JP5635650B2 - アルミナ微粒子及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、粒子形態が微細で均一であり、凝集がなく分散性に優れたアルミナ微粒子及びその製造方法に関する。本発明のアルミナ微粒子は、研磨剤用粒子、トナー外添剤用粒子、塗料用顔料、ゴム・プラスチック用フィラー、透光材料・IC基板等のセラミックス原料、AlN用前駆体、吸着剤、触媒担体等の材料として好適に使用することができる。
従来、ベーマイト及びアルミナは、耐食性、電気絶縁性、熱伝導性、機械的強度等の種々の物性に優れ、研磨剤用粒子、トナー外添剤用粒子、塗料用顔料、ゴム・プラスチック用フィラー、セラミックス原料等の様々な用途に利用されてきた。その用途に合せてベーマイト粒子及びアルミナ粒子に求められている特性は異なるが、微粒子化、均一性、高分散性はどの用途でも特性向上に必要な要素である。
これまで、上記用途のベーマイト粒子及びアルミナ粒子を製造する方法として、様々なベーマイト粒子及びアルミナ粒子の製造方法が提案されている。
一般的なアルミナ粒子の製造方法としては、バイヤー法等で得られた水酸化アルミニウム、又は水酸化アルミニウム等を低温で仮焼することで得られた遷移アルミナ(γ−Al23、δ−Al23、θ−Al23等) を、粉砕・分級等により粒度調整を行った後、焼成することにより、アルミナ粒子を得る方法が挙げられる(例えば特許文献1〜4参照)。また、その焼成時の雰囲気ガスとして、焼成温度の低温化を目的に塩化水素、塩素ガス及び水蒸気の混合ガスを用いたり(例えば特許文献5〜7参照)、平均粒径が100nm以下のα−アルミナ粒子を得るために、水素ガスを用いたりしている(例えば特許文献8参照)。しかし、これらの方法では、微粒子化するために粉砕処理を必要とし、また得られるアルミナの粒子形態が不均一で粒度分布も広い。分級処理により粒度分布を狭くすることはできるが、目標の粒子サイズを微細にすれば歩留も悪化する。
粉砕処理なしでアルミナ微粒子を得る製造方法として、アンモニウムドーソナイト[NH4AlCO3(OH)2]熱分解法が知られている(例えば特許文献9参照)。この方法は、一次粒子径が100nm程度で高純度のアルミナ微粒子が得られ、セラミックス原料用として使用した場合では低温焼結化が可能である。しかしながら、研磨剤用粒子、トナー外添剤用粒子、塗料用顔料、ゴム・プラスチック用フィラーには高分散性が求められており、この方法で得られるアルミナ微粒子は、凝集粒子であるため、単分散が困難である。また、アルコキシド法、ゾルゲル法を利用した製造方法も、上記方法と同様に、得られるアルミナ微粒子が凝集しやすい。
分散性の良好なアルミナ粒子を得る方法として、水酸化アルミニウム、アルミナ水和物、アルミナの焼成時にフッ素鉱化剤、ハロゲン化合物、ホウ素化合物を添加して球状粒子を得る方法がある(例えば特許文献10及び11参照)。しかしながら、この方法は、焼成過程の改良だけであり、粒子サイズが1μm以下の均一な微粒子を得るのは困難である。また、その他の球状アルミナ粒子の製造方法として、表面が平滑な真球に近い粒子が得られる噴霧熱分解法、噴霧乾燥法が提案されている(例えば特許文献12及び13参照)。これらの方法は、スプレードライヤ等を用いて、Al含有スラリーを噴霧して液滴化し、乾燥あるいは燃焼することで球状アルミナを得るものである。しかしながら、これらの方法は、球状粒子が得られるものの、液相合成法等と比較して粒度分布が広くなり、粒度分布の狭い粒子を得るためには分級工程等が必要となる。また、特許文献12では、噴霧スラリーとしてアルミニウム含有化合物を含有した可燃性液体(灯油、軽油、アルコール)を用いて噴霧した液滴を燃焼させており、可燃性液体を燃焼させるため作業上に爆発等の危険を伴う。特許文献13では、噴霧スラリーとして硫酸アルミニウムと尿素の酸性水溶液を使用しており、尿素の加水分解によるアンモニアの発生、装置(アトマイザー等)の耐酸性等の対策が必要となる。
上記のアルミナ粒子の製造方法と比較して、粒子形態が均一で、粒度分布が狭いベーマイト微粒子及びアルミナ微粒子の製造方法として、水熱反応法が知られている。この水熱反応法は、バイヤー法等により得られた水酸化アルミニウムを粉砕により粒度調整し、結晶制御剤(NaOH等)を添加して水熱反応させたり(例えば特許文献14及び15参照)、アルミニウム塩水溶液とアルカリ水溶液によりアルミニウムの水酸化物あるいは水和物を水熱反応させたり(例えば特許文献16〜18参照)して、ベーマイト微粒子を得、また得られたベーマイト微粒子を高温で焼成してアルミナ微粒子にする方法である。しかしながら、この方法で得られるベーマイト微粒子及びアルミナ微粒子の粒子形態は、アスペクト比(=粒子径/粒子の厚さ)の高い四角形又は六角形の板状粒子であり、低温の水熱条件で反応させるため、200nm以下の微粒子では凝集がひどく、分散が困難である。また、粒子形態が多面体形状のアルミナ粒子が提案されている(例えば特許文献19及び20参照)が、平均一次粒子径が5μm以上であり、5μm以下の微粒子が得られていない。
このように、従来のベーマイト粒子及びアルミナ粒子の製造方法では、粒子の微粒子化、均一性、高分散性を同時に実現するという課題が残されている。
特開2001−62705号公報 特許第3296091号公報 特開平7−101723号公報 特開平6−171931号公報 特開平7−206432号公報 特開平6−191835号公報 特許第3440498号公報 特許第3823610号公報 特許第1065950号公報 特許第3087403号公報 特許第2611601号公報 特開平11−147711号公報 特開平5−270819号公報 特許第3759208号公報 特許第2790951号公報 特開2004−51390号公報 特開平11−268911号公報 特開2006−143487号公報 特開2001−302235号公報 特開2001−302236号公報
本発明は、上記のような事情に鑑みなされたものであり、研磨剤用粒子、トナー外添剤用粒子、塗料用顔料、ゴム・プラスチック用フィラー、透光材料・IC基板等のセラミックス原料、AlN用前駆体、吸着剤、触媒担体等の様々な用途に適した、粒子形態が微細で均一であり、凝集がなく分散性に優れたアルミナ微粒子及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を進めた結果、水熱反応時の水酸化アルミニウム含有水溶液において、アルミニウム(以下、Alとも表記する)、アルカリ及び有機化合物の含有量を特定量とすることにより得られる、特定の平均粒子径、及び特定の有機化合物被覆量を有するアルミナ微粒子が、粒子径の制御が可能であり、凝集がなく分散性に優れ、粒子形態が均一であり、特に研磨剤用粒子、トナー外添剤用粒子、塗料用顔料、ゴム・プラスチック用フィラー、透光材料・IC基板等のセラミックス原料、AlN用前駆体、吸着剤、触媒担体等として使用する場合、粒子の微粒子化、均一性、高分散性等の該用途に要求される性能を有することを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、粒度分布のメジアン径が0.05〜1.0μm、粒度分布の変動係数が45.0%以下、比表面積が1.0〜150.0m2/g、アスペクト比が3.0以下の板状であるアルミナ微粒子、好ましくは、粒度分布のメジアン径が0.05〜1.0μm、粒度分布の変動係数が45.0%以下、比表面積が1.0〜150.0m2/g、アスペクト比が3.0以下の板状であって、炭素量が0.01〜2.0重量%であるアルミナ微粒子を提供するものである。
また、本発明は、上記の本発明のアルミナ微粒子を製造するための好ましい製造方法として、温度280℃以上で且つ全圧力5.0MPa以上の水熱反応により得られた粒度分布のメジアン径が0.05〜1.0μm、粒度分布の変動係数が45.0%以下、比表面積が1.0〜150.0m2/g、アスペクト比が3.0以下の板状であって、炭素量が0.01〜2.0重量%であるベーマイト微粒子を、500〜1000℃で焼成することを特徴とするアルミナ微粒子の製造方法を提供するものである。
本発明のアルミナ微粒子は、従来のアルミナ粒子の課題であった粒子の微粒子化、均一化、高分散性を同時に実現しているため、例えば、研磨剤用粒子、トナー外添剤用粒子、塗料用顔料、ゴム・プラスチック用フィラー、透光材料・IC基板等のセラミックス原料、AlN用前駆体、吸着剤、触媒担体等の材料として好適である。
実施例4で得られたベーマイト微粒子の粒子形態を示す電子顕微鏡写真(×60,000)である。 実施例5で得られたベーマイト微粒子の粒子形態を示す電子顕微鏡写真(×60,000)である。 比較例2で得られたベーマイト微粒子の粒子形態を示す電子顕微鏡写真(×60,000)である。 比較例4で得られたベーマイト微粒子の粒子形態を示す電子顕微鏡写真 (×120,000)である。 比較例5で得られたアルナイト及びベーマイト微粒子の粒子形態を示す電子顕微鏡写真(×30,000)である。 実施例24で得られたアルミナ微粒子の粒子形態を示す電子顕微鏡写真(×60,000)である。
以下、本発明のアルミナ微粒子及びその製造方法について好ましい実施形態に基づき記述するが、本発明はこれらの記載に限定されるものではない。尚、以下の「本発明のベーマイト微粒子」は参考例である。
本発明者らは、水熱反応前の水酸化アルミニウム含有水溶液のpH調整、特定量の有機化合物の添加、そして適当な水熱反応温度を選択することにより、得られるベーマイト微粒子及びアルミナ微粒子の粒子径、粒子の均一性、分散性を制御できることを見出した。その理由は明らかでないが、次のように推察される。水熱反応温度の上昇に伴ってベーマイト微粒子同士の凝集により粒子成長が促進され、粒子径、アスペクト比は大きくなる。しかし、水酸化アルミニウム含有水溶液のpHを制御することで、水熱反応温度が高くなっても低いアスペクト比を維持でき、粒子径のみの制御が可能となる。また、有機化合物、具体的には界面活性剤を添加し、粒子表面を被覆することにより、粒子形態をより均一で、微細なものとできる。これは、水酸化アルミニウム含有水溶液中に界面活性剤が存在した場合、界面活性剤が分散・凝集制御剤、又は緩衝剤として働き、ベーマイト微粒子の水溶液中での均一な粒子成長又は成長抑制に起因するものと考えられる。また、粒子表面での均一な有機化合物の被覆により、水中、有機溶媒、ポリマー等の有機物中での分散性が向上する。また更に、アルミナ微粒子の製造の際、ベーマイト微粒子の表面が有機化合物で被覆されているため、焼成の際、粒子間の凝集及び焼結が起こらず、粒子形態の維持に効果的である。
まず、本発明のベーマイト微粒子について説明する。
本発明のベーマイト微粒子は、粒子形態が板状であり、そのアスペクト比が3.0以下、好ましくは2.5以下、より好ましくは1.0〜2.0である。アスペクト比が3.0より大きい場合、凝集により分散性が悪く、ポリマー中に分散させたときの充填性が悪い。
また、本発明のベーマイト微粒子は、レーザー回折/散乱法により測定した粒度分布のメジアン径が、0.05〜1.0μmであり、0.08〜0.8μmであることが好ましく、0.10〜0.50μmであることがより好ましい。
また、本発明のベーマイト微粒子は、粒度分布の変動係数が、45.0%以下であり、40.0%以下であることが好ましく、35.0%以下であることがより好ましい。
メジアン径が0.05μmより小さい場合、分散性が悪く、凝集により変動係数が大きくなる。メジアン径が1.0μmより大きい場合、分散性は良いが、アスペクト比が大きくなり、ポリマー中に分散させたときの充填性が悪い。粒度分布の変動係数が45.0%より大きい場合、凝集により分散性が悪く、ポリマー中に分散させたときの充填性が悪い。
また、本発明のベーマイト微粒子は、比表面積が1.0〜150.0m2/gであり、5.0〜30.0m2/gであることが好ましく、7.0〜15.0m2/gであることがより好ましい。比表面積が1.0m2/gより小さい場合、粒子径が大きく、アスペクト比が大きな微粒子となるため、ポリマー中に分散させたときの充填性が悪く、また比表面積が150.0m2/gより大きい場合、粒子径が小さく、アスペクト比が大きな微粒子となるため、凝集により分散性が悪く、ポリマー中に分散させたときの充填性が悪い。
本発明のベーマイト微粒子は、有機化合物の添加により微粒子化、均一化、分散性がより一層向上する。有機化合物の添加量は、後述する分析方法により得られる炭素量に換算して、0.01重量%以上となるように用いることが好ましく、該炭素量が0.01〜2.0重量%であることがより好ましく、0.1〜1.5重量%であることがより一層好ましい。炭素量が0.01重量%未満では、微粒子化、均一化、分散性の向上効果が小さい。炭素量が2.0重量%より大きい場合には、有機化合物の添加量を増加させても微粒子化、均一化、分散性への効果が一定となる。
上記有機化合物としては、各種界面活性剤、クエン酸類、アミン類、ポリエチレングリコール(PEG)、又はポリビニルアルコール(PVA)等の高分子化合物が挙げられ、また、各種有機溶媒を使用しても良い。特に界面活性剤が分散性をより向上させることが可能で、且つ粒子形態への微粒子化、均一化への効果が大きいので好ましい。上記界面活性剤として具体的には、高級脂肪酸及びその塩類、アルキル硫酸エステル塩類、脂肪酸アミン系化合物、アルキルスルホコハク酸塩類等を使用することができ、特にラウリン酸塩、オレイン酸塩、ラウリン酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩等が好ましい。
次に、本発明のアルミナ微粒子について説明する。
本発明のアルミナ微粒子は、上述した本発明のベーマイト微粒子と同様の、粒子形態、アスペクト比、粒度分布のメジアン径、粒度分布の変動係数、及び比表面積を有するものである。
即ち、本発明のアルミナ微粒子は、粒子形態が板状であり、そのアスペクト比が3.0以下、好ましくは2.5以下、より好ましくは1.0〜2.0である。アスペクト比が3.0より大きい場合、凝集により分散性が悪く、ポリマー中に分散させたときの充填性が悪い。
また、本発明のアルミナ微粒子は、レーザー回折/散乱法により測定した粒度分布のメジアン径が、0.05〜1.0μmであり、0.08〜0.8μmであることが好ましく、0.10〜0.50μmであることがより好ましい。
また、本発明のアルミナ微粒子は、粒度分布の変動係数が、45.0%以下であり、40.0%以下であることが好ましく、35.0%以下であることがより好ましい。
メジアン径が0.05μmより小さい場合、分散性が悪く、凝集により変動係数が大きくなる。メジアン径が1.0μmより大きい場合、分散性は良いが、アスペクト比が大きくなり、ポリマー中に分散させたときの充填性が悪い。粒度分布の変動係数が45.0%より大きい場合、凝集により分散性が悪く、ポリマー中に分散させたときの充填性が悪い。
また、本発明のアルミナ微粒子は、比表面積が1.0〜150.0m2/gであり、5.0〜150.0m2/gであることが好ましく、7.0〜120.0m2/gであることがより好ましい。比表面積が1.0m2/gより小さい場合、粒子径が大きく、アスペクト比が大きな微粒子となるため、ポリマー中に分散させたときの充填性が悪く、また比表面積が150.0m2/gより大きい場合、粒子径が小さく、アスペクト比が大きな微粒子となるため、凝集により分散性が悪く、ポリマー中に分散させたときの充填性が悪い。
本発明のアルミナ微粒子も、本発明のベーマイト微粒子と同様、有機化合物の添加により微粒子化、均一化、分散性がより一層向上する。該有機化合物の添加量及び種類は、上述した本発明のベーマイト微粒子における場合と同じである。
次に、本発明のベーマイト微粒子及びアルミナ微粒子の好ましい製造方法について説明する。
本発明のベーマイト微粒子は、i)水酸化アルミニウム含有水溶液の調製工程と、ii)上記i) の工程で調製した水酸化アルミニウム含有水溶液を水熱反応させる水熱反応工程により製造できる。
また、本発明のアルミナ微粒子は、iii)上記i)及びii) の工程により製造された本発明のベーマイト微粒子を焼成させる焼成工程により製造できる。以下、工程順に説明する。
<i)水酸化アルミニウム含有水溶液の調製工程>
調製方法としては、下記の(イ)及び(ロ)の方法が挙げられる。
(イ)先ずアルミニウム塩水溶液を調製し、このアルミニウム塩水溶液にアルカリ水溶液を添加して、中和反応により水酸化アルミニウムを生成させて水酸化アルミニウム含有水溶液を得る。
(ロ)先ずアルミニウム塩水溶液を調製し、このアルミニウム塩水溶液をアルカリ水溶液に添加して、中和反応により水酸化アルミニウムを生成させて水酸化アルミニウム含有水溶液を得る。
上記(イ)及び(ロ)の方法で用いるアルミニウム塩水溶液のアルミニウム塩としては、例えば、塩化物、硫酸塩、硝酸塩といった各種のアルミニウム塩を使用することができる。また、一種のアルミニウム塩を使用しても良く、又は数種のアルミニウム塩を混合して使用しても良い。該アルミニウム塩水溶液は、その濃度が好ましくは、0.01〜3.6mol/L、より好ましくは0.1〜2.0mol/Lのものを使用する。
上記(イ)及び(ロ)の方法で用いるアルカリ水溶液のアルカリとしては、例えば、NaOH、KOH、NH3 、Na2CO3、K2CO3、NaHCO3、KHCO3等を用いることができる。上記アルカリの量としては、水酸化アルミニウム含有水溶液のpHが10.0〜13.0、特に10.5〜12.5となる量であることが好ましい。上記pHが10.0未満では、粒子形態が針状、棒状、高アスペクト比の板状となり、また上記アルミニウム塩として硫酸塩を使用した場合に、球状、多角状のアルナイト[NaAl3(SO4)2(OH)6]が生成する。上記pHが13.0より高い場合では、高アスペクト比、又は無定形の水酸化アルミニウムが溶解してアルミン酸ナトリウムとなる。
本調製工程において、上述した有機化合物を添加する場合は、アルミニウム塩水溶液とアルカリ水溶液との中和反応により水酸化アルミニウムを生成させた後に添加しても良く、中和反応させる前のアルミニウム塩水溶液もしくはアルカリ水溶液に添加しておいても良く、アルミニウム塩水溶液にアルカリ水溶液を添加する際もしくはアルミニウム塩水溶液をアルカリ水溶液に添加する際に一緒に添加しても良い。
上記有機化合物の添加量は、ベーマイト微粒子表面又はアルミナ微粒子表面への被覆量を上述した好ましい範囲(炭素量換算で0.01〜2.0重量%)とするために、ベーマイトの理論生成量に対して0.01〜5.0重量%であることが好ましく、0.1〜3.0重量%であることがより好ましく、0.5〜1.0重量%であることがより一層好ましい。
<ii)水熱反応工程>
上記水熱反応は、温度が280℃以上、好ましくは300〜400℃、且つ全圧力が好ましくは5.0MPa以上、より好ましくは5.0〜40.0MPa、より一層好ましくは10.0〜30.0MPaで、通常0.01時間以上、好ましくは0.01〜24時間、より好ましくは0.01〜8時間行うと良い。このような条件下で水熱反応させて、粒子径、粒子の厚さ、粒子の均一性等の粒子形態の制御を行い、濾過、水洗した後、乾燥することにより、本発明のベーマイト微粒子が得られる。
上記水熱反応条件は、水酸化アルミニウム含有水溶液における原料の種類、仕込み量、pH値、反応温度、反応圧力及び反応時間等によって上記範囲内において適宜決定すると良い。上記水熱反応の最低温度は280℃であることが好ましい。温度が280℃未満ではアスペクト比が3.0以下の板状であるベーマイト微粒子が得難い。また、最高温度には特に制限がなく、臨界点を超えても良いが、反応装置の仕様に制限される。
<iii)ベーマイト微粒子の焼成工程>
本焼成工程は、上記水熱反応工程で得られた本発明のベーマイト微粒子を焼成することにより本発明のアルミナ微粒子を得る工程である。
焼成は、大気雰囲気下(又は不活性ガス雰囲気下)、最高到達温度が通常500〜1000℃、好ましくは600〜1000℃で、通常0.5時間以上、好ましくは0.5〜8時間行うと良い。焼成温度が500℃未満の場合では脱水反応が不十分であり、1000℃より高温の場合では粒子間の焼結が生じ、粒子形態を維持することができない。ベーマイト微粒子の粒子表面に有機化合物が被覆されている場合では、粒子間の凝集及び焼結が起こらず、高温での熱処理を行っても粒子形態を維持できるという効果がある。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、実施例1〜17及び比較例1〜8(ベーマイト微粒子に関する実施例及び比較例)は参考例である。
(実施例1〜17及び比較例1〜8)
[ベーマイト微粒子の製造]
アルミニウム塩水溶液として硫酸アルミニウム十六水和物水溶液(実施例1〜14、比較例1〜8)又は硝酸アルミニウム九水和物水溶液(実施例15〜17)、アルカリ水溶液として水酸化ナトリウム水溶液、及び表1又は表2記載の有機化合物を用いて、表1又は表2記載のAl量、アルカリ量、有機化合物添加量となるように原料を準備した。次に、アルミニウム塩水溶液に水酸化ナトリウム水溶液及び有機化合物を添加して、水酸化アルミニウム含有水溶液を調製した。調製後の水酸化アルミニウム含有水溶液のpHを表1及び表2に示す。
調製した水酸化アルミニウム含有水溶液をオートクレーブ中で攪拌しながら、表1又は表2記載の条件にて水熱反応を行った。反応終了後の反応液のpHを表1及び表2に示す。反応終了後、室温まで冷却を行い、生成物を濾過、水洗、乾燥して目的物であるベーマイト微粒子を得た。
得られたベーマイト微粒子について、X線回折、比表面積、炭素量(有機化合物被覆量)、粒子形状、平均粒子径、アスペクト比、粒度分布(メジアン径、変動係数)、分散性を以下の(1)〜(6)の方法により測定又は評価した。それらの結果を表3及び表4に示す。
また、実施例4で得られたベーマイト微粒子の電子顕微鏡写真(×60,000)を図1に、実施例5で得られたベーマイト微粒子の電子顕微鏡写真(×60,000)を図2にそれぞれ示す。実施例1〜17で得られたベーマイト微粒子は何れも、粒子形態が均一であることが電子顕微鏡によって確認できた。また、比較例2で得られたベーマイト微粒子の電子顕微鏡写真(×60,000)を図3に、比較例4で得られたベーマイト微粒子の電子顕微鏡写真 (×120,000)を図4に、比較例5で得られたベーマイト微粒子の電子顕微鏡写真(×30,000)を図5にそれぞれ示す。
(1)X線回折
理学電機社製X線回折装置(RINT-2200V)にて測定した。
(2)比表面積
マウンテック社製全自動BET比表面積測定装置(Macsorb HM Model-1210) にて測定した。
(3)炭素量(有機化合物被覆量の評価)
堀場製作所製炭素分析装置(EMIA-221V) にて測定し、ベーマイト微粒子の表面に被覆されている有機化合物を炭素量として定量した。
(4)平均粒子径とアスペクト比の測定、及び粒子形状の評価
日立製作所製透過型電子顕微鏡(TEM H-7600) を用いて、200個以上の粒子径を計測し、その平均値を求めた。また、アスペクト比は、平均粒子径と同様に粒子の厚さの平均値を求め、[平均粒子径/粒子の厚さ]から算出した。
(5)粒度分布(メジアン径、変動係数)
ベーマイト微粒子5〜10mgを0.2重量%のヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液30mlに添加し、ホモジナイザにより分散させた(360Wにて30秒間) 。その分散液を堀場製作所製レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(LA-950)にて測定し、体積基準のメジアン径とその変動係数を求めた。
(6)分散性評価
粒度分布測定で用いた分散液を静置し、凝集、沈降粒子の状態を観察することにより、分散性を評価した(分散液が安定に分散している場合を○、凝集、沈降した場合を×とした)。
(実施例18〜25及び比較例9〜11)
[アルミナ微粒子の製造]
実施例18〜20及び22においては実施例2で得られたベーマイト微粒子を、実施例21及び23並びに比較例9〜11においては実施例5で得られたベーマイト微粒子を、実施例24においては実施例11で得られたベーマイト微粒子を、実施例25においては実施例13で得られたベーマイト微粒子を、それぞれ大気下において表5記載の条件にて焼成して目的物であるアルミナ微粒子を得た。
得られたアルミナ微粒子について、X線回折、比表面積、炭素量(有機化合物被覆量)、粒子形状、平均粒子径、アスペクト比、粒度分布(メジアン径、変動係数)、分散性を上記と同様の方法により測定又は評価した。それらの結果を表5に示す。また、実施例24で得られたアルミナ微粒子の電子顕微鏡写真(×60,000)を図6に示す。
実施例1〜17の結果より、本発明のベーマイト微粒子は、水熱反応温度、pH調整、有機化合物添加量によって粒子形状、粒子径を制御できることがわかる。また、粒子の均一性、分散性に優れる。アスペクト比3.0以下の板状粒子を得るには、実施例1より水熱反応温度が280℃以上必要である。比較例2及び4の結果より、水熱反応温度が280℃未満の場合ではアスペクト比が高くなり、凝集により分散性が悪い。また、有機化合物の添加は、均一化、微粒子化に効果がある。比較例1及び5〜8の結果より、水酸化アルミニウム含有水溶液のpHが10未満であると粒子形状が高アスペクト比の針状、棒状となり、更に酸性になると球状、多角状のアルナイトが生成する。また、比較例3の結果より、水酸化アルミニウム含有水溶液のpHが14では水酸化アルミニウムが溶解してアルミン酸ナトリウムとなり粒子が生成しない。
実施例18及び19の結果より、本発明のアルミナ微粒子は、焼成温度が500℃以上では、脱水によりベーマイトからアルミナとなる。また、実施例19〜25の結果より、焼成すると板状のベーマイト粒子の角がとれて丸くなる。例えば板状の表面が正方形のベーマイト粒子が、角がとれて多角形の板状のベーマイト粒子となる。比較例9〜11の結果より、焼成温度が1100℃以上では粒子の焼結により不定形の粒子が生じる。また、凝集により粒度分布のメジアン径、変動係数が増大する。

Claims (4)

  1. 粒度分布のメジアン径が0.05〜1.0μm、粒度分布の変動係数が45.0%以下、比表面積が1.0〜150.0m2/g、アスペクト比が3.0以下の板状であるアルミナ微粒子。
  2. 炭素量が0.01〜2.0重量%である請求項1記載のアルミナ微粒子。
  3. 粒度分布のメジアン径が0.10〜0.50μm、粒度分布の変動係数が40.0%以下、比表面積が7.0〜120.0m2/g、アスペクト比が3.0以下の板状であって、炭素量が0.01〜2.0重量%であるアルミナ微粒子。
  4. 請求項1〜3の何れか一項に記載のアルミナ微粒子の製造方法であって、温度280℃以上で且つ全圧力5.0MPa以上の水熱反応により得られた粒度分布のメジアン径が0.05〜1.0μm、粒度分布の変動係数が45.0%以下、比表面積が1.0〜150.0m2/g、アスペクト比が3.0以下の板状であって、炭素量が0.01〜2.0重量%であるベーマイト微粒子を、500〜1000℃で焼成することを特徴とするアルミナ微粒子の製造方法。
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