JP6072653B2 - 車両の後部構造 - Google Patents

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Description

本発明は、リアウインドウガラスの側縁部に沿ってサイドスポイラが延設されている、車両に関する。
車両のリアウインドウガラスの周縁には、走行風を円滑に流すことや車両の装飾性を高めることを目的として、スポイラが取り付けられることがある。スポイラとして、リアウインドウガラスの側縁部に沿って延設されているものをサイドスポイラという。サイドスポイラの取り付けられている車両に関する従来技術として、特許文献1に開示される技術がある。
特許文献1に示されるような、車両には、リアウインドウガラスの両側縁上に、それぞれサイドスポイラが延設されている。これらのサイドスポイラは、素材に樹脂が用いられ、樹脂を中空断面状に成形することにより構成されている。
中空断面状の樹脂部品を製造する方法としては、射出成形やブロー成形が挙げられる。射出成形により中空断面状の樹脂部品を製造するには、例えば、ガスを用いて樹脂の内部を中空状に成形する。このような製造方法を採用した場合には、通常の射出成形に比べて工程が複雑であり、サイドスポイラの製造コストが嵩む。一方、ブロー成形の一般的な課題として、樹脂の肉厚に偏りが生じやすいということが知られている。このため、所望の肉厚を有するサイドスポイラを得ようとすると、サイドスポイラの製造コストが嵩む。このことにより、サイドスポイラが取り付けられる車両の価格も高価になる。
特開2012−136066号公報
本発明は、安価でありながら、空力性能や意匠性に優れているサイドスポイラが取り付けられた車両の提供を課題とする。
請求項1に係る発明によれば、リアウインドウガラスの側縁部に沿ってサイドスポイラが延設されている、車両において、
前記サイドスポイラは、
車体に取り付けられているインナー部材と、
前記インナー部材に取り付けられ、前記リアウインドウガラスの車幅方向の側縁部の面を形成するアウター部材と、を有し、
前記インナー部材は、車体に固定される基部と、前記基部から延びて前記アウター部材が固定される延設部とを備え、
前記アウター部材は、
車幅方向の車両前方端部が第1の外装部材の意匠面よりも車幅方向内側に湾曲し、
後端部が前記リアウインドウガラスの側縁部にシール部材を介して取り付けられ、
上端部が前記サイドスポイラーより上方に設けられたリアスポイラーの車幅方向の端部と面一となって連続した曲面を形成し、
下端部が第2の外装部材の上端部の裏側に潜り込み、前記第2の外装部材の隣接する端部から逃げるように湾曲している
請求項2に記載のごとく、好ましくは、前記第1の外装部材はリアクオータガラスであり、前記第2の外装部材はリッドランプユニットのランプ本体部である
請求項に記載のごとく、好ましくは、前記インナー部材は、ABS樹脂からなる
請求項1および2に係る発明では、サイドスポイラは、車体に係止されているインナー部材と、このインナー部材に被せられているアウター部材と、からなる。即ち、サイドスポイラは、車体側と意匠面側の2部材によって構成されている。このため、通常の射出成形によってサイドスポイラを製造することができる。即ち、汎用性の高い方法によりサイドスポイラを製造することができ、製造コストを安価にすることができる。このような安価なサイドスポイラを採用することにより、安価な車両を提供することができる。
加えて、サイドスポイラは、リアウインドウガラスの側縁部に設けられている部材である。即ち、サイドスポイラは、外部から視認しやすい部位に設けられている。即ち、車外の人の目線の高さに設けられているため、特に高いデザイン性が求められる。デザイン上の理由から、サイドスポイラを変更する必要が生じる場合がある。このような場合には、アウター部材のみを変更すればよい。サイドスポイラ全体を変更する場合に比べて安価である。
また、アウター部材のうち第2の外装部材(リッドランプユニットのランプ本体部)に隣接する端部は、第2の外装部材の意匠面の裏側に潜り込んでいる。潜り込んでいることにより、アウター部材と第2の外装部材との境界部分が目立たなくなる。これにより、車両の外観性を高めることができる。
さらに、走行風等により、サイドスポイラを浮き上がらせる力が、サイドスポイラに加わることがある。アウター部材の端部が第2の外装部材の裏側に潜り込んでいることにより、アウター部材の端部が第2の外装部材の意匠面の裏側に当接する。これにより、サイドスポイラの車体からの浮き上がりを抑制することができる。
また第1の外装部材(リアクオータガラス)に隣接するサイドスポイラの車両前方端部が、第1の外装部材の意匠面よりも車幅方向内側へ湾曲している。これにより、サイドスポイラと第1の外装部材との境界部分において、走行風を後部に向かって円滑に流すことができる。即ち、境界部分における空気流の剥離を抑制し、空力性能をより向上させることができる。また、立体的な造形により質感が向上し、意匠性も高められる。
また、アウター部材の第2外装部材に隣接する端部は、第2外装部材の意匠面の裏側に潜り込んでいる。潜り込んでいることにより、アウター部材と第2外装部材との境界部分が目立たなくなる。これにより、車両の外観性を高めることができる。
さらに、走行風等により、サイドスポイラを浮き上がらせる力が、サイドスポイラに加わることがある。アウター部材の端部が第2外装部材の裏側に潜り込んでいることにより、アウター部材の端部が第2外装部材の意匠面の裏側に当接する。これにより、サイドスポイラの車体からの浮き上がりを抑制することができる。
また、リアスポイラとサイドスポイラとの境界部分において、それぞれの車幅方向外側の意匠面が面一に形成されている。これにより、円滑に走行風を後方に向かって流すことができ、空力性能を向上させることができる。また、面一であることにより、リアスポイラとサイドスポイラとが一体的に見え、意匠性を高めることができる。
請求項に係る発明では、インナー部材には、ABS樹脂が用いられている。ABS樹脂は、外部からの衝撃に強い。これにより、テールゲートの開閉時や車両の走行時に受ける振動に対して、高い強度を保つことができる。
本発明の実施例による車両を後部から見た状態の斜視図である。 図1に示されたサイドスポイラと車体との関係を説明する図である。 図1に示されたサイドスポイラの分解斜視図である。 図1の4−4線断面図である。 図1の5矢視図である。 図5に示された第2外装部材の取付け方法を説明する図である。 図1の7−7線断面図である。 図1の8−8線断面図である。 図1の9−9線断面図である。
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、説明中、左右とは車両の乗員を基準として左右、前後とは車両の進行方向を基準として前後を指す。また、図中Frは前、Rrは後、Ceは車幅中央、Upは上、Dwは下を示している。
図1に示される車両10は、左後部から見た状態において示されている。図1に示されるように、車両10を構成する車体11の後部には、テールゲート12がスイング可能に取り付けられている。このテールゲート12には、リアウインドウガラス13と、このリアウインドウガラス13の上縁に沿っているリアスポイラ14と、このリアスポイラ14の下方であってリアウインドウガラス13の側縁に沿っているサイドスポイラ40と、このサイドスポイラ40に隣接しているリッドランプユニット30とが取り付けられている。
即ち、リアウインドウガラス13、リアスポイラ14、サイドスポイラ40及びリッドランプユニット30は、テールゲート12を介して車体11に取り付けられている。リッドランプユニット30は、テールランプとブレーキランプが一体化されている、テールアンドストップランプである。
車体11の側部11aのなかの、サイドスポイラ40の前方に対応する部位には、リアクォータウインドウガラス50(車両側部部材18)が取り付けられている。リッドランプユニット30と連続した部位には、車体側ランプユニット17が取り付けられている。
サイドスポイラ40、リッドランプユニット30、リアクォータウインドウガラス50及び車体側ランプユニット17は、車体11の右側の端部にも対称に設けられている。
図2に示されるように、リッドランプユニット30は、光源がレンズに覆われているランプ本体部31(外装部材31)と、このランプ本体部31の外周に設けられランプ本体部31を装飾するリッドランプベゼル32(第2外装部材32)とからなる。
サイドスポイラ40は、高さ方向において、リアスポイラ14とリッドランプユニット30との間に配置されている。詳細は後述するが、サイドスポイラ40の端部は、リッドランプユニット30によって覆われている。
図3及び図4に示されるように、サイドスポイラ40は、テールゲート12にボルト21を介して締結され中央がナット状に形成されているナット部材41と、このナット部材41に連結されているインナー部材42と、このインナー部材42の意匠面側の面に貼り付けられている両面テープ43,44と、これらの両面テープ43,44によってインナー部材42に貼り付けられていると共にインナー部材42を覆っているアウター部材45と、アウター部材45及びインナー部材42によってリアウインドウガラス13に挟まれているシール部材46とからなる。テールゲート12は、車室側のインナー部材12a及び車外側のアウター部材12bが重ね合わされることにより、閉断面状に形成されている。
インナー部材42は、基部42aと、この基部42aから延びている延設部42bとからなる。基部42aは、一端がナット部材41(車体への取付部)に嵌合され、嵌合されている部位からアウター部材45の一端に向かって延びつつ、アウター部材45の一端からシール部材46に向かって延びている。基部42aの他端は、シール部材46をリアウインドウガラス13に向かって押しつけている。
延設部42bは、略L字状を呈し、基部42aの他端近傍からアウター部材45に向かって延びていると共に、アウター部材45に沿って延びている。
両面テープ43は、基部42aのなかの、アウター部材45の一端に対応する部位に貼り付けられている。両面テープ44は、延設部42bのなかの、アウター部材45の他端に対応する部位に貼り付けられている。インナー部材42をこのような構成にすることにより、シール部材46を確実に押さえつつ、アウター部材45の両端に接着させることができる。延設部42bは、基部42aのうち、アウター部材45の他端に対応する部位の近傍から延ばせばよく、必要な樹脂量が少なくて済む。
サイドスポイラ40は、車体11側と意匠面側の2部材によって構成されている。このため、通常の射出成形によってサイドスポイラ40を製造することができる。即ち、汎用性の高い方法によりサイドスポイラ40を製造することができ、製造コストを安価にすることができる。このような安価なサイドスポイラ40を採用することにより、安価な車両(図1、符号10)を提供することができる。
加えて、サイドスポイラ40は、リアウインドウガラス13の側縁部13aに設けられている部材である。即ち、サイドスポイラ40は、外部から視認しやすい部位に設けられている。即ち、車外の人の目線の高さに設けられているため、特に高いデザイン性が求められる。デザイン上の理由から、サイドスポイラ40を変更する必要が生じる場合がある。このような場合には、アウター部材45のみを変更すればよい。サイドスポイラ40全体を変更する場合に比べて安価である。また、より空力特性を高めたい場合にも、アウター部材45を新たなアウター部材に変更するだけでよい。即ち、サイドスポイラ40全体の交換は不要である。これにより、空力特性を高めるために必要な部品交換を、安価に行うことができる。
さらに、インナー部材42には、ABS樹脂が用いられている。ABS樹脂は、外部からの衝撃に強い。これにより、テールゲートの開閉時や車両の走行時に受ける振動に対して、高い強度を保つことができる。インナー部材42と同様に、アウター部材45の素材としてABS樹脂を用いた場合には、同様の効果が得られる。
図5及び図6に示されるように、リッドランプベゼル32には、略コ字状の第1の爪部32a、及び、略三角形状の第2の爪部32bが形成されている。第1の爪部32aに嵌合可能なスポイラ側嵌合片45aが、アウター部材45の後下端部に形成されている。第2の爪部32bに嵌合可能なリッドランプ側嵌合片31aが、ランプ本体部31の端部に形成されている。アウター部材45、及び、ランプ本体部31は、リッドランプベゼル32に嵌合されることにより、リッドランプベゼル32に対しての移動量が規制されている。また、リッドランプベゼル32に形成されている第1及び第2の爪部32a,32bを介して、アウター部材45、ランプ本体部31及びリッドランプベゼル32は、一体化されている。
図7も合わせて参照し、アウター部材45のなかのリッドランプユニット30に隣接する端部45bは、ランプ本体部31又はリッドランプベゼル32の意匠面31c,32cの裏側に潜り込んでいる。リッドランプユニット30に隣接する端部45bは、ランプ本体部31の端部から逃げるように湾曲している。
潜り込んでいることにより、アウター部材45とリッドランプユニット30との境界部分が目立たなくなる。これにより、車両10の外観性を高めることができる。
さらに、走行風等により、サイドスポイラ40を浮き上がらせる力が、サイドスポイラ40に加わることがある。アウター部材45の端部がリッドランプユニット30の裏側に潜り込んでいることにより、アウター部材45の端部45bがリッドランプユニット30の意匠面31c,32cの裏側に当接する。これにより、サイドスポイラ40のテールゲート(図1、符号12)からの浮き上がりを抑制することができる。
特に、リッドランプベゼル32に対して、ランプ本体部31及びアウター部材45が嵌合されていると共に、アウター部材45の端部45bは、ランプ本体部31及びリッドランプベゼル32の意匠面31c,32cの裏側に潜り込んでいる。これにより、互いの移動がより規制されることとなり、サイドスポイラ40の浮き上がりを有効に抑制することができる。
アウター部材45のなかの、ランプ本体部31、又は、リッドランプベゼル32に潜り込んでいる部位は、曲がり形状を呈する。これにより、サイドスポイラ40とリッドランプユニット30とのクリアランスが目立ちにくくなり、隙間からの中見えが抑制されると共に、さらに外観性を高めることができる。
図8に示されるように、リアクォータウインドウガラス50は、車体11の側部11aに支持されている樹脂製の枠体51と、この枠体51によって外周縁が囲われている窓パネル52とからなる。これらの枠体51及び窓パネル52は、車外に臨む意匠面が互いに面一に形成されている。
アウター部材45(サイドスポイラ40)のなかの、リアクォータウインドウガラス50に隣接する端部45c(車両前方端部45c)が、リアクォータウインドウガラス50の意匠面51a,52aよりも車幅方向内側へ湾曲している。
サイドスポイラ40とリアクォータウインドウガラス50との境界部分P1において、走行風を後部に向かって円滑に流すことができる。即ち、境界部分P1における空気流の剥離を抑制し、空力性能をより向上させることができる。また、立体的な造形により質感が向上し、意匠性も高められる。
図9に示されるように、リアスポイラ14の車幅端部14aとアウター部材45(サイドスポイラ40)の上端部45dとの境界部分P2において、それぞれの車幅方向外側の意匠面45e,14bが面一に形成されている。即ち、アウター部材45(サイドスポイラ40)の車外に臨む意匠面45eと、リアスポイラ14の車外に臨む意匠面14bとは、連続した曲面に形成されている。
意匠面14b,45eが面一に形成されていることにより、円滑に走行風を後方に向かって流すことができ、空力性能を向上させることができる。また、面一であることにより、リアスポイラ14とサイドスポイラ40とが一体的に見え、意匠性を高めることができる。
尚、本発明による車両に取り付けられたサイドスポイラは、リアウインドウガラスの左側縁部に取り付けられているものを例に説明したが、右側縁部に取り付けられるものも基本的な構成は同様である。また、本発明による車両に取り付けられたサイドスポイラは、テールゲートを介して車体に取り付けられているものを例に説明したが、直接的に車体に取り付けられているものであってもよい。
本発明の車両は、乗用車に好適である。
10…車両
11…車体
13…リアウインドウガラス
13a…(リアウインドウガラスの)側縁部
14…リアスポイラ
14b…(リアスポイラの)意匠面
31…ランプ本体部(外装部材)
31c…(外装部材の)意匠面
32…リッドランプベゼル(第2外装部材)
32c…(第2外装部材の)意匠面
40…サイドスポイラ
42…インナー部材
45…アウター部材
45b…(リッドランプユニットに隣接する)端部
45c…(リアクォータウインドウガラスに隣接する)端部
45e…(アウター部材の)意匠面
50…リアクォータウインドウガラス(車両側部部材)
51a…(リアクォータウインドウガラスの)意匠面
52a…(リアクォータウインドウガラスの)意匠面
P2…境界部分

Claims (3)

  1. リアウインドウガラスの側縁部に沿ってサイドスポイラが延設されている、車両において、
    前記サイドスポイラは、
    車体に取り付けられているインナー部材と、
    前記インナー部材に取り付けられ、前記リアウインドウガラスの車幅方向の側縁部の面を形成するアウター部材と、を有し、
    前記インナー部材は、車体に固定される基部と、前記基部から延びて前記アウター部材が固定される延設部とを備え、
    前記アウター部材は、
    車幅方向の車両前方端部が第1の外装部材の意匠面よりも車幅方向内側に湾曲し、
    後端部が前記リアウインドウガラスの側縁部にシール部材を介して取り付けられ、
    上端部が前記サイドスポイラーより上方に設けられたリアスポイラーの車幅方向の端部と面一となって連続した曲面を形成し、
    下端部が第2の外装部材の上端部の裏側に潜り込み、前記第2の外装部材の隣接する端部から逃げるように湾曲していることを特徴とする車両の後部構造
  2. 前記第1の外装部材はリアクオータガラスであり、前記第2の外装部材はリッドランプユニットのランプ本体部であることを特徴とする請求項1に記載の車両の後部構造
  3. 前記インナー部材は、ABS樹脂からなることを特徴とする請求項1または2に記載の車両の後部構造
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