JP6139255B2 - 接着用構成体 - Google Patents
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Description
上記の問題のために、サイズの大きな積層体を接着しようとした際、同じサイズのガラスを接着する場合に比べて接着剤の厚みを厚くすることで応力を緩和する必要があり、そのために接着部分の設計を樹脂積層体特有に設計しなければならないという問題点があった。
また積層体のサイズが小さい場合においても、自動車の窓ガラス等に用いた際、運転時の振動から接着性を確保するために従来では6mm以上の接着剤の厚みが必要であった(非特許文献1参照)。
そのため、ポリカーボネート樹脂よりなるシート状物の周囲面に積層された枠部材上にハードコート層を介して接着層を設ける構成体において、接着剤層の厚みを厚くすることなく、構造部材に接着取付けをするために必要な優れた接着性を有する接着用構成体は、未だ提供されていなかった。
1.ポリカーボネート樹脂よりなるシート状物(A層)、該A層の周囲面に積層された枠部材(B層)、ハードコート層(C層)、接着用プライマー層(D層)、弾性接着剤層(E層)が順次積層された、構造部材に接着取付けをするための接着用構成体であって、
該B層は、ワラストナイト、合成ウイスカー、タルク、およびマイカよりなる群から選ばれる少なくとも1種の無機充填材を含む樹脂組成物よりなり、
上記(D)層は、その厚みが1μm以上20μm以下の範囲であり、かつ荷重800μN下におけるナノインデンテーション法により測定される押し込み弾性率が500MPa以上4000MPa以下の範囲であり、該接着用プライマーは、シランカップリング剤を含むプライマーであり、
上記(E)層の厚みが0.9mm以上14mm以下であることを満足する接着用構成体。
2.上記A層を形成する基材の長辺長さをX(mm)、上記E層を形成する接着剤の厚みをY(mm)としたとき、XおよびYは下記式(1)〜(3)を満足する上記1記載の接着用構成体。
0.9≦ Y < 6 (0<X<300の時) (1)
3×10-3X≦ Y <6 (300≦X≦1500の時) (2)
3×10-3X≦ Y <(16/3)×10-3X−2
(1500<X≦3000の時)(3)
3.上記C層は、電離放射線照射、赤外線照射、マイクロ波照射、高温水蒸気曝露、および加熱よりなる群から選ばれる少なくとも1種の方法で硬化された層であることを特徴とする上記1または2に記載の接着用積層体。
4.上記E層を形成する弾性接着剤は、ウレタン接着剤である上記1〜3のいずれかに記載の接着用構成体。
5.上記1〜4のいずれかに記載の接着用構成体がグレージング用途である接着用構成体。
本発明の接着用構成体は、ポリカーボネート樹脂よりなるシート状物、該シート状物の周囲面に積層された枠部材、ハードコート層、ナノインデンテーション法により測定した押し込み弾性率が500MPa以上4000MPa以下の範囲であり、シランカップリング剤を含む接着用プライマー層、弾性接着剤層をこの順で形成することで、構造部材に接着取付ける際に、線膨張の小さいガラス窓を接着した場合と同じ接着剤の厚みで良好な接着性を得られることが可能となった。
本発明に用いるシート状物(A層)は、ポリカーボネート樹脂のシート状の成形体であって、1〜10mm、好ましくは2〜7mmの厚さを有しているのが好適である。かかるシート状物(A層)のポリカーボネート樹脂とは、ビスフェノールA型ポリカーボネート以外にも、他の二価フェノールを用いて重合された高耐熱性または低吸水率の各種のポリカーボネート樹脂や、脂肪族ジオールを用いて重合された高耐熱性の各種のポリカーボネート樹脂であってもよい。ポリカーボネート樹脂はいかなる製造方法によって製造されたものでもよく、界面重縮合の場合は通常一価フェノール類の末端停止剤が使用される。ポリカーボネート樹脂はまた3官能フェノール類を重合させた分岐ポリカーボネート樹脂であってもよく、更に脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸、または二価の脂肪族または脂環族アルコールを共重合させた共重合ポリカーボネートであってもよい。本発明に用いるポリカーボネート樹脂とは、上記ポリカーボネート樹脂並びにかかる樹脂に各種の他樹脂、衝撃改質剤、強化剤、および添加剤などを配合した樹脂組成物を指す。より具体的には、シート状物(A層)を構成する樹脂組成物の有機成分としてポリカーボネート樹脂が50重量%以上含有されるものである。さらに好ましくは、シート状物(A層)は、有機成分としてポリカーボネート樹脂を95重量%以上含有してなるものである。かかるシート状物(A層)のポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、10,000〜50,000のものが好ましく、15,000〜40,000のものがより好ましく、さらに好ましくは20,000〜35,000である。
ηsp/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−4M0.83
c=0.7
他の二価フェノールを用いて重合された、高耐熱性または低吸水率の各種のポリカーボネート樹脂の具体例としては、下記のものが好適に例示される。
これらの特殊なポリカーボネートの製法及び特性については、例えば、特開平6−172508号公報、特開平8−27370号公報、特開2001−55435号公報及び特開2002−117580号公報等に詳しく記載されている。
上述のような大型の基材および比較的緩やかな曲面を有する基材において、本発明の接着部における応力耐性効果はより発揮される。
<枠部材の構造>
本発明に用いる枠部材(B層)は、後述する樹脂組成物より形成される。枠部材(B層)はシート状物(A層)の周囲面の一部に結合していればよいが、シート状物(A層)の周囲部(周縁部)の全てにおいて結合していることがさらに好適である。すなわち、枠部材(B層)のより好ましい態様は、シート状物(A層)の周縁部で結合可能とした一体の枠状成形体である。またシート状物(A層)の面積の10〜90%の範囲において枠部材(B層)とシート状物(A層)が結合していることが好ましい。かかる範囲はより好ましくは20〜80%、さらに好ましくは30〜70%である。
さらに枠部材(B層)は、シート状物(A層)の片面で、またはその両面で結合することができるが、より好ましくは片面での結合である。
本発明に用いる枠部材は、樹脂組成物を各種の方法により成形して製造することができる。かかる製造方法としては、具体的には、射出成形、押出成形、圧縮成形、ブロー成形および回転成形などが例示されるが、特に射出成形が好ましい。またかかる成形体がさらに2次加工されたものであってもよい。
本発明に用いる枠部材の樹脂組成物は、高剛性(高い曲げ弾性率)、高靭性(高い破断伸度、高い衝撃強度)、流動性、耐熱性に優れるものが好ましい。なかでも芳香族ポリカーボネート50〜90重量部、スチレン系樹脂10〜50重量部、無機充填材0〜50重量部の範囲であることが耐熱性、流動性、耐衝撃性、剛性の点でより好ましい。スチレン系樹脂量が上限以上では耐熱性が低下し、下限以下では流動性が不足する。また、枠部材の樹脂組成物は耐熱性の点でオレフィンを含まないことが好ましい。
上記芳香族ビニル単量体と共重合可能な単量体としては、シアン化ビニル化合物および(メタ)アクリル酸エステル化合物を好ましく挙げることができる。シアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられ、特にアクリロニトリルが好ましい。
その理由は、かかるゴム共重合スチレン系重合体を含有するスチレン系樹脂は、良好な靭性を幅広い組成範囲で発揮し実用性に富むこと、並びにゴム共重合スチレン系重合体を含有するスチレン系樹脂においてこそ、本発明のC成分の効果はより顕著に発揮されることによる。ゴム質重合体に結合する重合体としては、上記の如く芳香族ビニル化合物の単独重合体、並びに芳香族ビニル化合物と該化合物と共重合可能な単量体との共重合体が挙げられる。芳香族ビニル化合物と共重合可能な単量体における、その内容、好ましい態様、芳香族ビニル化合物との組成割合などは上記のとおりである。
上記のゴム質重合体は特に限定されるものではなく、ガラス転移温度が10℃以下、好ましくは−10℃以下、より好ましくは−30℃以下である重合体をいう。またゴム質重合体が架橋ゴム粒子の場合、その粒径は重量平均粒子径において0.05〜5μmが好ましく、0.1〜1.5μmがより好ましく、0.1〜0.8μmが更に好ましい。上記範囲内であればより良好な耐衝撃性が達成される。
更にオレフィンゴムは、2種以上の混合物からなるものであってもよい。例えばエチレンとα−オレフィンとの共重合体、並びにエチレン、α−オレフィンおよび非共役ポリエンからなる共重合体に、低分子量ポリエチレン、低分子量エチレン・α−オレフィン共重合体、不飽和カルボン酸変性低分子量ポリエチレン、並びに不飽和カルボン酸変性低分子量エチレン・α−オレフィン共重合体からなる群から選択される少なくとも1種を含有してなるゴム質重合体が例示される。
更にエチレンとα−オレフィンとの共重合体、並びにエチレン、α−オレフィンおよび非共役ポリエンからなる共重合体において、そのヨウ素価は、5〜40の範囲が好ましく、10〜30の範囲がより好ましく、10〜20の範囲が更に好ましい。
エチレンとα−オレフィンとの共重合体、並びにエチレン、α−オレフィンおよび非共役ポリエンからなる共重合体は、チーグラー型触媒を用いて通常製造される。他の触媒としてメタロセン化合物と有機アルミニウムオキシ化合物との組み合わせが例示される。
共役ジエン化合物としては、ブタジエン、イソプレンなどを挙げることができる。更に好ましくはポリイソプレン、ポリブタジエン、およびイソプレンとブタジエンの共重合体を挙げることができる。共重合体の場合には、その形態としてはランダム共重合体、ブロック共重合体、およびテーパード共重合体のいずれの形態も選択することができる。
共役ジエン化合物の重合体に水添して製造されるエチレンとα−オレフィンとの共重合体単位を含むブロック共重合体の製造における、触媒、カップリング剤、共触媒、重合方法、および溶媒などは、公知の方法を適宜用いることができる。
本発明におけるハードコート層に使用するハードコート剤としては、シリコーン樹脂系ハードコート剤や有機樹脂系ハードコート剤などが例示される。
シリコーン樹脂系ハードコート剤は、シロキサン結合をもった硬化樹脂層を形成するものであり、例えば、3官能シロキサン単位に相当する化合物(トリアルコキシシラン化合物など)を主成分とする化合物の部分加水分解縮合物、好ましくはさらに4官能シロキサン単位に相当する化合物(テトラアルコキシシラン化合物など)を含む部分加水分解縮合物、並びにさらにこれらにコロイダルシリカなどの金属酸化物微粒子を充填した部分加水分解縮合物などが挙げられる。シリコーン樹脂系ハードコート剤はさらに2官能性のシロキサン単位および1官能性のシロキサン単位を含んでよい。これらには縮合反応時に発生するアルコール(アルコキシシランの部分加水分解縮合物の場合)などが含まれるが、さらに必要に応じて任意の有機溶剤、水、あるいはこれらの混合物に溶解ないしは分散させてもよい。そのための有機溶剤としては、低級脂肪酸アルコール類、多価アルコールとそのエーテル、エステル類などが挙げられる。なお、ハードコート層には平滑な表面状態を得るため各種界面活性剤、例えば、シロキサン系、フッ化アルキル系界面活性剤などを添加してもよい。
コロイダルシリカおよび/またはアルコキシシラン加水分解縮合物は、13重量%以上であることが好ましく、更に15重量%であることが好ましい。下限以上では、ハードコート層上に荷重800μN下におけるナノインデンテーション法により測定される押し込み弾性率が500MPa以上4000MPa以下の範囲であり、シランカップリング剤を含む接着用プライマー層を形成させた際に、優れた接着性が得られるため好ましい。また、コリダルシリカの上限は60重量部以下であることが好ましい。
コロイダルシリカおよび/またはアルコキシシラン加水分解縮合物が10重量%以上となるハードコート剤は、シリコーン樹脂系ハードコート剤や有機樹脂系ハードコート剤に有機溶剤分散コロイダルシリカを混合して得ることができる。
これらハードコート剤のうち長期間の耐久性に優れ、かつ表面硬度が比較的高いシリコーン樹脂系ハードコート剤、または処理が比較的簡便でかつ良好なハードコート層が形成される紫外線硬化型のアクリル樹脂または多官能アクリル樹脂が好ましい。特に少なくとも製品(窓構造体)において太陽光を受ける側の面はシリコーン樹脂系ハードコートがなされていることが好ましい。シリコーン樹脂系ハードコート剤はプライマー層とトップ層から構成されるいわゆる2コートタイプ、並びに1層のみから形成されるいわゆる1コートタイプのいずれも選択できる。
コート方法としては、バーコート法、ディップコート法、フローコート法、スプレーコート法、スピンコート法、ローラーコート法等の方法を、塗装される基材となる成形体の形状に応じて適宜選択することができる。
ハードコート層の硬化方法は、電離放射線照射、赤外線照射、マイクロ波照射、高温水蒸気曝露、加熱よりなる群から選ばれる少なくとも1種の方法で行うことが好ましい。
電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうちコート層の硬化反応を起こし得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他に、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も使用可能である。
赤外線照射による硬化は、振動エネルギーを電磁波の形で加えることで短時間、局所的に加熱するため基体の温度上昇を抑制しつつ硬化を行うことができ好ましい。レーザー光を使用すれば、ビーム径を通常の赤外線ランプより絞ることも可能である。
マイクロ波照射法は、マイクロ波との共鳴で振動させることで、基体に熱を伝えることなく加熱することができるため好ましい。
これらの硬化方法の中でも、電離放射線照射による硬化が硬化に要する時間と設備費用の点で特に好ましい。
ハードコート層の厚みは1〜30μmが好ましく、2〜20μmがより好ましく、3〜10μmが更に好ましい。下限以上では、基材の耐磨耗性が得られ、上限以下では、硬化ムラが生じづらく基材との密着性が良好であり好ましい。
本発明における接着用プライマー層は、厚みが1μm以上20μm以下の範囲であり、かつ荷重800μN下におけるナノインデンテーション法により測定される押し込み弾性率500MPa以上4000MPa以下の範囲であり、シランカップリング剤を含む接着用プライマーを用いる。接着用プライマー層は、厚みが2μm以上10μm以下の範囲であることが好ましい。厚みが下限以上であると良好な接着性が得られ、上限以下であると良好な接着性が必要最低限の接着用プライマーの量で得られるため好ましい。ナノインデンテーション法により測定される弾性率は、1000MPa以上3500MPa以下であることが好ましい。弾性率が下限以上であると被着体への十分な反応性が得られるため好ましく、上限以下であると十分な応力緩和効果が期待できるため好ましい。
(1)トリレンジイソシアネート(通常“TDI”と略称される。2,4−TDI、および2,6−TDIを含む)、ジフェニルメタンジイソシアネート(“MDI”と略称され、4,4’−MDI、2,4’−MDI、および2,2’−MDIを含む)、1,5−ナフチレンジイソシアネート、1,4−ナフチレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(“XDI”と略称され、o−XDI、m−XDI、およびp−XDIを含む)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート( “TMXDI”と略称される)、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2−ニトロジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、2,2’−ジフェニルプロパン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、および3,3’−ジメトキシジフェニル−4,4’−ジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート;
(2)テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(“HDI”と略称される)、2−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、3−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、およびトリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(“TMDI”と略称され、2,2,4−TMDI、および2,4,4−TMDIを含む)などの脂肪族ジイソシアネート;
(3)イソホロンジイソシアネート(“IPDI”と略称される)、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート(“H12MDI”と略称される)、水素添加キシリレンジイソシアネート(“H6XDI”と略称される)、水素添加テトラメチルキシリレンジイソシアネート、およびシクロヘキシルジイソシアネートなどの脂環式ジイソシアネート
が例示される。
他のシランカップリング剤は、上記のシラン変性ポリイソシアネート化合物を補完し、ハードコート層との強固な接着性を達成する。かかるシランカップリング剤も、イソシアネート基に対して、活性を有することが好ましく、よって、官能基としては、アルコール性OH基、アミノ基、イミノ基、メルカプト基、およびエポキシ基などを含有することが好ましい。
尚、上記の樹脂成分は、その変性や共重合処方により、アルコール性OH基やアルコキシシリル基を含有した態様とすることもでき、殊にオープンタイムの自由度を高くしたい用途において利用できる。かかる態様はより好適にはこれらの官能基を有するアクリル樹脂が例示され、その具体例は例えば特開2001−064470号公報に記載され、本発明においても好適に利用できる。
接着用プライマーの好適な代表例としては、ガラス用プライマーGP−402(サンスター技研(株)製)、HAMATITEガラスプライマーG(MS−90)(横浜ゴム(株)製)などが挙げられる。
本発明におけるE層を構成する弾性接着剤には、ウレタン接着剤が好適に利用される。ウレタン接着剤は、湿気硬化型一液性ウレタン接着剤、および二液性ウレタン接着剤のいずれも使用可能であるが、特に湿気硬化型一液性ウレタン接着剤が生産効率に優れているので好ましい。湿気硬化型1液性ウレタン接着剤は、通常イソシアネート基含有化合物、とりわけイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(以下、NCO末端プレポリマーと称す)を主成分とし、これに対して可塑剤、充填剤、触媒、および任意にその他の化合物が配合されてなる。その他の化合物は、該組成物に所望の特性を付与することなどを目的とするものであって、例えばポリイソシアネート化合物およびγ−メルカプトプロピルトリメトキシシランの如きシランカップリング剤などの密着剤、耐熱接着性を付与するための(メタ)アクリレート系共重合体、並びに軽量性・制振性・防音性を付与するための発泡剤やマイクロバルーンなどを包含する。ここで、プレポリマーの含有量は、通常、ウレタン接着剤組成物全量中好ましくは15〜50重量%であり、より好ましくは20〜45重量%、更に好ましくは30〜45重量%の範囲で選択される。ウレタン接着剤組成物の好適な態様の代表例としては、横浜ゴム(株)製のWS−222、およびサンスター技研(株)製のペンギンシール#560などダイレクトグレージング用の各種の接着剤が好適に例示される。
0.9≦ Y < 6 (0<X<300の時) (1)
3×10―3X≦ Y <6 (300≦X≦1500の時) (2)
3×10―3X≦ Y <(16/3)×10―3X−2
(1500<X≦3000の時) (3)
接着剤の厚みが下限以上では十分な接着性が得られ好ましく、上限以下では接着剤の重量が少ない点、コストが低い点、デザインの制限が少ない点で好ましい。ここで、(1)〜(3)式の上限の値は、非特許文献1によるものである。
本発明の接着用構成体を取付ける構造部材とは、構造体(structure)もしくは建造物の構成部品であり、他の物体もしくは部分の荷重を担う支持材をいい、例えば、輸送機器のボディ、かかるボディに固定されパネルモジュール、およびかかるボディに配設される各種の窓枠などが例示される。かかる輸送機器には、自動車、トラック、列車、航空機、船舶、自動二輪車、自転車、および車イス、並びに建設機器、およびトラクターなどを含む。構造部材としての建造物には、例えばビルディング、屋外競技場、体育館、アーケード、カーポート、温室、および家屋などの建築物、防音壁、防風壁、および防雪柵などの道路施設、標識、看板および屋外用大型モニターなどの表示設備、並びに太陽光発電装置の如き発電装置などが含まれる。本発明でいうグレージング結合体とは、本発明のグレージング構成体が上記構造部材に結合して一体となったものをいう。構造部材としては、金属、ガラス、セラミック、セラミックコンポジット、繊維強化プラスチック、繊維強化コンポジット(ガラス繊維、アラミド繊維、セラミック繊維および炭素繊維等からなるFRP、SMC、およびRTMなどの複合材料)、並びに木材など形成された部材が例示される。金属部材としては、鋼材(鋼板)、並びにアルミニウム合金、マグネシウム合金、およびチタン合金などから形成された部材が例示される。
(I−A)接着用プライマーのナノインデンテーション法による押し込み弾性率測定
ポリカーボネート基板上のハードコート層に接着用プライマーを、プライマー溶液を十分に含浸させたベンコットワイパーを用いて塗布し、一週間養生後、ミクロトームによる断面切削を行い得られた平滑断面において、押し込み弾性率の測定を実施した。接着用プライマー層の厚みは約50μmであった。かかる測定はプライマー膜厚の中央部分において実施した。本発明におけるナノインデンテーション法による押し込み弾性率は接着用プライマー層の厚みが50μmにおける値を意味する。
押し込み弾性率の測定は、得られたプライマー層の表面部分において超微小押し込み硬さ試験機(エリオニクス株式会社製、製品名ENT−2100)により押し込み試験を行った。押し込みの際にはバーコビッチ圧子(α:65.03°)を用いて、20.4mgf/secの荷重速度で負荷をかけ、最大荷重として800μNを1秒間保持した後、同様の荷重速度で除荷を行った。結果を表1に示す。
(I−B−i)試料作成
図1に示したように、基材層上にハードコート層が形成された70mm×50mmの積層体に接着用プライマーをベンコットにて塗布し、その上に湿気硬化性ポリウレタン系接着剤を底辺8mm高さ12mmの三角形ビードで塗工した。同様に接着用プライマーを塗布した積層体で接着剤の厚みを評価する高さである8mmまで押しつぶし、23℃50%RH雰囲気下で一週間養生硬化させた。また、接着剤の厚みを6mmまで押しつぶし同様に試料を作成した。
図1に示したように、応力試験用冶具に(I−B−i)で作成した試験片を固定し、一方の積層体側に1〜4mmの変位を加え、70℃のオーブン中に500hr保管した。かかる保管後試験片を冶具より取り外し、接着剤厚みが上の板から3mmになる位置で切り取って手剥離接着性試験に供した。
応力試験で加えた変位は、上述の非特許文献1における392頁の式(9)に従い、該式をポリカーボネート樹脂に適用して算出されたものである。すなわち、
ΔI=I0×Δα×ΔT=I0×58×10−6×70≒4×I0(mm)
を適用した。ここでI0は基材の長辺長さ(m)、Δαはスチールの線膨張係数:12×10−6×K−1とポリカーボネート樹脂の線膨張係数:70×10−6×K−1との線膨張係数差、並びに該非特許文献1に倣い、ΔTは20℃〜90℃での使用を想定した温度差70℃を示す。更に、該非特許文献1に記載のとおり、通常接着されたグレージングは、その両端が自由に動くので、接着剤が受け持つ変位は、その1/2となる。よって、想定される接着剤部分の変位量は、“2×I0(mm)”と算出できる。かかる計算により算出した基材層の長辺長さと想定される変位量との関係を表2に示した(小数点以下四捨五入)。
手剥離接着性試験では、接着剤のビードを引っ張りながらカッターナイフで接着界面に切り込みを入れていき、接着剤の凝集破壊面積が100%の場合を100と表記した。80の場合は、接着剤の凝集破壊面積が80%、界面破壊の面積が20%であることを示す。凝集破壊面積は75%以上であることが好ましく、100%であることが最も好ましい。
下記の原料表記に従い、ポリカーボネート樹脂−A1の製造方法について説明する。9.5重量部のPC、0.08重量部のVPG、0.02重量部のSA、0.03重量部のPEPQ、0.05重量部のIRGN、0.32重量部のUV1577、および1×10−4重量部のBLをスーパーミキサーで均一混合した。かかる混合物10.0001重量部に対して、90重量部のPCをV型ブレンダーで均一に混合し、押出機に供給するための予備混合物を得た。
得られた予備混合物を押出機に供給した。使用された押出機は、スクリュ径77mmφのベント式二軸押出機((株)日本製鋼所製:TEX77CHT(完全かみ合い、同方向回転、2条ネジスクリュ))であった。該押出機は、スクリュ根元から見てL/D約8〜11の部分に順に送りのニーディングディスクと逆送りのニーディングディスクとの組合せからなる混練ゾーンを有し、その後L/D約16〜17の部分に送りのニーディングディスクからなる混練ゾーンを有していた。更に該押出機は、後半の混練ゾーンの直後にL/D0.5長さの逆送りのフルフライトゾーンを有していた。ベント口はL/D約18.5〜20の部分に1箇所設けられた。押出条件は吐出量320kg/h、スクリュー回転数160rpm、およびベントの真空度3kPaであった。また押出温度は第1供給口230℃からダイス部分280℃まで段階的に上昇させる温度構成であった。
ダイスから押出されたストランドは、温水浴中で冷却され、ペレタイザーにより切断されペレット化された。切断された直後のペレットは、振動式篩部を10秒ほど通過することにより、切断の不十分な長いペレットおよびカット屑のうち除去可能なものが除去された。
下記の原料表記に従い、ポリカーボネート樹脂−A2の製造方法について説明する。4.25重量部のPC1、0.1重量部のVPG、0.02重量部のSA、0.03重量部のPEPQ、0.05重量部のIRGN、0.3重量部のUV1577、0.25重量部のYMDS、および5重量部のCMをスーパーミキサーで均一混合した。かかる混合物10重量部に対して、90重量部のPCとをV型ブレンダーで均一に混合し、押出機に供給するための予備混合物を得た以外は、上記樹脂材料−A1の製造と同様にして、ペレット状の樹脂材料−A2を得た。
PC1:ビスフェノールAとホスゲンから界面縮重合法により製造された粘度平均分子量23,700のポリカーボネート樹脂パウダー(帝人化成(株)製:パンライトL−1250WP(商品名))
VPG:ペンタエリスリトールと脂肪族カルボン酸(ステアリン酸およびパルミチン酸を主成分とする)とのフルエステル(コグニスジャパン(株)製:ロキシオールVPG861)
SA:脂肪酸部分エステル(理研ビタミン(株)製:リケマールS−100A)
PEPQ:ホスホナイト系熱安定剤(BASF社製:Irgafos P−EPQ)
IRGN:ヒンダードフェノール系酸化防止剤(BASF社製:Irganox1076)
UV1577:2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]フェノール(BASF社製:Tinuvin1577)
CM:上記PC:4.99489重量部、NB5856T:0.00313重量部、R8370:0.00071重量部、およびR8370:0.00127重量部をスーパーミキサーで均一混合した着色剤マスターバッチ。ここでNB5856Tは、黒色染料(オリヱント化学工業(株)製 NUBIAN BLACK 5856T)を示し、R8350およびR8370はそれぞれ、赤色染料(有本化学工業(株)製 PLAST Red 8350、およびPLAST Red 8370)を示す。
YMDS:有機分散樹脂と無機赤外線吸収剤としてCs0.33WO3(平均粒子径5nm)とからなり、無機赤外線吸収剤含有量が約23重量%からなる赤外線遮蔽剤(住友金属鉱山(株)製YMDS−874)
下記の原料表記に従い、枠材料−B1の製造方法について説明する。75重量部のPC2、12重量部のABS1、3重量部のMB、10重量部のWRN1、0.1重量部のM、0.8重量部のCBをV型ブレンダーで均一に混合した。得られた混合物はスクリュー径30mmφのベント式二軸押出機((株)神戸製鋼所製KTX−30)のスクリュー根元の第1供給口に供給し、シリンダおよびダイスの温度:260℃、スクリュー回転数:180rpm、吐出量:15kg/時、ベント吸引度:3,000Paの条件で押出を行いストランドを得た。続いてストランドは温水浴中で冷却され、ペレタイザーで切断されペレット状の樹脂材料B1を得た。
下記の原料表記に従い、枠材料−B2の製造方法について説明する。65重量部のPC2、30重量部のABS2、5重量部のMB、0.3重量部のE、0.3重量部のUV701、0.8重量部のCBをV型ブレンダーで均一に混合した。得られた混合物はスクリュー径30mmφのベント式二軸押出機((株)神戸製鋼所製KTX−30)のスクリュー根元の第1供給口に供給し、シリンダおよびダイスの温度:260℃、スクリュー回転数:180rpm、吐出量:15kg/時、ベント吸引度:3,000Paの条件で押出を行いストランドを得た。続いてストランドは温水浴中で冷却され、ペレタイザーで切断されペレット状の樹脂材料B2を得た。
下記の原料表記に従い、枠材料−B3の製造方法について説明する。60重量部のPC3、25重量部のPET、3重量部のPBT、10重量部のWRN2、3重量部のMB、0.6重量部のDC、0.2重量部のPEP、0.02重量部のM、0.3重量部のUV701、0.8重量部のCBをV型ブレンダーで均一に混合した。得られた混合物はスクリュー径30mmφのベント式二軸押出機((株)神戸製鋼所製KTX−30)のスクリュー根元の第1供給口に供給し、シリンダおよびダイスの温度:270℃、スクリュー回転数:180rpm、吐出量:15kg/時、ベント吸引度:3,000Paの条件で押出を行いストランドを得た。続いてストランドは温水浴中で冷却され、ペレタイザーで切断されペレット状の樹脂材料B3を得た。
下記の原料表記に従い、枠材料−B4の製造方法について説明する。75重量部のPC2、12重量部のABS1、3重量部のMB、10重量部のTALC、0.1重量部のM、0.8重量部のCBをV型ブレンダーで均一に混合した。得られた混合物はスクリュー径30mmφのベント式二軸押出機((株)神戸製鋼所製KTX−30)のスクリュー根元の第1供給口に供給し、シリンダおよびダイスの温度:260℃、スクリュー回転数:180rpm、吐出量:15kg/時、ベント吸引度:3,000Paの条件で押出を行いストランドを得た。続いてストランドは温水浴中で冷却され、ペレタイザーで切断されペレット状の樹脂材料B4を得た。
PC2:ビスフェノールAとホスゲンから界面縮重合法により製造された粘度平均分子量22,400のポリカーボネート樹脂パウダー(帝人化成(株)製:パンライトL−1225WP)
PC3:ビスフェノールAとホスゲンから界面縮重合法により製造された粘度平均分子量19,700のポリカーボネート樹脂パウダー(帝人化成(株)製:パンライトL−1225WX)
ABS1:ブタジエンゴム成分が約18重量%、重量平均ゴム粒子径が0.8μm、塊状重合にて製造されたABS樹脂(日本A&L社製:AT−05)
ABS2:ABS樹脂(日本A&L(株)製 UT−61(商品名)、遊離のAS重合体成分約80重量%およびABS重合体成分(アセトン不溶ゲル分)約20重量%、ブタジエンゴム成分約14重量%、重量平均ゴム粒子径が0.56μm、塊状重合にて製造)
PET:Ge系触媒を用いて製造されたIVが0.52のポリエチレンテレフタレート(帝人製:TR−MB)。
PBT:IVが0.875のポリブチレンテレフタレート(ウィンテックポリマー社製:500FP)
MB:スチレンを含まないゴム質重合体−2(ロームアンドハース社製:パラロイド EXL−2602、コアがポリブタジエン約80重量%、シェルがメチルメタクリレートとエチルアクリレートであるグラフト共重合体、重量平均粒子径が0.23μm)
WRN1:平均粒径が5μmのウォラストナイト(キンセイマテック社製:SH−1250)
WRN2:平均粒径が4μmウォラストナイト(NYCO社製:NYGLOS4)
TALC:圧縮微粉タルク(林化成社製:Upn HS−T0.8)
E:モンタン酸エステル(クラリアントジャパン社製:リコワックスE)
PEP:ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(アデカ社製:アデカスタブ PEP−24G)
M:トリメチルホスフェート(大八化学工業社製:TMP)
DC:三菱化学社製 ダイヤカルナ30(1−アルケン・無水マレイン酸共重合物と1−アルケンの混合物)
UV701:2−(2‘ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール(シプロ化成製)
CB:カーボンブラック(越谷化成工業社製:RB961S)
上記(II)および(III)で得たペレットを110℃で6時間循環型熱風乾燥機で乾燥した後、二色成形可能な成形機(日精樹脂工業(株)製FN8000−36ATN)にて図2に示すようなポリカーボネート樹脂と枠材からなる二色成形品を得た(透明部材の面積の56%が枠材と結合)。得られた成形品のポリカーボネート樹脂と枠材が積層された部分を70mm×50mmのサイズに切断して試験片とした。
(V−1)アクリル共重合樹脂の調製(Cp1)
還流冷却器および撹拌装置を備え、窒素置換したフラスコ中にエチルメタクリレート(以下EMAと省略する)85.6重量部、シクロヘキシルメタクリレート(以下CHMAと省略する)16.8重量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下HEMAと省略する)13.0重量部、LA−82(旭電化工業(株)製ヒンダードアミン系光安定性基含有メタクリレート;1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート12.0重量部、1−メトキシ−2−プロパノール(以下PGMと省略する)191.1重量部を添加混合した。混合物に窒素ガスを15分間通気して脱酸素した後、窒素ガス気流下にて70℃に昇温し、アゾビスイソブチロニトリル(以下AIBNと省略する)0.33重量部を加え、窒素ガス気流中、70℃で5時間攪拌下に反応させた。さらにAIBN:0.08重量部を加えて80℃に昇温し、3時間反応させ、不揮発分濃度が39.7重量%のアクリル共重合体溶液を得た。
上記C1のEMA:74.2重量部、CHMA:33.7重量部にした以外はCp1と同様にして、不揮発分濃度39.6重量%のアクリル共重合体溶液を得た。
還流冷却器及び撹拌装置を備えたフラスコ中にメチルイソブチルケトン(以下MIBKと省略する):443.4重量部、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−(2’−エチル)ヘキシル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製チヌビン405)350.3重量部、2−イソシアネートエチルメタクリレート:93.1重量部を添加混合し80℃に加熱した。ついで、ジブチルチンジラウレート:0.1重量部を加え、同温度で30分間攪拌し、不揮発分濃度49.5%の2−メタクリロキシエチルカルバミド酸1−[3−ヒドロキシ−4−{4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル}フェニルオキシ]−3−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−プロピル(以下、MOI−405と省略する)溶液を得た。
次に、還流冷却器及び撹拌装置を備え、窒素置換したフラスコ中にEMA:58.6重量部、CHMA:33.7重量部、HEMA:13.0重量部、上記MOI−T405:53.9重量部、LA−82:35.9重量部、PGM:241.2重量部を添加混合した。混合物に窒素ガスを15分間通気して脱酸素した後、窒素ガス気流下にて70℃に昇温し、AIBN:0.33重量部を加え、窒素ガス気流中、70℃で5時間攪拌下に反応させた。さらにAIBN:0.08重量部を加えて80℃に昇温し3時間反応させ、不揮発分濃度が39.6重量%のアクリル共重合体溶液を得た。
上記Cp1およびCp2のアクリル共重合樹脂溶液100重量部に、MIBK:66.4重量部、2−ブタノール(以下2−BuOHと省略する):33.2重量部、PGM:106.4重量部を加えて混合し、該アクリル樹脂溶液中のアクリル共重合体のヒドロキシ基1当量に対してイソシアネート基が1.0当量になるようにVESTANAT B1358/100(デグサ・ジャパン(株)製ブロック化されたポリイソシアネート化合物):9.8重量部を添加し、チヌビン400(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製トリアジン系紫外線吸収剤)4.2重量部、およびチヌビン479(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製トリアジン系紫外線吸収剤)1.1重量部、APZ−6633(東レ・ダウコーニング(株)製シランカップリング剤加水分解縮合物のエタノール溶液;固形分5重量%):9.5重量部、ジメチルチンジネオデカノエート:0.015重量部を加えて25℃で1時間攪拌し、アクリル樹脂系プライマー塗料(Cp1およびCp2)を得た。
上記Cp3のアクリル共重合体溶液100重量部に、MIBK:65.4重量部、2−BuOH:32.7重量部、PGM:65.8重量部を加えて混合し、アクリル共重合体溶液中のアクリル共重合体のヒドロキシ基1当量に対してイソシアネート基が1.0当量になるようにVESTANAT B1358/100:7.6重量部を添加し、さらにAPZ6633:13.7質量部、ジメチルチンジネオデカノエート:0.07重量部を加えて25℃で1時間攪拌し、アクリル樹脂系プライマー塗料(Cp3)を得た。
(VI−1)ハードコート塗料の調製(Ct1)
水分散型コロイダルシリカ分散液(触媒化成工業(株)製カタロイドSN−30、固形分濃度30重量%):100重量部に、濃塩酸(12M):0.1重量部を加えよく攪拌した。この分散液を10℃まで冷却し、その中にメチルトリメトキシシラン:161重量部を滴下した。メチルトリメトキシシランの滴下直後から反応熱で混合液の温度は上昇を開始し、かかる開始から数分後に60℃まで昇温した。60℃に到達後、氷水浴で冷却しながら、徐々に反応液の温度を低下させた。反応液の温度が35℃になった段階で、この温度を維持するようにして5時間攪拌し、これに、硬化触媒として45%コリンメタノール溶液:0.8重量部、pH調整剤としての酢酸:4.9重量部を混合し、コーティング塗料原液(α)を得た。
上記コーティング塗料原液(α)209重量部にイソプロピルアルコール(以下IPAと省略する)138重量部を加えて攪拌し、コーティング塗料(Ct1)を得た。
コロイダルシリカおよび/またはアルコキシシラン加水分解縮合物の割合は99重量%であった。
酸化セリウムスラリー(シーアイ化成(株)製、ナノテックスラリーCEANB、固形分濃度15重量%):5.5重量部を攪拌しながら、その中にIPA:112.1重量部を滴下し希釈した。かかる希釈スラリーを更に攪拌しながら、上記コーティング塗料原液(α):209重量部を滴下し、コーティング塗料(Ct2)を得た。
コロイダルシリカおよび/またはアルコキシシラン加水分解縮合物の割合は97重量%であった。
上記(II)〜(IV)で作成した二色成形により積層された基材に、(V)で作成したアクリル樹脂系プライマー塗料(Ca1〜Ca3)を熱硬化後の膜厚が4〜10μm程度になるようにフローコートで塗布し、25℃で20分静置後、130℃で60分間熱硬化させ、40分間放冷したのち(VI)で作成したハードコート塗料(Ct1、Ct2)を熱硬化後の膜厚が2〜5μm程度になるようにフローコートで塗布し、25℃で20分静置後、130℃で60分間熱硬化させた。得られたハードコート処理基材に表3に記載した組み合わせで接着用プライマーとしてD1:ガラス用プライマー(サンスター技研(株)製GP−402)、D2:HAMATITEガラスプライマーG(横浜ゴム(株)製MS−90)、D3:HAMATITEガラスプライマーG(PC−3)(横浜ゴム(株)製)、D4:プライマー35(サンライズMSI(株)製)、D5:シランカップリング剤を含有していないHAMATITEボディプライマーG(横浜ゴム(株)製RC−50E)塗布し、弾性接着剤としてE1:湿気硬化型一液性ウレタン接着剤であるペンギンシール#560(サンスター技研(株)製)、E2:WS−222(横浜ゴム(株)製)を表3に記載した組み合わせで用いて、図1に示す試験片を作成して一週間の養生硬化した後、変位を1〜6mmを与えた状態で70℃500hrの処理を行った上で、上記(I−B−iii)に記載の手剥離接着性評価を実施した。結果を表3に示した。
上記(II)および(III)で作成したA1およびB1のペレットを20℃で6時間循環型熱風乾燥機で乾燥した後、二色成形可能な成形機(日精樹脂工業(株)製FN8000−36ATN)にて図2に示すようなポリカーボネート樹脂層とその枠部材からなる二色成形品を得た(透明部材の面積の56%が枠材と結合)。得られた二色成形品のポリカーボネート樹脂層および枠部材層上に上記(V)で作成したアクリル樹脂系プライマー塗料Ca2を熱硬化後の膜厚が5μm程度になるようにフローコートで塗布し、25℃で20分静置後、130℃で60分間熱硬化させ、40分間放冷したのち(VI)で作成したハードコート塗料Ct1を熱硬化後の膜厚が4μm程度になるようにフローコートで塗布し、25℃で20分静置後、130℃で60分間熱硬化させた。
得られた成形品の外周端部に、ガラス用プライマーGP−402(サンスター技研(株)製)を厚み8μm、弾性接着剤ペンギンシール#560(サンスター技研(株)製)を、幅12mm高さ15mmの三角形状となるように塗工した。HAMATITEボディプライマーM(RC−50E)(横浜ゴム(株)製)を厚み8μmで塗工したステンレス製の枠に、かかるウレタン接着剤が塗工されたシート成形品を、ウレタン接着剤の厚みが6mmとなるようにして貼り付けた。かかる厚みは同厚みのスペーサを、ステンレス枠上に設置して調整した。得られた接着用構成体を23℃で50%RHの条件で1週間養生処理した後、枠ごと70℃の熱風乾燥炉に入れ、1000時間の処理を実施した。接着剤は全く外れることなく、接着用構成体が固定されていた。
12:枠部材層
13:ハードコート(プライマー)層
14:ハードコート(トップ)層
15:接着用プライマー層
16:接着剤層
1:二色成形品本体(シート状物と枠部材の一体化成形品)
2:シート状物(1.5mm厚みのファンゲートにより成形、厚み4mm)
3:枠部材(厚み2mm)
4:枠部材のピンゲート(4箇所、直径1.4mm)
5:枠部材の縦方向の幅(40mm)
6:枠部材の横方向の幅(40mm)
7:前記成形品の幅(200mm)
8:前記成形品の長さ(300mm)
Claims (5)
- ポリカーボネート樹脂よりなるシート状物(A層)、該A層の周囲面に積層された枠部材(B層)、ハードコート層(C層)、接着用プライマー層(D層)、弾性接着剤層(E層)が順次積層された、構造部材に接着取付けをするための接着用構成体であって、
該B層は、ワラストナイト、合成ウイスカー、タルク、およびマイカよりなる群から選ばれる少なくとも1種の無機充填材を含む樹脂組成物よりなり、
上記(D)層は、その厚みが1μm以上20μm以下の範囲であり、かつ荷重800μN下におけるナノインデンテーション法により測定される押し込み弾性率が500MPa以上4000MPa以下の範囲であり、該接着用プライマーは、シランカップリング剤を含むプライマーであり、
上記(E)層の厚みが0.9mm以上14mm以下であることを満足する接着用構成体。 - 上記A層を形成する基材の長辺長さをX(mm)、上記E層を形成する接着剤の厚みをY(mm)としたとき、XおよびYは下記式(1)〜(3)を満足する請求項1記載の接着用構成体。
0.9≦ Y < 6 (0<X<300の時) (1)
3×10-3X≦ Y <6 (300≦X≦1500の時) (2)
3×10-3X≦ Y <(16/3)×10-3X−2
(1500<X≦3000の時)(3) - 上記C層は、電離放射線照射、赤外線照射、マイクロ波照射、高温水蒸気曝露、および加熱よりなる群から選ばれる少なくとも1種の方法で硬化された層であることを特徴とする請求項1または2に記載の接着用積層体。
- 上記E層を形成する弾性接着剤は、ウレタン接着剤である請求項1〜3のいずれかに記載の接着用構成体。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の接着用構成体がグレージング用途である接着用構成体。
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