JP5933927B2 - 接着用構成体 - Google Patents
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Description
また、上記の問題のために、サイズの大きな積層体を接着しようとした際、同じサイズのガラスを接着する場合に比べて接着剤の厚みを厚くすることで応力を緩和する必要があり、そのために接着部分の設計を樹脂積層体特有に設計しなければならないという問題点があった。
そのため、接着剤層の厚みを厚くすることなく、剛体たる構造部材に接着取付けをするために必要な優れた接着性を有する接着用構成体は、未だ提供されていなかった。
1.熱可塑性樹脂からなる光透過基材層((A)層)の少なくとも一つの面に、シロキサン結合、二重結合、水酸基、またはカルボキシル基を有するハードコート層((B)層)、アルコキシシリル基およびイソシアネート基を含有する接着用プライマー層((C)層)、ウレタン弾性接着剤層((D)層)がこの順で形成された、剛体たる構造部材に接着取付けをするため接着用構成体であって、
上記(C)層は、その厚みが1μm以上20μm以下の範囲であり、かつ荷重800μN下におけるナノインデンテーション法により測定される押し込み弾性率が500MPa以上4000MPa以下の範囲であり、
上記(D)層の厚みが0.9mm以上14mm以下であり、
上記(A)層を形成する基材の長辺長さをX(mm)、上記(D)層を形成する接着剤の厚みをY(mm)としたとき、Xは300mm以上3000mm以下であり、XおよびYは下記式(2)〜(3)を満足する接着用構成体。
3×10―3X≦ Y <6 (300≦X≦1500の時) (2)
3×10―3X≦ Y <(16/3)×10―3X−2
(1500<X≦3000の時) (3)
2.上記(C)層を形成する接着用プライマーは、シランカップリング剤を含むウレタン系プライマーである上記1記載の接着用構成体。
3.上記(A)層を形成する熱可塑性樹脂からなる光透過基材層がポリカーボネート樹脂である上記1〜2いずれかに記載の接着用構成体。
4.上記(A)層と上記(B)層との間にインキ層としてシルクスクリーン印刷層または二色成形樹脂層を有する上記1〜3いずれかに記載の接着用構成体。
5.上記(B)層のハードコート層の最表層がシリコーンを主成分とする層から形成される上記1〜4いずれかに記載の接着用構成体。
6.上記(C)層を形成する接着用プライマーが、オープンタイム1ヶ月以上を満足している上記1〜5いずれかに記載の接着用構成体。
7.上記1〜6いずれかに記載の接着用構成体がグレージング用途である接着用構成体。
(I)基材層((A)層)
(I−1)基材層を構成する熱可塑性樹脂
本発明の((A)層)を構成する熱可塑性樹脂は、各種の重合体または共重合体、およびこれらに各種の添加剤を配合した樹脂組成物を含む。本発明における熱可塑性樹脂は、非晶性の熱可塑性樹脂を主成分とすることが好ましい。また結晶性熱可塑性樹脂であっても、射出圧縮成形で十分な透明性を確保できるものであれば、本発明の熱可塑性樹脂として使用できる。かかる結晶性熱可塑性樹脂としては、例えばポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂、および結晶性を低下させた共重合ポリエステル樹脂などが例示される。
ηsp/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−4M0.83
c=0.7
熱安定剤としては、リン系安定剤が好適に例示される。リン系安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸およびこれらのエステル、並びに第3級ホスフィンなどが例示される。かかるリン安定剤のうちホスファイトの具体例としては、(a−1)トリス(イソデシル)ホスファイトの如きトリアルキルホスファイト、(a−2)フェニルジイソデシルホスファイトの如きアリールジアルキルホスファイト、(a−3)ジフェニルモノ(イソデシル)ホスファイトの如きジアリールモノアルキルホスファイト、(a−4)トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトの如きトリアリールホスファイト、(b)ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、およびビス{2,4−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェニル}ペンタエリスリトールジホスファイトなどのペンタエリスリトール型ホスファイト、並びに(c)2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイトの如き二価フェノール類と反応し環状構造を有するホスファイトなどが好適に例示される。リン安定剤のうちホスフェートの具体例としては、トリメチルホスフェートおよびトリフェニルホスフェートなどが好適に例示される。ホスホナイト化合物の具体例としては、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイトおよびビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトなどが好適に例示される。第3級ホスフィンの具体例としては、トリフェニルホスフィンが好適に例示される。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール化合物が好適に例示される。例えばテトラキス[メチレン−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]メタン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、および3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンが好適に利用される。
本発明における紫外線吸収剤としては、紫外線吸収剤として公知のベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物、環状イミノエステル系化合物、およびシアノアクリレート系化合物などが例示される。ベンゾトリアゾール系化合物としては、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−tert−ブチルフェノール、および2,2’−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール]などが好適に例示される。ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物としては、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]フェノールが好適に例示される。環状イミノエステル系化合物としては2,2’−p−フェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)が好適に例示される。更に、シアノアクリレート系化合物としては1,3−ビス[(2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリロイル)オキシ]−2,2−ビス[[(2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリロイル)オキシ]メチル]プロパンが好適に例示される。
積層体をグレージングとして使用する場合には、建物および輸送機におけるエアコンデイショナーの効率を高めるため、本発明の熱可塑性樹脂中に赤外線吸収剤を含有することが好ましい。これにより樹脂グレージングは、その軽量化による効果のみならず、エアコンデイショナー効率の向上により、更なる二酸化炭素削減に代表される環境負荷の低減を達成できる。本発明の赤外線吸収剤としては、金属酸化物、金属ホウ化物、および金属窒化物などの無機近赤外線吸収剤、フタロシアニン系近赤外線吸収剤の如き有機近赤外線吸収剤、並びに炭素フィラーが好適に例示される。
MxWyOz ・・・(α)
ここで、M元素はCs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、FeおよびSnからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、Wはタングステンを示し、Oは酸素を示す。上記一般式(α)で示される酸化タングステン系化合物のうち、特にM元素がCsで表わされるセシウム含有酸化タングステンが、近赤外線吸収能が高いことから好適である。
炭素フィラーとしては、カーボンブラック、グラファイト、カーボンナノチューブ、およびフラーレンなど例示され、特にカーボンブラックが好ましい。
本発明の基材層に用いるシートの長辺長さは、好ましくは300mm以上3000mm以下であり、より好ましくは300mm以上2500mm以下である。長辺長さが、下限以上、上限以下であると、前記式(2)〜(3)を満足する接着剤の厚みで剛体たる構造部材に接着取付けをした際に良好な接着性が得られるため好ましい。本発明における基材層に用いるシートの長辺とは、シートの外周部分における最も長い辺を意味する。
基材層に用いるシートの最大投影面積は、好ましくは200〜60,000cm2、より好ましくは1,000〜40,000cm2である。
上述のような大型の基材および比較的緩やかな曲面を有する基材において、本発明の接着部における応力耐性効果はより発揮される。
本発明における(B)層は、1層のみから構成されても、2層以上の積層から構成されてもよい。1層のみからなる(B)層においては、従来コーティングに用いられる各種の有機ポリマーが利用できる。中でも本発明においては、多官能アクリル系ポリマーを主成分とする硬化型ポリマー、並びに有機ポリマーと金属酸化物微粒子とからなる有機−無機複合体が好適に例示される。かかる(B)層を形成する多官能アクリル系ポリマーとしては、メチルメタクリレートから誘導させる構成単位を主成分とし、各種の官能基により自己架橋および他の架橋成分との反応による架橋構造を形成するポリマーが好適に例示される。かかる架橋構造の形成に寄与する官能基は、従来公知の各種の官能基が利用でき、例えば二重結合、水酸基(例えば、メチルロールメラミンやポリイソシアネートとの反応による架橋)、並びに、カルボキシル基(例えば、ポリエポキシとの反応による架橋)などが例示される。一方、(B)層を形成する有機−無機複合体としては、(i)有機ポリマーと該ポリマー中に分散可能な表面処理がなされた金属酸化物との混合型複合体、(ii)有機ポリマーと、該ポリマーに反応可能な官能基を有する表面処理剤で表面処理された金属酸化物とが反応により結合した複合体、並びに(iii)官能基を有する表面処理剤で表面処理された金属酸化物において、かかる官能基同士の反応により、もしくはかかる官能基に対して他の反応性モノマーやポリマーとの反応によりポリマーマトリックスを形成した複合体などが例示され、更にこれらの組合せからなってもよい。
(P)層を形成するアクリル樹脂は、(メタ)アクリロイル基を有する化合物群から選択される少なくとも1種の化合物を重合してなるアクリルポリマーもしくはアクリルコポリマーを主成分とする。尚(メタ)アクリロイル基の表記は、アクリロイル基およびメタクリロイル基のいずれも含むことを意味する。かかるアクリル樹脂は、熱可塑性および架橋成分を含有することによる熱硬化性のいずれであってもよいが、後述するよう本発明では架橋成分を含有することが好ましい。更にかかる(P)層の形成は、溶液状態で積層した後、乾燥および固化を行う態様であっても、熱可塑性を利用して溶融状態で積層した態様であってもよい。溶融状態で積層する態様としては、基材層と(P)層とを共押出する態様が代表的に例示され、好ましく利用できる。上記アクリルポリマーまたはコポリマーの分子量は、標準ポリスチレン換算によるGPC測定から算出される重量平均分子量で2万以上が好ましく、5万以上がより好ましい。また、重量平均分子量で1000万以下のものが好ましく使用される。よって、アクリル共重合体の重量平均分子量は、好ましくは5万〜1000万、より好ましくは5万〜100万、さらに好ましくは5万〜50万である。かかる分子量範囲の上記アクリル共重合体は、プライマー層としての密着性や強度などの性能が十分に発揮され好ましい。
アクリル樹脂中に別途紫外線吸収剤を配合する場合には、アクリル樹脂100重量%中、1〜30重量%、より好ましくは2〜20重量%が好ましい。
本発明の好適な(P)層に用いるアクリル樹脂共重合体は、(A−1)下記式(1)で示される繰り返し単位を50モル%以上、(A−2)下記式(2)で示される繰り返し単位を1〜15モル%を含有するアクリル共重合体((A)成分)であって、(A)成分を100モル%として、((A−1)成分および(A−2)成分の合計が少なくとも70モル%ある。
前記式(2)に対応するヒドロキシ基を有するアクリレートまたはメタクリレートモノマーとしては、具体的には、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、3−ヒドロキシブチルアクリレート、3−ヒドロキシブチルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート等が挙げられ、これらは単独または2種以上を混合して使用できる。なかでも2−ヒドロキシエチルメタクリレートが好ましく採用される。
(P)層のアクリル樹脂は、より好適には溶液状態で積層された後、乾燥および固化され、かつ該アクリル樹脂が架橋成分により熱硬化される態様が好ましい。
該架橋成分としては特にブロック化されたポリイソシアネート化合物が好ましい。ブロック化されたポリイソシアネート化合物とは、イソシアネート基にブロック化剤を反応させ遊離のイソシアネート基をほとんどなくして、常温での反応性を抑制したもので、加熱によりブロック化剤が分離してイソシアネート基となり、反応性を持つに至る化合物を意味する。
(1)トリレンジイソシアネート(通常“TDI”と略称される。2,4−TDI、および2,6−TDIを含む)、ジフェニルメタンジイソシアネート(“MDI”と略称され、4,4’−MDI、2,4’−MDI、および2,2’−MDIを含む)、1,5−ナフチレンジイソシアネート、1,4−ナフチレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(“XDI”と略称され、o−XDI、m−XDI、およびp−XDIを含む)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(“TMXDI”と略称される)、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2−ニトロジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、2,2’−ジフェニルプロパン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、および3,3’−ジメトキシジフェニル−4,4’−ジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート;
(2)テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(“HDI”と略称される)、2−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、3−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、およびトリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(“TMDI”と略称され、2,2,4−TMDI、および2,4,4−TMDIを含む)などの脂肪族ジイソシアネート;
(3)イソホロンジイソシアネート(“IPDI”と略称される)、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート(“H12MDI”と略称される)、水素添加キシリレンジイソシアネート(“H6XDI”と略称される)、水素添加テトラメチルキシリレンジイソシアネート、およびシクロヘキシルジイソシアネートなどの脂環式ジイソシアネート
などが例示され、トリイソシアネート化合物としては、トリフェニルメタン−4,4,4−トリイソシアネート、およびトリス(p−イソシアネートフェニル)チオホスフェートなどが例示される。
(P)層の厚みは、1〜100μmの範囲であることが好ましい。ここで、(P)層が溶融状態で積層される場合には、厚みの厚い方が製造効率の点で好ましいことから、かかる場合好ましくは10〜100μmの範囲、より好ましくは20〜80μmの範囲である。
上記の好適な熱硬化性のアクリル樹脂組成物から(P)層を形成する方法としては、基材に反応せず且つ該基材を溶解しない揮発性の溶媒に、かかるアクリル樹脂組成物を溶解して、このアクリル樹脂塗料を基材表面に塗布し、次いで該溶媒を加熱などにより除去し、さらに加熱してヒドロキシ基と加熱により生成するイソシアネート基とを反応させ架橋させることにより形成される。かかる溶媒としては、好適には、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、およびシクロヘキサノンなどのケトン類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、および1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類、エチルアセテート、ブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、およびエトキシエチルアセテートなどのアセテート類、並びにメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、2−エトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール(プロピレングリコールモノメチルエーテル)、ジアセトンアルコール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル(プロピルプロピレングリコール)、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、および2−ブトキシエタノールなどのアルコール類が利用でき、更に、n−ヘキサン、n−ヘプタン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ガソリン、軽油、および灯油などの炭化水素類、アセトニトリル、ニトロメタン、並びに水などが挙げられ、これらは単独で使用することも、2種以上を混合して使用することもできる。好適には有機溶媒のSP値(solubility parameter 値)が、18.5〜22(MPa)0.5であることが好ましく、19.5〜21.5(MPa)0.5であることが更に好ましい。かかる範囲では、有機溶媒のポリカーボネート樹脂への悪影響の低下と、固形分への溶解性の向上とを両立することができる。本発明における有機溶媒のSP値は、原崎勇次著;「コーティングの基礎と工学」p.50(2010)加工技術研究会の化学組成からの計算に則って計算することができる。本発明のかかるアクリル樹脂塗料において、アクリル樹脂組成物(固型分)の濃度は1〜50重量%が好ましく、3〜30重量%がより好ましい。
本発明における(T)層は、コロイダルシリカおよびアルコキシシランの加水分解縮合物を含有し、適宜、更に金属酸化物微粒子の如き紫外線吸収剤を含有するオルガノシロキサン樹脂組成物を熱硬化してなる塗膜層が好ましい。好適には、コロイダルシリカとアルコキシシランの加水分解縮合物とからなるオルガノシロキサン樹脂形成質、並びに酸、硬化触媒、および溶媒からなるコーティング用塗料を用いて形成される。更に必要に応じて金属酸化物微粒子の如き紫外線吸収剤が含有されコーティング用塗料が調整される。シロキサン結合をもった硬化樹脂層を形成するものとしては、3官能シロキサン単位に相当する化合物(トリアルコキシシラン化合物など)を主成分とする化合物の部分加水分解縮合物、好ましくは更に4官能シロキサン単位に相当する化合物(テトラアルコキシシラン化合物など)および/または2官能シロキサン単位に相当する化合物を含む部分加水分解縮合物、並びに更にこれらにコロイダルシリカなどの金属酸化物微粒子を充填した部分加水分解縮合物などが例示される。シリコーン樹脂系ハードコート剤は更に1官能性のシロキサン単位を含んでよい。これらには縮合反応時に発生するアルコール(アルコキシシランの部分加水分解縮合物の場合)などが含まれるが、更に必要に応じて任意の有機溶剤、水、あるいはこれらの混合物に溶解ないしは分散させてもよい。そのための有機溶剤としては、低級脂肪酸アルコール類、多価アルコールとそのエーテル、エステル類などが挙げられる。なお、ハードコート層には平滑な表面状態を得るためレベリング剤を添加できる。かかるコロイダルシリカ、アルコキシシラン、酸、硬化触媒、および溶媒の具体的態様、配合量、並びに調整条件の詳細に関してもまた特開2008−231304号公報に記載されている。
上記(T)層の厚みは、好ましくは2〜10μm、より好ましくは3〜8μmである。塗膜層の厚みがかかる範囲であると、熱硬化時に発生する応力のために塗膜層にクラックが発生したり、(T)層と(P)層との密着性が低下したりすることがなく、本発明の目的とする十分な耐摩耗性を有する塗膜層が得られることとなる。
上記(T)層は、上記オルガノシロキサン樹脂組成物を溶媒に溶解して得られたコーティング用塗料を、基材層上に形成された上記(P)層上に塗布し、次いで加熱硬化することにより形成される。溶媒の使用量は、コロイダルシリカとアルコキシシランの加水分解縮合物とから形成されるオルガノシロキサン樹脂量100重量部に対して、好ましくは50〜1900重量部、より好ましくは150〜900重量部である。固形分の濃度は好ましくは5〜70重量%、より好ましくは7〜40重量%である。オルガノシロキサン樹脂を形成するコーティング塗料は、酸および硬化触媒の含有量を調節することによりpHを好ましくは3.0〜6.0、より好ましくは4.0〜5.5に調製することが望ましい。この範囲でpHを調製することにより、常温での該コーティング塗料のゲル化を防止し、保存安定性を増すことができる。該コーティング塗料は、通常数時間から数日間更に熟成させることにより安定な塗料になる。
上述の(P)層および(T)層をそれぞれアクリル樹脂塗料およびコーティング塗料により基材にコートする方法としては、ディップコート法、フローコート法、ブレードコート法、ナイフコート法、スクイズコート法、トランスファーロールコート法、グラビヤロールコート法、エアースプレーコート法、静電スプレーコート法、およびスピンコート法などを用いることができる。コート成分の塗布以外の方法としては転写法が挙げられる。かかる方法では、離型紙上に、ハードコート層および該層と成形品とを接着する層を設けたラミネート用シートを準備し、かかるシートと成形品とをラミネートすることにより、成形品上にハードコート層を設けることができる。上記コート方法の中でもディップコート法およびフローコート法が好ましい。
本発明における接着用プライマー層は、厚みが1μm以上20μm以下の範囲であり、かつ荷重800μN下におけるナノインデンテーション法により測定される押し込み弾性率500MPa以上4000MPa以下の範囲である。接着用プライマー層は、厚みが2μm以上10μm以下の範囲であることが好ましい。厚みが下限以上であると良好な接着性が得られ、上限以下であると良好な接着性が必要最低限の接着用プライマーの量で得られるため好ましい。ナノインデンテーション法により測定される弾性率は、1000MPa以上3500MPa以下であることが好ましい。弾性率が下限以上であると被着体への十分な反応性が得られるため好ましく、上限以下であると十分な応力緩和効果が期待できるため好ましい。
(1)トリレンジイソシアネート(通常“TDI”と略称される。2,4−TDI、および2,6−TDIを含む)、ジフェニルメタンジイソシアネート(“MDI”と略称され、4,4’−MDI、2,4’−MDI、および2,2’−MDIを含む)、1,5−ナフチレンジイソシアネート、1,4−ナフチレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(“XDI”と略称され、o−XDI、m−XDI、およびp−XDIを含む)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート( “TMXDI”と略称される)、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2−ニトロジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、2,2’−ジフェニルプロパン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、および3,3’−ジメトキシジフェニル−4,4’−ジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート;
(2)テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(“HDI”と略称される)、2−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、3−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、およびトリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(“TMDI”と略称され、2,2,4−TMDI、および2,4,4−TMDIを含む)などの脂肪族ジイソシアネート;
(3)イソホロンジイソシアネート(“IPDI”と略称される)、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート(“H12MDI”と略称される)、水素添加キシリレンジイソシアネート(“H6XDI”と略称される)、水素添加テトラメチルキシリレンジイソシアネート、およびシクロヘキシルジイソシアネートなどの脂環式ジイソシアネート
が例示される。
接着用プライマーの好適な代表例としては、ガラス用プライマーGP−402(サンスター技研(株)製)、HAMATITEガラスプライマーG(MS−90)(横浜ゴム(株)製)などが挙げられる。
本発明における(D)層を構成する弾性接着剤には、ウレタン接着剤が好適に利用される。ウレタン接着剤は、湿気硬化型一液性ウレタン接着剤、および二液性ウレタン接着剤のいずれも使用可能であるが、特に湿気硬化型一液性ウレタン接着剤が生産効率に優れているので好ましい。湿気硬化型1液性ウレタン接着剤は、通常イソシアネート基含有化合物、とりわけイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(以下、NCO末端プレポリマーと称す)を主成分とし、これに対して可塑剤、充填剤、触媒、および任意にその他の化合物が配合されてなる。その他の化合物は、該組成物に所望の特性を付与することなどを目的とするものであって、例えばポリイソシアネート化合物およびγ−メルカプトプロピルトリメトキシシランの如きシランカップリング剤などの密着剤、耐熱接着性を付与するための(メタ)アクリレート系共重合体、並びに軽量性・制振性・防音性を付与するための発泡剤やマイクロバルーンなどを包含する。ここで、プレポリマーの含有量は、通常、ウレタン接着剤組成物全量中好ましくは15〜50重量%であり、より好ましくは20〜45重量%、更に好ましくは30〜45重量%の範囲で選択される。ウレタン接着剤組成物の好適な態様の代表例としては、横浜ゴム(株)製のWS−222、およびサンスター技研(株)製のペンギンシール#560などダイレクトグレージング用の各種の接着剤が好適に例示される。
0.9≦ Y < 6 (0<X<300の時) (1)
3×10―3X≦ Y <6 (300≦X≦1500の時) (2)
3×10―3X≦ Y <(16/3)×10―3X−2
1500<X≦3000の時) (3)
本発明の積層体は、(A)層と(B)層の間にブラックアウト層としてシルクスクリーン印刷層または二色成形樹脂層を有していてもよい。かかるブラックアウトはグレージングにおいては周縁部に形成され、周縁部に形成される接着剤や構造部材の目隠し機能を有する。ブラックアウト部分は、基材の第1の側(例えば車両内側)および第2の側(例えば車両外側)において、いずれ1面において形成される(この場合第1の側に形成される)ことが好ましい。
本発明の剛体たる構造部材とは、構造体(structure)もしくは建造物の構成部品であり、他の物体もしくは部分の荷重を担う支持材をいい、例えば、輸送機器のボディ、かかるボディに固定されパネルモジュール、およびかかるボディに配設される各種の窓枠などが例示される。かかる輸送機器には、自動車、トラック、列車、航空機、船舶、自動二輪車、自転車、および車イス、並びに建設機器、およびトラクターなどを含む。構造部材としての建造物には、例えばビルディング、屋外競技場、体育館、アーケード、カーポート、温室、および家屋などの建築物、防音壁、防風壁、および防雪柵などの道路施設、標識、看板および屋外用大型モニターなどの表示設備、並びに太陽光発電装置の如き発電装置などが含まれる。本発明でいうグレージング結合体とは、本発明のグレージング構成体が上記構造部材に結合して一体となったものをいう。構造部材としては、金属、ガラス、セラミック、セラミックコンポジット、繊維強化プラスチック、繊維強化コンポジット(ガラス繊維、アラミド繊維、セラミック繊維および炭素繊維等からなるFRP、SMC、およびRTMなどの複合材料)、並びに木材など形成された部材が例示される。金属部材としては、鋼材(鋼板)、並びにアルミニウム合金、マグネシウム合金、およびチタン合金などから形成された部材が例示される。
(I−A)接着用プライマーのナノインデンテーション法による押し込み弾性率測定
ポリカーボネート基板上のハードコート層に接着用プライマーを、プライマー溶液を十分に含浸させたベンコットワイパーを用いて塗布し、一週間養生後、ミクロトームによる断面切削を行い得られた平滑断面において、押し込み弾性率の測定を実施した。接着用プライマー層の厚みは約50μmであった。かかる測定はプライマー膜厚の中央部分において実施した。本発明におけるナノインデンテーション法による押し込み弾性率は接着用プライマー層の厚みが50μmにおける値を意味する。
(I−B−i)試料作成
図1に示したように、基材層上にハードコート層が形成された70mm×50mmの積層体に接着用プライマーをベンコットにて塗布し、その上に湿気硬化性ポリウレタン系接着剤を底辺8mm高さ12mmの三角形ビードで塗工した。同様に接着用プライマーを塗布した積層体で接着剤の厚みを評価する高さまで押しつぶし、23℃50%RH雰囲気下で一週間養生硬化させた。
図1に示したように、応力試験用冶具に(I−B−i)で作成した試験片を固定し、一方の積層体側に1〜6mmの変位を加え、40℃100%RHの恒温恒湿槽中に500hrおよび70℃のオーブン中に500hr保管した。かかる保管後試験片を冶具より取り外し、接着剤厚みが2mmのものは下側の板との境界で接着剤を切り取って、それ以外は接着剤厚みが上の板から3mmになる位置で切り取って手剥離接着性試験に供した。
応力試験で加えた変位は、上述の非特許文献1における392頁の式(9)に従い、該式をポリカーボネート樹脂に適用して算出されたものである。すなわち、
ΔI=I0×Δα×ΔT=I0×58×10−6×70≒4×I0(mm)
を適用した。ここでI0は基材の長辺長さ(m)、Δαはスチールの線膨張係数:12×10−6×K−1とポリカーボネート樹脂の線膨張係数:70×10−6×K−1との線膨張係数差、並びに該非特許文献1に倣い、ΔTは20℃〜90℃での使用を想定した温度差70℃を示す。更に、該非特許文献1に記載のとおり、通常接着されたグレージングは、その両端が自由に動くので、接着剤が受け持つ変位は、その1/2となる。よって、想定される接着剤部分の変位量は、“2×I0(mm)”と算出できる。かかる計算により算出した基材層の長辺長さと想定される変位量との関係を表2に示した(小数点以下四捨五入)。
手剥離接着性試験では、接着剤のビードを引っ張りながらカッターナイフで接着界面に切り込みを入れていき、接着剤の凝集破壊面積が100%の場合を100と表記した。80の場合は、接着剤の凝集破壊面積が80%、界面破壊の面積が20%であることを示す。凝集破壊面積は75%以上であることが好ましく、100%であることがより好ましい。
(II−1)ポリカーボネート樹脂−A1の製造
下記の原料表記に従い、ポリカーボネート樹脂−A1の製造方法について説明する。9.5重量部のPC、0.08重量部のVPG、0.02重量部のSA、0.03重量部のPEPQ、0.05重量部のIRGN、0.32重量部のUV1577、および1×10−4重量部のBLをスーパーミキサーで均一混合した。かかる混合物10.0001重量部に対して、90重量部のPCをV型ブレンダーで均一に混合し、押出機に供給するための予備混合物を得た。
ダイスから押出されたストランドは、温水浴中で冷却され、ペレタイザーにより切断されペレット化された。切断された直後のペレットは、振動式篩部を10秒ほど通過することにより、切断の不十分な長いペレットおよびカット屑のうち除去可能なものが除去された。
9.43重量部のPC、0.1重量部のVPG、0.02重量部のSA、0.03重量部のPEPQ、0.05重量部のIRGN、0.3重量部のUV234、0.07重量部のIRA、および1×10−4重量部のBLをスーパーミキサーで均一混合した。かかる混合物10.0001重量部に対して、90重量部のPCをV型ブレンダーで均一に混合し、押出機に供給するための予備混合物を得た以外は、上記ポリカーボネート樹脂−A1の製造と同様にして、ペレット状のポリカーボネート樹脂−A2を得た。
PC: ビスフェノールAとホスゲンから界面縮重合法により製造された粘度平均分子量25,000のポリカーボネート樹脂パウダー(帝人化成(株)製:パンライトL−1250WQ(商品名))
VPG:ペンタエリスリトールと脂肪族カルボン酸(ステアリン酸およびパルミチン酸を主成分とする)とのフルエステル(コグニスジャパン(株)製:ロキシオールVPG861)
SA:脂肪酸部分エステル(理研ビタミン(株)製:リケマールS−100A)
PEPQ:ホスホナイト系熱安定剤(Sandoz社製:サンドスタブP−EPQ)
IRGN:ヒンダードフェノール系酸化防止剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製:Irganox1076)
UV1577:2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]フェノール(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製:Tinuvin1577)
UV234:2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製:Tinuvin234)
BL:ブルーイング剤(バイエル社製:マクロレックス バイオレットB)
IRA:有機分散樹脂と無機赤外線吸収剤としてCs0.33WO3(平均粒子径5nm)とからなり、無機赤外線吸収剤含有量が約23重量%からなる赤外線遮蔽剤(住友金属鉱山(株)製YMDS−874)
上記樹脂材料−A1のペレットをプラテンの4軸平行制御機構を備えた射出プレス成形可能な大型成形機((株)名機製作所製:MDIP2100、最大型締め力33540kN)を用いて射出プレス成形し、厚み5mmで長さ×幅が1000mm×600mmのシート成形品を製造した。得られたシートを70mm×50mmのサイズに切断して実施例1〜2、比較例1〜4で用いる試験片とした。
(IV−1)アクリル樹脂塗料P−1の調製
還流冷却器および撹拌装置を備え、窒素置換したフラスコ中にエチルメタクリレート(以下EMAと省略する)74.2重量部、シクロヘキシルメタクリレート(以下CHMAと省略する)33.6重量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下HEMAと省略する)13.0重量部、LA−82(旭電化工業(株)製ヒンダードアミン系光安定性基含有メタクリレート;1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート12.0重量部、メチルイソブチルケトン(以下MIBKと省略する)132.8重量部および2−ブタノール(以下2−BuOHと省略する)66.4重量部を添加混合した。混合物に窒素ガスを15分間通気して脱酸素した後、窒素ガス気流下にて70℃に昇温し、アゾビスイソブチロニトリル(以下AIBNと省略する)0.33重量部を加え、窒素ガス気流中、70℃で5時間攪拌下に反応させた。さらにAIBN:0.08重量部を加えて80℃に昇温し、3時間反応させ、不揮発分濃度が39.7重量%のアクリル共重合体溶液を得た。アクリル共重合体の重量平均分子量はGPCの測定(カラム;Shodex GPCA−804、溶離液;THF)からポリスチレン換算で115,000であった。アクリル共重合体溶液100重量部に、MIBK:71.5重量部、2−BuOH:35.7重量部、1−メトキシ−2−プロパノール:112重量部を加えて混合し、チヌビン400(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製トリアジン系紫外線吸収剤)4.24重量部、およびチヌビン479(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製トリアジン系紫外線吸収剤)1.06重量部、アクリル共重合体溶液中のアクリル共重合体のヒドロキシ基1当量に対してイソシアネート基が1.0当量になるようにVESTANAT B1358/100(デグサ・ジャパン(株)製ブロック化されたポリイソシアネート化合物)10.3重量部を添加し、さらにジメチルチンジネオデカノエート:0.022重量部、APZ−6601(東レダウコーニング製シランカップリング剤加水分解縮合物の溶液:固形分4.5重量%)15.7重量部を加えて25℃で1時間攪拌し、アクリル樹脂塗料(P−1)を得た。
(V−1)コーティング塗料T−1の調製
水分散型コロイダルシリカ分散液(触媒化成工業(株)製カタロイドSN−30、固形分濃度30重量%):100重量部に、濃塩酸(12M):0.1重量部を加えよく攪拌した。この分散液を10℃まで冷却し、その中にメチルトリメトキシシラン:161重量部を滴下した。メチルトリメトキシシランの滴下直後から反応熱で混合液の温度は上昇を開始し、かかる開始から数分後に60℃まで昇温した。60℃に到達後、氷水浴で冷却しながら、徐々に反応液の温度を低下させた。反応液の温度が35℃になった段階で、この温度を維持するようにして5時間攪拌し、これに、硬化触媒として45%コリンメタノール溶液:0.7重量部、pH調整剤としての酢酸:1.2重量部を混合し、コーティング塗料原液(α)を得た。
上記コーティング塗料原液(α)209重量部にIPA138重量部を加えて攪拌し、コーティング塗料T−1を得た。
上記実施例(II)〜(III)で作成した基材層に、(IV)〜(V)で作成したアクリル樹脂塗料とオルガノシロキサン樹脂組成物からなるコーティング塗料をそれぞれ5μmの厚みで積層し、接着用プライマーとしてγ−メルカプトプロピルトリメトキシシランとポリイソシアネートとの反応生成物であるシラン変性ポリイソシアネート並びに他のシランカップリング剤、アクリル樹脂およびエポキシ樹脂などを含有しており、1ヶ月以上の長期オープンタイム特性を有するガラス用プライマーGP−402(サンスター技研(株)製)、弾性接着剤として湿気硬化型一液性ウレタン接着剤であるペンギンシール#560(サンスター技研(株)製)を用いて、上記(I−B)記載の手剥離接着性評価を実施した。接着用プライマーの塗工は、プライマー溶液を十分に含浸させた後、軽く絞ったベンコットワイパーを用いて実施した。接着剤厚みは、2mm〜8mmの範囲で実施した。結果を表3に示した。
接着用プライマーの塗工後23℃50%RH雰囲気下で3ヶ月保管してからウレタン接着剤の塗工をした以外は実施例1−aと全く同じ条件で上記(I−B)記載の手剥離接着性評価を実施した。1ヶ月以上の長期オープンタイム特性を有するガラス用プライマーGP−402を用いた場合、接着用プライマーの塗工後23℃50%RH雰囲気下で3ヶ月保管してからウレタン接着剤の塗工をしても、接着用プライマーの塗工直後にウレタン接着剤の塗工をした実施例1−aとほぼ同等な結果が得られた。結果を表3に示した。
上記実施例(II)〜(III)で作成した基材層に、(IV)〜(V)で作成したアクリル樹脂塗料とオルガノシロキサン樹脂組成物からなるコーティング塗料をそれぞれ5μmの厚みで積層し、接着用プライマーとしてγ−メルカプトプロピルトリメトキシシランとポリイソシアネートとの反応生成物であるシラン変性ポリイソシアネートおよびポリエステルポリウレタン樹脂などを含有しており、1ヶ月以上の長期オープンタイム特性を有していないHAMATITEガラスプライマーG(MS−90)(横浜ゴム(株)製)、弾性接着剤として湿気硬化型一液性ウレタン接着剤であるWS−222(横浜ゴム(株)製)を用いて、一週間の養生硬化後90℃24hrの処理を行った上で、上記(I−B)記載の手剥離接着性評価を実施した。結果を表3に示した。
上記実施例(II)〜(III)で作成した基材層に、(IV)〜(V)で作成したアクリル樹脂塗料とオルガノシロキサン樹脂組成物からなるコーティング塗料をそれぞれ5μmの厚みで積層し、接着用プライマーとしてシラン変性ポリイソシアネートを含有しないが1ヶ月以上の長期オープンタイム特性を有するHAMATITEガラスプライマーG(PC−3)(横浜ゴム(株)製)、弾性接着剤として湿気硬化型一液性ウレタン接着剤であるWS−222(横浜ゴム(株)製)を用いて、上記(I−B)記載の手剥離接着性評価を実施した。結果を表3に示した。
上記実施例(II)〜(III)で作成した基材層に、(IV)〜(V)で作成したアクリル樹脂塗料とオルガノシロキサン樹脂組成物からなるコーティング塗料をそれぞれ5μmの厚みで積層し、接着用プライマーとして1ヶ月以上の長期オープンタイム特性を有していないプライマー35(サンライズMSI(株)製)、弾性接着剤として湿気硬化型一液性ウレタン接着剤であるSRシールU−90W(サンライズMSI(株)製)を用いて、上記(I−B)記載の手剥離接着性評価を実施した。結果を表3に示した。
上記実施例(I)で製造したA2のポリカーボネート樹脂から、プラテンの四軸平行制御機構を備えた射出プレス成形可能な大型成形機((株)名機製作所製:MDIP2100、最大型締め力3400T)を用いて、厚み6mm、長さ1940mm×幅1200mm、および投影面積23,280cm2の樹脂板成形品を製造した。得られた樹脂板成形品の透明部となる部分にマスキング処理を行い、外周端部に約160mmの幅で、約20μm厚みのブラックアウト層を形成した。かかるブラックアウト層は、インキとして、POS:アクリルポリオールとポリイソシアネートとからなるウレタン樹脂をバインダーとする2液性インキ(POSスクリーンインキ911墨:100重量部、210硬化剤:5重量部、およびP−003溶剤:23重量部の均一混合物(原料はいずれも帝国インキ(株)製)を用い、スプレーガンを用いて形成した後、風乾を20分行った後、90℃で60分間の処理を行い、インキを硬化させた。その後、マスキングを除去し、ブラックアウト層が形成された成形品を得た。かかる成形品に、上記実施例(IV)〜(V)で作成したアクリル樹脂塗料(P−1)およびオルガノシロキサン樹脂組成物(T−1)をそれぞれ約4μmの厚みで成形品両面に積層した。いずれの層も塗装用ロボットを用いて、フローコート法により形成した。第1段階としてP−1のコート液を塗布後、風乾処理を行い、その後125℃で60分間、循環式熱風乾燥機中で熱処理し、プライマー層を硬化させた。かかる熱処理後、室温下で十分に冷却を行い、その後、第2段階としてP−1上にT−1のコート液を塗布し、風乾後、125℃60分間の熱処理を行い、硬化させた。
12:ハードコート層
13:接着用プライマー層
14:接着剤
21:樹脂板成形品本体
22:成形品のゲート部分
31:ポリカーボネート層
32:ブラックアウト層
33:ハードコート層
34:接着用プライマー層
35:接着剤
36:被着体
Claims (7)
- 熱可塑性樹脂からなる光透過基材層((A)層)の少なくとも一つの面に、シロキサン結合、二重結合、水酸基、またはカルボキシル基を有するハードコート層((B)層)、アルコキシシリル基およびイソシアネート基を含有する接着用プライマー層((C)層)、ウレタン弾性接着剤層((D)層)がこの順で形成された、剛体たる構造部材に接着取付けをするため接着用構成体であって、
上記(C)層は、その厚みが1μm以上20μm以下の範囲であり、かつ荷重800μN下におけるナノインデンテーション法により測定される押し込み弾性率が500MPa以上4000MPa以下の範囲であり、
上記(D)層の厚みが0.9mm以上14mm以下であり、
上記(A)層を形成する基材の長辺長さをX(mm)、上記(D)層を形成する接着剤の厚みをY(mm)としたとき、Xは300mm以上3000mm以下であり、XおよびYは下記式(2)〜(3)を満足する接着用構成体。
3×10―3X≦ Y <6 (300≦X≦1500の時) (2)
3×10―3X≦ Y <(16/3)×10―3X−2
(1500<X≦3000の時) (3) - 上記(C)層を形成する接着用プライマーは、シランカップリング剤を含むウレタン系プライマーである請求項1に記載の接着用構成体。
- 上記(A)層を形成する熱可塑性樹脂からなる光透過基材層がポリカーボネート樹脂である請求項1〜2いずれかに記載の接着用構成体。
- 上記(A)層と上記(B)層との間にインキ層としてシルクスクリーン印刷層または二色成形樹脂層を有する請求項1〜3いずれかに記載の接着用構成体。
- 上記(B)層のハードコート層の最表層がシリコーンを主成分とする層から形成される請求項1〜4いずれかに記載の接着用構成体。
- 上記(C)層を形成する接着用プライマーが、オープンタイム1ヶ月以上を満足している請求項1〜5いずれかに記載の接着用構成体。
- 請求項1〜6いずれかに記載の接着用構成体がグレージング用途である接着用構成体。
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