JP2009062244A - 粒子分散溶液およびその樹脂組成物ならびにそれらの製造方法 - Google Patents

粒子分散溶液およびその樹脂組成物ならびにそれらの製造方法 Download PDF

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崇 小田
Hironobu Muramatsu
宏信 村松
Tomohiro Ito
智啓 伊藤
Manabu Kawa
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Abstract

【課題】 樹脂の分子量を特定の水準以上に保持するための表面処理が施され、かつ樹脂中に均一に分散させることができる表面処理も施された粒子分散溶液とその製造方法、およびその粒子を含んだ樹脂組成物とその製造方法を提供する。
【解決手段】 無機粒子の水溶液を凍結乾燥し、得られた乾燥無機粒子を第1の溶媒に分散させた後、その液相下で改質剤と接触させ、さらに、第2の溶媒を加えてから該無機粒子の表面を改質し、その後、第1の溶媒を除去して第2の溶媒のみに該改質無機粒子を分散させることを特徴とする改質無機粒子の分散溶液の製造方法、に関する。
【選択図】なし

Description

本発明は、無機粒子の分散溶液及びその製造方法と、この粒子分散溶液を用いて作ることができる樹脂組成物と、その製造方法に関する。とくに本発明は、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂といった透明樹脂を、透明性を維持しながら、機械物性に優れた樹脂組成物とするための製造方法に関する。
従来、樹脂の機械的強度、寸法安定性、耐熱性、耐衝撃性、剛性などを向上させる方法として、樹脂にフィラー(充填剤)を添加する方法が試みられている。
しかし、樹脂の補強材として広く利用されているガラス繊維では、樹脂との屈折率差及びガラス繊維のサイズの問題から、透明な樹脂材料を得ることはできないため、自動車用窓材のような透明性を要求される材料には、ガラス繊維をフィラーとして用いることは困難であった。
この課題を解決するためには、樹脂との屈折率差が小さく、微細で、樹脂に対して均一に分散させることができるフィラーが望まれる。とくに酸化アルミニウムは、ポリカーボネート樹脂との屈折率差が小さいばかりか、微細な粒子が入手し易く、透明性に優れた樹脂組成物を得ることができると期待されている。
たとえば、酸化アルミニウムを樹脂フィラーとする技術として、特許文献1では、長軸長さ1〜10μm、アスペクト比40〜70の針状ベーマイト及び針状アルミナの粉末を、混練機を用い樹脂に溶融混練することにより樹脂組成物を製造している。
さらに特許文献2、特許文献3では、酸化アルミニウムの針状ナノ粒子を用いた樹脂組成物が開示されている。このうち、特許文献2では、ナノ粒子の酸化アルミニウム粒子とポリカーボネートの樹脂組成物は、透明性が高く、かつ機械的強度に優れていることが報告されている。
特許文献3では、針状ベーマイト粒子を表面処理することなく樹脂中に分散させることが開示されている。
ところで、酸化アルミニウムを改質して有機溶媒に分散させる方法として、酸化アルミニウムをスルホン酸で処理する方法が知られている。たとえば特許文献4には、スルホン酸処理ベーマイトをポリカーボネート樹脂と混合することが記載されている。さらに、特許文献5では、酸化アルミニウム表面をシランカップリング剤で処理して分散性を向上させる方法が開示されている。
特開2003−54941 特開2006−62905 特表2005−528474 特表2003−517418 特開2004−149687
特許文献1について、用いるベーマイト、酸化アルミニウムのサイズが可視光線波長に比べて相当大きく、また粉末をそのまま混練しては樹脂中にフィラーを均一に分散させることができず、十分な透明性を得るにはいたらなかった。
特許文献2について、本発明者らの検討によれば、酸化アルミニウム粒子の添加量が少なく、また樹脂中のフィラーの分散性も十分ではないため、自動車用窓材の用途などの低熱線膨張(係数)が要求される樹脂材料としては十分とはいい難かった。
特許文献3について、本発明者らの検討によれば、実質的に表面処理を施していない粒子を樹脂中に均一に分散させるための樹脂の選択としては、樹脂鎖中に強い極性基を持つ樹脂(例えば、ポリアミド、熱可塑性ポリウレタンなど)に限られ、それらと比べ極性の小さなポリカーボネート樹脂の場合には、粒子の凝集が避けられない。また、ベーマイト自体の触媒作用のため、ポリカーボネート樹脂の分子量の低下を招いてしまい、機械的物性が大幅に低下することが判明した。
特許文献4について、得られた樹脂組成物の分子量の低下を招き、機械的物性が低下することが判明した。
特許文献5について、開示されている三官能のシランカップリング剤で処理した場合は樹脂組成物中のベーマイトの凝集を避けることができず、透明性が損なわれた。
このように、従来において酸化アルミニウム粒子をフィラーに用いた樹脂材料において、その特性改良のために様々な検討がなされているが、現状では、透明性と優れた機械物性を兼ね備えた樹脂組成物は未だ提供されていない。
本発明が解決しようとする課題は、透明性と優れた機械的物性を兼ね備える透明樹脂組成物、特にポリカーボネート樹脂組成物を提供することにある。詳しくは、樹脂の分子量を特定の水準以上に保持するための表面処理が施され、かつ樹脂中に均一に分散させることができる表面処理も施された粒子分散溶液とその製造方法、およびその粒子を含んだ樹脂組成物とその製造方法を提供することにある。
本発明は、無機粒子の水溶液を凍結乾燥し、得られた乾燥無機粒子を第1の溶媒に分散させた後、その液相下で改質剤と接触させ、さらに、第2の溶媒を加えてから該無機粒子の表面を改質し、その後、第1の溶媒を除去して第2の溶媒のみに該改質無機粒子を分散させることを特徴とする改質無機粒子の分散溶液の製造方法、に関する。
本発明により提供できる粒子分散溶液は、改質剤を用いポリカーボネート樹脂の分解を防ぐ表面処理が施されている。
粒子分散溶液とすることで樹脂組成物の作製方法にも幅が生まれ、この溶液を用いて樹脂組成物を得ることにより、透明性と機械的強度、線膨張係数、耐衝撃性などの機械的物性を兼ね備えた樹脂組成物を提供することができる。
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
(無機粒子)
本発明に用いられる無機粒子には、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化銅、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化ナトリウム、及び酸化イットリアから選ばれる酸化物が挙げられる。この中でも、改質剤や分散剤との反応起点となり、第1の溶媒との親和性を示す水酸基を有するものが好ましい。さらに、この酸化物に分類されるものの中でも、シリカ、ベーマイト、ヘマタイト、チタニア、カルシアなどは、水酸基を多く含み、充填量が少なくても樹脂の機械的物性を発揮するのに必要なアスペクト比を有する異方性を持つものが多く、可視光線の波長よりも小さな粒子の製造法が確立しているために好ましい。この中でも、樹脂に対する攻撃性が少なく、樹脂に着色性を付与することなく、とくに高アスペクト比の粒子を入手しやすいという観点からベーマイトが好ましい。
(ベーマイト)
本発明のベーマイトは、下記の式で示される。
Al・nH
具体的には、nは、n=1〜3である。通常、学術的にはn=0が酸化アルミニウム、n=1がベーマイト、n=3以上が水酸化アルミニウムと呼ばれている。また、n=1〜3と表記する場合は、ベーマイトと水酸化アルミニウムの混合物を示す。ベーマイトは製造方法にもよるが、どうしても水酸化アルミニウムの混合物を含むため、本発明のベーマイトは、n=1、2、3そして1〜3と表記されるものの全てを含んでいる。また、n=0の酸化アルミニウム(たとえば、αアルミナ、γアルミナ)でも、粒子の表面を酸処理し、表面に水酸基を作り出したり、表面一層にベーマイトを析出させたりできればよく、本発明の示す、ベーマイトに含まれるものとする。
本発明で使用する無機粒子は、繊維状、紡錘状、棒状、針状、筒状、柱状などの非球状であればいずれでもよい。その粒子サイズは、短軸長さが1〜10nmで、長軸長さが20〜400nmで、アスペクト比(長軸長さ/短軸長さ)が10から100のものが好ましい。
とくに透明性と機械的物性を兼ね備えた樹脂組成物を得る場合には、その粒子サイズは短軸長さが6nm以下、アスペクト比が20以上のものがより好ましい。
本発明で用いられる無機粒子をICP―AES(誘導結合プラズマ―原子発光分析)分析することで求めた、微量混入したアルカリ金属、およびアルカリ土類金属の含有量は、通常、2000ppm以下、好ましくは1000ppm以下、さらに好ましく100ppm以下である。
前記アルカリ金属、およびアルカリ土類金属の含有量が上限値を超えると、ポリカーボネート樹脂の分解触媒として働いて、樹脂の分子量を下げ、さらに樹脂組成物の機械的物性を低下させる。また、無機粒子の表面の水酸基が上記金属イオンにより活性を失い、改質剤の効果が薄れて、改質率が下がる。さらに、後述する第1の溶媒と無機粒子の親和性が悪化し、無機粒子は第1の溶媒中に均一に分散しなくなり、本発明の製造方法を履行できなくなる。そして、結果として、樹脂組成物の透明性と機械的物性の低下が生じる。
(第1の溶媒)
本発明で用いられる第1の溶媒は、水との親和性を有する化合物であり、具体的には、比誘電率が5以上の化合物であることが好ましい。一般的に、誘電率が高い化合物ほど分子の極性が強く、その極性化合物は無機粒子と親和性を示し、粒子を均一に分散させることができる。けれども、比誘電率が高ければよいというわけではなく、例外もある。たとえばアセトンは比誘電率が20と水と良好な相溶性を有する極性化合物であるが、表面未改質のアルミナやベーマイト粒子に対しては全く分散性を示さない。
第1の溶媒の例としては、アルコール、カルボン酸、テトラヒドロフラン、DMFなどを挙げることができる。アルコールとしては、1級、2級、3級いずれも使うことができ、第2の溶媒への交換の容易さからできるだけ低沸点であること、一般的で、安価であることを考慮にいれると、アルコールの中でもメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2-ブタノール、2-メチル−1−プロパノール、ペンタノール、エチレングリコールが挙げられる。そしてカルボン酸としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸などが挙げられる。本発明に用いるベーマイトの場合、特にメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、そしてテトラヒドロフランが好ましい。
(第2の溶媒)
本発明で用いられる第2の溶媒は、特に限定されることはなく、任意のものを用いることができ、第1の溶媒として選択した有機溶媒をそのまま用いることもできる。本発明の樹脂組成物の場合、特にポリカーボネートを選択するような場合は、その製造過程において、ポリカーボネート樹脂と少なくとも部分的に混合可能で、溶融した樹脂組成物と無機粒子とが均一に混合可能なものを選択することが好ましい。
このような有機溶媒としては、1,4−ジオキサンなどの環状エーテル、エチレングリコールのエーテル、例えば、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブなどのエーテル系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン化アルキル系溶媒、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶媒、メチルエチルケトン、アセトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒,1、3−ジオキソランなどのアセタール系溶媒などを例示することができる。このうち、特に好ましい溶媒は、テトラヒドロフラン、クロロホルム、シクロヘキサノン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、クロロベンゼン、ジクロロメタンである。
ただし、ポリカーボネートに限ることなく、この分散溶液を他の用途に使う場合には、上記に挙げた溶媒に制限されることはない。
(改質剤)
本発明に用いられる改質剤は、シリル化剤、およびチタニル化剤からなる群より選ばれる少なくとも1種である。後述する各シリル化剤、チタニル化剤から選ばれる2種以上を組み合わせて使ってもよい。
前記シリル化剤は、下記化学式1〜4で示される1〜4官能のシリル化剤である。
SiX (化学式1)
SiX (化学式2)
SiX (化学式3)
SiX10 (化学式4)
ただし、式中、R〜Rは各々独立してアルキル基またはアリール基を示し、X〜X10は各々独立して水素原子や加水分解性の置換基や水酸基を示す、
〜Rの例としては、メチル基、エチル基、プロピル基などの脂肪族アルキル基、シクロヘキシル、シクロペンチル、フェニル基、ベンジル基、またはトリル基である、
〜X10の加水分解性の置換基としては、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基などの炭素数が1〜4のアルコキシ基、アセトキシ基、そして塩素、臭素などのハロゲン原子を挙げることができ、このうちハロゲン原子は加水分解すると強酸を生成し、樹脂の分解を起こし機械物性の低下を招き、強酸の除去の追加処理が必須となるため、アルコキシ基、アセトキシ基が好ましく、また、加水分解性の置換基は加水分解すると水酸基となったあとに、酸化物粒子の水酸基と反応するため、水酸基も置換基Xとして好ましい、
より具体的な化合物としては、トリメチルメトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、フェニルジメチルメトキシシラン、ジフェニルメチルメトキシシラン、t−ブチルジメチルメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、テトラエトキシシラン、トリメチルアセトキシシラン、トリエチルアセトキシシラン、フェニルジメチルアセトキシシラン、ジフェニルメチルアセトキシシランなどを例示することができる。これらのうち好ましいのはトリメチルメトキシシラン等のモノメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン等のジメトキシシランである。
前記チタニル化剤は、下記化学式5〜6で示される1〜2官能のチタニル化剤である。
TiX (化学式5)
TiX (化学式6)
ただし、式中、R〜Rは各々独立してアルキル基またはアリール基を示し、X〜Xは各々独立して水素原子や加水分解性の置換基や水酸基を示す、
〜Rの例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、フェニル基、ベンジル基、またはトリル基を挙げることができる、
〜Xの加水分解性の置換基としては、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基などの炭素数が1〜4のアルコキシ基、アセトキシ基、そして塩素、臭素などのハロゲン原子を挙げることができる、
具体例としては、味の素ファインテクノ株式会社KRTTS、KR46B、KR55、KR41B、KR138S、KR238Sなどを例に挙げることができる。
前記改質剤の置換基中に窒素、チオールを有すると、ポリカーボネート樹脂と混合した際に、これらが塩基性、または酸性を示し、ポリカーボネート樹脂の加水分解用の触媒となり、ポリカーボネート樹脂の分子量を低下させるので、改質剤中にはこれらの元素が置換基に含有されないことが好ましい。
分散剤を用いると、樹脂中に、無機粒子を均一に分散するための表面処理と溶液の改質を施すことができる。
(分散剤)
本発明に用いられる分散剤としては、有機スルホン酸、有機リン酸およびこれらの誘導体が挙げられる。これらの1種又は2種以上をもちいてもよい。また、改質剤によりゾル化ができていれば、分散剤を用いなくともよい。ここでいうゾルとは、有機溶媒に粒子が均一に分散している状態を示し、静置後に粒子の自重により沈殿することがない溶液を示すものである。
前記有機スルホン酸としては、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸などのアルキルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、スチレンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸などのアルキルベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸などの芳香族スルホン酸、およびこれらの低級アルコールとのエステル、アルカリ金属塩、アンモニウム塩を挙げることができる。
前記有機リン酸およびその誘導体としては、トリブチルホスフェート、ジエチルホスフェート、メチルホスフェートなどのリン酸モノ/ジ/トリアルキルエステル、トリフェニルホスフェートなどのリン酸アリールエステル、ジメチルフェニルホスホナイトなどのホスホン酸エステル、トリブチルホスファイト、トリフェニルホスファイトなどの亜リン酸エステル、トリフェニルホスフィンオキシドなどのホスフィンオキシド、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドなどの環状亜リン酸エステル、メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、フェニルホスホン酸などのホスホン酸、メチルホスフィン酸、エチルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸などのホスフィン酸、およびこれらの低級アルコールとのエステル、アルカリ金属塩、アンモニウム塩を挙げることができる。
(製造方法)
本発明の製造方法は、改質剤の反応性が向上するように工夫が加えられている。
本発明において、無機粒子と改質剤を作用させる際に、まず、無機粒子を第1の溶媒に分散させた溶液を作製する。この溶液は、第1の溶媒に無機粒子が均一に分散している状態を示し、静置後に無機粒子の自重により沈殿することがない溶液である。無機粒子が均一に分散している状態の判断の目安としては、30日間沈殿が生じないこととする。この状態は粒子同士の凝集が少なく、粒子の表面積の高い状態であり、改質剤との接触面が増えることとなり、結果としてその改質率を向上させることができる。また、改質剤と無機粒子を接触させる際に、分散剤などが無い状態であるため、改質剤の粒子表面の水酸基への反応性を妨げず、改質率を向上させることができる。たとえば、改質剤より先に分散剤を無機粒子と作用させてしまうと、改質率が低下する場合が多い。
ここでいう改質率とは、ICP−AESによって求めた改質済み無機粒子中の金属と改質剤の元素との比率(モル%)である。例えば、γアルミナにメトキシトリメチルシランを作用させて得られた改質済みアルミナの場合、このアルミナ粉末を試料とし、強アルカリに溶解させ、さらには強酸に溶解させ、完全に粉末を溶液に溶かしたものをICP測定することで、Si(mol)/Al(mol)により算出される比率(モル%)を示す。
製造方法の優劣は、この改質率の差と、最終的には樹脂組成物の分子量を測定することで判定が可能である。
無機粒子の第1の溶媒への分散方法としては、無機粒子が水に分散した無機粒子水溶液を入手し、これを凍結乾燥して粉末化した後、第1の溶媒へ分散させる方法が挙げられる。無機粒子を水溶液として入手できない場合には、市販の粉末状無機粒子を蒸留精製水に分散させ、水溶液として用いる。ただし、用いる無機粒子粉末は、強固に粒子同士が癒着していない粒子を選択する。
無機粒子の癒着、凝集の判別テストとしては、粉末粒子を水に入れ、機械撹拌や高圧乳化、ビーズミル、超音波洗浄器による乳化を行い、5〜10質量%水溶液を作製し、24時間静置した後、沈殿が起こるか否かで判断を行う。
たとえば、蓋のできるビンに10gの粉末粒子と蒸留精製水100gに入れ、機械攪拌機を使って3000rpm以上、20分間以上はげしく攪拌する。そして超音波洗浄機を用いて10分間超音波をかけ、ビンを平らな机の上に置き、24時間そのまま放置することで凝集の判別テストを行うことができる。
このテストで沈殿が起こる場合には、本発明の一連の処理を行ったところで、有機溶媒の均一分散溶液を作製することはできない。強固に粒子同士が凝集する理由としては、例えばベーマイトの場合、ベーマイトは300℃以上で加熱し続けると、粒子表面の結晶形態が変化し、隣り合った粒子と結合して強い凝集を起こすからである。また、無機粒子の製造方法も、粒子の強固な凝集に関与する。たとえば、ゾルゲル法、水熱合成法が好ましく、大きな塊を粉砕する粒子の製造方法や、溶融金属や、溶液を噴霧する製造方法を用いた粒子は、現状の技術では凝集した粒子が多く、本発明には適さない。基本的に市場で入手できる粉末は、製造方法が不明な場合が多いため、上記方法で事前にテストを行っておくとよい。
前記凍結乾燥は、無機粒子の水溶液を0℃以下にして凝固させた後、真空下で水を昇華させることで粉末固体を得る方法である。凝固させる方法としては、液体窒素、ドライアイスなどを用いた急速な凍結が好ましい。急速に凍結することによって粒子の凝集を防ぐことができ、第1の溶媒への分散が容易となる。無機粒子の水溶液の固形分濃度はできるだけ高い方が収率、ランニングコストの面で有利であるが、濃度を高めすぎると水溶液中で粒子の凝集が起こる場合もあり、概ねその固形分濃度は、0.1質量%〜70質量%、好ましくは3質量%〜30質量%である。
凍結乾燥法によって得られた粉末は、熱オーブンを用いる単純乾燥法によって得られた粉末よりも、凝集、癒着がないので、第1の溶媒,第2の溶媒、および樹脂中に良好に分散させることができる。熱をかける単純乾燥は、熱のかかる外側がより強く熱せられてしまい、粒子の凝集、癒着が生じてしまったり、内側と外側の乾燥に程度の差が生じてしまったりする。それに対し、凍結乾燥は熱をかけないため、ほぼ凝集なく粒子を乾燥し、また均一に乾燥し、水溶液を粉末化させることができる。
凍結乾燥の代わりに第1の溶媒へ交換する方法としては、無機粒子水溶液から水と第1の溶媒の沸点差を利用する方法、若しくは限外ろ過によって無機粒子水溶液から第1の溶媒へ交換することもできる。
凍結乾燥によって得られた無機粉末は、機械撹拌、高圧乳化、ビーズミル、または超音波洗浄器によって乳化を行い、第1の溶媒へ分散させる。第1の溶媒へ分散させた無機粒子溶液の合格の判断としては、固形分濃度を5〜10質量%とし、24時間静置した後、沈殿が起こるか否かで判断を行う。なお、このとき分散性を向上させる目的で、水を加えてもよい。このときの水は、溶液に対し20質量%以下にすることが好ましい。20質量%を超えると、前述した改質剤が無機粒子表面と反応せずに、自己縮合反応を起こし、粒子表面の改質率が低下する場合があるからである。
第1の溶媒に分散させた無機粒子への改質剤の導入は、その溶液に、改質剤を撹拌しながら加えるだけでよく、必要に応じて加熱することにより実施される。加熱温度は、通常0〜400℃の範囲が選択されるが、常圧で処理する場合は、改質剤の種類、第1の溶媒の種類により加熱温度の上限が決まる。たとえば、改質剤にエトキシトリメチルシラン(沸点76℃)、第1の溶媒に1−ブタノール(沸点117℃)を選択した場合、エトキシトリメチルシランの沸点である76℃をその反応温度とする。
改質剤の反応時間は、特に限定されることはなく、改質剤と第1の溶媒の選択によって異なる。最終的には、改質率を測定することによってその時間を決定する。反応させる際に、改質剤の副生成物を除去しながら反応させるとよい。
第1の溶媒に交換後の溶液の水分量は、20質量%以下である。ただし、用いる改質剤の加水分解性に応じて水分量を調節する。改質剤は水分が多い状況の場合、無機粒子表面と反応せずに、自己縮合反応を起こし、粒子表面改質率が低下するからである。
溶液中の無機粒子の固形分濃度は、15%以下である。用いる無機粒子の種類、粒子の大きさに応じて10%以下が好ましい場合がある。たとえば、ベーマイトを用いた場合は、10%以下に調整することが好ましい。10%を越えると、凝集が顕著になり、粒子表面の改質率は低下するからである。
改質率は、無機粒子の表面の水酸基と改質剤が反応するため、選択する無機粒子に左右されるが、0.1モル%以上である。けれども改質率が高い場合、改質剤が粒子表面に2重、3重に付いている可能性が高く、無機粒子のアスペクト比を損なわせ、得られる樹脂組成物の機械的物性を損失させる、また改質剤が粒子の橋渡しを担い、粒子の凝集が生じ、樹脂組成物の透明性を悪化させる場合がある。
改質率は、得られる樹脂組成物の機械的物性や透明性を損なわない程度であれば上限は特になく、下限もポリカーボネート樹脂の分子量を低下させない改質率があればよい。好ましくは0.1モル%から30モル%である。
第1の溶媒の溶液を第2の溶媒に交換する方法としては、沸点差を利用する方法、限外ろ過を用いる方法の他、第1の溶媒の溶液に貧溶媒を加え、改質剤で改質された粒子を沈殿させ、得られた粒子を第2の溶媒中に、機械撹拌、高圧乳化、ビーズミル、または超音波洗浄機による乳化処理を行う方法を用いることができる。ここでいう貧溶媒とは、第1の溶媒の溶液に加えたときに、粒子の沈殿を起こす溶媒をいう。たとえば、第1の溶媒としてメタノールを選択し、無機粒子としてベーマイト、改質剤としてメトキシフェニルジメチルシランを選択した場合には、貧溶媒としてヘキサンやヘプタンなどの炭化水素溶媒を加えることで、粒子が析出する。析出した粒子は、貧溶媒で何度も洗ってよいが、熱オーブンに入れての乾燥は避けることが好ましい。乾燥により、粒子の凝集が起こり、第2の溶媒への均一分散性が損なわれるからである。
沸点差を利用する方法では、第2の溶媒の中から第1の溶媒の沸点より高いものを選択する。選択した第2の溶媒を、第1の溶媒溶液に良く撹拌しながら加えて行く。このとき加えた第2の溶媒と第1の溶媒が2層分離し、相溶しない場合や、粒子の沈殿が起きてしまう場合は、上述した分散剤を適量第2の溶媒へ加える前に、第1の溶媒の溶液に添加しておく。第1の溶媒と共沸する溶媒も用いることができるが、交換に要する第2の溶媒の使用量が多くなることや、それに伴う時間を考慮すると、第1の溶媒の沸点より高い溶媒を選択することが好ましい。
限外ろ過を利用する方法では、第1の溶媒に交換したときと同様に、沸点差の制限を受けることなく第2の溶媒の中から溶媒を選択することができる。限外ろ過は、第1の溶媒溶液に交換させたい第2の溶媒を加え、ろ過を繰り返すことで、第2の溶媒の濃度を高めて行く方法である。上記と同様に、加えた第2の溶媒と第1の溶媒が2層分離し、相溶しない場合や、粒子の沈殿が起きてしまう場合は、限外ろ過膜の目詰まりを起こすため、分散剤を適量第2の溶媒へ加える前に、第1の溶媒の溶液に添加しておく。
なお、第2の溶媒に変更せずとも、得られる樹脂組成物の透明性と機械的物性が得られる場合には、あえて第2の溶媒へ交換する必要はない。用いる熱可塑性樹脂、透明性、機械的物性に応じて第2の溶媒へ交換する。
溶液中の無機粒子の固形分濃度は、15%以下である。用いる無機粒子の種類、粒子の大きさに応じて10%以下が好ましい場合がある。たとえば、ベーマイトを用いた場合は、10%以下に調整することが好ましい。10%を越えると、凝集が顕著となるからである。
(樹脂組成物の製造方法)
本発明の樹脂組成物を製造する方法としては、直接混練法が挙げられる。この方法では、無機粒子の分散溶液と熱可塑性樹脂を加熱混合し、溶融混練することにより樹脂組成物を得ることができる。溶融混練に用いる混練機としては、一般的な二軸混練押出機、微量混練押出機、ラボプラストミル、ロール混練機等、製造スケールに応じて選択して用いることができる。
第2の製造方法としては、重合法が挙げられる。無機粒子の分散溶液に熱可塑性樹脂のモノマーを混合して混合溶液を調整し、その後モノマーを重合させることでモノマーをポリマーとし、樹脂組成物を得ることができる。
第3の製造方法としては、溶媒を除去する方法が挙げられる。無機粒子の分散溶液に熱可塑性樹脂を混合して混合溶液を調整し、溶媒を除去して樹脂組成物を得ることができる。溶媒の除去は、用いた溶媒の留去に必要な温度と圧力下にて行う。溶媒の減量と共に、混合溶液の粘度が上昇するが、撹拌できなくなるまで撹拌を継続することが望ましく、これにより樹脂組成物中における無機粒子を均一に分散させることができる。そのほかにも、溶媒の減量には、薄膜蒸発装置やニーダー、スプレードライなどの撹拌機構のない装置を用いることも可能である。
(樹脂組成物)
本発明の樹脂組成物において、無機粒子の含有量は、通常、空気中600℃に加熱して得られる灰分として0.1〜70質量%である。樹脂組成物の機械的強度や弾性率を高める点で、その下限は、5質量%が好ましく、更に好ましくは10質量%、最も好ましくは15質量%である。樹脂組成物の脆化と成形性を確保する点で、その上限は、60質量%が好ましく、更に好ましくは50質量%、最も好ましくは40質量%である。
本発明の樹脂組成物に用いられる樹脂としては、熱可塑性樹脂を用いることが好ましく、具体的には、前記熱可塑性樹脂の化学構造の繰返し単位が、エステル結合、エーテル結合、アミド結合、イミド結合、ウレタン結合、スルフィド結合およびスルホン結合から選ばれる少なくとも1種を含むものが好ましい。ここで、たとえば、エステル結合はポリカーボネート及びポリエステルを構成し、エーテル結合はポリエチレングリコールを構成し、アミド結合はポリアミドを構成し、イミド結合は芳香族ポリイミドを構成し、ウレタン結合はポリウレタンを構成し、スルフィド結合はポリスルフィドを構成し、およびスルホン結合はポリスルホンを構成する。好ましいものはビスフェノールAポリカーボネートであり、GPC(40℃クロロホルム中で単分散ポリスチレンを対照として測定)による重量平均分子量が2万〜8万のものが好ましく、さらには5万〜7万のものが好ましい。
(無機粒子の分散溶液の用途)
本発明の無機粒子の分散溶液の製造方法は、これまで困難であった無機粒子の有機溶媒への分散を可能とした。また、無機粒子の分散溶液は、第1の溶媒、第2の溶媒からなる様々な溶媒に、無機粒子を均一に分散させることができることから、樹脂組成物の原料として用いることができる。また、この他にも塗料、研磨剤など様々な分野に用いることができる。
(樹脂組成物の用途)
本発明の樹脂組成物は、ガラスとは異なり、軽量であり、耐衝撃性が高く、樹脂のメリットである造型の自由度も有している。その用途としては、例えば自動車内装材として計器類のカバー、針、そしてオーディオ、カーナビなどの電装部品の筐体などに、自動車用外装材として、窓ガラス、サンルーフなどに、また、ヘッドランプカバー、ターンシグナルカバーなどの灯火カバーなどに用いることもできる。更には、自動車用の用途に限らず、家電や住宅の透明材の代替として用いることができる。
以下に実施例を挙げるが、本発明はこれに制限されるものではない。
(分析機器、評価方法)
<分散溶液の分散状態の判別>
目視にて3段階に判別した。分散溶液を5.0質量%に調整した後、50mLのサンプル瓶に入れ、室温で24時間静置したものを試料とした。
目視により沈殿が起きるなど、明らかに2層分離しているものを不可と判断する。うっすらと一層、サンプル瓶の底に沈殿が起きてしまう溶液を可、沈殿は起きていないが、透明感の無い溶液を良、沈殿も無く透明感を有するものを優と判別することとした。
<分散溶液中の無機粒子の改質率の測定方法>
分散溶液に、貧溶媒を加えるか、もしくは超遠心分離機(30000回転以上のスペックを推奨する)を用い粒子を取り出す。得られた粒子は、分散していた溶媒と、改質剤や改質剤の副生成物を良く溶解する溶媒を用い良く洗浄する(目安として3回以上)。得られた粒子を、100℃の真空オーブンに入れ、よく乾燥させ試料とした。
試料をアルカリ溶融後、酸溶融させた溶液に対しICP−AES(島津製作所製)を用いて測定し、改質剤の特徴金属と、無機粒子の特徴金属のモル比を算出した。
<樹脂組成物中の灰分の測定方法>
樹脂組成物そのままを試料として、示差熱・熱重量同時測定装置(TG−DTA)(TG−DTA320セイコーインスツルメンツ(株)製)を用い測定した。測定条件は、測定温度:23〜600℃、昇温速度10℃/分とし、600℃で30分保持した重量減から算出した。
<樹脂組成物の重量平均分子量(Mn)の測定方法>
樹脂組成物の0.1質量%のクロロホルム溶液を調整し、0.45μmのフィルターでろ過し、可溶分のみをゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)(システム8000東ソー(株)製)を用い測定した。カラムはPL GEL mixed−Dを用い、検出器はUV(254nm)である。
<樹脂組成物の曲げ弾性率の測定方法>
樹脂組成物を溶融混練し、小型射出成型機を用いJIS試験片を試料とした。万能試験機(5867卓上型インストロン社製)を用いJIS K7171に準拠し、測定を行った。試験速度は1.0mm/min、試験温度は23℃である。
<アイゾット衝撃試験>
樹脂組成物を溶融混練し、射出成型機を用いJIS試験片を試料とした。アイゾット衝撃試験機(195LFR(株)安田精機製作所製)を用いJIS K7110に準拠し測定を行った。
<樹脂組成物の線膨張係数の測定方法>
樹脂組成物を真空微量混練機で混練し、直径3mm、長さ10mmのストランドを試料とし、熱機械測定装置(セイコー電子工業(株)製 TMA120C)を用い測定した。測定条件は昇温速度5℃/分、30℃〜60℃の範囲で、長さ方向の寸法変化から算出した。
<樹脂組成物のヘーズ(曇価)、全光線透過率の測定方法>
樹脂組成物を溶融混練した後、単純に加熱プレス成型をして、厚さ1mmの試験フィルムを作製し、村上色彩技術研究所製HM−65を用い測定した。測定方法はJIS K7105の方法に準拠する。
(無機粒子の調製)
<無機粒子(ベーマイト水溶液)>
触媒化成工業(株)製「Cataloid−AS−3」 (水分散のベーマイト、ベーマイトの長軸長さ100nm、短軸長さ10nm、固形分濃度7質量%)1000mLを透析膜(三光純薬工業株式会社製「透析膜UC1−7−8−50])の中に加えた。この透析膜を蒸留水中に浸し、6時間ごとに蒸留水を4回交換することで金属イオンの低減の処理を行った。このとき、アルミニウム以外の金属はナトリウムが50ppmとなっていた。得られたベーマイト水溶液を、関西保存化学工業株式会社に依頼し、凍結乾燥を行った。得られた粉末を、さらに真空オーブンを用い50℃で24時間乾燥させ、実験に用いる無機粒子とした。
(装置、器具)
特別に明記してあるもの以外は入手容易な一般的な仕様のものである。
(試薬)
特別に明記してあるもの以外は入手容易な一般等級のものである。
粒子分散溶液(実施例1〜実施例6)
(実施例1)
蓋のできるビンの中に、無機粒子20gと第1の溶媒としてエタノール500gを加え、超音波分散機や機械撹拌器を用い20分間よく撹拌した。1時間静置すると、分散しきらない粒子が底に残るので、これらを巻き込まないように上澄みを別容器に保管した。底に残った粒子にさらにエタノール500gを加え、同様に上澄みを回収した。この操作を数回繰返し、集めた上澄みを5質量%に濃縮してエタノール分散溶液を得た。このエタノール分散溶液400gに、室温でよく撹拌しながら改質剤としてメトキシフェニルジメチルシラン(信越化学工業製)20gを加え、24時間撹拌した。撹拌終了後、遠心分離機を用いて粒子を取り出し、乾燥させずに、分散剤として4gのベンジルホスホン酸を溶かしたシクロヘキサノン3000gに超音波分散機や機械撹拌器を用い粒子を分散させ、エバポレーターを用い濃度を5質量%に調整し、粒子分散溶液を得た。
溶液は透明感があり、沈殿もなく、良好に粒子が分散している状態であった。
(実施例2)
蓋のできるビンの中に、無機粒子20gと第1の溶媒としてメタノール500gを加え、超音波分散機や機械撹拌器を用い20分間よく撹拌した。1時間静置すると、分散しきらない粒子が底に残るので、これらを巻き込まないように上澄みのみを別容器に保管した。底に残った粒子にさらにメタノール500gを加え、同様に上澄みを回収した。この操作を数回繰返し、集めた上澄みを5質量%に濃縮してメタノール分散溶液を得た。このメタノール分散溶液400gに、室温でよく撹拌しながら改質剤としてメトキシトリメチルシラン(信越化学工業製)30gと、1規定塩酸10gを加え、24時間撹拌した。撹拌終了後、遠心分離機を用いて粒子を取り出し、乾燥させずに、分散剤として4gのドデシルベンゼンスルホン酸を溶かしたテトラヒドロフラン3000gに超音波分散機や機械撹拌器を用い粒子を分散させ、エバポレーターを用い濃度を5質量%に調整し、粒子分散溶液を得た。
溶液は白色であるも、透明感があり、沈殿もなく、良好に粒子が分散している状態であった。
(実施例3)
蓋のできるビンの中に、無機粒子20gと第1の溶媒として1−ブタノール500gを加え、超音波分散機や機械撹拌器を用い20分間良く撹拌した。1時間静置すると、分散しきらない粒子が底に残るので、これらを巻き込まないように上澄みのみを別容器に保管した。底に残った粒子にさらに1−ブタノール500gを加え、同様に上澄みを回収した。この操作を数回繰返し、集めた上澄みを5質量%に濃縮して1−ブタノール分散溶液を得た。この1−ブタノール分散溶液400gに、室温でよく撹拌しながら改質剤としてメトキシトリメチルシラン(信越化学工業製)30gと、1規定塩酸10gを加え、24時間撹拌した。撹拌終了後、遠心分離機を用いて粒子を取り出し、乾燥させずに、分散剤として1.5gのp−トルエンスルホン酸を溶かしたジクロロメタンに超音波分散機や機械撹拌器を用い粒子を分散させ、エバポレーターを用い濃度を5質量%に調整し、粒子分散溶液を得た。
得られた溶液は、30分ほどで底に沈殿を生じてしまうが、撹拌すると再び溶液中に懸濁できたので、樹脂組成物の原料として用いることとした。
(実施例4)
蓋のできるビンの中に、無機粒子20gと、第1の溶媒としてペンタノール500gを加え、超音波分散機や機械撹拌器を用い20分間よく撹拌した。1時間静置すると、分散しきらない粒子が底に残るので、これらを巻き込まないように上澄みのみを別容器に保管した。底に残った粒子にさらにペンタノール500gを加え、同様に上澄みを回収した。この操作を数回繰返し、集めた上澄みを5質量%に濃縮してペンタノール分散溶液を得た。このペンタノール分散溶液400gに、室温でよく撹拌しながら改質剤としてチタネートKRTTS(味の素ファインテクノ(株)製)20gを加えた。次に、遠心分離機を用いて粒子を取り出し、ヘキサンに再分散させ、遠心分離機で再び沈殿させる操作を3回繰り返した。この改質剤を使うと、低沸点溶媒であるペンタンに粒子が分散できるので、得られた粒子をペンタンに5質量%になるように分散させた。このペンタン溶液400gに、第2の溶媒としてテトラヒドロフランを1000g加え、エバポレーターを用い第2の溶媒へ交換した。途中、共沸するので適宜テトラヒドロフランを追加しながら沸点差を利用して第2の溶媒へ交換し、粒子分散溶液を得た。最終的に粒子分散溶液は3質量%に調整した。
溶液は透明感があり、分散良好と判定できたが、溶液が赤く着色してしまったため、樹脂組成物の原料として用いなかった。
(実施例5)
蓋のできるビンの中に、無機粒子20gと第1の溶媒としてテトラヒドロフラン1000gを加え、超音波分散機や機械撹拌器を用い20分間よく撹拌した。1時間静置すると、分散しきらない粒子が底に残るので、これらを巻き込まないように上澄みのみを別容器に保管した。底に残った粒子にさらにテトラヒドロフラン1000gを加え、同様にして上澄みを回収した。この操作を数回繰返し、集めた上澄みを5質量%に濃縮してテトラヒドロフラン分散溶液を得た。このテトラヒドロフラン分散溶液400gに、改質剤としてテトラエトキシシラン(信越化学工業製)20gと、1規定塩酸10gを加え、24時間撹拌した。撹拌終了後、さらに追加の改質剤としてメトキシトリメチルシラン(信越化学工業製)10gを加え、室温で8時間撹拌し、テトラヒドロフランを3000gと分散剤としてドデシルベンゼンスルホン酸5gを加え、限外ろ過装置を用いろ過を繰返した。不純物を除去した後、エバポレーターを用い濃度を5質量%に調整し、粒子分散溶液を得た。
分散液をサンプル瓶に入れてしばらく放置すると、底に薄く沈殿と、2層の分離を生じたが、撹拌すると再び分散が可能であった。
(実施例6)
蓋のできるビンの中に、無機粒子20gと第1の溶媒として1−ブタノール500gを加え、超音波分散機や機械撹拌器を用い30分間よく撹拌した。1時間静置すると、分散しきらない粒子が底に残るので、これらを巻き込まないように上澄みのみを別容器に保管した。底に残った粒子にさらに1−ブタノール500gを加え、同様に上澄みを回収した。この操作を数回繰返し、集めた上澄みを5質量%に濃縮して1−ブタノール分散溶液を得た。この1−ブタノール分散溶液500gに、シラン系改質剤としてKPN3504(信越化学工業製)10gと、1規定塩酸10gを加え、24時間撹拌した。撹拌終了後、遠心分離機を用いて粒子を取り出し、乾燥させずに、分散剤として2gのパラトルエンスルホン酸を溶かしたテトラヒドロフラン3000gに超音波分散機や機械撹拌器を用い粒子を分散させ、エバポレーターを用い濃度を5質量%に調整し、粒子分散溶液を得た。
溶液は、透明感は無いものの、沈殿は無く良好に粒子が分散している状態であった。
樹脂組成物(実施例7〜実施例12)
(実施例7)
実施例1で得られた固形分5質量%のシクロヘキサノン溶液1000gに、ビスフェノールA(関東化学(株)製)13,7g、ジフェニルカーボネート(関東化学(株)製)10,7g、重合触媒として酸化亜鉛を加えて、徐々に減圧度を上げながら200℃まで温度を上げ、溶媒を除去し、エステル交換反応を起こさせた。280℃、0.1mmHg以下の減圧下で4時間温度を保持し続けた。加熱終了後、放冷した後に微量混練機を用い230℃に保持し、15rpmにて5分間混練して押出し、樹脂組成物を得た。
樹脂組成物の物性を測定した結果本樹脂組成物は透明性と機械的物性を兼ね備えていた。
(実施例8)
実施例1で得られた固形分5質量%のシクロヘキサノン溶液1000gに、エチレングリコール500gとジメチルテレフタル酸795g、重合触媒として酢酸亜鉛0.08gを加えて、徐々に減圧度を上げながら200℃まで温度を上げ、溶媒を除去し、エステル交換反応を起こさせた。280℃、0.1mmHg以下の減圧下で4時間温度を保持し続けた。加熱終了後、放冷した後に微量混練機を用い230℃に保持し、15rpmにて5分間混練して押出し、樹脂組成物を得た。
樹脂組成物の物性を測定した結果本樹脂組成物は透明性と機械的物性を兼ね備えていた。
(実施例9)
実施例2で得られた固形分5質量%のテトラヒドロフラン溶液500gに、よく撹拌しながらポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製ノバレックス7030A、前記GPCによる重量平均分子量は6.5万)を10質量%溶解させたジクロロメタン溶液580gを加え、エバポレーターを用いて溶媒をおおまかに除去した。次に、容器を100℃に保ちながら、真空ポンプを用い0.1mmHg以下の減圧下で溶媒除去と乾燥を24時間行った。放熱した後に微量混練機を用い230℃に保持し、15rpmにて5分間混練して押出し、樹脂組成物を得た。
樹脂組成物の物性を測定した結果本樹脂組成物は透明性と機械的物性を兼ね備えていた。
(実施例10)
実施例3で得られた固形分5質量%のジクロロメタン溶液500gに、よく撹拌しながらポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製ノバレックス7030A)を10質量%溶解させたジクロロメタン溶液580gを加え、エバポレーターを用い溶媒をおおまかに除去した。次に、容器を100℃に保ちながら、真空ポンプを用い0.1mmHg以下の減圧下で溶媒除去と乾燥を24時間行った。放熱した後に、微量混練機を用い230℃に保持し、15rpmにて5分間混練して押出し、樹脂組成物を得た。
樹脂組成物の物性を測定した結果本樹脂組成物は透明性と機械的物性を兼ね備えていた。
(実施例11)
実施例5で得られた固形分5質量%のテトラヒドロフラン溶液500gに、よく撹拌しながらポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製ノバレックス7030A)を10質量%溶解させたジクロロメタン溶液580gを加えて溶液を作製した。得られた溶液に貧溶媒としてヘプタンを加え、樹脂組成物粉末を沈殿させた。得られた粉末は風乾した後、真空ポンプを用い0.1mmHg以下の減圧下で溶媒除去と乾燥を24時間行った。放熱した後に、微量混練機を用いて230℃に保持し、15rpmにて5分間混練して押出し、樹脂組成物を得た。
樹脂組成物の物性を測定した結果本樹脂組成物は透明性と機械的物性を兼ね備えていた。
(実施例12)
実施例6で得られた固形分5質量%のテトラヒドロフラン溶液500gに、よく撹拌しながらポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製ノバレックス7030A)を10質量%溶解させたジクロロメタン溶液580gを加え、得られた溶液は大河原工業(株)製スプレードライ装置を用い樹脂粉末とした。得られた粉末は、真空ポンプを用い0.1mmHg以下の減圧下で溶媒除去と乾燥を24時間行った。放熱した後に、微量混練機を用い230℃に保持し、15rpmにて5分間混練して押出し、樹脂組成物を得た。
樹脂組成物の物性を測定した結果本樹脂組成物は透明性と機械的物性を兼ね備えていた。
粒子分散溶液(比較例1〜比較例5)
(比較例1)
ガラス繊維「サーフェストランドREV4」(短軸長さ13μm、長軸長さ70μm、サンゴバン・セラミック・マテリアルズ株式会社製)50gを、第1の溶媒としてテトラヒドロフラン450gに加え、よく撹拌しながらメトキシフェニルジメチルシラン(信越化学工業(株)製)50g、1規定塩酸10gを加え、72時間、60℃で反応させた。得られた粒子分散溶液は撹拌をやめるとすぐに沈殿が起きた。
粒子のサイズも大きく、また用いた粒子表面の水酸基も少ないため、良好な分散溶液を作ることができなかったと考えられる。
(比較例2)
5.0M水酸化ナトリウム溶液200gと2.0M塩化アルミニウム200gを、テフロンライナー付きのオートクレーブに加え、8時間、180℃に加熱すると、中身にゲル状のものができたので、遠心分離機(30000回転、30分)を用い沈殿物を取り出すと、長軸長さ200nm、短軸長さ5nmのベーマイト粒子を作製することができた。このベーマイトを、蒸留水を使って10質量%の水溶液とし、フリーズドライを行い約20gの粉末を得た。粉末10gを、第1の溶媒としてエタノール1000gに加え、よく撹拌した。しかし、撹拌をやめると粒子はすぐに沈殿してしまった。
このベーマイト粒子のナトリウム量を調べると、原料の水酸化ナトリウムに由来するナトリウムが8000ppm含まれていた。ナトリウムの量が多いため、エタノール中に分散させることができなかった。
(比較例3)
ふたのできるビンの中に、実施例で共通に用いている無機粒子20gと第1の溶媒としてテトラヒドロフラン1000gを加え、超音波分散機や機械撹拌機を用い20分間よく撹拌した。1時間静置すると、分散しきらない粒子が底に残るので、これらを巻き込まないように上澄みのみを別容器に保管した。底に残った粒子にさらにテトラヒドロフラン1000gを加え、同様に上澄みを回収した。この操作を数回繰り返し、集めた上澄みを5質量%に濃縮して、改質剤なし、分散剤なしのテトラヒドロフラン分散溶液を得た。
(比較例4)
触媒化成工業(株)製「Cataloid−AS−3」(水分散のベーマイト、ベーマイトの長軸長さ100nm、短軸長さ10nm、固形分濃度7質量%)700gとシクロヘキサノン3000g、そして分散剤としてドデシルベンゼンスルホン酸8.3gを加えた。するとエマルションを形成するが、かまわずエバポレーターを用い水とシクロヘキサノンを共沸させながらシクロヘキサノンに溶媒を交換した。すると均一に分散した粒子分散溶液を得ることができた。
(比較例5)
フラスコ内に、テトラリン220mLとトルエン300mL、γアルミナフィラー(アルゴナイド社製、長軸長さ40〜200nm、短軸長さ2〜3nm)55g、そして改質剤として3−アミノプロピルトリメトキシシラン200mLを加え、8時間加熱還流させた。放冷し、沈殿物をガラスフィルターで濾別し、風乾した。さらに、粉末を全量、よく撹拌しながらテトラヒドロフランに懸濁させ、無水フタル酸50gを加え、6時間加熱還流させた。放冷し、沈殿物をガラスフィルターで濾別し、風乾した後、真空オーブンで24時間、100℃で加熱し、粉末を得た。こうすることで、粒子表面にイミド基を有する粒子を得ることができた。次に、この粉末50gをエチレングリコール2000gと共に、ビーズミル(0.3mmジルコニアボール)処理を10分間行い、エチレングリコール分散粒子分散溶液を得た。
この溶液は分散剤が無く、5質量%に濃縮すると粒子の沈殿が生じるため、2%以下で濃度調整を行った。また、3官能のシリル化剤であり、改質率が高く出ている。
(比較例6)
比較例4で得られたシクロヘキサノン分散溶液の5質量%溶液500gに、アセトキシトリメチルシラン100gをよく撹拌しながらそのまま加え、60℃で24時間反応させた。反応終了後、さらにシクロヘキサノン500gを加え、エバポレーターを用い500gほど蒸留し、余剰のシリル化剤を除去し、固形分を5質量%に調節して、粒子分散溶液を得た。
溶液は透明感があり、粒子分散性良好である。
樹脂組成物(比較例7〜比較例11)
(比較例7)
比較例1で得られたテトラヒドロフラン分散ガラス繊維溶液の5質量%溶液400gをよく撹拌して懸濁させながら、ポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製ノバレックス7030A)10質量%を溶解させたジクロロメタン溶液400gを加え、すぐにエバポレーターを用い溶媒をおおまかに除去した。次に、容器を100℃に保ちながら、真空ポンプを用い0.1mmHg以下の減圧下で溶媒除去と乾燥を24時間行った。放熱した後に微量混練機を用い230℃に保持し、15rpmにて5分間混練して押出し、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物は、充填剤のガラス繊維のサイズが多きすぎ、透明性が失われたものの、機械的物性は優れていた。本樹脂組成物は、目的である透明部材として用いることはできない。
(比較例8)
比較例3で得られたテトラヒドロフラン分散ベーマイト溶液の5質量%溶液300gをよく撹拌しながら、ポリカーボネート10質量%を溶解させたジクロロメタン溶液350gを加え、すぐにエバポレーターを用い溶媒をおおまかに除去した。次に、容器を100℃に保ちながら、真空ポンプを用い0.1mmHg以下の減圧下で溶媒除去と乾燥を24時間行った。放熱した後に微量混練機を用い230℃に保持し、15rpmにて5分間混練して押出し、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物は分子量が低下し、脆かった。
(比較例9)
比較例4で得られたシクロヘキサノン分散ベーマイト溶液の5質量%溶液400gをよく撹拌しながら、ポリカーボネート10質量%を溶解させたジクロロメタン溶液400gを加え、すぐにエバポレーターを用い溶媒をおおまかに除去した。次に、容器を100℃に保ちながら、真空ポンプを用い0.1mmHg以下の減圧下で溶媒除去と乾燥を24時間行った。放熱した後に微量混練機を用いて230℃に保持し、15rpmにて5分間混練して押出し、樹脂組成物を得た。
この得られた樹脂組成物も分子量が低下し、脆かった。
(比較例10)
比較例5で得られたエチレングリコール分散ベーマイト溶液の1質量%溶液1500gをよく撹拌しながら、ジメチルテレフタル酸240g、重合触媒として酢酸亜鉛0.01gを加えて、徐々に減圧度を上げながら200℃まで温度を上げ、溶媒を除去し、エステル交換反応を起こさせた。280℃、0.1mmHg以下の減圧下で4時間温度を保持し続けた。加熱終了後、放冷した後に微量混練機を用い230℃に保持し、15rpmにて5分間混練して押出し、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物は、改質剤に含まれるアミノ基のため、分子量の低下が見られた。また、凝集物とみられる塊が目視できた。
(比較例11)
比較例6で得られたシクロヘキサノン分散ベーマイト溶液の5質量%溶液400gをよく撹拌しながらポリカーボネート10質量%を溶解させたジクロロメタン溶液400gを加え、すぐにエバポレーターを用い溶媒をおおまかに除去した。次に、容器を100℃に保ちながら、真空ポンプを用い0.1mmHg以下の減圧下で溶媒除去と乾燥を24時間行った。放熱した後に微量混練機を用い230℃に保持し、15rpmにて5分間混練して押出し、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物は分子量が低下し、脆かった。
以上、実施例1〜実施例6、比較例1〜比較例6における分散溶液の分散状態の判別、分散溶液中の粒子の改質率を表1に、実施例7〜実施例12、比較例7〜比較例11における樹脂組成物の灰分、分子量、物性(曲げ弾性率、線膨張係数)、透明性(ヘーズ、全光線透過率)を表2にまとめた。
なお、参考例として市販ポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチック(株)ノバレックス7030Aの物性も記載した。市販ポリカーボネートは、透明性、耐衝撃性に優れているが、曲げ弾性率、線膨張係数に劣り、本発明の用途には適していない。

Claims (16)

  1. 無機粒子の水溶液を凍結乾燥し、
    得られた乾燥無機粒子を第1の溶媒に分散させた後、その液相下で改質剤と接触させ、さらに、第2の溶媒を加えてから該無機粒子の表面を改質し、
    その後、第1の溶媒を除去して第2の溶媒のみに、該改質無機粒子を分散させることを特徴とする改質無機粒子の分散溶液の製造方法。
  2. 前記第2の溶媒を加える際に、分散剤を加えることを特徴とする請求項1記載の改質無機粒子の分散溶液の製造方法。
  3. 前記第1の溶媒は、水と親和性を有する化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の改質無機粒子の分散溶液の製造方法。
  4. 前記第1の溶媒は、アルコール、テトラヒドロフラン、カルボン酸、およびDMFからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の改質無機粒子の分散溶液の製造方法。
  5. 前記第2の溶媒は、第1の溶媒、または樹脂を溶解させることができる溶媒であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の改質無機粒子の分散溶液の製造方法。
  6. 前記第2の溶媒は、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、1,4−ジオキサン、ジクロロベンゼン、1,3−ジオキソラン、およびシクロヘキサノンからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の改質無機粒子の分散溶液の製造方法。
  7. 前記無機粒子は、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化銅、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化ナトリウム、および酸化イットリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の改質無機粒子の分散溶液の製造方法。
  8. 前記無機粒子は、シリカ、ベーマイト、ヘマタイト、チタニア、およびカルシアからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の改質無機粒子の分散溶液の製造方法。
  9. 前記改質剤は、シリル化剤、およびチタニル化剤からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の改質無機粒子の分散溶液の製造方法。
  10. 前記分散剤は、有機スルホン酸、有機リン酸およびこれらの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項2〜9のいずれか1項に記載の改質無機粒子の分散溶液の製造方法。
  11. 請求項1ないし10のいずれか一つに記載の改質無機粒子の分散溶液の製造方法で得られてなることを特徴とする改質無機粒子の分散溶液。
  12. 請求項1ないし10のいずれか一つに記載の改質無機粒子の分散溶液の製造方法で得られた粒子の分散溶液、または請求項11記載の粒子の分散溶液と熱可塑性樹脂とを混合し、溶融混練することによって熱可塑性樹脂の組成物を製造することを特徴とする、熱可塑性樹脂の組成物の製造方法。
  13. 請求項1ないし10のいずれか一つに記載の改質無機粒子の分散溶液の製造方法で得られた粒子の分散溶液、または請求項11記載の粒子の分散溶液に熱可塑性樹脂のモノマーを配合し、前記モノマーを重合させることによって熱可塑性樹脂の組成物を製造することを特徴とする、熱可塑性樹脂の組成物の製造方法。
  14. 請求項1ないし10のいずれか一つに記載の改質無機粒子の分散溶液の製造方法で得られた粒子の分散溶液、または請求項11記載の粒子の分散溶液に熱可塑性樹脂を分散混合し、高温減圧下において溶媒のみを瑠去して、熱可塑性樹脂の組成物を製造することを特徴とする、熱可塑性樹脂の組成物の製造方法。
  15. 前記熱可塑性樹脂の化学構造の繰返し単位が、エステル結合、エーテル結合、アミド結合、イミド結合、ウレタン結合、スルフィド結合およびスルホン結合から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項12ないし14から選ばれる少なくとも1つに記載の熱可塑性樹脂の組成物の製造方法。
  16. 請求項12ないし15のいずれか一つに記載の熱可塑性樹脂の組成物の製造方法で得られてなることを特徴とする熱可塑性樹脂の組成物。
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