JP6080018B2 - 自動車用の枠体付き窓用板材及び自動車用の枠体付き窓用板材の製造方法 - Google Patents

自動車用の枠体付き窓用板材及び自動車用の枠体付き窓用板材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、自動車用窓ガラスとして使用される枠体付き窓用板材及び枠体付き窓用板材の製造方法に関する。
自動車の窓用開口部に窓用のガラス板(窓用板材)を取り付ける場合、ガラス板の周縁端部と前記窓用開口部との間の隙間に、長尺又は枠状の樹脂製モールディング(以下、枠体という)が取り付けられる。このような枠体によって前記隙間を封止することにより、車内に雨水等が浸入することを防止できる。枠体付き窓用板材の構成としては、特許文献1に開示された「3面モール」と称されるもの、及び特許文献2に開示された「2面モール」と称されるものが知られている。
3面モールとは、枠体がガラス板の車外側表面、車内側表面、及び端面の計3面で接するように、枠体の断面が略コ字の形状を有するものである。
これに対して2面モールとは、枠体がガラス板の車内側表面、及び端面の計2面で接するように、枠体の断面が略L字の形状を有し、ガラス板の車外側表面から枠体が突出しない形状を有するものである。
2面モールは、3面モールと比較して、枠体が車体外側に突出せず、車体のフラッシュサーフェス化を実現できる。よって、外観上優れるだけでなく、自動車の走行時においてはウインドシールドからリアガラスにかけての空気の流れがスムーズになり、耳障りな風切り音の発生を低減できるという利点がある。
ところで、図6及び図7に示す従来の2面モールの枠体付き窓用板材1は、ガラス板2のコーナー部3の曲率半径rが、3mm<r<8mmの範囲で一般に加工されている。このため、枠体付き窓用板材1のコーナー部4では、ガラス板2と枠体5との見切り線(境界線)Lが大きな円弧状となり、外観意匠性が悪いという問題があった。すなわち、外観意匠性を向上させるためには、前記見切り線Lをピン角形状(後述)にする必要があった。
また、前述の如くガラス板2のコーナー部3の曲率半径が大きいことに起因して、図7の如くコーナー部3を枠体5のコーナー部6(枠体付き窓用板材1のコーナー部4と同じ)の先端部6aの近傍まで存在させることができない。このため、枠体付き窓用板材1のコーナー部4の剛性を上げることができない。また、前述のガラス板2のコーナー部3と枠体5のコーナー部6との間を樹脂製の枠体5で充填する場合に、充填する樹脂量が多くなるため硬化時の収縮により枠体5の表面に望ましくない凹み(以下、ヒケという)が生じる場合がある。よって、枠体5のコーナー部6の外観ヒケ発生を防止するために枠体5の車内側の面に肉抜き部7が必要になる。これもまた、枠体付き窓用板材1のコーナー部4の剛性を下げる原因になっていた。
枠体付き窓用板材1のコーナー部4が納まる窓用開口部の形状は、車体の外観意匠性を高めるため先鋭状に構成されているのが一般的である。このため、従来の枠体付き窓用板材1では、ガラス板2のコーナー部3と枠体5のコーナー部6の先端部6aとの距離を長くとらざるを得ず、上記問題が発生していた。
なお、本願出願人は、ガラス板の周囲に樹脂製の枠体を射出一体成形してなる樹脂製の枠体付き窓用板材(登録商標「MAW」:MODULE ASSY WINDOW)を自動車用窓ガラスとして提供している(特許文献3)。
日本国特開2002−129839号公報 日本国特開平11−129747号公報 日本国特開2002−292681号公報
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、外観意匠性がよく剛性の高い枠体付き窓用板材を提供することを目的とする。
本発明は、前記目的を達成するために、窓用板材の周縁部であって該窓用板材の室内側の面及び端面のうち少なくとも一つの面に樹脂製の枠体が一体成形された枠体付き窓用板材において、前記窓用板材は、前記周縁部に面取り面を備え、前記窓用板材の平面視において、前記面取り面の面取り幅wと面取りされてない領域のコーナー部の曲率半径rとが、w≧r、及びr<3mmを満足する枠体付き窓用板材を提供する。
また、本発明は、前記目的を達成するために、キャビティーが形成されるように対向される下型と上型とを有する金型を閉じて型締めし、窓用板材の周縁部に樹脂製の枠体を一体成形する枠体付き窓用板材の製造方法であって、前記窓用板材の平面視において、前記面取り面の面取り幅wと、面取りされてない領域のコーナー部の曲率半径rとが、w≧r、及びr<3mmとなるように前記窓用板材を面取し、該窓用板材を前記金型で型締めして該窓用板材の周縁部に樹脂製の枠体を一体成形する枠体付き窓用板材の製造方法を提供する。
また、本発明の一態様における枠体付き窓用板材は、前記面取り幅wと前記窓用板材の厚さtとが、w≦t/2を満足し、2mm≦t≦6mmであること好ましい。
また、本発明の一態様における枠体付き窓用板材では、前記窓用板材の平面視において、前記面取りされていない領域におけるコーナー部と、前記枠体のコーナー部との距離M1が、0.8mm≦M1≦6mmであることが好ましく、3mm≦M1≦6mmであることがさらに好ましい。
また、本発明の一態様における枠体付き窓用板材では、前記面取りされていない領域のコーナー部の角度αが20°≦α≦90°であることが好ましく、25°≦α≦60°であることがさらに好ましい。
また、本発明の一態様における枠体付き窓用板材では、前記窓用板材を車両用窓ガラスに好適に用いることができる。
また、本発明の一態様における枠体付き窓用板材では、前記窓用板材が強化ガラスであり、車両の固定窓に用いられることが更に好ましい。
本発明の一態様における枠体付き窓用板材によれば、外観意匠性がよく、高い剛性を得ることができる。
図1は、実施の形態を示した枠体付き窓用板材の要部拡大図である。 図2は、図1に示した枠体付き窓用板材のA−A線に沿う断面図である。 図3は、ガラス板のピン角形状を説明するために用いた説明図である。 図4は、図1に示した枠体付き窓用板材のB−B線に沿う断面図である。 図5は、複数の曲率半径の面取り面を有するガラス板の端面形状を示した断面図である。 図6は、従来の枠体付き窓用板材の要部拡大平面図である。 図7は、図6に示した枠体付き窓用板材のA−A線に沿う断面図である。 図8は、本発明の枠体付き窓用板材の製造方法の一態様を示した図である。
以下、添付図面に従って本発明に係る枠体付き窓用板材の好ましい実施の形態の例を詳説する。
図1は、実施の形態を示した枠体付き窓用板材(以下、枠体付きガラス板という)10の要部拡大図であり、図2は、図1のA−A線に沿う断面図である。
これらの図に示す枠体付きガラス板10は、自動車の窓用開口部に取り付けられる表面が三角形状のフロントベンチガラスである。但し、本実施形態における枠体付き窓用板材は、前記フロントベンチガラスに限定されるものではなく、サイドガラス、リアクォーターガラス、フロントガラス、リヤガラス、又はルーフガラス等の固定窓に好適に適用できる。
また、実施の形態では、枠体付きガラス板10の枠体12として樹脂製の枠体について説明するが、この樹脂製の枠体は、自動車の窓用開口部と窓用のガラス板14との間の隙間を閉塞するために用いられる部材である。よって、樹脂製のモールディングに加えて、射出成形等によりモールディングと一体的に取り付けられる樹脂製ガーニッシュや金属部材、車両開口部に接触されるリップモールなどの様々なインサート部材などを含んで一体成形されてもよい。また、樹脂製のモールディングの成形後に、その表面などに意匠性や機能性を向上させるための部材を更に組み付ける(所謂後アッシー)樹脂製の枠体も概念に含むものとする。
更に、ガラス板14が前記窓用開口部に取り付けられたときの車外側面を表面、車内側面を裏面と称し、図1の枠体付きガラス板10は、ガラス板14の表面を見せた斜視図である。
更にまた、背景技術の欄で述べたピン角形状とは、図3に示すガラス板14の表面において、面取りされていない領域16の外縁部が、面取りされていない領域のコーナー部18において、曲線ではなく、面取り面20と前記領域16との境界線である2本の直線L、Lが交わることによって形成される先鋭状の形状をいう。
これにより、図1および図2に示す実施の形態の「2面モール」の枠体付きガラス板10のガラス板のコーナー部22では、枠体12とガラス板14との見切り線Lがピン角形状に見えるため、外観意匠性が向上する。つまり、本実施形態における枠体付き窓用板材は、「3面モール」ではなく「2面モール」、又は枠体12が前記裏面、又はガラス板14の端面のうち少なくとも一つの面に取り付けられた「1面モール」の枠体付きガラス板10を対象としている。すなわち、「3面モール」の枠体付きガラス板では、ガラス板の表面及び裏面に枠体が取り付けられるため、図1に示した見切り線Lを露出できないからである。「2面モール」、及び「1面モール」の枠体付き窓用板材は、ガラス板を可能な限り大面積で露出させ、これに対して枠体の面積は可能な限り小さくしたいという市場の要求を満足した枠体付き窓用板材である。
実施の形態の枠体付きガラス板10は、ガラス板14と枠体12とから構成され、接着剤を介して自動車の窓用開口部に固定される。また、ガラス板14の端部と前記窓用開口部との隙間が、図1、図2および図4に示す枠体12の外周縁部に備えられたリップ部12aによって封止される。なお、図4は、図1に示した枠体付きガラス板10のB−B線に沿う断面図である。
枠体12の材質としては、TPO(オレフィン系熱可塑性エラストマー)、TPE(エチレン系熱可塑性エラストマー)、又はPVC(ポリ塩化ビニル)等の弾性のある樹脂材を挙げることができる。また、枠体12を前記窓用開口部に固定する前記接着剤としては、ウレタン接着剤を好適に用いることができる。
ガラス板14としては、単板のガラス板でもよいが、PVB製等の中間膜を介在させた合わせガラスでもよい。また、窓用板材としては、ガラス板14に限定されるものではなく、透明樹脂、半透明樹脂などの有機樹脂製のパネルや、ガラス板と有機樹脂の複合材料であってもよい。
次に、実施の形態の枠体付きガラス板10の特徴について説明する。
この枠体付きガラス板10は、図3に示したようにガラス板14のコーナー部22と、その周縁部に面取り面20を備える。ガラス板14の平面視において、面取り面20の面取り幅wと面取りされていない領域16のコーナー部18の曲率半径rとが、w≧r、及びr<3mmを満足している。
このようにw≧r、及びr<3mmを満足するガラス板14を製造することにより、図1の如く、枠体付きガラス板10のコーナー部22におけるガラス板14と枠体12との見切り線Lをピン角形状にできる。ピン角形状は、図3における、直線L、Lの交わる先鋭上形状を形成する角度を角度αとしたとき、自動車のデザインとの整合性から20°≦α≦90°であることが好ましく、25°≦α≦60°であることがさらに好ましい。
これにより、実施の形態の枠体付きガラス板10によれば、図6に示した従来の枠体付きガラス板1と比較して、外観意匠性が向上する。また、図2の如く、面取りされていない領域16のコーナー部18を枠体12のリップ部(先端部)12aの近傍まで存在させることができる。よって、枠体付きガラス板10のコーナー部22の枠体12の剛性が高くなり、枠体付きガラス板10全体としての剛性が上がる。更に、枠体12のコーナー部24の車内側に肉抜き部を設ける必要がなくなるので、剛性がより一層高くなるとともに、充填する樹脂量が少なくて済み、硬化収縮によるヒケを抑制し外観意匠性のよい枠体付きガラス板10を得ることができる。この効果は2面モールの枠体付き窓用板材で顕著である。
また、図2における面取りされていない領域におけるコーナー部18と、枠体のコーナー部12aの距離M1とを短くすれば、枠体付きガラス板10のコーナー部の剛性が向上する。M1が、6mmより短ければ従来の枠体付きガラス板よりコーナー部の剛性が高められ、0.8mm以上であれば枠体付きガラス板10に枠体12を一体成形することができ、3mm以上であれば断面形状の自由度が向上し、リップなどの機能性を備える形状と付与するために好適である。
また、図3に示したガラス板14を得るためには、すなわち、面取りされていない領域のコーナー部18がピン角形状のガラス板14を得るためには、ガラス板14の縁部の面取り工程において、極小面取りを行う砥石を用いて面取り加工することにより得ることができる。このとき、面取りRは、R3未満、好ましくはR1.5、更に好ましくはR1以下である。
つまり、面取りRと面取り幅wとは略等値である。また、面取りRは、図3に示した単一の曲率半径Rで得られるものでもよく、図5の如くR、Rの複合曲率半径で得られるものであってもよい。更に、面取りとして糸面取りでもよい。この場合も平面視で糸面取りされた幅Cと面取り幅wとは略等値である。
一方、面取り幅wとガラス板14の厚さtとは、w≦t/2を満足し、2mm≦t≦6mmであることが好ましい。厚さtがこの範囲であれば、車両用の強化ガラスとして好適に用いることができる。
前述の如く、面取りRと面取り幅wとは略等値であり、また単一の曲率半径Rで面取りした場合、面取りRの最大値がt/2なので、面取り幅wはw≦t/2となる。ガラス板14の厚さtは、より好ましくは2.3〜5mm、更に好ましくは2.5〜3.5mmであり、このような厚さtに応じてw、r、Rを設定すればよい。
窓用板材の厚さtが厚ければ、ガラスの強化が容易になるとともに、飛び石などによる割れ耐性が向上する。厚さが3.5mm以下、好ましくは2.5mm以下であれば、枠体付き窓用板材の軽量化に寄与する。厚さtが2.5mm以上であれば車両用安全ガラスとしての性能を担保し易くなるが、2mm以下になると、周知の方法でガラスを強化することが難しくなり車両用窓ガラスとしての適用範囲が限定される。
図8に基づいて本発明の枠体付き窓用板材の製造方法の一態様を説明する。図8に示すように、上型31と下型32の間にキャビティー33を備える金型を用いて、金型が型開きした状態で、下型32の所定の位置にガラス板14を載置し、上型31を閉じて型締めをした。この後、スプール(図示せず)から金型のキャビティー内に軟質PVCからなる樹脂を注入して、樹脂製の枠体12をガラス板14に一体成形をおこなった。これを冷却後に金型を型開きすることにより、樹脂製の枠体12を備える枠体付き窓用板材が得られた。
本発明を詳細に、また特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の範囲と精神を逸脱することなく、様々な修正や変更を加えることができることは、当業者にとって明らかである。
本出願は、2011年4月12日出願の日本特許出願2011−088341に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
10…枠体付きガラス板、12…枠体、14…ガラス板、16…面取りされていない領域、18…面取りされていない領域のコーナー部、20…面取り面、22…ガラス板のコーナー部、24…枠体のコーナー部、31…上型、32…下型、33…キャビティー

Claims (9)

  1. 表面と裏面とを備えた窓用板材の周縁部であって該窓用板材の前記裏面及び端面のうち少なくとも一つの面に樹脂製の枠体が一体成型された自動車用の枠体付き窓用板材において、
    前記窓用板材は、前記周縁部に面取り面を備え、
    前記窓用板材の平面視において、前記面取り面の面取り領域の幅wと、前記窓用板材の全領域のうち前記面取り領域を除いた面取りされていない領域のコーナー部の曲率半径rとが、w≧r、及びr<3mmを満足する自動車用の枠体付き窓用板材。
  2. 前記面取り領域の幅wと前記窓用板材の厚さtとが、w≦t/2を満足し、2mm≦t≦6mmである請求項1に記載の自動車用の枠体付き窓用板材。
  3. 前記窓用板材の平面視において、前記面取りされていない領域におけるコーナー部と、前記枠体のコーナー部との距離M1が、0.8mm≦M1≦6mmである請求項1または2に記載の自動車用の枠体付き窓用板材。
  4. 前記窓用板材の平面視において、前記面取りされていない領域のコーナー部の角度αが20°≦α≦90°である請求項1〜3のいずれか1項に記載の自動車用の枠体付き窓用板材。
  5. 前記窓用板材が車両用窓ガラスである請求項1〜4のいずれか1項に記載の自動車用の枠体付き窓用板材。
  6. 前記窓用板材が強化ガラスであり、車両の固定窓に用いられる請求項1〜5のいずれか1項に記載の自動車用の枠体付き窓用板材。
  7. キャビティーが形成されるように対向される下型と上型とを有する金型を閉じて型締めし、窓用板材の周縁部に樹脂製の枠体を一体成形する自動車用の枠体付き窓用板材の製造方法であって、
    前記窓用板材は、前記周縁部に面取り面を備え、
    前記窓用板材の平面視において、前記面取り面の面取り領域の幅wと、前記窓用板材の全領域のうち前記面取り領域を除いた面取りされてない領域のコーナー部の曲率半径rとが、w≧r、及びr<3mmとなるように前記窓用板材を面取し、該窓用板材を前記金型で型締めして該窓用板材の周縁部に樹脂製の枠体を一体成形する自動車用の枠体付き窓用板材の製造方法。
  8. 前記面取りされていない領域のコーナー部と、前記キャビティーにおける前記枠体のコーナー部との距離M1が、0.8mm≦M1≦6mmになるように前記窓用板材を設置する請求項7に記載の自動車用の枠体付き窓用板材の製造方法。
  9. 記枠体のコーナー部の裏面側に、肉抜き部を設けない請求項1〜6のいずれか1項に記載の自動車用の枠体付き窓用板材。
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