JP2006328110A - 樹脂組成物、樹脂組成物の製造方法、及び樹脂組成物用複合酸化物粒子 - Google Patents

樹脂組成物、樹脂組成物の製造方法、及び樹脂組成物用複合酸化物粒子 Download PDF

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Abstract

【目的】 高アスペクト比かつ屈折率がマトリクス樹脂に近接したナノ粒子を含有し、機械的物性と透明性の双方に優れた樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 透明な樹脂と形状異方性を有する複合金属酸化物粒子とからなる樹脂組成物において、前記複合金属酸化物粒子は、形状異方性を有する金属酸化物粒子Aと、この金属酸化物粒子Aの表面又は内部において、前記金属酸化物粒子Aと屈折率の異なる金属化合物Bとを含む粒子から構成する。
【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物、樹脂組成物の製造方法及び樹脂組成物用複合金属酸化物粒子に関するものであり、特に線膨張係数、剛性などの物性と透明性に優れた樹脂組成物、及びその製造方法、並びに前記樹脂組成物用の複合金属酸化物粒子に関するものである。
自動車における樹脂適用の割合を増加させると、樹脂材料が軽量化に寄与することは広く知られている。最近では、これまで鋼板が用いられていた自動車外板パネルにおいても、軽量化を主たる目的としてポリアミド系材料が適用されるなど、軽量化に果たす樹脂化の役割は大きい。外板パネル以外においても、燃料タンクがこれまでの鋼板製のものから、ポリエチレンを主たる材料にした樹脂製の中空容器に変わるなど、金属材料から樹脂材料への代替は増加の傾向にある。
しかしながら、その一方でウインドシールドをはじめとするガラス部材においては、樹脂化は殆ど進んでいないのが現状である。ガラスが有する透明性、耐衝撃性は、すでにポリカーボネート樹脂によって得られているものの、熱に対する樹脂の膨張量(例えば、線膨張係数)が、ガラスのそれに比べて極めて大きいこと、剛性でガラスに劣ることから、ガラスに代わり得る樹脂は得られていない。熱膨張量の低減や剛性の向上には、ガラス繊維やタルクなどの無機充填材による補強が一般的に知られているが、これらの添加により複合材の透明性は大きく低下するため、現状は非強化樹脂を選択せざるを得ない。すなわち、透明性を有し、かつ熱膨張量が小さく、剛性が高い、という樹脂は得られていないのが現状である。
一方、樹脂の諸物性を向上させる手法として、樹脂の特徴である柔軟性、低密度や成形性などを保持しつつ、無機化合物の特徴である高弾性率、耐熱性、電気特性などを併せ持つ材料の開発が盛んに行われており、このような物性改良手法として、従来のガラス繊維やタルクなどによる強化樹脂に代わり、ナノオーダーレベルの無機微粒子を用いた複合材料、いわゆるポリマーナノコンポジットが注目されてきている。このような複合材料の例としては、「複合材料及びその製造方法(特許第2519045号/豊田中研)」や「ポリアミド複合材料及びその製造方法(特公平7−47644号/宇部興産他)」、「ポリオレフイン系複合材料およびその製造方法(特開平10−30039号/昭和電工)」などが挙げられる。
上記のようなナノオーダーレベルの無機微粒子を用いたポリマーナノコンポジットは、従来複合材料に比べ、機械的物性と透明性の両面で有利であるが、粒子の分散性が未だ不十分であり、ガラスを代替するに足る物性が得られているとは言い難い。
粒子の分散性は透明性に特に影響するが、ナノオーダーレベルの微粒子の高レベルの分散は、上記の例を挙げるまでもなく、難度の高い課題である。このような理由から、日産自動車の「樹脂組成物、充填材及び樹脂組成物の製造方法(特開2004−292698号)」においては、2種以上の金属酸化物からなる複合金属酸化物微粒子を透明樹脂中に分散した樹脂組成物を開示している。
アスペクト比の高い無機微粒子としてはカーボンナノチューブが挙げられ、例えばハイペリオンの「熱可塑性エラストマー組成物および樹脂組成物」(特開平7−102112号)では、カーボンナノチューブを樹脂に添加した樹脂組成物を開示している。カーボンナノチューブを用いた本願によれば、その高いアスペクト比から高機械物性が期待される。しかしながら、カーボンナノチューブの可視光域の吸収係数は大きく、数%の添加量でコンポジットは黒く着色してしまい、十分な光線透過量は得られない。
また他の高アスペクト比無機粒子を用いた例として、岐阜県他の「針状ベーマイト及び針状アルミナ並びにそれらを含有する樹脂組成物」(特開2003−54941号)が挙げられる。本願では長軸長さ1〜10μm、アスペクト比が40〜70の針状ベーマイト及び針状アルミナを混練機で溶融混練することにより樹脂組成物を作成し、これまでのアスペクト比の低いフィラーを含有する樹脂組成物よりも高い機械物性を実現している。しかしながら、粒子サイズが可視光線波長に比べ相当に大きく、また分散性も十分でないため、十分な透明性を得るには至っていない。
以上のように様々な検討がなされているが、これらの無機微粒子を用いたポリマーナノコンポジットでは、機械的物性と透明性の双方を十分なレベルで両立することは未だできていない。
特許第2519045号 特公平7−47644号 特開平10−30039号 特開2004−292698号 特開平7−102112号 特開2003−54941号
本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたものであり、高アスペクト比かつ屈折率がマトリクス樹脂に近接したナノ粒子を含有し、機械的物性と透明性の双方に優れた樹脂組成物を提供することを目的とする。
上記目的を達成すべく、本発明は、
透明な樹脂と形状異方性を有する複合金属酸化物粒子とからなる樹脂組成物であって、
前記複合金属酸化物粒子は、形状異方性を有する金属酸化物粒子Aと、この金属酸化物粒子Aの表面又は内部において、前記金属酸化物粒子Aと屈折率の異なる金属化合物Bとを含む粒子であることを特徴とする、樹脂組成物に関する。
本発明においては、形状異方性を有する金属酸化物粒子Aの表面もしくは内部に、前記金属酸化物粒子Aと屈折率の異なる金属化合物Bが含まれた、形状異方性を有する複合金属酸化物粒子を用い、これを透明な樹脂中に分散させることにより、目的とする樹脂組成物を得るようにしている。複合金属酸化物粒子は、金属酸化物粒子Aの表面もしくは内部に存在する金属化合物Bの種類や配合量を適宜制御することによって、屈折率を変化させることができるようになる。
したがって、金属化合物Bの種類や配合量を適宜に制御して、透明樹脂の屈折率と大きく異なることのない複合金属酸化物粒子とし、これを透明樹脂中に分散させることにより、そのアスペクト比効果により機械的物性を向上できるとともに、屈折率の近接により樹脂組成物の透明性をも向上させることができる。結果として、本発明の目的である、高アスペクト比かつ屈折率がマトリクス樹脂に近接したナノ粒子を含有し、機械的物性と透明性の双方に優れた樹脂組成物を提供することができるようになる。
本発明の一態様において、上述した屈折率の調整は、前記金属化合物Bの屈折率が、前記金属酸化物粒子Aの屈折率が前記透明樹脂の屈折率より大きな場合は、前記金属酸化物粒子Aの屈折率より小さく、前記金属酸化物粒子Aの屈折率が前記透明樹脂の屈折率より小さな場合は、前記金属酸化物粒子Aの屈折率より大きくするようにして行うことができる。
また、本発明の他の態様においては、前記透明樹脂の屈折率と前記複合金属酸化物粒子の屈折率との差を0.05以下とする。屈折率差が0.05を超えると、前記透明樹脂と前記複合金属酸化物粒子との界面で光の反射・屈折が生じ、光の散乱が生じるため、目的とする樹脂組成物の透明性が得られない場合がある。尚、屈折率差は上述した範囲内で小さいほど好ましい。
以上説明してきたように、本発明によれば機械物性と透明性の双方に優れた樹脂組成物を提供できるようになる。したがって、前記樹脂組成物は、従来、機械物性の面から困難であった車両用グレージングとして用いることが出来、従来の無機ガラスに比べ、大幅な軽量化に頁献できる。また、前記樹脂組成物は、構造建築物の透明建築材料としても有用である。
以下、本発明のその他の特徴及び利点について、発明を実施するための最良の形態に基づいて説明する。
(複合金属酸化物粒子)
本発明の樹脂組成物を構成する複合金属酸化物粒子は、形状異方性を有する金属酸化物粒子Aと、この金属酸化物粒子Aの表面又は内部において、前記金属酸化物粒子Aと屈折率の異なる金属化合物Bとを含む。以下、前記金属酸化物A及び金属化合物Bについて詳述する。
<金属酸化物粒子A>
本発明の金属酸化物粒子Aは、形状異方性を有することが必須である。ここでいう形状異方性とは、粒子形状が略球状ではなく、繊維状、紡錘状、棒状、針状、筒状、柱状などの形状であることを指す。略球状の場合、そのアスペクト比が1に近くなり、アスペクト比(異方性)効果が小さく、本発明の目的のひとつである機械的物性の向上代が不十分となる。好ましいアスペクト比の範囲は5〜100である。5未満ではアスペクト比(異方性)効果が不足し、100を超えると粒子同士の凝集傾向が増大し、二次粒径が大きくなり透明性を損なう場合があるためである。
金属酸化物粒子Aの粒子サイズは、上述のアスペクト比を満たせば特に限定されないが、ナノ粒子としての機械的物性向上効果や透明性を発現させるためには、短軸長さが1〜10nmであり、長軸長さが20〜400nmであることが好ましい。更に好ましくは短軸長さが8nm以下であり、長軸長さが300nm以下である。
金属酸化物粒子Aは珪素酸化物、アルミニウム酸化物、鉄酸化物、亜鉛酸化物、カルシウム酸化物、チタン酸化物、錫酸化物、ジルコニウム酸化物、マグネシウム酸化物、硫化亜鉛やタルク、カオリナイト、などの粘土鉱物などから選択でき、前述の条件を満たせば特に限定されないが、機械的物性と透明性の高次元での両立性やコストなどの面から、シリカ、アルミナ、へマタイト、チタニア、カルシアが好ましい。中でも結晶性が高く、高アスペクト比のナノ粒子を得ることができるアルミナが特に好ましい。
上述のアルミナは下記の一般式により表されることが好ましい。
Al203・nH20
式中のnが0のときは酸化アルミニウムを示し、α、γアルミナまたはβ、ρ、χ、εγ、κ、κ‘、θ、η、δ、λ型のアルミナである。式中のnが1のときはベーマイトを表す。また式中のnが1を越えて3未満である場合はべーマイトと非結晶構造のアルミナ水和物の混合物を示す。これは一般に疑ベーマイトと呼ばれている。さらにnが3以上では非結晶構造のアルミナ水和物を示す。本発明の金属酸化物粒子Aに適しているのは、これらのうちから選ばれる少なくとも1つであるが、高アスペクト比化や結晶性、粒子安定性の面や入手の容易さからベーマイト、αアルミナ、及びγアルミナのいずれかが特に好ましい。
また、上述のアルミナ粒子はその粒子内に中空部を有することが好ましい。中空部を有することで粒子の比重が低減し、アスペクト比効果を損なうことなく樹脂組成物の比重を下げることができる。また、例えばバルクのベーマイトの屈折率は約1.65であり、ポリカーボネート系樹脂(1.58)やアクリル系樹脂(1.49)などの一般的な透明樹脂の屈折率より高く、屈折率差が大きいため透明性向上に不利だが、中空部を有することで粒子の平均屈折率が低下し、樹脂の屈折率に近接するため、透明性向上の面でも中空部を有することが好ましい。
前記中空部の大きさや形状は特に限定されないが、粒子の長軸方向に直交する断面において、中空部断面の面積総和が25nm2以下であることが好ましい。これより大きな中空部となると粒子の平均屈折率が低下し過ぎ、樹脂との屈折率差をむしろ拡大してしまう場合がある。尚、高アスペクト比かつ中空部を有するアルミナ粒子の製造方法は、特に限定されず、例えば後述の実施例記載の方法で製造可能である。
<金属化合物B>
本発明の金属化合物Bは、前記の金属酸化物粒子Aと屈折率が異なることが必須であり、また、金属酸化物粒子Aの表面もしくは内部に、反応もしくは吸着する必要がある。前述の通り、金属酸化物粒子Aの表面もしくは内部に存在する金属化合物Bの種類や配合量を適宜制御することによって、後述する複合金属酸化物粒子の形状(アスペクト比)を維持したまま、屈折率のみを変化させることができるようになる。
金属化合物Bの屈折率の範囲は特に限定されないが、後述する複合金属酸化物粒子と同じく後述する透明樹脂の屈折率差が0.05以下となるような屈折率を有する金属化合物Bを選択することが好ましい。例えば前述の金属酸化物粒子Aの屈折率が透明樹脂の屈折率より大きな場合は、金属酸化物粒子Aより小さな屈折率を有する金属化合物Bを選択すればよいし、金属酸化物粒子Aの屈折率が透明樹脂の屈折率より小さな場合は、金属酸化物粒子Aより大きな屈折率を有する金属化合物Bを選択すればよい。
例えば前述の中空部を有するベーマイト粒子は、後述の実施例記載の方法で製造した場合、その屈折率はおよそ1.50〜1.55の範囲となる。透明樹脂としてポリカーボネート系樹脂(1.58)を選択する場合、金属化合物Bにはこの中空ベーマイト粒子より高い屈折率を有するものを選択する必要がある。また、透明樹脂としてアクリル系樹脂(1.49)を選択する場合、金属化合物Bにはこの中空ベーマイト粒子より低い屈折率を有するものを選択する必要がある。
上記の目的を達せられる限り、金属化合物Bの種類は特に限定されるものではないが、金属アルコキシド、ハロゲン化金属、金属ジケトネートおよび金属イソシアネートを例示することができる。金属アルコキシドのアルコキシドとしては、メトキシ、エトキシ及びプロポキシなどの公知ものを用いることができる。前記ハロゲン化金属のハロゲンとしては、フッ素、塩素、ヨウ素および臭素などを挙げることができるが、入手のし易さなどから、塩素を用いることが好ましい。また、金属ジケトネートのジケトネートとしては、ペンタジオネート、アセチルアセテートなどを挙げることができる。これらは、ジケトンのエノール型水酸基の水素と金属原子が置換した化合物である。なお、金属イソシアネートとは、−N=C=0を持つ化合物の総称である。
また、金属化合物Bを構成する金属元素としては、アルミニウム、アンモチン、砒素、バリウム、べリリウム、ビスマス、ホウ素、カドミウム、カルシウム、クロム、コバルト、銅、ガリウム、ガドリニウム、ゲルマニウム、ハフニウム、インジウム、イリジウム、鉄、鉛、リチウム、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ニッケル、ニオブ、パラジウム、白金、カリウム、ロジウム、ルテニウム、シリコン、銀、ナトリウム、ストロンチウム、タンタル、タリウム、スズ、チタン、タングステン、バナジウム、イットリウム、亜鉛、ジルコニウムを挙げることができる。
以上、金属化合物Bとして用いることが可能なものを例示したが、入手のし易さ、反応などの扱い易さから、アルミニウム、シリコン、チタン、ジルコニウムの金属アルコキシドが好ましい。
尚、Mを金属、Rをアルキル基、nをMによって決まる結合数とすると、金属アルコキシドはM(OR)nで表されるものが金属酸化物粒子Aへの反応性の面から好ましいが、後述する複合金属酸化物粒子の樹脂中での分散性を向上させる目的で、MR’(OR)n-1で表されるものを用いてもよい。ここでR’は任意の有機基であり、アルキル基、アリル基、アリール基や、これを主骨格としエーテル基やエステル基を導入したものでもよく、複合金属酸化物粒子と樹脂の相溶性を上げる有機基を選択すればよい。
また、後述する複合金属酸化物粒子において、金属化合物Bは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。ここでいう「2種以上」とは、例えば金属種の異なるものを組み合わせてもよいし、また金属種は同じでも例えば前述のM(OR)nやMR’(OR)n-1を混合して用いてもよいことを意味している。
<複合金属酸化物粒子>
本発明の複合金属酸化物粒子は、上述した金属酸化物粒子A及び金属化合物Bからなり、後述するように、前記複合金属酸化物粒子は、前記金属酸化物粒子Aの表面もしくは内部に、前記金属化合物Bを反応もしくは吸着させることで得られるため、その形状はほぼ金属酸化物粒子Aと同一である。したがって形状異方性を有する金属酸化物粒子Aを用いることにより、複合金属酸化物粒子の形状異方性も実現され、その好ましい形状や大きさは金属酸化物粒子Aの項で記載したものと同じである。
本発明の複合金属酸化物粒子の製造方法は特に限定されないが、上述の金属酸化物粒子Aの形状異方性を保持する必要があることから、まず金属酸化物粒子Aを製造し、これに金属化合物Bを逐次的に反応・吸着させることが好ましい。具体的には、水熱合成法やゾルゲル法などで金属酸化物粒子Aの分散ゾルを製造し、このゾルの溶媒を有機溶剤に置換した後、金属化合物B、例えば上述の金属アルコキシドを逐次添加し、金属酸化物粒子Aの表面もしくは内部の反応基(一般には水酸基)と縮合反応させる方法が挙げられる。
上記製造方法における金属化合物Bの添加量、もしくは複合金属酸化物粒子に含有させる金属化合物Bの量は、複合金属酸化物粒子の形状・サイズ、金属酸化物粒子Aや金属化合物Bの種類によって異なるため、特に限定はされないが、例えば以下の方法で決めることができる。
一般に複数の物質が混在する系の平均屈折率はその構成物質の屈折率と占有空間で決定される。例えばMa、Mbという2種類の物質の混合物質の平均屈折率naveは、それぞれの物質の体積分率をVa、Vb、それぞれの物質の屈折率をna、nbとすると、nave=na×Va+nb×Vbで表わされる。例えば前述の製造方法における金属化合物Bの最適な添加量は、有機溶剤ゾルに金属アルコキシドを逐次添加する工程で、このゾルの屈折率を監視することで決めることができる。溶剤の屈折率は既知であり、また、金属酸化物粒子Aの量から溶剤/複合金属酸化物粒子の体積分率も計算できるため、添加した金属化合物Bが全て金属酸化物粒子Aに反応・吸着すると仮定すると、ゾルの屈折率の観測値から上式を用いて、複合金属酸化物粒子の屈折率を算出することが可能である。この算出値と後述する透明樹脂の屈折率の差が0.05以下となったところで、金属アルコキシドの添加を止めればよい。
また、製造後の複合金属酸化物粒子の屈折率は、粒子と分散媒の屈折率マッチングを利用する、所謂、液浸法で確認可能である。一般に屈折率が既知の2種類の溶剤を用いて、混合比率を変化させた混合溶媒を数種用意し、これに複合金属酸化物粒子を分散させ、それぞれの分散溶液の平行光線透過率、散乱光強度などを観測する。屈折率の異なる成分(ここでは混合溶媒と複合金属酸化物粒子)の混合物は、両成分の界面で光の散乱が生じる。一方、各成分の屈折率が同じであれば、例え異なる成分が混合されていても、両成分の界面での散乱は生じない。つまり、混合溶媒の混合比を順次変え屈折率を変化させた際、混合溶媒の屈折率と複合金属酸化物粒子の屈折率が一致した時、散乱光が最小(平行光線透過率は最大)となる。ここで混合溶媒の屈折率は上式から求められる。まとめると分散溶液の平行光線透過率が最も大きなもの、もしくは散乱光強度が最も小さいものの混合溶媒の上式から算出される平均屈折率が、分散させた複合金属酸化物粒子の屈折率となる。
尚、複合金属酸化物粒子の屈折率レベルに対して適当な溶剤がない場合は、単一溶剤とポリマーやモノマーの混合溶液を用いても同様に測定可能である。
(樹脂組成物)
上述した複合金属酸化物粒子を所望の透明樹脂中に分散させることで、本発明の目的の樹脂組成物を得ることができる。本発明で用いる透明樹脂は特に限定されず、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、スチレン系樹脂、非品性オレフイン系樹脂などを挙げることができる。透明性、耐熱性、剛性の観点からは、ポリカーボネート系、アクリル系、メタクリル系樹脂などの熱可塑性樹脂が好ましく、特にポリカーボネート系樹脂が好ましい。
上述の透明樹脂をマトリクス樹脂とし、本発明の樹脂組成物を得る方法としては、二軸混練機などを用いて溶融した樹脂に複合金属酸化物粒子を添加する溶融混練法、樹脂モノマーからポリマーを重合する過程で複合金属酸化物粒子を添加し分散させる重合法、樹脂を溶剤に溶解した溶液と複合金属酸化物粒子分散溶液とを混合した後溶媒を留去する溶液法、などの方法で得ることができる。
溶融混練法では、複合金属酸化物粒子の粉末、もしくは水分散溶液、有機溶剤分散液を用い、粒子の種類、分散溶媒の有無・種類によって、吸引ベントや液添加ポンプなどを適宜設けた二軸混練押出機を用いる。溶融混練法は後述の2つの方法に比べると分散性は劣るものの、樹脂組成物を安価に製造することが可能な点が特徴である。
次に、重合法についてポリカーボネート系樹脂組成物を例にして説明するが、他の樹脂系でも、重合反応前のモノマーに複合金属酸化物粒子もしくはその分散溶液を添加・混合した後に重合を開始する点は同様である。
ポリカーボネート樹脂の重合法は、2価フェノール化合物とホスゲンの縮合反応による界面重合法(ホスゲン法)と、2価フェノール化合物と炭酸ジエステルの縮合反応によるエステル交換法、の2つに大別される。何れの方法においても、複合金属酸化物粒子もしくはその分散溶液を縮合反応前のモノマーに添加・混合した後、重合を開始すれば、本発明の樹脂組成物を得ることができる。
2価フェノール化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシジフェニル)プロパン(通称:ビスフェノーA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(3,5一ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロへキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、4,4’−ジヒドロキシべンゾフェノンなどが挙げられ、好ましくは2,2−ビス(4−ヒドロキシジフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロへキサンがよい。これらの化合物はそれぞれ単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
炭酸ジエステル化合物としては、ジフェニルカーボネートなどのジアリールカーボネートや、ジメチルカーボネート、ジェチルカーボネートなどのジアルキルカーボネートが挙げられる。ホスゲン法ではホスゲンが好ましく用いられるが、これ以外のジハロゲン化カルボニルを用いることも可能で、本発明で得られる効果を何ら阻害するものではない。
次に、溶液法についてポリカーボネート系樹脂組成物を例にして説明するが、他の樹脂系でも、マトリクス樹脂を良溶媒に溶解し、これに複合金属酸化物粒子もしくはその分散溶液を添加・混合した後に溶媒を留去する点は同様である。尚、本方法で複合金属酸化物粒子の分散溶液を用いる場合、マトリクス樹脂の良溶媒と複合金属酸化物粒子分散溶液の溶媒が、それぞれに対して十分混合するものを選択する必要がある。
溶液法ではまず、ポリカーネート樹脂を有機溶剤に溶解し、これに複合金属酸化物粒子もしくはその分散溶液を添加・混合する。もしくは、複合金属酸化物粒子分散溶液に直接ポリカーネート樹脂を溶解してもよい。ポリカーネートと複合金属酸化物粒子の混合溶液をよく操拝した後、加熱し溶媒を留去するが、このときできるだけ減圧、加熱を行い、溶媒を素早く留去する。溶媒減量とともに溶液の粘度が上昇するが、攪拌出来なくなるまで攪拌を継続する。
有機溶剤としてはポリカーボネートの良溶媒であれば特に限定されず、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、1,2ジクロロエタン、クロロホルム、1,1,2,2,テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトンなどが例示できる。
以下に実施例を挙げ、本発明の実施の形態を詳細に説明するが、本発明はこれに制限されるものではない。
(評価方法)
(1)粒子形状、粒子径
透過型電子顕微鏡(TEM:JEOUEM−1200EXII 日本電子株式会社)にて粒子形状を観察した。試料を純水(2段蒸留水)にて希釈後、超音波洗浄器に15分間かけた。その後銅メッシュ上の親水処理済カーボン被覆コロジオン膜に試料を塗布し、乾燥させ観察試料を準備した。TEMにてその試料の電子顕微鏡像を120KV、70mA、10万倍にて撮影して、観察した。
粒子径は、TEMにて撮影した写真を市販のスキャナーで電子データとして取り込み、画像処理により粒子径を測定した(ソフト名:Scion Image for Windows)。短軸径、長軸径、厚さ、一辺の長さ共にそれぞれ無作為に100個体選び、測定した。
(2)複合金属酸化物粒子の屈折率の測定
金属化合物Bの添加量の目安を得るため、前述の通り、複合金属酸化物粒子の製造工程におけるゾルの屈折率をアッベ屈折計(DR−M2、アタゴ株式会社)で確認した。また、製造後の複合金属酸化物粒子の屈折率は同じく前述の通り、ヘイズメーター(村上色彩研究所製HM−65)を用いた液浸法で測定した。
(3)アルミナの同定
粉末X線回折装置(X線解析装置:RINT−2000理学電機)を用いた試料を測定用無反射板に圧粉することにより、これを観察試料とし、X線解析装置にて測定し、アルミナのJCPDS(Joint Committee on Powder Diffraction Standards)と比較することにより同定した。
(4)光学的物性測定
得られた樹脂組成物を乾燥して粒状にし、熱プレス成形して厚さ2mmの試験片フィルムを得る。得られたシートについてヘイズメーター(村上色彩研究所製HM-65)を用いて、平行光線透過率、ヘイズを測定した。
(5)機械的物性測定
得られた樹脂組成物を乾燥して粒状1にし、射出成形して試験片を得る。得られた試験片について、曲げ弾性率、線膨張係数を測定した。
・曲げ弾性率は、オートグラフ(島津製作所(株)製DSC−10T)で計測した。
・線膨張係数は、熱機械測定装置〈セイコー電子工業(株)製TMA120C〉で計測した。
(アルミナ粒子(金属酸化物粒子A)の合成)
(A)ベーマイト粒子
機械攪拌機を備えたテフロン(登録商標)製ビーカーに塩化アルミニウム六水和物(2.0 M,40ml,25℃)を入れ、恒温槽で10℃に保ちつつ、攪拌(700rpm)しながら水酸化ナトリウム(5.10M,40ml,25℃)を約6分かけて滴下した。滴下終了後さらに10分間攪拌を続け、攪拌終了後、溶液のpHを測定した(pH=7.08)。溶液をテフロンライナーを備えたオートクレーブに代えて密栓し、オーブンで120℃、24時間経時させた(第1の熱処理)。第1の熱処理の終了後、前記オートクレーブをオイルバスへ移し、180℃、30分間加熱した(第2の熱処理)。第2の熱処理終了後、前記オートクレーブを流水へ入れ、急速冷却(約10℃)をした(第3の熱処理)。第3の熱処理終了後、前記オートクレーブを再びオーブンへ入れ、150℃で1日加熱を続けた(第4の熱処理)。その後、前記オートクレーブを流水で冷やし、遠心分離(30000rpm,30min)で上澄み除去後、遠心水洗3回、水メタノール混合溶液(体積比 水:メタノール、0.5:9.5)遠心洗浄を1回行った。その後、凍結乾燥機を用いて乾燥させることにより無色結晶(A)を得た。
前記無色結晶はX線回折の結果、ベーマイトであることが判明した。また、TEMを用いて粒子のサイズを調べたところ、長軸長さ125±13nm、短軸長さ(径)5.2±0.6nm、アスペクト比が約20の針状だった。また、粒子の長軸方向に直交する断面を観察すると中空を呈しており、中空部断面の平均面積総和は6.5nm2であった。本粒子の屈折率を液浸法で測定したところ1.52であった。
(B)γアルミナ粒子
上記(A)で得られたベーマイト粒子粉末10gをアルミナるつぼに入れ、600℃で5時間熱処理を行うことにより無色の粉末粒子(B)を得た。X繰回折を用いて結晶相の同定を行ったところ、粉末粒子はγ−アルミナであることが判明した。また、本粒子の屈折率を液浸法で測定したところ1.64であった。
(C)αアルミナ粒子
上記(A)で得られたベーマイト粒子粉末10gをアルミナるつぼに入れ、1100℃で3時間熱処理を行うことにより無色の粉末粒子(C)を得た。X繰回折を用いて結晶相の同定を行ったところ、粉末粒子はα−アルミナであることが判明した。また、本粒子の屈折率を液浸法で測定したところ1.66であった。
(複合金属酸化物粒子(分散ゾル)の合成)
(D)ベーマイト粒子分散液
上記(A)のべーマイト粒子をテトラヒドロフランに添加し、粒子10wt%の分散液としたものをよく攪拌した後、超音波分散機に40分間かけた。そこへ、テトライソプロポキシチタン(金属化合物B)を攪拌しながら滴下し、前述の方法でゾルの屈折率を確認しながら添加した。添加終了後、超音波分散機に90分間かけ、得られた溶液をさらに高圧乳化装置で50MPaの圧力で処理することにより、複合ベーマイト粒子分散溶液(D)を得ることができた。得られた前記複合ベーマイト粒子の屈折率を液浸法で測定したところ1.57であった。
(E)γアルミナ粒子(分散液)
上記(B)のγアルミナ粒子をテトラヒドロフランに添加し、粒子10wt%の分散液としたものをよく攪拌した後、超音波分散機に40分間かけた。そこへ、テトラメトキシシラン(金属化合物B)を攪拌しながら滴下し、前述の方法でゾルの屈折率を確認しながら添加した。添加終了後、超音波分散機に90分間かけ、得られた溶液をさらに高圧乳化装置で50MPaの圧力で処理することにより、複合γアルミナ粒子分散溶液(E)を得ることができた。得られた前記複合γアルミナ粒子の屈折率を液浸法で測定したところ1.60であった。
(F)αアルミナ粒子(分散液)
上記(C)のαアルミナ粒子をテトラヒドロフランに添加し、粒子10wt%の分散液としたものをよく攪拌した後、超音波分散機に40分間かけた。そこへ、テトラメトキシシラン(金属化合物B)を攪拌しながら滴下し、前述の方法でゾルの屈折率を確認しながら添加した。添加終了後、超音波分散機に90分間かけ、得られた溶液をさらに高圧乳化装置で50MPaの圧力で処理することにより、複合αアルミナ粒子分散溶液(F)を得ることができた。得られた前記複合αアルミナ粒子の屈折率を液浸法で測定したところ1.62であった。
(G)ベーマイト粒子(分散液)
上記(A)のベーマイト粒子をテトラヒドロフランに添加し、粒子10wt%の分散液としたものをよく攪拌した後、超音波分散機に130分間かけた。その後、得られた溶液をさらに高圧乳化装置で50MPaの圧力で処理し、べーマイト粒子溶液(G)を得た。
(H)アルミナ粒子(分散液)
上記(B)のγアルミナ粒子をテトラヒドロフランに添加し、粒子10wt%の分散液としたものをよく攪拌した後、超音波分散機に130分間かけた。その後、得られた溶液をさらに高圧乳化装置で50MPaの圧力で処理することにより、γアルミナ粒子分散溶液(H)を得ることができた。
(I)αアルミナ粒子(分散液)
上記(C)のαアルミナ粒子をテトラヒドロフランに添加し、粒子10wt%の分散液としたものをよく攪拌した後、超音波分散機に130分間かけた。その後、得られた溶液をさらに高圧乳化装置で50MPaの圧力で処理することにより、αアルミナ粒子分散溶液(I)を得ることができた。
(樹脂組成物の合成)
(実施例1)
上記複合ベーマイト粒子分散溶液(D)とポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス製、ノバレックス7030A)とを、得られる樹脂組成物中の粒子複合体が10wt%となるよう、減圧装置、機械攪拌機、還流器を備えた反応容器投入し、ジクロロメタンを追加溶媒として加え、攪拌した。次いで、減圧ラインを用いて、系内を徐々に減圧して溶媒を留去し、この後さらに反応容器温度を上げ完全に溶媒を除いて、ポリカーボネート樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を乾燥して粒状にし、前記方法にて各種試験片を得た。
(実施例2)
複合ベーマイト粒子分散溶液(D)に代えて、上記複合γアルミナ粒子分散溶液(E)を用いた以外は、実施例1と同様にして試験片を作製した。
(実施例3)
複合ベーマイト粒子分散溶液(D)に代えて、上記複合αアルミナ粒子分散溶液(F)を用いた以外は、実施例1と同様にして試験片を作製した。
(実施例4)
上記複合ベーマイト粒子分散溶液(D)、ビスフェノールA、ジフェニルカーボネートを、得られる樹脂組成物中の粒子複合体が10wt%となるよう、減圧装置、機械攪拌機、還流器を備えた反応容器に投入し、さらに炭酸セシウム適量とテトラヒドロフラン適量を加え、温度を徐々に上げながら1時間攪拌した。次いで、減圧ラインを用いて、系内を徐々に減圧してテトラヒドロフランを留去し、この後さらに温度を上げ、160℃前後で20分予備加熱を行い、ジアリールカーボネート化合物とビスフェノール類との縮合反応を開始した。
次いで、反応系を200℃まで30分かけて昇温し、この温度にて、約150分間、15mmHg以下の減圧度で攪拌しながら縮合を進行させた。次いで、前記反応系を250℃まで30分かけて昇温し、この温度にて、約30分間、10mmHg以下の減圧度にて攪拌することにより、未反応のオリゴマー成分を低減させ、最後に、減圧度を保持したまま260℃〜290℃の範囲で20分間熟成を行ってポリカーボネート樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を乾燥して粒状にし、前記方法にて各種試験片を得た。
(実施例5)
上記複合ベーマイト粒子分散溶液(D)を凍結乾燥した後、さらに室温、減圧下で12時間乾燥し、ベーマイト粒子複合体の無色粉末を得た。この粉体とポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス製、ノバレックス7030A)とを、得られる樹脂組成物中の粒子複合体が10wt%となるよう予めドライブレンドし、これを真空微量混練押出機(井元製作所製、IMC−1170B型)を用いて溶融混練した。混練条件は真空チャンバー内10mmHg以下の減圧度、炉内及びローター温度260℃、ローター回転速度15rpmで10分間行った。混練後、得られた樹脂組成物を乾燥して粒状にし、前記方法にて各種試験片を得た。
(比較例1)
複合ベーマイト粒子分散溶液(D)に代えて、上記ベーマイト粒子溶液(G)を用いた以外は、実施例1と同様にして試験片を作製した。
(比較例2)
複合ベーマイト粒子分散溶液(D)に代えて、上記γアルミナ粒子分散溶液(H)を用いた以外は、実施例1と同様にして試験片を作製した。
(比較例3)
複合ベーマイト粒子分散溶液(D)に代えて、上記αアルミナ粒子分散溶液(I)を用いた以外は、実施例1と同様にして試験片を作製した。
(評価結果)
各実施例、比較例の評価結果を表1に示す。
Figure 2006328110
実施例で得た樹脂組成物については、実施例5で得た樹脂組成物を除き何れもヘイズ値が低く、高い透明性を有しており、また弾性率、線膨張係数も良好である。一方、比較例1〜3で得た樹脂組成物は、弾性率、線膨張係数は実施例と同レベルなものの、透明性が大きく低下しており、本発明の金属化合物Bの効果が現れているといえる。また、実施例5で得た樹脂組成物の透明性不足は複合金属酸化物粒子の分散性不足に起因しており、他の実施例で得た樹脂組成物に比べて特に透明性が低いが、比較例1〜3で得た樹脂組成物に比べれば未だ金属化合物Bの効果が現れているといえる。
以上、具体例を挙げながら本発明を詳細に説明してきたが、本発明は上記内容に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいてあらゆる変形や変更が可能である。
例えば、本発明の樹脂組成物は、必要に応じて、酸化防止剤及び熱安定剤(例えば、ヒンダードフェノール、ヒドロキノン、チオエーテル、及びこれらの置換体及びその組み合わせを含む)、紫外線吸収剤(例えばレゾルシノール、サリシレート、ペンゾトリアゾール、ペンゾフェノンなど)、滑剤、離型剤(例えばシリコン樹脂、モンタン酸及びその塩、ステアリン酸及びその塩、ステアリルアルコール、ステアリルアミドなど)、染料(例えばニトロシンなど)、顔科(例えば硫化カドミウム、フタロシアニンなど)を含む着色剤、添加剤添着液(例えばシリコンオイルなど)、及び結晶核剤(例えばタルク、カオリンなど)などを単独又は適宜組み合わせて添加することができる。

Claims (18)

  1. 透明な樹脂と形状異方性を有する複合金属酸化物粒子とからなる樹脂組成物であって、
    前記複合金属酸化物粒子は、形状異方性を有する金属酸化物粒子Aと、この金属酸化物粒子Aの表面又は内部において、前記金属酸化物粒子Aと屈折率の異なる金属化合物Bとを含む粒子であることを特徴とする、樹脂組成物。
  2. 前記金属化合物Bの屈折率は、前記金属酸化物粒子Aの屈折率が前記透明樹脂の屈折率より大きな場合は、前記金属酸化物粒子Aの屈折率より小さく、前記金属酸化物粒子Aの屈折率が前記透明樹脂の屈折率より小さな場合は、前記金属酸化物粒子Aの屈折率より大きいことを特徴とする、請求項1記載の樹脂組成物。
  3. 前記透明樹脂と前記複合金属酸化物粒子との屈折率差が、0.05以下であることを特徴とする、請求項2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記金属酸化物粒子Aは、アスペクト比が5〜100であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一に記載の樹脂組成物。
  5. 前記金属酸化物粒子Aは、短軸長さ1〜10nm、長軸長さ20〜400nmであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一に記載の樹脂組成物。
  6. 前記金属酸化物粒子Aは、ベーマイト、αアルミナ、及びγアルミナから選ばれる少なくとも1種類のアルミナ粒子であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一に記載の樹脂組成物。
  7. 前記アルミナ粒子は内部に中空部を有することを特徴とする、請求項6記載の樹脂組成物。
  8. 前記透明樹脂は、ポリカーボネート系樹脂であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一に記載の樹脂組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれか一に記載の樹脂組成物の製造方法であって、
    形状異方性を有する金属酸化物粒子Aの表面又は内部に、前記金属酸化物粒子Aと屈折率の異なる金属化合物Bを反応又は吸着させることにより、前記金属酸化物粒子A及び前記金属化合物Bからなる複合金属酸化物粒子を得る工程と、
    前記複合金属酸化物粒子と前記透明な樹脂とを溶融混練させて、前記樹脂組成物を製造する工程と、
    を具えることを特徴とする、樹脂組成物の製造方法。
  10. 請求項1〜8のいずれか一に記載の樹脂組成物の製造方法であって、
    形状異方性を有する金属酸化物粒子Aの表面又は内部に、前記金属酸化物粒子Aと屈折率の異なる金属化合物Bを反応又は吸着させることにより、前記金属酸化物粒子A及び前記金属化合物Bからなる複合金属酸化物粒子を得る工程と、
    前記複合金属酸化物粒子と前記透明な樹脂のモノマーとを混合した後、重合を進行させて前記樹脂組成物を製造する工程と、
    を具えることを特徴とする、樹脂組成物の製造方法。
  11. 請求項1〜8のいずれか一に記載の樹脂組成物の製造方法であって、
    形状異方性を有する金属酸化物粒子Aの表面又は内部に、前記金属酸化物粒子Aと屈折率の異なる金属化合物Bを反応又は吸着させることにより、前記金属酸化物粒子A及び前記金属化合物Bからなる複合金属酸化物粒子を得る工程と、
    前記複合金属酸化物粒子、前記透明な樹脂、及び有機溶媒を混合、攪拌して混合溶液を作製し、この混合溶液から高温減圧下にて溶媒のみを留去し、前記樹脂組成物を製造する工程と、
    を具えることを特徴とする、樹脂組成物の製造方法。
  12. 形状異方性を有する金属酸化物粒子Aと、この金属酸化物粒子Aの表面又は内部において、前記金属酸化物粒子Aと屈折率の異なる金属化合物Bとを含む、樹脂組成物用複合金属酸化物粒子。
  13. 前記金属化合物Bの屈折率は、前記金属酸化物粒子Aの屈折率が前記樹脂組成物を構成する透明樹脂の屈折率より大きな場合は、前記金属酸化物粒子Aの屈折率より小さく、前記金属酸化物粒子Aの屈折率が前記透明樹脂の前記屈折率より小さな場合は、前記金属酸化物粒子Aの屈折率より大きいことを特徴とする、請求項12記載の樹脂組成物用複合金属酸化物粒子。
  14. 前記透明樹脂と前記複合金属酸化物粒子との屈折率差が、0.05以下であることを特徴とする、請求項13に記載の樹脂組成物用複合金属酸化物粒子。
  15. 前記金属酸化物粒子Aは、アスペクト比が5〜100であることを特徴とする、請求項12〜14のいずれか一に記載の樹脂組成物用複合金属酸化物粒子。
  16. 前記金属酸化物粒子Aは、短軸長さ1〜10nm、長軸長さ20〜400nmであることを特徴とする、請求項12〜15のいずれか一に記載の樹脂組成物用複合金属酸化物粒子。
  17. 前記金属酸化物粒子Aは、ベーマイト、αアルミナ、及びγアルミナから選ばれる少なくとも1種類のアルミナ粒子であることを特徴とする、請求項12〜16のいずれか一に記載の樹脂組成物用複合金属酸化物粒子。
  18. 前記アルミナ粒子は内部に中空部を有することを特徴とする、請求項17記載の樹脂組成物用複合酸化物粒子。
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