洗浄(3回)し、遠心水洗(1回)し、水メタノール混合溶液(体積比 水:メタノール=0.5:9.5)で遠心洗浄を1回行った後、乾燥させることにより、目的とするベーマイト粒子を得る。
以上のような4段階の熱処理を行うことにより、短軸長さ1〜10nm、長軸長さ20〜400nm、アスペクト比が5〜100であるベーマイト粒子を得ることができる。また、これらの寸法特性値の標準偏差を10%以内に抑えることができる。したがって、前記ベーマイト粒子を金属酸化物粒子複合体の形態で、所定の樹脂中に含有させ樹脂組成物を製造した際に、その物性のばらつきを減少させることができ、前記樹脂組成物から安定した品質の物品をつくることができる。
但し、粒子サイズのそろっていないベーマイト粒子を製造することも当然に可能であり、この場合は、第1の熱処理の加熱温度を140℃以上とし、処理時間を3時間以上とし、さらに第2の熱処理から第4の熱処理を省略することによって実現することができる。この場合、前記寸法特性値の標準偏差は20%以上とすることができる。
また、上述のようにして得たベーマイト粒子は、透過型電子顕微鏡で観察することにより、各粒子は焼成処理前の形態をほぼそのまま保持しており、中空の針状粒子であることを確認することができる。
<有機酸塩の配合>
上述のようにして得たベーマイト粒子は有機溶媒中へ強制分散させ、次いで、前述した有機酸塩を添加する。この結果、前記有機溶媒中で、前記ベーマイト粒子の粒子表面に対して前記有機酸塩によって処理がなされ、目的とする金属酸化物粒子(ベーマイト粒子)複合体が得られる。なお、この複合体は、その作製工程に依存して、前記分散溶液中に分散した状態で得られる。
上述のようにして得たベーマイト粒子は有機溶媒中へ強制分散させ、次いで、前述した有機酸塩を添加する。この結果、前記有機溶媒中で、前記ベーマイト粒子の粒子表面に対して前記有機酸塩によって処理がなされ、目的とする金属酸化物粒子(ベーマイト粒子)複合体が得られる。なお、この複合体は、その作製工程に依存して、前記分散溶液中に分散した状態で得られる。
前記ベーマイト粒子を前記有機溶媒中へ強制分散させるに際しては、好ましくは超音波、マイクロビーズミル、攪拌、及び高圧乳化から選ばれる少なくとも一種の手法を用いる。これによって、前記強制分散を効率的かつ簡易に行うことができるようになる。
但し、有機酸塩の種類によっては有機溶媒に溶けず、ベーマイト粒子と反応しない場合がある。このような場合は、前記ベーマイト粒子及び前記有機酸をいったん水へ分散させる必要がある。そして遠心分離、蒸留などをすることで水から有機溶剤へ溶媒交換することで、上述した金属酸化物粒子(ベーマイト粒子)複合体(分散溶液)を得ることができる。
但し、有機酸塩の種類によっては有機溶媒に溶けず、ベーマイト粒子と反応しない場合がある。このような場合は、前記ベーマイト粒子及び前記有機酸をいったん水へ分散させる必要がある。そして遠心分離、蒸留などをすることで水から有機溶剤へ溶媒交換することで、上述した金属酸化物粒子(ベーマイト粒子)複合体(分散溶液)を得ることができる。
なお、前記ベーマイト粒子を水中に分散させるに際しては、同じく超音波、マイクロビーズミル、攪拌、及び高圧乳化から選ばれる少なくとも一種の手法を用いることが好ましい。これによって、上述した水中分散を効率的かつ簡易に行うことができるようになる。
前記超音波による前記ベーマイト粒子の分散は、前記ベーマイト粒子及び前記有機溶剤又は前記水を所定の超音波分散装置内に入れ、この装置を通常の手順に従って駆動させることにより行う。前記マイクロビーズミルによる前記ベーマイト粒子の分散は、前記ベーマイト粒子及び前記有機溶剤又は前記水を所定のマイクロビーズミル分散装置内に入れ、この装置を通常の手順に従って駆動させることにより行う。また、前記高圧乳化による前記ベーマイト粒子の分散は、前記ベーマイト粒子及び前記有機溶剤又は前記水を所定の高圧乳化装置内に入れ、この装置を通常の手順に従って駆動させることにより行う。
なお、高圧乳化とは、具体的には、ベーマイト粒子などの入った水溶液をポンプで加圧し、パルプシートとバルブの狭い間隔を超音速域の流速で通過させることにより、パルプシートのエッジ部でキャビテーション(空洞化現象)を発生させ、その空洞の崩壊に伴って局部的に商い圧力差が引き起こされ、液中の凝集状態にある粒子を引き裂き(ひきはがす)、凝集を1次粒子の状態まで再分散する操作を言う。
また、前記有機溶媒としては特に限定されるものではなく、任意のものを用いることができる。例えば、後の樹脂組成物の製造過程において、製造されるべき樹脂を溶解することが可能で、溶解した樹脂組成物と前記金属酸化物粒子複合体とが均一に混合可能なものなどを用いることができる。具体的には、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、1,2ジクロロエタン、クロロホルム、1,1,2,2,テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトンなどを例示することができる。これらの有機溶媒は単独あるいは混合物で用いても良い。特に好ましいのはテトラヒドロフランとクロロホルムである。
さらに、前記金属酸化物粒子(ベーマイト粒子)複合体分散溶液の全光線透過率が40%以上であることが好ましい。40%未満では、前記金属酸化物粒子(ベーマイト粒子)複合体の分散性が悪く、以下に説明する重合過程において、前記金属酸化物粒子(ベーマイト粒子)分散溶液中に含まれる前記金属酸化物粒子(ベーマイト粒子)複合体を目的とする樹脂組成物中に均一に分散させることができず、本発明の本来的な目的を達成できない場合がある。
<焼成処理>
次に、本発明の金属酸化物粒子複合体を構成する金属酸化物粒子が、前記一般式において、n=0であるαアルミナ、γアルミナの場合について説明する。
次に、本発明の金属酸化物粒子複合体を構成する金属酸化物粒子が、前記一般式において、n=0であるαアルミナ、γアルミナの場合について説明する。
前記αまたはγアルミナ粒子の製造に際しては、上述したベーマイト粒子の製造方法における反応混合物の生成及び熱処理を経た後、得られたベーマイト粒子に対して焼成処理を施す。前記焼成処理は、例えば450℃〜1500℃にて1〜3時間行う。例えば、上記の方法で得られたベーマイト粒子をアルミナるつぼに入れ、1000℃で4時間熱処理を行うことによりαまたはγアルミナを得ることができる。この際、上記のベーマイト粒子に特徴的であった中空構造が熱応力により破壊されないようにするため、昇温、降温速度は2℃/分とすることが好ましい。前記αまたはγアルミナの粉末を透過型電子顕微鏡で観察することにより、各粒子は焼成処理前の形態をほぼそのまま保持しており、中空の針状粒子であることを確認することができる。また特にγアルミナ粒子の製造の際にはベーマイト粒子を出発原料として同様の手順で行なえばよく、焼成温度は550℃〜800℃で行なうのが好ましい。
次いで、上記ベーマイト粒子の場合と同様に、好ましくは超音波、マイクロビーズミル、攪拌、及び高圧乳化から選ばれる少なくとも一種の手法を用いることにより、得られた前記αまたはγアルミナ粒子を有機溶剤中に強制分散させ、あるいは水中に分散させるとともに、前述した有機酸塩を添加し、前記αまたはγアルミナ粒子の粒子表面を前記有機酸塩で処理し、目的とする金属酸化物粒子(αまたはγアルミナ粒子)複合体を得る。なお、この複合体も、その作製工程に依存して、分散溶液の形態で得られる。また、水中分散を行った場合は、遠心分離、蒸留などによって水から有機溶剤へ溶媒交換を行い、前記金属酸化物粒子(αまたはγアルミナ粒子)複合体が前記有機溶剤中に分散した分散溶液とする。
(樹脂組成物)
上述した金属酸化物粒子複合体は、充填剤として樹脂中に含有させることができ、この結果、所定の樹脂組成物を得ることができる。
上述した金属酸化物粒子複合体は、充填剤として樹脂中に含有させることができ、この結果、所定の樹脂組成物を得ることができる。
前記金属酸化物粒子複合体の樹脂に対する配合量は、要求特性(例えば、剛性、耐熱性及び耐熱膨張性など)が得られるような量であれば特に制限されないが、1〜50wt%であることが好ましく、さらには1〜30wt%であることが好ましい。前記金属酸化物粒子複合体の配合量が1wt%未満では、前記金属酸化物粒子複合体の配合の効果が少なく、得られる樹脂組成物の剛性、耐熱性及び耐熱膨張性などの物性の向上がほとんど認められない場合がある。また、前記金属酸化物粒子複合体の配合量が50wt%を超えると、比重の増加が無視できなくなるばかりでなく、コスト面でも不利となり、樹脂組成物のコスト及び比重が増大してしまうという問題が生じる場合がある。また、前記金属酸化物粒子複合体の含有量の増大に伴い、樹脂組成物の粘度が増大し、成形性が悪くなる場合がある。
前記金属酸化物粒子複合体を含有させる樹脂としては、透明性を利用する目的ではポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、スチレン系樹脂、非晶性オレフィン系樹脂などをあげることができる。透明性、耐熱性、剛性の観点から、ポリカーボネート系、アクリル系、メタクリル系樹脂などの熱可塑性樹脂が好ましい。
また、光学特性を目的とせず、樹脂補強材の目的として前記金属酸化物粒子複合体を用いることもでき、その場合、上述したような熱可塑性樹脂のみならず、熱硬化性樹脂にも含有させることができる。
このような樹脂補強材の目的に対して使用する熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブチレン樹脂などのポリオレフィン系樹脂や、無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂などのオレフィン系変性樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリスチレン、高衝撃ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、MBS樹脂などのスチレン系樹脂、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610などのポリアミド系樹脂、さらにはポリオキシメチレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリメチレンメタクリレート、熱可塑性ポリイミドを例示することができる。
また、樹脂補強材の目的に対して使用する熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、アルキッド樹脂、ポリイミド、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂などを例示することができる。
上述した樹脂は単独で用いることもできるが、2種以上を混合して用いることもできる。
前記樹脂補強材の目的に使用する樹脂としては、本来的に機械的強度が十分でなく安価な樹脂を好適に用いることができる。具体的には、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、及びポリスチレン系樹脂から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂を好適に用いることができる。
(樹脂組成物の製造方法)
本発明の樹脂組成物を製造するに際しては、最初に、前記金属酸化物粒子複合体を所定の有機溶剤中に分散させた金属酸化物粒子複合体分散溶液を準備する。このような金属酸化物粒子複合体分散溶液は、上述した金属酸化物粒子複合体を製造する際に得た、金属酸化物粒子複合体分散溶液をそのまま用いることができる。
本発明の樹脂組成物を製造するに際しては、最初に、前記金属酸化物粒子複合体を所定の有機溶剤中に分散させた金属酸化物粒子複合体分散溶液を準備する。このような金属酸化物粒子複合体分散溶液は、上述した金属酸化物粒子複合体を製造する際に得た、金属酸化物粒子複合体分散溶液をそのまま用いることができる。
第1の製造方法としては、前記金属酸化物粒子複合体分散溶液と、別途準備した樹脂とを混合し、溶融混練することにより、前記金属酸化物粒子複合体が均一に分散した、目的とする樹脂組成物を得る。混練機は、二軸押出成形機、真空微量混練押出機、ラボプラストミル等を用いることができ、前記金属酸化物粒子複合体の種類、分散させている溶媒の種類により選択決定する。
第2の製造方法としては、前記金属酸化物粒子複合体分散溶液と樹脂モノマーとを混合し、その後、前記樹脂モノマーを重合させることにより、前記樹脂組成物を得る。この方法において、特にポリカーボネート系樹脂組成物を製造する場合、2価以上のフェノール化合物及びホスゲン間の縮合反応である、いわゆるホスゲン法、又は炭酸ジエステル及びヒドロキシ化合物間のエステル交換反応である、いわゆるエステル交換法などの方法で前記重合を行う。
2価以上のフェノール化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシジフェニル)プロパン(通称:ビスフェノールA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノンが好ましく、より好ましくは2,2−ビス(4−ヒドロキシジフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンである。これらの2価フェノール等はそれぞれ単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
炭酸ジエステル化合物としては、ジフェニルカーボネートなどのジアリールカーボネートや、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどのジアルキルカーボネートが挙げられる。ヒドロキシ化合物としてはフェノール、p−クレゾール、p−t−ブチルフェノール、p−t−オクチルフェノール、p−クミルフェノール、ブロモフェノール、トリブロモフェノール、ノニルフェノールなどが挙げられる。
その他、メタクリル樹脂系モノマー、アクリル樹脂系モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n一ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n−へキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、べンジル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル類が挙げられる。これらモノマーは、1種単独または2種類以上を混合して用いてもよいが、透明性、剛性、硬度等のバランスからメチルメタクリレートが主成分であることが好ましい。より好ましくは、上記不飽和単量体と共重合しうるもう一方の単量体全量に対してメチルメタクリレートが70質量%以上である。
第3の製造方法としては、前記金属酸化物粒子複合体分散溶液と、樹脂を含む有機溶媒とを混合攪拌し、高温減圧下において溶媒のみをすばやく留去し、前記金属酸化物粒子複合体が均一に分散した、目的とする樹脂組成物を得る。溶剤減量とともに溶液の粘度が上昇するが、攪拌出来なくなるまで攪拌を継続する。これによって、前記樹脂組成物中における前記金属酸化物粒子複合体を、凝集させることなくより均一に分散させることができるようになる。
以下、実施例および比較例により本発明の実施の形態を詳細に説明する。本発明はこれらに限定されるものではない。なお、本発明において採用した分析方法および分析機器は下記の通りである。
(1)粒子形状、長さ
透過型電子顕微鏡(TEM)にて、粒子形状を観察した。
<観察方法(粒子形状)>
試料を純水(2段蒸留水)にて希釈後、超音波洗浄器にて15分間かけた。その後銅メッシュ上の親水処理済カーボン被覆コロジオン膜に試料を塗布し、乾燥させ観察試料を準備した。透過型電子顕微鏡にてその試料の電子顕微鏡像を120KV、70mA、10万倍にて撮影して、観察した。
・TEM用銅メッシュ:マイクログリット150−Bメッシュ、カーボン補強済み 応研商事株式会社
・透過型電子顕徹鏡:JEOLJEM−1200EXII 日本電子株式会社
<観察方法(粒子長さ)>
透過型電子顕微鏡にて撮影した写真を市販のスキャナーで電子データとして取り込み、市販のパソコン上で長さを測るソフトを用いて粒子の長さを測定した。短軸径、長軸径、厚さ、一辺の長さ共にそれぞれ無作為に100個体選び、測定した。
ソフト名:Scion Image for Whindows(登録商標)Scion corp.
透過型電子顕微鏡(TEM)にて、粒子形状を観察した。
<観察方法(粒子形状)>
試料を純水(2段蒸留水)にて希釈後、超音波洗浄器にて15分間かけた。その後銅メッシュ上の親水処理済カーボン被覆コロジオン膜に試料を塗布し、乾燥させ観察試料を準備した。透過型電子顕微鏡にてその試料の電子顕微鏡像を120KV、70mA、10万倍にて撮影して、観察した。
・TEM用銅メッシュ:マイクログリット150−Bメッシュ、カーボン補強済み 応研商事株式会社
・透過型電子顕徹鏡:JEOLJEM−1200EXII 日本電子株式会社
<観察方法(粒子長さ)>
透過型電子顕微鏡にて撮影した写真を市販のスキャナーで電子データとして取り込み、市販のパソコン上で長さを測るソフトを用いて粒子の長さを測定した。短軸径、長軸径、厚さ、一辺の長さ共にそれぞれ無作為に100個体選び、測定した。
ソフト名:Scion Image for Whindows(登録商標)Scion corp.
(2)アルミナの同定
粉末X線回折装置を用いた。
<観察方法>
試料を測定用無反射板に圧粉することにより、これを観察試料とし、X線解析装置にて測定し、アルミナのJCPDS(Joint Committee on Powder Diffraction Standards)と比較することにより同定した。
・X線解析装置:RINT−2000理学電機
粉末X線回折装置を用いた。
<観察方法>
試料を測定用無反射板に圧粉することにより、これを観察試料とし、X線解析装置にて測定し、アルミナのJCPDS(Joint Committee on Powder Diffraction Standards)と比較することにより同定した。
・X線解析装置:RINT−2000理学電機
(3)粒子表面有機酸の定性、定量
TG−DTA、IR、NMRを用いて観察した。
・TG−DTA:TG−DTA20セイコーインスツルメンツ
<観察条件>
測定温度:室温〜900℃、昇温速度10℃/分
・NMR:JNMLA−400 日本電子、1H、13Cを測定した。測定溶媒CDC13
TG−DTA、IR、NMRを用いて観察した。
・TG−DTA:TG−DTA20セイコーインスツルメンツ
<観察条件>
測定温度:室温〜900℃、昇温速度10℃/分
・NMR:JNMLA−400 日本電子、1H、13Cを測定した。測定溶媒CDC13
(4)機械的物性、光学的物性測定
得られた樹脂組成物を乾燥して粒状にし、加熱プレス成形して厚さ2mmの試験片フィルムを得る。得られたシートについて全光線透過率、曲げ強度、曲げ弾性率、線膨張係数を測定した。
・全光線透過率は、へイズメーター(村上色彩研究所製 HM−65)で計測した。
・曲げ強度・弾性率は、オートグラフ(島津製作所(株)製 DSC−10T)で計測した。
・線膨張係数は、熱機械測定装置(セイコー電子工業(株)製 TMA120C)で計測した。
得られた樹脂組成物を乾燥して粒状にし、加熱プレス成形して厚さ2mmの試験片フィルムを得る。得られたシートについて全光線透過率、曲げ強度、曲げ弾性率、線膨張係数を測定した。
・全光線透過率は、へイズメーター(村上色彩研究所製 HM−65)で計測した。
・曲げ強度・弾性率は、オートグラフ(島津製作所(株)製 DSC−10T)で計測した。
・線膨張係数は、熱機械測定装置(セイコー電子工業(株)製 TMA120C)で計測した。
(5)樹脂組成物中の粒子分散性評価
透過型電子顕微鏡(TEM)にて、粒子を観察し、その画像より分散均一性を目視で判断した。
<観察方法>
得られた樹脂組成物からウルトラミクロトームを用いて厚さ約60〜100nmの薄片を切り出し、これをTEM観察試料とした。この薄片をTEM用グリッドにつけ、透過型電子顕微鏡にてその試料の電子顕徹鏡像を300KV、1万〜10万倍にて撮影し、観察した。
・ウルトラミクロトーム:FC−S型ミクロトームREICHERT社
・透過型電子顕徹鏡:H−9000株式会社日立製作所
分散の度合いは、上記TEM測定により均一性が著しく良好なものを◎とし、均一性がほぼ良好であるものを○とし、均一性が若干不十分なものを△とし、均一性が不十分なものを×で評価した。
透過型電子顕微鏡(TEM)にて、粒子を観察し、その画像より分散均一性を目視で判断した。
<観察方法>
得られた樹脂組成物からウルトラミクロトームを用いて厚さ約60〜100nmの薄片を切り出し、これをTEM観察試料とした。この薄片をTEM用グリッドにつけ、透過型電子顕微鏡にてその試料の電子顕徹鏡像を300KV、1万〜10万倍にて撮影し、観察した。
・ウルトラミクロトーム:FC−S型ミクロトームREICHERT社
・透過型電子顕徹鏡:H−9000株式会社日立製作所
分散の度合いは、上記TEM測定により均一性が著しく良好なものを◎とし、均一性がほぼ良好であるものを○とし、均一性が若干不十分なものを△とし、均一性が不十分なものを×で評価した。
(6)アルミナ粒子の合成
<アルミナ粒子の合成>
A.ベーマイト粒子
機械攪拌機を備えたテフロン(登録商標)製ビーカーに塩化アルミニウム六水和物(2.0M,40ml,25℃)を入れ、恒温槽で10℃に保ちつつ、攪拌(700rpm)しながら水酸化ナトリウム(5.10M,40ml,25℃)を約6分かけて滴下した。滴下終了後さらに10分間攪拌を続け、攪拌終了後、溶液のpHを測定した(pH=7.08)。溶液をテフロンライナーを備えたオートクレーブに代え密栓し、オーブンで120℃、24時間経時させた(第1の熱処理)。第1の熱処理の終了後、前記オートクレーブをオイルバスヘ移し、180℃、30分間加熱した(第2の熱処理)。第2の熱処理終了後、前記オートクレーブを流水へ入れ、急速冷却(約10℃)をした(第3の熱処理)。第3の熱処理終了後、前記オートクレーブを再びオーブンヘ入れ150℃で、1日加熱を続けた(第4の熱処理)。その後、前記オートクレーブを流水で冷やし、遠心分離(30000rpm,30min)で上澄み除去後、遠心水洗3回、水メタノール混合溶液(体積比 水:メタノール、0.5:9.5)遠心洗浄を1回行った。その後、凍結乾燥機を用いて乾燥させることにより無色結晶を得た。
<アルミナ粒子の合成>
A.ベーマイト粒子
機械攪拌機を備えたテフロン(登録商標)製ビーカーに塩化アルミニウム六水和物(2.0M,40ml,25℃)を入れ、恒温槽で10℃に保ちつつ、攪拌(700rpm)しながら水酸化ナトリウム(5.10M,40ml,25℃)を約6分かけて滴下した。滴下終了後さらに10分間攪拌を続け、攪拌終了後、溶液のpHを測定した(pH=7.08)。溶液をテフロンライナーを備えたオートクレーブに代え密栓し、オーブンで120℃、24時間経時させた(第1の熱処理)。第1の熱処理の終了後、前記オートクレーブをオイルバスヘ移し、180℃、30分間加熱した(第2の熱処理)。第2の熱処理終了後、前記オートクレーブを流水へ入れ、急速冷却(約10℃)をした(第3の熱処理)。第3の熱処理終了後、前記オートクレーブを再びオーブンヘ入れ150℃で、1日加熱を続けた(第4の熱処理)。その後、前記オートクレーブを流水で冷やし、遠心分離(30000rpm,30min)で上澄み除去後、遠心水洗3回、水メタノール混合溶液(体積比 水:メタノール、0.5:9.5)遠心洗浄を1回行った。その後、凍結乾燥機を用いて乾燥させることにより無色結晶を得た。
前記無職結晶の収量は4.1gだった。また、前記無色結晶はX線回折の結果、ベーマイトであることが判明した。また、TEMを用いて粒子のサイズを調べたところ、長軸長さ125±13nm、短軸長さ(径)5.2±0.6nm、アスペクト比が約20の針状であることが判明した。
B.γアルミナ粒子
上記(A)で得られたベーマイト粒子粉末10gをアルミナるつぼに入れ、600℃で5時間熱処理を行うことにより無色の粉末粒子を得た。前記粉末粒子の収量は7.2gであり、X線回折を用いて結晶相の同定により、前記粉末粒子はγ−アルミナであることが判明した。
上記(A)で得られたベーマイト粒子粉末10gをアルミナるつぼに入れ、600℃で5時間熱処理を行うことにより無色の粉末粒子を得た。前記粉末粒子の収量は7.2gであり、X線回折を用いて結晶相の同定により、前記粉末粒子はγ−アルミナであることが判明した。
C.αアルミナ粒子
上記(A)で得られたベーマイト粒子粉末10gをアルミナるつぼに入れ、1100℃で3時間熱処理を行うことにより無色の粉末粒子を得た。前記粉末粒子の収量は6.5gであり、X線回折を用いて結晶相の同定により、前記粉末粒子はα−アルミナであることが判明した。
上記(A)で得られたベーマイト粒子粉末10gをアルミナるつぼに入れ、1100℃で3時間熱処理を行うことにより無色の粉末粒子を得た。前記粉末粒子の収量は6.5gであり、X線回折を用いて結晶相の同定により、前記粉末粒子はα−アルミナであることが判明した。
<アルミナ粒子複合体(分散溶液)の合成>
D.ベーマイト粒子複合体(分散溶液)
上記(A)にて得たベーマイト粒子3.0gを約30gのTHFに入れよく攪拌した後、超音波分散機に40分間かけた。そこヘパラトルエンスルホン酸ナトリウムの0.5gを入れてよく攪拌した後、超音波分散機に40分間かけた。その後、得られた溶液をさらに高圧乳化装置で50MPaの圧力で処理することにより、ほぼ定量的にTHFに分散したベーマイト粒子複合体分散溶液を得ることができた。
D.ベーマイト粒子複合体(分散溶液)
上記(A)にて得たベーマイト粒子3.0gを約30gのTHFに入れよく攪拌した後、超音波分散機に40分間かけた。そこヘパラトルエンスルホン酸ナトリウムの0.5gを入れてよく攪拌した後、超音波分散機に40分間かけた。その後、得られた溶液をさらに高圧乳化装置で50MPaの圧力で処理することにより、ほぼ定量的にTHFに分散したベーマイト粒子複合体分散溶液を得ることができた。
前記分散溶液の全光線透過率は65%であった。また、前記分散溶液を濃縮、乾燥し、TG−DTAを用いて粒子上のパラトルエンスルホン酸の量を確認すると、ベーマイト粒子の1molに対し、前記パラトルエンスルホン酸が50mmol付着していることが確認された。また、IR測定、GC−MASS測定、NMR測定により粒子表面に結合しているパラトルエンスルホン酸を確認した。
E.γアルミナ粒子複合体(分散溶液)
上記(B)にて得たγアルミナ粒子3.0gを約30gのTHFに入れよく攪拌した後、超音波分散機に40分間かけた。そこヘパラトルエンスルホン酸ナトリウムの0.3gを入れてよく攪拌した後、超音波分散機に40分間かけた。その後、得られた溶液をさらに高圧乳化装置で50MPaの圧力で処理することにより、はぼ定量的にTHFに分散したγアルミナ粒子複合体溶液を得ることができた。前記分散溶液の全光線透過率は60%だった。
上記(B)にて得たγアルミナ粒子3.0gを約30gのTHFに入れよく攪拌した後、超音波分散機に40分間かけた。そこヘパラトルエンスルホン酸ナトリウムの0.3gを入れてよく攪拌した後、超音波分散機に40分間かけた。その後、得られた溶液をさらに高圧乳化装置で50MPaの圧力で処理することにより、はぼ定量的にTHFに分散したγアルミナ粒子複合体溶液を得ることができた。前記分散溶液の全光線透過率は60%だった。
F.αアルミナ粒子複合体(分散溶液)
上記(C)にて得たαアルミナ粒子3.0gを約30gのTHFに入れよく攪拌した後、超音波分散機に40分間かけた。そこヘパラトルエンスルホン酸ナトリウムの0.4gを入れてよく攪拌した後、超音波分散機に40分間かけた。その後、得られた溶液をさらに高圧乳化装置で50MPaの圧力で処理することにより、ほぼ定量的にTHFに分散したαアルミナ粒子複合体分散溶液を得ることができた。前記分散溶液の全光線透過率は70%だった。
上記(C)にて得たαアルミナ粒子3.0gを約30gのTHFに入れよく攪拌した後、超音波分散機に40分間かけた。そこヘパラトルエンスルホン酸ナトリウムの0.4gを入れてよく攪拌した後、超音波分散機に40分間かけた。その後、得られた溶液をさらに高圧乳化装置で50MPaの圧力で処理することにより、ほぼ定量的にTHFに分散したαアルミナ粒子複合体分散溶液を得ることができた。前記分散溶液の全光線透過率は70%だった。
G.ベーマイト粒子複合体(分散溶液)[リン酸エステル塩]
上記(A)にて得たベーマイト粒子3.3gを約100gのTHFに入れよく攪拌した後、超音波分散機に40分間かけた。そこへn−ドデシルエステルリン酸ナトリウムの0.1gを入れてよく攪拌した後、超音波分散機に60分間かけた。その後、得られた溶液をさらに高圧乳化装置で50MPaの圧力で処理することにより、ほぼ定量的にTHFに分散したベーマイト粒子複合体溶液を得ることができた。
上記(A)にて得たベーマイト粒子3.3gを約100gのTHFに入れよく攪拌した後、超音波分散機に40分間かけた。そこへn−ドデシルエステルリン酸ナトリウムの0.1gを入れてよく攪拌した後、超音波分散機に60分間かけた。その後、得られた溶液をさらに高圧乳化装置で50MPaの圧力で処理することにより、ほぼ定量的にTHFに分散したベーマイト粒子複合体溶液を得ることができた。
(7)樹脂組成物の製造
<ポリカーボネート系樹脂組成物>
(実施例1)
減圧装置、機械攪拌機、還流器を備えた反応容器に、上記(D)で得たベーマイト粒子分散溶液(ベーマイト10.5wt%)126g、ビスフェノールA50.4g(221mmol)、ジフェニルカーボネート48.1g(225mmol)、溶媒であるTHFを適量加え、1時間攪拌した。次いで、減圧ラインを用いて、系内を徐々に減圧にすることにより溶媒であるTHFを留去し、この後さらに温度を上げ、160℃前後で20分予備加熱を行い、ジアリールカーボネート化合物とビスフェノール類との縮合反応を開始した。
<ポリカーボネート系樹脂組成物>
(実施例1)
減圧装置、機械攪拌機、還流器を備えた反応容器に、上記(D)で得たベーマイト粒子分散溶液(ベーマイト10.5wt%)126g、ビスフェノールA50.4g(221mmol)、ジフェニルカーボネート48.1g(225mmol)、溶媒であるTHFを適量加え、1時間攪拌した。次いで、減圧ラインを用いて、系内を徐々に減圧にすることにより溶媒であるTHFを留去し、この後さらに温度を上げ、160℃前後で20分予備加熱を行い、ジアリールカーボネート化合物とビスフェノール類との縮合反応を開始した。
次いで、反応系を200℃まで30分かけて昇温し、この温度にて、約150分間、15mmHg以下の減圧度で攪拌しながら縮合を進行させた。次いで、前記反応系を250℃まで30分かけて昇温し、この温度にて、約30分間、10mmHg以下の減圧度にて攪拌することにより、未反応のオリゴマー成分を低減させ、最後に、減圧度を保持したまま260℃〜290℃の範囲で20分間熟成を行ってポリカーボネート樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を乾燥して粒状にし、射出成型して物性評価用の樹脂組成物を得た。さらに加熱プレス成形して光学特性評価用の試験片を得た。
(実施例2)
上記(D)で得たベーマイト粒子分散溶液に代えて、上記(E)で得たγアルミナ粒子分散溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして試験片を作製した。
上記(D)で得たベーマイト粒子分散溶液に代えて、上記(E)で得たγアルミナ粒子分散溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして試験片を作製した。
(実施例3)
上記(D)で得たベーマイト粒子分散溶液に代えて、上記(F)で得たαアルミナ粒子分散溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして試験片を作製した。
上記(D)で得たベーマイト粒子分散溶液に代えて、上記(F)で得たαアルミナ粒子分散溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして試験片を作製した。
(実施例4)
減圧装置、機械攪拌機、還流器を備えた反応容器に、上記(D)で得たアルミナ粒子分散溶液(ベーマイト10.2wt%)、130g、ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製ノバレックス7030A)115g、ジクロロメタンを追加溶媒として加え、攪拌した。次いで、減圧ラインを用いて、系内を徐々に減圧にすることにより溶媒であるTHFを留去し、この後さらに温度を上げ完全に溶媒を除いてポリカーボネート樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を乾燥して粒状にし、射出成型して物性評価用の樹脂組成物を得た。さらに加熱プレス成形して光学特性評価用の試験片を得た。
減圧装置、機械攪拌機、還流器を備えた反応容器に、上記(D)で得たアルミナ粒子分散溶液(ベーマイト10.2wt%)、130g、ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製ノバレックス7030A)115g、ジクロロメタンを追加溶媒として加え、攪拌した。次いで、減圧ラインを用いて、系内を徐々に減圧にすることにより溶媒であるTHFを留去し、この後さらに温度を上げ完全に溶媒を除いてポリカーボネート樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を乾燥して粒状にし、射出成型して物性評価用の樹脂組成物を得た。さらに加熱プレス成形して光学特性評価用の試験片を得た。
(実施例5)
上記(D)で得たベーマイト粒子分散溶液に代えて、上記(E)で得たγアルミナ粒子分散溶液を用いた以外は、実施例4と同様にして試験片を作製した。
上記(D)で得たベーマイト粒子分散溶液に代えて、上記(E)で得たγアルミナ粒子分散溶液を用いた以外は、実施例4と同様にして試験片を作製した。
(実施例6)
上記(D)で得たベーマイト粒子分散溶液に代えて、上記(F)で得たαアルミナ粒子分散溶液を用いた以外は、実施例4と同様にして試験片を作製した。
上記(D)で得たベーマイト粒子分散溶液に代えて、上記(F)で得たαアルミナ粒子分散溶液を用いた以外は、実施例4と同様にして試験片を作製した。
(実施例7)
上記(D)で得たベーマイト粒子分散溶液に代えて、上記(G)で得たリン酸エステルで処理をしたベーマイト粒子分散溶液を用いた以外は、実施例4と同様にして試験片を作製した。
上記(D)で得たベーマイト粒子分散溶液に代えて、上記(G)で得たリン酸エステルで処理をしたベーマイト粒子分散溶液を用いた以外は、実施例4と同様にして試験片を作製した。
(実施例8)
上記(D)で得たベーマイト粒子分散溶液を凍結乾燥した後、180℃、減圧度下で12時間乾燥し、ベーマイト粒子複合体の無色粉末を得た。この粉体1.2gとポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製ノバレックス7030A)8.5gとを真空微量混練押出機(株式会社井元製作所製、IMC−1170B型)を用いて溶融混練した。混練条件は真空チャンバー内を10mmHg以下の減圧度とし、炉内及びローター温度を260℃、ローター回転速度を15rpmとして、10分間行った。混練後、常温常圧に自然に戻し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を乾燥して粒状にし、射出成型して物性評価用の樹脂組成物を得た。さらに加熱プレス成形して光学特性評価用の試験片を得た。
上記(D)で得たベーマイト粒子分散溶液を凍結乾燥した後、180℃、減圧度下で12時間乾燥し、ベーマイト粒子複合体の無色粉末を得た。この粉体1.2gとポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製ノバレックス7030A)8.5gとを真空微量混練押出機(株式会社井元製作所製、IMC−1170B型)を用いて溶融混練した。混練条件は真空チャンバー内を10mmHg以下の減圧度とし、炉内及びローター温度を260℃、ローター回転速度を15rpmとして、10分間行った。混練後、常温常圧に自然に戻し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を乾燥して粒状にし、射出成型して物性評価用の樹脂組成物を得た。さらに加熱プレス成形して光学特性評価用の試験片を得た。
(実施例9)
上記(D)で得たベーマイト粒子分散溶液に代えて、上記(E)で得たγアルミナ粒子分散溶液を用いた以外は、実施例8と同様にして試験片を作製した。
上記(D)で得たベーマイト粒子分散溶液に代えて、上記(E)で得たγアルミナ粒子分散溶液を用いた以外は、実施例8と同様にして試験片を作製した。
(実施例10)
上記(D)で得たベーマイト粒子分散溶液に代えて、上記(F)で得たαアルミナ粒子分散溶液を用いた以外は、実施例8と同様にして試験片を作製した。
上記(D)で得たベーマイト粒子分散溶液に代えて、上記(F)で得たαアルミナ粒子分散溶液を用いた以外は、実施例8と同様にして試験片を作製した。
(実施例11)
不活性ガス気流下、フラスコに溶媒のTHF500ml、メタクリル酸メチル80g、アクリル酸25g、重合開始剤AIBINを0.5mol%添加した。その溶液を80℃に加熱して、攪拌しながら上記(D)で得たベーマイト粒子分散溶液(ベーマイト10.1wt%)105gを加え、18時間そのまま攪拌しながら80℃の温度を保ち続けた。反応終了後、室温に戻し、過剰のn−ヘキサンを加えてポリマーを沈殿させ、濾別してメタクリル酸系樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を乾燥して粒状にし、射出成型して物性評価用の試験片を得た。さらに加熱プレス成形して光学特性評価用の試験片を得た。
不活性ガス気流下、フラスコに溶媒のTHF500ml、メタクリル酸メチル80g、アクリル酸25g、重合開始剤AIBINを0.5mol%添加した。その溶液を80℃に加熱して、攪拌しながら上記(D)で得たベーマイト粒子分散溶液(ベーマイト10.1wt%)105gを加え、18時間そのまま攪拌しながら80℃の温度を保ち続けた。反応終了後、室温に戻し、過剰のn−ヘキサンを加えてポリマーを沈殿させ、濾別してメタクリル酸系樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を乾燥して粒状にし、射出成型して物性評価用の試験片を得た。さらに加熱プレス成形して光学特性評価用の試験片を得た。
(比較例1)
減圧装置、機械攪拌機、還流器を備えた反応容器に、日産化学製アルミナゾル520の粉末11.8gと、ビスフェノールA50.2g(221mol),ジフェニルカーボネート49.6g(232mmol)、及び溶媒であるTHFとを適量加え、1時間攪拌した。減圧ラインを用いて、系内を徐々に減圧にすることにより溶媒であるTHFを留去し、この後さらに温度を上げ、160℃前後で20分予備加熱を行い、ジアリールカーボネート化合物とビスフェノール類の縮合反応を始めさせた。
減圧装置、機械攪拌機、還流器を備えた反応容器に、日産化学製アルミナゾル520の粉末11.8gと、ビスフェノールA50.2g(221mol),ジフェニルカーボネート49.6g(232mmol)、及び溶媒であるTHFとを適量加え、1時間攪拌した。減圧ラインを用いて、系内を徐々に減圧にすることにより溶媒であるTHFを留去し、この後さらに温度を上げ、160℃前後で20分予備加熱を行い、ジアリールカーボネート化合物とビスフェノール類の縮合反応を始めさせた。
なお、前記アルミナノル520は20wt%の水分敬溶液として市販されているが、凍結乾燥して乾燥固体として用いた。また、粒子はベーマイト構造であり、粒子径10〜20nm、棒状、粒状の混合物である。
次いで、反応系を230℃まで30分かけて昇温し、この温度にて、約150分間、15mmHg以下の減圧度で攪拌しながら縮合を進行させた。更に反応系を260℃まで30分かけて昇温し、この温度にて、約30分間、10mmHg以下の減圧度にて攪拌することにより、未反応のオリゴマー成分を低減させ、最後に、減圧度を保持したまま260℃〜290℃の範囲で20分間熟成を行ってポリカーボネート樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を乾燥して粒状にし、過熱プレス成形して厚さ2mmの板を得た。得られた試験板の物性を調べると、光線透過率は0%、曲げ強度104MPa、曲げ弾性率3.3Gpa、線膨張係数6.3×10−5℃、粒子配合量は9.4wt%だった。
(比較例2)
不活性ガス気流下、フラスコにメタクリル酸メチル76g、アクリル酸26g、溶媒のTHFを適量入れ、重合開始剤AIBINを0.5mol%添加した。80℃に加熱、攪拌しながら日産化学製アルミナゾル620の粉末10.0gを加え、24時間そのまま攪拌しながら80℃を保ち続けた。反応終了後、室温に戻し、過剰のn−ヘキサンを加えてポリマーを沈殿させ、濾別してメタクリル酸系樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を乾燥して粒状にし、過熱プレス成形して厚さ2mmの板を得た。得られた試験板の物性を調べると、光線透過率は0%、曲げ強度106MPa、曲げ弾性率3.8Gpa、線膨張係数5.8×10−5℃、粒子配合量は9.8wt%だった。結果を表2に示す。
不活性ガス気流下、フラスコにメタクリル酸メチル76g、アクリル酸26g、溶媒のTHFを適量入れ、重合開始剤AIBINを0.5mol%添加した。80℃に加熱、攪拌しながら日産化学製アルミナゾル620の粉末10.0gを加え、24時間そのまま攪拌しながら80℃を保ち続けた。反応終了後、室温に戻し、過剰のn−ヘキサンを加えてポリマーを沈殿させ、濾別してメタクリル酸系樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を乾燥して粒状にし、過熱プレス成形して厚さ2mmの板を得た。得られた試験板の物性を調べると、光線透過率は0%、曲げ強度106MPa、曲げ弾性率3.8Gpa、線膨張係数5.8×10−5℃、粒子配合量は9.8wt%だった。結果を表2に示す。
なお、表1には、参考例1として、充填剤を含まないポリカーボネート樹脂の特性値を示し、参考例2として、充填剤を含まないメタクリル酸系樹脂の特性値を示した。
表1及び表2の結果から明らかなように、本発明の金属酸化物粒子(アルミナ粒子)複合体を含有した樹脂組成物は、光線透過率、並びに曲げ強度及び曲げ弾性率に優れ、透明性及び機械的強度共に優れていることが分かる。また、線膨張係数も低く、熱的安定性にも優れることが分かる。
以上、具体例を挙げながら本発明を詳細に説明してきたが、本発明は上記内容に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいてあらゆる変形や変更が可能である。
例えば、本発明の樹脂組成物は、必要に応じて、酸化防止剤及び熱安定剤(例えば、ヒンダードフェノール、ヒドロキノン、チオエーテル、ホスファイト類及びこれらの置換体及びその組み合わせを含む)、紫外線吸収剤(例えばレゾルシノール、サリシレート、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン等)、滑剤、離型剤(例えばシリコン樹脂、モンタン酸及びその塩、ステアリン酸及びその塩、ステアリルアルコール、ステアリルアミド等)、染料(例えばニトロシン等)、顔科(例えば硫化カドミウム、フタロシアニン等)を含む着色剤、添加剤添着液(例えばシリコンオイル等)、及び結晶核剤(例えばタルク、カオリン等)などを単独又は適宜組み合わせて添加することができる。
Claims (37)
- 金属酸化物粒子と、この金属酸化物粒子に対する表面処理を経て含まれる有機酸塩とを具えることを特徴とする、金属酸化物粒子複合体。
- 前記有機酸塩は、スルホン酸基を含むことを特徴とする、請求項1に記載の金属酸化物粒子複合体。
- 前記有機酸塩は、リン酸骨格及びホウ酸骨格の少なくとも一方を含むことを特徴とする、請求項1に記載の金属酸化物粒子複合体。
- 前記金属酸化物粒子複合体における前記有機酸の含有量が、前記金属酸化物粒子の1molに対して1mmol以上であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一に記載の金属酸化物粒子複合体。
- 前記金属酸化物粒子は、短軸長さ1〜10nm、長軸長さ20〜400nm、アスペクト比5〜100であって、
Al2O3・nH2O
なる一般式で表されるアルミナ粒子であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一に記載の金属酸化物粒子複合体。 - 前記アルミナ粒子は、内部に中空部を有することを特徴とする、請求項5に記載の金属酸化物粒子複合体。
- 前記一般式においてn=0であり、前記アルミナ粒子がαアルミナ、γアルミナ、ベーマイトから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、請求項5又は6に記載の金属酸化物粒子複合体。
- 前記一般式においてn=1であり、前記アルミナ粒子がベーマイト粒子であることを特徴とする、請求項5又は6に記載の金属酸化物粒子複合体。
- 請求項8に記載の金属酸化物粒子複合体の製造方法であって、
アルミニウム金属塩水溶液中にアルカリ水溶液を添加し、得られた反応混合物中に水酸化アルミニウムのゲル状物質を生成する工程と、
前記ゲル状物質を含む前記反応混合物を室温以上の第1の温度で第1の熱処理を施す工程と、
前記第1の熱処理の後、前記ゲル状物質を含む前記反応混合物を前記第1の熱処理における前記第1の温度よりも高い第2の温度で第2の熱処理を施す工程と、
前記第2の熱処理の後、前記ゲル状物質を含む前記反応混合物を前記第2の熱処理における前記第2の温度よりも低い第3の温度で第3の熱処理を施す工程と、
前記第3の熱処理の後、前記ゲル状物質を含む前記反応混合物を室温以上の第4の温度で第4の熱処理を施して、前記ベーマイト粒子を製造する工程と、
前記ベーマイト粒子を有機溶剤中に分散させるとともに、前記有機酸塩を加え、前記ベーマイト粒子を含む前記金属酸化物粒子複合体を製造する工程と、
を具えることを特徴とする、金属酸化物粒子複合体の製造方法。 - 前記ベーマイト粒子を前記有機溶剤中へ分散させる以前に、水中に分散させる工程を具えることを特徴とする、請求項9に記載の金属酸化物粒子複合体の製造方法。
- 前記ベーマイト粒子は、前記水中又は前記有機溶剤中に対して、超音波、マイクロビーズミル、攪拌、及び高圧乳化から選ばれる少なくとも一種の手法を用いて分散させることを特徴とする、請求項9又は10に記載の金属酸化物粒子複合体の製造方法。
- 前記アルミニウム金属塩水溶液濃度と前記アルカリ水溶液濃度との比が、モル比において、1:2〜4であることを特徴とする、請求項9〜11のいずれか一に記載の金属酸化物複合体の製造方法。
- 前記アルミニウム金属塩水溶液の濃度が1.0M〜3.0Mであって、前記アルカリ水溶液の濃度が4.0M〜10.0Mであることを特徴とする、請求項9〜12のいずれか一に記載の金属酸化物粒子複合体の製造方法。
- 前記反応混合物のpHを変化させることにより、前記ベーマイト粒子の形態を変化させることを特徴とする、請求項13に記載のアルミナ粒子複合体の製造方法。
- 前記第1の熱処理における前記第1の温度が、室温から140℃の温度範囲であることを特徴とする、請求項9〜14のいずれか一に記載のアルミナ粒子複合体の製造方法。
- 前記第2の熱処理における前記第2の温度が、140℃〜250℃の温度範囲であることを特徴とする、請求項9〜15のいずれか一に記載のアルミナ粒子複合体の製造方法。
- 前記第3の熱処理における前記第3の温度が、130℃以下の温度範囲であることを特徴とする、請求項9〜16のいずれか一に記載のアルミナ粒子複合体の製造方法。
- 前記第2の熱処理における前記第2の温度から、前記第3の熱処理における前記第3の温度までの冷却時間が10分以内であることを特徴とする、請求項9〜17のいずれか一に記載のアルミナ粒子複合体の製造方法。
- 前記第4の熱処理における前記第4の温度が、100℃〜180℃の温度範囲であることを特徴とする、請求項9〜18のいずれか一に記載のアルミナ粒子複合体の製造方法。
- 請求項7に記載の金属酸化物粒子複合体の製造方法であって、
アルミニウム金属塩水溶液中にアルカリ水溶液を添加し、得られた反応混合物中に水酸化アルミニウムのゲル状物質を生成する工程と、
前記ゲル状物質を含む前記反応混合物を室温以上の第1の温度で第1の熱処理を施す工程と、
前記第1の熱処理の後、前記ゲル状物質を含む前記反応混合物を前記第1の熱処理における前記第1の温度よりも高い第2の温度で第2の熱処理を施す工程と、
前記第2の熱処理の後、前記ゲル状物質を含む前記反応混合物を前記第2の熱処理における前記第2の温度よりも低い第3の温度で第3の熱処理を施す工程と、
前記第3の熱処理の後、前記ゲル状物質を含む前記反応混合物を室温以上の第4の温度で第4の熱処理を施す工程と、
前記第4の熱処理を経て得たベーマイト粒子に対して焼成処理を施し、前記αアルミナ粒子を製造する工程と、
前記αアルミナ粒子を有機溶剤中に分散させるとともに、前記有機酸塩を加え、前記アルミナ粒子を含む前記金属酸化物粒子複合体を製造する工程と、
を具えることを特徴とする、アルミナ粒子複合体の製造方法。 - 前記αアルミナ粒子を前記有機溶剤中へ分散させる以前に、水中に分散させる工程を具えることを特徴とする、請求項20に記載の金属酸化物粒子複合体の製造方法。
- 前記アルミナ粒子は、前記水中又は前記有機溶剤中に対して、超音波、マイクロビーズミル、攪拌、及び高圧乳化から選ばれる少なくとも一種の手法を用いて分散させることを特徴とする、請求項20又は21に記載の金属酸化物粒子複合体の製造方法。
- 前記アルミニウム金属塩水溶液濃度と前記アルカリ水溶液濃度との比が、モル比において、1:2〜4であることを特徴とする、請求項19又は20に記載の金属酸化物粒子複合体の製造方法。
- 前記アルミニウム金属塩水溶液の濃度が1.0M〜3.0Mであって、前記アルカリ水溶液の濃度が4.0M〜10.0Mであることを特徴とする、請求項19〜23のいずれか一に記載の金属酸化物粒子複合体の製造方法。
- 前記反応混合物のpHを変化させることにより、前記アルミナ粒子の形態を変化させることを特徴とする、請求項24に記載の金属酸化物粒子複合体の製造方法。
- 前記第1の熱処理における前記第1の温度が、室温から140℃の温度範囲であることを特徴とする、請求項19〜25のいずれか一に記載の金属酸化物粒子複合体の製造方法。
- 前記第2の熱処理における前記第2の温度が、140℃〜250℃の温度範囲であることを特徴とする、請求項19〜26のいずれか一に記載の金属酸化物粒子複合体の製造方法。
- 前記第3の熱処理における前記第3の温度が、130℃以下の温度範囲であることを特徴とする、請求項19〜27のいずれか一に記載の金属酸化物粒子複合体の製造方法。
- 前記第2の熱処理における前記第2の温度から、前記第3の熱処理における前記第3の温度までの冷却時間が10分以内であることを特徴とする、請求項19〜28のいずれか一に記載の金属酸化物粒子複合体の製造方法。
- 前記第4の熱処理における前記第4の温度が、100℃〜180℃の温度範囲であることを特徴とする、請求項19〜29のいずれか一に記載の金属酸化物粒子複合体の製造方法。
- 請求項1〜8のいずれか一に記載のアルミナ粒子複合体を含むことを特徴とする、樹脂組成物。
- 前記金属酸化物粒子複合体の配合量が1〜50wt%であることを特徴とする、請求項31に記載の樹脂組成物。
- 前記樹脂組成物は、ポリカーボネート系樹脂、メタクリル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、スチレン系樹脂、及び非晶性オレフィン系樹脂から選ばれる少なくとも一種の熱可塑性樹脂を含むことを特徴とする、請求項31又は32に記載の樹脂組成物。
- 請求項29〜31のいずれか一に記載の樹脂組成物の製造方法であって、
所定の有機溶媒中に前記金属酸化物粒子複合体が分散した金属酸化物粒子複合体分散溶液を準備する工程と、
前記金属酸化物粒子複合体分散溶液と樹脂とを混合し、溶融混練することによって前記樹脂組成物を得る工程と、
を具えることを特徴とする、樹脂組成物の製造方法。 - 請求項29〜31のいずれか一に記載の樹脂組成物の製造方法であって、
所定の有機溶媒中に前記金属酸化物粒子複合体が分散した金属酸化物粒子複合体分散溶液を準備する工程と、
前記金属酸化物粒子複合体分散溶液と樹脂モノマーとを混合し、前記樹脂モノマーを重合させることにより、前記樹脂組成物を得る工程と、
を具えることを特徴とする、樹脂組成物の製造方法。 - 所定の有機溶媒中に前記金属酸化物粒子複合体が分散した金属酸化物粒子複合体分散溶液を準備する工程と、
前記金属酸化物粒子複合体分散溶液と、樹脂を含む有機溶媒とを混合攪拌し、高温減圧下において溶媒のみを留去し、前記樹脂組成物を得る工程と、
を具えることを特徴とする、樹脂組成物の製造方法。 - 前記金属酸化物粒子複合体分散溶液の全光線透過率が40%以上であることを特徴とする、請求項34〜36のいずれか一に記載の樹脂組成物の製造方法。
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