JP2014218058A - 接着用構成体 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリカーボネート樹脂よりなるシート状物の周囲面に積層された枠部材上にハードコート層を介して接着層を設ける構成体において、構造部材に接着取付けをするために必要な優れた接着性を有する、接着用構成体を提供する。【解決手段】ポリカーボネート樹脂よりなるシート状物(A層)11、該A層の周囲面に積層された枠部材(B層)12、ハードコート層(C層)13,14、接着用プライマー層(D層)15、弾性接着剤層(E層)16が順次積層された、構造部材に接着取付けをするための接着用構成体であって、上記(D)層15は、その厚みが1μm以上20μm以下であり、かつ荷重800μN下におけるナノインデンテーション法により測定される押し込み弾性率が500MPa以上4000MPa以下であり、該接着用プライマーは、シランカップリング剤を含み、上記(E)層16の厚みが0.9mm以上14mm以下であること接着用構成体。【選択図】図1

Description

本発明は、ポリカーボネート樹脂よりなるシート状物の周囲面に積層された枠部材上にハードコート層を介して接着層を設ける構成体において、構造部材に接着取付けをするために必要な優れた接着性を有する、接着用構成体に関するものである。
従来から透明な熱可塑性樹脂をガラスの代替として利用する試みは、軽量化、安全性の向上、およびガラスでは不可能な態様での利用を達成するために盛んに行なわれてきた。特に、ポリカーボネート樹脂は、耐衝撃性、透明性、軽量性、加工性等の特徴を生かして、多方面の用途で使用されている。例えば、特許文献1には自動車の窓ガラスやサンルーフ、建設機械の窓ガラス等に使用する目的で、ポリカーボネートの表面の一部または全体に着色層、アクリル樹脂層からなるプライマー層、オルガノシロキサン樹脂からなるハードコート層が順次積層された透明樹脂積層体と金属枠とが接着剤を介して接合されている接着体を提案している。
しかしながら、上記特許文献1記載の接着体の構成においては、積層体のサイズが大型化した際に、ポリカーボネートの線膨張の影響が大きくなるため接着部分に応力が発生し、長期の屋外での使用を考えた場合に接着性に不具合をもたらすという問題があった。
上記の問題のために、サイズの大きな積層体を接着しようとした際、同じサイズのガラスを接着する場合に比べて接着剤の厚みを厚くすることで応力を緩和する必要があり、そのために接着部分の設計を樹脂積層体特有に設計しなければならないという問題点があった。
また積層体のサイズが小さい場合においても、自動車の窓ガラス等に用いた際、運転時の振動から接着性を確保するために従来では6mm以上の接着剤の厚みが必要であった(非特許文献1参照)。
一方、特許文献2には、ポリカーボネート樹脂よりなるシート状物の周囲面に積層された枠部材にダイレクトボンディングする構成を提案しており、枠部材に特定の樹脂組成物を用いることでゴム質緩衝層と特に湿熱性に優れる高度な接着性を発現している。しかしながら、枠部材上にハードコート層を介してゴム質緩衝層を積層した場合、優れた接着性を得ることができるかについては明らかにされていなかった。
そのため、ポリカーボネート樹脂よりなるシート状物の周囲面に積層された枠部材上にハードコート層を介して接着層を設ける構成体において、接着剤層の厚みを厚くすることなく、構造部材に接着取付けをするために必要な優れた接着性を有する接着用構成体は、未だ提供されていなかった。
特開2006−255928号公報 特開2009−270121号公報
Adhesives and Sealants : General Knowledge, Application Techniques, New Curing Techniques (Elsevier Science Ltd,2006)の385頁Figure27
本発明の目的は、ポリカーボネート樹脂よりなるシート状物の周囲面に積層された枠部材上にハードコート層を介して接着層を設ける構成体において、構造部材に接着取付けをするために必要な優れた接着性を有する、接着用構成体を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、ポリカーボネート樹脂よりなるシート状物の周囲面に積層された枠部材上にハードコート層を介して接着層を設ける構成体において、ナノインデンテーション法により測定した押し込み弾性率が500MPa以上4000MPa以下の範囲であり、シランカップリング剤を含む接着用プライマーを用いることにより、枠部材上に形成されたハードコート層と構造部材との接着部に高い応力が発生した場合でも、線膨張の小さいガラス窓を接着した場合と同じ接着剤の厚みで良好な接着性を得られることを究明し、本発明に至った。
即ち、本発明は以下の通りである。
1.ポリカーボネート樹脂よりなるシート状物(A層)、該A層の周囲面に積層された枠部材(B層)、ハードコート層(C層)、接着用プライマー層(D層)、弾性接着剤層(E層)が順次積層された、構造部材に接着取付けをするための接着用構成体であって、
上記(D)層は、その厚みが1μm以上20μm以下の範囲であり、かつ荷重800μN下におけるナノインデンテーション法により測定される押し込み弾性率が500MPa以上4000MPa以下の範囲であり、該接着用プライマーは、シランカップリング剤を含むプライマーであり、
上記(E)層の厚みが0.9mm以上14mm以下であることを満足する接着用構成体。
2.上記A層を形成する基材の長辺長さをX(mm)、上記E層を形成する接着剤の厚みをY(mm)としたとき、XおよびYは下記式(1)〜(3)を満足する上記1記載の接着用構成体。
0.9≦ Y < 6 (0<X<300の時) (1)
3×10―3X≦ Y <6 (300≦X≦1500の時) (2)
3×10―3X≦ Y <(16/3)×10―3X−2
(1500<X≦3000の時)(3)
3.上記C層は、電離放射線照射、赤外線照射、マイクロ波照射、高温水蒸気曝露、および加熱よりなる群から選ばれる少なくとも1種の方法で硬化された層であることを特徴とする上記1または2に記載の接着用積層体。
4.上記E層を形成する弾性接着剤は、ウレタン接着剤である上記1〜3のいずれかに記載の接着用構成体。
5.上記1〜4のいずれかに記載の接着用構成体がグレージング用途である接着用構成体。
本発明の接着用構成体は、ポリカーボネート樹脂よりなるシート状物の周囲面に積層された枠部材上にハードコート層を介して接着層を設ける構成体において、ナノインデンテーション法により測定した押し込み弾性率が500MPa以上4000MPa以下の範囲であり、シランカップリング剤を含む接着用プライマー層、弾性接着剤層をこの順で形成することで、構造部材に接着取付ける際に、線膨張の小さいガラス窓を接着した場合と同じ接着剤の厚みで良好な接着性を得られることが可能となった。そのため、その奏する工業的効果は格別である。
実施例で作成した試料片および応力試験の図である。 グレージング用接着構成体の上から見た図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の接着用構成体は、ポリカーボネート樹脂よりなるシート状物、該シート状物の周囲面に積層された枠部材、ハードコート層、ナノインデンテーション法により測定した押し込み弾性率が500MPa以上4000MPa以下の範囲であり、シランカップリング剤を含む接着用プライマー層、弾性接着剤層をこの順で形成することで、構造部材に接着取付ける際に、線膨張の小さいガラス窓を接着した場合と同じ接着剤の厚みで良好な接着性を得られることが可能となった。
(I)ポリカーボネート樹脂よりなるシート状物(A層)
本発明に用いるシート状物(A層)は、ポリカーボネート樹脂のシート状の成形体であって、1〜10mm、好ましくは2〜7mmの厚さを有しているのが好適である。かかるシート状物(A層)のポリカーボネート樹脂とは、ビスフェノールA型ポリカーボネート以外にも、他の二価フェノールを用いて重合された高耐熱性または低吸水率の各種のポリカーボネート樹脂や、脂肪族ジオールを用いて重合された高耐熱性の各種のポリカーボネート樹脂であってもよい。ポリカーボネート樹脂はいかなる製造方法によって製造されたものでもよく、界面重縮合の場合は通常一価フェノール類の末端停止剤が使用される。ポリカーボネート樹脂はまた3官能フェノール類を重合させた分岐ポリカーボネート樹脂であってもよく、更に脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸、または二価の脂肪族または脂環族アルコールを共重合させた共重合ポリカーボネートであってもよい。本発明に用いるポリカーボネート樹脂とは、上記ポリカーボネート樹脂並びにかかる樹脂に各種の他樹脂、衝撃改質剤、強化剤、および添加剤などを配合した樹脂組成物を指す。より具体的には、シート状物(A層)を構成する樹脂組成物の有機成分としてポリカーボネート樹脂が50重量%以上含有されるものである。さらに好ましくは、シート状物(A層)は、有機成分としてポリカーボネート樹脂を95重量%以上含有してなるものである。かかるシート状物(A層)のポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、10,000〜50,000のものが好ましく、15,000〜40,000のものがより好ましく、さらに好ましくは20,000〜35,000である。
またシート状物(A層)のポリカーボネート樹脂の態様として以下のものを挙げることができる。すなわち、粘度平均分子量70,000〜300,000の芳香族ポリカーボネート(PC−i)、および粘度平均分子量10,000〜30,000の芳香族ポリカーボネート(PC−ii)のプレンド物からなり、その粘度平均分子量が15,000〜40,000、好適には20,000〜30,000である芳香族ポリカーボネート(以下、“高分子量成分含有芳香族ポリカーボネート”と称することがある)も使用できる。
かかる高分子量成分含有芳香族ポリカーボネートは、PC−iの存在によりポリマーのエントロピー弾性を大きくし、大型成形品の場合に好適に使用される射出プレス成形時においてより有利となる。例えばヘジテーションマークなどの外観不良はより低減でき、その分射出プレス成形の条件幅を広げることが可能である。一方PC−ii成分の低い分子量成分は全体の溶融粘度を低下し、樹脂の緩和を促進して、より低歪の成形を可能とする。
ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(M)は塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを溶解した溶液から20℃で求めた比粘度(ηsp)を次式に挿入して求めたものである。ポリカーボネート樹脂の詳細については、例えば、特開2002−129003号公報に記載されている。
ηsp/c=[η]+0.45×[η]c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−40.83
c=0.7
他の二価フェノールを用いて重合された、高耐熱性または低吸水率の各種のポリカーボネート樹脂の具体例としては、下記のものが好適に例示される。
(1)該ポリカーボネートを構成する二価フェノール成分100モル%中、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(以下“BPM”と略称)成分が20〜80モル%(より好適には40〜75モル%、さらに好適には45〜65モル%)であり、かつ9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(以下“BCF”と略称)成分が20〜80モル%(より好適には25〜60モル%、さらに好適には35〜55モル%)である共重合ポリカーボネート。
(2)該ポリカーボネートを構成する二価フェノール成分100モル%中、ビスフェノールA成分が10〜95モル%(より好適には50〜90モル%、さらに好適には60〜85モル%)であり、かつBCF成分が5〜90モル%(より好適には10〜50モル%、さらに好適には15〜40モル%)である共重合ポリカーボネート。
(3)該ポリカーボネートを構成する二価フェノール成分100モル%中、BPM成分が20〜80モル%(より好適には40〜75モル%、さらに好適には45〜65モル%)であり、かつ1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン成分が20〜80モル%(より好適には25〜60モル%、さらに好適には35〜55モル%)である共重合ポリカーボネート。
(4)該ポリカーボネートを構成するニ価フェノール成分100モル%中、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン(以下“ビスフェノールC”と略称)成分が40〜90モル%(より好適には50〜80モル%)であり、かつビスフェノールA成分が10〜60モル%(より好適には20〜50モル%)である共重合ポリカーボネート。
一方、脂肪族ジオールを用いて重合された、高耐熱性の各種のポリカーボネート樹脂の具体例としては、該ポリカーボネートを構成する脂肪族ジオールがイソソルビド、イソマンニド、イソイディッドであるポリカーボネートが挙げられる。これらのなかでも特に、イソソルビド(1,4;3,6ージアンヒドローDーソルビトール)は、製造の容易さ、耐熱性に優れることから好ましい。
これらの特殊なポリカーボネートは、単独で用いてもよく、2種以上を適宜混合して使用してもよい。また、これらを汎用されているビスフェノールA型のポリカーボネートと混合して使用することもできる。
これらの特殊なポリカーボネートの製法及び特性については、例えば、特開平6−172508号公報、特開平8−27370号公報、特開2001−55435号公報及び特開2002−117580号公報等に詳しく記載されている。
シート状物(A層)のポリカーボネート樹脂は、各種の添加剤を含有することができ、特に紫外線吸収剤、熱安定剤、酸化防止剤、および離型剤は含有することが好ましく、さらに熱線吸収剤、着色剤、および光拡散剤などを含有することができる。種々の着色剤や光拡散剤は多様な意匠の車輌用グレージングを提供できる。
シート状物(A層)は、ポリカーボネート樹脂を各種の方法により成形して製造することができる。かかる製造方法としては、具体的には、射出成形、押出成形、圧縮成形、ブロー成形および回転成形などが例示されるが、特に射出成形が好ましい。またかかる成形体がさらに2次加工されたものであってもよい。即ち、シート状物(A)は、平面状だけでなく、湾曲したもの(例えば、枠部材のない側に凸状)の如き平面状シートから変形して得られる各種の形態を含むものである。さらにはかかるシート状物で構成される三次元形状物であってもよい。シート状物(A層)の厚みは必ずしも均一である必要はないが、ほぼ同じ厚さであることが実用的であり好ましい。
本発明に用いるシート状物の長辺長さは、好ましくは150mm以上3000mm以下であり、より好ましくは300mm以上2500mm以下である。長辺長さが、下限以上、上限以下であると、前記式(1)〜(3)を満足する接着剤の厚みで剛体たる構造部材に接着取付けをした際に良好な接着性が得られるため好ましい。本発明における基材層に用いるシートの長辺とは、シートの外周部分における最も長い辺を意味する。
さらに基材層は曲面を有していてもよく、湾曲の程度は、曲率半径(mm)で表わして、好ましくは500〜30,000mm、より好ましくは1,000〜25,000mm、より好ましくは1,500〜10,000mmの範囲である。
上述のような大型の基材および比較的緩やかな曲面を有する基材において、本発明の接着部における応力耐性効果はより発揮される。
(II)枠部材(B層)の構造および樹脂組成物について
<枠部材の構造>
本発明に用いる枠部材(B層)は、後述する樹脂組成物より形成される。枠部材(B層)はシート状物(A層)の周囲面の一部に結合していればよいが、シート状物(A層)の周囲部(周縁部)の全てにおいて結合していることがさらに好適である。すなわち、枠部材(B層)のより好ましい態様は、シート状物(A層)の周縁部で結合可能とした一体の枠状成形体である。またシート状物(A層)の面積の10〜90%の範囲において枠部材(B層)とシート状物(A層)が結合していることが好ましい。かかる範囲はより好ましくは20〜80%、さらに好ましくは30〜70%である。
さらに枠部材(B層)は、シート状物(A層)の片面で、またはその両面で結合することができるが、より好ましくは片面での結合である。
シート状物(A層)と枠部材(B層)との厚み比(A/B)は、好ましくは0.1〜10の範囲、より好ましくは0.5〜5の範囲、さらに好ましくは0.8〜4の範囲である。また枠部材(B)の厚みの絶対値としては、好ましくは0.1〜10mmの範囲であり、より好ましくは0.5〜5mmの範囲であり、さらに好ましくは1〜3mmの範囲である。かかる比および厚みは、シート状物(A層)の熱膨張による反り変形に対しても十分な拘束力を与え、結果として枠部材の樹脂組成物により良好な長期特性を与える。
本発明に用いる枠部材は、樹脂組成物を各種の方法により成形して製造することができる。かかる製造方法としては、具体的には、射出成形、押出成形、圧縮成形、ブロー成形および回転成形などが例示されるが、特に射出成形が好ましい。またかかる成形体がさらに2次加工されたものであってもよい。
<枠部材の樹脂組成物>
本発明に用いる枠部材の樹脂組成物は、高剛性(高い曲げ弾性率)、高靭性(高い破断伸度、高い衝撃強度)、流動性、耐熱性に優れるものが好ましい。なかでも芳香族ポリカーボネート50〜90重量部、スチレン系樹脂10〜50重量部、無機充填材0〜50重量部の範囲であることが耐熱性、流動性、耐衝撃性、剛性の点でより好ましい。スチレン系樹脂量が上限以上では耐熱性が低下し、下限以下では流動性が不足する。また、枠部材の樹脂組成物は耐熱性の点でオレフィンを含まないことが好ましい。
スチレン系樹脂は、芳香族ビニル単量体の重合体、または必要に応じてこれらと共重合可能な他の単量体およびゴム質重合体より選ばれる少なくとも1種を共重合して得られる共重合体(以下単に“スチレン系重合体”と称する場合がある)からなる樹脂を意味し、これらは複数の重合体または共重合体の混合物であってもよい。またかかるスチレン系樹脂の共重合体は、芳香族ビニル単量体が少なくも20重量%含有されるものを指す。
尚、本発明の樹脂組成物は、後述する相溶化剤の如く異種重合体のセグメントが結合した共重合体成分を含むことができる。スチレン系重合体または芳香族ポリカーボネートをそのセグメントとして含む共重合体においては、各セグメントはそれぞれスチレン系樹脂および芳香族ポリカーボネート樹脂としてその組成割合に反映させる。これはかかる共重合体成分の各セグメントは、少なからずそれぞれの重合体の性質を有すると考えられるためである。
上記スチレン系樹脂に用いられる芳香族ビニル単量体(以下、“芳香族ビニル化合物”と称する場合がある)としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルキシレン、エチルスチレン、ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、ビニルナフタレン、メトキシスチレン、モノブロムスチレン、ジブロムスチレン、フルオロスチレン、トリブロムスチレンなどが挙げられ、スチレンおよびα−メチルスチレンが好ましく、特にスチレンが好ましい。
上記芳香族ビニル単量体と共重合可能な単量体としては、シアン化ビニル化合物および(メタ)アクリル酸エステル化合物を好ましく挙げることができる。シアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられ、特にアクリロニトリルが好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、具体的にはメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。尚(メタ)アクリレートの表記はメタクリレートおよびアクリレートのいずれをも含むことを示し、(メタ)アクリル酸エステルの表記はメタクリル酸エステルおよびアクリル酸エステルのいずれをも含むことを示す。特に好適な(メタ)アクリル酸エステル化合物としてはメチルメタクリレートを挙げることができる。
シアン化ビニル化合物および(メタ)アクリル酸エステル化合物以外の芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体としては、グリシジルメタクリレートなどのエポキシ基含有メタクリル酸エステル、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどのマレイミド系単量体、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、イタコン酸などのα,β−不飽和カルボン酸およびその無水物があげられる。
芳香族ビニル単量体と、上記の該単量体と共重合可能な単量体との割合は、両者の合計100重量%中、芳香族ビニル単量体が50〜95重量%(好ましくは65〜85重量%)、および共重合可能な単量体が5〜50重量%(好ましくは15〜35重量%)である。上記の共重合可能な単量体の中でも、シアン化ビニル化合物および(メタ)アクリル酸エステル化合物が好適であり、特にシアン化ビニル化合物が好ましい。すなわち、スチレン系樹脂は、シアン化ビニル化合物をその共重合成分として含有する共重合体樹脂であることが好ましい。更に好ましくは芳香族ビニル単量体と共重合可能な成分が実質的にシアン化ビニル化合物(特にアクリロニトリル)のみからなる共重合体からなるスチレン系樹脂の態様である。特にスチレン系樹脂が複数の種類の芳香族ビニル単量体と共重合可能な成分との共重合体の混合物である場合には、かかるいずれの種類の共重合体も、シアン化ビニル化合物をその共重合成分として含有する共重合体であることが好ましく、芳香族ビニル単量体と共重合可能な成分が実質的にシアン化ビニル化合物(特にアクリロニトリル)のみからなる共重合体であることが更に好ましい。
更に本発明に用いるスチレン系樹脂はその製造時にメタロセン触媒等の触媒使用により、シンジオタクチックポリスチレン等の高い立体規則性を有するものであってもよい。更に場合によっては、アニオンリビング重合、ラジカルリビング重合等の方法により得られる、分子量分布の狭い重合体や共重合体、ブロック共重合体、並びに立体規則性の高い重合体や共重合体であってもよい。更にはスチレン系樹脂の共重合体はマクロモノマーを使用した制御された櫛型構造の重合体など、各種の分子レベルで精密に制御された各種の共重合体が広く知られている。スチレン系樹脂としてはこれら公知の精密制御された共重合体の使用が可能である。
スチレン系樹脂の中で、ゴム質重合体成分を含まないスチレン系樹脂の具体例としては、例えばポリスチレン樹脂、MS樹脂、AS樹脂、およびSMA樹脂などを挙げることができる。尚、ここでMS樹脂はメチルメタクリートとスチレンから主としてなる共重合体樹脂、AS樹脂はアクリロニトリルとスチレンから主としてなる共重合体樹脂、SMA樹脂はスチレンと無水マレイン酸(MA)から主としてなる共重合体樹脂を示す。
上記のゴム質重合体成分を含まないスチレン系樹脂としては、AS樹脂およびMS樹脂が好適であり、AS樹脂が特に好適である。本発明においてAS樹脂とは、シアン化ビニル化合物と芳香族ビニル化合物を共重合した熱可塑性共重合体である。かかるシアン化ビニル化合物の一例は上記の如くであり、特にアクリロニトリルが好ましく使用される。また芳香族ビニル化合物の一例も上記の如くであり、スチレンおよびα−メチルスチレンが好ましく、特にスチレンが好ましく使用される。AS樹脂中における各成分の割合としては、全体を100重量%とした場合、シアン化ビニル化合物(特にアクリロニトリル)が5〜50重量%、好ましくは15〜35重量%、芳香族ビニル化合物(特にスチレン)が95〜50重量%、好ましくは85〜65重量%である。更にこれらのビニル化合物に、上記の共重合可能な他の化合物が共重合されたものでもよい。これら他の化合物の含有割合は、AS樹脂成分中15重量%以下であるものが好ましい。また反応で使用する開始剤、連鎖移動剤等は必要に応じて、従来公知の各種のものが使用可能である。
かかるAS樹脂は塊状重合、懸濁重合、乳化重合のいずれの方法で製造されたものでもよいが、好ましくは塊状重合によるものである。また共重合の方法も一段での共重合、または多段での共重合のいずれであってもよい。またかかるAS樹脂の重量平均分子量は、GPC測定による標準ポリスチレン換算において40,000〜200,000が好ましい。かかる下限は50,000がより好ましく、70,000が更に好ましい。また上限は160,000がより好ましく、150,000が更に好ましい。
本発明に用いるスチレン系樹脂は、ゴム質重合体にその構成単位として少なくとも芳香族ビニル単量体単位を含んでなる重合体が結合した共重合体(以下単に“ゴム共重合スチレン系重合体”と称する場合がある)を含有するスチレン系樹脂であることが好ましい。
その理由は、かかるゴム共重合スチレン系重合体を含有するスチレン系樹脂は、良好な靭性を幅広い組成範囲で発揮し実用性に富むこと、並びにゴム共重合スチレン系重合体を含有するスチレン系樹脂においてこそ、本発明のC成分の効果はより顕著に発揮されることによる。ゴム質重合体に結合する重合体としては、上記の如く芳香族ビニル化合物の単独重合体、並びに芳香族ビニル化合物と該化合物と共重合可能な単量体との共重合体が挙げられる。芳香族ビニル化合物と共重合可能な単量体における、その内容、好ましい態様、芳香族ビニル化合物との組成割合などは上記のとおりである。
上記のゴム質重合体は特に限定されるものではなく、ガラス転移温度が10℃以下、好ましくは−10℃以下、より好ましくは−30℃以下である重合体をいう。またゴム質重合体が架橋ゴム粒子の場合、その粒径は重量平均粒子径において0.05〜5μmが好ましく、0.1〜1.5μmがより好ましく、0.1〜0.8μmが更に好ましい。上記範囲内であればより良好な耐衝撃性が達成される。
上記ゴム質重合体としては、ジエン系ゴム(ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン・ブタジエンのランダム共重合体およびブロック共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、アクリル酸アルキルエステルまたはメタクリル酸アルキルエステルおよびブタジエンの共重合体、ブタジエン・イソプレン共重合体など)、オレフィンゴム(エチレンとα−オレフィンとの共重合体、エチレンと不飽和カルボン酸エステルとの共重合体、エチレンと脂肪族ビニルとの共重合体など)、アクリルゴム(例えば、ポリブチルアクリレート、ポリ(2−エチルヘキシルアクリレート)、およびブチルアクリレートと2−エチルヘキシルアクリレートとの共重合体など)、並びにシリコーンゴム(例えば、ポリオルガノシロキサンゴム、ポリオルガノシロキサンゴム成分とポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分とからなるIPN型ゴム;すなわち2つのゴム成分が分離できないように相互に絡み合った構造を有しているゴム、およびポリオルガノシロキサンゴム成分とポリイソブチレンゴム成分からなるIPN型ゴムなど)などが挙げられ、中でもジエン系ゴム、オレフィンゴムおよびアクリルゴムが好ましい。
ジエン系ゴムについて更に説明する。スチレン系樹脂のゴム質重合体に使用されるジエン系ゴムとしては、例えばポリブタジエン、ポリイソプレン及びスチレン・ブタジエン共重合体等のガラス転移点が10℃以下のゴムが用いられ、その割合はスチレン系樹脂成分100重量%中5〜80重量%であるのが好ましく、より好ましくは8〜70重量%であり、更に好ましくは10〜50重量%であり、特に好ましくは12〜40重量%である。ゴム粒子径は0.05〜5μmが好ましく、より好ましくは0.1〜1.5μm、特に好ましくは0.1〜0.8μmである。かかるゴム粒子径の分布は単一の分布であるもの及び2山以上の複数の山を有するもののいずれもが使用可能であり、更にそのモルフォロジーにおいてもゴム粒子が単一の相をなすものであっても、ゴム粒子の周りにオクルード相を含有することによりサラミ構造を有するものであってもよい。
オレフィンゴムについて更に説明する。スチレン系樹脂のゴム質重合体に使用されるオレフィンゴムとしては、エチレンとα−オレフィンとの共重合体(例えば、エチレン・プロピレンランダム共重合体およびブロック共重合体、エチレン・ブテンのランダム共重合体およびブロック共重合体など)、エチレンと不飽和カルボン酸エステルとの共重合体(例えばエチレン・メタクリレート共重合体、およびエチレン・ブチルアクリレート共重合体など)、エチレンと脂肪族ビニルとの共重合体(例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体など)、エチレンとプロピレンと非共役ジエンターポリマー(例えば、エチレン・プロピレン・ヘキサジエン共重合体など)などが挙げられる。オレフィンゴムの好ましい態様は、エチレンとα―オレフィンとの共重合体、並びにエチレン、α−オレフィンおよび非共役ポリエンからなる共重合体であり、特に架橋構造が得られる点からエチレン、α−オレフィンおよび非共役ポリエンからなる共重合体が好ましい。ここで、α−オレフィンは炭素原子数が3〜60であり、3〜30が好ましく、3〜20がより好ましい。尚、これらの共重合体は、共役ジエン化合物を共重合した共重合体を水素添加(水添)することにより得られるものを含む。かかる水添により得られるゴムとしては、ポリブタジエンの水添により生成するポリエチレン単位、ポリイソプレンの水添により生成するポリ(エチレン−プロピレン)単位などが例示される。
オレフィンゴムは、架橋および非架橋のいずれのゴム質重合体も含むものであるが、耐衝撃性の点から架橋ゴム質重合体がより好ましい。かかる場合にその架橋割合は、熱トルエン不溶解分の含有量が30重量%以上であることが好ましく、50重量%以上が更に好ましい。
更にオレフィンゴムは、2種以上の混合物からなるものであってもよい。例えばエチレンとα−オレフィンとの共重合体、並びにエチレン、α−オレフィンおよび非共役ポリエンからなる共重合体に、低分子量ポリエチレン、低分子量エチレン・α−オレフィン共重合体、不飽和カルボン酸変性低分子量ポリエチレン、並びに不飽和カルボン酸変性低分子量エチレン・α−オレフィン共重合体からなる群から選択される少なくとも1種を含有してなるゴム質重合体が例示される。
上記α−オレフィン化合物としては、例えばプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−イコセンなどが例示される。中でもプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、および1−オクテンが好ましく、プロピレンが更に好ましい。
上記非共役ポリエン化合物としては、例えば、1,4−ヘキサジエン、5−エチレデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、5−ビニルノルボルネン、6,7−ジメチル−4−エチリデン−1,6−オクタジエン、6,7−ジメチル−4−エチリデン−1,6−ノナジエン、7−メチル−6−プロピル−4−エチリデン−1,6−オクタジエン、8−メチル−4−エチリデン−1,7−ノナジエン、7,8−ジメチル−4−エチリデン−1,7−ノナジエン、7,8−ジメチル−4−エチリデン−1,7−ノナジエン、9−メチル−4−エチリデン−1,8−デカジエン、および8,9−ジメチル−4−エチリデン−1,8−デカジエンなどが例示される。
エチレンとα−オレフィンとの共重合体、並びにエチレン、α−オレフィンおよび非共役ポリエンからなる共重合体において、エチレンとα−オレフィンとのモル比(エチレン/α−オレフィン)は、40/60〜95/5の範囲が好ましく、60/40〜92/8の範囲がより好ましく、65/35〜90/10の範囲が更に好ましい。かかる範囲を満足することにより良好な耐衝撃性が得られる。
更にエチレンとα−オレフィンとの共重合体、並びにエチレン、α−オレフィンおよび非共役ポリエンからなる共重合体において、そのヨウ素価は、5〜40の範囲が好ましく、10〜30の範囲がより好ましく、10〜20の範囲が更に好ましい。
またエチレン、α−オレフィンおよび非共役ポリエンからなる共重合体は、線状重合体が合成された後必要に応じて架橋処理される。かかる架橋処理は、電離放射線を用いる放射線処理法、有機過酸化物を用いる熱処理法など従来公知の架橋処理法を用いて行なわれる。かかる架橋後のゴム質重合体は、グラフト共重合のためのゴム基質として特に好適である。
エチレンとα−オレフィンとの共重合体、並びにエチレン、α−オレフィンおよび非共役ポリエンからなる共重合体は、チーグラー型触媒を用いて通常製造される。他の触媒としてメタロセン化合物と有機アルミニウムオキシ化合物との組み合わせが例示される。
一方で、共役ジエン化合物の重合体に水添してエチレンとα−オレフィンとの共重合体が製造される場合には、該共役ジエン化合物の重合体は通常ブチルリチウムなどのイオン重合触媒を用いて製造され、その後水添処理がなされて所定のゴム質重合体またはゴム共重合スチレン系重合体が製造される。例えばSEPS重合体の場合には、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体を合成した後、水添処理される。
共役ジエン化合物としては、ブタジエン、イソプレンなどを挙げることができる。更に好ましくはポリイソプレン、ポリブタジエン、およびイソプレンとブタジエンの共重合体を挙げることができる。共重合体の場合には、その形態としてはランダム共重合体、ブロック共重合体、およびテーパード共重合体のいずれの形態も選択することができる。
共役ジエン化合物の重合体に水添して製造されるエチレンとα−オレフィンとの共重合体の分子量は制限されるものではないが、数平均分子量10,000〜200,000の範囲であるものが好ましい。より好ましくは数平均分子量15,000〜150,000である。かかる範囲においては、良好な成形加工性が更に付与される。
共役ジエン化合物の重合体に水添して製造されるエチレンとα−オレフィンとの共重合体単位を含むブロック共重合体の製造における、触媒、カップリング剤、共触媒、重合方法、および溶媒などは、公知の方法を適宜用いることができる。
アクリルゴムについて更に説明する。スチレン系樹脂のゴム質重合体に使用されるアクリルゴムのアルキル(メタ)アクリレート単量体としては、アルキル基の炭素数が2〜20であるものが好ましい。具体的には例えばアルキル基の炭素数が2〜5のアルキル(メタ)アクリレート(以下単に“C2〜C5アクリレート”と称する)としては、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートなどを挙げることができる。また例えばアルキル基の炭素数が6〜20のアルキル(メタ)アクリレート(以下単に“C6〜C20アクリレート”と称する)としては、2−エチルヘキシルアクリレート、エトキシエトキシエチルアクリレート、メトキシトリプロピレングリコールアクリレート、ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレートなどが挙げられる。上記C2〜C5アクリレートとしては、n−ブチルアクリレートが好適である。一方C6〜C20アクリレートとしては、2−エチルヘキシルアクリレート、エトキシエトキシエチルアクリレート、メトキシトリプロピレングリコールアクリレート、ラウリルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、およびステアリルメタクリレートが好適であり、特に2−エチルヘキシルアクリレートが耐熱性、耐衝撃性の点で好ましい。中でも好ましいのはn−ブチルアクリレートである。その理由はn−ブチルアクリレートは耐熱性および耐衝撃性のバランスに優れており、更に広く使用されているため工業的に容易に入手可能なためである。
上記のアルキル(メタ)アクリレート単量体は単独でも2種以上併用して使用することもできる。殊に併用の場合にはC2〜C5アクリレートとC6〜C20アクリレートとを併用することが好ましい。かかる併用は耐熱性と耐衝撃性の両立をより高めることが可能である。かかる併用の場合には、2種以上の成分を同時に共重合する方法の他、いずれか1つの単量体を重合して得た後かかる重合体に他の単量体を含浸して重合する方法、並びにそれぞれの単量体を別々に重合した後これらを混合する方法などが挙げられる。重合体に単量体を含浸する方法が特に好適である。また得られたゴム基質のガラス転移温度がDSC微分曲線においてバイモーダルの挙動を取るものがより好適である。
更にアクリルゴムは、上記のアルキル(メタ)アクリレート単量体と共に多官能アルキル(メタ)アクリレートを重合することにより好ましいゴム弾性を得ることができる。ここで多官能アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えばアリルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、およびトリアリルイソシアヌレートなどが挙げられる。これらは2種以上を併用することができる。かかる多官能アルキル(メタ)アクリレートとしてはアリルメタクリレート、トリアリルシアヌレートなどが好適であり、アリルメタクリレートがより好ましい。またかかる多官能アルキル(メタ)アクリレートはゴム質重合体において0.1〜20重量%が好ましく、0.2〜3重量%がより好ましく、0.3〜2.5重量%が更に好ましい。
またかかるアクリルゴムにおいて水溶性に乏しい単量体のラテックスを使用する場合には、強制乳化重合法で製造することが好ましい。かかる製造法においてラテックスを微粒化する手段としては、ラテックスを高速回転による剪断力で微粒化するホモミキサーや、高圧発生器による噴出力で微粒化するホモジナイザー、および多孔質フィルターを利用して微粒化する装置などを挙げることができる。
本発明のゴム共重合スチレン系重合体を含むスチレン系樹脂において、芳香族ビニル単量体およびこれらと共重合可能な他の単量体としては上記のものが使用でき、ゴム質重合体にグラフト共重合、ブロック共重合など公知の各種方法により共重合して得られる。共重合の方法は特に限定されないが、グラフト共重合、およびブロック共重合が好ましく、特に良好な耐衝撃性などの靭性が付与できる点においてグラフト共重合が好ましい。
上記ゴム共重合スチレン系重合体を含むスチレン系樹脂としては、例えばスチレン・ブタジエン・スチレン共重合体樹脂(SBS樹脂)、水添スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体樹脂(水添SBS樹脂)、水添スチレン・イソプレン・スチレン共重合体樹脂(SEPS樹脂)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体樹脂(ABS樹脂)、メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン共重合体樹脂(MBS樹脂)、メチルメタクリレート・アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体樹脂(MABS樹脂)、アクリロニトリル・アクリルゴム・スチレン共重合体樹脂(ASA樹脂)、アクリロニトリル・エチレンプロピレン系ゴム・スチレン共重合体樹脂(AES樹脂)やこれらの混合物が挙げられる。本発明のスチレン系樹脂は通常ゴム共重合スチレン系重合体とゴム質重合体に結合していないスチレン系重合体との混合物として市販され使用される。ここでゴム質重合体に結合していないスチレン系重合体は、ゴム質重合体との結合反応において結合しなかった遊離成分、および別途重合して得られた重合体成分のいずれであってもよく、通常の市販品のスチレン系樹脂の多くは(特にグラフト共重合体のスチレン系樹脂は)、かかるいずれの成分も含むものであることが多いことも広く知られている。一方、この別途重合して得られた重合体成分は、本発明の樹脂組成物を製造する際に混合されるものであってもよい。
本発明のゴム共重合スチレン系重合体を含むスチレン系樹脂としては、SBS樹脂やABS樹脂、MBS樹脂、ASA樹脂、AES樹脂が好適であり、ABS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂がより好適であり、特にAES樹脂およびASA樹脂が好適である。AES樹脂およびASA樹脂では、従来無機充填材を配合した芳香族ポリカーボネート樹脂において、その耐衝撃性を向上させる成分である酸変性ポリオレフィンワックスなどの効果が比較的小さい場合があった。かかる理由は十分解明されていないが、酸変性ポリオレフィンワックスとAES樹脂やASA樹脂との親和性から、無機充填材に対する被覆効果が不十分になる可能性が考えられる。すなわち通常、酸変性ポリオレフィンワックスは、芳香族ポリカーボネート樹脂との相溶性が不良であることから、溶融混練などにおいてポリカーボネート樹脂相に存在する該ワックスは無機充填材と接触すると容易に無機充填材の周囲を被覆するように働くが、一方でASA樹脂やAES樹脂などとの相溶性が良好であるためにかかる被覆作用が生じ難い可能性が考えられる。
上記のABS樹脂、AES樹脂、およびASA樹脂において、芳香族ビニル化合物およびシアン化ビニル化合物の合計量100重量%に対して、芳香族ビニル化合物は95〜50重量%が好ましく、90〜60重量%がより好ましく、85〜65重量%が更に好ましい。一方、シアン化ビニル化合物は5〜50重量%が好ましく、10〜40重量%がより好ましく、15〜35重量%が更に好ましい。更に上記のグラフト成分の一部についてメチル(メタ)アクリレート、エチルアクリレート、無水マレイン酸、N置換マレイミド等を混合使用することもでき、これらの含有割合は樹脂成分中15重量%以下であるものが好ましい。ABS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂において、反応で使用される開始剤、連鎖移動剤、乳化剤等は必要に応じて、従来公知の各種のものが使用可能である。
無機充填材は特に限定されないが、セラミック繊維、スラグ繊維、ロックウール、ワラストナイト、ゾノトライト、チタン酸カリウムウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカー、ボロンウイスカー、塩基性硫酸マグネシウムウイスカーなどの繊維状充填材や、タルク、マイカ、ハイドロタルサイトなどの板状無機充填材が好適に挙げられる。これらの繊維状および板状の無機充填材は、異種材料を表面被覆したものであってもよい。異種材料としては金属、合金、金属酸化物などが代表的である。
上記の繊維状および板状の無機充填材の中でも、高剛性や高靭性(アイゾット衝撃特性、面衝撃性)、外観、寸法安定性の点から、ワラストナイト、各種ウイスカー(特に合成ウイスカー)、金属繊維、タルク、およびマイカなどが好ましく、より好ましくはワラストナイト、合成ウイスカー、タルク、およびマイカが好適である。また、HC層との密着性の点から、ワラストナイトが特に好ましい。合成ウイスカーとしては、チタン酸カリウムウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカー、酸化亜鉛ウイスカー、塩基性硫酸マグネシウムウイスカー、およびゾノトライトなどが好適に例示される。
(III)ハードコート層(C層)
本発明におけるハードコート層に使用するハードコート剤としては、シリコーン樹脂系ハードコート剤や有機樹脂系ハードコート剤などが例示される。
シリコーン樹脂系ハードコート剤は、シロキサン結合をもった硬化樹脂層を形成するものであり、例えば、3官能シロキサン単位に相当する化合物(トリアルコキシシラン化合物など)を主成分とする化合物の部分加水分解縮合物、好ましくはさらに4官能シロキサン単位に相当する化合物(テトラアルコキシシラン化合物など)を含む部分加水分解縮合物、並びにさらにこれらにコロイダルシリカなどの金属酸化物微粒子を充填した部分加水分解縮合物などが挙げられる。シリコーン樹脂系ハードコート剤はさらに2官能性のシロキサン単位および1官能性のシロキサン単位を含んでよい。これらには縮合反応時に発生するアルコール(アルコキシシランの部分加水分解縮合物の場合)などが含まれるが、さらに必要に応じて任意の有機溶剤、水、あるいはこれらの混合物に溶解ないしは分散させてもよい。そのための有機溶剤としては、低級脂肪酸アルコール類、多価アルコールとそのエーテル、エステル類などが挙げられる。なお、ハードコート層には平滑な表面状態を得るため各種界面活性剤、例えば、シロキサン系、フッ化アルキル系界面活性剤などを添加してもよい。
本発明におけるハードコート層に使用するハードコート剤としては、特にコロイダルシリカおよび/またはアルコキシシラン加水分解縮合物が溶剤を除くハードコート全重量に対して10重量%以上であることが好ましい。
コロイダルシリカおよび/またはアルコキシシラン加水分解縮合物は、13重量%以上であることが好ましく、更に15重量%であることが好ましい。下限以上では、ハードコート層上に荷重800μN下におけるナノインデンテーション法により測定される押し込み弾性率が500MPa以上4000MPa以下の範囲であり、シランカップリング剤を含む接着用プライマー層を形成させた際に、優れた接着性が得られるため好ましい。また、コリダルシリカの上限は60重量部以下であることが好ましい。
コロイダルシリカおよび/またはアルコキシシラン加水分解縮合物が10重量%以上となるハードコート剤は、シリコーン樹脂系ハードコート剤や有機樹脂系ハードコート剤に有機溶剤分散コロイダルシリカを混合して得ることができる。
有機樹脂系ハードコート剤としては、例えば、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂または多官能アクリル樹脂などが挙げられる。ここで多官能アクリル樹脂としてはポリオールアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ホスファゼンアクリレートなどの樹脂が挙げられる。
これらハードコート剤のうち長期間の耐久性に優れ、かつ表面硬度が比較的高いシリコーン樹脂系ハードコート剤、または処理が比較的簡便でかつ良好なハードコート層が形成される紫外線硬化型のアクリル樹脂または多官能アクリル樹脂が好ましい。特に少なくとも製品(窓構造体)において太陽光を受ける側の面はシリコーン樹脂系ハードコートがなされていることが好ましい。シリコーン樹脂系ハードコート剤はプライマー層とトップ層から構成されるいわゆる2コートタイプ、並びに1層のみから形成されるいわゆる1コートタイプのいずれも選択できる。
かかるプライマー層(第1層)を形成する樹脂としては、各種ブロックイソシアネート成分およびポリオール成分からなるウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、アミノ樹脂、およびポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ホスファゼンアクリレート、メラミンアクリレート、アミノアクリレートなどの各種多官能アクリル樹脂を挙げることができ、これらは単独でも2種以上を併用して使用することもできる。これらの中でも好ましくはアクリル樹脂、多官能アクリル樹脂が50重量%、より好ましくは60重量%以上含有するものを挙げることができ、特にアクリル樹脂およびウレタンアクリレートからなるものが好ましい。これらは未反応状態のものを塗布後所定の反応をさせて硬化樹脂とすること、並びに反応後の樹脂を直接塗布し硬化樹脂層を形成することのいずれも適用可能である。後者は通常樹脂を溶媒に溶解し溶液とした後、塗布されその後溶媒が除去される。また前者の場合も溶媒を使用することが一般的である。
さらに、ハードコート層を形成する樹脂には、光安定剤や紫外線吸収剤、並びに触媒、熱・光重合開始剤、重合禁止剤、消泡剤、レベリング剤、増粘剤、沈殿防止剤、垂れ防止剤、難燃剤、有機・無機顔料・染料の各種添加剤および添加助剤を含むことができる。
コート方法としては、バーコート法、ディップコート法、フローコート法、スプレーコート法、スピンコート法、ローラーコート法等の方法を、塗装される基材となる成形体の形状に応じて適宜選択することができる。
ハードコート層の硬化方法は、電離放射線照射、赤外線照射、マイクロ波照射、高温水蒸気曝露、加熱よりなる群から選ばれる少なくとも1種の方法で行うことが好ましい。
(電離放射線による硬化)
電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうちコート層の硬化反応を起こし得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他に、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も使用可能である。
(赤外線照射による硬化)
赤外線照射による硬化は、振動エネルギーを電磁波の形で加えることで短時間、局所的に加熱するため基体の温度上昇を抑制しつつ硬化を行うことができ好ましい。レーザー光を使用すれば、ビーム径を通常の赤外線ランプより絞ることも可能である。
(マイクロ波照射による硬化)
マイクロ波照射法は、マイクロ波との共鳴で振動させることで、基体に熱を伝えることなく加熱することができるため好ましい。
これらの硬化方法の中でも、電離放射線照射による硬化が硬化に要する時間と設備費用の点で特に好ましい。
ハードコート層の厚みは1〜30μmが好ましく、2〜20μmがより好ましく、3〜10μmが更に好ましい。下限以上では、基材の耐磨耗性が得られ、上限以下では、硬化ムラが生じづらく基材との密着性が良好であり好ましい。
(IV)接着用プライマー層(D層)
本発明における接着用プライマー層は、厚みが1μm以上20μm以下の範囲であり、かつ荷重800μN下におけるナノインデンテーション法により測定される押し込み弾性率500MPa以上4000MPa以下の範囲であり、シランカップリング剤を含む接着用プライマーを用いる。接着用プライマー層は、厚みが2μm以上10μm以下の範囲であることが好ましい。厚みが下限以上であると良好な接着性が得られ、上限以下であると良好な接着性が必要最低限の接着用プライマーの量で得られるため好ましい。ナノインデンテーション法により測定される弾性率は、1000MPa以上3500MPa以下であることが好ましい。弾性率が下限以上であると被着体への十分な反応性が得られるため好ましく、上限以下であると十分な応力緩和効果が期待できるため好ましい。
本発明の押し込み弾性率の測定は、基板上のハードコート層に接着用プライマーを50μm程度の厚みで塗布し、温度23℃および相対湿度50%の雰囲気下で養生し、硬化させた後にミクロトームを用いて断面切削を行い、平滑断面を得た後、かかる断面において、膜厚の中央付近で測定することを基本とする。かかるプライマーが塗工されたサンプルをバーコビッチ圧子(α:65.03°)を備えたナノインデンテーション装置により、押し込み弾性率を測定する。かかる測定においては、20.4mgf/secの荷重速度で負荷をかけ、最大荷重として800μNを1秒間保持した後、同様の荷重速度で除荷を行う条件を適用する。かかる測定に好適な装置としては、例えばエリオニクス株式会社製、製品名ENT−2100超微小押し込み硬さ試験機が利用できる。
本発明における接着用プライマーは、コロイダルシリカおよび/またはアルコキシシラン加水分解縮合物が溶剤を除くハードコート全重量に対して10重量%以上であるハードコート剤を用いてなるハードコート層、および接着剤のいずれに対しても良好な接着性であることが好ましい。接着剤にウレタン接着剤を用いる場合、該プライマーは、シロキサン成分に対する反応性の良好なアルコキシシリル基、およびウレタン接着剤に対する反応性の良好なイソシアネート基のいずれも含有する化合物を含むことが好ましい。かかる化合物のアルコキシシリル基は、ハードコート層に直接にもしくは他のアルコキシシリル基含有化合物との加水分解縮合結合を介して、ハードコート層に強固に結合する。
本発明におけるプライマーにおける他のシランカップリング剤としては、後述する変性シランが好適であり、エポキシシラン1モルに対しに対しアミノシランを0.1〜1モルの割合で反応させた変性シランがより好適に例示される。更に、かかるエポキシシランとしては、特にγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランが、かかるアミノシランとしては、特にN−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、およびN−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシランが好ましい。
一方、化合物のイソシアネート基は、ウレタン接着剤に直接に、もしくは他のアルコール性OH基含有化合物の如きイソシアネート基に対する反応性基含有化合物を介して直接に結合することを可能とする。したがって、アルコキシシリル基およびイソシアネート基をいずれも含む化合物は、ハードコート層とウレタン接着剤とを化学結合を介して結ぶことを可能とするため好ましい。
一方で、本発明における接着用プライマーは、特定の弾性率を有することにより、接着構成体に負荷される応力を効率よく緩和する特性を有する。かかる特性を満たすため、プライマーの架橋構造はあまり密にならないことが好ましい。かかる観点から上記のアルコキシシリル基およびイソシアネート基をいずれも含む化合物は、反応性の官能基のいずれかが、分岐構造の分岐基点から離れて存在する構造であることが好ましい。
より具体的には、好適な態様として、分岐構造を有するポリイソシアネート化合物と、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランの如きイソシアネート基と反応性を有する基を含有するシランカップリング剤との反応生成物(以下、“シラン変性ポリイソシアネート”と称する)が例示される。かかる反応においては、ポリイソシアネート化合物とシラン化合物との割合を調整し、少なからずイソシアネート基を残留させる。
分岐構造を有するポリイソシアネート化合物としては、トリメチロールプロパンなどの多価アルコールと、ジイソシアネート化合物とのアダクト変性体、TDIとHDIとのイソシアヌレート変性体、HDIのイソシアヌレート変性体、HDIとIPDIとのイソシアヌレート変性体、並びにIPDIのイソシアヌレート変性体などが例示される。尚、ジイソシアネート化合物の略号については以下に示すとおりである。すなわち、かかるジイソシアネート化合物としては、
(1)トリレンジイソシアネート(通常“TDI”と略称される。2,4−TDI、および2,6−TDIを含む)、ジフェニルメタンジイソシアネート(“MDI”と略称され、4,4’−MDI、2,4’−MDI、および2,2’−MDIを含む)、1,5−ナフチレンジイソシアネート、1,4−ナフチレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(“XDI”と略称され、o−XDI、m−XDI、およびp−XDIを含む)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート( “TMXDI”と略称される)、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2−ニトロジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、2,2’−ジフェニルプロパン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、および3,3’−ジメトキシジフェニル−4,4’−ジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート;
(2)テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(“HDI”と略称される)、2−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、3−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、およびトリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(“TMDI”と略称され、2,2,4−TMDI、および2,4,4−TMDIを含む)などの脂肪族ジイソシアネート;
(3)イソホロンジイソシアネート(“IPDI”と略称される)、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート(“H12MDI”と略称される)、水素添加キシリレンジイソシアネート(“HXDI”と略称される)、水素添加テトラメチルキシリレンジイソシアネート、およびシクロヘキシルジイソシアネートなどの脂環式ジイソシアネート
が例示される。
上述のごとく、応力緩和の点では分子運動性が、他方、強度を保持の点では比較的剛直な構造が求められることから、上記のポリイソシアネート化合物は、多価アルコールと芳香族ジイソシアネートおよび/または脂環式ジイソシアネートとのアダクト変性体、並びにHDIと芳香族ジイソシアネートおよび/または脂環式ジイソシアネートとのイソシアヌレート変性体が好適に例示され、特に前者のアダクト体が好ましい。更に好適には多価アルコールとしてはトリメチロールプロパンなどが例示され、殊に等価のアルコール性OH基を有し汎用されるトリメチロールプロパンが好ましい。また、ジイソシアネート化合物としては、脂環式ジイソシアネートが耐侯性も良好である点から好ましく、殊にHXDI、IPDI、およびH12MDIが好適である。
尚、シラン変性ポリイソシアネートにおいては、ジオールとの反応によりポリイソシアネート化合物を高分子量化した後、かかるポリイシソアネートと反応性のシランカップリング剤を反応させたものも利用できる。かかるジオールとしては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどのグリコール類、並びに、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、および2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールなどが好適に例示される。
本発明におけるプライマー組成物には、更に塗工用の溶剤の他、他のシランカップリング剤、他の硬化成分、触媒、乾燥剤、樹脂成分、およびカーボンブラック、並びにその他の化合物を含有することができる。
他のシランカップリング剤は、上記のシラン変性ポリイソシアネート化合物を補完し、ハードコート層との強固な接着性を達成する。かかるシランカップリング剤も、イソシアネート基に対して、活性を有することが好ましく、よって、官能基としては、アルコール性OH基、アミノ基、イミノ基、メルカプト基、およびエポキシ基などを含有することが好ましい。
かかるシランカップリング剤の具体例としては、エポキシシランとして、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、および3,4−エポキシシクロヘキシルエチルメチルジメトキシシランなどが挙げられ、アミノシランとして、例えばアミノメチルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノメチルトリメトキシシラン、アミノメチルジエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)メチルトリブトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノイソブチルトリメトキシシラン、N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、およびN−(β−アミノエチル)−γ−アミノ−β−メチルプロピルトリメトキシシランなどが挙げられ、メルカプトシランとして、例えばγ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メチルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メチルカプトプロピルエチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルエチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルジメチルメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、β−メルカプトエチルメチルジメトキシシラン、β−メルカプトエチルトリメトキシシラン、およびβ−メルカプトエチルトリエトキシシランなどが挙げられる。更にアルコール性OH基含有のシラッカップリング剤として、上記エポキシシラン1モルに対し、上記アミノシランやメルカプトシランなどの、エポキシ基に対して活性な官能基を有するシラン化合物を0.1〜1モルの割合で反応させた変成シランが好適に例示される。
他の硬化成分としては、各種のジイソシアネート化合物およびポリイソシアネート化合物が挙げられる。かかる硬化成分は、ウレタン接着剤との良好な接着性に寄与するが、一方で吸水による塗工後のオープンタイムを制限する要因ともなることから、かかるオープンタイムの自由度を高くしたい用途においては含有しないことが好ましい。他の硬化成分としては上記例示のイソシアネート化合物の他、トリイソシアネート化合物としては、トリフェニルメタン−4,4,4−トリイソシアネート、およびトリス(p−イソシアネートフェニル)チオホスフェートなどが例示され、他の硬化成分を配合する場合には、特にトリス(p−イソシアネートフェニル)チオホスフェートが好ましい。
樹脂成分としては、ポリエステルポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、および塩化ビニル樹脂などが例示される。上記の如く、オープンタイムの自由度を高くしたい用途では、アクリル樹脂、およびエポキシ樹脂、殊にエポキシ樹脂とアクリル樹脂との混合体が好ましい。かかる混合体の使用により、オープンタイム1ヶ月以上、より好ましくは2ヶ月以上を満足することができる。かかるオープンタイムは化学反応の観点では上限を有していないが、他の要因による汚染や分解などの影響を考慮すると実用上6ヶ月以下、より好ましくは4ヶ月以下の使用となる。一方かかる用途が必要とされない場合にはポリエステルポリウレタン樹脂が強度に優れる点で好適である。
かかるエポキシ樹脂はそのエポキシ当量が好ましくは1,000〜10,000、より好ましくは1,000〜5,000である。またアクリル樹脂の分子量は、標準ポリスチレン換算に基づくGPC測定法の数平均分子量において、好ましくは1,000〜100,000、より好ましくは5,000〜80,000である。
尚、上記の樹脂成分は、その変性や共重合処方により、アルコール性OH基やアルコキシシリル基を含有した態様とすることもでき、殊にオープンタイムの自由度を高くしたい用途において利用できる。かかる態様はより好適にはこれらの官能基を有するアクリル樹脂が例示され、その具体例は例えば特開2001−064470号公報に記載され、本発明においても好適に利用できる。
プライマー組成物中のカーボンブラックは、その分散性などの点から酸性カーボンブラックが好ましい。酸性カーボンブラックとしては、そのpH値が2.5〜4の範囲が好ましい。またその粒径は10〜30nmの範囲が好ましく利用でき、平均粒径の異なる2種以上を混合して使用することもできる。
触媒としては、ジラウリン酸ジブチル錫、トリオクタン酸ビスマス、2−エチルヘキサン酸亜鉛、およびコバルト塩などの金属塩、並びにN−メチルモルホリンおよびN,N’−ジメチルピペラジンなどの3級アミン類が例示され、殊に金属塩を含有することが好ましい。乾燥剤としては、合成ゼオライト、天然ゼオライト、およびモレキュラーシーブスなどが例示され、その細孔径が3〜10オングストロームの範囲にあるものが好適に利用できる。その他の添加剤として、例えば安定剤として、マロン酸ジエチルなどが例示される。また溶剤としては、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ミネラルスピリット、トルエン、キシレン、ジメチルアセトアミド、アセトン、n−ヘキサン、メチレンクロライド、テトラヒドロフラン、エチルエーテル、およびジオキサンなどが例示される。かかる溶剤は2種以上を混合して利用できる。更にかかる化合物にペンタン、ヘキサン、ヘプタン、およびオクタンなどの炭素数5〜12の飽和炭化水素化合物を併用してもよい。上記溶剤の中でもメチルエチルケトン、酢酸エチル、および酢酸ブチルが好適であり、特に酢酸エチルを主成分とすることが好ましい。溶剤の配合量は、通常、上記固形分の合計100重量部に対して100〜1,000重量部程度、より好ましくは200〜700重量部である。
本発明に用いる接着用プライマーにおける上述の各種成分の組成割合は、その溶剤を除く固形分100重量%中、シラン変性ポリイソシアネートは好ましくは10〜45重量%、より好ましくは12〜30重量%、他のシランカップリング剤は好ましくは0〜60重量%、より好ましくは10〜35重量%、樹脂成分は好ましくは5〜35重量%、より好ましくは20〜30重量%(尚、オープンタイムの自由度が求められる用途では、エポキシ樹脂が好ましくは3〜15重量%)、カーボンブラックは好ましくは10〜40重量%、より好ましくは20〜35重量%、並びに触媒は好ましくは0.01〜5重量%、より好ましくは0.05〜3重量%である。
接着用プライマー層は、各種のアプリケータを用いてプライマー組成物を塗工し、通常常温にて乾燥させて形成される。塗工方法としては、例えば、ハケ塗り法、スプレーコーティング法、ワイヤバー法、ブレード法、およびロールコーティング法などを用いて塗工できる。
接着用プライマーの好適な代表例としては、ガラス用プライマーGP−402(サンスター技研(株)製)、HAMATITEガラスプライマーG(MS−90)(横浜ゴム(株)製)などが挙げられる。
(V)弾性接着剤層(E層)
本発明におけるE層を構成する弾性接着剤には、ウレタン接着剤が好適に利用される。ウレタン接着剤は、湿気硬化型一液性ウレタン接着剤、および二液性ウレタン接着剤のいずれも使用可能であるが、特に湿気硬化型一液性ウレタン接着剤が生産効率に優れているので好ましい。湿気硬化型1液性ウレタン接着剤は、通常イソシアネート基含有化合物、とりわけイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(以下、NCO末端プレポリマーと称す)を主成分とし、これに対して可塑剤、充填剤、触媒、および任意にその他の化合物が配合されてなる。その他の化合物は、該組成物に所望の特性を付与することなどを目的とするものであって、例えばポリイソシアネート化合物およびγ−メルカプトプロピルトリメトキシシランの如きシランカップリング剤などの密着剤、耐熱接着性を付与するための(メタ)アクリレート系共重合体、並びに軽量性・制振性・防音性を付与するための発泡剤やマイクロバルーンなどを包含する。ここで、プレポリマーの含有量は、通常、ウレタン接着剤組成物全量中好ましくは15〜50重量%であり、より好ましくは20〜45重量%、更に好ましくは30〜45重量%の範囲で選択される。ウレタン接着剤組成物の好適な態様の代表例としては、横浜ゴム(株)製のWS−222、およびサンスター技研(株)製のペンギンシール#560などダイレクトグレージング用の各種の接着剤が好適に例示される。
一方、E層の厚みは、0.9mm以上1.4mm以下である。好ましくは、上記A層を形成する基材の長辺長さをX(mm)、E層を形成する接着剤の厚みをY(mm)としたとき、XおよびYは下記式(1)〜(3)を満足する。
0.9≦ Y < 6 (0<X<300の時) (1)
3×10―3X≦ Y <6 (300≦X≦1500の時) (2)
3×10―3X≦ Y <(16/3)×10―3X−2
(1500<X≦3000の時) (3)
接着剤の厚みが下限以上では十分な接着性が得られ好ましく、上限以下では接着剤の重量が少ない点、コストが低い点、デザインの制限が少ない点で好ましい。ここで、(1)〜(3)式の上限の値は、非特許文献1によるものである。
(VI)構造部材
本発明の接着用構成体を取付ける構造部材とは、構造体(structure)もしくは建造物の構成部品であり、他の物体もしくは部分の荷重を担う支持材をいい、例えば、輸送機器のボディ、かかるボディに固定されパネルモジュール、およびかかるボディに配設される各種の窓枠などが例示される。かかる輸送機器には、自動車、トラック、列車、航空機、船舶、自動二輪車、自転車、および車イス、並びに建設機器、およびトラクターなどを含む。構造部材としての建造物には、例えばビルディング、屋外競技場、体育館、アーケード、カーポート、温室、および家屋などの建築物、防音壁、防風壁、および防雪柵などの道路施設、標識、看板および屋外用大型モニターなどの表示設備、並びに太陽光発電装置の如き発電装置などが含まれる。本発明でいうグレージング結合体とは、本発明のグレージング構成体が上記構造部材に結合して一体となったものをいう。構造部材としては、金属、ガラス、セラミック、セラミックコンポジット、繊維強化プラスチック、繊維強化コンポジット(ガラス繊維、アラミド繊維、セラミック繊維および炭素繊維等からなるFRP、SMC、およびRTMなどの複合材料)、並びに木材など形成された部材が例示される。金属部材としては、鋼材(鋼板)、並びにアルミニウム合金、マグネシウム合金、およびチタン合金などから形成された部材が例示される。
(I)評価項目
(I−A)接着用プライマーのナノインデンテーション法による押し込み弾性率測定
ポリカーボネート基板上のハードコート層に接着用プライマーを、プライマー溶液を十分に含浸させたベンコットワイパーを用いて塗布し、一週間養生後、ミクロトームによる断面切削を行い得られた平滑断面において、押し込み弾性率の測定を実施した。接着用プライマー層の厚みは約50μmであった。かかる測定はプライマー膜厚の中央部分において実施した。本発明におけるナノインデンテーション法による押し込み弾性率は接着用プライマー層の厚みが50μmにおける値を意味する。
押し込み弾性率の測定は、得られたプライマー層の表面部分において超微小押し込み硬さ試験機(エリオニクス株式会社製、製品名ENT−2100)により押し込み試験を行った。押し込みの際にはバーコビッチ圧子(α:65.03°)を用いて、20.4mgf/secの荷重速度で負荷をかけ、最大荷重として800μNを1秒間保持した後、同様の荷重速度で除荷を行った。結果を表1に示す。
(I−B)手剥離接着性評価
(I−B−i)試料作成
図1に示したように、基材層上にハードコート層が形成された70mm×50mmの積層体に接着用プライマーをベンコットにて塗布し、その上に湿気硬化性ポリウレタン系接着剤を底辺8mm高さ12mmの三角形ビードで塗工した。同様に接着用プライマーを塗布した積層体で接着剤の厚みを評価する高さである8mmまで押しつぶし、23℃50%RH雰囲気下で一週間養生硬化させた。また、接着剤の厚みを6mmまで押しつぶし同様に試料を作成した。
(I−B−ii)応力試験
図1に示したように、応力試験用冶具に(I−B−i)で作成した試験片を固定し、一方の積層体側に1〜4mmの変位を加え、70℃のオーブン中に500hr保管した。かかる保管後試験片を冶具より取り外し、接着剤厚みが上の板から3mmになる位置で切り取って手剥離接着性試験に供した。
応力試験で加えた変位は、上述の非特許文献1における392頁の式(9)に従い、該式をポリカーボネート樹脂に適用して算出されたものである。すなわち、
ΔI=I×Δα×ΔT=I×58×10−6×70≒4×I(mm)
を適用した。ここでIは基材の長辺長さ(m)、Δαはスチールの線膨張係数:12×10−6×K−1とポリカーボネート樹脂の線膨張係数:70×10−6×K−1との線膨張係数差、並びに該非特許文献1に倣い、ΔTは20℃〜90℃での使用を想定した温度差70℃を示す。更に、該非特許文献1に記載のとおり、通常接着されたグレージングは、その両端が自由に動くので、接着剤が受け持つ変位は、その1/2となる。よって、想定される接着剤部分の変位量は、“2×I(mm)”と算出できる。かかる計算により算出した基材層の長辺長さと想定される変位量との関係を表2に示した(小数点以下四捨五入)。
(I−B−iii)手剥離接着性試験
手剥離接着性試験では、接着剤のビードを引っ張りながらカッターナイフで接着界面に切り込みを入れていき、接着剤の凝集破壊面積が100%の場合を100と表記した。80の場合は、接着剤の凝集破壊面積が80%、界面破壊の面積が20%であることを示す。凝集破壊面積は75%以上であることが好ましく、100%であることが最も好ましい。
(II−1)ポリカーボネート樹脂−A1の製造
下記の原料表記に従い、ポリカーボネート樹脂−A1の製造方法について説明する。9.5重量部のPC、0.08重量部のVPG、0.02重量部のSA、0.03重量部のPEPQ、0.05重量部のIRGN、0.32重量部のUV1577、および1×10−4重量部のBLをスーパーミキサーで均一混合した。かかる混合物10.0001重量部に対して、90重量部のPCをV型ブレンダーで均一に混合し、押出機に供給するための予備混合物を得た。
得られた予備混合物を押出機に供給した。使用された押出機は、スクリュ径77mmφのベント式二軸押出機((株)日本製鋼所製:TEX77CHT(完全かみ合い、同方向回転、2条ネジスクリュ))であった。該押出機は、スクリュ根元から見てL/D約8〜11の部分に順に送りのニーディングディスクと逆送りのニーディングディスクとの組合せからなる混練ゾーンを有し、その後L/D約16〜17の部分に送りのニーディングディスクからなる混練ゾーンを有していた。更に該押出機は、後半の混練ゾーンの直後にL/D0.5長さの逆送りのフルフライトゾーンを有していた。ベント口はL/D約18.5〜20の部分に1箇所設けられた。押出条件は吐出量320kg/h、スクリュー回転数160rpm、およびベントの真空度3kPaであった。また押出温度は第1供給口230℃からダイス部分280℃まで段階的に上昇させる温度構成であった。
ダイスから押出されたストランドは、温水浴中で冷却され、ペレタイザーにより切断されペレット化された。切断された直後のペレットは、振動式篩部を10秒ほど通過することにより、切断の不十分な長いペレットおよびカット屑のうち除去可能なものが除去された。
(II−2)ポリカーボネート樹脂−A2の製造
下記の原料表記に従い、ポリカーボネート樹脂−A2の製造方法について説明する。4.25重量部のPC1、0.1重量部のVPG、0.02重量部のSA、0.03重量部のPEPQ、0.05重量部のIRGN、0.3重量部のUV1577、0.25重量部のYMDS、および5重量部のCMをスーパーミキサーで均一混合した。かかる混合物10重量部に対して、90重量部のPCとをV型ブレンダーで均一に混合し、押出機に供給するための予備混合物を得た以外は、上記樹脂材料−A1の製造と同様にして、ペレット状の樹脂材料−A2を得た。
尚、上記使用原料は下記の通りである。
PC1:ビスフェノールAとホスゲンから界面縮重合法により製造された粘度平均分子量23,700のポリカーボネート樹脂パウダー(帝人化成(株)製:パンライトL−1250WP(商品名))
VPG:ペンタエリスリトールと脂肪族カルボン酸(ステアリン酸およびパルミチン酸を主成分とする)とのフルエステル(コグニスジャパン(株)製:ロキシオールVPG861)
SA:脂肪酸部分エステル(理研ビタミン(株)製:リケマールS−100A)
PEPQ:ホスホナイト系熱安定剤(BASF社製:Irgafos P−EPQ)
IRGN:ヒンダードフェノール系酸化防止剤(BASF社製:Irganox1076)
UV1577:2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]フェノール(BASF社製:Tinuvin1577)
CM:上記PC:4.99489重量部、NB5856T:0.00313重量部、R8370:0.00071重量部、およびR8370:0.00127重量部をスーパーミキサーで均一混合した着色剤マスターバッチ。ここでNB5856Tは、黒色染料(オリヱント化学工業(株)製 NUBIAN BLACK 5856T)を示し、R8350およびR8370はそれぞれ、赤色染料(有本化学工業(株)製 PLAST Red 8350、およびPLAST Red 8370)を示す。
YMDS:有機分散樹脂と無機赤外線吸収剤としてCs0.33WO(平均粒子径5nm)とからなり、無機赤外線吸収剤含有量が約23重量%からなる赤外線遮蔽剤(住友金属鉱山(株)製YMDS−874)
(III−1)枠部材に用いる樹脂組成物−B1の製造
下記の原料表記に従い、枠材料−B1の製造方法について説明する。75重量部のPC2、12重量部のABS1、3重量部のMB、10重量部のWRN1、0.1重量部のM、0.8重量部のCBをV型ブレンダーで均一に混合した。得られた混合物はスクリュー径30mmφのベント式二軸押出機((株)神戸製鋼所製KTX−30)のスクリュー根元の第1供給口に供給し、シリンダおよびダイスの温度:260℃、スクリュー回転数:180rpm、吐出量:15kg/時、ベント吸引度:3,000Paの条件で押出を行いストランドを得た。続いてストランドは温水浴中で冷却され、ペレタイザーで切断されペレット状の樹脂材料B1を得た。
(III−2)枠部材に用いる樹脂組成物−B2の製造
下記の原料表記に従い、枠材料−B2の製造方法について説明する。65重量部のPC2、30重量部のABS2、5重量部のMB、0.3重量部のE、0.3重量部のUV701、0.8重量部のCBをV型ブレンダーで均一に混合した。得られた混合物はスクリュー径30mmφのベント式二軸押出機((株)神戸製鋼所製KTX−30)のスクリュー根元の第1供給口に供給し、シリンダおよびダイスの温度:260℃、スクリュー回転数:180rpm、吐出量:15kg/時、ベント吸引度:3,000Paの条件で押出を行いストランドを得た。続いてストランドは温水浴中で冷却され、ペレタイザーで切断されペレット状の樹脂材料B2を得た。
(III−3)枠部材に用いる樹脂組成物−B3の製造
下記の原料表記に従い、枠材料−B3の製造方法について説明する。60重量部のPC3、25重量部のPET、3重量部のPBT、10重量部のWRN2、3重量部のMB、0.6重量部のDC、0.2重量部のPEP、0.02重量部のM、0.3重量部のUV701、0.8重量部のCBをV型ブレンダーで均一に混合した。得られた混合物はスクリュー径30mmφのベント式二軸押出機((株)神戸製鋼所製KTX−30)のスクリュー根元の第1供給口に供給し、シリンダおよびダイスの温度:270℃、スクリュー回転数:180rpm、吐出量:15kg/時、ベント吸引度:3,000Paの条件で押出を行いストランドを得た。続いてストランドは温水浴中で冷却され、ペレタイザーで切断されペレット状の樹脂材料B3を得た。
(III−4)枠部材に用いる樹脂組成物−B4の製造
下記の原料表記に従い、枠材料−B4の製造方法について説明する。75重量部のPC2、12重量部のABS1、3重量部のMB、10重量部のTALC、0.1重量部のM、0.8重量部のCBをV型ブレンダーで均一に混合した。得られた混合物はスクリュー径30mmφのベント式二軸押出機((株)神戸製鋼所製KTX−30)のスクリュー根元の第1供給口に供給し、シリンダおよびダイスの温度:260℃、スクリュー回転数:180rpm、吐出量:15kg/時、ベント吸引度:3,000Paの条件で押出を行いストランドを得た。続いてストランドは温水浴中で冷却され、ペレタイザーで切断されペレット状の樹脂材料B4を得た。
尚、上記使用原料は下記の通りである。
PC2:ビスフェノールAとホスゲンから界面縮重合法により製造された粘度平均分子量22,400のポリカーボネート樹脂パウダー(帝人化成(株)製:パンライトL−1225WP)
PC3:ビスフェノールAとホスゲンから界面縮重合法により製造された粘度平均分子量19,700のポリカーボネート樹脂パウダー(帝人化成(株)製:パンライトL−1225WX)
ABS1:ブタジエンゴム成分が約18重量%、重量平均ゴム粒子径が0.8μm、塊状重合にて製造されたABS樹脂(日本A&L社製:AT−05)
ABS2:ABS樹脂(日本A&L(株)製 UT−61(商品名)、遊離のAS重合体成分約80重量%およびABS重合体成分(アセトン不溶ゲル分)約20重量%、ブタジエンゴム成分約14重量%、重量平均ゴム粒子径が0.56μm、塊状重合にて製造)
PET:Ge系触媒を用いて製造されたIVが0.52のポリエチレンテレフタレート(帝人製:TR−MB)。
PBT:IVが0.875のポリブチレンテレフタレート(ウィンテックポリマー社製:500FP)
MB:スチレンを含まないゴム質重合体−2(ロームアンドハース社製:パラロイド EXL−2602、コアがポリブタジエン約80重量%、シェルがメチルメタクリレートとエチルアクリレートであるグラフト共重合体、重量平均粒子径が0.23μm)
WRN1:平均粒径が5μmのウォラストナイト(キンセイマテック社製:SH−1250)
WRN2:平均粒径が4μmウォラストナイト(NYCO社製:NYGLOS4)
TALC:圧縮微粉タルク(林化成社製:Upn HS−T0.8)
E:モンタン酸エステル(クラリアントジャパン社製:リコワックスE)
PEP:ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(アデカ社製:アデカスタブ PEP−24G)
M:トリメチルホスフェート(大八化学工業社製:TMP)
DC:三菱化学社製 ダイヤカルナ30(1−アルケン・無水マレイン酸共重合物と1−アルケンの混合物)
UV701:2−(2‘ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール(シプロ化成製)
CB:カーボンブラック(越谷化成工業社製:RB961S)
(IV)二色成形品の製造
上記(II)および(III)で得たペレットを110℃で6時間循環型熱風乾燥機で乾燥した後、二色成形可能な成形機(日精樹脂工業(株)製FN8000−36ATN)にて図2に示すようなポリカーボネート樹脂と枠材からなる二色成形品を得た(透明部材の面積の56%が枠材と結合)。得られた成形品のポリカーボネート樹脂と枠材が積層された部分を70mm×50mmのサイズに切断して試験片とした。
(V)ハードコート層に用いるプライマー層の塗料調製
(V−1)アクリル共重合樹脂の調製(Cp1)
還流冷却器および撹拌装置を備え、窒素置換したフラスコ中にエチルメタクリレート(以下EMAと省略する)85.6重量部、シクロヘキシルメタクリレート(以下CHMAと省略する)16.8重量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下HEMAと省略する)13.0重量部、LA−82(旭電化工業(株)製ヒンダードアミン系光安定性基含有メタクリレート;1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート12.0重量部、1−メトキシ−2−プロパノール(以下PGMと省略する)191.1重量部を添加混合した。混合物に窒素ガスを15分間通気して脱酸素した後、窒素ガス気流下にて70℃に昇温し、アゾビスイソブチロニトリル(以下AIBNと省略する)0.33重量部を加え、窒素ガス気流中、70℃で5時間攪拌下に反応させた。さらにAIBN:0.08重量部を加えて80℃に昇温し、3時間反応させ、不揮発分濃度が39.7重量%のアクリル共重合体溶液を得た。
(V−2)アクリル共重合樹脂の調製(Cp2)
上記C1のEMA:74.2重量部、CHMA:33.7重量部にした以外はCp1と同様にして、不揮発分濃度39.6重量%のアクリル共重合体溶液を得た。
(V−3)アクリル共重合樹脂の調製(Cp3)
還流冷却器及び撹拌装置を備えたフラスコ中にメチルイソブチルケトン(以下MIBKと省略する):443.4重量部、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−(2’−エチル)ヘキシル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製チヌビン405)350.3重量部、2−イソシアネートエチルメタクリレート:93.1重量部を添加混合し80℃に加熱した。ついで、ジブチルチンジラウレート:0.1重量部を加え、同温度で30分間攪拌し、不揮発分濃度49.5%の2−メタクリロキシエチルカルバミド酸1−[3−ヒドロキシ−4−{4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル}フェニルオキシ]−3−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−プロピル(以下、MOI−405と省略する)溶液を得た。
次に、還流冷却器及び撹拌装置を備え、窒素置換したフラスコ中にEMA:58.6重量部、CHMA:33.7重量部、HEMA:13.0重量部、上記MOI−T405:53.9重量部、LA−82:35.9重量部、PGM:241.2重量部を添加混合した。混合物に窒素ガスを15分間通気して脱酸素した後、窒素ガス気流下にて70℃に昇温し、AIBN:0.33重量部を加え、窒素ガス気流中、70℃で5時間攪拌下に反応させた。さらにAIBN:0.08重量部を加えて80℃に昇温し3時間反応させ、不揮発分濃度が39.6重量%のアクリル共重合体溶液を得た。
(V−4)アクリル樹脂系プライマー塗料の調製(Cp1、Cp2)
上記Cp1およびCp2のアクリル共重合樹脂溶液100重量部に、MIBK:66.4重量部、2−ブタノール(以下2−BuOHと省略する):33.2重量部、PGM:106.4重量部を加えて混合し、該アクリル樹脂溶液中のアクリル共重合体のヒドロキシ基1当量に対してイソシアネート基が1.0当量になるようにVESTANAT B1358/100(デグサ・ジャパン(株)製ブロック化されたポリイソシアネート化合物):9.8重量部を添加し、チヌビン400(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製トリアジン系紫外線吸収剤)4.2重量部、およびチヌビン479(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製トリアジン系紫外線吸収剤)1.1重量部、APZ−6633(東レ・ダウコーニング(株)製シランカップリング剤加水分解縮合物のエタノール溶液;固形分5重量%):9.5重量部、ジメチルチンジネオデカノエート:0.015重量部を加えて25℃で1時間攪拌し、アクリル樹脂系プライマー塗料(Cp1およびCp2)を得た。
(V−5)アクリル樹脂系プライマー塗料の調製(Cp3)
上記Cp3のアクリル共重合体溶液100重量部に、MIBK:65.4重量部、2−BuOH:32.7重量部、PGM:65.8重量部を加えて混合し、アクリル共重合体溶液中のアクリル共重合体のヒドロキシ基1当量に対してイソシアネート基が1.0当量になるようにVESTANAT B1358/100:7.6重量部を添加し、さらにAPZ6633:13.7質量部、ジメチルチンジネオデカノエート:0.07重量部を加えて25℃で1時間攪拌し、アクリル樹脂系プライマー塗料(Cp3)を得た。
(VI)ハードコート層に用いるトップ層の塗料調製
(VI−1)ハードコート塗料の調製(Ct1)
水分散型コロイダルシリカ分散液(触媒化成工業(株)製カタロイドSN−30、固形分濃度30重量%):100重量部に、濃塩酸(12M):0.1重量部を加えよく攪拌した。この分散液を10℃まで冷却し、その中にメチルトリメトキシシラン:161重量部を滴下した。メチルトリメトキシシランの滴下直後から反応熱で混合液の温度は上昇を開始し、かかる開始から数分後に60℃まで昇温した。60℃に到達後、氷水浴で冷却しながら、徐々に反応液の温度を低下させた。反応液の温度が35℃になった段階で、この温度を維持するようにして5時間攪拌し、これに、硬化触媒として45%コリンメタノール溶液:0.8重量部、pH調整剤としての酢酸:4.9重量部を混合し、コーティング塗料原液(α)を得た。
上記コーティング塗料原液(α)209重量部にイソプロピルアルコール(以下IPAと省略する)138重量部を加えて攪拌し、コーティング塗料(Ct1)を得た。
コロイダルシリカおよび/またはアルコキシシラン加水分解縮合物の割合は99重量%であった。
(VI−2)ハードコート塗料の調製(Ct2)
酸化セリウムスラリー(シーアイ化成(株)製、ナノテックスラリーCEANB、固形分濃度15重量%):5.5重量部を攪拌しながら、その中にIPA:112.1重量部を滴下し希釈した。かかる希釈スラリーを更に攪拌しながら、上記コーティング塗料原液(α):209重量部を滴下し、コーティング塗料(Ct2)を得た。
コロイダルシリカおよび/またはアルコキシシラン加水分解縮合物の割合は97重量%であった。
[実施例1〜9、比較例1〜4]
上記(II)〜(IV)で作成した二色成形により積層された基材に、(V)で作成したアクリル樹脂系プライマー塗料(Ca1〜Ca3)を熱硬化後の膜厚が4〜10μm程度になるようにフローコートで塗布し、25℃で20分静置後、130℃で60分間熱硬化させ、40分間放冷したのち(VI)で作成したハードコート塗料(Ct1、Ct2)を熱硬化後の膜厚が2〜5μm程度になるようにフローコートで塗布し、25℃で20分静置後、130℃で60分間熱硬化させた。得られたハードコート処理基材に表3に記載した組み合わせで接着用プライマーとしてD1:ガラス用プライマー(サンスター技研(株)製GP−402)、D2:HAMATITEガラスプライマーG(横浜ゴム(株)製MS−90)、D3:HAMATITEガラスプライマーG(PC−3)(横浜ゴム(株)製)、D4:プライマー35(サンライズMSI(株)製)、D5:シランカップリング剤を含有していないHAMATITEボディプライマーG(横浜ゴム(株)製RC−50E)塗布し、弾性接着剤としてE1:湿気硬化型一液性ウレタン接着剤であるペンギンシール#560(サンスター技研(株)製)、E2:WS−222(横浜ゴム(株)製)を表3に記載した組み合わせで用いて、図1に示す試験片を作成して一週間の養生硬化した後、変位を1〜6mmを与えた状態で70℃500hrの処理を行った上で、上記(I−B−iii)に記載の手剥離接着性評価を実施した。結果を表3に示した。
[実施例10]
上記(II)および(III)で作成したA1およびB1のペレットを20℃で6時間循環型熱風乾燥機で乾燥した後、二色成形可能な成形機(日精樹脂工業(株)製FN8000−36ATN)にて図2に示すようなポリカーボネート樹脂層とその枠部材からなる二色成形品を得た(透明部材の面積の56%が枠材と結合)。得られた二色成形品のポリカーボネート樹脂層および枠部材層上に上記(V)で作成したアクリル樹脂系プライマー塗料Ca2を熱硬化後の膜厚が5μm程度になるようにフローコートで塗布し、25℃で20分静置後、130℃で60分間熱硬化させ、40分間放冷したのち(VI)で作成したハードコート塗料Ct1を熱硬化後の膜厚が4μm程度になるようにフローコートで塗布し、25℃で20分静置後、130℃で60分間熱硬化させた。
得られた成形品の外周端部に、ガラス用プライマーGP−402(サンスター技研(株)製)を厚み8μm、弾性接着剤ペンギンシール#560(サンスター技研(株)製)を、幅12mm高さ15mmの三角形状となるように塗工した。HAMATITEボディプライマーM(RC−50E)(横浜ゴム(株)製)を厚み8μmで塗工したステンレス製の枠に、かかるウレタン接着剤が塗工されたシート成形品を、ウレタン接着剤の厚みが6mmとなるようにして貼り付けた。かかる厚みは同厚みのスペーサを、ステンレス枠上に設置して調整した。得られた接着用構成体を23℃で50%RHの条件で1週間養生処理した後、枠ごと70℃の熱風乾燥炉に入れ、1000時間の処理を実施した。接着剤は全く外れることなく、接着用構成体が固定されていた。
本発明は、剛体たる構造部材に接着取付けをするために必要な優れた接着性を有する、接着用構成体を提供する。したがって、上述のとおり、これらの特性が求められる車輌用グレージング材、例えばバックドアウィンドウ、サンルーフ、ルーフパネル、デタッチャブルトップ、ウインドーリフレクター、ウインカーランプレンズ(カバーを含む)、ルームランプレンズ(カバーを含む)、およびディスプレー表示用前面板などにおいて好適に利用することができる。更に車輌用グレージング材以外にも、建設機械の窓ガラス、ビル、家屋、および温室などの窓ガラス、ガレージおよびアーケードなどの屋根などの幅広い用途に使用可能である。したがって本発明の樹脂グレージングの奏する産業上の効果は格別である。
11:ポリカーボネート樹脂層
12:枠部材層
13:ハードコート(プライマー)層
14:ハードコート(トップ)層
15:接着用プライマー層
16:接着剤層
1:二色成形品本体(シート状物と枠部材の一体化成形品)
2:シート状物(1.5mm厚みのファンゲートにより成形、厚み4mm)
3:枠部材(厚み2mm)
4:枠部材のピンゲート(4箇所、直径1.4mm)
5:枠部材の縦方向の幅(40mm)
6:枠部材の横方向の幅(40mm)
7:前記成形品の幅(200mm)
8:前記成形品の長さ(300mm)

Claims (5)

  1. ポリカーボネート樹脂よりなるシート状物(A層)、該A層の周囲面に積層された枠部材(B層)、ハードコート層(C層)、接着用プライマー層(D層)、弾性接着剤層(E層)が順次積層された、構造部材に接着取付けをするための接着用構成体であって、
    上記(D)層は、その厚みが1μm以上20μm以下の範囲であり、かつ荷重800μN下におけるナノインデンテーション法により測定される押し込み弾性率が500MPa以上4000MPa以下の範囲であり、該接着用プライマーは、シランカップリング剤を含むプライマーであり、
    上記(E)層の厚みが0.9mm以上14mm以下であることを満足する接着用構成体。
  2. 上記A層を形成する基材の長辺長さをX(mm)、上記E層を形成する接着剤の厚みをY(mm)としたとき、XおよびYは下記式(1)〜(3)を満足する請求項1記載の接着用構成体。
    0.9≦ Y < 6 (0<X<300の時) (1)
    3×10―3X≦ Y <6 (300≦X≦1500の時) (2)
    3×10―3X≦ Y <(16/3)×10―3X−2
    (1500<X≦3000の時)(3)
  3. 上記C層は、電離放射線照射、赤外線照射、マイクロ波照射、高温水蒸気曝露、および加熱よりなる群から選ばれる少なくとも1種の方法で硬化された層であることを特徴とする請求項1または2に記載の接着用積層体。
  4. 上記E層を形成する弾性接着剤は、ウレタン接着剤である請求項1〜3のいずれかに記載の接着用構成体。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の接着用構成体がグレージング用途である接着用構成体。
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