JP2007002089A - 金属酸化物粒子複合体の製造方法、樹脂組成物、及び樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

金属酸化物粒子複合体の製造方法、樹脂組成物、及び樹脂組成物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】透明性を保持しながら機械的強度の優れる、樹脂組成物を提供する。
【解決手段】金属酸化物粒子の表面を酸または塩基で処理した後、前記金属酸化物粒子の前記表面を表面処理剤で処理して、金属酸化物粒子複合体を得、この金属酸化物粒子複合体と樹脂とを配合して樹脂組成物を得る。
【選択図】なし

Description

本発明は、金属酸化物粒子複合体の製造方法、樹脂組成物、及び樹脂組成物の製造方法に関する。
無機ガラス代替に適用可能な透明樹脂としては、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、スチレン系樹脂、エポキシ系樹脂等がある。自動車用部品の中で樹脂ガラスは、無機ガラスに比べ耐衝撃性、軽量性、成形性に優れる特徴を有しているが、現在の技術を用いて無機ガラスの代替で用いる為には、線膨張係数、剛性・強度、難燃性の課題があり、乗員保護の観点から車両用部品に求められる性能を満たすことが出来ておらず、自動車に使われている透明樹脂材料はヘッドランプをはじめとする自動車用灯火カバーなど小さいものに限られているのが現状である。
樹脂の透明性と機械強度の向上を両立させる為には、今活発に行われている無機系微粒子材料を前記樹脂中に配合する有機・無機ナノコンポジット材の研究がその課題の方策の一つとなる。たとえば代表的なもので、豊田中研の「複合材料及びその製造方法」(特許第2619045)や宇部興産他の「ポリアミド複合材料及びその製造方法」(特公平7−47644)、昭和電工の「ポリオレフィン系複合材料およびその製造方法」(持開平10−30039)などが挙げられる。
上記のようなナノオーダレベルの充填剤を用いたポリマーコンポジットではいずれの場合も、充填剤の樹脂中の分散が透明性の維持、物性の向上の大きなポイントであり、分散性を上げるため、微小な粒子の選択、粒子の表面処理、コンポジット合成の最適化を組み合わせた他種様々な分散方法が開示されている。たとえば前述の特公平7−47644ではモンモリナイトの層間にナイロンの原料カプロラクタムを含浸させて重合させナイロンと充填材のコンポジットを得る方法である。しかしながら、この方法では機械的物性(強度、弾性率、表面硬度および耐熱性)の向上は認められるものの、透明性の不足をはじめとして、吸湿性の点や、表面硬度の点で用途が限られたものとなり、用途例は少ない。
一方、剛性・強度等の物性の改良と透明性を両立するために、本出願人は「樹脂製ウィンドウ及びその製法」(特開平11−343349)なる出願を行い、透明な非結晶の有機高分子に、剛性の向上等を目的として可視光線波長以下の径を有する微細なシリカを配合した透明樹脂組成物からなる樹脂製ウィンドウを開示している。前記透明樹脂組成物を得るに際しては、透明な非結晶の有機高分子を合成する過程で溶剤に分散させた表面疎水化シリカ微粒子を添加及び混合して反応系中で合成し、次いで、前記反応系に対して凝固剤溶剤を添加することにより沈降させ、シリカ微粒子と有機高分子とからなる前記透明樹脂組成物を得るものである。
また、高アスペクト比のアルミナ粒子を用いた例として、帝人の「被覆繊維状酸化アルミニウムフィラー及びこれを含む熱可塑性樹脂組成物」(特開2004−149687号)が挙げられる。ナノオーダレベルのアルミナ粒子を用い、これをシランカップリング剤で表面処理し分散性を向上させ、フィルム等コンポジット材の表面性や弾性率、軟化温度の向上を図るというものである。しかしながらシランカップリング剤と粒子表面の反応が芳しくなく、粒子表面のカップリング剤量が不足することから、十分な分散性が期待できず、透明性、機械的強度の点で未だ不十分である。
しかしながら、前記方法で得た前記透明樹脂組成物においては、ある程度の透明性を保持した状態で、強度、弾性率、耐衝撃性などの諸特性を向上させることができるが、シリカ粒子のアスペクト比が1〜5で、小さい為に、透明性は得られるが、前記諸特性を十分に向上させることができず、結果として、自動車部品などの実用に供するまでには至っていない。
特許第2519045号公報 特公平7−47644号公報 特開平10−30039号公報 特開平11−343349号公報 特開2004−149687号公報
本発明は、透明性を保持しながら機械的強度の優れる、樹脂組成物を提供することを目的とする。
上記目的を達成すべく、本発明は、
金属酸化物粒子の表面を酸または塩基で処理し、次いで、表面処理剤で処理することを特徴とする、金属酸化物粒子複合体の製造方法に関する。
上述したように、従来では、機械的な特性と透明性をはじめとする光学的特性との間にはトレードオフの関係があり、機械的特性を向上させようとすると光学的特性が劣化する傾向にあり、光学的特性を向上させようとすると機械的特性が劣化する傾向にあり、両者を同時に達成することは不可能であると考えられていた。
その課題を解決する手段としては、金属酸化物粒子に対して有機酸やカップリング剤その他の表面処理剤を化学的に結合させて金属酸化物複合体の形態とし、次いで、有機溶媒へ可溶化させ、均一な金属酸化物粒子分散溶液を作製する。次いで、この均一な金属酸化物粒子分散溶液を樹脂溶融混連中に配合することによって、もしくは樹脂組成物の樹脂モノマー中に配合し、重合処理を施すことによって、またはこの金属酸化物粒子分散溶液と樹脂を溶解させた有機溶媒を混ぜ、高温減圧下にて溶媒のみを留去することによって、前記金属酸化物粒子が樹脂中に極めて均一に分散してなる光学的、機械的特性を両立した樹脂組成物を得ることができる。
本発明ではさらにその光学的、機械的特性が向上した樹脂組成物の製造法を提供する。
その特徴としては金属酸化物に表面処理剤を導入する際、あらかじめ粒子の表面を酸または塩基で処理し、後に添加する表面処理剤の反応サイトとなる水酸基を新たに増設し、任意の表面処理剤を金属粒子表面に導入することである。こうすることで表面処理剤が粒子表面に多く結合し、よりいっそう均一な金属酸化物粒子分散溶液を調製することができ、ひいては樹脂中に均一分散した樹脂組成物を得ることができる。この結果、光学的特性および機械的特性の面でより好ましい樹脂組成物を得ることができる。
以上説明したように、本発明によれば、透明性を保持しながら機械的強度の優れる、樹脂組成物を提供することができるようになる。したがって、従来、強度の面から不可能であった自動車の有機ガラスとして用いることが出来る。その結果、従来の無機ガラスに比べ、大幅な軽量化に頁献することができる。
本発明の金属酸化物粒子は珪素酸化物、アルミニウム酸化物、鉄酸化物、亜鉛酸化物、カルシウム酸化物、チタン酸化物、錫酸化物、ジルコニウム酸化物、マグネシウム酸化物、硫化亜鉛。もしくはタルク、カオリナイト、などの粘土鉱物を示しているが、機械的特性と光学的特性を高い次元で両立させるには、シリカ、アルミナ、ヘマタイト、チタニア、カルシアが良く、中でも結晶性の良く、ナノサイズでありながら、アスペクト比の高い粒子を作ることができるアルミナが好ましい。
本発明の前記アルミナ粒子は下記の一般式により表されることが好ましい。
Al2O3・nH2O
式中のnが0のときは酸化アルミニウムを示し、α、γアルミナまたはβ、ρ、χ、ε、γ、κ、κ’、θ、η、δ、λである。
式中のnが1のときはベーマイトを表す。また式中のnが1を越えて3未満である場合はベーマイトと非結晶構造のアルミナ水和物の混合物を示す。これは一般に疑ベーマイトと呼ばれている。さらにnが3以上では非結晶構造のアルミナ水和物を示す。充填剤としてのアルミナ粒子はこれらのうちから選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする。特に、樹脂組成物の充填剤として好ましいアルミナ粒子は、安定性、製造の容易さからαアルミナ、γアルミナ及びベーマイトである。
前記アルミナ粒子の形状は、繊維状、紡錘状、棒状、針状、筒状、柱状のいずれでもよい。また、粒子サイズは短軸長さが1〜10nmであり、長軸長さが20〜400nmであり、アスペクト比が5〜80であることが好ましい。前記アルミナ粒子を含有させて高透明性の樹脂組成物を得ようとする場合は、特に粒子サイズは短軸長さが6nm以下であり、長軸長さが200nm以下であることが好ましい。
次に、上記高異方性のアルミナ粒子の製造方法について説明する。最初に、前記一般式において、n=1であるベーマイト粒子の製造方法について説明する。
前記ベーマイトを製造するに際しては、最初にアルミニウム金属塩水溶液中にアルカリ水溶液を添加し、得られた反応混合物中に水酸化アルミニウムのゲル状物質を作成する。
前記アルミニウム金属塩水溶液を構成するアルミニウム塩としては、塩化アルミニウム無水和物、塩化アルミニウム六水和物、臭化アルミニウム、臭化アルミニウム六水和物、ヨウ化アルミニウム、硝酸アルミニウム九水和物、乳酸アルミニウム、硫酸ナトリウムアルミニウム12水和物(ナトリウムミョウバン)、過塩素酸アルミニウム九水和物、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムs-ブトキシド、アルミニウムt-ブトキシドなどから選ばれる少なくとも1種類のアルミニウム金属塩が使用される。上記に挙げた中でも市場の入手のし易さ、取り扱いの容易さ、価格が安価な、塩化アルミニウム六水和物、硝酸アルミニウム九水和物、臭化アルミニウム六水和物、硫酸ナトリウムアルミニウム12水和物(ナトリウムミョウバン)、アルミニウムイソプロポキシドが好ましい。
また、前記アルカリ水溶液は前記アルミニウム金属塩の加水分解を促進するために反応系に添加するものである。前記アルカリ水溶液を構成するアルカリ化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、及び水酸化バリウムなどから選ばれる少なくとも1種を例示することができる。特には、水酸化ナトリウムが好ましい。
なお、反応混合物中に副産物として、水に不溶な塩は適宜取り除く。
アルカリ化合物の使用量は、アルミニウム金属塩に対し、モル比で2〜4倍であることが好ましい。2倍未満では反応原料が熱処理して反応生成物を生成するのに不十分であり、反応溶液のゲル化も起きず、収率良く粒子を得ることができない場合がある。4倍以上では逆にpHが高すぎ、アルカリがゲルを溶かしてしまい、癒着や凝集する粒子が増す場合がある。
また、アルミニウム金属塩水溶液の濃度が1.0M−3.0Mであり、アルカリ水溶液の濃度が4.0M−10.0Mであることが好ましい。これによって、アルミニウム金属塩水溶液とアルカリ水溶液との反応混合物中のゲル状物質の生成を簡易に実現できるようになる。なお、前記アルミニウム金属塩水溶液における金属塩の濃度としては、前述したように、1.0M〜3.0Mで行うことが好ましいが、生産性からそれぞれのアルミニウム金属塩溶解度上限の濃度がより好ましい。
一方、前記アルミニウム金属塩水溶液と前記アルカリ水溶液との容量は等しいか、前記アルカリ水溶液が少ないことが好ましい。前記アルカリ水溶液の濃度が薄く、溶液の量が多すぎるとゲル化が難しくなる。前記アルミニウム金属塩の濃度と、前記アルミニウム金属塩及び前記アルカリ水溶液の容量を固定すれば、後の形態制御は前記アルカリ水溶液の濃度を変えれば良いだけとなるので、合成条件項目を少なくするために容量は等しいことがより好ましい。
以上のような工程を経ることにより、前記反応混合物中に前記ゲル状物質を作成することができる。この結果、以下に示す熱処理によるベーマイト粒子の成長過程において、成長過程にあるベーマイト粒子が前記ゲル状物質中で固定され、粒子同士の癒着や凝集が抑制されて、粒度分布幅が狭小化されたナノサイズレベルのベーマイト粒子を得ることができるようになる。
熱処理は140℃〜250℃の温度で行うことができるが、特には170℃〜250℃であることが好ましい。140℃未満であると粒子生成に長く時間をかける。また、250℃以上ではアスペクト比の小さな粒子を製造するには有利であるが、市販の通常グレードのオートクレーブの耐熱、耐圧容器が250℃で限界を迎えること、250℃のために大量のエネルギーを必要とすることから本製造方法では250℃以上を推奨しない。
上記の熱処理後、前記反応生成物が入った容器を放冷し、遠心分離機を用いて生成したベーマイト粒子と溶液とを分離する。その後、副生成物の塩を除くために蒸留水で3回洗浄し、水に分散させ、最後にフリーズドライを行うことでベーマイトを粉末固体として得ることができる。熱オーブン中で乾燥、もしくは自然乾燥させると、粒子同士が強固に固着し、その後水や有機溶剤に再分散できなくなる。
次に、前記一般式において、n=0であるαアルミナ粒子、γアルミナ粒子の製造方法について説明する。
これらアルミナ粒子の製造に際しては、上述したベーマイト粒子の製造方法における反応混合物の生成及び熱処理を経た後、得られたベーマイト粒子に対して焼成処理を施す。前記焼成処理は、例えば450℃〜1500℃にて1〜3時間行う。例えば、上記の方法で得られたベーマイト粒子をアルミナるつぼに入れ、1000℃で4時間熱処理をおこなうことによりαアルミナを得ることができる。この際、上記のベーマイト粒子に特徴的であった中空構造が熱応力により破壊されないようにするため、昇温、降温速度は2℃/分とすることが好ましい。
γアルミナ粒子の合成の際は同様に、ベーマイト粒子を出発とし、550℃〜800℃で焼成処理を行うと良い。
(金属酸化物粒子複合体)
本発明の金属酸化物粒子複合体は上記金属酸化物粒子に対して化学的に結合した有機酸、カップリング剤などの表面処理剤を含んでいるが、その導入の前処理として酸もしくは塩基を行う。酸、塩基により金属酸化物粒子表面が溶け、削り取られることで、後に添加する表面処理剤の反応サイトとなる水酸基を新たに増設することができる。こうすることで表面処理剤が粒子表面に結合しやすくなる。また、粒子表面が溶けることで、表面上に微細な凹凸が生まれ、表面積が増大し、水酸基を同様に増やすことができるばかりか、樹脂添加時、表面処理剤に誘致されたポリマーがその微細な凹凸に引っかかり、アンカー効果を発揮し機械的物性を向上させることができる。
<酸、塩基による事前表面処理方法>
まず、酸または塩基による金属酸化物表面を事前処理する方法について説明する。
真空装置、磁気攪拌子を備えた三口フラスコに、活性ガス気流下、金属酸化物粒子粉末、不活性ガスに交換済みの水を、金属酸化物濃度が10wt%〜20wt%になるよう加える。このとき10wt%以下では生産効率の面で悪く、逆に30wt%を越える場合、攪拌効率から凝集、沈殿する粒子が多くなる。よって10wt%〜20wt%が好ましい。用いる不活性ガスは金属酸化物粒子と反応せず、かつ酸素を含まない窒素やアルゴンが好ましい。粒子を分散させる水は、酸、塩基処理後の金属酸化物粒子が鋭敏に酸素と反応するため、不活性ガスに置換したものを用いる。
次に塩化水素ガスを装置内に吹き込む。塩化水素は塩化アンモニウムに硫酸を加えるなどの方法で発生させる。酸としては塩酸、硫酸、硝酸、ふっ酸などがあげられる。塩基としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、アンモニアなどを用いることができる。とくに揮発性の酸、塩基は後述する後処理方法の面で都合が良く、推奨する。
ガス吹き込み法としては装置内をよく攪拌させながら、室温で塩化水素ガスを装置内に吹き込み続ける。吹き込み時間は、吹き込む酸、塩基の吐出量、金属酸化物の種類によって変わる。時間が少なすぎれば金属酸化物表面に反応サイトとなる水酸基が生じない、また時間が多すぎれば金属酸化物粒子の水への溶解が始まり、粒子形状が変化するばかりか、完全に溶け、擬似ベーマイト、水酸化アルミニウムへ結晶構造が変化する。
反応終了後、装置内を減圧に保ち、溶液を約半分に濃縮する。濃縮することで後述のフリーズドライの施行時間を短縮することができる。その後液体窒素を用いて容器内を素早く凍結し、真空ラインを用いてフリーズドライ法にて溶媒の水、酸を完全に留去する。このとき、酸や塩基が揮発性のものであれば、フリーズドライを用いることで簡単に除くことができる。しかし揮発性でなくとも、中和後粒子をろ過することで、同様に粒子を得ることができる。また、フリーズドライを用いず、加熱し蒸留してしまうと、濃縮中に酸の濃度が高まり、金属酸化物の溶解や粒子同士の癒着による凝集が生じる場合がある。
<金属酸化物粒子複合体、有機溶媒分散液の合成方法>
フリーズドライ後、外気に触れさせることなく不活性ガスに気流を戻し、不活性ガスに置換した水に再分散、もしくは不活性ガスに置換した有機溶媒へ懸濁させ、金属酸化物粒子へ表面処理剤を導入する。水に分散させる場合は、有機酸やカップリング剤などの処理剤が有機溶剤に不溶な場合に用いる。有機溶剤へ分散させる場合は処理剤が水を嫌う、もしくは水に溶けない場合に用いる。
有機溶剤へ懸濁させる方法としては攪拌に追加して超音波分散機を用いて有機溶剤へ強制的に分散させ、所定のスルホン基、カルボキシル基、ヒドロキシル基を有する有機酸、もしくはホウ酸、りん酸、アミノ酸を添加するによって、目的とする金属酸化物粒子複合体を得ることができる。またそれと同時に金属酸化物粒子有機溶剤分散溶液を得ることができる。
ただし、用いる表面処理剤の種類によっては有機溶媒に溶けず、金属酸化物粒子と反応しないため、その場合は金属酸化物粒子をいったん水へ分散させる必要がある。
前記金属酸化物粒子を水中に分散させるに際しては、攪拌のみでよく水中に良く分散できるので、得られた水分散金属酸化物溶液に表面処理剤を添加すれば目的とする金属酸化物粒子複合体を得ることができる。そして遠心分離、蒸留などをすることで水から有機溶剤へ溶媒交換することで、金属酸化物粒子複合体有機溶剤分散溶液を得ることができる。
前記有機溶媒としては、後の重合過程において、製造されるべき樹脂と少なくとも部分的に混合可能で、溶解した樹脂組成物と前記金属酸化物粒子複合体とが均一に混合可能なものであれば特に限定されない。具体的には、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサンなどの環状エーテル類、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、1,1,2,2−テトラクロロエタン等のハロゲン化アルキル類、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトン等のケトン類、ジメチルスルフォオキシドなどを例示することができる。これらの有機溶媒は単独あるいは混合物で用いても良い。特に好ましいのはテトラヒドロフランとクロロホルムである。
表面処理剤としては有機酸、もしくはカップリング剤である。有機酸としては以下に限定はされないが、スルホン基、カルボキシル基、ヒドロキシル基を有する化合物、もしくはホウ酸類、リン酸類、アミノ酸類に属する構造を有する化合物である。中でも金属酸化物粒子と強固な結合を結ぶことができる、スルホン基を有する化合物が良い。
これらの有機酸は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい.本研究に用いることができるスルホン酸基を有する化合物としては、アルキルベンゼンスルホン酸が好ましく、以下に挙げるが、これらに限定されるものではない。例えば、ベンゼンスルホン酸、o-トルエンスルホン酸、m-トルエンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸メチル、CH3(CH2)nCH2C6H4SO3H (n=0〜10)であらわすことのできるエチルベンゼンスルホン酸、プロピルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、などや、3置換体のp-トルエンスルホン酸ドデシル、ニトロ基を有するo-ニトロベンゼンスルホン酸、m-ニトロベンゼンスルホン酸、アリール基を有するp−フェノールスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ナフトールスルホン酸、さらにはo-アミノベンゼンスルホン酸、m−アミノベンゼンスルホン酸、p-アミノベンゼンスルホン酸、o−クレゾールスルホン酸、ジメチルベンゼンスルホン酸、2,4ジメチルベンゼンスルホン酸、2,4ジニトロベンゼンスルホン酸、ポリ(2−アクリルアミド2−メチル−1−プロパンスルホン酸)、ポリ(2−アクリルアミド-2-メチル−1−プロパンスルホン酸スチレン共重合体)PCオリゴマーの末端にスルホン酸基のついた化合物などが挙げられる。
また、本研究で用いることができるホウ酸類としては、以下に挙げるが、これらに限定されるものではない。たとえばメチルホウ酸、フェニルホウ酸、ブチルホウ酸、イソプロピルホウ酸、4−クロロフェニルホウ酸、4−ヒドロフェニルホウ酸、1、4フェニレンビスホウ酸、4−カルボキシルフェニルホウ酸などが挙げられる。
カップリング剤としてはシランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミカップリング剤などを上げることができる。中でも市場での入手しやすさ、種類の多さから、シランカップリング剤が好ましい。シランカップリング剤の例としては特に限定されないが、金属酸化物表面の水酸基と反応可能な有機化合物が望ましい。たとえば、クロロ基、メトキシ基またはエトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基のいずれか一つを少なくとも有する有機ケイ素化合物、さらに詳しくそのような有機ケイ素化合物の一例をあげると、n−ブチルトリクロロシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−デシルトリクロロシラン、n−デシルトリエトキシシラン、ジメトキシメチルクロロシラン、n−ドデシルトリクロロシラン、n−ドデシルトリエトキシシラン、エチルトリクロロシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、n−ヘプチルトリクロロシラン、n−ヘキサデシルトリクロロシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリクロロシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、メチルトリエトキシシラン、n−オクタデシルトリクロロシラン、n−オクタデシルトリエトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、n−プロピルトリクロロシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−ブチルメチルジクロロシラン、n−デシルメチルジクロロシラン、ジ−n−ブチルジクロロシラン、ジエチルジクロロシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルメトキシクロロシラン、ジ−n−オクチルジクロロシラン、ドコシルメチルジクロロシラン、ドデシルメチルジクロロシラン、ドデシルメチルジエトキシシラン、エチルメチルジクロロシラン、n−ヘプチルメチルジクロロシラン、n−ヘキシルメチルジクロロシラン、メチルペンチルジクロロシラン、n−オクタデシルメトキシジクロロシラン、n−オクタデシルメチルジクロロシラン、プロピルメチルジクロロシランなどが挙げられる。n−デシルジメチルクロロシラン、エチルジメチルクロロシラン、n−オクタデシルジメチルクロロシラン、n−オクタデシルジメチルメトキシシラン、n−オクチルジメチルクロロシラン、n−プロピルジメチルクロロシラン、トリメチルクロロシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチル−n−プロポキシシラン、トリ−n−プロピルクロロシラン、トリフェニルクロロシラン、トリトリルクロロシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(6アミノヘキシル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−11−アミノウンデシルトリメトキシシラン、3−(m−アミノフェノキシ)プロピルトリメトキシシラン、m−アミノフェニルトリメトキシシラン、N−3−[(アミノ(ポリプロピレノキシ))アミノプロピルトリメトキシシラン、p−アミノフェニルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリス(メトキシエトキシエトキシ)シラン、3アミノプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シランなどが挙げられる。
前記有機酸、カップリング剤の、前記金属酸化物粒子に対する化学結合の態様は、共有結合、配位縮合、水素結合、静電気的な結合などである。
また、前記金属酸化物粒子複合体における前記有機酸の含有量は、後に詳述する、樹脂組成物の重合過程で使用する金属酸化物粒子分散溶液の全光線透過率が30%以上となるものであれば特に制限されない。30%未満では、前記金属酸化物粒子複合体の分散性が悪く、以下に説明する樹脂組成物製造過程において、前記金属酸化物粒子分散溶液中に含まれる前記金属酸化物粒子複合体を目的とする樹脂組成物中に均一に分散させることができず、本発明の本来的な目的を達成できない場合がある。
また、金属酸化物粒子の1molに対し、前記有機酸の配10mmo1以上であることが好ましい。前記有機酸の配合量が10mmol以下では、樹脂との親和性が期待できず、得られる樹脂組成物の機械的特性の向上が見られない。また金属酸化物粒子分散溶液の全光線透過率も30%以上を確保するのが難しくなる。なお、前記有機酸の配合量は、TG-DTA、IR、NMRなどの装置を組み合わせて定性、定量することができる。
金属酸化物粒子、例えばアルミナ粒子のモル数は一般式より求める。αアルミナ粒子、γアルミナ粒子は一般式Al2O3より分子量は101.96とする。ベーマイト粒子の場合はAlO(OH)を分子量に適用して59.98を分子量とする。アルミナは吸湿性があるため、150℃で乾燥したアルミナの重さをアルミナの重量とする。
(樹脂組成物)
上述した金属酸化物粒子複合体は、充填剤として樹脂中に含有させることができ、この結果、所定の樹脂組成物を得ることができる。
前記金属酸化物粒子複合体の樹脂に対する配合量は、要求特性(例えば、剛性、耐熱性及び耐熱膨張性など)が得られるような量であれば特に制限されないが、1〜50wt%であることが好ましく、さらには1〜30wt%であることが好ましい。前記金属酸化物粒子複合体の配合量が1wt%未満では、前記金属酸化物粒子複合体配合の効果が少なく、得られる樹脂組成物の剛性、耐熱性及び耐熱膨張性などの物性の向上がほとんど認められない場合がある。また、前記金属酸化物粒子複合体の配合量が50wt%を超えると、比重の増加が無視できなくなるばかりでなく、コスト面でも不利となり、樹脂組成物のコスト及び比重が増大してしまうという問題が生じる。また、前記金属酸化物粒子複合体の含有量の増大に伴い、樹脂組成物の粘度が増大し、成形性が悪くなる。
前記金属酸化物粒子複合体を含有させる樹脂としては、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、スチレン系樹脂、非晶性オレフィン系樹脂などをあげることができる。透明性、耐熱性、剛性の観点から、ポリカーボネート系、アクリル系、メタクリル系樹脂などの熱可塑性樹脂が好ましい。もちろん光学特性を目的とせず、樹脂補強剤の目的として金属酸化物粒子複合体を用いることもできその場合、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂に含有させることができる。
そのような熱可塑性樹脂としてはポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブチレン樹脂などのポリオレフィン系樹脂や、無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂などのオレフィン系変性樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリスチレン、高衝撃ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、MBS樹脂などのスチレン系樹脂、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610などのポリアミド系樹脂、さらにはポリオキシメチレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリメチレンメタクリレート、熱可塑性ポリイミドを例示することができる。
熱硬化性樹脂としてはエポキシ樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、アルキッド樹脂、ポリイミド、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂などを例示することができる。上述した樹脂は単独で用いることもできるが、2種以上を混合して用いることもできる。好ましくは安価な樹脂を補強するために、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂である。
前記熱可塑性樹脂における前記ポリカーボネート系樹脂組成物は、2軸混練機を用い、溶融した樹脂に前記金属酸化物粒子複合体を添加する溶融混練法、樹脂モノマーからポリマーを合成する過程に前記金属酸化物粒子複合体を添加する重合法、樹脂を溶解させた溶剤に前記金属酸化物粒子複合体を均一分散させた溶剤を混ぜ、溶剤を留去する溶剤法などの方法で得ることができる。
溶融混連法では前記金属酸化物粒子複合体の固体、もしくは水分散溶液、有機溶剤分散液を用いる。混練機は二軸押出成形機、真空微量混練押出機、ラボプラストミル等を用いることができ、前記金属酸化物粒子の種類、分散させている溶媒の種類により選択決定する。
重合法では前記ポリカーボネート系樹脂組成物を2価以上のフェノール化合物と、ホスゲンの縮合反応、いわゆるホスゲン法、炭酸ジエステルとヒドロキシ化合物のエステル交換反応、いわゆるエステル交換法などのポリカーボネート樹脂の製造中に金属酸化物粒子を同時に添加することで得ることができる。2価以上のフェノール化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシジフェニル)プロパン(通称:ビスフェノールA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノンが好ましく、より好ましくは2,2−ビス(4−ヒドロキシジフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンである。これらの2価フェノール等はそれぞれ単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
炭酸ジエステル化合物としては、ジフェニルカーボネートなどのジアリールカーボネートや、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどのジアルキルカーボネートが挙げられる。ヒドロキシ化合物としてはフェノール、p−クレゾール、p−t−ブチルフェノール、p−t−オクチルフェノール、p−クミルフェノール、ブロモフェノール、トリブロモフェノール、ノニルフェノールなどが挙げられる。
ホスゲン法に用いる方法ではホスゲンが好ましく用いられるが、これ以外のジハロゲン化カルボニルを用いることも可能で、本発明で得られる効果を何ら阻害するものではない。
溶剤法ではまず、ポリカーネートを有機溶剤へ分散させた前記金属酸化物粒子複合体、もしくは有機溶剤へそのまま溶かし、有機溶剤へ分散させた前記金属酸化物粒子複合体を混合する。有機溶剤としてはポリカーボネートをよく溶かすものが良い。例えば、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、1,1,2,2−テトラクロロエタン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトンなどである。ポリカーネートと金属酸化物粒子複合体の混合溶液をよく攪拌した後、加熱し溶剤を留去するが、このときできるだけ減圧、加熱を行い、溶剤をすばやく留去する。溶剤減量とともに溶液の粘度が上昇するが、攪拌出来なくなるまで攪拌を継続する。こうすることで、均一に、凝集無く樹脂組成物を得ることができる。
前記熱可塑性樹脂における前記アクリル系、メタクリル系樹脂組成物も前記ポリカーボネート系樹脂組成物と同様に溶融混練法、重合法、溶剤法などの方法で得ることができる。
重合法に用いるメタクリル樹脂系、アクリル樹脂系モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フエニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル類が挙げられる。これらモノマーは、1種単独または2種類以上を混合して用いてもよいが、透明性、剛性、硬度等のバランスからメチルメタクリレートが主成分であることが好ましい。より好ましくは、上記不飽和単量体と共重合しうるもう一方の単量体全量に対してメチルメタクリレートが70質量%以上である。
以下、実施例および比較例により本発明の実施の形態を詳細に説明する。本発明はこれらに限定されるものではない。なお、本発明において採用した分析方法および分析機器は下記の通りである。
(1)粒子形状、長さ
透過型電子顕微鏡(TEM)にて、粒子形状を観察した。
<観察方法(粒子形状)>
試料を純水(2段蒸留水)にて希釈後、超音波洗浄器にて15分間かけた。その後銅メッシュ上の親水処理済カーボン被覆コロジオン膜に試料を塗布し、乾燥させ観察試料を準備した。透過型電子顕微鏡にてその試料の電子顕微鏡像を120KV、70mA、10万倍にて撮影して、観察した。
・TEM用銅メッシュ:マイクログリット150-Bメッシュ、カーボン補強済み 応研商事株式会社
・透過型電子顕微鏡:JEOLJEM−1200EXII 日本電子株式会社
<観察方法(粒子長さ)>
透過型電子顕微鏡にて撮影した写真を市販のスキャナーで電子データとして取り込み、市販のパソコン上で長さを測るソフトを用いて粒子の長さを測定した。短軸径、長軸径、厚さ、一辺の長さ共にそれぞれ無作為に100個体選び、測定した。
ソフト名:Scion Image for Windows(登録商標) Scion corp.
(2)粒子断面
粒透過型電子顕微鏡(TEM)にて、粒子断面を測定した。
<観察方法(粒子断面)>
凍結乾燥して得られた固体アルミナ粒子をエポキシ樹脂に入れ、粒子を樹脂に包理した。硬化した樹脂を常温にてウルトラミクロトームを用いて厚さ約60〜100nmに薄片化した。その後、TEM用グリッドに薄片をつけ、観察試料を準備した。透過型電子顕微鏡にてその試料の電子顕徹鏡像を300KV、40万倍にて撮影し、観察した。
・エポキシ樹脂:EPON812応研商事株式会社
・ウルトラミクロトーム:FC−S型ミクロトームREICHERT社
・透過型電子顕微鏡:H−9000株式会社日立製作所
(3)アルミナの同定
粉末X線回折装置を用いて観察した。
<観察方法>
試料を測定用無反射板に圧粉することにより、これを観察試料とし、X線解析装置にて測定し、アルミナのJCPDS(Joint Committee on Powder Diffraction Standards)と比較することにより同定した。
・X線解析装置:RINT−2000理学電機
(4)有機酸の定量
TG−DTA,IR,NMRを用いて分析した。
・TG-DTA:TG−DTA320セイコーインスツルメンツ
<分析条件>
測定温度:室温〜900℃、昇温速度10℃。
・NMR:JNMLA-400 日本電子1H、13Cを測定した。測定溶媒CDC13
(5)機械的物性、光学的物性測定
得られた樹脂組成物を乾燥して粒状にし、加熱プレス成形して厚さ2mmの試験片フィルムを得る。得られたシートについて全光線透過率、曲げ強度、曲げ弾性率、線膨張係数を測定した。
・全光線透過率は、ヘイズメーター(村上色彩研究所製HM−65)で計測した。
・曲げ強度・弾性率は、オートグラフ(島津製作所(株)製DSC−10T)で計測した。
・線形膨張係数は、熱機械測定装置〈セイコー電子工業(株)製TMA120C〉で計測した。
(6)アルミナ粒子の合成
<アルミナ粒子の合成>
A ベーマイト粒子
機械攪拌機を備えたテフロン(登録商標)製ビーカーに塩化アルミニウム六水和物(2.0 M,40ml,25℃)を入れ、恒温槽で10℃に保ちつつ、攪拌(700rpm)しながら水酸化ナトリウム(5.10M,40ml,25℃)を約6分かけて滴下した。滴下終了後さらに10分間攪拌を続け、攪拌終了後、溶液のpHを測定した(pH=7.08)。溶液をテフロンライナーを備えたオートクレーブに代え密栓し、オーブンで180℃、24時間経時させた。その後、前記オートクレーブを流水で冷やし、遠心分離(30000rpm,30min)で上澄み除去後、遠心水洗3回その後、凍結乾燥機を用いて乾燥させることにより無色結晶を得た。収量4.5gだった。この無色結晶はX線回折の結果ベーマイトであることが判明した。また、TEMを用いて粒子のサイズを調べたところ、長軸長さ100〜150nm、短軸長さ(径)5〜6nmアスペクト比が約20〜30の針状粒子だった。
B γアルミナ粒子
上記(A)で得られたベーマイト粒子粉末10gをアルミナるつぼに入れ、500℃で24時間熱処理を行うことにより無色の粉末粒子を得た。収量7.0g。X繰回折を用いて結晶相の同定を行ったところ、前記粉末粒子はγ−アルミナであることが判明した。
C αアルミナ粒子
上記(A)で得られたベーマイト粒子粉末10gをアルミナるつぼに入れ、1400℃で3時間熱処理を行うことにより無色の粉末粒子を得た。収量6.5g。X繰回折を用いて結晶相の同定を行ったところ、前記粉末粒子はα−アルミナであることが判明した。
<アルミナ粒子複合体の合成と有機溶剤への分散>
(アルミナ−有機酸複合体)
1.ベーマイト粒子分散液
真空ライン、磁気攪拌子を備えた3つ口フラスコに、窒素気流下、上記Aにて得たベーマイト粒子3.0gを入れ、真空引きし、再び窒素気流下に戻した。その容器に窒素で置換した水を約30ml加え、磁気攪拌子を使い、室温でよく攪拌した。攪拌を続けると、ベーマイト粒子が分散するので、そこへ注意深く塩化水素ガスをよく攪拌しながら10分間吹き込んだ。吹き込み終了後、真空ラインを用いて溶液を半分に濃縮した後、容器を液体窒素につけて凍らせ、真空ラインを用いてフリーズドライを行い、塩化水素、溶媒の水を留去した。フリーズドライは3時間で終了したが、そのまま真空ラインで真空状態を保った。その後、窒素気流下に再び戻し、容器へ窒素で置換したTHFを約30ml加え、磁気攪拌子、超音波洗浄機を用いて、粒子が懸濁した状態を作り、そこへ滴下漏斗からTHFで希釈したパラトルエンスルホン酸0.4gを素早く加えた。数分間攪拌後、真空ラインを用いて溶液を10wt%程度になるように調整し、窒素気流下をやめ、パラトルエンスルホン酸複合体となったベーマイト粒子がTHFに分散した10wt%溶液を得た。
2.γアルミナ粒子分散液
真空ライン、磁気攪拌子を備えた3つ口フラスコに、窒素気流下、上記Bにて得たγアルミナ粒子3.0gを入れ、真空引きし、再び窒素気流下に戻した。その容器に窒素で置換した水を約20ml加え、磁気攪拌子を使い、室温でよく攪拌した。攪拌を続けると、γアルミナ粒子が懸濁するので、そこへ注意深く塩化水素ガスをよく攪拌しながら10分間吹き込んだ。吹き込み終了後、真空ラインを用いて溶液を半分に濃縮した後、容器を液体窒素につけて凍らせ、真空ラインを用いてフリーズドライを行い、塩化水素、溶媒の水を留去した。フリーズドライは3時間で終了したが、そのまま真空ラインで真空状態を保った。その後、窒素気流下に再び戻し、容器へ窒素で置換したTHFを約30ml加え、磁気攪拌子、超音波洗浄機を用いて、粒子が懸濁した状態を作り、そこへパラトルエンスルホン酸ナトリウム0.6gを素早く加えた。数分間攪拌後、真空ラインを用いて溶液を10wt%程度になるように調整し、窒素気流下をやめ、パラトルエンスルホン酸複合体となったγアルミナ粒子がTHFに分散した10wt%溶液を得た。
3.αアルミナ粒子分散液
真空ライン、磁気攪拌子を備えた3つ口フラスコに、窒素気流下、上記Cにて得たαアルミナ粒子3.0gを入れ、真空引きし、再び窒素気流下に戻した。その容器に窒素で置換した水を約20ml加え、磁気攪拌子を使い、室温でよく攪拌した。攪拌を続けると、αアルミナ粒子が懸濁するので、そこへ注意深く塩化水素ガスをよく攪拌しながら20分間吹き込んだ。吹き込み終了後、真空ラインを用いて溶液を半分に濃縮した後、容器を液体窒素につけて凍らせ、真空ラインを用いてフリーズドライを行い、塩化水素、溶媒の水を留去した。フリーズドライは3時間で終了したが、そのまま真空ラインで真空状態を保った。その後、窒素気流下に再び戻し、容器へ窒素で置換したTHFを約30ml加え、磁気攪拌子、超音波洗浄機を用いて、粒子が懸濁した状態を作り、そこへ滴下漏斗よりTHFで希釈したフェニルホウ酸0.6gを素早く加えた。数分間攪拌後、真空ラインを用いて溶液を10wt%程度になるように調整し、窒素気流下をやめ、フェニルホウ酸複合体となったαアルミナ粒子がTHFに分散した10wt%溶液を得た。
(アルミナ−カップリング剤複合体)
4.ベーマイト粒子分散液
真空ライン、磁気攪拌子を備えた3つ口フラスコに、窒素気流下、上記Aにて得たベーマイト粒子3.0gを入れ、真空引きし、再び窒素気流下に戻した。その容器に窒素で置換した水を約10ml加え、磁気攪拌子を使い、室温でよく攪拌した。攪拌を続けると、ベーマイト粒子が分散するので、そこへ注意深く塩化水素ガスをよく攪拌しながら10分間吹き込んだ。吹き込み終了後、真空ラインを用いて溶液を半分に濃縮した後、容器を液体窒素につけて凍らせ、真空ラインを用いてフリーズドライを行い、塩化水素、溶媒の水を留去した。フリーズドライは3時間で終了させたが、オイルバスを用いて120℃、真空状態を2時間保った。その後、室温し戻し、窒素気流下に戻し、容器へ窒素で置換したDMSO(ジメチルスルフォオキシド)を約10ml加え、磁気攪拌子、超音波洗浄機を用いて、粒子が懸濁した状態を作り、そこへ滴下漏斗から10mlのDMSOで希釈したシランカップリング剤のフェニルトリメトキシシランを10g(大過剰)加えた。2時間還留後、容器を空気中に出し、ヘキサンを加え、遠心分離機を用いて粒子と未反応のカップリング剤を分離し、さらに2回ヘキサンを用いて遠心洗浄を繰り返した。洗浄終了後、真空ポンプを用いて、ヘキサンを除き、溶液の濃度が10wt%になるようにTHFを加え、カップリング剤複合体となったベーマイト粒子がTHFに分散した10wt%溶液を得た。
5.γアルミナ粒子分散液
真空ライン、磁気攪拌子を備えた3つ口フラスコに、窒素気流下、上記Bにて得たγアルミナ粒子3.0gを入れ、真空引きし、再び窒素気流下に戻した。その容器に窒素で置換した水を約10ml加え、磁気攪拌子を使い、室温でよく攪拌した。攪拌を続けると、γアルミナ粒子が懸濁するので、そこへ注意深く塩化水素ガスをよく攪拌しながら吹き込んだ。吹き込み終了後、真空ラインを用いて溶液を半分に濃縮した後、容器を液体窒素につけて凍らせ、真空ラインを用いてフリーズドライを行い、塩化水素、溶媒の水を留去した。フリーズドライは3時間で終了させたが、オイルバスを用いて150℃、真空状態を2時間保った。その後、室温し戻し、窒素気流下に戻し、容器へ窒素で置換したDMSO(ジメチルスルフォオキシド)を約10ml加え、磁気攪拌子、超音波洗浄機を用いて、粒子が懸濁した状態を作り、そこへ滴下漏斗から5mlのDMSOで希釈したシランカップリング剤のフェニルトリメトキシシラン10g(大過剰)を加えた。2時間還留後、容器を空気中に出し、ヘキサンを加え、遠心分離機を用いて粒子と未反応のカップリング剤を分離し、さらに2回ヘキサンを用いて遠心洗浄を繰り返した。洗浄終了後、真空ポンプを用いて、ヘキサンを除き、溶液の濃度が10wt%になるようにTHFを加え、カップリング剤複合体となったγアルミナ粒子がTHFに分散した10wt%溶液を得た。
6.αアルミナ粒子分散液
真空ライン、磁気攪拌子を備えた3つ口フラスコに、窒素気流下、上記Cにて得たγアルミナ粒子3.0gを入れ、真空引きし、再び窒素気流下に戻した。その容器に窒素で置換した水を約10ml加え、磁気攪拌子を使い、室温でよく攪拌した。攪拌を続けると、γアルミナ粒子が懸濁するので、そこへ注意深く塩化水素ガスをよく攪拌しながら20分間吹き込んだ。吹き込み終了後、真空ラインを用いて溶液を半分に濃縮した後、容器を液体窒素につけて凍らせ、真空ラインを用いてフリーズドライを行い、塩化水素、溶媒の水を留去した。フリーズドライは3時間で終了させたが、オイルバスを用いて150℃、真空状態を2時間保った。その後、室温し戻し、窒素気流下に戻し、容器へ窒素で置換したDMSO(ジメチルスルフォオキシド)を約10ml加え、磁気攪拌子、超音波洗浄機を用いて、粒子が懸濁した状態を作り、そこへ滴下漏斗から5mlのDMSOで希釈したシランカップリング剤のフェニルトリメトキシシラン10g(大過剰)を加えた。2時間還留後、容器を空気中に出し、ヘキサンを加え、遠心分離機を用いて粒子と未反応のカップリング剤を分離し、さらに2回ヘキサンを用いて遠心洗浄を繰り返した。洗浄終了後、真空ポンプを用いて、ヘキサンを除き、溶液の濃度が10wt%になるようにTHFを加え、カップリング剤複合体となったαアルミナ粒子がTHFに分散した10wt%溶液を得た。
(7)樹脂組成物の製造
<ポリカーボネート系樹脂組成物>
(実施例1)
減圧装置、機械攪拌機、還流器を備えた反応容器に、上記1で得たベーマイト粒子分散溶液(ベーマイト10wt%)130g、ビスフェノールA50.0g(221mmol)、ジフェニルカーボネート48.2g(225 mmol)、溶媒であるTHFを適量加え、1時間攪拌した。次いで、減圧ラインを用いて、系内を徐々に減圧にすることにより溶媒であるTHFを留去し、この後さらに温度を上げ、160 ℃前後で20分予備加熱を行い、ジアリールカーボネート化合物とビスフェノール類との縮合反応を開始した。
次いで、反応系を200℃まで30分かけて昇温し、この温度にて、約150分間、15mmHg以下の減圧度で攪拌しながら縮合を進行させた。次いで、前記反応系を250℃まで30分かけて昇温し、この温度にて、約30分間、10mmHg以下の減圧度にて攪拌することにより、未反応のオリゴマー成分を低減させ、最後に、減圧度を保持したまま260℃〜290℃の範囲で20分間熟成を行ってポリカーボネート樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を乾燥して粒状にし、射出成型して物性評価用の樹脂組成物を得た。さらに加熱プレス成形して光学特性評価用の試験片を得た。
(実施例2)
上記1で得たベーマイト粒子分散溶液に代えて、上記2で得たγアルミナ粒子分散溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして試験片を作製した。
(実施例3)
上記1で得たベーマイト粒子分散溶液に代えて、上記3で得たαアルミナ粒子分散溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして試験片を作製した。
(実施例4)
上記1で得たベーマイト粒子分散溶液に代えて、上記4で得たベーマイト粒子分散溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして試験片を作製した。
(実施例5)
上記1で得たベーマイト粒子分散溶液に代えて、上記5で得たγアルミナ粒子分散溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして試験片を作製した。
(実施例6)
上記1で得たベーマイト粒子分散溶液に代えて、上記6で得たαアルミナ粒子分散溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして試験片を作製した。
(実施例7)
減圧装置、機械攪拌機、還流器を備えた反応容器に、上記1で得たアルミナ粒子分散溶液(ベーマイト10wt%)、130g、ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製ノバレックス7030A)110g、ジクロロメタンを追加溶媒として加え、攪拌した。次いで、減圧ラインを用いて、系内を徐々に減圧にすることにより溶媒であるTHFを留去し、この後さらに温度を上げ完全に溶媒を除いてポリカーボネート樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を乾燥して粒状にし、射出成型して物性評価用の樹脂組成物を得た。さらに過熱プレス成形して光学特性評価用の試験片を得た。
(実施例8)
上記1で得たベーマイト粒子分散溶液に代えて、上記2で得たγアルミナ粒子分散溶液を用いた以外は、実施例7と同様にして試験片を作製した。
(実施例9)
上記1で得たベーマイト粒子分散溶液に代えて、上記3で得たαアルミナ粒子分散溶液を用いた以外は、実施例7と同様にして試験片を作製した。
(実施例10)
上記1で得たベーマイト粒子分散溶液に代えて、上記4で得たベーマイト粒子分散溶液を用いた以外は、実施例7と同様にして試験片を作製した。
(実施例11)
上記1で得たベーマイト粒子分散溶液に代えて、上記5で得たγアルミナ粒子分散溶液を用いた以外は、実施例7と同様にして試験片を作製した。
(実施例12)
上記1で得たベーマイト粒子分散溶液に代えて、上記6で得たαアルミナ粒子分散溶液を用いた以外は、実施例7と同様にして試験片を作製した。
(実施例13)
上記1で得たベーマイト粒子分散溶液とポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製ノバレックス7030A)8.5gを真空微量混練押出機(株式会社井元製作所製、IMC−1170B型)改を用いて溶融混練した。混練条件は真空チャンバー内10mmHg以下の減圧度下、炉内及びローター温度260℃、ローター回転速度15rpmで10分間行った。混練後、常温常圧に自然に戻し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を乾燥して粒状にし、射出成型して物性評価用の樹脂組成物を得た。さらに過熱プレス成形して光学特性評価用の試験片を得た。
(実施例14)
上記1で得たベーマイト粒子分散溶液に代えて、上記2で得たγアルミナ粒子分散溶液を用いた以外は、実施例13と同様にして試験片を作製した。
(実施例15)
上記1で得たベーマイト粒子分散溶液に代えて、上記3で得たαアルミナ粒子分散溶液を用いた以外は、実施例13と同様にして試験片を作製した。
(実施例16)
上記1で得たベーマイト粒子分散溶液に代えて、上記4で得たベーマイト粒子分散溶液を用いた以外は、実施例13と同様にして試験片を作製した。
(実施例17)
上記1で得たベーマイト粒子分散溶液に代えて、上記5で得たγアルミナ粒子分散溶液を用いた以外は、実施例13と同様にして試験片を作製した。
(実施例18)
上記1で得たベーマイト粒子分散溶液に代えて、上記6で得たαアルミナ粒子分散溶液を用いた以外は、実施例13と同様にして試験片を作製した。
(実施例19)
不活性ガス気流下、フラスコに溶媒のTHF 500ml、メタクリル酸メチル80g、アクリル酸25g、重合開始剤AIBNを0.5mol%添加した。その溶液を80℃に加熱して、攪拌しながら上記1で得たベーマイト粒子分散溶液(ベーマイト10.1wt%)105g加え、18時間そのまま攪拌しながら80℃の温度を保ち続けた。反応終了後、室温に戻し、過剰のn-ヘキサンを加えてポリマーを沈殿させ、濾別してメタクリル酸系樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を乾燥して粒状にし、射出成型して物性評価用の試験片を得た。さらに過熱プレス成形して光学特性評価用の試験片を得た。
(実施例20)
上記1で得たベーマイト粒子分散溶液に代えて、上記2で得たγアルミナ粒子分散溶液を用いた以外は、実施例19と同様にして試験片を作製した。
(実施例21)
上記1で得たベーマイト粒子分散溶液に代えて、上記3で得たαアルミナ粒子分散溶液を用いた以外は、実施例19と同様にして試験片を作製した。
(比較例1)
減圧装置、機械攪拌機、還流器を備えた反応容器に、日産化学製アルミナゾル520の粉末11.8gとビスフェノールA50.2g(221mol),ジフェニルカーボネート49.6g(232mmol)、及び溶媒であるTHFを適量加え、1時間攪拌した。減圧ラインを用いて、系内を徐々に減庄にすることにより溶媒であるTHFを留去し、この後さらに温度を上げ、160℃前後で20分予備加熱を行い、ジアリールカーボネート化合物とビスフェノール類の縮合反応を始めさせた。
なお、前記アルミナゾル520は20wt%の水分敬溶液として市販されているが、凍結乾燥して乾燥固体として用いた。また、粒子はベーマイト構造であり、粒子径10〜20nm、棒状、粒状の混合物である。
次いで、反応系を230℃まで30分かけて昇温し、この温度にて、約150分間、15mmHg以下の減圧度で攪拌しながら縮合を進行させた。更に反応系を260℃まで30分かけて昇温し、この温度にて、約30分間、10mmHg以下の減圧度にて攪拌することにより、未反応のオリゴマー成分を低減させ、最後に、減圧度を保持したまま260℃〜290℃の範囲で20分間熱成を行ってポリカーボネート樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を乾燥して粒状にし、過熱プレス成形して厚さ2mmの板を得た。得られた試験板の物性を調べると、光線透過率は0%、曲げ強度104MPa、曲げ弾性率3.3GPa、線膨張係数6.3×10-5℃、粒子配合量は9.4wt%だった。
(比較例2)
不活性ガス気流下、フラスコにメタクリル酸メチル76g、アクリル酸26g、溶媒のTHFを適量入れ、重合開始剤AIBINを0.5mol%添加した。80℃に加熱、攪拌しながら日産化学製アルミナゾル620の粉末10.0gを加え、24時間そのまま攪拌しながら80℃を保ち続けた。反応終了後、室温に戻し、過剰のn-ヘキサンを加えてポリマーを沈殿させ、濾別してメタクリル酸系樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を乾燥して粒状にし、過熱プレス成形して厚さ2mmの板を得た。得られた試験板の物性を調べると、光線透過率は0%、曲げ強度106MPa、曲げ弾性率3.8GPa、線膨張係数5.8×10-5℃、粒子配合量は9.8wt%だった。結果を表2に示す。
なお、表1には、参考例1として、充填剤を含まないポリカーボネート樹脂の特性値を示し、参考例2として、充填剤を含まないメタクリル酸系樹脂の特性値を示した。
Figure 2007002089
Figure 2007002089
表1及び2の結果から明らかなように、本発明のアルミナ粒子複合体を含有した樹脂組成物は、全光線透過率、曲げ強度及び曲げ弾性率に優れ、透明性及び機械的強度共に優れていることが分かる。また、線膨張係数も低く、熱的安定性にも優れることが分かる。
以上、具体例を挙げながら本発明を詳細に説明してきたが、本発明は上記内容に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいてあらゆる変形や変更が可能である。
例えば、本発明の樹脂組成物は、必要に応じて、酸化防止剤及び熱安定剤(例えば、ヒンダードフェノール、ヒドロキノン、チオエーテル、ホスファイト類及びこれらの置換体及びその組み合わせを含む)、紫外線吸収剤(例えばレゾルシノール、サリシレート、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン等)、滑剤、離型剤(例えばシリコン樹脂、モンタン酸及びその塩、ステアリン酸及びその塩、ステアリルアルコール、ステアリルアミド等)、染料(例えばニトロシン等)、顔料(例えば硫化カドミウム、フタロシアニン等)を含む着色剤、添加剤添着液(例えばシリコンオイル等)、及び結晶核剤(例えばタルク、カオリン等)などを単独又は適宜組み合わせて添加することができる。

Claims (11)

  1. 金属酸化物粒子の表面を酸または塩基で処理し、次いで、表面処理剤で処理することを特徴とする、金属酸化物粒子複合体の製造方法。
  2. 前記金属酸化物粒子は、短軸長さ1〜10nm、長軸長さ20〜400nm、アスペクト比が5〜100であることを特徴とする、請求項1に記載の金属酸化物粒子複合体の製造方法。
  3. 前記金属酸化物粒子はアルミナ粒子であり、ベーマイト、αアルミナ、γアルミナから選ばれる少なくとも1種類のアルミナ粒子であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の金属酸化物粒子複合体の製造方法。
  4. 前記表面処理剤は、有機酸及びカップリング剤の少なくとも一方であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一に記載の金属酸化物粒子複合体の製造方法。
  5. 前記有機酸はスルホン酸基を有する化合物であることを特徴とする、請求項4に記載の金属酸化物粒子複合体の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか一に記載の方法で得た金属酸化物粒子複合体と、熱可塑性樹脂と、からなることを特徴とする、樹脂組成物。
  7. 前記金属酸化物粒子粒子複合体の配合量が1〜50wt%であることを特徴とする、請求項6に記載の樹脂組成物。
  8. 前記熱可塑性樹脂は、ポリカーボネート系樹脂、メタクリル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、スチレン系樹脂、非晶性オレフィン系樹脂から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂を含むことを特徴とする請求項6又は7に記載の樹脂組成物。
  9. 請求項6〜8のいずれか一に記載された樹脂組成物の製造方法であって、
    前記金属酸化物粒子複合体と前記熱可塑性樹脂とを溶融混練して前記樹脂組成物を製造することを特徴とする、樹脂組成物の製造方法。
  10. 請求項6〜8のいずれか一に記載された樹脂組成物の製造方法であって、
    前記金属酸化物粒子複合体と前記熱可塑性樹脂のモノマーとを溶媒中で混合し、重合を進行させることにより、前記樹脂組成物を製造することを特徴とする、樹脂組成物の製造方法。
  11. 前記金属酸化物粒子複合体に前記熱可塑性樹脂と有機溶媒との混合溶液を加えて攪拌し、高温減圧下にて溶媒のみを留去して前記樹脂組成物を製造することを特徴とする、樹脂組成物の製造方法。
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