JP4556628B2 - 板状アルミナ粒子、板状アルミナ粒子の製造方法、樹脂組成物及び樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

板状アルミナ粒子、板状アルミナ粒子の製造方法、樹脂組成物及び樹脂組成物の製造方法 Download PDF

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本発明は、板状ベーマイト粒子を樹脂に含有させて補強性、耐熱性を向上させた樹脂組成物に関するものである。特に透明樹脂に添加する場合、樹脂の光線透過率を悪化させることなく、部材の線膨張係数ならびに剛性・強度、耐衝撃性、難燃性を同時に可能となるナノ複合材料とその製造方法に関するものである。
従来、高分子材料の機械特性を向上させるために、粘土鉱物の添加が検討されてきた。例えば、ナイロン、ビニル系高分子、エボキシなどの熱硬化性高分子、エラストマーのゴムなどに前述のような粘土鉱物を分散させることが試みられてきた。このような具体的な方法としては、豊田中研の「複合材料及びその製造方法」(特許第2519045号公報)や宇部興産、トヨタ自動車他の「ポリアミド複合材料及びその製造方法」(特公平7−47644号公報)、昭和電工の「ポリオレフィン系複合材料およびその製造方法」(特開平10−30039号公報)を例示することができる。
これらの従来技術においては、粘土鉱物を有機オニウムイオンで有機化し、粘土層間でモノマーの重合を開始させたり、粘土鉱物を重合させたり、ポリマーの側鎖にオニウムイオンを導入し、粘土鉱物の層間と親和性を持たせながら混練したりしている。
しかしながら、上記従来の粘土複合材料においては、粘土鉱物は樹脂と親和性が乏しく、粘土鉱物の層間に樹脂を入れて層を拡張、剥離させ、樹脂中に層1枚1枚を均一に分散させるのは困難だった。このため、上述したような従来の技術においては、機械的物性(強度、弾性率、表面硬度および耐熱性)の向上はやや認められるが、分散が不十分であり、理論上の物性向上を得ることができないでいた。
また、一般に、高分子材料に添加した充填材の分散が不十分であると、透明性が不足したり、着色を発現させたりする。このため、前記粘土鉱物では、層間を拡張する為に用いる必須の有機オニウムイオンは透明樹脂の重合阻害、着色の原因となる為、粘土鉱物は透明樹脂に用いることが困難である。さらに粘土鉱物は組成も不確定で、大きさ及び層の厚みはナノスケールであるものの、辺の長さはナノスケールからマイクロスケールとかなりばらついており、安定した物性の発現を期待できない。さらには粘土鉱物由来の吸湿性により、粘土鉱物を含有した樹脂組成物の特性が劣化する場合もあった。このため、粘土鉱物含有樹脂組成物の用途は非常に限られており、実用例は少ない。
前述したように、粘土鉱物に限らず、ナノオーダーレベルの充填材を用いた樹脂組成物ではいずれの場合も、充填材の樹脂中の分散が透明性の維持、物性の向上に対して大きなポイントである。このため、充填材の分散性を上げるべく、前記充填材を微細な粒子から構成したり、構成粒子の表面処理を実施したり、充填材と樹脂組成物との組み合わせを適宜に選択したりして、種々の分散方法が発案及び開示されている。
このような分散方法としては、例えば、ハイペリオンカタリシスインターナショナルインコーポレイテッドの「熱可塑性エラストマー組成物および樹脂組成物」(特開平7−102112号公報)、東レの「カーボン含有樹脂組成物、成形材料および成形体」(特開2003−12939号公報)がある。これらの方法では、導電性、表面外観、機械的強度に優れた樹脂組成物を提供することができるように、充填材として極めて微細なカーボンナノチューブを用いている。しかしながら、カーボンナノチューブ特有の絡み合いと凝集が解決できておらず、樹脂中に均一分散することは極めて困難である。
以上のように樹脂組成物とその製造方法については様々な検討がなされているが、未だ透明性と機械特性などの諸物性との双方を両立することができる決定的な技術は確立できていない。
特許第2519045号公報 特公平7−47644号公報 特開平10−30039号公報 特開平7−102112号公報 特開2003−12939号公報
上記問題に鑑み、本発明は、透明性と機械特性などの諸物性との双方を両立することができる樹脂組成物を提供することを目的とする。
上記目的を達成すべく、本発明は、
一辺が20〜100nmの長さである4角形の平板形状を呈し、厚さが5〜10nmであって、アスペクト比(平均辺長さ/厚さ)が2〜20であり、
Al・nH
なる一般式で表される板状アルミナ粒子を含む樹脂組成物に関する。
目的とする樹脂組成物の透明性及び物性の双方を向上させるためには、充填材(構成粒子)の種類、大きさ、アスペクト比、表面処理、及び合成方法、並びに構成樹脂の種類及び合成方法などを詳細に検討する必要はある。このような点に鑑み、本発明者らは、構成樹脂ではなく充填材に関して集中した検討を行い、上述した板状のアルミナ粒子を開発し、その板状アルミナ粒子を含む樹脂組成物を開発するに至った。
板状アルミナ粒子は粘土鉱物のように板(層)間が化学的に結合しておらず、この結果、層間を引き剥がす手間もかからず容易に分散が可能である。また、粘土鉱物の使用に付随して用いるオニウムイオンなども不要である。また板(層)中にはナトリウム、カリウムなどの樹脂の重合阻害や着色の原因となる他金属イオンを含んでいない。さらには板状アルミナ粒子のサイズが揃っているため、樹脂組成物中に配合した際に安定した物性を示す。さらに、板状アルミナ粒子のサイズがナノレベルからサブナノレベルであって、高いアスペクト比を示すことから、前記板状アルミナ粒子が樹脂組成物中に均一に配合された場合に透明性を維持したまま、高い機械特性などの諸物性を呈することができるようになる。
本発明に用いられる板状アルミナ粒子は、n=1のときには板状ベーマイト粒子となり、n=0のときには板状のαアルミナ粒子となることができる。このような組成の板状アルミナ粒子は、その組成自体が極めて安定であるので、前述した樹脂組成物中に配合された際に得られる物性の安定性が増大するようになる。
また、板状ベーマイト粒子の場合は、表面に水酸基(−OH)を有しているため、この水酸基が構成樹脂の表面に化学的に結合するようになる。そのため、前記板状ベーマイト粒子の配合効果が増大し、目的とする樹脂組成物の透明性を維持した状態で高い物性を呈することができるようになる。
以上説明したように、本発明によれば、透明性を保持しながら機械特性などの物性に優れる、樹脂組成物を提供することができるようになる。したがって、従来、強度の面から不可能であった自動車の有機ガラスとして用いることが出来る。その結果、従来の無機ガラスに比べ、大幅な軽量化に頁献することができる。
(板状アルミナ粒子)
本発明の板状アルミナ粒子は下記の一般式により表すことができる。
Al・nH
式中のnが0のときは酸化アルミニウムを示し、α、γ、δ、θアルミナである。式中のnが1のときはベーマイトを表す。また式中のnが1を越えて3未満である場合はベーマイトと非結晶構造のアルミナ水和物の混合物を示す。これは一般に疑ベーマイトと呼ばれている。さらに、nが3以上では非結晶構造のアルミナ水和物を示す。充填材としてアルミナ粒子はこれらのうちから選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする。特に、本発明の樹脂組成物の充填剤として好ましいアルミナ粒子は、安定性、製造の容易さからnが0のαアルミナかnが1のベーマイトが好ましい。
また、前記板状アルミナ粒子は4角形の板状を呈し、そのサイズは一辺の長さが20〜100nmであり、厚さが5〜10nmであり、アスペクト比が2〜20である。
さらに、前記板状アルミナ粒子は、粒子の大きさに応じて粒子内に厚さ4.5nm〜9.5nm、一辺の長さが18nm〜98nmの中空部を有することが好ましい。これによって、前記板状アルミナ粒子の比重を低減することができ、前記板状アルミナ粒子を充填材として樹脂中に含有させた場合に、得られた樹脂組成物の重量を比較的低く維持したまま、その機械的強度を向上させることができ、その高透明性を達成することができる。
また、以下に詳述する本発明の板状アルミナ粒子の製造方法によれば、その製造過程における加熱方法をいくつかの工程に分けることで、前記板状アルミナ粒子の平均厚さ、平均長辺、平均短辺の標準偏差が10%以内にすることができる。
(板状アルミナ粒子の製造方法)
次に、本発明の板状アルミナ粒子の製造方法について説明する。最初に、前記一般式において、n=1である板状ベーマイト粒子の製造方法について説明する。
<反応混合物の生成>
前記板状ベーマイト粒子を製造するに際しては、最初にアルミニウム金属塩水溶液中にアルカリ水溶液を添加し、得られた反応混合物中に水酸化アルミニウムのゲル状物質を生成する。
一方、前記反応混合物の濃度を変化させることによって、目的とするベーマイト粒子の形態を制御することができる。例えば、pH値が4に近くなるほど粒子長軸長さは長くなり、アスペクト比が増大して針状になる。また、pH値が8〜9の場合は、紡錘状、粒状、板状などの様々な形状を呈するようになる。さらに、pH値が9〜12の場合は、安定して板状を呈するようになる。さらにpH値が9〜12の範囲でこの板状の1辺長さも制御することができる。また、pH値が12を超えると、不定形の粒子となる。したがって、目的とする前記板状ベーマイト粒子を製造するに際しては、前記反応混合物のpH値を9〜12に設定する。
前記反応混合物のpH値は、添加するアルカリ水溶液の濃度、容量を変更することで制御することができる。
一方、前記アルミニウム金属塩水溶液と前記アルカリ水溶液との容量は等しいか、前記アルカリ水溶液が少ないことが好ましい。前記アルカリ水溶液の濃度が薄く、溶液の量が多すぎるとゲル化が難しくなる。前記アルミニウム金属塩の濃度と、前記アルミニウム金属塩及び前記アルカリ水溶液の容量を固定すれば、後の形態制御は前記アルカリ水溶液の濃度を変えれば良いだけとなるので、合成条件項目を少なくするために容量は等しいことがより好ましい。
なお、前記アルカリ水溶液は前記アルミニウム金属塩の加水分解を促進するために反応系に添加するものである。前記アルカリ水溶液を構成するアルカリ化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、及び水酸化バリウムなどから選ばれる少なくとも1種を例示することができる。特には、水酸化ナトリウムが好ましい。
なお、反応混合物中に副産物として、水に不溶な塩が生成するアルカリは適宜取り除く。
アルカリ化合物の使用量は、アルミニウム金属塩に対し、モル比で2.5〜4倍であることが好ましい。2.5倍未満では反応混合物のpH値が低くなりすぎて、そのpH値を9〜12の範囲に設定することが困難になり、4倍を超えるとpH値が高くなり過ぎて、反応混合物中に生じたゲルが溶けてしまい、癒着や凝集する粒子が増す場合がある。
また、アルミニウム金属塩水溶液の濃度が1.0M−3.0Mであり、アルカリ水溶液の濃度が4.0M−10.0Mであることが好ましい。これによって、アルミニウム金属塩水溶液とアルカリ水溶液との反応混合物中のゲル状物質の生成を簡易に実現できるようになる。なお、前記アルミニウム金属塩水溶液における金属塩の濃度としては、前述したように、1.0M〜3.0Mで行なうことが好ましいが、生産性からそれぞれのアルミニウム金属塩溶解度上限の濃度がより好ましい。
前記アルミニウム金属塩水溶液を構成するアルミニウム塩としては、塩化アルミニウム無水和物、塩化アルミニウム六水和物、臭化アルミニウム、臭化アルミニウム六水和物、ヨウ化アルミニウム、硝酸アルミニウム九水和物、乳酸アルミニウム、硫酸ナトリウムアルミニウム12水和物(ナトリウムミョウバン)、過塩素酸アルミニウム九水和物、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムs-ブトキシド、アルミニウムt-ブトキシドなどから選ばれる少なくとも1種類のアルミニウム金属塩が使用される。上記に挙げた中でも市場の入手のし易さ、取り扱いの容易さ、価格が安価な、塩化アルミニウム六水和物、硝酸アルミニウム九水和物、臭化アルミニウム六水和物、硫酸ナトリウムアルミニウム12水和物(ナトリウムミョウバン)、アルミニウムイソプロポキシドが好ましい。
以上のような工程を経ることにより、前記反応混合物中に前記ゲル状物質を生成することができる。この結果、以下に示す熱処理によるベーマイト粒子の成長過程において、成長過程にある板状ベーマイト粒子が前記ゲル状物質中で固定され、粒子同士の癒着や凝集が抑制されて、粒度分布幅が狭小化されたナノサイズレベルからサブナノサイズの板状ベーマイト粒子を得ることができるようになる。
なお、このようなゲル状物質を利用した粒子の成長方法は、一般にゲルゾル法と呼ばれている(T. Sugimoto, Monodispersed Particles, ELSEVER, Amsterdam, 2001.)。従来の水熱法では粒子成長中の粒子同士の癒着、凝集を防ぐために希薄溶液中で反応をさせなければならず、収量の面で不利であった。一方、本発明では、濃度を高め溶液をゲル化させるゲルゾル法を採用し、凝集や癒着を防いでいる。この結果、前記高濃度溶液の使用に起因して従来法に比べ優れた収量を得ることができる。
<熱処理>
次いで、本発明においては、上述したゲル状物質を含む反応混合物を生成した後、第1の熱処理から第4の熱処理を順次に行う。なお、以下の熱処理は、成長過程にある板状ベーマイト粒子がゲル状物質内に固定された状態で行われるため、極めて狭小化された粒度分布幅(標準偏差)を実現することができる。但し、以下に述べるように、熱処理条件を適宜変化させることにより、粒度分布(標準偏差)をある程度大きくすることができる。
第1の熱処理は、前記反応混合物を室温以上の第1の温度に加熱することによって行う。第1の熱処理は、主として、前記反応混合物内に生じた前記アルカリ金属塩の加水分解を促進し、前記反応混合物内における前記ゲル状物質の生成を促進させるためのものである。
前記第1の温度としては、室温(25℃)〜140℃で行なうことが好ましいが、反応時間を考慮すると120℃から140℃であることが好ましい。140℃を越える温度で第1の熱処理を行なうと、長さが不揃いの板状ベーマイト粒子が生成してしまい、以降の熱処理を施行しても本発明の目的とする大きさの板状ベーマイト粒子を得ることができない場合がある。なお、熱処理時間は24時間以上が好ましく、24時間未満では標準偏差の小さくなる効果が見られない。
第1の熱処理の後、第2の熱処理を行う。この第2の熱処理では、前記反応混合物を前記第1の熱処理における第1の温度よりも高い第2の温度に加熱することによって行う。この第2の熱処理は、主として高アスペクト比の板状ベーマイト粒子を得るために行う。
前記第2の温度は前記第1の温度よりも高い温度で行う必要があり、具体的には140℃〜250℃の温度で行なうことができるが、特には170℃〜250℃であることが好ましい。140℃未満であると粒子生成に時間がかかるばかりでなく、標準偏差が大きくなる(長さなどの大きさで規定される粒度分布の幅が増大してしまう)。また、250℃を超えるとアスペクト比の小さな粒子を製造するには有利であるが、市販の通常グレードのオートクレーブの耐熱、耐圧容器が250℃で限界を迎えること、250℃のために大量のエネルギーを必要とすることから本製造方法では250℃以上を推奨しない。
第2の熱処理における熱処理時間は、昇温段階を含め10〜30分以内が好ましく、前記第2の温度の値に依存して変化する。また、上記規定時間を越える加熱は目的とする板状ベーマイト粒子の大きさ(長さ及びアスペクト比など)などの分布幅(標準偏差)を悪化させてしまう場合がある。
第2の熱処理の後、第3の熱処理を行う。この第3の熱処理では、前記第2の熱処理における第2の温度よりも低い第3の温度で熱処理を行う。この第3の熱処理は、主として前記板状ベーマイト粒子の大きさ(長さ及びアスペクト比など)の分布幅(標準偏差)を狭小化するために行う。
前記第3の温度は、例えば130℃以下、好ましくは室温以下に設定する。そして、好ましくは前記第2の熱処理における前記第2の温度から急速に冷却して、前記第3の温度に設定する。この場合、冷却装置の費用、容器の耐温度差を考慮すると、前記熱処理を実施している容器を流水中に入れて行うことができる。なお、前記冷却に要する時間は短いほど好ましく、具体的には10分以内であることが好ましい。また、第3の熱処理時間は、前記冷却に要した時間も含め10分以上であることが好ましい。これによって、目的とする板状ベーマイト粒子の大きさの分布幅(標準偏差)をより狭小化することができるようになる。
前記第3の熱処理の後、第4の熱処理を行う。この第4の熱処理は、主として前記高アスペクト比のベーマイト粒子の成長を行う。
前記第4の温度は例えば100℃〜180度の温度範囲に設定することが好ましい。前記第4の温度が180℃よりも高いと、板状ベーマイト粒子の大きさの分布幅を拡大させ、標準偏差を悪化させるばかりでなく、板状ベーマイト粒子が粒状ベーマイト粒子に転換してしまう場合がある。さらに、アスペクト比を損失し、本発明で規定するアスペクト比を達成することができない場合がある。
詳しく述べると、第4の熱処理において、180℃以上の温度で熱処理を行なうと、生成していた粒子が再溶解、再結晶化(オストワルド熟成)し、粒子の形状、大きさの分布が制御不能になる場合があり、これによって前記板状ベーマイト粒子の大きさの分布幅を劣化させうとともに、粒状ベーマイトへの転換が生じてしまう場合がある。また、前記第4の温度が100℃未満であると収率が悪化する場合がある。処理時間は4時間〜1週間であり、設定温度に応じて加熱時間が相違する。
上記の熱処理後、前記反応生成物が入った容器を放冷し、遠心分離機を用いて生成したベーマイト粒子と溶液とを分離する。その後、副生成物の塩を除くために硝酸ナトリウム水溶液(0.5M)で遠心洗浄(3回)し、遠心水洗(1回)し、水メタノール混合溶液(体積比 水:メタノール=0.5:9.5)で遠心洗浄を1回行った後、乾燥させることにより、目的とする板状ベーマイト粒子を得る。
以上のような4段階の熱処理を行うことにより、一辺が20〜100nmの長さである4角形の平板形状を呈し、厚さが5〜10nmであって、アスペクト比(平均辺長さ/厚さ)が2〜20である板状ベーマイト粒子を得ることができる。また、これらの寸法特性値の標準偏差を10%以内に抑えることができる。したがって、前記板状ベーマイト粒子を所定の樹脂中に含有させ樹脂組成物を製造した際に、その物性のばらつきを減少させることができ、前記樹脂組成物から安定した品質の物品をつくることができる。
但し、粒子サイズのそろっていない板状ベーマイト粒子を製造することも当然に可能であり、この場合は、第1の熱処理の加熱温度を140℃以上とし、処理時間を3時間以上とし、さらに第2の熱処理から第4の熱処理を省略することによって実現することができる。この場合、前記寸法特性値の標準偏差は20%以上とすることができる。この場合、熱処理工程を少なくすることができるので、目的とする寸法特性値の板状ベーマイト粒子をより簡易に製造することができる。
<焼成処理>
次に、前記一般式において、n=0であるα、γ、δ、θアルミナ粒子の製造方法について説明する。
このようなアルミナ粒子の製造に際しては、上述した板状ベーマイト粒子の製造方法における反応混合物の生成及び熱処理を経た後、得られたベーマイト粒子に対して焼成処理を施す。前記焼成処理は、例えば450℃〜1500℃にて1〜3時間行う。例えば、上記の方法で得られた板状ベーマイト粒子をアルミナるつぼに入れ、1000℃で4時間熱処理をおこなうことによりαアルミナを得ることができる。この際、上記のベーマイト粒子に特徴的であった中空構造が熱応力により破壊されないようにするため、昇温、降温速度は2℃/分とすることが好ましい。前記αアルミナの粉末を透過型電子顕微鏡で観察することにより、各粒子は焼成処理前の形態をほぼそのまま保持しており、中空の針状粒子であることを確認することができる。
(樹脂組成物)
上述した板状アルミナ粒子は、充填材として樹脂中に含有させることができ、この結果、透明性を維持したまま機械特性などの諸物性に優れた本発明の樹脂組成物を得ることができる。
前記樹脂組成物の構成樹脂としては、例えば熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂を例示することができるが、これらに限定されるものではない。熱可塑性樹脂としてはポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブチレン樹脂などのポリオレフィン系樹脂や、無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂などのオレフィン系変性樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリスチレン、高衝撃ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、MBS樹脂などのスチレン系樹脂、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610などのポリアミド系樹脂、さらにはポリオキシメチレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリメチレンメタクリレート、熱可塑性ポリイミドを例示することができる。
熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、アルキッド樹脂、ポリイミド、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂などを例示することができる。
上述した樹脂は単独で用いることもできるが、2種以上を混合して用いることもできる。好ましくは安価な樹脂を補強するために、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂である。
とくに透明な樹脂組成物を得る場合、透明性樹脂としては、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、スチレン系樹脂、非品性オレフィン系樹脂などを挙げることができる。透明性、耐熱性、剛性の観点から、熱可塑性樹脂としてはポリカーボネート系、アクリル系、メタクリル系樹脂が好ましい。
また、前記板状アルミナ粒子の、前記構成樹脂に対する配合量は、要求特性(例えば、剛性、耐熱性及び耐熱膨張性など)が得られるような量であれば特に制限されないが、1〜50wt%であることが好ましく、さらには1〜30wt%であることが好ましい。前記板状アルミナ粒子の配合量が1wt%未満では、前記板状アルミナ粒子配合の効果が少なく、得られる樹脂組成物の剛性、耐熱性及び耐熱膨張性などの物性の向上がほとんど認められない場合がある。また、前記板状アルミナ粒子の配合量が50wt%を超えると、比重の増加が無視できなくなるばかりでなく、コスト面でも不利となり、樹脂組成物のコスト及び比重が増大してしまうという問題が生じる場合がある。また、前記アルミナ粒子の含有量の増大に伴い、樹脂組成物の粘度が増大し、成形性が悪くなる場合がある。
(樹脂組成物の製造方法)
<有機酸による処理>
前記樹脂組成物を製造するに際しては、最初に、上述のようにして得た本発明の板状アルミナ粒子を有機酸で処理する。この有機酸による処理は、後述するように所定の有機溶媒中に前記板状アルミナ粒子が均一に分散するように行うものである。前記有機酸は前記板状アルミナ粒子に化学結合を介して付着(結合)している。化学結合は、共有結合、配位結合、水素結合、静電気的な結合などである。
前記有機酸は前記有機溶媒中に前記板状アルミナ粒子が均一に分散するような量であればその処理量、すなわち付着量は特に限定されるものではない。しかしながら、最終的に得る樹脂組成物の全光線透過率が40%以上となるような割合で付着していることが好ましい。これによって、目的とする前記樹脂組成物の透明性を劣化させることなく、前記樹脂組成物中への前記板状アルミナ粒子配合による物性向上を実現することができる。
一方、前記板状アルミナ粒子1molに対し、前記有機酸が1mmol以上付着していることが好ましく、さらには10mmol以上付着していることが好ましい。前記有機酸の付着量が1mmol以下では、前記有機溶媒中に前記板状アルミナ粒子が均一分散できない場合がある。なお、前記有機酸の、前記板状アルミナ粒子に含まれる割合はTG-DTA、IR、NMRなどの装置を組み合わせて測定することができる。
アルミナ粒子のモル数は一般式より求める。たとえばαアルミナは一般式Alより分子量は101.96とする。ベーマイトの場合は例外的にAlO(OH)を分子量に適用して75.98を分子量とする。
前記有機酸としては、スルホン基、カルボキシル基、ヒドロキシル基を有する化合物であることが好ましい。りん酸類、アミノ酸類、ホウ酸類も用いることはできるが、酸性度が弱く、板状アルミナ粒子に付着(結合)しにくい。また、無機酸も用いることができるが酸性度が強く、板状アルミナ粒子の結晶構造を破壊し、粒子表面を溶かしてしまう場合がある。また、濃度の濃い酸は樹脂の重合阻害、触媒の失活、着色原因となるため好ましくない。よって、このような問題を生じることのない、前述したスルホン基、カルボキシル基、ヒドロキシル基を有する化合物である中程度の酸性度を有する有機酸が好ましい。特には、スルホン基を有する化合物であることが好ましい。このような化合物は単独の種類のものを用いることもできるが、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
特に好ましく用いることのできるスルホン酸基を有する化合物としては、ベンゼンスルホン酸、o-トルエンスルホン酸、m-トルエンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸メチル、p-トルエンスルホン酸ドデシル、o-ニトロベンゼンスルホン酸、m-ニトロベンゼンスルホン酸、p-フェノールスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、m-キシレンスルホン酸ナトリウム、ナフトールスルホン酸、o-アミノベンゼンスルホン酸、m-アミノベンゼンスルホン酸、o-クレゾールスルホン酸、ジメチルベンゼンスルホン酸、2,4-ジメチルベンゼンスルホン酸、2,4-ジニトロベンゼンスルホン酸、n-ドデシルベンゼンスルホン酸、1-プロパンスルホン酸、1-ブタンスルホン酸、1-ヘプタンスルホン酸、ポリ(2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸)、ポリ(2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸スチレン共重合体)PCオリゴマーの末端にスルホン酸基のついた化合物などが挙げられる。以下に例示することができる。しかしながら、例示されたものに限定されるものではない。
<アルミナ粒子分散溶液の作製>
上述のようにして有機酸処理した板状アルミナ粒子は、少量の水と共に有機溶媒に入れ、アルミナ粒子分散溶液を作製する。このとき入れる水の量はアルミナ粒子1molに対し、0.1mmol以上であることが好ましい。このとき得られる溶液は全光線透過率が40%以上の透明性のある、均一分散した溶液とすることができる。したがって、最終的に得る樹脂組成物の透明性を十分高く維持しておくことができる。なお、前記溶液の全光線透過率が40%未満では、樹脂組成物の粒子の分散性が不十分で、透明性の悪化、所望の物性の向上が望めない場合がある。
なお、前記アルミナ粒子分散溶液の全光線透過率は、前記板状アルミナ粒子の有機酸の種類や含有量、並びに前記アルミナ粒子分散溶液を作製する際に使用する有機溶媒の種類や量などを適宜に選択することによっても制御することができる。さらには前記アルミナ粒子分散溶液を作製する際の、水及び有機溶媒中の分散方法及び条件などを適宜に選択することによっても制御することができる。
前記板状アルミナ粒子を水中に分散させるに際しては、超音波、マイクロビーズミル及び高圧乳化の少なくとも一つの手段を用いて行うことが好ましい。このような手段を用いない場合は、後に前記有機酸を添加させた場合に、その導入率(化学結合率)が不十分となり、前記アルミナ粒子分散溶液中における前記板状アルミナ粒子の分散性を向上させることができない場合がある。
前記超音波による前記板状アルミナ粒子の分散は、前記板状アルミナ粒子及び前記水を所定の超音波分散装置内に入れ、この装置を通常の手順に従って駆動させることにより行う。また、前記マイクロビーズミルによる前記板状アルミナ粒子の分散は、前記板状アルミナ粒子及び前記水を所定のマイクロビーズミル分散装置内に入れ、この装置を通常の手順に従って駆動させることにより行う。さらに、前記高圧乳化による前記板状アルミナ粒子の分散は、前記ベーマイト粒子及び前記水を所定の高圧乳化装置内に入れ、この装置を通常の手順に従って駆動させることにより行う。
なお、高圧乳化とは、具体的には、板状アルミナ粒子などの入った水溶液をポンプで加圧し、パルプシートとバルブの狭い間隔を超音速域の流速で通過させることにより、パルプシートのエッジ部でキャビテーション(空洞化現象)を発生させ、その空洞の崩壊に伴って局部的に商い圧力差が引き起こされ、液中の凝集状態にある粒子を引き裂き(ひきはがす)、凝集を1次粒子の状態まで再分散する操作を言う。
また、前記有機溶媒としては、後の重合過程において、製造されるべき樹脂を溶解することが可能で、溶解した樹脂組成物と有機酸処理した前記板状アルミナ粒子とが均一に混合可能なものであれば特に限定されない。具体的には、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、1,2ジクロロエタン、クロロホルム、1,1,2,2,テトラクロロエタン、四塩化炭素、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、イソプロピルアルコールなどが例示することができる。これらの有機溶媒は単独あるいは混合物で用いても良い。特に好ましいのはテトラヒドロフランとクロロホルムである。
<重合>
次いで、上述のようにして得たアルミナ粒子分散溶液を樹脂組成物の樹脂モノマーとともに、所定の反応容器に入れ、この反応容器内を前記樹脂の重合に適した雰囲気及び温度に設定して重合を行い、目的とする樹脂組成物を得る。このように、重合段階で樹脂モノマー中に充填材の原料物を配合した後に重合を行う方法を、一般に内添重合法と言う。
例えば、ポリカーボネート系樹脂組成物は、2価以上のフェノール化合物及びホスゲンの縮合反応を利用した、いわゆるホスゲン法、並びに炭酸ジエステル及びヒドロキシ化合物のエステル交換反応を利用した、いわゆるエステル交換法によって製造することができる。したがって、前記ポリカーボネート系樹脂組成物を上記内添重合法により製造する場合は、上述したフェノール化合物などのモノマーと前記アルミナ分散溶液とを混合して重合を行う。
2価以上のフェノール化合物としては、2,2-ビス(4-ヒドロキシジフェニル)プロパン(通称:ビスフェノールA)、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メタン、1-フェニル-1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、4,4’-ジヒドロキシべンゾフェノンが好ましく、より好ましくは2,2-ビス(4-ヒドロキシジフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサンである。これらの2価フェノール等はそれぞれ単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
前記フェノール化合物に対しては、ホスゲンを組み合わせるが、これ以外のジハロゲン化カルボニルを用いることも可能で、本発明で得られる効果を何ら阻害するものではない。
エステル交換法に用いる炭酸ジエステル化合物としては、ジフェニルカーボネートなどのジアリールカーボネートや、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどのジアルキルカーボネートが挙げられる。ヒドロキシ化合物としてはフェノール、P-クレゾール、p-t-ブチルフェノール、p-t−オクチルフェノール、p-クミルフェノール、ブロモフェノール、トリブロモフェノール、及びノニルフェノールなどが挙げられる。
また、メタクリル樹脂系もしくはアクリル樹脂系樹脂組成物内に前記板状アルミナ粒子を配合させる場合には、これら樹脂組成物の構成樹脂の樹脂モノマーと前記アルミナ分散溶液とを混合して重合を行う。
これらメタクリル樹脂系及びアクリル樹脂系モノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n-アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ペンジル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル類が挙げられる。これらモノマーは、1種単独または2種類以上を混合して用いてもよいが、透明性、剛性、硬度等のバランスからメチルメタクリレートが主成分であることが好ましい。より好ましくは、上記不飽和単量体と共重合しうるもう一方の単量体全量に対してメチルメタクリレートが70質量%以上である。
<混練>
上述した内添重合法を用いる代わりに、汎用の混練法を用いて目的とする樹脂組成物を得ることもできる。この場合は、上述したアルミナ粒子分散溶液と目的とする樹脂組成物の構成樹脂とを一軸または二軸混練機に入れて溶融混練した後、ペレット化して、熱プレス、射出成型などで成形する。この方法は極めて汎用の方法である。しかしながら、より透明性に優れた樹脂組成物を得たい場合は、上述した内添重合法によることが好ましい。
以下、実施例および比較例により本発明の実施の形態を詳細に説明する。本発明はこれらに限定されるものではない。なお、本発明において採用した分析方法および分析機器は下記の通りである。
(1)樹脂添加前の粒子の形状確認
透過型電子顕微鏡(TEM)にて、粒子形状を観察した。
<観察方法(粒子形状)>
試料を純水(2段蒸留水)にて希釈後、超音波洗浄器にて15分間かけた。その後銅メッシュ上の親水処理済カーボン被覆コロジオン膜に試料を塗布し、乾燥させて観察試料を準備した。また、透過型電子顕微鏡における前記試料の電子顕微鏡像は、120KV、70mA、10万倍にて撮影して、観察した。
・TEM用銅メッシュ:マイクログリット150−メッシュ、カーボン補強済み(応研商
事株式会社)
・透過型電子顕微鏡:JEOL JEM-1200EXII(日本電子株式会社)
<観察方法(粒子長さ及び厚さ)>
透過型電子顕微鏡にて撮影した写真を市販のスキャナーで電子データとして取り込み、市販のパソコン上で長さを測るソフトを用いて粒子の長さを測定した。なお、厚さ、一辺の長さは、それぞれ無作為に100個の試料を選び、測定した。
・ソフト名:Scion Image for Windows(登録商標) Scion corp.
(2)アルミナの同定
粉末X線回折装置を用いて観察した。
<観察方法>
試料を測定用無反射板に圧粉することにより、これを観察試料とし、X線解析装置にて測定、アルミナのJCPDS(Joint Committee on Powder Diffraction Standards)と比較することにより同定した。
・X線解析装置:RINT−2000(理学電機)
(3)粒子に含まれる有機酸の量
TG−DTA,IRを用いて観察した。
・TG−DTA:TG−DTA320セイコーインスツルメンツ
<観察条件>
・ 測定温度:室温〜900℃、昇温速度10℃/分
・ NMR:JNMLA−400(日本電子株式会社)で H,13Cを測定した。測定溶はCDC1を使用した。
・GC−MASS:JMS−600(日本電子株式会社)
(4)機械的物性、光学的物性測定、粒子分散具合の評価
得られたペレットもしくは塊を汎用の射出成形機を用いて、試験片に成形し、曲げ強さと曲げ弾性率、線膨張係数およびTEM測定による分散の度合いを測定した。透明樹脂(ポリカーボネートコンポジット、アクリルコンポジット)に関しては、はさらに汎用過熱プレス機を用いて厚さ2mmの試験片フィルムを成形し、得られたフィルムについて全光線透過率の測定を行い、透明性の評価を行った。
(i)曲げ強度・弾性率は、オートグラフ(島津製作所(株)製DSC−10T)で計測した。
(ii)線形膨張係数は、熱機械測定装置(セイコー電子工業(株)製TMA120C)で計測した。
(iii)全光線透過率は、ヘイズメーター(村上色彩研究所製HM−65)で計測した。
(iv)分散の度合いは、TEM測定により均一性が著しく良好なものを◎とし、均一性がほぼ良好であるものを○とし、均一性が若干不十分なものを△とし、均一性が不十分なものを×で評価した
(5)板状アルミナ粒子の製造
A.一辺27nmの板状アルミナ粒子(ベーマイト)
機械攪拌機を備えたテフロン(登録商標)製ビーカーに塩化アルミニウム六水和物(2.0M,20ml,25℃)を入れ、攪拌(700rpm)しながら水酸化ナトリウム(5.85M,20ml,25℃)を約6分かけて滴下した。滴下終了後さらに10分間攪拌を続け、攪拌終了後、溶液のpHを測定した(pH=11.48)。溶液を10mlずつテフロン(登録商標)ライナーを備えたオートクレーブに分け、オーブンで120℃、24時間経時させた(第1の熱処理)。第1の熱処理の終了後、前記オートクレーブをオイルバスヘ移し、180℃、20分間加熱した(第2の熱処理)。第2の熱処理終了後、前記オートクレーブを40秒以内に流水へ入れ、急速冷却(約10℃)をした(第3の熱処理)。第3の熱処理は1時間続けた。
第3の熱処理終了後、前記オートクレーブを再びオーブンヘ入れ140℃で、1週間加熱を続けた(第4の熱処理)。その後、前記オートクレーブを流水で冷やし、遠心分離(18000rpm,30min)で上澄み除去後、硝酸ナトリウム水溶液(0.5M)で遠心洗浄3回、遠心水洗1回、水メタノール混合溶液(体積比 水:メタノール、0.5:9.5)遠心洗浄を1回行った。その後、凍結乾燥機を用いて乾燥させることにより無色結晶を得た。
なお、前記無色結晶はX線回折の結果ベーマイトであることが判明した。また、前記結晶の大きさを調べたところ、一辺が27±3nm、厚さが6.1±0.5nm、アスペクト比が約4〜5の板状結晶であることが判明した(図1参照)。また、前記結晶の断面を観察すると中空構造であることが判明した。前記ベーマイト粒子の断面のTEM像を図2に示す。
B.一辺35nmの板状アルミナ粒子(ベーマイト)
5.85Mの水酸化ナトリウムに代えて5.40Mの水酸化ナトリウムを用いた以外は、上記(A)と同様に溶液を作製し、熱処理及びその他の洗浄処理などを実施した。なお、前記溶液のpH値は9.92であった。また、得られた無色結晶はベーマイトであり、一辺が35±4nm、厚さが7.4±0.6nm、アスペクト比が約4〜6の板状結晶だった(図3)。また、断面を観察すると同様に中空構造を有していた。
C.一辺27nmの板状アルミナ粒子(αアルミナ)
上記(A)で得られた粒子をアルミナるつぼに入れ、1000℃で4時間熱処理を行うことにより白色の粉末粒子を得た。この際、上記のベーマイト粒子に特徴的であった中空構造が熱応力により破壊されないようにするため、昇温、降温速度は2℃/分とした。X繰回折を用いて結晶相の同定を行ったところ、前記粉末粒子はα−アルミナであることが判明した。また、熱処理時における粉末粒子の重量減少を調べた結果、この反応における収率は、ほぼ100%であった。さらに、前記熱処理後の前記粉末粒子のTEM観察を行った結果、前記粉末粒子は熱処理前の形態をほぼそのまま保持しており、中空の板状粒子であることが判明した。また、一辺が27±3nm、厚さが6.1±0.7nm、アスペクト比が約4〜5の板状結晶であることが判明した。
D.一辺35nmの板状アルミナ粒子(αアルミナ)
上記(A)で得た粒子に代えて、上記(B)で得た粒子を用いた以外は、上記(C)と同様にして焼成処理を行い、白色の粉末粒子を得た。なお、収率はほぼ100%であり、TEM観察を行った結果、前記粉末粒子は熱処理前の形態をほぼそのまま保持しており、中空の板状粒子であることが判明した。また、一辺が35±4nm、厚さが7.4±0.6nm、アスペクト比が約4〜6の板状結晶であることが判明した。
(6)アルミナ粒子分散溶液の作製
E.一辺27nmの板状アルミナ粒子(ベーマイト)の分散溶液の作製
上記(A)で得た板状ベーマイト粒子3.0gを約100gの水に入れよく攪拌した後、超音波分散機に20分間かけた。その後、得られた溶液を高圧乳化装置に入れ、50MPaの圧力で処理した。このときの全光線透過率を測ると20%だった。高圧乳化処理終了後、バラトルエンスルホン酸1水和物を3.3g入れてよく攪拌した後、超音波分散機に40分間かけた。その後、溶液を遠心分離機にかけ18000回転30分間実施した。その後、上澄みを捨て、沈殿物を室温下風乾した。次いで、乾燥して得られた粉末をTHFに溶かし、さらに水をビュレットから適量加えた。次いで、得られた溶液に超音波分散を80分間施し、さらに高圧乳化装置で50MPaの圧力で処理することにより、ほぼ定量的にTHFに分散した有機酸を含む板状ベーマイト粒子分散溶液を得ることができた。
前記分散溶液の全光線透過率は60%だった。また、前記分散溶液を濃縮、乾燥し、TG-DTAを用いて粒子上のパラトルエンスルホン酸の量を確認すると、ベーマイト粒子の1molに対し、前記パラトルエンスルホン酸が20mmol付着していることが確認された。また、IR測定、GC-MASS測定、NMR測定では前記パラトルエンスルホン酸のシグナルを確認できた。
F.一辺35nmの板状アルミナ粒子(ベーマイト)の分散溶液の作製
上記(B)で得た板状ベーマイト粒子3.1gを約100gの水に入れよく攪拌した後、超音波分散機に20分間かけた。その後、得られた溶液を高圧乳化装置に入れ、50MPaの圧力で処理した。このときの全光線透過率を測ると15%だった。高圧乳化処理終了後、バラトルエンスルホン酸1水和物を3.3g入れ、よく攪拌した後、超音波分散機を40分間かけた。その後、溶液を遠心分離機にかけ18000回転30分間行なった。上澄みを捨て、沈殿物を室温下風乾した。次いで、乾燥して得られた粉末をTHFに溶かし、さらに水をビュレットから適量加えた。次いで、得られた溶液に超音波分散を80分間施し、高圧乳化装置で50MPaの圧力で処理することにより、ほぼ定量的にTHFに分散した有機酸を含むベーマイト粒子分散溶液を得ることができた。
前記分散溶液の全光線透過率は55%だった。また分散液を濃縮、乾燥し、TG-DTAを用いて粒子上のバラトルエンスルホン酸の量を確認すると、ベーマイト粒子1molに対し、バラトルエンスルホン酸が15mmolついていることが確認できた。また、IR測定、GC-MASS測定、NMR測定においてパラトルエンスルホン酸のシグナルを確認できた。
(7)樹脂組成物の製造
(実施例1)
ブレンダーを用いてポリプロピレン(サンアロマー株式会社製PM801A)90重量部、(A)で得た板状ベーマイト粒子l0重量部をよく混ぜ、2軸混練機で溶融混合してペレットを得た。得られたペレットを射出成型し、物性評価用の試験片を作製した。
(実施例2〜4)
(A)で得た板状ベーマイトに代えて、上記(B)(C)(D)で得た板状アルミナ粒子(一部ベーマイト粒子)を用い、実施例1と同様にして試験片を作製した。
(実施例5)
2軸混練機((株)日本製鋼所製TEX30XSST改造機)を用いて、まず10Kg/hの混練速度でポリプロピレン樹脂を溶融混練し、シリンダ途中からプランジャポンプを用いて、アルミナ粒子の添加量が10wt%となるよう調整して、上記(E)で得たアルミナ粒子分散溶液を添加し、溶融混練してペレットを得た。得られたペレットを射出成型し、物性評価用の試験片を得た。
(実施例6)
上記(E)で得たアルミナ粒子分散溶液に代えて、上記(F)で得たアルミナ粒子分散溶液を用いた以外は、実施例5と同様にして試験片を得た。
(実施例7)
ポリプロピレン樹脂に代えてナイロン6を用いた以外は、実施例5と同様にして試験片を得た。
(実施例8)
ポリプロピレン樹脂に代えてナイロン6を用いた以外は、実施例6と同様にして試験片を得た。
(実施例9)
ブレンダーを用いてポリカーボネート樹脂(三菱化学エンジニアリングプラスチックス株式会社製、ノバレックス7030A)90重量部、上記(A)で得た板状ベーマイト粒子l0重量部をよく混ぜ、2軸混練機で溶融混合してペレットを得た。得られたペレットを射出成型し、物性評価用の試験片を得ると共に、得られたペレットを熱プレスすることにより、光学特性を含む物性評価用の試験片を作製した。
(実施例10〜12)
(A)で得た板状ベーマイトに代えて、上記(B)(C)(D)で得た板状アルミナ粒子(一部ベーマイト粒子)を用い、実施例9と同様にして試験片を作製した。
(実施例13)
減圧装置、機械攪拌機、還流器を備えた反応容器に、上記(E)で得たアルミナ粒子分散溶液(板状アルミナ粒子の含有割合4.55wt%)250g、ビスフェノールA50.4g(221mmol)、ジフェニルカーボネート49.6g(232mmol)、溶媒であるTHFを適量加え、1時間攪拌した。次いで、減圧ラインを用いて、系内を徐々に減圧にすることにより溶媒であるTHFを留去し、この後さらに温度を上げ、160℃前後で20分予備加熱を行い、ジアリールカーボネート化合物とビスフェノール類との縮合反応を開始した。
次いで、反応系を230℃まで30分かけて昇温し、この温度にて、約150分間、15mmHg以下の減圧度で攪拌しながら縮合を進行させた。次いで、前記反応系を250℃まで30分かけて昇温し、この温度にて、約30分間、10mmHg以下の減圧度にて攪拌することにより、未反応のオリゴマー成分を低減させ、最後に、減圧度を保持したまま260℃〜290℃の範囲で20分間熟成を行ってポリカーボネート樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を乾燥して粒状にし、射出成型して物性評価用の樹脂組成物を得た。さらに過熱プレス成形して光学特性評価用の試験片を得た。
(実施例14)
上記(E)で得たアルミナ粒子分散溶液に代えて、上記(F)で得たアルミナ粒子分散溶液を用いた以外は、実施例13と同様にして試験片を作製した。
(実施例15)
減圧装置、機械攪拌機、還流器を備えた反応容器に、上記(E)で得たアルミナ粒子分散溶液(板状アルミナ粒子の含有割合4.60wt%)250g、ポリカーボネート樹脂(三菱化学エンジニアリング製ノバレックス7030A)104g、シクロヘキサノンを追加溶媒として加え、攪拌した。次いで、減圧ラインを用いて、系内を徐々に減圧にすることにより溶媒であるTHFを留去し、この後さらに温度を上げ完全に溶媒を除いてポリカーボネート樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を乾燥して粒状にし、射出成型して物性評価用の樹脂組成物を得た。さらに過熱プレス成形して光学特性評価用の試験片を得た。
(実施例16)
上記(E)で得たアルミナ粒子分散溶液に代えて、上記(F)で得たアルミナ粒子分散溶液を用いた以外は、実施例15と同様にして試験片を作製した。
(実施例17)
不活性ガス気流下、フラスコに溶媒のTHF500ml、メタクリル酸メチル78g、アクリル酸25g、重合開始剤AIBINを0.5mol%添加した。その溶液を80℃に加熱して、攪拌しながら上記(E)で得たアルミナ粒子分散溶液(板状アルミナ粒子の含有割合4.55wt%)220g加え、20時間そのまま攪拌しながら80℃の温度を保ち続けた。反応終了後、室温に戻し、過剰のn-ヘキサンを加えてポリマーを沈殿させ、濾別してメタクリル酸系樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を乾燥して粒状にし、射出成型して物性評価用の試験片を得た。さらに過熱プレス成形して光学特性評価用の試験片を得た。
(実施例18)
上記(E)で得たアルミナ粒子分散溶液に代えて、上記(F)で得たアルミナ粒子分散溶液を用いた以外は、実施例15と同様にして試験片を作製した。
(比較例1)
Na-モンモリロナイト(クニミネ工業製、クニピアF)20gを80℃の水1000mlに超音波分散を30分かけて分散させた。得られた溶液に対してステアリルアミン7gを十分攪拌させながらゆっくり加えた。その後、得られた溶液を遠心分離機を用いて蒸留水で3回洗浄し、水に分散させることにより、ステアリルアンモニウムで有機化された水分散モンモリロナイト(5重量%)を得ることができた。
次いで、2軸混練機((株)日本製鋼所製TEX30XSST改造機)を用いて10Kg/hの混練速度でマレイン酸変性ポリプロピレン樹脂(日本ポリオレフィン製アドテックスER320P)を溶融混練し、シリンダ途中からプランジャポンプを用いて、添加量が10質量%となるように上記の水分散モンモリロナイトを添加し、溶融混練してペレットを得た。得られたペレットを射出成型し、物性評価用の試験片を得た。
(比較例2)
比較例1と同様の方法で得られたステアリルアンモニウムで有機化された水分散モンモリロナイト(5重量%)230gに200gのエチレングリコールを加え、減圧装置、機械攪拌機、還流器を備えた反応容器に、ビスフェノールA50.4g(221mmol),ジフェニルカーボネート49.6g(232mmol)と共に加え、1時間攪拌した。次いで、減圧ラインを用いて、系内を徐々に減圧にすることにより、温度をかけながら水とエチレングリコールを留去し、この後さらに温度を上げ、160℃前後で20分予備加熱を行い、ジアリールカーボネート化合物とビスフェノール類の縮合反応を開始した。
次いで、反応系を230℃まで30分かけて昇温し、この温度にて、約150分間、15mmHg以下の減圧度で攪拌しながら縮合を進行させた。さらに反応系を250℃まで30分かけて昇温し、この温度にて、約30分間、10mmHg以下の減圧度にて攪拌することにより、未反応のオリゴマー成分を低減させ、最後に、減圧度を保持したまま260℃〜290℃の範囲で20分間熟成を行ってポリカーボネート樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を乾燥して粒状にし、射出成型して物性評価用の樹脂組成物を得た。さらに過熱プレス成形して光学特性評価用の試験片を得た。
(比較例3)
減圧装置、機械攪拌機、還流器を備えた反応容器に、比較例1と同様の方法で得られたステアリルアンモニウムで有機化された水分散モンモリロナイト(5wt%)200g、シクロヘキサノン200g、及びポリカーボネート樹脂(三菱化学エンジニアリング製ノバレックス7030A)90gを入れ、攪拌した。次いで、減圧ラインを用いて、系内を徐々に減圧にすることにより溶媒であるTHFを留去し、この後さらに温度を上げ完全に溶媒を除いてポリカーボネート樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を乾燥して粒状にし、射出成型して物性評価用の樹脂組成物を得た。さらに過熱プレス成形して光学特性評価用の試験片を得た。
(参考例1)
ポリプロピレン(サンアロマー株式会社製PM801A)を2軸混練機((株)日本製鋼所製TEX30XSST改造機)を用いて溶融混合し、ペレット化したものを、射出成形と熱プレス機を用いて試験片を作り、物性を評価した。
(参考例2)
ナイロン6(宇部興産株式会社製、ウベナイロン1011FB)を2軸混練機((株)日本製鋼所製TEX30XSST改造機)を用いて溶融混合し、ペレット化したものを、射出成形と熱プレス機を用いて試験片を作り、物性を評価した。
(参考例3)
ポリカーボネート樹脂(三菱化学エンジニアリングプラスチックス株式会社製、ノバレックス7030A)を2軸混練機((株)日本製鋼所製TEX30XSST改造機)を用いて溶融混合し、ペレット化したものを、射出成形と熱プレス機を用いて試験片を作り、物性を評価した。
(参考例4)
アクリル樹脂(三菱レイヨン株式会社製、アクリペットV瓦L40)を2軸混練機((株)日本製鋼所製TEX30XSST改造機)を用いて溶融混合し、ペレット化したものを、射出成形と熱プレス機を用いて試験片を作り、物性を評価した。
(8)物性評価
上述のようにして得た試験片に対し、(4)に示した評価方法により、機械的特性、光学的特性、及び粒子の分散性などについて試験を行い、評価した。評価結果を表1〜3に示す。
表1〜3から明らかなように、本発明の製造方法に従って、本発明の板状アルミナ粒子を含有した本発明の樹脂組成物は、光線透過率、並びに曲げ強度及び曲げ弾性率に優れ、透明性及び機械的強度共に優れていることが分かる。また、線膨張係数も低く、熱的安定性にも優れることが分かる。また、板状アルミナ粒子の分散性も十分に良好であることが分かる。
以上、具体例を挙げながら本発明を詳細に説明してきたが、本発明は上記内容に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいてあらゆる変形や変更が可能である。
例えば、本発明の樹脂組成物は、必要に応じて、さらには本発明の効果を損なわない範囲で公知の各種添加剤をその目的に応じて樹脂の中に同時に添加しても良い。具体的には、離型剤、滑剤、分散剤、結晶核剤、酸化防止剤、着色防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、難燃剤、難燃助剤、導電付与剤、帯電防止剤、顔料、染料、抗菌剤、防臭剤等を、単独あるいは2種以上を組み合わせて添加することができる。
本発明の板状ベーマイト粒子の一例における電子顕微鏡写真である。 図1に示す板状ベーマイト粒子の断面電子顕微鏡写真である。 本発明の板状ベーマイト粒子の他の例における電子顕微鏡写真である。

Claims (8)

  1. 一辺が20〜100nmの長さである4角形の平板形状を呈し、厚さが5〜10nmであって、アスペクト比(平均辺長さ/厚さ)が2〜20であり、
    Al・nH
    なる一般式で表される板状アルミナ粒子を含むことを特徴とする、樹脂組成物。
  2. 前記板状アルミナ粒子は、内部に中空部を有することを特徴とする、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記一般式においてn=0であり、前記板状アルミナ粒子がαアルミナであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記一般式においてn=1であり、前記板状アルミナ粒子がベーマイトであることを特徴とする、請求項1又は2に記載樹脂組成物。
  5. 前記板状アルミナ粒子の配合量が1〜50wt%であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一に記載の樹脂組成物。
  6. 前記樹脂組成物は、ポリカーボネート系、アクリル系、及びメタクリル系樹脂から選ばれる少なくとも一種の熱可塑性樹脂を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一に記載の樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか一に記載の樹脂組成物の製造方法であって、
    前記板状アルミナ粒子を有機酸で処理する工程と、
    前記処理後、前記板状アルミナ粒子を水及び有機溶媒中に分散させて、アルミナ粒子分散溶液を作製する工程と、
    前記樹脂組成物の樹脂モノマーに、前記アルミナ粒子分散溶液を添加し、重合する工程と、
    を具えることを特徴とする、樹脂組成物の製造方法。
  8. 請求項1〜6のいずれか一に記載の樹脂組成物の製造方法であって、
    前記板状アルミナ粒子を有機酸で処理する工程と、
    前記処理後、前記板状アルミナ粒子を水及び有機溶媒中に分散させて、アルミナ粒子分散溶液を作製する工程と、
    前記樹脂組成物を構成する樹脂と前記アルミナ粒子分散溶液とを混練する工程と、
    を具えることを特徴とする、樹脂組成物の製造方法。
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