JP2009234432A - 自動車用窓材 - Google Patents
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Abstract
【課題】軽量化され、開放感があり、熱膨張が小さく、かつ見栄えを損なうことがほとんどない自動車用窓材を提供する。
【解決手段】透明樹脂から形成される板材と、前記板材に用いられる透明樹脂と同じ透明樹脂および表面処理された無機ナノ粒子を含む複合樹脂から形成される枠材と、を含む自動車用窓材であって、前記枠材が前記板材の外周部の少なくとも一部と一体化されてなることを特徴とする、自動車用窓材である。
【選択図】図1
【解決手段】透明樹脂から形成される板材と、前記板材に用いられる透明樹脂と同じ透明樹脂および表面処理された無機ナノ粒子を含む複合樹脂から形成される枠材と、を含む自動車用窓材であって、前記枠材が前記板材の外周部の少なくとも一部と一体化されてなることを特徴とする、自動車用窓材である。
【選択図】図1
Description
本発明は、自動車用窓材に関する。さらに詳細には、本発明は、視界や開放感を向上させた自動車用窓材に関する。
現在の自動車用のサンルーフは、特に開放感を向上させる観点から大型化が進み、面積が1m2を超える大型のサンルーフも珍しくなくなってきている。構成する材料としては、ガラス製のものでは、JIS R3211に規定された2枚のガラス板をポリビニルブチラールの中間膜接着剤で接着した合わせガラスがある。合わせガラスを用いないものでは、JIS R3211に規定されたガラス1枚からなる強化ガラスが一般に知られている。しかしながら、ガラス製のサンルーフは、車両の重量増に繋がることから、これに代わる軽量である材料が求められている。
ガラスに代わる軽量の透明材料としては、透明樹脂を用いたものが知られている。例えば、特許文献1には、透明プラスチック基材表面にアクリル樹脂を50質量%以上含有する塗膜層と、オルガノシロキサン樹脂からなる熱硬化塗膜層とが積層された透明プラスチック複合体が開示されている。
特許文献2には、常温硬化型接着剤を使用した接着剤層と合成樹脂板およびガラス板とが密着して剥離を生じない合成樹脂板とガラス板との異材合わせガラス板およびその製造方法が開示されている。また、特許文献2には、ガラス板と、アクリル樹脂およびポリカーボネート樹脂の共押出シートとの複層体であって、ガラス板はアクリル樹脂面でポリビニルブチラール樹脂を介して接合している積層体が開示されている。
さらに、特許文献3には、ガラス板と、複数枚の同種または異種の樹脂シートとを重ね合わせてなる樹脂板とが一体化した異層合わせガラスが開示されている。
特開2001−232728号公報
特開平6−99547号公報
特開2000−1345号公報
上述のように、ガラスに代わる窓材としては多くの公知技術があるが、軽量化という目的においては、特許文献1に記載のような、透明樹脂を用いたものしかない。しかしながら、樹脂のみから形成される窓材は、材料の熱膨張が大きいことから隣接する部品との隙間を大きくせざるを得ないなど、見栄えを損なうことに繋がる。
熱膨張を抑制するためには、例えば、ガラス繊維などで補強した樹脂で窓材の外周部を包埋するまたは接着するという手段があるが、このような材料は不透明であることから、開放感が損なわれるという問題があった。
そこで本発明は、軽量化され、開放感があり、熱膨張が小さく、かつ見栄えを損なうことがほとんどない自動車用窓材を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題に鑑み、鋭意研究を積み重ねた結果、以下のことを見出した。すなわち、透明樹脂から形成される板材と、板材に用いられる透明樹脂と同じ透明樹脂および表面処理された無機ナノ粒子を含む複合樹脂から形成される枠材と、を含む自動車用窓材が、本発明の課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、透明樹脂から形成される板材と、前記板材に用いられる透明樹脂と同じ透明樹脂および表面処理された無機ナノ粒子を含む複合樹脂から形成される枠材と、を含む自動車用窓材であって、前記枠材が前記板材の外周部の少なくとも一部と一体化されてなることを特徴とする、自動車用窓材である。
本発明によれば、軽量化され、開放感があり、熱膨張が小さく、かつ見栄えを損なうことがほとんどない自動車用窓材が提供されうる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、透明樹脂から形成される板材と、前記板材に用いられる透明樹脂と同じ透明樹脂および表面処理された無機ナノ粒子を含む複合樹脂から形成される枠材と、を含む自動車用窓材であって、前記枠材が前記板材の外周部の少なくとも一部と一体化されてなることを特徴とする、自動車用窓材である。
まず、本発明の自動車用窓材について、図面を参照して説明する。なお、本発明においては、説明の都合上、図面が誇張されており、本発明の技術的範囲は、図面に掲示する形態に限定されない。したがって、図面以外の形態も採用されうる。
図1は、本発明の自動車用窓材の一例を示す概略平面図およびA−A線概略断面図である。図1に示す自動車用窓材10は、透明樹脂から形成される板材1の外周部すべてが、透明樹脂と無機ナノ粒子とを吹含む複合樹脂から形成される枠材2と一体化されている。このように板材と枠材とを一体化させることによって、透明樹脂の熱膨張が大きい場合であっても、透明樹脂および複合樹脂の複合構造体である本発明の自動車用窓材の熱膨張を抑制することができる。また、透明樹脂に無機ナノ粒子を分散させた複合樹脂は高い剛性を有することから、本発明の自動車用窓材の強度も向上する。さらに、枠材2は、板材1に用いられている透明樹脂と同じ透明樹脂を用いることから、透明樹脂と複合樹脂との屈折率差を小さくすることができ、自動車用窓材全体の透明性を維持することができる。よって、本発明の自動車用窓材は、開放感に優れる。
図2は、透明樹脂から形成される板材1の外周部の一部が、樹脂Bから形成される枠材2と一体化された自動車用窓材20の概略図である。図2のように、板材の外周部すべてが複合樹脂から形成される枠材と一体化される必要はなく、板材の形状や隣接する部品との合わせ形状などに応じて、前記板材の一部のみを前記枠材と一体化させてもよい。
前記枠材と前記板剤との接着部の構造は、前記枠材が内側に段差または傾斜を有する外枠形状であり、かつ前記段差または前記傾斜の部分に前記板材が内挿された嵌合構造であることが好ましい。このような構造により、透明樹脂から形成される板材の質量を枠材が受け止める構造となり、板材と枠材との接着面の剥離をさらに抑制することができる。このような構造を有する板材の具体例としては、例えば、図1の自動車用窓材10のA−A線概略断面図およびB−B線概略断面図、図2の自動車用窓材20のB−B線概略断面図、図3の自動車用窓材30のA−A線概略断面図、図4の自動車用窓材40のA−A線概略断面図、または図5の自動車用窓材50のA−A線概略断面図などに示す構造が挙げられる。なお、図1〜図5に示す嵌合構造は、図1および図2に示す自動車用枠材の使用状態が、図の下側が下向きになることにより設計された形状であり、嵌合構造がこれらに限定されるものではない。
また、前記枠材は、図3の自動車用窓材30の概略斜視図や図4の自動車用窓材40の概略平面図に示すように、本発明の自動車用窓材の外周部だけでなく、自動車用窓材の中心を通るような構造をとることもできる。このような形状とすることにより、強度がより向上した自動車用窓材となりうる。
また、本発明の自動車用窓材と他部品とを締結する場合、その締結箇所を複合樹脂から形成される枠材とすることが、応力負荷や熱負荷による自動車用窓材の変形を抑制することができるため好ましい。ここで、前記の「他部品」とは、ボルト、クリップなどの鋲締部品や、ルームランプ、アシストグリップなどの内装部品などを意味する。
以下、本発明の自動車用窓材を構成する材料について、詳細に説明する。
[板材]
本発明の自動車用窓材の板材として用いられる透明樹脂は、従来公知のものから適宜選択することが出来る。ここで、本発明において「透明」とは、JIS K7136に準拠して測定された1mm厚さの試料の曇価が、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下、さらに好ましくは1%以下であることを意味する。具体的には、例えば、ポリスチレン樹脂、ハイインパクトポリスチレン樹脂、水添ポリスチレン樹脂、ポリアクリルスチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂(AS樹脂)、アクリロニトリル−エチレン・プロピレンゴム−スチレン共重合体樹脂(AES樹脂)、アクリロニトリル−スチレン−アクリレート共重合体樹脂(ASA樹脂)、ポリアルキルメタクリレート樹脂、ポリメタクリルメタクリレート樹脂、ポリフェニルエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、非晶性ポリアルキレンテレフタレート樹脂、ポリエステル樹脂、非晶性ポリアミド樹脂、ポリ−4−メチルペンテン−1、環状ポリオレフィン樹脂、または非晶性ポリアリレート樹脂などの熱可塑性樹脂、ポリエーテルスルホン、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、またはポリウレタン系熱可塑性エラストマーなどの熱可塑性エラストマーが挙げられる。これら透明樹脂は単独でも、または2種以上組み合わせても用いることができる。これらの中でも、耐衝撃性、特に低温での耐衝撃性の観点から、ポリカーボネート樹脂が好ましく、芳香族ポリカーボネート樹脂がより好ましい。
本発明の自動車用窓材の板材として用いられる透明樹脂は、従来公知のものから適宜選択することが出来る。ここで、本発明において「透明」とは、JIS K7136に準拠して測定された1mm厚さの試料の曇価が、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下、さらに好ましくは1%以下であることを意味する。具体的には、例えば、ポリスチレン樹脂、ハイインパクトポリスチレン樹脂、水添ポリスチレン樹脂、ポリアクリルスチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂(AS樹脂)、アクリロニトリル−エチレン・プロピレンゴム−スチレン共重合体樹脂(AES樹脂)、アクリロニトリル−スチレン−アクリレート共重合体樹脂(ASA樹脂)、ポリアルキルメタクリレート樹脂、ポリメタクリルメタクリレート樹脂、ポリフェニルエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、非晶性ポリアルキレンテレフタレート樹脂、ポリエステル樹脂、非晶性ポリアミド樹脂、ポリ−4−メチルペンテン−1、環状ポリオレフィン樹脂、または非晶性ポリアリレート樹脂などの熱可塑性樹脂、ポリエーテルスルホン、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、またはポリウレタン系熱可塑性エラストマーなどの熱可塑性エラストマーが挙げられる。これら透明樹脂は単独でも、または2種以上組み合わせても用いることができる。これらの中でも、耐衝撃性、特に低温での耐衝撃性の観点から、ポリカーボネート樹脂が好ましく、芳香族ポリカーボネート樹脂がより好ましい。
本発明で用いられる透明樹脂は、市販品を用いてもよいし、従来公知の合成方法により合成されたものを用いてもよい。例えば、本発明で好ましく用いられる芳香族ポリカーボネート樹脂の合成方法の例としては、界面重合法、溶融エステル交換法、ピリジン法、環状カーボネート化合物の開環重合法、プレポリマ−の固相エステル交換法などの従来公知の合成方法が挙げられる。
前記板材の平面方向の形状は、特に制限されず、例えば、略三角形状、略正方形状、略矩形状、略五角形状、略六角形状、略円形状、略楕円形状などの形状を取りうる。前記板材の断面形状は、特に限定されない。例えば、図1のA−A線概略断面図およびB−B線概略断面図、図2のA−A線概略断面図およびB−B線概略断面図、図3のA−A線概略断面図、図4のA−A線概略断面図およびB−B線概略断面図などに示すような湾曲した形状であってもよい。また、図5の自動車用窓材50のA−A線概略断面図に示すような平板状でもよい。
前記板材の厚さは、2〜10mmであることが好ましく、3〜6mmであることがより好ましい。
[枠材]
本発明の自動車用窓材の枠材として用いられる複合樹脂は、透明樹脂と界面を共有することから、その界面での光線の反射を低減させるという理由により、前記板材に用いられる透明樹脂と同じ透明樹脂を用いる。これは、透明樹脂と複合樹脂との屈折率差をできるだけ小さくするためである。また、同じ透明樹脂を用いることによって、成形時の熱を利用して、板材と枠材とを接着剤を介さずに接着することが可能となる。例えば、透明樹脂を用いて製造した板材を、金型内で射出成形し完全に固化しない状態において、または複合樹脂に与えた熱によって再度溶融することにより、オーバーモールド成形を行うことができる。これにより、接着剤による界面の透視歪みを実質的になくすことができ、より視界を遮らない自動車用窓材を得ることができる。また、前記板材と前記枠材とはことから、前記板材と前記枠材との隙間はほとんどなく、本発明の自動車用窓材の見栄えが損なわれることはほとんどない。
本発明の自動車用窓材の枠材として用いられる複合樹脂は、透明樹脂と界面を共有することから、その界面での光線の反射を低減させるという理由により、前記板材に用いられる透明樹脂と同じ透明樹脂を用いる。これは、透明樹脂と複合樹脂との屈折率差をできるだけ小さくするためである。また、同じ透明樹脂を用いることによって、成形時の熱を利用して、板材と枠材とを接着剤を介さずに接着することが可能となる。例えば、透明樹脂を用いて製造した板材を、金型内で射出成形し完全に固化しない状態において、または複合樹脂に与えた熱によって再度溶融することにより、オーバーモールド成形を行うことができる。これにより、接着剤による界面の透視歪みを実質的になくすことができ、より視界を遮らない自動車用窓材を得ることができる。また、前記板材と前記枠材とはことから、前記板材と前記枠材との隙間はほとんどなく、本発明の自動車用窓材の見栄えが損なわれることはほとんどない。
複合樹脂に用いられる透明樹脂の具体的な例は、上述と同様であるので、ここでは詳細な説明は省略するが、耐衝撃性、特に低温での耐衝撃性の観点から、ポリカーボネート樹脂が好ましく、芳香族ポリカーボネート樹脂がより好ましい。
また、複合樹脂は、表面処理された無機ナノ粒子を含む。前記無機ナノ粒子は、透明樹脂の強度を向上させ、その結果、複合樹脂を本発明の自動車用窓材の補強部材として用いることが可能となる。
前記無機ナノ粒子の具体的な例としては、例えば、酸化シリコン(シリカ)ナノ粒子、酸化鉄(ヘマタイト)ナノ粒子、酸化チタン(チタニア)ナノ粒子、酸化銅ナノ粒子、酸化亜鉛ナノ粒子、酸化錫ナノ粒子、酸化カルシウム(カルシア)ナノ粒子、酸化アルミニウム(アルミナ)ナノ粒子、酸化イットリウム(イットリア)ナノ粒子、酸化ジルコニウム(ジルコニア)ナノ粒子、酸化マグネシウム(マグネシア)ナノ粒子などが挙げられる。これらナノ粒子は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
これら無機ナノ粒子の中でも、複合樹脂の機械的特性および光学的特性を両立させるという観点から、酸化シリコン(シリカ)ナノ粒子、酸化カルシウム(カルシア)ナノ粒子、酸化アルミニウム(アルミナ)ナノ粒子、酸化鉄(ヘマタイト)ナノ粒子、および酸化チタン(チタニア)ナノ粒子からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。複合樹脂の高透明性、高剛性、および低線膨張率を確保するという観点から、前記無機ナノ粒子は下記化学式(1)で表される酸化アルミニウム(アルミナ)ナノ粒子がさらに好ましい。
前記化学式(1)中、nは0または1である。
前記化学式(1)において、n=0の場合はアルミナナノ粒子となり、n=1の場合は、ベーマイトナノ粒子となる。前記アルミナナノ粒子の結晶相は、特に制限されず、例えば、α型、β型、γ型、δ型、ε型、η型、θ型、κ型、κ’型、λ型、ρ型、またはχ型などの結晶相が挙げられる。これらの中でも、結晶性や粒子の安定性の面、さらに入手の容易さなどから、α−アルミナナノ粒子、γ−アルミナナノ粒子、またはベーマイトナノ粒子がより好ましい。
前記無機ナノ粒子は、複合樹脂が透明性を維持するために、その大きさは可視光線の波長と同程度またはそれ以下であることが好ましい。特に、複合樹脂の剛性を向上させ、かつ複合樹脂の熱膨張をより低く抑えるという観点から、前記無機ナノ粒子の形状は、アスペクト比を有する異方性形状であることが好ましい。前記異方性形状の例としては、例えば、繊維状、紡錘状、棒状、針状、筒状、柱状、または板状などが挙げられる。
前記無機ナノ粒子の短軸長さは、好ましくは5〜20nm、より好ましくは5〜10nmである。また、前記無機ナノ粒子の長軸長さは、好ましくは50〜500nm、より好ましくは100〜300nmである。前記無機ナノ粒子のアスペクト比は、好ましくは10〜100、より好ましくは10〜50である。
なお、本発明において、前記短軸長さ、前記長軸長さ、および前記アスペクト比は、透過電子顕微鏡(TEM)の観察により測定した値を採用するものとする。
前記無機ナノ粒子は、複合樹脂中での凝集を抑制するために表面処理される。表面処理に用いられる化合物、すなわち表面処理剤は、無機ナノ粒子表面に結合しうる官能基を有し、かつ無機ナノ粒子を疎水化しうる官能基を有する化合物であることが好ましい。無機ナノ粒子表面に結合しうる官能基の例としては、例えば、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アミノ基、エーテル基、エステル基、エポキシ基、ニトロ基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、リン酸基、リン酸エステル基などが挙げられる。また、無機ナノ粒子を疎水化する官能基の例としては、例えば、アルキル基、アリール基などを挙げることができる。これら表面処理剤は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
前記表面処理剤は、具体的には、シランカップリング剤、有機スルホン酸化合物、有機リン酸化合物、およびカルボン酸化合物からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
前記シランカップリング剤の具体例としては、例えば、メトキシトリメチルシラン、アセトキシトリメチルシラン、t−ブチルジメチルメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルジメチルメトキシシラン、またはフェニルメチルジメトキシシランなどが入手容易性の観点から好ましく挙げられる。
前記有機スルホン酸化合物は、無機ナノ粒子への結合のしやすさという観点から、下記化学式(2)で表される有機スルホン酸化合物が好ましい。
前記化学式(2)中、Rは置換されているかまたは非置換のアリール基である。
前記化学式(2)で表される有機スルホン酸化合物の具体例としては、例えば、o−トルエンスルホン酸、m−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、エチルベンゼンスルホン酸、プロピルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、ナフトールスルホン酸、ジメチルベンゼンスルホン酸、ジエチルベンゼンスルホン酸などが好ましく挙げられる。
前記有機リン酸化合物の具体例としては、例えば、モノエチルアシッドホスフェート、モノブチルアシッドホスフェート、モノペンチルアシッドホスフェート、モノヘキシルアシッドホスフェート、モノヘプチルアシッドホスフェート、モノオクチルアシッドホスフェート、モノフェニルアシッドホスフェート、モノブトキシエチルアシッドホスフェート、モノベンジルアシッドホスフェート、ジメチルアシッドホスフェート、ジエチルアシッドホスフェート、ジプロピルアシッドホスフェート、ジブチルアシッドホスフェート、ジペンチルアシッドホスフェート、ジヘキシルアシッドホスフェート、ジヘプチルアシッドホスフェート、ジオクチルアシッドホスフェート、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリプロピルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリペンチルホスフェート、トリヘキシルホスフェート、トリヘプチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェートなどが無機ナノ粒子表面への結合のしやすさ、化合物としての安定性、入手容易性などの観点から好ましく挙げられる。
表面処理剤の結合のしやすさは、無機ナノ粒子の種類の影響を受けるため、最適な表面処理剤は、無機ナノ粒子の種類によって異なる。例えば、シリカナノ粒子の場合は、シランカップリング剤が最適であり、アルミナナノ粒子の場合は、有機スルホン酸が最適である。
表面処理された無機ナノ粒子中の表面処理剤の量は、複合樹脂が所望の透明性を確保できる量であることが好ましい。表面処理剤が透明樹脂に比べて分子量が低いことから、過剰に入れた場合は可塑剤として働き、複合樹脂の剛性低下に繋がる虞がある。具体的には、表面処理剤の量は、前記無機ナノ粒子100質量部に対して10〜35質量部であることが好ましく、18〜30質量部であることがさらに好ましい。表面処理剤の量が10質量部未満であると、無機ナノ粒子の分散が悪くなり、透明性が低下する虞がある。一方、35質量部を超えると、複合樹脂の剛性が低下する虞がある。なお、本発明において、前記表面処理剤の量は、熱重量/示差熱同時分析(TG−DTA)により分析される表面処理された無機ナノ粒子の重量減少から算出した値を採用するものとする。
前記表面処理剤は、無機ナノ粒子に対して、共有結合、配位結合、水素結合、または静電気的な結合など、いずれの態様で結合していても良い。前記表面処理剤は、そのすべてが同じ結合形態で無機ナノ粒子と結合している必要はなく、2種以上の結合形態が混在していてもよい。
前記無機ナノ粒子を表面処理する方法の詳細については、後で説明する。
複合樹脂中の無機ナノ粒子の含有量は、複合樹脂中の透明樹脂、複合樹脂中の表面処理剤、および複合樹脂中の無機ナノ粒子の合計量を100質量部として、好ましくは5〜35質量部、より好ましくは10〜35質量部である。さらに好ましくは10〜25質量部である。前記無機ナノ粒子の含有量が5質量部未満の場合、複合樹脂の剛性が低下する虞がある。また、前記無機ナノ粒子の含有量が35質量部を超えると、複合樹脂の耐衝撃性が低下する虞がある。
前記板材の表面積と前記枠材の表面積との比は、特に制限されない。しかしながら、本発明の特徴をより発現させるという観点から、前記板材の表面積と前記枠材の表面積との比9:1〜5:5であることが好ましく、9:1〜7:3であることがより好ましい。
(製造方法)
続いて、本発明の自動車用窓材の製造方法について詳細に説明する。本発明の自動車用窓材は、例えば、下記のような製造方法で製造されうる。以下、製造方法について工程順に詳細に説明するが、下記の形態のみには制限されない。
続いて、本発明の自動車用窓材の製造方法について詳細に説明する。本発明の自動車用窓材は、例えば、下記のような製造方法で製造されうる。以下、製造方法について工程順に詳細に説明するが、下記の形態のみには制限されない。
[無機ナノ粒子を準備する工程]
まず、無機ナノ粒子を準備する。前記無機ナノ粒子は、市販品を用いてもよいし、合成により得られたものを用いてもよい。無機ナノ粒子の合成を行う場合、その合成方法は、無機ナノ粒子同士の癒着や結合の起こらないものであれば、特に制限されない。しかしながら、形状の均質化という観点から、水熱合成法、ゾルゲル法、または逆ミセル法などの湿式合成法により合成することが好ましい。さらに具体的には、例えば、本発明で好ましく用いられるベーマイトナノ粒子の合成方法は、特開2006−193400号公報に記載されているような、下記の〔1〕〜〔5〕の工程を含む合成方法であることが好ましい。
まず、無機ナノ粒子を準備する。前記無機ナノ粒子は、市販品を用いてもよいし、合成により得られたものを用いてもよい。無機ナノ粒子の合成を行う場合、その合成方法は、無機ナノ粒子同士の癒着や結合の起こらないものであれば、特に制限されない。しかしながら、形状の均質化という観点から、水熱合成法、ゾルゲル法、または逆ミセル法などの湿式合成法により合成することが好ましい。さらに具体的には、例えば、本発明で好ましく用いられるベーマイトナノ粒子の合成方法は、特開2006−193400号公報に記載されているような、下記の〔1〕〜〔5〕の工程を含む合成方法であることが好ましい。
すなわち、〔1〕アルミニウム金属塩水溶液中にアルカリ水溶液を添加し、水酸化アルミニウムのゲル状物質を生成させる工程;〔2〕前記ゲル状物質を含む反応混合物を室温以上の第1の温度で第1の熱処理を施す工程;〔3〕前記第1の熱処理の後、前記ゲル状物質を含む前記反応混合物を前記第1の熱処理における前記第1の温度よりも高い第2の温度で第2の熱処理を施す工程;〔4〕前記第2の熱処理の後、前記ゲル状物質を含む前記反応混合物を前記第2の熱処理における前記第2の温度よりも低い第3の温度で第3の熱処理を施す工程;〔5〕前記第3の熱処理の後、前記ゲル状物質を含む前記反応混合物を室温以上の第4の温度で第4の熱処理を施して、前記ベーマイト粒子を製造する工程である。これらの工程の詳細な条件(熱処理の温度、熱処理の時間など)については、特開2006−193400号公報に記載の条件を適宜選択して採用することができる。
また、本発明で好ましく用いられる水和していない酸化アルミニウムナノ粒子の合成方法は、特開2006−193400号公報に記載されている製造方法が好ましい。すなわち、上記〔1〕〜〔5〕の工程の後に、得られたベーマイト粒子に対して焼成処理を施す工程を含む合成方法が好ましい。この焼成処理工程の詳細な条件(焼成温度、焼成時間など)についても、特開2006−193400号公報に記載の条件を適宜選択して採用することができる。
[無機ナノ粒子を表面処理する工程]
次いで、得られた無機ナノ粒子に対して表面処理を行う。表面処理の方法は、特に制限されない。しかしながら、表面処理剤を粒子の表面に均一に吸着させるという観点から、下記で説明する無機ナノ粒子を含むゾルを得る工程および無機ナノ粒子を含むゾルを乾燥させる工程を含む製造方法が好ましい。すなわち、前記の無機ナノ粒子を含むゾルを得る工程とは、無機ナノ粒子および表面処理剤を水またはアルコールに分散させゾルを得る工程である。前記の無機ナノ粒子を含むゾルを乾燥させる工程とは、水ゾルの場合は凍結乾燥法により水分を乾燥する。アルコールゾルの場合には常圧条件下または減圧条件下で、かつ加熱条件下においてアルコールを乾燥し、表面処理された無機ナノ粒子を得る工程である。
次いで、得られた無機ナノ粒子に対して表面処理を行う。表面処理の方法は、特に制限されない。しかしながら、表面処理剤を粒子の表面に均一に吸着させるという観点から、下記で説明する無機ナノ粒子を含むゾルを得る工程および無機ナノ粒子を含むゾルを乾燥させる工程を含む製造方法が好ましい。すなわち、前記の無機ナノ粒子を含むゾルを得る工程とは、無機ナノ粒子および表面処理剤を水またはアルコールに分散させゾルを得る工程である。前記の無機ナノ粒子を含むゾルを乾燥させる工程とは、水ゾルの場合は凍結乾燥法により水分を乾燥する。アルコールゾルの場合には常圧条件下または減圧条件下で、かつ加熱条件下においてアルコールを乾燥し、表面処理された無機ナノ粒子を得る工程である。
無機ナノ粒子を含むゾルを得る工程の際に用いられる溶媒の具体的な例としては、例えば、水や、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコールが挙げられる。
ゾル中の無機ナノ粒子の濃度は、溶媒100質量部に対して5〜15質量部であることが好ましく、5〜10質量部であることが好ましい。また、表面処理剤は、上述の通り、無機ナノ粒子100質量部に対して10〜35質量部が好ましいため、この量をゾル中に添加することになる。
無機ナノ粒子を含むゾルを得る工程において、無機ナノ粒子を分散させる温度は、15〜60℃であることが好ましい。また、無機ナノ粒子を分散させる時間は1分〜1時間であることが好ましい。
溶媒として水を用いた場合、得られた水ゾルを凍結乾燥法により乾燥させることが好ましい。この凍結乾燥処理は、従来公知の方法に準じて行うことができ、特に制限されるものではない。具体的には、例えば、後述の実施例に記載の方法を採用することができる。
溶媒としてアルコールを用いた場合、常圧条件下または減圧条件下で、かつ加熱条件下で、アルコールを乾燥させることが好ましい。アルコールを乾燥する際の圧力条件は、使用するアルコールによって異なりうるが、40〜1013hPaであることが好ましく、40〜500hPaであることがより好ましい。また、乾燥温度も、使用するアルコールによって異なりうるが、15〜60℃であることが好ましく、25〜60℃であることがより好ましい。さらに、乾燥時間も、使用するアルコールによって異なりうるが、5分〜1時間であることが好ましく、10分〜1時間であることがより好ましい。
上記のような乾燥工程を経て、表面処理された無機ナノ粒子を得ることができる。なお、後述の複合樹脂を製造する工程において直接混練法または内添重合法を行う場合、溶媒の乾燥を行うことなしに、表面処理されていない無機ナノ粒子および表面処理剤を含む水ゾルまたはアルコールゾルをそのまま用いて複合樹脂を製造することができる。
[複合樹脂を製造する工程]
次いで、複合樹脂を製造する。複合樹脂は、例えば、下記のような製造方法により製造されうる。しかし、これらに制限されるものではない。
次いで、複合樹脂を製造する。複合樹脂は、例えば、下記のような製造方法により製造されうる。しかし、これらに制限されるものではない。
(1)溶剤法
本方法は、表面処理された無機ナノ粒子を有機溶媒に分散させた後、これに透明樹脂の溶液を添加して均一化させ、さらに有機溶媒を減圧加熱乾燥によって除去することにより、複合樹脂を製造する方法である。その後、必要に応じて、得られた複合樹脂を、混練機を用いて溶融混練してペレット状の複合樹脂を得る。さらに、必要に応じて、ヘプタンやアセトンなどの有機溶媒を用いた洗浄および抽出を行い、ペレット状の複合樹脂を得てもよい。
本方法は、表面処理された無機ナノ粒子を有機溶媒に分散させた後、これに透明樹脂の溶液を添加して均一化させ、さらに有機溶媒を減圧加熱乾燥によって除去することにより、複合樹脂を製造する方法である。その後、必要に応じて、得られた複合樹脂を、混練機を用いて溶融混練してペレット状の複合樹脂を得る。さらに、必要に応じて、ヘプタンやアセトンなどの有機溶媒を用いた洗浄および抽出を行い、ペレット状の複合樹脂を得てもよい。
表面処理された無機ナノ粒子を分散させる際に用いる有機溶媒は、透明樹脂を溶解しうる溶媒を選択することが好ましい。これにより、複合樹脂の構成材料を均一に混合することができ、表面処理された無機ナノ粒子の分散性を向上させることができる。用いられる有機溶媒の具体的な例としては、例えば、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン(THF)、クロロホルム、メチレンクロライド、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、o−ジクロロベンゼンなどが挙げられる。これらのうち、着色しにくい点や溶媒が残存しにくい点から、テトラヒドロフランがより好ましい。
本方法において、表面処理された無機ナノ粒子と透明樹脂とを混合した後の、表面処理された無機ナノ粒子の濃度は、10〜25質量%であることが好ましい。また、透明樹脂の濃度は、70〜85質量%であることが好ましい。
有機溶媒を減圧加熱乾燥する際の減圧条件は、使用する有機溶媒の種類によって異なりうるが、40〜1013hPaであることが好ましく、40〜500hPaであることがより好ましい。また、乾燥温度も、使用する有機溶媒の種類によって異なりうるが、15〜60℃であることが好ましく、25〜60℃であることがより好ましい。さらに、乾燥時間も、使用する有機溶媒によって異なりうるが、5分〜1時間であることが好ましく、10分〜1時間であることがより好ましい。
有機溶媒を乾燥させた後、必要に応じて、さらに溶融混練を行う。これにより、表面処理された無機ナノ粒子の透明樹脂に対する分散性を、より向上させることができる。その際、用いられる混練機は特に限定されず、例えば、二軸混練機、真空微量混練押出機、ラボプラストミルなどを適宜選択して用いることができる。その際の混練条件も特に制限されず、従来公知の条件を適宜採用することができる。
その後、必要に応じて、ヘプタンやアセトンなどの有機溶媒を用いた洗浄および抽出を行ってもよい。
(2)直接混練法
本方法は、表面処理されていない無機ナノ粒子および表面処理剤を含む水ゾルもしくはアルコールゾル、またはそれらを乾燥して得られる表面処理された無機ナノ粒子の粉末を、有機溶媒を用いることなく、直接原料樹脂のペレットと混合する方法である。混練に用いる混練機としては、通常の二軸混練機の他、よりせん断力の高い深溝型のスクリューを有する高トルク・高速成形タイプの二軸混練機などを適宜選択して用いることができる。その際の混練条件も特に制限されず、従来公知の条件を適宜採用することができる。
本方法は、表面処理されていない無機ナノ粒子および表面処理剤を含む水ゾルもしくはアルコールゾル、またはそれらを乾燥して得られる表面処理された無機ナノ粒子の粉末を、有機溶媒を用いることなく、直接原料樹脂のペレットと混合する方法である。混練に用いる混練機としては、通常の二軸混練機の他、よりせん断力の高い深溝型のスクリューを有する高トルク・高速成形タイプの二軸混練機などを適宜選択して用いることができる。その際の混練条件も特に制限されず、従来公知の条件を適宜採用することができる。
混練後は、必要に応じてヘプタンやアセトンなどの溶媒を用いた洗浄・抽出を行い、ペレット状の複合樹脂を得る。
(3)内添重合法
本方法は、表面処理されていない無機ナノ粒子および表面処理剤を含む水ゾルまたはアルコールゾルに対して、透明樹脂の原料となるモノマーおよび重合触媒を添加し、重合させることによって粗コンポジットを得る工程を含む方法である。この重合の際の反応条件は特に限定されず、透明樹脂が重合できる条件であればよい。
本方法は、表面処理されていない無機ナノ粒子および表面処理剤を含む水ゾルまたはアルコールゾルに対して、透明樹脂の原料となるモノマーおよび重合触媒を添加し、重合させることによって粗コンポジットを得る工程を含む方法である。この重合の際の反応条件は特に限定されず、透明樹脂が重合できる条件であればよい。
粗コンポジットの分離方法としては、貧溶媒による造粒や、減圧・加熱環境による溶媒除去する方法などを適宜選択することができる。得られた粗コンポジットは、必要に応じて破砕した後乾燥し、混練機(二軸押出成形機、真空微量混練押出機、ラボプラストミル等)を用いた溶融混練を行い、ペレット状の複合樹脂を得る。さらに、必要に応じて、ヘプタンやアセトンなどを用いた洗浄・抽出を行い、ペレット状の複合樹脂を得てもよい。
以上のような方法により、本発明の自動車用窓材の枠材として用いられる複合樹脂を得ることができる。なお、本発明の自動車用窓材の板材として用いられる透明樹脂は、上述したように、市販品を用いてもよいし、従来公知の合成方法により合成されたものを用いてもよい。
[透明樹脂および複合樹脂の成形]
次に、透明樹脂および上記で製造した複合樹脂を用いて成形する。成形方法は、例えば、射出成形法、射出プレス成形法、2色成形法、押出成形法、熱プレス法、ブロー成形法などが挙げられる。これら成形方法は、1種類のみの成形方法を用いてもよいし、2種以上の成形方法を組み合わせてもよい。これらの中でも、大型の窓材を作製する観点から、好ましくは射出成形法、射出プレス成形法である。
次に、透明樹脂および上記で製造した複合樹脂を用いて成形する。成形方法は、例えば、射出成形法、射出プレス成形法、2色成形法、押出成形法、熱プレス法、ブロー成形法などが挙げられる。これら成形方法は、1種類のみの成形方法を用いてもよいし、2種以上の成形方法を組み合わせてもよい。これらの中でも、大型の窓材を作製する観点から、好ましくは射出成形法、射出プレス成形法である。
成形条件は特に制限されず、例えば、後述の実施例に記載の成形条件を採用することができる。
本発明の自動車用窓材は、ガラス部分を含まないことから、実使用時においてはその表面の一部または全部に、傷付を防止するハードコート処理を施すことが好ましい。例えば、本発明の自動車用窓材をバックドア構造体に用いる場合、少なくともワイパーが摺動する部分にハードコート処理を施すことが好ましい。この他にも、前記ハードコート処理は、透明樹脂から形成される板材部分のみに施してもよいし、複合樹脂から形成される枠材部分を含めた全面に施してもよい。また、本発明の自動車用窓材の外表面にのみハードコート処理を施してもよいし、本発明の自動車用窓材の外表面および内表面の両方にハードコート処理を施してもよい。
ハードコート材料は特に制限されず、例えば、アクリル系ハードコート材、シリコーン系ハードコート材、メラミン系ハードコート材など、従来公知の材料から適宜選択して用いることができる。これらハードコート材は単独でも、または2種以上組み合わせて用いてもよい。また、ハードコート処理の方法も特に制限されず、スプレーコート法、ディッピング法など従来公知の方法を用いることができる。
本発明の自動車用窓材は、その性能を損なわない範囲内で、他の成分を含むことができる。前記他の成分の具体的な例としては、例えば、ヒンダードフェノール系化合物、ヒドロキノン系化合物、もしくはチオエーテル系化合物などの酸化防止剤または熱安定剤、レゾルシノール系化合物、サリシレート系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、またはベンゾフェノン系化合物などの紫外線吸収剤、シリコーン樹脂、モンタン酸およびその塩、ステアリン酸およびその塩、ステアリルアルコール、もしくはステアリルアミドなどの滑剤または離型剤、ニトロシンなどの染料、硫化カドミウムまたはフタロシアニン系化合物などの顔料、シリコンオイルなどの添加剤添着液、あるいはタルクまたはカオリンなどの結晶核剤などが挙げられる。
本発明の自動車用窓材は、例えば、サンルーフ構造体、バックドア構造体、サイドドアなどに用いることができる。
本発明を実施例および比較例を用いて、さらに詳細に説明する。ただし、本発明の技術的範囲が、下記の実施例のみに制限されるわけではない。
なお、すべての実施例および比較例において、得られた評価用窓材の側面を除く全面に、下記表1に示すプライマーおよびハードコート材による処理をディッピングにて施した。
(製造例1:粒子a1の製造)
機械式攪拌機を備えたテフロン製ビーカーに、25℃で、2.0Mの塩化アルミニウム六水和物水溶液 40mlを入れ、恒温槽で10℃に保ちつつ、攪拌(回転数 700rpm)を行った。水酸化ナトリウム水溶液(5.10M、40ml、25℃)を、25℃で約6分かけて滴下した。滴下終了後さらに10分間攪拌を続け、攪拌終了後溶液のpHを測定した。pHは、7.08であった。この溶液を、テフロンライナーを備えたオートクレーブに入れ、密栓し、オーブンで120℃、24時間加熱した(第1の熱処理)。第1の熱処理終了後、オートクレーブをオイルバスヘ移し、180℃で30分間加熱した(第2の熱処理)。第2の熱処理終了後、オートクレーブを流水へ入れ、急速冷却(約10℃)をした(第3の熱処理)。第3の熱処理終了後、前記オートクレーブを再びオーブンヘ入れ、150℃で1日加熱を続けた(第4の熱処理)。その後、前記オートクレーブを流水で冷却し、遠心分離(回転数:30000rpm、分離時間:30min)を行って上澄みを除去した。次に、遠心水洗3回、水−メタノール混合溶媒(体積比 水:メタノール=0.5:9.5)による遠心洗浄を1回行なった。その後、凍結乾燥機を用いて乾燥させることにより、無色結晶を得た。この無色結晶はX線回折により、ベーマイト(サンプル名:粒子a1)であることがわかった。また、透過電子顕微鏡(TEM)を用いて粒子の形状およびサイズを調べたところ、長さ約200nm、直径5nm、アスペクト比が約40である針状の形状を有することがわかった。
機械式攪拌機を備えたテフロン製ビーカーに、25℃で、2.0Mの塩化アルミニウム六水和物水溶液 40mlを入れ、恒温槽で10℃に保ちつつ、攪拌(回転数 700rpm)を行った。水酸化ナトリウム水溶液(5.10M、40ml、25℃)を、25℃で約6分かけて滴下した。滴下終了後さらに10分間攪拌を続け、攪拌終了後溶液のpHを測定した。pHは、7.08であった。この溶液を、テフロンライナーを備えたオートクレーブに入れ、密栓し、オーブンで120℃、24時間加熱した(第1の熱処理)。第1の熱処理終了後、オートクレーブをオイルバスヘ移し、180℃で30分間加熱した(第2の熱処理)。第2の熱処理終了後、オートクレーブを流水へ入れ、急速冷却(約10℃)をした(第3の熱処理)。第3の熱処理終了後、前記オートクレーブを再びオーブンヘ入れ、150℃で1日加熱を続けた(第4の熱処理)。その後、前記オートクレーブを流水で冷却し、遠心分離(回転数:30000rpm、分離時間:30min)を行って上澄みを除去した。次に、遠心水洗3回、水−メタノール混合溶媒(体積比 水:メタノール=0.5:9.5)による遠心洗浄を1回行なった。その後、凍結乾燥機を用いて乾燥させることにより、無色結晶を得た。この無色結晶はX線回折により、ベーマイト(サンプル名:粒子a1)であることがわかった。また、透過電子顕微鏡(TEM)を用いて粒子の形状およびサイズを調べたところ、長さ約200nm、直径5nm、アスペクト比が約40である針状の形状を有することがわかった。
(製造例2:粒子a2の製造)
2.0M 塩化アルミニウム六水和物水溶液の代わりに、6.0M 塩化アルミニウム六水和物水溶液を用いたこと以外は、製造例1と同様にしてベーマイト(サンプル名:粒子a2)を合成した。TEMを用いて粒子の形状およびサイズを調べたところ、長さ約50nm、直径20nm、およびアスペクト比が約2.5の針状の形状を有することがわかった。
2.0M 塩化アルミニウム六水和物水溶液の代わりに、6.0M 塩化アルミニウム六水和物水溶液を用いたこと以外は、製造例1と同様にしてベーマイト(サンプル名:粒子a2)を合成した。TEMを用いて粒子の形状およびサイズを調べたところ、長さ約50nm、直径20nm、およびアスペクト比が約2.5の針状の形状を有することがわかった。
(製造例3:粒子a3の製造)
2.0M 塩化アルミニウム六水和物水溶液の代わりに、1.0M 塩化アルミニウム六水和物水溶液を用いたこと以外は、製造例1と同様にしてベーマイト(サンプル名:粒子a3)を合成した。TEMを用いて粒子の形状およびサイズを調べたところ、長さ約500nm、直径約5nm、アスペクト比が約100の針状の形状を有することがわかった。
2.0M 塩化アルミニウム六水和物水溶液の代わりに、1.0M 塩化アルミニウム六水和物水溶液を用いたこと以外は、製造例1と同様にしてベーマイト(サンプル名:粒子a3)を合成した。TEMを用いて粒子の形状およびサイズを調べたところ、長さ約500nm、直径約5nm、アスペクト比が約100の針状の形状を有することがわかった。
(粒子a4の水分散液)
粒子a4の水分散液として、触媒化成工業株式会社製 Cataloid−AS−3(長軸長さが100nmであり短軸長さが10nmであるベーマイトナノ粒子を含む水分散液、固形分7質量%、比重1.05)を用いた。
粒子a4の水分散液として、触媒化成工業株式会社製 Cataloid−AS−3(長軸長さが100nmであり短軸長さが10nmであるベーマイトナノ粒子を含む水分散液、固形分7質量%、比重1.05)を用いた。
(透明樹脂A)
三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製 ポリカーボネート樹脂(商品名:ノバレックス(登録商標)7030A、以下、透明樹脂Aとも称する)を用いた
(製造例4:複合樹脂B1の製造)
ベーマイトの濃度が8質量%となるように、上記製造例1で合成した粒子a1を水に分散させ、次いでドデシルベンゼンスルホン酸をベーマイト100質量部に対して、28.5質量部となるように添加した。その後、凍結乾燥機(共和真空技術株式会社製、RLEII−52)を用いて、下記表2に示す手順で凍結乾燥を行った。
三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製 ポリカーボネート樹脂(商品名:ノバレックス(登録商標)7030A、以下、透明樹脂Aとも称する)を用いた
(製造例4:複合樹脂B1の製造)
ベーマイトの濃度が8質量%となるように、上記製造例1で合成した粒子a1を水に分散させ、次いでドデシルベンゼンスルホン酸をベーマイト100質量部に対して、28.5質量部となるように添加した。その後、凍結乾燥機(共和真空技術株式会社製、RLEII−52)を用いて、下記表2に示す手順で凍結乾燥を行った。
表2に示す一連の操作の結果、118gのベーマイト型アルミナ粉末(凍結乾燥物)が得られた。
次に、得られた粉末をテトラヒドロフラン(THF)中にベーマイトが8質量%になるように分散させ、さらに、THF蒸発後、固形分中にアルミナ灰分として14質量%になるように、透明樹脂Aを加えた。透明樹脂Aが溶解した後、THFを揮発させ、複合樹脂を得た(サンプル名:複合樹脂B1)。
(製造例5:複合樹脂B2の製造)
粒子a1の代わりに粒子a2を用いたこと以外は、製造例4と同様にして複合樹脂B2を製造した。
粒子a1の代わりに粒子a2を用いたこと以外は、製造例4と同様にして複合樹脂B2を製造した。
(製造例6:複合樹脂B3の製造)
粒子a1の代わりに粒子a3を用いたこと以外は、製造例4と同様にして複合樹脂B3を製造した。
粒子a1の代わりに粒子a3を用いたこと以外は、製造例4と同様にして複合樹脂B3を製造した。
(製造例7:複合樹脂B4の製造)
粒子a4の水分散液に対して、ドデシルベンゼンスルホン酸を、酸化アルミニウム100質量部に対して28.5質量部となるように添加した。その後、凍結乾燥機(共和真空技術株式会社製、RLEII−52)を用いて、前記表2に示す手順で凍結乾燥を行った。
粒子a4の水分散液に対して、ドデシルベンゼンスルホン酸を、酸化アルミニウム100質量部に対して28.5質量部となるように添加した。その後、凍結乾燥機(共和真空技術株式会社製、RLEII−52)を用いて、前記表2に示す手順で凍結乾燥を行った。
次に、得られた粉末をTHF中に酸化アルミニウムが8質量%になるように分散させ、さらに、THF蒸発後、固形分中にアルミナ灰分として14質量%になるように、透明樹脂Aを加えた。透明樹脂Aが溶解した後、THFを揮発させ、複合樹脂を得た(サンプル名:複合樹脂B4)。
(樹脂X)
直径15μm、長さ210μm、アスペクト比14のガラス繊維を10質量%含むポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチック株式会社製、商品名:ノバレックス(登録商標)7025G10、以下「樹脂X」と称する)を用いた。
直径15μm、長さ210μm、アスペクト比14のガラス繊維を10質量%含むポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチック株式会社製、商品名:ノバレックス(登録商標)7025G10、以下「樹脂X」と称する)を用いた。
(実施例1)
射出成形機を用いて、図6の符号1で示される板材の部分(大きさ:80×80mm、厚さ:4mm)を透明樹脂Aで作製した。次いで、前記射出成形機およびプレス成形機を用いて、図6の符号2で示される枠材の部分を、複合樹脂B1を用いて作製し、評価用窓材を完成させた(出来上がり寸法;大きさ:約100mm×100mm、厚さ:4mm)。
射出成形機を用いて、図6の符号1で示される板材の部分(大きさ:80×80mm、厚さ:4mm)を透明樹脂Aで作製した。次いで、前記射出成形機およびプレス成形機を用いて、図6の符号2で示される枠材の部分を、複合樹脂B1を用いて作製し、評価用窓材を完成させた(出来上がり寸法;大きさ:約100mm×100mm、厚さ:4mm)。
透明樹脂Aおよび複合樹脂B1の射出成形の条件および複合樹脂B1のプレス成形の条件は、下記表3の通りであった。
(実施例2)
図6の符号2で示される枠材の部分を、複合樹脂B2を用いて作製したこと以外は、実施例1と同様にして、評価用窓材を作製した(出来上がり寸法;大きさ:約100mm×100mm、厚さ:4mm)。射出成形およびプレス成形の条件は、上記表3と同様であった。
図6の符号2で示される枠材の部分を、複合樹脂B2を用いて作製したこと以外は、実施例1と同様にして、評価用窓材を作製した(出来上がり寸法;大きさ:約100mm×100mm、厚さ:4mm)。射出成形およびプレス成形の条件は、上記表3と同様であった。
(実施例3)
図6の符号2で示される枠材の部分を、複合樹脂B3を用いて作製したこと以外は、実施例1と同様にして、評価用窓材を作製した(出来上がり寸法;大きさ:約100mm×100mm、厚さ:4mm)。射出成形およびプレス成形の条件は、上記表3と同様であった。
図6の符号2で示される枠材の部分を、複合樹脂B3を用いて作製したこと以外は、実施例1と同様にして、評価用窓材を作製した(出来上がり寸法;大きさ:約100mm×100mm、厚さ:4mm)。射出成形およびプレス成形の条件は、上記表3と同様であった。
(実施例4)
図6の符号2で示される枠材の部分を、複合樹脂B4を用いて作製したこと以外は、実施例1と同様にして、評価用窓材を作製した(出来上がり寸法;大きさ:約100mm×100mm、厚さ:4mm)。射出成形およびプレス成形の条件は、上記表3と同様であった。
図6の符号2で示される枠材の部分を、複合樹脂B4を用いて作製したこと以外は、実施例1と同様にして、評価用窓材を作製した(出来上がり寸法;大きさ:約100mm×100mm、厚さ:4mm)。射出成形およびプレス成形の条件は、上記表3と同様であった。
(実施例5)
射出プレス成形機を用いて、図7の符号1で示される板材の部分を透明樹脂Aで作製した。次いで、板材を再度射出プレス成形機内の金型に入れ、図7の符号2で示される枠材の部分を、複合樹脂B4を用いて作製し、図7に示す評価用窓材70(大きさ:約800mm×600mm、厚さ:約4mm)を完成させた。射出プレス成形の条件は、下記表4の通りであった。
射出プレス成形機を用いて、図7の符号1で示される板材の部分を透明樹脂Aで作製した。次いで、板材を再度射出プレス成形機内の金型に入れ、図7の符号2で示される枠材の部分を、複合樹脂B4を用いて作製し、図7に示す評価用窓材70(大きさ:約800mm×600mm、厚さ:約4mm)を完成させた。射出プレス成形の条件は、下記表4の通りであった。
(比較例1)
図6の符号2で示される枠材の部分を、透明樹脂Aを用いて作製したこと以外は、実施例1と同様にして、評価用窓材を作製した(出来上がり寸法;大きさ:約100mm×100mm、厚さ:4mm)。射出成形およびプレス成形の条件は、下記表5の通りであった。
図6の符号2で示される枠材の部分を、透明樹脂Aを用いて作製したこと以外は、実施例1と同様にして、評価用窓材を作製した(出来上がり寸法;大きさ:約100mm×100mm、厚さ:4mm)。射出成形およびプレス成形の条件は、下記表5の通りであった。
(比較例2)
図6の符号2で示される枠材の部分を、樹脂Xを用いて作製したこと以外は、実施例1と同様にして、評価用窓材を作製した(出来上がり寸法;大きさ:約100mm×100mm、厚さ:4mm)。射出成形およびプレス成形の条件は、下記表6の通りであった。
図6の符号2で示される枠材の部分を、樹脂Xを用いて作製したこと以外は、実施例1と同様にして、評価用窓材を作製した(出来上がり寸法;大きさ:約100mm×100mm、厚さ:4mm)。射出成形およびプレス成形の条件は、下記表6の通りであった。
(比較例3)
射出プレス成形機を用いて、図7の符号1で示される板材の部分を透明樹脂Aで作製した。次いで、作製した板材を再度射出プレス成形機内の金型に入れ、図7の符号2で示される枠材の部分を、樹脂Xを用いて作製し、図7に示す評価用窓材70(大きさ:約800mm×600mm、厚さ:約4mm)を完成させた。射出プレス成形の条件は、下記表7の通りであった。
射出プレス成形機を用いて、図7の符号1で示される板材の部分を透明樹脂Aで作製した。次いで、作製した板材を再度射出プレス成形機内の金型に入れ、図7の符号2で示される枠材の部分を、樹脂Xを用いて作製し、図7に示す評価用窓材70(大きさ:約800mm×600mm、厚さ:約4mm)を完成させた。射出プレス成形の条件は、下記表7の通りであった。
(熱膨張率)
上記実施例1〜4および比較例1〜2で作製した、図6に示す評価用窓材60を、90℃のオーブン中に10分間放置した後、取り出して寸法を速やかに測った。表9中の数値は、(90℃における寸法−20℃における寸法)/(20℃における寸法×70℃)で算出した。計測は、図6に示すA−A線の寸法を計測した。
上記実施例1〜4および比較例1〜2で作製した、図6に示す評価用窓材60を、90℃のオーブン中に10分間放置した後、取り出して寸法を速やかに測った。表9中の数値は、(90℃における寸法−20℃における寸法)/(20℃における寸法×70℃)で算出した。計測は、図6に示すA−A線の寸法を計測した。
(剛性)
上記実施例1〜4および比較例1〜2で作製した評価用窓材の片端(20mmまで)を固定し、反対端から10mmの部分に、500gの分銅を置いた際の変形量をmm単位で計測した。すなわち、分銅の重力が図8の黒い矢印の方向にかかっていることになる。表中の数値は、23℃でのこの変形量を記した。
上記実施例1〜4および比較例1〜2で作製した評価用窓材の片端(20mmまで)を固定し、反対端から10mmの部分に、500gの分銅を置いた際の変形量をmm単位で計測した。すなわち、分銅の重力が図8の黒い矢印の方向にかかっていることになる。表中の数値は、23℃でのこの変形量を記した。
(透過性)
図9の下側から上側に向かって、すなわち、図9の黒矢印に示す方向で、評価用窓材を通して5m先の白色蛍光灯を見たときの色調を、目視で判断した。表9中の「透明」とは、蛍光灯の輪郭が明瞭で且つ、色調がほぼ白色であったことを示す。表9中の「微濁」とは、蛍光灯の輪郭は鮮明ではあるものの散乱によって色調が薄黄色であったことを示す。表9中の「白濁」とは、蛍光灯の輪郭がぼやける状態であったことを示す。
図9の下側から上側に向かって、すなわち、図9の黒矢印に示す方向で、評価用窓材を通して5m先の白色蛍光灯を見たときの色調を、目視で判断した。表9中の「透明」とは、蛍光灯の輪郭が明瞭で且つ、色調がほぼ白色であったことを示す。表9中の「微濁」とは、蛍光灯の輪郭は鮮明ではあるものの散乱によって色調が薄黄色であったことを示す。表9中の「白濁」とは、蛍光灯の輪郭がぼやける状態であったことを示す。
(耐摩耗性)
JIS R3212に記載の方法に準じて、耐磨耗性を測定した。ヘイズの測定は、へイズメーター(村上色彩研究所製 HM−65)を用いて行った。摩耗試験後のHazeと摩耗試験前のHazeとの差(△H、単位は%)を測定した。
JIS R3212に記載の方法に準じて、耐磨耗性を測定した。ヘイズの測定は、へイズメーター(村上色彩研究所製 HM−65)を用いて行った。摩耗試験後のHazeと摩耗試験前のHazeとの差(△H、単位は%)を測定した。
(熱履歴を与えた後の形状の評価)
実施例5および比較例3で作製した評価用窓材を恒温槽内に水平に置き、下記表8に記載の熱サイクルを1サイクルとして計10サイクルを評価用窓材に与え、熱履歴を与える前と熱履歴を与えた後の形状の変化を観察した。
実施例5および比較例3で作製した評価用窓材を恒温槽内に水平に置き、下記表8に記載の熱サイクルを1サイクルとして計10サイクルを評価用窓材に与え、熱履歴を与える前と熱履歴を与えた後の形状の変化を観察した。
熱膨張量、剛性、透過性、耐摩耗性、および熱履歴を与えた後の状態の評価結果を下記表9に示す。
上記表9から明らかなように、比較例1〜2の窓材と比較して、本発明の範囲内である実施例1〜4の窓材は、低熱膨張率、高剛性、および高い透明性を有する窓材であることがわかった。また、実施例5の窓材は、熱履歴を与えた後でも、板材と枠材との界面における剥離が発生せず、形状が変化しないことがわかった。
以上、具体例を挙げながら本発明をさらに詳細に説明してきたが、本発明は上記内容に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいてあらゆる変形や変更が可能である。
1 板材、
2 枠材、
10、20、30、40、50 自動車用窓材、
60、70 評価用窓材。
2 枠材、
10、20、30、40、50 自動車用窓材、
60、70 評価用窓材。
Claims (12)
- 透明樹脂から形成される板材と、
前記板材に用いられる透明樹脂と同じ透明樹脂および表面処理された無機ナノ粒子を含む複合樹脂から形成される枠材と、
を含む自動車用窓材であって、前記枠材が前記板材の外周部の少なくとも一部と一体化されてなることを特徴とする、自動車用窓材。 - 前記板材と前記枠材とが接着剤を介さずに接着されてなることを特徴とする、請求項1に記載の自動車用窓材。
- 前記板材と前記枠材との接着部の構造は、前記枠材が前記自動車用窓材の外周部から内側に向かって段差および傾斜の少なくとも一方を有し、かつ前記段差または前記傾斜の部分に前記板材が内挿された嵌合構造であることを特徴とする、請求項1または2に記載の自動車用窓材。
- 他部品を締結する箇所が前記枠材であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の自動車用窓材。
- 表面の一部または全部にハードコートが施されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の自動車用窓材。
- 前記ハードコートが、アクリル系ハードコート材、シリコーン系ハードコート材、およびメラミン系ハードコート材からなる群より選択される少なくとも1種の材料を用いて施されることを特徴とする、請求項5に記載の自動車用窓材。
- 前記酸化アルミニウムナノ粒子の短軸長さが5〜20nmであり、前記酸化アルミニウムナノ粒子の長軸長さが50〜500nmであることを特徴とする、請求項7に記載の自動車用窓材。
- 前記透明樹脂がポリカーボネートであることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の自動車用窓材。
- 請求項1〜10のいずれか1項に記載の自動車用窓材を含むサンルーフ構造体。
- 請求項1〜10のいずれか1項に記載の自動車用窓材を含むバックドア構造体。
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